(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の積層体組立キットにおいて、例えば、前記第1基板および前記第2基板が、透明基板である。
【0012】
本発明の積層体組立キットにおいて、例えば、前記第1基板のレンズ部および前記第2基板の位置合わせマーク部の数が、それぞれ、2個以上である。
【0013】
本発明の積層体組立キットにおいて、例えば、前記第2基板の対向面において、前記位置合わせマーク部の総面積が、前記第2基板の全面積の3%以下である。
【0014】
本発明の積層体組立キットにおいて、例えば、前記レンズ部は、その表面が、球面または非球面である。
【0015】
本発明の積層体組立キットにおいて、例えば、前記レンズ部が、シリンドリカルレンズである。
【0016】
本発明の積層体組立キットにおいて、例えば、前記位置合わせマーク部の平面形状が、四角形である。
【0017】
本発明の積層体において、例えば、前記第1基板および前記第2基板が、透明基板である。
【0018】
本発明の積層体において、例えば、前記第1基板のレンズ部および前記第2基板の位置合わせマーク部の数が、それぞれ、2個以上である。
【0019】
本発明の積層体において、例えば、前記第2基板の対向面において、前記位置合わせマーク部の総面積が、前記第2基板の全面積の3%以下である。
【0020】
本発明の積層体において、例えば、前記レンズ部は、その表面が、球面または非球面である。
【0021】
本発明の積層体において、例えば、前記レンズ部が、シリンドリカルレンズである。
【0022】
本発明の積層体において、例えば、前記位置合わせマーク部の平面形状が、四角形である。
【0023】
本発明の製造方法において、例えば、前記位置合わせマーク部の平面形状が、四角形であり、前記第1基板と第2基板とを位置合わせする移動方向が、直交する2軸方向であり、前記2軸が、それぞれ、四角形の対向する一対の辺と平行である。
【0024】
以下に本発明の位置合わせ機能付き積層体組立キット、積層体、および積層体の製造方法について、図面等を用いて説明する。各図において、同一箇所には同一符号を付す。また、特に記載がない限り、各実施形態の記載は、他の実施形態に援用できる。
【0025】
本発明の積層体組立キットを使用し、または、本発明の製造方法を行えば、本発明の積層体を得ることができる。このため、以下の説明は、例えば、それぞれの発明に援用できる。
【0026】
本発明の積層体組立キットおよび積層体の製造方法は、特に制限されず、2つ以上の基板を位置合わせして積層体を形成する場合に利用できる。そして、本発明を適用できる分野は、特に制限されず、前述のように2つ以上の基板を位置合わせして積層体を形成する場合に、利用できる。具体例としては、他方の基板と対向する対向面に、例えば、パターニング部(パターニングが施された部分)を有する基板同士を積層する場合があげられる。例えば、一方の基板の対向面にのみパターニング部を有する場合よりも、両方の基板が、それぞれ対向面にパターニング部を有し、両方の基板を対向して積層することによって、積層体として、より複雑なパターニングが可能となる。前記パターニングの処理の種類は、特に制限されず、例えば、親水性処理、疎水性処理、導電膜等の回路形成、流路等の凹凸形成等があげられる。この場合、パターニング部は、例えば、機能部ともいう。前記導電膜の形成には、例えば、インクジェット印刷、スクリーン印刷等が利用できる。これらの印刷方法によれば、前記基板の対向面において、高密度なパターン部を形成でき、さらには、パターン部と前記位置合わせマーク部とを同一工程で印刷することもできる。このため、パターン部と前記位置合わせマーク部との位置精度を、向上させることができる。前記パターン部が高密度になる程、前記両基板の位置合わせの精密度が重要になるが、本発明によれば、前述のように容易な位置合わせが可能であるため、高密度なパターン部を有する積層体を製造する際に、本発明は、非常に有用である。
【0027】
<位置合わせ機能付き積層体組立キット>
本発明の積層体組立キットは、前述のように、
積層させる第1基板と第2基板とを含み、
前記第1基板は、
前記第2基板に対する対向面とは反対面に、レンズ部を有し、
前記第2基板は、
少なくとも一方の面に、位置合わせマーク部を有し、
前記第1基板と前記第2基板とは、
設定した積層状態において、前記1基板のレンズ部の焦点位置に、前記第2基板の前記位置合わせマーク部が位置するように、それぞれ、前記レンズ部と、前記位置合わせマーク部とを有し、
前記設定した積層状態における前記レンズ部に結像する前記位置合わせマーク部の像が、前記設定した積層状態であることを示す像である
ことを特徴とする。
【0028】
本発明において、積層させる基板の数は、特に制限されず、例えば、2つ以上、3つ以上である。本発明において、位置合わせの対象となる少なくとも2つの基板を、第1基板および第2基板という。
【0029】
本発明において、前記第1基板は、前記第2基板に対する対向面とは反対面に、レンズ部を有し、前記第2基板は、前記第1基板に対する対向面および前記対向面とは反対面の少なくとも一方に、位置合わせマーク部を有している。前記第1基板のレンズ部と、前記第2基板の位置合わせマーク部との関係を、
図1および
図2を例にあげて説明する。なお、下記説明において、前記レンズ部および前記位置合わせマーク部の大きさおよび形状等は、例示にすぎず、本発明を限定するものではない。
【0030】
図1に、第1基板および第2基板、ならびに、第1基板と第2基板との積層体の概略を示す。
図1において、(A)は、第1基板10および第2基板20の一部を示す上方向から見た平面図であり、具体的には、第1基板10は、第2基板20に対する対向面10Yとは反対面10Xの平面図であり、第2基板20は、第1基板10に対する対向面20Yの平面図である。(B)は、前記(A)の第1基板10をI−I方向から見た断面図、および前記(A)の第2基板20をII−II方向から見た断面図であり、(C)は、第1基板10と第2基板20とを積層した状態を示す、前記(B)と同じ方向の断面図である。
図1に示すように、第1基板10は、上面、すなわち、第2基板20に対する対向面10Yとの反対面10Xに、レンズ部11を有し、第2基板20は、上面、すなわち、第1基板10に対する対向面20Yに、位置合わせマーク部21を有している。本実施形態において、第1基板10は、透明基板であり、レンズ部11は、平面形状が円形であり、表面形状が、上方向に突出する球面であり、第2基板20は、透明基板であり、その位置合わせマーク部21は、黒色の正方形である。なお、
図1は、第2基板20の貫通孔に黒色の四角柱が埋め込まれ、前記四角柱の第2基板20の上面に露出した表面が、位置合わせマーク部21となる形態を示したが、これには制限されない。後述のように、位置合わせマーク部21は、例えば、第2基板20の表面に印刷されたマークでもよい。
【0031】
図2に、第1基板10の対向面10Yと、第2基板20の対向面20Yとを対向するように積層させ、第1基板10のレンズ部11と第2基板20の位置合わせマーク部21とを、平面方向に動かした場合における、レンズ部11に結像する位置合わせマーク部21の像(虚像ともいう)を示す。具体的に、
図2(A)〜(E)において、左図は、第1基板10と第2基板20の積層状態を示す断面図であり、右図は、第1基板10において、レンズ部11に結像する位置合わせマーク部21の像を示す平面図である。
図2(A)に示すように、法線方向(
図2においてZ)からレンズ部11を視認した場合、レンズ部11の焦点位置に、第2基板20の位置合わせマーク部21が位置するため、レンズ部11には、位置合わせマーク部21の形状が拡大された正円形の像30が結像し(投影され)、これが検出できる。
【0032】
しかしながら、
図2(B)に示すように、第2基板20の位置合わせマーク部21の位置が、レンズ部11の焦点位置より、右側にずれると、位置合わせマーク部21の全面を結像できないため、例えば、位置合わせマーク部21の一部のみが拡大された半円の像31が検出される。
図2(C)に示すように、第2基板20の位置合わせマーク部21の位置が、レンズ部11の焦点位置より、さらに右側にずれると、位置合わせマーク部21は検出できない。
図2(D)に示すように、第2基板20の位置合わせマーク部21の位置が、左側にずれると、位置合わせマーク部21の全面を結像できないため、例えば、位置合わせマーク部21の一部のみが拡大された半円の像31が検出される。
図2(E)に示すように、第2基板20の位置合わせマーク部21の位置が、レンズ部11の焦点位置より、さらに左側にずれると、位置合わせマーク部21は検出できない。
【0033】
つまり、第1基板10と第2基板20とは、ある特定の位置関係においてのみ、位置合わせマーク部21が欠けることなく、レンズ部11に結像しているといえる。そこで、本発明の積層体組立キットは、設定した積層状態において、前記第1基板のレンズ部の焦点位置に、前記第2基板の前記位置合わせマーク部が位置するように、前記第1基板にレンズ部を設け、前記第2基板に前記位置合わせマーク部を設けている。そして、前記設定した積層状態における前記レンズ部に結像する前記位置合わせマーク部の像を、前記設定した積層状態であることを示す像とする。これによって、本発明の積層体組立キットは、例えば、前記第1基板と前記第2基板とを対向させ、前記第1基板のレンズ部において、前記設定した積層状態を示す像が確認できた際に、その位置を、設定した積層状態に位置合わせできたと判断することができる。
図1に示す第1基板10と第2基板20の場合を例にすると、第1基板10と第2基板20とを対向させて、両者を平面方向に動かしながら、第1基板10のレンズ部11から像を検出する。そして、
図2(B)〜(E)の場合には、第1基板10および第2基板20を動かし、
図2(A)に示す像が確認された際に、設定した積層状態に位置合わせできたと判断できる。
【0034】
このように、本発明によれば、前記第1基板のレンズ部に結像された、前記第2基板の位置合わせマーク部の像を確認するのみで、容易に、前記第1基板と前記第2基板との位置合わせを行うことができる。本発明によれば、例えば、0.01mm程度の位置合わせも可能になる。
【0035】
本発明において「設定した積層状態」とは、予め設定した、前記第1基板と前記第2基板との積層状態であり、例えば、目的とする機能を奏する積層体となる積層状態である。ここで、具体例として、後述するような、導電パターンと流路パターンとを有する積層体の構築を例にあげて説明する。前記導電パターンと前記流路パターンとを有する構造体を、積層体として構築する場合、まず、前記導電パターンと前記流路パターンとの位置関係が決定され、一方の基板(例えば、第1基板)に前記導電パターンを付与し、他方の基板(例えば、第2基板)に前記流路パターンが付与される。ここで重要なのが、前記第1基板と前記第2基板とを、前記導電パターンと前記流路パターンとが前記決定した位置関係となるように、積層することである。したがって、この具体例においては、予め決定した位置関係となる積層状態が、「設定した積層状態」となる。そして、前記第1基板と前記第2基板とは、前記決定した位置関係となるように積層された場合に、例えば、
図2(A)に示すような像を結像するように、前記レンズ部と、前記位置合わせマーク部とが設けられる。なお、この説明は、一例であって、本発明をなんら制限しない。
【0036】
前記第1基板において、前記レンズ部は、例えば、透明部材から形成されている。前記第1基板は、例えば、前記レンズ部のみが透明部材から形成されてもよいし、全体が透明部材から形成されてもよい。前記透明部材は、例えば、透光性部材であり、樹脂およびガラス等があげられる。前記樹脂は、例えば、ポリカーボネート(PC)、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)等のアクリル系樹脂、シクロオレフィンポリマー(COP)、シクロオレフィンコポリマー(COC)等があげられる。
【0037】
前記第2基板は、特に制限されず、例えば、透明基板でもよいし、それ以外の基板でもよい。本発明は、前記第1基板のレンズ部において、前記第2基板の位置合わせマーク部を検出する際、前記第2基板における前記位置合わせマーク部が、前記第2基板におけるそれ以外の領域と、光学的に区別できればよい。前記第2基板が前記透明基板の場合、その部材は、特に制限されず、例えば、前記第1基板と同様のものがあげられる。また、前記第2基板が、前記透明基板以外の場合、例えば、着色基板があげられる。前記着色基板は、例えば、前記樹脂に着色剤を添加した着色樹脂を用いて成形できる。前記着色剤を添加する樹脂は、例えば、前述と同様である。着色剤は、例えば、例えば、マスターバッチ、ドライカラー等があげられる。
【0038】
前記第2基板における前記位置合わせマーク部の形成方法は、特に制限されず、例えば、インクジェット印刷、スクリーン印刷等により形成できる。また、前述のように、本発明は、前記第1基板のレンズ部に結像する前記位置合わせマーク部の像により、位置合わせを確認できるため、従来のような、例えば、嵌め込み等が不要である。このため、本発明において、前記第2基板は、例えば、従来の方法において取り扱いにおいて必要とされた厚みおよび強度等は、必須ではない。本発明において、前記第2基板の厚みおよび強度は、特に制限されず、例えば、プレート、フィルム、シート等も使用できる。
【0039】
前記第2基板の色と、前記第2基板における位置合わせマーク部の色との組み合わせは、特に制限されず、例えば、区別可能な色の組み合わせであることが好ましい。前記第2基板の色が、例えば、透明または白色の場合、前記位置合わせマーク部の色は、例えば、黒色が好ましい。
【0040】
前記第1基板のレンズ部および前記第2基板の位置合わせマーク部の数は、特に制限されず、それぞれ、例えば、2個以上、3個以上、4個以上である。前記レンズ部と前記位置合わせマーク部とは、位置合わせにおいて対応させるため、同じ個数であることが好ましい。前記レンズ部の数は、例えば、位置合わせする前記第1基板および前記第2基板の形状等によって、適宜決定できる。
【0041】
図3に、前記第1基板のレンズ部および前記第2基板の位置合わせマーク部の個数および位置を例示する。
図3において、位置合わせマーク部22は、第2基板20の対向面20Yにおいて実質的な高さを有さない形態として示す。
図3は、例示であって、例えば、前記レンズ部および前記位置合わせマーク部の個数および位置の他、各部の大きさおよび形状も、何ら本発明を制限しない。
【0042】
図3は、前記第1基板および前記第2基板の例を示す模式図であり、(A)、(B)および(C)は、それぞれ、前記レンズ部および前記位置合わせマーク部の個数が異なり、各図において、左が、前記第2基板の対向面の平面図、右が、前記第1基板の反対面の平面図、真ん中が、前記第1基板の側面図である。
図3(A)は、第1基板10の反対面10Xの4つの角にそれぞれ1個の円形のレンズ部11を有し、第2基板20の対向面20Yの4つの角にそれぞれ1個の正方形の位置合わせマーク部22を有する形態であり、
図3(B)は、第1基板10の反対面10Xの3つの角にそれぞれ1個の円形のレンズ部11を有し、第2基板20の対向面20Yの3つの角にそれぞれ1個の正方形の位置合わせマーク部22を有する形態であり、
図3(C)は、第1基板10の反対面10Xの対向する2つの角にそれぞれ1個の円形のレンズ部11を有し、第2基板20の対向面20Yの対向する2つの角にそれぞれ1個の正方形の位置合わせマーク部22を有する形態である。第1基板10のレンズ部11と、第2基板20の位置合わせマーク部22は、第1基板10と第2基板20とを積層した際に、対向する位置に形成されている。
【0043】
前記第1基板のレンズ部の形状は、特に制限されず、例えば、前記第1基板のレンズ部の形状は、例えば、平面形状が円形のレンズでもよいし、平面方向に延びるシリンドリカルレンズでもよい。前者の場合、
図1および
図2に例示するように、前記レンズ部は、例えば、平面形状が円形であり、表面形状が、球面または非球面である。前記非球面とは、例えば、頂点から外周に向かうにしたがって、連続的または非連続的に曲率が小さくなる(緩やかになる)形状である。後者のシリンドリカルレンズは、例えば、円柱を軸方向に分割した構造であり、前記軸方向に延びる凸部を有し、前記凸部の湾曲した表面がレンズ面となる。
【0044】
図4に、前記第1基板のレンズ部がシリンドリカルレンズである場合の例を示す。
図4は、例示であって、何ら本発明を制限しない。
【0045】
図4は、前記第1基板および前記第2基板の例を示す模式図であり、(A)および(B)は、それぞれ、左が、前記第2基板の対向面の平面図、右が、前記第1基板の反対面の平面図、真ん中が、前記第1基板の側面図である。
図4(A)は、第1基板10の反対面10Xの一方の長辺と一方の短辺に沿って、それぞれ1本のレンズ部13A(シリンドリカルレンズ)を有し、第2基板20の対向面20Yの一方の長辺と一方の短辺に沿って、それぞれ1本の線状の位置合わせマーク部23Aを有する形態であり、
図4(B)は、第1基板10の反対面10Xの一方の長辺から一方の短辺に沿って、連続する1本のレンズ部13B(シリンドリカルレンズ)を有し、第2基板20の対向面20Yの一方の長辺から一方の短辺に沿って、連続する1本の線状の位置合わせマーク部23Bを有する形態である。第1基板10のレンズ部13A、13Bと、第2基板20の位置合わせマーク部23A、23Bは、第1基板10と第2基板20とを積層した際に、対向する位置に形成されている。
【0046】
前記第1基板のレンズ部は、例えば、
図1〜
図3に示すように、一か所当たり、1個のレンズを有してもよいし、一か所当たり、複数のレンズを有してもよい。後者の場合、レンズ部は、例えば、複数のレンズにより構成されるレンズアレイということもできる。前記レンズ部が前記レンズアレイの場合、前記レンズアレイに対応する箇所の前記第2基板の位置合わせマーク部は、例えば、前記レンズアレイを構成する複数のレンズに対応する、複数のマークを有してもよい。
【0047】
図5に、前記第1基板のレンズ部がレンズアレイである場合の例を示す。
図5は、例示であって、何ら本発明を制限しない。
【0048】
図5は、前記第1基板および前記第2基板の例を示す模式図であり、(A)および(B)は、それぞれ、左が、前記第2基板の対向面の平面図、右が、前記第1基板の反対面の平面図、真ん中が、前記第1基板の断面図である。
図5(A)は、第1基板10の反対面10Xの4つの角に、それぞれ、複数のレンズ141からなるレンズ部14(レンズアレイ)を有し、第2基板20の対向面20Yの4つの角に、それぞれ、複数の四角形のマーク241からなる位置合わせマーク部24を有する形態である。
図5(B)は、第1基板10の反対面10Xの3つの角に、それぞれ、複数のレンズ141からなるレンズ部14(レンズアレイ)を有し、第2基板20の対向面20Yの3つの角に、それぞれ、複数の四角形のマーク241からなる位置合わせマーク部24を有する形態である。
【0049】
図5において、第1基板10のレンズ部14は、9個のレンズ141が縦3列、横3列に連続して形成されたレンズアレイである。レンズ部14に含まれるレンズ141の数は、これには制限されず、例えば、2個以上であり、複数のレンズ141は、例えば、各レンズの中心軸が、縦または横において、同じ線状に並ぶように配置されていることが好ましい。同じレンズ部14に含まれる複数のレンズ141は、例えば、同じ形状であることが好ましい。
【0050】
図5において、第2基板20のマーク部24は、9個のマーク241が、縦3列、横3列に、一定間隔で連続して形成されている。マーク部24に含まれるマーク241の数は、これには制限されず、例えば、レンズ部14のレンズ141の数と同様である。同じマーク部24に含まれるマーク241は、例えば、同じ形状であることが好ましい。
【0051】
レンズ部14における各レンズ141間のピッチは、例えば、同じでも、異なってよく、同じであることが好ましい。また、マーク部24における各マーク241間のピッチは、例えば、同じでも異なってもよく、同じであることが好ましい。レンズ部14のレンズ141間のピッチと、マーク部24の各マーク241間のピッチは、例えば、同じでも異なってもよく、さらに、位置精度の向上および位置ずれ量の定量化が可能という観点から、異なっていることが好ましい。
【0052】
前記第2基板の位置合わせマーク部の形状は、特に制限されず、例えば、前記第1基板のレンズ部の形状に応じて、適宜設定できる。前記位置合わせマーク部に含まれるマークの数は、特に制限されず、例えば、1個でもよいし、2個以上でもよい。前記位置合わせマーク部の形状は、例えば、正円、楕円等の円形状、多角形状、線状等があげられ、前記多角形状は、例えば、正方形、長方形等の四角形等があげられる。前記位置合わせマーク部の形状とは、前記位置合わせマーク部を形成するマークの形状を意味し、例えば、マーク1個から前記位置合わせマーク部が形成される場合は、前記位置合わせマーク部そのものの形状であり、複数のマークから前記位置合わせマーク部が形成される場合は、各マークの形状である。なお、複数のマークから形成される前記位置合わせマーク部の全体の形状、つまり、複数のマークを含む外形は、特に制限されない。
【0053】
前記位置合わせマーク部の形状は、例えば、境界部における像が直線となることから、四角形が好ましい。前記境界部における像が直線とは、例えば、前記レンズ部における、結像する虚像の境目の形状が直線であることを意味する。前記第1基板と前記第2基板とを対向させて位置合わせする際、通常、調整用ステージが使用される。前記調整用ステージは、例えば、直交する二軸(X軸、Y軸)方向に可動できるため、平面方向において、前記第1基板および前記第2基板の少なくとも一方を、直交する二軸のいずれかの方向に動かすことで、位置合わせを行うことができる。このため、前記四角形の位置合わせマーク部であれば、例えば、虚像が直線となるため、対向する二対の辺を、可動方向である前記直交する二軸に沿って配置することで、より精度よく簡便な位置合わせが可能になる。
【0054】
前記位置合わせマーク部は、例えば、二次元マークでもよいし、三次元マークでもよい。前記二次元マークとは、例えば、前記第2基板上において、実質的な高さを有さない(例えば、高さが、50μm未満)マークであり、具体的には、例えば、前記第2基板における前記位置合わせマーク部の色によって判別できるマークである。この場合、前記位置合わせマーク部は、例えば、前記第2基板への印刷等により形成できる。前記三次元マークとは、例えば、前記第2基板上において、実質的な高さを有する(例えば、高さが、50μm以上)3次元構造のマークであり、具体的には、例えば、前記第2基板における前記位置合わせマーク部の立体形状によって判別できるマークである。前記立体形状とは、例えば、前記第2基板における凹凸形状、エッジ等である。
【0055】
前記位置合わせマーク部は、例えば、前記第2基板の少なくとも一方の面に配置されていればよい。具体例として、前記位置合わせマーク部は、例えば、前記第2基板において、前記第1基板に対する対向面に配置されてよいし、前記第1基板とは反対面に配置されてもよいし、両面に配置されてもよい。
【0056】
前記位置合わせマーク部を前記第2基板の対向面に配置する場合、前記位置合わせマーク部の位置は、特に制限されず、例えば、前述のようなパターニング部を除く領域に、任意で設定できる。前記第2基板の対向面における前記位置合わせマーク部の割合は、特に制限されない。前記対向面において、前記位置合わせマーク部の総面積の割合は、上限が、例えば、3%以下、1%以下である。前記位置合わせマーク部の平面の面積は、上限が、例えば、0.01mm
2以下、0.0001mm
2以下である。
【0057】
本発明によれば、前記位置合わせマーク部を、結像により前記レンズ部で拡大して観察できるため、前述のように、例えば、前記位置合わせマーク部の総面積の割合が、前記第2基板の全面積の3%以下であっても、高精度に、前記第1基板と前記第2基板とを位置合わせできる。また、本発明によれば、前記位置合わせマーク部の面積を小さくできるため、例えば、前記第2基板上に配置される導電膜等の前記機能部について、配置の自由度を向上できる。
【0058】
前述のように、前記第1基板と前記第2基板と積層する場合、例えば、前記両基板の対向面には、前記パターニング部が形成される。このため、前記第2基板において、前記反対面に前記位置合わせマーク部を形成すれば、例えば、前記対向面の全面について、自由にパターニングを行うことができる。
【0059】
前記位置合わせマーク部を前記第2基板の反対面に配置する場合、前記位置合わせマーク部の位置は、特に制限されず、例えば、前記第2基板の対向面側から、前記位置合わせマーク部が視認できる位置であればよい。前記第2基板の反対面における前記位置合わせマーク部の割合は、特に制限されず、例えば、前述と同様である。
【0060】
本発明は、例えば、さらに、1以上の基板を含んでもよく、具体例として、さらに、レンズ部を有する第3基板、または位置合わせマーク部を有する第3基板を含んでもよい。
【0061】
前記レンズ部を有する第3基板を含む場合、例えば、前記位置合わせマーク部を有する第2基板の両面に、前記レンズ部を有する第1基板と、前記レンズ部を有する第3基板とが、それぞれ積層される形態があげられる。前記第3基板のレンズ部は、例えば、前記第1基板と同様に、前記第2基板の位置合わせマーク部に対応するレンズ部である。前記第2基板は、少なくとも一方の面に前記位置合わせマーク部を有しており、前記第1基板は、前記第2基板とは反対面に、前記レンズ部を有しており、前記第1基板は、その対向面が、前記第2基板のいずれか一方の面に対向するように積層される。前記第2基板は、いずれか一方の面には、前記第1基板が積層されるが、他方の面には、例えば、さらに、その他の基板を積層することができる。このため、さらに、その他の第3基板に、前記レンズ部を配置することによって、前記第2基板に対して、前記第1基板が積層されるのとは反対側の面において、さらに、前記第3基板を積層し、前記第2基板の位置合わせマーク部を利用して、同様に位置合わせを行うことができる。この場合、前記第2基板の同じ前記位置合わせマークを用いて、前記第2基板の両面において、前記レンズ部を有する第1基板、および前記レンズ部を有する第3基板を、それぞれ位置合わせするため、前記第1基板、前記第2基板および前記第3基板は、例えば、透明基板であることが好ましい。
【0062】
前記位置合わせマーク部を有する第3基板を含む場合、例えば、前記第1基板のレンズ部の形成面とは反対面に、前記位置合わせマーク部を有する第2基板と前記第3基板とが、この順序で積層される形態があげられる。この形態において、前記第1基板は、前記第2基板の位置合わせマーク部に対応するレンズ部と、前記第3基板の位置合わせマーク部に対応するレンズ部を有することが好ましい。それぞれのレンズ部は、例えば、それぞれのマーク部に焦点が合うように、レンズの形状およびレンズの厚みを適宜設定できる。そして、前記第2基板と前記第3基板とは、両者を積層した際に、それぞれのマーク部が重ならない箇所に、それぞれ、マーク部を有し、且つ、前記第2基板は、前記第1基板との対向面から、前記第3基板のマーク部が視認可能な基板であることが好ましい。前記第1基板の各レンズ部は、前記第2基板のマーク部および前記第3基板のマーク部に、それぞれ対応するため、前記第2基板および前記第3基板のマーク部に対して、位置合わせすることができる。
【0063】
本発明によれば、このように3つの基板を用いても、精度に優れた位置合わせが可能である。このため、3つの基板のそれぞれの対向面に、機能部を設けることで、例えば、これらを積層した積層体について、より複雑な機能部の設計が可能になる。
【0064】
前記第1基板と前記第2基板とは、前述のように、設定した積層状態において、前記1基板のレンズ部の焦点位置に、前記第2基板の前記位置合わせマーク部が位置するように、それぞれ、前記レンズ部と、前記位置合わせマーク部とを有する。本発明の積層体組立キットは、前記第1基板と前記第2基板とを設定した積層状態に位置合わせすることを容易にするためのキットであり、前記位置合わせが正しく行われた積層状態は、任意に設定できる。そして、前記第1基板のレンズ部の焦点位置は、例えば、前記第1基板の厚み、前記レンズ部の屈折率等により設定でき、また、前記焦点位置に位置する前記第2基板の位置合わせマーク部の位置は、例えば、前記レンズ部から前記位置合わせマーク部までの距離、前記第2基板の厚み等によって、適宜設定できる。
【0065】
<積層体および製造方法>
本発明の積層体は、前述のように、
第1基板と第2基板とを含み、
前記第1基板は、
前記第2基板に対する対向面とは反対面に、レンズ部を有し、
前記第2基板は、
少なくとも一方の面に、位置合わせマーク部を有し、
前記第1基板と前記第2基板とは、
前記第1基板のレンズ部と、前記第2基板の位置合わせマーク部とが対向する位置となるように、積層され、
前記レンズ部に結像する前記第2基板の位置合わせマーク部の像は、前記レンズ部の焦点位置に前記位置合わせマーク部が位置する際の像である
ことを特徴とする。
【0066】
本発明の積層体の製造方法は、前記本発明の位置合わせ機能付き積層体組立キットを使用し、
前記第1基板と前記第2基板とを、前記レンズ部と前記位置合わせマーク部とが対向する位置となるように、対向させ、
前記レンズ部に結像する前記第2基板の位置合わせマーク部の像を、前記レンズ部の焦点位置に前記位置合わせマーク部が位置する際の像とすることで、前記第1基板と前記第2基板とを位置合わせし、
この状態で、前記第1基板と第2基板とを固定する
ことを特徴とする。
【0067】
本発明の積層体は、前記本発明の位置合わせ機能付き積層体キットを用いて、本発明の製造方法により製造することができる。
【0068】
図1および
図2を用いて説明したように、本発明の積層体組立キットは、設定した積層状態において、前記第1基板のレンズ部の焦点位置に、前記第2基板の位置合わせマーク部が位置するように、それぞれ、前記レンズ部と、前記位置合わせマーク部とを有している。そして、前記第1基板のレンズ部の焦点位置に、前記第2基板の位置合わせマーク部が位置する場合の、前記レンズ部に結像する前記位置合わせマーク部の像は、設定した積層状態における正しい像として、予め設定されている。このため、以下のようにすれば、前記第1基板と前記第2基板とを、設定した積層状態に位置合わせして、目的の積層体を得ることができる。すなわち、まず、前記第1基板と前記第2基板とを、前記レンズ部と前記位置合わせマーク部とが対向する位置となるように、対向させる。そして、前記レンズ部に結像する前記第2基板の位置合わせマーク部の像を確認しながら、その像が前記正しい像となるように、前記第1基板および前記第2基板の少なくとも一方を動かす。そして、前記正しい像が確認された時点で、前記第1基板と前記第2基板とが、設定した積層状態に位置合わせされたと判断し、前記第1基板と前記第2基板との積層を固定すればよい。このように、本発明によれば、前記第1基板のレンズ部において前記第2基板の位置合わせマーク部の像を確認するのみで、容易に、設定した積層状態に位置合わせすることができる。
【0069】
以下に、本発明の応用の具体例として、前記パターニング部を有する第1基板および第2基板を、例示する。本発明は、これらの例には制限されない。
【0070】
<実施形態1>
本実施形態は、前記第1基板が、レンズ部と流路とを有し、前記第2基板が、前記位置合わせマーク部と導電膜とを有する形態であり、
図6を用いて説明する。
【0071】
図6(A)は、第1基板10の概略を示す図であり、右が、上面、すなわち、反対面10Xの平面図、真ん中が、下面、すなわち対向面10Yの平面図であり、左が、側面図である。第1基板10は、
図3(A)と同様に、反対面10Xの4つの角に、それぞれ1個のレンズ部11を有する。第1基板10の対向面10Yは、環状の凹部61を有し、長辺の両端で対になる凹部61と連通する凹部62を有する。
図6(A)において、63は貫通孔である。前記積層体の状態において、環状の凹部61で囲まれる領域は、試料の液溜部となり、凹部62は、前記液溜部間を連通する流路となる。
【0072】
第1基板10において、レンズ部11、凹部61および凹部62は、例えば、射出成形等により、同一の加工で一度に形成されることが好ましい。レンズ部11、環状の凹部61、および凹部62を、同一の加工で形成することで、例えば、各部分の位置関係の精度を、より高めることができ、さらに、製造において、追加工程を省くことができ、結果的に工程を簡素化できる。
【0073】
図6(B)は、第2基板20の概略を示す図であり、右が、上面、すなわち、対向面20Yの平面図、左が、側面図である。第2基板20は、
図3(A)と同様に、対向面20Yの4つの角に、それぞれ1個の四角形の位置合わせマーク部22を有する。第2基板20は、さらに、長辺の両端から内方向に延び、内方向の先端が円形の導電膜64を有する。導電膜64の円形の先端は、前記積層体の状態において、前記液溜部に位置するように、第2基板20の対向面20Yに配置されている。
【0074】
第2基板20において、位置合わせマーク部22および導電膜64は、例えば、印刷等により、同一工程で一度に形成されることが好ましい。位置合わせマーク部22および導電膜64を、同一工程で形成することで、例えば、各部分の位置関係の精度を、より高めることができ、さらに、製造において、追加工程を省くことができ、結果的に工程を簡素化できる。
【0075】
図6(C)は、第1基板10と第2基板20とを積層した積層体の概略を示す図である。
図6(C)は、第1基板10および第2基板20が透明基板である例であり、左が、前記積層体を、第1基板10の反対面10X側から見た上面図であり、右が、前記積層体を、第2基板20の反対面20X側から見た下面図である。
図6(C)の上面図において、第1基板10のレンズ部11には、それぞれ、第2基板20の位置合わせマーク部22の虚像30が現れている状態を黒丸で示す。
【0076】
第1基板10および第2基板20の設定した積層状態は、導電膜64の円形の先端と、凹部61で囲まれる前記液溜部とが、重なる状態である。そして、この状態において、第2基板20の位置合わせマーク部22が、第1基板10のレンズ部11の焦点位置に位置するよう、レンズ部11と位置合わせマーク部22とが、それぞれ、第1基板10と第2基板20に形成されている。このため、第1基板10と第2基板20とを対向させ、第1基板10のレンズ部11に結像した像が、例えば、
図2(A)に示すような像30となった時点で、第1基板10と第2基板20とが、所定の積層状態に位置合わせされたことになる。すなわち、所定の積層状態に位置合わせができると、
図6(C)の左図に示すように、第1基板10の反対面10Yにおける4つのレンズ部11において、正しい像30が確認できる。この状態において、導電膜64の円形の先端は、それぞれ、凹部61で囲まれる前記液溜部に重なっている。
【0077】
また、第1基板10は、その短手方向の長さが、第2基板20の短手方向の長さより短い。このため、
図6(C)の左図に示すように、積層した状態において、第2基板20の導電膜64の他端(前記円形の先端の反対側)が露出し、導電膜64の他端に、外部からの導線を接続できる。
【0078】
<実施形態2>
本実施形態は、前記第1基板が、レンズ部と分岐流路とを有し、前記第2基板が、前記位置合わせマーク部と導電膜とを有する形態であり、
図7を用いて説明する。
【0079】
図7(A)は、第1基板10の概略を示す図であり、右が、上面、すなわち、反対面10Xの平面図、真ん中が、下面、すなわち対向面10Yの平面図であり、左が、側面図である。第1基板10は、前記実施形態1と同様に、レンズ部11を有する。第1基板10は、円形の凹部71a、71b、71cを有し、これらと連通する分岐する凹部72を有する。前記積層体の状態において、円形の凹部71a、71b、71cで囲まれる領域は、試料の液溜部となり、凹部72は、前記液溜部間を連通する分岐の流路となる。
【0080】
第1基板10において、レンズ部11、ならびに円形の凹部71a、71b、および71cは、前記実施形態1と同様、同一の加工で形成されることが好ましい。
【0081】
図7(B)は、第2基板20の概略を示す図であり、右が、上面、すなわち、対向面20Yの平面図、左が、側面図である。第2基板20は、前記実施形態1と同様の位置合わせマーク部22を有する。第2基板20は、さらに、短辺の両端から内方向に延び、内方向の先端が円形の導電膜74a、74b、74cを有する。導電膜74a、74b、74cの円形の先端は、前記積層体の状態において、それぞれ、対応する前記液溜部に位置するように配置されている。
【0082】
第2基板20において、位置合わせマーク部22、ならびに円形の導電膜74a、74b、および74cは、前記実施形態1と同様、同一工程で形成されることが好ましい。
【0083】
図7(C)は、第1基板10と第2基板20とを積層した積層体の概略を示す図である。
図7(C)は、第1基板10および第2基板20が透明基板である例であり、左が、前記積層体を、第1基板10の反対面10X側から見た上面図であり、右が、前記積層体を、第2基板20の反対面20X側から見た下面図である。
図7(C)の上面図において、第1基板10のレンズ部11には、それぞれ、第2基板20の位置合わせマーク部22の虚像30が現れている状態を黒丸で示す。位置合わせに関しては、前記実施形態1と同様である。
【0084】
<実施形態3>
本実施形態は、前記第1基板が、レンズ部と流路と欠失部とを有し、前記第2基板が、前記位置合わせマーク部と導電膜とを有する形態であり、
図8を用いて説明する。
【0085】
図8(A)は、第1基板10の概略を示す図であり、右が、上面、すなわち、反対面10Xの平面図、真ん中が、下面、すなわち対向面10Yの平面図であり、左が、側面図である。第1基板10は、前記実施形態1と同様に、レンズ部11を有する。第1基板10は、円形の凹部81a、81bを有し、これらと連通する蛇行凹部82を有する。前記積層体の状態において、円形の凹部81a、81bで囲まれる領域は、試料の液溜部となり、凹部82は、前記液溜部間を連通する流路となる。また、第1基板10は、短辺の両端の対角の位置に、欠失部83を有する。欠失部83は、第1基板10を第2基板20に積層する際、第1基板10の裏表の目印となる。
【0086】
第1基板10において、レンズ部11、ならびに円形の凹部81a、および81bは、前記実施形態1と同様、同一の加工で形成されることが好ましい。
【0087】
図8(B)は、第2基板20の概略を示す図であり、右が、上面、すなわち、対向面20Yの平面図、左が、側面図である。第2基板20は、前記実施形態1と同様の位置合わせマーク部22を有する。第2基板20は、さらに、短辺の両端から内方向に延び、内方向の先端が円形の導電膜84a、84bを有する。導電膜84a、84bの円形の先端は、前記積層体の状態において、それぞれ、対応する前記液溜部に位置するように配置されている。
【0088】
第2基板20において、位置合わせマーク部22、ならびに円形の導電膜84a、および84bは、前記実施形態1と同様、同一工程で形成されることが好ましい。
【0089】
図8(C)は、第1基板10と第2基板20とを積層した積層体の概略を示す図である。
図8(C)は、第1基板10および第2基板20が透明基板である例であり、左が、前記積層体を、第1基板10の反対面10X側から見た上面図であり、右が、前記積層体を、第2基板20の反対面20X側から見た下面図である。
図8(C)の上面図において、第1基板10のレンズ部11には、それぞれ、第2基板20の位置合わせマーク部22の虚像30が現れている状態を黒丸で示す。位置合わせに関しては、前記実施形態1と同様である。
【0090】
また、第1基板10は、欠失部83を有するため、
図8(C)の左図に示すように、積層した状態において、第2基板20の導電膜84の他端(前記円形の先端の反対側)が露出し、導電膜84の他端に、外部からの導線を接続することができる。
【0091】
<実施形態4>
本実施形態は、前記第1基板が、レンズ部と流路とを有し、前記第2基板が、前記位置合わせマーク部と導電膜とを有する形態であり、
図9を用いて説明する。
【0092】
図9(A)は、第1基板10の概略を示す図であり、
図7(A)と同じ、第1基板10である。
図9(A)において、右が、上面、すなわち、反対面10Xの平面図、真ん中が、下面、すなわち対向面10Yの平面図であり、左が、側面図である。
【0093】
図9(B)は、第2基板20の概略を示す図であり、右が、上面、すなわち、対向面20Yの平面図、左が、側面図である。第2基板20は、前記実施形態1と同様の位置合わせマーク部22を有する。第2基板20は、さらに、短辺の両端から内方向に延びる、複数の導電膜94a、94b、94c、94dを有する。前記積層体の状態において、導電膜94aは、凹部71aで囲まれる領域の外周に位置し、導電膜94b、94c、94dは、それぞれ、凹部72により形成される分岐流路の分岐の周囲であり、且つ、前記流路内部には接触しない位置となるように配置されている。
【0094】
第2基板20において、位置合わせマーク部22、ならびに導電膜94a、94b、94c、および94dは、前記実施形態1と同様、同一工程で形成されることが好ましい。
【0095】
図9(C)は、第1基板10と第2基板20とを積層した積層体の概略を示す図である。
図9(C)は、第1基板10および第2基板20が透明基板である例であり、左が、前記積層体を、第1基板10の反対面10X側から見た上面図であり、右が、前記積層体を、第2基板20の反対面20X側から見た下面図である。
図9(C)の上面図において、第1基板10のレンズ部11には、それぞれ、第2基板20の位置合わせマーク部22の虚像30が現れている状態を黒丸で示す。位置合わせに関しては、前記実施形態1と同様である。
【0096】
<実施形態5>
本実施形態は、前記第1基板が、レンズ部と流路と欠失部とを有し、前記第2基板が、前記位置合わせマーク部と導電膜とを有する形態であり、
図10を用いて説明する。
【0097】
図10(A)は、第1基板10の概略を示す図であり、
図8(A)と同じ、第1基板10である。
図10(A)において、右が、上面、すなわち、反対面10Xの平面図、真ん中が、下面、すなわち対向面10Yの平面図であり、左が、側面図である。
【0098】
図10(B)は、第2基板20の概略を示す図であり、右が、上面、すなわち、対向面20Yの平面図、左が、側面図である。第2基板20は、前記実施形態1と同様の位置合わせマーク部22を有する。第2基板20は、さらに、複数の導電膜104a、104b、104c、104dを有する。前記積層体の状態において、導電膜104a、104cは、それぞれ、凹部81a、81bで囲まれる領域の外周に位置し、導電膜104b、104dは、それぞれ、凹部82により形成される流路内部には接触しない位置となるように配置されている。
【0099】
第2基板20において、位置合わせマーク部22、ならびに導電膜104a、104b、104c、および104dは、前記実施形態1と同様、同一工程で形成されることが好ましい。
【0100】
図10(C)は、第1基板10と第2基板20とを積層した積層体の概略を示す図である。
図10(C)は、第1基板10および第2基板20が透明基板である例であり、左が、前記積層体を、第1基板10の反対面10X側から見た上面図であり、右が、前記積層体を、第2基板20の反対面20X側から見た下面図である。
図10(C)の上面図において、第1基板10のレンズ部11には、それぞれ、第2基板20の位置合わせマーク部22の虚像30が現れている状態を黒丸で示す。位置合わせに関しては、前記実施形態1と同様である。
【0101】
また、第1基板10は、欠失部83を有するため、
図10(C)の左図に示すように、積層した状態において、第2基板20の導電膜104の一部が露出し、導電膜104の一部に、外部からの導線を接続することができる。
【0102】
<実施形態6>
本実施形態は、前記積層体組立キットが、さらに、前記レンズ部を有する第3基板を含む形態であり、
図11を用いて説明する。
【0103】
図11(A)は、レンズ部11を有する基板10の概略を示す図であり、右が、上面、すなわち、反対面10Xの平面図であり、左が、側面図である。基板10は、前述した
図3(A)における第1基板10と同じ構造である。本実施形態においては、レンズ部11を有する2つの基板10を、レンズ部11を有する第1基板および第3基板として使用する。以下の説明においては、便宜上、第1基板を10A、第3基板を10Bとする。
【0104】
図11(B)は、第2基板20の概略を示す図であり、右が、上面、すなわち、対向面20Yの平面図、左が、側面図である。第2基板20は、前述した
図3(A)における第2基板20であり、位置合わせマーク部22を有する。
【0105】
図11(C)は、2つの基板10(第1基板10A、第3基板10B)と第2基板20とを積層した積層体の概略を示す図であり、前記積層体の側面図である。
【0106】
本実施形態において、第1基板10Aおよび第3基板10Aは、それぞれ、第2基板20の位置合わせマーク部22に対応する位置に、レンズ部11を有している。そして、第2基板20の一方の面に、位置合わせマーク部22を用いて、対向面10Yが対向するように、第1基板10Aが配置され、第2基板20の他方の面に、位置合わせマーク部22を用いて、対向面10Yが対向するように、第3基板10Bが配置される。この際、第2基板20の位置合わせマーク部22に対して、第1基板10Aのレンズ部11および第3基板10Bのレンズ部11が、それぞれ、位置合わせされる。
【0107】
本実施形態において、第2基板20の位置合わせマーク22は、例えば、いずれか一方の面に形成されてもよいし、両方の面に形成されてもよい。
【0108】
前者の場合、例えば、第2基板20が、第1基板10Aとの対向面20Yに位置合わせマーク部22が形成された形態があげられる。位置合わせマーク部22は、第1基板10Aとの対向面20Yに形成されていても、第3基板10Bとの対向面側においても、第3基板10Bに対する位置合わせマーク部22として機能する必要がある。この場合、第2基板20を、例えば、透明基板とすることで、第3基板10B側においても、第1基板10A側の位置合わせマーク部22を確認でき、位置合わせが可能である。なお、第2基板20が、第3基板10Bとの対向面に位置合わせマーク部22を有する場合も同様である。
【0109】
後者としては、例えば、第2基板20の両方の面に、それぞれ別個に位置合わせマーク22が形成される形態と、第2基板20が貫通孔を有し、前記貫通孔内に柱状体が配置され、前記柱状体の両端の露出面が、位置合わせマーク部22となる形態があげられる。第1基板10Aおよび第3基板10Bのそれぞれについて、レンズ部11の焦点位置に、第2基板20の位置合わせマーク22を位置させる場合、例えば、設定がより容易であることから、第2基板20の両面に位置合わせマーク部22が形成されていることが好ましい。
【0110】
本実施形態によれば、このように3つの基板を用いても、精度に優れた位置合わせが可能である。このため、3つの基板のそれぞれの対向面に、前記導電膜等の機能部を設けることで、例えば、これらを積層した積層体について、より複雑な機能部の設計が可能になる。
【0111】
<実施形態7>
本実施形態は、前記積層体組立キットが、さらに、前記位置合わせマーク部を有する第3基板を含む形態であり、
図12を用いて説明する。
【0112】
図12(A)は、レンズ部14を有する第1基板10の概略を示す図であり、右が、上面、すなわち、反対面10Xの平面図であり、左が、側面図である。第1基板10は、反対面10Xの4つの角に、それぞれ、レンズ部14を有し、レンズ部14は、長手方向に連続して2個のレンズ141、142を有する。
【0113】
図12(B)は、第2基板20の概略を示す図であり、右が、上面、すなわち、対向面20Yの平面図、左が、側面図である。第2基板20は、前述した
図3(A)における第2基板20であり、位置合わせマーク部22を有する。なお、
図12(B)の側面図において、第2基板20の位置合わせマーク部22は、その位置を示すために、厚みを有する位置合わせマーク部22を示しているが、この厚みは、後述する積層において、第1基板10との積層を妨げるものではない。
【0114】
図12(C)は、第3基板40の概略を示す図であり、右が、上面、すなわち、対向面40Yの平面図、左が、側面図である。第3基板40は、位置合わせマーク部42の位置が、第2基板20と積層した際に、その位置合わせマーク部22と重ならない箇所である以外は、第2基板20と同様である。なお、
図12(C)の側面図において、第3基板40の位置合わせマーク部42は、その位置を示すために、厚みを有する位置合わせマーク部42を示しているが、この厚みは、後述する積層において、第2基板20との積層を妨げるものではない。
【0115】
図12(D)は、第1基板10と第2基板20と第3基板40とを積層した積層体の概略を示す図であり、右が、下面、すなわち、前記積層体における第1基板10の反対面10Xの平面図であり、左が、前記積層体の側面図である。
図12(D)の平面図において、第1基板10のレンズ部14におけるレンズ141、142には、それぞれ、第3基板40の位置合わせマーク部42および第2基板20の位置合わせマーク部22の虚像が現れている状態を黒丸で示す。なお、
図12(D)の側面図において、第2基板20の位置合わせマーク部22および第3基板40の位置合わせマーク部42は、
図12(B)および(C)と同様に、厚みをもたせて示しているが、これらは、位置関係を明記するものであり、接する第1基板10または第2基板20への埋没を示すものではない。
【0116】
本実施形態において、第2基板20および第3基板40は、両者を積層した場合に、異なる位置となるように、それぞれ位置合わせマーク部22、42を有し、他方、第1基板10は、第2基板20および第3基板40と積層した際に、それぞれの位置合わせマーク部22、42に対応するように、2個のレンズ141、142とを含むレンズ部14を有している。そして、まず、第2基板20の位置合わせマーク部22と第1基板10のレンズ部14の一方のレンズ142とを用いて、第2基板20に、対向面10Yが対向するように第1基板10が配置される。つぎに、第3基板40の位置合わせマーク部42と第1基板10のレンズ部14の他方のレンズ141とを用いて、第3基板40に、第2基板20を介して、第1基板10が配置される。
【0117】
本実施形態によれば、このように3つの基板を用いても、精度に優れた位置合わせが可能である。このため、3つの基板のそれぞれの対向面に、前記導電膜等の機能部を設けることで、例えば、これらを積層した積層体について、より複雑な機能部の設計が可能になる。
【0118】
前記各実施形態に示すように、本発明によれば、例えば、前記第1基板の対向面および前記第2基板の対向面のそれぞれに、前記導電膜および前記凹部等のパターン部を複雑に形成した場合でも、前記第1基板のレンズ部において、前記第2基板の位置合わせマーク部の像を確認するのみで、容易に前記第1基板と前記第2基板との位置合わせを行うことができる。前記実施形態のように、例えば、前記第1基板および前記第2基板の少なくとも一方に、導電膜および凹部等のパターン部が高密度に配置されている場合、本発明は、容易な位置合わせが可能であることから、特に有用である。また、前記第2基板の位置合わせマーク部は、前記第1基板のレンズ部において、結像した像として検出することから、前記位置合わせマーク部は、例えば、非常に小さいマークでもよい。このため、前述のように、前記第2基板の対向面に前記位置合わせマーク部を配置する場合は、例えば、高密度に前記パターン部が配置されていても、前記パターン部の無い箇所に、容易に配置することができる。また、前記第2基板の反対面に前記位置合わせマーク部を配置する場合は、例えば、前記対向面の全面を、前記パターン部の形成に利用でき、他方、前記反対面の任意の部位に、前記位置合わせマーク部を配置することができる。
【0119】
また、本発明は、例えば、前記第1基板において、前記レンズ部と前記凹部を同一の加工で形成すること、および、前記第2基板において、前記位置合わせマーク部と前記導電膜を同一工程で形成することで、各部分の位置関係の精度をより高めることができる。そして、これにより、追加工程を省くことができ、結果的に、工程を簡素化できる。
【0120】
本発明は、さらに、前記第2基板において、前記位置合わせマークを対向面とは反対の面に配置することもできる。これにより、前記第2基板の対向面の全面を、前記機能部として使用することもできる。
【0121】
以上、実施形態を参照して本願発明を説明したが、本願発明は、上記実施形態に限定されるものではない。本願発明の構成や詳細には、本願発明のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。