(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記供給源は、ブラッグ反射型レーザ、分布型ブラッグ・フィードバック・レーザ、利得スイッチ分布型ブラッグ反射型レーザ、外部共振器レーザ、モードロックレーザ、Qスイッチレーザ、またはそれらの組み合わせである、請求項1に記載のシステム。
トリガ信号を生成するように構成されたトリガ源をさらに備え、前記供給源は、前記トリガ信号に対する送信の時間を合わせるように構成され、または前記トリガ源が、前記供給源からの前記送信に対する前記トリガ信号の時間を合わせるように構成されている、請求項1に記載のシステム。
前記検出器は、単一光子アバランシェフォトダイオード検出器、光電子増倍管、Si、Ge、InGaAs、PbS、PbSeまたはHgCdTeフォトダイオードまたはPINフォトダイオード、フォトトランジスタ、MSM光検出器、CCDおよびCMOS検出器アレイ、シリコン光電子増倍管、マルチピクセル光子計数器、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1に記載のシステム。
前記供給源を標的媒体に接続するように構成された、または前記標的媒体を前記検出器に接続するように構成された1つまたは複数の導波路をさらに備える、請求項1に記載のシステム。
前記シード光源は、連続波シード光源であり、前記増幅器はパルス増幅器であり、ステップa)の伝送することは、前記連続波シード光源からの連続波シード光を前記パルス増幅器にシードすることを含む、請求項28に記載のシステムの作動方法。
ステップa)で伝送された前記第1の光パルスの前記パルス長は、前記パルスシード光源と前記パルス増幅器との間のパルスのタイミングを変化させることによって決定される、請求項31に記載のシステムの作動方法。
ステップb)の前記受け取ることは、ステップa)の前記第1の光パルスを前記伝送することと少なくとも部分的に一致するように選択された初期の期間中に前記ゲート検出器を停止させ、後続の期間に前記ゲート検出器を起動することを伴う、請求項36に記載のシステムの作動方法。
ステップc)の前記決定することは、前記複数の光子の前記少なくとも一部のサブセットを、所定の範囲内にある前記サブセットの前記飛行時間タグに基づいて、選択し、前記サブセットの前記タイミング情報および前記光学的相関情報に基づいて決定することを含む、請求項38に記載のシステムの作動方法。
距離に換算された前記所定の範囲の最大値から距離に換算された前記所定の範囲の最小値を引くと、前記供給源から放出される光のコヒーレンス長の2倍以下になる、請求項39に記載のシステムの作動方法。
ステップc)の前記決定することは、前記複数の光子の前記少なくとも一部の第2のサブセットを、第2の所定の範囲内にある前記第2のサブセットの前記飛行時間タグに基づいて、選択し、前記第2のサブセットの前記タイミング情報および前記光学的相関情報に基づいて決定することを含む、請求項39に記載の方法。
ステップa)において、前記標的媒体に第2の検出器が接続されており、前記第2の検出器が前記検出器よりも、前記供給源から異なる距離に配置され、ステップb)は、前記第2の検出器において前記複数の光子の少なくとも第2の部分を受け取り、それにより、前記複数の光子の前記少なくとも第2の部分についての、第2のタイミング情報および第2の光学的相関情報を含む第2の検出器信号を生成することをさらに含み、ステップc)の前記決定することが、前記第2のタイミング情報と前記第2の光学的相関情報とを使用する、請求項25に記載のシステムの作動方法。
a1)前記供給源または1ps〜10nsのパルス長を有する第2の光パルスを放出するように構成されかつ前記標的媒体に接続された第2の供給源から前記標的媒体に、第2の複数の光子を含む第2の光パルスを伝送すること、
b1)前記標的媒体を通過した後、前記検出器または前記標的媒体に接続された第2の検出器で前記第2の複数の光子の少なくとも一部を受け取り、それによって前記第2の複数の光子の前記少なくとも一部についての、第2のタイミング情報および第2の光学的相関情報を含む第2の検出器信号を生成すること、をさらに含み、
ステップc)の前記決定することが、前記第2のタイミング情報と前記第2の光学的相関情報とを使用する、請求項25に記載のシステムの作動方法。
ステップc)の前記決定することに先立って、所定のゲーティングタイムウィンドウ内の前記複数の光子の前記少なくとも一部のゲートされたサブセットについての前記タイミング情報および前記光学的相関情報を含み、前記ゲートされたサブセット外の前記複数の光子の前記少なくとも一部の前記タイミング情報および前記光学的相関情報を除外する、前記検出器信号をゲートすること
をさらに含む、請求項25に記載のシステムの作動方法。
第2の所定のゲーティングタイムウィンドウ内の前記複数の光子の前記少なくとも一部の異なるゲートされたサブセットについて、前記ゲートすること、ステップc)の前記決定すること、およびステップd)の前記生成することを繰り返すことをさらに含む、請求項66に記載のシステムの作動方法。
【背景技術】
【0004】
臓器による酸素の送達および消費の生理学的モニタリングは、健康管理、リハビリテーション、パフォーマンスのモニタリングおよび運動訓練を含むが、これらに限定されない多くの用途で、非常に重要である。例えば、脳のモニタリングは、脳損傷を患う患者、脳の損傷のリスクがある患者、および脳の酸素供給を変化させる定期的な全身麻酔および外科手術が行われる患者の管理を著しく改善する。近赤外線分光法(NIRS)は、血流(BF)と酸素供給の代理として組織の酸素添加(SO
2)をモニタするために、20年以上使用されてきた。NIRSオキシメーターはSO
2と動脈血圧との間での有意な相関を示しているが、酸素添加は血流または代謝と同じではない。SO
2とBFの関係は、酸素の消費(すなわち、酸素の代謝速度、MRO
2)、動脈の酸素添加(SaO
2)、血液中のヘモグロビン(HGB)、および動脈と静脈の区画の相対的なボリュームの変化によって影響される。したがって、組織の血流を単独で測定するか、酸素添加の測定と組み合わせて測定することが、非常に望ましい。さらに、これらの測定は、集中治療中または現場でのモニタリングなどの用途を可能にするために、断続的または連続的になされることが所望である。これらの測定が非侵襲的に行われることはまた、極めて望ましい。例えば、皮膚、筋肉、および/または骨の上層からの影響を最小限に抑えて、または低侵襲性で、例えば腹腔鏡または内視鏡を用い、内臓器官の血流、または血流と酸素添加を測定するための、体外にある機器のプローブを用いることが挙げられる。
【0005】
血流を定量的に測定するための複合的な方法は周知であるが、大部分は侵襲的および/または非連続的である。ヒトの脳血流を測定する現代の技術には、X線撮影クリアランス法、核磁気共鳴画像法(MRI)スピンラベリング、経頭蓋超音波ドプラ(TCD)、熱拡散、およびレーザドプラ血流計(LDF)が含まれる。X線撮影クリアランス法は最も古い技術であり、概して、放射性同位体のトレーサをウォッシュアウトする速度を測定することを伴う。X線撮影法は、脳の深部構造を含む脳全体の絶対的な局所の血流を定量的に測定するという利点を有する。しかし、それらは放射線を必要とし、高価で遅いという欠点を有し、また連続的に行うことも、ベッドサイドや現場で行うこともできない。MRI血液スピンラベリング(ASL)は脳全体の局所的な血流を測定するための別の非侵襲的な方法である。しかし、この方法は正確性および精度が乏しく、定量化が困難であり、測定可能な流速のダイナミックレンジが、スピンラベルの寿命によって制限される。X線撮影法と同様に、ASLはベッドサイドや現場で展開することができない。経頭蓋超音波ドプラは、大型の脳動脈における脳血流の速度を、全体的な脳血流の代用として測定する。TCDは非侵襲的であるが、微小循環の局所的な基準を提供することができず、血管の内径の変化により乱れが起こる。TCDはまた、適切に使用するには深い専門知識が必要であり、超音波プローブを、超音波を照射する脳動脈と適切な向きにして維持しなければならないので、長期間にわたって連続的に適用することは困難である。また、TCDは脳の臨床的に重要な前部領域に血液を供給する前大脳動脈の流速を測定することが困難である。最後に、正常な解剖学的な差異があることに起因して、対象の約15%は頭蓋骨の厚さがあまりにも厚く、TCDによる血流測定を許容しない。
【0006】
最も臨床的に利用されている血流の侵襲的測定は、熱拡散およびレーザドプラ血流計である。熱拡散は、プローブの周囲に局在する小さな領域の絶対的な血流を測定する。脳血流を測定するためには、熱拡散プローブを数センチメートル、脳内に挿入しなければならない。LDFも同様に侵襲的であり、頭蓋骨に穴を開けることや、脳自体の表面に直接プローブを設置することが必要である。LDF検出体積が少ない(〜1mm
3)ので、LDFの流れの値は非常に可変であり、値はプローブの下にある局所的な血管の解剖学的構造のわずかな差異に依存し、対象の組織の微小循環を必ずしも表していない。LDFは、絶対的な流れに対して較正されないというさらなる欠点を有する。熱拡散とLDFは、連続的な測定を行うことができるが、これらの技術の侵襲性により、重度に病む患者へ適用することが明らかに制限されている。
【0007】
昨今、組織を通過する際にNIRS光を乱す超音波を用いて、非侵襲的に血流を測定する、新しい技術が開発された。しかし、このアプローチの物理的原理は、本開示の手法とは根本的に異なる。
【0008】
光学的方法は、流体の流れを測定することから周知であり、特にレーザドプラ血流計および拡散相関分光法(DCS)が挙げられる。しかし、これらの方法は両方共、流れが測定される対象または検体の光学的特性(光学的吸収および散乱係数など)を事前に知っていること、または独立した手段により対象の光学的特性を実際に測定することのいずれかに依存する。これはいくつかの理由で不利である。対象の光学的特性が複数の試料または代表の試料から得た測定値の平均から単に仮定または取得される場合、対象の実際の光学的特性と分析で仮定された値との間の相違が、流れの決定においてより不正確になるに至る。結果として得られる対象間での可変性によって、異なる対象間で流れを比較することがより困難になっている。対象の実際の光学的特性は、他の手段によって測定することができるが、これにより、流れの決定のコストおよび複雑さが増す。さらに、検体の光学的特性が時間と共に変化し、対象の光学的特性が流れと同時にまたはほぼ同時に測定されない場合、流れの分析は不正確になり、対象内の変動性が増大する。したがって、対象の実際の光学的特性を、流れと同時に、またはほぼ同時に測定することが非常に望ましい。
【0009】
典型的には、レーザドプラ血流計では、長いコヒーレンス長の光の供給源が検体を照射し、後方散乱された光が、照明を試料に向ける場所のすぐ近くの場所から測定される。例えば、一般的なLDF構成では、対象に光を伝送するマルチモーダルな光ファイバ、および供給源のファイバから約0.25mmだけ横方向に移動させて、供給源から組織を透過した光を受け取る第2のマルチモードファイバを使用する。他の構成は、自由空間、または単一モード光ファイバ、または光ファイバと自由空間との組み合わせを利用する。光を供給し、検出する手段にかかわらず、光源と検出器が近接していることは、検出器の光束を増加させるという利点がある。散乱された光の強度が、照明源からの距離によりほぼ指数関数的に減少するからである。したがって、LFDでは、比較的多量の光が検出され、アナログの検出スキームが典型的に採用される。検体において移動している粒子からの光の散乱により、流れに依存するドプラは散乱光に対して広がりが生じ、その量を様々な手段により決定することができる。原理上、散乱光の光学スペクトルを直接測定することができたのである。実際には、より一般的には、検出される強度の変動を測定し、次いで時間的なパワースペクトルまたは自己相関を、ダイナミックな散乱を定量化すべく、計算することができる。典型的には、LDFは単一または少数の散乱レジームで実現され、流れを定量化するために、単純なモーメント分析が用いられることが多い。
【0010】
拡散相関分光法は、LDFと関連性のある光学的な流れの測定技術であるが、DCSは深部組織の測定を可能にするために多重散乱レジームで実現されるという主な違いがある。DCSでは、供給源と検出器との隔たりは、通常、LDFで使用される隔たりの100倍までになる。組織内に至る測定の感度の深さは、おおよそ供給源と検出器が隔たる距離の半分程度であるため、成人の脳血流の非侵襲性経頭蓋測定には通常3cmの隔たりが適切である。したがって、DCSは脳灌流の非侵襲的測定が可能なため、DCSはLDFよりも改善されている。しかし、NIRSの場合と同様に、この改善は、測定されたDCS信号の大部分が、組織の表面層の介在から生じており、対象の組織からではないという欠点が伴う。大脳の測定では、頭皮がDCS信号に与える影響は、生理学的な流量が大いに異なるため、NIRS信号の影響よりも小さい。流れの差がDCS信号にプラスの影響を与えるにもかかわらず、従来技術では、成人の経頭蓋DCS信号の大部分は、脳ではなく頭皮に由来している。本発明の1つの態様は、対象の組織に対する流れの測定の感度を特に改善する。
【0011】
DCSのもう1つの利点は、より多い量に対し感応性があることで、対象の組織領域にわたるより大きな空間での平均化がもたらされ、LDFに対して流れの測定の頑強性が改善されることである。DCSの欠点は、隔たりがより大きいことで、組織を通る光の損失が増大し、また光の干渉領域が小さいことにより、DCS信号の適切なコントラストのための小さな開口がある検出器が必要となるということである。正味の結果は、相対的に低次な光子束の検出であり、より高価な検出器および典型的には光子の計測が必要となる。その結果、より低次の信号を得ることになり、等しい信号対雑音比を達成するために、より多くの供給源の出力および/または平均化(時間および/または複数の検出器のいずれか)が、必要とされる。
【0012】
DCSは多重散乱レジームで実行されるので、流れの定量化は通常、検出された強度の強度時間相関関数から、血流インデックス(BFi)を決定することによって実行される。値を対象毎に正確に比較できるように、例えば臨床的介入のために規範的な血流レベルが定義でき、閾値が確立できるように、BFiを絶対的に定量化することが非常に望ましい。流れの正確な決定または推定を行うためには、吟味される組織の散乱係数を決定または仮定しなければならない。流れの推定値の誤差は、散乱係数の誤差に比例することが周知である。さらに、流れの推定値の誤差はまた、吸収係数の誤差に比例する。
【0013】
時間分解NIRS(TR−NIRSまたは時間分解分光法、TRS)は、濁った媒体および組織の光学的特性を測定するための技術の一系統である。TR−NIRS技術は、時間ドメイン(TD)に基づくものと周波数ドメイン(FD)に基づくものにさらに細分される。TR−NIRS技術は、パルス光源が吟味される媒体を通る光子の飛行時間よりも速いパルス幅であるという一般的な要件を有するか、変調される光が、媒体を通過する間に生じる適切な位相シフトにとって十分な周波数で、変調される。一般に、TD−NIRSでは、組織を通る光子の飛行時間が測定され、時間的な点広がり関数(TPSF)として様々に言及される得られたヒストグラムが、吸収(μ
a)および/または散乱(μ
s’)係数、または等価物について分析される。一般に、FD−NIRSでは、AC強度、DC強度、および位相シフトの様々な組み合わせを測定し、μ
aおよび/またはμ
s’または等価物について分析する。例えば、パルスレーザ源の高調波成分がFD測定に使用される場合、またはTPSFがフーリエ変換されて周波数ドメインで解析される場合、TDおよびFDの系統が、測定技術、分析技術、またはその両方において重なり合う可能性があることは周知である。TD技術およびFD技術の両方は、アナログまたはデジタルの測定および/または分析ドメインまたはその中の任意の組み合わせで実行されることが周知である。
【0014】
連続波NIRS(CW−NIRS)は、連続または準連続の光源を使用して吸光度の変化を測定する技術の系統である。CW技術の目的では、準連続光源は、ほぼ一定の強度を有するか、吟味される媒体を通る光子の飛行時間よりも遅い変調期間またはパルス幅で変調またはパルス化されるものである。TR−NIRSは、組織内の光学的散乱を測定する望ましい特性を有するが、CW−NIRSは、別の方法による散乱の独立した測定から得る仮定または結果を使用しなければならない。
【0015】
複数の測定の波長、CWまたはTRのいずれであろうとNIRS、またはその組み合わせを使用することで、オキシヘモグロビンおよびデオキシヘモグロビンの濃度を、SO
2、酸素抽出画分(OEF)などと共に、測定および/または推定することができる。これらの測定値または推定値を、例えばDCSから得る血流の測定値または推定値と組み合わせることによって、酸素の代謝率(MRO
2)が決定できる。MRO
2の決定は、非常に望ましい。なぜなら、MRO
2は組織または器官の実際の代謝を表し、その実際の能力、生理学的または病理学的状態を代表するものであるからである。一方で、ヘモグロビンの酸素飽和度などの他の尺度は、酸素の消費だけでなく供給の機構として、関与する。脳で測定される場合、MRO
2は脳酸素代謝率(CMRO
2)として知られている。
【0016】
従来技術では、流体の流れを測定するためにDCSおよびLDFを使用し始めて以来、DCSまたはLDFの光源は、組織を通る光の経路長分布幅よりも大幅に長いコヒーレンス長が必要であると仮定されてきた。したがって、本発明に先立って、現場の先導者は、DCSに対してパルス変調またはFD変調された照明を使用することが、実現可能ではないと考えた。
【0017】
流体の流れを測定するため、特に血流を非侵襲的に測定するための新規かつ改良されたシステムおよび方法が必要とされている。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明をより詳細に説明する前に、本発明は記載された特定の実施形態に限定されないことを理解されたい。また、本明細書では、用語は特定の実施形態のみを説明するために使用され、限定することを意図するものではないことも理解されたい。本発明の範囲は特許請求の範囲によってのみ限定される。本明細書で使用されるような、単数形「a」、「an」および「the」は、文脈が他に明確に指示しない限り、複数の実施形態を含む。
【0028】
当業者には、既に記載したもの以外にも多くの追加の修正が、本発明の概念から逸脱しなければ可能であることが明らかである。本開示を解釈するにあたり、すべての用語は、文脈と一致する最も広い可能な様式で解釈するべきである。「comprising(備える)」、「including(含む)」、または「having(有する)」という用語の変形は、非排他的に要素、コンポーネント、またはステップを示すものとして解釈するべきであり、そのため、示されている要素、コンポーネント、またはステップは、明示的に示していない他の要素、コンポーネント、またはステップと組み合わせることができる。特定の要素を「comprising(備える)」、「including(含む)」、または「having(有する)」すると言及された実施形態は、その文脈が明確に他を指示しない限り、それらの要素「から本質的になる(consisting essentially of)」および「からなる(consisting of)」ということも企図されている。システムに関して記載された本開示の態様は、文脈が明示的に他を指示しない限り、その方法に適用可能であり、逆もまた同様であることを理解されたい。
【0029】
本明細書に開示された数値範囲は包括的なものであるので、1〜10の値の列挙は1および10という値を含む。異なる最大値および/または最小値を有する複数の代替の範囲の開示は、本明細書に開示されている最大値および最小値のすべての組み合わせを企図している。例えば、1〜10または2〜9の値の列挙は、逆のことが明示的に述べられていない限り、積極的に列挙された値に加えて、1〜9または2〜10の値を企図している。
【0030】
本開示は、時間分解性拡散相関分光法(TR−DCS)または時間分解レーザドプラ血流計(TR−LDF)のためのシステムおよび方法を提供する。簡潔にするために、開示はTR−DCSの観点で記載されているが、本開示の特徴はTR−LDFにも適用可能である。TR−DCSが言及されている分野では、TR−LDFも明示的に企図されている。例えば、TR−DCS供給源およびTR−DCS検出器は、それぞれ、TR−LDF供給源およびTR−LDF検出器としても企図されている。当業者であれば、DCSとLDFとの間の相違点は本開示に適用可能であり、本開示を通じてこれらの相違点を広げることができることを理解するであろう。DCSとLDFとの間のいくつかの典型的な相違点の非限定的な例としては、以下が挙げられるが、それらに限定されない:LDFは、典型的には導波路としてマルチモード光ファイバを使用することが可能であるが、DCSは通常シングルモードファイバを使用することが可能である;LDFは、通常、アナログ検出を使用することが可能であるが、DCSは通常、光子計数法の検出を使用することが可能である;LDFは頻繁に低散乱レジームで行うことができるが、DCSは頻繁に多重散乱レジームで行うことができる。やはり、明瞭にするために、本開示は、TR−DCSおよびTR−LDFのシステムおよび方法を包括することを意図し、TR−DCS(またはTD−DCSまたはDCSへの他の参照)が記載されている場合はいずれであっても、TR−LDF(またはTD−LDFまたはLDFへの他の相応する参照)が明示的に企図されている。当業者は、LDFをDCSの代わりに用いることは、当業者に公知の様式のシステムまたは方法の改変を必要とすることを認識しており、したがってその改変も明示的に企図されていることを認識している。
【0031】
本明細書で使用する場合、「飛行時間」と「経路長」という用語は、光子が供給源から検出器へ移動する時間の長さおよび/または距離を示すために互換的に使用される。
【0032】
本明細書では、「タイミング」および「位相シフト」という用語は、可干渉性の光源の相対的なタイミングを示すために交換可能に使用される。
【0033】
<システム>
図1および2を参照すると、本開示の方法を実行するのに適したシステム10、110が提供される。システム10、110は、TR−DCS供給源12、112およびTR−DCS検出器14、114を含むことができる。システム10は、TR−DCS供給源12、112およびTR−DCS検出器14、114と電子通信するコンピュータ16、116を含むことができる。また、システム10、110は、ユーザと、コンピュータ16、116および/またはシステム10、110の他の態様との間のインタフェースを提供するように構成されたユーザの入力18、118を含むこともできる(ユーザの入力18、118と他の態様のつながりは示されていないが、当業者であれば理解できる)。TR−DCS供給源12、112およびTR−DCS検出器14、114は、標的媒体20、120に接続することができる。
【0034】
TR−DCS供給源12、112は、本開示の他の場所で記載されている特性を有する光信号を放出できる光源とすることができる。TR−DCS供給源12、112は、
フーリエ変換限界もしくはほぼ
フーリエ変換限界(transform, or nearly-transform, limited)ピコ秒パルス供給源または非
フーリエ変換限界(non-transform
limited)ピコ秒パルス供給源とすることができる。本明細書で使用される場合、「ピコ秒」パルスまたはパルス供給源への言及は、1ps〜10nsのパルス幅を有するパルスを示す。TR−DCS供給源12、112は、ブラッグ反射型レーザ、分布型ブラッグ・フィードバック・レーザ、利得スイッチ分布型ブラッグ反射型レーザ、外部共振器レーザ、利得スイッチレーザ、電流パルスレーザ、モードロックレーザ、Qスイッチレーザ、これらの組み合わせなどにすることができる。TR−DCS供給源12、112は、ダイオードレーザ、固体レーザ、ファイバレーザ、垂直共振器面発光レーザ(VCSEL)、ファブリ・ペローレーザ、リッジ型レーザ、リッジ導波路型レーザ、テーパ型レーザ、主発振器出力増幅器(MOPA)レーザ、または他のタイプのレーザであってもよい。いくつかの態様では、TR−DCS供給源12、112は、掃引の供給源の光源とすることができる。
【0035】
TR−DCS供給源12、112は、パルス化、正弦波的変調、階段状変調、三角変調、および/または任意に変調された光を放出することができる。
【0036】
TR−DCS供給源12、112が掃引の供給源の光源であり、放出された光が変調される態様では、本明細書に記載される変調は振幅の変調であってもよく、および/または供給源を掃引にするのでもよい。変調は、供給源の波長を掃引することができる。
【0037】
TR−DCS供給源12、112は、標的媒体20、120に400nm〜1500nmの波長を有する光を伝送するように構成することができ、波長は600nm〜1000nmの波長、690nm〜900nmの波長、450nm〜750nmの波長、500nm〜1250nmの波長、800nm〜1350nmの波長、1000nm〜1400nmの波長、または750nm〜1450nmの波長を含むが、これらに限定されない。TR−DCS供給源12、112は、標的媒体20、120に10μW〜10Wの平均出力を有する光を伝送するように構成することができ、平均出力は100μW〜1W、1mW〜500mW、または10mW〜200mWを含むが、これらに限定されない。
【0038】
TR−DCS供給源12、112は、標的媒体に1ps〜10nsのパルス幅を有する光パルスを伝送するように構成することができ、パルス幅は10ps〜1ns、50ps〜700ps、または100ps〜500psを含むが、これらに限定されない。本明細書に記載されるパルス幅は、最大パルス幅の半分での完全な幅を示している。
【0039】
いくつかの態様で、TR−LDF供給源は、標的媒体に100fs〜700psのパルス幅を有する光パルスを伝送するように構成することができる。
【0040】
TR−DCS供給源12、112は、標的媒体20、120に1GHzまでのパルス繰り返し速度を有する光パルスを伝送するように構成することができ、1kHz〜1GHz、100kHz〜500MHz、または10MHz〜400MHzの周波数を含むが、これらに限定されない。
【0041】
TR−DCS供給源12、112は、標的媒体20、120を通過する光パルスの経路長分布幅と同じ規模のオーダーのコヒーレンス長を有する光パルスを標的媒体20、120に伝送するように構成することができる。TR−DCS供給源12、112は、標的媒体20、120の光の速度にパルス幅を乗じたよりも短いコヒーレンス長を有する光パルスを標的媒体20、120に伝送するように構成することができる。TR−DCS供給源12、112は、標的媒体20、120に、0.01mmと変換限界との間のコヒーレンス長を有する光パルスを伝送するように構成することができ、コヒーレンス長は、0.3mm〜3000mm、3mm〜300mm、15mm〜210mm、または30mm〜150mmを含むが、これらに限定されない。
【0042】
いくつかの態様では、TR−DCS供給源12、112は、変調周波数でのパルス幅を最小パルス幅から最大パルス幅に変調するように構成することができる。いくつかの態様では、変調は周波数ドメイン変調を含むことができる。変調は、正弦波形、三角波形、階段状関数波形、方形波、非同期トリガ、時分割多重などを有し得る。変調周波数は、光パルスのパルス繰り返し速度よりも低くなければならない。変調周波数は0.01Hz〜500MHzであり得、0.1Hz〜10MHz、または1Hz〜1kHzの変調周波数を含むが、これらに限定されない。
【0043】
図1を参照すると、特定の態様では、システム10は、第2の光源12−2を任意選択にさらに含み得る。システム10はまた、第3の光源、第4の光源など、最大第nまでの光源12−nを任意選択に含むことができる。TR−DCS供給源12以外のシステム10に含まれる光源は、まとめて追加の光源と称する。これらの追加の光源は、TR−DCS供給源12と同様の特性を有することができ、または実質的に異なる特性を有することができ、異なる組み合わせおよび配置は、本明細書に記載されているような独自の長所を有し得る。
【0044】
特定の態様では、第2の光源12−2、第3、第4、最大第nまでの、および/または追加の光源は、TR−DCS供給源12に関して列挙した供給源であっても、レーザ、レーザダイオード、LED、スーパールミネッセントダイオード、ブロードエリア型レーザ、ランプ、白色光源などであってもよい。
【0045】
図2を参照すると、複数のTR−DCS供給源112、112−2、...、112−nと、複数のTR−DCS検出器114、114−2、114−3、...、114−nを任意選択に含むシステム110が図示されている。
【0046】
図2の図示された態様では、システム110は、第1のTR−DCS供給源112と第2のTR−DCS供給源112−2とを含む。システム110は、第3のTR−DCS供給源、第4のTR−DCS供給源、第5のTR−DCS供給源など最大第nまでのTR−DCS供給源112−nを含むことができることを理解されたい。1つのTR−DCS供給源112、112−2、...、112−nに関して説明された本開示の態様は、システム10内に含まれる任意の数のTR−DCS供給源112、112−2、...、112−nに適用可能である。当業者であれば、TR−DCS供給源112、112−2、...、112−nの数は、本開示において限定されることを意図するものではなく、示される態様によって例示される数は、説明の容易さおよび簡潔さのためにのみ特異的であることを理解するであろう。
【0047】
明瞭にするために、本開示は、任意の数のTR−DCS供給源12、112、112−2、...、112−nおよびTR−DCS検出器14、114、114−2、114−3、...、114−nを最大2、最大5、最大10、最大25、最大50、最大100、または100より多い数まで、および最大nまでのTR−DCS供給源12、112、112−2、...、112−n、および/またはTR−DCS検出器14、114、114−2、114−3、...、114−nを明示的に企図している。
【0048】
図2のシステム110は、
図1のシステム10の特定の態様であり、したがって、
図1のシステム10に関して説明した任意の特徴は、
図2のシステム110に適用可能であり、その逆も然りであることを理解されたい。
【0049】
以下は、
図1および2に示すシステム110の使用の非限定的な例である。この態様では、1つまたは複数のレーザ源が、ほぼ変換制限されたパルスを生成し、これが検体に向けられる。光は、単一モードまたはマルチモードの光ファイバを介して、1つまたは複数の検出器によって検体から受取られる。検出された各光子は、1つまたは複数のタイムスタンプによってタグ付けされる。1つのタイムスタンプは、組織を通る飛行時間を表し、他のタイムスタンプは、以前に検出された光子または絶対時間に関する到着時間を表す。他の態様は、単一のタイムスタンプを使用して、飛行時間と到着時間の両方を記録することができる。この態様では、飛行時間のヒストグラムが、μ
aおよびμ’
sを推定するために使用されている。特定の態様では、相関関数および減衰速度の勾配を使用してμ’
sを計算することができる。これらの係数は、流れ、任意選択でヘモグロビン濃度および/または血液の酸素添加を推定するために使用することができ、従来技術に対して正確性、精度の改善および変動性の減少をもたらす。強度相関関数は到着時間タグから計算される。相関関数は、個々の検出器から計算された自己相関関数、複数の検出器から計算された自己相関関数、異なる検出器の間で計算された相互相関関数、またはそれらの任意の組み合わせとすることができる。光子は、その飛行時間に基づいて1つまたは複数の群に分けられる。異なる強度相関は、単独で、または1つ以上の群の組み合わせで計算される。流れおよび他の血行動態および代謝値の分析は、独立して、または1つまたは複数の供給源および/または検出器からのタイムスタンプの同時のグローバルな分析により決定することができる。結果は単一の平均の流れを提供することも、分割して複数の流れを提供することもできる。異なる群から得た結果は、異なる組織の深さから得る流れの値を表し得る。例えば、すべての光子を含む結果からは従来のDCSの結果が得られ、より短い時間の飛行時間を有する光子の群を含む結果からは、より表面の組織からの流れが得られ、一方でより長い飛行時間を有する光子を有する群からは、より深い組織からの流れが得られる。このように組織の深さにより信号を識別することは、これまで達成されていない。
【0050】
特定の態様では、TR−DCS供給源12、112、第2のTR−DCS供給源112−2、第3の、第4の、第5の、最大第nまでのTR−DCS供給源112−n、または任意の追加のTR−DCS供給源、第2の光源12−2、第3の、第4の、最大第nの、または任意の追加の光源は、放出された光の強度を増幅するための1つまたは複数の増幅器を含むことができる。例えば、TR−DCS供給源12は、放出された光の強度を増幅するが、光の時間依存特性を変化させない光増幅器を有する、パルス化および/または変調されたレーザであってもよい。増幅器を含む態様では、供給源は、主発振器出力増幅器(MOPA)の構成で構成することができる。
【0051】
特定の態様では、増幅器は、光の時間ドメイン特性または周波数ドメイン特性を変更することができる。例えば、TR−DCS供給源12は、連続波レーザまたは所望のパルス長よりも長いまたは短いパルス長を有するレーザを含むことができ、増幅器自体は、所望のパルス長の供給源とすることができ、あるいは、パルス化されたシード光源とパルス増幅器との間のパルスのタイミングを多様にすることは、所望のパルス長の供給源となり得る。明瞭にするために、TR−DCS供給源12は、本明細書の他の箇所に記載される特定の特性を有する光を放出するように構成することができ、これらの特性は、TR−DCS光源および/または増幅器を含むTR−DCS供給源12のコンポーネントのいずれかから生じ得る。例えば、パルスレーザ源およびパルス増幅器は、位相をずらしてパルス状にされ得、結果として生じる光パルスは、位相がずれたパルスのプロファイルが重なり合ったパルスのプロファイルを有することができる。
【0052】
特定の態様では、第2の光源12−2、第3の、第4の、最大第nまでの光源12−n、および/または追加の光源は、TR−DCS供給源12に関して説明したものと実質的に同様の特性を有することができる。
【0053】
特定の態様では、第2のTR−DCS供給源112−2、第3の、第4の、最大第nまでのTR−DCS供給源112−n、および/または追加のTR−DCS供給源は、TR−DCS供給源112に関して記載したものと実質的に類似した特性を有することができる。
【0054】
場合によっては、追加の光源または追加のTR−DCS供給源は、TR−DCS供給源12、112から放出される光と実質的に類似した光を放出するように構成することができる。場合によっては、追加の光源または追加のTR−DCS供給源は、TR−DCSに適しているが、TR−DCS供給源とは異なる1つまたは複数の異なる特性を有する光を放出するように構成することができる。例えば、TR−DCS供給源12は、第1のパルス長を有する光を放出することができ、第2の光源12−2または第2のTR−DCS供給源112−2は、第2の異なる、より長いパルス長を有する光を放出することができ、それにより異なる特性の測定が可能になる。別の例として、TR−DCS供給源12は、第1の波長を有する光を放出することができ、第2の光源12−2または第2のTR−DCS供給源112−2は、第2の異なる波長を有する光を放出することができ、それはフィルタまたは多重化スキームを使用して、関心のある供給源から発せられる信号を識別するようにし得る。この識別は、光学的、電子的、または光学的および電子的な識別を含み得ることを理解されたい。
【0055】
図3および4を参照すると、様々な例示的な放出プロファイルおよび/または検出スキームが示されている。単一の供給源の多重化放出プロファイル200は、CW部分202と、パルスまたは変調部分204とを有することができる。単一の供給源の多重化放出プロファイル200は、時間または周波数分割多重化によって、TRSおよびDCS信号を検出し、区別することができる。パルス放出プロファイル206を有する単一の供給源は、TR−DCS測定のためのパルスを提供することができる。CWおよびパルス放出プロファイル208を有する単一の供給源は、TRS測定用の周期的なパルスと共に、DCS測定用の連続的なコンポーネントを有することができる。多数の供給源で多重化したパルスのプロファイル(図示せず)は、単一の供給源で多重化したものと実質的に同様の特性を有することができるが、それが組み合わされる2つの別個の放出プロファイルから形成される点で異なる。多数の供給源は同時に動作することができる。多数の供給源の同時パルスプロファイル210は、パルス放出プロファイル212とCW放出プロファイル214とを組み合わせることによって得られる。
【0056】
図4を参照すると、多重化の別の例が示されている。この構成では、システム310は、第1の波長を有し、第1の放出プロファイル350を放出する時間分解レーザ312、第2の波長を有し、第2の放出プロファイル352を放出するCWレーザ312−2、任意選択の増幅器313、標的媒体としての患者320、第1の波長を通過させる第1のバンドパスフィルタ356を有するマルチモード光ファイバ354、第2の波長を通過させる第2のバンドパスフィルタ360を含むシングルモード光ファイバ358、マルチモード光ファイバ354およびシングルモード光ファイバ358の両方から光を受け取るように構成されている検出器314を含み得る。次いで、検出器からの信号は、組み合わされた、または別個のTR処理332および/または相関/CW処理328に進むことができる。図示の放出プロファイル350、352は、異なる測定モダリティ間で切り替えるために多重化することができる。他の態様は、同じ波長または異なる波長での単一または複数の光源、および光学的または機械的スイッチを使用することができる。
【0057】
図3および4に示す、光増幅器、導波路、フィルタ、および/またはプロセッサは、本明細書の他の箇所で説明するように、任意であることを理解されたい。また、当業者に公知の方法に従って、前述の放出プロファイルを様々な方法で組み合わせることができることも理解されたい。また、
図4のシステム310は、
図1のシステム10の特定の態様であり、したがって、
図1のシステム10に関して説明した任意の特徴は、
図4のシステム310に適用可能であり、その逆も然りであることを理解されたい。
【0058】
上述の様々な供給源は、連続波、パルス、または変調の任意の組み合わせで利用することができる。
【0059】
図1および2を参照すると、TR−DCS供給源12、第2の光源12−2、第nの光源12−nを含む追加の光源、第2のTR−DCS供給源112−2、第nのTR−DCS供給源112−nを含む追加のTR−DCS供給源は、光源制御部22、122により制御することができる。光源制御部22、122は、コンピュータと、TR−DCS供給源12、112と第2の光源12−2と第2のTR−DCS供給源112−2と追加の光源/TR−DCS供給源との間をインタフェースして、本明細書の他の場所に記載されている光源の様々な動作パラメータを制御するように構成することができる。光源制御部22、122は、様々な光源から放出される光の時間依存特性を制御するための光源駆動部を含むことができる。
【0060】
光源駆動部は、トリガ信号を受信し、トリガ信号に対して既知のタイミングで光パルスを放出するようにTR−DCS供給源12、112および任意の追加のTR−DCS供給源を制御するように構成することができる。非DCS時間分解分光法(TRS)測定を利用する態様では、光源駆動部は、トリガ信号を受信し、TRS供給源である任意の追加の光源を制御してトリガ信号に対して既知のタイミングで光パルスを放出するように構成することができる。
【0061】
特定の態様では、光源制御部22、112は、コンピュータ16、116のコンポーネントとすることができる。特定の態様では、光源制御部22、122は、スタンドアロンのコンポーネントまたは複数のスタンドアロンのコンポーネントとすることができる。1つの光源制御部22、122は、様々な光源の全部または一部を制御することができ、あるいは、様々な光源の各々がそれ自身の光源制御部22を有することができる。
【0062】
TR−DCS検出器14、114は、本開示の他の箇所に記載された特性を有する光信号を検出できる光検出器であってもよい。TR−DCS検出器14、114は、アバランシェフォトダイオード検出器、例えば単一光子アバランシェフォトダイオード検出器、光電子増倍管、Si、Ge、InGaAs、PbS、PbSeまたはHgCdTeフォトダイオードまたはPINフォトダイオード、フォトトランジスタ、MSM光検出器、CCDおよびCMOS検出器アレイ、シリコン光電子増倍管、マルチピクセル光子計数器、分光計などであってもよい。特定の態様では、TR−DCS検出器14、114は、特定の波長の光に対して感応性を有するように強化することができる。特定の態様では、TR−DCS検出器14、114は、モニタフォトダイオードとして機能することができる。特定の態様では、TR−DCS検出器14、114は、単一の検出器で多くの並列検出チャネルを得るために利用できるマルチピクセル光検出器であってもよい。このような検出器を含む特定の態様では、小さい画素サイズが小さいとDCSのコントラストを増加させることができる。TR−DCS検出器14、114は、アナログまたは光子計数であり得る。
【0063】
TR−DCS検出器14、114は検出器信号を提供することができるが、それはアナログ、デジタル、光子計数、またはそれらの任意の組み合わせであり得る。
【0064】
図1を参照すると、特定の態様では、システム10は、任意選択で第2の検出器14−2と、任意選択で第3の検出器14−3とをさらに含み得る。システム10はまた、第4の検出器、第5の検出器など、最大第nまでの検出器14−nを任意選択で含むことができる。TR−DCS検出器14以外のシステム10に含まれる検出器は、まとめて追加の検出器と呼ばれる。これらの追加の検出器は、TR−DCS検出器14と同様の特性を有することができ、または実質的に異なる特性を有することができ、異なる組み合わせおよび配置は、本明細書に記載されているような独自の利点を有することができる。
【0065】
図2を参照すると、特定の態様では、システム10は、第1のTR−DCS検出器114、第2のTR−DCS検出器114−2、および第3のTR−DCS検出器114−3を含むことができる。システム10は、第4のTR−DCS検出器、第5のTR−DCS検出器、第6のTR−DCS検出器など、最大第nまでのTR−DCS検出器114−nを含むことができることを理解されたい。当業者は、TR−DCS検出器114、114−2、114−3、...、114−nの数は、本開示において限定されることを意図しておらず、示された態様に例示された数は、説明を容易にするため、および簡潔さためにのみ特異的であることを理解されたい。第2のTR−DCS検出器114−2、第3のTR−DCS検出器114−3、第4の、第5の、最大第nまでの、および/または追加のTR−DCS検出器は、TR−DCS検出器14、114に関して列挙した検出器であってもよい。
【0066】
特定の態様では、第2の検出器14−2、第3の検出器14−3、第4の、第5の、最大第nまでの、および/または追加の検出器は、アバランシェフォトダイオード検出器、例えば単一光子アバランシェフォトダイオード検出器、光電子増倍管、Si、Ge、InGaAs、PbS、PbSeまたはHgCdTeフォトダイオードまたはPINフォトダイオード、フォトトランジスタ、MSM光検出器、CCDおよびCMOS検出器アレイ、シリコン光電子増倍管、マルチピクセル光子計数器など、または当業者に知られている他の光検出器であってもよい。特定の態様では、第2の検出器14−2、第3の検出器14−3、第4の、第5の、最大第nまでの、および/または追加の検出器は、アナログまたは光子計数であり得る。
【0067】
特定の態様では、TR−DCS検出器14、114、第2の検出器14−2、第3の検出器14−3、第4の、第5の、最大第nまでの検出器14−n、または任意の追加の検出器、第2のTR−DCS検出器114−2、第3のTR−DCS検出器114−3、第4の、第5の、最大第nまでのTR−DCS検出器114−n、または任意の追加のTR−DCS検出器は、単一の位置または複数の位置からの光信号を受信するように構成され得る。DCS、TRS、およびCW検出の任意の組み合わせは、検出器の様々な組み合わせを含む同一または異なる検出器で達成することができる。
【0068】
システム10、110は、任意選択で、TR−DCS供給源12、112、TR−DCS検出器14、114、追加の光源、および/または追加の検出器を標的媒体20、120に接続するための導波路をさらに含み得る。任意選択の導波路は、本明細書の他の場所に記載された特性を有する光を送達するのに適した任意の導波路とすることができる。例えば、光導波路は、光ファイバまたは光ファイババンドル、レンズ、レンズシステム、中空導波路、液体導波路、フォトニック結晶、それらの組み合わせなどであってもよい。TR−DCS供給源12、112、TR−DCS検出器14、114、追加の光源、および/または追加の検出器は、標的媒体20、120に直接接続することができることを理解されたい。
【0069】
特定の態様において、導波路は、実際的な数の導波路を含み、プローブ内に配置することができる。特定の態様において、プローブは、対象の頭部に固定可能であり得る。特定の態様では、プローブは、供給源と検出器との複数の異なる距離を提供するように構成することができる。特定の態様では、導波路をカテーテル内に配置することができる。
【0070】
様々な検出器14、114、14−2、114−2、14−3、114−3、14−n、114−nは、介在する光学系および/またはピンホール、ホログラム、および/または検出器の活性領域の寸法を有することができる。様々な検出器14、114、14−2、114−2、14−3、114−3、14−n、114−nは、単独で、複合的に、アレイ状に、または任意の組み合わせで使用することができる。
【0071】
特定の態様では、検出器14、114、14−2、114−2、14−3、114−3、14−n、114−nは、DCS/LDFコントラストのために必要とされ得るような1つまたはいくつかのスペックルからの光を集める小さな活性領域(すなわち、0.1μm〜10μm)を有することができ、またはDCS/LDFのコントラストのための機能に通常は関連しないより大きな活性領域(すなわち10μm〜1mm)を有することができる。異なるモダリティについて異なる能力を有する異なる検出器を組み合わせることは、全体的な能力の向上および/またはコスト、重量、および/または電力消費の低減という利点を有することができる。例えば、DCS/LDFのコントラストに必要とされる小さな活性領域から、より大きな隔たりと関連のある伝送の減少に起因して、供給源と検出器との隔たりの最大距離が制限される可能性がある。一方、非DCS NIRSの時間分解および連続波検出はこの要件を有していないので、より大きな活性領域、より低い感度などを含むがそれらに限定されない異なる特性を有する検出器を、同じ供給源または異なる供給源、または上記の任意の組み合わせを使用しながら採用することができる。したがって、様々な供給源と検出器との隔たりを利用することができ、そのため、例えば、隔たりがより短いことのみを利用して達成できる散乱および/または吸収係数を決定する際に、より高い正確性を実現する。いくつかの態様で、コスト、重量、および/またはパワーの消費が改善されている。記載された特定の態様は、限定することを意図するものではなく、供給源(複数可)、検出器(複数可)、および距離(複数可)の追加の組み合わせが可能であることを理解されたい。
【0072】
特定の態様では、パルスシーケンスなどの1つまたは複数のパルス放出プロファイルを、基準パルス放出プロファイルとして利用することができる。特定の態様では、単一の放出プロファイルを2つの部分に分割することができ、一方の部分は標的媒体20、120を通過することができるが、他方の部分は静的にまたは可変に遅延させ、次いで2つの部分を再結合して検出する。この構成の1つの利点は、基準パルスが干渉および改善されたDCS/LDF信号対雑音を可能にすることである。特定の態様では、より狭いパルスを有する1つのパルス放出プロファイルを試料に適用することができ、一方でより長い持続時間のパルスを有する別のコヒーレントまたは部分的コヒーレントのパルス放出プロファイルが、基準パルスとして使用される。プロファイルを組み合わせて検出することができる。この構成の1つの利点は、パルス持続時間より長いことにより、干渉の増大および信号対雑音の改善が可能になることである。特定の態様では、基準パルス放出プロファイルは、1ps〜100nsの基準パルス長を有することができ、本明細書の他の箇所に記載されたパルス長の基準パルス長を含むが、ただしこれに限定されない。多くの他の可能な基準パルス放出プロファイルは、当業者に理解されるような、多くの他の試料のパルス放出プロファイルと組み合わせ得るということを理解されたい。
【0073】
システム10、110はまた、当業者が光学的な測定を得るのを補助するのに有用であると考える様々な他の光学系を含むことができる。システム10、110は、様々なレンズ、フィルタ、可変減衰器、偏光子、連結用光学系、誘電体コーティング、チョッパ(および対応するロックイン増幅システム)、ピンホール、変調器、プリズム、ミラー、光ファイバコンポーネント(スプリッタ/サーキュレータ/カプラー)などを含み得る。
【0074】
特定の態様では、TR−DCS検出器14、114は、複数の異なる導波管から光信号を受信するように構成することができ、複数の導波管は、フィルタを含む光路の一部である。
【0075】
多重化放出プロファイルを使用するシステムでは、プロファイルの時間分解部分のショットノイズはCW測定で相関がない可能性があり、CW測定のショットノイズは時間分解測定では無相関となる可能性がある。信号対雑音比は振幅の低下により支配される可能性があり、一般に線形であるため、時間分解された部分とCW部分とで等しい部分のある多重化信号は、信号対雑音比が約50%低下する可能性がある。
【0076】
コンピュータ16、116は、汎用コンピュータ、タブレット、スマートフォン、または本明細書に記載の測定装置を制御するように構成することができ、本明細書に記載されているシミュレーションを実行するコンピュータ実行可能プログラムを実行できる他のコンピューティング装置の形態をとることができる。コンピュータ16は、プロセッサおよび/またはCPU24、様々なタイプのメモリ26、インタフェースなどの、当業者に知られている様々なコンポーネントを含むことができる。コンピュータ16は、単一のコンピューティング装置であっても、協調的に動作する複数のコンピューティング装置であってもよい。
【0077】
コンピュータ16は、検出された光信号を解釈するようにプログラムされた信号プロセッサ28、128を含むことができる。1つの非限定的な例において、信号プロセッサ28、128は、光子の巨視的な到着時間または相関時間を処理することができる。例えば、信号プロセッサ28、128は、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、特定用途向け集積回路(ASIC)、または他の論理装置内のカウンタとして実装することができる。
【0078】
システム10、110は、システム10、110の時間分解された態様を制御するために利用される1つ以上のトリガ信号を証明する、トリガ源30、130を含むことができる。トリガ源30、130は、コンピュータ16、116内に配置することができる。トリガ源30、130からのトリガ信号は、光子の検出用の様々な時間の測定値を、放出のタイミングと相関させるのに利用することができる。特定の態様では、トリガ源30、130は、TR−DCS供給源12、112そのものであってもよい。特定の態様では、トリガ信号は、供給源および/または検出器に対して完全にまたは部分的に非同期であり得る。特定の態様では、飛行時間、相関および/または到着時間の測定用に、単一のトリガ信号を使用することができる。
【0079】
システム10、110は、TR−DCS検出器14、114からのTR信号を処理するための時間分解(TR)プロセッサ32、132を含むことができる。TRプロセッサ32、132は、コンピュータ16、116内に配置することができる。特定の態様では、TRプロセッサ32、132は、トリガ源30、130からトリガ信号を受信し、TR−DCS検出器14、114からTR−DCS検出器信号を受信することができる。特定の態様では、TRプロセッサ32、132は、飛行時間タグとして機能する信号を出力することができる。TRプロセッサ32、132は、信号プロセッサ28に出力することができる。適切なTRプロセッサの例には、時間デジタル変換器(例えば、イタリア、ミラノのPolitechnico de MilanoのSPADlabから市販されているSPADlab TDCカードなど)、タイムゲーティング変換器、時間アナログ変換器、ダイレクト・アナログ・サンプリング・プロセッサなどを含むが、これらに限定されない。当業者は、適切なTRプロセッサ32、132は、浜松(浜松市、日本)、Becker&Hickl GmbH(ベルリン、ドイツ)、Texas Instruments(ダラス、テキサス州)、AMS/ACAM(シュタイアーマルク州、オーストリア)、Picoquant GmbH(ベルリン、ドイツ)などの様々な製造業者によって提供されることを理解するであろう。システム10、110は、任意選択で、第2のTRプロセッサ32−2、132−2、第3のTRプロセッサ32−3、132−3、第4のTRプロセッサ、第5のTRプロセッサ、第6のTRプロセッサなど、最大第nまでのTRプロセッサ32−n、132−nを含むことができる。特定の場合に、これらの追加の任意選択のTRプロセッサの機能は、単一のTRプロセッサによって達成できることを理解されたい。他の場合には、任意選択の追加のTRプロセッサは、別々な、別個のコンポーネントとすることができる。いくつかの態様では、TRプロセッサ32、132に関連する処理には、時間ドメイン、周波数ドメイン、アナログドメイン、デジタルドメイン、またはそれらの組み合わせにおける処理を非限定的に含み得る。
【0080】
特定の態様では、信号プロセッサ28、128および/またはTRプロセッサ32、132は時間相関法、時間波高変換器法、時間デジタル変換器法、フーリエまたは他の変換法、ヘテロダインまたはホーミングの方法、およびそれらの組み合わせを含むがこれらに限定されない、様々な手段により、光子信号から測定値を抽出するように構成することができ、例えば、ハードウェアベースの抽出、ソフトウェアベースの抽出、線形変換、ログ変換、マルチタウ式相関、およびそれらの組み合わせを含むが、これらに限定されない。
【0081】
特定の態様では、信号プロセッサ28、128および/またはTRプロセッサ32、132を使用して、TPSFを構築することができ、それから散乱係数および/または吸収係数を推定することができる。特定の態様では、信号プロセッサ28、128および/またはTRプロセッサ32、132は、供給源および関連するAC振幅、DC振幅、および/または変調に対する検出信号の位相シフトから得る散乱係数および/または吸収係数を推定するために使用することができる。散乱係数および/または吸収係数の推定値は、係数および/または流れの推定値と独立して、または同時に推定することができる、流れおよび酸素添加の推定に使用することができる。特定の態様では、散乱係数および/または吸収係数の推定を使用して、対象の種の濃度を推定することができる。
【0082】
TR−DCS検出器14、114、信号プロセッサ28、128、および/またはTRプロセッサ32、132は、測定された信号のタイムゲーティングを利用するように構成できる。そのため、検出器の飽和の防止、および/または飛行時間による光子の識別が可能である、100%未満のデューティサイクルを利用することができる。タイムゲーティングは、アナログまたはデジタルドメイン、またはその両方で達成できる。既存の方法では、検出されたすべての光子から流れを推定し、表面的な流れの値とより深い流れの値とを分離するのにかなりの努力が必要である。本開示の特定の態様では、光子は、早い到着または後の到着(または標的媒体20、120の構造に関連するカテゴリの他の組み合わせ)として分類することができ、その後、異なる分類に対して流れを推定することができる。早期に到着する光子は、統計的には表面層に多くの時間を費やした可能性が高いため、表面層における流れに関するより多くの情報を提供する。遅く到着する光子は、より深い層でより多くの時間を費やした可能性が統計的に高いため、より深い層の流れに関するより多くの情報を提供する。特定の態様では、光子を異なるタイミング群に分離するために利用される値は、固定であっても動的であってもよく、それらの組み合わせを含めて予め選択し、および/または動的に計算または調整できる。
【0083】
検出器の1つからの検出器信号は、DCS、TRS、および/またはCW測定用に処理するために、後述するような個々の処理経路に多重化することができる。この多重化は、処理の効率を与えることができる。
【0084】
並列検出チャネルを利用する特定の態様では、並列検出チャネルをDCSに対して個別に分析しなければならない場合、光子の計数を組み合わせ、単一のTRプロセッサ32、132によって一緒に分析することができる。並列検出チャネルは、個別に相関させて、その後転送する前に組み合わせることができる。並列検出チャネルは個別に相関させることができ、その後モーメントまたは他の変換を転送することができる。
【0085】
プロセッサおよび/またはCPU24、124は、メモリ26、126に記憶されたコンピュータ実行可能命令を読み出して実行するように構成し得る。コンピュータ実行可能命令は、本明細書で説明する方法のすべてまたは一部を含むことができる。
【0086】
メモリ26、126は、1つまたは複数のコンピュータ読み取り可能および/または書き込み可能な媒体、および例えば、磁気ディスク(例えば、ハードディスク)、光ディスク(例えば、DVD、Blu−ray(登録商標)、CDなど)、光磁気ディスク、半導体メモリ(例えば、不揮発性メモリカード、フラッシュメモリ、ソリッドステートドライブ、SRAM、DRAM)、EPROM、EEPROMなどを含み得る。メモリは、本明細書で説明する方法のすべてまたは一部のためのコンピュータ実行可能命令を記憶することができる。
【0087】
ユーザインタフェース18、118は、入力および出力装置への通信インタフェースを提供することができ、キーボード、ディスプレイ、マウス、印刷装置、タッチスクリーン、ライトペン、光学記憶装置、スキャナ、マイクロフォン、カメラ、ドライブ、通信ケーブル、またはネットワーク(有線または無線)を含み得る。インタフェースは、通信インタフェースを、TR−DCS供給源12、112、TR−DCS検出器14、114、およびシステム10、110に含まれる、および/または本明細書に記載の方法で使用される他の供給源および/または検出器に提供することもできる。
【0088】
TR−DCS供給源12、112およびTR−DCS検出器14、114は、コンピュータ16、116によって制御することができる。コンピュータ16、116は、そのような制御を実行するように構成されたコンピュータ実行可能プログラムを、それに記憶することができる。コンピュータ16、116は、標的媒体20、120の内側領域を含む、標的媒体20、120内の流体の流れと光信号が相互作用することを可能にする様式で、層状の標的媒体に入るように構成された光信号を放出するように、TR−DCS供給源12、112に指示することができる。この相互作用により、光信号は、内側領域における流体の流れに関連する情報を取得することができる。コンピュータ16、116は、取得された情報を含む光信号を検出するように、TR−DCS検出器14、114に指示することができる。
【0089】
特定の態様では、システム10、110は、標的媒体20、120を特徴づけ、さらなる有用な情報を提供するための撮像モダリティまたは層厚測定モダリティを含むことができる。好適な撮像および/または層厚測定モダリティの例は、超音波撮像システム、反射した音波を伝送および受け取るように構成された非撮像超音波システム、MRI撮像システム、X線撮像システム、コンピュータ断層撮影システム、拡散光トモグラフィ撮像システム、光学的層厚測定システム、それらの組み合わせなどを含み得るが、これらに限定されない。他の態様では、超音波システムは、光の深度特有の変調のために音波を伝送するように構成することができる。TR−DCS信号においてこの変調を検出することは、流れおよびヘモグロビンの情報の深度の識別をさらに補助することができる。
【0090】
いくつかの態様では、システム10、110のTR−DCS供給源12、112、TR−DCS検出器14、114、コンピュータ16、116、および本明細書に記載しているシステム10、110の他の構成要素は、追加のTR−DCS供給源および/または追加のTR−DCS検出器を含めて、携帯型であり、ポイント・オブ・ケアでの使用に適した単一のユニットに、収容することができる。いくつかの態様では、単一のユニットをハンドヘルドにすることができる。いくつかの態様では、コンピュータ16、116はハンドヘルドコンピューティング装置であってもよく、システム10、110の残りの部分は携帯型および/またはハンドヘルド型の単一のユニットに含まれてもよい。いくつかの態様では、システム10、110は、1つまたは複数のハンドヘルドユニットに含まれ得る。いくつかの態様では、システム10、110またはシステム10、110の様々なコンポーネントは、ウェアラブル装置に収容することができる。
【0091】
いくつかの態様では、システム10、110のTR−DCS供給源12、112、TR−DCS検出器14、114、およびコンピュータ16、116ならびに本明細書に記載のシステム10、110の他の構成要素は、追加のTR−DCS供給源および/または追加のTR−DCS検出器を含めて、卓上用に配置するのに適した卓上用のユニットに収容することができ、ポイント・オブ・ケアでの利用のために適切に配置することができる。
【0092】
システム10、110は、壁のコンセントから電力が供給される電源によって、または充電式か交換式いずれかの、1つまたは複数のバッテリを介して、給電され得る。
【0093】
ブロックとして示されているシステム10、110の様々な態様は、説明の目的でこの様式で示されており、これらのブロックは複数の別個の要素であってもよく、単一のモノリシックな要素に組み合わせてもよいことを理解されたい。
【0094】
システム10、110の1つの利点は、単一の供給源 と検出器の隔たりで、同一の検出器を用いて深い流れと表面での流れの両方を捉えられることである。検出器の必要数が減少することは、コスト、サイズ、重量、および複雑さに関して改善をもたらすことができる。しかし、これらの特徴と組み合わせて第2の隔たりの検出器を利用できることを理解されたい。これらの場合、第2の供給源と検出器との隔たりと協働するタイムゲートは、1つの隔たりの検出器だけを使用した場合よりも、対象の信号の検出を改善することができる。また多数の隔たりの検出器を利用することができ、多数の供給源と検出器との隔たりと協同するタイムゲートが、1つの隔たりの検出器だけを使用した場合よりも、対象の信号の検出を改善することができることを理解されたい。
【0095】
システム10、110の別の利点は、非常に小型の軽量の検出器ファイバまたはソリッドステートの検出器を使用することができ、そのため湾曲可能なプローブを使用できることである。いくつかの態様では、TR−DCSシステム10、110は、供給源および検出器と同じ小型のファイバまたは同じソリッドステートのコンポーネントを利用でき、それによってプローブに必要なファイバまたは電気部品の数を減らすことができる。より小型のプローブは、幼児のような弱い患者、外科手術部位および/または創傷部位周辺での配置、およびEEG、頭蓋骨用ボルトなどの他の測定モダリティにおいて使用するのに望ましい可能性がある。また、より小型のプローブは、植込み可能な、慢性の、移動性の、および/またはウェアラブルな用途にも好都合である。さらなる利点には、コスト、重量、および/または消費電力の低減が含まれ得る。
【0096】
方法400、500、600、700に関して以下に説明する本開示の態様は、本明細書に記載のシステム10、110、310に適用可能であり、それらに組み込むことができる。明瞭にするために、以下の方法が、当業者が上記のシステム10、110、310の構造的特徴の存在を暗示するものとして理解する態様を説明する場合、本開示は、それらの構造的特徴を含んでいることを明確に企図している。非限定的な例として、以下の方法が光の集束について説明する場合、当業者は、集束レンズ、または集束レンズの目的を果たす構造物、例えば凹面湾曲式のミラーが存在していることを暗示しているという旨を、理解するであろう。
方法
【0097】
本開示は、上述のシステム10、110を使用する方法を提供するが、諸方法は、本明細書に記載されていない他のシステムと共に任意選択に使用することができる。
【0098】
図5を参照すると、本開示は、標的媒体20、120におけるダイナミクスについて時間分解性拡散相関分光法での測定を行う方法400を提供している。処理ブロック402において、方法400は、TR−DCS供給源12、112およびTR−DCS検出器14、114を標的媒体20、120に接続することを含み得る。処理ブロック402はまた、任意の数の追加の供給源または検出器を標的媒体20、120に接続することを含み得る。TR−DCS供給源12、112およびTR−DCS検出器14、114は、他の場所で説明される特性を有することができる。TR−DCS供給源12、112は、1ps〜10nsのパルス長を有し得る光パルスを放出するように構成できる。処理ブロック404において、方法400は、TR−DCS供給源12、112から標的媒体20、120へ第1の光パルスを放出することを含み得る。第1の光パルスは、複数の光子を含むことができる。処理ブロック406において、方法400は、標的媒体20、120を通過した後に、複数の光子の少なくとも一部をTR−DCS検出器14、114で受け取ることを含み得る。処理ブロック406の受け取ることにより、複数の光子の少なくとも一部のタイミング情報と相関情報とを含むTR−DCS検出器信号を生成することができる。処理ブロック408において、方法400は、標的媒体のダイナミクスを決定することを含み得る。処理ブロック408の決定することは、プロセッサまたはCPU24、124上で実行することができ、タイミング情報、相関情報、および飛行時間と相関をダイナミクスに関係付ける1つまたは複数の方程式を利用することができる。1つまたは複数の方程式は、「計算上の考慮事項」の項で後述する方程式とすることができる。ダイナミクスは、深さに依存するダイナミクスであってもよい。処理ブロック410において、方法400は、標的媒体20、120のダイナミクスを含むレポートを生成することを含み得る。
【0099】
さらに
図5を参照すると、任意選択の処理ブロック405において、方法400は、TR−DCS供給源12、112または異なる供給源、または異なるTR−DCS供給源からの第2の光パルスを、標的媒体に伝送することを含み得る。第2の光パルスは第2の複数の光子を含むことができる。任意選択の処理ブロック405を含む態様では、処理ブロック406の受け取ることは、TR−DCS検出器で第2の複数の光子の少なくとも一部を受け取ることを含むことができ、生成されたTR−DCS検出器信号は、第2の複数の光子の少なくとも一部についてのタイミング情報と相関情報を含み得る。方法400は、1つの供給源または多数の供給源からの任意の数の光パルスおよび任意の数のパルス列を含むことができる。また、本明細書に記載された他の方法500、600、700は、同様に複数のパルスまたは複数のパルス列を含むことができる。
【0100】
さらに
図5を参照すると、任意選択の処理ブロック412において、方法400は、標的媒体20、120を通過しない基準光パルスを放出することを任意選択に含むことができる。基準光パルスは、TR−DCS供給源12、112または異なる光源により放出することができる。任意選択の処理ブロック414において、方法400は、標的媒体を通過する複数の光子の少なくとも一部を基準光パルスと多重化し、それによって多重化された光信号を生成することを含み得る。任意選択の処理ブロック416において、方法400は、光検出器において、多重化された光信号を受信し、それによって検出器信号を生成することを含み得る。検出器信号は、当業者に理解される光ヘテロダイン検出原理を介して生成することができる。検出器信号は、複数の光子の少なくとも一部のタイミング情報および相関情報を含むことができ、それは処理ブロック408の決定することにおいて利用し得る。任意選択の処理ブロック412、414、および416の任意選択のステップは、当業者に理解される方法で、本明細書に記載される他の方法500、600、700で利用することができる。
【0101】
図6を参照すると、本開示は、標的媒体20、120におけるダイナミクスについて時間分解性拡散相関分光法での測定を行う方法500を提供する。処理ブロック502において、方法500は、TR−DCS供給源12、112およびTR−DCS検出器14、114を標的媒体20、120に接続することを含み得る。TR−DCS供給源12、112およびTR−DCS検出器14、114は、他の場所で説明される特性を有することができる。TR−DCS供給源12、112は、変換制限された、ほぼ変換制限された、または非変換制限光パルスを放出するように構成することができる。光パルスは、TR−DCS供給源12、112に関して上に開示したパルス長を有することができる。処理ブロック504において、方法500は、TR−DCS供給源12、112からの光パルスの少なくとも1つを、標的媒体20、120に放出することを含み得る。処理ブロック506において、方法500は、光パルスの少なくとも1つが標的媒体20、120を通過した後に、TR−DCS検出器14、114で光パルスの少なくとも1つを受け取ることを含み得る。処理ブロック506の受け取ることにより、少なくとも1つの光パルスの飛行時間に基づいて、標的媒体におけるダイナミクスに関する深度特有の情報を含むTR−DCS検出器信号を生成することができる。処理ブロック508において、方法500は、標的媒体20、120のダイナミクスを決定することを含み得る。ダイナミクスは深度に特化したものにすることができる。処理ブロック508の決定することは、プロセッサまたはCPU24、124で実行することができる。処理ブロック510において、方法500は、標的媒体20、120におけるダイナミクスを含むレポートを生成することを含み得る。
【0102】
図7を参照すると、本開示は、標的媒体20、120のTR−DCS測定を行う方法600を提供する。処理ブロック602において、方法600は、第1のTR−DCS供給源12、112などの第1のDCS供給源、第2のDCS供給源12−2、およびDCS検出器14、114を、標的媒体20、120に接続することを含み得る。第1のDCS供給源12、112は、1ps〜10nsのパルス長を有し、第1の波長を有する第1の光パルスを含む第1の光を放出するように構成することができる。第2のDCS供給源12−2は、第2の波長を有する第2の光を放出するように構成することができる。処理ブロック604において、方法600は、第1のDCS供給源12、112からの第1の光パルス、および第2のDCS供給源12−2からの第2の光を、標的媒体20、120に伝送することを含み得る。第1および第2の光を伝送するために単一の供給源を使用することができる。第2の光は、本明細書の他の箇所に記載されたものと同様のパルス特性を有するパルス光とすることができる。処理ブロック606において、方法600は、第1の光パルスの少なくとも一部が標的媒体20、120を通過した後に、DCS検出器14、114で第1の光パルスの少なくとも一部を受取り、それによって第1のDCS信号を生成することを含み得る。処理ブロック608において、方法600は、第2の光の少なくとも一部が標的媒体20、120を通過した後に、DCS検出器14、114で第2の光の少なくとも一部を受取り、それによって第2のDCS信号を生成することを含み得る。処理ブロック606および608の受け取ることは、別個の検出器によって達成され得ることを理解されたい。処理ブロック610において、方法600は、標的媒体20、120内の第1の種および第2の種のダイナミクスを決定することを含み得る。決定することは、第1のDCS信号および第2のDCS信号を使用することができる。処理ブロック616において、方法600は、第1の種および第2の種のダイナミクスを含むレポートを生成することを含み得る。
【0103】
方法600および他の方法400、500、700において2つ以上の波長の光を使用することができ、対応する3つ以上の種についてそのダイナミクスおよび特性を決定することができることを理解されたい。特定の数の種に関するダイナミクスを決定することは、少なくとも同じ数の波長の使用を伴うことができる。当業者であれば、当技術分野で知られている器具を使用して本質的に線形の混合問題となり得るものを解決する方法を理解するであろう。
【0104】
任意選択の処理ブロック612において、方法600は、任意選択で、標的媒体の流体の流れを決定することをさらに含み得る。流体の流れは、第1の種および第2の種、または任意の追加の種のそれぞれについて決定することができる。処理ブロック612の決定することは、第1のDCS信号および/または第2のDCS信号を使用することができる。
【0105】
特定の態様では、第1の種はオキシヘモグロビンであり得、第2の種はデオキシヘモグロビンであり得る。任意選択の処理ブロック614において、方法600は、ヘモグロビン、オキシヘモグロビン、および/またはデオキシヘモグロビン濃度、ヘモグロビン酸素飽和度および/または酸素の代謝率を決定することを、任意選択でさらに含み得る。決定することは、ダイナミクスおよび/または流体の流れを利用することができる。処理ブロック616で生成されたレポートは、流体の流れ、ヘモグロビン酸素ダイナミクス、および/またはダイナミクスと共に、またはその代わりに、酸素の代謝速度を任意選択で含むことができる。
【0106】
図8を参照すると、本開示は、標的媒体のタイムゲートまたは時間タグ化のDCS測定を行う方法700を提供する。処理ブロック702において、方法700は、DCS供給源およびDCS検出器を標的媒体の表面に接続することを含み得る。処理ブロック704において、方法700は、DCS供給源から標的媒体に複数の光子を放出することを含むことができ、放出された各光子は、既知の放出時間で放出される。処理ブロック706において、方法700は、複数の光子の少なくとも一部がDCS供給源からDCS検出器へ媒体を介して伝搬するための時間の長さ待機することを含み得る。処理ブロック708において、方法700は、DCS検出器を使用して複数の光子の少なくとも一部を検出することを含むことができ、検出された各光子は既知の検出時間で検出される。処理ブロック710において、方法700は、複数の光子の少なくとも一部の各々の伝送時間を決定することを含み得る。処理ブロック710の決定することは、既知の検出時間から既知の放出時間を減算することを含み得る。処理ブロック712において、方法700は、標的媒体の内側部分の内部ダイナミクスまたは標的媒体の表面層の表面ダイナミクスを決定することを含むことができ、内側部分および表面層は媒体の表面に対して画定される。内側部分の流体の流れを決定することは、通過時間が所定の閾値またはゲート時間を超える光子を使用することができる。表面層の流体の流れを測定することは、通過時間が所定の閾値またはゲート時間よりも短い光子を使用することができる。処理ブロック714において、方法700は、内側部分または表面層の流体の流れを含むレポートを生成することを含み得る。
【0107】
処理ブロック508、610、612、614、710、および712の決定することは、本明細書に記載の1つまたは複数の方程式または概念を使用して計算することを含み得る。処理ブロック508、610、612、614、710、および712の決定することは、当業者に公知の方法でデータを適合させることを含み得る。処理ブロック508、610、612、614、710、および712の決定することは、プロセッサまたはCPU24、124にて実行することができる。
【0108】
処理ブロック410、510、616、および714のレポートを生成することは、当業者に明らかなように、印刷のレポートを生成すること、結果をスクリーンに表示すること、結果をコンピュータデータベースに伝送すること、または数学的にモデル化された流体の流れをレポートする別の手段を含むことができる。方法100は、特定のレポート生成に限定されることを意図するものではない。
【0109】
特定の態様では、本明細書に記載の方法によって決定されるダイナミクスは、流体の流れ、せん断流、拡散特性、運動、会合、会合解除、凝集、脱凝集および/または標的媒体内の光学的散乱の回転式ダイナミクスなどであってよい。
【0110】
特定の態様では、群内の光子の到着時間から相関関数を計算することによって、ダイナミクスおよび/または流体の流れを光子の群から決定することができる。他の態様は、パワースペクトル分析、モーメント分析などを含むがこれに限定されない、ダイナミクスおよび/または流体の流れを測定する他の手段を利用することができる。分析は、単独で、および/または独立して、または複数の群にわたり全体的に、またはそれらの組み合わせで行うことができる。分析は、当業者が分析可能であると理解するであろう、上述のシステム10、110のコンポーネントによって、実行することができる。
【0111】
特定の態様では、本明細書に記載の方法400、500、600、700は、当業者によって理解され得る方法で、タイムゲーティング検出を利用することができる。例えば、タイムゲーティング検出を検出器に利用して、特定の飛行時間を有する光子に対する検出を制限することができる。より短い飛行時間を有する光子に検出を限定することにより、標的媒体20、120のより表面的な部分についての情報を提供することができる。より長い飛行時間を有する光子に検出を限定することにより、標的媒体20、120のより深い部分についての情報を提供することができる。
【0112】
タイムゲートを使用する特定の態様では、タイムゲートは、飛行時間ウィンドウ全体のタイムゲートの最小分解能と最大値との間のタイムゲート幅を有することができ、1ps〜100ns、10ps〜6ns、または25ps〜750psの間のタイムゲート幅を含むが、これに限定されない。タイムゲート幅は、TR−DCS供給源12、112によって標的媒体20、120に伝送される光パルスのコヒーレンス長より長いか、それに等しいか、それよりも短くすることができる。驚くべきことに、タイムゲート幅が短い方が、タイムゲート幅が長い場合よりも、優れたパフォーマンスや改善された信号対雑音比をもたらし得ることが見出された。タイムゲート幅が長いと、より多くの光子を検出することが可能になるので、これは従来の知恵に反している。光子がより多いことは、一般に、信号対雑音比の改善に関連する。驚くべきことに、本明細書に開示されたより短いタイムゲート幅を使用すると、より良好なコヒーレンスに起因する信号対雑音比の利得が得られ、その利得が、検出された光子の数の減少から生じる損失を、少なくとも幾分相殺する。短いタイムゲートでは、干渉のない経路長をデータ解析から除外することができる。したがって、干渉する光子のみが相関関数に寄与し、そのため、ゲート内でコヒーレンスが増加し、その結果得られる信号対雑音比の利得を果たすことができる。
【0113】
タイムゲートを利用する特定の態様では、複数のタイムゲートを利用して、光パルスが標的媒体20、120内で相互作用する散乱粒子のダイナミクスに関する追加の情報を提供することができる。複数のタイムゲートは、短いタイムゲート幅を有することができ、その結果依然として別個のタイムゲートの各々が標的媒体20、120の類似した深さに概ね関連する(すなわち、すべてが表層組織に関連するか、すべてが深部組織に関連する、など)が、別個のタイムゲートを使用することによって取得される情報は、例えば、測定された減衰を経路長と比較することによって、標的媒体20、120のダイナミックな特性をより良好に定量化することができる。
【0114】
特定の態様では、本明細書に記載の方法は、ゲート検出を利用することができ、それは最初の期間中にゲート検出器を停止させ、後続の期間にゲート検出器を起動することを伴う。この停止させることは、ゲート検出器に到着する光の初期のバーストから生じる可能性のある飽和を低減または排除するのに役立ち得る。
【0115】
特定の態様では、本明細書に記載の方法は、脈動測定を行うために時間分解検出を利用することができる。例えば、本明細書に記載の方法は、脈動流、吸収、および/または散乱を測定することができる。この測定は、血圧および/または心電図の測定などの他の生理学的測定と同期させることができる。適切な脈動測定技術の例は、米国仮特許出願第62/145,104号に優先権を主張し、事件番号125141.01531.MGH23304.03に提出されている、その内容全体が参照により本明細書に組み込まれる、「System and Method for Non−Invasively Monitoring Intracranial Pressure」と題する、共通に所有されている国際特許出願で見出すことができる。
【0116】
特定の態様では、本明細書に記載の方法のタイミング情報は、検出された各光子についての飛行時間タグを含むことができる。特定の態様では、相関情報は、検出された各光子の到着タグを含むことができる。この方法は、所定の範囲内に入る飛行時間タグに基づいて、検出された光子のサブセットを選択することを含み得る。そのため、決定するステップは、まさに検出された光子のサブセットに関連する情報を利用することができる。所定の範囲は、TR−DCS供給源のコヒーレンス長以下の最大値に及ぶことができる。所定の範囲は、1ps〜100nsであり得、10ps〜6ns、または25ps〜750psを含むが、これらに限定されるものではない。この方法は、飛行時間タグが別個の所定の範囲に入ることに基づいて、検出された光子の第2、第3、第4、または最大第nまでのサブセットを選択することをさらに含み得る。別個の所定の範囲は、いくらかの重なりを有していても重なり合っていなくてもよい。
【0117】
特定の態様では、本明細書に記載の方法は、2、3、4、5、6またはそれ以上、最大nまでの、供給源と検出器との距離での測定を利用することができる。多数の供給源と検出器との距離を使用することにより、大脳と大脳以外との間の測定のような、様々な異なる深さの測定の間のより優れた識別を成すことができる。多数の供給源と検出器との距離を使用する場合、諸方法の決定は、異なる供給源と検出器との距離から生じるタイミング情報および/または飛行時間の差異を補うことができる。
【0118】
特定の態様では、本明細書に記載の方法は、TRSおよびDCSの複数の光子の時間遅延を利用することができる。複数の光子の時間遅延を利用することは、CW DCSを介して達成し得るよりも大脳および大脳以外の測定値のより優れた識別を行うことができ、脳血流に対する感度を増加させることができる。
【0119】
特定の態様では、本明細書に記載の方法は、2つ以上の異なる波長の光を利用することができる。2つ以上の異なる波長の光を利用することは、2つ以上の異なる種についてのダイナミクスの決定をもたらすことができる。2つ以上の異なる波長は、流れ、吸収および散乱係数測定のより優れた定量化、および脳血流と組み合わせたヘモグロビン濃度および/またはヘモグロビン酸素飽和度の定量化を提供でき、CMRO
2の尺度を提供することができる。グローバルな分析は、流れおよびヘモグロビン濃度および/または酸素飽和度を同時に決定するために使用することができる。
【0120】
特定の態様では、本明細書に記載される方法は、TR−DCSを、CWおよび時間ドメインまたは周波数ドメインのNIRSと組み合わせることができる。
【0121】
特定の態様では、本明細書に記載の方法は、ベースラインの状態、自発的変化の状態、誘発された変化、またはそれらの組み合わせにおける、標的媒体20、120の特性を測定することができる。誘発された変化後の特性の測定値をベースラインの状態での測定値と比較することにより、誘発された変化に関する情報を提供することができる。
【0122】
特定の態様では、本明細書に記載の方法は、単一の部位または複数の部位から得る検出された信号を利用することができる。
【0123】
特定の態様では、本明細書に記載された相関は、正規化してもしなくてもよい。
【0124】
特定の態様では、時間ドメインのヒストグラムの一部のみを分析することができる。例えば、標的媒体20、120のより深い部分の特性を測定する場合、時間ドメインのヒストグラムの後期の部分のみを分析することができる。別の例として、(連続的または部分的に重複する)時間ドメインのヒストグラムの多くの小さな部分を分析することができる。
【0125】
特定の態様では、本明細書に記載の方法は、周波数ドメインDCS(FD−DCS)測定を含むことができる。FD−DCS測定は、パルスレーザまたは変調された光源の高調波成分を利用することができる。
【0126】
特定の態様では、本明細書に記載された方法は、同じ波長および同じ場所における標的媒体20、120の光学的特性を測定することができる。測定された特性は、解剖学的構造および生理学的構造による対象内および対象間の可変性を減少させるために使用することができる。さらに、DCSと非DCSの時間分解分光法の同時、共存下の測定は、2つ以上の検出器の位置、および共通の供給源に対する距離で、実行することができる。
【0127】
本明細書に記載の方法における計算、隔たり、および/または識別は、リアルタイムで、ほぼリアルタイムで、後処理で、またはそれらの組み合わせで行うことができる。これらの操作は、連続的に、準連続的に、および/または断続的に、または定期的に、および/または間欠的にまたは数回に分けて、またはそれらの任意の組み合わせで行うことができる。アラート、アラーム、および/またはレポートは、結果に応じて生成することができる。アラート、アラーム、レポート、および/または結果は、ローカルで表示する、および/またはリモートで伝送することができる。
【0128】
特定の態様では、本明細書に記載の方法、および特にそのタイムゲートの特徴は、表面近くの標的媒体20、120の領域に曝される測定を行うために利用することができ、より大きな供給源と検出器との隔たりによって達成できるが、従来の方法では、表面近傍の測定値を単離するために、供給源と検出器との短い隔たりが必要であった。同様に、本明細書に記載された方法、および特にそのタイムゲートの特徴を利用して、より深い標的媒体20、120の領域に曝される測定を行うことができ、供給源と検出器とのより短い隔たりによって達成できるが、従来の方法では、標的媒体20、120内のより深部での測定値を単離するために、供給源と検出器との大きい隔たりが必要である。供給源との検出器との短い隔たりが提供する1つの利点は、より多くの光子を測定することができ、それによって信号対雑音比を改善することである。
【0129】
標的媒体20、120は、内部領域および表面層を含むことができる。表面層は、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つまたはそれ以上の別個の層を含むことができる。いくつかの態様では、表面層は、2つ、3つ、または4つの異なる層を含むことができる。
【0130】
表面層は、対象の頭蓋骨、対象の頭皮、対象の頭蓋骨と大脳領域の間の流体層、またはそれらの組み合わせを含むことができる。内部領域は、対象の脳領域を含むことができる。
【0131】
流体は、血液、水、脳脊髄液(CSF)、リンパ液、尿などであり得る。流体の流れは、血流、水の流れ、CSFの流れ、リンパの流れ、尿の流れなどであり得る。
【0132】
特定の態様では、標的媒体20、120は、対象とする工業用流体であり得る。特定の態様では、標的媒体20、120は、哺乳動物の組織、鳥類の組織、魚類の組織、爬虫類の組織、両生類の組織などを含むがこれらに限定されない組織であってもよい。特定の態様において、標的媒体20、120は、ヒトの組織であり得る。
【0133】
システム10、110、310に関して上述した本開示の態様は、本明細書に記載の方法に適用可能であり、それらに組み込むことができる。明確にするために、上記の方法における方法ステップまたは特徴が存在していることを暗示するものとして当業者が理解する構造的特徴について、上記のシステムが説明している場合、本開示は、これらの方法ステップまたは特徴を包含していることを明確に企図している。非限定的な例として、上記の方法がコリメートされた光ビームを受け取る集束レンズについて記述する場合、当業者は、これが光を集束することを伴う方法ステップまたは特徴の存在を暗示していることを理解するであろう。
計算上の考慮事項
【0134】
強度の減衰の相関関数は、通常の光子拡散方程式に類似しているが、従来の吸収係数(μ
a)を動的吸収係数で置き換える相関拡散方程式によって記述することができる。すなわち、従来の光子拡散方程式で、相関拡散方程式を得るために、μ
aを以下の動的吸収項に置き換える。
【数1】
【0135】
式中、μ’
sは分解散乱係数、D
Bは血流の指標として作用するブラウン拡散係数、k
o=2πn/λは光の波数であり、τは相関時間である。したがって、この置換えを行うことにより、従来のTD−NIRSの解から、時間ドメイン−拡散相関の拡散方程式の解を得ることができる。半無限の媒体では、場の自己相関関数G
1の時間ドメインDCS(TD−DCS)解は次のようになる。
【0137】
式中、tはt=0におけるレーザパルスに関する光子の到着時間、ρは供給源と検出器との隔たりである。
【0138】
G
1(τ)をG
1(τ=0)で割ることにより、正規化された場の時間自己相関関数が得られる。そのようにすると、経路長依存自己相関関数が、以下のように得られる:
【0140】
式中、組織を通る同様の通過時間tが、組織を通る光の経路長Sに置き換えられる。これは、場の時間自己相関関数の減衰率が光子の経路長と共に線形に増加することを示すので、重要な方程式である。この方程式の別の重要な結果は、g
1s(τ、S)の経路長依存性の減衰が媒体の吸収係数とは無関係であるということである。g
1s(τ、S)は元来第1の原理によって導出され、検出された光子の経路長の分布の積分、すなわち、g
1(τ)=∫dsP(s)g
1s(τ、s) (3)によってCW−DCSに拡張される。
高度に散乱する媒体を通る光の拡散について、P(s)は、時間ドメイン光子拡散方程式の解によって得られる。
【0141】
実験的に、正規化された強度の自己相関関数(g
2)が測定され、それはG
1が以下の式に関連する。
【0143】
式中βは、検出された光の空間的および時間的コヒーレンスによるコヒーレンスの損失を司る。DCSの信号対雑音比(SNR)はβに対し線形に比例する。典型的には単一モードファイバを使用して検出を限定することによって、検出される領域を制限することにより、空間的コヒーレンスが、延長線上で考えても(SNR)、最大化される。従来のDCSで達成されたβの最高の値は、偏光子を用いる場合には1、または偏光子を用いない場合には0.5である。TD−DCSの場合、光パルスのコヒーレンス長は、一般に、散乱する媒体を通る光子の経路長の分布よりも小さく、その結果、検出時の時間的なコヒーレンスが低下するため、βがさらに低下する。βは、TD−DCS SNRの異なるパルスパラメータおよびゲートへの影響を推定するために、異なるパルス長に対して計算することができる。例えば、βは以下の関係式から推定することができる。
【0145】
図9〜11のモンテカルロシミュレーションに使用したように、供給源と検出器との隔たり1cm、μ
a=0.15cm
-1、μ’
s=12cm
-1について、また1ns後に到着する光子を測定し、300psの光パルスを使用する場合、βは0.28に減少することを見出した。パルス化した光のコヒーレンス長は、変換制限され(transform limited)、パルス幅に光の速度を掛けることによって得られると仮定する。レーザパルスがより長いと、より長いコヒーレンス長、より大きなβ、およびより多くの光子を有するが、正確性を低下させ、それによって、検出された光を経路長分解し、TPSF測定からの散乱係数を推定することができる。
【0146】
SNRの低下は、例えば、CW−DCSで得られたものより3倍多くの光子を検出することによって克服することができる。この増加は、より短い隔たり、より大きなレーザ出力、またはより長い組み込み時間を単に用いることによって達成され、実用的である。レーザパルスがより長いと、より長いコヒーレンス長、より大きなβ、およびより多くの光子を有するが、光学的特性をTPSF測定値または同等物から推定し得る正確性および精度が、低下する。したがって、変調されたまたはパルス化された供給源を使用することによって、DCS SNRはわずかに低下するが、この減少は、本発明の態様の利点によって予期せず相殺され、そのため予期せぬ正味の能力の増加をもたらす。
【0147】
DCSおよび非DCSの時間分解分光法のモダリティの両方について、複数の距離で測定することは、頭皮の交絡作用から脳のパラメータを識別することを容易にする。例えば、3つの異なる距離でTPSFを測定することにより、大脳内の吸収および散乱パラメータは、大脳外のものと効果的に分けることができる。また、これらの態様により、同時のTDおよびDCS、例えば特にTPSFおよびDCSの二層適合のための新規の戦略が、大脳および大脳外の光学的特性および血流を定量化することが可能になる。大脳外の厚さは、多距離DCS測定によって推定することができる。しかし、DCSによる推定は、層の吸収および散乱特性に依存する。本発明においてTDとDCSの測定値を組み合わせることにより、1つまたは複数の層からなるモデルを両方のモダリティに適合させることができ、データから層の厚さ、吸収、散乱および血流を一度に推定することができる。したがって、本発明は、経皮的な脳の光学測定の最も根本的な複雑化に直接対処する重要な革新である。本発明の測定および分析は、単一の供給源と検出器の隔たり、または複数の検出器および/または供給源の複数の距離において、グローバルまたは独立した分析で、任意の組み合わせで、全体的または部分的に行うことができる。
【実施例】
【0148】
実施例1.モンテカルロシミュレーション
【0149】
図2に示され、上述の理論的考察をした理論上の装置を使用して、モンテカルロシミュレーションを2層のシステムで実施して、本開示の態様で達成できる結果を例示した。CW−NIRSとCW−DCSについてもモンテカルロシミュレーションを行った。
図9〜11は、これらのシミュレーションの結果を示す。2層システムは、12mmの厚さを有する最上層と、無限の厚さを有する最下層とを有していた。シミュレーションでは以下のパラメータを使用した:μ’
s,top=12cm
-1;μ
a,top=0.10cm
-1;BFi
top=1x10
-8 cm
2/s;μ’
sbottom=12cm
-1;μ
a,bottom=0.15cm
-1;およびBFi
bottom=6x10
-8 cm
2/s。
【0150】
図9では、飛行時間の関数としての絶対的な信号が、3つの異なる供給源と検出器の隔たりについて示されている。典型的には、脳血流および/または酸素添加の経頭蓋測定のために、プローブが、頭皮または皮膚の表面に非侵襲的に配置される。CW DCSの従来技術では、脳の特性の測定を可能にするために、成人の頭部への十分な浸透の深さを達成するために、2cm以上の供給源と検出器との隔たりが典型的に必要とされている。TRおよびCW NIRSの従来技術では、大脳の酸素添加測定のために、3cm以上の典型的な隔たりを設けて、脳に到達する。DCSと比較して、NIRSにはより大きな隔たりが必要である。DCSは、頭皮と比較して脳での血流量が多いことで、望ましくない表層の流れから所望の脳での流れをある程度識別することが可能であるので、脳に対する感度について利点を有する。
図9から分かるように、伝送する光の絶対的な強度は飛行時間と共に減少するが、供給源と検出器の隔たりが小さいと増加する。
【0151】
図10は、ゲート時間として指定された飛行時間より後に到着する光子の累積総数を示す。遅れたゲート時間を使用するのは、より深い組織をより代表する信号をもたらし、非常に望ましい。しかし、図面で示すように、遅いゲート時間は信号レベルを低下させ、信号対雑音比もそれに対応して悪化するので、非常に望ましくない。したがって、使用することができるタイムゲートの量に対する実際的な制限が存在する。例えば、図面から、従来技術で使用されている典型的な値である3cmという供給源と検出器との隔たりの場合、1.3nsのタイムゲート時間は信号の90%の減少をもたらす。従来技術では、この10%の光が主として実際の対象の信号を表し、ゲートの前の90%の信号は主として望ましくない表層の信号を表すことに留意することが重要である。したがって、タイムゲートによって拒否された信号は大きさが大きいが、対象の情報にはあまり寄与しない。したがって、タイムゲートを使用することによる信号対雑音の実際の減少は、当然予想されるほど大きくはない。しかし、本発明の別の利点は、脳からの信号に対する感度も改善しながら、供給源と検出器との隔たりを減少させることによって信号対雑音比を増加できることである。これは従来技術では不可能である。この場合、隔たりを減少させることにより、脳からの対象である所望の信号の寄与が減少するからである。しかし、本開示の新規性は、対象の信号を選択および/または識別するために1つまたは複数のタイムゲートを使用できることである。例えば、
図10において、破線は1.3nsで適用されるタイムゲートを示す。この場合、タイムゲート後に検出された1cmの供給源と検出器との隔たりから生じる信号は、従来技術で使用された信号全体の信号対雑音比に匹敵する信号対雑音比を有する。本発明では、信号は主に対象の組織から来るが、従来技術では信号は主として表面組織から来る。したがって、本開示は、より狭い供給源と検出器の隔たりを利用することを可能にし、対象の組織に対する信号および感受性が増加するという利点を有する。
【0152】
図11において、シミュレーションは、DCSの従来技術に対する2倍の脳の感度、およびNIRSの従来技術と比較して、3.6倍の感度の典型的な正味の利益を示す。他の構成の下では、本発明の実施形態は遥かに大きな改善をもたらすことができる。
【0153】
実施例2.静的な同種ファントム
【0154】
この例では、
図1に示したものと同様のシステムを使用した。システムは、単一のTR−DCS供給源と、1cm離れた単一のTR−DCS検出器とを含んでいた。標的の媒体は、以下の特性を有する希釈した乳の試料であった:μ’=7.5cm
-1;およびμ
a=0.04cm
-1。TR−DCS供給源は、150MHzで100psの光パルスを放出するパルスレーザであった。
図12に示すように、検出器によって収集されたTPSFは約6nsのパルス長を有していた。TPSF全体を積分し、
図13に示す相関関数が得られた。この相関関数は、短いコヒーレンス長のレーザに関するCW相関関数と同等である。短い経路と長い経路が干渉しないため、自己相関関数の振幅βは減少した。これは、信号対雑音比に関して追加の要因を考慮しなければならないこと示している。
【0155】
TPSFにはいくつかのゲートが以下のように適用されている(ハイフンに続くのは
図15の参照番号):CW(>3ns)−1502,720ps−1504;480ps−1506;240ps−1508;120ps−1510;60ps−1512;および24ps−1514。24psゲートは
図14のTPSFに示され、他のゲートは同じ開始時間を有する。自己相関関数が
図15に示されており、上記参照番号は各ゲートの関数を指している。このデータは、信号対雑音を最大にするために、光源のコヒーレンス長、TPSF、およびゲート幅の間の妥協点を見つける必要があることを示している。
【0156】
さらに、信号対雑音比に関連する別の要因は、経路長分布に依存するものでもある、相関関数の幅βであることが分かった。
図16に示すように、同じ構成を使用して、60psゲートのセットを様々な時間にTPSFに適用した。第1のゲート1602、第2のゲート1604、第3のゲート1606、第4のゲート1608、第5のゲート1610、第6のゲート1612、および第7のゲート1614から、
図17にプロットされた自己相関関数および
図18にプロットされた測定されたβ値が得られた。CW自己相関関数および測定されたβ値は、参照番号1616で表される。
【0157】
流れは、上記の計算上の考慮事項の項で説明した方程式を使用して、相関のカーブから推定された。経路長は、タイムゲートと媒体の光子の速度との積から決定した。散乱係数は、TPSFから測定することができる。
図19に示すように、異なるタイムゲートの経路長依存自己相関関数をプロットし、続いて血流と散乱係数の積を抽出した。D
bμ’
sがsに対して適合され、D
bμ’
sを得た。
図20に示すように、適合から得られた勾配を経路長に対してプロットした。このプロットは、TPSFのt
0の較正をもたらす。これらの結果は、経路長の関数として、理論的に予測された線形挙動を確認するものである。
【0158】
実施例3.動的同種ファントム
【0159】
実施例2の実験の構成を実施例3で使用した。標的媒体は、以下の特性を有するシリコーン溶液であった:μ’
s=3.5cm
-1およびμ
a=0.04cm
-1。撹拌機構をシリコーン溶液の底に配置した。様々な撹拌速度設定1、2、3、4、5、6、7、および8について、TPSFが得られた。数がより大きいと、撹拌がより速いことを示す。TPSFは、
図19にプロットされているように、異なる撹拌速度の各々について同一であった。
図21に示すように、240psのゲートをTPSFに適用した。異なる撹拌速度の自己相関関数を
図22にプロットしている。スターラーの速度設定1、2、3、4、5、6、7および8の参照番号は、それぞれ2001、2002、2003、2004、2005、2006、2007および2008である。自己相関関数は、スターラーの速度の増加、すなわち流れの増加に伴って速く減衰する。この例は、流れの変化に対し感応性があることの証拠を示している。
【0160】
実施例4.インビボでタイムゲートされた流れ
【0161】
実施例2および3の光源および検出器を、0.5mm隔たった距離でラットの頭部につなげた。
図23に示すTPSFを取得し、31のゲートをTPSFに適用した。各ゲートは48psで、前のゲートに対してそれぞれ12psだけシフトしていた。ゲートは
図23のハイライトされた矩形に及んでいた。タイムゲートされた自己相関関数の幅βは、
図24に示すように、時間遅延に対してプロットされている。やはり、幅は予測された挙動に従っている。
図25に示しているように、経路長に対するg
1sの勾配をプロットすると、2つの異なるレジームが明らかになった。
図25で「早期」と示される短い経路長レジームは、早い方のD
bμ’
sについてのものであり、「後期」と示される長い経路長レジームは、後のD
bμ’
sについてのものである。散乱が一定である場合を仮定すると、これらの異なる勾配は、異なる流れの産物であり得る。早期のD
bμ’
sのより緩やかな傾きは、頭皮および頭蓋領域でのより遅い流れに対応し、後期のD
bμ’
sのより速い傾きは、大脳の領域でのより速い流れに対応している。
【0162】
実施例5.高炭酸ガス血症
【0163】
実施例4の実験の構成および手順を、代替的に通常の呼吸条件下にてラットで繰り返し、数%のCO
2で機械により換気した。これは、周辺部の血流を増加させることなく脳内の血流を差次的に増加させる効果を有する。炭酸正常状態と高炭酸ガス血症の結果のプロットを
図26に示す。より短い経路長の光子は、炭酸正常状態と高炭酸ガス血症の間の変化を示さないが、後で到着する光子はより速い勾配を有し、これは脳内で予想される、より速い流れを示す。
【0164】
上記の詳細な説明は、様々な実施形態に適用されるような新規な特徴を示し、説明し、指摘したが、例示された装置またはアルゴリズムの形態および詳細における様々な省略、代用、および変更は、開示の精神から逸脱せずになされ得るということが理解されるであろう。認識されるように、本明細書に記載される開示の特定の実施形態は、いくつかの特徴が他の特徴とは別個に使用または実行され得るため、本明細書に記載される特徴および利点のすべては備えていない形態で、実施され得る。本明細書に開示された特定の開示の範囲は、上記の説明ではなく、むしろ添付の特許請求の範囲によって示される。特許請求の範囲と均等の意味および範囲内に入るすべての変更は、その範囲内に含むことができる。