(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6983667
(24)【登録日】2021年11月26日
(45)【発行日】2021年12月17日
(54)【発明の名称】ねじり振動によって超音波を用いて部品を溶接するための装置
(51)【国際特許分類】
B23K 20/10 20060101AFI20211206BHJP
【FI】
B23K20/10
【請求項の数】18
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2017-567417(P2017-567417)
(86)(22)【出願日】2016年6月22日
(65)【公表番号】特表2018-527187(P2018-527187A)
(43)【公表日】2018年9月20日
(86)【国際出願番号】EP2016064360
(87)【国際公開番号】WO2017001255
(87)【国際公開日】20170105
【審査請求日】2019年5月8日
(31)【優先権主張番号】PCT/EP2015/064889
(32)【優先日】2015年6月30日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】512116871
【氏名又は名称】テルソニック・ホールディング・アー・ゲー
【氏名又は名称原語表記】TELSONIC HOLDING AG
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】特許業務法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ソレンターラー,ペーター
(72)【発明者】
【氏名】ヒューニッヒ,トーマス
【審査官】
黒石 孝志
(56)【参考文献】
【文献】
特開2003−165161(JP,A)
【文献】
特開2008−142738(JP,A)
【文献】
特表2013−532064(JP,A)
【文献】
特開2003−318230(JP,A)
【文献】
特開2003−282645(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23K 20/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
超音波を用いて部品を溶接するための装置(10;10′;10″)であって、
振動発生装置によってねじり軸(T)に対してねじり振動を起こすように励起され得るソノトロードヘッド(12;12′;12″)を有するソノトロード(11;11′;11″)を備え、前記ねじり軸(T)に対して周方向側の前記ソノトロードヘッド(12;12′;12″)には、少なくとも1つの溶接面(14;14′;14″)が配置され、前記装置はさらに、
前記ソノトロードヘッド(12;12′;12″)の振動ノードを含む支持領域(16;16′;16″)内に前記ソノトロードヘッド(12;12′;12″)を支持する支持装置(15;15′;15″)を備え、
前記支持領域(16;16′;16″)および前記溶接面(14;14′;14″)は、前記ねじり軸(T)に対して垂直に延在する共通面(E)内に少なくとも部分的に延在していることを特徴とする、装置。
【請求項2】
前記支持領域(16;16′;16″)は、前記ソノトロードヘッド(12;12′;12″)の(前記ねじり軸(T)に対する)内側領域のみを形成することを特徴とする、請求項1に記載の装置(10;10′;10″)。
【請求項3】
超音波を用いて部品を溶接するための装置(10;10′;10″;10′′′)であって、
振動発生装置によってねじり軸(T)に対してねじり振動を起こすように励起され得るソノトロードヘッド(12;12′;12″;12′′′)を有するソノトロード(11;11′;11″;11′′′)と、
前記ソノトロードヘッド(12;12′;12″;12′′′)の振動ノードを含む支持領域(16;16′;16″;16′′′)内に前記ソノトロードヘッド(12;12′;12″;12′′′)を支持する支持装置(15;15′;15″;15′′′)とを備え、
前記ソノトロード(11;11′;11″;11′′′)が、前記ねじり軸(T)に対して実質的に垂直に前記支持領域(16;16′;16″;16′′′)を貫通するボア(17;17′;17″;17′′′)を有し、前記支持装置(15;15′;15″;15′′′)が、前記ボア(17;17′;17″;17′′′)を貫通し、かつ、前記ボア(17;17′;17″;17′′′)における前記支持領域(16;16′;16″;16′′′)内に前記ソノトロード(11;11′;11″,11′′′)を支持する支持ピン(18;18′;18″;18′′′)を備えることを特徴とする、装置。
【請求項4】
前記支持ピン(18;18′;18″;18′′′)は、中間嵌め、収縮または圧入を用いて前記ボア(17;17′;17″;17′′′)における前記支持領域(16;16′;16″;16′′′)内に前記ソノトロード(11;11′;11″;11′′′)を支持することを特徴とする、請求項3に記載の装置(10;10′;10″;10′′′)。
【請求項5】
前記支持ピン(18;18′;18″;18′′′)は、前記ねじり軸(T)と交差することを特徴とする、請求項3および4のいずれか1項に記載の装置(10;10′;10″;10′′′)。
【請求項6】
前記ボア(17;17′;17″)は、前記支持領域(16;16′;16″)の方向にテーパ状になっていることを特徴とする、請求項3〜5のいずれか1項に記載の装置(10;10′;10″)。
【請求項7】
前記支持ピン(18;18′;18″)は、前記支持ピン(18;18′;18″)が前記ソノトロードヘッド(12;12′;12″)を支持する中央領域(24;24′;24″)の方向に広くなっていることを特徴とする、請求項3〜6のいずれか1項に記載
の装置(10;10′;10″)。
【請求項8】
前記支持ピン(18;18′;18″)に沿った前記支持領域(16;16′;16″)の長さは、前記支持ピン(18;18′;18″)に沿った前記ソノトロードヘッド(12;12′;12″)の大きさの10%〜30%、好ましくは20%〜25%であることを特徴とする、請求項3〜7のいずれか1項に記載の装置(10;10′,10″)。
【請求項9】
前記支持ピン(18;18′;18″)は、互いに対向しており、かつ、いずれの場合にも1つのベアリング開口(29;29′;29″)に受けられる2つの端部(20;20′;20″)を有することを特徴とする、請求項3〜8のいずれか1項に記載の装置(10;10′;10″)。
【請求項10】
一体成形であり、特に2つの前記ベアリング開口(29;29′;29″)を少なくとも部分的に形成するベアリングブロック(23;26′;26″)を備えることを特徴とする、請求項9に記載の装置(10;10′;10″)。
【請求項11】
前記ねじり軸(T)に対して周方向側の前記ソノトロードヘッド(12;12′;12″)には、少なくとも1つの溶接面(14;14′;14″)が配置され、前記装置は、前記ねじり軸(T)に対して実質的に垂直に前記ベアリングブロック(23;26′;26″)に対して作用する力(K)を発生させるための圧力装置を含み、その結果、第2の部品に接続される第1の部品に前記溶接面(14;14′;14″)を押圧することができることを特徴とする、請求項10に記載の装置(10;10′;10″)。
【請求項12】
請求項1〜11のいずれか1項に記載の装置(10″;10′′′)であって、
前記支持装置(15″;15′′′)が、前記ソノトロードヘッド(12″,12′′′)の温度を制御するための温度制御装置を有し、前記温度制御装置が、温度制御媒体のための少なくとも1つの温度制御供給部と、少なくとも1つの温度制御要素とを備え、前記温度制御供給部が、前記支持装置(15″;15′′′)を通して導かれ、前記温度制御要素が、前記温度制御供給部に動作可能に接続されることを特徴とする、装置。
【請求項13】
前記温度制御供給部は、温度制御流体を前記ソノトロードヘッド(12″,12′′′)に導入したり前記ソノトロードヘッド(12″,12′′′)から排出したりすることができる少なくとも1つの供給ダクト(31″;31′′′)を備え、前記温度制御要素は、前記温度制御流体のための少なくとも1つの温度制御ダクトを備え、前記温度制御ダクトは、前記供給ダクト(31″;31′′′)に流体接続されることを特徴とする、請求項12に記載の装置(10″;10′′′)。
【請求項14】
前記ソノトロード(11″;11′′′)は、前記支持領域(16″;16′′′)を貫通するボア(17″;17′′′)を有し、前記支持装置(15″;15′′′)は、前記ボア(17″;17′′′)を貫通し、かつ、前記ボア(17″;17′′′)における前記支持領域(16″;16′′′)内に前記ソノトロード(11″,11′′′)を支持する支持ピン(18″;18′′′)を備え、
前記支持ピン(18″;18′′′)は、前記供給ダクト(31″;31′′′)を有し、前記供給ダクト(31″;31′′′)は、前記支持ピン(18″;18′′′)の両端(20″;20′′′)に配置される開口(32″,33″)において開口することを特徴とする、請求項12および13のいずれか1項に記載の装置(10″;10′′′)。
【請求項15】
少なくとも1つの前記温度制御供給部が、前記ソノトロードヘッド(12″,12′′′)の溶接面(14″;14′′′)の領域に配置される、請求項12〜14のいずれか1項に記載の装置(10″;10′′′)。
【請求項16】
前記ソノトロードヘッド(12;12′;12″)は、前記ねじり軸(T)に対して径方向にあり、かつ、端部に1つの溶接面(14;14′;14″)が形成される少なくとも1つの突起(22;22′;22″)を有することを特徴とする、請求項1〜15のいずれか1項に記載の装置(10;10′;10″)。
【請求項17】
前記ソノトロードヘッド(12;12′;12″)は、振動発生装置によってねじり軸(T)に対してねじり振動を起こすように励起され得て、前記ソノトロードヘッド(12;12′;12″)は、前記ねじり軸(T)に対して径方向にあり、かつ、互いに対向しており、かつ、端部にいずれの場合にも1つの溶接面(14;14′;14″)が形成される厳密に2つの突起(22;22′;22″)を有し、前記支持ピン(18;18′;18″)は、前記2つの溶接面(14;14′;14″)を互いに接続する接続線(V)に対して実質的に垂直に延在していることを特徴とする、請求項3〜16のいずれか1項に記載の装置(10;10′,10″)。
【請求項18】
少なくとも1つの溶接面(14′′′)が、前記ねじり軸(T)に対して垂直な、前記ソノトロードヘッド(12′′′)の端面に配置される、請求項12〜15のいずれか1項に記載の装置(10′′′)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、独立特許請求項のプリアンブルに係るソノトロードヘッドを支持するための支持装置を使用して超音波を用いて部品を溶接するための装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ソノトロードヘッドのための公知の支持装置は、最小振幅(いわゆるゼロ点支持)で、ある場所に取り付けられる。これにより、実際の溶接動作のために提供される超音波エネルギが支持装置によってできるだけ除去されないような状況を実現することができる。その結果、支持装置における望ましくない温度上昇も回避することができる。
【0003】
たとえば、US3,184,841には、たとえば超音波トランスデューサを利用してねじり振動を起こすように励起され得るトーションソノトロードが開示されている。環状溶接先端部の作業面がねじり軸に対して垂直に延在している。ソノトロードは、振動ノードにおける質量によって支持される。
【0004】
WO02/061895 A1は、たとえばトーションソノトロードまたは長手方向振動子によって実現可能な導体の接続に関するものである。長手方向振動子は、振動ノードに取り付けることができる。
【0005】
EP2 261 008 A1には、超音波処理のためのさらなる装置および方法が開示されている。ソノトロードは、ねじり超音波振動を起こすように励起される。ソノトロードは、アンビルの係合部材が導入されるスロットを有し、その結果、溶接すべき2枚のプラスチックフィルムのために溶接ギャップが形成される。係合部材は、動作部の領域に、くさび面に隣接する受け台端縁を有する。係合部材または溝底部のいずれかに配置される支持セグメントは、円錐先端部を有し、当該円錐先端部は、ねじり軸の方向に位置し、溶接中に振動しないゼロ点接触を形成する。
【0006】
WO2011/138404 A1に開示されているトーションソノトロードは、周方向領域に作業面を有する突起を備える。いずれの場合にも、トーションソノトロードの固有振動の波長に対してノード線上に位置する1つの環状面が、作業面の両側に設けられている。1つの例示的な実施形態では、支持装置は上記環状面の周囲に係合する。圧力装置を利用して圧力が生成される。
【0007】
WO2012/069413 A1の例示的な実施形態では、ソノトロードの後方の長手方向位置において、ねじり振動子は、ねじり振動子のためのベアリングを形成するクランピングリングによって取り囲まれている。上記クランピングリングは、一般に振動ノードに配置される。
【0008】
しかし、上記の公知の支持装置は全て、振動ノードの位置が、ソノトロードヘッドに対して作用する力およびトルクに依存する、という不利な点を有している。一般的に言えば、振動ノードは、数ミリメートルだけずれる可能性がある。これは、超音波エネルギの望ましくない除去を引き起こし、既に上記した関連する不利な点が生じることになる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
したがって、本発明の目的は、上記の不利な点を持たない、超音波を用いて部品を溶接するための装置を提供することである。したがって、特に、当該装置のソノトロードは、超音波エネルギの無視できないほどの除去が起こらないように、正確に言うとソノトロードヘッドに対して作用する力またはトルクから独立して、支持されるべきである。
【0010】
上記目的およびさらなる目的は、超音波を用いて部品を溶接するための装置によって本発明の第1の局面に従って達成され、当該装置は、ソノトロードヘッドを有するソノトロードと、支持装置とを備える。ソノトロードヘッドは、振動発生装置によってねじり軸に対してねじり振動を起こすように励起され得る。本発明の第1の局面によれば、ねじり軸に対して周方向側のソノトロードヘッドには、少なくとも1つの溶接面が配置される。支持装置は、ソノトロードヘッドの振動ノードを含む支持領域内にソノトロードヘッドを支持する。
【0011】
本発明の第1の局面によれば、支持領域および溶接面は、ねじり軸に対して垂直に延在する共通面内に少なくとも部分的に延在している。この実施形態には、振動ノードの位置が、実際には、溶接面に対して作用する力またはトルクに依存しないという利点がある。したがって、上記力またはトルクから独立して、超音波エネルギの無視できないほどの除去が支持装置によって引き起こされることはなく、その結果、超音波エネルギの大部分を実際の溶接目的に利用することができる。
【0012】
有利に、支持領域は、ソノトロードヘッドの(ねじり軸に対する)内側領域のみを形成する。ねじり振動の振幅が外側領域よりも上記内側領域において小さいので、その結果、支持装置で除去される超音波エネルギをさらに減少させることができる。
【0013】
本発明の第2の独立局面によれば、装置は、同様に、超音波を用いて部品を溶接するように設計され、振動発生装置によってねじり軸に対してねじり振動を起こすように励起され得るソノトロードヘッドを有するソノトロードと、ソノトロードヘッドの振動ノードを含む支持領域内にソノトロードヘッドを支持する支持装置とを備える。しかし、第2の局面によれば、ねじり軸に対して周方向側のソノトロードヘッドに溶接面が配置されなくてもよく、その代わりに、少なくとも1つの溶接面は、ねじり軸に対して垂直な、ソノトロードヘッドの端面に配置され得る。第2の局面によれば、支持領域および溶接面も、ねじり軸に対して垂直に延在する共通面内に少なくとも部分的に延在していなくてもよい。
【0014】
第2の局面によれば、ソノトロードは、ねじり軸に対して実質的に垂直に支持領域を貫通するボアを有し、支持装置は、ボアを貫通し、かつ、ボアにおける支持領域内にソノトロードを支持する支持ピンを備える。ここでおよび以下の本文において、「ねじり軸に対して実質的に垂直に」貫通するとは、ボアが80°〜100°の角度で支持領域を貫通することを意味するように理解される。上記角度は、好ましくは85°〜95°、さらに好ましくは89°〜91°の範囲内であり、さらに特に好ましくは90°である。その理由は、上記角度が90°に近付くにつれて、除去される超音波エネルギが少なくなるからである。このようにして、ソノトロードヘッドの(ねじり軸に対する)内側領域においてのみ、支持を特に簡単に実現することができ、その結果、既に上記した利点を実現することができる。
【0015】
全く驚くべき態様で示されたように、ソノトロードの音響特性は、それを貫通するボアによって、および、ボアを貫通する支持ピンによって、不利な影響を受けることはない。このタイプの支持ピンには、特にソノトロードを再位置決めまたは交換するときにソノトロードを正確に使用できるという利点がある。
【0016】
ソノトロードおよび支持ピンが互いに一体に構成されるということが考えられ、本発明の文脈の範囲内である。しかし、有利に、ソノトロードおよび支持ピンは、ともに接合された2つの別々の部品である。支持ピンは、たとえば中間嵌め、収縮または圧入を用いてボアにおける支持領域内にソノトロードを支持してもよい。
【0017】
特に有利に、支持ピンは、ねじり軸と交差する。このようにして、支持ピンは、ソノトロードヘッドの(ねじり軸に対する)内側領域を特に効果的に支持することができる。
【0018】
ソノトロードヘッドの(ねじり軸に対する)内側領域においてのみ支持を可能にするために、ボアは、支持領域の方向にテーパ状になっていてもよい。この表現は、ボアの円錐形領域と、ボアが支持領域でも互いに対向する2つの開口セクションでも円筒形であり、ボアがソノトロードから開口し、ボアが支持領域において第1の内径を有するが、第1の内径が開口セクションにおけるボアの第2の内径よりも小さい実施形態とを含む。このタイプの階段状領域は、円錐形領域よりも製造が容易である。
【0019】
代替例としてまたは加えて、支持ピンは、支持領域の方向に広くなっていてもよい。同様に、この表現は、第1の外径を有する中央領域と、第1の外径よりも小さな第2の外径を有する2つの端部領域とを有する支持ピンも含む。支持領域が長くなればなるほど、支持が安定的になる。しかし、第二に、支持領域の長さが長くなるにつれて、ねじり振動の減衰もますます不所望に生成される。支持ピンに沿った支持領域の長さが、支持ピンに沿ったソノトロードヘッドの大きさの10%〜30%、好ましくは20%〜25%であれば、実際には有利であることが証明された。
【0020】
さらなる有利な実施形態では、支持ピンは、互いに対向しており、かつ、いずれの場合にも1つのベアリング開口に受けられる2つの端部を有していてもよい。このようにして、溶接中に生成される力およびトルクは、ベアリングシステムに伝達可能である。ベアリング開口の各々は、いずれの場合にも一体成形のベアリングブッシュの開口として構成されてもよい。代替例として、ベアリング開口の各々は、2つのベアリング部品によって、たとえばベアリングブロックおよびクランプ爪によって、形成されてもよい。たとえばソノトロードを別の位置に移すために、このタイプのクランプ爪をベアリングブロックから解放することによって特に簡単に支持ピンにアクセスすることができ、別の溶接面を溶接に使用することができる。
【0021】
特に有利に、装置は、一体成形であり、特に2つの上記ベアリング開口を少なくとも部分的に形成するベアリングブロックを備える。このタイプの一体成形のベアリングブロックは、構造の点で特に単純である。しかし、この代替例として、2つのベアリングブッシュが互いに一体に構成されないことも考えられ、同様に本発明の範囲内である。
【0022】
さらに、装置は、ねじり軸に対して実質的に垂直にベアリングブロックに対して作用する力を発生させるための圧力装置を備えていてもよい。ここでおよび以下の本文において、「ねじり軸に対して実質的に垂直に作用する力」とは、当該力とねじり軸との間の角度が70°〜110°、好ましくは80°〜100°、特に好ましくは85°〜95°の範囲内であり、さらに特に好ましくは90°であることを意味するように理解される。このようにして、第2の部品に接続される第1の部品に溶接面を押圧することができる。本発明に係る支持装置のために、圧力装置によって発生する力が振動ノードの位置のいかなる無視できないほどのずれも生じさせることはない。
【0023】
支持ピンは、中空ピンとして構成されてもよく、または中実の材料で構成されてもよい。中空ピンには振動減衰の向上という利点があるのに対して、中実の材料で構成されるピンはより機械的に安定している。
【0024】
第3の独立局面では、本発明は、超音波を用いて部品を溶接するための装置に関し、当該装置は、振動発生装置によって振動を起こすように励起され得るソノトロードヘッドを有するソノトロードと、ソノトロードヘッドの振動ノードを含む支持領域内にソノトロードヘッドを支持する支持装置とを備える。
【0025】
振動発生装置は、ねじり軸に対してねじり振動を起こすようにソノトロードヘッドを励起するように構成され得る。ここで、ねじり軸に対して周方向側に少なくとも1つの溶接面が配置されてもよく、および/または、ねじり軸に対して垂直な端面に少なくとも1つの溶接面が配置されてもよい。しかし、代替例として、振動発生装置は、長手方向振動を起こすようにソノトロードヘッドを励起するように構成されてもよい。
【0026】
本発明の上記第3の局面では、装置は、ソノトロードヘッドの温度を制御するため、特にソノトロードヘッドを冷却または加熱するための温度制御装置を有する。温度制御装置は、温度制御媒体のための少なくとも1つの温度制御供給部と、少なくとも1つの温度制御要素とを備え、温度制御供給部は、支持装置を通して導かれ、温度制御要素は、温度制御供給部に動作可能に接続され、好ましくはソノトロードヘッドの溶接面の領域に配置される。以下でさらに説明するように、動作可能な接続は、たとえば流体接続または電気接続で構成されてもよい。ソノトロードヘッドの振動ノードを含む支持領域内にソノトロードヘッドを支持する支持装置に温度制御供給部が配置されるので、温度制御供給部は、実際には、超音波振動によって損なわれることはない。溶接面の領域におけるソノトロードヘッドの冷却は、特に効果的である。なぜなら、大半の熱が溶接中にそこで生成されるからである。溶接面の領域におけるソノトロードヘッドの加熱も、いくつかの実施形態では有利であると証明された。さらに、ソノトロードヘッドの温度制御には、温度、およびしたがって共振周波数も比較的一定に保つことができるという利点がある。
【0027】
いくつかの例示的な実施形態では、温度制御供給部は、温度制御流体をソノトロードヘッドに導入したりソノトロードヘッドから排出したりすることができる少なくとも1つの供給ダクトを備える。上記例示的な実施形態では、温度制御流体は、温度制御媒体を形成する。温度制御流体、特に冷却流体または加熱流体は、たとえば気体または水などの液体であってもよい。少なくとも1つの供給チャネルは、開口において支持装置から開口し得る。温度制御流体は、第1の開口を介して導入されてもよく、さらに第2の開口から排出されてもよい。温度制御要素は、温度制御流体のための少なくとも1つの温度制御ダクトを備え、温度制御ダクトは、供給ダクトに流体接続される。
【0028】
代替例として、温度制御媒体は、電流であってもよい。電流は、支持装置に配置された電線路によってソノトロードヘッドに導入されてもよく、電線路は温度制御供給部を形成する。温度制御要素は、電線路に電気的に接続される電気的温度制御要素であってもよい。電気的温度制御要素は、ソノトロードヘッドを冷却または加熱するためにたとえばペルティエ素子として構成されてもよく、および/または、ソノトロードヘッドを加熱するために加熱ワイヤとして構成されてもよい。
【0029】
1つの考えられる実施形態では、支持装置は、中空ピンとして構成され、かつ、温度制御流体のための供給ダクトをその中に含む温度制御供給部を形成する上記の支持ピンを備える。供給ダクトは、たとえばセンタリングされた態様で中空ピン内に配置されてもよく、円筒形の構成であってもよい。少なくとも1つの供給ダクトは、支持ピンの両端に配置され得る開口において開口してもよく、または支持ピンの同一の端部において開口してもよい。本発明の第1の局面に従って支持領域および溶接面が、ねじり軸に対して垂直に延在する共通面内に少なくとも部分的に延在している場合、少なくとも1つの供給ダクトおよび温度制御ダクトは、支持ピンの共通のボアによって形成されてもよく、共通のボアは全体にわたって円筒形であってもよい。
【0030】
他の実施形態では、たとえばソノトロードヘッドに配置されるペルティエ要素に電流を供給するために、電線路が支持ピンを通して導かれてもよい。
【0031】
本発明の第1の局面は、ボアおよび支持ピンとは異なる態様でソノトロードが支持領域に支持される装置も含む。
【0032】
ソノトロードヘッドは、ねじり軸に対して径方向にあり、かつ、端部にいずれの場合にも1つの溶接面が形成される少なくとも1つ、好ましくは複数の突起を有していてもよい。このタイプの径方向の突起により、ソノトロードヘッド全体が大きな半径を有する必要なしに、溶接面において大きなねじり振動振幅を実現することができる。
【0033】
さらに、ソノトロードヘッドが、ねじり軸に対して径方向にあり、かつ、互いに対向しており、かつ、端部にいずれの場合にも1つの溶接面が形成される厳密に2つの突起を有し、支持ピンが、2つの溶接面を互いに接続する接続線に対して実質的に垂直に延在していれば、有利である。ここで、「実質的に垂直」な進路とは、支持ピンと接続線との間の角度が70°〜110°、好ましくは80°〜100°、特に好ましくは85°〜95°の範囲内であり、さらに特に好ましくは90°であることを意味するように理解される。このタイプの実質的に垂直な進路は、支持装置による力およびトルクの伝達のさらなる向上を確実にする。
【0034】
以下の本文において、複数の例示的な実施形態および図面を用いて、本発明について詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【
図1a】本発明に係る第1の装置の概略斜視図を示す。
【
図4】ソノトロードヘッドの端面上に配置された溶接面を有する本発明に係る第4の装置の斜視図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0036】
概略
図1aに示される、超音波を用いて部品を溶接するための装置10は、2つのエンドピース13とソノトロードヘッド12とを有するソノトロード11を備え、ソノトロードヘッド12は、2つのエンドピース13の間に配置されており、振動発生装置(ここでは図示せず)を利用して、エンドピース13を介してねじり軸Tに対してねじり振動を起こすように励起され得る。ソノトロードヘッド12は、ねじり軸Tに対して径方向にあり、かつ、互いに向かい合わせに位置する2つの突起22を有する。いずれの場合にも、1つの溶接面14が突起22の端部に形成され、溶接面14によって第1の部品を第2の部品に溶接によって接続することができる。したがって、ねじり軸Tに対して周方向側に2つの溶接面14が配置される。さらに、装置10は、支持領域内にソノトロードヘッド12を支持する支持装置15を備える。
図1bにさらに詳細に示されている上記支持領域は、ソノトロードヘッド12の振動ノードを収容する。
【0037】
図1bに係る断面図は、支持装置15の詳細を示す。ソノトロード11は、ねじり軸Tに対して垂直に、また2つの溶接面14を互いに接続する接続線Vに対して垂直に支持領域16を貫通する円筒形ボア17を有する。さらに、支持装置15は、ボア17を通る支持ピン18を備え、支持ピン18の中央領域24は、ボア17における支持領域16内にソノトロード11を支持する。支持ピン18は、その中央領域24の方向に広くなっている。ここに示されている例示的な実施形態では、支持ピン18に沿った支持領域16の長さは、支持ピン18に沿ったソノトロードヘッド12の大きさの約20%である。支持ピン18は、ボア17に押し込まれることによってソノトロード11に保持されている。これは、たとえば支持ピン18を冷却によって収縮させ、次いでベアリング開口29を介してボア17に導入するコールドシュリンクプロセスによって実現可能である。その後の再加熱動作中に、支持ピン18はボアに押し込まれる。
【0038】
このようにして、ソノトロード11は、ソノトロードヘッド12の(ねじり軸Tに対する)内側領域内にのみ支持される。言い換えれば、支持領域16は、ソノトロードヘッド12の(ねじり軸Tに対する)内側領域のみを構成する。支持領域16および溶接面14は、ねじり軸Tに対して垂直に延在する共通面E内に延在している。
【0039】
本発明に係る上記の実施形態の結果、振動ノードの位置は、実際には、溶接面14に対して作用する力またはトルクに依存することはない。上記の力またはトルクから独立して、超音波エネルギの無視できないほどの除去が支持装置15によって引き起こされることはなく、その結果、超音波エネルギの大部分を実際の溶接目的に利用することができる。
【0040】
この例示的な実施形態では、支持ピン18は、中空ピン18として構成される。しかし、代替例として、支持ピン18は中実の材料で構成されてもよい。
【0041】
支持ピン18は、互いに反対側に位置し、かつ、いずれの場合にも共通の一体成形のベアリングブロック23のベアリングブッシュ21の1つのベアリング開口29に受けられる2つの端部20を有する。このようにして、ベアリングブロックに力およびトルクを伝達することができる。支持ピン18は、ソノトロードヘッド12の特に正確な位置決めを可能にする。
【0042】
さらに、装置10は、ベアリングブロック23上でねじり軸Tに対して垂直に作用する力Kを発生させるための圧力装置(ここでは図示せず)を備え得る。このようにして、第2の部品に接続される第1の部品に溶接面14のうちの1つを押圧することができる。
【0043】
図2a〜
図2eは、超音波を用いて部品を溶接するための本発明に係る第2の装置10′を示す。
【0044】
図2aによれば、装置10′は、ソノトロード11′を受ける溝状の凹部を有するベアリングブロック26′を備える。また、上記ソノトロード11′は、2つのエンドピース13′と、その間に配置されるソノトロードヘッド12′とを備え、ソノトロードヘッド12′は、端部にいずれの場合にも1つの溶接面14′が存在する2つの突起22′を有する。エンドピース13′を介して、ソノトロードヘッド12′は、2つの振動発生装置(図示せず)によってねじり軸Tに対してねじり振動を起こすように励起され得る。支持ピン18′の2つの両端20′は、クランプ爪27′を利用してベアリングブロック26′に締結されている。クランプ爪27′は、ねじ開口28′に挿入されたボルトによってベアリングブロック26′上に固定されている。支持ピン18′は、ベアリングブロック26′からクランプ爪27′を解放することによって特に簡単にアクセスすることができる。ねじり軸Tに対して垂直に作用する力Kは、圧力装置(ここでは図示せず)、たとえば空気圧シリンダによってベアリングブロック26′に対して働かせることができ、その結果、第2の部品に接続される第1の部品に溶接面14′を押圧することができる。
【0045】
図2bに係る断面図から分かるように、装置10′は、ソノトロード11′のエンドピース13′を保持する2つの支持体30′を備える。上記2つの支持体30′は、たとえば積層ファブリックボードで構成されてもよい。上記2つの支持体30′は、同様に、エンドピース13′を支持するための溝状のくぼみを備える。ソノトロード11′の位置は、支持体30′を利用して特に正確に設定することができる。
【0046】
図2cにおける断面図から推測できるように、ソノトロード11′は、ねじり軸Tと交差し、かつ、その途中で、ねじり軸Tに対して垂直に、また2つの突起22′を接続する接続線Vに対して垂直にソノトロードヘッド12′を貫通するボア17′を有する。ボア17′には、ボア17′における支持領域16′内にソノトロード11′を支持する支持ピン18′が挿入されている。ここで、支持ピン18′は、中間嵌めを用いて保持され、その結果、必要な場合、たとえば摩耗、湾曲または破損した場合には、交換することができる。支持領域16′にはソノトロードヘッド12′の振動ノードがある。
【0047】
図2dは、ソノトロードヘッド12′の詳細な斜視断面図を示す。ここで明らかに分かるように、ボア17′は、支持領域16′において第1の内径を有し、互いに対向する2つの開口セクション19′において第2の内径を有し、第2の内径は第1の内径よりも大きい。したがって、ボア17′は、支持領域16′の方向にテーパ状になっている。
【0048】
図2eは、支持ピン18′を詳細に示す。第1の例示的な実施形態の支持ピン18とは対照的に、上記支持ピン18′は、中実の材料で構成されている。支持ピン18′は、第1の外径を有する中央領域24′と、第1の外径よりも小さな第2の外径を有する、互いに対向する2つの端部領域25′とを備える。したがって、支持ピン18′は、ソノトロードヘッド12′が支持される中央領域の方向に広くなっている。
【0049】
支持ピン18′に沿った支持領域16′の長さは、支持ピン18′に沿ったソノトロードヘッド12′の大きさの約25%である。
【0050】
その結果、全体的に見て、ソノトロードヘッド12′は、ソノトロードヘッド12′の(ねじり軸Tに対する)内側領域内にのみ支持される。さらに、支持領域16′および2つの溶接面14′は、ねじり軸Tに対して垂直に延在する共通面E内に延在している。本発明に係るこの構成には、既に上記した利点がある。
【0051】
それが
図2a〜
図2cの下部に示される溶接面14′を使用できるようにするために、まず第一に、クランプ爪27′をベアリングブロック26′から解放することができる。ボア17′および支持ピン18′のセンタリング動作のために、ならびに全体的配置が対称であるために、ソノトロード11′は、次いで、支持ピン18′とともにねじり軸Tを中心として180°だけ簡単に回転させることができ、その結果、端部20′が再びベアリング開口29′に受けられる。その後、クランプ爪27′を再びベアリングブロック26′に締結することができる。上記位置決めは、支持ピン18′のために極めて正確である。
【0052】
図3に示される本発明に係る第3の装置10″では、
図2a〜
図2eに示される装置10′とは対照的に、支持ピンが中空のピン18″として構成されている。支持ピンは、センタリングされた連続的に円筒形のダクト31″を有し、当該ダクト31″を介して温度制御流体、特に冷却媒体または加熱媒体、たとえば水をソノトロードヘッド12″に再び導入したり、ソノトロードヘッド12″を通して導いたり、ソノトロードヘッド12″から導出したりすることができる。このようにして、溶接面14″の領域におけるソノトロードヘッド12″温度制御、特に冷却または加熱を実現することができる。ダクト31″は、支持ピン18″の両端20″に配置される開口32″,33″において開口している。温度制御流体は、第1の開口32″を介して導入することができ、第2の開口33″から再び排出することができる。したがって、ダクト31″は、温度制御流体を導入および排出するための供給ダクトと、温度を制御するための温度制御ダクトとを同時に形成する。冷却媒体が使用される場合、この実施形態は、溶接中に大半の熱が生成される溶接面14″の領域でのソノトロード11″の冷却を可能にする。
【0053】
図4は、溶接面14′′′がソノトロードヘッド12′′′の端面に配置される本発明に係る第4の例示的な実施形態を概略的に示す。ここでも、支持ピン18′′′が設けられ、当該支持ピン18′′′は、ボア17′′′における支持領域16′′′内にソノトロード11′′′を支持する。支持ピン18′′′の端部20′′′は、2つのベアリング開口(ここでは図示せず)に保持されている。支持ピン18′′′は、温度制御流体をソノトロードヘッド12′′′に導入することができる供給ダクト31′′′を備える。ソノトロードヘッド12′′′の内部では、供給ダクト31′′′に流体接続される温度制御された溝(同様に、ここでは図示せず)が溶接面14′′′の領域に設けられている。このようにして、溶接面14′′′の領域においてソノトロードヘッド11′′′を冷却することができる。
【0054】
図4に係るソノトロードヘッド12′′′は、ねじり軸Tに対してねじり振動を起こすように、または長手方向振動を起こすように励起可能であり得て、支持領域16′′′は、ソノトロードヘッド12′′′のねじりまたは長手方向振動ノードを含む。この領域に支持ピン18′′′が配置されているために、温度制御流体の供給が損なわれることはない。