(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記コネクタが前記ヒータに対して、前記第1の位置、及び、前記第1の位置から前記第2の位置に至るまでの間に位置するとき、前記金属端子は前記第1の電極部と電気接点を形成し、前記妨げ部は、前記ヒータユニットが前記第1の支持板及び前記第2の支持板に装着されるのを許容することを特徴とする請求項1に記載の画像加熱装置。
前記第1の位置にて前記金属端子が前記第1の電極部と電気接点が形成されるように、前記基板と平行な方向であって前記第1の方向と直交する第3の方向に関し、前記ヒータに対する前記コネクタの相対位置を規制する規制部を有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の画像加熱装置。
前記妨げ部は、樹脂製であり、前記コネクタから延びるケーブルの位置をガイドするガイド部と一体成型されていることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の画像加熱装置。
前記ヒータは、前記基板の上に前記発熱体と前記第1の電極部と前記第2の電極部とが形成されていることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載の画像加熱装置。
前記コネクタが前記ヒータに対して前記第1の位置にある状態で前記ヒータユニットが前記第1の支持板及び前記第2の支持板に装着されているとき、前記保持部と前記妨げ部の間の最短距離は、前記所定の距離よりも短いことを特徴とする請求項1乃至11のいずれか1項に記載の画像加熱装置。
前記コネクタが前記ヒータに対して、前記第1の位置、及び、前記第1の位置から前記第2の位置に至るまでの間に位置するとき、前記金属端子は前記第1の電極部と電気接点を形成し、前記妨げ部は、前記ヒータユニットが前記第1の支持板及び前記第2の支持板に装着されるのを許容することを特徴とする請求項14に記載の画像加熱装置。
前記妨げ部は、樹脂製であり、前記コネクタから延びるケーブルの位置をガイドするガイド部と一体成型されていることを特徴とする請求項14乃至16のいずれか1項に記載の画像加熱装置。
前記ヒータは、前記基板の上に前記発熱体と前記第1の電極部と前記第2の電極部とが形成されていることを特徴とする請求項14乃至17のいずれか1項に記載の画像加熱装置。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、本発明の実施の形態を添付の図面に基づいて詳細に説明する。
【0015】
《第1の実施形態》
(画像形成装置)
図2は、本発明の実施形態に係る定着装置を搭載した画像形成装置500の断面図である。上下斜め方向に並設した4個のカートリッジ7(7a〜7d)は、電子写真感光体としての感光体ドラム1(1a〜1d)を有する感光体ドラムユニット26(26a〜26d)と、現像ユニット4(4a〜4d)を備える。
【0016】
感光体ドラム1は、駆動部材(不図示)によって、
図2内の時計回り(Q方向)に回転駆動される。また、感光体ドラム1の周囲には、その回転方向の順に、クリーニング部材6(6a〜6d)、帯電ローラ2(2a〜2d)、現像ユニット4が配置される。
【0017】
クリーニング部材6は、感光体ドラム1上に形成されたトナー像を中間転写フィルム5上に転写した後、感光体ドラム1上に残留したトナー剤を除去するものである。クリーニング部材6によって除去されたトナー剤は、感光体ユニット26(26a〜26d)内の除去トナー室に回収される。
【0018】
また、帯電ローラ2は、感光体ドラム1表面を均一に帯電するものである。帯電ローラ2によって感光体ドラム1の表面が帯電された後、スキャナユニット(露光手段)3からユニット開口32(32a〜32d)を通じて、感光体ドラム1表面にレーザ光が露光される。これにより、感光体ドラム1の表面に静電潜像が形成される。尚、本実施形態においては、スキャナユニット3は、カートリッジ7の下方に配置されている。
【0019】
また、現像ユニット4は、感光ドラム1の上に形成された静電潜像にトナー剤を供給して、静電潜像をトナー像として現像するためのものである。現像ユニット4には、感光体ドラム1と当接して感光体ドラム1の表面にトナー剤を供給する現像ローラ25(25a〜25d)と現像ローラ25に当接して現像ローラ25にトナー剤を供給する供給ローラ34(34a〜34d)が備えられる。
【0020】
記録材(記録紙)Sに画像を形成する際は、まずスキャナユニット3によって感光体ドラム1の表面に形成された静電潜像がカートリッジ7によってトナー像として現像され、中間転写フィルム5に転写される。
【0021】
中間転写フィルム5は、駆動ローラ10、テンションローラ11に張架され、
図2中の矢印R方向に駆動する。また、各感光体ドラム1に対向して、中間転写フィルム5の内側に一次転写ローラ12(12a〜12d)が配設されており、不図示のバイアス印加手段により転写バイアスが印加される構成となっている。例えば、負極性に帯電したトナー剤を用いる場合は、一次転写ローラ12に正極性のバイアスを印加することにより、順次、中間転写フィルム5上にトナー像が一次転写される。そして、中間転写フィルム5に4色のトナー像が重なった状態で二次転写部15まで搬送される。
【0022】
この際、記録材Sへの二次転写後に中間転写フィルム5上に残ったトナー剤は、転写フィルムクリーニング装置23によって除去され、除去されたトナー剤は、廃トナー搬送路(不図示)を通過し、廃トナー回収容器(不図示)で回収される。
【0023】
一方、上述した画像形成動作と同期して、給送装置13やレジストローラ対17等からなる搬送機構によって、記録材Sが二次転写部15へ向けて給送される。給送装置13は、複数の記録材Sを収納する給送カセット24と、記録材Sを給送する給送ローラ8と、給送された記録材Sを搬送する搬送ローラ対16とを有している。
【0024】
給送カセット24は、画像形成装置500から着脱自在に構成されている。ユーザは、給送カセット24を引き抜き、画像形成装置500から取り外した後、記録材Sをセットし画像形成装置500へ挿入することで記録材Sの補給が完了する。給送カセット24に収納された記録材Sのうち、最上位に位置する記録材Sには給送ローラ8が圧接し、給送ローラ8の回転とともに分離パッド9によって一枚ずつ分離されて記録材Sが搬送される(摩擦片分離方式)。
【0025】
そして、給送装置13から搬送された記録材Sは、レジストローラ対17によって二次転写部15に搬送される。二次転写部15においては、二次転写ローラ18に正極性のバイアスを印加することにより、搬送された記録材Sに、中間転写フィルム5上の4色のトナー像を二次転写することが可能である。
【0026】
そして、記録材Sは二次転写部15から給送され定着装置40へと搬送され、記録材Sに転写された画像に熱、圧力を加えて画像を記録材S上に定着させる。その後、トナー像が定着された記録材Sは、排出ローラ対19によって排出トレイ20に排出される。
【0027】
(定着装置)
次に、本実施形態における画像加熱装置としての定着装置40の構成について説明する。本実施形態における定着装置40は、円筒状の薄肉金属の基層上に弾性層が形成された定着フィルム101を用いたフィルム加熱方式、加圧ローラ駆動方式の定着装置である。
図3(a)に本実施形態における定着装置40の長手方向の断面図(
図2のA−A断面図)、
図3(b)に定着装置40の短手方向の断面図(
図3(a)のB−B断面)を示す。
【0028】
図3(a)、
図3(b)において、定着装置40は、定着部材として無端ベルトである円筒状の定着フィルム(第1の回転体)101と、加圧部材としての加圧ローラ(第2の回転体)106と、加熱体としてセラミックヒータ(ヒータ)100と、を有する。また、
定着フィルム101と協働して記録材上のトナー画像を加熱するニップ部を形成する加圧ローラ106に対し、定着フィルムを挟む位置に圧接部材103を有する。更に、定着フィルム101の内面温度を検知するサーミスタ105と、円筒状の定着フィルム両端部に設置され、定着フィルム101の長手方向の移動を規制する定着フランジ104と、を有する。
【0029】
更に、定着装置40は、圧接部材103の強度を確保するために定着フィルム101の内面側に配置されるステー102と、ヒータ100に画像形成装置500から電力を供給するコネクタ107と、を有する。また、定着装置40は、コネクタ107とヒータ100との間に挟まれるスペーサ108(後述する接点圧を保証)を有する。更に、コネクタ107に一端側が接続されたケーブル107cの他端側を内部に収容しつつケーブル107cをガイドするガイド部材109が定着装置に設けられている。このガイド部材109は、規制部材(妨げ部)としての機能を備える(後に詳述)。
【0030】
以下この定着フィルム101、ヒータ100、圧接部材103、圧接部材103を加圧する加圧機構としてのステー102、定着フランジ104、サーミスタ105、コネクタ107、スペーサ108をまとめたものをフィルムユニット111とする。なお、本実施形態においてはコネクタの挿入方向をX方向、フィルムユニットの長手方向(記録材の搬送方向に直交する方向)をY方向、後述の
図3(a)で説明するヒータ100の基板において電極部が形成されている面と直交する方向をZ方向とする。尚、本実施形態において、Z方向は、フィルムユニットの加圧方向でもある。
【0031】
(加圧部材)
加圧部材としての加圧ローラ(回転体)106は、金属製の芯金106aと、芯金106aの周りに同心一体にローラ状に成形被覆させた、シリコーンゴム・フッ素ゴム・フッ素樹脂などの耐熱性・弾性材層とで構成されており、表層に離型層を設けてある。離型層としては、例えば、フッ素樹脂、シリコーン樹脂、フルオロシリコーンゴム、フッ素ゴム、シリコーンゴム、PFA、PTFE、FEP等の離型性かつ耐熱性のよい材料を選択することができる。
【0032】
芯金106aの長手方向の両端部にPEEK、PPS、液晶ポリマー等の耐熱性樹脂よりなる軸受部材113(
図3(a))を装着し、定着フレーム112(
図3(a))の側板に回転自由に保持させて配設してある。このように、定着フレーム112は、加圧ローラ106の長手方向における第1の端部側において加圧ローラを回転可能に支持する第1の溝部を備える第1の支持板を備える。また、加圧ローラの長手方向における他端である第2の端部側において、加圧ローラを回転可能に支持する第2の溝部を備える第2の支持板を備える。
【0033】
また、定着フランジ104(
図3(a))は、圧接部材103とステー102との組立体の両端に嵌め込まれ、定着フィルム101の回転を案内すると共に、定着フィルム101の抜け出しを防止している。
【0034】
図3(a)において、定着フィルム101の両端に配置された定着フランジ104には、定着フレーム112に対して回転可能に取り付けられた加圧板(不図示)により矢印P方向に加圧力が与えられる。これにより、フィルムユニット111と加圧ローラ106とを加圧する構成である。また、加圧ローラ106は画像形成装置500内に取付けられた不図示の定着モータによって駆動を伝達されることで、定着フィルム101が加圧ローラ106に対して従動回転し、
図3(b)の矢印J方向に回転させられる。
【0035】
(定着フィルム)
定着フィルム(回転体)101(
図3(a))は、記録材Sに熱を伝達する発熱部材として円筒状の耐熱性のフィルムであり、圧接部材103にルーズに外嵌させてある。そして、定着フィルム101は、熱容量を小さくしてクイックスタート性を向上させるために、フィルム膜厚を100μm以下、好ましくは50μm以下20μm以上とする。そして、材質としては、耐熱性のあるPTFE、PFA、FEPの単層、あるいはポリイミド、ポリアミドイミド、PEEK、PES、PPS等の外周表面にPTFE、PFA、FEP等をコーティングした複合層フィルムを使用できる。また、金属製のものにすることもできる。
【0036】
(圧接部材)
圧接部材103は、記録材搬送方向に直交する方向を長手方向とする横断面略半円弧状の耐熱性・断熱性の部材である。そして、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、PEEK樹脂、PES樹脂、PPS樹脂、PFA樹脂、PTFE樹脂、LCP樹脂等の絶縁性及び耐熱性の良い材料が用いられる。
【0037】
本実施形態の圧接部材103は、定着フィルム101のバックアップ、加圧ローラ106と圧接することで形成されるニップ部Nの加圧、定着フィルム101の回転時の搬送安定性を図る役目をする。また、圧接部材103の下面に長手方向に沿って具備された嵌め込み溝103a内には、後述するセラミックヒータ100が嵌め込まれ支持される。
【0038】
(ステー)
ステー102は、比較的柔軟な樹脂製の圧接部材103の裏面に押し当てることで圧接部材103に長手方向における強度を持たせ、かつ圧接部材103を矯正させるための部材である。
【0039】
(サーミスタ)
温度検知手段(以下サーミスタとする)105は、定着フィルム101の内面温度を検出して不図示の制御回路へフィードバックする。サーミスタ105は、圧設部材103に固定して取付け保持するための保持部(不図示)と、温度検知素子(不図示)を有する。そして、定着フィルム101の内面に接触して温度を検知する温度検知素子部105aと、温度検知素子部105aを所定の接触圧で定着フィルムに付勢するための弾性を有する板バネ部105bから構成される。この板バネはステンレス製であり、温度検知素子の導通経路にもなっている
(ヒータ)
図4(a)に、本実施形態における加熱体としてのセラミックヒータ100(以下、ヒータと記す)の正面図、
図4(b)に
図4(a)のヒータ100のD−D断面図を90度回転させた図を示す。このヒータ100は、絶縁性を有する細長薄板状のセラミック基板100aと、セラミック基板100aの片面にペースト印刷等で形成されている2つの発熱体100bと、を有する。
【0040】
更に、後述する各コネクタ端子と接触することで電気的に接点を取る3つの電極部100c(100c−1、100c−2、100c−3)と、電極部100cと発熱体100bを繋ぐ導電部100dと、を有する。本実施形態では、電極部100c―2は、1つ目の発熱体100bの1つと繋がっており、電極部100c―3は、2つ目の発熱体100bと繋がっている。電極部100c−1は、電極部100c−2と異なる極である(即ち、一方が陽極、他方が陰極)。また、電極部100c−1は、電極部100c−3とも異なる極である。発熱体100bは、電極部100cからの通電により発熱する抵抗体である。
【0041】
更に、上述した部材と共に発熱体100bを保護するガラス層100e(
図4(b)において破線で示す)を有し、ヒータ100はこれらの部材で構成される。ガラス層100eは、電気抵抗率が10
9〜10
16(Ω・m)であり、絶縁層になっている。尚、本実施形態の説明において、電気抵抗率が10
9以上のものを絶縁体とする。このような本実施形態のヒータ100は、電極部100cを介して、発熱体100bに対して画像形成装置本体から電力供給されることにより、全体に急峻な立ち上がり特性で昇温する低熱容量のヒータとなっている。
【0042】
(コネクタ)
図5(a)に、本実施形態におけるコネクタ107の正面図を示す。本実施形態のコネクタ107は、コネクタハウジンング(保持部)107a、3つのコネクタ端子(金属端子)107b(107b−1、107b−2、107b−3)、3つのケーブル107cから構成される。コネクタハウジンング107aは、例えばLCP樹脂等の絶縁性及び耐熱性の良い材料で形成される。そして、3つのコネクタ端子107b(107b−1、107b−2、107b−3)は、チタン銅等の表面に銀等のメッキを施し、電導性が良くバネ性を持つ薄板で形成される。
【0043】
コネクタ端子107bは、コの字形状になっている。
図1に示すように、コネクタ107がヒータ100に装着されている状態において、コネクタ端子107bが、そのバネ性によって、スペーサ108や圧接部材103と共に、セラミック基板100a及びその上に形成されている電極部100cを挟み込んでいる。ケーブル107cは、各コネクタ端子107bに電気的に接続される。ケーブル107cの他端側は、別途画像形成装置からの給電部に電気的に接続される。
【0044】
次に、
図5(a)のE−E断面図である
図5(b)を用いて、コネクタ107がヒータ100と接点(電気接点)を取る構成について説明する。コネクタハウジング107aは、Y方向から見たとき、コの字形状になっており、コの字の開口部(内側)にコネクタ端子107bが設けられている。ヒータ100は、ヒータホルダとしての圧接部材103にはめ込まれた状態で、コネクタ107が装着される。
図5(b)に示すように、コネクタ107はヒータ100及びスペーサ108に対して、+X方向に挿入する。
【0045】
そして、コネクタ端子107bの一対のバネ接点部107b−a,107b−bのうち一方のバネ接点部(本実施形態では107b−a)がヒータ100の各電極部100cに所定の圧接力で圧接して電気的に接触(電気接続)する。
【0046】
また、バネ接点部107b−aと対向側のバネ接点部107b−bは、スペーサ108と接触する。スペーサ108は、ヒータ100とバネ接点部107b−bに挟まれることで、バネ接点部107b−aの接点圧を保証するために設けられ、LCP樹脂等の絶縁性及び耐熱性の良い材料で形成される。
【0047】
コネクタ107のコネクタ端子107bとヒータ100の電極部100cとZ方向の位置関係は、コネクタハウジング107aのコの字形状、コネクタ端子107bのバネ性、及びヒータ100のスぺーサー108によって位置が決められている。
【0048】
本実施形態において、前述した
図4(a)のヒータ100の電極部100c−1が、コネクタ107の接点部であるコネクタ端子107b−1と接触する。また、ヒータ100の電極部100c−2が、コネクタ107の接点部であるコネクタ端子107b−2と接触する、同様に、ヒータ100の電極部100c−3が、コネクタ107の接点部であるコネクタ端子107b−3と接触する構成となっている。
【0049】
また、
図6に示すように、コネクタ107は溝部107a−gを備える。圧接部材103は、コネクタ107の溝部107a−gに嵌る突起部103aを備える。コネクタ107の溝部107a−gと突起部103aは、コネクタ107のヒータ100に対するY方向(基板と平行な方向であってx方向と直交する方向)の位置を規制する規制部として機能する。
【0050】
この突起部103aと溝部107a−gによって、Y方向に関し、コネクタ端子107bがヒータの電極部100cから外れないようにコネクタ107とヒータ100の相対位置が規制されている。コネクタ107がヒータ100に対して+X方向に挿入される際、突起部103aはコネクタ107の溝部107a−gに嵌る。コネクタ107が+X方向に移動されるのと共に突起部103aは溝部107a−gをスライド移動する。
【0051】
また、ケーブル107cを−X方向に引張った場合、ケーブル107cに接続されたコネクタ端子107bは、コネクタ端子107bの−X方向への抜けを防止するためのコネクタハウジング107aの面107a−bに当接する。すなわち、ケーブル107cを−X方向に引張ると、コネクタ端子107bからコネクタハウジング107aにも引張る力が伝わり、コネクタ107全体が−X方向に移動する。
【0052】
(コネクタの抜け止め)
次に、本実施形態におけるコネクタ107、ヒータ100、及びガイド部材109(コネクタ107の抜け方向(−X方向)への移動を制限する)の配置関係について説明する。まず、作業者が定着装置40のフィルムユニット111(
図3(b))の交換を所定の状態で行った場合(新品のフィルムユニット111が設置された場合)について説明する。
図1は、
図3(a)におけるC−C断面図(コネクタ107については
図5(a)のE−Eの位置)を示したものである。また、
図6は
図3(a)のH方向矢視図を示したものである。
【0053】
図1において、コネクタ107はヒータ100に対して所定の位置(設定位置)までX方向に挿入され、コネクタ107の接点部とヒータ100の電極部が電気接続されている状態(以下状態1と記す)である。次に、状態1において、コネクタ107と圧接部材103、定着フランジ104、ヒータ100及びガイド部材109との位置関係について説明する。
【0054】
本実施形態におけるガイド部材109は、耐熱性のあるPPS樹脂等で形成(一体成型)され、上述した第1の支持板としての定着フレーム112(
図3、
図6))に固定される。そして、コネクタ107のケーブル107cの配回しを案内する(
図6においてケーブル107cをガイド部材109の内部に備える)と共に、規制部材として機能し、コネクタ107の抜け方向(−X方向、第1の方向)への変位を規制する(
図1)。
【0055】
状態1ではコネクタ107と圧接部材103の位置関係として、
図1に示すように圧接部材103のコネクタ当接面103bにコネクタ端子107bの107b−c面が当接する。圧接部材103のコネクタ当接面103b及び107b−c面が+X方向へのコネクタ107の移動を停止させるストッパー部として機能する。
【0056】
このストッパー部と、加圧ローラ106と、ヒータ100と、コネクタ107は、コネクタ107がヒータ100に装着された状態で上述した第1及び第2の支持板としての定着フレーム112に装着されるヒータユニットを構成する。
【0057】
また、コネクタ107と定着フランジ104との位置関係として、
図1に示すようにコネクタハウジング107aに設けられたX方向の抜け止め部107a−eと、定着フランジ104に設けられたコネクタ107のX方向の抜け止め部104aとが対向する。対向するX方向の距離はL3(
図1)であり、距離L3は距離L2より短い。
【0058】
抜け止め部107a−eと抜け止め部104aは、ストッパー部によって規制されている位置からコネクタ107が抜け方向(
図1における−x方向)に移動するのを規制する規制部として機能する。抜け止め部107a−eと抜け止め部104aによってコネクタ107の位置が規制されている状態において、コネクタ端子107bと電極部100cは接点を取れる。
【0059】
また、状態1ではコネクタ107とヒータ100との位置関係として、
図1に示すようにコネクタ端子107b−2のバネ接点部107b−aとヒータ100の電極部100c−2が接する。電極部100c−2は、
図4(a)でX方向(第1の方向)に延在した領域を備える。そして、状態1においてバネ接点部107b−aと電極部100c−2が接する第1の位置は、電極部100c−2の−X方向(第1の方向と反対方向である第2の方向)の端部100c−2−aからL1の距離にある(
図1)。
【0060】
図1に示す本実施形態では、コネクタの設定位置における電極部および接点部が接する第1の位置から、−X方向に延在した電極部の領域の端部で電極部および接点部が接する位置までの距離L1の範囲で接点を取ることができる。
【0061】
また、状態1ではコネクタ107とガイド部材109との位置関係として、
図1に示すようにコネクタハウジング107aの−X方向端面107a−aとガイド部材109の面109aとのX方向の距離(最短距離)がL2となる。本実施形態において、このL1とL2との関係は、以下を満足する。
【0062】
L1>L2
次に、コネクタ107が、規制部材としてのガイド部材109によってコネクタを抜く方向(−X方向)の移動(変位)を制限(規制)されている状態(以下状態2と記す)について説明する。
図7は、状態2における
図3(a)のC−C断面図(コネクタ107については
図5(a)のE−Eの位置)を示している。
【0063】
この状態2に関し、定着装置40のフィルムユニット111の交換作業において、作業者がフィルムユニット111を持つときに、
図6に示すようにコネクタ107の107a−f面に対し、矢印F方向に力をかけてしまうことがあり得る。すると、
図6に示すコネクタハウジングの抜け止め部107a−eと定着フランジ104の抜け止め部104aが矢印F方向に外れ、状態1とは異なり係合していない状態となる。
【0064】
更に、この状態のフィルムユニット111を定着装置40のフレーム112内に挿入した状態で、ケーブル107cを−X方向に引張る力を加えるようなケーブルの配回し作業を行う場合が考えられる。この場合、ケーブル107cに接続されたコネクタ端子107b−2は、コネクタ107と定着フランジ104が係合していないため、コネクタ107は−X方向に移動してしまう。その結果、状態1に比べコネクタ107全体がコネクタを抜く方向に移動してしまう。そして、状態2となる。
【0065】
次に、状態2における、コネクタ107と圧接部材103、定着フランジ104、ヒータ100及びガイド部材109の位置関係について、
図7を用いて説明する。状態2では、コネクタ107と圧接部材103との位置関係として、圧接部材103のコネクタ当接面103bとコネクタ端子107bの107b−c面は当接せず、X方向に離れた状態となる。また、状態2では、
図7に示すようにコネクタ端子107bは、ヒータ100のセラミック基板100a、及び、スペーサ108を挟み込んだ状態である。
【0066】
また、状態2では、コネクタ107と定着フランジ104との位置関係として、コネクタ107が状態1(
図1)に比べ−X方向に移動している。そして、
図7に示すように定着フランジ104の抜け止め部104aとコネクタハウジング107aの抜け止め部107a−eとが係合しない状態となる。
【0067】
また、状態2では、コネクタ107とガイド部材109との位置関係として、コネクタハウジング107aの−X方向の端面107a−aが、ガイド部材109のコネクタの−X方向の移動を制限する面109aと当接する。すなわち、状態1で示したL2はL2=0となる。
【0068】
また、状態2では、状態1で示した条件L1>L2の関係から、L2=0となった場合でも
図7に示すL4>0となる。すなわち、コネクタ107とヒータ100との位置関係として、コネクタ端子107bのバネ接点部107b−aとヒータ100の電極部100c−2の−X方向端部100c−2−aとの距離L4(L4=L1−L2)に関し、L4>0となる。
【0069】
よって、コネクタ107がガイド部材109に当接し−X方向にはそれ以上移動出来ない状態2においても、コネクタ107とヒータ100は接点を取ることが可能となる。その結果、作業者の作業ミスによってコネクタ107とヒータ100が接点を取ることが出来ない状態になることを、抑止することが可能となる。
【0070】
また、フィルムユニット111の交換作業において、定着フレーム112にフィルムユニット111を挿入する前に、コネクタ107が状態1で示した距離L2よりもコネクタ抜け方向(−X方向)に移動していた場合(以下状態3と記す)について説明する。
図8は、紙面垂直方向(Y方向)に長いフィルムユニット111を不図示の定着フレーム112に挿入する前の状態において、フィルムユニット111及びガイド部材109のコネクタ107の中央位置(
図5(a)のE−Eの位置)での断面図である。
【0071】
図8に示す状態3では、コネクタ107の−X方向の移動を規制(制限)するガイド部材109の109a面に対し、コネクタ107の−X方向端面107a−a面が−X方向に距離L5だけオーバーラップしている(はみ出ている)状態である。
【0072】
状態3では、コネクタ端子107bは、ヒータ100のセラミック基板100a、及び、スペーサ108を挟み込んだ状態である。しかしながら、コネクタ端子107bのバネ接点部107b−aは、ヒータ100のガラス層100e或いはスペーサ108或いは圧接部材103などの絶縁部分に当接している。すなわち、コネクタ端子107bは、ヒータ100のセラミック基板100a、及び、スペーサ108を挟み込んだ状態であるが、バネ接点部107b−aは、ヒータ100の電極部100c−2に接触しておらず、接点を取れない状態にある。
【0073】
この状態で、定着フレーム112に対して、
図8の矢印K方向にフィルムユニット111を挿入しようとした際には、コネクタハウジング107aとガイド部材109b面がX方向に距離L5だけ干渉する。これにより、作業者は、コネクタ107が所定の位置からコネクタ抜け方向に移動(変位)していることに気付く。
【0074】
以上、本実施形態をまとめると次の通りである。
【0075】
コネクタ107とヒータ100の位置関係が状態1の場合には、ガイド部材109とコネクタ107が干渉することなく、フィルムユニット111を定着フレーム112の側板に装着することができる。このとき、コネクタ107のコネクタ端子107bとヒータ100の電極部100cは、通電可能に接点を取る。
【0076】
状態1からコネクタ107をヒータ100に対して抜け方向(−X方向)に相対移動された場合にも、コネクタ107の抜け止め部107a−eと定着フランジ104の抜け止め部104aによる規制が外れない場合には、ガイド部材109とコネクタ107が干渉しない。よって、フィルムユニット111を定着フレーム112の側板に装着することができる。このとき、コネクタ107のコネクタ端子107bとヒータ100の電極部100cは、通電可能に接点を取る。
【0077】
一方、コネクタ107の抜け止め部107a−eと定着フランジ104の抜け止め部104aによる規制が外れ、状態1からコネクタ107をヒータ100に対して抜け方向に相対移動された場合、状態2の位置関係に至るまでは、ガイド部材109とコネクタ107が干渉しない。よって、フィルムユニット111を定着フレーム112の側板に装着することができる。この状態1の位置関係から状態2の位置関係に至るまでの間、コネクタ107のコネクタ端子107bとヒータ100の電極部100cは、通電可能に接点を取る。
【0078】
一方、コネクタ107の抜け止め部107a−eと定着フランジ104の抜け止め部104aによる規制が外れ、状態1からコネクタ107をヒータ100に対して抜け方向にL1より長い距離に亘って相対移動された場合、状態3の位置関係になる。このとき、コネクタ107は、ヒータ100(もしくはスペーサー108)を挟んでいるものの、コネクタ107のコネクタ端子107bとヒータ100の電極部100cは、接点を取れない。このような状態では、ガイド部材109がコネクタ107に干渉することで、フィルムユニット111を定着フレーム112の側板に装着されないようにする。
【0079】
このように、妨げ部であるガイド部材109は、コネクタがヒータに対して第1の位置にある状態でヒータユニットが第1および第2の支持板に装着されるのを許容する。かつ、コネクタがヒータに対して第2の位置にある状態でヒータユニットが第1および第2の支持板に装着されるのを妨げる。
【0080】
このように本実施形態では、フィルムユニット111の交換後に画像形成装置本体を起動させてエラーが発生するようなことはなく、事前に作業者がコネクタの抜けに気付くことが出来る。そのため、従来のような画像形成装置のエラー発生を抑止することが可能となる。
【0081】
以上、本実施形態によれば、定着装置にフィルムユニットが取り付けられた状態において、コネクタとヒータとの接点が取れる範囲にコネクタの移動を制限することが可能となる。また、定着フィルムの交換作業において、フィルムユニットを定着装置に取付ける際に、コネクタとヒータとの接点が取れる範囲外にコネクタが移動していた場合、作業者はコネクタがヒータとの接点が取れる範囲に配置されていないことに事前に気付く。
【0082】
その結果、作業者が誤ってコネクタとヒータとの接点が取れる範囲外にコネクタを移動してしまう作業ミスにより発生する作業時間の短縮や、電気接続がされないエラー(異常)の発生を抑制することが可能になる。これにより、ダウンタイムの低減や、装置の信頼性向上を図ることが出来る。
【0083】
尚、以上の説明では、状態1〜3の位置関係の説明において、コネクタ107については
図5(a)のE−Eの位置を例に説明した。すなわち、電極部100c−2とコネクタ端子107b−2の位置関係を例に説明した。しかしながら、各状態1〜3において、他の電極部100c−1、100c−3と他のコネクタ端子107b−1、107b−2の位置関係も電極部100c−2とコネクタ端子107b−2と同様である。
【0084】
すなわち、状態1のように、コネクタ当接面103b及び107b−c面が付き当たっているとき、電極部100c−1、100c−3も、各コネクタ端子107b−1、107b−2と接点を取る位置関係にある。
【0085】
また、コネクタ107の抜け止め部107a−eと定着フランジ104の抜け止め部104aによる規制が外れ、状態1からコネクタ107をヒータ100に対して抜け方向に相対移動された場合、状態2の位置関係に至るまでは、ガイド部材109とコネクタ107が干渉しない。よって、フィルムユニット111を定着フレーム112の側板に装着することができる。この状態1の位置関係から状態2の位置関係に至るまでの間、電極部100c−1、100c−3も、各コネクタ端子107b−1、107b−2と接点を取る位置関係にある。
【0086】
尚、接点が取れているか否かは、コネクタ107からの通電ができるか否かを見ればよい。
【0087】
最後に
図8で示した状態3において、ガイド部材109が109a面と109b面とを繋ぐ傾斜面109c面を有する場合について
図9を用いて説明する。この状態で定着フレーム112に対して、
図9の矢印K方向にフィルムユニット111を挿入しようとした際には、コネクタハウジング107aとガイド部材109c面がX方向に距離L5だけ干渉した位置にいる。
【0088】
しかしフィルムユニット111が矢印K方向に移動し、規制部材109の109c面にコネクタハウジング107aが干渉すると、傾斜面109c面に案内されることで、コネクタハウジング107aはX方向に移動される。そして、コネクタ107の−X方向端面107a−a面がガイド部材109a面に接する位置まで移動する。その結果、コネクタ107とヒータ100は接点を取ることが可能となる。
【0089】
本実施形態の構成によれば、加熱体とコネクタとの接点が取れる範囲内にコネクタの抜け方向への変位を規制することができる。
【0090】
これにより、作業者がコネクタがヒータとの接点が取れる範囲に配置されていないことに気付き、更にコネクタを挿入する作業を発生させることが無いので、ダウンタイムを低減させることが出来る。
【0091】
(変形例)
上述した実施形態では、本発明の好ましい実施形態を説明したが、本発明はこれに限定されず、本発明の範囲内で種々の変形が可能である。
【0092】
(変形例1)
上述した実施形態では、ヒータの長手方向における片方の端部側のみにおいてヒータがコネクタから電力を供給される構成を説明したが、ヒータの長手方向における両方の端部側においてヒータがコネクタから電力を供給される構成としても良い。
【0093】
(変形例2)
上述した実施形態では、規制部材としてのガイド部材109が定着装置にある場合を前提にしたが、規制部材としてのガイド部材109が定着装置外(画像形成装置の本体内にある)にある場合であっても良い。
【0094】
(変形例3)
上述した実施形態では、コネクタの接点部に対し、加熱体であるヒータの電極部が、抜け方向である第1の方向に延在した領域を備えたが、ヒータの電極部に対し、コネクタの接点部が、抜け方向である第1の方向に延在した領域を備えても良い。すなわち、ヒータの電極部およびコネクタの接点部の少なくとも一方が、抜け方向である第1の方向に延在した領域を備える構成であれば良い。
【0095】
(変形例4)
上述した実施形態では、コネクタ107のヒータ100に対する装着方向及び抜け方向が定着フィルム101の長手方向と直交する方向(X方向、ヒータ100の短手方向)を例に説明したが、装着方向及び抜け方向が定着フィルム101の長手方向であってもよい。この場合、たとえば、コネクタ107の形状は、上述の実施形態と同様であり、ヒータ100の複数の電極部100cがセラミック基板100aに形成される向きが90°回転したような配置にすればよい。
【0096】
(変形例5)
上述した実施形態では、コネクタハウジング107aは、Y方向と直交する断面において、+X方向が開放されたコの字形状である場合を例に説明したが、コネクタ端子107bがヒータ100のセラミック基板100a及び/又はスペーサ108を挟める形状であればよい。例えば、コネクタハウジング107aは、Y方向と直交する断面において、ロの字形状とし、+Y方向からコネクタ107をヒータ100に取り付ける構成としてもよい。
(変形例6)
上述した実施形態では、定着部材である定着回転体として無端ベルトが用いられ、対向体として加圧ローラが用いられたが、無端ベルトが回転体、対向体の双方に設けられる構成であっても良い。
そして、上述した実施形態では、回転体としての無端ベルトが対向体としての加圧ローラから加圧される場合を示した。しかしながら、本発明はこれに限定されず、逆に定着回転体としての無端ベルトから対向体が加圧される場合にも同様に適用できる。
(変形例7)
上述した実施形態では、未定着トナー像をシートに定着する定着装置を例に説明したが、本発明は、これに限らず、画像の光沢を向上させるべく、シートに仮定着されたトナー像を加熱加圧する装置(この場合も定着装置と呼ぶ)にも同様に適用可能である。
(変形例8)
上述した実施形態では、加熱体として発熱体100bを記録材の搬送方向に複数個設けたが、2つに限らず、3つ以上であっても良いし、記録材の搬送方向に単数個(1つ)だけ設けても良い。
(変形例9)
上述した実施形態では、記録材として記録紙を説明したが、本発明における記録材は紙に限定されるものではない。一般に、記録材とは、画像形成装置によってトナー像が形成されるシート状の部材であり、例えば、定型或いは不定型の普通紙、厚紙、薄紙、封筒、葉書、シール、樹脂シート、OHPシート、光沢紙等が含まれる。