(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の好ましい実施形態について、図面を参照しながら説明する。
図1は、本実施形態に係る建具1の正面図である。
図2は、建具1における袖部10の縦断面図である。
図3は、建具1における上部の横断面図であり、
図4は、建具の下部の横断面図である。なお、以下の説明で左右方向は、
図1を正面としたときの左右方向である。
【0012】
図1〜
図4に示す建具1は、枠体30と、戸体20と、袖部10と、を備える玄関ドアである。
【0013】
枠体30は、建具1の四周を構成するともに、戸体20と袖部10の間を仕切るものである。枠体30は、一対の縦枠31、32と、一対の横枠33、34と、方立35と、無目36と、を備える。
【0014】
一対の縦枠31、32は、建具の左右方向における一方と他方の端部に配置される。一方の縦枠31は、袖部10の側方に、他方の縦枠32は、戸体20の側方に配置される。一対の横枠33、34は、建具の上下に配置される。一対の縦枠31、32及び一対の横枠33、34が建具1の四周を形成する。
【0015】
方立35は、枠体30の内側を左右一側と左右他側に区画する。方立35によって区画された左右一側に戸体20が配置され、左右他側に袖部10が配置される。無目36は、縦枠31と方立35の間に配置される。無目36によって袖部10が上下に区画される。方立35における戸体20側の見込面には保持片368が形成され、この保持片368が閉鎖位置の戸体20に見込方向で当接する室外側気密材369を支持する。
【0016】
戸体20は、枠体30に対して開閉可能に取り付けられており、建具1の出入口を構成する。本実施形態の戸体20は、縦枠32に複数のヒンジ320を介して回転可能に支持される。縦枠32におけるヒンジ320が固定される見込面には、保持片322が形成される。保持片322は、閉鎖位置の戸体20に見込方向で当接するクッション材321を支持する。
【0017】
袖部10は、その上部に採光パネル12が配置され、下部に宅配ボックス60が配置される開口部101を有する。
【0018】
採光パネル12は、光を透過する部材によって構成される。本実施形態の採光パネル12は、室外側パネル12aと室内側パネル12bがスペーサー12cを介して離間するように配置される複層ガラス(ガラス面材)である。
【0019】
採光パネル12を保持する構成について説明する。
図2に示すように、採光パネル12の上部は、横枠33の下側に配置される上部保持部材331によって保持される。上部保持部材331の下部は採光パネル12の上部が差し込まれるガラス溝となっている。上部保持部材331には、室外側気密材332及び室内側気密材333が配置されており、採光パネル12は、その上部が見込方向で室外側気密材332と室内側気密材333に挟み込まれた状態で保持される。
【0020】
採光パネル12の下部は、無目36の上部に形成される下部保持部361よって保持される。下部保持部361は、その上部がガラス溝となっており、上部保持部材331と同様に、室外側気密材362と室内側気密材363が配置される。採光パネル12は、その下部が見込方向で室外側気密材362と室内側気密材363に挟み込まれた状態で保持される。また、下部保持部361の内側には採光パネル12を下から支持するセッティングブロック364が配置される。
【0021】
図3に示すように、採光パネル12は、左右方向一側の側部が方立35によって保持されるとともに、左右方向他側の側部が縦枠31によって保持される。
【0022】
方立35の袖部10側の見込面には室外側保持片351及び室内側延出片352が形成される。また、方立35の見込面における室外側保持片351と室内側延出片352の間には、室内側係合部材353を係合するための係合片357が形成される。室内側係合部材353は、その室内側の部位が室内側延出片352に係合されるとともに室外側端部が係合片357に係合される。室外側保持片351と室内側係合部材353によってガラス溝が形成され、該ガラス溝の内側にはセッティングブロック356が配置される。また、室外側保持片351は、方立35の本体部分から見付方向の縦枠31側に延びた後、見込方向室内側に屈曲するように形成される。室外側保持片351の先端には室外側気密材354が配置される。室内側係合部材353は、見付方向の縦枠31側に延びた後、見込方向室外側に屈曲するように形成され、その先端には室内側気密材355が配置される。採光パネル12は、その方立35側の側部が見込方向で室外側気密材354と室内側気密材355に挟み込まれた状態で保持される。方立35の室外側保持片351及び室内側延出片352は、方立35の本体部分の室外側面35a及び室内側面35bよりも見込方向内側で袖部10側に突出する。このため、方立35の室外側面35aには、袖部10側で室内側に窪むような段差が形成される。
【0023】
縦枠31の袖部10側の見込面には室外側保持片311及び室内側延出片312が形成される。また、縦枠31の見込面における室外側保持片311と室内側延出片312の間には、室内側係合部材313を係合するための係合片317が形成される。室内側係合部材313は、その室内側の部位が室内側延出片312に係合されるとともに室外側端部が係合片317に係合される。室外側保持片311と室内側係合部材313によってガラス溝が形成され、該ガラス溝の内側にはセッティングブロック316が配置される。また、室外側保持片311は、縦枠31の本体部分から見付方向の方立35側に延びた後、見込方向室内側に屈曲するように形成される。室外側保持片311の先端には室外側気密材314が配置される。室内側係合部材313は、見付方向の縦枠31側に延びた後、見込方向室外側に屈曲するように形成され、その先端には室内側気密材315が配置される。採光パネル12は、その縦枠31側の側部が見込方向で室外側気密材314と室内側気密材315に挟み込まれた状態で保持される。縦枠31の室外側保持片311及び室内側延出片312は、方立35の室外側保持片351及び室内側延出片352とそれぞれ向かい合う位置に配置される。室外側保持片311及び室内側延出片312は、縦枠31の本体部分の室内側面31a及び室外側面31bよりも見込方向内側で袖部10側に突出する。このため、縦枠31の室外側面31bには、袖部10側で室内側に窪むような段差が形成される。この段差は、方立35側で形成される段差と対称な位置で形成される。
【0024】
室外側気密材332、362、354、314は、何れも先付ビードであり、ゴム等の弾性変形可能な部材によって構成される。室内側気密材333,363,355,315も、弾性変形可能な部材によって構成される。
【0025】
宅配ボックス60は、無目36を挟んで採光パネル12の下方に位置する。宅配ボックス60は、宅配物等を収容可能な空間を有する本体部61と、本体部61に対して開閉可能に取り付けられる扉62と、本体部61の室内側の面を覆う化粧カバー670と、を主要な構成として備える。
【0026】
図5は、本実施形態の宅配ボックス60の扉が開いた状態を示す斜視図である。
図5に示すように、本体部61は、枠体30に固定された状態で室外側に取出口を兼ねる投入口601が形成される(
図5参照)。本体部61の投入口601が扉62によって閉鎖されることにより、宅配ボックス60の内部が外部から隔てられる。扉62は、本体部61における縦枠31側に開閉可能に支持されている。扉62の方立35側に位置する戸先側が手掛け部621となっている。また、扉62には、暗証番号を入力する操作部622やロック機構623等の機能部品が配置される。
【0027】
次に、宅配ボックス60の取付構造について説明する。
図6は、本実施形態の建具1の宅配ボックス60が取り付けられる前の状態を室内側から示す斜視図である。
図7は、本実施形態の宅配ボックス60に固定される上面取付プレート70、側面取付プレート71,72及び脚部65を示す分解斜視図である。
図8は、本実施形態の建具1に取り付けられた宅配ボックス60の化粧カバー670装着前の様子を室内側から見た斜視図である。
図9は、本実施形態の建具1に取り付けられた宅配ボックス60の化粧カバー670装着後の様子を室内側から見た斜視図である。
【0028】
図7〜
図9に示すように、本実施形態の宅配ボックス60には、本体部61の上面に配置される上面取付プレート70と、本体部61の左右両側の側面にそれぞれ配置される側面取付プレート71,72と、が配置される。
【0029】
図2に示すように、上面取付プレート70は、本体部61の上面に固定される固定面700と、固定面700の室外側端部から上方に屈曲する室外側見付面部701と、固定面700の室内側端部から上方に屈曲した後、見込方向室外側に延びて下方に折り返す当接部702と、を備える。
図7に示すように、ネジ等の締結部材705が固定面700を貫通して本体部61に固定されることで上面取付プレート70が本体部61に固定される。
【0030】
無目36の下面には室外側保持片365及び室内側延出片366が形成されている。室外側保持片365は、無目36の本体部分から下方に延出した後、見込方向室内側に屈曲する。室外側保持片365の先端には、室外側気密材367が固定される。宅配ボックス60が袖部10に固定された状態では、上面取付プレート70の室外側見付面部701が、室外側気密材367に見込方向で接触するとともに当接部702の室外側の見付面703が室内側延出片366に対向する状態となる。無目36は、縦枠31及び方立35よりも室内側に奥まっており、段差状になっている。当接部702は、宅配ボックス60が固定された状態で、その室内側の面が縦枠31及び方立35の室内側の面と面一になる形状に構成される。
【0031】
図4に示すように、側面取付プレート71は、本体部61の側面に固定される固定面710と、固定面710の室外側端部から縦枠31側に屈曲する室外側見付面部711と、固定面710の室内側端部から縦枠31側に延出した後、見込方向室外側に延び、更に本体部61側に折り返す当接部712と、を備える。
図7に示すように、ネジ等の締結部材705が固定面710を貫通して本体部61に固定されることで側面取付プレート71が本体部61に固定される。
【0032】
宅配ボックス60が袖部10に固定された状態では、側面取付プレート71の室外側見付面部711が、縦枠31の室外側保持片311の室外側気密材314に見込方向で接触するとともに当接部712の室外側の見付面713が室内側延出片352に対向する状態となる。
図8に示すように、当接部712の室内側面には貫通孔725が上下方向に間隔をあけて複数形成される。この貫通孔725を通じてリベット等の締結部材716が当接部712の室外側の見付面を貫通して縦枠31の室外側保持片311に締結される。貫通孔725にはカバー部材730が配置され、締結部材716が室内側からも見えない位置となっている。
【0033】
側面取付プレート72は、本体部61の側面に固定される固定面720と、固定面720の室外側端部から方立35側に屈曲する室外側見付面部721と、固定面720の室内側端部から方立35側に延出した後、見込方向室外側に延び、更に本体部61側に折り返す当接部722と、を備える。
図7に示すように、ネジ等の締結部材705が固定面720を貫通して本体部61に固定されることで側面取付プレート72が本体部61に固定される。
【0034】
宅配ボックス60が袖部10に固定された状態では、側面取付プレート72の室外側見付面部721が、方立35の室外側保持片351の室外側気密材354に見込方向で接触するとともに当接部722の室外側の見付面723が室内側延出片352に対向する状態となる。当接部722の室内側面には貫通孔725が上下方向に間隔をあけて複数形成される。この貫通孔725を通じてネジ等の締結部材726が当接部722の室外側の見付面を貫通して方立35の室外側保持片351に締結される。貫通孔725にはカバー部材730が配置され、締結部材716が室内側からも見えない位置となっている。
【0035】
宅配ボックス60の下面605は、横枠34の上側に配置される下部保持部材341によって保持される。下部保持部材341の上部は溝状になっている。下部保持部材341の室外側上部には室外側気密材345が配置される。本体部61の室外側は、この室外側気密材345を介して下から支持される。
【0036】
次に、化粧カバー670の構成について説明する。化粧カバー670は、箱状に構成されており、本体部61の室内側に取り付けられる。
【0037】
本実施形態の化粧カバー670は、本体部61の上面を覆う天板671と、本体部61の背面を覆う背板672と、本体部61の側面を覆う左右の側板673,674と、から構成されており、見込方向室外側及び下端が開口する箱状になっている。
【0038】
天板671は本体部61の上面よりも大きな面積を有する。同様に、背板672も本体部61の背面661よりも大きな面積を有し、左右一側の側板673は本体部61の左右一側の側面662よりも大きな面積を有し、左右他側の側板674は本体部61の左右他側の側面663よりも大きな面積を有する。従って、化粧カバー670によって本体部61の下面605以外の室内側の面(天面660、背面661及び側面662,663)が覆われた状態となる。本実施形態では、天板671、背板672及び側板673,674は、ネジ等の締結部材を用いた締結固定、接着剤を用いた接着固定又はその両方を用いる等、適宜の方法で互いに連結されている。
【0039】
化粧カバー670は、本体部61の室内側の面に覆い被さった状態で当該本体部61に固定される。固定方法としては、例えば、化粧カバー670の天板671の下面が本体部61の天面660に両面テープにより接着固定したり、本体部61の内部から化粧カバー670の天板671に向かってネジ等の締結部材によって締結固定したりすることができる。このように、化粧カバー670の固定方法は、接着剤や両面テープ等による接着固定、ネジ等による機械的固定、又はその両方による固定等、適宜の方法を採用することができる。
【0040】
次に、宅配ボックス60における宅配物の取出方法について説明する。本実施形態の宅配ボックス60は、本体部61の室内側が化粧カバー670に覆われており、取出口が形成されていない。そのため、扉62を開いたときのみ投入口601を通じて宅配ボックス60の本体部61の内部にアクセスできるようになっている。
【0041】
以上説明した上記実施形態によれば、以下のような効果を奏する。
建具1は、縦枠31,32、横枠33,34及び方立35を有する枠体30と、枠体30の内側で方立35の左右一側に配置される戸体20と、枠体30の内側で方立35の左右他側に配置され、開口部101を有する袖部10と、開口部101に配置され、枠体30に固定される宅配ボックス60と、を備える。宅配ボックス60は、投入口601が室外側に形成されるとともに枠体30より見込方向室内側に延出する箱状の本体部61と、本体部61の室内側の面を覆う化粧カバー670と、を有する。
【0042】
これにより、本体部61の室内側の面を化粧カバー670によって覆うことができるので、基本構造は同じ宅配ボックス60を用いつつ、宅配ボックス60を備える建具1の意匠性を向上させることができる。また、宅配ボックス60の本体部61と枠体30の接続部分を化粧カバー670で隠すこともできる。また、建物や建具1のデザインに応じて化粧カバー670を選定することができる。例えば、枠体30の外表面が木目模様の場合において、宅配ボックス60の本体部61がアルミや鉄等の金属製で枠体30との意匠性の統一性がない場合であっても、化粧カバー670の外表面を木目模様とすることもできる。あるいは、化粧カバー670の外表面を玄関の壁等のデザインに合わせて選択することもできる。
【0043】
また、本実施形態の本体部61は、枠体30より室内側が開閉不能に構成され、投入口601には開閉可能な扉62が設けられる。
【0044】
これにより、本体部61における枠体30の室内側が閉じられているので、悪意のある第三者が扉62を開いたとしても、投入口601を通じて室内側に手や器具を差し入れたりすることができない構造となっている。そして、本体部61の室内側に取出口が形成されない構造なので、取出口を避ける必要なく、化粧カバー670で本体部61の室内側の見える範囲の略全面を覆うことができる。
【0045】
また、本実施形態の化粧カバー670は、その下端部が本体部61に装着された状態で床から浮いた状態となるように構成される。
【0046】
これにより、本体部61の天面660に化粧カバー670を置いても、化粧カバー670の下端部が床に設置して本体部61に対して浮き上がることもなく、本体部61によって化粧カバー670を安定的に支持させることができる。
【0047】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は、上述の実施形態に制限されるものではなく、適宜変更が可能である。
【0048】
上記実施形態では、下端部が開放された構成の化粧カバー670の例を示したがこの構成に限定されない。例えば、上記実施形態の構成の化粧カバー670が底部を更に備え、見込方向室内側から室外側の向きで本体部61に装着される構成としてもよい。また、左右方向の側面のうち、建物の壁側に対向する面を省略する構成としてもよい。このように、化粧カバーの構成は、事情に応じて適宜変更することができる。
【0049】
上記実施形態では、化粧カバー670が宅配ボックス60の本体部61に固定される構成であったが、この構成に限定されない。例えば、枠体に化粧カバーを固定したり、建物の壁に化粧カバーを固定したりしてもよい。このように、化粧カバーの固定対象も事情に応じて適宜変更することができる。
【0050】
上記実施形態の袖部10は、採光パネル12を有する固定式であるが、袖部の構成はこの構成に限定されない。例えば、枠体に対して袖部が開閉可能な子扉として構成してもよい。