(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記創傷被覆材は、創傷に面する接触層をさらに含み、前記吸収性層は、前記裏打ち層と前記創傷に面する接触層との間に配置されている、請求項1に記載の創傷治療装置。
前記長方形形状が前記吸収性層の輪郭形状を囲む長方形の周囲を画定するように、前記裏打ち層の長方形形状は、前記吸収性層の幅よりも大きい幅と、前記吸収性層の長さよりも長い長さと、を有する、請求項1に記載の創傷治療装置。
前記6つの突出部のうちの第1の3つの突出部は前記軸の第1の側に配置されており、前記6つの突出部のうちの第2の3つの突出部は前記軸の第2の側に配置されている、請求項1に記載の創傷治療装置。
5つの突出部の各突出部が5つのドットのうちの1つのドットを備えるように、前記ドット配列の5つのドットは、前記6つの突出部のうちの5つの突出部上に位置する、請求項8に記載の創傷治療装置。
前記6つの間隙は、前記6つの間隙のうちの2つと、4つの追加の間隙と、を含み、前記6つの間隙のうちの2つは、前記4つの追加の間隙よりも大きい、請求項1に記載の創傷治療装置。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本明細書に開示する実施形態は、ポンプおよび創傷被覆材の構成要素および装置を備える、減圧により創傷を治療する装置及び方法に関する。創傷上掛け(overlay)材料および創傷充填材料を含むこの装置および構成要素は、もしあれば、本明細書では、まとめて被覆材と称することがある。
【0029】
本明細書全体を通して、創傷に関して言及することが認識されるであろう。創傷という用語は広く解釈され、皮膚が断裂、切開、もしくは穿孔される、又は外傷によって挫傷が引き起こされる開放創及び閉鎖創、あるいは患者の皮膚における他の任意の表面もしくは他の部分の状態又は欠陥、あるいは減圧治療によって利益を得る他のものを包含することを理解されたい。したがって、創傷は、流体が生成されることもされないこともある、組織の任意の損傷領域として広く定義される。かかる創傷の例としては、腹部創傷、または手術、外傷、胸骨切開、筋膜切開、或いは他の事情のいずれかの結果としての他の大規模または切開性の創傷、裂開創傷、急性創傷、慢性創傷、亜急性創傷及び裂開創傷、外傷性創傷、フラップ及び皮膚移植片、裂傷、擦傷、挫傷、火傷、糖尿病性潰瘍、褥瘡性潰瘍、ストーマ、術創、外傷性潰瘍及び静脈性潰瘍などが挙げられるが、それらに限定されない。
【0030】
本開示の実施形態は、概して、局所陰圧(「TNP」)治療システムで使用するのに適用可能であることが理解されるであろう。簡潔には、陰圧創傷療法は、組織浮腫を軽減し、血流及び肉芽組織の形成を促進し、過剰な浸出物を除去することによって、多くの形態の「難治性」創傷の閉鎖及び治癒を支援するとともに、細菌負荷(及び、ひいては感染のリスク)を低減することができる。それに加えて、療法によって創傷の障害をより少なくすることができ、より迅速な治癒に結び付く。TNP治療システムはまた、流体を除去することによって、かつ閉鎖の並置位置にある組織を安定化させるのを助けることによって、外科的に閉鎖された創傷の治癒を支援することができる。TNP療法のさらなる有益な使用は、過剰な流体を除去することが重要であり、組織の生存度を担保するために移植片が組織に近接していることが求められる、移植片及びフラップにおいて見出すことができる。
【0031】
本明細書で使用するとき、−X mmHgなどの減圧又は陰圧レベルは、760mmHg(又は、1気圧、29.93水銀柱インチ、101.325kPa、14.696psiなど)に相当する標準大気圧未満の圧力レベルを表す。したがって、−X mmHgの陰圧値は、760mmHgよりもX mmHg低い絶対圧力、又は換言すれば(760−X)mmHgの絶対圧力を反映する。それに加えて、X mmHgよりも「低い」又は「小さい」陰圧は、大気圧により近い圧力に相当する(例えば、−40mmHgは−60mmHgよりも低い)。−X mmHgよりも「高い」又は「大きい」陰圧は、大気圧からより遠い圧力に相当する(例えば、−80mmHgは−60mmHgよりも高い)。
【0032】
本開示の幾つかの実施形態に関する陰圧範囲は、約−80mmHg、又は約−20mmHg〜−200mmHgであることができる。これらの圧力は、正常な周囲気圧に対する相対値である。つまり、実用的用語では、−200mmHgは約560mmHgであることに留意されたい。幾つかの実施形態では、圧力範囲は約−40mmHg〜−150mmHgであることができる。あるいは、−75mmHg以下、−80mmHg以下、又は80mmHg超過の圧力範囲を使用することができる。また、他の実施形態では、−75mmHg未満の圧力範囲を使用することができる。あるいは、約−100mmHg超過、又はさらには−150mmHgすら超える圧力範囲を、陰圧装置によって供給することができる。本明細書で説明する創傷閉鎖デバイスのいくつかの実施形態では、創傷収縮の増加が、周囲創傷組織内の組織拡張の増加をもたらすことがある。この影響は、場合によっては創傷閉鎖デバイスの実施形態を介して創傷に加えられる引張力の増加と共に、組織に加える力を変化させること、たとえば経時的に創傷に加えられる陰圧を変化させることによって増加され得る。いくつかの実施形態では、陰圧は、たとえば正弦波、方形波を使用して、および/または1つまたは複数の患者の生理的指標(たとえば、心拍)と同期して、経時的に変化させられてよい。前述の開示に関連する追加の開示が記載され得るそのような出願の例としては、2007年10月26日に出願され、US 2009/0306609として公開されている「Wound treatment apparatus and method」という名称の出願第11/919,355号、および2010年7月13日に発行された「Wound cleansing apparatus with stress」という名称の米国特許第7,753,894号がある。両方の出願は、その全体が参照により本明細書に援用される。
【0033】
付録1は、参照により本書に援用されて本明細書の一部であるとみなされる開示であり、それは、本書に記載された実施形態と組み合わせたり加えたりして用いられ得る実施形態を含む。
【0034】
付録2は、参照により本書に援用されて本明細書の一部であるとみなされる別の出願であり、それは、本書に記載された実施形態と組み合わせたり加えたりして用いられ得る実施形態を含む。
【0035】
2012年7月12日に出願されると共に2013年1月17日に国際公開第2013/007973として公開された「WOUND DRESSING AND METHOD OF TREATMENT」という名称の国際出願番号PCT/GB2012/000587は、参照により本書に援用されて本明細書の一部であるとみなされる出願であり、これは、本書に記載された実施形態と組み合わせたり加えたりして用いられ得る、実施形態、製造方法、および、創傷被覆材の構成要素と創傷治療装置を対象としている。また、本書に記載された創傷被覆材、創傷治療装置、及び方法の実施形態は、2012年8月1日に出願された「WOUND DRESSING AND METHOD OF TREATMENT」という名称の米国仮出願第61/678,569号、2012年5月23日に出願された、「APPARATUSES AND METHODS FOR NEGATIVE PRESSURE WOUND THERAPY」という名称の米国仮出願第61/650,904号、2013年1月16日に出願された「WOUND DRESSING AND METHOD OF TREATMENT」という名称の米国仮出願第61/753,374号、及び2013年1月17日に出願された「WOUND DRESSING AND METHOD OF TREATMENT」という名称の米国仮出願第61/753,878号に記載された実施形態と組み合わせたり加えたりして用いられてもよく、それらは、それらの全体が本出願の中に参照によってここに援用される。本書に記載された創傷被覆材、創傷治療装置、及び方法の実施形態は、2011年4月21日に出願されると共に米国特許公開第2011/0282309号として公開された「WOUND DRESSING AND METHOD OF USE」という名称の米国出願第13/092,042号に記載された実施形態と組み合わせたり加えたりして用いられてもよく、それは、その全体が参照によってここに援用され、それは、創傷被覆材、創傷被覆材の構成要素と原理、及び創傷被覆材に使用される材料の実施形態に関する更なる詳細を含んでいる。
【0036】
図1は、ポンプ150と組み合わされた創傷被覆材110を備えるTNP創傷治療システム100の一実施形態を示す。上記で述べたように、創傷被覆材110は、限定するものではないが被覆材実施形態を含む本明細書で開示される任意の創傷被覆材実施形態であってもよいし、または本明細書で開示される任意の数の創傷被覆材実施形態の特徴の任意の組み合わせを有してもよい。ここで、被覆材110は、先に説明したように創傷の上に設置されてもよく、次いで、導管130がポート120に接続されてもよいが、いくつかの実施形態では、被覆材110は、ポート120にあらかじめ取り付けられた導管130の少なくとも一部分を備えてもよい。好ましくは、被覆材110は、すべての創傷被覆材要素(ポート120を含む)があらかじめ取り付けられ、単一のユニットに一体化された単一の物品として設けられる。次いで、創傷被覆材110は、導管130を介して、ポンプ150などの陰圧源に接続され得る。ポンプ150は小形化され、持ち運び可能とすることができるが、より大きな従来のポンプを被覆材110とともに使用してもよい。いくつかの実施形態では、ポンプ150は、被覆材110上にまたは被覆材110に隣接して取り付けられてもよいし、または装着されてもよい。創傷被覆材110に至る導管130のポンプからの切り離しを可能にするようにコネクタ140が設けられてもよく、これは、たとえば被覆材の交換時に有用である場合がある。
【0037】
図2A〜
図2Dは、患者の創傷部位を治療するために使用されているTNP創傷治療システムの一実施形態の使用法を示す。
図2Aは、創傷部位200が洗浄され、治療の準備が行われているところを示す。ここで、好ましくは、創傷部位200を取り囲む健常な皮膚を洗浄し、余分な毛を除去するかまたは剃る。必要ならば、創傷部位200を滅菌生理食塩水で洗浄してもよい。任意選択で、皮膚保護剤を、創傷部位200を取り囲む皮膚に塗布してもよい。必要ならば、発泡体またはガーゼなどの創傷充填材料を創傷部位200内に設置してもよい。このことは、創傷部位200がより深い創傷である場合に好ましいことがある。
【0038】
創傷部位200を取り囲む皮膚が乾燥した後、次に
図2Bを参照すると、創傷被覆材110を創傷部位200の上に位置付け、設置してもよい。好ましくは、創傷被覆材110は、創傷部位200の上におよび/または創傷部位200と接触して創傷接触層2102とともに設置される。いくつかの実施形態では、接着層が創傷接触層2102の下面2101に設けられ、この接着層は、場合によっては、創傷被覆材110を創傷部位200の上に設置する前に除去されるべき任意選択の剥離層によって保護されてもよい。好ましくは、被覆材110は、流体がポートの周囲に貯留するのを回避するためにポート2150が被覆材110の残りの部分に対して隆起した位置にあるように位置付けられる。いくつかの実施形態では、被覆材110は、ポート2150が創傷を直接覆わず、創傷と同じ高さにあるかまたは創傷よりも高い箇所にあるように位置付けられる。TNPを適切に密封するようにする助けとなるために、被覆材110の縁部は、好ましくは、しわになったり折りたたまれたりしないように平滑化される。
【0039】
次に
図2Cを参照すると、被覆材110はポンプ150に接続される。ポンプ150は、被覆材110を介して、一般的には導管を通して、創傷部位に陰圧を加えるように構成される。いくつかの実施形態では、上記で
図1において説明したように、コネクタを使用して導管を被覆材110からポンプ150に接合してもよい。ポンプ150を用いて陰圧を加えると、被覆材110は、いくつかの実施形態では、部分的に圧壊して、被覆材110の下にある空気の一部またはすべてが排気された結果としてしわの寄った外観を呈することがある。いくつかの実施形態において、ポンプ150は、被覆材110と創傷部位200を囲む皮膚との間の界面など被覆材110に漏れがあるかどうかを検出するように構成されてもよい。漏れが見つかった場合、治療を続ける前にそのような漏れを直しておくことが好ましい。
【0040】
図2Dを参照すると、追加の固定ストリップ210が、被覆材110の縁部のまわりに取り付けられてもよい。そのような固定ストリップ210は、状況によっては、創傷部位200を取り囲む患者の皮膚に対してさらなる密封を提供するように有利である場合がある。たとえば、固定ストリップ210は、患者の動きがより激しいときのために、さらなる密封を実現してもよい。場合によっては、特に、到達するのが困難であるかまたは起伏のある区域の上に被覆材110を設置する場合、ポンプ150を作動させる前に固定ストリップ210を使用してもよい。
【0041】
創傷部位200の治療は、創傷が所望の治癒レベルに達するまで継続することが好ましい。いくつかの実施形態では、ある期間が経過した後、または被覆材が創傷流体で一杯になった場合に、被覆材110を交換することが望ましい場合がある。そのような交換時には、ポンプ150を残し、被覆材110のみを交換してもよい。
【0042】
図3A〜
図3Cは、本開示の一実施形態による
図1の創傷被覆材に類似した創傷被覆材2100を通る断面図を示す。創傷被覆材2100の上から見た図が
図1に示されており、線A−Aは、
図3Aおよび
図3Bに示される断面の場所を示す。創傷被覆材2100は、あるいは限定するものではないが創傷被覆材110を含む本明細書で開示される任意の創傷被覆材実施形態であってもよいし、または本明細書で開示される任意の数の創傷被覆材実施形態の特徴の任意の組み合わせであってもよく、治療されるべき創傷部位の上に配置可能である。被覆材2100は、創傷部位の上に密封された空洞を形成するように設置され得る。好ましい一実施形態では、被覆材2100は、創傷接触層2102に取り付けられた裏打ち層2140を備え、この両方については以下でより詳細に説明する。これらの2つの層2140、2102は、好ましくは、内部空間すなわち内部チャンバを画定するように一緒に接合または密封される。この内部空間すなわち内部チャンバは、陰圧を分散させるかまたは伝え、創傷から除去された創傷滲出液および他の流体を貯蔵し、および以下でより詳細に説明する他の機能に適合され得る追加構造を備えることができる。以下で説明するそのような構造の例としては、透過層2105および吸収性層2110がある。
【0043】
図3A〜
図3Cに示されるように、創傷被覆材2100の下面2101は、任意選択の創傷接触層2102を備えてもよい。創傷接触層2102は、たとえばホットピンプロセス、レーザアブレーションプロセス、超音波プロセスを介して、または何らかの他の方法で穿孔される、または別の方法で液体および気体透過性にされた、ポリウレタン層またはポリエチレン層または他の可撓性層であってよい。創傷接触層2102は、下面2101と、上面2103とを有する。穿孔2104は、好ましくは、流体が創傷接触層2102を通って流れることを可能にする、創傷接触層2102内の貫通穴を備える。創傷接触層2102は、創傷ドレッシング材の他の材料への組織の内部成長を防止する助けとなる。好ましくは、穿孔は、この要件を満たすが、それにもかかわらず流体を通過させるのに十分なほど小さい。たとえば、0.025mmから1.2mmの範囲にわたるサイズを有するスリットまたは穴として形成される穿孔は、創傷被覆材への組織の内部成長を防止する助けとなり、それと同時に創傷滲出液が被覆材に流入することを可能にするのに十分なほど小さいと見なされる。いくつかの構成では、創傷接触層2102は、創傷における陰圧を維持するために吸収性パッドのまわりに気密シールも作製しながら、創傷被覆材2100全体の完全性を維持する助けとなってよい。
【0044】
創傷接触層2102のいくつかの実施形態はまた、任意選択の下部接着層および上部接着層(図示せず)の担持体として作用することができる。たとえば、創傷被覆材2100の下面2101に下部感圧接着剤を設けてもよく、一方、創傷接触層の上面2103に上部感圧接着層を設けてもよい。感圧接着剤は、シリコーン接着剤、ホットメルト接着剤、親水コロイド接着剤、またはアクリル系接着剤、または他のそのような接着剤であってよく、創傷接触層の両側に形成されてもよいし、または任意選択で、創傷接触層の選択された一方の側に形成されてもよいし、またはどちらの側にも形成されなくてもよい。下部感圧接着層が利用されるとき、これは、創傷被覆材2100を創傷部位のまわりの皮膚に接着させるのに有用な場合がある。いくつかの実施形態では、創傷接触層は、穿孔されたポリウレタンフィルムを備えることができる。フィルムの下面はシリコーン感圧接着剤を備えることができ、上面はアクリル感圧接着剤を備えることができ、このことは、被覆材がその完全性を維持する助けとなり得る。いくつかの実施形態では、ポリウレタンフィルム層は、その上面と下面の両方に接着層を備えてもよく、すべての3つの層は一緒に穿孔されてもよい。
【0045】
多孔性材料の層2105を創傷接触層2102の上方に配置することができる。この多孔性層すなわち透過層2105は、液体および気体を含む流体を創傷部位から創傷被覆材の上部層へと透過させることを可能にする。特に、透過層2105は、好ましくは、吸収性層がかなりの量の滲出液を吸収したときでも陰圧を創傷区域の上に伝達するように、開放された空気チャネルが維持可能であるようにする。層2105は、好ましくは、上記で説明したように陰圧創傷閉鎖療法中に加えられる通常の圧力の下で開放されたままになるべきであり、それによって創傷部位全体が等しい陰圧を受ける。層2105は、三次元構造を有する材料から形成されてもよい。たとえば、編まれたスペーサ布または織られたスペーサ布(たとえばBaltex7970横編みポリエステル)または不織布が使用されてよい。
【0046】
透過層2105の上方に吸収材料の層2110が設けられる。吸収材料は、発泡体または不織天然材料もしくは不織合成材料を含み、任意選択で、高吸収性材料を含み、創傷部位から除去された流体、特に液体の貯蔵部を形成することができる。いくつかの実施形態では、層2110は、流体を裏打ち層2140の方へ吸い寄せる助けとなることもできる。
【0047】
図3A〜
図3Cを参照すると、マスキング層すなわち不明瞭化層2107は、裏打ち層2140の少なくとも一部分の下方に位置付けることができる。いくつかの実施形態では、不明瞭化層2107は、任意の覗き窓または穴を有することを含むがこれに限定されない、本明細書で開示される不明瞭化層の他の実施形態のいずれかの同じ特徴、材料、またはその他の詳細のいずれかを有することができる。さらに、不明瞭化層2107は、裏打ち層に隣接して位置付けられてもよいし、または所望の他の任意の被覆材層に隣接して位置付けられてもよい。いくつかの実施形態では、不明瞭化層2107は、裏打ち層に接着されてもよいし、または裏打ち層と一体的に形成されてもよい。好ましくは、不明瞭化層2107は、それを覆うように、吸収性層2110とほぼ同じサイズおよび形状を有するように構成される。したがって、これらの実施形態では、不明瞭化層2107は、裏打ち層2140よりも小さい面積を有する。
【0048】
吸収性層2110の材料も、創傷被覆材2100内で収集された液体が被覆材内で自由に流れることを防止することができ、好ましくは、吸収性層2110内で収集されたあらゆる液体を収容するように作用する。吸収性層2110はまた、吸い上げ作用を介した層全体にわたって流体を分散させる助けとなり、したがって、流体が創傷部位から吸い出され、吸収性層全体にわたって格納される。これは、吸収性層の区域内での凝集を防止する助けとなる。吸収材料の容量は、陰圧が加えられたときに創傷の滲出液流量を管理するのに十分なものでなければならない。使用時に吸収性層が陰圧を受けるので、吸収性層の材料は、そのような状況下で液体を吸収するように選ばれる。陰圧下にあるときに液体を吸収することが可能ないくつかの材料、たとえば高吸収体材料が存在する。吸収性層2110は、一般に、ALLEVYN(商標)フォーム、Freudenberg 114−224−4、および/またはChem−Posite(商標)11C−450から製造されてよい。いくつかの実施形態では、吸収性層2110は、高吸収性粉末とセルロースなどの繊維材料と結合繊維とを含む複合物を含むことができる。好ましい一実施形態では、複合物は、熱により結合された風成複合物である。
【0049】
好ましくは、裏打ち層2140内にオリフィス2145が設けられ、陰圧を被覆材2100に加えることを可能にする。吸引ポート2150は、好ましくは、被覆材2100へと形成されたオリフィス2145の上で裏打ち層2140の頂部に取り付けられるかまたは密封され、オリフィス2145を通して陰圧を伝達する。ある長さのチューブ類2220を第1の端部で吸引ポート2150に、第2の端部でポンプユニット(図示せず)に結合し、流体を被覆材からポンプで汲み出すことを可能にしてもよい。ポートは、アクリル接着剤、シアノアクリレート接着剤、エポキシ接着剤、UV硬化可能な接着剤、またはホットメルト接着剤などの接着剤を使用して、裏打ち層2140に接着および密封され得る。ポート2150は、ショアAスケールで30〜90の硬度を有する軟質ポリマー、たとえばポリエチレン、ポリ塩化ビニル、シリコーン、またはポリウレタンから形成される。いくつかの実施形態では、ポート2150は、たとえば以下で
図23A〜
図23Bにおいて説明する実施形態を使用して、軟性材料または適合材料から作製されてもよい。
【0050】
好ましくは、吸収性層2110および不明瞭化層2107は、ポート2150の下に位置するように配置された少なくとも1つの貫通穴2146を含む。貫通穴2146は、ここでは不明瞭化層2107および裏打ち層2140を通る穴よりも大きいように示されているが、いくつかの実施形態では、両方の層よりも大きくてもよいし、または小さくてもよい。もちろん、これらのさまざまな層2107、2140、および2110を通るそれぞれの穴は、互いに対して異なるサイズであってもよい。
図3A〜
図3Cに示されるように、単一の貫通穴を使用して、ポート2150の下に位置する開口部を形成することができる。あるいは複数の開口部が利用されてもよいことが理解されるであろう。さらに、本開示の特定の実施形態により複数のポートを利用する場合、1つまたは複数の開口部が、吸収性層および不明瞭化層に、それぞれの各ポートと位置合わせされて作製されてもよい。本開示の特定の実施形態に不可欠ではないが、高吸収性層内で貫通孔を使用することによって、特に吸収性層2100が飽和に近いときに妨害されないままである流体流れ経路が設けられてもよい。
【0051】
開口または貫通穴2146は、好ましくは、オリフィスが透過層2105に直接接続されるように、オリフィス2145の下方の吸収性層2110および不明瞭化層2107に設けられる。これによって、ポート2150に加えられた陰圧を、吸収性層2110を通過することなく透過層2105に伝達することが可能になる。これによって、吸収性層が創傷滲出液を吸収するときに、創傷部位に加えられた陰圧が吸収性層によって阻害されないようになる。他の実施形態では、開口が吸収性層2110および/または不明瞭化層2107に設けられなくてもよいし、あるいはオリフィス2145の下方の複数の開口が設けられてもよい。
【0052】
裏打ち層2140は、好ましくは、気体不透過性であるが水蒸気透過性であり、創傷被覆材2100の幅にわたって延在することができる。裏打ち層2140は、たとえば一方の側に感圧接着剤を有するポリウレタンフィルム(たとえば、Elastollan SP9109)であってよく、気体不透過性であり、したがって、この層は、創傷を覆い、創腔を密封するように動作し、その上に創傷被覆材を設置する。このようにして、陰圧が確立可能である効果的なチャンバが、裏打ち層2140と創傷部位の間に作製される。たとえば、裏打ち層2140は、好ましくは、たとえば接着技法または溶接技法を介して被覆材の周囲の境界領域内の創傷接触層2102に対して密封され、空気が境界区域を通って吸い込まれないようにする。裏打ち層2140は、外部細菌汚染から創傷を保護し(細菌バリア)、創傷滲出液からの液体がこの層を通過して薄膜外面から蒸発することを可能にする。裏打ち層2140は、好ましくは、2つの層、すなわちポリウレタンフィルムと、このフィルム上に広げられた接着剤パターンとを備える。ポリウレタンフィルムは、好ましくは水蒸気透過性であり、濡れたときに透水率が増加する材料から製造されてよい。
【0053】
吸収性層2110は透過層2105よりも広い面積を有してよく、したがって、吸収性層は透過層2105の縁部と重複し、それによって、透過層は裏打ち層2140と接触しないようになる。これによって、創傷接触層2102と直接接触する吸収性層2110の外側チャネル2115が設けられ、このチャネルは、滲出液を吸収性層によりすばやく吸収する助けになる。そのうえ、この外側チャネル2115により、被覆材の周縁のシールから滲出して漏出物の形成を招く可能性のある液体が創腔の周辺部に貯留することはできなくなる。
【0054】
図3Aに示されるように、創傷被覆材2100の一実施形態は、ポート2150の下方に位置する吸収性層2110内に開口2146を備える。使用時に、たとえば陰圧が被覆材2100に加えられるとき、ポート2150の創傷に面する部分は、したがって透過層2105と接触してよく、したがって、吸収性層2110が創傷流体で満たされるときでも創傷部位に陰圧を伝える助けとなることができる。いくつかの実施形態では、裏打ち層2140は、透過層2105に少なくとも部分的に接着されてもよい。いくつかの実施形態では、開口2146は、ポート2150の創傷に面する部分すなわちオリフィス2145の直径よりも少なくとも1〜2mm大きい。
【0055】
液体不透過性であるが気体透過性であるフィルタ要素2130は、液体バリアとして作用し、液体が創傷被覆材から漏出することを不可能にするように設けられる。このフィルタ要素は、細菌バリアとして働いてもよい。一般的には、孔径は0.2μmである。フィルタ要素2130のフィルタ材料に適した材料としては、MMTレンジの0.2ミクロンGore(商標)延伸多孔質PTFE、PALL Versapore(商標)200R、およびDonaldson(商標)TX6628がある。上記よりも大きい孔径を使用することもできるが、これらの孔径では、バイオバーデンを完全に封じ込めるようにするために二次フィルタ層が必要になり得る。創傷流体が脂質を含有するときは、疎油性フィルタ膜たとえば0.2ミクロンMMT−323に先行した1.0ミクロンMMT−332を使用することが好ましいが、不可欠ではない。これによって、脂質により疎水性フィルタが詰まることが防止される。フィルタ要素は、オリフィス2145の上でポートおよび/または裏打ち層2140に取り付けられてもよいし、またはこれらに密封されてもよい。たとえば、フィルタ要素2130はポート2150に成形されてもよいし、または限定するものではないがUV硬化接着剤などの接着剤を使用して裏打ち層2140の頂部とポート2150の底部の両方に接着されてもよい。
【0056】
図3Bには、ポート2150およびフィルタ2130とともにスペーサ要素2152、2153を備える創傷被覆材2100の一実施形態が示されている。そのようなスペーサ要素2152、2153を追加することにより、ポート2150およびフィルタ2130は、吸収性層2110および/または透過層2105と直接接触しないように支持され得る。吸収性層2110はまた、追加のスペーサ要素として作用し、フィルタ2130が透過層2105と接触しないようにすることもできる。したがって、そのような構成では、使用中のフィルタ2130と透過層2105および創傷流体の接触は、最小限に抑えることができる。
図3Aに示される実施形態とは対照的に、吸収性層2110および不明瞭化層2107を通る開口2146は、必ずしもポート2150以上の大きさである必要がなくてもよく、したがって、吸収性層2110が創傷流体で飽和したときにポートから透過層2105への空気経路を維持できるようにするのに十分な大きさを有するだけでよい。
【0057】
次に、
図3A〜
図3Cに示される要素の多くを共有する
図3Cを参照すると、ここに示される実施形態は、裏打ち層2140と、マスキング層2107と、吸収性層2110とを備え、これらの層のすべては、オリフィス2145を形成するように透過層2105に直接連通する、これらの層を通って作製された切れ目または開口部を有する。吸引ポート2150は、好ましくは、それの上方に位置し、オリフィス2145と連通する。
【0058】
特に、単一の吸引ポート2150と貫通穴とを有する実施形態では、
図3A〜
図3Cおよび
図1に示されるように、ポート2150および貫通穴が中心から外れた位置に配置されことが好ましい場合がある。そのような場所は、ポート2150が被覆材2100の残りの部分に対して隆起するように被覆材2100を患者上に位置付けることを可能にする場合がある。そのように位置付けられると、ポート2150およびフィルタ2130は、陰圧が創傷部位に伝わることを阻害するようにフィルタ2130を早期に閉塞させる可能性のある創傷流体と接触する可能性が低くなり得る。
【0059】
図4A〜
図4Cは、上記で説明した実施形態に類似し、さまざまな長さおよび幅で狭い中央部分を備える創傷被覆材300の実施形態を示す。
図4Aは、狭い中央部分すなわちくびれた中間部分を有する創傷被覆材300の一実施形態を示す。創傷被覆材300は、裏打ち層301を有する。裏打ち層301は、長方形または正方形の周辺部を有することができ、透明材料または半透明材料とすることができる。裏打ち層301は、下面305と、上面306とを有することができる。裏打ち層301の下面は、
図3A〜
図3Cを参照して先に説明したように、創傷部位を取り囲む皮膚表面上に設置されるように構成可能である。さらに、下面305は創傷接触層を有することができる。この創傷接触層は、限定するものではないが
図3A〜
図3Cに関して説明した創傷被覆材実施形態を含む、本明細書で説明するすべての特徴および実施形態を有することができる。創傷接触層は、裏打ち層301の下面305の周辺部に接着可能である。創傷接触層は、接着剤または先に説明したように創傷被覆材を皮膚表面に取り付けることを可能にする他の任意の接着方法を備えることができる。
【0060】
いくつかの実施形態では、創傷被覆材300は、先に説明したように被覆材の中心からずれたポート304を有することができる。ポート304は、ドーム形のポートであってもよいし、または軟性流体コネクタ(以下で詳細に説明する)であってもよい。ポート304は、被覆材上の中央場所に設置することができるが、好ましくは、被覆材の中心から特定の側面または縁部までずれる。したがって、ポート304の方向は、身体に設置されるとき、ポート304を高い位置に位置することを可能にし、それによって、流体と接触する前に被覆材300が使用され得る時間の量を増加させることがある。他の方向が使用されてもよく、実際に(たとえば、患者が位置をシフトしたときに)発生することがあるが、より低い位置にポート304を設置することによって、ポートに近接するフィルタ(ここでは図示せず)が飽和することがあり、それによって、吸収性層内に何らかの吸収性空洞が依然として残っていても被覆材を交換する必要がある場合がある。好ましくは、ポート304は、それにチューブまたは導管を接続するためのオリフィスを有する。このオリフィスは、チューブまたは導管が被覆材300から離れて延在することを可能にするように被覆材300の中心から離れるような角度にされてよい。いくつかの好ましい実施形態では、ポート304は、裏打ち層301の頂面とほぼ平行になるようにチューブまたは導管を挿入することを可能にするオリフィスを備える。
【0061】
さまざまな実施形態では、創傷被覆材300は吸収材料302を有することができる。吸収材料302は、透過層およびマスキング層すなわち不明瞭化層(図示せず)などの、
図3A〜
図3Bにおいて創傷被覆材断面に関して説明した創傷被覆材内の追加構成要素を伴うことができる。
【0062】
いくつかの実施形態では、創傷被覆材300は、中央部分308を備えた吸収材料302を有することができる。吸収材料302は、長手方向長さと、横方向幅とを有することができる。いくつかの実施形態では、長手方向長さは横方向幅よりも大きい。いくつかの実施形態では、長手方向長さと横方向幅は等しいサイズである。さまざまな実施形態では、吸収材料302は、略長方形本体を含む、曲線の付けられた形状を有することができる。
【0063】
吸収材料302の中央部分308は、くびれた部分303を備えることができる。くびれた部分303は、長手方向長さの中央部分308で狭くなる吸収材料302の横方向幅によって画定することができる。たとえば、いくつかの実施形態では、くびれた部分303は、
図4A〜
図4Cに示されるように、吸収材料302の中央部分308において狭い幅であってもよい。本明細書で説明する実施形態を含めて、くびれた部分303の追加の実施形態が可能である。さらに、
図3A〜
図3Cに関して説明する創傷被覆材内の付随構成要素の形状は、くびれた部分を含む、吸収材料の同じ曲線の付けられた形状に合わせて形成可能である。
【0064】
くびれた部分303は、創傷被覆材の可撓性を増加させることができ、患者の身体に対する創傷被覆材の適合性の向上を可能にすることができる。たとえば、狭い中央領域は、創傷被覆材を非平面状面上で使用するかつ/または腕または脚に巻き付けるときの皮膚表面への創傷被覆材の接触および接着の改善を可能にすることができる。さらに、中央部分が狭いことによって、患者の身体および患者の動きとの適合性の増加が実現される。
【0065】
図15A〜
図15Bと同様に、創傷被覆材の実施形態は、非平面状創傷における被覆材の適合性をさらに高めるように、スリットのさまざまな構成(以下で詳細に説明する)を備えることができる。また、以下で説明するように、吸収性層は、不明瞭化層により着色されるまたは不明瞭にされてもよく、任意選択で、1つまたは複数の覗き窓を備える。ドーム形のポートは、以下で
図23A〜
図23Bにおいて説明するタイプの1つまたは複数の流体コネクタで置き換えられてもよい。さらに、創傷被覆材300は、本明細書で説明するすべての設計または実施形態を備えることができ、または本明細書で開示される任意の数の創傷被覆材実施形態の特徴の任意の組み合わせを有することができる。
【0066】
図4Bは、くびれた部分を有する創傷被覆材300の一実施形態を示す。
図4Bに示されている創傷被覆材300は、上記で
図4Aに関して説明した特徴および実施形態を有することができる。ただし、
図4Bは、横方向幅に対してより短い長手方向長さを有する一実施形態を示す。
図4Cは、くびれた部分を有する創傷被覆材300の追加の実施形態を示す。
図4Cに示されるように、創傷被覆材は、
図4Aおよび
図4Bに示される実施形態に示されているように長手方向長さが創傷被覆材の横方向幅よりも実質的に長いこととは対照的に、サイズにおいて実質的に異ならない長手方向長さおよび横方向幅を有することができる。
図4Bおよび
図4Cに示される創傷被覆材の実施形態は、
図4Aに関して説明したくびれた部分303のそれらの実施形態を含めて、創傷被覆材の本明細書で説明するすべての特徴および実施形態を含むことができる。
【0068】
図5A〜
図5Fは、くびれた部分と不明瞭化層と覗き窓とを有する創傷被覆材の一実施形態の複数の図を示す。
図5Aは、創傷被覆材400の一実施形態の斜視図を示す。創傷被覆材400は、好ましくは、ポート406を備える。ポート406は、好ましくは、
図1に関して説明したポンプと流体連通するように構成され、ポートにあらかじめ取り付けられたチューブまたは導管を含むことができる。あるいは、以下で
図23A〜
図23Bにおいて説明するタイプの流体コネクタを含むがこれに限定されない他の適切な流体コネクタを通して、創傷被覆材に陰圧を供給することができる。
【0069】
創傷被覆材400は、上記の
図3Aおよび
図3Bの実施形態に類似して構築することができ、裏打ち層405の下方またはその中に吸収材料402を備えてもよい。任意選択で、創傷接触層および透過層は、上記で説明したように創傷被覆材400の一部として設けられてもよい。吸収材料402は、創傷被覆材の可撓性および皮膚表面に対する適合性を増加させるために先に説明したように、狭い中央部分すなわちくびれた部分408を収容することができる。裏打ち層405は、吸収材料402の外縁を越えて延在する境界領域401を有することができる。裏打ち層405は半透明または透明な裏打ち層であってよく、したがって、裏打ち層405から作製された境界領域401は半透明または透明であってよい。裏打ち層405の境界領域401の面積は、狭い中央部分を除いて被覆材全体の周辺部のまわりでほぼ等しいとすることができ、境界領域の面積はこれよりも大きい。境界領域401のサイズが被覆材の全寸法および設計上の他の任意の選択肢に左右されることは認識されよう。
【0070】
図5Aに示されるように、吸収性層402の頂部に、または吸収性層402の上に、および裏打ち層405の下に少なくとも設けられるのは、任意選択で1つまたは複数の覗き窓403を有する不明瞭化層404であってよい。不明瞭化層404は、創傷被覆材400および/または吸収材料の中に(すなわち、吸収材料402の中または裏打ち層405の下に)収容された内容物(流体など)を部分的にまたは完全に不明瞭にすることができる。不明瞭化層は、吸収材料の着色部分であってもよいし、または吸収材料を覆う別個の層であってもよい。いくつかの実施形態では、吸収材料402は、上記で説明したものと同じように、美容面および/または審美面での向上を提供するように、不明瞭化層404を介して、(部分的にまたは完全に)隠されたり、着色または彩色されたりしてもよい。不明瞭化層は、好ましくは、最も上位の裏打ち層405と吸収材料402の間に設けられるが、他の構成も可能である。
図3Aおよび
図3Bの横断面図は、マスキング層すなわち不明瞭化層2107に関して、この構成を示す。他の層および他の創傷被覆材構成要素が、本明細書で説明する被覆材に組み込まれてもよい。
【0071】
不明瞭化層404は、吸収材料402の上に少なくとも部分的に位置付けることができる。いくつかの実施形態では、不明瞭化層404は、裏打ち層に隣接して位置付けられてもよいし、または所望の他の任意の被覆材層に隣接して位置付けられてもよい。いくつかの実施形態では、不明瞭化層404は、裏打ち層および/または吸収材料に接着されてもよいし、または裏打ち層および/または吸収材料と一体的に形成されてもよい。
【0072】
図5Aに示されるように、不明瞭化層404は、吸収材料402と実質的に同じ周辺部の形状およびサイズを有することができる。吸収材料402の全体が不明瞭化層404によって不明瞭化できるように、不明瞭化層404と吸収材料402は等しいサイズであってよい。不明瞭化層404は、創傷滲出液、血液、または創傷から放出された他の物質の不明瞭化を可能にすることができる。さらに、不明瞭化層404は、完全にまたは部分的に不透明であってよく、切り抜かれた覗き窓または穿孔を有する。
【0073】
いくつかの実施形態では、不明瞭化層404は、被覆材表面の部分的な不明瞭化またはマスクキングをもたらす材料を使用することによって、使用中の被覆材の見苦しい外観を軽減する助けとなることができる。不明瞭化層404は、一実施形態では、被覆材表面にわたって滲出液の拡散を観察することによって臨床医が必要とする情報を入手することを可能にするように、被覆材を部分的にのみ不明瞭にする。不明瞭化層のこの実施形態の部分的マスキング性によって、熟練した臨床医が被覆材内の滲出液、血液、副産物などによって生じる異なる色を知覚することが可能になり、被覆材にわたる拡散の範囲の視覚的評価および監視を可能にする。しかし、その清浄な状態から滲出液を含む状態への被覆材の色の変化は、わずかな変化にすぎないので、患者が審美面での違いについて気付く可能性は低い。創傷滲出液の視覚的インジケータを減少させるかまたは患者の創傷からなくすと、患者の健康に良い効果をもたらす可能性が高く、たとえばストレスが軽減される。
【0074】
いくつかの実施形態では、不明瞭化層は、不織布(たとえばポリプロピレン)から形成することができ、19%の結合領域を有するダイヤモンドパターンを使用して熱により結合されてもよい。さまざまな実施形態では、不明瞭化層は疎水性であってもよいし、または親水性であってもよい。適用例に応じて、いくつかの実施形態では、親水性不明瞭化層は、付加された水蒸気透過性を提供することができる。しかし、いくつかの実施形態では、疎水性不明瞭化層は、依然として、十分な水蒸気透過性(すなわち、適切な材料の選択、不明瞭化層の厚さによって)を提供することができ、一方ではまた、不明瞭化層における染料または色のより良い保持を可能にする。したがって、染料または色は、不明瞭化層の下方に閉じ込められ得る。いくつかの実施形態では、これによって、より明るい色または白色で不明瞭化層を着色することが可能になり得る。好ましい実施形態では、不明瞭化層は疎水性である。いくつかの実施形態では、不明瞭化層材料は、エチレンオキシドを使用して滅菌可能とすることができる。他の実施形態は、ガンマ線照射、電子ビーム、蒸気、または他の代替滅菌方法を使用して滅菌され得る。さらに、さまざまな実施形態では、不明瞭化層は、たとえば医療用ブルー(medical blue)で、着色または彩色することができる。不明瞭化層は、より強い未着色層に積層または溶解された着色層を含む、複数の層から構築されてもよい。好ましくは、不明瞭化層は無臭であり、繊維の最小の脱落を示す。
【0075】
吸収性層402自体は、いくつかの実施形態では、着色または彩色され得るが、したがって、不明瞭化層は必要ではない。被覆材は、任意選択で、頂面を部分的に不明瞭化する手段を含んでよい。このことは、吸収性構造から流体を蒸発させることが依然として可能であるならば、開口部のないテキスタイル(編みテキスタイル、織りテキスタイル、または不織テキスタイル)層を使用しても達成することができる。このことは、それぞれ適切なインクまたは着色パッド構成要素(ヤーン、糸、コーティング)を使用して頂部フィルムまたは最上位パッド構成要素の頂面に不明瞭化パターンを印刷することによっても達成することができる。このことを達成する別の方法は、(たとえば窓を通して)被覆材の状態を検査するために臨床医によって一時的に開放され、創傷の環境を損なうことなく再び閉じることができる完全に不透明な頂面を有する。
【0076】
さらに、
図5Aは、1つまたは複数の覗き窓403を含む創傷被覆材の一実施形態を示す。1つまたは複数の覗き窓403は、好ましくは、不明瞭化層404を通って延在する。これらの覗き窓403は、不明瞭化層の下の吸収材料内の創傷滲出液が臨床医または患者によって見えるようにすることを可能にすることができる。
図5Aは、創傷被覆材の不明瞭化層404内の覗き窓403として働くことができる(たとえば、1つまたは複数の平行な列をなす)ドットの配列を示す。好ましい一実施形態では、2つ以上の覗き窓403は、被覆材400の1つまたは複数の側面と平行であってよい。いくつかの実施形態では、1つまたは複数の覗き窓は、0.1mmから20mmの間、好ましくは0.4mm〜10mm、さらにより好ましくは1mm〜4mmであり得る。
【0077】
覗き窓403は、不明瞭化層404を貫通してもよいし、または不明瞭化層404の未着色区域の一部であってもよく、したがって、吸収材料402の可視化を可能にすることができる。1つまたは複数の覗き窓403は、不明瞭化層404全体に反復パターンに配列されてもよいし、または不明瞭化層全体にランダムに配列されてもよい。さらに、1つまたは複数の覗き窓は、円形形状すなわちドットとすることができる。いくつかの実施形態では、流体のレベルがポート406の近位の流体を飽和させると、被覆材の性能が悪影響を受けることがあるので、好ましくは、1つまたは複数の覗き窓403は、飽和度だけでなく、流体ポート406の方への流体の前進または拡散も可能にするように構成される。いくつかの実施形態では、ポート406のまわりに放射する覗き窓403の「星形」配列は、この前進を示すのに適切である場合があるが、もちろん、他の構成も可能である。
【0078】
図5Aでは、覗き窓403は、不明瞭化層404によって覆われていない吸収材料402の区域に対応する。したがって、吸収材料402は、この区域では裏打ち層405のすぐ隣にある。不明瞭化層404は、部分的な不明瞭化層として作用するので、覗き窓403は、被覆材全体にわたる創傷滲出液の拡散状態を評価するために臨床医または訓練を受けた他の使用者によって使用されてよい。いくつかの実施形態では、覗き窓403は、ドットまたは三日月形の切り抜きの配列を備えることができる。たとえば、覗き窓403としてのドットの配列が、
図5A〜
図5F、
図6A〜
図6F、
図7A〜
図7F、
図8A〜
図8F、
図9A〜
図9F、
図10A〜
図10F、
図11A〜
図11F、および
図12A〜
図12Fに示されており、これらの図では、ドットの配列は、それぞれ5×2、3×2、8×1、5×1、3×1、3×3、3×3、および五点形の配列に配列されている。さらに、いくつかの実施形態では、ドットパターンは、不明瞭化層の全体にわたって、不明瞭化層の面全体またはほぼ全体にわたって均等に分散されてよい。いくつかの実施形態では、覗き窓403は、不明瞭化層全体にわたってランダムに分散され得る。好ましくは、1つまたは複数の覗き窓403によって覆われていない不明瞭化層404の区域は、被覆材400および/または吸収材料402の検査を可能にしながら滲出液の出現を最小限に抑えるようにバランスがとられている。いくつかの実施形態では、1つまたは複数の覗き窓403によって露出させられる面積は、不明瞭化層404の面積の20%、好ましくは10%、さらにより好ましくは5%を超えない。
【0079】
覗き窓403は、
図16〜
図18に関して説明するように、いくつかの構成を取ることができる。
図17では、覗き窓403は、不明瞭化層404へと形成された規則的に間隔のあいた未着色ドット(穴)の配列を備えることができる。ここで示されているドットは特定のパターンをなしているが、ドットは、異なる構成に配列されてもよいし、またはランダムに配列されてもよい。覗き窓403は、好ましくは、患者または介護者が吸収性層のステータスを確認するように、特にその飽和レベルならびに滲出液の色(たとえば、過剰な血液が存在するかどうか)を判断するように構成される。1つまたは複数の覗き窓を有することによって、吸収性層のステータスは、患者にとって審美的に不愉快でない目立たない方法で判断することができる。吸収性層の大部分は不明瞭にされ得るので、したがって、滲出液の総量が隠されることがある。したがって、吸収性層402のステータスおよび飽和レベルは、患者の困惑および可視性を低下させ、それによって患者の快適さを高めるように、より目立たない外観を提示することができる。いくつかの構成では、1つまたは複数の覗き窓403を使用して、被覆材400の飽和度の数値的な評価を提供することができる。このことは、電子的に(たとえば、デジタル写真評価を介して)行われてもよいし、手動で行われてもよい。たとえば、飽和度は、滲出液または他の創傷流体によって不明瞭になるまたは彩色され得る覗き窓403の数を計数することによって監視され得る。
【0080】
いくつかの実施形態では、吸収性層402または不明瞭化層404、特に吸収性層の着色部分は、補助化合物の存在を含む(または、このために着色される)ことができる。補助化合物は、いくつかの実施形態では、臭気を吸収する作用をすることができる活性炭であってよい。抗菌薬、抗真菌薬、抗炎症薬、および他のそのような治療用化合物の使用も可能である。いくつかの実施形態では、色は、被覆材が飽和した場合、または被覆材が特定量の有害物質を吸収した場合(たとえば、感染病原体の存在を示すために)、(たとえば、被覆材をいつ交換する必要があるかを示すために)時間の関数として変化してもよい。いくつかの実施形態では、1つまたは複数の覗き窓403は電子的に監視されてよく、患者または医師に被覆材400の飽和レベルを知らせるためにコンピュータプログラムまたはシステムとともに使用されてよい。
【0081】
図16は、商標登録された商標名(「PICO」)の形状をした覗き窓を含むドレッシング材の一実施形態を示す。
図18は、ロゴ、ここではSmith & Nephewのロゴの形状をした覗き窓を備えるドレッシング材の一実施形態を示す。もちろん、他のグラフィックス、テキスト、または設計を含む、多くの他の構成が可能である。覗き窓に存在するグラフィックス要素またはテキスト要素は、たとえば、教育的な性質であってもよい。
【0082】
他の代替形態では、滲出液が、創傷被覆材縁部から5mmまたは創傷被覆材縁部から7mmなど、創傷被覆材の縁部から所定の距離に達すると、創傷被覆材を交換する指示が与えられてもよい。あるいは、電子インジケータが被覆材中の滲出液の拡散状態を示す緑色ライト、黄色ライト、または赤色ライトを示す「交通信号」システムが実施されてもよい。代替または追加として、被覆材の上の滲出液の拡散状態を示す別の適切なインジケータが使用されてもよい。
【0083】
図5A〜
図5Fは、創傷被覆材400の複数の図を示す。
図5Aは、300mm×150mmの寸法を有する創傷被覆材の斜視図を示す。
図5Bおよび
図5Cは、
図5Aに記載されている創傷被覆材の実施形態の上面図および底面図を示す。
図5Dおよび
図5Eはそれぞれ、
図5Aに記載されている創傷被覆材400の正面図および背面図を示す。
図5Fは、
図5Aに記載されている創傷被覆材の側面図を示す。
【0084】
本明細書で説明する創傷被覆材の実施形態は、各実施形態が身体の動きに対する適合性を向上し得るように配列されてよい。このことは、創傷タイプまたは身体の区域によって異なる形状を使用することによって達成することができる。創傷被覆材実施形態は、
図5A〜
図5F、
図6A〜
図6F、
図7A〜
図7F、
図8A〜
図8F、
図9A〜
図9F、
図10A〜
図10F、
図11A〜
図11F、
図12A〜
図12F、および
図24A〜
図24Fに示されるように、任意の適切な形状または形態またはサイズであってよい。
図5A〜
図5F、
図6A〜
図6F、
図7A〜
図7F、
図8A〜
図8F、
図9A〜
図9F、
図10A〜
図10F、
図11A〜
図11F、
図12A〜
図12Fに示される被覆材の全体寸法は、たとえば、限定するものではないが、それぞれ300mm×150mm、200mm×150mm、400mm×100mm、300mm×100mm、200mm×100mm、250mm×250mm、200mm×200mm、および150mm×150mmであってよい。ただし、任意の全体サイズが使用されてよく、サイズは、特定の創傷サイズに合致するように決定されてよい。
図24A〜
図24Fの楕円形被覆材は、いくつかの実施形態では、190mm×230mmまたは145.5mm×190mmであってよい。この場合も、前述した実施形態は、創傷被覆材の可能なサイズ、寸法、および構成を示す例示的な実施形態にすぎず、他の構成も可能であることが理解されよう。
【0086】
図7A〜
図7Fはそれぞれ、創傷被覆材400の一実施形態の斜視図、上面図、底面図、正面図、背面図、および側面図を示す。いくつかの実施形態では、被覆材は400mm×100mmであってよい。
図7A〜
図7Fの創傷被覆材400は、
図7A〜
図7Fの実施形態が異なるサイズであることを除いて、
図5A〜
図5Fに関して上記で説明した類似の構成および構成要素を有することができる。さらに、
図5A〜
図5Fの実施形態とは対照的に、
図7A〜
図7Fの実施形態は、ドットの8×1配列を備える覗き窓構成を備える。
【0087】
図8A〜
図8Fはそれぞれ、創傷被覆材400の一実施形態の斜視図、上面図、底面図、正面図、背面図、および側面図を示す。いくつかの実施形態では、被覆材は300mm×100mmであってよい。
図8A〜
図8Fの創傷被覆材400は、
図8A〜
図8Fの実施形態が異なるサイズであることを除いて、
図5A〜
図5Fに関して上記で説明した類似の構成および構成要素を有することができる。さらに、
図5A〜
図5Fの実施形態とは対照的に、
図8A〜
図8Fの実施形態は、ドットの5×1配列を備える覗き窓構成を備える。
【0088】
図9A〜
図9Fはそれぞれ、創傷被覆材400の一実施形態の斜視図、上面図、底面図、正面図、背面図、および側面図を示す。いくつかの実施形態では、被覆材は200mm×100mmであってよい。
図9A〜
図9Fの創傷被覆材400は、
図9A〜
図9Fの実施形態が異なるサイズであることを除いて、
図5A〜
図5Fに関して上記で説明した類似の構成および構成要素を有することができる。さらに、
図5A〜
図5Fの実施形態とは対照的に、
図9A〜
図9Fの実施形態は、ドットの3×1配列を備える覗き窓構成を備える。
【0089】
図12A〜
図12Fはそれぞれ、創傷被覆材400の一実施形態の斜視図、上面図、底面図、正面図、背面図、および側面図を示す。いくつかの実施形態では、被覆材は150mm×150mmであってよい。
図12A〜
図12Fの創傷被覆材400は、
図12A〜
図12Fの実施形態が異なるサイズであることを除いて、
図5A〜
図5Fに関して上記で説明した類似の構成および構成要素を有することができる。さらに、
図5A〜
図5Fの実施形態とは対照的に、
図12A〜
図12Fの実施形態は、ドットの五点形配列を備える覗き窓構成を備える。ドットの五点形配列構成は、十字に配列された5つのドットからなり、ドットのうち4つは、1つのドットが正方形形状または長方形形状の創傷被覆材の4つの隅部のそれぞれに位置付けられた正方形または長方形を形成し、第5のドットは中央にある。ただし、創傷被覆材の1つの隅部は、好ましくは、五点形ドット配列内のドットの代わりに流体コネクタまたはポート406を有する。
【0090】
図10A〜
図10Fはそれぞれ、創傷被覆材400の一実施形態の斜視図、上面図、底面図、正面図、背面図、および側面図を示す。いくつかの実施形態では、被覆材は250mm×250mmであってよい。
図10A〜
図10Fの創傷被覆材400は、
図10A〜
図10Fの実施形態が異なるサイズであることを除いて、
図5A〜
図5Fに関して上記で説明した類似の構成および構成要素を有することができる。さらに、
図5A〜
図5Fの実施形態とは対照的に、
図10A〜
図10Fの実施形態は、ドットの3×3配列を備える覗き窓構成を備え、創傷被覆材の隅部位置にドットがなく、その代わりにドーム形のポートまたは流体コネクタ406があり、3×3配列を完成させる。
【0091】
図11A〜
図11Fはそれぞれ、創傷被覆材400の一実施形態の斜視図、上面図、底面図、正面図、背面図、および側面図を示す。いくつかの実施形態では、被覆材は200mm×200mmであってよい。
図11A〜
図11Fの創傷被覆材400は、
図11A〜
図11Fの実施形態が異なるサイズであることを除いて、
図5A〜
図5Fに関して上記で説明した類似の構成および構成要素を有することができる。さらに、
図5A〜
図5Fの実施形態とは対照的に、
図11A〜
図11Fの実施形態は、ドットの3×3配列を備える覗き窓構成を備え、創傷被覆材の隅部位置にドットがなく、その代わりにドーム形のポートまたは流体コネクタがあり、3×3配列を完成させる。
【0093】
図13A、
図13B、および
図14は、ポートに、ポートの近くに、またはポートに隣接して、1つまたは複数のオリフィス覗き窓502を備える被覆材500の実施形態を示す。オリフィス覗き窓502は、裏打ち層内のポート504に、ポート504の近くに、ポート504に隣接して設けられ、ポート504の近傍に存在する吸収材料503を見ることができるようになる。オリフィス覗き窓502は、本明細書で説明する覗き窓と同じ構造および/または機能を有することができる。いくつかの実施形態では、オリフィス覗き窓502は、不明瞭化層内の十字形またはマルタ十字形の開口すなわち切り抜き501から形成することができる。十字形切り抜き501のアームは、
図13Aに示される吸収材料503の長手方向長さおよび横方向幅と位置合わせすることができる。あるいは、十字形切り抜き501のアームは、
図13Bに示されるように、ある角度で、たとえば45°の角度で、吸収材料の長手方向長さおよび横方向幅からずれることができる。十字形切り抜きのアームは、切り抜き501の下の吸収材料の穴よりも大きい寸法であってもよい。たとえば、アームは約25mmの寸法であってよく、吸収材料の貫通穴は10mmの直径を有してよい。
【0094】
さらに、
図14は、十字形開口のアームがフレア縁部601を有することができる創傷被覆材600の一実施形態を示す。ポート604にある、ポート604の近くの、またはポート604に隣接するオリフィス覗き窓502を使用して、流体がポート604に接近していること、または被覆材600が他の方法で飽和しつつあることを示してよい。このことは、臨床医または患者が被覆材を創傷被覆材を維持し、いつ交換すべきかを決定する助けとなることができる。というのは、流体がポートの中心と接触すると、そのような流体接触によって、ポートの中に収容され得る疎水性フィルタが少なくとも部分的に閉塞し、陰圧を加えることを中断するまたはそれを少なくとも部分的に妨害するようになることがある。オリフィス覗き窓502は、流体コネクタならびにドーム形のポートまたは他の任意の適切なコネクタとともに使用されてよい。
【0095】
図15Aおよび
図15Bと同様に、創傷被覆材は、被覆材が非平面状区域に適合するのを助ける1つまたは複数のスリット2150も備えることができる。
図15Aは、狭い中央部分すなわちくびれた部分2120および同心スリット2150を有する創傷被覆材2100の一実施形態を示す。この実施形態は、たとえば、足、膝、仙骨部、または他のそのような区域を含む、非平面状面または起伏のある創傷上での創傷の治療に有用な場合がある。いくつかの実施形態では、創傷被覆材2100は、被覆材の適合性を高め得る、被覆材、好ましくは吸収性層へと切り込まれた1つまたは複数のスリット2150を提供することができる。この実施形態では、スリット2150は同心の卵形円弧に切断されるが、他の構成(以下で説明する)も可能である。好ましくは、デバイスの上に配設されたポート2130または流体コネクタの下の区域にはスリット2150がない。というのは、スリット2150が、被覆材からの流体輸送と干渉することがあるからである。いくつかの実施形態では、スリット2150は、創傷滲出液を分散させる助けとなり得るように吸収性層内に存在してよいバッフルの一部として、バッフルに加えて、またはバッフルの代わりに形成されてよい。これらの実施形態では、本明細書で説明するすべての他の実施形態とともに、ドーム形のコネクタが被覆材に取り付けられるように示されているが、これは、たとえば
図23および
図23Bに記載されている流体コネクタの実施形態(以下で説明する)を含む、他の任意の適切なコネクタと交換されてもよい。
【0096】
図15Bは、狭い中央部分2120を有する創傷被覆材2100の一実施形態を示す。しかし、ここでは、被覆材の幅にわたって延在する1つまたは複数のスリット2150が存在してよい。好ましくは、これらのスリット2150は、吸収性層内の流体輸送を促進するために、被覆材の幅にわたって全体的に延在しない。スリット2150は、場合によっては被覆材のくびれた構成とともに、非平面状の創傷区域または起伏のある創傷区域に適用されたとき、被覆材の適合性を高めることができる。たとえば、そのような被覆材2100は、腕または脚に巻き付くように適用されるときに有用な場合がある。
【0097】
図23Aおよび
図23Bはそれぞれ、本明細書で説明する創傷被覆材の一実施形態を陰圧源に接続するために使用され得る白色流体コネクタ2410および黒色流体コネクタ2420の実施形態を示す。いくつかの実施形態では、(たとえば、上記で
図1において示されるような)本明細書で説明する他の実施形態で使用されるドーム形のポートは、たとえば
図16〜
図19に示されるように、流体コネクタ2410、2420によって置き換えられてよい。流体コネクタ2410、2420は、可撓性であってよく、かつ/または患者の快適さを高めてよい。流体コネクタ2410、2420は、好ましくは、たとえば陰圧および/または創傷滲出液を含む流体をそれ自体に通すように構成された流体コネクタ本体を備える。流体コネクタ本体は、好ましくは、流体不透過性材料の1つまたは複数の層の中に包まれる。いくつかの実施形態では、流体不透過性材料は、流体コネクタ本体を囲むように一緒にヒートシールされる。
【0098】
ここで
図23Aを参照すると、流体コネクタ2410の本体は、好ましくは、3D布地などの布地を含む、流体をそれに通すように構成された材料から構築される。いくつかの実施形態では、流体コネクタ本体の厚さは、0.5から4mm、好ましくは0.7から3mm、さらにより好ましくは1から2mmの間であってよい。好ましい一実施形態では、流体コネクタ本体は1.5mmの厚さである。3D布地を含む、流体コネクタ本体に使用されてよい適切な材料は、2011年12月30日に出願され、US2012/0116334として公開された、「APPARATUSES AND METHODS FOR NEGATIVE PRESSURE WOUND THERAPY」という名称の米国特許出願第13/381,885号に開示されており、この出願は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。流体コネクタ本体で3D布地を使用することは、コネクタがねじれているときに流体の妨害を緩和する助けとなることがあり、たとえば患者の体重が流体コネクタに押し付けられているときに、患者の接点圧力を軽減する軟性流体コネクタをさらに提供することがある。このことが、患者の快適さを高め、褥瘡性潰瘍の可能性を低下させ得る。
【0099】
3D布地を含む流体コネクタの実施形態に関するさまざまな構成におけるさまざまな重量の試験が終了した。いくつかの研究で、被覆材を使用する患者の踵における最大圧力は1.3kg/cm
2であるとわかったので、試験は、患者が経験する可能性が高いと考えられる重量よりも重い重量を含んだ。好ましくは、本明細書で説明する流体コネクタの実施形態は、特に3D布地を含むとき、ある重量が流体コネクタを押す間、陰圧の治療レベル(すなわち、創傷を治癒するのに十分な量で)を伝えることができる。たとえば、実施形態は、好ましくは、被覆材および/または3D布地に加えられる外圧が最大1kg/cm
2、好ましくは最大2kg/cm
2、さらにより好ましくは最大4kg/cm
2である間、陰圧の治療レベルを伝えることが可能である。特定の実施形態、以下で説明するように、被覆材および/または3D布地に加えられる外圧が6kg/cm
2を越える間、陰圧の治療レベルを伝えることが可能であるように試験されている。
【0100】
試験では、400mlの創腔を使用し、創傷およびポンプの両方における圧力を測定した。3D布地を含む流体コネクタの実施形態を平らに置いて、ある重量をその上にかけたときに試験した。試験から、圧力が流体コネクタに加えられていないとき、ポンプにおける圧力と空洞における圧力の圧力差は約2mmHgであることが示された。2から12kg/cm
2にわたって2kg刻みでさまざまな異なる重量を加え、結果として得られる圧力差はほぼ線形であり、12kg/cm
2における圧力差は33mmHgと計算され、2kg/cm
2における圧力はわずか16mmHgと計算された。mmHg単位の圧力差の関係は、kg/cm
2単位の加えられた荷重のほぼ4.5倍に等しいことがわかった。試験からは、5分後のポンプにおける圧力と創傷における圧力の相対的な圧力差は、4kg/cm
2未満の荷重に対してポンプにおいて測定したとき、10mmHg未満であり、4kg/cm
2未満の荷重に対して創傷において測定したとき、20mmHg未満であることも示された。
【0101】
試験はまた、90°の角度で曲げられながら、流体コネクタの一実施形態の上に置かれた重量も用いて実行された。2から12kg/cm
2にわたって2kg刻みでさまざまな異なる重量を加え、結果として得られる圧力差はほぼ線形であり、12kg/cm
2における圧力差は51mmHgと計算され、2kg/cm
2における圧力は17mmHgと計算された。mmHg単位の圧力差の関係は、kg/cm
2単位の加えられた荷重のほぼ8倍に等しいことがわかった。試験からは、5分後のポンプにおける圧力と創傷における圧力の相対的な圧力差は、4kg/cm
2未満の荷重に対してポンプにおいて測定したとき、ほぼ20mmHgであり、4kg/cm
2未満の荷重に対して創傷において測定したとき、30mmHg未満であることも示された。
【0102】
さらなる試験が、180°の角度で曲げられ(すなわち、それ自体の上に折りたたまれ)ながら、流体コネクタの一実施形態の上に置かれた重量も用いて実行された。2から12kg/cm
2にわたって2kg刻みでさまざまな異なる重量を加え、結果として得られる圧力差はほぼ線形であり、12kg/cm
2における圧力差は76mmHgと計算され、2kg/cm
2における圧力は25mmHgと計算された。mmHg単位の圧力差の関係は、kg/cm
2単位の加えられた荷重のほぼ10.7倍に等しいことがわかった。試験からは、5分後のポンプにおける圧力と創傷における圧力の相対的な圧力差は、4kg/cm
2未満の荷重に対してポンプにおいて測定したとき、20mmHg未満であり、4kg/cm
2未満の荷重に対して創傷において測定したとき、30mmHg未満であることも示された。
【0103】
試験はまた、本明細書で説明する流体コネクタの実施形態で使用され得る3D布地の異なる幅および厚さに対しても実行された。特定の例では、幅において1、1.25、1.5、1.75、および2cmである3D布地を使用して加えることができる最大陰圧はそれぞれ、85から92mmHgの間であることがわかった。ただし、1kg/cm
2の印加荷重を加えたとき、1cm幅の実施形態に加えられる最大陰圧は75mmHgに低下したが、1.25および1.5cm幅の実施形態は本質的に変化せず、85から90mmHgの間の圧力を示した。1kg/cm
2の重量を加えると、1cm幅の実施形態の最大陰圧は約73mmHgに低下し、1.25cm幅の実施形態では約84mmHgに低下した。1.5cm幅の実施形態は、最小最大陰圧変化が約86mmHgに低下することを示した。試験のとき、流量の最大の増加(加えられる最大陰圧によって立証される)は、1cmから1.25cmに3D布地の幅を増加させたときに最大であり、1.5cmを超えると安定した。同様に、3D布地の幅を増加させる(すなわち、1cmを超える)と、創腔を目標陰圧にポンピングするために必要な時間の量がやや減少することがわかった。
【0104】
単一の厚さまたは2倍の厚さのどちらかである、Baltex 3540 3D布地の単一層および二重層を用いたさらなる試験から、単一の厚さの布地を使用して加えられた最大陰圧は、重量を加えないときの約88mmHgから、2kg/cm
2の重量を加えたときの約73mmHgに低下することが示された。しかし、2倍の厚さの布地では、加えられた陰圧の最大量の最小変化は、重量を加えないときの90mmHgから、2kg/cm
2の重量を加えたときの約87mmHgに低下することが示された。
【0105】
特定の適用例に応じて、より広いおよび/またはより厚い3D布地を使用することによって、状況によっては、より高い圧力およびねじれ抵抗とともに気流の改善が可能になることがある。このことは、特に、より高い絶対陰圧を創傷に加える必要がある場合に有用であり得る。しかし、より大きなねじれおよび圧力抵抗が、流体コネクタの知覚される嵩およびサイズ、美しさ、ならびに快適さなどの他の関心事とのバランスをとる必要がある場合があり、これによって、より薄い3D布地を使用することが必要とされる場合がある。
【0106】
いくつかの実施形態では、流体コネクタ2410の近位端2411は、流体コネクタ本体を介して陰圧源と流体連通するチューブまたは他の導管に接続されるように構成されるが、いくつかの実施形態は、従来のチューブを必要とすることなく陰圧源に直接接続可能な流体コネクタ2410を提供することができる。流体コネクタ2410の遠位端2412は拡張されてよく、たとえば被覆材の裏打ち層内および/または流体コネクタ2410内の開口を介して、被覆材に取り付けられるかつ/または被覆材に接着されるように構成され、したがって流体コネクタ本体は流体コネクタ2410と流体連通する。
【0107】
一構成では、
図23Aに示されるように、流体コネクタ2410の遠位端2412は、一方の側では凸状であってよく、他方の側では平坦であってよい。以下で
図16〜
図18に示されるように、平坦な側は吸収性層の縁部と位置合わせされてよく、凸状側は裏打ち層内の開口の上に延在する。流体コネクタ2410は、被覆材部分にあらかじめ取り付けられて設けられてもよいし、または患者または介護者によって被覆材部分に接続可能であるように、取り付けられていない形態で設けられてもよい。拡張遠位端2412は、被覆材に陰圧を伝えることが可能な面積の拡大を提供する助けとなり得るが、遠位端は、拡張なしで設けられてもよい。流体コネクタ2410の好ましい実施形態が、吸収材料内の創傷滲出液を実質的にすべて収容した被覆材において使用されており、したがって流体コネクタは本質的に空気のみを伝えるが、流体コネクタのいくつかの実施形態は、空気に加えて滲出液を輸送するように構成され得る。(創傷滲出液は実質的に吸収材料内にあるままでありながら)本質的に空気のみを輸送するように構成された流体コネクタの実施形態では、流体コネクタの遠位端は、好ましくは、疎水性フィルタなどの、それ自体を越える流体輸送を妨害するように構成されたフィルタを備える。そのような構成の一例が、2012年5月23日に出願された、「APPARATUSES AND METHODS FOR NEGATIVE PRESSURE WOUND THERAPY」という名称の米国仮出願第61/650,904号に記載されており、この出願は、その全体が参照により本出願に組み込まれる。
【0108】
空気に加えて滲出液を輸送するように構成された流体コネクタの実施形態では、流体コネクタは、周囲空気の創傷部位への流れを提供するように構成された二次空気漏れチャネルを備えることができる。好ましくは、この二次空気漏れチャネルは、創傷の汚染を防止するためにフィルタを備える。
【0109】
次に
図23Bを参照すると、この図は、
図23Aに類似した一実施形態を示すが、この図では、たとえば先に説明した不明瞭化層に類似した不明瞭化層の結果、流体コネクタ2420が着色されているように見えてもよい。いくつかの実施形態では、色合いの不明瞭化が、流体コネクタ2420に使用される材料、たとえばその中に使用され得る3D布地を染色することによって提供されてよい。いくつかの実施形態では、不明瞭化層は、3D布地の上方で、流体不透過性材料の上方または下方のどちらかに設置されてよい。いくつかの実施形態では、囲まれている流体不透過性材は、着色または彩色されてよい。流体コネクタ2420を(たとえば、不明瞭化層を介して)着色することによって、デバイスの審美的魅力が高まり、デバイスを偽装するまたはデバイスを目立たなくする(特に流体コネクタが他人に見えるとき)助けとなることができ、流体コネクタを使用して創傷から滲出液を輸送するとき、その中の滲出液の存在を隠すことができる。
【0110】
いくつかの実施形態では、流体コネクタ本体は、活性炭などの補助化合物の結果として着色され得る。さらに、いくつかの実施形態は、たとえば教育または広告の目的で、その上に印刷されるテキストまたは画像を提供することができる。そのような改善点は、患者の快適さを高め、当惑を最小限に抑え、それによって、患者の服薬遵守およびデバイスに対する満足感を増加させることができる。流体コネクタ内の不明瞭化層は、本明細書で説明する創傷被覆材の不明瞭化層に関して説明するすべての特徴を有することができる。
【0111】
図17は、六角形の裏打ち層と吸収材料および不明瞭化層の3つの突出部を有する構成とを備える創傷被覆材720の一実施形態を示す。この創傷被覆材720は、本明細書で説明するいくつかの他の実施形態と同様に、有利には、創傷、または区域非平面状に配置される、創傷を取り囲む区域に適用され得る。ここで示される実施形態は、突き出ている身体部分、たとえば肘および踵に適用されるときに、特に有利な場合がある。
【0112】
図18は、いくつかの点で
図17に示される実施形態に類似した3つの突出部を有する構成を有する創傷被覆材730を示す。ただし、ここでは、被覆材は小型化され、より丸い突起を備える。
図16〜
図18は、デバイスに取り付けられた
図23Aおよび
図23Bに記載されている流体コネクタに類似した流体コネクタ721、731を示し、平坦な端部は吸収材料の縁部と位置合わせされ、凸状の端部は裏打ち層内の開口の上に延在する。この流体コネクタは、快適さを高め、創傷または(上記で説明したように)創傷を取り囲む皮膚上への従来のチューブの圧力の増大から発生し得る褥瘡性潰瘍または他の合併症を防止することができる。もちろん、
図1に示されるドーム形のポートなどの異なるコネクタが使用されてもよい。
【0113】
図19〜
図20も、吸収材料の3つの突出部を有する構成と六角形の裏打ち層とを有する創傷被覆材740、750の追加の実施形態を示す。吸収材料の突出部がフレア端部を備える
図20に示される創傷被覆材750は大きく、
図19に示される創傷被覆材740は小さく、吸収材料はフレア端部を持たない。すべての適切な流体コネクタまたは導管が使用されてよく、
図20のドーム形のポートコネクタが
図19の流体コネクタの代わりに使用されてよく、その逆も同様である。先行する実施形態と同様に、吸収性層は着色されてもよいし、または不明瞭にされてもよく、1つまたは複数のスリットが吸収性層上に形成され、非平面状面に対する適合性を高めてもよい。
図17〜
図20の実施形態では、突出部の数が変化してもよく、裏打ち層は他の形状を有することができ、六角形に限定されないことが理解されるであろう。
【0114】
さらに、
図21A〜
図21Cおよび
図22は、4つの突出部を有する構成を備える創傷被覆材760、770、780、790の実施形態を示す。これらの実施形態は、それに取り付けられたポートまたは流体コネクタなしで示されているが、もちろん、そのようなポートおよび流体コネクタが想定され、本明細書で先に説明したものと類似の様式で取り付けられてよいことが理解されよう。
図21A〜
図21Cは、不明瞭化層とこの不明瞭化層を通って延在する覗き窓とを備える4つの突出部を有する創傷被覆材の実施形態を含む。覗き窓は、上記で説明したように、吸収性層内の創傷滲出液を可視化するために使用することができる。そのような覗き窓の例が
図21Aおよび
図21Bに示されている。
図21Aに示される被覆材760は、不明瞭化層762と、この不明瞭化層に設けられ、この不明瞭化層を通って延在し、この不明瞭化層の下方に被覆材が見えることを可能にする三日月形の覗き窓764とを含む。
図21Bの被覆材770は、不明瞭化層772と、不明瞭化層772の下方の被覆材の状態を見るための覗き窓として作用するいくつかの穴774とを含む。
図21Cは、覗き窓784を有する不明瞭化層782を含む別の被覆材780を示す。被覆材760、770、780では、被覆材の上および被覆材の縁部の方への滲出液の拡散の進行を監視することができる。
【0115】
図22は、4突出部構成の一実施形態による創傷被覆材790の一実施形態の斜視図を示す。
図22は、各層がパッド縁部の迎え角を減少させ、かつ被覆材のやや独立して動く小区分を提供するような形状にされる、身体の動きとの適合性を高めるのに有用な被覆材の可能な4突出部構成を示す。創傷接触層791と裏打ち層792とを含む被覆材境界は、必要に応じて境界同士を重ね合わせることによって貼付時の適合性をさらに高めるように設けられたスリットも備えることができる。4突出部構成ならびに他の構成を有する創傷被覆材は、2012年7月12日に出願され、「WOUND DRESSING AND METHOD OF TREATMENT」という名称の国際出願PCT/GB2012/000587に詳細に記載されており、この出願は参照により本明細書に組み込まれる。
【0116】
さらに、
図24A〜
図24Fは、卵形の吸収性層2308が複数の突出部2301を有する創傷被覆材2300の一実施形態を示す。
図24A〜
図24Fはそれぞれ、被覆材2300の一実施形態の斜視図、上面図、底面図、左側面図(left)、右側面図(right)、および側面図を示す。いくつかの実施形態では、吸収性層2308は6つの突出部を有することができる。好ましくは、2つ以上の突出部2301(たとえば、6つの突出部)が創傷被覆材2300上に設けられる。突出部2301、具体的には突出部2301間の間隙は、創傷被覆材2300が非平面状創傷に適合する助けとなる。たとえば、被覆材2300を使用して、肘および膝などの関節のまわりに合致することが有利な場合がある。
【0117】
被覆材2300は、長方形または正方形の裏打ち層2302を有することができ、いくつかの実施形態では、全体的な被覆材2300は190mm×230mmまたは145.5mm×190mmであってよい。好ましくは、ポート2306などの流体コネクタは被覆材2300に取り付けられるが、それの代わりに、またはそれに加えて、
図23A〜
図23Bの流体コネクタが使用されてよいことが認識されよう。さらに、いくつかの実施形態では、被覆材2300は、不明瞭化層2304と、本明細書で他の実施形態に関して説明した覗き窓に類似した1つまたは複数の覗き窓2303とを有することができる。
図24Aは被覆材2300の斜視図を示し、
図24Bは上面図を示し、
図24Cは底面図を示し、
図24D〜
図24Fは被覆材2300の4つの側面の図を表す。
【0118】
図25は、形状および全体的な構成に関して上記で
図7A〜
図7Fにおいて示した実施形態に類似した一実施形態を示す。ただし、ここでは、被覆材500は、
図13A〜
図13Bおよび
図14に関して説明したオリフィス覗き窓に類似したオリフィス覗き窓502を備える。オリフィス覗き窓502は、好ましくは、不明瞭化層506内の十字形またはマルタ十字形の開口すなわち切り抜き501から形成される。不明瞭化層の上に設けられる裏打ち層510は、好ましくは、オリフィス覗き窓502の中心に配置されたオリフィス505を有する。参照番号504はまた、陰圧源への接続を提供するために裏打ち層510内またはその上に設けられ得るポート、たとえば上記で説明したように裏打ち層内のオリフィスの上に設けられたポートを指定すると見なされ得る。より小さいオリフィス505は、不明瞭化層506の下に設けられた吸収性層503に配置され得る。被覆材500は、1つまたは複数の覗き窓507を備えることができる。ここでは、8つの覗き窓507が線形構成で設けられている。被覆材500の底部側面は、任意選択で接着剤の層を備え、その上に剥離層513が設置されてよい。線512は、剥離ライナ513の切れ目が設けられ得る可能な場所を示す。
【0119】
好ましい一実施形態では、ここに示されている被覆材500は、ほぼ400mmの長手方向長さと、ほぼ100mmの横方向幅とを有する。オリフィス覗き窓502の切り抜き501の各アームの中心軸は、好ましくは、図示のように、ある角度、たとえば45°の角度で、吸収材料の長手方向長さおよび横方向幅からずれている。切り抜き501の各アーム間の間隔は、ここで示されているように、72°であってよいが、もちろん、他の角度および構成も可能であることが理解されよう。剥離ライナ513の切れ目が設けられ得る可能な場所を示す線512が、たとえば、被覆材500の頂部縁部および底部縁部のそれぞれから80mm、40±4mm、および25±4mmのところに配置可能である。図示のように、オリフィスまたはポート504(および切り抜き501)は、好ましくは、被覆材500の横方向正中線を中心とし、被覆材500の頂部縁部から約52〜55mmに位置する。その場所は変化させてもよいが、被覆材500の側面、縁部、または隅部の近くに、またはこれに沿ってポート504を設置することが好ましい場合があり、ポート504は、次いで、被覆材の残りの部分に対して高いことが好ましい。この構成は、オリフィスまたはポート504の下またはその近くで吸収性層を飽和させる際に流体が遅くなるので、被覆材の寿命を延長させることができる。
【0120】
図26は、形状および全体的な構成に関して上記で
図8A〜
図8Fにおいて示した実施形態に類似した一実施形態を示す。ただし、ここでは、被覆材500は、オリフィス覗き窓502と切り抜き501とを備え、さまざまな部品の中でも、たとえば5つの線形に配列された覗き窓507を有し、オリフィス覗き窓502と切り抜き501は、
図25に関して上記で説明したものに類似している。好ましい一実施形態では、ここに示されている被覆材500は、ほぼ300mmの長手方向長さと、ほぼ100mmの横方向幅とを有する。切り抜き501の各アーム間の間隔は、ここで示されているように、72°であってよいが、もちろん、他の角度および構成も可能であることが理解されよう。剥離ライナ513の切れ目が設けられ得る可能な場所を示す線512が、たとえば、被覆材500の頂部縁部および底部縁部のそれぞれから80mm、40±4mm、および25±4mmのところに配置可能である。図示のように、オリフィスまたはポート504(および切り抜き501)は、好ましくは、被覆材500の横方向正中線を中心とし、被覆材500の頂部縁部から約52〜55mmに位置する。
【0121】
図27は、形状および全体的な構成に関して上記で
図9A〜
図9Fにおいて示した実施形態に類似した一実施形態を示す。ただし、ここでは、被覆材500は、オリフィス覗き窓502と切り抜き501とを備え、たとえばさまざまな部品の中でも、
図25に関して上記で説明したものに類似した3つの線形に配列された覗き窓507を有する。好ましい一実施形態では、ここに示されている被覆材500は、ほぼ200mmの長手方向長さと、ほぼ100mmの横方向幅とを有する。切り抜き501の各アーム間の間隔は、ここで示されているように、72°であってよいが、もちろん、他の角度および構成も可能であることが理解されよう。剥離ライナ513の切れ目が設けられ得る可能な場所を示す線512が、たとえば、被覆材500の頂部縁部および底部縁部のそれぞれから80mm、40±4mm、および25±4mmのところに配置可能である。図示のように、オリフィスまたはポート504(および切り抜き501)は、好ましくは、被覆材500の横方向正中線を中心とし、被覆材500の頂部縁部から約52〜55mmに位置する。
【0122】
図28は、形状および全体的な構成に関して上記で
図5A〜
図5Fにおいて示した実施形態に類似した一実施形態を示す。ただし、ここでは、被覆材500は、オリフィス覗き窓502と切り抜き501とを備え、たとえばさまざまな部品の中でも、
図25に関して上記で説明したものに類似した5つの線形に配列された覗き窓507からなる2つの列を有する。好ましい一実施形態では、ここに示されている被覆材500は、ほぼ300mmの長手方向長さと、ほぼ150mmの横方向幅とを有する。切り抜き501の各アーム間の間隔は、ここで示されているように、72°であってよいが、もちろん、他の角度および構成も可能であることが理解されよう。剥離ライナ513の切れ目が設けられ得る可能な場所を示す線512が、たとえば、被覆材500の頂部縁部および底部縁部のそれぞれから80mm、40±4mm、および25±4mmのところに配置可能である。図示のように、オリフィスまたはポート504(および切り抜き501)は、好ましくは、被覆材500の横方向正中線を中心とし、被覆材500の頂部縁部から約52〜55mmに位置する。
【0123】
図29は、形状および全体的な構成に関して上記で
図6A〜
図6Fにおいて示した実施形態に類似した一実施形態を示す。ただし、ここでは、被覆材500は、オリフィス覗き窓502と切り抜き501とを備え、たとえばさまざまな部品の中でも、
図25に関して上記で説明したものに類似した3つの線形に配列された覗き窓507からなる2つの列を有する。好ましい一実施形態では、ここに示されている被覆材500は、ほぼ300mmの長手方向長さと、ほぼ100mmの横方向幅とを有する。切り抜き501の各アーム間の間隔は、ここで示されているように、72°であってよいが、もちろん、他の角度および構成も可能であることが理解されよう。剥離ライナ513の切れ目が設けられ得る可能な場所を示す線512が、たとえば、被覆材500の頂部縁部および底部縁部のそれぞれから80mm、40±4mm、および25±4mmのところに配置可能である。図示のように、オリフィスまたはポート504(および切り抜き501)は、好ましくは、被覆材500の横方向正中線を中心とし、被覆材500の頂部縁部から約52〜55mmに位置する。
【0124】
図30は、形状および全体的な構成に関して上記で
図10A〜
図10Fにおいて示した実施形態に類似した一実施形態を示す。ただし、ここでは、被覆材500は、オリフィス覗き窓502と切り抜き501とを備え、さまざまな部品の中でも、創傷被覆材の隅部位置に覗き窓のない覗き窓の3×3配列を有し、オリフィス覗き窓502と切り抜き501は、
図25に関して上記で説明したものに類似しているが、被覆材500の隅部に配置される。好ましい一実施形態では、ここで示されている被覆材500はほぼ正方形であり、各側面はほぼ250mmである。切り抜き501の各アーム間の間隔は、ここで示されているように、72°であってよいが、もちろん、他の角度および構成も可能であることが理解されよう。剥離ライナ513の切れ目が設けられ得る可能な場所を示す線512が、たとえば、被覆材500の頂部縁部および底部縁部のそれぞれから80mm、40±4mm、および25±4mmのところに配置可能である。図示のように、オリフィスまたはポート504(および切り抜き501)は、好ましくは、被覆材500の隅部を中心とし、被覆材500の頂部縁部から約52〜55mmに位置する。
【0125】
図31は、形状および全体的な構成に関して上記で
図11A〜
図11Fにおいて示した実施形態に類似した一実施形態を示す。ただし、ここでは、被覆材500は、オリフィス覗き窓502と切り抜き501とを備え、さまざまな部品の中でも、創傷被覆材の隅部位置に覗き窓のない覗き窓の3×3配列を有し、オリフィス覗き窓502と切り抜き501は、
図25に関して上記で説明したものに類似しているが、被覆材500の隅部に配置される。好ましい一実施形態では、ここで示されている被覆材500はほぼ正方形であり、各側面はほぼ200mmである。切り抜き501の各アーム間の間隔は、ここで示されているように、72°であってよいが、もちろん、他の角度および構成も可能であることが理解されよう。剥離ライナ513の切れ目が設けられ得る可能な場所を示す線512が、たとえば、被覆材500の頂部縁部および底部縁部のそれぞれから80mm、40±4mm、および25±4mmのところに配置可能である。図示のように、オリフィスまたはポート504(および切り抜き501)は、好ましくは、被覆材500の隅部を中心とし、被覆材500の頂部縁部から約52〜55mmに位置する。
【0126】
図32は、形状および全体的な構成に関して上記で
図12A〜
図12Fにおいて示した実施形態に類似した一実施形態を示す。ただし、ここでは、被覆材500は、オリフィス覗き窓502と切り抜き501とを備え、さまざまな部品の中でも、創傷被覆材の隅部位置に覗き窓のない覗き窓の五点形配列を有し、オリフィス覗き窓502と切り抜き501は、
図25に関して上記で説明したものに類似しているが、被覆材500の隅部に配置される。好ましい一実施形態では、ここで示されている被覆材500はほぼ正方形であり、各側面はほぼ150mmである。切り抜き501の各アーム間の間隔は、ここで示されているように、72°であってよいが、もちろん、他の角度および構成も可能であることが理解されよう。剥離ライナ513の切れ目が設けられ得る可能な場所を示す線512が、たとえば、被覆材500の頂部縁部および底部縁部のそれぞれから80mm、40±4mm、および25±4mmのところに配置可能である。図示のように、ポート504(および切り抜き501)は、好ましくは、被覆材500の隅部を中心とし、被覆材500の頂部縁部から約52〜55mmに位置する。
【0127】
図33A〜
図33Bは、形状および全体的な構成に関して上記で
図24A〜
図24Fにおいて示した実施形態にやや類似した一実施形態を示す。ただし、ここでは、卵形被覆材500は、たとえさまざまな部品の中でも、
図25に関して上記で説明したものに類似した、オリフィス覗き窓502と切り抜き501とを備える。覗き窓は示されていないが、上記で説明した一実施形態と同様に設けられてよい。好ましい一実施形態では、
図33Aに示されている被覆材500は、ほぼ250mmの長手方向長さと、ほぼ200mmの横方向幅とを有する。吸収性層503(および、そのように設けられている場合、対応する不明瞭化層)の長手方向長さはほぼ200mmであり、ほぼ150mmの横方向幅を有する。
図33Bに示される被覆材500は、ほぼ200mmの長手方向長さと、ほぼ150mmの横方向幅とを有する。吸収性層503(および、そのように設けられている場合、対応する不明瞭化層)の長手方向長さはほぼ150mmであり、ほぼ100mmの横方向幅を有する。覗き窓507は示されていないが、もちろん、1つまたは複数のそのような窓507が被覆材500上に設けられてもよいことが理解されよう。切り抜き501の各アーム間の間隔は72°であってよいが、もちろん、他の角度および構成も可能であることが理解されよう。図示のように、オリフィスまたはポート504(および切り抜き501)は、好ましくは、被覆材500の横方向正中線を中心とし、被覆材500の頂部縁部から約52〜55mmに位置する。
【0128】
図34Aは、局所陰圧閉鎖療法で使用するための被覆材3400の分解組立図を示す。この図は、1つの特定の形状を有する被覆材を示しているが、層の構造は、
図4A〜
図14、
図16〜
図22、および
図24A〜
図33Bを含む、上記で識別した実施形態のいずれかに適用することができる。被覆材3400は、剥離層3480と、創傷接触層3460と、透過層3450と、取得分散層3440と、吸収性層3430と、不明瞭化層3420と、裏打ち層3410とを備える。被覆材3400は、以下で
図35および
図36に関して説明するポートなどのポートに接続され得る。少なくとも、創傷接触層3460、透過層3450、吸収性層3430、不明瞭化層3420、および裏打ち層3410は、以下で説明する性質だけでなく、または以下で説明する性質の代わりに、
図3A〜
図22および
図24A〜
図33Bの実施形態などの特定の実施形態に関して上記で説明した性質を有することができる。
【0129】
被覆材3400は、患者の創傷区域を取り囲む健康な皮膚に対して被覆材3400を密封するための創傷接触層3460を備えることができる。創傷接触層の特定の実施形態は、3つの層、すなわちポリウレタンフィルム層と、下部接着層と、上部接着層とを備えることができる。上部接着層は被覆材3400の完全性を維持する助けとなり得、下部接着層は、患者の創傷部位のまわりの健康な皮膚に対して被覆材3400を密封するために用いられ得る。上記で説明したように、
図3A〜
図3Cに関するいくつかの実施形態では、ポリウレタンフィルム層のいくつかの実施形態は穿孔されてよい。ポリウレタンフィルム層および上部接着層および下部接着層のいくつかの実施形態は、接着層をポリウレタンフィルムに貼付した後でまとめて穿孔されてよい。いくつかの実施形態では、感圧接着剤は、シリコーン接着剤、ホットメルト接着剤、親水コロイド接着剤、またはアクリル系接着剤、または他のそのような接着剤であってよく、創傷接触層の両側に形成されてもよいし、または任意選択で、創傷接触層の選択された一方の側に形成されてもよい。特定の実施形態では、上部接着層はアクリル感圧接着剤を備えることができ、下部接着層はシリコーン感圧接着剤を備えることができる。他の実施形態では、創傷接触層3460は接着剤を備えなくてもよい。いくつかの実施形態では、創傷接触層3460は、透明であってもよいし、または半透明であってもよい。創傷接触層3460のフィルム層は、長方形または正方形の形状を有する周辺部を形成することができる。剥離層3480は、たとえば下部接着層を覆う創傷接触層3460の下側面に着脱可能に取り付けられてよく、フラップ3481を使用して剥がされてよい。剥離層3480のいくつかの実施形態は、層3480の長さに沿って延在する複数のフラップを有することができる。
【0130】
被覆材3400のいくつかの実施形態は、任意選択のスペーサ層すなわち透過層3450を備えることができる。透過層3450は、創傷部位から被覆材3400の上部層に入る流体の通過を可能にするように構成された多孔性材料または3D布地を備えることができる。特に、透過層3450は、吸収性層3430がかなりの量の滲出液を吸収したときでも陰圧を創傷区域の上に伝達するように、開放された空気チャネルが維持可能であるようにすることができる。透過層3450は、上記で説明したように陰圧創傷閉鎖療法中に加えられる通常の圧力の下で開放されたままになるべきであり、それによって創傷部位全体が等しい陰圧を受ける。
【0131】
透過層3450のいくつかの実施形態は、三次元構造を有する材料から形成されてもよい。たとえば、編まれたスペーサ布もしくは織られたスペーサ布(たとえばBaltex7970横編みポリエステル)または不織布を使用することができる。いくつかの実施形態では、透過層3450は、3Dポリエステルスペーサ布層を有することができる。この層は、テクスチャード加工ポリエステル84/144である頂部層と、100デニールの平坦なポリエステルとすることができる底部層と、これらの2つの層の間に挟まれて形成された、編まれたポリエステルビスコース、セルロースなどのモノフィラメント繊維によって画定される領域である第3の層とを有することができる。使用時は、この離間した層内のフィラメント数の差によって、液体が創床から被覆材3400の中央領域へと吸い込まれ、吸収性層3430が液体を保管する助けとなるか、またはそれ自体がカバー層の方へ前方へ液体を運び、カバー層3410において液体を発散することができる。他の材料を利用することができ、そのような材料の例は、参照により本明細書に組み込まれ本開示の一部にされる米国特許公開第2011/0282309号に記載されている。ただし、透過層3450は任意選択であってよく、たとえば、以下で説明する取得分散層3440を備える被覆材3400の実施形態では、任意選択であってよい。
【0132】
いくつかの実施形態は、創傷滲出液などの流体が被覆材3400の層を通って上方向に吸収されるときに流体を水平方向に吸い上げる吸い上げ層すなわち取得分散層(ADL:acquisition distribution layer)3440を備えることができる。流体を側方に吸い上げることによって、吸収性層3430を通る流体の最大分散が可能になることができ、吸収性層3430がその最大限の保持容量に到達することが可能になることができる。このことは、有利には、水蒸気の透過および陰圧の創傷部位への効率的な送達を増加させることができる。ADL 3440のいくつかの実施形態は、ビスコース、ポリエステル、ポリプロピレン、セルロース、ポリエチレン、またはこれらの材料のうちいくつかまたはすべての組み合わせを含むことができ、材料はニードルパンチされてもよい。ADL 3440のいくつかの実施形態は、40〜150グラム平方メートル(gsm)の範囲でポリエチレンを含むことができる。
【0133】
被覆材3400は、吸収性層または高吸収性層3430をさらに備えることができる。吸収性層は、ALLEVYN(商標)フォーム、Freudenberg 114−224−4、および/またはChem−Posite(商標)11C−450、または他の任意の適切な材料から製造することができる。いくつかの実施形態において、吸収性層3430は、繊維全体にわたって分散された乾燥粒子の形をした高吸収性吸収剤材料を有する不織セルロース繊維の層とすることができる。セルロース繊維を使用すると、被覆材によって取り込まれた液体をすばやく均等に分散させる助けとなる高速吸い上げ要素が導入される。複数のストランド状繊維を並置すると、繊維状パッド内で強力な毛管作用が生じ、液体を分散させる助けとなる。
【0134】
たとえば、吸収性層3430のいくつかの実施形態は、不織セルロース繊維からなる上部層、高吸収性粒子(SAP:superabsorbent particle)、および40〜80%のSAPを有するセルロース繊維からなる下部層という層構造を備えることができる。いくつかの実施形態では、吸収性層3430は風成材料である。熱可融性繊維は、任意選択で、パッドの構造をまとめる助けとなるために使用することができる。いくつかの実施形態は、セルロース繊維と風成材料とを組み合わせることができ、最大60%のSAPをさらに備えることができる。いくつかの実施形態は、60%のSAPと40%のセルロースとを含むことができる。吸収性層の他の実施形態は、60%から90%の間(または約60%から約90%の間)のセルロース基材と、10%から40%の間(または約10%から約40%の間)の高吸収性粒子とを含むことができる。たとえば、吸収性層は、約20%の高吸収性材料と、約80%のセルロース繊維とを有することができる。本発明のいくつかの実施形態によれば、高吸収粒子を使用するのではなく、またはそのような使用に加えて、高吸収繊維を利用できることが理解されるであろう。適切な材料の一例は、米国のEmerging Technologies Inc(ETi)から入手可能なProduct Chem−Posite(商標)11 Cである。
【0135】
高吸収体粒子/繊維は、たとえば、ポリアクリル酸ナトリウムまたはカルボメトキシセルロース材料など、またはそれ自体の重量の何倍もの液体を吸収することが可能な任意の材料とすることができる。いくつかの実施形態では、材料は、それ自体の重量の5倍以上の0.9%W/W生理食塩水などを吸収することができる。いくつかの実施形態では、材料は、それ自体の重量の15倍以上の0.9%W/W生理食塩水などを吸収することができる。いくつかの実施形態では、材料は、それ自体の重量の20倍以上の0.9%W/W生理食塩水などを吸収することができる。好ましくは、材料は、それ自体の重量の30倍以上の0.9%W/W生理食塩水などを吸収することができる。吸収性層3430は、吸引ポートの基礎をなすように配置された1つまたは複数の貫通穴3431を有することができる。
【0136】
本開示のいくつかの実施形態は、マスキング層すなわち不明瞭化層3420を用いて、創傷滲出液の吸収による使用中の被覆材3400の見苦しい外観を軽減する助けとなることができる。不明瞭化層3420は、吸収材料の着色部分であってもよいし、または吸収材料を覆う別個の層であってもよい。不明瞭化層3420は、青色、オレンジ色、黄色、緑色、または創傷滲出液が被覆材3400に存在することをマスクするのに適した任意の色などのさまざまな色のうち1つであってよい。たとえば、青色の不明瞭化層3420は、医療用ガウン、スクラブ、およびドレープの材料に通常使用される青色のシェードに類似した青色のシェードであってよい。不明瞭化層3420のいくつかの実施形態は、ポリプロピレンスパンボンド材料を含むことができる。さらに、不明瞭化層3420のいくつかの実施形態は、疎水性添加剤またはコーティングを含むことができる。他の実施形態は、60、70、または80gsmの薄い繊維シートを備えることができる。
【0137】
不明瞭化層は、吸収性層の飽和レベルの視覚的判定を可能にするように構成された少なくとも1つの覗き窓を備えることができる。この少なくとも1つの覗き窓3422は、不明瞭化層を貫通して作られた少なくとも1つの開口を備えることができる。この少なくとも1つの覗き窓3422は、不明瞭化層の少なくとも1つの色のついていない領域を備えることができる。不明瞭化層のいくつかの実施形態は、上記で
図25〜
図32に関して説明したように、複数の覗き窓または覗き窓の配列を備えることができる。
【0138】
不明瞭化層3420のマスキング機能は、被覆材表面にわたって滲出液の拡散を観察することによって臨床医が必要とする情報を入手することを可能にするように、好ましくは一部のみであるべきである。不明瞭化層3420は、創傷滲出液が被覆材の外観を若干変えることを可能にする材料の性質により、または少なくとも1つの覗き窓3422が完全不明瞭化材料に存在することにより、一部であってよい。不明瞭化層3420の部分的マスキング性によって、熟練した臨床医が被覆材内の滲出液、血液、副産物などによって生じる異なる色を知覚することが可能になり、被覆材にわたる拡散の範囲の視覚的評価および監視を可能にする。しかし、その清浄な状態から滲出液を含む状態への被覆材の色の変化は、わずかな変化にすぎないので、患者が審美面での違いについて気付く可能性は低い。創傷滲出液の視覚的インジケータを減少させるかまたは患者からなくすと、患者の健康に良い効果をもたらす可能性が高く、たとえばストレスが軽減される。
【0139】
被覆材の透過的性質に関してさまざまな被覆材に対して実施された試験は、さまざまなサンプルが色をマスクする能力を示す。色をマスクする能力は、たとえば、特定の波長における光線の吸収率の低下を測定することによって算出されてよい。この試験では、積分球を有し、走査範囲が340nm〜800nmであり、帯域幅が5nmで走査速度が1000nm/秒のUV−Vis分光光度計Jascoを利用した。黒色背景と示されているデータは、滲出液の色の極値(滲出液が有し得る最大の色)、すなわち、最高放射吸収レベルとサンプルから反射された放射の最小量とを示す。白色背景についてのデータは、全マスキングの上限、一般には最低放射吸収レベルと最高放射レベルとを示す。サンプル1は、黒色背景の上方に設置された彩色ポリマー膜であり、(創傷滲出液を示す)黒色背景を十分に満足いくようにマスクしないと判定された。サンプル2は、黒色背景の上方に設置された3次元スペーサ布(Baltex 3D)のシートであり、黒色背景の適切なマスキングを提供すると判定された。サンプル3は、黒色背景の上に設置された緑色に染められた不織材料のシートであり、黒色背景の完全なマスキングを提供した。
【0140】
創傷滲出液は、濃い黄色、赤色、および/または茶色を有し得る。したがって、これらの色を適切にマスクするには、不明瞭化層3420が、好ましくは、600nm未満の光波長を遮蔽する。
【0141】
特定の波長における光線の吸収率の低下の測定は、以下の計算によって行われてよい。
低下率=(A
background−A
sample placed on background)/(A
background)×100
上式において、Aは特定の波長における光線の吸収率である。
【0142】
この数式を使用し、波長が460nmの光を使用して、吸収率低下率を以下のTable 3(表1)に示すように計算した。
【0144】
光吸収率を約50%以上低下させる材料が創傷滲出液の部分的なマスキングまたは完全なマスキングを十分に実現する(本発明者の判定による)ことがわかっている。もちろん、完全なマスキング要素は、好ましくは、臨床医が不明瞭化層3420、たとえば被覆材全体を完全に覆うわけではないマスキング要素の下方の被覆材中の創傷滲出液の拡散状態を判定するための手段を必要とする。たとえば、
図25〜
図33に関して上記で説明したように、下方の被覆材内の滲出液の拡散状態が適切に評価され得るように、複数の覗き窓が不明瞭化層3420に設けられてよい。代替として、部分的マスキング要素は、臨床医が追加の手段なしに下方の被覆材中の滲出液の拡散状態を判定することを可能にしてよい。
【0145】
親水性材料は発色団保有種をより容易に透過させるので、マスキング材料が(たとえば滲出液で)濡れることもマスキング要素のマスキング性能に影響を与えることが理解されよう。したがって、吸収率低下率は濡れた材料についても試験すべきである。
【0146】
CIE L*a*b*値(色空間を表すための既知の3次元モデル)を測定することによって、上記で述べたサンプル1、サンプル2、またはサンプル3をマスキング性質についても試験した。分析では、波長範囲には380nm〜780nm、stard2(度)が観察され、光源にはD65、色合わせにはJIS Z8701−1999を使用してJascoソフトウェアを用いた。
【0147】
以下のTable 4(表2)は、サンプル1、サンプル2、およびサンプル3を黒色背景の上にそれぞれ設置したときに見られたL*a*b値を示す。黒色背景のみおよび白色背景についての結果も示されている。
【0149】
一般に、L*値の増加をもたらすサンプルは、暗い色をマスキングする大きな要因である、基準面よりも明るい色調を有する。上記の値から、適切な部分マスキング材料ではL*値が50を超え、またはより適切には70を超える。
【0150】
しかし、たとえば彩色ポリマーフィルムなどの完全に不透明なマスキング層は、マスキングすべき区域をより暗い色調で完全に覆うことができ、その場合、L*の測定値は無関係である。この場合も、上記で述べた理由で、濡れた材料に関してもこれらの値を検討すべきである。
【0151】
伝達性質に加えて、不明瞭化層3420の色が、この層のマスキング機能に影響を与えることがある。不明瞭化層の液体透過性実施形態では、さまざまな色が、創傷滲出液の通常の色をマスクするのに適するが、他の色が滲出液の最適なマスキングを提供しないことがある。たとえば、
図38に示されるCIE色度図を参照すると、不明瞭化層のいくつかの実施形態は、乾燥状態では、0.4以下のCIE y値および0.5以下のCIE x値を得るように構成されてよい。不明瞭化層のいくつかの実施形態は、乾燥状態では、CIE x,y色度図においてBg、gB、B、pB、bP、P、rP、pPk、RP、O、rO、またはyOの色を有することができる。不明瞭化層の液体不透過性実施形態は任意の色で構成されてよいことが理解されるであろう。
【0152】
不明瞭化層3420は、吸引ポートの基礎をなすように配置された1つまたは複数の貫通穴を有することができる。いくつかの実施形態は、マルタ十字3421を有してもよいし、吸引ポートの下にある他の形状の切り抜きを有してもよく、マルタ十字3421の直径はポートの直径よりも大きい。このことによって、臨床医が、ポートの下方の層に吸収される創傷滲出液の量を容易に評価することが可能になり得る。
【0153】
被覆材3400はまた、裏打ち層を備えてもよいし、または創傷被覆材の幅にわたって延在するカバー層3410を備えてもよい。カバー層3410は、気体不透過性であるが水蒸気透過性であってもよい。いくつかの実施形態では、ポリウレタンフィルム(たとえば、Elastollan SP9109)または他の任意の適切な材料を用いることができる。たとえば、特定の実施形態は、半透明または透明な30gsmのEU33フィルムを備えることができる。カバー層3410は、下部側面上に感圧接着剤を有し、それによって、陰圧を確立し得る創傷の上に実質的に密封されたエンクロージャを形成することができる。カバー層は、細菌バリアとして外部汚染から創傷を保護することができ、かつ創傷滲出液からの液体がこの層を通過してフィルム外面から蒸発することを可能にし得る。
【0154】
カバー層3410は、吸引ポートの基礎をなすように配置されたオリフィス3411を有することができる。オリフィス3411は、カバー層3410を通して創傷エンクロージャに陰圧を伝えることを可能にすることができる。ポートは、アクリル接着剤、シアノアクリレート接着剤、エポキシ接着剤、UV硬化可能な接着剤、またはホットメルト接着剤などの接着剤を使用して、カバーフィルムに接着および密封され得る。いくつかの実施形態は、複数のポートまたは他の陰圧源または流体を分散させるための他の機構を取り付けるための複数のオリフィスを有することができる。
【0155】
図34Bは、創傷被覆材3400の断面図を示し、被覆材3400の層の相対的厚さの一実施形態を表示する。いくつかの実施形態では、創傷接触層3460は平坦であってよく、頂部フィルム層3410は、被覆材3400の内層の上に起伏があってよい。いくつかの実施形態では、スペーサ層3450は、取得分散層3440の半分の厚さであってよい。いくつかの実施形態では、吸収性層3430は、スペーサ層3450よりも約1.5倍厚くてよい。不明瞭化層3420は、スペーサ層3450の厚さの約半分であってよい。
【0156】
図35は、本明細書で説明する創傷被覆材のいずれかを陰圧源に接続するために使用され得る可撓性ポートまたは流体コネクタ3500の一実施形態の斜視分解組立図を示す。ポート3500は、頂部層3510と、スペーサ層3520と、フィルタ要素3530と、底部層3540と、導管3550とを備える。この導管は、任意選択で、コネクタ3560を備える。ポート3500の遠位端(被覆材3400に接続可能な端)は、拡張円形形状を有するように示されているが、任意の適切な形状が使用されてよく、遠位端は拡張される必要はないことが理解されるであろう。たとえば、遠位端は、上記の
図23Aおよび
図23Bに示される形状のいずれかを有することができる。遠位端は、参照により本明細書に組み込まれると共に付録として含まれた、2012年5月23日に出願された米国仮出願第61/650,904号の
図3A〜
図3Cに示される形状を有することもできる。
【0157】
底部層3540は、細長いブリッジ部分3544と、拡張(たとえば、丸いまたは円形)密封部分3545と、オリフィス3541とを備えることができる。いくつかの実施形態では、複数のオリフィスが底部層内に設けられてよい。丸い密封部分3545のいくつかの実施形態は、ポート3500を被覆材に対して密封する際に使用するために、下面に接着剤の層、たとえば感圧接着剤を備えてもよい。たとえば、ポートは、
図34の被覆材のカバー層3410に対して密封され得る。ポート3500の底部層3540内のオリフィス3541は、被覆材3400を介して創傷部位へと陰圧を伝えるために、被覆材3400のカバー層3410内のオリフィス3411と位置合わせされてもよい。
【0158】
頂部層3510は、細長いブリッジ3514と拡張(たとえば、丸いまたは円形)部分3515とを備えるので、底部層と実質的に同じ形状であってもよい。頂部層3510と底部層3540は、たとえば熱溶接によって、一緒に密封されてもよい。いくつかの実施形態では、底部層3540は略平坦であってよく、頂部層3510は、スペーサ層3520の高さに対応し、底部層3540に対して密封するために、底部層3540よりもやや大きくてもよい。他の実施形態では、頂部層3510と底部層3540は実質的に同じサイズであってよく、これらの層は、スペーサ層3520の高さのほぼ中ほどで一緒に密封されてよい。いくつかの実施形態では、細長いブリッジ部分3544、3514は、10cm(または約10cm)以上の長さ、より好ましくは20cm(または約20cm)以上の長さを有してよく、いくつかの実施形態では、約27cmの長さであってよい。いくつかの実施形態では、細長いブリッジ部分は、1cmから4cmの間(または約1cmから約4cmの間)の幅を有してもよく、一実施形態では約2.5cmの幅である。細長いブリッジ部分3544、3514の長さとそれらの幅の比は、いくつかの実施形態では6:1を超えてよく、より好ましくは8:1、さらには10:1を超えてよい。円形部分3545、3515の直径は、いくつかの実施形態では、約3.5cmであってよい。
【0159】
底部層および頂部層は、可撓性薄膜の少なくとも1つの層を備えることができ、いくつかの実施形態では透明であってもよい。底部層3540および頂部層3510のいくつかの実施形態はポリウレタンであってよく、液体不透過性であってもよい。
【0160】
ポート3500は、下部層3540と頂部層3510の間に位置付けされた、上記で説明した3D布地などのスペーサ層3520を備えることができる。スペーサ層3520は、任意の適切な材料、たとえば少なくとも1つの方向における圧壊に対して耐性を示し、それによってそれを通して陰圧を効果的に伝えることを可能にする材料から作製されてよい。スペーサ層3520は、拡張(たとえば、丸いまたは円形)部分3525を備えることができ、任意選択で、折りたたみ部分3521を含んでもよい。いくつかの実施形態では、細長いブリッジ部分は、上記で説明した上部層および下部層のブリッジ部分と同じ範囲であるがこれらよりもやや小さい寸法を有することができ、一実施形態では、約25.5cmの長さおよび1.5cmの幅である。同様に、円形部分3525の直径は、拡張端3545、3515の直径よりもやや小さくてもよく、一実施形態では約2cmである。スペーサ層3520のいくつかの実施形態は、頂部層3510および/または底部層3540にスペーサ層3520を固着するために、その近位端および遠位端の一方または両方に接着剤(たとえば、接着剤の1つまたは複数の塊)を有することができる。接着剤はまた、スペーサ層の一部分または長さ全体に沿って設けられてもよい。他の実施形態では、スペーサ層3520は、頂部層および底部層の密封されたチャンバの中で自由に移動可能であってよい。
【0161】
スペーサ布の折りたたみ部分3521は、ポート3500の端部をより柔らかくし、したがって患者にとってより快適にすることができ、導管3550が詰まることを防止する助けとなることもできる。折りたたみ部分3521はさらに、導管3550の端部を頂部層または底部層によって閉塞させられることから保護する。折りたたみ部分3521は、いくつかの実施形態では、1cmから3cmの間(または約1cmから約3cmの間)の長さであってよく、一実施形態では2cm(または約2cm)の長さである。スペーサ布は、それ自体の下に、すなわち底部層3540の方へ折りたたまれてもよく、他の実施形態では、頂部層3510の方へ上向きに折りたたまれてもよい。スペーサ層3520の他の実施形態は、折りたたみ部分を含まなくてもよい。スロットすなわちチャネル3522は、折りたたみ部分3521の近位端から離れて垂直に延在することができ、導管3550は、スロットすなわちチャネル3522の中で動かずにいてもよい。いくつかの実施形態では、スロット3522は、折りたたみ部分の一方の層を通って延在してもよく、他の実施形態では、折りたたみ部分の両方の層を通って延在してもよい。スロット3522は、いくつかの実施形態では、1cm(または約1cm)の長さであってよい。いくつかの実施形態では、その代わりに、折りたたみ部分3521における円形または楕円形の穴を用いてもよい。この穴は、導管3550がこの穴に挿入され、スペーサ布の折りたたまれた層の間で動かずにいるように、近位方向を向いてもよい。いくつかの実施形態では、導管3550は、折りたたみ部分3521の材料に接着されてもよいが、他の実施形態では、折りたたみ部分3521の材料に接着されなくてもよい。
【0162】
ポート3500は、オリフィス3541に隣接して配置されたフィルタ要素3530を有することができ、図示のように、フィルタ要素3530は下部層3540とスペーサ層3520の間に配置される。図示のように、フィルタ要素3530は、丸い形状または円盤形状を有することができる。フィルタ要素3530は、液体不透過性であるが、気体透過性である。フィルタ要素3530は、液体が創傷被覆材から漏出することを実質的に防止または阻害するための液体バリア、ならびに臭気バリアとして作用することができる。フィルタ要素3530は、細菌バリアとして働いてもよい。いくつかの実施形態では、フィルタ要素3530の孔径は約0.2μmとすることができる。フィルタ要素のフィルタ材料に適した材料としては、MMTレンジの0.2ミクロンGore(商標)延伸多孔質PTFE、PALL Versapore(商標)200R、およびDonaldson(商標)TX6628がある。したがって、フィルタ要素3530は、オリフィスを通して気体を排気することを可能にする。ただし、液体、微粒子、および病原体は被覆材に収容されている。上記よりも大きい孔径を使用することもできるが、これらの孔径では、バイオバーデンを完全に封じ込めるようにするために二次フィルタ層が必要になり得る。創傷流体が脂質を含有するときは、疎油性フィルタ膜たとえば0.2ミクロンMMT−323に先行した1.0ミクロンMMT−332を使用することが好ましいが、不可欠ではない。これによって、脂質により疎水性フィルタが詰まることが防止される。いくつかの実施形態では、フィルタ要素3530は、限定するものではないがUV硬化接着剤などを使用して、底部層3540の頂面とスペーサ層3520の底面の一方または両方に接着されてもよい。他の実施形態では、フィルタ3530は、スペーサ層3520の内部および底部層3540の頂面に溶接されてもよい。フィルタは、底部層3540の下面のオリフィスに隣接して設けられてもよい。フィルタに関する他の可能な詳細は、米国特許公開第2011/0282309号に開示されており、参照により本明細書に援用される。
【0163】
ポート3500の近位端は、導管3550の遠位端に接続され得る。導管3550は、1つまたは複数の円形リブ3551を備えることができる。リブ3551は、導管の製造中に型枠の中の溝によって導管3550内に形成されてよい。上部層3515および下部層3540の熱溶接中に、これらの層から溶解した材料がリブ3551のまわりに流れることができ、有利には導管3550とこれらの層の間のより強い接続を提供する。その結果、ポート3500の使用中にこれらの層の間から導管3550を取り除くことがより困難な場合がある。
【0164】
導管3550の近位端は、任意選択で、コネクタ3560に取り付けられてもよい。コネクタ3560は、陰圧源にポート3500を接続するために使用されてもよく、またはいくつかの実施形態では、延長導管にポート3500を接続するために使用されてもよく、この延長導管は陰圧源に接続されてもよい。導管3550の遠位端は、スペーサ層3520に挿入され、閉塞の可能性を減少させるような形状にされてもよい。
【0165】
図36は、
図35に関して説明したものなどの可撓性ポート3620が取り付けられた、創傷被覆材3610の一実施形態を示す。ポート3620は、ポートを陰圧源または延長導管に接続するための導管3630およびコネクタ3640を備える。被覆材3610は、線形構成の8つの穴からなる1列を有する不明瞭化層を備え、上記で
図25に関してより詳細に説明した。この図では、ポート3620は被覆材3610の不明瞭化層内の円形窓の上に接続されているが、他の実施形態では、ポート3620は不明瞭化層内のマルタ十字の上に接続されてもよい。いくつかの実施形態では、マルタ十字はポートよりも大きい直径であってよく、ポートが被覆材に取り付けられた後で少なくとも部分的に視認可能であってよい。
【0166】
図37Aは、被覆材の一実施形態の斜視図を示す。図示の構成は
図29Bの実施形態に類似しているが、被覆材は、先に説明したさまざまな層の構造のいずれかを有することができる。導管3710は、ポート3720を介して被覆材3700に接続されるが、ポートの他の実施形態たとえば
図35の可撓性ポートが被覆材に接続されてもよい。
【0167】
図37Bは、被覆材3700の底面図を示す。この図は透過層3730および取得分散層3740を示しており、これらの層は、
図34Aおよび
図34Bの透過層3450および取得分散層3440に類似してもよい。いくつかの実施形態では、透過層3730の周辺部は、取得分散層3740の周辺部よりもやや小さくてもよい。この図は、創傷接触層の接着剤側を保護する際に使用するための先に説明した剥離層3480に類似した剥離層3750の一実施形態も示す。図示の剥離層3750は、剥離層に取り付けられたフラップを引っ張ることによって創傷接触層の接着剤側から除去可能な2つの別個の材料層で作製される。
【0168】
もちろん、たとえば被覆材において使用するための六角形または円形の裏打ち層を含む、狭い中央部分の構成、3つの突出部を有する構成、4つの突出部を有する構成以外のその他の被覆材構成も可能であることが理解されよう。
図15A〜
図15Bに示されるように、これらの実施形態は、非平面状創傷における被覆材の適合性をさらに高めるように、先に説明したスリットのさまざまな構成も備えることができる。また、先に説明したように、これらの実施形態の吸収性層は、不明瞭化層により着色されるまたは不明瞭にされてもよく、任意選択で、1つまたは複数の覗き窓を備える。さらに、これらの実施形態のドーム形のポートは、以下で
図23A〜
図23Bにおいて説明するタイプの1つまたは複数の流体コネクタで置き換えられてもよいし、その逆も同様である。さらに、くびれた部分の構成を有する創傷被覆材に関して説明したすべての特徴および構造は、本明細書で説明する任意の形状または被覆材構成に援用されることができる。
【0169】
特定の態様、実施形態、または例に関して説明した特徴、材料、特性、または化学基は、適合不可能でない限り、本明細書で説明する他の任意の態様、実施形態、または例に適用可能であることを理解されたい。(あらゆる添付の特許請求の範囲、要約書、および図面を含む)本明細書において開示されるすべての特徴および/またはそのように開示されるあらゆる方法もしくはプロセスのすべてのステップは、そのような特徴および/またはステップのうち少なくともいくつかが相互に排他的である組み合わせを除いて、任意の組み合わせで組み合わされてよい。保護は、あらゆる前述の実施形態の詳細に限定されない。この保護は、(あらゆる添付の特許請求の範囲、要約書、および図面を含む)本明細書において開示される特徴のうち任意の新規の特徴もしくは任意の新規の組み合わせ、またはそのように開示されるあらゆる方法またはプロセスのステップのうち任意の新規のステップもしくは任意の新規の組み合わせに拡張される。
【0170】
特定の実施形態について説明してきたが、これらの実施形態は、例として提示したにすぎず、保護の範囲を限定することを意図したものではない。実際のところ、本明細書で説明する新規な方法およびシステムは、さまざまな他の形態で実施することができる。そのうえ、本明細書で説明する方法およびシステムの形態における種々の省略、置き換え、および変更を行うことができる。いくつかの実施形態では、示されるおよび/または開示されるプロセスに取り入れられる実際のステップは図に示されるステップとは異なってもよいことは、当業者には理解されよう。実施形態に応じて、上記で説明したステップのうちいくつかを除いてもよいし、他のステップを追加してもよい。そのうえ、上記で開示された特定の実施形態の特徴および属性をさまざまな形で組み合わせて追加の実施形態を形成してもよく、それらの実施形態のすべては本開示の範囲に含まれる。
【0171】
特定の実施形態について説明してきたが、これらの実施形態は、例として提示したにすぎず、保護の範囲を限定することを意図したものではない。実際のところ、本明細書で説明する新規な方法およびシステムは、さまざまな他の形態で実施することができる。そのうえ、本明細書で説明する方法およびシステムの形態における種々の省略、置き換え、および変更を行うことができる。いくつかの実施形態では、示されるおよび/または開示されるプロセスに取り入れられる実際のステップは図に示されるステップとは異なってもよいことは、当業者には理解されよう。実施形態に応じて、上記で説明したステップのうちいくつかを除いてもよいし、他のステップを追加してもよい。そのうえ、上記で開示された特定の実施形態の特徴および属性をさまざまな形で組み合わせて追加の実施形態を形成してもよく、それらの実施形態のすべては本開示の範囲に含まれる。
【0172】
読者は、本願について、本明細書と同時に又は本明細書よりも先に提出され、本明細書で縦覧に供せられた全ての論文および文献を留意し、そして、全てのそのような論文および文献の内容は、参照により本書に援用される。