(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6983701
(24)【登録日】2021年11月26日
(45)【発行日】2021年12月17日
(54)【発明の名称】冷却装置及び検査装置
(51)【国際特許分類】
H05K 7/20 20060101AFI20211206BHJP
【FI】
H05K7/20 H
【請求項の数】5
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2018-46890(P2018-46890)
(22)【出願日】2018年3月14日
(65)【公開番号】特開2019-161053(P2019-161053A)
(43)【公開日】2019年9月19日
【審査請求日】2019年12月12日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000572
【氏名又は名称】アンリツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100067323
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 教光
(74)【代理人】
【識別番号】100124268
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 典行
(72)【発明者】
【氏名】下島 直己
【審査官】
小林 大介
(56)【参考文献】
【文献】
特開2013−029248(JP,A)
【文献】
特開平05−267874(JP,A)
【文献】
実開平02−026288(JP,U)
【文献】
実開平02−120894(JP,U)
【文献】
特開2016−205688(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 7/20
F24F 13/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一端部が冷却気体の供給源に接続されるとともに他端部は閉止され、長手方向に間隔をおいて形成された複数の孔(17,17a,17b,17c)を有する管部(16)と、
前記孔から挿入され前記管部の内部に選択的に配置される中実の調節部材(18,18a,18b,18c)と、
を具備することを特徴とする冷却装置(15)。
【請求項2】
前記調節部材(18,18a,18b,18c)が、冷却気体の風量を増大させたい前記孔(17,17a,17b,17c)の前記他端部側に隣接する他の前記孔(17,17a,17b,17c)に設けられることを特徴とする請求項1に記載の冷却装置(15)。
【請求項3】
前記孔(17)は丸孔(17a)であることを特徴とする請求項1又は2に記載の冷却装置(15)。
【請求項4】
前記孔(17)はねじ孔(17b)であることを特徴とする請求項1又は2に記載の冷却装置。
【請求項5】
請求項1乃至4に記載の冷却装置(15)が筐体(2)内の所望の位置に設けられた検査装置(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、簡単な構造でありながら、所定の範囲を均一に冷却できるとともに、冷却する位置や冷却の程度を必要に応じて任意に調整することができる冷却装置と、係る冷却装置を筐体内に備えた検査装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、冷却装置を備えた組合せ計量装置の発明が開示されている。この発明の組合せ計量装置は、測定駆動部40に複数のホッパ等が設けられており、ホッパの開閉駆動により熱が発生する。発生した熱は、測定駆動部40に連結された循環路A及び熱交換部41からなる冷却装置で放熱される。循環路Aの経路中にファン28を設けることにより空気循環を促進できる。測定駆動部40には温度検出器44が設けられ、熱制御手段42は検出した温度によってファン28の回転数を制御する。熱交換部41に除湿器を設ければ除湿を行うこともできる。測定制御部40の内部で発生する熱を簡単な構成で放散することができ、計量精度、耐久性及び信頼性を向上させることができる。
【0003】
下記特許文献2には、冷却装置を備えたX線異物検出装置の発明が開示されている。この発明のX線異物検出装置1では、温度センサ14で検出した筐体3内の温度が所定温度以上である時、制御手段10が制御弁13を開として筐体3内にボルテックスチューブ11で冷却空気を供給し、X線発生手段7を冷却する。同時にアクチュエータ20が作動されて扉16が駆動され、筐体3の排気口15が開放される。筐体内の圧力上昇が抑えられ、排気によって冷却効率が向上する。不使用時にはアクチュエータは作動せず扉が排気口を閉止するので清掃時に内部に水が入ることはない。使用時に冷却空気が筐体内に供給されても筐体内の圧力が上昇せず、内部の熱を効率的に排出でき、清掃時に筐体内へ水分が浸入しない。
【0004】
下記特許文献3には、冷却装置を備えた印刷基板収容ユニットの発明が開示されている。この発明の印刷基板収容ユニットは、大型コンピュータの外筺1に、CPU10などが実装された一乃至複数の印刷基板9が収納された構成となっている。この外筺1の前面に設けられたパネル5には、一乃至複数個のパイプ導入口11が設けられている。このパイプ導入口11から、印刷基板9の所望のCPU10に対応する位置に通風穴16が設けられた一乃至複数個の冷却パイプ15が挿入され、冷却パイプ15は外筺1内部で着脱自在に固定されている。冷却パイプ15に冷却風を送り込む手段としては小型のファンを用いることができ、大型コンピュータの低騒音化を図ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−255199号公報
【特許文献2】特開2009−300379号公報
【特許文献3】実開平5−38987号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献1、2に記載された発明の冷却装置は、組合せ計量装置やX線異物検出装置の筐体内を全体として冷却するものであって、同装置の筐体内の特定位置又は箇所を選択的に冷却するものではない。
【0007】
また、上記特許文献3に記載された発明の冷却装置を構成する複数本の冷却パイプは、それぞれ筐体内に設けられた特定の印刷基板を冷却対象として筐体内の所定位置に所定の姿勢で設置されており、実施例では各冷却パイプは真上にある印刷基板に対して冷却気体を吹き付けるような配置で固定されている。従って、冷却対象又は冷却位置が変更になった場合には、冷却パイプの交換や配置変更が必要になる。
【0008】
本発明は、以上説明した従来の技術における課題に鑑みてなされたものであり、簡単な構造でありながら、所定の冷却範囲を均一に冷却できるとともに、冷却範囲内に設けられた特定の部品等を効果的に冷却できる冷却装置と、これを筐体内に設けた検査装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1に記載された冷却装置15は、
一端部が冷却気体の供給源に接続されるとともに他端部は閉止され、長手方向に間隔をおいて形成された複数の孔17,17a,17b,17cを有する管部16と、
前記孔17,17a,17b,17cから挿入され前記管部16の内部に選択的に配置される
中実の調節部材18,18a,18b,18cと、
を具備することを特徴としている。
【0010】
請求項2に記載された冷却装置15は、請求項1に記載の冷却装置15において、
前記調節部材18,18a,18b,18cが、冷却気体の風量を増大させたい前記孔17,17a,17b,17cの前記他端部側に隣接する他の前記孔17,17a,17b,17cに設けられることを特徴としている。
【0011】
請求項3に記載された冷却装置15は、請求項1又は2に記載の冷却装置15において、
前記孔17が丸孔17aであることを特徴としている。
【0012】
請求項4に記載された冷却装置15は、請求項1又は2に記載の冷却装置15において、
前記孔17がねじ孔17bであることを特徴としている。
【0013】
請求項5に記載された検査装置1は、
請求項1乃至4に記載の冷却装置15が筐体2内の所望の位置に設けられたことを特徴としている。
【発明の効果】
【0014】
請求項1に記載された冷却装置15によれば、供給源から管部16に冷却気体を供給し、管部16に形成された複数の孔17,17a,17b,17cから、冷却対象である部品等又は所定の空間に対して冷却気体を噴射し、その温度を低下させることができる。
【0015】
このように、長手方向に間隔をおいて複数の孔17,17a,17b,17cが形成された管部16の一端部から、閉止された他端部に向けて冷却気体を供給すると、管部16の内径や孔17,17a,17b,17cの内径等の諸条件によっては、各孔17,17a,17b,17cから噴射される冷却気体の風量が一定にならず、冷却対象を均一かつ効率的に冷却することが困難となる場合がある。請求項1に記載された冷却装置15では、そのような場合であっても、管部16に形成された複数の孔17,17a,17b,17cのうち、状況から必要と認められる孔17,17a,17b,17cを選択し、その孔17,17a,17b,17cから管部16の内部に調節部材18,18a,18b,18cを配置するものとした。このように調節部材18,18a,18b,18cで管部16内の冷却気体の流路を部分的に閉塞したため、調節部材18,18a,18b,18cを設けた孔17,17a,17b,17cよりも上流側の隣の孔17,17a,17b,17c、すなわち管部16の一端部側の隣の孔17,17a,17b,17cから噴射される冷却気体の風量が増加し、その結果として、複数の孔17,17a,17b,17cからそれぞれ噴射される冷却気体の風量は、調節部材18,18a,18b,18cを設けない場合に比べて均一化される。従って、調節部材18,18a,18b,18cを設ける孔17,17a,17b,17cを適宜に選択すれば、調節部材18,18a,18b,18cを設けない複数の孔17,17a,17b,17cから冷却対象に向けて吹き出す冷却気体の風量を可及的に均一化し、冷却を効率化し、冷却対象の全体について速やかな冷却効果を得ることができる。
【0016】
より具体的に冷却装置15の使用態様を説明する。例えば冷却対象が長手形状である場合には、冷却対象の長手方向に沿って冷却装置15の管部16を配置し、管部16の複数の孔17,17a,17b,17cを冷却対象と対面する方向に向け、調節部材18,18a,18b,18cを、設置が必要な孔17,17a,17b,17cに配置することにより、各孔17,17a,17b,17cから冷却気体を均一に吹き出して冷却対象の全体に吹き付け、長手形状の冷却対象を均一かつ効率よく冷却することができる。
【0017】
また、冷却対象が所定の空間である場合には、必要に応じて調節部材18,18a,18b,18cを孔17,17a,17b,17cに配置し、管部16の複数の孔17,17a,17b,17cを空間の上方に向ければ、熱が溜まり易い空間の上方に冷却気体を均一に供給することができ、空間内の空気を満遍なく攪拌して空間内を効率的に冷却することができる。
【0018】
また、冷却対象が、冷却装置の管部に比べて小さいか又は短い部品等であり、筐体2内又は所定の空間内の特定位置に設けられており、管部16に設けられた複数の孔17,17a,17b,17cのうち、ある特定の孔17,17a,17b,17cが、当該部品等の冷却に最も寄与すると考えられる位置及び向きを有している場合には、その孔17,17a,17b,17cよりも下流側の隣の孔17,17a,17b,17c、すなわち管部16の他端部側の隣の孔17,17a,17b,17cに調節部材18,18a,18b,18cを配置する。これにより、当該部品の冷却に最も有効な孔17,17a,17b,17cから噴射される冷却気体の風量が増すので、当該部品を特に効果的に冷却することができる。
【0019】
請求項2に記載された冷却装置15によれば、管部16に設けられた複数の孔17,17a,17b,17cのうち、ある特定の孔17,17a,17b,17cからの冷却空気の風量を増大させたい場合は、その孔17,17a,17b,17cよりも下流側の隣の孔17,17a,17b,17c、すなわち管部16の他端部側の隣の孔17,17a,17b,17cに調節部材18,18a,18b,18cを配置する。これにより、前記特定の孔17,17a,17b,17cから噴射される冷却気体の風量が増す。管部16の配置が、前記特定の孔17,17a,17b,17cからの冷却空気が特定の部品等に吹き付けられるようになっている場合には、上述したような調節部材18,18a,18b,18cの配置によって当該部品等を特に効果的に冷却できる。
【0020】
請求項3に記載された冷却装置15によれば、管部16の孔17が丸孔17aであり、調節部材18としては円柱形のピン18a等を用いることができるため、孔17に対する調節部材18の挿入、抜脱が容易である。
【0021】
請求項4に記載された冷却装置15によれば、管部16の孔17がねじ孔17bであり、調節部材18としてはねじ18bを用いることができるため、孔17に対する調節部材18の挿入の程度を調節することにより、調節部材18が管部16の内部を閉塞する程度を調節して孔17から吹き出す冷却気体の風量を所望の状態に設定することができる。
【0022】
請求項5に記載された検査装置1によれば、請求項1乃至4に記載された冷却装置15が、検査装置1の筐体2の内部で上述したような冷却効果を発揮することにより、検査装置1が作動中に発生する熱を効果的に冷却し、検査装置1の作動を安定かつ確実とし、もって検査の精度や効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本発明の実施形態における冷却装置の基本構造及び作用原理を示す模式的な断面図及び平面図である。
【
図2】本発明の実施形態における冷却装置の基本構造及び作用原理を示す模式的な断面図及び平面図である。
【
図3】本発明の実施形態に係る検査装置を紙面に平行な図中鉛直面で切断した模式的断面図である。
【
図4】本発明の実施形態における冷却装置の第1の構造例を示す図であり、分図(a)は
図3の矢視(a)の方向から見た平面図、分図(b)は分図(a)のa−a切断線における断面図、分図(c)は分図(b)のc−c切断線における断面図である。
【
図5】本発明の実施形態における冷却装置の第2の構造例を示す図であり、分図(a)は
図3の矢視(a)の方向から見た平面図、分図(b)は分図(a)のa−a切断線における断面図、分図(c)は分図(b)のc−c切断線における断面図である。
【
図6】本発明の実施形態における冷却装置の第3の構造例を示す図であり、分図(a)は
図3の矢視(a)の方向から見た平面図、分図(b)は分図(a)のa−a切断線における断面図、分図(c)は分図(b)のc−c切断線における断面図である。
【
図7】本発明の実施形態における冷却装置において調節部材を用いない場合の各孔からの風量を示す模式的な断面図及び平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施形態を図面を参照して具体的に説明する。
まず、模式的に表現した
図1、
図2及び
図7を参照して実施形態に係る冷却装置の構造と原理を説明する。
図7に示すように、この冷却装置15は、一端部が冷却気体の供給源に接続されるとともに他端部は閉止され、長手方向に間隔をおいて形成された複数の孔17を有する管部16を本体としている。この構成において、一端部から冷却空気を供給すると、管部16の内径や孔17の内径等の諸条件によっては、各孔17から噴射される冷却気体の風量が一定にならず、
図7に矢印で示すように、上流から下流に向かうに従って孔17から吹き出す冷却気体の風量が徐々に大きくなっていき、各孔17ごとの風量が一定にならない場合があることを本願発明者は見出した。従って、このような構造の管部16のみによる冷却装置15を検査装置の筐体内に設けても、筐体内を常に均一かつ効率的に冷却することは困難であると考えられる。
【0025】
そこで、実施形態の冷却装置15では、管部16に形成された複数の孔17のうち、風量を増やしたい孔17を選択し、その孔17よりも下流側に向けて一つ隣の孔17に調節部材を挿入して管部16内に配置し、管部16の内部を部分的に塞ぐこととした。
【0026】
図1に示すように、冷却気体の供給側である一端部(図中右側)から数えて2個目の孔17に調節部材18を配置すると、
図7との比較から分かるように、この孔17よりも上流側に一つ隣の孔17からの風量が増加する。調節部材18を配置した孔17よりも下流側に一つ隣の孔17からの風量は調節部材18がない場合よりもやや少なくなるが、その他の下流側の孔17からの風量は
図7と比べて大きな変化はなく、全体として見れば、
図1における各孔17からの風量は、
図7に示す状態よりも平均化している。
【0027】
図2に示すように、冷却気体の供給側である一端部から2個目と4個目の2つの孔17に調節部材18を配置すると、
図7との比較から分かるように、これらの孔17よりも上流側の一つ隣にある二つの孔17からの風量がそれぞれ増加する。最下流の孔17からの風量は調節部材18がない
図7の場合と比べて大きな違いはなく、全体として見れば、
図4における各孔17からの風量は、
図7に示す状態よりも平均化しており、
図1に示す状態よりもさらに均一になっている。
【0028】
このように調節部材18を取り付けると、調節部材18を設けた孔17よりも上流側の隣の孔17、すなわち管部16の一端部側の隣の孔17から噴射される冷却気体の風量が増加し、複数の孔17からそれぞれ噴射される冷却気体の風量は、調節部材18を設ける前よりも均一化される。
【0029】
従って、冷却対象である区画された空間内にこの冷却装置を適切に配置すれば、空間内を効率的に冷却することができる。また、この空間内に冷却対象として特に発熱が高い部品等や、何らかの理由で他の部品よりも許容温度が低く設定されている部品等があれば、特定の孔17が当該部品等に向くように管部16を配置し、特定の孔17の一つ下流の他の孔17に調節部材18を設ければ、当該部品等に冷却気体を集中的に当てて特に効率的に冷却することができる。
【0030】
次に、本発明の実施形態を
図3〜
図6を参照してさらに具体的に説明する。
図3は実施形態の冷却装置が設けられた検査装置1を示す模式的な断面図である。
図3に示すように、本実施形態の検査装置1は、脚部3で設置面上に支持された箱型の筐体2を有している。筐体2の下部の内部には、左右両側面にそれぞれ設けられた開口2a,2bから両端が突出するようにベルトコンベア式の搬送部4が設けられている。筐体2の上部の内部には、検査部5が設けられており、搬送部4によって筐体2内を搬送される被検査物Wを検査することができる。なお、検査部5による被検査物Wの検査原理及び検査目的等は問わないし、被検査物Wの種類も特に限定しない。さらに、検査部5は、本検査装置の全体を制御する制御部を含むものとする。
【0031】
図3に示すように、検査装置1は、筐体2の上部の内部に冷却装置15を備えている。冷却装置15は検査部5の上方に配置されている。冷却装置15は、一端部が冷却気体の供給源(図示せず)に導管6を介して接続され、他端部が閉止された管部16を有する。管部16は、その長手方向に間隔をおいて複数の孔17が形成されているが、複数の孔17は管部16の周方向について同一の位置にあり、
図3では真上の位置にあるため
図3には表れない。
【0032】
図4から
図6は、
図3に示す実施形態の検査装置1に設けられた冷却装置15の形態例を示す図である。
図4から
図6の各図において、各分図(a)が、
図3の矢視(a)の方向から見た平面図であり、各分図(b)は各分図(a)のa−a切断線での断面図、各分図(c)は各分図(b)のc−c切断線での断面図である。
【0033】
図4は、実施形態における冷却装置15の第1の構造例を示す図である。
図4に示すように、管部16の周面には、長手方向に間隔をおいて複数の丸孔17aが形成されている。複数の丸孔17aは、管部16の長手方向(軸方向)については所定間隔で配置されており、周方向に関する位置も同一である。しかしながら、複数の丸孔17aの周方向に関する位置は、筐体2の内部における冷却効果を考慮して適宜に設定することができる。すなわち、軸方向に並んでいる複数の丸孔17aは、筐体2内における冷却の目的を達成するために必要な限り、周方向についてはどの位置に配置してもよい。なお、管部16の寸法を例示すると、内径9.8mm、外径13.8mm、肉厚2mmであり、丸孔17aは直径が4mmである。
【0034】
図4に例示するように、一端部側から2個目の丸孔17aには、調節部材18としてのピン18aが設けられている。ピン18aは、丸孔17aに隙間無く挿入できる中実の円柱形状であり、長さは管部16の外径よりもやや小さく、丸孔17aに挿入して内周面に突き当てると上端部が管部16の外周面と略同一面になる。先に
図1及び
図2を参照して原理を説明したように、ピン18aを設けない場合に比べ、一端部側にある2個の丸孔17a(
図4において最も右側の丸孔17a)からの風量は増大する。
【0035】
図3に示すように、この検査装置1においては、管部16は検査部5の真上に設けられており、管部16の周囲には特にその他の部品等は図示していない。しかしながら、
図4に例示したように、管部16の一端部側から2個目の丸孔17aにピン18aが設けられており、筐体2内では、その上流側(一端部側)の丸孔17aの正面に特定の部品等が設けられているとすれば、当該部品等には風量が増大した冷却気体が吹き付けるので、高い冷却効果が得られる。すなわち、
図3に示すような検査装置1の筐体2内において、特に冷却したい部品等がある場合には、当該部品等に丸孔17aが対面するように管部16を配置し、その下流側(他端部側)の丸孔17aにピン18aを設ければよい。
【0036】
図4に示すように一端部側から2個目の丸孔17aにピン18aを設けた場合、または
図2を参照して原理を説明したように、2個以上の丸孔17aに適宜間隔でピン18aを設けた場合には、
図7を参照して説明した調節部材18を設けない場合に比べ、丸孔17aからの冷却空気の噴射状態が均一化する。検査装置1の筐体2内の空気が温められた場合、温かい空気は筐体2内の上方の位置に溜まり易いので、管部16の多くの丸孔17aから可及的に均一な状態で冷却気体を上方へ吹き出すことにより、筐体2内の空気が満遍なく攪拌され、筐体2内を効率よく冷却することができる。
【0037】
なお、丸いピン18aと丸孔17aの寸法関係が挿抜可能なものであれば、冷却すべき部品の発熱量や位置等が異なる検査装置1の機種に対応してピン18aの位置を変えることができる。しかしながら、ピン18aと丸孔17aは、脱落の防止のために圧入又は挿入後の溶接で固定する構造でもよい。
【0038】
図5は、実施形態における冷却装置15の第2の構造例を示す図である。この構造例では、管部16の孔がねじ孔17bであり、調節部材がねじ18bである。この構造例によれば、ねじ孔17bに対するねじ18bの挿入の程度を調節することにより、ねじ18bが管部16の内部を閉塞する程度を調節することができ、ねじ孔17bから吹き出す冷却気体の風量を所望の状態に設定することができる
【0039】
図6は、実施形態における冷却装置15の第3の構造例を示す図である。この構造例では、管部16の孔がスリット17cであり、調節部材が板材18cである。この構造例によれば、管部16に対するスリット18cの加工は容易であり、スリット17cの寸法に適合した板材18cを用意することも容易である。
【0040】
なお、冷却気体としては、工場などで容易に入手できるコンプレッサの圧縮空気を利用することができる。すなわち、冷却気体とは、必ずしも冷却用として準備した特別に低温の気体との意味ではなく、冷却対象の温度との関係で冷却に利用しうる温度の気体であればよい。
【0041】
また、以上説明した実施形態では、冷却装置15の管部16は丸管であったが、中空長手形状の部材であれば、特に形状を限定するものではない。
【符号の説明】
【0042】
1…検査装置
2…筐体
3…脚部
4…搬送部
5…検査部
15…冷却装置
16…管部
17…孔
17a…孔としての丸孔
17b…孔としてのねじ孔
17c…孔としてのスリット
18…調節部材
18a…調節部材としてのピン
18b…調節部材としてのねじ
18c…調節部材としての板材
W…被検査物