特許第6983713号(P6983713)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6983713光学式センサ、およびその光学式センサを備えた装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6983713
(24)【登録日】2021年11月26日
(45)【発行日】2021年12月17日
(54)【発明の名称】光学式センサ、およびその光学式センサを備えた装置
(51)【国際特許分類】
   G01L 5/166 20200101AFI20211206BHJP
   G01L 1/24 20060101ALI20211206BHJP
   G01P 15/093 20060101ALI20211206BHJP
   G01P 15/18 20130101ALI20211206BHJP
   B25J 19/02 20060101ALI20211206BHJP
   G01L 1/00 20060101ALI20211206BHJP
【FI】
   G01L5/166
   G01L1/24 Z
   G01P15/093
   G01P15/18
   B25J19/02
   G01L1/00 B
【請求項の数】12
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2018-72602(P2018-72602)
(22)【出願日】2018年4月4日
(65)【公開番号】特開2019-184315(P2019-184315A)
(43)【公開日】2019年10月24日
【審査請求日】2021年3月1日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126240
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 琢磨
(74)【代理人】
【識別番号】100124442
【弁理士】
【氏名又は名称】黒岩 創吾
(72)【発明者】
【氏名】名倉 千裕
【審査官】 森 雅之
(56)【参考文献】
【文献】 特許第5489538(JP,B2)
【文献】 特開2015−197357(JP,A)
【文献】 特許第5602582(JP,B2)
【文献】 特開昭60−209128(JP,A)
【文献】 特開昭61−41938(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01L
G01P15
B25J19
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基部と、
作用部と、
前記基部と前記作用部のいずれか一方に反射体、前記基部と前記作用部の他方に光源と受光素子、を備えた検出部と、
を有し、
前記検出部と前記反射体のは、光透過性材料と空気の界面が含まれないように、前記光透過性材料によって満たされ、
前記空間には、前記光源から出て、前記検出部で反射され、前記受光素子に至る光路が含まれ、及び 前記光源から出射し前記反射体によって反射された光を前記受光素子で検出することで力および加速度の少なくともいずれか一方を検知することを特徴とする光学式センサ。
【請求項2】
前記基部と前記作用部とを支持する支持部材をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の光学式センサ。
【請求項3】
前記作用部に設けられたおもり部材をさらに備えることを特徴とする請求項1または2に記載の光学式センサ。
【請求項4】
前記光透過性材料の屈折率は1.2以上2.0以下である請求項1乃至3のいずれか1項に記載の光学式センサ。
【請求項5】
前記光透過性材料は可視光を遮蔽し、赤外光を透過する請求項1乃至4のいずれか1項に記載の光学式センサ。
【請求項6】
前記光透過性材料は光透過性樹脂であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の光学式センサ。
【請求項7】
前記光透過性樹脂は、シリコーン樹脂、ウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂あるいはポリエステルである請求項6に記載の光学式センサ。
【請求項8】
前記光透過性樹脂は透明粘着層と透明樹脂層を有するゲルシートであることを特徴とする請求項6または7に記載の光学式センサ。
【請求項9】
前記受光素子はアレイ状に構成されており、前記反射体は回折格子を備える請求項1乃至8のいずれか1項に記載の光学式センサ。
【請求項10】
前記光透過性材料は、樹脂又はガラスであることを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項に記載の光学式センサ。
【請求項11】
動作可能な可動部と、
請求項1乃至10のいずれか1項に記載の光学式センサと、
前記可動部を制御する制御部と、を有することを特徴とする装置。
【請求項12】
前記可動部はロボットアームである請求項11記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外力を定量的に検出する光学式センサに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、業用ロボットのアームや、医療用等のマニピュレータの各部に作用する外力を検出するために力覚センサが使用されている。
【0003】
多軸の外力を検出する力覚センサの方式として、複数の受光素子列からなる光学式変位センサを用い、得られた変位情報より外力を定量的に検出する光学式力覚センサが提案されている(特許文献1参照)。この方式によれば、センサ実装面に対する面外方向の変位を含む多軸変位を検出することができため、薄型の多軸力覚センサを構成できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−281635公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述したような従来の力覚センサによれば、発光素子から受光素子に至る光路中にゴミやオイル等の異物が入ると、正確な検出ができなくなるという問題がある。また、光路中に透明媒質と空気の界面があると、屈折率差による反射が迷光になり、SN比の低下を引き起こす。
【0006】
本発明は、作用部と基部と間の異物混入の影響を抑え、迷光によるSN比の低下を抑制することで、高精度、高信頼性の力および/または加速度が検知できる光学式センサを提供すること目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る光学式センサは、
基部と、作用部と、
前記基部と前記作用部のいずれか一方に反射体、他方に光源と受光素子を備えた検出部、を有し、
前記検出部と前記反射体の間が光透過性材料によって満たされており、
前記光源から出射し前記反射体によって反射された光を前記受光素子で検出することで力および/または加速度を検知することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
上記構成によれば、異物混入の影響を抑え、高精度、高信頼性の光学式センサを実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の第1の実施形態における力覚センサの構成を示す図である。
図2】第1〜7の実施形態における検出部10の光路を示す図である。
図3】本発明の第2の実施形態における加速度センサの構成を示す図である。
図4】本発明の第3の実施形態における、(a)加速度センサ、速度センサ、振動センサの構成を示す図である。(b)ゲルシート21の構成を示す図である。
図5】第4の実施形態における(a)センサ101の機構部を示した上面から見た図、(b)センサ101の機構部を示した断面図、である。
図6】第4の実施形態のセンサ101の機構部を下面から見た図である。
図7】第4の実施形態における回路基板6を示す平面図である。
図8】第5の実施形態におけるセンサ101の機構部を示した断面図である。
図9】第6の実施形態のセンサ101の機構部を上面から見た図である。
図10】第6の実施形態のセンサ101の機構部を示した断面図である。
図11】第7の実施形態におけるロボットアーム搬送装置の構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。また本発明は本発明の趣旨を超えない限り、下記の実施形態に限定されるものではない。
【0011】
(第1の実施形態)
本発明に係る光学式センサは、基部と、作用部と、前記基部と前記作用部のいずれか一方に反射体、他方に光源と受光素子を備えた検出部、を有している。検出部と反射体の間が光透過性材料によって満たされており、光源から出射し反射体によって反射された光を受光素子で検出することで力および/または加速度を検知する。光透過性材料はさまざまな材料を用いて良いが、力あるいは加速度を検知するにあたり適度な弾性を有するという観点で樹脂であることが好ましい。
【0012】
図1は第1の実施形態における1軸力覚センサの構成を示した図である。
【0013】
センサ101は基部1、作用部2、支持部材3、スケール4、検出部10、光透過性樹脂20を有する。センサ101は、作用部2に対し図中X方向に印加される外力を検出し、外力に応じた信号を出力する。
【0014】
支持部材3は、基部1と作用部2の間にかかる外力に応じて、弾性変形可能な形状、および材質によりなっている。支持部材3の弾性は、検出したい外力の範囲によって最適に設計される。すなわち、微小な外力を検出する場合は、変形しやすいように弾性を高める。大きな外力を検出する場合、あるいは機械的な剛性を高めたい場合は、弾性を低く設計する必要がある。
【0015】
検出部10は、基部1上に固定され、スケール4は、作用部2上に固定されている。検出部10の光路を示す図を図2に示す。
【0016】
検出部10は、電流狭窄型LEDからなる光源11と、受光素子がアレイ状に配された受光素子アレイ12を有する受光IC13とが同一パッケージ内に実装された受発光一体型のセンサユニットである。反射体であるスケール4は、ガラス基板上にクロム反射膜のパターン5が格子状にパターニングされている回折格子である。検出部と反射体の間には光透過性材料が充填されており、例えば樹脂や後段で説明するゲルシートを用いることができる。
【0017】
受光素子アレイ12は、スケール4のパターンからの反射光の強度分布を検出する複数の検出素子を、スケール4(または作用部)の移動方向(測長方向)であるX方向に配列して構成されている。
【0018】
カバーガラス16は、光源11および受光IC13を封止する透明樹脂17の上に貼り合わされおり、透明樹脂17と光学的に一体化している。
【0019】
光源12は、電狭窄型のLED、半導体レーザ等を使用することができる。受光素子アレイ12は、スケール4のパターンからの光の分布を検出する複数の検出素子が、スケール4の移動方向(測位方向)に並べられた検出素子アレイとして機能する。検出部10は、スケール4と対向するように配置され、相対変位量を検出する。光源12から出射した発散光束は、スケール4上の格子パターンに反射され、回折および干渉によって受光素子アレイ上で、縞状の光量分布(干渉縞)を形成する。
【0020】
受光素子アレイ12の検出素子は、A+相、B+相、A−相、および、B−相の順に循環的に割り当てられており、これら4つの相における各相に割り当てられた複数の受光素子が1つの受光素子群を構成する。この循環周期は、干渉縞の周期に合うように設定されている。干渉縞の周期を360度として、位相が90度ずつずれた位置に、A+相、B+相、A−相、B−相に対応する受光素子が配置されている。
【0021】
各受光素子群を構成する受光素子は互いに電気的に接続されており、これらの出力(電流)は互いに足し合わされて後段に相ごとに設けられたIV変換アンプ(不図示)に入力される。4つのIV変換アンプは、4相の信号S1(A+)、S1(B+)、S1(A−)、および、S1(B−)をそれぞれ出力する。
【0022】
信号S1(A+)、S1(B+)、S1(A−)、S1(B−)は、スケール4の移動に応じてその値が正弦波状に変化する電圧信号(正弦波信号)となる。4つの相に対して設けられた4つのIVアンプの出力信号は、信号位相の0度、90度、180度、および、270度にそれぞれ対応している。信号処理回路(図示せず)は、4相の信号S1(A+)、S1(B+)、S1(A−)、S1(B−)に対して、以下の式(1)、(2)で表される演算処理を行い、4相の信号から直流成分が除去され、信号位相が90度ずれた2相の正弦波信号S1(A)、S1(B)に変換する。
S1(A)=S1(A+)−S1(A−) … (1)
S1(B)=S1(B+)−S1(B−) … (2)
【0023】
また信号処理回路は、以下の式(3)で表される演算により、位置信号の元となる位相信号Φを取得する。
Φ=ATAN2[S1(A),S1(B)] … (3)
式(3)において、ATAN2[Y,X]は、象限を判別して0〜2π位相に変換する逆正接演算関数である。
【0024】
位相信号Φは、スケール4の格子パターン移動による干渉縞の移動量に対応し、位相信号Φの変化量を累積することにより、スケール4と検出部10の移動方向(測位方向)における相対変位量を検出することができる。
【0025】
図1に示すように、光透過性樹脂20は、検出部10の表面にあるカバーガラス16とスケール4の表面の間に隙間なく充填されている。充填される領域は、少なくとも、光源11から出て、スケール4で反射され、受光素子アレイ12に至る光束の光路範囲が含まれていればよい。
【0026】
光透過性樹脂20は、シリコーン、ポリエステル、エポキシ系樹脂など、さまざまな材料を選択することができる。支持部材3をステンレス等の金属材料とし、光透過性樹脂20に比べ相対的に剛性を高くすれば、光透過性樹脂20が全体の剛性に与える影響は微小にできる。また、光透過性樹脂20は、UV硬化、熱硬化、その他の硬化条件を選択できる。光透過性は高い方が望ましいが、信号を検出するのに十分であればよい。なお、光透過性は、使用する波長に対して有していればよく、例えば、検出に赤外光源(波長760nm以上)を使って、光透過性樹脂20は可視光(波長400nm〜760nm)に対し非透過の材料としても良い。その場合は、光透過性材料は可視光を遮蔽し、赤外光を透過するので自然光等による外乱の影響を抑制することができる。また、光透過性樹脂20の屈折率は、境界面での反射を最小化するため、検出部10の表面にあるカバーガラス16と近い値をとるのが望ましい。たとえば屈折率は1.2以上2.0以下であることが好ましい。
【0027】
光透過性樹脂20がない場合では、カバーガラス16の表面にて、空気との屈折率差によって、臨界角(45度前後)を超えた入射角度では全反射が生じる。全反射光は検出部10内で、受光素子アレイに入射して迷光の要因となる。通常、この全反射を避けるため、検出部10の内部光路長大きくとる必要があり、センサユニットの大型化をきたす。本発明のように、スケール4の表面まで隙間なく光透過性樹脂20を充填することにより、光路長を増大させることなく、境界面での反射を大幅に低減することができる。
【0028】
このように、本発明によれば、作用部と基部との適度な弾性による移動自由度を保ちつつ、異物混入の影響を抑え、迷光によるSN比の低下を抑制することができる。よって、高精度、高信頼性の力を検出可能な光学式センサを実現できる。
【0029】
(第2の実施形態)
光学式センサの一例として、本実施形態における加速度センサ102の構成を図3に示す。加速度センサ102は、実施形態1の構成に加え、おもり部材30が作用部2に固定されている。基部1は加速度の測定対象に固定される。センサ部102は、図中X方向に印加される加速度を検出し、加速度に応じた信号を出力する。このおもり部材を設けることで力あるいは加速度の感度を向上させ、また光学式センサ自体の共振周波数を調整することが可能である。
【0030】
光透過性樹脂20は、検出部10の表面にあるカバーガラス16とスケール4の表面の間に隙間なく充填されている。なお、光透過性樹脂20として、適度に粘性を有する材料を選択することで、ダンパー効果を持たせ、共振による測定誤差を低減することができる。
【0031】
(第3の実施形態)
光学式センサの一例として、本実施形態における加速度センサ102、速度センサ102、振動センサ102の構成を図4(a)に示す。第2の実施形態と同様、おもり部材30が作用部2に固定されている。
【0032】
本実施形態における光透過性樹脂20として、図4(b)に示すゲルシート21を用いる。ゲルシート21は、平行平板状に成形された透明樹脂層22と、その両面に形成された透明粘着層23を有するゲルシート21は、検出部10の表面にあるカバーガラス16とスケール4の表面それぞれに隙間なく貼りあわせられる。これにより、別途支持部材を設けることなく、検出部10とスケール4の間の平行度を維持することが容易となる。
【0033】
すなわちゲルシートはシート状に形成されているため、シート自身の平面に検出部とスケールを倣わせることができる。
【0034】
光透過性樹脂20は、支持部材としての機能を兼ねる。加速度の検出感度、および検出できる周波数範囲は、光透過性樹脂20の弾性係数に依存する。
【0035】
なお、固有振動数より高い周波数範囲にて、振動の振幅を直接検出することも可能である。また、固有振動数付近の周波数範囲では、振動の速度を検出することができる。光透過性樹脂20を支持部材として機能させることで、大きな質量のおもりを用いずに固有振動数を低く設計することが可能となり、光学式センサの小型、軽量化が可能である。
【0036】
(第4の実施形態)
光学式センサの一例として、本実施形態は、6軸力覚センサへの適用例である。
【0037】
本実施形態におけるセンサ101の機構部は、基部1と作用部2とをつなぐように複数もうけられた梁状の支持部材3に変位方向変換機能を付与した構造である。機構部における作用部2の上部を不可視にし、上面から力覚センサを見た図を図5(a)に示す。また、図5(b)は、本実施形態における力覚センサの断面図であり、図5(a)の力覚センサにおける作用部2の中心を、支持部材3に沿って紙面に向かって左右に切った図である。断面に向かって奥に配置されるスケール4Gおよびスケール4Cもあわせて描いてある。
【0038】
下蓋、回路基板6を取り、−Z方向から機構部を見た図を図6に示す。検出部10A〜Hとスケール4A〜Hの間には、第3の実施形態で説明したゲルシート21が貼りあわせられている。
【0039】
変位方向変換機能は、コの字型の変位方向変換機構30によって実現される。すなわち、作用部2に−Z方向の力が入力されると、変位方向変換機構30に変形が生じ、設置されたスケール4E、4F、4G、4Hは−Z方向とともにXY平面内にも変位を生じる。
【0040】
スケール4A、4B、4C、4Dは、作用部2に連結された柱状部材50の先端に貼り付けられている。作用部2にX方向、Y方向の力、Z軸まわりのモーメントが入力されると、XY平面内で力やモーメントの方向に変位を生じる。
【0041】
基部1に連結され、図7で示す回路基板6が固定される。十字がX軸およびY軸を示しており、その方向は図上に示した座標系のとおりである。
【0042】
回路基板6には、検出部10A〜10Hが実装されている。それとともに、信号処理IC20、信号を出力するコネクタ21等の電気部品が実装されている。
【0043】
検出部10A、検出部10Bの変位検出方向は、図上X軸の方向である。検出部10C、検出部10Dの変位検出方向は、図上Y軸の方向である。検出部10A、検出部10Bは変位検出方向がX軸に平行であり、かつ、X軸方向とY軸方向に離間し、機構部の中心位置に対し、点対称に配置されている。さらに、機構部の中心位置を通り、X軸に平行な直線とY軸に平行な直線で4象限に分けたとき、検出部10Aと検出部10Cは同じ象限に配され、検出部10Bと検出部10Dは同じ象限に配されている。検出部10Aと検出部10Bが配されていない象限には、信号処理IC20やコネクタ21が実装されている。
【0044】
検出部10Eの変位検出方向はX軸の方向で、X軸上に配され、X軸方向の位置は検出部10Aと略同一である。検出部10Fの変位検出方向はX軸の方向で、X軸上に配され、X軸方向の位置は検出部10Bと略同一である。検出部10Gの変位検出方向はY軸の方向で、Y軸上に配され、Y軸方向の位置は検出部10Aと略同一である。検出部10Hの変位検出方向はY軸の方向で、Y軸上に配され、Y軸方向の位置は検出部10Aと略同一である。
【0045】
6軸の外力成分(X軸方向Fx、Y軸方向Fy、Z軸方向Fz、X軸周りモーメントMx、Y軸周りモーメントMy、Z軸周りモーメントMz)、および、2軸の熱膨張の成分(X軸方向膨張Tx、Y軸方向膨張Ty)を入力とする。このときの各軸入力による変位量の応答をまとめ、8×8の行列Dmatとすると、以下のように表わされる。
【0046】
【数1】
【0047】
本実施形態における設計では、変位量の単位をマイクロメートルとし、以下のようになる。
【0048】
【数2】
【0049】
つまり、基部と、外力を受けて基部に対して変位する作用部と、基部と作用部を連結する弾性支持部を備えている光学式センサは以下の構成をさらに備えている。
【0050】
すなわち第1の方向での作用部の基部に対する変位を検出する2組の変位センサからなる第1の変位センサ対(例えば図7に示すようにX方向の変位を検出する検出部10Aと検出部10B)を備えている。
【0051】
加えて、第1の方向と交差する第2の方向での作用部の基部に対する変位を検出する2組の変位センサからなる第2の変位センサ対(例えば図7に示すようにY方向の変位を検出する検出部10Cと検出部10D)と、を備えている。
【0052】
さらに第1の変位センサ対を構成する2組の変位センサの中点を通り、第1の方向と第2の方向のそれぞれに沿った2本の直線によって分けられる4象限のうち、第1の変位センサ対が配置された2つの象限に第2の変位センサ対が配置されている。
【0053】
本発明の配置により、DaとDc、DbとDdの符号関係が、Mzが加わった場合と、温度Tが加わった場合で逆転するため、SN良く両者を分離することが可能となる。
【0054】
さらに、熱膨張の成分を精度良く分離できることで、Mz以外の成分に対しても、温度変化の影響を補正できることについて、以下に述べる。
【0055】
各検出部10の出力より、6軸の外力成分、および、2軸の熱膨張の成分を算出する演算は以下のように行う。
【0056】
【数3】
【0057】
ここで、変換行列Cは、各検出部10出力より、6軸の外力成分、および、2軸の熱膨張の成分に変換するための行列である。変換行列Cは、Mmatの逆行例より、以下のようになる。
【0058】
【数4】
【0059】
このとき、6軸の外力成分、および、2軸の熱膨張の成分が独立に分離検出されていることを以下により示す。各軸に独立の入力があった場合の各検出部10の変位出力を、8×8の行列Dmatとする。このDmatに変換行列Cをかけると、逆行列の性質より以下のような対角行列となる。
【0060】
【数5】
【0061】
各検出部10の出力は、構造サイズに対し非常に微小な変位を検出するため、各軸外力の応答に対し、重ね合わせ近似が成り立つ。よって、Fx、Fy、Fz、Mx、My、Mz、Tx、Tyの8成分は、複合して作用した場合にも、互いに独立な成分として分離検出が可能である。
【0062】
本実施形態における光学式センサは、作用部と基部との適度な弾性による移動自由度を保ちつつ、異物混入の影響を抑え、迷光によるSN比の低下を抑制することが可能である。
【0063】
(第5の実施形態)
光学式センサの一例として本実施形態は6軸力覚センサの別の適用例である。本実施形態におけるセンサ101の機構部、回路基板の構成は第4の実施形態のものと同様である。
【0064】
図8は、本実施形態における力覚検出装置の断面図である。第4の実施形態のゲルシート21の代わりに、ユニット内部の空間に、回路基板6の周囲も含め、光透過性樹脂20が充填されている。このようにすることで、センサ部、回路部ともに防水、防塵機能等、耐環境性を向上することが可能である。また、シリコーン樹脂等、熱伝導性の高い樹脂を用いれば、回路の放熱硬化が向上することができる。またウレタン系樹脂、あるいはアクリル系樹脂も好適に用いることができる。
【0065】
(第6の実施形態)
光学式センサの一例として本実施形態は6軸力覚センサの別の適用例である。
【0066】
本実施形態におけるセンサ101の機構部を上面から見た図を図9に示す。また、側面から見た断面図を図10に示す。作用部2としての外輪部と、基部1としての内輪部がある。検出部10A〜Hは、基部1上に固定され、スケール4A〜Hは、作用部2上に固定されている。基部1と作用部2の間隔に光透過性樹脂20が隙間なく充填されている。
【0067】
検出部10A、10Bは、Y方向の変位を検出するように配され、検出部10C、10DはX方向の変位を検出するように配される。検出部10E、10F、10G、10Hは、Z方向の変位を検出するように配される。8つの検出部10A〜Hより、6軸の外力に変換する演算は、実施形態4と同様にして可能である。
【0068】
本実施形態では、光透過性樹脂20が支持部材としての機能を兼ねることで、機構部品を簡略化するとともに、センサユニットの薄型化が実現できる。
【0069】
(第7の実施形態)
本発明の光学式センサを備えた装置の一例として、次に、図11を参照して、本発明の実施形態7におけるロボットアーム搬送装置について説明する。図11は、本実施形態におけるロボットアーム搬送装置400の構成図であり、実施形態4〜6で説明したセンサ101を備えたロボットアーム搬送装置400を示している。
【0070】
動作可能な可動部としてのロボットアーム200は、把持部201にて被搬送物205を把持する。ロボットアーム200は、被搬送物205を基板206に形成された穴部206aに挿入する動作を行っており、その動作は制御部210によって制御される。
【0071】
ロボットアーム200には、把持部201が被搬送物205を介して基板206から受ける上向きの外力を検出するためのセンサ101(光学式力覚センサ)が搭載されている。被搬送物205が基板206の上面における穴部206a以外の部分に接触している場合、把持部201からセンサ101に外力が作用するため、被搬送物205の位置が穴部206aの位置から外れていることが検出される。このため、制御部210は、被搬送物205を基板206の上面に沿って移動させるようにロボットアーム200の動作を制御する。
【0072】
そして、被搬送物205が穴部206aの上方に位置すると、それまで把持部201からセンサ101に作用していた外力がなくなるため、被搬送物205の位置が穴部206aの位置に一致したことが検出される。このため、制御部210は、被搬送物205を穴部206a内に挿入するようにロボットアーム200の動作を制御する。
【0073】
このように本実施形態の装置(ロボットアーム搬送装置400)は、可動部(把持部201)と、実施形態4〜6のセンサ部(光学式力覚センサ)と、力覚センサを用いて可動部を制御する制御部210とを有する。ロボットアーム200に実施形態4〜6にて説明したセンサ101を用いることにより、ロボットアーム200の動作を高精度に制御することができる。なお、実施形態1〜6にて説明したセンサ101は、本実施形態で説明したようなロボットアーム搬送装置400以外の装置であって、外力検出の結果を用いて動作の制御を行う各種装置に用いることができる。
【0074】
以上の各実施形態に示すように、高精度、高信頼性の力覚センサ、および、装置を提供することができる。
【符号の説明】
【0075】
1 基部
2 作用部
3 支持部材
4 スケール
10 検出部
20 光透過性樹脂
101 センサ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11