(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
袋詰め包装機において、袋体は、軌道に沿って常に一定の速度で搬送されるとは限らない。処理部における処理動作にともなって、袋体は搬送中に加速されたり減速されたりする。被包装物が流動性物品である場合、この加速時や減速時に、袋体に充填された被包装物が慣性力の作用により袋体内で揺れることがある。慣性力は、加速時には進行方向の後方に向かって作用し、減速時には進行方向の前方に向かって作用する。とりわけ各処理部で一旦停止し、処理部での所定の処理後に再度搬送を再開する、いわゆる間欠搬送を行う場合には、搬送の開始時や停止時に被包装物が大きく揺れる。
【0006】
図9に、袋体内での被包装物の揺れの様子を模式的に示す。
図9における左側の図は静止状態における袋体300を示し、中央の図は搬送開始時における袋体300を示し、右側の図は搬送停止時における袋体300を示す。図示された例では、袋体300の内部には流動性物品である被包装物400が充填されている。袋体300は、その側縁の上部を一対のグリッパー122で把持されている。袋体300は、その袋口310の近傍に、被包装物400の充填後のシール工程においてシールされるシール予定領域450を有している。静止状態において、被包装物400の表面(液面)は、水平方向と平行になっている。搬送開始時には、慣性力の作用により被包装物400は進行方向の後方(
図9では左側)に向かって移動し、搬送停止時には、慣性力の作用により被包装物400は進行方向の前方(
図9では右側)に向かって移動する。図示されているように、搬送の開始時及び停止時に、袋体300の内側における袋口310の近傍(シール予定領域450)に、被包装物400が付着し得る。シール予定領域450に付着した被包装物400は、シール工程においてシール予定領域450に挟み込まれ、袋口310のシールを阻害する。これにより袋体300のシール不良(噛み込みシール)が生じる。また、慣性力の作用による被包装物400の移動量が大きい場合には、被包装物400が袋口310から外部に飛び出すこともある。
【0007】
特許文献1には、袋内に液状物を充填した後に、左右のグリッパーを互いに離反させ、袋のグリッパー間に位置する箇所を緊張させることが記載されている。これにより、袋のシール予定領域に液状物が付着することを抑制することができる。また、特許文献2には、袋内に液状物を充填した後に、左右のグリッパーを互いに近接させ、袋のグリッパー間に位置する箇所の開口形状を袋の厚み方向に長くなる略楕円形状とすることが記載されている。これにより、間欠搬送に伴う液はねを抑制することができる。
【0008】
しかし、特許文献1及び2の技術では、袋内に充填された液状物の慣性力による移動そのものは抑制できず、液状物のシール予定領域への付着や袋口からの外部への飛び出しを十分に防止することができなかった。
【0009】
また、液状物のシール予定領域への付着や袋口からの外部への飛び出しを防止するためには、袋体の搬送速度を低下させることも考えられる。しかし、袋体の搬送速度の低下は、生産性の向上を阻害する。さらに、袋体の寸法を大きくし、被包装物の表面とシール予定領域との間の距離を大きくすることも考えられる。しかし、袋体の寸法を大きくすると、袋体の輸送コストが増大する。
【0010】
本発明は、以上の点を考慮してなされたものであり、シール不良の発生及び被包装物の袋体外への飛び出しを抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明による袋詰め包装機は、
袋体を起立姿勢で所定の軌道に沿って搬送する搬送機構と、前記搬送機構により搬送される前記袋体に対して処理を行う複数の処理部とを備え、
前記複数の処理部は、前記袋体内に被包装物を充填する充填部を含み、
前記搬送機構は、前記袋体を保持する保持部と、前記充填部で前記被包装物が充填された前記袋体が搬送方向と平行な鉛直面内で揺動するように前記保持部を揺動させる揺動機構とを有する。
【0012】
本発明による袋詰め包装機において、
前記袋体は、前記所定の軌道に沿った移動及び停止を繰り返しながら搬送されてもよい。
【0013】
本発明による袋詰め包装機において、
前記揺動機構は、
前記保持部を揺動可能に支持する支持部と、
前記保持部を揺動させる駆動源と、
前記駆動源の動作を制御する制御部とを有してもよい。
【0014】
本発明による袋詰め包装機において、
前記揺動機構は、
前記駆動源の駆動軸に対して固定された駆動源側揺動部材と、
前記保持部に対して固定された保持部側揺動部材と、
前記駆動源側揺動部材と前記保持部側揺動部材とを連結する連結部材とをさらに有してもよい。
【0015】
本発明による袋詰め包装機において、
前記制御部は、前記袋体の上端縁部と、前記袋体内の前記被包装物の表面とが平行になるように、前記駆動源の動作を制御してもよい。
【0016】
本発明による袋詰め包装機において、
前記袋体内の前記被包装物の状態を検出する検出装置をさらに備え、
前記制御部は、前記検出装置で検出された前記被包装物の状態に応じて、前記駆動源の動作を制御してもよい。
【0017】
本発明による袋詰め包装機において、
前記揺動機構は、
前記保持部を揺動可能に支持する支持部と、
前記保持部の揺動を所定の範囲内に規制する規制部とを有してもよい。
【0018】
本発明による袋詰め包装機において、
前記保持部は一対の把持部を有し、
一方の把持部は前記袋体の一方の側縁部を把持し、他方の把持部は前記袋体の他方の側縁部を把持してもよい。
【0019】
本発明による袋詰め包装方法は、
起立姿勢で所定の軌道に沿って搬送される袋体に対して処理を行う複数の処理工程を有する袋詰め包装方法であって、
前記複数の処理工程は、前記袋体内に被包装物を充填する充填工程を含み、
前記充填工程後の前記袋体の搬送時に、前記袋体を搬送方向と平行な鉛直面内で揺動させる揺動工程を有する。
【0020】
本発明による袋詰め包装方法において、
前記袋体は、前記所定の軌道に沿った移動及び停止を繰り返しながら搬送されてもよい。
【0021】
本発明による袋詰め包装方法において、
前記揺動工程において、前記袋体の上端縁部と、前記袋体内の前記被包装物の表面とが平行になるように、袋体を揺動させてもよい。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、シール不良の発生及び被包装物の袋体外への飛び出しを抑制することができる。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面を参照して本発明の一実施の形態について説明する。
図1〜
図8は、本発明の一実施の形態を説明するための図である。このうち、
図1は、袋詰め包装機の全体構成を示す斜視図である。
【0025】
袋詰め包装機10は、袋処理装置11及びコンベアマガジン12を備える。コンベアマガジン12には、多数の袋体100が積層された状態で貯留されている。コンベアマガジン12に貯留されている各袋体100は、空袋であり、袋口110が閉じた状態で、当該袋口110を形成する側壁部どうしが対向して密着している。コンベアマガジン12に貯留される袋体100は、吸盤等によって構成される袋取出部31により一枚ずつ保持され、当該袋取出部31から袋処理装置11の各保持部22に渡される。
【0026】
袋処理装置11は、袋体100を起立姿勢で所定の軌道に沿って搬送する搬送機構20と、搬送機構20により搬送される袋体100に対して処理を行う複数の処理部(第1ステーションS1〜第8ステーションS8)とを備えている。搬送機構20は、間欠的に軸回転する搬送テーブル21と、当該搬送テーブル21の外周部に等間隔に取り付けられ袋体100を保持するための複数の保持部22と、後述の揺動機構40(
図1では図示せず)を備える。なお
図1では、他の構成の理解を容易にするため、搬送テーブル21は二点鎖線にて表されている。各保持部22は左右一対の把持部23a,23bを有しており、各袋体100のうち袋口110を介して互いに反対側に位置する側部箇所がそれぞれ把持部23a,23bによって保持され、各袋体100は保持部22によって起立姿勢で保持及び搬送される。とりわけ図示された例では、各袋体100は保持部22によって吊り下げ状態で保持及び搬送される。ここで、「起立姿勢」とは、袋体100を構成する側壁部が概ね鉛直方向に沿って延びるように配置されるような、袋体100の姿勢を指す。各保持部22は、搬送テーブル21とともに搬送方向(回転方向)D1に沿って間欠的に移動し、第1ステーションS1〜第8ステーションS8において間欠的に停止する。すなわち、袋体100は、所定の軌道に沿った移動及び停止を繰り返しながら搬送される。保持部22の数はステーションS1〜S8の数に対応し、
図1の袋詰め包装機10には8つの保持部22が設けられている。
【0027】
第1ステーション(空袋供給部)S1では、袋取出部31によってコンベアマガジン12から保持部22に袋体100が渡される(空袋供給工程)。第2ステーション(印字部)S2では、印字装置32によって袋体100の表面に製造日、消費期限等の印字が行われる(印字工程)。第3ステーション(開口部)S3では、開口手段33によって袋体100の袋口110が開かれる(開口工程)。第4ステーション(充填部)S4では、充填装置34の吐出口が袋口110を介して袋体100の内側に配置され、充填装置34から袋体100内に被包装物200が充填される(充填工程)。第5ステーション(閉口部)S5は、保持部22の一対の把持部23a,23b間の距離が広げられて、袋体100の袋口110が閉じられる(閉口工程)。なおこの閉口工程は、第4ステーションS4において袋体100内への被包装物200の投入が終わった後に行われてもよいし、第4ステーションS4から第5ステーションS5に移動する過程で行われてもよいし、第5ステーションS5から第6ステーションS6に移動する過程で行われてもよい。第6ステーション(第1袋口シール部)S6では、第1シール装置35によって袋体100の袋口110が熱シールされ(第1袋口シール工程)、第7ステーション(第2袋口シール部)S7では、第2シール装置36によって袋体100の袋口110が熱シールされる(第2袋口シール工程)。第8ステーション(冷却部)S8では、冷却装置37によって袋体100の熱シールされた袋口110が冷却され(シール部冷却工程)、袋体100が保持部22の把持部23a,23bによる把持から解放されて放出シュート38に落下される。放出シュート38に落下された袋体100は、放出シュート38により導かれて後段に送られる。
【0028】
次に、
図2〜
図4を参照して、搬送機構20の詳細について説明する。
図2は、搬送機構20の保持部22及び揺動機構40を示す側面図である。
図3は、保持部22及び揺動機構40を示す上面図であり、とりわけ
図2のIIIが付された矢印に沿って見た保持部22及び揺動機構40を示す図である。
図4は、揺動機構40を示す正面図である。
図4では、保持部22の位置がハッチングされた円形部分で示されている。
【0029】
搬送機構20は、袋体100を保持する保持部22と、保持部22を揺動させる揺動機構40とを有している。
【0030】
保持部22は、一対のグリッパー22a,22bと、グリッパー22a,22bを支持するグリッパー支持プレート24a,24bと、グリッパー支持プレート24a,24bを支持するグリッパー支持ブロック25と、回転軸26と、を含んでいる。各グリッパー22a,22bは、その先端にそれぞれ把持部23a,23bを有している。したがって、保持部22は、一対の把持部23a,23bを有している。一方の把持部23aは袋体100の一方の側縁部112aを把持し、他方の把持部23bは袋体100の他方の側縁部112bを把持する。袋体100は、把持部23a,23bに把持されることにより、袋口110が上方を向くようにして吊り下げ状態で保持される。把持部23a,23bは、それぞれグリッパー22a,22b内に配置されたエアシリンダ29で駆動される。
【0031】
グリッパー22a,22bは、把持部23a,23bと反対側の端部においてそれぞれグリッパー支持プレート24a,24bに固定されている。グリッパー支持プレート24a,24bは、それぞれグリッパー支持ブロック25に対して可動に取り付けられている。そして、グリッパー支持プレート24a,24bが、それぞれ回転軸線24a1,24b1周りに水平方向に開閉動作することにより、一対のグリッパー22a,22bが、互いに対して離間又は近接するように動作する。これにより、袋体100の幅に合わせて把持部23a,23b間の距離を変更することが可能になる。
【0032】
グリッパー支持ブロック25は、保持部側揺動部材48に対して固定されている。保持部側揺動部材48には、回転軸26が固定されている。すなわち、回転軸26は、保持部側揺動部材48を介してグリッパー支持ブロック25に固定されている。なお、これに限られず、回転軸26は、グリッパー支持ブロック25に直接固定されていてもよい。回転軸26は、全体として柱状又は筒状の形状を有する部材であり、その長手方向に直交する断面は円形形状を有している。回転軸26は、その一端で保持部側揺動部材48に接続されている。回転軸26は、後述の支持部41に支持されている。
【0033】
次に、揺動機構40について説明する。揺動機構40は、充填部S4で被包装物200が充填された袋体100が搬送方向D1と平行な鉛直面内で揺動するように保持部22を揺動させる。ここで、「搬送方向D1と平行な鉛直面」とは、搬送機構20による袋体100の加減速の際に、袋体100内の被包装物200に作用し得る慣性力の作用方向を含む鉛直面を指す。したがって、
図1に示された例のように搬送方向D1が直線状でない場合には、「搬送方向D1と平行な鉛直面」とは、当該袋体100が位置する箇所における搬送方向D1への接線方向と平行な鉛直面を指す。なお、ここでの「鉛直面」とは、厳密な意味での鉛直面に限られず、被包装物200が袋体100のシール予定領域へ付着したり袋口110から外部へ飛び出したりしない範囲内で、厳密な意味での鉛直面に対して傾斜した面をも含む。
【0034】
図2〜
図4に示された例では、揺動機構40は、保持部22を揺動可能に支持する支持部41と、保持部22を揺動させる駆動源45と、駆動源45の動作を制御する制御部50と、を有している。図示された例では、揺動機構40は、駆動源45の駆動軸46に対して固定された駆動源側揺動部材47と、保持部22に対して固定された保持部側揺動部材48と、駆動源側揺動部材47と保持部側揺動部材48とを連結する連結部材49a,49bと、をさらに有している。
【0035】
支持部41は、回転軸支持ブロック42と、ベアリンク43とを有している。回転軸支持ブロック42は、その上端が搬送テーブル21に対して固定されている。図示された例では、回転軸26の長手方向に離間して、2つの回転軸支持ブロック42が設けられている。なお、これに限られず、回転軸26の長手方向に沿って1つ又は3つ以上の回転軸支持ブロック42が設けられてもよい。各回転軸支持ブロック42には、それぞれベアリンク43が取り付けられている。ベアリンク43は、回転軸26をその回転軸線周りに回転自在に支持する。回転軸26には、ストッパー44が固定されている。すなわち、ストッパー44は、支持部41に対して回転軸26と一緒に回転する。ストッパー44は、1つのベアリンク43に対して回転軸26の長手方向の一方側及び他方側に設けられている。これにより、支持部41に対する回転軸26の移動、とりわけ長手方向に沿った移動、が妨げられている。回転軸支持ブロック42の下端にはプレート27が固定されており、プレート27には、モータ取付ブロック28が固定されている。モータ取付ブロック28には駆動源45が取り付けられる。
【0036】
駆動源45は、例えばサーボモータであり、揺動機構40を駆動し、保持部22を揺動させる駆動源として機能する。駆動源45は、駆動力を出力する駆動軸46を有している。駆動軸46がその軸線周りに回転駆動されることで、駆動源45から駆動力が出力される。図示された例では、回転軸26の回転軸線と駆動軸46の回転軸線とは、互いに平行をなしている。また、回転軸26の回転軸線及び駆動軸46の回転軸線は、いずれも水平方向と平行に延びている。駆動源45は、制御部50によりその動作が制御される。
【0037】
駆動源側揺動部材47は、駆動軸46に対して固定されている。したがって、駆動源側揺動部材47は、駆動源45からの駆動力を受けて駆動軸46とともに回転する。駆動源側揺動部材47は、駆動軸46の回転軸線に沿った方向から見て(
図4参照)長方形形状を有しており、その長手方向は駆動軸46の回転軸線と直交している。また、保持部側揺動部材48は、回転軸26の回転軸線に沿った方向から見て(
図4参照)長方形形状を有しており、その長手方向は回転軸26の回転軸線と直交している。とりわけ駆動源側揺動部材47の長手方向と、保持部側揺動部材48の長手方向とは、互いに平行をなしている。
【0038】
図4によく示されているように、連結部材49aは、駆動源側揺動部材47の長手方向の一方側の端部と、保持部側揺動部材48の長手方向の一方側の端部とを接続するように設けられている。また、連結部材49bは、駆動源側揺動部材47の長手方向の他方側の端部と、保持部側揺動部材48の長手方向の他方側の端部とを接続するように設けられている。連結部材49a,49bは、その一端側で駆動源側揺動部材47に対してピン接合により連結され、他端側で保持部側揺動部材48に対してピン接合により連結されている。図示された例では、駆動源側揺動部材47における連結部材49aとの連結点と連結部材49bとの連結点との間の距離と、保持部側揺動部材48における連結部材49aとの連結点と連結部材49bとの連結点との間の距離とは、互いに等しくなっている。また、連結部材49aにおける駆動源側揺動部材47との連結点と保持部側揺動部材48との連結点との間の距離と、連結部材49bにおける駆動源側揺動部材47との連結点と保持部側揺動部材48との連結点との間の距離とは、互いに等しくなっている。これにより、揺動部材47,48と連結部材49a,49bとにより、平行リンク機構が構成されている。
【0039】
駆動源45の駆動軸46には検出片51が固定されており、検出片51の下端には検出部52が設けられている。図示された例では、検出片51は、駆動軸46の回転軸線に沿った方向から見て(
図4参照)長方形形状を有しており、その長手方向は駆動軸46の回転軸線と直交している。とりわけ図示された例では、駆動軸46の回転軸線に沿った方向から見て、検出片51の長手方向は、駆動源側揺動部材47の長手方向と直交している。検出部52は、検出片51から駆動軸46の回転軸線と平行な方向に沿って、駆動源45と反対側に突出して形成されている。保持部22が揺動していない状態、すなわち一対のグリッパー22a,22bが互いに同じ高さに位置している状態(
図4参照)、において、駆動軸46の回転軸線と平行な方向に沿って検出部52と対面する位置に、センサ53が設けられている。センサ53は、検出部52がセンサ53に近接した位置にあるか否かを検出する。すなわち、センサ53により検出部52がセンサ53に近接した位置にあることが検出されている場合には、保持部22が揺動していない状態であると判定することができる。その一方、センサ53により検出部52がセンサ53に近接した位置にあることが検出されない場合には、保持部22が揺動している、換言すると一対のグリッパー22a,22bが互いに異なる高さに位置して袋体100が傾いている、と判定することができる。なお、検出片51、検出部52及びセンサ53の具体的構成は、図示された例に限られない。
【0040】
駆動源45からの駆動力を保持部22へ伝達する手段は、上述の揺動部材47,48と連結部材49a,49bとにより構成される平行リンク機構に限られず、他の種々の手段を適用し得る。例えば、駆動源45の駆動軸46が保持部22の回転軸26に直接接続され、駆動源45が保持部22を直接揺動させるようにしてもよい。
【0041】
次に、
図4〜
図7を参照して、揺動機構40の動作について説明する。
図7は、揺動された袋体100内の被包装物200の様子を示す図である。
【0042】
第4ステーション(充填部)S4において、保持部22が停止(静止)した状態で、充填装置34から袋体100内に被包装物200が充填される(充填工程)。図示された例では、被包装物200は流動性物品である。流動性物品は、袋体100に充填された状態において流動性を有した物品であり、例えば、液体、粉体、及び、液体又は粉体を含む混合物である。第4ステーションS4における被包装物200の充填が終了した状態では、
図7の左側の図に示されているように、袋体100内に充填された被包装物200の表面(液面)210は、水平方向と平行になっている。この場合、保持部22は揺動されず、
図4に示されているように、一対のグリッパー22a,22bが互いに同じ高さに位置している。このとき、センサ53により、検出部52がセンサ53に近接した位置にあることが検出され、保持部22が揺動していない状態であると判定することができる。
【0043】
充填工程終了後、被包装物200が充填された袋体100は、ステーション間(工程間)を搬送される。搬送の開始時には、慣性力の作用によって袋体100内の被包装物200は、搬送方向D1に沿った後方に向かって移動し、被包装物200の表面210が水平方向に対して傾斜する。本実施の形態では、このとき、制御部50は、駆動源45を制御して、袋体100の下端縁部113が上端縁部111に対して搬送方向D1に沿った後方にずれるように保持部22を揺動させる(揺動工程)。これにより、
図7の中央の図に示されているように、袋体100が搬送方向D1に対して傾斜する。
【0044】
図5に示されているように、制御部50の制御により駆動源45が駆動され、駆動軸46が
図5において時計回りに回転される。駆動軸46の回転にともなって、駆動軸46に固定された駆動源側揺動部材47も駆動軸46の回転軸線周りに回転してその長手方向が水平方向に対して傾斜する。これにより、駆動源側揺動部材47と連結部材49a,49bを介して接続された保持部側揺動部材48も回転してその長手方向が水平方向に対して傾斜する。したがって、保持部側揺動部材48に対して固定された保持部22が揺動する。詳細には、揺動部材47,48の搬送方向D1の前方側(
図5では右側)の端部が下方に移動し、搬送方向D1の後方側(
図5では左側)の端部が上方に移動する。これにともなって、搬送方向D1の前方側に位置するグリッパー22aが下方に移動し、搬送方向D1の後方側に位置するグリッパー22bが上方に移動する。したがって、袋体100は、搬送方向D1と平行な鉛直面内で、その下端縁部113が上端縁部111に対して搬送方向D1に沿った後方にずれるように揺動する。
【0045】
また、搬送の停止時には、慣性力の作用によって袋体100内の被包装物200は、搬送方向D1に沿った前方に向かって移動し、被包装物200の表面210が水平方向に対して傾斜する。本実施の形態では、このとき、制御部50は、駆動源45を制御して、袋体100の下端縁部が上端縁部に対して搬送方向D1に沿った前方にずれるように保持部22を揺動させる(揺動工程)。これにより、
図7の右側の図に示されているように、袋体100が搬送方向D1に対して傾斜する。
【0046】
図6に示されているように、制御部50の制御により駆動源45が駆動され、駆動軸46が
図6において反時計回りに回転される。駆動軸46の回転にともなって、駆動軸46に固定された駆動源側揺動部材47も駆動軸46の回転軸線周りに回転してその長手方向が水平方向に対して傾斜する。これにより、駆動源側揺動部材47と連結部材49a,49bを介して接続された保持部側揺動部材48も回転してその長手方向が水平方向に対して傾斜する。したがって、保持部側揺動部材48に対して固定された保持部22が揺動する。詳細には、揺動部材47,48の搬送方向D1の前方側(
図6では右側)の端部が上方に移動し、搬送方向D1の後方側(
図6では左側)の端部が下方に移動する。これにともなって、搬送方向D1の前方側に位置するグリッパー22aが上方に移動し、搬送方向D1の後方側に位置するグリッパー22bが下方に移動する。したがって、袋体100は、搬送方向D1と平行な鉛直面内で、その下端縁部113が上端縁部111に対して搬送方向D1に沿った前方にずれるように揺動する。
【0047】
駆動軸46の回転にともなって、駆動軸46に固定された検出片51及び検出部52も、駆動軸46の回転軸線周りに回転する。そして、検出部52は、駆動軸46の回転軸線に沿った方向から見て、センサ53から離間する。これにより、センサ53によって、検出部52がセンサ53から離間した位置にあることが検出され、保持部22が揺動している状態であると判定することができる。
【0048】
袋詰め包装機10が、袋体100内の被包装物200の状態を検出する検出装置55をさらに備え、制御部50が、検出装置55で検出された被包装物200の状態に応じて、駆動源45の動作を制御してもよい。検出装置55としては、例えば加速度センサやカメラを用いることができる。検出装置55として加速度センサを用いる場合、加速度センサで袋体100に生じる加速度を検出し、この加速度に応じて駆動源45の動作を制御し、保持部22が所望の角度に揺動されるようにすることができる。また、検出装置55としてカメラを用いる場合、カメラによって袋体100内の被包装物200を撮影して被包装物200の表面210の傾きを検出し、この表面210の傾きに応じて駆動源45の動作を制御し、保持部22が所望の角度に揺動されるようにすることができる。とりわけ、制御部50が、袋体100の上端縁部111と、袋体100内の被包装物200の表面210とが平行になるように、駆動源45の動作を制御してもよい。また、制御部50は、時間の経過により変化する被包装物200の状態に応じて、駆動源45の動作をリアルタイムで制御してもよい。さらに、制御部50は、検出装置55で検出された被包装物200の状態に応じて駆動源45の動作を制御するものに限られず、実験等により予め把握された、被包装物200の袋体100内での移動の様子に基づいて、保持部22が所定の揺動動作を行うように駆動源45の動作を制御するものであってもよい。
【0049】
本発明の袋詰め包装機10は、袋体100を起立姿勢で所定の軌道に沿って搬送する搬送機構20と、搬送機構20により搬送される袋体100に対して処理を行う複数の処理部S1〜S8とを備え、複数の処理部S1〜S8は、袋体100内に被包装物200を充填する充填部S4を含み、搬送機構20は、袋体100を保持する保持部22と、充填部S4で被包装物200が充填された袋体100が搬送方向D1と平行な鉛直面内で揺動するように保持部22を揺動させる揺動機構40とを有する。
【0050】
また、本発明の袋詰め包装方法は、起立姿勢で所定の軌道に沿って搬送される袋体100に対して処理を行う複数の処理工程を有する袋詰め包装方法であって、複数の処理工程は、袋体100内に被包装物200を充填する充填工程を含み、充填工程後の袋体100の搬送時に、袋体100を搬送方向D1と平行な鉛直面内で揺動させる揺動工程を有する。
【0051】
このような袋詰め包装機10及び袋詰め包装方法によれば、袋体100の搬送方向D1に沿った搬送中の加減速にともなって袋体100に充填された被包装物200が慣性力の作用により袋体100内で揺れ、被包装物200が袋体100のシール予定領域へ付着したり袋口110から外部へ飛び出したりすることを、効果的に防止することができる。また、従来の袋詰め包装機で用いられているグリッパーと同様のグリッパー22a,22bを用いることが可能であることから、充填部S4より後の処理部を従来の袋詰め包装機の処理部と同様に構成することができる。この場合、本発明の袋詰め包装機10のために新たな処理部を製造する必要がなく、袋詰め包装機10の処理能力を維持することができるとともに、袋詰め包装機10の製造コストの上昇を抑えることができる。
【0052】
本発明の袋詰め包装機10及び袋詰め包装方法では、袋体100は、所定の軌道に沿った移動及び停止を繰り返しながら搬送される。
【0053】
袋体100が、所定の軌道に沿った移動及び停止を繰り返しながら搬送される場合、搬送開始時及び搬送停止時に、袋体100内に充填された被包装物200に大きな慣性力が働き、被包装物200が、袋体100のシール予定領域へ付着したり袋口110から外部へ飛び出したりしやすい。したがって、このような袋詰め包装機10及び袋詰め包装方法において、揺動機構40は、よりその効果を発揮する。
【0054】
本発明の袋詰め包装機10では、揺動機構40は、保持部22を揺動可能に支持する支持部41と、保持部22を揺動させる駆動源45と、駆動源45の動作を制御する制御部50とを有する。
【0055】
このような袋詰め包装機10によれば、制御部50で駆動源45を制御することにより、保持部22の傾斜角度や揺動タイミング等を任意に設定することが可能になる。したがって、保持部22の揺動動作の設定の自由度を向上させることができる。
【0056】
本発明の袋詰め包装機10では、揺動機構40は、駆動源45の駆動軸46に対して固定された駆動源側揺動部材47と、保持部22に対して固定された保持部側揺動部材48と、駆動源側揺動部材47と保持部側揺動部材48とを連結する連結部材49a,49bとをさらに有する。
【0057】
このような袋詰め包装機10によれば、揺動部材47,48と連結部材49a,49bとにより、平行リンク機構を構成することができる。これにより、揺動機構40による揺動動作を、より安定して行うことができる。
【0058】
本発明の袋詰め包装機10では、制御部50は、袋体100の上端縁部111と、袋体100内の被包装物200の表面210とが平行になるように、駆動源45の動作を制御する。
【0059】
また、本発明の袋詰め包装方法は、揺動工程において、袋体100の上端縁部111と、袋体100内の被包装物200の表面210とが平行になるように、袋体100を揺動させる。
【0060】
このような袋詰め包装機10及び袋詰め包装方法によれば、袋体100に対する被包装物200の揺れ量を最小化することができ、被包装物200が袋体100のシール予定領域へ付着したり袋口110から外部へ飛び出したりすることを、さらに効果的に防止することができる。
【0061】
本発明の袋詰め包装機10は、袋体100内の被包装物200の状態を検出する検出装置をさらに備え、制御部50は、検出装置で検出された被包装物200の状態に応じて、駆動源45の動作を制御する。
【0062】
このような袋詰め包装機10によれば、被包装物200の状態を検出装置で検出することができるので、運転開始時の被包装物200の製品状態が異なる場合にも対応することが可能になる。
【0063】
本発明の袋詰め包装機10では、保持部22は一対の把持部23a,23bを有し、一方の把持部23aは袋体100の一方の側縁部112aを把持し、他方の把持部23bは袋体100の他方の側縁部112bを把持する。
【0064】
このような袋詰め包装機10によれば、従来の袋詰め包装機で用いられているグリッパーと同様のグリッパー22a,22bを用いるので、充填部S4より後の処理部を従来の袋詰め包装機の処理部と同様に構成することができる。これにより、本発明の袋詰め包装機10のために新たな処理部を製造する必要がなく、袋詰め包装機10の処理能力を維持することができるとともに、袋詰め包装機10の製造コストの上昇を抑えることができる。
【0065】
なお、上述した実施の形態に対して様々な変更を加えることが可能である。以下、図面を適宜参照しながら、変形例について説明する。以下の説明および以下の説明で用いる図面では、上述した実施の形態と同様に構成され得る部分について、上述の実施の形態における対応する部分に対して用いた符号と同一の符号を用いることとし、重複する説明を省略する。
【0066】
図8は、
図4に対応する図であって、揺動機構40の一変形例を示す図である。
図8に示された例では、揺動機構40は、保持部22を揺動可能に支持する支持部41と、保持部22の揺動を所定の範囲内に規制する規制部60とを有する。
【0067】
規制部60は、弾性部材61a,61bと、弾性部材61a,61bを支持する弾性部材支持部62a,62bと、を有している。弾性部材支持部62a,62bは、搬送テーブル21に固定されている。弾性部材61a,61bは、例えばコイルばねであり、保持部側揺動部材48と弾性部材支持部62a,62bとの間に架け渡されている。回転軸26は、支持部41に回転自在に支持されている。すなわち、回転軸26は、その回転軸線周りの回転が規制されていない。
【0068】
袋体100の搬送の開始時に、慣性力の作用によって袋体100内の被包装物200が搬送方向D1に沿った後方に向かって移動すると、袋体100は、搬送方向D1と平行な鉛直面内で、その下端縁部113が上端縁部111に対して搬送方向D1に沿った後方にずれるように揺動する。このとき、搬送方向D1の前方側に位置するグリッパー22aは下方に移動し、搬送方向D1の後方側に位置するグリッパー22bは上方に移動する。これにともなって、保持部側揺動部材48の搬送方向D1の前方側(
図8では右側)の端部が下方に移動し、搬送方向D1の後方側(
図8では左側)の端部が上方に移動する。そして、搬送方向D1の前方側に位置する弾性部材61aが引っ張られ、保持部側揺動部材48を回転させるモーメントと弾性部材61aが元に戻ろうとする弾性力とが釣り合う位置で、保持部側揺動部材48は停止する。袋体100の搬送の停止時には袋体100の搬送の開始時と反対の動作が生じるので、詳細な説明は省略する。
【0069】
本変形例によれば、駆動源45や平行リンク機構を省略することが可能になるので、揺動機構40の小型化及びコストの低減を図ることができる。また、袋体100内の被包装物200の移動に同期して保持部22を揺動させることができる。
【0070】
他の変形例として、袋体100としてスパウト付き袋を用いるようにしてもよい。この場合、保持部22は、スパウトを保持する保持爪を有するように構成することができる。
【0071】
さらに他の変形例として、第4ステーション(充填部)S4での充填工程において、袋体100を起立姿勢に対して傾斜させ、この袋体100内に被包装物200が充填されてもよい。例えば、充填工程において、袋体100を、搬送方向D1と平行な鉛直面内で、その下端縁部113が上端縁部111に対して搬送方向D1に沿った前方又は後方にずれるように傾斜させることができる。このような袋体100の傾斜は、揺動機構40を用いて、上述の揺動工程と同様にして実現され得る。
【0072】
被包装物200が洗剤等の泡立ちやすい物品である場合、充填工程において、被包装物200が袋体100内に落下した際の衝撃により被包装物200が泡立ち、生じた泡が袋体100のシール予定領域へ付着してシール不良を生じることがある。これに対して、本変形例によれば、被包装物200を、傾斜した袋体100の側壁部に沿って(例えば側縁部112a,112bに沿って)、袋体100内に流し込むことができる。これにより、充填装置34の吐出口から袋体100までの被包装物200の落下距離を小さくし、被包装物200が袋体100内に落下した際の衝撃を小さくすることが可能になる。したがって、被包装物200が泡立ちやすい物品であっても、袋体100内に充填された被包装物200が泡立つことによりシール予定領域においてシール不良を生じることを抑制することができる。
【0073】
なお、以上において上述した実施の形態に対するいくつかの変形例を説明してきたが、当然に、複数の変形例を適宜組み合わせて適用することも可能である。