(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
一般的に、ボルテージレギュレータは、出力端子に接続される負荷回路の保護のために、出力電圧のオーバーシュートを抑制するオーバーシュート抑制回路を備えている。
図3は、従来のオーバーシュート抑制回路を備えたボルテージレギュレータを示す回路図である。
【0003】
従来のボルテージレギュレータは、出力トランジスタ5と、誤差増幅回路6と、分圧抵抗回路7と、基準電圧回路8と、比較回路11と、バイアス回路12、310、312と、PMOSトランジスタ311、315と、NMOSトランジスタ313、316と、グラウンド端子1と、電源端子2、出力端子3とで構成されている。
【0004】
従来のボルテージレギュレータは、PMOSトランジスタ311、315と、NMOSトランジスタ313、316と、比較回路11と、バイアス回路12、312とでオーバーシュート抑制回路を構成している。
【0005】
従来のボルテージレギュレータは、低消費電流にするために比較回路11のバイアス回路12の電流を小さく設定しているので、オーバーシュート抑制回路の応答速度が遅い。そこで、出力電流センストランジスタであるPMOSトランジスタ315によって出力トランジスタに流れる電流が多くなったことを検出した時に、バイアス回路312の電流を追加することでオーバーシュート抑制回路の応答速度を早くしている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従来のボルテージレギュレータは、低消費化のために誤差増幅回路6のバイアス回路310の電流を小さくすると、ある条件の電源電圧の変動において出力端子3にオーバーシュートが生じる可能性がある。
【0008】
電源電圧VDDが低くボルテージレギュレータが非レギュレート状態であるところから、電源電圧VDDが徐々に増加する場合、PMOSトランジスタ315のドレイン電流が減少し始めるので、アンプ11の応答速度は遅くなる。このような条件において、電源電圧VDDが高くなると出力端子3に過大なオーバーシュートが生じる。また、所望の出力電圧Voutより十分高い電源電圧VDDが印加されたレギュレート状態での電源変動や、従来回路に図示していないがONOFF制御端子に入力される外部信号によりボルテージレギュレータがオンした時などに、出力端子3に過大なオーバーシュートが生じる。
【0009】
本発明は、上記課題に鑑みてなされ、低消費電流でありながら、効果的に出力電圧のオーバーシュートを抑制することが可能なボルテージレギュレータを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明のボルテージレギュレータは、出力電圧に基づいた帰還電圧と基準電圧が一致するように出力トランジスタを制御する誤差増幅器を備えたボルテージレギュレータであって、前記出力電圧に基づいてオーバーシュートを検出するオーバーシュート検出回路と、前記オーバーシュート検出回路の検出信号に基づいて前記出力トランジスタのゲート電圧を制御するオーバーシュート抑制回路と、前記ボルテージレギュレータの状態を監視する状態監視回路と、前記状態監視回路の信号を受けて前記オーバーシュート検出回路を所定の時間動作させるタイマー回路と、オーバーシュートを検出したことを受けて前記タイマー回路の計数する時間を短縮するタイマーオフ回路と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明のボルテージレギュレータに拠れば、状態監視回路とタイマー回路とタイマーオフ回路を備えたので、低消費電流でありながら、効果的に出力電圧のオーバーシュートを抑制することが出来る。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
【0014】
図1は、本発明野の実施形態のボルテージレギュレータを示す回路図である。
本実施形態のボルテージレギュレータ100は、出力トランジスタ5と、誤差増幅回路6と、分圧抵抗回路7と、基準電圧回路8と、NOT回路9と、オーバーシュート検出回路10と、状態監視回路20と、タイマー回路30と、オーバーシュート抑制回路40と、タイマーオフ回路50を備えている。
【0015】
オーバーシュート検出回路10は、アンプ11と、バイアス回路12と、NMOSトランジスタ13を備えている。タイマー回路30は、定電流源31と、コンデンサ32を備えている。オーバーシュート抑制回路40は、NAND回路41と、PMOSトランジスタ42を備えている。タイマーオフ回路50は、定電流源51と、PMOSトランジスタ52を備えている。図示はしないが、制御端子4は、例えば、誤差増幅回路6のバイアス回路を制御する回路に接続され、ボルテージレギュレータ100のONOFF制御をする信号が入力される。
【0016】
図2は、本実施形態の状態監視回路20の一例を示す回路図である。
状態監視回路20は、非レギュレート検出回路210と、電源変動検出回路220と、入力検出回路230を備えている。非レギュレート検出回路210は、アンプ211と、定電圧回路212と、NMOSトランジスタ213を備えている。電源変動検出回路220は、コンデンサ221と、定電流源222と、NMOSトランジスタ223を備えている。入力検出回路230は、XOR回路231と、抵抗232と、コンデンサ233と、NMOSトランジスタ234を備えている。状態監視回路20の出力端子の電圧Vdは、いずれかの検出回路が検出状態の時にLo、いずれの検出回路も非検出状態の時にハイインピーダンスになる。
【0017】
誤差増幅回路6は、反転入力端子に基準電圧回路8の正極が接続され、非反転入力端子に分圧抵抗回路7の出力端子が接続され、出力端子が出力トランジスタ5のゲートに接続される。出力トランジスタ5は、ソースが電源端子2に接続され、ドレインが出力端子3に接続される。分圧抵抗回路7は、出力端子3とグランド端子1の間に接続される。
【0018】
アンプ11は、非反転入力端子に基準電圧回路8の正極が接続され、反転入力端子に分圧抵抗回路7の出力端子が接続される。バイアス回路12とNMOSトランジスタ13は、アンプ11とグランド端子1の間に直列に接続される。
【0019】
状態監視回路20は、第一入力端子に制御端子4が接続され、第二入力端子に誤差増幅回路6の出力端子が接続され、出力端子がタイマー回路30を介してNOT回路9の入力端子に接続される。タイマー回路30は、電流源31とコンデンサ32が電源端子2とグランド端子1の間に直列に接続され、その接続点が状態監視回路20の出力端子とNOT回路9の入力端子に接続される。NOT回路9は、出力端子がNMOSトランジスタ13のゲートとNAND回路41の入力端子に接続される。
【0020】
NAND回路41は、他方の入力端子にアンプ11の出力端子が接続され、出力端子がPMOSトランジスタ42のゲートに接続される。PMOSトランジスタ42は、ソースが電源端子2に接続され、ドレインが出力トランジスタ5のゲートに接続される。
【0021】
タイマーオフ回路50は、定電流源51とPMOSトランジスタ52が電源端子2とNOT回路9の入力端子の間に直列に接続される。PMOSトランジスタ52は、ゲートにNAND回路41の出力端子が接続される。
【0022】
アンプ211は、非反転入力端子に定電圧回路212の正極が接続され、反転入力端子に誤差増幅回路6の出力端子が接続され、出力端子がNMOSトランジスタ213のゲートに接続される。NMOSトランジスタ213は、ドレインが状態監視回路20の出力端子に接続され、ソースがグランド端子1に接続される。
【0023】
コンデンサ221と定電流源222は、電源端子2とグランド端子1の間に直列に接続され、その接続点がNMOSトランジスタ223のゲートに接続される。NMOSトランジスタ223は、ドレインが状態監視回路20の出力端子に接続され、ソースがグランド端子1に接続される。
【0024】
XOR回路231は、一方の入力端子に第一入力端子が接続され、他方の入力端子に第一入力端子とグランド端子1の間に直列に接続された抵抗232とコンデンサ233の接続点が接続され、出力端子がNMOSトランジスタ234のゲートに接続される。NMOSトランジスタ234は、ドレインが状態監視回路20の出力端子に接続され、ソースがグランド端子1に接続される。
【0025】
ボルテージレギュレータ100の動作について説明する。
電源端子2に電源電圧VDDが入力され、制御端子4に信号Hiが入力されると、ボルテージレギュレータ100は、出力端子3から出力電圧Voutを出力する。分圧抵抗回路7は、出力電圧Voutを分圧して分圧電圧Vfbを出力する。誤差増幅回路6は、基準電圧回路8の基準電圧Vrefと分圧電圧Vfbとを比較し、出力電圧Voutが一定になるよう出力トランジスタ5のゲート電圧を制御する。
【0026】
次に、状態監視回路20の入力検出回路230が制御端子4の信号を検出した時のボルテージレギュレータ100の動作について説明する。
制御端子4にLoの信号が入力されている時、図示はしないが、誤差増幅回路6と出力トランジスタ5はオフするように制御される。従って、電源端子2に電源電圧VDDが供給されていても、ボルテージレギュレータ100は出力端子3に電圧は出力しない。
【0027】
制御端子4にHiの信号が入力されると、誤差増幅回路6は、オンして、出力電圧Voutが一定になるよう出力トランジスタ5のゲート電圧を制御する。また、入力検出回路230は、入力端子にHiの信号が入力されると、Hiの信号の立ち上がりに同期して、抵抗232とコンデンサ233で設定された時定数分の期間だけLoのパルス信号を出力する。そして、状態監視回路20は、Loのパルス信号の間、出力端子の電圧VdをLoにする。
【0028】
タイマー回路30は、入力される電圧VdがLoになると、コンデンサ32の電荷が放電されてLoを出力し、ハイインピーダンスになるとコンデンサ32は定電流源31の電流で充電が開始され、出力電圧は徐々に上昇して、その後Hiになる。NOT回路9は、タイマー回路30の出力電圧がLoになるとHiを出力し、NMOSトランジスタ13をオンさせる。従って、アンプ11のバイアス回路12の電流が流れるので、オーバーシュート検出回路10は動作を開始する。また、NOT回路9がHiを出力すると、NAND回路41はオーバーシュート検出回路10の出力信号を有効にするため、オーバーシュート抑制回路40は動作可能状態になる。
【0029】
出力端子3にオーバーシュートが発生すると、オーバーシュート検出回路10は、アンプ11に入力する分圧電圧Vfbが基準電圧Vrefより高くなるので、オーバーシュート検出を示すLo信号を出力する。オーバーシュート抑制回路40は、NAND回路41がLo信号を出力するので、PMOSトランジスタ42はオンして出力トランジスタ5のゲートの電圧VgをHiにして出力端子3のオーバーシュートを抑制する。
【0030】
ここで、オーバーシュート検出回路10とオーバーシュート抑制回路40は、タイマー回路30の出力電圧がNOT回路9の閾値を超えるまで動作を継続する。タイマー回路30は、電源電圧が徐々に増加する場合に対応できるように、計数する時間がある程度長く設定されている。このため、入力検出回路230が制御端子4の信号を検出した時や、後述する電源電圧VDDの変動などの場合、状態監視回路20がそれらを検出した直後にオーバーシュートが発生することが多いので、オーバーシュート検出回路10で無駄に電流が流れることになる。
【0031】
タイマーオフ回路50は、オーバーシュート抑制回路40のNAND回路41が出力するLo信号を受けてPMOSトランジスタ52がオンして、タイマー回路30に電流源51の電流を流す。従って、タイマー回路30は、電流源31の電流と電流源51の電流でコンデンサ32が充電されるので、計数する時間が短くなる。即ち、オーバーシュート検出回路10は、早くオフするので、低消費電流にすることが出来る。
【0032】
以上説明したように、入力検出回路230を備えたので、ONOFF制御が付いたボルテージレギュレータにおいても、低消費電流でありながら、効果的に出力端子3のオーバーシュートを抑制することができる。
【0033】
次に、状態監視回路20の電源変動検出回路220が電源変動を検出した時のボルテージレギュレータ100の動作について説明する。なお、以降、状態監視回路20が出力端子にLoの電圧Vdを出力した後の説明は省略する。
【0034】
ボルテージレギュレータ100がレギュレート状態において、電源電圧VDDが急激に高くなると、電源変動検出回路220は、コンデンサ221と定電流源222の接続点の電圧が上昇してNMOSトランジスタ223がオンする。従って、状態監視回路20は、出力端子に検出状態のLoの電圧Vdを出力する。
【0035】
また、電源電圧VDDが0Vから所定の電圧に上昇すると、電源変動検出回路220は、コンデンサ221と定電流源222の接続点の電圧が上昇してNMOSトランジスタ223がオンする。従って、状態監視回路20は、出力端子に検出状態のLoの電圧Vdを出力する。
【0036】
次に、状態監視回路20の非レギュレート検出回路210が非レギュレート状態を検出した時のボルテージレギュレータ100の動作について説明する。
【0037】
非レギュレート状態の時、誤差増幅回路6は、出力端子3の出力電圧Voutが高くなるように出力トランジスタ5のゲートの電圧VgをLoに制御している。アンプ211は、反転入力端子にLoの電圧Vgが入力されるので、出力端子からHiの電圧を出力してNMOSトランジスタ213をオンしてさせる。従って、状態監視回路20は、出力端子に検出状態のLoの電圧Vdを出力する。
【0038】
以上説明したように、本発明のボルテージレギュレータ100は、非レギュレート検出回路210と電源変動検出回路220と入力検出回路230を有する状態監視回路20と、タイマー回路30と、タイマーオフ回路50を備えたので、低消費電流でありながら、効果的に出力電圧のオーバーシュートを抑制することができる。
【0039】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。
【0040】
例えば、上記実施形態においては、タイマーオフ回路50はNAND回路41の出力信号で出動作するように説明したが、比較回路11の出力信号などで動作しても良い。また例えば、非レギュレート検出回路210、電源変動検出回路220、入力検出回路230は、
図2に示した回路は一例であって、夫々所望の機能を実現する回路であればこれに限定されない。また例えば、状態監視回路20は、非レギュレート検出回路210と電源変動検出回路220と入力検出回路230のいずれか1つ、または2つを有していても良い。