(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
第1弁口を有するメイン通路、前記第1弁口をバイパスしかつ第2弁口を有するバイパス通路、前記第1弁口の下流側に連通する第1弁室、及び、前記第2弁口の下流側に連通する第2弁室が形成されている弁ケーシングと、
前記第1弁室に設けられ、前記第1弁口を電気的な制御により開閉する電動弁と、
前記第2弁室に設けられ、前記第1弁口よりも上流側のメイン通路の圧力が所定の正圧値以上である場合に開弁する正圧リリーフ弁機構、及び、当該メイン通路の圧力が所定の負圧値以下である場合に開弁する負圧リリーフ弁機構を有するリリーフ弁と、を備えており、
前記電動弁及び前記リリーフ弁は、互いの軸方向が異なる方向となるように配設されており、
前記バイパス通路は、前記第1弁室と前記第2弁室とを連通する連通通路を有し、
前記連通通路は、前記第1弁室に開口する第1端部と前記第2弁室に開口する第2端部とを有し、前記第1端部から前記第2端部まで前記電動弁の軸線と平行に直線状に延在しており、
前記バイパス通路は、前記弁ケーシングの一側に形成されており、
前記連通通路は、前記第1弁室の側面と前記第2弁室の側面の少なくとも一方に開口している流体制御弁。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。本実施形態の流体制御弁は、内燃機関(エンジン)を搭載する自動車等の車両に搭載される蒸発燃料処理装置に封鎖弁として備えられている。車両は、内燃機関(エンジン)及び燃料タンクを搭載している。説明の都合上、蒸発燃料処理装置を説明した後、封鎖弁(流体制御弁)を説明する。
【0023】
<蒸発燃料処理装置12の構成説明>
図1は蒸発燃料処理装置12の構成を示す。蒸発燃料処理装置12は、自動車等の車両のエンジンシステム10に備えられている。エンジンシステム10は、エンジン14と、エンジン14に供給される燃料を貯留する燃料タンク15とを備えている。燃料タンク15には、インレットパイプ16が設けられている。インレットパイプ16は、その上端部の給油口から燃料を燃料タンク15内に導入するパイプであって、給油口にはタンクキャップ17が着脱可能に取付けられている。また、インレットパイプ16の上端部内と燃料タンク15内の蒸発燃料が存在する気層部とは、ブリーザパイプ18により連通されている。
【0024】
燃料タンク15内には燃料供給装置19が設けられる。燃料供給装置19は、燃料タンク15内の燃料を吸入しかつ加圧して吐出する燃料ポンプ20、燃料の液面を検出する
センダゲージ21、大気圧に対する相対圧としてのタンク内圧を検出するタンク内圧センサ22等を備えている。燃料ポンプ20により燃料タンク15内から汲み上げられた燃料は、燃料供給通路24を介してエンジン14に供給される。詳しくは、各燃焼室に対応するインジェクタ(燃料噴射弁)25を備えるデリバリパイプ26に供給された後、各インジェクタ25から吸気通路27内に噴射される。吸気通路27には、エアクリーナ28、エアフロメータ29、スロットルバルブ30等が設けられる。
【0025】
蒸発燃料処理装置12は、ベーパ通路31とパージ通路32とキャニスタ34とを備えている。ベーパ通路31の一端部(上流側端部)は、燃料タンク15内の気層部と連通されている。ベーパ通路31の他端部(下流側端部)は、キャニスタ34内と連通されている。また、パージ通路32の一端部(上流側端部)は、キャニスタ34内と連通されている。パージ通路32の他端部(下流側端部)は、吸気通路27におけるスロットルバルブ30よりも下流側通路部と連通されている。また、キャニスタ34内には、吸着材としての活性炭(不図示)が装填されている。燃料タンク15内の蒸発燃料は、ベーパ通路31を介してキャニスタ34内の吸着材(活性炭)に吸着される。
【0026】
燃料タンク15内の気層部において、ベーパ通路31の上流側端部には、ORVR弁(On Board Refueling Vapor Recovery valve)35及びフューエルカットオフバルブ (Cut Off Valve)36が設けられている。
【0027】
ベーパ通路31の途中には封鎖弁38が介装されている。すなわち、ベーパ通路31は、その途中で燃料タンク15側の通路部31aとキャニスタ34側の通路部31bとに分断され、その通路部31a,31bの相互間に封鎖弁38が配置されている。この本実施形態の封鎖弁38は、本発明の流体制御弁に相当する。封鎖弁38は、電動弁52及びリリーフ弁54を備える。電動弁52は、電気的な制御により通路を開閉することにより、ベーパ通路31を流れる蒸発燃料を含むガス(「流体」という)の流量を調整する。電動弁52は、エンジン制御装置(以下、「ECU」という)45から出力される駆動信号により開閉制御される。また、リリーフ弁54は、電動弁52をバイパスするバイパス通路(後述する)の途中に介装されている。リリーフ弁54は、電動弁52の閉弁時における燃料タンク15内の圧力を適正圧力に保つためのものである。なお、これら封鎖弁(流体制御弁)38の詳細については後で説明する。
【0028】
パージ通路32の途中にはパージ弁40が介装されている。パージ弁40は、ECU45により算出されたパージ流量に応じた開弁量で開閉制御いわゆるパージ制御される。また、パージ弁40は、例えば、ステッピングモータを備えかつバルブ体のストロークを制御することで開弁量を調整可能である。なお、パージ弁40は、本実施形態では電磁弁であり、電磁ソレノイドを備え、非通電状態では閉弁し、通電によって開弁する。
【0029】
キャニスタ34には大気通路42が配設されている。大気通路42の他端部は大気に開放されている。また、大気通路42の途中にはエアフィルタ43が介装されている。
【0030】
ECU45には、タンク内圧センサ22、封鎖弁38の電動弁52、パージ弁40の他、リッドスイッチ46、リッドオープナー47、表示装置49等が接続されている。リッドオープナー47には、給油口を覆うリッド48を手動で開閉するリッド手動開閉装置(不図示)が連結されている。リッドスイッチ46は、ECU45に対してリッド48のロックを解除するための信号を出力する。また、リッドオープナー47は、リッド48のロック機構で、ECU45からロックを解除するための信号が供給された場合、又は、リッド手動開閉装置に開動作が施された場合に、リッド48のロックを解除する。
【0031】
(蒸発燃料処理装置12の動作説明)
次に、蒸発燃料処理装置12の基本的動作について説明する。通常時においては、封鎖弁38のリリーフ弁54は閉弁状態にある。
【0032】
<蒸発燃料処理装置12の動作説明―駐車中―>
(1)先ず、[車両の駐車中]について説明する。車両の駐車中は、封鎖弁38の電動弁52が閉弁状態に維持される。したがって、燃料タンク15の蒸発燃料がキャニスタ34内に流入されることがない。また、キャニスタ34内の空気が燃料タンク15内に流入されることもない。このとき、パージ弁40が閉弁状態に維持される。なお、車両の駐車中等の電動弁52の閉弁時において、燃料タンク15内の圧力は、封鎖弁38のリリーフ弁54(後述する)によって適正圧力に保たれるようになっている。
【0033】
<蒸発燃料処理装置12の動作説明―走行中―>
(2)次に、[車両の走行中]について説明する。車両の走行中において、ECU45は、所定のパージ条件が成立する場合に、キャニスタ34に吸着されている蒸発燃料をパージさせる制御を実行する。この制御では、パージ弁40が開閉制御される。パージ弁40が開弁されると、エンジン14の吸気負圧がパージ通路32を介してキャニスタ34内に作用する。その結果、キャニスタ34内の蒸発燃料が、大気通路42から吸入される空気とともに吸気通路27にパージされることによりエンジン14で燃焼される。また、ECU45は、蒸発燃料のパージ中に限り、封鎖弁38の電動弁52を開弁状態とする。これにより、燃料タンク15のタンク内圧が大気圧近傍値に維持される。
【0034】
<蒸発燃料処理装置12の動作説明―給油中―>
(3)次に、[給油中]について説明する。車両の停車中において、リッドスイッチ46が操作されると、ECU45が封鎖弁38の電動弁52を開弁状態とする。この際、燃料タンク15のタンク内圧が大気圧より高圧であれば、封鎖弁38の電動弁52が開弁すると同時に、燃料タンク15内の蒸発燃料が、ベーパ通路31を通ってキャニスタ34内の吸着材に吸着される。これにより、蒸発燃料が大気に放出されることが防止される。これにともない、燃料タンク15のタンク内圧は大気圧近傍値に低下する。また、燃料タンク15のタンク内圧が大気圧近傍値にまで低下すると、ECU45は、リッド48のロックを解除する信号をリッドオープナー47に出力する。その信号を受けたリッドオープナー47がリッド48のロックを解除することにより、リッド48の開動作が可能となる。そして、リッド48が開けられ、タンクキャップ17が開けられた状態で、燃料タンク15への給油が開始される。また、ECU45は、給油の終了(具体的にはリッド48が閉じられる)まで、封鎖弁38の電動弁52を開弁状態に維持する。このため、給油の際に、燃料タンク15内の蒸発燃料がベーパ通路31を通ってキャニスタ34内の吸着材に吸着される。
【0035】
<封鎖弁(流体制御弁)38の説明>
次に、封鎖弁38の説明をする。
図2は封鎖弁38を形成する弁ケーシング56の外観斜視図を示す。
図3及び
図4は封鎖弁38の全体構成を示す断面図であり、
図3は
図2のlll―lll線矢視断面の縦断面図、
図4は
図3のlV−lV線矢視断面の横断面図である。封鎖弁38は、
図3及び
図4に示すように、弁ケーシング56に形成される電動弁52と、リリーフ弁54とから構成される。なお、封鎖弁38を図示する各図に示す方向表示は、封鎖弁38は、通常、車両の床下に設置されるものであるから、車両の前後左右上下方向に対応して各方向を定めるが、封鎖弁38の配置方向を特定するものではない。なお、前述もしたように、封鎖弁38は本発明でいう流体制御弁に相当する。
【0036】
<弁ケーシング56の説明>
図2は封鎖弁38を形成する弁ケーシング56の外観を示す。弁ケーシング56は樹脂製であり、弁ケーシング56の内部には、
図3及び
図4に示すように、封鎖弁38を構成する電動弁52とリリーフ弁54とが収容されている。そのため、弁ケーシング56には、電動弁52を構成するための第1収容筒部60と、リリーフ弁54を構成するための第2収容筒部61とを有する。また、弁ケーシング56には第1管部57と第2管部58とを備えている。第1管部57と第2管部58は、弁ケーシング56においてベーパ通路31(
図1参照)の一部を成すメイン通路74を形成している。
【0037】
弁ケーシング56においてメイン通路74を形成する第1管部57と第2管部58は、中空円管状に形成されており、第1管部57は前後方向に配設され、第2管部58は左右方向に配設されている。
【0038】
更に、弁ケーシング56には、メイン通路74をバイパスする流路としてバイパス通路90が形成されている(
図3参照)。このバイパス経路90中にリリーフ弁54が配置されている。そして、
図3に示すように、リリーフ弁54と電動弁52とが連通通路84により連通されてバイパス通路90が形成されている。
【0039】
更に、弁ケーシング56には、封鎖弁38を車両の床下面に装着するための取付部63を有している。取付部63は、
図2及び
図3に示すように、電動弁52を形成する第1収容筒部60の上方部に一体的に形成されており、
図4に示すように、第1収容筒部60の左右両側位置で車両床面に取付けられるようになっている。その取付位置は、前後方向にオフセットされた位置とされている。
【0040】
図3及び
図4に示すように、電動弁52を形成する第1収容筒部60は、第1管部57の前端部から前方(同、左方)へ向かって段階的に径を大きくする段付円筒状に形成されている。第1管部57と第1収容筒部60とは同心状に形成されている。第1収容筒部60の後端部内に弁室65が形成されている。これを第1弁室65とする。第2管部58は、第1収容筒部60の第1弁室65から右方(
図4において下方)へ延びる中空円管状に形成されている。
【0041】
図3に示すように、第2収容筒部61は、第1管部57の前端部の上側に有底円筒状に形成されている。
図4の図示状態から分かるように、第2収容筒部61は、第1管部57の外径の約2倍の外径を有している。そして、第2収容筒部61の軸中心は第1管部57の軸中心線上の位置とされている。すなわち、第2収容筒部61は第1管部57の直上位置に設置されている。第2収容筒部61内には弁室67が形成されている(
図3参照)。この弁室67を第2弁室とする。
【0042】
図4に示すように、第1管部57と第2管部58とは、同一管径又は略同一管径で形成されている。両管部57,58内は、第1弁室65を介して相互に連通されている。第1管部57の第1弁室65側の開口部は、弁口71とされている。この弁口71を第1弁口とする。第1弁口71は、第1管部57の内径よりも少し小さい内径で形成されている。第1弁口71の口縁部が弁座72とされている。第1管部57内は、第1弁口71の軸方向と同方向に沿って延びる第1通路部75とされている。第2管部58内は、第1弁口71の第1通路部75側(後側)とは反対側すなわち前側(
図4において左側)で、第1通路部75の軸方向(前後方向)と異なる方向すなわち右方(
図4において下方)に沿って延びる第2通路部76とされている。第1通路部75と第2通路部76とにより、エルボ状のメイン通路74が形成されている。
【0043】
図3に示すように、リリーフ弁54の第2弁室67を形成する第2収容筒部61の下端部には、内径を小さくする段付部78が同心状に形成されている。段付部78内の中空部が、第2収容筒部61内の第2弁室67に連通する弁口80とされている。この弁口80を第2弁口とする。第2弁口80は、第1管部57と第2収容筒部61との間の重複する壁部を貫通することにより第1通路部75に連通されている。段付部78の第2弁室67側の端面(上端面)には、金属製の円環板状のバルブシート82が同心状に配置されている。バルブシート82は段付部78に埋設されて配設されている。バルブシート82はリリーフ弁54のシート面を形成している。
【0044】
<バイパス通路90の説明>
図4に示す第1管部57及び第2管部58により形成されるメイン通路74には、
図3に示すように、このメイン通路74をバイパスするバイパス通路90が形成される。バイパス通路90は、第1通路部75を分岐して配置されるリリーフ弁54の第2弁口80、第2弁室67を経由し、電動弁52の第1弁室65に連通通路84を経由して接続されて形成される。本実施形態で連通通路84とは、バイパス通路90中におけるリリーフ弁54の第2弁室67と電動弁52の第1弁室65を接続する通路を指称している。なお、これによりバイパス通路90はメイン通路74の経路にある電動弁52の第1弁口71をバイパスして形成される。バイパス通路90はメイン通路74にある電動弁52が閉弁状態にあり、メイン通路74が遮断状態にある際の燃料タンク内の異常な正圧や負圧の圧力状態を、このバイパス通路90に設けられたリリーフ弁54の制御により逃がして調整する通路である。
【0045】
<電動弁52の構成説明>
次に、電動弁52の構成を説明する。
図5は電動弁52の拡大断面図であり、
図6は分解斜視図である。
図5に示すように、電動弁52は、弁ケーシング56の第1収容筒部60内に収容されている。電動弁52は、電動モータ92とバルブガイド94とバルブ体96とバルブスプリング98とを備えている。なお、
図5は電動弁52の開弁状態を示している。
【0046】
電動弁52の電動モータ92は、本実施形態ではステッピングモータである。ステッピングモータ92は、その軸方向を前後方向として第1収容筒部60内に設置されている。ステッピングモータ92は、正逆回転可能な出力軸93を有している。出力軸93は、後方へ指向されており、第1収容筒部60の第1弁室65内に同心状に配置されている。出力軸93の外周面には雄ネジ部100が形成されている。
【0047】
図6に示すように、バルブガイド94は、円筒状の筒壁部102と、筒壁部102の前端開口部を閉鎖する端壁部103とを有している。筒壁部102の前端部には、外径を大きくする張出部104が段付き円筒状に形成されている。端壁部103の中央部には、円筒状の筒軸部105が同心状に形成されている。筒軸部105の前端開口部は閉鎖されている。
図5に示すように、筒軸部105の内周面には雌ネジ部106が形成されている。
【0048】
バルブガイド94は、第1弁室65内に対して軸方向すなわち前後方向に移動可能に配置されている。バルブガイド94は、第1弁室65の周壁部(第1収容筒部60)に対して、回り止め手段(不図示)により軸回り方向に回り止めされている。バルブガイド94の張出部104は、第1弁室65の内壁面に対して所定の隙間を隔てて嵌合されている。筒軸部105の雌ネジ部106は、ステッピングモータ92の出力軸93の雄ネジ部100にネジ合わされている。したがって、出力軸93の正逆回転に基いて、バルブガイド94が軸方向(前後方向)に移動される。なお、出力軸93の雄ネジ部100とバルブ体96の雌ネジ部106とにより送りネジ機構110が構成されている。
【0049】
弁ケーシング56の弁座72とバルブガイド94の張出部104との間には、コイルバネからなる補助バネ112が介装されている。補助バネ112は、筒壁部102に嵌合されている。補助バネ112は、バルブガイド94を常に前方へ付勢することにより、送りネジ機構110のバックラッシュを抑制する。筒壁部102の後端面は、弁座72に対して当接可能に対向されている。
【0050】
図6に示すように、バルブ体96は、円筒状の筒状部114と、筒状部114の後端開口部を閉鎖する弁板部115とを有している。弁板部115には、ゴム状弾性材からなる円環状のシール部材117が装着されている(
図5参照)。このシール部材117を第1シール部材とする。
【0051】
図5に示すように、バルブ体96は、バルブガイド94内に同心状にかつ前後方向に移動可能に配置されている。第1シール部材117は、弁座72に対して当接可能に対向されている。バルブガイド94とバルブ体96との間には、両部材94,96を軸方向(前後方向)に所定範囲内で移動可能に連結する連結手段120が設けられている。
図6に示すように、連結手段120は、周方向に等間隔で複数組(例えば4組)配置されている。連結手段120は、バルブ体96の筒状部114に設けられた係合突起122と、バルブガイド94の筒壁部102に設けられた係合溝124とにより構成されている。
【0052】
図6に示すように、係合突起122は、バルブ体96の筒状部114の外周面の前端部から半径方向外方に向けて突出されている。バルブガイド94の筒壁部102の内周面には、略U字状の溝形成壁
部126が突出状に形成されている。溝形成壁
部126により、筒壁部102内に開口しかつ前後方向に延びる係合溝124が形成されている。溝形成壁
部126の一方の側壁部は端壁部103に接続されている。溝形成壁
部126の他方の側壁部と端壁部103との間には、開口部127が形成されている。係合突起122は、溝形成壁
部126の開口部127から係合溝124内に係合されている。これにより、バルブガイド94にバルブ体96が周方向に回り止めされた状態で、軸方向(前後方向)に所定の移動量をもって移動可能に連結されている。
【0053】
図5及び
図6に示すように、バルブスプリング98はコイルバネからなる。バルブスプリング98は、バルブガイド94の端壁部103とバルブ体96の弁板部115との間に同心状に介装されている。バルブスプリング98は、バルブガイド94に対してバルブ体96を常に後方すなわち閉方向へ付勢している。
【0054】
<リリーフ弁54の構成説明>
次に、リリーフ弁54の説明をする。
図7はリリーフ弁54の拡大断面図を示す。リリーフ弁54は正圧リリーフ弁機構130と負圧リリーフ弁機構132とを有する。
図7の図示状態は当該両リリーフ弁機構130,132共、閉弁状態を示している。
図7に示すように、リリーフ弁54は、弁ケーシング56の第2収容筒部61に配置されている。
【0055】
リリーフ弁54は、正圧リリーフ弁機構130及び負圧リリーフ弁機構132を同心状に有している。正圧リリーフ弁機構130の弁部材134、及び、負圧リリーフ弁機構132の弁部材136は、第2収容筒部61の第2弁室67内に同心状にかつ上下動可能に配置されている。なお、以後は、正圧リリーフ弁機構130の弁部材134は第1弁部材とし、負圧リリーフ弁機構132の弁部材136を第2弁部材とする。
【0056】
第1弁部材134は、円環板状の弁板138と、内外二重筒状をなす内筒部139及び外筒部140と同心状に有している。弁板138の外周部は、第2収容筒部61のバルブシート82に対応する弁部141とされている。これを第1弁部141とする。第1弁部141は、バルブシート82から上方に離座するときは第2弁口80を開き、その状態からバルブシート82に着座することにより第2弁口80を閉じる。
【0057】
内筒部139及び外筒部140は、弁板138上に立設されている。弁板138と内筒部139との接続部分には、弁板138を上下方向に貫通するとともに内筒部139を半径方向に貫通する複数(
図7では2個を示す)の連通孔143が形成されている。第1弁部141の外周縁部の下面には、複数のストッパ片145が周方向に等間隔で形成されている。ストッパ片145は、第1弁部材134の閉弁時においてバルブシート82に当接する。これにより、第1弁部材134の閉弁位置が規定される。弁板138の内周部が負圧リリーフ弁機構132の弁座147とされている。
【0058】
第2収容筒部61の上端開口部には、キャップ150及び抜け止め部材152が配置されている。キャップ150は、樹脂製で、円板状に形成されている。キャップ150は、第2収容筒部61の上端開口部を嵌合により閉鎖している。抜け止め部材152は、樹脂製で、円環状に形成されている。抜け止め部材152は、第2収容筒部61の上端部に溶着等により接合されている。抜け止め部材152は、キャップ150の外周部に係合されている。これにより、キャップ150が抜け止め部材152により抜け止めされている。
【0059】
第1弁部材134の弁板138とキャップ150との対向面間には、第1コイルバネ154が同心状に配置されている。第1コイルバネ154は、第1弁部材134を下方すなわち閉弁方向に付勢している。第1コイルバネ154は、第1弁部材134の外筒部140内に嵌合されている。
【0060】
第2弁部材136は、円板状の弁板156と、丸軸状の軸部157とを有している。第2弁部材136は、軸部157が第1弁部材134の内筒部139内にその下方から嵌合されている。弁板156は、第1弁部材134の弁座147から下方に離座するときは連通孔143を開き、その状態から弁座147に着座することにより連通孔143を閉じる。軸部157の先端部(上端部)には、円環板状のバネ受け部材159が取付けられている。バネ受け部材159は、第2弁部材136の開弁時において第1弁部材134の内筒部139に当接する。これにより、第2弁部材136の最大開弁量が規定される。
【0061】
第1弁部材134の弁板138とバネ受け部材159との対向面間には、第2コイルバネ161が同心状に配置されている。第2コイルバネ161内に、第1弁部材134の内筒部139が配置されている。第2コイルバネ161は、第2弁部材136を上方すなわち閉弁方向に付勢している。第2コイルバネ161と第1コイルバネ154とは、内外二重環状に配置されている。第2コイルバネ161のコイル径、コイル長及びコイル線径は、第1コイルバネ154のコイル径、コイル長及びコイル線径よりも小さく設定されている。したがって、第2コイルバネ161の付勢力は、第1コイルバネ154の付勢力に比べて小さい。
【0062】
第1弁部材134の弁板138の下面には、ゴム状弾性材からなる円環状のシール部材163が接着等により装着されている。このシール部材163を第2シール部材とする。第2シール部材163は、ゴム等のゴム状弾性材により形成されており、下面側に内外二重環状に突出する内外の両シール部164,165を有している。内周側のシール部164は、第2弁部材136の弁板156に対向されている。第2弁部材136の閉弁時には、第2弁部材136が第2コイルバネ161の付勢力によって上方へ付勢されることにより、弁板156が内周側のシール部164に弾性的に接触すなわち密着される。また、外周側のシール部165は、弁ケーシング56のバルブシート82に対向されている。第1弁部材134の閉弁時には、第1弁部材134が第1コイルバネ154の付勢力によって下方へ付勢されることにより、外周側のシール部165がバルブシート82に弾性的に接触すなわち密着される。
【0063】
<正圧リリーフ弁機構130>
次に、正圧リリーフ弁機構130(
図7参照)について説明する。正圧リリーフ弁機構130は第1コイルバネ154によって正圧側の開弁圧が設定されている。これにより、第2弁口80側(燃料タンク側)の圧力が正圧側の開弁圧以上になると、第1弁部材134が第1コイルバネ154の付勢に抗して上昇する。これにより、正圧リリーフ弁機構130が開弁される。このとき、外周側のシール部165は、バルブシート82から離れ、自由状態となる。
【0064】
<負圧リリーフ弁機構132>
次に、負圧リリーフ弁機構132(
図7参照)について説明する。負圧リリーフ弁機構132は第2コイルバネ161によって負圧側の開弁圧が設定されている。これにより、第2弁口80側の圧力(燃料タンク側)の圧力が負圧側の開弁圧以下になると、第2弁部材136が第2コイルバネ161の付勢に抗して下降する。これにより、負圧リリーフ弁機構132が開弁される。このとき、内周側のシール部164は、第2弁部材136の弁板156から相対的に離れ、自由状態となる。
【0065】
<封鎖弁38とメイン通路74等との配置>
前述した封鎖弁38は、車両(不図示)に搭載される蒸発燃料処理装置12(
図1参照)におけるベーパ通路31に介装される。すなわち、
図3及び
図4に示すように、弁ケーシング56の第1管部57にベーパ通路31の燃料タンク15側の通路部31aが接続されるとともに、第2管部58にベーパ通路31のキャニスタ34側の通路部31bが接続される。これにより、ベーパ通路31の両通路部31a,31bが弁ケーシング56のメイン通路74を介して相互に連通されている。このため、メイン通路74は、ベーパ通路31の一部を構成している。また、
図3に示すように、弁ケーシング56の取付部63は、車両の床下側の固定側部材167に対してボルト等の締結により固定される。これにより、リリーフ弁54(
図3参照)の軸線が天地方向に向くように、封鎖弁38が車両に搭載される。そして、リリーフ弁54の第2弁口80は、車両搭載状態で、メイン通路74に対して天側に配置されている。すなわち、
図3に示されるように、第2弁口80は第1管部57により形成されるメイン通路74より上方位置に設定される。
【0066】
<電動弁52の動作>
次に、封鎖弁38における電動弁52の動作について説明する。電動弁52の動作は、リリーフ弁54の正圧リリーフ弁機構130及び負圧リリーフ弁機構132が閉弁状態(
図3参照)において行われる。
【0067】
<電動弁52の開弁状態>
先ず、電動弁52の開弁状態について説明する。
図5に示すように、電動弁52の開弁状態においては、バルブガイド94及びバルブ体96(第1シール部材117を含む)が第1収容筒部60の弁座72から前方(
図5において
右方)に離れている。また、バルブガイド94に対してバルブ体96がバルブスプリング98の弾性により後方(
図5において
左方)へ付勢されており、
図6に示すバルブガイド94の係合溝124の溝底部(溝形成壁部126の前端部)にバルブ体96の係合突起122が当接されている。このため、バルブガイド94とバルブ体96とが連結手段120を介して連結されている。
【0068】
また、ECU45(
図1参照)によるステッピングモータ92の駆動制御に基いて、送りネジ機構110を介してバルブガイド94が軸方向にストローク制御される。これにより、バルブガイド94とともにバルブ体96が前後方向(
図5において
左右方向)に移動されることにより、バルブ体96の開弁量(リフト量)が調整される。また、開弁状態において、ステッピングモータ92の通電をオフ(OFF)にしても、ステッピングモータ92のディテントトルク、送りネジ機構110のリード角等によって開弁状態を保持することができる。
【0069】
そして、上述した電動弁52の開弁状態では、弁ケーシング56内に形成されるメイン通路74は連通状態にある。すなわち、
図4に示す燃料タンク15側のベーパ通路31の通路部31aに接続される第1管部57のメイン通路74と、キャニスタ34側のベーパ通路31の通路部31bに接続される第2管部
58のメイン通路74とは連通状態にある。
【0070】
<電動弁52の閉弁作動時>
次に、電動弁52の閉弁作動時について説明する。電動弁52の開弁状態(
図5の状態)において、ステッピングモータ92が閉弁作動されると、出力軸93が閉弁方向に回転される。これにより、送りネジ機構110を介してバルブガイド94及びバルブ体96は後方へ移動していく。すると、バルブ体96(詳しくは第1シール部材117)が弁座72に着座して、バルブ体96の後方への移動が規制される。続いて、バルブガイド94がさらに後方へ移動していく。これにともない、
図6に示すバルブ体96の係合突起122に対してバルブガイド94の係合溝124の溝底部(溝形成壁部126の前端部)が前方へ移動していく。このため、連結手段120によるバルブガイド94とバルブ体96との連結が解除される。
【0071】
そして、バルブガイド94の筒壁部102が弁ケーシング56の弁座72に近接又は当接したときに、ECU45によりステッピングモータ92の閉弁作動が停止される。この状態が閉弁状態である。なお、バルブガイド94の筒壁部102が弁ケーシング56の弁座72に当接してから、ステッピングモータ92を所定量開弁作動させることにより、バルブガイド94を弁座72に近接させた状態としてもよい。
【0072】
<電動弁52の閉弁状態>
次に、電動弁52の閉弁状態について説明する。電動弁52の閉弁状態では、バルブ体96がバルブスプリング98の付勢力によって弁ケーシング56の弁座72に着座した状態に弾性的に保持される。また、バルブ体96と弁座72との間は第1シール部材117によって弾性的にシールされる。また、閉弁状態において、ステッピングモータ92の通電をオフ(OFF)にしても、ステッピングモータ92のディテントトルク、送りネジ機構110のリード角等によって閉弁状態を保持することができる。
【0073】
<電動弁52の開弁作動時>
次に、電動弁52の開弁作動時について説明する。電動弁52の閉弁状態において、ステッピングモータ92が開弁作動されると、出力軸93が開弁方向に回転される。これにより、送りネジ機構110を介してバルブガイド94が前方(開方向)へ移動されていく。これにともない、バルブガイド94の係合溝124がバルブ体96の係合突起122
との係合状態で係合突起122に沿って前方へ移動していく。
この際、バルブスプリング98及び補助バネ112がその弾性復元力により伸長する。そして、係合溝124の溝底部(溝形成壁部126の前端部)がバルブ体96の係合突起122に当接する。これにより、バルブガイド94とバルブ体96との相対移動が規制される。このため、バルブガイド94とバルブ体96とが連結手段120を介して連結される。続いて、バルブガイド94及びバルブ体96が
一体となってさらに
前方移動していく。これにともない、補助バネ112がその弾性復元力により伸長する。これにより、バルブ体96(詳しくは第1シール部材117)が弁ケーシング56の弁座72から離座することにより、開弁状態となる(
図5の状態)。
【0074】
<リリーフ弁54の動作>
次に、封鎖弁38におけるリリーフ弁54の動作について説明する。リリーフ弁54における正圧リリーフ弁機構130の開弁動作、及び負圧リリーフ弁機構
132の開弁動作は、いずれも電動弁52の閉弁状態において行われる。
【0075】
<正圧リリーフ弁機構130の開弁動作>
正圧リリーフ弁機構130の開弁動作は、燃料タンク15に正圧リリーフ弁機構130の開弁圧以上の正圧が生じた場合に行われる。すなわち、開弁圧以上の正圧が生じると前述したように第1弁部材134が上動して、正圧リリーフ弁機構130が開弁し、第2弁口80と第2弁室67が連通する。これにより、バイパス通路90が連通状態となり、メイン通路74における電磁弁52の第1弁口71が閉弁状態にあり、メイン通路74が遮断された状態にあっても、バイパス通路90を介して連通状態となる。このバイパス通路90の連通により、燃料タンク15側からの流体は、第1通路部75からバイパス通路90を通り、第2通路部76からキャニスタ34側へと流れる。これにより、燃料タンク15内の圧力を低下させることができる。
【0076】
<負圧リリーフ弁機構132の開弁動作>
負圧リリーフ弁機構132の開弁動作は、燃料タンク15に負圧リリーフ弁機構132の開弁圧以下の負圧が生じた場合に行われる。すなわち、開弁圧以下の負圧が生じると前述したように第2弁部材136が下降して開弁して、負圧リリーフ弁機構132が開弁し、第2弁口80と第2弁室67が連通する。これにより、正圧リリーフ弁機構130の開弁の場合と同様に、バイパス通路90が連通状態となり、メイン通路74が遮断された状態にあっても、バイパス通路90を介して連通状態となる。このバイパス通路90の連通により、燃料タンク15側からの流体は、第1通路部75からバイパス通路90を通り、第2通路部76からキャニスタ34側へと流れる。これにより、燃料タンク15内の圧力を上昇させることができる。
【0077】
<本実施形態の特徴構成―連通通路84―>
本実施形態が特徴とする構成は、上述したバイパス通路90におけるリリーフ弁54の第2弁室67と電動弁52の第1弁室65とを接続する連通通路84の配置構成である。連通通路84の配置位置は
図3に示されている。
図8〜
図10は
図3における連通通路84の各部位の詳細構成を示すための断面図で、弁ケーシング56における連通通路84を形成する各部位の断面図である。
図8は
図3のVlll−Vlll線矢視断面図、
図9は
図3のlX−lX線矢視断面図、
図10は
図3のX−X線矢視断面図である。
【0078】
図3に示すように、連通通路84は第1管部57により形成される第1通路部75の軸線方向と並行であって、第1通路部75の上方位置に配設されている。
図8に示すように、連通通路84のリリーフ弁54側の開口端面88は、上下方向配置の第2収容筒部61の内部に形成されるリリーフ弁54の第2弁室67の側面67Aに開口している。その開口位置は、
図3及び
図7に示されるように、第2弁室67の上下方向の高さ方向で見て下方位置とされている。なお、
図9に示すように、連通通路84の断面形状は左右方向に長い長方形断面形状とされている。
【0079】
図3及び
図10に示すように、連通通路84の電動弁52側の開口端面
86は、第1収容筒部60の内部に形成される電動弁52の第1弁室65の側面65Aに開口している。
図3に示すように、連通通路84は第1収容筒部60の上方位置において第1弁室65の軸線方向に沿って配設されており、長方断面形状とされた下方の一面が第1弁室65の側面65Aに開口して形成されている。したがって、連通通路84の電動弁52側の開口端面86は、リリーフ弁54側の開口端面88より開口面積は広い面積となっている。
【0080】
なお、連通通路84におけるリリーフ弁54側の開口端面88と電動弁52側の開口端面86との間の流通路は、バイパス通路90の絞り通路となっている。このため、この間の連通通路84の流通断面積は、リリーフ弁54の第2弁口80より上流側の通路部分の最小断面積より小さく形成されている。これにより、リリーフ弁54における正圧リリーフ弁機構130が開弁した際における流通において、バイパス通路90を経由する第1通路部75から第2通路部76への流体の流通が緩やかに行われる。
【0081】
図11は連通通路84を絞り通路とした場合のリリーフ流量の特性線図である。
図11に実線で示すリリーフ流量線図が「絞り有り」の場合であり、破線で示すリリーフ流量線図が「絞り無し」の場合である。正圧リリーフ弁機構130が開弁した際におけるバイパス通路90の連通通路84を流れるリリーフ流量は、
図11に示す特性線図から分かるように、次の通りである。すなわち、「絞り無し」の場合のリリーフ流量は、正圧リリーフ弁機構130が開弁した際に短時間の間に、一挙にバイパス通路90の連通通路84を流れる。すなわち、急激な流量変化を生じる。これに対して、「絞り有り」の場合のリリーフ流量は、正圧リリーフ弁機構130が開弁した際に絞りが作用して、連通通路84を時間をかけて緩やかに流れる。すなわち、急激な流量変化が抑制される。このため、リリーフ流量のピーク流量も、「絞り有り」の場合に比べ「絞り無し」の方が絞り作用の働きにより低くなっている。なお、発明者らの実験結果によれば、連通通路84の絞り径は、Φ3〜6が好ましい。
【0082】
<本実施形態の特徴構成による効果>
先ず、上述した本実施形態の特徴構成によれば、バイパス通路90における連通通路84のリリーフ弁54
への開口端面88、及び電動弁52への開口端面86が、第1弁室65及び第2弁室67の側面65A,67Aに開口形成されている。これにより、従来のように開口端面が弁口のシート面の径方向外側に開口している場合に比較して、径方向の体格が縮小できて、流体制御弁の小型化が図れる。このため、車両搭載上の制約が少なくなる。
【0083】
次に、上述した本実施形態の特徴構成によれば、連通通路84の最小断面積は、リリーフ弁54の第2弁口より上流側の通路部分、すなわち、第1管部57により形成される第1通路部75の最小断面積より小さく形成されている。これにより、リリーフ弁54における正圧リリーフ弁機構130が開弁した際における流体の流通において、連通通路84の絞り作用により過度の圧力変動が抑えられて、蒸発燃料流(ガス流)による騒音が抑制される。すなわち、リリーフ流量が急激に変化する場合は、それに伴いリリーフ弁54は上下左右に振動し、この振動により音を発生する。これに対して本実施形態が特徴とする構成によれば、上述のようにリリーフ流量の流量変化が緩やかになるので、開弁時のバルブ挙動が安定し、上下左右に振動しなく、音の発生を抑制することができる。
【0084】
<本実施形態の効果>
本実施形態の封鎖弁(流体制御弁)38によると、電動弁52及びリリーフ弁54を互いの軸方向が異なる方向となるように配置されている。すなわち、電動弁52とリリーフ弁54とは、互いの軸線がねじれの位置関係をなすように配置されている。詳しくは、電動弁52は軸方向が前後方向となるように配置されているとともに、リリーフ弁54は軸方向が上下方向となるように配置されている。これによって、リリーフ弁54の軸方向に沿う方向(上下方向)の寸法を短縮し、封鎖弁38をコンパクト化することができる。
【0085】
また、弁ケーシング56に、第1弁口71を有するメイン通路74と、第2弁口80を有するバイパス通路90とが形成されている。このため、電動弁52及びリリーフ弁54を集約し、封鎖弁38をコンパクト化することができる。
【0086】
また、リリーフ弁54は、第2弁口80の下流側(
図3において上側)に配置されている。したがって、例えばリリーフ弁54を第2弁口80の上流側に配置する場合と比べて、第2弁口80とメイン通路74とを近付けて配置することができ、弁ケーシング56を小型化することができる。
【0087】
また、メイン通路74は、第1弁口71の軸方向と同方向(前後方向)に沿って延びる第1通路部75と、第1弁口71の第1通路部75側(後側)とは反対側で第1通路部75の軸方向と異なる方向(左右方向)に沿って延びる第2通路部76とを有する(
図4参照)。したがって、例えば電動弁52の軸方向と直線状のメイン通路の軸方向とが直交状に交差する場合と比べて、メイン通路74の第2通路部76の軸方向(左右方向)に沿う方向の寸法を短縮し、封鎖弁38をコンパクト化することができる。
【0088】
また、第1通路部75と第2通路部76とによりエルボ状のメイン通路74が形成されている(
図4参照)。このため、例えばメイン通路が蛇行状に形成される場合と比べて、メイン通路74における流通抵抗(通気抵抗)を低減することができる。
【0089】
また、リリーフ弁54の第2弁口80は、車両搭載状態でメイン通路74に対して天側に配置されている。これにより、第2弁口80に形成されるシート面に付着する結露した水分や油分は、自重でメイン通路に落下するため、シート面の氷結や材質劣化が抑えられる。
【0090】
また、封鎖弁38は、リリーフ弁54の軸線が天地方向に向くように車両に搭載される。したがって、リリーフ弁54の開弁圧の変動を抑制することができる。例えば、リリーフ弁54の軸方向を天地方向以外の方向に向くように車両に搭載した場合、摺動部の摩擦抵抗の増大、両コイルバネ154,161の付勢力の変動等によって、リリーフ弁54の開弁圧に変動をきたすことになる。しかし、リリーフ弁54の軸方向が天地方向に向くように車両に搭載することで、摺動部の摩擦抵抗の低下、両コイルバネ154,161の付勢力の変動の抑制等によって、リリーフ弁54の開弁圧の変動を抑制することができる。
【0091】
また、封鎖弁38のリリーフ弁54の軸方向に沿う方向の寸法すなわち天地方向の寸法が小さいため、例えば、車両の上下方向のスペースが小さい床下スペース等にも封鎖弁38を設置することができる。このため、車両に対する封鎖弁38の設置の自由度を向上することができる。
【0092】
また、蒸発燃料処理装置12(
図1参照)における燃料タンク15とキャニスタ34との間のベーパ通路31に備えられる封鎖弁38は、本発明に係る流体制御弁である。これにより小型化を図った本実施形態の流体制御弁を用いて蒸発燃料処理装置12の封鎖弁を好適に構成することができる。
【0093】
<実施形態の変形例>
以上、本発明を特定の実施形態について説明したが、本発明はその他各種の形態でも実施可能なものである。
【0094】
例えば、本実施形態の封鎖弁(流体制御弁)38は、蒸発燃料処理装置12に限らず、その他の必要な装置に適用してもよい。また、電動弁52とリリーフ弁54とは、互いの軸方向が異なる方向となるように配置されていればよく、その方向は限定されない。
【0095】
また、上述した実施形態では、バイパス通路90における連通通路84のリリーフ弁54への開口端面88、及び電動弁52への開口端面86の両者共、第1弁室65及び第2弁室67の側面65A,67Aに開口形成されている。しかし、何れか一方のみがかかる構成になっていてもよい。
【0096】
また、封鎖弁38の電動弁52の電動モータには、ステッピングモータ92の他、回転方向、回転速度及び回転量が制御可能なDCモータを用いることができる。なお、DCモータの場合、バルブガイド94の位置を検出するストロークセンサを用いて原点位置の初期化を行うとよい。
【0097】
また、電動弁52の電動モータは、送りネジ機構を内蔵することで軸方向に移動する出力軸を備えたものでもよい。この場合、出力軸にバルブガイド94を一体化すればよい。
【0098】
また、電動弁52には、電磁ソレノイドを備え、非通電状態では閉弁し、通電によって開弁する電磁弁を用いてもよい。
【0099】
また、連結手段120の組数は適宜増減してもよい。また、連結手段120の係合突起122と係合溝124は、逆配置すなわち係合突起122をバルブガイド94に設け、係合溝124をバルブ体96に設けてもよい。
【0100】
また、ステッピングモータ92等の出力軸にバルブ体96を送りネジ機構110を介して連結することにより、バルブガイド94及び補助バネ112を省略してもよい。