特許第6983732号(P6983732)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6983732
(24)【登録日】2021年11月26日
(45)【発行日】2021年12月17日
(54)【発明の名称】圧電アクチュエータ
(51)【国際特許分類】
   H01L 41/053 20060101AFI20211206BHJP
   H01L 41/09 20060101ALI20211206BHJP
   H01L 41/083 20060101ALI20211206BHJP
   H02N 2/04 20060101ALI20211206BHJP
【FI】
   H01L41/053
   H01L41/09
   H01L41/083
   H02N2/04
【請求項の数】4
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2018-141504(P2018-141504)
(22)【出願日】2018年7月27日
(65)【公開番号】特開2020-17703(P2020-17703A)
(43)【公開日】2020年1月30日
【審査請求日】2020年11月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006633
【氏名又は名称】京セラ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】特許業務法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松川 宏三
【審査官】 西出 隆二
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2013/0056563(US,A1)
【文献】 特開2016−046472(JP,A)
【文献】 特表2010−505627(JP,A)
【文献】 特開2016−163390(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 41/053
H01L 41/09
H01L 41/083
H02N 2/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧電素子と、
該圧電素子を内部に収容した、筒体、該筒体の一端側開口部を塞ぐように配置された蓋体、および前記筒体の他端側開口部を塞ぐように配置された底体を含むケースとを備えており、前記蓋体は、一部が前記筒体の前記一端側開口部に挿通されて前記筒体と接合され、前記ケースの外側から前記蓋体を前記筒体の軸方向に見たときに、前記蓋体の中心が前記筒体の中心からずれて固定されていることを特徴とする圧電アクチュエータ。
【請求項2】
前記蓋体の前記一端側開口部に挿通された部分における稜部がテーパー部となっていることを特徴とする請求項1に記載の圧電アクチュエータ。
【請求項3】
前記ケースの外側から前記蓋体を前記筒体の軸方向に見たときの中心を通り、かつ前記筒体の軸方向に沿った断面で前記蓋体を見たときに、前記テーパー部は前記軸方向に直交する方向における両端部に設けられた二つの傾斜部であり、当該二つの傾斜部の傾斜角度が異なっていることを特徴とする請求項2に記載の圧電アクチュエータ。
【請求項4】
前記ケースの外側から前記蓋体を前記筒体の軸方向に見たときの中心を通り、かつ前記筒体の軸方向に沿った断面で前記蓋体を見たときに、前記テーパー部は前記軸方向に直交する方向における両端部に設けられた二つの傾斜部であり、当該二つの傾斜部の前記軸方向に沿った方向の高さが異なっていることを特徴とする請求項2に記載の圧電アクチュエータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、例えばマスフローコントローラ、XYテーブルの精密位置決め装置等に用いられる圧電アクチュエータに関するものである。
【背景技術】
【0002】
圧電素子と、この圧電素子を内部に収容した、筒体、筒体の一端側開口部を塞ぐように配置された蓋体、および筒体の他端側開口部を塞ぐように配置された底体を含むケースとを備えた圧電アクチュエータが知られている(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第2844711号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の圧電アクチュエータは、例えば蓋体が筒体に挿入されて当該蓋体の側面と筒体との間で溶着されているが、溶着された部位の周りに位置する筒体と蓋体との間には隙間がほとんど無く、ケースの外側から蓋体を筒体の軸方向に見たときに、筒体の中心と蓋体の中心とが一致しており、筒体の軸方向に沿った断面で蓋体を見たときに、左右対称な構造となっていた。
【0005】
このような構造の圧電アクチュエータを矩形波で駆動すると、圧電アクチュエータが共振して音が発生するとともに、ケースの内部空間で共鳴が発生し、この共鳴音が外部に漏れて耳障りになるという問題があった。
【0006】
圧電アクチュエータを静かな環境で使用する用途が増えており、この圧電アクチュエータの駆動時の雑音を小さくして欲しいという改善要求も増えている。
【0007】
本開示は、上記事情に鑑みてなされたもので、駆動時の雑音をより小さくした圧電アクチュエータを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の圧電アクチュエータは、圧電素子と、該圧電素子を内部に収容した、筒体、該筒体の一端側開口部を塞ぐように配置された蓋体、および前記筒体の他端側開口部を塞ぐように配置された底体を含むケースとを備えており、前記蓋体は、一部が前記筒体の前記一端側開口部に挿通されて前記筒体と接合され、前記ケースの外側から前記蓋体を前記筒体の軸方向に見たときに、前記蓋体の中心が前記筒体の中心からずれて固定されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本開示の圧電アクチュエータによれば、駆動時の雑音を小さくできる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】圧電アクチュエータの一例を示す概略縦断面図である。
図2】圧電アクチュエータの他の例を示す概略縦断面図である。
図3】圧電アクチュエータの他の例を示す概略縦断面図である。
図4】圧電アクチュエータの他の例を示す概略縦断面図である。
図5】圧電アクチュエータの他の例を示す概略縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付図面を参照して、圧電アクチュエータの実施形態を詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0012】
図1に示す圧電アクチュエータ10は、圧電素子1を備えているとともに、この圧電素子1を内部に収容した、筒体21、筒体21の一端側開口部を塞ぐように配置された蓋体22、および筒体21の他端側開口部を塞ぐように配置された底体23を含むケースを備えている。
【0013】
圧電アクチュエータ10を構成する圧電素子1は、例えば圧電体層11と内部電極層12とが交互に複数積層された活性部と、活性部の積層方向の両端に積層された圧電体層11からなる不活性部とを有する積層体13を備えた積層型の圧電素子である。ここで、活性部とは駆動時に圧電体層が積層方向に伸長または収縮する部位のことであり、不活性部とは駆動時に圧電体層11が積層方向に伸長または収縮しない部位のことである。この圧電素子1は、ケース2の内部に収容されている。
【0014】
圧電素子1を構成する積層体13は、例えば縦4mm〜7mm、横4mm〜7mm、高さ20mm〜50mm程度の直方体状に形成されている。なお、積層体13は、六角柱形状や八角柱形状などであってもよい。
【0015】
積層体13を構成する圧電体層11は、圧電特性を有する圧電セラミックスからなり、当該圧電セラミックスは平均粒径が例えば1.6μm〜2.8μmとされたものである。圧電セラミックスとしては、例えばチタン酸ジルコン酸鉛(PbZrO−PbTiO)からなるペロブスカイト型酸化物、ニオブ酸リチウム(LiNbO)、タンタル酸リチウム(LiTaO)などを用いることができる。
【0016】
また、積層体13を構成する内部電極層12は、例えば銀、銀−パラジウム、銀−白金、銅などの金属を主成分とするものである。例えば、正極と負極(またはグランド極)とがそれぞれ積層方向に交互に配置されている。積層体13の一つの側面に正極が引き出され、他の側面に負極(またはグランド極)が引き出されている。この構成により、活性部において、積層方向に隣り合う内部電極層12同士の間に挟まれた圧電体層11に駆動電圧を印加することができる。なお、積層体13には、応力を緩和するための層であって内部電極層として機能しない金属層等が含まれていてもよい。
【0017】
そして、内部電極層12の正極または負極が引き出された積層体13の対向する一対の側面には、それぞれ外部電極14が設けられ、引き出された内部電極層12と電気的に接続されている。外部電極14は、例えば銀およびガラスの焼結体からなるメタライズ層である。
【0018】
一方、積層体13の対向する他の一対の側面には、例えば内部電極層12の正極および負極(またはグランド極)の両極が露出しており、この側面には必要により絶縁体からなる被覆層が設けられている。被覆層を設けることにより、駆動時に高電圧をかけた際に発生する両極間での沿面放電を防止することができる。この被覆層となる絶縁体としては、例えばセラミック材料が挙げられ、特に、圧電アクチュエータ10を駆動した際の積層体13の駆動変形(伸縮)に追随でき、被覆層15が剥がれて沿面放電が生じるおそれのないように、応力によって変形可能な材料を用いることができる。具体的には、応力が生じると局所的に相変態して体積変化して変形可能な部分安定化ジルコニア、Ln1−XSiAlO3+0.5X(Lnは、Sn,Y,La,Ce,Pr,Nd,Pm,Sm,Eu
,Gd,Tb,Dy,Ho,Er,TmおよびYbのうちから選ばれるいずれか少なくとも一種を示す。x=0.01〜0.3)などのセラミック材料、あるいは、生じた応力を緩和するように結晶格子内のイオン間距離が変化するチタン酸バリウム、チタン酸ジルコン酸鉛などの圧電材料が挙げられる。
【0019】
圧電アクチュエータ10を構成するケース2は、筒体21、筒体21の一端側開口部を塞ぐように配置された蓋体22、および筒体21の他端側開口部を塞ぐように配置された底体23を含んでいる。蓋体22の下面に圧電素子1の上端面が当接され、底体23の上面に圧電素子1の下端面が当接されている。
【0020】
筒体21、蓋体22および底体23は、例えばSUS304やSUS316Lなどの金属からなるものである。
【0021】
筒体21は、例えば、所定の形状でシームレス管を作製した後、圧延加工や静水圧プレスなどにより、複数の溝(凹み)を有する円筒状、いわゆるベロー(蛇腹)形状に形成されたものである。筒体21は、圧電素子1(積層体13)の伸縮に追従できるように、所定のバネ定数を有しており、厚み、溝形状および溝数によってそのバネ定数を調整している。例えば、筒体21の厚みは0.1mm〜0.5mmとされる。ここで、図に示す筒体21は、複数の溝(凹み)を除いて一端側開口(上端側開口)から他端側開口(下端側開口)までまっすぐ延びる円筒状のものであるが、筒体21の他端側開口部(下端側開口部)は径方向外側に向かって広がるいわゆるラッパ状(鍔部を有する形状)になっていてもよい。
【0022】
蓋体22は、外径が筒体21の一端側開口部の内径よりも若干短くされた板状体または冠状体である。この蓋体22は、筒体21の一部が一端側開口から挿入され、筒体21の一端側開口部の内壁にその側面(外周)を溶接により接合されている。
【0023】
底体23は、例えば円板状のもので、筒体22の他端側開口部との間で溶接などにより接合される。底体23にはリード部材3を挿通可能な貫通孔が2つ形成されており、この貫通孔にリード部材3を挿通させている。そして、貫通孔の隙間には例えば軟質ガラスが充填されていて、リード部材3が固定されている。また、リード部材3の先端は直接またはリード線を介して外部電極14に接続されていて、これにより圧電素子1に駆動電圧を印加するようになっている。
【0024】
そして、蓋体22は、一部が筒体21の一端側開口部に挿通されて筒体21と接合されていて、ケース2の外側から蓋体22を筒体21の軸方向に見たときに、蓋体22の中心が筒体21の中心からずれて固定されている。ここで、蓋体22の中心とは、蓋体22が円板状の場合は当該蓋体22を軸方向に見たとき(平面視したとき)の外周形状(円)の中心であり、蓋体22が多角形板状の場合は軸方向に見たとき(平面視したとき)の外周形状の重心を意味する。また、筒体21の中心とは、筒体21の横断面の内周形状が円状の場合は当該筒体21を軸方向に見たとき(横断面視したとき)の筒体21の内周形状(円)の中心であり、筒体21の横断面の内周形状が多角形状の場合は当該筒体21を軸方向に見たとき(横断面視したとき)の筒体21の内周形状(多角形状)の重心を意味する。
【0025】
このような構成とすることで、圧電アクチュエータ10の構造の左右の対称性が崩れる。したがって、メインの共振点付近に別モードの共振が現れ、メインの共振のピークが小さくなり、発生する雑音を小さくすることができる。さらに、筒体21と蓋体22との間に隙間ができることで、ケース2の内部空間の長さが異なる場所が生じる(同じ距離の場所が分割される)ので、ケース2の内部空間で複数の共鳴が生じ、メインの共鳴のピーク
が小さくなり、雑音を小さくすることができる。
【0026】
蓋体22と筒体21との間の隙間は、筒体21の軸方向に沿った断面でみたときに、狭いほうの隙間の距離w1に対して広いほうの隙間の距離w2が例えば1.2倍〜20倍に設定される。
【0027】
ここで、図2に示すように、蓋体22における筒体21一端側開口部に挿通された部分における稜部がテーパー部221となっていてもよい。テーパー部221を設けることにより、蓋体22の中を伝わる振動波(音波)の一部が反射して散乱し、メインの共振のピーク(共振音)を小さくすることができる。また、テーパー部221によりケース2の内部空間の軸方向(図の上下方向)の長さが徐々に変化する部分を有することになるので、複数の共鳴音が発生することでも、メインの共鳴音を小さくする効果を奏することとなる。
【0028】
また、図3に示すように、ケース2の外側から蓋体22を筒体21の軸方向に見たときの中心を通り、かつ筒体21の軸方向に沿った断面で蓋体22を見たときに、テーパー部221は前記軸方向に直行する方向における両端部に設けられた二つの傾斜部2211,2212であり、当該二つの傾斜部2211,2212の傾斜角度θ1,θ2が異なっていてもよい。例えば、一方の傾斜角度θ1が5〜85度であり、他方の傾斜角度θ2は90度未満の範囲内で、一方の傾斜角度θ1と他方の傾斜角度θ2との差(θ2−θ1)がプラス3〜20度またはマイナス3〜20度の範囲に設定される。
【0029】
二つの傾斜部2211,2212の傾斜角度θ1,θ2が異なっていることで、ケース2の内部空間の軸方向(図の上下方向)の長さが多様となるので、ケース2の内部空間で多くの共鳴音が生じ、よりメインの共鳴のピーク(共振音)を小さくすることができる。
【0030】
また、図4に示すように、ケース2の外側から蓋体22を筒体21の軸方向に見たときの中心を通り、かつ筒体21の軸方向に沿った断面で蓋体22を見たときに、テーパー部221は前記軸方向に直交する方向における両端部に設けられた二つの傾斜部2211,2212であり、当該二つの傾斜部2211,2212の前記軸方向に沿った方向の高さh1,h2が異なっていてもよい。例えば、一方の高さh1が例えば0.1mm〜10mmであり、他方の高さh2は一方の高さh1の1.2〜20倍の範囲に設定される。
【0031】
二つの傾斜部2211,2212の軸方向に沿った高さが異なっていることでも、ケース2の内部空間の軸方向(図の上下方向)の長さが多様となり、ケース2の内部空間で多くの共鳴音が生じ、よりメインの共鳴のピーク(共振音)を小さくすることができる。
【0032】
なお、筒体21の一方側端部(図の上側端部)は内側に直角に折れ曲がって形成されたように示されているが、このような形状にあらかじめ加工されたものに限られず、溶接によって筒体21の一方側端部が溶けて形成されたものでもよい。また、図1図4に示すような筒体21の一方側端部の角部が角張っている構成に限られず、図5に示すように筒体21の一方側端部の角部が丸みを帯びているものでもよい。これにより、角部への応力集中を抑制することができる。
【符号の説明】
【0033】
10 圧電アクチュエータ
1 圧電素子
11 圧電体層
12 内部電極層
13 積層体
14 外部電極
2 ケース
21 筒体
22 蓋体
221 テーパー部
2211,2212 傾斜部
23 底体
3 リード部材
図1
図2
図3
図4
図5