(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記創傷被覆材は前記1つ又は複数のスペーサ要素を備え、それによって、前記吸引アダプタ及び前記フィルタは前記透過層と直接的に接触しないように支持されることを特徴とする、請求項1又は2に記載の装置。
前記流体通路は、前記多孔性材料がねじられたり折り重ねられたりした場合に流体の通過を可能にする可撓性適合材料から構成される、請求項1〜4のいずれか一項に記載の装置。
前記開口部は細長いスロットを備えるか、又は前記開口部は、前記スペーサ層の前記近位端まで延在しているチャネルを備えることを特徴とする、請求項9に記載の装置。
前記装置は、前記カバー層における前記オリフィスの上に配置された遠位端で拡張されており、前記遠位端に涙形状のヘッドを備えることを特徴とする、請求項7に記載の装置。
前記創傷被覆材は上面及び下面を有する創傷接触層を備え、前記創傷接触層は、前記創傷被覆材を前記創傷部位に対して密封するためにその下面に接着剤を担持するように構成されることを特徴とする、請求項7又は14のいずれか一項に記載の装置。
前記創傷被覆材は、流体を透過することができる多孔性透過層と、流体を水平方向に吸い上げるように構成された取得分散層と、を備えることを特徴とする、請求項14〜17のいずれか一項に記載の装置。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本明細書で開示される好ましい実施形態は、人間または動物の身体の創傷療法に関する。したがって、本明細書における創傷への言及は、人間または動物の身体上の創傷を指すことができ、本明細書における身体への言及は、人間または動物の身体を指すことができる。本明細書で使用される「創傷」という用語は、その通常の広義の意味を有することに加えて、陰圧を使用して治療され得る患者の任意の身体部分を含む。創傷には、限定するものではないが、開放創、切開、裂創、擦過傷、挫傷、熱傷、糖尿病性潰瘍、褥瘡性潰瘍、ストーマ、手術創、外傷、および静脈性潰瘍などがある。そのような創傷の治療は、局所陰圧閉鎖療法を使用して実行可能であり、局所陰圧閉鎖療法では、減圧または陰圧を創傷に加えて、創傷の治癒を容易にし、かつ促進することができる。本明細書で開示される陰圧システムおよび方法は、身体の他の部分に適用されてよく、かつ必ずしも創傷の治療に限定されるものではないことも理解されるであろう。
【0025】
図1A〜
図1Bを最初に参照すると、本出願の特定の実施形態における陰圧による創傷の治療では、可撓性吸引アダプタ12とともに創傷滲出液の吸収および貯蔵が可能な創傷被覆材10を使用する。いくつかの実施形態では、創傷部位を創傷充填材料で部分的または完全に満たすことが望ましい場合がある。この創傷充填材料は任意選択であるが、特定の創傷、たとえばより深い創傷では、望ましい場合がある。創傷充填材料は、創傷被覆材10に加えて使用可能である。創傷充填材料は、一般に、適合する多孔性材料、たとえば発泡体(網状フォームを含む)およびガーゼを含むことができる。好ましくは、創傷充填材料は、任意の空の空間を満たすように創傷部位の中に嵌合するようなサイズまたは形状にされる。創傷被覆材10は、次に、創傷部位および創傷部位を覆う創傷充填材料の上に設置され得る。創傷充填材料が使用されるとき、創傷被覆材10がいったん創傷部位の上で密封されると、陰圧は、ポンプまたは他の陰圧源から可撓性チューブ類14を通って吸引アダプタ12を介して創傷被覆材10に、創傷充填材料を通って、最終的に創傷部位に伝えられ得る。この陰圧によって、創傷滲出液および他の流体または分泌物が創傷部位から吸い出される。
【0026】
吸引アダプタ12は、好ましくは、以下でさらに詳細に説明する被覆材10と流体連通するヘッド11を備える。ヘッド11は、本明細書では被覆材10の隅部に位置付けられるように示されているが、被覆材上の任意の場所に位置付けられてもよい。たとえば、いくつかの実施形態は、被覆材10の縁部または隅部にない中央の場所または中心を外れた場所を提供することができる。いくつかの実施形態では、被覆材10は、それと流体連通する1つまたは複数のヘッド11を各々が備える、2つ以上の吸引アダプタ12を備えることができる。好ましい一実施形態では、ヘッド11は、その最も広い縁部に沿って30mmであり得る。
【0027】
ここで
図1Bを参照すると、創傷被覆材10の特定の実施形態は、複数の層を備えることができる。上面202と下面200とを持つ創傷接触層203は、創傷被覆材10を創傷部位に対して密封するために、その下面200に接着剤を担持するように構成され得る。創傷接触層203を覆う多孔性透過層222は、3D編み物材料または3D布地材料を含むことができ、透過層222は、陰圧を創傷被覆材に加えるときに開放されたままであるように構成され得る。これによって、流体流れ204が透過層222を通ることが容易になるが、透過層222は、かなりの量の流体を保持しない。透過層222を覆う吸収性層220は、創傷滲出液を吸収するように構成され得る。水蒸気透過性カバー層218が吸収性層220を覆う。
【0028】
創傷接触層203は、たとえばホットピンプロセス、レーザアブレーションプロセス、超音波プロセスを介して、または何らかの他の方法で穿孔される、または別の方法で液体および気体透過性にされた、ポリウレタン層またはポリエチレン層または他の可撓性層であってよい。穿孔104は、流体が創傷接触層を通って流れることを可能にする、創傷接触層内の貫通穴である。創傷接触層203は、創傷被覆材10の他の材料への組織の内部成長を防止する助けとなってよい。穿孔は、この要件を満たすが、それにもかかわらず流体が通過することを可能にするのに十分なほど小さい。たとえば、0.025mmから1.2mmの範囲にわたるサイズを有するスリットまたは穴として形成される穿孔は、創傷被覆材への組織の内部成長を防止する助けとなり、それと同時に創傷滲出液が被覆材に流入することを可能にするのに十分なほど小さいと見なされる。創傷接触層203は、創傷被覆材全体を保持する助けとなってよく、創傷における陰圧を維持するために吸収性パッドのまわりに気密シールを作製する助けとなる。創傷接触層203はまた、任意選択の下部接着層および上部接着層(図示せず)の担持体として作用することができる。たとえば、創傷被覆材の下側面200に下部感圧接着剤を設けてもよく、一方、創傷接触層の上面202に上部感圧接着層を設けてもよい。感圧接着剤は、シリコーン接着剤、ホットメルト接着剤、親水コロイド接着剤、もしくはアクリル系接着剤、または他のそのような接着剤であってよく、創傷接触層の両側に形成されてもよいし、または任意選択で、創傷接触層の選択された一方の側に形成されてもよいし、またはどちらの側にも形成されなくてもよい。下部感圧接着層が利用されるとき、これは、創傷被覆材10を創傷部位のまわりの皮膚に接着させる助けとなり得る。
【0029】
多孔性材料の層222は、創傷接触層203の上方に配置される。この多孔性層すなわち透過層222は、好ましくは、液体および気体を含む流体が創傷部位から創傷被覆材の上部層に透過することを可能にする。特に、透過層222は、吸収性層220がかなりの量の滲出液を吸収したときでも陰圧を創傷区域の上に伝達するように、開放された空気チャネルが維持可能であるようにする。この透過層は、上記で説明したように局所陰圧閉鎖療法中に加えられる通常の圧力下で開放されたままであるべきであり、その結果、創傷部位全体が等しい陰圧を受ける。層222は、好ましくは、三次元構造を有する材料から形成される。たとえば、編まれたスペーサ布または織られたスペーサ布(たとえばBaltex7970横編みポリエステル)または不織布が使用されてよい。透過層222は、ポリエチレンフォームまたはポリウレタンフォームなどの連続気泡フォーム、メッシュ、不織布材料、および流体チャネルを含む、発泡体などの材料も備えてよい。
【0030】
いくつかの実施形態では、透過層222は3Dポリエステルスペーサ布層を備え、この3Dポリエステルスペーサ布層は、84/144テクスチャポリエステルである頂部層(すなわち、使用時に創床から遠位の層)と、10デニールフラットポリエステルである底部層(すなわち、使用時に創床の近位にある層)と、編まれたポリエステルビスコース、セルロースなどのモノフィラメント繊維によって画定された領域である、これらの2つの層の間に挟まれて形成された第3の層とを含む。もちろん、他の材料および他の線質量密度の繊維を使用することができる。
【0031】
本開示の全体にわたってモノフィラメント繊維について言及するが、もちろん、代わりにマルチストランド繊維を利用してもよいことが理解されるであろう。したがって、頂部スペーサ布は、それを形成するために使用される糸において、底部スペーサ布層を形成するために使用される糸を構成するフィラメントの数よりも多くのフィラメントを有する。
【0032】
離間した層のフィラメント数におけるこの差は、透過層を横切る水分の流れを制御する助けとなる。特に、頂部層においてより多くのフィラメント数を有する、すなわち、底部層で使用される糸よりも多くのフィラメントを有する糸から頂部層が作製されることによって、底部層よりも頂部層に沿って多くの液体が運ばれる傾向がある。使用時は、この差によって、液体が創床から被覆材の中央領域へと吸い込まれ、吸収性層220が液体を保管する助けとなるか、またはそれ自体がカバー層の方へ前方へ液体を運び、カバー層において液体を発散することができる。
【0033】
好ましくは、透過層222を横切る(すなわち、頂部スペーサ層と底部スペーサ層形成されるチャネル領域に垂直な)液体流を改善するために、3D布地が、透過層の親水機能と干渉し得る、以前から使用されている鉱物油、油脂、および/または蝋などの工業製品を除去する助けとなるようにドライクリーニング剤(限定するものではないが、パークロロエチレンなど)で処理されてよい。いくつかの実施形態では、その後、3Dスペーサ布が親水性剤(限定するものではないが、Rudolph Groupから入手可能なFeran Ice30g/lなど)中で洗浄される追加の製造ステップを行うことができる。このプロセスステップは、材料上の表面張力が、水などの液体が3Dニット生地と接触したとたんに布地に入ることができるほど低くなるようにする助けとなる。このことは、滲出液の液体阻害成分の流れを制御するする助けともなる。
【0034】
先に述べたように、透過層222の上方に吸収材料の層220が設けられる。吸収材料は、発泡体または不織天然材料もしくは不織合成材料であってもよく、任意選択で、高吸収性材料を含んでもよいし、または高吸収性材料であってもよく、創傷部位から除去された流体、特に液体の貯蔵部を形成し、それらの流体をカバー層218の方へ吸い込む。吸収性層220の材料はまた、創傷被覆材内に収集された液体が跳ねるように流れることを防止する。吸収性層220はまた、吸い上げ作用を介した層全体にわたって流体を分散させる助けとなり、したがって、流体が創傷部位から吸い出され、吸収性層220全体にわたって格納される。これは、吸収性層の区域内での凝集を防止する助けとなる。吸収材料の容量は、陰圧が加えられたときに創傷の滲出液流量を管理するのに十分なものでなければならない。使用時に吸収性層220が陰圧を受けるので、吸収性層220の材料は、そのような状況下で液体を吸収するように選ばれる。陰圧下にあるときに液体を吸収することが可能ないくつかの材料、たとえば高吸収体材料が存在する。吸収性層220は、一般に、ALLEVYN(商標)フォーム、Freudenberg 114-224-4、および/またはChem-Posite(商標)11C-450から製造されてよい。
【0035】
いくつかの実施形態では、吸収性層220は、乾燥粒子の形をした高吸収性材料を全体にわたって分散させた不織セルロース繊維の層である。セルロース繊維を使用することによって、被覆材によって取り込まれた液体をすばやく均等に分散させる助けとなる高速吸い上げ要素が導入される。複数のストランド状繊維を並置すると、繊維状パッド内で強力な毛管作用が生じ、液体を分散させる助けとなる。このようにして、高吸収性材料に液体が効率的に供給される。吸い上げ作用はまた、液体を上部カバー層218と接触させる助けとなって、被覆材の蒸散率を高めるのも助ける。
【0036】
吸い上げ作用はまた、滲出が減速または休止したときに液体を下方向に創床の方へ送出するする助けとなる。この送出プロセスは、透過層および下部創床領域を湿潤状態に維持する助けとなり、被覆材内部での痂皮形成(crusting)(妨害物を生じさせる可能性がある)を防止する助けとなり、創傷治癒のために最適化された環境を維持する助けとなる。
【0037】
いくつかの実施形態では、吸収性層220は風成材料であってよい。熱可融性繊維は、任意選択で、パッドの構造をまとめる助けとなるために使用されてよい。本発明の特定の実施形態によれば、高吸収粒子を使用するのではなく、またはそのような使用に加えて、高吸収繊維を利用してもよいことが理解されるであろう。適切な材料の一例は、米国のEmerging Technologies Inc.(ETi)から入手可能なProduct Chem-Posite(商標)11Cである。
【0038】
任意選択で、本発明の特定の実施形態によれば、吸収性層220は、安定した合成繊維および/または安定した複合繊維および/または安定した天然繊維および/または高吸収性繊維を含んでよい。吸収性層220中の繊維は、ラテックス結合または熱結合または水素結合または任意の結合技法の組み合わせまたは他の固定機構によって固着されてよい。いくつかの実施形態では、吸収性層220は、吸収性層220内部の高吸収性粒子をロックするように働く繊維によって形成される。これは、高吸収性粒子が吸収性層220の外部の、下にある創床の方へ移動しないようにする助けとなる。これは、陰圧が加えられたときに吸収性パッドが下方向に潰れる傾向があり、この作用によって、高吸収性粒子物質が吸収性層220の繊維状構造によって閉じ込められていない場合に高吸収性粒子物質が創床に向かう方向に押されるので、特に有用である。
【0039】
吸収性層220は、複数の繊維からなる層を備えてよい。好ましくは、繊維はストランド状であり、セルロース、ポリエステル、ビスコースなどから作製される。好ましくは、乾燥した吸収性粒子が、使用の準備の整った吸収性層全体にわたって分散される。いくつかの実施形態では、吸収性層220は、セルロース繊維のパッドと、複数の高吸収性粒子とを備える。追加の実施形態では、吸収性層は、ランダムな方向に向けられたセルロース繊維からなる不織層である。
【0040】
高吸収体粒子/繊維は、たとえば、ポリアクリル酸ナトリウムまたはカルボメトキシセルロース材料などであってもよいし、またはそれ自体の重量の何倍もの液体を吸収することが可能な任意の材料であってもよい。いくつかの実施形態では、材料は、それ自体の重量の5倍以上の0.9%W/W生理食塩水などを吸収することができる。いくつかの実施形態では、材料は、それ自体の重量の15倍以上の0.9%W/W生理食塩水などを吸収することができる。いくつかの実施形態では、材料は、それ自体の重量の20倍以上の0.9%W/W生理食塩水などを吸収することができる。好ましくは、材料は、それ自体の重量の30倍以上の0.9%W/W生理食塩水などを吸収することができる。
【0041】
好ましくは、高吸収体の粒子は非常に親水性が高く、流体が被覆材に入ると流体を把持し、接触時に膨張する。被覆材コア内で平衡が確立され、それによって、水分が高吸収体から周囲の乾燥剤区域へと通り、頂部フィルムに当たると、フィルムが変わって、流体蒸気が蒸散し始める。被覆材内で水分傾斜が確立され、創床から流体を連続的に除去し、被覆材が滲出液により重くならないようにする。
【0042】
次に吸引アダプタ12を参照すると、好ましい実施形態は、密封面216と、近位端と遠位端とを持つブリッジ211と、フィルタ214とを備える。密封面216は、創傷被覆材のカバー層218に対して吸引アダプタを密封するように構成されてよく、接着剤または溶接部を備えてよい。いくつかの実施形態では、密封面216は、カバー層内のオリフィスの上に設置されてよく、スペーサ要素215は、フィルタ214と透過層222の間にギャップを形成するように構成される。他の実施形態では、密封面216は、カバー層218内のオリフィスおよび吸収性層220内の開口の上に位置付けられてよく、吸引アダプタ12が透過層222を通る空気流206を提供することを可能にする。いくつかの実施形態では、ブリッジ211は、陰圧源と連通する第1の流体通路212を備えてよく、第1の流体通路212は3D編み物材料などの多孔性材料を含み、多孔性材料は、先に説明した多孔性層222と同じであってもよいし、または多孔性層222と異なってもよい。ブリッジ211は、好ましくは、近位端と遠位端とを有し第1の流体通路212を取り囲むように構成された少なくとも1つの可撓性フィルム層208、210によって包まれ、可撓性フィルムの遠位端は密封面216に接続される。フィルタ214は、創傷滲出液がブリッジに入ることを実質的に防止するように構成され、スペーサ要素215は、吸引アダプタが透過層222と接触することを防止するように構成される。これらの要素については、以下でより詳細に説明する。
【0043】
いくつかの実施形態は、第1の流体通路212の上方に位置付けられた任意選択の第2の流体通路をさらに備えてもよい。たとえば、いくつかの実施形態は、第1の流体通路212および被覆材10への空気路を提供するように構成された頂部層の近位端に配設され得る空気漏れを提供してよい。
【0044】
好ましくは、流体通路212は、可撓性があり、かつスペーサがねじられたり折り重ねられたりした場合に流体の通過も可能にする適合材料から構築される。流体通路212に適した材料には、限定するものではないが、ポリエチレンフォームまたはポリウレタンフォームなどの連続気泡フォームを含む発泡体、メッシュ、3D編地、不織布材料、および流体チャネルがある。いくつかの実施形態では、流体通路212は、透過層222に関連して上記で説明した材料に類似した材料から構築され得る。有利には、流体通路212で使用されるそのような材料は、患者のより一層の快適さを提供するだけでなく、より大きなねじれ抵抗を提供してもよく、その結果、流体通路212は、依然として、ねじれたりまたは曲げられたりしながら、創傷から陰圧源の方へ流体を輸送することが可能である。
【0045】
いくつかの実施形態では、流体通路212は、吸い上げ作用のある布地(wicking fabric)、たとえば編まれたまたは織られたスペーサ布(編まれたポリエステル3D布地、Baltex 7970(登録商標)、またはGehring 879(登録商標)など)または不織布からなってよい。選択されたこれらの材料は、好ましくは、創傷滲出液を創傷から運び出し、陰圧および/または排気を創傷部位に伝えることに適しており、ある程度のねじれまたは閉塞抵抗を流体通路212に与えてもよい。いくつかの実施形態では、吸い上げ作用のある布地は三次元構造を有してもよく、このことは、場合によっては、流体を吸い上げたりまたは陰圧を伝えたりする助けとなる場合がある。特定の実施形態では、吸い上げ作用のある布地を含めて、これらの材料は開放されたままであり、たとえば40から150mmHgの間である、陰圧療法で使用される一般的な圧力下で、陰圧を創傷区域に伝達することが可能である。いくつかの実施形態では、吸い上げ作用のある布地は、互いの上に積み重ねられたまたは層化されたいくつかの材料層を備えてよく、このことは、場合によっては、陰圧の適用下で流体通路212が潰れることを防止するのに有用であり得る。他の実施形態では、流体通路212で使用される吸い上げ作用のある布地は、1.5mmから6mmの間であってよく、より好ましくは、吸い上げ作用のある布地は、3mmから6mmの間の厚さであってよく、かつ吸い上げ作用のある布地からなる1層またはいくつかの個別の層からなってよい。他の実施形態では、流体通路212は1.2〜3mmの厚さであってよく、好ましくは1.5mmよりも厚くてよい。いくつかの実施形態、たとえば創傷滲出液などの液体を保持する被覆材とともに使用される吸引アダプタは、流体通路212内で疎水性層を用いてよく、気体のみが流体通路212を移動してよい。さらに、先に説明したように、システムで使用される材料は、好ましくは適合しおよび軟性であり、このことは、創傷治療システムが患者の皮膚に押し付けられることから生じ得る褥瘡性潰瘍および他の合併症を回避する助けとなる場合がある。
【0046】
好ましくは、吸収性層220は、吸収性層220が除去されたまたは設けられていない吸引アダプタ12の下にあるように配置された縁部または貫通穴などの少なくとも1つの区域246を含む。複数の開口部が代わりに利用されてよいことが理解されるであろう。
図1Aに示されるように、この区域246は、好ましくは、ヘッド11が被覆材と流体連通する点の下にある。さらに、特定の実施形態により複数の吸引アダプタ12を利用する場合、1つまたは複数の開口部が、高吸収性層220内で各それぞれの吸引アダプタと位置合わせされて作製されてよい。本発明の特定の実施形態に不可欠ではないが、高吸収性層220内で貫通穴を使用することによって、特に妨害されない流体流れ経路が設けられ、このことは、特定の状況では有用である。
【0047】
開口部246が吸収性層220内に設けられる場合、層の厚さ自体が、上にある任意の層を透過層222の上面(すなわち、使用時に創傷から外方に向いた面)から分離するスタンドオフとして作用する。この利点は、フィルタ214がこのように透過層222の材料から分離されることである。このことは、フィルタが濡れ、したがって閉塞し、さらなる動作を妨害する可能性を低下させる助けとなる。
【0048】
吸収層220内で1つまたは複数の貫通穴を使用することは、使用中に吸収性層が、高吸収体などのゲル形成材料を含有する場合、その材料が膨張して液体を吸収するときに、その材料は、さらなる液体の移動および流体の移動が一般に通過できないバリアを形成しないという利点も有する。このようにして、吸収性層内の各開口部は、透過層から、フィルタの創傷に面する面に直接至り、次いで外側に延びて吸引アダプタへと入る流体経路を提供する。
【0049】
カバー層218は、創傷被覆材の幅にわたって延び、好ましくは、気体不透過性であるが水蒸気透過性である。カバー層218は、たとえば一方の側に感圧接着剤を有するポリウレタンフィルム(たとえば、Elastollan SP9109)であってよく、好ましくは気体不透過性であり、したがって、この層は、創傷を覆い、創腔を密封するように動作し、その上に創傷被覆材を設置する。このようにして、陰圧が確立可能である効果的なチャンバが、カバー層と創傷部位の間に作製される。たとえば、カバー層218は、たとえば接着技法または溶接技法を介して被覆材の周囲の境界領域200内の創傷接触層203に対して密封され、空気が境界区域を通って吸い込まれないようにすることができる。カバー層218は、外部細菌汚染から創傷を保護し(細菌バリア)、創傷滲出液からの液体がこの層を通過してフィルム外面から蒸発することを可能にする。カバー層218は、一般的には、2つの層、すなわちポリウレタンフィルムとこのフィルム上に広げられた接着剤パターンとを備える。ポリウレタンフィルムは水蒸気透過性であり、濡れたときに透水率が増加する材料から製造されてよい。
【0050】
いくつかの実施形態では、吸収性層220は透過層222よりも広い面積を有してよく、したがって、吸収性層は透過層222の縁部と重複し、それによって、透過層はカバー層218と接触しないようになる。これによって、創傷接触層203と直接接触する吸収性層220の外側チャネルが設けられ、このチャネルは、滲出液を吸収性層によりすばやく吸収する助けになる。そのうえ、この外側チャネルにより、被覆材の周縁のシールから滲出して漏出物の形成を招く可能性のある液体が創腔の周辺部に貯留することはできなくなる。
【0051】
真空を創腔に加えたときに空気チャネルが開放されたままであるようにするために、透過層222は、圧力差による力に抵抗するのに十分な強度および不適合性を持たなければならない。しかし、この層が、損傷を比較的受けやすいカバー層218と接触した場合、それによって、空気が創腔へと漏れることを可能にする、裂け目、穴、またはピンホール開口部がカバー層218に形成される可能性がある。これは、濡れると脆弱になる切り換え可能な種類のポリウレタンフィルムを使用するときに特に問題となることがある。吸収性層220は、一般に、透過層222の材料と比較して比較的軟性の非摩耗性材料から形成され、したがって、ピンホール開口部がカバー層内に形成されない。したがって、透過層222よりも広い面積を持ち透過層222の縁部と重複する吸収性層220を設けることによって、透過層222とカバー層218の接触が防止され、カバー層218内の開口部の形成が回避される。
【0052】
吸収性層220は、カバー層218と流体接触して位置付けられる。吸収性層220が創傷滲出液を吸収すると、滲出液がカバー層218の方へ吸い出され、滲出液の水成分が水蒸気透過性カバー層と接触する。この水成分はカバー層自体へと吸い込まれ、次いで、被覆材の頂面から蒸発する。このようにして、創傷滲出液の含水量を被覆材から蒸散させ、吸収性層220によって吸収されるべき残存する創傷滲出液の量を減少させ、被覆材が一杯になり交換しなければならなくなるまでの時間を延長させることができる。この蒸散のプロセスは、陰圧を創腔に加えたときにも発生し、陰圧を創腔に加えたときにカバー層にかけられる圧力差がカバー層にわたる水蒸気透過率に与える影響は無視できるものであることがわかっている。
【0053】
カバーフィルム218内にオリフィス245が設けられ、陰圧を被覆材10に加えることを可能にする。吸引アダプタ12は、オリフィス245の上でカバーフィルム218の頂部に対して密封されてよく、オリフィス245を通して陰圧を伝達する。ある長さのチューブ類14を第1の端部で吸引アダプタ12に、第2の端部でポンプユニット(図示せず)に結合し、流体を被覆材からポンプで汲み出すことを可能にしてもよい。吸引アダプタ12は、アクリル接着剤、シアノアクリレート接着剤、エポキシ接着剤、UV硬化可能な接着剤、またはホットメルト接着剤などの接着剤を使用して、カバーフィルム218に接着および密封されてよい。いくつかの実施形態では、吸引アダプタ12はカバーフィルム218に別途取り付けられてよいが、他の実施形態は、カバーフィルム218にすでに取り付けられた吸引アダプタ12を備える被覆材10を提供してもよい。吸引アダプタ12は、ショアAスケールで30〜90の硬度を有する軟質ポリマー、たとえばポリエチレン、ポリ塩化ビニル、シリコーン、またはポリウレタンから形成されてよい。
【0054】
上記で説明したように、オリフィスが透過層222に直接接続されるように、区域または貫通穴246が、吸収性層220内のオリフィス245の下方に設けられてよい。これによって、吸引アダプタ12に加えられた陰圧を、吸収性層220を通過することなく透過層222に伝達することが可能になる。これによって、吸収性層が創傷滲出液を吸収するときに、創傷部位に加えられた陰圧が吸収性層によって阻害されないようになる。他の実施形態では、吸収性層220内に開口を設けなくてもよいし、またはオリフィス245の下に複数の開口を設けられてもよい。
【0055】
図1Bに示されるように、創傷被覆材10の一実施形態は、吸引アダプタ12の下方に位置する吸収性層10内に開口246を備える。使用時に、たとえば陰圧が被覆材10に加えられるとき、吸引アダプタ12の創傷に面する部分は、したがって透過層222と接触してよく、したがって、吸収性層220が創傷流体で満たされるときでも創傷部位に陰圧を伝える助けとなることができる。いくつかの実施形態では、カバー層218は、透過層222に少なくとも部分的に接着されてもよい。いくつかの実施形態では、開口246は、吸引アダプタ12の創傷に面する部分すなわちオリフィス245の直径よりも少なくとも1〜2mm大きい。
【0056】
好ましくは、フィルタ要素214は液体不透過性であるが気体透過性であり、液体バリアとして作用し、液体が創傷被覆材10から漏出することを不可能にするように設けられる。フィルタ要素214はまた、細菌バリアとして機能してもよい。一般的には、孔径は0.2μmである。フィルタ要素214のフィルタ材料に適した材料としては、MMTレンジの0.2ミクロンGore(商標)延伸多孔質PTFE、PALL Versapore(商標)200R、およびDonaldson(商標)TX6628がある。上記よりも大きい孔径を使用することもできるが、これらの孔径では、バイオバーデンを完全に封じ込めるようにするために二次フィルタ層が必要になり得る。創傷流体が脂質を含有するときは、疎油性(oleophobic)フィルタ膜たとえば0.2ミクロンMMT-323に先行した1.0ミクロンMMT-332を使用することが好ましいが、不可欠ではない。これによって、脂質により疎水性フィルタが詰まることが防止される。フィルタ要素は、オリフィス245の上でポートおよび/またはカバーフィルム218に取り付けられてもよいし、またはこれらに対して密封されてもよい。たとえば、フィルタ要素214は吸引アダプタ12に成形されてもよいし、または限定するものではないがUV硬化接着剤などの接着剤を使用してカバー層218の頂部と吸引アダプタ12の底部の一方または両方に接着されてもよい。
【0057】
フィルタ要素214に他の種類の材料を使用可能であることが理解されよう。より一般的には、ポリマー材料の薄く平坦なシートである微孔性膜を使用してよく、この膜は数十億の微孔を含む。選定される膜に応じて、これらの孔は、サイズが0.01から10マイクロメートル超えの範囲に及ぶことができる。微孔膜は、親水性(水ろ過)形態と疎水性(撥水)形態の両方で利用可能である。本発明のいくつかの実施形態では、フィルタ要素214は、支持層と、この支持層上に形成されたアクリルコポリマー膜とを備える。好ましくは、本発明の特定の実施形態による創傷被覆材10は、微孔性疎水性膜(MHM:microporous hydrophobic membrane)を使用する。MHMを形成するために多数のポリマーを用いてもよい。たとえば、MHMは、PTFE、ポリプロピレン、PVDF、およびアクリルコポリマーのうち1つまたは複数から形成されてよい。これらの任意選択のポリマーのすべては、特定の表面特性を得るために処理可能であり、この表面特性は疎水性と疎油性の両方とすることができる。したがって、これらのポリマーは、マルチビタミン注入、脂質、界面活性剤、油、および有機溶媒など、低い表面張力を持つ液体をはじく。
【0058】
MHMは液体を遮蔽し、一方で空気が膜を通過することを可能にする。これらのMHMはまた、潜在的に感染性のエアロゾルおよび粒子を除去する非常に効率的な空気フィルタでもある。機械弁または排出口に代わるオプションとして、1枚のMHMがよく知られている。したがって、MHMを組み込むことによって、製品の組み立てコストを削減し、患者の利益および費用便益比を改善することができる。
【0059】
フィルタ要素214は、臭気吸収材料、たとえば活性炭、炭素繊維布、またはVitec Carbotec-RT Q2003073フォームなども含んでもよい。たとえば、臭気吸収材料は、フィルタ要素214の層を形成してもよいし、またはフィルタ要素内の微孔性疎水性膜の間に挟まれてもよい。したがって、フィルタ要素214は、オリフィス245を通して気体を排気することを可能にする。ただし、液体、微粒子、および病原体は被覆材に収容されている。
【0060】
創傷被覆材10は、吸引アダプタ12およびフィルタ214とともにスペーサ要素215を備えてよい。そのようなスペーサ要素215を追加することにより、吸引アダプタ12およびフィルタ214は、吸収性層220および/または透過層222と直接接触しないように支持され得る。吸収性層220はまた、追加のスペーサ要素として作用し、フィルタ214が透過層222と接触しないようにすることもできる。したがって、そのような構成では、使用中のフィルタ214と透過層222および創傷流体の接触は、最小限に抑えることができる。
【0061】
特に、単一の吸引アダプタ12と貫通穴246とを有する実施形態では、
図1A〜
図1Bに示されるように、吸引アダプタ12および貫通穴246が中心から外れた位置に配置されることが好ましい場合がある。そのような場所は、吸引アダプタ12が被覆材10の残りの部分に対して隆起するように被覆材10を患者上に位置付けることが可能にする場合がある。そのように位置付けられると、吸引アダプタ12およびフィルタ214は、陰圧が創傷部位に伝わることを阻害するようにフィルタ214を早期に閉塞させる可能性のある創傷流体と接触する可能性が低くなり得る。
【0062】
図2は、可撓性吸引アダプタ5512とともに創傷被覆材5500を用いる陰圧創傷治療システム5501の一実施形態を示す。創傷被覆材5500は、
図1A〜
図1Bに示されている被覆材に類似してもよい。本明細書では、可撓性吸引アダプタ5512は、近位端5503と遠位端5505とを有するブリッジ5502と、ブリッジ5502の遠位端5505にあるアプリケータ5504とを備えることができる。コネクタ5504は、好ましくは、ブリッジ5502の近位端5503に配設される。キャップ5536は、システム5501とともに設けられてもよい(場合によっては、図示のように、コネクタ5504に取り付け可能である)。キャップ5536は、流体が近位端5503から漏出することを防止するのに有用となり得る。システム5501は、陰圧を供給することが可能なポンプまたは陰圧ユニット5534などの陰圧源を含んでもよい。このポンプはまた、好ましくは、創傷から除去され得る創傷滲出液および他の流体の貯蔵のための入れ物または他の容器を備える。いくつかの実施形態では、このポンプ5534は、Smith & Nephewによって販売されているPICO(商標)ポンプとすることができる。ポンプ5534は、チューブ5540を介してコネクタ5504に接続されてよい。使用時は、被覆材5500は、適切に準備された創傷の上に設置され、創傷は、場合によっては、発泡体またはガーゼなどの創傷充填材料で満たされてもよい。その後、チューブ5540を介してコネクタ5504にポンプ5534を接続した状態で、ポンプが作動され、それによって創傷に陰圧を供給する。陰圧を加えることは、創傷5530の所望の治癒レベルが達成されるまで適用されてよい。
【0063】
図3A〜
図3Cは、吸引アダプタ12のヘッド11のさまざまな実施形態を示す。好ましくは、
図1A〜
図1Bに示される吸引アダプタ12は、カバー層218内のオリフィスおよび吸収性層220内の開口の上に設置するために遠位端で拡張され、「涙形」または他の拡張形状を形成してよい。
図3Aは、略三角形のヘッド11を有する吸引アダプタ12を示す。
図3Bは、略五角形のヘッド11を有する吸引アダプタ12を示す。
図3Cは、略円形のヘッド11を有する吸引アダプタ12を示す。
【0064】
図4A〜
図4Dは、患者の創傷部位を治療するために使用されている陰圧療法創傷治療システムの一実施形態の使用法を示す。
図4Aは、創傷部位490が洗浄され、治療の準備が行われているところを示す。ここで、好ましくは、創傷部位490を取り囲む健常な皮膚を洗浄し、余分な毛を除去するかまたは剃る。必要ならば、創傷部位490を滅菌生理食塩水で洗浄してもよい。任意選択で、創傷部位490を取り囲む皮膚に皮膚保護剤を塗布してもよい。必要ならば、発泡体またはガーゼなどの創傷充填材料を創傷部位490内に設置してもよい。このことは、創傷部位490がより深い創傷である場合に好ましいことがある。
【0065】
創傷部位490を取り囲む皮膚が乾燥した後、次に
図4Bを参照すると、創傷被覆材400を創傷部位490の上に位置付け、設置してもよい。創傷被覆材400は、
図1A〜
図1Bに関連して上記で説明した創傷被覆材10に類似したものであってよい。好ましくは、創傷被覆材400は、創傷部位490の上におよび/または創傷部位490と接触して創傷接触層203(
図1A〜
図1Bに示される)とともに設置される。いくつかの実施形態では、接着層が創傷接触層203の下面200に設けられ、この接着層は、場合によっては、創傷被覆材400を創傷部位490の上に設置する前に除去されるべき任意選択の剥離層によって保護されてもよい。好ましくは、被覆材400は、流体がポートの周囲に貯留するのを回避するために吸引アダプタ12が被覆材400の残りの部分に対して隆起した位置にあるように位置付けられる。いくつかの実施形態では、被覆材400は、吸引アダプタ12が創傷を直接覆わず、創傷と同じ高さにあるかまたは創傷よりも高い箇所にあるように位置付けられる。TNPを適切に密封するようにする助けとなるために、被覆材400の縁部は、好ましくは、しわになったり折りたたまれたりしないように平滑化される。
【0066】
次に
図4Cを参照すると、被覆材400はポンプ420に接続される。ポンプ420は、被覆材400を介して、一般的には導管を通して、創傷部位に陰圧を加えるように構成される。いくつかの実施形態では、上記で
図28において説明したように、コネクタを使用して導管を被覆材400からポンプ420に接合してもよい。ポンプ420を用いて陰圧を加えると、被覆材400は、いくつかの実施形態では、部分的に圧壊して、被覆材400の下にある空気の一部またはすべてが排気された結果としてしわの寄った外観を呈することがある。いくつかの実施形態では、ポンプ420は、被覆材400と創傷部位490を取り囲む皮膚との界面などの被覆材400に漏れが存在するかどうか検出するように構成されてもよい。漏れが見つかった場合、治療を続ける前にそのような漏れを直しておくことが好ましい。
【0067】
図4Dを参照すると、追加の固定ストリップ495が、被覆材400の縁部のまわりに取り付けられてもよい。そのような固定ストリップ495は、状況によっては、創傷部位490を取り囲む患者の皮膚に対してさらなる密封を提供するように有利である場合がある。たとえば、固定ストリップ495は、患者の動きがより激しいときのために、さらなる密封を実現してもよい。場合によっては、特に、到達するのが困難であるかまたは起伏のある(contoured)区域の上に被覆材400を設置する場合、ポンプ420を作動させる前に固定ストリップ495を使用してもよい。
【0068】
創傷部位490の治療は、創傷が所望の治癒レベルに達するまで継続することが好ましい。いくつかの実施形態では、ある期間が経過した後、または被覆材が創傷流体で一杯になった場合に、被覆材400を交換することが望ましい場合がある。そのような交換時には、ポンプ420を残し、被覆材400のみを交換してもよい。
【0069】
本明細書で説明する吸引アダプタ、流体コネクタ、またはポートとともに使用され得る被覆材のさらなる詳細には、限定するものではないが、2013年3月14日に出願された仮出願第61/785,054号に記載されている被覆材がある。この出願の全体は参照により本明細書に組み込まれ、その一部分は出願第61/785,927号の付録として含まれており、以下で「他の陰圧療法装置、被覆材、および方法」という名称のセクションにおいて説明する。同様に、本明細書で説明する被覆材および他の創傷治療装置とともに使用され得る、吸引アダプタ、流体コネクタ、および他の装置のさらなる詳細も、2013年3月14日に出願された出願第61/785,054号にも記載されており、以下で「他の陰圧療法装置、被覆材、および方法」という名称のセクションにおいて説明する。
【0070】
図5A〜
図5Bは、可撓性ポートすなわち流体コネクタ500の一実施形態を示す。
図5Cは、陰圧源に創傷被覆材を接続するために使用され得る流体コネクタ500の斜視分解組立図を示す。ポート500は、頂部層510と、スペーサ層520と、フィルタ要素530と、底部層540と、導管550とを備える。この導管は、任意選択で、コネクタ560を備える。ポート500の遠位端(被覆材に接続可能な端部)は、拡張円形形状を有するように示されているが、任意の適切な形状が使用されてよく、遠位端は拡張される必要はないことが理解されるであろう。たとえば、遠位端は、上記の
図3A〜
図3Cに示される形状のいずれかを有することができる。遠位端は、以下で説明する、
図B23Aおよび
図B23Bに示される形状を有することもできる。
【0071】
底部層540は、細長いブリッジ部分544と、拡張(たとえば、丸いまたは円形)密封部分545と、オリフィス541とを備えることができる。いくつかの実施形態では、複数のオリフィスが底部層内に設けられてよい。丸い密封部分545のいくつかの実施形態は、ポート500を被覆材に対して密封する際に使用するために、下面に接着剤の層、たとえば感圧接着剤を備えてもよい。たとえば、ポートは、被覆材のカバー層に対して密封されてよい。ポート500の底部層540内のオリフィス541は、被覆材を介して創傷部位へと陰圧を伝えるために、被覆材のカバー層内のオリフィスと位置合わせされてもよい。
【0072】
頂部層515は、細長いブリッジ514と拡張(たとえば、丸いまたは円形)部分545とを備えるので、底部層と実質的に同じ形状であってもよい。頂部層515と底部層540は、たとえば熱溶接によって、一緒に密封されてもよい。いくつかの実施形態では、底部層540は略平坦であってよく、頂部層515は、スペーサ層520の高さに対応し、底部層540に対して密封するために、底部層540よりもやや大きくてもよい。他の実施形態では、頂部層515と底部層540は実質的に同じサイズであってよく、これらの層は、スペーサ層520の高さのほぼ中ほどで一緒に密封されてよい。いくつかの実施形態では、細長いブリッジ部分544、514は、10cm(または約10cm)以上の長さ、より好ましくは20cm(または約20cm)以上の長さを有してよく、いくつかの実施形態では、約69cm(または27cm)の長さであってよい。可撓性ポート全体、すなわち頂部層および底部層の最近位縁部から頂部層および底部層の最遠位縁部のいくつかの実施形態は、20cmから80cmの間(または約20cmから約80cm)の長さ、より好ましくは約60cmから80cmの間(または約60cmから約80cmの間)の長さ、たとえば約70cmの長さであってよい。いくつかの実施形態では、細長いブリッジ部分は、1cmから4cmの間(または約1cmから約4cmの間)の幅を有してもよく、一実施形態では約2.5cmの幅である。細長いブリッジ部分544、514の長さとそれらの幅の比は、いくつかの実施形態では6:1を超えてよく、より好ましくは8:1、さらには10:1を超えてよい。円形部分545、515の直径は、いくつかの実施形態では、約3.5cmであってよい。
【0073】
底部層および頂部層は、可撓性フィルムの少なくとも1つの層を備えることができ、いくつかの実施形態では透明であってもよい。底部層540および頂部層515のいくつかの実施形態はポリウレタンであってよく、液体不透過性であってもよい。
【0074】
ポート500は、下部層540と頂部層510の間に位置付けられた、上記で説明した3D布地などのスペーサ層520を備えることができる。スペーサ層520は、任意の適切な材料、たとえば少なくとも1つの方向における圧壊に対して耐性を示し、それによってそれを通して陰圧を効果的に伝えることを可能にする材料から作製されてよい。上記で説明した3D布地の代わりに、またはそれに加えて、スペーサ層520のいくつかの実施形態は、流体の側方への吸い上げのために構成された布地を備えることができ、この布地は、ビスコース、ポリエステル、ポリプロピレン、セルロース、またはこれらのうちいくつかまたはすべての組み合わせを備えることができ、材料はニードルパンチされてもよい。スペーサ層520のいくつかの実施形態は、40〜160グラム平方メートル(gsm:gram per square meter)(または約40〜約160gsm)の範囲、たとえば80(または約80)gsmのポリエチレンを含むことができる。そのような材料は、陰圧療法中に通常加えられる陰圧のレベルで圧縮に抵抗するように構築されてよい。
【0075】
スペーサ層520は、細長いブリッジ部分524と、拡張(たとえば、丸いまたは円形)部分525とを備えることができ、任意選択で、折りたたみ部分521を含んでもよい。いくつかの実施形態では、細長いブリッジ部分は、上記で説明した上部層および下部層のブリッジ部分と同じ範囲であるがこれらよりもやや小さい寸法を有してよく、一実施形態では、約25.5cmの長さおよび1.5cmの幅である。同様に、円形部分525の直径は、拡張端545、515の直径よりもやや小さくてもよく、一実施形態では約2cmである。スペーサ層520のいくつかの実施形態は、頂部層510および/または底部層540にスペーサ層520を固着するために、その近位端および遠位端の一方または両方に接着剤(たとえば、接着剤の1つまたは複数の塊)を有することができる。接着剤はまた、スペーサ層の一部分または長さ全体に沿って設けられてもよい。他の実施形態では、スペーサ層520は、頂部層および底部層の密封されたチャンバの中で自由に移動可能であってよい。
【0076】
スペーサ層の折りたたみ部分521は、ポート500の端部をより柔らかくし、したがって患者にとってより快適にすることができ、導管550が詰まることを防止する助けとなることもできる。折りたたみ部分521はさらに、導管550の端部を頂部層または底部層によって閉塞させられることから保護する。折りたたみ部分521は、いくつかの実施形態では、1cmから3cmの間(または約1cmから約3cmの間)の長さであってよく、一実施形態では2cm(または約2cm)の長さである。スペーサ層は、それ自体の下に、すなわち底部層540の方へ折りたたまれてもよく、他の実施形態では、頂部層510の方へ上向きに折りたたまれてもよい。スペーサ層520の他の実施形態は、折りたたみ部分を含まなくてもよい。スロットすなわちチャネル522は、折りたたみ部分521の近位端から離れて垂直に延在することができ、導管550は、スロットすなわちチャネル522の中で動かずにいてもよい。いくつかの実施形態では、スロット522は、折りたたみ部分の一方の層を通って延在してもよく、他の実施形態では、折りたたみ部分の両方の層を通って延在してもよい。スロット522は、いくつかの実施形態では、1cm(または約1cm)の長さであってよい。いくつかの実施形態では、その代わりに、折りたたみ部分521における円形または楕円形の穴を用いてもよい。この穴は、導管550がこの穴に挿入され、スペーサ布の折りたたまれた層の間で動かずにいるように、近位方法を向いてもよい。いくつかの実施形態では、導管550は、折りたたみ部分521の材料に接着されてもよいが、他の実施形態では、折りたたみ部分521の材料に接着されなくてもよい。
【0077】
ポート500は、オリフィス541に隣接して設置されたフィルタ要素530を有することができ、図示のように、フィルタ要素530は下部層540とスペーサ層520の間に配置される。フィルタ要素530は、液体不透過性であるが、気体透過性である。フィルタ要素は、
図1Bに関して上記で説明した要素に類似していてもよく、図示のように、丸い形状または円盤形状を有してもよい。フィルタ要素530は、液体が創傷被覆材から漏出することを実質的に防止または阻害するための液体バリア、ならびに臭気バリアとして作用することができる。フィルタ要素530はまた、細菌バリアとして機能してもよい。いくつかの実施形態では、フィルタ要素530の孔径は約0.2μmとすることができる。フィルタ要素のフィルタ材料に適した材料としては、MMTレンジの0.2ミクロンGore(商標)延伸多孔質PTFE、PALL Versapore(商標)200R、およびDonaldson(商標)TX6628がある。したがって、フィルタ要素530は、オリフィスを通して気体を排気することを可能にする。ただし、液体、微粒子、および病原体は被覆材に収容されている。上記よりも大きい孔径を使用することもできるが、これらの孔径では、バイオバーデンを完全に封じ込めるようにするために二次フィルタ層が必要になり得る。創傷流体が脂質を含有するときは、疎油性フィルタ膜たとえば0.2ミクロンMMT-323に先行した1.0ミクロンMMT-332を使用することが好ましいが、不可欠ではない。これによって、脂質により疎水性フィルタが詰まることが防止される。いくつかの実施形態では、フィルタ要素530は、限定するものではないがUV硬化接着剤などを使用して、底部層540の頂面とスペーサ層520の底面の一方または両方に接着されてもよい。他の実施形態では、フィルタ530は、スペーサ層520の内部および底部層540の頂面に溶接されてもよい。フィルタは、底部層540の下面のオリフィスに隣接して設けられてもよい。フィルタに関する他の可能な詳細は、米国特許公開第2011/0282309号に開示されており、参照により本明細書に組み込まれる。
【0078】
ポート500の近位端は、導管550の遠位端に接続され得る。導管550は、1つまたは複数の円形リブ551を備えることができる。リブ551は、導管の製造中に型枠の中の溝によって導管550内に形成されてよい。上部層515および下部層545の熱溶接中に、これらの層から溶解した材料がリブ551のまわりに流れることができ、有利には導管550とこれらの層の間のより強い接続を提供する。その結果、ポート500の使用中にこれらの層の間から導管550を取り除くことがより困難な場合がある。
【0079】
導管550の近位端は、任意選択で、コネクタ560に取り付けられてもよい。コネクタ560は、陰圧源にポート500を接続するために使用されてもよく、またはいくつかの実施形態では、延長導管にポート500を接続するために使用されてもよく、この延長導管は陰圧源に接続されてもよい。
図8Aおよび
図8Bに関して以下でより詳細に説明するように、導管550の近位端はスペーサ布520に挿入され、閉塞の可能性を減少させるような形状にされてもよい。たとえば、いくつかの実施形態は、導管の端部から切り取られた三角形部分を有することができ、他の実施形態は、それを通る複数の穴を有することができる。
【0080】
図6は、
図5A〜
図5Cに関して上記で説明したものなどの可撓性ポート620が被覆材に取り付けられた、創傷被覆材610の一実施形態を示す。ポート620は、上記で
図5A〜
図5Cにおいて説明したポートであってよい。ポート620は、ポートを陰圧源または延長導管に接続するための導管630およびコネクタ640を備えることができる。この図では、ポート620は被覆材610の不明瞭化層内の円形窓の上に接続されているが、他の実施形態では、ポート620は不明瞭化層内のマルタ十字の上に接続されてもよい。いくつかの実施形態では、マルタ十字はポート620よりも大きい直径であってよく、ポート620が被覆材610に取り付けられた後で少なくとも部分的に視認可能であってよい。ポートを接続可能な被覆材610および他の被覆材に関するさらなる詳細は、参照により本明細書に組み込まれる、2013年3月14日に出願された出願第61/785,054号に記載されており、以下で「他の陰圧療法装置、被覆材、および方法」という名称のセクションにおいて説明する。
【0081】
図7Aは、
図5A〜
図5Cに関して示されるものと同じ設計の可撓性ポート700の斜視図を示す。ポート700はスペーサ布710を備え、スペーサ布710の近位端は、折りたたみ部分720と、可撓性フィルム740の少なくとも1つの層と、拡張丸い遠位端715と、導管760と、コネクタ780とを備える。ポート700の構成要素は、上記で説明した
図5A〜
図5Cの構成要素に類似した性質を有してよい。
【0082】
図7Bは、可撓性ポート700の近位端の一実施形態の拡大図を示す。ポート700は、可撓性フィルム740の層同士の間の密封されたチャンバ770の内部にスペーサ布710を備える。スペーサ布710の端部は折りたたみ部分720を備える。この折りたたみ部分の近位端には、布地を通る、導管760を挿入するための穴730が存在する場合がある。導管760は、スペーサ布の折りたたまれた部分同士の間で動かずにいてもよい。導管760は複数のリブ750を備え、リブ750は、
図5A〜
図5Cに関して上記で説明したように、可撓性フィルム740の層の間に導管760を固着するように作用する。
【0083】
図7Cは、可撓性ポート700の遠位端の底部の拡大図を示す。ポート700の底部は、ポートが取り付けられ得る被覆材に陰圧を伝えるためのオリフィス792を備える。ポート700はフィルタ790を備え、フィルタ790は、
図1Bおよび
図5A〜
図5Cに関して上記で説明したフィルタに類似した性質を有してよい。いくつかの実施形態では、フィルタ790は、オリフィス792の周辺部のまわりに可撓性フィルム740に接着された部分795を有し、それによってチャンバ770の密封を実質的に維持することができる。
【0084】
図8Aおよび
図8Bは、上記で説明したポート実施形態のいずれかの一部であってよい導管800の遠位端の実施形態を示す。この遠位端は、閉塞の可能性を減少させるような形状にされてもよい。たとえば、
図8Aの実施形態は、導管の端部から切り取られた三角形部分810を有することができ、他の実施形態は、それを通る複数の穴を有することができる。
【0085】
図9〜
図16は、本明細書で説明する可撓性ポートの一実施形態の装飾設計のさまざまな図を示す。本明細書で説明するさまざまな実施形態から明らかになるように、そのような可撓性ポートの機能的に等価な代替設計が利用可能であり、
図9〜
図16に示される設計の構成は、少なくとも一部は、審美性および装飾に関して考慮すべき事項の結果であった。図示の完全な可撓性ポート設計の場合、実線は、可撓性ポートの装飾設計の一実施形態の一部として構造全体が組み込まれていることを示す。部分的な可撓性ポート設計の場合、任意の数の実線は代わりに破線として示され、破線で示されている構成要素は装飾設計のその実施形態の一部ではないことを示すことができる。
【0086】
他の陰圧療法装置、被覆材、および方法(米国仮出願第61/785,054号から組み込まれたものであり、この出願の一部分は米国仮出願第61/785,927号の付録として含まれた)
さらに、本明細書で開示されるいくつかの実施形態は、陰圧療法装置および被覆材を含むシステム、およびそのような陰圧療法装置を陰圧療法被覆材とともに使用するために動作させるための方法を対象とする。一実施形態では、創傷部位の治療のための創傷治療装置は、流体を保持するように構成された吸収性層と、この吸収性層の上方の裏打ち層と、吸収性層内の流体を少なくとも部分的に視覚的に不明瞭にするように構成された不明瞭化層とを備える創傷被覆材と、創傷部位において局所的な陰圧を加えるために陰圧源から創傷被覆材に陰圧を伝えるように構成された流体コネクタとを備える。
【0087】
いくつかの実施形態では、不明瞭化層は、裏打ち層の上方または下方にある。不明瞭化層は、吸収性層内に収容された流体を少なくとも部分的に視覚的に不明瞭にするように構成されてよい。不明瞭化層は、吸収性層の飽和レベルの視覚的決定を可能にするように構成された少なくとも1つの覗き窓を備えることができる。この少なくとも1つの覗き窓は、不明瞭化層を通って作製された少なくとも1つの開口を備えることができる。この少なくとも1つの覗き窓は、不明瞭化層の少なくとも1つの非着色領域を備えることができる。覗き窓は、ドットの配列を備えることができる。このドットの配列はドットの直線として分散されてよく、このドットの直線は吸収性層の長さに沿って中心線上に位置付けられる。このドットの直線は、3つのドットからなる配列を含んでもよい。このドットの直線は、5つのドットからなる配列を含んでもよい。このドットの直線は、8つのドットからなる配列を含んでもよい。このドットの配列はドットの2つの直線として分散されてよく、このドットの2つの直線は吸収性層の長さに沿って中心線から等しい距離にあるように位置付けられ、このドットの2つの直線は等しい数のドットを有する。このドットの2つの直線は、3つのドットからなる配列を含んでもよい。このドットの2つの直線は、5つのドットからなる配列を含んでもよい。ドットの直線は不明瞭化層にわたって規則正しく分散され、創傷滲出液の広がりの評価を可能にすることができる。覗き窓は、グラフィカル要素または印刷(typographical)要素からなる群から選択されてよい。不明瞭化層は補助化合物を含むことができ、この補助化合物は、臭気を吸収するように構成され、不明瞭化層を着色または彩色するように構成された活性炭を含むことができる。流体コネクタは、創傷滲出液を実質的に視覚的に不明瞭にするように構成された不明瞭化要素を備えることができる。
【0088】
いくつかの実施形態は、創傷接触層と吸収材料の間に取得分散層をさらに備えることができる。吸収性層は、セルロース繊維と、40%から80%の間(または約40%から約80%の間)の高吸収性粒子とを含むことができる。不明瞭化層は、乾燥状態では、CIE x, y色度図において0.4以下のCIE y値および0.5未満のCIE x値を生じるように構成されてよい。不明瞭化層は、乾燥状態では、CIE x, y色度図においてBg、gB、B、pB、bP、P、rP、pPk、RP、O、rO、またはyOの色を有することができる。
【0089】
いくつかの実施形態では、創傷被覆材は、裏打ち層内のオリフィスであって、創傷部位に陰圧を伝達するように構成されたオリフィスをさらに備える。このオリフィスは、裏打ち層内のオリフィスに隣接して位置付けられるように構成された少なくとも1つのオリフィス覗き窓であって、オリフィスに隣接する吸収性層の飽和レベルの視覚的決定を可能にするように構成されたオリフィス覗き窓を備えることができる。このオリフィス覗き窓は十字形であってよい。創傷被覆材は、創傷被覆材の第1の縁部に相当する第1の長さと、創傷被覆材の第2の縁部に相当する第1の幅とを備えることができ、第1のx軸は第1の幅に沿って延び、第1のy軸は第1の長さに沿って延び、第1のx軸と第1のy軸は垂直に位置合わせされる。覗き窓は第1のアームと第2のアームとを備えることができ、覗き窓の第1のアームは第2の長さを画定し、第2のアームは第2の幅を画定し、第2のx軸は第2の幅に沿って延び、第2のy軸は第2の長さに沿って延び、第2のx軸と第2のy軸は垂直に位置合わせされる。覗き窓の第2のx軸および第2のy軸は、吸収性層の第1のx軸および第1のy軸からずれている。覗き窓の第2のx軸および第2のy軸は、吸収性層の第1のx軸および第1のy軸と位置合わせされてもよい。十字形の透明層は、フレア端部を備えることができる。流体コネクタは、空気を透過するように構成されてよい。流体コネクタは、それ自体を通る流体輸送を妨害するように構成されたフィルタを備えることができる。流体コネクタは、周囲空気の創傷部位への流れを可能にするように構成された二次空気漏れチャネルを備えることができる。この二次空気漏れチャネルはフィルタを備えることができる。流体コネクタは、軟性流体コネクタを含むことができる。この軟性流体コネクタは、三次元布を備えることができる。いくつかの実施形態では、この三次元布は、最大2kg/cm
2の外部圧力がそれに加えられる間の陰圧の治療レベルを伝えるように構成される。軟性流体コネクタは、真空源と流体連通するチューブに接続されるように構成されてよい。軟性流体コネクタは、真空源に直接接続されるように構成されてもよい。軟性流体コネクタは、拡張遠位端を備えることができ、この拡張遠位端は創傷被覆材に接続されるように構成される。装置は、流体コネクタに接続されたチューブをさらに備えることができる。装置は、流体コネクタと流体連通するポンプをさらに備えることができる。いくつかの実施形態では、吸収性層は2つ以上の突出部を備える。
【0090】
別の実施形態では、創傷部位の治療のための創傷治療装置は、創傷部位の上に位置付けられるように構成された創傷被覆材であって、上面と下面とを有し、創傷部位を取り囲む皮膚の上に位置付けられるように構成された周辺部を画定する裏打ち層であって、開口部を含む裏打ち層と、この裏打ち層の下面に接着された創傷接触層であって、その下面に接着剤を備える創傷接触層と、裏打ち層と創傷接触層の間に位置付けられた吸収材料であって、裏打ち層内の開口部の下方に位置付けられた垂直穴を備える吸収材料と、吸収材料の上に少なくとも部分的に位置付けられた不明瞭化層であって、裏打ち層内の開口部と吸収材料内の垂直穴の間に位置付けられた垂直穴を備える不明瞭化層と、吸収材料内の創傷滲出液の可視化を可能にするように構成された不明瞭化層を通って延在する1つまたは複数の覗き窓と、創傷部位において局所的な陰圧を加えるためにポートを通して創傷被覆材に陰圧を伝える裏打ち層内の開口部の上に位置付けられたポートとを備える創傷被覆材を備える。
【0091】
いくつかの実施形態では、裏打ち層は透明または半透明である。裏打ち層は、長方形または正方形の形状を有する周辺部を画定することができる。創傷接触層は、裏打ち層の周辺部に沿って裏打ち層の下面に接着されてもよい。不明瞭化層内の穴は、吸収材料内の穴または裏打ち層内の開口部と異なる直径を有することができる。1つまたは複数の覗き窓は、不明瞭化層にわたって反復パターンに配列されてよい。1つまたは複数の覗き窓は、円形形状を有することができる。
【0092】
いくつかの実施形態は、創傷接触層と吸収材料の間に取得分散層をさらに備えることができる。吸収性層は、セルロース繊維と、40%から80%の間(または約40%から約80%の間)の高吸収性粒子とを含むことができる。不明瞭化層は、乾燥状態では、CIE x, y色度図においてBg、gB、B、pB、bP、P、rP、pPk、RP、O、rO、またはyOの色を生じるように構成されてもよい。
【0093】
いくつかの実施形態は、吸収材料と創傷接触層の間に透過層をさらに備える。いくつかの実施形態では、装置は、ポートの中にまたはその下方に位置付けられた疎水性フィルタをさらに備える。吸収材料は長手方向長さと横方向幅とを有することができ、この長さは幅よりも大きく、吸収材料の幅は、吸収材料の長手方向長さに沿った中央部分において狭窄する。不明瞭化層は、吸収材料と実質的に同じ周辺部形状を有することができる。装置は、ポンプをさらに備えることができる。
【0094】
別の実施形態では、創傷部位の治療のための創傷治療装置は、非平面状創傷に適合するように構成され、くびれた部分を有する略方形の本体を備える起伏のある形状を含む吸収性層と、この吸収性層の上方の裏打ち層とを備える創傷被覆材と、創傷部位において局所的な陰圧を加えるために陰圧源から創傷被覆材に陰圧を伝えるように構成された流体コネクタとを備える。
【0095】
いくつかの実施形態は、創傷接触層をさらに備えることができる。裏打ち層は長方形であってもよい。いくつかの実施形態では、陰圧源はポンプである。
【0096】
いくつかの実施形態では、創傷被覆材は、長い方の軸と、短い方の軸とを有し、くびれた部分は、この長い方の軸上にあるように構成される。装置は、吸収性層内の流体を少なくとも部分的に視覚的に不明瞭にするように構成された不明瞭化層をさらに備えることができる。不明瞭化層は、吸収性層の飽和レベルの視覚的決定を可能にするように構成された少なくとも1つの覗き窓を備えることができる。覗き窓は、ドットの配列を備えることができる。流体コネクタは、方形本体の側面または隅部に沿って配置され得る。
【0097】
いくつかの実施形態は、創傷接触層と吸収材料の間に取得分散層をさらに備えることができる。吸収性層は、セルロース繊維と、40%〜80%(または約40%から約80%)の高吸収性粒子とを含むことができる。不明瞭化層は、乾燥状態では、CIE x, y色度図においてBg、gB、B、pB、bP、P、rP、pPk、RP、O、rO、またはyOの色を生じるように構成されてもよい。
【0098】
さらに別の実施形態では、創傷部位に局所的陰圧を加えるために創傷を被覆するための装置は、吸収性層の幅にわたって少なくとも部分的に延在する1つまたは複数のスリットを有する吸収性層と、この吸収性層の上方の裏打ち層であって、陰圧を創傷部位に伝達するためのオリフィスを有し、このオリフィスがスリットを持たない吸収性層の一部分の上に位置付けられる、裏打ち層とを備える。
【0099】
いくつかの実施形態では、1つまたは複数のスリットは、1つまたは複数の同心円弧を備える。
【0100】
別の実施形態では、創傷治療装置は、非平面状創傷に適合するように構成され、接触層の上方の吸収性層であって、2つ以上の突出部を備える起伏のある形状を備える吸収性層と、吸収性層の上方の裏打ち層とを備える創傷被覆材を備える。
【0101】
いくつかの実施形態では、創傷治療装置はポンプを備える。創傷被覆材は、創傷部位において局所的な陰圧を加えるためにポンプから創傷被覆材に陰圧を伝えるように構成された流体コネクタを備えることができる。創傷被覆材は、創傷に面する接触層も備えることができる。起伏のある形状は、3つの突出部を備えてもよい。起伏のある形状は、4つの突出部を備えてもよい。2つ以上の突出部は、丸い突起を備えることができる。装置は、2つ以上のフレア突出部を備えることができる。起伏のある形状は楕円形であってよい。起伏のある形状は、6つの突出部を備えてもよい。装置は、吸収性層を不明瞭にするように配設された不明瞭化層をさらに備えることができる。装置は、吸収性層内の流体を少なくとも部分的に視覚的に不明瞭にするように構成された不明瞭化層をさらに備えることができる。不明瞭化層は、吸収性層の飽和レベルの視覚的決定を可能にするように構成された少なくとも1つの覗き窓を備えることができる。覗き窓は、ドットの配列を備えることができる。
【0102】
さらに別の実施形態では、創傷部位に局所的陰圧を加えるために創傷を被覆するための装置は、創傷接触層と、この透過層の上方の取得分散層と、この取得および分散層の上の吸収性層であって、基材と、この基材内の高吸収粒子とを備える吸収性層と、この吸収性層の上方の裏打ち層とを備える。
【0103】
装置のいくつかの実施形態は、創傷接触層と取得分散層の間に透過層をさらに備えることができる。取得分散層は、ビスコース、ポリエステル、ポリプロピレン、セルロース、ポリエチレン、またはこれらの材料のうちいくつかもしくはすべての組み合わせを含むことができる。吸収性層は、30%から40%の間(または約30%から約40%の間)のセルロース基材と、60%から70%の間(または約60%から約70%の間)の高吸収ポリマーとを含むことができる。裏打ち層は、透明であってもよいし、または半透明であってもよい。
【0104】
いくつかの実施形態は、吸収性層と裏打ち層の間に不明瞭化層をさらに備えることができる。この不明瞭化層に1つまたは複数の覗き窓が存在することがある。少なくとも、不明瞭化層は、その長さに沿って狭い中央部分を有する形状にされ得る。不明瞭化層は、3つの覗き窓からなる2つの列、3つの覗き窓からなる1つの列、8つの覗き窓からなる1つの列、5つの覗き窓からなる2つの列、または5つの覗き窓からなる1つの列を備えることができる。少なくとも、不明瞭化層は、その幅とその長さの両方に沿って狭い中央部分を有する形状にされ得る。不明瞭化層は、覗き窓の3×3配列または覗き窓の五点形配列を備えることができる。いくつかの実施形態では、少なくとも、不明瞭化層は、6つの突出部を有する形状を備えることができる。吸収性層および取得分散層は、不明瞭化層と実質的に同じ形状とすることができる。不明瞭化層は十字形またはマルタ十字形の穴をさらに備えることができ、この穴の上に、陰圧を伝えるための流体コネクタが接続され得る。装置は、陰圧源に裏打ち層を接続するように構成された流体コネクタをさらに備えることができる。
【0105】
さらに別の実施形態では、創傷部位に局所的陰圧を加えるために創傷を被覆するための装置は、流体を保持するように構成された吸収性層と、この吸収性層の上方の裏打ち層と、吸収性層内の流体を少なくとも部分的に視覚的に不明瞭にするように構成された不明瞭化層であって、乾燥状態では、CIE x, y色度図においてBg、gB、B、pB、bP、P、rP、pPk、RP、O、rO、またはyOの色を生じるように構成された不明瞭化層とを備える。
【0106】
いくつかの実施形態は、裏打ち層に1つまたは複数の覗き窓をさらに備えることができる。少なくとも、不明瞭化層は、その長さに沿って狭い中央部分を有する形状にされ得る。不明瞭化層は、覗き窓の3×3配列または覗き窓の五点形配列を備えることができる。いくつかの実施形態では、少なくとも、不明瞭化層は、6つの突出部を有する形状を備えることができる。吸収性層および取得分散層は、不明瞭化層と実質的に同じ形状とすることができる。不明瞭化層は十字形またはマルタ十字形の穴をさらに備えることができ、この穴の上に、陰圧を伝えるための流体コネクタが接続され得る。装置は、陰圧源に裏打ち層を接続するように構成された流体コネクタをさらに備えることができる。
【0107】
図B1は、ポンプB150と組み合わされた創傷被覆材B110を備えるTNP創傷治療システムB100の一実施形態を示す。上記で述べたように、創傷被覆材B110は、限定するものではないが被覆材実施形態を含む本明細書で開示される任意の創傷被覆材実施形態であってもよいし、または本明細書で開示される任意の数の創傷被覆材実施形態の特徴の任意の組み合わせを有してもよい。ここで、被覆材B110は、先に説明したように創傷の上に設置されてもよく、次いで、導管B130がポートB120に接続されてもよいが、いくつかの実施形態では、被覆材B110は、ポートB120にあらかじめ取り付けられた導管B130の少なくとも一部分を備えてもよい。好ましくは、被覆材B110は、すべての創傷被覆材要素(ポートB120を含む)があらかじめ取り付けられ、単一のユニットに一体化された単一の物品として設けられる。次いで、創傷被覆材B110は、導管B130を介して、ポンプB150などの陰圧源に接続され得る。ポンプB150は小形化され、持ち運び可能とすることができるが、より大きな従来のポンプを被覆材B110とともに使用してもよい。いくつかの実施形態では、ポンプB150は、被覆材B110上にまたは被覆材B110に隣接して取り付けられてもよいし、または装着されてもよい。創傷被覆材B110に至る導管B130のポンプからの切り離しを可能にするようにコネクタB140が設けられてもよく、これは、たとえば被覆材の交換時に有用である場合がある。
【0108】
図B2A〜
図B2Dは、患者の創傷部位を治療するために使用されているTNP創傷治療システムの一実施形態の使用法を示す。
図B2Aは、創傷部位B200が洗浄され、治療の準備が行われているところを示す。ここで、好ましくは、創傷部位B200を取り囲む健常な皮膚を洗浄し、余分な毛を除去するかまたは剃る。必要ならば、創傷部位B200を滅菌生理食塩水で洗浄してもよい。任意選択で、皮膚保護剤を、創傷部位B200を取り囲む皮膚に塗布してもよい。必要ならば、発泡体またはガーゼなどの創傷充填材料を創傷部位B200内に設置してもよい。このことは、創傷部位B200がより深い創傷である場合に好ましいことがある。
【0109】
創傷部位B200を取り囲む皮膚が乾燥した後、次に
図B2Bを参照すると、創傷被覆材B200を創傷部位B200の上に位置付け、設置してもよい。好ましくは、創傷被覆材B110は、創傷部位B200の上におよび/または創傷部位B200と接触して創傷接触層B2102とともに設置される。いくつかの実施形態では、接着層が創傷接触層B2102の下面B2101に設けられ、この接着層は、場合によっては、創傷被覆材B110を創傷部位B200の上に設置する前に除去されるべき任意選択の剥離層によって保護されてもよい。好ましくは、被覆材B110は、流体がポートの周囲に貯留するのを回避するためにポートB2150が被覆材B110の残りの部分に対して隆起した位置にあるように位置付けられる。いくつかの実施形態では、被覆材B110は、ポートB2150が創傷を直接覆わず、創傷と同じ高さにあるかまたは創傷よりも高い箇所にあるように位置付けられる。TNPを適切に密封するようにする助けとなるために、被覆材B110の縁部は、好ましくは、しわになったり折りたたまれたりしないように平滑化される。
【0110】
次に
図B2Cを参照すると、被覆材B110はポンプB150に接続される。ポンプB150は、被覆材B110を介して、一般的には導管を通して、創傷部位に陰圧を加えるように構成される。いくつかの実施形態では、上記で
図B1において説明したように、コネクタを使用して導管を被覆材B110からポンプB150に接合してもよい。ポンプB150を用いて陰圧を加えると、被覆材B110は、いくつかの実施形態では、部分的に圧壊して、被覆材B110の下にある空気の一部またはすべてが排気された結果としてしわの寄った外観を呈することがある。いくつかの実施形態において、ポンプB150は、被覆材B110と創傷部位B200を囲む皮膚との間の界面など被覆材B110に漏れがあるかどうかを検出するように構成されてもよい。漏れが見つかった場合、治療を続ける前にそのような漏れを直しておくことが好ましい。
【0111】
図B2Dを参照すると、追加の固定ストリップB210が、被覆材B110の縁部のまわりに取り付けられてもよい。そのような固定ストリップB210は、状況によっては、創傷部位B200を取り囲む患者の皮膚に対してさらなる密封を提供するように有利である場合がある。たとえば、固定ストリップB210は、患者の動きがより激しいときのために、さらなる密封を実現してもよい。場合によっては、特に、到達するのが困難であるかまたは起伏のある区域の上に被覆材B110を設置する場合、ポンプB150を作動させる前に固定ストリップB210を使用してもよい。
【0112】
創傷部位B200の治療は、創傷が所望の治癒レベルに達するまで継続することが好ましい。いくつかの実施形態では、ある期間が経過した後、または被覆材が創傷流体で一杯になった場合に、被覆材B110を交換することが望ましい場合がある。そのような交換時には、ポンプB150を残し、被覆材B110のみを交換してもよい。
【0113】
図B3A〜
図B3Cは、本開示の一実施形態による
図B1の創傷被覆材に類似した創傷被覆材B2100を通る断面図を示す。創傷被覆材B2100の上から見た図が
図B1に示されており、線A-Aは、
図B3Aおよび
図B3Bに示される断面の場所を示す。創傷被覆材B2100は、あるいは限定するものではないが創傷被覆材B110を含む本明細書で開示される任意の創傷被覆材実施形態であってもよいし、または本明細書で開示される任意の数の創傷被覆材実施形態の特徴の任意の組み合わせであってもよく、治療されるべき創傷部位の上に配置可能である。被覆材B2100は、創傷部位の上に密封された空洞を形成するように設置され得る。好ましい一実施形態では、被覆材B2100は、創傷接触層B2102に取り付けられた裏打ち層B2140を備え、この両方については以下でより詳細に説明する。これらの2つの層B2140、B2102は、好ましくは、内部空間すなわち内部チャンバを画定するように一緒に接合または密封される。この内部空間すなわち内部チャンバは、陰圧を分散させるかまたは伝え、創傷から除去された創傷滲出液および他の流体を貯蔵し、および以下でより詳細に説明する他の機能に適合され得る追加構造を備えることができる。以下で説明するそのような構造の例としては、透過層B2105および吸収性層B2110がある。
【0114】
図B3A〜
図B3Cに示されるように、創傷被覆材B2100の下面B2101は、B2102任意選択の創傷接触層を備えてもよい。創傷接触層B2102は、たとえばホットピンプロセス、レーザアブレーションプロセス、超音波プロセスを介して、または何らかの他の方法で穿孔される、または別の方法で液体および気体透過性にされた、ポリウレタン層またはポリエチレン層または他の可撓性層であってよい。創傷接触層B2102は、下面B2101と、上面B2103とを有する。穿孔B2104は、好ましくは、流体が創傷接触層B2102を通って流れることを可能にする、創傷接触層B2102内の貫通穴を備える。創傷接触層B2102は、創傷ドレッシング材の他の材料への組織の内部成長を防止する助けとなる。好ましくは、穿孔は、この要件を満たすが、それにもかかわらず流体を通過させるのに十分なほど小さい。たとえば、0.025mmから1.2mmの範囲にわたるサイズを有するスリットまたは穴として形成される穿孔は、創傷被覆材への組織の内部成長を防止する助けとなり、それと同時に創傷滲出液が被覆材に流入することを可能にするのに十分なほど小さいと見なされる。いくつかの構成では、創傷接触層B2102は、創傷における陰圧を維持するために吸収性パッドのまわりに気密シールも作製しながら、創傷被覆材B2100全体の完全性を維持する助けとなってよい。
【0115】
創傷接触層B2102のいくつかの実施形態はまた、任意選択の下部接着層および上部接着層(図示せず)の担持体として作用することができる。たとえば、創傷被覆材B2100の下面B2101に下部感圧接着剤を設けてもよく、一方、創傷接触層の上面B2103に上部感圧接着層を設けてもよい。感圧接着剤は、シリコーン接着剤、ホットメルト接着剤、親水コロイド接着剤、またはアクリル系接着剤、または他のそのような接着剤であってよく、創傷接触層の両側に形成されてもよいし、または任意選択で、創傷接触層の選択された一方の側に形成されてもよいし、またはどちらの側にも形成されなくてもよい。下部感圧接着層が利用されるとき、これは、創傷被覆材B2100を創傷部位のまわりの皮膚に接着させるのに有用な場合がある。いくつかの実施形態では、創傷接触層は、穿孔されたポリウレタンフィルムを備えることができる。フィルムの下面はシリコーン感圧接着剤を備えることができ、上面はアクリル感圧接着剤を備えることができ、このことは、被覆材がその完全性を維持する助けとなり得る。いくつかの実施形態では、ポリウレタンフィルム層は、その上面と下面の両方に接着層を備えてもよく、すべての3つの層は一緒に穿孔されてもよい。
【0116】
多孔性材料の層B2105を創傷接触層B2102の上方に配置することができる。この多孔性層すなわち透過層B2105は、液体および気体を含む流体を創傷部位から創傷被覆材の上部層へと透過させることを可能にする。特に、透過層B2105は、好ましくは、吸収性層がかなりの量の滲出液を吸収したときでも陰圧を創傷区域の上に伝達するように、開放された空気チャネルが維持可能であるようにする。層B2105は、好ましくは、上記で説明したように陰圧創傷閉鎖療法中に加えられる通常の圧力の下で開放されたままになるべきであり、それによって創傷部位全体が等しい陰圧を受ける。層B2105は、三次元構造を有する材料から形成されてもよい。たとえば、編まれたスペーサ布または織られたスペーサ布(たとえばBaltex7970横編みポリエステル)または不織布が使用されてよい。
【0117】
透過層B2105の上方に吸収材料の層B2110が設けられる。吸収材料は、発泡体または不織天然材料もしくは不織合成材料を含み、任意選択で、高吸収性材料を含み、創傷部位から除去された流体、特に液体の貯蔵部を形成することができる。いくつかの実施形態では、層B2110は、流体を裏打ち層B2140の方へ吸い寄せる助けとなることもできる。
【0118】
図B3A〜
図B3Cを参照すると、マスキング層すなわち不明瞭化層B2107は、裏打ち層B2140の少なくとも一部分の下方に位置付けることができる。いくつかの実施形態では、不明瞭化層B2107は、任意の覗き窓または穴を有することを含むがこれに限定されない、本明細書で開示される不明瞭化層の他の実施形態のいずれかの同じ特徴、材料、またはその他の詳細のいずれかを有することができる。さらに、不明瞭化層B2107は、裏打ち層に隣接して位置付けられてもよいし、または所望の他の任意の被覆材層に隣接して位置付けられてもよい。いくつかの実施形態では、不明瞭化層B2107は、裏打ち層に接着されてもよいし、または裏打ち層と一体的に形成されてもよい。好ましくは、不明瞭化層B2107は、それを覆うように、吸収性層B2110とほぼ同じサイズおよび形状を有するように構成される。したがって、これらの実施形態では、不明瞭化層B2107は、裏打ち層B2140よりも小さい面積を有する。
【0119】
吸収性層B2110の材料も、創傷被覆材B2100内で収集された液体が被覆材内で自由に流れることを防止することができ、好ましくは、吸収性層B2110内で収集されたあらゆる液体を収容するように作用する。吸収性層B2110はまた、吸い上げ作用を介した層全体にわたって流体を分散させる助けとなり、したがって、流体が創傷部位から吸い出され、吸収性層全体にわたって格納される。これは、吸収性層の区域内での凝集を防止する助けとなる。吸収材料の容量は、陰圧が加えられたときに創傷の滲出液流量を管理するのに十分なものでなければならない。使用時に吸収性層が陰圧を受けるので、吸収性層の材料は、そのような状況下で液体を吸収するように選ばれる。陰圧下にあるときに液体を吸収することが可能ないくつかの材料、たとえば高吸収体材料が存在する。吸収性層B2110は、一般に、ALLEVYN(商標)フォーム、Freudenberg 114-224-4、および/またはChem-Posite(商標)11C-450から製造されてよい。いくつかの実施形態では、吸収性層B2110は、高吸収性粉末とセルロースなどの繊維材料と結合繊維とを含む複合物を含むことができる。好ましい一実施形態では、複合物は、熱により結合された風成複合物である。
【0120】
好ましくは、裏打ち層B2140内にオリフィスB2145が設けられ、陰圧を被覆材B2100に加えることを可能にする。吸引ポートB2150は、好ましくは、被覆材B2100へと形成されたオリフィスB2145の上で裏打ち層B2140の頂部に取り付けられるかまたは密封され、オリフィスB2145を通して陰圧を伝達する。ある長さのチューブ類B2220を第1の端部で吸引ポートB2150に、第2の端部でポンプユニット(図示せず)に結合し、流体を被覆材からポンプで汲み出すことを可能にしてもよい。ポートは、アクリル接着剤、シアノアクリレート接着剤、エポキシ接着剤、UV硬化可能な接着剤、またはホットメルト接着剤などの接着剤を使用して、裏打ち層B2140に接着および密封され得る。ポートB2150は、ショアAスケールで30〜90の硬度を有する軟質ポリマー、たとえばポリエチレン、ポリ塩化ビニル、シリコーン、またはポリウレタンから形成される。いくつかの実施形態では、ポートB2150は、たとえば以下で
図B23A〜
図B23Bにおいて説明する実施形態を使用して、軟性材料または適合材料から作製されてもよい。
【0121】
好ましくは、吸収性層B2110および不明瞭化層B2107は、ポートB2150の下に位置するように配置された少なくとも1つの貫通穴B2146を含む。貫通穴B2146は、ここでは不明瞭化層B2107および裏打ち層B2140を通る穴よりも大きいように示されているが、いくつかの実施形態では、両方の層よりも大きくてもよいし、または小さくてもよい。もちろん、これらのさまざまな層B2107、B2140、およびB2110を通るそれぞれの穴は、互いに対して異なるサイズであってもよい。
図B3A〜
図B3Cに示されるように、単一の貫通穴を使用して、ポートB2150の下に位置する開口部を形成することができる。あるいは複数の開口部が利用されてもよいことが理解されるであろう。さらに、本開示の特定の実施形態により複数のポートを利用する場合、1つまたは複数の開口部が、吸収性層および不明瞭化層に、それぞれの各ポートと位置合わせされて作製されてもよい。本開示の特定の実施形態に不可欠ではないが、高吸収性層内で貫通孔を使用することによって、特に吸収性層B2100が飽和に近いときに妨害されないままである流体流れ経路が設けられてもよい。
【0122】
開口または貫通穴B2146は、好ましくは、オリフィスが透過層B2105に直接接続されるように、オリフィスB2145の下方の吸収性層B2110および不明瞭化層B2107に設けられる。これによって、ポートB2150に加えられた陰圧を、吸収性層B2110を通過することなく透過層B2105に伝達することが可能になる。これによって、吸収性層が創傷滲出液を吸収するときに、創傷部位に加えられた陰圧が吸収性層によって阻害されないようになる。他の実施形態では、開口が吸収性層B2110および/または不明瞭化層B2107に設けられなくてもよいし、あるいはオリフィスB2145の下方の複数の開口が設けられてもよい。
【0123】
裏打ち層B2140は、好ましくは、気体不透過性であるが水蒸気透過性であり、創傷被覆材B2100の幅にわたって延在することができる。裏打ち層B2140は、たとえば一方の側に感圧接着剤を有するポリウレタンフィルム(たとえば、Elastollan SP9109)であってよく、気体不透過性であり、したがって、この層は、創傷を覆い、創腔を密封するように動作し、その上に創傷被覆材を設置する。このようにして、陰圧が確立可能である効果的なチャンバが、裏打ち層B2140と創傷部位の間に作製される。たとえば、裏打ち層B2140は、好ましくは、たとえば接着技法または溶接技法を介して被覆材の周囲の境界領域内の創傷接触層B2102に対して密封され、空気が境界区域を通って吸い込まれないようにする。裏打ち層B2140は、外部細菌汚染から創傷を保護し(細菌バリア)、創傷滲出液からの液体がこの層を通過して薄膜外面から蒸発することを可能にする。裏打ち層B2140は、好ましくは、2つの層、すなわちポリウレタンフィルムと、このフィルム上に広げられた接着剤パターンとを備える。ポリウレタンフィルムは、好ましくは水蒸気透過性であり、濡れたときに透水率が増加する材料から製造されてよい。
【0124】
吸収性層B2110は透過層B2105よりも広い面積を有してよく、したがって、吸収性層は透過層B2105の縁部と重複し、それによって、透過層は裏打ち層B2140と接触しないようになる。これによって、創傷接触層B2102と直接接触する吸収性層B2110の外側チャネルB2115が設けられ、このチャネルは、滲出液を吸収性層によりすばやく吸収する助けになる。そのうえ、この外側チャネルB2115により、被覆材の周縁のシールから滲出して漏出物の形成を招く可能性のある液体が創腔の周辺部に貯留することはできなくなる。
【0125】
図B3Aに示されるように、創傷被覆材B2100の一実施形態は、ポートB2150の下方に位置する吸収性層B2110内に開口B2146を備える。使用時に、たとえば陰圧が被覆材B2100に加えられるとき、ポートB2150の創傷に面する部分は、したがって透過層B2105と接触してよく、したがって、吸収性層B2110が創傷流体で満たされるときでも創傷部位に陰圧を伝える助けとなることができる。いくつかの実施形態では、裏打ち層B2140は、透過層B2105に少なくとも部分的に接着されてもよい。いくつかの実施形態では、開口B2146は、ポートB2150の創傷に面する部分すなわちオリフィスB2145の直径よりも少なくとも1〜2mm大きい。
【0126】
液体不透過性であるが気体透過性であるフィルタ要素B2130は、液体バリアとして作用し、液体が創傷被覆材から漏出することを不可能にするように設けられる。このフィルタ要素は、細菌バリアとして働いてもよい。一般的には、孔径は0.2μmである。フィルタ要素B2130のフィルタ材料に適した材料としては、MMTレンジの0.2ミクロンGore(商標)延伸多孔質PTFE、PALL Versapore(商標)B200R、およびDonaldson(商標)TX6628がある。上記よりも大きい孔径を使用することもできるが、これらの孔径では、バイオバーデンを完全に封じ込めるようにするために二次フィルタ層が必要になり得る。創傷流体が脂質を含有するときは、疎油性フィルタ膜たとえば0.2ミクロンMMT-323に先行した1.0ミクロンMMT-332を使用することが好ましいが、不可欠ではない。これによって、脂質により疎水性フィルタが詰まることが防止される。フィルタ要素は、オリフィスB2145の上でポートおよび/または裏打ち層B2140に取り付けられてもよいし、またはこれらに密封されてもよい。たとえば、フィルタ要素B2130はポートB2150に成形されてもよいし、または限定するものではないがUV硬化接着剤などの接着剤を使用して裏打ち層B2140の頂部とポートB2150の底部の両方に接着されてもよい。
【0127】
図B3Bには、ポートB2150およびフィルタB2130とともにスペーサ要素B2152、B2153を備える創傷被覆材B2100の一実施形態が示されている。そのようなスペーサ要素B2152、B2153を追加することにより、ポートB2150およびフィルタB2130は、吸収性層B2110および/または透過層B2105と直接接触しないように支持され得る。吸収性層B2110はまた、追加のスペーサ要素として作用し、フィルタB2130が透過層B2105と接触しないようにすることもできる。したがって、そのような構成では、使用中のフィルタB2130と透過層B2105および創傷流体の接触は、最小限に抑えることができる。
図B3Aに示される実施形態とは対照的に、吸収性層B2110および不明瞭化層B2107を通る開口B2146は、必ずしもポートB2150以上の大きさである必要がなくてもよく、したがって、吸収剤層B2110が創傷流体で飽和したときにポートから透過層B2105への空気経路を維持できるようにするのに十分な大きさを有するだけでよい。
【0128】
次に、
図B3A〜
図B3Cに示される要素の多くを共有する
図B3Cを参照すると、ここに示される実施形態は、裏打ち層B2140と、マスキング層B2107と、吸収性層B2110とを備え、これらの層のすべては、オリフィスB2145を形成するように透過層B2105に直接連通する、これらの層を通って作製された切れ目または開口部を有する。吸引ポートB2150は、好ましくは、それの上方に位置し、オリフィスB2145と連通する。
【0129】
特に、単一の吸引ポートB2150と貫通穴とを有する実施形態では、
図B3A〜
図B3Cおよび
図B1に示されるように、ポートB2150および貫通穴が中心から外れた位置に配置されことが好ましい場合がある。そのような場所は、ポートB2150が被覆材B2100の残りの部分に対して隆起するように被覆材B2100を患者上に位置付けることを可能にする場合がある。そのように位置付けられると、ポートB2150およびフィルタB2130は、陰圧が創傷部位に伝わることを阻害するようにフィルタB2130を早期に閉塞させる可能性のある創傷流体と接触する可能性が低くなり得る。
【0130】
図B4A〜
図B4Cは、上記で説明した実施形態に類似し、さまざまな長さおよび幅で狭い中央部分を備える創傷被覆材B300の実施形態を示す。
図B4Aは、狭い中央部分すなわちくびれた中間部分を有する創傷被覆材B300の一実施形態を示す。創傷被覆材B300は、裏打ち層B301を有する。裏打ち層B301は、長方形または正方形の周辺部を有することができ、透明材料または半透明材料とすることができる。裏打ち層B301は、下面B305と、上面B306とを有することができる。裏打ち層B301の下面は、
図B3A〜
図B3Cを参照して先に説明したように、創傷部位を取り囲む皮膚表面上に設置されるように構成可能である。さらに、下面B305は創傷接触層を有することができる。この創傷接触層は、限定するものではないが
図B3A〜
図B3Cに関して説明した創傷被覆材実施形態を含む、本明細書で説明するすべての特徴および実施形態を有することができる。創傷接触層は、裏打ち層B301の下面B305の周辺部に接着可能である。創傷接触層は、接着剤または先に説明したように創傷被覆材を皮膚表面に取り付けることを可能にする他の任意の接着方法を備えることができる。
【0131】
いくつかの実施形態では、創傷被覆材B300は、先に説明したように被覆材の中心からずれたポートB304を有することができる。ポートB304は、ドーム形のポートであってもよいし、または軟性流体コネクタ(以下で詳細に説明する)であってもよい。ポートB304は、被覆材上の中央場所に設置することができるが、好ましくは、被覆材の中心から特定の側面または縁部までずれる。したがって、ポートB304の方向は、身体に設置されるとき、ポートB304を高い位置に位置することを可能にし、それによって、流体と接触する前に被覆材B300が使用され得る時間の量を増加させることがある。他の方向が使用されてもよく、実際に(たとえば、患者が位置をシフトしたときに)発生することがあるが、より低い位置にポートB304を設置することによって、ポートに近接するフィルタ(ここでは図示せず)が飽和することがあり、それによって、吸収性層内に何らかの吸収性空洞が依然として残っていても被覆材を交換する必要がある場合がある。好ましくは、ポートB304は、それにチューブまたは導管を接続するためのオリフィスを有する。このオリフィスは、チューブまたは導管が被覆材B300から離れて延在することを可能にするように被覆材B300の中心から離れるような角度にされてよい。いくつかの好ましい実施形態では、ポートB304は、裏打ち層B301の頂面とほぼ平行になるようにチューブまたは導管を挿入することを可能にするオリフィスを備える。
【0132】
さまざまな実施形態では、創傷被覆材B300は吸収材料B302を有することができる。吸収材料B302は、透過層およびマスキング層すなわち不明瞭化層(図示せず)などの、
図B3A〜
図B3Bにおいて創傷被覆材断面に関して説明した創傷被覆材内の追加構成要素を伴うことができる。
【0133】
いくつかの実施形態では、創傷被覆材B300は、中央部分B308を備えた吸収材料B302を有することができる。吸収材料B302は、長手方向長さと、横方向幅とを有することができる。いくつかの実施形態では、長手方向長さは横方向幅よりも大きい。いくつかの実施形態では、長手方向長さと横方向幅は等しいサイズである。さまざまな実施形態では、吸収材料B302は、略方形本体を備えた起伏のある形状を有することができる。
【0134】
吸収材料B302の中央部分B308は、くびれた部分B303を備えることができる。くびれた部分B303は、長手方向長さの中央部分B308で狭くなる吸収材料B302の横方向幅によって画定することができる。たとえば、いくつかの実施形態では、くびれた部分B303は、
図B4A〜
図B4Cに示されるように、吸収材料B302の中央部分B308において狭い幅であってもよい。本明細書で説明する実施形態を含めて、くびれた部分B303の追加の実施形態が可能である。さらに、
図B3A〜
図B3Cに関して説明する創傷被覆材内の付随構成要素の形状は、くびれた部分を含む吸収材料の同じ起伏のある形状に合わせて形成可能である。
【0135】
くびれた部分B303は、創傷被覆材の可撓性を増加させることができ、患者の身体に対する創傷被覆材の適合性の向上を可能にすることができる。たとえば、狭い中央領域は、創傷被覆材を非平面状面上で使用するかつ/または腕または脚に巻き付けるときの皮膚表面への創傷被覆材の接触および接着の改善を可能にすることができる。さらに、中央部分が狭いことによって、患者の身体および患者の動きとの適合性の増加が実現される。
【0136】
図B15A〜
図B15Bと同様に、創傷被覆材の実施形態は、非平面状創傷における被覆材の適合性をさらに高めるように、スリットのさまざまな構成(以下で詳細に説明する)を備えることができる。また、以下で説明するように、吸収性層は、不明瞭化層により着色されるまたは不明瞭にされてもよく、任意選択で、1つまたは複数の覗き窓を備える。ドーム形のポートは、以下で
図B23A〜
図B23Bにおいて説明するタイプの1つまたは複数の流体コネクタで置き換えられてもよい。さらに、創傷被覆材B300は、本明細書で説明するすべての設計または実施形態を備えることができ、または本明細書で開示される任意の数の創傷被覆材実施形態の特徴の任意の組み合わせを有することができる。
【0137】
図B4Bは、くびれた部分を有する創傷被覆材B300の一実施形態を示す。
図B4Bに示されている創傷被覆材B300は、上記で
図B4Aに関して説明した特徴および実施形態を有することができる。ただし、
図B4Bは、横方向幅に対してより短い長手方向長さを有する一実施形態を示す。
図B4Cは、くびれた部分を有する創傷被覆材B300の追加の実施形態を示す。
図B4Cに示されるように、創傷被覆材は、
図B4Aおよび
図B4Bに示される実施形態に示されているように長手方向長さが創傷被覆材の横方向幅よりも実質的に長いこととは対照的に、サイズにおいて実質的に異ならない長手方向長さおよび横方向幅を有することができる。
図B4Bおよび
図B4Cに示される創傷被覆材の実施形態は、
図B4Aに関して説明したくびれた部分B303のそれらの実施形態を含めて、創傷被覆材の本明細書で説明するすべての特徴および実施形態を含むことができる。
【0139】
図B5A〜
図B5Fは、くびれた部分と不明瞭化層と覗き窓とを有する創傷被覆材の一実施形態の複数の図を示す。
図B5Aは、創傷被覆材B400の一実施形態の斜視図を示す。創傷被覆材B400は、好ましくは、ポートB406を備える。ポートB406は、好ましくは、
図B1に関して説明したポンプと流体連通するように構成され、ポートにあらかじめ取り付けられたチューブまたは導管を含むことができる。あるいは、以下で
図B23A〜
図B23Bにおいて説明するタイプの流体コネクタを含むがこれに限定されない他の適切な流体コネクタを通して、創傷被覆材に陰圧を供給することができる。
【0140】
創傷被覆材B400は、上記の
図B3Aおよび
図B3Bの実施形態に類似して構築することができ、裏打ち層B405の下方またはその中に吸収材料B402を備えてもよい。任意選択で、創傷接触層および透過層は、上記で説明したように創傷被覆材B400の一部として設けられてもよい。吸収材料B402は、創傷被覆材の可撓性および皮膚表面に対する適合性を増加させるために先に説明したように、狭い中央部分すなわちくびれた部分B408を収容することができる。裏打ち層B405は、吸収材料B402の外縁を越えて延在する境界領域B401を有することができる。裏打ち層B405は半透明または透明な裏打ち層であってよく、したがって、裏打ち層B405から作製された境界領域B401は半透明または透明であってよい。裏打ち層B405の境界領域B401の面積は、狭い中央部分を除いて被覆材全体の周辺部のまわりでほぼ等しいとすることができ、境界領域の面積はこれよりも大きい。境界領域B401のサイズが被覆材の全寸法および設計上の他の任意の選択肢に左右されることは認識されよう。
【0141】
図B5Aに示されるように、吸収性層B402の頂部に、または吸収性層B402の上に、および裏打ち層B405の下に少なくとも設けられるのは、任意選択で1つまたは複数の覗き窓B403を有する不明瞭化層B404であってよい。不明瞭化層B404は、創傷被覆材B400および/または吸収材料の中に(すなわち、吸収材料B402の中または裏打ち層B405の下に)収容された内容物(流体など)を部分的にまたは完全に不明瞭にすることができる。不明瞭化層は、吸収材料の着色部分であってもよいし、または吸収材料を覆う別個の層であってもよい。いくつかの実施形態では、吸収材料B402は、上記で説明したものと同じように、美容面および/または審美面での向上を提供するように、不明瞭化層B404を介して、(部分的にまたは完全に)隠されたり、着色または彩色されたりしてもよい。不明瞭化層は、好ましくは、最も上位の裏打ち層B405と吸収材料B402の間に設けられるが、他の構成も可能である。
図B3Aおよび
図B3Bの横断面図は、マスキング層すなわち不明瞭化層B2107に関して、この構成を示す。他の層および他の創傷被覆材構成要素が、本明細書で説明する被覆材に組み込まれてもよい。
【0142】
不明瞭化層B404は、吸収材料B402の上に少なくとも部分的に位置付けることができる。いくつかの実施形態では、不明瞭化層B404は、裏打ち層に隣接して位置付けられてもよいし、または所望の他の任意の被覆材層に隣接して位置付けられてもよい。いくつかの実施形態では、不明瞭化層B404は、裏打ち層および/または吸収材料に接着されてもよいし、または裏打ち層および/または吸収材料と一体的に形成されてもよい。
【0143】
図B5Aに示されるように、不明瞭化層B404は、吸収材料B402と実質的に同じ周辺部の形状およびサイズを有することができる。吸収材料B402の全体が不明瞭化層B404によって不明瞭化できるように、不明瞭化層B404と吸収材料B402は等しいサイズであってよい。不明瞭化層B404は、創傷滲出液、血液、または創傷から放出された他の物質の不明瞭化を可能にすることができる。さらに、不明瞭化層B404は、完全にまたは部分的に不透明であってよく、切り抜かれた覗き窓または穿孔を有する。
【0144】
いくつかの実施形態では、不明瞭化層B404は、被覆材表面の部分的な不明瞭化またはマスクキングをもたらす材料を使用することによって、使用中の被覆材の見苦しい外観を軽減する助けとなることができる。不明瞭化層B404は、一実施形態では、被覆材表面にわたって滲出液の拡散を観察することによって臨床医が必要とする情報を入手することを可能にするように、被覆材を部分的にのみ不明瞭にする。不明瞭化層のこの実施形態の部分的マスキング性によって、熟練した臨床医が被覆材内の滲出液、血液、副産物などによって生じる異なる色を知覚することが可能になり、被覆材にわたる拡散の範囲の視覚的評価および監視を可能にする。しかし、その清浄な状態から滲出液を含む状態への被覆材の色の変化は、わずかな変化にすぎないので、患者が審美面での違いについて気付く可能性は低い。創傷滲出液の視覚的インジケータを減少させるかまたは患者の創傷からなくすと、患者の健康に良い効果をもたらす可能性が高く、たとえばストレスが軽減される。
【0145】
いくつかの実施形態では、不明瞭化層は、不織布(たとえばポリプロピレン)から形成することができ、19%の結合領域を有するダイヤモンドパターンを使用して熱により結合されてもよい。さまざまな実施形態では、不明瞭化層は疎水性であってもよいし、または親水性であってもよい。適用例に応じて、いくつかの実施形態では、親水性不明瞭化層は、付加された水蒸気透過性を提供することができる。しかし、いくつかの実施形態では、疎水性不明瞭化層は、依然として、十分な水蒸気透過性(すなわち、適切な材料の選択、不明瞭化層の厚さによって)を提供することができ、一方ではまた、不明瞭化層における染料または色のより良い保持を可能にする。したがって、染料または色は、不明瞭化層の下方に閉じ込められ得る。いくつかの実施形態では、これによって、より明るい色または白色で不明瞭化層を着色することが可能になり得る。好ましい実施形態では、不明瞭化層は疎水性である。いくつかの実施形態では、不明瞭化層材料は、エチレンオキシドを使用して滅菌可能とすることができる。他の実施形態は、ガンマ線照射、電子ビーム、蒸気、または他の代替滅菌方法を使用して滅菌され得る。さらに、さまざまな実施形態では、不明瞭化層は、たとえば医療用ブルー(medical blue)で、着色または彩色することができる。不明瞭化層は、より強い未着色層に積層または溶解された着色層を含む、複数の層から構築されてもよい。好ましくは、不明瞭化層は無臭であり、繊維の最小の脱落を示す。
【0146】
吸収性層B402自体は、いくつかの実施形態では、着色または彩色され得るが、したがって、不明瞭化層は必要ではない。被覆材は、任意選択で、頂面を部分的に不明瞭化する手段を含んでよい。このことは、吸収性構造から流体を蒸発させることが依然として可能であるならば、開口部のないテキスタイル(編みテキスタイル、織りテキスタイル、または不織テキスタイル)層を使用しても達成することができる。このことは、それぞれ適切なインクまたは着色パッド構成要素(ヤーン、糸、コーティング)を使用して頂部フィルムまたは最上位パッド構成要素の頂面に不明瞭化パターンを印刷することによっても達成することができる。このことを達成する別の方法は、(たとえば窓を通して)被覆材の状態を検査するために臨床医によって一時的に開放され、創傷の環境を損なうことなく再び閉じることができる完全に不透明な頂面を有する。
【0147】
さらに、
図B5Aは、1つまたは複数の覗き窓403を含む創傷被覆材の一実施形態を示す。1つまたは複数の覗き窓B403は、好ましくは、不明瞭化層B404を通って延在する。これらの覗き窓B403は、不明瞭化層の下の吸収材料内の創傷滲出液が臨床医または患者によって見えるようにすることを可能にすることができる。
図B5Aは、創傷被覆材の不明瞭化層B404内の覗き窓B403として働くことができる(たとえば、1つまたは複数の平行な列をなす)ドットの配列を示す。好ましい一実施形態では、2つ以上の覗き窓B403は、被覆材B400の1つまたは複数の側面と平行であってよい。いくつかの実施形態では、1つまたは複数の覗き窓は、0.1mmから20mmの間、好ましくは0.4mm〜10mm、さらにより好ましくは1mm〜4mmであり得る。
【0148】
覗き窓B403は、不明瞭化層B404を貫通してもよいし、または不明瞭化層B404の未着色区域の一部であってもよく、したがって、吸収材料B402の可視化を可能にすることができる。1つまたは複数の覗き窓B403は、不明瞭化層B404全体に反復パターンに配列されてもよいし、または不明瞭化層全体にランダムに配列されてもよい。さらに、1つまたは複数の覗き窓は、円形形状すなわちドットとすることができる。いくつかの実施形態では、流体のレベルがポートB406の近位の流体を飽和させると、被覆材の性能が悪影響を受けることがあるので、好ましくは、1つまたは複数の覗き窓B403は、飽和度だけでなく、流体ポートB406の方への流体の前進または拡散も可能にするように構成される。いくつかの実施形態では、ポートB406のまわりに放射する覗き窓B403の「星形」配列は、この前進を示すのに適切である場合があるが、もちろん、他の構成も可能である。
【0149】
図B5Aでは、覗き窓B403は、不明瞭化層B404によって覆われていない吸収材料B402の区域に対応する。したがって、吸収材料B402は、この区域では裏打ち層B405のすぐ隣にある。不明瞭化層B404は、部分的な不明瞭化層として作用するので、覗き窓B403は、被覆材全体にわたる創傷滲出液の拡散状態を評価するために臨床医または訓練を受けた他の使用者によって使用されてよい。いくつかの実施形態では、覗き窓B403は、ドットまたは三日月形の切り抜きの配列を備えることができる。たとえば、覗き窓B403としてのドットの配列が、
図B5A〜
図B5F、
図B6A〜
図B6F、
図B7A〜
図B7F、
図B8A〜
図B8F、
図B9A〜
図B9F、
図B10A〜
図B10F、
図B11A〜
図B11F、および
図B12A〜
図B12Fに示されており、これらの図では、ドットの配列は、それぞれ5×2、3×2、8×1、5×1、3×1、3×3、3×3、および五点形の配列に配列されている。さらに、いくつかの実施形態では、ドットパターンは、不明瞭化層の全体にわたって、不明瞭化層の面全体またはほぼ全体にわたって均等に分散されてよい。いくつかの実施形態では、覗き窓B403は、不明瞭化層全体にわたってランダムに分散され得る。好ましくは、1つまたは複数の覗き窓B403によって覆われていない不明瞭化層B404の区域は、被覆材B400および/または吸収材料B402の検査を可能にしながら滲出液の出現を最小限に抑えるようにバランスがとられている。いくつかの実施形態では、1つまたは複数の覗き窓B403によって露出させられる面積は、不明瞭化層B404の面積の20%、好ましくは10%、さらにより好ましくは5%を超えない。
【0150】
覗き窓B403は、
図B16〜
図B18に関して説明するように、いくつかの構成を取ることができる。
図B17では、覗き窓B403は、不明瞭化層B404へと形成された規則的に間隔のあいた未着色ドット(穴)の配列を備えることができる。ここで示されているドットは特定のパターンをなしているが、ドットは、異なる構成に配列されてもよいし、またはランダムに配列されてもよい。覗き窓B403は、好ましくは、患者または介護者が吸収性層のステータスを確認するように、特にその飽和レベルならびに滲出液の色(たとえば、過剰な血液が存在するかどうか)を判断するように構成される。1つまたは複数の覗き窓を有することによって、吸収性層のステータスは、患者にとって審美的に不愉快でない目立たない方法で判断することができる。吸収性層の大部分は不明瞭にされ得るので、したがって、滲出液の総量が隠されることがある。したがって、吸収性層B402のステータスおよび飽和レベルは、患者の困惑および可視性を低下させ、それによって患者の快適さを高めるように、より目立たない外観を提示することができる。いくつかの構成では、1つまたは複数の覗き窓B403を使用して、被覆材B400の飽和度の数値的な評価を提供することができる。このことは、電子的に(たとえば、デジタル写真評価を介して)行われてもよいし、手動で行われてもよい。たとえば、飽和度は、滲出液または他の創傷流体によって不明瞭になるまたは彩色され得る覗き窓B403の数を計数することによって監視され得る。
【0151】
いくつかの実施形態では、吸収性層B402または不明瞭化層B404、特に吸収性層の着色部分は、補助化合物の存在を含む(または、このために着色される)ことができる。補助化合物は、いくつかの実施形態では、臭気を吸収する作用をすることができる活性炭であってよい。抗菌薬、抗真菌薬、抗炎症薬、および他のそのような治療用化合物の使用も可能である。いくつかの実施形態では、色は、被覆材が飽和した場合、または被覆材が特定量の有害物質を吸収した場合(たとえば、感染病原体の存在を示すために)、(たとえば、被覆材をいつ交換する必要があるかを示すために)時間の関数として変化してもよい。いくつかの実施形態では、1つまたは複数の覗き窓B403は電子的に監視されてよく、患者または医師に被覆材B400の飽和レベルを知らせるためにコンピュータプログラムまたはシステムとともに使用されてよい。
【0152】
図B16は、商標登録された商標名(「PICO」)の形状をした覗き窓を含むドレッシング材の一実施形態を示す。
図B18は、ロゴ、ここではSmith & Nephewのロゴの形状をした覗き窓を備えるドレッシング材の一実施形態を示す。もちろん、他のグラフィックス、テキスト、または設計を含む、多くの他の構成が可能である。覗き窓に存在するグラフィックス要素またはテキスト要素は、たとえば、教育的な性質であってもよい。
【0153】
他の代替形態では、滲出液が、創傷被覆材縁部から5mmまたは創傷被覆材縁部から7mmなど、創傷被覆材の縁部から所定の距離に達すると、創傷被覆材を交換する指示が与えられてもよい。あるいは、電子インジケータが被覆材中の滲出液の拡散状態を示す緑色ライト、黄色ライト、または赤色ライトを示す「交通信号」システムが実施されてもよい。代替または追加として、被覆材の上の滲出液の拡散状態を示す別の適切なインジケータが使用されてもよい。
【0157】
図B7A〜
図B7Fはそれぞれ、創傷被覆材B400の一実施形態の斜視図、上面図、底面図、正面図、背面図、および側面図を示す。いくつかの実施形態では、被覆材は400mm×100mmであってよい。
図B7A〜
図B7Fの創傷被覆材B400は、
図B7A〜
図B7Fの実施形態が異なるサイズであることを除いて、
図B5A〜
図B5Fに関して上記で説明した類似の構成および構成要素を有することができる。さらに、
図B5A〜
図B5Fの実施形態とは対照的に、
図B7A〜
図B7Fの実施形態は、ドットの8×1配列を備える覗き窓構成を備える。
【0158】
図B8A〜
図B8Fはそれぞれ、創傷被覆材B400の一実施形態の斜視図、上面図、底面図、正面図、背面図、および側面図を示す。いくつかの実施形態では、被覆材は300mm×100mmであってよい。
図B8A〜
図B8Fの創傷被覆材B400は、
図B8A〜
図B8Fの実施形態が異なるサイズであることを除いて、
図B5A〜
図B5Fに関して上記で説明した類似の構成および構成要素を有することができる。さらに、
図B5A〜
図B5Fの実施形態とは対照的に、
図B8A〜
図B8Fの実施形態は、ドットの5×1配列を備える覗き窓構成を備える。
【0159】
図B9A〜
図B9Fはそれぞれ、創傷被覆材B400の一実施形態の斜視図、上面図、底面図、正面図、背面図、および側面図を示す。いくつかの実施形態では、被覆材は200mm×100mmであってよい。
図B9A〜
図B9Fの創傷被覆材B400は、
図B9A〜
図B9Fの実施形態が異なるサイズであることを除いて、
図B5A〜
図B5Fに関して上記で説明した類似の構成および構成要素を有することができる。さらに、
図B5A〜
図B5Fの実施形態とは対照的に、
図B9A〜
図B9Fの実施形態は、ドットの3×1配列を備える覗き窓構成を備える。
【0160】
図B12A〜
図B12Fはそれぞれ、創傷被覆材B400の一実施形態の斜視図、上面図、底面図、正面図、背面図、および側面図を示す。いくつかの実施形態では、被覆材は150mm×150mmであってよい。
図B12A〜
図B12Fの創傷被覆材B400は、
図B12A〜
図B12Fの実施形態が異なるサイズであることを除いて、
図B5A〜
図B5Fに関して上記で説明した類似の構成および構成要素を有することができる。さらに、
図B5A〜
図B5Fの実施形態とは対照的に、
図B12A〜
図B12Fの実施形態は、ドットの五点形配列を備える覗き窓構成を備える。ドットの五点形配列構成は、十字に配列された5つのドットからなり、ドットのうち4つは、1つのドットが正方形形状または長方形形状の創傷被覆材の4つの隅部のそれぞれに位置付けられた正方形または長方形を形成し、第5のドットは中央にある。ただし、創傷被覆材の1つの隅部は、好ましくは、五点形ドット配列内のドットの代わりに流体コネクタまたはポートB406を有する。
【0161】
図B10A〜
図B10Fはそれぞれ、創傷被覆材B400の一実施形態の斜視図、上面図、底面図、正面図、背面図、および側面図を示す。いくつかの実施形態では、被覆材は250mm×250mmであってよい。
図B10A〜
図B10Fの創傷被覆材B400は、
図B10A〜
図B10Fの実施形態が異なるサイズであることを除いて、
図B5A〜
図B5Fに関して上記で説明した類似の構成および構成要素を有することができる。さらに、
図B5A〜
図B5Fの実施形態とは対照的に、
図B10A〜
図B10Fの実施形態は、ドットの3×3配列を備える覗き窓構成を備え、創傷被覆材の隅部位置にドットがなく、その代わりにドーム形のポートまたは流体コネクタB406があり、3×3配列を完成させる。
【0162】
図B11A〜
図B11Fはそれぞれ、創傷被覆材B400の一実施形態の斜視図、上面図、底面図、正面図、背面図、および側面図を示す。いくつかの実施形態では、被覆材は200mm×200mmであってよい。
図B11A〜
図B11Fの創傷被覆材B400は、
図B11A〜
図B11Fの実施形態が異なるサイズであることを除いて、
図B5A〜
図B5Fに関して上記で説明した類似の構成および構成要素を有することができる。さらに、
図B5A〜
図B5Fの実施形態とは対照的に、
図B11A〜
図B11Fの実施形態は、ドットの3×3配列を備える覗き窓構成を備え、創傷被覆材の隅部位置にドットがなく、その代わりにドーム形のポートまたは流体コネクタがあり、3×3配列を完成させる。
【0164】
図B13A、
図B13B、および
図B14は、ポートに、ポートの近くに、またはポートに隣接して、1つまたは複数のオリフィス覗き窓B502を備える被覆材B500の実施形態を示す。オリフィス覗き窓B502は、裏打ち層内のポートB504に、ポートB504の近くに、ポートB504に隣接して設けられ、ポートB504の近傍に存在する吸収材料B503を見ることができるようになる。オリフィス覗き窓B502は、本明細書で説明する覗き窓と同じ構造および/または機能を有することができる。いくつかの実施形態では、オリフィス覗き窓B502は、不明瞭化層内の十字形またはマルタ十字形の開口すなわち切り抜きB501から形成することができる。十字形切り抜きB501のアームは、
図B13Aに示される吸収材料B503の長手方向長さおよび横方向幅と位置合わせすることができる。あるいは、十字形切り抜きB501のアームは、
図B13Bに示されるように、ある角度で、たとえば45°の角度で、吸収材料の長手方向長さおよび横方向幅からずれることができる。十字形切り抜きのアームは、切り抜きB501の下の吸収材料の穴よりも大きい寸法であってもよい。たとえば、アームは約25mmの寸法であってよく、吸収材料の貫通穴は10mmの直径を有してよい。
【0165】
さらに、
図B14は、十字形開口のアームがフレア縁部B601を有することができる創傷被覆材B600の一実施形態を示す。ポートB604にある、ポートB604の近くの、またはポートB604に隣接するオリフィス覗き窓B502を使用して、流体がポートB604に接近していること、または被覆材B600が他の方法で飽和しつつあることを示してよい。このことは、臨床医または患者が被覆材を創傷被覆材を維持し、いつ交換すべきかを決定する助けとなることができる。というのは、流体がポートの中心と接触すると、そのような流体接触によって、ポートの中に収容され得る疎水性フィルタが少なくとも部分的に閉塞し、陰圧を加えることを中断するまたはそれを少なくとも部分的に妨害するようになることがある。オリフィス覗き窓B502は、流体コネクタならびにドーム形のポートまたは他の任意の適切なコネクタとともに使用されてよい。
【0166】
図B15Aおよび
図B15Bと同様に、創傷被覆材は、被覆材が非平面状区域に適合するのを助ける1つまたは複数のスリットB2150も備えることができる。
図B15Aは、狭い中央部分すなわちくびれた部分B2120および同心スリットB2150を有する創傷被覆材B2100の一実施形態を示す。この実施形態は、たとえば、足、膝、仙骨部、または他のそのような区域を含む、非平面状面または起伏のある創傷上での創傷の治療に有用な場合がある。いくつかの実施形態では、創傷被覆材B2100は、被覆材の適合性を高め得る、被覆材、好ましくは吸収性層へと切り込まれた1つまたは複数のスリットB2150を提供することができる。この実施形態では、スリットB2150は同心の卵形円弧に切断されるが、他の構成(以下で説明する)も可能である。好ましくは、デバイスの上に配設されたポートB2130または流体コネクタの下の区域にはスリットB2150がない。というのは、スリットB2150が、被覆材からの流体輸送と干渉することがあるからである。いくつかの実施形態では、スリットB2150は、創傷滲出液を分散させる助けとなり得るように吸収性層内に存在してよいバッフルの一部として、バッフルに加えて、またはバッフルの代わりに形成されてよい。これらの実施形態では、本明細書で説明するすべての他の実施形態とともに、ドーム形のコネクタが被覆材に取り付けられるように示されているが、これは、たとえば
図B23および
図B23Bに記載されている流体コネクタの実施形態(以下で説明する)を含む、他の任意の適切なコネクタと交換されてもよい。
【0167】
図B15Bは、狭い中央部分B2120を有する創傷被覆材B2100の一実施形態を示す。しかし、ここでは、被覆材の幅にわたって延在する1つまたは複数のスリットB2150が存在してよい。好ましくは、これらのスリットB2150は、吸収性層内の流体輸送を促進するために、被覆材の幅にわたって全体的に延在しない。スリットB2150は、場合によっては被覆材のくびれた構成とともに、非平面状の創傷区域または起伏のある創傷区域に適用されたとき、被覆材の適合性を高めることができる。たとえば、そのような被覆材B2100は、腕または脚に巻き付くように適用されるときに有用な場合がある。
【0168】
図B23Aおよび
図B23Bはそれぞれ、本明細書で説明する創傷被覆材の一実施形態を陰圧源に接続するために使用され得る白色流体コネクタB2410および黒色流体コネクタB2420の実施形態を示す。いくつかの実施形態では、(たとえば、上記で
図B1において示されるような)本明細書で説明する他の実施形態で使用されるドーム形のポートは、たとえば
図B16〜
図B19に示されるように、流体コネクタB2410、B2420によって置き換えられてよい。流体コネクタB2410、B2420は、可撓性であってよく、かつ/または患者の快適さを高めてよい。流体コネクタB2410、B2420は、好ましくは、たとえば陰圧および/または創傷滲出液を含む流体をそれ自体に通すように構成された流体コネクタ本体を備える。流体コネクタ本体は、好ましくは、流体不透過性材料の1つまたは複数の層の中に包まれる。いくつかの実施形態では、流体不透過性材料は、流体コネクタ本体を囲むように一緒にヒートシールされる。
【0169】
ここで
図B23Aを参照すると、流体コネクタB2410の本体は、好ましくは、3D布地などの布地を含む、流体をそれに通すように構成された材料から構築される。いくつかの実施形態では、流体コネクタ本体の厚さは、0.5から4mm、好ましくは0.7から3mm、さらにより好ましくは1から2mmの間であってよい。好ましい一実施形態では、流体コネクタ本体は1.5mmの厚さである。3D布地を含む、流体コネクタ本体に使用されてよい適切な材料は、2011年12月30日に出願され、US2012/0116334として公開された、「APPARATUSES AND METHODS FOR NEGATIVE PRESSURE WOUND THERAPY」という名称の米国特許出願第13/381,885号に開示されており、この出願は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。流体コネクタ本体で3D布地を使用することは、コネクタがねじれているときに流体の妨害を緩和する助けとなることがあり、たとえば患者の体重が流体コネクタに押し付けられているときに、患者の接点圧力を軽減する軟性流体コネクタをさらに提供することがある。このことが、患者の快適さを高め、褥瘡性潰瘍の可能性を低下させ得る。
【0170】
3D布地を含む流体コネクタの実施形態に関するさまざまな構成におけるさまざまな重量の試験が終了した。いくつかの研究で、被覆材を使用する患者の踵における最大圧力は1.3kg/cm
2であるとわかったので、試験は、患者が経験する可能性が高いと考えられる重量よりも重い重量を含んだ。好ましくは、本明細書で説明する流体コネクタの実施形態は、特に3D布地を含むとき、ある重量が流体コネクタを押す間、陰圧の治療レベル(すなわち、創傷を治癒するのに十分な量で)を伝えることができる。たとえば、実施形態は、好ましくは、被覆材および/または3D布地に加えられる外圧が最大1kg/cm
2、好ましくは最大2kg/cm
2、さらにより好ましくは最大4kg/cm
2である間、陰圧の治療レベルを伝えることが可能である。特定の実施形態、以下で説明するように、被覆材および/または3D布地に加えられる外圧が6kg/cm
2を越える間、陰圧の治療レベルを伝えることが可能であるように試験されている。
【0171】
試験では、400mlの創腔を使用し、創傷およびポンプの両方における圧力を測定した。3D布地を含む流体コネクタの実施形態を平らに置いて、ある重量をその上にかけたときに試験した。試験から、圧力が流体コネクタに加えられていないとき、ポンプにおける圧力と空洞における圧力の圧力差は約2mmHgであることが示された。2から12kg/cm
2にわたって2kg刻みでさまざまな異なる重量を加え、結果として得られる圧力差はほぼ線形であり、12kg/cm
2における圧力差は33mmHgと計算され、2kg/cm
2における圧力はわずか16mmHgと計算された。mmHg単位の圧力差の関係は、kg/cm
2単位の加えられた荷重のほぼ4.5倍に等しいことがわかった。試験からは、5分後のポンプにおける圧力と創傷における圧力の相対的な圧力差は、4kg/cm
2未満の荷重に対してポンプにおいて測定したとき、10mmHg未満であり、4kg/cm
2未満の荷重に対して創傷において測定したとき、20mmHg未満であることも示された。
【0172】
試験はまた、90°の角度で曲げられながら、流体コネクタの一実施形態の上に置かれた重量も用いて実行された。2から12kg/cm
2にわたって2kg刻みでさまざまな異なる重量を加え、結果として得られる圧力差はほぼ線形であり、12kg/cm
2における圧力差は51mmHgと計算され、2kg/cm
2における圧力は17mmHgと計算された。mmHg単位の圧力差の関係は、kg/cm
2単位の加えられた荷重のほぼ8倍に等しいことがわかった。試験からは、5分後のポンプにおける圧力と創傷における圧力の相対的な圧力差は、4kg/cm
2未満の荷重に対してポンプにおいて測定したとき、ほぼ20mmHgであり、4kg/cm
2未満の荷重に対して創傷において測定したとき、30mmHg未満であることも示された。
【0173】
さらなる試験が、180°の角度で曲げられ(すなわち、それ自体の上に折りたたまれ)ながら、流体コネクタの一実施形態の上に置かれた重量も用いて実行された。2から12kg/cm
2にわたって2kg刻みでさまざまな異なる重量を加え、結果として得られる圧力差はほぼ線形であり、12kg/cm
2における圧力差は76mmHgと計算され、2kg/cm
2における圧力は25mmHgと計算された。mmHg単位の圧力差の関係は、kg/cm
2単位の加えられた荷重のほぼ10.7倍に等しいことがわかった。試験からは、5分後のポンプにおける圧力と創傷における圧力の相対的な圧力差は、4kg/cm
2未満の荷重に対してポンプにおいて測定したとき、20mmHg未満であり、4kg/cm
2未満の荷重に対して創傷において測定したとき、30mmHg未満であることも示された。
【0174】
試験はまた、本明細書で説明する流体コネクタの実施形態で使用され得る3D布地の異なる幅および厚さに対しても実行された。特定の例では、幅において1、1.25、1.5、1.75、および2cmである3D布地を使用して加えることができる最大陰圧はそれぞれ、85から92mmHgの間であることがわかった。ただし、1kg/cm
2の印加荷重を加えたとき、1cm幅の実施形態に加えられる最大陰圧は75mmHgに低下したが、1.25および1.5cm幅の実施形態は本質的に変化せず、85から90mmHgの間の圧力を示した。1kg/cm
2の重量を加えると、1cm幅の実施形態の最大陰圧は約73mmHgに低下し、1.25cm幅の実施形態では約84mmHgに低下した。1.5cm幅の実施形態は、最小最大陰圧変化が約86mmHgに低下することを示した。試験のとき、流量の最大の増加(加えられる最大陰圧によって立証される)は、1cmから1.25cmに3D布地の幅を増加させたときに最大であり、1.5cmを超えると安定した。同様に、3D布地の幅を増加させる(すなわち、1cmを超える)と、創腔を目標陰圧にポンピングするために必要な時間の量がやや減少することがわかった。
【0175】
単一の厚さまたは2倍の厚さのどちらかである、Baltex 3540 3D布地の単一層および二重層を用いたさらなる試験から、単一の厚さの布地を使用して加えられた最大陰圧は、重量を加えないときの約88mmHgから、2kg/cm
2の重量を加えたときの約73mmHgに低下することが示された。しかし、2倍の厚さの布地では、加えられた陰圧の最大量の最小変化は、重量を加えないときの90mmHgから、2kg/cm
2の重量を加えたときの約87mmHgに低下することが示された。
【0176】
特定の適用例に応じて、より広いおよび/またはより厚い3D布地を使用することによって、状況によっては、より高い圧力およびねじれ抵抗とともに気流の改善が可能になることがある。このことは、特に、より高い絶対陰圧を創傷に加える必要がある場合に有用であり得る。しかし、より大きなねじれおよび圧力抵抗が、流体コネクタの知覚される嵩およびサイズ、美しさ、ならびに快適さなどの他の関心事とのバランスをとる必要がある場合があり、これによって、より薄い3D布地を使用することが必要とされる場合がある。
【0177】
いくつかの実施形態では、流体コネクタB2410の近位端B2411は、流体コネクタ本体を介して陰圧源と流体連通するチューブまたは他の導管に接続されるように構成されるが、いくつかの実施形態は、従来のチューブを必要とすることなく陰圧源に直接接続可能な流体コネクタB2410を提供することができる。流体コネクタB2410の遠位端B2412は拡張されてよく、たとえば被覆材の裏打ち層内および/または流体コネクタB2410内の開口を介して、被覆材に取り付けられるかつ/または被覆材に接着されるように構成され、したがって流体コネクタ本体は流体コネクタB2410と流体連通する。
【0178】
一構成では、
図B23Aに示されるように、流体コネクタB2410の遠位端B2412は、一方の側では凸状であってよく、他方の側では平坦であってよい。以下で
図B16〜
図B18に示されるように、平坦な側は吸収性層の縁部と位置合わせされてよく、凸状側は裏打ち層内の開口の上に延在する。流体コネクタB2410は、被覆材部分にあらかじめ取り付けられて設けられてもよいし、または患者または介護者によって被覆材部分に接続可能であるように、取り付けられていない形態で設けられてもよい。拡張遠位端B2412は、被覆材に陰圧を伝えることが可能な面積の拡大を提供する助けとなり得るが、遠位端は、拡張なしで設けられてもよい。流体コネクタB2410の好ましい実施形態が、吸収材料内の創傷滲出液を実質的にすべて収容した被覆材において使用されており、したがって流体コネクタは本質的に空気のみを伝えるが、流体コネクタのいくつかの実施形態は、空気に加えて滲出液を輸送するように構成され得る。(創傷滲出液は実質的に吸収材料内にあるままでありながら)本質的に空気のみを輸送するように構成された流体コネクタの実施形態では、流体コネクタの遠位端は、好ましくは、疎水性フィルタなどの、それ自体を越える流体輸送を妨害するように構成されたフィルタを備える。そのような構成の一例が、2012年5月23日に出願された、「APPARATUSES AND METHODS FOR NEGATIVE PRESSURE WOUND THERAPY」という名称の米国仮出願第61/650,904号に記載されており、この出願は、その全体が参照により本出願に組み込まれる。
【0179】
空気に加えて滲出液を輸送するように構成された流体コネクタの実施形態では、流体コネクタは、周囲空気の創傷部位への流れを提供するように構成された二次空気漏れチャネルを備えることができる。好ましくは、この二次空気漏れチャネルは、創傷の汚染を防止するためにフィルタを備える。
【0180】
次に
図B23Bを参照すると、この図は、
図B23Aに類似した一実施形態を示すが、この図では、たとえば先に説明した不明瞭化層に類似した不明瞭化層の結果、流体コネクタB2420が着色されているように見えてもよい。いくつかの実施形態では、色合いの不明瞭化が、流体コネクタB2420に使用される材料、たとえばその中に使用され得る3D布地を染色することによって提供されてよい。いくつかの実施形態では、不明瞭化層は、3D布地の上方で、流体不透過性材料の上方または下方のどちらかに設置されてよい。いくつかの実施形態では、囲まれている流体不透過性材は、着色または彩色されてよい。流体コネクタB2420を(たとえば、不明瞭化層を介して)着色することによって、デバイスの審美的魅力が高まり、デバイスを偽装するまたはデバイスを目立たなくする(特に流体コネクタが他人に見えるとき)助けとなることができ、流体コネクタを使用して創傷から滲出液を輸送するとき、その中の滲出液の存在を隠すことができる。
【0181】
いくつかの実施形態では、流体コネクタ本体は、活性炭などの補助化合物の結果として着色され得る。さらに、いくつかの実施形態は、たとえば教育または広告の目的で、その上に印刷されるテキストまたは画像を提供することができる。そのような改善点は、患者の快適さを高め、当惑を最小限に抑え、それによって、患者の服薬遵守およびデバイスに対する満足感を増加させることができる。流体コネクタ内の不明瞭化層は、本明細書で説明する創傷被覆材の不明瞭化層に関して説明するすべての特徴を有することができる。
【0182】
図B17は、六角形の裏打ち層と吸収材料および不明瞭化層の3つの突出部を有する構成とを備える創傷被覆材B720の一実施形態を示す。この創傷被覆材B720は、本明細書で説明するいくつかの他の実施形態と同様に、有利には、創傷、または区域非平面状に配置される、創傷を取り囲む区域に適用され得る。ここで示される実施形態は、突き出ている身体部分、たとえば肘および踵に適用されるときに、特に有利な場合がある。
【0183】
図B18は、いくつかの点で
図B17に示される実施形態に類似した3つの突出部を有する構成を有する創傷被覆材B730を示す。ただし、ここでは、被覆材は小型化され、より丸い突起を備える。
図B16〜
図B18は、デバイスに取り付けられた
図B23Aおよび
図B23Bに記載されている流体コネクタに類似した流体コネクタB721、B731を示し、平坦な端部は吸収材料の縁部と位置合わせされ、凸状の端部は裏打ち層内の開口の上に延在する。この流体コネクタは、快適さを高め、創傷または(上記で説明したように)創傷を取り囲む皮膚上への従来のチューブの圧力の増大から発生し得る褥瘡性潰瘍または他の合併症を防止することができる。もちろん、
図B1に示されるドーム形のポートなどの異なるコネクタが使用されてもよい。
【0184】
図B19〜
図B20も、吸収材料の3つの突出部を有する構成と六角形の裏打ち層とを有する創傷被覆材B740、B750の追加の実施形態を示す。吸収材料の突出部がフレア端部を備える
図B20に示される創傷被覆材B750は大きく、
図B19に示される創傷被覆材B740は小さく、吸収材料はフレア端部を持たない。すべての適切な流体コネクタまたは導管が使用されてよく、
図B20のドーム形のポートコネクタが
図B19の流体コネクタの代わりに使用されてよく、その逆も同様である。先行する実施形態と同様に、吸収性層は着色されてもよいし、または不明瞭にされてもよく、1つまたは複数のスリットが吸収性層上に形成され、非平面状面に対する適合性を高めてもよい。
図B17〜
図B20の実施形態では、突出部の数が変化してもよく、裏打ち層は他の形状を有することができ、六角形に限定されないことが理解されるであろう。
【0185】
さらに、
図B21A〜
図B21Cおよび
図B22は、4つの突出部を有する構成を備える創傷被覆材B760、B770、B780、B790の実施形態を示す。これらの実施形態は、それに取り付けられたポートまたは流体コネクタなしで示されているが、もちろん、そのようなポートおよび流体コネクタが想定され、本明細書で先に説明したものと類似の様式で取り付けられてよいことが理解されよう。
図B21A〜
図B21Cは、不明瞭化層とこの不明瞭化層を通って延在する覗き窓とを備える4つの突出部を有する創傷被覆材の実施形態を含む。覗き窓は、上記で説明したように、吸収性層内の創傷滲出液を可視化するために使用することができる。そのような覗き窓の例が
図B21Aおよび
図B21Bに示されている。
図B21Aに示される被覆材B760は、不明瞭化層B762と、この不明瞭化層に設けられ、この不明瞭化層を通って延在し、この不明瞭化層の下方に被覆材が見えることを可能にする三日月形の覗き窓B764とを含む。
図B21Bの被覆材B770は、不明瞭化層B772と、不明瞭化層B772の下方の被覆材の状態を見るための覗き窓として作用するいくつかの穴B774とを含む。
図B21Cは、覗き窓B784を有する不明瞭化層B782を含む別の被覆材B780を示す。被覆材B760、B770、B780では、被覆材の上および被覆材の縁部の方への滲出液の拡散の進行を監視することができる。
【0186】
図B22は、4突出部構成の一実施形態による創傷被覆材B790の一実施形態の斜視図を示す。
図B22は、各層がパッド縁部の迎え角を減少させ、かつ被覆材のやや独立して動く小区分を提供するような形状にされる、身体の動きとの適合性を高めるのに有用な被覆材の可能な4突出部構成を示す。創傷接触層B791と裏打ち層B792とを含む被覆材境界は、必要に応じて境界同士を重ね合わせることによって貼付時の適合性をさらに高めるように設けられたスリットも備えることができる。4突出部構成ならびに他の構成を有する創傷被覆材は、2012年7月12日に出願され、2013年1月17日にWO 2013/007973 A2として公開された、「WOUND DRESSING AND METHOD OF TREATMENT」という名称の国際出願PCT/GB2012/000587に詳細に記載されており、この出願は参照により本明細書に組み込まれる。
【0187】
さらに、
図B24A〜
図B24Fは、卵形の吸収性層B2308が複数の突出部B2301を有する創傷被覆材B2300の一実施形態を示す。
図B24A〜
図B24Fはそれぞれ、被覆材B2300の一実施形態の斜視図、上面図、底面図、左側面図(left)、右側面図(right)、および側面図を示す。いくつかの実施形態では、吸収性層B2308は6つの突出部を有することができる。好ましくは、2つ以上の突出部B2301(たとえば、6つの突出部)が創傷被覆材B2300上に設けられる。突出部B2301、具体的には突出部B2301間の間隙は、創傷被覆材B2300が非平面状創傷に適合する助けとなる。たとえば、被覆材B2300を使用して、肘および膝などの関節のまわりに合致することが有利な場合がある。
【0188】
被覆材B2300は、長方形または正方形の裏打ち層B2302を有することができ、いくつかの実施形態では、全体的な被覆材B2300は190mm×230mmまたは145.5mm×190mmであってよい。好ましくは、ポートB2306などの流体コネクタは被覆材B2300に取り付けられるが、それの代わりに、またはそれに加えて、
図B23A〜
図B23Bの流体コネクタが使用されてよいことが認識されよう。さらに、いくつかの実施形態では、被覆材B2300は、不明瞭化層B2304と、本明細書で他の実施形態に関して説明した覗き窓に類似した1つまたは複数の覗き窓B2303とを有することができる。
図B24Aは被覆材B2300の斜視図を示し、
図B24Bは上面図を示し、B24Cは底面図を示し、
図B24D〜Fは被覆材B2300の4つの側面の図を表す。
【0189】
図B25は、形状および全体的な構成に関して上記で
図B7A〜
図B7Fにおいて示した実施形態に類似した一実施形態を示す。ただし、ここでは、被覆材B500は、
図B13A〜
図B13Bおよび
図B14に関して説明したオリフィス覗き窓に類似したオリフィス覗き窓B502を備える。オリフィス覗き窓B502は、好ましくは、不明瞭化層B506内の十字形またはマルタ十字形の開口すなわち切り抜きB501から形成される。不明瞭化層の上に設けられる裏打ち層B510は、好ましくは、オリフィス覗き窓B502の中心に配置されたオリフィスB505を有する。参照番号B504はまた、陰圧源への接続を提供するために裏打ち層B510内またはその上に設けられ得るポート、たとえば上記で説明したように裏打ち層内のオリフィスの上に設けられたポートを指定すると見なされ得る。より小さいオリフィスB505は、不明瞭化層B506の下に設けられた吸収性層B503に配置され得る。被覆材B500は、1つまたは複数の覗き窓B507を備えることができる。ここでは、8つの覗き窓B507が線形構成で設けられている。被覆材B500の底部側面は、任意選択で接着剤の層を備え、その上に剥離層B513が設置されてよい。線B512は、剥離ライナB513の切れ目が設けられ得る可能な場所を示す。
【0190】
好ましい一実施形態では、ここに示されている被覆材B500は、ほぼ400mmの長手方向長さと、ほぼ100mmの横方向幅とを有する。オリフィス覗き窓B502の切り抜きB501の各アームの中心軸は、好ましくは、図示のように、ある角度、たとえば45°の角度で、吸収材料の長手方向長さおよび横方向幅からずれている。切り抜きB501の各アーム間の間隔は、ここで示されているように、72°であってよいが、もちろん、他の角度および構成も可能であることが理解されよう。剥離ライナB513の切れ目が設けられ得る可能な場所を示す線B512が、たとえば、被覆材B500の頂部縁部および底部縁部のそれぞれから80mm、40±4mm、および25±4mmのところに配置可能である。図示のように、オリフィスまたはポートB504(および切り抜きB501)は、好ましくは、被覆材B500の横方向正中線を中心とし、被覆材B500の頂部縁部から約52〜55mmに位置する。その場所は変化させてもよいが、被覆材B500の側面、縁部、または隅部の近くに、またはこれに沿ってポートB504を設置することが好ましい場合があり、ポートB504は、次いで、被覆材の残りの部分に対して高いことが好ましい。この構成は、オリフィスまたはポートB504の下またはその近くで吸収性層を飽和させる際に流体が遅くなるので、被覆材の寿命を延長させることができる。
【0191】
図B26は、形状および全体的な構成に関して上記で
図B8A〜
図B8Fにおいて示した実施形態に類似した一実施形態を示す。ただし、ここでは、被覆材B500は、オリフィス覗き窓B502と切り抜きB501とを備え、さまざまな部品の中でも、たとえば5つの線形に配列された覗き窓B507を有し、オリフィス覗き窓B502と切り抜きB501は、
図B25に関して上記で説明したものに類似している。好ましい一実施形態では、ここに示されている被覆材B500は、ほぼ300mmの長手方向長さと、ほぼ100mmの横方向幅とを有する。切り抜きB501の各アーム間の間隔は、ここで示されているように、72°であってよいが、もちろん、他の角度および構成も可能であることが理解されよう。剥離ライナB513の切れ目が設けられ得る可能な場所を示す線B512が、たとえば、被覆材B500の頂部縁部および底部縁部のそれぞれから80mm、40±4mm、および25±4mmのところに配置可能である。図示のように、オリフィスまたはポートB504(および切り抜きB501)は、好ましくは、被覆材B500の横方向正中線を中心とし、被覆材B500の頂部縁部から約52〜55mmに位置する。
【0192】
図B27は、形状および全体的な構成に関して上記で
図B9A〜
図B9Fにおいて示した実施形態に類似した一実施形態を示す。ただし、ここでは、被覆材B500は、オリフィス覗き窓B502と切り抜きB501とを備え、たとえばさまざまな部品の中でも、
図B25に関して上記で説明したものに類似した3つの線形に配列された覗き窓B507を有する。好ましい一実施形態では、ここに示されている被覆材B500は、ほぼ200mmの長手方向長さと、ほぼ100mmの横方向幅とを有する。切り抜きB501の各アーム間の間隔は、ここで示されているように、72°であってよいが、もちろん、他の角度および構成も可能であることが理解されよう。剥離ライナB513の切れ目が設けられ得る可能な場所を示す線B512が、たとえば、被覆材B500の頂部縁部および底部縁部のそれぞれから80mm、40±4mm、および25±4mmのところに配置可能である。図示のように、オリフィスまたはポートB504(および切り抜きB501)は、好ましくは、被覆材B500の横方向正中線を中心とし、被覆材B500の頂部縁部から約52〜55mmに位置する。
【0193】
図B28は、形状および全体的な構成に関して上記で
図B5A〜
図B5Fにおいて示した実施形態に類似した一実施形態を示す。ただし、ここでは、被覆材B500は、オリフィス覗き窓B502と切り抜きB501とを備え、たとえばさまざまな部品の中でも、
図B25に関して上記で説明したものに類似した5つの線形に配列された覗き窓B507からなる2つの列を有する。好ましい一実施形態では、ここに示されている被覆材B500は、ほぼ300mmの長手方向長さと、ほぼ150mmの横方向幅とを有する。切り抜きB501の各アーム間の間隔は、ここで示されているように、72°であってよいが、もちろん、他の角度および構成も可能であることが理解されよう。剥離ライナB513の切れ目が設けられ得る可能な場所を示す線B512が、たとえば、被覆材B500の頂部縁部および底部縁部のそれぞれから80mm、40±4mm、および25±4mmのところに配置可能である。図示のように、オリフィスまたはポートB504(および切り抜きB501)は、好ましくは、被覆材B500の横方向正中線を中心とし、被覆材B500の頂部縁部から約52〜55mmに位置する。
【0194】
図B29は、形状および全体的な構成に関して上記で
図B6A〜
図B6Fにおいて示した実施形態に類似した一実施形態を示す。ただし、ここでは、被覆材B500は、オリフィス覗き窓B502と切り抜きB501とを備え、たとえばさまざまな部品の中でも、
図B25に関して上記で説明したものに類似した3つの線形に配列された覗き窓B507からなる2つの列を有する。好ましい一実施形態では、ここに示されている被覆材B500は、ほぼ300mmの長手方向長さと、ほぼ100mmの横方向幅とを有する。切り抜きB501の各アーム間の間隔は、ここで示されているように、72°であってよいが、もちろん、他の角度および構成も可能であることが理解されよう。剥離ライナB513の切れ目が設けられ得る可能な場所を示す線B512が、たとえば、被覆材B500の頂部縁部および底部縁部のそれぞれから80mm、40±4mm、および25±4mmのところに配置可能である。図示のように、オリフィスまたはポートB504(および切り抜きB501)は、好ましくは、被覆材B500の横方向正中線を中心とし、被覆材B500の頂部縁部から約52〜55mmに位置する。
【0195】
図B30は、形状および全体的な構成に関して上記で
図B10A〜
図B10Fにおいて示した実施形態に類似した一実施形態を示す。ただし、ここでは、被覆材B500は、オリフィス覗き窓B502と切り抜きB501とを備え、さまざまな部品の中でも、創傷被覆材の隅部位置に覗き窓のない覗き窓の3×3配列を有し、オリフィス覗き窓B502と切り抜きB501は、
図B25に関して上記で説明したものに類似しているが、被覆材B500の隅部に配置される。好ましい一実施形態では、ここで示されている被覆材B500はほぼ正方形であり、各側面はほぼ250mmである。切り抜きB501の各アーム間の間隔は、ここで示されているように、72°であってよいが、もちろん、他の角度および構成も可能であることが理解されよう。剥離ライナB513の切れ目が設けられ得る可能な場所を示す線B512が、たとえば、被覆材B500の頂部縁部および底部縁部のそれぞれから80mm、40±4mm、および25±4mmのところに配置可能である。図示のように、オリフィスまたはポートB504(および切り抜きB501)は、好ましくは、被覆材B500の隅部を中心とし、被覆材B500の頂部縁部から約52〜55mmに位置する。
【0196】
図B31は、形状および全体的な構成に関して上記で
図B11A〜
図B11Fにおいて示した実施形態に類似した一実施形態を示す。ただし、ここでは、被覆材B500は、オリフィス覗き窓B502と切り抜きB501とを備え、さまざまな部品の中でも、創傷被覆材の隅部位置に覗き窓のない覗き窓の3×3配列を有し、オリフィス覗き窓B502と切り抜きB501は、
図B25に関して上記で説明したものに類似しているが、被覆材B500の隅部に配置される。好ましい一実施形態では、ここで示されている被覆材B500はほぼ正方形であり、各側面はほぼ200mmである。切り抜きB501の各アーム間の間隔は、ここで示されているように、72°であってよいが、もちろん、他の角度および構成も可能であることが理解されよう。剥離ライナB513の切れ目が設けられ得る可能な場所を示す線B512が、たとえば、被覆材B500の頂部縁部および底部縁部のそれぞれから80mm、40±4mm、および25±4mmのところに配置可能である。図示のように、オリフィスまたはポートB504(および切り抜きB501)は、好ましくは、被覆材B500の隅部を中心とし、被覆材B500の頂部縁部から約52〜55mmに位置する。
【0197】
図B32は、形状および全体的な構成に関して上記で
図B12A〜
図B12Fにおいて示した実施形態に類似した一実施形態を示す。ただし、ここでは、被覆材B500は、オリフィス覗き窓B502と切り抜きB501とを備え、さまざまな部品の中でも、創傷被覆材の隅部位置に覗き窓のない覗き窓の五点形配列を有し、オリフィス覗き窓B502と切り抜きB501は、
図B25に関して上記で説明したものに類似しているが、被覆材B500の隅部に配置される。好ましい一実施形態では、ここで示されている被覆材B500はほぼ正方形であり、各側面はほぼ150mmである。切り抜きB501の各アーム間の間隔は、ここで示されているように、72°であってよいが、もちろん、他の角度および構成も可能であることが理解されよう。剥離ライナB513の切れ目が設けられ得る可能な場所を示す線B512が、たとえば、被覆材B500の頂部縁部および底部縁部のそれぞれから80mm、40±4mm、および25±4mmのところに配置可能である。図示のように、ポートB504(および切り抜きB501)は、好ましくは、被覆材B500の隅部を中心とし、被覆材B500の頂部縁部から約52〜55mmに位置する。
【0198】
図B33A〜
図B33Bは、形状および全体的な構成に関して上記で
図B24A〜
図B24Fにおいて示した実施形態にやや類似した一実施形態を示す。ただし、ここでは、卵形被覆材B500は、たとえさまざまな部品の中でも、
図B25に関して上記で説明したものに類似した、オリフィス覗き窓B502と切り抜きB501とを備える。覗き窓は示されていないが、上記で説明した一実施形態と同様に設けられてよい。好ましい一実施形態では、
図B33Aに示されている被覆材B500は、ほぼ250mmの長手方向長さと、ほぼ200mmの横方向幅とを有する。吸収性層B503(および、そのように設けられている場合、対応する不明瞭化層)の長手方向長さはほぼ200mmであり、ほぼ150mmの横方向幅を有する。
図33Bに示される被覆材B500は、ほぼ200mmの長手方向長さと、ほぼ150mmの横方向幅とを有する。吸収性層B503(および、そのように設けられている場合、対応する不明瞭化層)の長手方向長さはほぼ150 mmであり、ほぼ100 mmの横方向幅を有する。覗き窓B507は示されていないが、もちろん、1つまたは複数のそのような窓B507が被覆材B500上に設けられてもよいことが理解されよう。切り抜きB501の各アーム間の間隔は72°であってよいが、もちろん、他の角度および構成も可能であることが理解されよう。図示のように、オリフィスまたはポートB504(および切り抜きB501)は、好ましくは、被覆材B500の横方向正中線を中心とし、被覆材B500の頂部縁部から約52〜55mmに位置する。
【0199】
図B34Aは、局所陰圧閉鎖療法で使用するための被覆材B3400の分解組立図を示す。この図は、1つの特定の形状を有する被覆材を示しているが、層の構造は、
図B4A〜
図B14、
図B16〜
図B22、および
図B24A〜
図B33Bを含む、上記で識別した実施形態のいずれかに適用することができる。被覆材B3400は、剥離層B3480と、創傷接触層B3460と、透過層B3450と、取得分散層B3440と、吸収性層B3430と、不明瞭化層B3420と、裏打ち層B3410とを備える。被覆材B3400は、以下で
図B35および
図B36に関して説明するポートなどのポートに接続され得る。少なくとも、創傷接触層B3460、透過層B3450、吸収性層B3430、不明瞭化層B3420、および裏打ち層B3410は、以下で説明する性質だけでなく、または以下で説明する性質の代わりに、
図B3A〜
図B22および
図B24A〜
図B33Bの実施形態などの特定の実施形態に関して上記で説明した性質を有することができる。
【0200】
被覆材B3400は、患者の創傷区域を取り囲む健康な皮膚に対して被覆材B3400を密封するための創傷接触層B3460を備えることができる。創傷接触層の特定の実施形態は、3つの層、すなわちポリウレタンフィルム層と、下部接着層と、上部接着層とを備えることができる。上部接着層は被覆材B3400の完全性を維持する助けとなり得、下部接着層は、患者の創傷部位のまわりの健康な皮膚に対して被覆材B3400を密封するために用いられ得る。上記で説明したように、
図B3A〜
図B3Cに関するいくつかの実施形態では、ポリウレタンフィルム層のいくつかの実施形態は穿孔されてよい。ポリウレタンフィルム層および上部接着層および下部接着層のいくつかの実施形態は、接着層をポリウレタンフィルムに貼付した後でまとめて穿孔されてよい。いくつかの実施形態では、感圧接着剤は、シリコーン接着剤、ホットメルト接着剤、親水コロイド接着剤、またはアクリル系接着剤、または他のそのような接着剤であってよく、創傷接触層の両側に形成されてもよいし、または任意選択で、創傷接触層の選択された一方の側に形成されてもよい。特定の実施形態では、上部接着層はアクリル感圧接着剤を備えることができ、下部接着層はシリコーン感圧接着剤を備えることができる。他の実施形態では、創傷接触層B3460は接着剤を備えなくてもよい。いくつかの実施形態では、創傷接触層B3460は、透明であってもよいし、または半透明であってもよい。創傷接触層B3460のフィルム層は、長方形または正方形の形状を有する周辺部を画定することができる。剥離層B3480は、たとえば下部接着層を覆う創傷接触層B3460の下側面に着脱可能に取り付けられてよく、フラップB3481を使用して剥がされてよい。剥離層B3480のいくつかの実施形態は、層B3480の長さに沿って延在する複数のフラップを有することができる。
【0201】
被覆材B3400のいくつかの実施形態は、任意選択のスペーサ層すなわち透過層B3450を備えることができる。透過層B3450は、創傷部位から被覆材B3400の上部層に入る流体の通過を可能にするように構成された多孔性材料または3D布地を備えることができる。特に、透過層B3450は、吸収性層B3430がかなりの量の滲出液を吸収したときでも陰圧を創傷区域の上に伝達するように、開放された空気チャネルが維持可能であるようにすることができる。透過層B3450は、上記で説明したように陰圧創傷閉鎖療法中に加えられる通常の圧力の下で開放されたままになるべきであり、それによって創傷部位全体が等しい陰圧を受ける。
【0202】
透過層B3450のいくつかの実施形態は、三次元構造を有する材料から形成されてもよい。たとえば、編まれたスペーサ布もしくは織られたスペーサ布(たとえばBaltex7970横編みポリエステル)または不織布を使用することができる。いくつかの実施形態では、透過層B3450は、3Dポリエステルスペーサ布層を有することができる。この層は、テクスチャード加工ポリエステル84/144である頂部層と、100デニールの平坦なポリエステルとすることができる底部層と、これらの2つの層の間に挟まれて形成された、編まれたポリエステルビスコース、セルロースなどのモノフィラメント繊維によって画定される領域である第3の層とを有することができる。使用時は、この離間した層内のフィラメント数の差によって、液体が創床から被覆材B3400の中央領域へと吸い込まれ、吸収性層B3430が液体を保管する助けとなるか、またはそれ自体がカバー層の方へ前方へ液体を運び、カバー層B3410において液体を発散することができる。他の材料を利用することができ、そのような材料の例は、参照により本明細書に組み込まれ本開示の一部にされる米国特許公開第2011/0282309号に記載されている。ただし、透過層B3450は任意選択であってよく、たとえば、以下で説明する取得分散層B3440を備える被覆材B3400の実施形態では、任意選択であってよい。
【0203】
いくつかの実施形態は、創傷滲出液などの流体が被覆材B3400の層を通って上方向に吸収されるときに流体を水平方向に吸い上げる吸い上げ層すなわち取得分散層(ADL:acquisition distribution layer)B3440を備えることができる。流体を側方に吸い上げることによって、吸収性層B3430を通る流体の最大分散が可能になることができ、吸収性層B3430がその最大限の保持容量に到達することが可能になることができる。このことは、有利には、水蒸気の透過および陰圧の創傷部位への効率的な送達を増加させることができる。ADL B3440のいくつかの実施形態は、ビスコース、ポリエステル、ポリプロピレン、セルロース、ポリエチレン、またはこれらの材料のうちいくつかまたはすべての組み合わせを含むことができ、材料はニードルパンチされてもよい。ADL B3440のいくつかの実施形態は、40〜150グラム平方メートル(gsm)の範囲でポリエチレンを含むことができる。
【0204】
被覆材B3400は、吸収性層または高吸収性層B3430をさらに備えることができる。吸収性層は、ALLEVYN(商標)フォーム、Freudenberg 114-224-4、および/またはChem-Posite(商標)11C-450、または他の任意の適切な材料から製造することができる。いくつかの実施形態において、吸収剤層B3430は、繊維全体にわたって分散された乾燥粒子の形をした高吸収性吸収剤材料を有する不織セルロース繊維の層とすることができる。セルロース繊維を使用すると、被覆材によって取り込まれた液体をすばやく均等に分散させる助けとなる高速吸い上げ要素が導入される。複数のストランド状繊維を並置すると、繊維状パッド内で強力な毛管作用が生じ、液体を分散させる助けとなる。
【0205】
たとえば、吸収性層B3430のいくつかの実施形態は、不織セルロース繊維からなる上部層、高吸収性粒子(SAP:superabsorbent particle)、および40〜80%のSAPを有するセルロース繊維からなる下部層という層構造を備えることができる。いくつかの実施形態では、吸収性層B3430は風成材料である。熱可融性繊維は、任意選択で、パッドの構造をまとめる助けとなるために使用することができる。いくつかの実施形態は、セルロース繊維と風成材料とを組み合わせることができ、最大60%のSAPをさらに備えることができる。いくつかの実施形態は、60%のSAPと40%のセルロースとを含むことができる。吸収性層の他の実施形態は、60%から90%の間(または約60%から約90%の間)のセルロース基材と、10%から40%の間(または約10%から約40%の間)の高吸収性粒子とを含むことができる。たとえば、吸収性層は、約20%の高吸収性材料と、約80%のセルロース繊維とを有することができる。本発明のいくつかの実施形態によれば、高吸収粒子を使用するのではなく、またはそのような使用に加えて、高吸収繊維を利用できることが理解されるであろう。適切な材料の一例は、米国のEmerging Technologies Inc(ETi)から入手可能なProduct Chem-Posite(商標)11 Cである。
【0206】
高吸収体粒子/繊維は、たとえば、ポリアクリル酸ナトリウムまたはカルボメトキシセルロース材料など、またはそれ自体の重量の何倍もの液体を吸収することが可能な任意の材料とすることができる。いくつかの実施形態では、材料は、それ自体の重量の5倍以上の0.9%W/W生理食塩水などを吸収することができる。いくつかの実施形態では、材料は、それ自体の重量の15倍以上の0.9%W/W生理食塩水などを吸収することができる。いくつかの実施形態では、材料は、それ自体の重量の20倍以上の0.9%W/W生理食塩水などを吸収することができる。好ましくは、材料は、それ自体の重量の30倍以上の0.9%W/W生理食塩水などを吸収することができる。吸収性層B3430は、吸引ポートの基礎をなすように配置された1つまたは複数の貫通穴B3431を有することができる。
【0207】
本開示のいくつかの実施形態は、マスキング層すなわち不明瞭化層B3420を用いて、創傷滲出液の吸収による使用中の被覆材B3400の見苦しい外観を軽減する助けとなることができる。不明瞭化層B3420は、吸収材料の着色部分であってもよいし、または吸収材料を覆う別個の層であってもよい。不明瞭化層B3420は、青色、オレンジ色、黄色、緑色、または創傷滲出液が被覆材B3400に存在することをマスクするのに適した任意の色などのさまざまな色のうち1つであってよい。たとえば、青色の不明瞭化層B3420は、医療用ガウン、スクラブ、およびドレープの材料に通常使用される青色のシェードに類似した青色のシェードであってよい。不明瞭化層B3420のいくつかの実施形態は、ポリプロピレンスパンボンド材料を含むことができる。さらに、不明瞭化層B3420のいくつかの実施形態は、疎水性添加剤またはコーティングを含むことができる。他の実施形態は、60、70、または80gsmの薄い繊維シートを備えることができる。
【0208】
不明瞭化層B3422は、吸収性層の飽和レベルの視覚的決定を可能にするように構成された少なくとも1つの覗き窓を備えることができる。この少なくとも1つの覗き窓B3422は、不明瞭化層を通って作製された少なくとも1つの開口を備えることができる。この少なくとも1つの覗き窓B3422は、不明瞭化層の少なくとも1つの色のついていない領域を備えることができる。不明瞭化層のいくつかの実施形態は、上記で
図B25〜
図B32に関して説明したように、複数の覗き窓または覗き窓の配列を備えることができる。
【0209】
不明瞭化層B3420のマスキング機能は、被覆材表面にわたって滲出液の拡散を観察することによって臨床医が必要とする情報を入手することを可能にするように、好ましくは一部のみであるべきである。不明瞭化層B3420は、創傷滲出液が被覆材の外観を若干変えることを可能にする材料の性質により、または少なくとも1つの覗き窓B3422が完全不明瞭化材料に存在することにより、一部であってよい。不明瞭化層B3420の部分的マスキング性によって、熟練した臨床医が被覆材内の滲出液、血液、副産物などによって生じる異なる色を知覚することが可能になり、被覆材にわたる拡散の範囲の視覚的評価および監視を可能にする。しかし、その清浄な状態から滲出液を含む状態への被覆材の色の変化は、わずかな変化にすぎないので、患者が審美面での違いについて気付く可能性は低い。創傷滲出液の視覚的インジケータを減少させるかまたは患者からなくすと、患者の健康に良い効果をもたらす可能性が高く、たとえばストレスが軽減される。
【0210】
被覆材の透過的性質に関してさまざまな被覆材に対して実施された試験は、さまざまなサンプルが色をマスクする能力を示す。色をマスクする能力は、たとえば、特定の波長における光線の吸収率の低下を測定することによって算出されてよい。この試験では、積分球を有し、走査範囲が340nm〜800nmであり、帯域幅が5nmで走査速度が1000nm/秒のUV-Vis分光光度計Jascoを利用した。黒色背景と示されているデータは、滲出液の色の極値(滲出液が有し得る最大の色)、すなわち、最高放射吸収レベルとサンプルから反射された放射の最小量とを示す。白色背景についてのデータは、全マスキングの上限、一般には最低放射吸収レベルと最高放射レベルとを示す。サンプル1は、黒色背景の上方に設置された彩色ポリマー膜であり、(創傷滲出液を示す)黒色背景を十分に満足いくようにマスクしないと判定された。サンプル2は、黒色背景の上方に設置された3次元スペーサ布(Baltex 3D)のシートであり、黒色背景の適切なマスキングを提供すると判定された。サンプル3は、黒色背景の上に設置された緑色に染められた不織材料のシートであり、黒色背景の完全なマスキングを提供した。
【0211】
創傷滲出液は、濃い黄色、赤色、および/または茶色を有し得る。したがって、これらの色を適切にマスクするには、不明瞭化層B3420が、好ましくは、600nm未満の光波長を遮蔽する。
【0212】
特定の波長における光線の吸収率の低下の測定は、以下の計算によって行われてよい。
低下率 = (A
background - A
sample placed on background) / (A
background)×100
上式において、Aは特定の波長における光線の吸収率である。
【0213】
この数式を使用し、波長が460nmの光を使用して、吸収率低下率を以下のTable 3(表1)に示すように計算した。
【0215】
光吸収率を約50%以上低下させる材料が創傷滲出液の部分的なマスキングまたは完全なマスキングを十分に実現する(本発明者の判定による)ことがわかっている。もちろん、完全なマスキング要素は、好ましくは、臨床医が不明瞭化層B3420、たとえば被覆材全体を完全に覆うわけではないマスキング要素の下方の被覆材中の創傷滲出液の拡散状態を判定するための手段を必要とする。たとえば、
図B25〜
図B33に関して上記で説明したように、下方の被覆材内の滲出液の拡散状態が適切に評価され得るように、複数の覗き窓が不明瞭化層B3420に設けられてよい。代替として、部分的マスキング要素は、臨床医が追加の手段なしに下方の被覆材中の滲出液の拡散状態を判定することを可能にしてよい。
【0216】
親水性材料は発色団保有種をより容易に透過させるので、マスキング材料が(たとえば滲出液で)濡れることもマスキング要素のマスキング性能に影響を与えることが理解されよう。したがって、吸収率低下率は濡れた材料についても試験すべきである。
【0217】
CIE L*a*b*値(色空間を表すための既知の3次元モデル)を測定することによって、上記で述べたサンプル1、サンプル2、またはサンプル3をマスキング性質についても試験した。分析では、波長範囲には380nm〜780nm、stard2(度)が観察され、光源にはD65、色合わせにはJIS Z8701-1999を使用してJascoソフトウェアを用いた。
【0218】
以下のTable 4(表2)は、サンプル1、サンプル2、およびサンプル3を黒色背景の上にそれぞれ設置したときに見られたL*a*b値を示す。黒色背景のみおよび白色背景についての結果も示されている。
【0220】
一般に、L*値の増加をもたらすサンプルは、暗い色をマスキングする大きな要因である、基準面よりも明るい色調を有する。上記の値から、適切な部分マスキング材料ではL*値が50を超え、またはより適切には70を超える。
【0221】
しかし、たとえば彩色ポリマーフィルムなどの完全に不透明なマスキング層は、マスキングすべき区域をより暗い色調で完全に覆うことができ、その場合、L*の測定値は無関係である。この場合も、上記で述べた理由で、濡れた材料に関してもこれらの値を検討すべきである。
【0222】
伝達性質に加えて、不明瞭化層B3420の色が、この層のマスキング機能に影響を与えることがある。不明瞭化層の液体透過性実施形態では、さまざまな色が、創傷滲出液の通常の色をマスクするのに適するが、他の色が滲出液の最適なマスキングを提供しないことがある。たとえば、
図B38に示されるCIE色度図を参照すると、不明瞭化層のいくつかの実施形態は、乾燥状態では、0.4以下のCIE y値および0.5以下のCIE x値を得るように構成されてよい。不明瞭化層のいくつかの実施形態は、乾燥状態では、CIE x, y色度図においてBg、gB、B、pB、bP、P、rP、pPk、RP、O、rO、またはyOの色を有することができる。不明瞭化層の液体不透過性実施形態は任意の色で構成されてよいことが理解されるであろう。
【0223】
不明瞭化層B3420は、吸引ポートの基礎をなすように配置された1つまたは複数の貫通穴を有することができる。いくつかの実施形態は、マルタ十字B3421を有してもよいし、吸引ポートの下にある他の形状の切り抜きを有してもよく、マルタ十字B3421の直径はポートの直径よりも大きい。このことによって、臨床医が、ポートの下方の層に吸収される創傷滲出液の量を容易に評価することが可能になり得る。
【0224】
被覆材B3400はまた、裏打ち層を備えてもよいし、または創傷被覆材の幅にわたって延在するカバー層B3410を備えてもよい。カバー層B3410は、気体不透過性であるが水蒸気透過性であってもよい。いくつかの実施形態では、ポリウレタンフィルム(たとえば、Elastollan SP9109)または他の任意の適切な材料を用いることができる。たとえば、特定の実施形態は、半透明または透明な30gsmのEU33フィルムを備えることができる。カバー層B3410は、下部側面上に感圧接着剤を有し、それによって、陰圧を確立し得る創傷の上に実質的に密封されたエンクロージャを形成することができる。カバー層は、細菌バリアとして外部汚染から創傷を保護することができ、かつ創傷滲出液からの液体がこの層を通過してフィルム外面から蒸発することを可能にし得る。
【0225】
カバー層B3410は、吸引ポートの基礎をなすように配置されたオリフィスB3411を有することができる。オリフィスB3411は、カバー層B3410を通して創傷エンクロージャに陰圧を伝えることを可能にすることができる。ポートは、アクリル接着剤、シアノアクリレート接着剤、エポキシ接着剤、UV硬化可能な接着剤、またはホットメルト接着剤などの接着剤を使用して、カバーフィルムに接着および密封され得る。いくつかの実施形態は、複数のポートまたは他の陰圧源または流体を分散させるための他の機構を取り付けるための複数のオリフィスを有することができる。
【0226】
図B34Bは、創傷被覆材B3400の断面図を示し、被覆材B3400の層の相対的厚さの一実施形態を表示する。いくつかの実施形態では、創傷接触層B3460は平坦であってよく、頂部フィルム層B3410は、被覆材B3400の内層の上に起伏があってよい。いくつかの実施形態では、スペーサ層B3450は、取得分散層B3440の半分の厚さであってよい。いくつかの実施形態では、吸収性層B3430は、スペーサ層B3450よりも約1.5倍厚くてよい。不明瞭化層B3420は、スペーサ層B3450の厚さの約半分であってよい。
【0227】
図B35は、本明細書で説明する創傷被覆材のいずれかを陰圧源に接続するために使用され得る可撓性ポートまたは流体コネクタB3500の一実施形態の斜視分解組立図を示す。ポートB3500は、頂部層B3510と、スペーサ層B3520と、フィルタ要素B3530と、底部層B3540と、導管B3550とを備える。この導管は、任意選択で、コネクタB3560を備える。ポートB3500の遠位端(被覆材B3400に接続可能な端)は、拡張円形形状を有するように示されているが、任意の適切な形状が使用されてよく、遠位端は拡張される必要はないことが理解されるであろう。たとえば、遠位端は、上記の
図B23Aおよび
図B23Bに示される形状のいずれかを有することができる。遠位端は、上記の
図3A〜
図3Cに示される形状を有することもできる。
【0228】
底部層B3540は、細長いブリッジ部分B3544と、拡張(たとえば、丸いまたは円形)密封部分B3545と、オリフィスB3541とを備えることができる。いくつかの実施形態では、複数のオリフィスが底部層内に設けられてよい。丸い密封部分B3545のいくつかの実施形態は、ポートB3500を被覆材に対して密封する際に使用するために、下面に接着剤の層、たとえば感圧接着剤を備えてもよい。たとえば、ポートは、
図B34の被覆材のカバー層B3410に対して密封され得る。ポートB3500の底部層B3540内のオリフィスB3541は、被覆材B3400を介して創傷部位へと陰圧を伝えるために、被覆材B3400のカバー層B3410内のオリフィスB3411と位置合わせされてもよい。
【0229】
頂部層B3510は、細長いブリッジB3514と拡張(たとえば、丸いまたは円形)部分B3515とを備えるので、底部層と実質的に同じ形状であってもよい。頂部層B3510と底部層B3540は、たとえば熱溶接によって、一緒に密封されてもよい。いくつかの実施形態では、底部層B3540は略平坦であってよく、頂部層B3510は、スペーサ層B3520の高さに対応し、底部層B3540に対して密封するために、底部層B3540よりもやや大きくてもよい。他の実施形態では、頂部層B3510と底部層B3540は実質的に同じサイズであってよく、これらの層は、スペーサ層B3520の高さのほぼ中ほどで一緒に密封されてよい。いくつかの実施形態では、細長いブリッジ部分B3544、B3514は、10cm(または約10cm)以上の長さ、より好ましくは20cm(または約20cm)以上の長さを有してよく、いくつかの実施形態では、約27cmの長さであってよい。いくつかの実施形態では、細長いブリッジ部分は、1cmから4cmの間(または約1cmから約4cmの間)の幅を有してもよく、一実施形態では約2.5cmの幅である。細長いブリッジ部分B3544、B3514の長さとそれらの幅の比は、いくつかの実施形態では6:1を超えてよく、より好ましくは8:1、さらには10:1を超えてよい。円形部分B3545、B3515の直径は、いくつかの実施形態では、約3.5cmであってよい。
【0230】
底部層および頂部層は、可撓性薄膜の少なくとも1つの層を備えることができ、いくつかの実施形態では透明であってもよい。底部層B3540および頂部層B3515のいくつかの実施形態はポリウレタンであってよく、液体不透過性であってもよい。
【0231】
ポートB3500は、下部層B3540と頂部層B3510の間に位置付けされた、上記で説明した3D布地などのスペーサ層B3520を備えることができる。スペーサ層B3520は、任意の適切な材料、たとえば少なくとも1つの方向における圧壊に対して耐性を示し、それによってそれを通して陰圧を効果的に伝えることを可能にする材料から作製されてよい。スペーサ層B3520は、拡張(たとえば、丸いまたは円形)部分B3525を備えることができ、任意選択で、折りたたみ部分B3521を含んでもよい。いくつかの実施形態では、細長いブリッジ部分は、上記で説明した上部層および下部層のブリッジ部分と同じ範囲であるがこれらよりもやや小さい寸法を有することができ、一実施形態では、約25.5cmの長さおよび1.5cmの幅である。同様に、円形部分B3525の直径は、拡張端B3545、B3515の直径よりもやや小さくてもよく、一実施形態では約2cmである。スペーサ層B3520のいくつかの実施形態は、頂部層B3510および/または底部層B3540にスペーサ層B3520を固着するために、その近位端および遠位端の一方または両方に接着剤(たとえば、接着剤の1つまたは複数の塊)を有することができる。接着剤はまた、スペーサ層の一部分または長さ全体に沿って設けられてもよい。他の実施形態では、スペーサ層B3520は、頂部層および底部層の密封されたチャンバの中で自由に移動可能であってよい。
【0232】
スペーサ布の折りたたみ部分B3521は、ポートB3500の端部をより柔らかくし、したがって患者にとってより快適にすることができ、導管B3550が詰まることを防止する助けとなることもできる。折りたたみ部分B3521はさらに、導管B3550の端部を頂部層または底部層によって閉塞させられることから保護する。折りたたみ部分B3521は、いくつかの実施形態では、1cmから3cmの間(または約1cmから約3cmの間)の長さであってよく、一実施形態では2cm(または約2cm)の長さである。スペーサ布は、それ自体の下に、すなわち底部層B3540の方へ折りたたまれてもよく、他の実施形態では、頂部層B3510の方へ上向きに折りたたまれてもよい。スペーサ層B3520の他の実施形態は、折りたたみ部分を含まなくてもよい。スロットすなわちチャネルB3522は、折りたたみ部分B3521の近位端から離れて垂直に延在することができ、導管B3550は、スロットすなわちチャネルB3522の中で動かずにいてもよい。いくつかの実施形態では、スロットB3522は、折りたたみ部分の一方の層を通って延在してもよく、他の実施形態では、折りたたみ部分の両方の層を通って延在してもよい。スロットB3522は、いくつかの実施形態では、1cm(または約1cm)の長さであってよい。いくつかの実施形態では、その代わりに、折りたたみ部分B3521における円形または楕円形の穴を用いてもよい。この穴は、導管B3550がこの穴に挿入され、スペーサ布の折りたたまれた層の間で動かずにいるように、近位方向を向いてもよい。いくつかの実施形態では、導管B3550は、折りたたみ部分B3521の材料に接着されてもよいが、他の実施形態では、折りたたみ部分B3521の材料に接着されなくてもよい。
【0233】
ポートB3500は、オリフィスB3541に隣接して配置されたフィルタ要素B3530を有することができ、図示のように、フィルタ要素B3530は下部層B3540とスペーサ層B3520の間に配置される。図示のように、フィルタ要素B3530は、丸い形状または円盤形状を有することができる。フィルタ要素B3530は、液体不透過性であるが、気体透過性である。フィルタ要素B3530は、液体が創傷被覆材から漏出することを実質的に防止または阻害するための液体バリア、ならびに臭気バリアとして作用することができる。フィルタ要素B3530は、細菌バリアとして働いてもよい。いくつかの実施形態では、フィルタ要素B3530の孔径は約0.2μmとすることができる。フィルタ要素のフィルタ材料に適した材料としては、MMTレンジの0.2ミクロンGore(商標)延伸多孔質PTFE、PALL Versapore(商標)B200R、およびDonaldson(商標)TX6628がある。したがって、フィルタ要素B3530は、オリフィスを通して気体を排気することを可能にする。ただし、液体、微粒子、および病原体は被覆材に収容されている。上記よりも大きい孔径を使用することもできるが、これらの孔径では、バイオバーデンを完全に封じ込めるようにするために二次フィルタ層が必要になり得る。創傷流体が脂質を含有するときは、疎油性フィルタ膜たとえば0.2ミクロンMMT-323に先行した1.0ミクロンMMT-332を使用することが好ましいが、不可欠ではない。これによって、脂質により疎水性フィルタが詰まることが防止される。いくつかの実施形態では、フィルタ要素B3530は、限定するものではないがUV硬化接着剤などを使用して、底部層B3540の頂面とスペーサ層B3520の底面の一方または両方に接着されてもよい。他の実施形態では、フィルタB3530は、スペーサ層B3520の内部および底部層B3540の頂面に溶接されてもよい。フィルタは、底部層B3540の下面のオリフィスに隣接して設けられてもよい。フィルタに関する他の可能な詳細は、米国特許公開第2011/0282309号に開示されており、参照により本明細書に組み込まれる。
【0234】
ポートB3500の近位端は、導管B3550の遠位端に接続され得る。導管B3550は、1つまたは複数の円形リブB3551を備えることができる。リブB3551は、導管の製造中に型枠の中の溝によって導管B3550内に形成されてよい。上部層B3515および下部層B3540の熱溶接中に、これらの層から溶解した材料がリブB3551のまわりに流れることができ、有利には導管B3550とこれらの層の間のより強い接続を提供する。その結果、ポートB3500の使用中にこれらの層の間から導管B3550を取り除くことがより困難な場合がある。
【0235】
導管B3550の近位端は、任意選択で、コネクタB3560に取り付けられてもよい。コネクタB3560は、陰圧源にポートB3500を接続するために使用されてもよく、またはいくつかの実施形態では、延長導管にポートB3500を接続するために使用されてもよく、この延長導管は陰圧源に接続されてもよい。導管B3550の遠位端は、スペーサ層B3520に挿入され、閉塞の可能性を減少させるような形状にされてもよい。
【0236】
図B36は、
図B35に関して説明したものなどの可撓性ポートB3620が取り付けられた、創傷被覆材B3610の一実施形態を示す。ポートB3620は、ポートを陰圧源または延長導管に接続するための導管3630およびコネクタ3640を備える。被覆材B3610は、線形構成の8つの穴からなる1列を有する不明瞭化層を備え、上記で
図B25に関してより詳細に説明した。この図では、ポートB3620は被覆材B3610の不明瞭化層内の円形窓の上に接続されているが、他の実施形態では、ポートB3620は不明瞭化層内のマルタ十字の上に接続されてもよい。いくつかの実施形態では、マルタ十字はポートよりも大きい直径であってよく、ポートが被覆材に取り付けられた後で少なくとも部分的に視認可能であってよい。
【0237】
図B37Aは、被覆材の一実施形態の斜視図を示す。図示の構成は
図29Bの実施形態に類似しているが、被覆材は、先に説明したさまざまな層の構造のいずれかを有することができる。導管B3710は、ポートB3720を介して被覆材B3700に接続されるが、ポートの他の実施形態たとえば
図B35の可撓性ポートが被覆材に接続されてもよい。
【0238】
図B37Bは、被覆材B3700の底面図を示す。この図は透過層B3730および取得分散層B3740を示しており、これらの層は、
図B34Aおよび
図B34Bの透過層B3450および取得分散層B3440に類似してもよい。いくつかの実施形態では、透過層B3730の周辺部は、取得分散層B3740の周辺部よりもやや小さくてもよい。この図は、創傷接触層の接着剤側を保護する際に使用するための先に説明した剥離層B3480に類似した剥離層B3750の一実施形態も示す。図示の剥離層B3750は、剥離層に取り付けられたフラップを引っ張ることによって創傷接触層の接着剤側から除去可能な2つの別個の材料層で作製される。
【0239】
もちろん、たとえば被覆材において使用するための六角形または円形の裏打ち層を含む、狭い中央部分の構成、3つの突出部を有する構成、4つの突出部を有する構成以外のその他の被覆材構成も可能であることが理解されよう。
図B15A〜
図B15Bに示されるように、これらの実施形態は、非平面状創傷における被覆材の適合性をさらに高めるように、先に説明したスリットのさまざまな構成も備えることができる。また、先に説明したように、これらの実施形態の吸収性層は、不明瞭化層により着色されるまたは不明瞭にされてもよく、任意選択で、1つまたは複数の覗き窓を備える。さらに、これらの実施形態のドーム形のポートは、以下で
図B23A〜
図B23Bにおいて説明するタイプの1つまたは複数の流体コネクタで置き換えられてもよいし、その逆も同様である。さらに、くびれた部分の構成を有する創傷被覆材に関して説明したすべての特徴および構造は、本明細書で説明する任意の形状または被覆材構成に組み込むことができる。
【0240】
特定の態様、実施形態、または例に関して説明した特徴、材料、特性、または化学基は、適合不可能でない限り、本明細書で説明する他の任意の態様、実施形態、または例に適用可能であることを理解されたい。(あらゆる添付の特許請求の範囲、要約書、および図面を含む)本明細書において開示されるすべての特徴および/またはそのように開示されるあらゆる方法もしくはプロセスのすべてのステップは、そのような特徴および/またはステップのうち少なくともいくつかが相互に排他的である組み合わせを除いて、任意の組み合わせで組み合わされてよい。保護は、あらゆる前述の実施形態の詳細に限定されない。この保護は、(あらゆる添付の特許請求の範囲、要約書、および図面を含む)本明細書において開示される特徴のうち任意の新規の特徴もしくは任意の新規の組み合わせ、またはそのように開示されるあらゆる方法またはプロセスのステップのうち任意の新規のステップもしくは任意の新規の組み合わせに拡張される。
【0241】
特定の実施形態について説明してきたが、これらの実施形態は、例として提示したにすぎず、保護の範囲を限定することを意図したものではない。実際のところ、本明細書で説明する新規な方法およびシステムは、さまざまな他の形態で実施することができる。そのうえ、本明細書で説明する方法およびシステムの形態における種々の省略、置き換え、および変更を行うことができる。いくつかの実施形態では、示されるおよび/または開示されるプロセスに取り入れられる実際のステップは図に示されるステップとは異なってもよいことは、当業者には理解されよう。実施形態に応じて、上記で説明したステップのうちいくつかを除いてもよいし、他のステップを追加してもよい。そのうえ、上記で開示された特定の実施形態の特徴および属性をさまざまな形で組み合わせて追加の実施形態を形成してもよく、それらの実施形態のすべては本開示の範囲に含まれる。
【0242】
本開示は特定の実施形態、例、および適用例を含むが、本開示が、具体的に開示された実施形態を越えて、本明細書に記載される特徴および利点のすべてを提供するわけではない実施形態を含む、他の代替実施形態および/または使用方法および明白な変更形態およびその等価物へと拡張されることは、当業者には理解されよう。したがって、本開示の範囲は、本明細書の好ましい実施形態の特定の開示によって限定されることを意図するものではなく、本明細書で提示するまたは将来提示される特許請求の範囲によって定義され得る。