(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記したとおり、アシストグリップ取付機構は、ドアが開くことに連動して、アシストグリップが自動的に突出するため、乗員がアシストグリップを要しない場合、アシストグリップが乗降の妨げとなる場合がある。
【0005】
本発明は、この様な実情に鑑みて提案されたものである。すなわち、ドアの開閉と連動させるか否かを選択することができるアシストグリップの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明に係るアシストグリップは、自動車の乗員が把持するグリップ本
体と、前記自動車のドアと前記グリップ本体との間に介在し、前記ドアが開くことで、前記グリップ本体が突出した突出状態に変化させ、前記ドアが閉じることで、前記グリップ本体が収納された収納状態に変化させる連動部と、前記連動部に備えられ、前記収納状態において動きが規制されることで、前記収納状態を維持させる連動解除部と、を有する、ことを特徴とする。
【0007】
本発明に係るアシストグリップは、前記連動解除部が前記グリップ本体に接続された、ことを特徴とする。
【0008】
本発明に係るアシストグリップは、前記グリップ本体が操作されることで、前記連動解除部の動きが規制される、ことを特徴とする。
【0009】
本発明に係るアシストグリップは、前記グリップ本体が単一の軸を軸として回転することで、前記突出状態または前記収納状態に変化する、ことを特徴とする。
【0010】
本発明に係るアシストグリップは、前記連動解除部がラッチ構造である、ことを特徴とする。
【0011】
本発明に係るアシストグリップは、前記グリップ本体がギヤ部を有し、前記連動解除部が、前記ギヤ部と噛み合うラック部を有する、ことを特徴とする。
【0012】
本発明に係るアシストグリップは、前記グリップ本体と接触したダンパーを有する、ことを特徴とする。
【0013】
本発明に係るアシストグリップは、前記自動車のBピラーに備えられた、ことを特徴とする。
【0014】
本発明に係るアシストグリップは、前記グリップ本体が、回転部と、この回転部から伸びた把持部とを有し、前記連動解除部が、前記連動部に接続された摺動部と、この摺動部が係止される係止部とを有し、前記回転部と前記摺動部とが噛み合い、前記収納状態における前記把持部が、前記突出状態への変化において回転しながら突出する方向と反対方向に押されることで、前記摺動部が前記係止部に係止される、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係るアシストグリップは、自動車の乗員が把持するグリップ本
体と、自動車のドアとグリップ本体との間に介在し、ドアが開くことで、グリップ本体が突出した突出状態に変化させ、ドアが閉じることで、グリップ本体が収納された収納状態に変化させる連動部と、連動部に備えられ、収納状態において動きが規制されることで、収納状態を維持させる連動解除部とを有している。すなわち、連動部に備えられた連動解除部が規制されることで、連動部の動作の一部が停止し、ドアの開閉に際し収納状態が維持される。したがって、乗員は、アシストグリップを要しない場合に、アシストグリップを収納させたままドアを開閉することができる。一方で、連動解除部が解放されることで、連動部が動作し、ドアの開閉に際し突出状態と収納状態とに変化する。このように、本発明に係るアシストグリップは、ドアの開閉と連動させるか否かを選択することができる。
【0016】
本発明に係るアシストグリップは、連動解除部がグリップ本体に接続されている。すなわち、連動部からグリップ本体への動作の伝達と、連動部の動作の規制とを、連動解除部で担うことができる。また、グリップ本体と連動解除部とが集合しているため、全体が小型となり、自動車への設置が容易である。
【0017】
本発明に係るアシストグリップは、グリップ本体が操作されることで、連動解除部の動きが規制される。すなわち、グリップ本体で連動解除部を操作することができ、ドアの開閉と連動させるか否かを選択することができる。
【0018】
本発明に係るアシストグリップは、グリップ本体が単一の軸を軸として回転することで、突出状態または収納状態に変化する。すなわち、グリップ本体は、単一の軸が自動車に取り付けられる。したがって、自動車への設置箇所が狭小で足りる。なお、一般的なアシストグリップは、把持部の両端に軸を有し、両軸が自動車に取り付けられる。そのため、広い設置箇所を要する。
【0019】
また、回転運動により突出状態または収納状態に変化することで、グリップ本体における軸以外の部分を適切に収納することができる。したがって、自動車内の空間を有効に活用することができ、また、ドアが開いた状態において、外観上、グリップ本体を遮蔽することができる。
【0020】
本発明に係るアシストグリップは、連動解除部がラッチ構造である。例えば、いわゆるストライカーによって連動解除部が係止する構造であれば、適切に連動解除部の動きが規制される。したがって、ドアの開閉と連動させるか否かの切り替えを、確実に実現することができる。
【0021】
本発明に係るアシストグリップは、グリップ本体がギヤ部を有し、連動解除部が、ギヤ部と噛み合うラック部を有している。この構成により、グリップ本体は、連動解除部の直線運動が伝達されて回転運動する。したがって、グリップ本体を円滑に回転させることができ、また、全体を小型にすることができる。小型のアシストグリップであれば、例えば、Bピラーであっても、シートベルトが取り付けられた箇所と干渉しない箇所に容易に取り付けることができる。なお、一般的に、シートベルトは、Bピラーに取り付けられている。
【0022】
本発明に係るアシストグリップは、グリップ本体と接触したダンパーを有している。この構成により、グリップ本体は、ダンパーによって制動される。したがって、滑らかな動作を実現することができる。
【0023】
本発明に係るアシストグリップは、自動車のBピラーに備えられている。したがって、Aピラーやルーフなどが空き、自動車内の空間を有効に活用することができる。また、乗降時に把持しやすくすることができる。
【0024】
本発明に係るアシストグリップは、グリップ本体が、回転部と、この回転部から伸びた把持部とを有し、連動解除部が、連動部に接続された摺動部と、この摺動部が係止される係止部とを有し、回転部と摺動部とが噛み合い、収納状態における把持部が、突出状態への変化において回転しながら突出する方向と反対方向に押されることで、摺動部が係止部に係止される。したがって、グリップ本体の把持部を操作することで、ドアの開閉と連動させるか否かを選択することができる。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下に、本発明の第一実施形態に係るアシストグリップを図面に基づいて説明する。
図1は、第一実施形態に係るアシストグリップ10の外観および自動車への設置例が示されている。
【0027】
アシストグリップ10は、自動車1の乗員(図示省略。)が把持するグリップ本体26が備えられたグリップ可動体11と、このグリップ可動体11に接続されて自動車1のドア2とグリップ本体26との間に介在した連動部40と、この連動部40に接続されると共にグリップ本体26に接続された連動解除部39(
図4参照。)とを有している。アシストグリップ10は、例えば、自動車1のBピラー4に取り付けられている。詳説すれば、Bピラー4には、一般的にシートベルト(図示省略。)が取り付けられているため、アシストグリップ10は、シートベルトの設置箇所と干渉しない箇所に配置される。例えば、グリップ可動体11は、Bピラー4とルーフ3との連接箇所である角部の近傍に取り付けられ、連動部40は、Bピラー4とドア2との間であって、ドア2の回転軸近傍に取り付けられている。各部が連動することで、連動部40は、アシストグリップ10を、突出状態または収納状態に変化させる。突出状態は、グリップ本体26が突出した状態であり、ドア2が開くことに連動して実現する。一方で、収納状態は、グリップ本体26が収納された状態であり、ドア2が閉じることに連動して実現する。さらに、連動解除部39によって、アシストグリップ10は、収納維持状態に変化する。収納維持状態は、グリップ本体26が収納された状態であり、ドア2の開閉と連動しない。なお、以下の説明では、収納状態を基準として、自動車1の前進方向を前方とし、後退方向を後方とし、車高の方向を上方および下方とし、車幅の方向を右方および左方とする。
【0028】
ここで、連動部40を図面に基づいて説明する。
図2は、一部が分解された連動部40が示され、
図3は、すべてが分解された連動部40が示されている。
【0029】
図1に示されているとおり、連動部40は、起動リンク部材66とワイヤー47とを有している。起動リンク部材66は、ほぼ四角形に形成された六面体の連動部ケース48の後方から、この連動部ケース47に対して進退可能な当接本体部57が突出し、グリップ可動体11に接続されたワイヤー47が、上方から通されている。
図2および
図3に示されているとおり、連動部ケース48は、連動部ケース本体49とキャップ50とから構成され、連動部ケース48の内側に、押圧連動部材55がワイヤー47の下端部と共に収容される。連動部ケース本体49は、左右側面に、左右側方に向けてそれぞれ突出すると共に前後に伸びたレール部51が形成され、後方面に、当接部材56の後部が通されるための第一進退孔52が形成され、上方面に、ワイヤー47が通されるためのワイヤー孔53が形成されている。一方、キャップ50は、前方面に、当接部材56の前部が通されるための第二進退孔54が二つ形成されている。
【0030】
押圧連動部材55は、当接部材56と、この当接部材56と連結されたリンクアーム58とから構成されている。当接部材56は、後方に向けて伸びた棒状の当接本体部57と、この当接本体部57の前方に形成された基部62と、この基部62から前方に向けて伸びた二つの棒状部63とから構成されている。基部62は、当接本体部57の前部において、上下に開放された空隙64を介して、左右一対で構成され、左右に向けてそれぞれ突出している。基部62は、空隙64を介して間隔を空けて互いに対面し、空隙64に配置された基連結部65によって互いが連結されている。棒状部63は、基部62に連結されて左右一対で構成されている。棒状部63は、間隔を空けて互いに対面している。
【0031】
リンクアーム58は、板状であり、上方から後方に至って湾曲したリンク溝59が形成されている。詳説すれば、リンク溝59は、リンクアーム58の上方の端において開放され、リンクアーム58の後方の端において閉塞している。また、リンクアーム58は、後部であって、リンク溝59の下方において、左右に突出したリンク軸部60が形成され、前部において、左右に貫通したワイヤー固定孔61が形成されている。
【0032】
上記した各部は、次のとおり組み付けられる。当接部材56の基連結部65が、リンクアーム58のリンク溝59に通されることで、リンクアーム58が当接部材56の空隙64に配置される。リンクアーム58のリンク軸部60は、連動部ケース本体49に支持され、リンクアーム58の基部62は、連動部ケース本体49のレール部51に配置され、当接部材56の当接本体部57は、連動部ケース本体49の第一進退孔52に通される。この状態で、連動部ケース本体49にキャップ50が取り付けられると、当接部材56の棒状部63が、キャップ50の第二進退孔54に通される。その際、例えばコイルバネなどのリンク付勢部材(図示省略。)が棒状部63に通され、当接部材56の基部62とキャップ50との間にリンク付勢部材が配置される。リンクアーム58のワイヤー固定孔61に、ワイヤー47の下端部が取り付けられて固定され、このワイヤー47が連動部ケース本体49のワイヤー孔53に通される。
【0033】
上記のとおり構成された連動部40によれば、当接部材56の当接本体部57が連動部ケース48から突出することでワイヤー47が上方に向けて緩み、当接本体部57が連動部ケース48に押し込まれることでワイヤー47が下方に引っ張られる。詳説すれば、当接本体部57に外力が加えられていない場合、リンク付勢部材の復元力によって当接部材56が後方に向けて押され、当接本体部57が第一進退孔52を通って連動部ケース48から突出している。リンクアーム58はワイヤー固定孔61側が当接本体部57よりも上方に配置され、ワイヤー47が緩んだ状態である。
【0034】
当接本体部57に外力が加えられた場合、当接本体部57が前方に向けて押し込まれ、当接部材56が前方に移動すると共にリンク付勢部材が圧縮される。その際、基部62が連動部ケース48のレール部51に沿って前方に移動すると共に、基連結部65がリンクアーム58のリンク溝59に沿って移動することで、リンクアーム58がリンク軸部60を軸として下方に向けて回転し、ワイヤー固定孔61側が引き下げられて当接本体部57よりも下方に配置される。同時に、ワイヤー47が下方に引っ張られる。
【0035】
当接本体部57が外力から解放されると、リンク付勢部材が伸長し、リンク付勢部材の復元力によって当接部材56が後方に移動すると共に、当接本体部57が第一進退孔52を通って連動部ケース48から突出する。再びワイヤー47が緩む。
【0036】
なお、上記したとおり、第一実施形態では、リンクアーム58のリンク溝59は、上方から後方に至って湾曲して形成され、リンク溝59の上方から当接部材56の基連結部65が通されているが、第一実施形態の変形例では、リンクアーム58が上下に反転して基連結部65に通された起動リンク部材が用いられる。すなわち、変形例では、リンクアームのリンク溝は、下方から後方に至って湾曲しており、リンク溝の下方から基連結部が通されている。このリンクアームによれば、当接部材の当接本体部が連動部ケースから突出することでワイヤー47が下方に引っ張られ、当接本体部が連動部ケースに押し込まれることでワイヤー47が上方に向けて緩む。動作の原理は、連動部40と同じである。
【0037】
次に、グリップ可動体11を図面に基づいて説明する。
図4は、分解されたグリップ可動体11が示されている。
【0038】
図4に示されているとおり、グリップ可動体11は、ほぼ四角形に形成された六面体のグリップケース12と、このグリップケース12に収容されるグリップ本体26と、このグリップ本体26に接続されてグリップケース12に収容されるダンパー33と、グリップ本体26に取り付けられるバネ34とを有している。また、グリップ可動体11は、ワイヤー47の上端部が接続された連動解除部39が接続されている。
【0039】
グリップケース12は、グリップケース本体13、第一カバー23および第二カバー24から構成されている。グリップケース本体13は、ほぼ円形の空間であるグリップ本体収容部14と、このグリップ本体収容部14の上方に連接された空間であるダンパー収容部15と、グリップ本体収容部14の後方において開放されたグリップ本体可動域部16と、グリップ本体収容部14の前方に連接された上下に直線状の空間である収容レール部17とが形成されている。グリップケース本体13は、グリップ本体収容部14において、右側方に向けて突出した軸部18が形成され、また、内側に向けて張り出した張出し部19が形成されている。張出し部19のうち、内側が収納規制面20であり、一方、グリップ本体可動域部16に面した外側が突出規制面21である。また、グリップケース本体13は、収容レール部17の下部に切欠き孔22が形成されている。
【0040】
グリップ本体26は、ほぼ円形の回転部27と、この回転部27の後部から伸びた把持部35とを有し、単一の軸を軸として回転する。回転部27は、中央が貫通して軸孔28が形成され、この軸孔28の周囲にバネ収容溝29が形成されている。また、回転部27の外周面に、第一ギヤ部30、第二ギヤ部31および突起部32が形成されている。第一ギヤ部30は、回転部27の上面に形成され、第二ギヤ部31は、回転部27の前面から下面に渡って形成されている。突起部32は、回転部27の下面に形成されている。把持部35は、ほぼL字型のフック状であり、回転部27の後面から突出した把持基部36と、この把持基部36に対してほぼ直角に折れ曲がった把持中間部37と、この把持中間部37の先端から前方に向けて折れ曲がった把持先端部38とを有している。
【0041】
ダンパー33は、いわゆる制動装置であり、例えば、ギヤを有したオイルダンパーやエアダンパーなどである。バネ34は、いわゆるトーションバネであり、二つの端部を有している。
【0042】
連動解除部39は、いわゆるラッチ構造であり、連動部40のワイヤー47に接続された摺動部41と、この摺動部41に取り付けられた被係止部42と、この被係止部42が係止される係止部43とを有している。摺動部41は、ほぼ直方体であり、前面に、ワイヤー47の上端部が取り付けられる取付溝44が形成され、後面に、ラック部45が形成され、下端部に、被係止部42が取り付けられている。係止部43は、被係止部42に押し込まれることで係止され、再度押されることで、被係止部42から外れる。ラッチ構造は、どのような構成であってもよく、例えば、係止部43が、凸形状、フック形状、カギ形状、ピン形状であり、被係止部42が、溝形状、ハートカム、回転カムなどである。
【0043】
上記した各部は、次のとおり組み付けられる。ワイヤー47の上端部が、摺動部41の取付溝44に取り付けられ、ワイヤー47と被係止部42とが摺動部41の下端において並列して配置される。グリップケース本体13において、ダンパー収容部15にダンパー33がネジ5で取り付けられ、収容レール部17に摺動部41が取り付けられ、切欠き孔22に係止部43が取り付けられる。ワイヤー47は、切欠き孔22に通されている。グリップ本体26がグリップケース12に取り付けられる際、グリップ本体26の回転部27が、グリップ本体収容部14に配置されると共に軸部18が軸孔28に通される。バネ34は、バネ収容溝29に取り付けられ、片方の端部が回転部27に支持される。第一ギヤ部30が、ダンパー33と噛み合わさり、第二ギヤ部31が、摺動部41のラック部45と噛み合わさる。第一カバー23は、グリップケース本体13の右側面にネジ5で取り付けられ、バネ34のもう片方の端部が第一カバー23に支持される。第二カバー24は、第一カバー23の右側面からグリップケース本体13の後面に渡ってネジ5で取り付けられる。その際、第二カバー24に形成された可動域孔25にグリップ本体26の把持部35が通される。
【0044】
上記のとおり構成されたアシストグリップ10によれば、ワイヤー47が引っ張られることで、グリップ本体26が収納されて収納状態に変化し、ワイヤー47が緩むことで、グリップ本体26が突出して突出状態に変化する。さらに、突出状態において、被係止部42が係止部43に係止されることで、収納維持状態に変化する。ここで、収納状態、突出状態および収納維持状態を図面に基づいて説明する。
図5は、収納状態のアシストグリップ10が示され、
図6は、突出状態のアシストグリップ10が示され、
図7は、収納維持状態のアシストグリップ10が示されている。
【0045】
図5に示されているとおり、収納状態では、例えば、ドア2が閉じることで、ドア2からの外力が加えられて起動リンク部材66の当接本体部57が押し込まれ、ワイヤー47が下方に向けて引っ張られている。グリップ可動体11において、摺動部41は、ワイヤー47によって下方に引っ張られ、収容レール部17の下部に配置されている。グリップ本体26は、回転部27の第二ギヤ部31が摺動部41のラック部45と噛み合わさっているため、把持部35がグリップケース12に近接した状態が維持される。その際、バネ34は、自然長よりも圧縮している。この収納状態において、ドア2が開くと、アシストグリップ10は収納状態から突出状態に変化する。
【0046】
図6に示されているとおり、突出状態では、ドア2が開くことで、当接本体部57がドア2からの外力から解放されて突出し、ワイヤー47が上方に向けて緩む。ワイヤー47が緩むことにより、摺動部41がワイヤー47からの外力から解放されると共に、いわゆるラック・ピニオン機構によって摺動部41と連動するグリップ本体26も解放される。グリップ可動体11において、グリップ本体26は、圧縮していたバネ34の復元力によって、軸部18を軸として回転し(
図6において左回りに回転し)、把持基部36が、グリップケース12における張出し部19の突出規制面21に当たって止まる。グリップ本体26は、把持部35がグリップケース12から離れて外側に張り出した状態となる。グリップ本体26が回転する間、回転部27の第一ギヤ部30とダンパー33とが噛み合うことで、滑らかに動作する。グリップ本体26の回転に伴って、摺動部41は、収容レール部17においてスライドして上部に配置される。その際、ワイヤー47は緩んでいるため、ワイヤー47の張力は、摺動部41のスライドの妨げとはならない。このようにして、アシストグリップ10は収納状態から突出状態に変化する。
【0047】
再びドア2が閉じると、
図5に示されているとおり、ドア2からの外力が加えられて起動リンク部材66の当接本体部57が押し込まれ、ワイヤー47が下方に向けて引っ張られる。ワイヤー47が引っ張られることにより、グリップ可動体11において、摺動部41は、ワイヤー47によって下方に引っ張られ、収容レール部17においてスライドして下部に配置される。摺動部41のスライドに伴って、グリップ本体26は、ラック・ピニオン機構によって摺動部41と連動し、バネ34の弾性力に抗して、軸部18を軸として回転し(
図5において右回りに回転し)、把持部35がグリップケース12に近接する。このようにして、アシストグリップ10は突出状態から収納状態に変化する。この収納状態において、グリップ本体26が操作されると、連動解除部39の動きが規制され、アシストグリップ10は収納状態から収納維持状態に変化する。
【0048】
図7に示されているとおり、収納状態における把持部35が、突出状態への変化において回転しながら突出する方向(
図7において左回り。
図6参照。)と反対方向(
図7において右回り)に押されることで、グリップ可動体11において、摺動部41は、ラック・ピニオン機構によってグリップ本体26と連動し、収容レール部17において下部に押し込まれる。摺動部41の被係止部42と、グリップケース12の係止部43とがラッチ構造によって係止し、摺動部41の動きが規制される。このようにして、アシストグリップ10は収納状態から収納維持状態に変化する。この収納維持状態において、ドア2が開き、当接本体部57がドア2からの外力から解放されて突出してワイヤー47が上方に向けて緩んでも、摺動部41の動きが規制されているため、摺動部41はスライドせず、また、摺動部41と連動するグリップ本体26も停止したままである。
【0049】
なお、第一実施形態の変形例に係るアシストグリップでは、リンクアーム58が上下に反転した起動リンク部材が用いられ、次のとおりに動作する。例えば、ドア2が開くことで、ドア2に連動した外力が加えられて起動リンク部材の当接本体部が押し込まれ、ワイヤー47が下方に向けて引っ張られ、収納状態となる。ドア2が閉じることで、当接本体部がドア2に連動した外力から解放されて突出し、ワイヤー47が上方に向けて緩み、突出状態となる。収納維持状態は、第一実施形態と同じである。
【0050】
次に、第一実施形態の効果を説明する。
【0051】
上記したとおり、アシストグリップ10によれば、自動車1の乗員が把持するグリップ本体26が備えられたグリップ可動体11と、このグリップ可動体11に接続されて自動車1のドア2とグリップ本体26との間に介在した連動部40と、この連動部40に接続されると共にグリップ本体26に接続された連動解除部39とを有している。連動部40は、アシストグリップ10を、ドア2の開閉と連動させて、突出状態または収納状態に変化させる。さらに、連動解除部39の摺動部41とグリップ本体26とが、ラック・ピニオン機構によって連動するため、摺動部41の動きが規制されることで、ドア2の開閉に関わらず、グリップ本体26が停止し、収納維持状態となる。したがって、乗員は、グリップ本体26を要しない場合に、グリップ本体26を収納させたままドア2を開閉することができる。一方で、摺動部41が解放されることで、再びドア2の開閉に連動して突出状態と収納状態とに変化する。このように、アシストグリップ10は、ドア2の開閉と連動させるか否かを選択することができる。
【0052】
また、アシストグリップ10は、摺動部41のラック部45と、グリップ本体26における回転部27の第二ギヤ部31とで、ラック・ピニオン機構が実現するため、グリップ本体27を円滑に回転させることができ、また、全体を小型にすることができる。小型のアシストグリップ10であれば、一般的にシートベルトが取り付けられたBピラー4であっても、シートベルトの設置箇所と干渉しない箇所に容易に取り付けることができる。
【0053】
このように、アシストグリップ10が、Bピラー4に取り付けられていれば、Aピラー(図示省略。)やルーフ3などが空き、車内の空間を有効に活用することができる。また、乗降時に乗員がグリップ本体26を把持しやすくすることができる。
【0054】
また、アシストグリップ10は、連動解除部39の摺動部41とグリップ本体26とが、ラック・ピニオン機構によって連動するため、連動部40(ワイヤー47および起動リンク部材66)からグリップ本体26への動作の伝達と、連動部40の動作の規制とを、摺動部41で担うことができる。また、グリップ本体26と摺動部41とが集合しているため、全体が小型となり、自動車1への設置が容易である。
【0055】
アシストグリップ10の連動解除部39は、連動部40のワイヤー47に接続された摺動部41と、この摺動部41に取り付けられた被係止部42と、この被係止部42が係止される係止部43とを有するラッチ構造である。したがって、適切に摺動部41の動きが規制され、ドア2の開閉と連動させるか否かの切り替えを、確実に実現することができる。
【0056】
アシストグリップ10は、グリップ本体26における回転部27の第一ギヤ部30と、ダンパー33とが噛み合わさっている。この構成により、グリップ本体26は、ダンパー33によって制動される。したがって、滑らかな動作を実現することができる。
【0057】
アシストグリップ10によれば、グリップ本体26は、ほぼ円形の回転部27と、この回転部27の後部から伸びた把持部35とを有し、単一の軸を軸として回転する。したがって、自動車1への設置箇所が狭小で足りる。
【0058】
また、回転運動により突出状態または収納状態に変化することで、グリップ本体26における把持部35を適切に収納することができる。したがって、車内の空間を有効に活用することができ、また、ドア2が開いた状態において、外観上、グリップ本体26を遮蔽することができる。例えば、介護車両などに後からアシストグリップ10が取り付けられる場合であっても、不使用時においては、グリップ本体26が収納されることで、外観上の美観が維持され、使用時においては、適切な状態で突出するため、有益である。
【0059】
アシストグリップ10は、収納状態における把持部35が、突出状態への変化において回転しながら突出する方向(
図7において左回り。
図6参照。)と反対方向(
図7において右回り)に押されることで、摺動部41の被係止部42と、グリップケース12の係止部43とがラッチ構造によって係止し、摺動部41の動きが規制される。すなわち、グリップ本体26で摺動部41を操作することができ、ドア2の開閉と連動させるか否かを選択することができる。
【0060】
次に、本発明の第二実施形態に係るアシストグリップを図面に基づいて説明する。
図8は、第二実施形態に係るアシストグリップ210の動作の概略が示されている。アシストグリップ210では、第一実施形態に係るアシストグリップ10と異なり、リンクアーム58が上下に反転した起動リンク部材266が備えられている。なお、以下では、第一実施形態と異なる構成が主に説明され、同様の構成は適宜説明が省略されている。
【0061】
図8に示されているとおり、アシストグリップ210は、ワイヤー47が定滑車6を介してグリップケース12の上部から通され、摺動部41に接続されている。摺動部41は、永久磁石47が内蔵され、この永久磁石47がワイヤー47と接続されている。このアシストグリップ210によれば、ワイヤー47が緩むことで、グリップ本体26が収納されて収納状態に変化し(
図8(a))、ワイヤー47が引っ張られることで、グリップ本体26が突出して突出状態に変化する(
図8(b))。さらに、突出状態において、被係止部42が係止部43に係止されることで、収納維持状態に変化する(
図8(c)(d))。
【0062】
図8(a)に示されているとおり、収納状態では、例えば、ドア2が閉じることで、ドア2からの外力が加えられて起動リンク部材266の当接本体部57が押し込まれ、ワイヤー47が上方に向けて緩んでいる。グリップ可動体11において、グリップ本体26は、バネ34が自然長または圧縮しているため、把持部35がグリップケース12に近接している。摺動部41は、ラック・ピニオン機構によってグリップ本体26と連動し、収容レール部17の下部に配置されている。この収納状態において、ドア2が開くと、アシストグリップ210は収納状態から突出状態に変化する。
【0063】
図8(b)に示されているとおり、突出状態では、ドア2が開くことで、当接本体部57がドア2からの外力から解放されて突出し、ワイヤー47が下方に向けて引っ張られる。グリップ可動体11において、摺動部41は、ワイヤー47によって上方に引っ張られ、収容レール部17の上部に配置される。摺動部41が引っ張れることにより、グリップ本体26は、ラック・ピニオン機構によって摺動部41と連動し、バネ34の弾性力に抗して、軸部18を軸として回転し(
図8において左回りに回転し)、把持部35がグリップケース12から離れて外側に張り出した状態となる。このようにして、アシストグリップ210は収納状態から突出状態に変化する。
【0064】
再びドア2が閉じると、
図8(a)に示されているとおり、ドア2からの外力が加えられて起動リンク部材266の当接本体部57が押し込まれ、ワイヤー47が上方に向けて緩む。ワイヤー47が緩むことにより、摺動部41がワイヤー47からの外力から解放されると共に、ラック・ピニオン機構によって摺動部41と連動するグリップ本体26も解放される。グリップ可動体11において、グリップ本体26は、圧縮していたバネ34の復元力によって、軸部18を軸として回転し(
図8において右回りに回転し)、把持部35がグリップケース12に近接する。このようにして、アシストグリップ210は突出状態から収納状態に変化する。
【0065】
図8(c)に示されているとおり、収納状態におけるグリップ本体26が操作されると、摺動部41は、ラック・ピニオン機構によってグリップ本体26と連動し、収容レール部17において下部に押し込まれる。摺動部41の被係止部42と、グリップケース12の係止部43とがラッチ構造によって係止し、摺動部41の動きが規制される。このようにして、アシストグリップ210は収納状態から収納維持状態に変化する。
図8(d)に示されているとおり、この収納維持状態において、ドア2が開き、当接本体部57がドア2からの外力から解放されて突出してワイヤー47が下方に向けて引っ張られると、摺動部41の動きが規制されたまま永久磁石7が離れ、ワイヤー47のみが引っ張られる。そのため、摺動部41はスライドせず、また、摺動部41と連動するグリップ本体26も停止したままである。なお、第二実施形態の変形例として、永久磁石7に替えて、摺動部41にバネ(図示省略。)が内蔵されていてもよい。
【0066】
第二実施形態に係るアシストグリップ210も、第一実施形態に係るアシストグリップ10と同じ効果を発揮する。
【0067】
次に、本発明の第三実施形態に係るアシストグリップを図面に基づいて説明する。
図9は、第三実施形態に係るアシストグリップ310の動作の概略が示されている。なお、以下では、第一実施形態と異なる構成が主に説明され、同様の構成は適宜説明が省略されている。
【0068】
図9に示されているとおり、アシストグリップ310では、第一実施形態係るアシストグリップ10と異なり、一般的なグリップ本体326が備えられ、連動解除部339がグリップ本体326と別に備えられている。連動解除部339の摺動部41は、操作部46が取り付けられている。収納状態において(
図9(a))、操作部46が操作され、摺動部41がラッチ構造によって係止されると、アシストグリップ310は収納維持状態に変化する(
図9(c))。操作部46が操作されて摺動部41が解放されると、アシストグリップ310は、ドア2の開閉と連動して収納状態または突出状態(
図9(b))に変化する。
【0069】
第四実施形態(図示省略。)は、起動リンク部材が備えられておらず、連動部としてのワイヤー47の下端部が直接ドア2に連結されている。ドア2とBピラー4との間において露出したワイヤー47は、例えばコイルバネなどで被覆され、ドア2にワイヤー47が挟まらないように保護されている。
【0070】
本発明の他の実施形態として、連動解除部は、動きが規制される構造であれば、ラッチ構造に替えて、どのような構成であってもよい。例えば、摺動部とグリップケースとの隙間に楔が挟まれることで、摺動部の動きが規制される。また、摺動部の下端部に電磁石が備えられ、例えば、無線式または有線式の操作部が操作されて通電・遮断されることで、摺動部の動きが規制される。また、例えば、棒状の操作部が、クリップケース外側から摺動に挿入・貫通されることで、摺動部の動きが規制される。
【0071】
以上、本発明の実施形態を詳述したが、本発明は上記した実施形態に限定されるものではない。そして本発明は、特許請求の範囲に記載された事項を逸脱することがなければ、種々の設計変更を行うことが可能である。