【課題を解決するための手段】
【0012】
発明の概要
本発明の第1の局面によると、脳内に穴をあけるための1つ以上の外科的ドリル要素を含む頭蓋ドリルシステムが提供される。
【0013】
脳に開口をあけること(drilling out)は、硬膜の貫通の際、およびその後の脳内へのガイドロッド、ガイドチューブ、カテーテル、電極等のプローブの挿入の際に、脳が押しのけられる程度を低減し得る。これは、プローブ/植え込み可能な機器のより正確な設置をもたらし得る。
【0014】
該システムは、第1のドリル要素および第2のドリル要素を使用して形成される開口の相対的な位置を協同して画定するように配置される第1のドリル要素および第2のドリル要素を含み得る。開口は、頭蓋内の開口および脳内の開口を含み得る。該ドリル要素は、開口が互いに実質的に同一中心に形成されるように配置され得る。
【0015】
頭蓋ドリルシステム(cranial drilling system)は、脳に穴をあけるための第1のドリル要素および頭蓋に穴をあけるための第2のドリル要素を含み得、第2のドリル要素は、第1のドリル要素の直径よりも大きな直径を有する少なくとも部分を有する。このように、該ドリルシステムは、脳内に開口をあけるため、および植え込み可能な機器を保持するための開口を頭蓋内にあけるための両方に使用され得る。
【0016】
第1のドリル要素および第2のドリル要素の一方を用いて穴をあけることが、第2のドリル要素および第1のドリル要素のもう一方への連結により誘導されるように、第1のドリル要素および第2のドリル要素は連結され得るかまたは連結可能である。かかる配置は、脳内の開口に対する頭蓋内の開口の正確な配置を補助し得る。
【0017】
第1のドリル要素は、第2のドリル要素の遠位端から伸長し得るので、第1のドリル要素は、第2のドリル要素が頭蓋に穴を開け得る前に、頭蓋に穴をあける必要がある。かかる配置において、第2のドリル要素は、第1のドリル要素との連結により、第1のドリル要素を使用して形成された開口に関連する位置に誘導され得る。第1および第2の要素の両方を使用して穴をあけることは、共通の軸の回転により連続したプロセスで達成され得、この意味において「一工程」プロセスを含む。このように、脳内の開口および頭蓋内のより大きな直径の開口は、頭蓋/脳からドリル要素の1つを除去/取り外す必要なく、穴を開けられ得る。連続様式の複数の穴あけ特徴(drilling multiple features)は、該特徴を生じる性質を高めることにより、脳脊髄液(CSF)の漏れを低減し得る。
【0018】
第1のドリル要素および第2のドリル要素は、第1のドリル要素が第2のドリル要素の遠位端から伸長する長さが、変更され得るように連結され得る。この方法において、該システムは特定の標的に適合され得る。
【0019】
第1のドリル要素は、第1のドリル要素を用いて脳内に穴をあけることが、第2のドリル要素との連結により誘導されるように、第2のドリル要素に連結され得るか連結可能である。これを達成するために、第2のドリル要素は、第1のドリル要素を受けるために第2のドリル要素を通る通路を有し得、第1のドリル要素は、第1のドリル要素が第2のドリル要素の遠位端から突き出ない引っ込んだ位置および、第1のドリル要素が第2のドリル要素の遠位端から伸長する伸長された位置から、該通路内を移動可能である。かかる配置において、第1のドリル要素は、第2のドリル要素との連結により、第2のドリル要素を使用して形成された開口に関連する位置へと誘導され得る。かかる配置により、硬膜の貫通に由来する脳脊髄液(CSF)の放出が、第2のドリル要素を使用してより大きな直径の開口が頭蓋内に形成された後まで遅延されることが可能になり得る。
【0020】
頭蓋に穴をあけるための第2のドリル要素は、より狭い直径部およびより広い直径部を有する頭蓋内の開口を形成する輪郭(profile)を含み得る。
【0021】
第1のドリル要素は、開口のより狭い直径部内に密接な嵌め合い(close fit)となるように配置され得る。一態様において、第2のドリル要素は、第2のドリル要素の遠位端から伸長する先導(pilot)ドリル要素を含み、第1のドリル要素は先導ドリル要素を使用して形成された先導穴内に密接な嵌め合いとなるように配置される。この方法において、第1のドリル要素により穴をあけることは、第1のドリル要素を先導穴に適合させることにより誘導され得る。
【0022】
第2のドリル要素は、より狭い直径部とより広い直径部の間に1、2またはそれ以上の段のある転位(stepped transition)を有する開口を頭蓋内に形成するための輪郭を含み得る。この方法において、該開口は、カテーテルまたはガイドチューブのポートなどの植え込み可能な機器の、対応して形作られた部分を支持し得る。
【0023】
第2のドリル要素は、第2の要素を用いて穴をあける際に、第1のドリル要素により形成された開口内に伸長し得、該開口内に密接な嵌め合いとなるガイドを含み得る。
【0024】
頭蓋ドリルシステムは、第1および/または第2のドリル要素を、定位フレームおよび/またはロボットなどの座標配置装置(coordinate positioning apparatus)に連結するためのマウントを含み得る。
【0025】
第1のドリル要素は、脳の軟膜内に伸長するのに十分な長さを有し得る。第1のドリル要素は、10mmより長い長さを有し得る。この方法において、該ドリル要素は、脳内の標的に到達するのに十分な長さを有し得る。ドリル要素は、2つの縦溝を含み得るねじれドリル(twist drill)を含み得る。
【0026】
第1のドリル要素の先端の先端角は、90°未満、80°未満、70°未満、好ましくは約60°であり得る。鋭い先端は、頭蓋および硬膜の貫通を補助し、頭蓋および硬膜の表面からのドリル要素の逸れ(deflection)の可能性を低減し、脳の逸れを低減すると考えられる。
【0027】
ドリル要素は、ステンレス鋼またはチタンなどの生体不活性物質で作製され得る。
【0028】
本発明の第2の局面によると、本発明の第1の局面の頭蓋ドリルシステム、および該頭蓋ドリルシステムを用いて形成された頭蓋内の開口内に配置するための植え込み可能な機器を含むキットが提供され、第2のドリル要素は、植え込み可能な機器の輪郭に対応する輪郭を有する開口を形成するように配置される。
【0029】
本発明の第3の局面によると、頭蓋に対して外科的機器を配置するための座標配置装置および本発明の第1の局面の頭蓋ドリルシステムを含む、神経外科的装置が提供される。
【0030】
座標配置装置は、定位フレームまたはロボットであり得る。
【0031】
本発明の第4の局面によると、患者の脳に穴をあける工程を含む手術の方法が提供される。
【0032】
該方法は、患者を画像化する工程、画像から標的を同定する工程および同定された標的に基づいて脳に穴をあける工程を含み得る。
【0033】
該方法は、頭蓋ドリル要素を使用して頭蓋に開口をあける工程、ここで頭蓋ドリル要素は頭蓋内に残る;さらなるドリル要素を使用して脳に穴をあける工程を含み得、さらなるドリル要素は、頭蓋ドリル要素に関してさらなるドリル要素の位置決定を強制するために頭蓋ドリル要素と連結される。
【0034】
該方法は、頭蓋ドリル要素を使用して先導穴および頭蓋に先導穴よりも大きな直径を有する開口をあける工程、次いでさらなるドリル要素を使用して脳に穴をあける工程を含み、さらなるドリル要素は、該先導穴を通って挿入される。該方法は、脳に穴をあける前に、先導穴を通ってスパイクにより硬膜に穴をあける工程を含み得る。
【0035】
本発明の第5の局面によると、頭蓋に穴をあけるための外科的ドリル要素、ここで、該外科的ドリル要素は、より狭い直径部およびより広い直径部を有する開口を頭蓋に形成する輪郭を含み;および硬膜を貫通するための要素ここで該要素は、開口のより狭い直径部において、締りばめなどの密接な嵌め合いとなるように配置される;を含む頭蓋ドリルシステムが提供される。該要素は、ドリルの縦溝を有することなく、実質的に平坦な外表面を有するさらなるドリル要素またはスパイクであり得る。一態様において、該ドリルシステムは、硬膜に穴をあけるためのスパイクおよび脳に穴をあけるためのさらなるドリル要素を含む。
【0036】
本発明の第6の局面によると、頭蓋を通して形成される穴に配置される誘導要素および硬膜を貫通するための貫通要素を含む頭蓋ドリルシステムが提供され、該誘導要素は、その中に貫通要素を受けるための通路または溝(channel)を有し、その結果、該貫通要素は、硬膜を貫通するために誘導要素に対して移動可能である。
【0037】
この方法において、頭蓋と誘導要素の境界面を通る誘導要素は、硬膜が頭蓋中の穴に関連する所望の位置で貫通され得るように、頭蓋に形成された穴に対して貫通要素を位置決定するための手段を提供する。
【0038】
誘導要素は、頭蓋を通して穴をあけるためのドリル(dill)要素を含み得る。したがって、該ドリルは最初に、頭蓋を通して穴を形成するために使用され、次いで硬膜を貫通するために使用される貫通要素を誘導するためのガイドとして使用される。
【0039】
代替的に、誘導要素は、穴を形成するために使用されるドリル要素とは別個の要素であり得る。かかる態様において、頭蓋に穴をあけるために使用されるドリル要素は、穴から除去され、別箇の誘導要素は穴に挿入され、穴と誘導要素の嵌合により配置される。所望の配置を達成するために、ドリル要素は、より狭い直径部およびより広い直径部を有する開口を頭蓋に形成する輪郭を含み得、誘導要素は、ドリル要素の輪郭に対応する輪郭を含み得る。
【0040】
貫通要素(piercing element)は、貫通要素が誘導要素の遠位端から突き出ない引っ込んだ位置および、貫通要素が誘導要素の遠位端から伸長する伸長された位置から、通路または溝内を移動可能であり得る。貫通要素は、誘導要素を頭蓋中に配置する間に誘導要素内に保持され得るか、または誘導要素が頭蓋内に配置された後に、通路もしくは溝内に挿入可能であり得る。例えば、通路または溝は、貫通要素が誘導要素の近位末端部に挿入され得、かつ通路または溝を通って、誘導要素の遠位端から突き出るように移動し得るように、誘導要素を通って伸長し得る。
【0041】
貫通要素は、実質的に平坦な外表面を有するスパイクであり得る。代替的に、貫通要素は、ドリル要素であり得る。
【0042】
即ち、本発明の要旨は、
〔1〕頭蓋に穴をあけるための第1のドリル要素、頭蓋に穴をあけるための第2のドリル要素、および硬膜を貫通するための要素を含む、頭蓋ドリルシステムであって、第2のドリル要素は、第2のドリル要素を用いて穴をあける際に、第1のドリル要素により形成された開口内に伸長し得、該開口内において密接な嵌め合いとなるガイドを含み、硬膜を貫通するための要素は、頭蓋に形成された開口において密接な嵌め合いとなるように配置さ
れ、該硬膜を貫通するための要素が所望の位置に誘導される、頭蓋ドリルシステム、
〔2〕第2のドリル要素は、より広い部分およびより狭い部分を有する開口を頭蓋に形成するための輪郭を含む、〔1〕記載の頭蓋ドリルシステム、
〔3〕第2のドリル要素は、より広い部分とより狭い部分の間に1、2またはそれ以上の段のある転位(stepped transition)を含む開口を頭蓋内に形成するための輪郭を含む、〔2〕記載の頭蓋ドリルシステム、
〔4〕硬膜を貫通するための要素を誘導するための別個のガイド要素を含む頭蓋ドリルシステムであって、該別個のガイド要素は、該開口との嵌合により開口に設置できる、〔1〕記載の頭蓋ドリルシステム、
〔5〕硬膜を貫通するための要素がスパイクである、〔4〕記載の頭蓋ドリルシステム、
〔6〕〔1〕〜〔5〕いずれか記載の頭蓋ドリルシステムおよび該頭蓋ドリルシステムを使用して形成された頭蓋中の開口内に配置するための植え込み可能な機器を含むキットであって、該頭蓋ドリルシステムが、植え込み可能な機器の輪郭に対応する輪郭を有する開口を形成するように配置される、キット、
〔7〕頭蓋に対して外科的機器を位置決定するための座標配置装置(coordinate positioning apparatus)および〔1〕〜〔5〕いずれか記載の頭蓋ドリルシステムを含む、神経外科的装置
に関する。