(54)【発明の名称】硬化物パターンの形成方法、加工基板の製造方法、光学部品の製造方法、回路基板の製造方法、電子部品の製造方法、インプリントモールドの製造方法、およびインプリント前処理コート用材料
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記硬化性組成物(α2)中の粒径が0.07μm以上のパーティクルの個数濃度が471個/mL未満であることを特徴とする請求項1に記載の硬化物パターンの製造方法。
前記基板の上面に、密着層が形成されており、前記硬化性組成物(α1´)の液膜からなる層を前記密着層上に配置した状態で前記硬化性組成物(α2)の液滴を離散的に付与することを特徴とする請求項1または2に記載の硬化物パターンの製造方法。
前記第2の工程と前記第3の工程の間に、前記基板と前記モールドとの位置合わせを行う工程をさらに有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の硬化物パターンの製造方法。
前記硬化性組成物(α1´)は、前記硬化性組成物(α2)よりも大きい表面張力を有しており、且つ、前記硬化性組成物(α1)中の粒径が0.07μm以上のパーティクルの個数濃度が898個/mL未満であることを特徴とする請求項11に記載のインプリント前処理コート用材料。
前記硬化性組成物(α1´)および前記硬化性組成物(α2)が部分的に混合してなる混合層に対し、表面に凹凸パターンが形成されたモールドを用いて、インプリントプロセスによって前記凹凸パターンを転写する場合、
前記モールドの有する前記凹凸パターンの凹部の幅がS(nm)であるとき、粒径が2.5S(nm)以上のパーティクルの個数濃度が2021個/mL未満であることを特徴とする請求項11または12に記載のインプリント前処理コート用材料。
前記凹部の幅(S)が4nm以上30nm未満であり、前記モールドの凸部の幅Lに対する前記モールドのパターン高さHのアスペクト比(H/L)が1以上10以下であることを特徴とする請求項13に記載のインプリント前処理コート用材料。
単官能(メタ)アクリル化合物および多官能(メタ)アクリル化合物のうち少なくとも一方を有することを特徴とする請求項11〜14のいずれか一項に記載のインプリント前処理コート用材料。
前記硬化性組成物(α1´)の23℃での粘度が、1mPa・s以上1000mPa・s以下であることを特徴とする請求項11〜17のいずれか一項に記載のインプリント前処理コート用材料。
前記硬化性組成物(α2)中の粒径が0.07μm以上のパーティクルの個数濃度が471個/mL未満であることを特徴とする請求項11〜18のいずれか一項に記載のインプリント前処理コート用材料。
前記硬化性組成物(α2)中の粒径が0.07μm以上のパーティクルの個数濃度が209個/mL未満であることを特徴とする請求項11〜19のいずれか一項に記載のインプリント前処理コート用材料。
前記硬化性組成物(α2)のうち溶剤である成分(D)を除く成分の硬化性組成物(α2´)の23℃での粘度が、1mPa・s以上12mPa・s以下であることを特徴とする請求項11〜20のいずれか一項に記載のインプリント前処理コート用材料。
前記硬化性組成物(α1)の液膜の配置が、インクジェット法、ディップコート法、エアーナイフコート法、カーテンコート法、ワイヤーバーコート法、グラビアコート法、エクストルージョンコート法、スピンコート法、スリットスキャン法からなる群から選択されるいずれか1つを使用して前記基板をコーティングすることを特徴とする、
請求項26に記載の半導体デバイスの製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態について適宜図面を参照しながら詳細に説明する。ただし、本発明は以下に説明する実施形態に限定されるものではない。また、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、当業者の通常の知識に基づき、以下に説明する実施形態に対して適宜変更、改良等が加えられたものについても本発明の範囲に含まれる。
【0020】
[硬化性組成物(α1)]
本実施形態に係るインプリント前処理コート用材料は、硬化性組成物(α1)を有している。好適には、本実施形態に係るインプリント前処理コート用材料は、硬化性組成物(α1)からなる。
【0021】
インプリント前処理コート用材料は、基板上に前処理コートとなる液膜を形成し、該液膜に対し液滴を付与することで液滴成分の基板面方向の広がりを促進するものである。
硬化性組成物(α1)は、粒径が0.07μm以上のパーティクルの個数濃度が2021個/mL未満であり、付与される液滴、すなわち、その液膜上に配置される硬化性組成物(α2)よりも表面張力が大きい、ことを特徴とする。
【0022】
また、本明細書において「硬化物」とは、硬化性組成物等の組成物に含まれる重合性化合物を重合して、一部または全部を硬化させたものを意味する。なお、硬化物のうち、面積に比して厚みが極端に薄いものであることを強調する際には、特に「硬化膜」と記載することがある。また、硬化膜のうち、層状に積み重ねられていることを強調する際には、特に「硬化層」と記載することがある。これら「硬化物」、「硬化膜」、「硬化層」の形状は特に限定されず、表面にパターン形状を有していてもよい。
以下、本実施形態に係る各成分について詳細に説明する。
【0023】
(硬化性組成物(α):硬化性組成物(α1)および硬化性組成物(α2))
本実施形態において、硬化性組成物(α)、すなわち硬化性組成物(α1)および硬化性組成物(α2)は、少なくとも重合性化合物である成分(A)を有する化合物である。本実施形態において、硬化性組成物(α)はさらに光重合開始剤である成分(B)、非重合性化合物である成分(C)、溶剤である成分(D)を含有してもよい。ただし、硬化性組成物(α)は、光を照射することによって硬化する組成物であれば、これに限定はされない。例えば、硬化性組成物(α)は、成分(A)および成分(B)として働く反応性官能基を、同一分子内に有する化合物を含んでもよい。
以下、硬化性組成物(α)の各成分について、詳細に説明する。
【0024】
<成分(A):重合性化合物>
成分(A)は重合性化合物である。ここで、本実施形態において重合性化合物とは、光重合開始剤である成分(B)から発生した重合因子(ラジカル等)と反応し、連鎖反応(重合反応)によって重合する成分である。重合性化合物はこの連鎖反応によって、高分子化合物からなる硬化物を形成する化合物であることが好ましい。
なお本実施形態において、硬化性組成物(α)中に含まれる全ての重合性化合物をまとめて成分(A)とすることが好ましい。この場合、硬化性組成物(α)中に含まれる重合性化合物が一種類のみである構成、および特定の複数種類の重合性化合物のみである構成が含まれる。
【0025】
このような重合性化合物としては、例えば、ラジカル重合性化合物が挙げられる。重合速度、硬化速度、工程時間等の短縮の観点から、本実施形態に係る重合性化合物はラジカル重合性化合物であることがより好ましい。
ラジカル重合性化合物は、アクリロイル基またはメタクリロイル基を1つ以上有する化合物、すなわち、(メタ)アクリル化合物であることが好ましい。
したがって、本実施形態において、硬化性組成物(α)の成分(A)として、(メタ)アクリル化合物を含むことが好ましい。また、成分(A)の主成分が(メタ)アクリル化合物であることがより好ましく、さらには硬化性組成物(α)中に含まれる重合性化合物の全てが(メタ)アクリル化合物であることが最も好ましい。なお、ここで記載する「成分(A)の主成分が(メタ)アクリル化合物である」とは、成分(A)の90重量%以上が(メタ)アクリル化合物であることを示す。
ラジカル重合性化合物が、複数種類の(メタ)アクリル化合物で構成される場合には、単官能(メタ)アクリルモノマーと多官能(メタ)アクリルモノマーとを含むことが好ましい。これは、単官能(メタ)アクリルモノマーと多官能(メタ)アクリルモノマーとを組み合わせることで、機械的強度が強い硬化物が得られるからである。
【0026】
アクリロイル基またはメタクリロイル基を1つ有する単官能(メタ)アクリル化合物としては、例えば、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシ−2−メチルエチル(メタ)アクリレート、フェノキシエトキシエチル(メタ)アクリレート、3−フェノキシ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−フェニルフェノキシエチル(メタ)アクリレート、4−フェニルフェノキシエチル(メタ)アクリレート、3−(2−フェニルフェニル)−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、EO変性p−クミルフェノールの(メタ)アクリレート、2−ブロモフェノキシエチル(メタ)アクリレート、2,4−ジブロモフェノキシエチル(メタ)アクリレート、2,4,6−トリブロモフェノキシエチル(メタ)アクリレート、EO変性フェノキシ(メタ)アクリレート、PO変性フェノキシ(メタ)アクリレート、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、1−アダマンチル(メタ)アクリレート、2−メチル−2−アダマンチル(メタ)アクリレート、2−エチル−2−アダマンチル(メタ)アクリレート、ボルニル(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、4−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、アクリロイルモルホリン、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、アミル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、へキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ウンデシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、1−ナフチルメチル(メタ)アクリレート、2−ナフチルメチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メトキシエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ジアセトン(メタ)アクリルアミド、イソブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、t−オクチル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、7−アミノ−3,7−ジメチルオクチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド等が挙げられるが、これらに限定はされない。
【0027】
上記単官能(メタ)アクリル化合物の市販品としては、アロニックスM101、M102、M110、M111、M113、M117、M5700、TO−1317、M120、M150、M156(以上、東亞合成製)、MEDOL10、MIBDOL10、CHDOL10、MMDOL30、MEDOL30、MIBDOL30、CHDOL30、LA、IBXA、2−MTA、HPA、ビスコート#150、#155、#158、#190、#192、#193、#220、#2000、#2100、#2150(以上、大阪有機化学工業製)、ライトアクリレートBO−A、EC−A、DMP−A、THF−A、HOP−A、HOA−MPE、HOA−MPL、PO−A、P−200A、NP−4EA、NP−8EA、エポキシエステルM−600A(以上、共栄社化学製)、KAYARAD TC110S、R−564、R−128H(以上、日本化薬製)、NKエステルAMP−10G、AMP−20G(以上、新中村化学工業製)、FA−511A、512A、513A(以上、日立化成製)、PHE、CEA、PHE−2、PHE−4、BR−31、BR−31M、BR−32(以上、第一工業製薬製)、VP(BASF製)、ACMO、DMAA、DMAPAA(以上、興人製)等が挙げられるが、これらに限定はされない。
アクリロイル基またはメタクリロイル基を2つ以上有する多官能(メタ)アクリル化合物としては、例えば、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、EO変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、PO変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、EO,PO変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジメチロールトリシクロデカンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、フェニルエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−へキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、1,10−デカンジオールジ(メタ)アクリレート、1,12−ドデカンジオールジアクリレート、1,3−アダマンタンジメタノールジ(メタ)アクリレート、o−キシリレンジ(メタ)アクリレート、m−キシリレンジ(メタ)アクリレート、p−キシリレンジ(メタ)アクリレート、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリ(メタ)アクリレート、トリス(アクリロイルオキシ)イソシアヌレート、ビス(ヒドロキシメチル)トリシクロデカンジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、EO変性2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシ)フェニル)プロパン、PO変性2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシ)フェニル)プロパン、EO,PO変性2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシ)フェニル)プロパン等が挙げられるが、これらに限定はされない。
【0028】
上記多官能(メタ)アクリル化合物の市販品としては、ユピマーUV SA1002、SA2007(以上、三菱化学製)、ビスコート#195、#230、#215、#260、#335HP、#295、#300、#360、#700、GPT、3PA(以上、大阪有機化学工業製)、ライトアクリレート4EG−A、9EG−A、NP−A、DCP−A、BP−4EA、BP−4PA、TMP−A、PE−3A、PE−4A、DPE−6A(以上、共栄社化学製)、KAYARAD PET−30、TMPTA、R−604、DPHA、DPCA−20、−30、−60、−120、HX−620、D−310、D−330(以上、日本化薬製)、アロニックスM208、M210、M215、M220、M240、M305、M309、M310、M315、M325、M400(以上、東亞合成製)、リポキシVR−77、VR−60、VR−90(以上、昭和電工製)等が挙げられるが、これらに限定はされない。
【0029】
これらラジカル重合性化合物は、一種類を単独で用いてもよいし、二種類以上を組み合わせて用いてもよい。なお、上述した化合物群において、(メタ)アクリレートとは、アクリレートまたはそれと同等のアルコール残基を有するメタクリレートを意味する。(メタ)アクリロイル基とは、アクリロイル基またはそれと同等のアルコール残基を有するメタクリロイル基を意味する。EOは、エチレンオキサイドを示し、EO変性化合物Aとは、化合物Aの(メタ)アクリル酸残基とアルコール残基がエチレンオキサイド基のブロック構造を介して結合している化合物を示す。また、POは、プロピレンオキサイドを示し、PO変性化合物Bとは、化合物Bの(メタ)アクリル酸残基とアルコール残基がプロピレンオキサイド基のブロック構造を介して結合している化合物を示す。
【0030】
重合性化合物である成分(A)の硬化性組成物(α1)における配合割合は、成分(A)、成分(B)、成分(C)の合計重量、すなわち硬化性組成物(α1)のうち溶剤である成分(D)を除く硬化性組成物(α1´)の成分の合計重量に対して、50重量%以上100重量%以下であるとよい。また、好ましくは、80重量%以上100重量%以下であり、さらに好ましくは90重量%以上100重量%以下である。
重合性化合物である成分(A)の配合割合を、硬化性組成物(α1´)の成分の合計重量に対して50重量%以上とすることにより、得られる硬化膜をある程度の機械的強度を有する硬化膜とすることができる。
【0031】
重合性化合物である成分(A)の硬化性組成物(α2)における配合割合は、成分(A)、成分(B)、成分(C)の合計重量、すなわち硬化性組成物(α2)のうち溶剤である成分(D)を除く硬化性組成物(α2´)の成分の合計重量に対して、50重量%以上99.9重量%以下であるとよい。また、好ましくは、80重量%以上99重量%以下であり、さらに好ましくは90重量%以上98重量%以下である。
重合性化合物である成分(A)の配合割合を、硬化性組成物(α2´)の成分の合計重量に対して50重量%以上とすることにより、得られる硬化膜をある程度の機械的強度を有する硬化膜とすることができる。
【0032】
また、後述するように、硬化性組成物(α1)は、成分(D)を含有することが好ましく、成分(A)は溶剤である成分(D)を含む硬化性組成物(α1)の成分の合計重量に対して、0.01重量%以上10重量%以下であるとよい。
【0033】
<成分(B):光重合開始剤>
成分(B)は、光重合開始剤である。本実施形態に係る硬化性組成物(α)は、前述した成分(A)の他に、種々の目的に応じ、本発明の効果を損なわない範囲で、さらに光重合開始剤である成分(B)を含有していてもよい。
成分(B)は、一種類の重合開始剤で構成されていてもよく、複数種類の重合開始剤で構成されていてもよい。
光重合開始剤は、所定の波長の光を感知して上記重合因子(ラジカル等)を発生させる化合物である。具体的には、光重合開始剤は、光(赤外線、可視光線、紫外線、遠紫外線、X線、電子線等の荷電粒子線等、放射線)によりラジカルを発生する重合開始剤(ラジカル発生剤)である。
【0034】
ラジカル発生剤としては、例えば、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジ(メトキシフェニル)イミダゾール二量体、2−(o−フルオロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(o−またはp−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体等の置換基を有してもよい2,4,5−トリアリールイミダゾール二量体;ベンゾフェノン、N,N’−テトラメチル−4,4’−ジアミノベンゾフェノン(ミヒラーケトン)、N,N’−テトラエチル−4,4’−ジアミノベンゾフェノン、4−メトキシ−4’−ジメチルアミノベンゾフェノン、4−クロロベンゾフェノン、4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン等のベンゾフェノン誘導体;2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1、2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルフォリノ−プロパン−1−オン等のα―アミノ芳香族ケトン誘導体;2−エチルアントラキノン、フェナントレンキノン、2−t−ブチルアントラキノン、オクタメチルアントラキノン、1,2−ベンズアントラキノン、2,3−ベンズアントラキノン、2−フェニルアントラキノン、2,3−ジフェニルアントラキノン、1−クロロアントラキノン、2−メチルアントラキノン、1,4−ナフトキノン、9,10−フェナンタラキノン、2−メチル−1,4−ナフトキノン、2,3−ジメチルアントラキノン等のキノン類;ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインフェニルエーテル等のベンゾインエーテル誘導体;ベンゾイン、メチルベンゾイン、エチルベンゾイン、プロピルベンゾイン等のベンゾイン誘導体;ベンジルジメチルケタール等のベンジル誘導体;9−フェニルアクリジン、1,7−ビス(9,9’−アクリジニル)ヘプタン等のアクリジン誘導体;N−フェニルグリシン等のN−フェニルグリシン誘導体;アセトフェノン、3−メチルアセトフェノン、アセトフェノンベンジルケタール、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン等のアセトフェノン誘導体;チオキサントン、ジエチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、2−クロロチオキサントン等のチオキサントン誘導体;2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルフォスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルフォスフィンオキサイド等のアシルフォスフィンオキサイド誘導体;1,2−オクタンジオン,1−[4−(フェニルチオ)−,2−(O−ベンゾイルオキシム)]、エタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−,1−(O−アセチルオキシム)等のオキシムエステル誘導体;キサントン、フルオレノン、ベンズアルデヒド、フルオレン、アントラキノン、トリフェニルアミン、カルバゾール、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン等が挙げられるが、これらに限定はされない。
【0035】
上記ラジカル発生剤の市販品として、Irgacure184、369、651、500、819、907、784、2959、CGI−1700、−1750、−1850、CG24−61、Darocur 1116、1173、Lucirin TPO、LR8893、LR8970(以上、BASF製)、ユベクリルP36(UCB製)等が挙げられるが、これらに限定はされない。
これらの中でも、成分(B)は、アシルフォスフィンオキサイド系重合開始剤またはアルキルフェノン系重合開始剤であることが好ましい。上記の例のうち、アシルフォスフィンオキサイド系重合開始剤は、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルフォスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルフォスフィンオキサイドなどのアシルフォスフィンオキサイド化合物である。また、上記の例のうち、アルキルフェノン系重合開始剤は、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインフェニルエーテル等のベンゾインエーテル誘導体;ベンゾイン、メチルベンゾイン、エチルベンゾイン、プロピルベンゾイン等のベンゾイン誘導体;ベンジルジメチルケタール等のベンジル誘導体;アセトフェノン、3−メチルアセトフェノン、アセトフェノンベンジルケタール、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン等のアセトフェノン誘導体;2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン等のα−アミノ芳香族ケトン誘導体である。
【0036】
本発明において、硬化性組成物(α1)は実質的に光反応性を有さないことが好ましい。このために、光重合開始剤である成分(B)の硬化性組成物(α1)における配合割合は、成分(A)、成分(B)、後述する非重合性化合物である成分(C)の合計、すなわち硬化性組成物(α1)のうち溶剤である成分(D)を除く硬化性組成物(α1´)の成分の合計重量に対して、0.1重量%未満とすることが好ましい。また、好ましくは、0.01重量%以下であり、さらに好ましくは0.001重量%以下である。
硬化性組成物(α1´)は、成分(B)の配合割合を0.1重量%未満とすることにより、硬化性組成物(α1)は実質的に光反応性を有さない。インプリント技術において、装置構成によっては、あるショットを露光する際に漏れ光が発生し、前記ショットに隣接するインプリント工程未実施のショット領域が露光される場合がある。硬化性組成物(α1)が光反応性を有さないのであれば、インプリント工程未実施の前記ショット領域における前記漏れ光による硬化性組成物(α1´)の光硬化が生じず、前記ショット領域においても短い充填時間でも未充填欠陥が少ないパターンが得られるのである。
【0037】
硬化性組成物(α2)は、2種類以上の光重合性化合物(B)を含むことが好ましい。これにより、硬化性組成物(α1)および硬化性組成物(α2)の混合物の光硬化性能を向上することができる。
光重合開始剤である成分(B)の硬化性組成物(α2)における配合割合は、成分(A)、成分(B)、および後述する成分(C)の合計重量、すなわち硬化性組成物(α2)のうち溶剤である成分(D)を除く硬化性組成物(α2´)の成分の合計重量に対して、0重量%以上50重量%以下であり、好ましくは0.1重量%以上20重量%以下であり、さらに好ましくは1重量%以上20重量%以下である。
成分(B)の配合割合を、成分(A)、成分(B)、成分(C)の合計重量に対して0.1重量%以上とすることにより、硬化性組成物(α2)の硬化速度を速くすることができる。その結果、反応効率を良くすることができる。また、成分(B)の配合割合を成分(A)、成分(B)、成分(C)の合計重量に対して50重量%以下とすることにより、得られる硬化物をある程度の機械的強度を有する硬化物とすることができる。
【0038】
<非重合性成分(C)>
本実施形態に係る硬化性組成物(α)は、前述した成分(A)、成分(B)の他に、種々の目的に応じ、本発明の効果を損なわない範囲で、さらに非重合性化合物である成分(C)を含有していてもよい。このような成分(C)としては、増感剤、水素供与体、内添型離型剤、界面活性剤、酸化防止剤、ポリマー成分、その他添加剤等が挙げられる。
増感剤は、重合反応促進や反応転化率の向上を目的として、適宜添加される化合物である。増感剤として、例えば、増感色素等が挙げられる。
【0039】
増感色素は、特定の波長の光を吸収することにより励起され、成分(B)である光重合開始剤と相互作用する化合物である。なお、ここで記載する相互作用とは、励起状態の増感色素から成分(B)である光重合開始剤へのエネルギー移動や電子移動等を指す。
増感色素の具体例としては、アントラセン誘導体、アントラキノン誘導体、ピレン誘導体、ペリレン誘導体、カルバゾール誘導体、ベンゾフェノン誘導体、チオキサントン誘導体、キサントン誘導体、クマリン誘導体、フェノチアジン誘導体、カンファキノン誘導体、アクリジン系色素、チオピリリウム塩系色素、メロシアニン系色素、キノリン系色素、スチリルキノリン系色素、ケトクマリン系色素、チオキサンテン系色素、キサンテン系色素、オキソノール系色素、シアニン系色素、ローダミン系色素、ピリリウム塩系色素等が挙げられるが、これらに限定はされない。
増感剤は、一種類を単独で用いてもよいし、二種類以上を混合して用いてもよい。
【0040】
水素供与体は、成分(B)である光重合開始剤から発生した開始ラジカルや、重合成長末端のラジカルと反応し、より反応性が高いラジカルを発生する化合物である。水素供与体は、成分(B)が光ラジカル発生剤である場合に添加することが好ましい。
このような水素供与体の具体例としては、n−ブチルアミン、ジ−n−ブチルアミン、トリ−n−ブチルアミン、アリルチオ尿素、トリエチルアミン、トリエチレンテトラミン、4,4’−ビス(ジアルキルアミノ)ベンゾフェノン、N,N−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル、N,N−ジメチルアミノ安息香酸イソアミルエステル、ペンチル−4−ジメチルアミノベンゾエート、トリエタノールアミン、N−フェニルグリシン等のアミン化合物、2−メルカプト−N−フェニルベンゾイミダゾール、メルカプトプロピオン酸エステル等のメルカプト化合物、s−ベンジルイソチウロニウム−p−トルエンスルフィネート等の硫黄化合物、トリ−n−ブチルホスフィン等のリン化合物等が挙げられるが、これらに限定はされない。
水素供与体は、一種類を単独で用いてもよいし二種類以上を混合して用いてもよい。また、水素供与体は、増感剤としての機能を有してもよい。
【0041】
モールドとレジストとの間の界面結合力の低減、すなわち、後述する離型工程における離型力の低減を目的として、硬化性組成物(α)中に内添型離型剤を添加してもよい。ここで、本明細書において「内添型」とは、後述する配置または付与工程の前に予め硬化性組成物(α)に添加されていることを意味する。
内添型離型剤としては、シリコーン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤および炭化水素系界面活性剤等の界面活性剤等を使用できる。本実施形態において、内添型離型剤は重合性を有さない。
【0042】
フッ素系界面活性剤としては、パーフルオロアルキル基を有するアルコールのポリアルキレンオキサイド(ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド等)付加物、パーフルオロポリエーテルのポリアルキレンオキサイド(ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド等)付加物等が含まれる。なお、フッ素系界面活性剤は、分子構造の一部(例えば、末端基)に、ヒドロキシル基、アルコキシ基、アルキル基、アミノ基、チオール基等を有してもよい。
【0043】
フッ素系界面活性剤としては、市販品を使用してもよい。フッ素系界面活性剤の市販品としては、例えば、メガファックF−444、TF−2066、TF−2067、TF−2068(以上、DIC製)、フロラード FC−430、FC−431(以上、住友スリーエム製)、サーフロン S−382(AGC製)、EFTOP EF−122A、122B、122C、EF−121、EF−126、EF−127、MF−100(以上、トーケムプロダクツ製)、PF−636、PF−6320、PF−656、PF−6520(以上、OMNOVA Solutions製)、ユニダインDS−401、DS−403、DS−451(以上、ダイキン工業製)、フタージェント 250、251、222F,208G(以上、ネオス製)等が挙げられるが、これらに限定はされない。
炭化水素系界面活性剤としては、炭素数1以上50以下のアルキルアルコールに炭素数2以上4以下のアルキレンオキサイドを付加した、アルキルアルコールポリアルキレンオキサイド付加物等が含まれる。
【0044】
アルキルアルコールポリアルキレンオキサイド付加物としては、メチルアルコールエチレンオキサイド付加物、デシルアルコールエチレンオキサイド付加物、ラウリルアルコールエチレンオキサイド付加物、セチルアルコールエチレンオキサイド付加物、ステアリルアルコールエチレンオキサイド付加物、ステアリルアルコールエチレンオキサイド/プロピレンオキサイド付加物等が挙げられる。なお、アルキルアルコールポリアルキレンオキサイド付加物の末端基は、単純にアルキルアルコールにポリアルキレンオキサイドを付加して製造できるヒドロキシル基に限定されない。このヒドロキシル基が他の置換基、例えば、カルボキシル基、アミノ基、ピリジル基、チオール基、シラノール基等の極性官能基やアルキル基、アルコキシ基等の疎水性官能基に変換されていてもよい。
【0045】
アルキルアルコールポリアルキレンオキサイド付加物は、市販品を使用してもよい。アルキルアルコールポリアルキレンオキサイド付加物の市販品としては、例えば、青木油脂工業製のポリオキシエチレンメチルエーテル(メチルアルコールエチレンオキサイド付加物)(BLAUNON MP−400、MP−550、MP−1000)、青木油脂工業製のポリオキシエチレンデシルエーテル(デシルアルコールエチレンオキサイド付加物)(FINESURF D−1303、D−1305、D−1307、D−1310)、青木油脂工業製のポリオキシエチレンラウリルエーテル(ラウリルアルコールエチレンオキサイド付加物)(BLAUNON EL−1505)、青木油脂工業製のポリオキシエチレンセチルエーテル(セチルアルコールエチレンオキサイド付加物)(BLAUNON CH−305、CH−310)、青木油脂工業製のポリオキシエチレンステアリルエーテル(ステアリルアルコールエチレンオキサイド付加物)(BLAUNON SR−705、SR−707、SR−715、SR−720、SR−730、SR−750)、青木油脂工業製のランダム重合型ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンステアリルエーテル(BLAUNON SA−50/50 1000R,SA−30/70 2000R)、BASF製のポリオキシエチレンメチルエーテル(Pluriol A760E)、花王製のポリオキシエチレンアルキルエーテル(エマルゲンシリーズ)等が挙げられるが、これらに限定はされない。
これらの炭化水素系界面活性剤の中でも内添型離型剤としては、アルキルアルコールポリアルキレンオキサイド付加物であることが好ましく、長鎖アルキルアルコールポリアルキレンオキサイド付加物であることがより好ましい。
【0046】
内添型離型剤は、一種類を単独で用いてもよいし、二種類以上を混合して用いてもよい。
【0047】
硬化性組成物に内添型離型剤を添加する場合には、内添型離型剤として、フッ素系界面活性剤または炭化水素系界面活性剤のうち、少なくとも一つが添加されていることが好ましい。
【0048】
非重合性化合物である成分(C)の硬化性組成物(α)における配合割合は、成分(A)、成分(B)、成分(C)の合計重量、すなわち硬化性組成物(α)のうち溶剤である成分(D)を除く硬化性組成物(α´)の成分の合計重量に対して、0重量%以上50重量%以下であり、好ましくは0.1重量%以上50重量%以下であり、さらに好ましくは0.1重量%以上20質量%以下である。
成分(C)の配合割合を、成分(A)、成分(B)、成分(C)の合計重量に対して50重量%以下とすることにより、得られる硬化物をある程度の機械的強度を有する硬化物とすることができる。
【0049】
<溶剤成分(D)>
本実施形態に係る硬化性組成物(α)は、溶剤である成分(D)を含有していてもよい。成分(D)は、成分(A)、成分(B)、成分(C)が溶解する溶剤であれば、特に限定はされない。好ましい溶剤としては、常圧における沸点が80℃以上200℃以下の溶剤である。さらに好ましくは、水酸基、エーテル構造、エステル構造、ケトン構造のいずれかを少なくとも1つ有する溶剤である。
【0050】
本実施形態に係る成分(D)としては、具体的には、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコールなどのアルコール系溶剤;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルなどのエーテル系溶剤;ブチルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートなどのエステル系溶剤;メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノン、2−ヘプタノン、γ−ブチロラクトン、乳酸エチルなどのケトン系溶剤から選ばれる単独、あるいはこれらの混合溶剤が好ましい。
【0051】
本実施形態に係る硬化性組成物(α1)は、成分(D)を含有することが好ましい。後述するように、基板上への硬化性組成物(α1)の塗布方法としてスピンコート法が好ましいためである。この場合、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、シクロヘキサノン、2−ヘプタノン、γ−ブチロラクトン、乳酸エチルから選ばれる単独、あるいはまたはその混合溶液が塗布性の観点で特に好ましい。
【0052】
本実施形態に係る成分(D)の硬化性組成物(α1)における配合割合は、成分(A)や成分(B)、成分(C)の粘度や塗布性、形成される液膜の膜厚などによって適宜調整することができるが、硬化性組成物(α1)の全量に対して70重量%以上が好ましい。より好ましくは90重量%以上、さらに好ましくは95重量%以上である。成分(D)が多いほど形成される液膜の膜厚を薄くできる。なお、成分(D)の硬化性組成物(α1)における配合割合が70重量%以下である場合には十分な塗布性が得られない場合がある。
【0053】
また、本実施形態に係る硬化性組成物(α2)には溶剤を用いることもできるが、硬化性組成物(α2)は実質的に溶剤を含まない方が好ましい。ここで、「実質的に溶剤を含まない」とは、不純物等、意図せずに含まれてしまう溶剤以外の溶剤を含まないことを言う。すなわち、例えば、本実施形態に係る硬化性組成物(α2)の溶剤の含有量は硬化性組成物(α2)全体に対して3重量%以下であることが好ましく、1重量%以下であることがさらに好ましい。なお、ここで言う溶剤とは、硬化性組成物やフォトレジストで一般的に用いられている溶剤を指す。すなわち溶剤の種類は、本発明で用いる化合物を溶解および均一分散させるもので、かつ該化合物と反応しないものであれば特に限定はされない。
【0054】
本実施形態に係る硬化性組成物(α)は、ナノインプリント用硬化性組成物であることが好ましく、光ナノインプリント用硬化性組成物であることがより好ましく、上述のSST−NILプロセスで用いる硬化性組成物、すなわちSST−NIL用硬化性組成物であることがさらに好ましい。
【0055】
なお、本実施形態に係る硬化性組成物(α)またはこれを硬化して得られる硬化物を赤外分光法、紫外可視分光法、熱分解ガスクロマトグラフ質量分析法等で分析することで、硬化性組成物(α)における成分(A)、成分(B)、成分(C)、成分(D)の比率を求めることができる。
【0056】
<硬化性組成物(α)の配合時の温度>
本実施形態に係る硬化性組成物(α)を調製する際には、各成分を所定の温度条件下で混合・溶解させる。具体的には、0℃以上100℃以下の範囲で行う。
【0057】
<硬化性組成物(α)の粘度>
本実施形態に係る硬化性組成物(α1)および(α2)は液体であることが好ましい。なぜならば、後述する型接触工程において、硬化性組成物(α1)および/または(α2)のスプレッドおよびフィルが速やかに完了する、つまり充填時間が短いからである。
本実施形態に係る硬化性組成物(α1)において、硬化性組成物(α1)のうち溶剤である成分(D)を除く硬化性組成物(α1´)の成分の組成物の23℃での粘度は、1mPa・s以上1000mPa・s以下であることが好ましい。また、1mPa・s以上500mPa・s以下であることがより好ましく、1mPa・s以上100mPa・s以下であることがさらに好ましい。
【0058】
本実施形態に係る硬化性組成物(α2)において、硬化性組成物(α2)のうち溶剤である成分(D)を除く硬化性組成物(α2´)の成分の組成物の23℃での粘度は、1mPa・s以上100mPa・s以下であることが好ましい。また、1mPa・s以上50mPa・s以下であることがより好ましく、1mPa・s以上12mPa・s以下であることがさらに好ましい。
硬化性組成物(α2)のうち溶剤である成分(D)を除く硬化性組成物(α2´)の粘度を100mPa・s以下とすることにより、硬化性組成物(α2´)をモールドに接触する際に、スプレッドおよびフィルが速やかに完了する(非特許文献1)。
つまり、本実施形態に係る硬化性組成物(α)を用いることで、光ナノインプリント法を高い歩留まり(スループット)で実施することができる。また、充填不良によるパターン欠陥が生じにくい。
また、粘度を1mPa・s以上とすることにより、硬化性組成物(α)を基板上に塗布する際に塗りムラが生じにくくなる。さらに、硬化性組成物(α)をモールドに接触する際に、モールドの端部から硬化性組成物(α)が流出しにくくなる。
【0059】
<硬化性組成物(α)の表面張力>
本実施形態に係る硬化性組成物(α)の表面張力は、硬化性組成物(α)のうち溶剤である成分(D)を除く硬化性組成物(α´)の成分の組成物について23℃での表面張力が、5mN/m以上70mN/m以下であることが好ましい。また、より好ましくは、7mN/m以上50mN/m以下であり、さらに好ましくは、10mN/m以上40mN/m以下である。ここで、表面張力が高いほど、例えば表面張力が5mN/m以上であると、毛細管力が強く働くため、硬化性組成物(α´)をモールドに接触させる際に硬化性組成物(α´)のスプレッドおよびフィルが短時間で完了する(非特許文献1)。
また、表面張力を70mN/m以下とすることにより、硬化性組成物(α´)を硬化して得られる硬化物が表面平滑性を有する硬化物となる。
【0060】
本実施形態においては、硬化性組成物(α1)のうち溶剤である成分(D)を除く硬化性組成物(α1´)の成分の組成物の表面張力が、硬化性組成物(α2)のうち溶剤である成分(D)を除く硬化性組成物(α2´)の成分の組成物の表面張力より高いことが好ましい。型接触工程前に、後述するマランゴニ効果により硬化性組成物(α2)のプレスプレッドが加速され(液滴が広範囲に広がり)、後述する型接触工程中のスプレッドに要する時間が短縮され、結果として充填時間が短縮されるためである。
【0061】
マランゴニ効果とは液体の表面張力の局所的な差に起因した自由表面移動の現象である(非特許文献2)。表面張力、つまり表面エネルギーの差を駆動力として、表面張力の低い液体が、より広い表面を覆うような拡散が生じる。つまり、基板全面に表面張力の高い硬化性組成物(α1´)を塗布しておき、表面張力の低い硬化性組成物(α2)を滴下すれば、硬化性組成物(α2)のプレスプレッドが加速されるのである。
【0062】
<硬化性組成物(α)の接触角>
本実施形態に係る硬化性組成物(α1)および(α2)の接触角は、硬化性組成物(α)のうち溶剤である成分(D)を除く硬化性組成物(α1´)および(α2´)の成分の組成物についてそれぞれ、基板表面およびモールド表面の双方に対して0°以上90°以下であることが好ましい。接触角が90°より大きいと、モールドパターンの内部や基板−モールドの間隙において毛細管力が負の方向(モールドと硬化性組成物間の接触界面を収縮させる方向)に働き、充填しない。0°以上30°以下であることが特に好ましい。接触角が低いほど毛細管力が強く働くため、充填速度が速い(非特許文献1)。
【0063】
[硬化性組成物(α)に混入している不純物]
本実施形態に係る硬化性組成物(α)は、できる限り不純物を含まないことが好ましい。ここで記載する「不純物」とは、硬化性組成物(α)に意図して含有させたもの以外のものを指す。すなわち、成分(A)、成分(B)、成分(C)および成分(D)以外のものを指す。具体的には例えば、パーティクル、金属不純物、有機不純物等が挙げられるが、これらに限定はされない。
【0064】
<パーティクル>
本実施形態においてパーティクルとは、微小な異物粒子のことを指す。パーティクルは典型的には数nm〜数μmの粒径(直径)を有するゲル状ないし固形状の粒状物質、またはナノバブルやマイクロバブルなどの気泡(以下、単に「ナノバブル」と称する)のことを指す。
【0065】
パーティクルを含む硬化性組成物(α)を用いて光ナノインプリントプロセスを実施すると、モールドの破損や成形後のパターンの欠陥などの不具合を生じる。例えば、光ナノインプリントプロセスにおける配置工程において基板上に塗布された硬化性組成物(α)中にパーティクルが存在した場合、後述の型接触工程(3)や位置合わせ工程においてモールドの破損を生じる場合がある。例えば、モールドの表面に形成された凹凸パターンの凹部にパーティクルが詰まったり、パーティクルによって凹部が押し広げられ、結果的に凹凸パターンが破壊されてしまったりする。それに伴い、パターン欠陥が生じて所望の回路が形成できないという不具合が生じる可能性がある。
【0066】
また、硬化性組成物(α)中にナノバブルが存在すると、硬化性組成物(α)の硬化性が低下することがある。これは、ナノバブル中の酸素等によって、硬化性組成物(α)の重合反応が阻害されるためと考えられる。また、硬化性組成物(α)中にナノバブルが存在すると、ナノバブルが存在していた部分が欠落した凹凸パターンが形成されてしまい、形成される硬化物パターンに不具合が生じることがある。
【0067】
そのため、硬化性組成物(α)が含有するパーティクルの個数濃度(個/mL)は、低いほうが好ましい。さらには、硬化性組成物(α)が含有するパーティクルの粒径は、小さいほうが好ましい。
【0068】
(パーティクルの個数濃度)
上述したように、ある値以上の粒径を有するパーティクルが硬化性組成物(α)に多く含有されていると、ナノインプリントプロセスに影響を及ぼす可能性がある。特に、後述するナノインプリントプロセスを基板上の異なる領域で複数回繰り返す場合、その途中でモールドが破損してしまうと、その後全ての転写パターンに不具合が生じてしまう。その結果、歩留まりが著しく低下してしまう。
そこでこのような歩留まりの低下を抑制するためには、基板(ウエハ)に配置された硬化性組成物(α1)のうち溶剤である成分(D)を除く成分の硬化性組成物(α1´)および/または硬化性組成物(α2)の液膜からなる層に含まれる、粒径が0.07μm以上のパーティクルの粒子数が1個未満であればよい、すなわち、基板(ウエハ)1枚を処理するのに必要な体積の硬化性組成物(α)中に含有されるパーティクルの粒子数を1個未満とすればよい。
【0069】
ここで、本実施形態の一例として、モールドの凹部の幅Sが28nmであり、モールドの凸部の幅Lが28nmである28nmライン・アンド・スペース(L/S)パターン付きモールド(横26mm×縦33mm)を用いて、平均膜厚33nmの硬化物をSST−NILプロセスで作製すると仮定する。この際、後述する工程(1)〜工程(5)のうち、配置工程(1)において、基板上に平均膜厚7nmのインプリント前処理コート用材料の成分である硬化性組成物(α1)をスピンコート法により積層することによって溶剤である成分(D)を揮発させた後に、付与工程(2)において、前記硬化性組成物(α1)のうち溶剤である成分(D)を除く成分の硬化性組成物(α1´)の平均膜厚3nmの層上に膜厚30nm相当の硬化性組成物(α2)の液滴を離散的に滴下し、平均膜厚33nmの硬化物を作製すると仮定する。
【0070】
このとき、スピンコート法によって300mmウエハ上に平均膜厚7nmの硬化性組成物(α1)を配置(積層)する場合には、494.8nLの硬化性組成物(α1)が配置されることが必要となる。したがって、インプリント前処理コート用材料の成分である硬化性組成物(α1)1mLあたりおよそ2021枚の300mmウエハを処理することができる。
したがって、300mmウエハを用いてSST−NILプロセスを行う場合には、硬化性組成物(α1)が含有するパーティクルの個数濃度(個/mL)を2021個/mL未満とすることが好ましい。これにより、スピンコート法により硬化性組成物(α1)から溶剤である成分(D)を揮発させた後においても、300mmウエハ1枚あたりの硬化性組成物(α1´)の層中に含まれるパーティクルの数を1個未満にすることができ、SST−NILプロセスの歩留まりを向上させることができる。
同様に、450mmウエハを用いてSST−NILプロセスを行う場合には、硬化性組成物(α1)が含有するパーティクルの個数濃度(個/mL)を898個/mL未満とすることが好ましい。
【0071】
一方、フルフィールドショットおよびパーシャルフィールドショットの組み合わせによって、前記硬化性組成物(α1)を積層した300mmウエハの上全面に膜厚30nm相当の硬化性組成物(α2)の液滴を離散的に滴下しする場合には、2121nLの硬化性組成物(α2)が滴下されることが必要となる。したがって、硬化性組成物(α2)1mLあたりおよそ471.6枚の300mmウエハを処理することができる。
したがって、300mmウエハを用いてSST−NILプロセスを行う場合には、硬化性組成物(α2)が含有するパーティクルの個数濃度(個/mL)を471個/mL未満とすることが好ましい。これにより、300mmウエハ1枚あたりのパーティクルの数を1個未満にすることができ、SST−NILプロセスの歩留まりを向上させることができる。
同様に、450mmウエハを用いてSST−NILプロセスを行う場合には、硬化性組成物(α2)が含有するパーティクルの個数濃度(個/mL)を209個/mL未満とすることが好ましい。
【0072】
(パーティクルのサイズ)
モールドの表面に形成された凹凸パターンに何らかの力が働き、凹凸パターンの凸部の先端が開くことで隣接する凸部と接触すると、モールドの破損が起こりやすい状態となる。ここで、硬化性組成物(α)が含有するパーティクルの影響を考える。
【0073】
図4に、モールドの表面に形成された凹凸パターンを模式的に示す、モールドの断面図を示す。
図4(a)に示すように、モールドのパターン高さH(nm)であり、モールドの凹部の幅S(nm)であり、モールドの凸部の幅L(nm)であるL/Sパターン付きモールドを想定する。
図4(b)に示すように、モールドの表面に形成された凸部が開き、それぞれ隣接する凸部に接触した場合、開いた凸部間の距離は3S(nm)となる。したがって近似的に、
図4(b)に示すようにパーティクルPの粒径D(nm)が3S(nm)よりも大きいとき(D>3S)に、モールドが破損すると考えることができる。
したがって、例えば、粒径Dが0.07μm以上のパーティクルPがウエハ上に1つでもあると、S=23.3nm未満であるL/Sパターン付きモールドを用いた場合に、モールドの破損が起こりうることになる。
【0074】
なお、実際にはモールドの材質や凹凸パターンの形状、H、S、L、凹凸パターンのアスペクト比(H/LおよびH/S)等によってモールドの変形性が異なるため、厳密にD>3Sの場合にモールドが破損するわけではなく、一定の許容範囲を有する。すなわち、DとSとの比(D/S)が、3以下であっても、モールドの破損が生じる可能性がある。したがって、本実施形態に係る硬化性組成物(α1)では、粒径Dが2.5S(nm)以上のパーティクルPの個数濃度が2021個/mL未満であることが好ましい。また、本実施形態に係る硬化性組成物(α2)では、粒径Dが2.5S(nm)以上のパーティクルPの個数濃度が471個/mL未満であることが好ましい。
なお、モールドの表面に形成された凹凸パターンの凹部の幅S(nm)は、4nm以上30nm未満であることが好ましく、10nm以上23.3nm未満であることがより好ましい。これに加えて、特に、半導体製造用途の場合には、モールドの凸部の幅Lに対するモールドのパターン高さHのアスペクト比(H/L)が1以上10以下であるモールドを用いることが好ましい。
【0075】
以上のことから、硬化性組成物(α1)が含有するパーティクルPの個数濃度(個/mL)は、モールドの有する凹凸パターンの凹部の幅がS(nm)であるときに、粒径Dが2.5S(nm)以上のパーティクルPの個数濃度が2021個/mL未満であることが好ましい。これにより、SST−NILプロセスの歩留まりを向上させることができる。また、硬化性組成物(α2)が含有するパーティクルPの個数濃度(個/mL)は、モールドの有する凹凸パターンの凹部の幅がS(nm)であるときに、粒径Dが2.5S(nm)以上のパーティクルPの個数濃度が471個/mL未満であることが好ましい。これにより、SST−NILプロセスの歩留まりを向上させることができる。
【0076】
また、硬化性組成物(α1)が含有する粒径Dが0.07μm以上のパーティクルPの個数濃度(個/mL)が2021個/mL未満であることがより好ましい。これにより、300mmウエハを用いてSST−NILプロセスを行う場合に、SST−NILプロセスの歩留まりを向上させることができる。さらに、硬化性組成物(α1)が含有するパーティクルPの個数濃度(個/mL)は、粒径Dが0.07μm以上のパーティクルPの個数濃度(個/mL)が898個/mL未満であることがさらに好ましい。これにより、450mmウエハを用いてSST−NILプロセスを行う場合に、SST−NILプロセスの歩留まりを向上させることができる。
【0077】
また、硬化性組成物(α2)が含有する粒径Dが0.07μm以上のパーティクルPの個数濃度(個/mL)が471個/mL未満であることがより好ましい。これにより、300mmウエハを用いてSST−NILプロセスを行う場合に、SST−NILプロセスの歩留まりを向上させることができる。さらに、硬化性組成物(α2)が含有するパーティクルPの個数濃度(個/mL)は、粒径Dが0.07μm以上のパーティクルPの個数濃度(個/mL)が209個/mL未満であることがさらに好ましい。これにより、450mmウエハを用いてSST−NILプロセスを行う場合に、SST−NILプロセスの歩留まりを向上させることができる。
【0078】
<金属不純物>
本実施形態に係る硬化性組成物(α)を用いて半導体デバイスを製造する場合、硬化性組成物(α)中に金属不純物が存在すると、硬化性組成物(α)を塗布することによって被加工基板が金属不純物により汚染されてしまう。その結果、得られる半導体デバイスの半導体特性に影響を与える可能性がある。すなわち、SST−NILプロセスの歩留まりが低下してしまう可能性がある。
【0079】
そのため、硬化性組成物(α)中の金属不純物の濃度は低いほうが好ましい。硬化性組成物(α)が含有する金属不純物の濃度としては、各種元素とも100ppb(100ng/g)以下が好ましく、1ppb(1ng/g)以下にすることがさらに好ましい。ここでいう各種元素とは金属元素を指し、例えばNa、Ca、Fe、K、Zn、Al、Mg、Ni、Cr、Cu、Pb、Mn、Li、Sn、Pd、Ba、Co、Srなどを指す。硬化性組成物(α)におけるこれらの元素の濃度を上述の範囲内にすることで、硬化性組成物(α)が半導体デバイスの半導体特性に与える影響を低減することができる。すなわち、SST−NILプロセスの歩留まりの低下を抑制することができる。
【0080】
<有機不純物>
本実施形態に係る硬化性組成物(α)を用いて半導体デバイスを製造する場合、硬化性組成物(α)中に有機不純物が存在すると、不具合が生じる可能性がある。例えば、硬化性組成物(α)中に有機不純物が存在すると、成形後のパターンの欠陥などの不具合を生じる。
【0081】
[硬化性組成物(α)が含有するパーティクルの個数濃度の測定]
硬化性組成物(α)が含有するパーティクルの個数濃度(個/mL)および粒径分布は、光散乱式液中パーティクルカウンタ(光散乱式LPC)や動的光散乱式粒子径分布測定装置(DLS)等の方法により測定することができる。本実施形態のように、パーティクルの粒子濃度(個/mL)が小さい、すなわちクリーン度の高い硬化性組成物(α)におけるパーティクルの個数濃度の測定には、光散乱式LPCを用いることが好ましい。
光散乱式LPCは、液体にレーザー光を照射したときに、液体に含まれるパーティクルから発せられる散乱光を検出する。このとき、この散乱光の強度は粒子の大きさに依存する。光散乱式LPCではこれを利用して、液体中のパーティクルの粒径と個数濃度を測定することができる。
【0082】
光散乱式LPCの具体例としては、液中パーティクルセンサKSシリーズ(リオン製)や、液中パーティクルカウンタUltraChemシリーズ、SLSシリーズ、HSLISシリーズ(Particle Measuring Systems製)等が挙げられる。測定に用いる液中パーティクルカウンタの機種によって、測定可能な液体の組成や測定可能な最小粒径が異なるので、測定する液に応じて適切に機種選定をする必要がある。
【0083】
例えば、溶剤(D)含有量の少ない硬化性組成物(α)、特に硬化性組成物(α2)の場合、分子散乱光による背景ノイズが大きいために検出信号とノイズの比(S/N比)が低下することが知られている。そのため、水系材料に比べて、本実施形態に係る硬化性組成物(α)、特に硬化性組成物(α2)のパーティクルの個数濃度および粒径分布の測定は難しい。そのため本実施形態では、硬化性組成物(α)の測定であっても、例えば0.07μmという小粒径でもパーティクルの個数濃度が測定可能な装置を用いることが好ましい。
【0084】
本実施形態に係る硬化性組成物(α1)は、粒径が0.07μm以上のパーティクルの個数濃度が2021個/mL未満であることを特徴とする。また、本実施形態に係る硬化性組成物(α2)は、粒径が0.07μm以上のパーティクルの個数濃度が471個/mL未満であることを特徴とする。なお、本実施形態に係る硬化性組成物(α)が含有する粒径が0.07μm以上のパーティクルの個数濃度(個/mL)は、例えば、液中パーティクルセンサKS−41B(0.07μm対応オプション付き)(リオン製)や液中パーティクルセンサKS−18F(リオン製)を用いることで測定することができる。またこのとき、コントローラKE−40B1(リオン製)およびシリンジサンプラKZ−30W1(リオン製)を併用することが好ましい。
【0085】
なお、本明細書中におけるパーティクルの個数濃度の測定は全て、予め光散乱式LPCを純水中に分散させた粒径既知のポリスチレンラテックス(PSL)標準粒子で校正してから行うことが好ましい。また、測定直後に波高分析用ソフトウェアKF−50A(リオン製)を用いて、粒径が0.07μm以上のパーティクルの個数濃度の測定値の正確性が十分に保証されることを確認することが好ましい。具体的には、0.07μmPSL粒子水溶液の散乱光の受光素子電圧値sと測定液の散乱光の受光素子電圧値nの比(s/n)を求め、その比が1.3より十分に大きいことを確認することが好ましい。
【0086】
[SST−NIL用硬化性組成物(α)の製造方法]
次に、本実施形態に係る硬化性組成物(α)の製造方法について説明する。
本実施形態に係る硬化性組成物(α)は、SST−NILプロセスに好適であり、半導体製造用途のSST−NILプロセスにさらに好適である。
【0087】
前述のように、本実施形態に係る硬化性組成物(α)は、パーティクルや金属不純物などの不純物をできる限り含まないことが好ましい。したがって、本実施形態に係る硬化性組成物(α)は、精製工程を経て得られたものであることが好ましい。このような精製工程としては、パーティクル除去工程、金属不純物除去工程、有機不純物除去工程等が挙げられる。このうち特に、モールドの破損を抑制するためには、硬化性組成物(α)の製造方法がパーティクル除去工程を含むことが好ましい。
【0088】
本実施形態に係るパーティクル除去工程としては、パーティクルフィルタ(以下、単に「フィルタ」と称する)を用いたろ過等が好ましい。なお、本明細書において「ろ過」とは、通常使用される、流動体からの固体の分離過程を含む「ろ過」の意味に加えて、単に「フィルタを通過させる」場合も含むものとする。すなわち、フィルタなどの膜を通過させることによって、膜によってトラップされたゲルや固体を視覚的に確認できない場合等も含むものとする。
本実施形態に係るパーティクル除去工程において使用するフィルタの孔径は、0.001μm以上5.0μm以下であることが好ましい。また、粒径が0.07μm以上のパーティクルの個数濃度(個/mL)を低減するためには、孔径50nm以下のフィルタがより好ましく、孔径1nm以上5nm以下のフィルタが特に好ましい。なお、孔径1nm未満のフィルタでろ過すると、硬化性組成物(α)中の必要成分が除去されてしまう可能性があるため、フィルタの孔径は1nm以上であることが好ましい。なお、ここでいうフィルタの「孔径」はフィルタの有する細孔の平均孔径である。
【0089】
フィルタを用いたろ過を行う際には、粗ナノインプリント用硬化性組成物(α)(以下、「粗硬化性組成物(α)」と称する)をフィルタに少なくとも一度通過させる。なお、粗硬化性組成物(α)とは、ろ過等の精製工程を行う前の硬化性組成物(α)を指す。粗硬化性組成物(α)は具体的には、成分(A)および必要に応じて添加する、光重合開始剤である成分(B)、非重合性化合物である成分(C)、溶剤である成分(D)を混合して得られる混合液体である。
【0090】
ろ過に使用するフィルタとしては、ポリエチレン樹脂製、ポリプロピレン樹脂製、フッ素樹脂製、ナイロン樹脂製等のフィルタを使用することができるが、これらに限定されるものではない。本実施形態で用いることのできるフィルタの具体例としては、例えば、「ウルチプリーツP−ナイロン66」、「ウルチポアN66」、「ペンフロン」(以上、日本ポール製)、「ライフアシュアPSNシリーズ」、「ライフアシュアEFシリーズ」、「フォトシールド」、「エレクトロポアIIEF」(以上、住友スリーエム製)、「マイクロガード」、「オプチマイザーD」、「インパクトミニ」、「インパクト2」(以上、日本インテグリス製)等を用いることができる。これらのフィルタは、一種類を単独で用いてもよいし、二種類以上を組み合わせて用いてもよい。
【0091】
なお、フィルタを用いたろ過は、多段階で行ったり、多数回繰り返したりすることが好ましい。このとき、ろ過した液を繰り返してろ過する循環ろ過を行ってもよい。また、孔径の異なるフィルタを複数用いてろ過してもよい。フィルタを用いたろ過方法として、具体的には、常圧ろ過、加圧ろ過、減圧ろ過、循環ろ過等が挙げられるが、これらに限定はされない。これらのうち、一定範囲の流速で硬化性組成物(α)をろ過してパーティクルの個数濃度(個/mL)を低減するためには加圧ろ過を行うことが好ましく、さらに十分に低減するためには、循環ろ過を行うことがより好ましい。
なお、加圧ろ過を行う際には、ろ過前の原料(粗硬化性組成物(α))が所定量以下になってからの流分である最終流分は回収しないことが好ましい。ろ過前の原料が所定量以下になると、送液の過程で周囲の空気を巻き込んで送液される可能性が高くなり、その結果、ナノバブル等の気泡を多量に含む可能性がある。そのため、循環ろ過ではなく加圧ろ過を行う場合には、初流分および最終流分以外の流分を回収容器に回収することが好ましい。
【0092】
図5に、本実施形態に係る硬化性組成物(α)の精製システムの構成を模式的に表す図を示す。
図5(a)は循環ろ過による精製システム、
図5(b)は加圧ろ過による精製システムの構成をそれぞれ示している。
本実施形態に係る循環ろ過による精製システムは、
図5(a)に示すように、精製手段・送液手段11aと、パーティクル個数濃度計測手段(以下、「計測手段12」と称する)と、回収容器13と、容器14と、廃液容器15と、を有する。また、加圧ろ過による精製システムは、
図5(b)に示すように、精製手段11bと、計測手段12と、回収容器13と、容器14と、廃液容器15と、圧力室16と、加圧手段(送液手段)17と、を有する。
【0093】
本実施形態に係るパーティクル除去工程における粗硬化性組成物(α)の流速は0.03L/分未満であることが好ましい。また、0.02L/分未満であることがより好ましく、0.01L/分未満であることが特に好ましい。このように、ろ過時に粗硬化性組成物(α)がフィルタを通過する流速を0.03L/分未満とすることで、粗硬化性組成物(α)がフィルタを通過することでバブルが発生することを抑制することができる。ろ過時に粗硬化性組成物(α)がフィルタを通過する流速を0.01L/分未満とすることで、粗硬化性組成物(α)への引火の可能性を抑制することができる。
また、本実施形態において粗硬化性組成物(α)を通過させるフィルタの孔径は50nm以下とする。これにより、粒径が0.07μm以上のパーティクルの個数濃度(個/mL)を効率よく低減することができる。
【0094】
なお、本実施形態に係る硬化性組成物(α)の精製システムにおいて(粗)硬化性組成物(α)が接触する部材としては例えば、回収容器13や容器14の内壁や蓋、配管(チューブ)の内壁、配管と接続するためのナット、ポンプ(送液手段11a)、フィルタ等がある。これらの部材の材質は、耐薬品性の有する材質であれば、特に限定はされない。ただし、(粗)硬化性組成物(α)と接触したときに、パーティクルや金属不純物、有機不純物等の不純物などのコンタミネーションが起こらないような材質および清浄度のものであることが好ましい。
上記部材のうち、本実施形態に係る精製システムにおいて精製された硬化性組成物(α)が回収される回収容器13については、特に清浄度の高いものを使用する必要がある。回収容器13としては例えば、市販のクラス100のポリプロピレン製ボトル等を用いることができる。ただしこれに限定はされず、内部を有機溶剤や酸で洗浄した後、十分に乾燥したボトルを用いてもよいし、それを硬化性組成物(α)で共洗いして用いてもよい。
本実施形態に係る硬化性組成物(α)の精製システムにおいては、目的流分(精製後の硬化性組成物(α))を回収する回収容器13を精製システムのライン中にインラインで配置することが好ましい。このようにすることで、硬化性組成物(α)中におけるナノバブル等の新たな不純物の発生を抑制することができる。
【0095】
所定回数、または所定量循環させることによって循環ろ過を行い、精製後の硬化性組成物(α)を取得する。その後、回収容器13に接続された計測手段12を用いてパーティクルの個数濃度の計測を行う。パーティクルの個数濃度が所定値を満たす場合にはろ過を終了し、満たさない場合にはろ過を続けてもよい。
このような精製工程(パーティクル除去工程)を経ることで、硬化性組成物(α)に混入したパーティクル等の不純物の数を減らすことができる。これにより、パーティクルによって生じるSST−NILプロセスの歩留まりの低下を抑制することができる。
【0096】
なお、本実施形態に係る硬化性組成物(α)を、半導体集積回路を製造するために使用する場合、製品の動作を阻害しないようにするため、硬化性組成物(α)中に金属原子を含有する不純物(金属不純物)が混入することを極力避けることが好ましい。
したがって、硬化性組成物(α)は、その製造工程において、金属に接触させないことが好ましい。すなわち、各材料を秤量する際や配合して撹拌する際には、金属製の秤量器具、容器等を使用しないことが好ましい。また、前述した精製工程(パーティクル除去工程)において、金属不純物除去フィルタを用いたろ過をさらに行ってもよい。
【0097】
金属不純物除去フィルタとしては、セルロースおよび珪藻土製、イオン交換樹脂製等のフィルタを使用することができるが、特に限定されるものではない。金属不純物除去フィルタとしては、例えば、「ゼータプラスGNグレード」、「エレクトロポア」(以上、住友スリーエム製)、「ポジダイン」、「イオンクリーンAN」、「イオンクリーンSL」(以上、日本ポール製)、「プロテゴ」(以上、日本インテグリス製)等を用いることができる。これらの金属不純物除去フィルタはそれぞれ単独で用いても良いし、2種類以上を組み合わせて用いても良い。
これらの金属不純物除去フィルタは洗浄してから用いることが好ましい。洗浄方法としては、超純水、アルコール、硬化性組成物(α)による共洗いの順で実施することが好ましい。
【0098】
金属不純物除去フィルタの孔径としては、例えば0.001μm以上5.0μm以下が適しており、好ましくは0.003μm以上0.01μm以下である。孔径が5.0μmより大きいと、パーティクルおよび金属不純物の吸着能力が低い。また、0.001μmより小さいと、硬化性組成物(α)の構成成分をもトラップしてしまい、硬化性組成物(α)の組成を変動させる可能性や、フィルタの目詰まりを生じる可能性がある。
このような場合、硬化性組成物(α)に含まれる金属不純物の濃度としては、10ppm以下が好ましく、100ppb以下にすることがさらに好ましい。
【0099】
[硬化膜]
本実施形態に係る硬化性組成物(α)を硬化することで、硬化物が得られる。この際、硬化性組成物(α)を基材上に塗布して塗布膜を形成した上で硬化させ、硬化膜を得ることが好ましい。塗布膜の形成方法、硬化物や硬化膜の形成方法については後述する。
【0100】
[硬化物パターンの形成方法]
次に、本実施形態に係る硬化性組成物(α)を用いて硬化物パターンを形成する、硬化物パターンの形成方法について、
図2の摸式断面図を用いて説明する。
【0101】
本実施形態に係る硬化物パターンの形成方法は、
(1)基板201上に、硬化性組成物(α1)202を配置する第1の工程(配置工程)と、
(2)前記硬化性組成物(α1)202のうち溶剤である成分(D)を除く成分の硬化性組成物(α1´)202´の層上に、硬化性組成物(α2)203の液滴を離散的に付与する第2の工程(付与工程)と、
(3)前記硬化性組成物(α1)202のうち溶剤である成分(D)を除く成分の硬化性組成物(α1´)202´と前記硬化性組成物(α2)203が部分的に混合してなる混合層をパターンを有するモールド205に接触させる第3の工程(型接触工程)と、
(4)前記2種の硬化性組成物が混合してなる混合層を硬化させる第4の工程(光照射工程)と、
(5)前記モールド205を硬化後の前記2種の硬化性組成物が混合してなる混合層から引き離す第5の工程(離型工程)と、
を有する。
【0102】
本実施形態に係る硬化物パターンの形成方法は、光ナノインプリント方法を利用した硬化物パターンの形成方法である。
【0103】
本実施形態に係る硬化物パターンの形成方法によって得られる硬化膜は、1nm以上10mm以下のサイズのパターンを有する硬化物パターンであることが好ましい。また、10nm以上100μm以下のサイズのパターンを有する硬化物パターンであることがより好ましい。特に、半導体製造用途の場合には、4nm以上30nm未満のサイズのパターンを有する硬化物パターンであることが特に好ましい。なお、一般に、光を利用してナノサイズ(1nm以上100nm以下)のパターン(凹凸構造)を有する膜を作製するパターン形成技術は、光ナノインプリント法と呼ばれている。本実施形態に係るパターン形成方法は、光ナノインプリント法を利用している。
以下、各工程について
図2および
図3を用いて説明する。
【0104】
<配置工程(1)>
本工程(配置工程(1))では、
図2(a)および(b)に示す通り、前述した本実施形態に係る硬化性組成物(α1)202を基板201上に配置(塗布)して前処理コートとなる塗布膜を形成する。基板201上に前処理コートとなる液膜が形成されることで、後述の付与工程(2)において硬化性組成物(α2)203の液滴が付与されると、液滴成分の基板面方向の広がりが促進される。広がりが促進される、とは直接基板201上に液滴を付与した場合の液滴の広がりの速度よりも前処理コート上に液滴を付与した場合の方が速く基板面方向に広がることを言う。この結果、離散的に滴下された硬化性組成物(α2)203の液滴が、硬化性組成物(α1)202のうち溶剤である成分(D)を除く成分の硬化性組成物(α1´)202´の液膜上において速やかに拡大するため、充填時間が短く、高スループットであるインプリントプロセスを提供することができる。
【0105】
インプリント前処理コート用材料の成分である硬化性組成物(α1)202を配置する対象である基板201は、被加工基板であり、通常、シリコンウエハが用いられる。基板201上には、被加工層が形成されていてもよい。基板201および被加工層の間にさらに他の層が形成されていてもよい。
本実施形態において、基板201はシリコンウエハに限定されるものではない。基板201は、アルミニウム、チタン−タングステン合金、アルミニウム−ケイ素合金、アルミニウム−銅−ケイ素合金、酸化ケイ素、窒化ケイ素等の半導体デバイス用基板として知られているものの中からも任意に選択することができる。また、基板201として石英基板を用いれば、石英インプリントモールドのレプリカ(石英モールドレプリカ)を作製することができる。なお、使用される基板201(被加工基板)の上面には、シランカップリング処理、シラザン処理、有機薄膜の成膜、等の表面処理により密着層を形成し、硬化性組成物(α1)202のうち溶剤である成分(D)を除く成分の硬化性組成物(α1´)202´および硬化性組成物(α2)203との密着性を向上させた基板を用いてもよい。
【0106】
本実施形態において、インプリント前処理コート用材料の成分である硬化性組成物(α1)202を基板201上に配置する方法としては、例えば、インクジェット法、ディップコート法、エアーナイフコート法、カーテンコート法、ワイヤーバーコート法、グラビアコート法、エクストルージョンコート法、スピンコート法、スリットスキャン法等を用いることができる。本実施形態においては、スピンコート法が特に好ましい。
スピンコート法を用いて硬化性組成物(α1)202を基板201あるいは被加工層上に配置する場合、ベーク工程を実施しなくとも溶剤成分(D)を揮発できることが好ましいが、必要に応じてベーク工程を実施し、溶剤成分(D)を揮発させても良い。
なお、硬化性組成物(α1)202のうち溶剤である成分(D)を除く成分の硬化性組成物(α1´)202´の平均膜厚は、使用する用途によっても異なるが、例えば、0.1nm以上10,000nm以下であり、好ましくは1nm以上20nm以下であり、特に好ましくは1nm以上10nm以下である。
【0107】
<付与工程(2)>
本工程(付与工程(2))では、
図2(c)に示す通り、硬化性組成物(α2)203の液滴を、前処理コートとして基板201上に配置されている前記硬化性組成物(α1)202のうち溶剤である成分(D)を除く成分の硬化性組成物(α1´)202´の層上に離散的に付与することが好ましい。付与方法としてはインクジェット法が特に好ましい。硬化性組成物(α2)203の液滴は、モールド205上に凹部が密に存在する領域に対向する基板201上には密に、凹部が疎に存在する領域に対向する基板201上には疎に配置される。このことにより、後述する残膜を、モールド205上のパターンの疎密によらずに均一な厚さに制御することができる。
【0108】
本発明においては、本工程(付与工程(2))で付与された硬化性組成物(α2)203の液滴は、前述のように、表面エネルギー(表面張力)の差を駆動力とするマランゴニ効果により、液滴の広がる方向を示す矢印204で示されるように、速やかに広がる(プレスプレッド)(
図2(d))。
【0109】
<型接触工程(3)>
次に、
図2(e)に示すように、前工程(配置工程(1)および付与工程(2))で形成された硬化性組成物(α1)202のうち溶剤である成分(D)を除く成分の硬化性組成物(α1´)202´および硬化性組成物(α2)203が部分的に混合してなる液体の層にパターン形状を転写するための原型パターンを有するモールド205を接触させる。これにより、モールド205が表面に有する微細パターンの凹部に硬化性組成物(α1)202のうち溶剤である成分(D)を除く成分の硬化性組成物(α1´)202´および硬化性組成物(α2)203が部分的に混合してなる液体が充填(フィル)されて、モールド205の微細パターンに充填(フィル)された液膜となる。
必要に応じて、前工程(付与工程(2))終了後、本工程開始前に、モールド側位置決めマークと、基板201(被加工基板)の位置決めマークが一致するように、モールド205および/または基板201(被加工基板)の位置を調整することができる(位置合わせ工程)。
【0110】
モールド205としては、次の工程(光照射工程(4))を考慮して光透過性の材料で構成されたモールド205を用いるとよい。モールド205を構成する材料の材質としては、具体的には、ガラス、石英、PMMA、ポリカーボネート樹脂等の光透明性樹脂、透明金属蒸着膜、ポリジメチルシロキサン等の柔軟膜、光硬化膜、金属膜等が好ましい。ただし、モールド205を構成する材料の材質として光透明性樹脂を使用する場合は、硬化性組成物(α1)202のうち溶剤である成分(D)を除く成分の硬化性組成物(α1´)202´および硬化性組成物(α2)203に含まれる成分に溶解しない樹脂を選択する必要がある。熱膨張係数が小さくパターン歪みが小さいことから、モールド205を構成する材料の材質は、石英であることが特に好ましい。
【0111】
モールド205が表面に有する微細パターンは、凹凸パターンの凹部の幅Sが4nm以上30nm未満であることが好ましく、4nm以上200nm以下のモールド205のパターン高さHであることが好ましい。また、モールド205の凸部の幅Lに対するモールド205のパターン高さHのアスペクト比(H/L)が1以上10以下であることが好ましい。
【0112】
モールド205には、硬化性組成物(α1)202のうち溶剤である成分(D)を除く成分の硬化性組成物(α1´)202´および硬化性組成物(α2)203とモールド205の表面との剥離性を向上させるために、硬化性組成物(α1)202のうち溶剤である成分(D)を除く成分の硬化性組成物(α1´)202´および硬化性組成物(α2)203とモールド205との型接触工程(3)である本工程の前に表面処理を行っておいてもよい。表面処理の方法としては、モールド205の表面に離型剤を塗布して離型剤層を形成する方法が挙げられる。ここで、モールド205の表面に塗布する離型剤としては、シリコーン系離型剤、フッ素系離型剤、炭化水素系離型剤、ポリエチレン系離型剤、ポリプロピレン系離型剤、パラフィン系離型剤、モンタン系離型剤、カルナバ系離型剤等が挙げられる。例えば、ダイキン工業(株)製のオプツールDSX等の市販の塗布型離型剤も好適に用いることができる。なお、離型剤は、一種類を単独で用いてもよいし、二種類以上を併用して用いてもよい。これらの中でも、フッ素系および炭化水素系の離型剤が特に好ましい。
【0113】
本工程(型接触工程(3))において、
図2(e)に示すように、モールド205と硬化性組成物(α1)202のうち溶剤である成分(D)を除く成分の硬化性組成物(α1´)202´および硬化性組成物(α2)203とを接触させる際に、硬化性組成物(α1)202のうち溶剤である成分(D)を除く成分の硬化性組成物(α1´)202´および硬化性組成物(α2)203に加える圧力は特に限定はされない。該圧力は0MPa以上100MPa以下とするとよい。また、該圧力は0MPa以上50MPa以下であることが好ましく、0MPa以上30MPa以下であることがより好ましく、0MPa以上20MPa以下であることがさらに好ましい。
【0114】
本発明では、前工程(付与工程(2))において硬化性組成物(α2)203の液滴のプレスプレッドが進行しているため、本工程における硬化性組成物(α2)203のスプレッドは速やかに完了する。硬化性組成物(α2)203の液滴間境界領域においては、スプレッドが最後に完了し、かつ硬化性組成物(α1)202のうち溶剤である成分(D)を除く成分の硬化性組成物(α1´)202´の濃度が高い。
【0115】
以上のように、本工程において硬化性組成物(α1)202のうち溶剤である成分(D)を除く成分の硬化性組成物(α1´)202´および硬化性組成物(α2)203のスプレッドおよびフィルが速やかに完了するため、モールド205と硬化性組成物(α1)202のうち溶剤である成分(D)を除く成分の硬化性組成物(α1´)202´および硬化性組成物(α2)203を接触させる時間を短く設定できる。つまり短時間で多くのパターン形成工程を完了でき、高い生産性を得られることが、本発明の効果の一つである。接触させる時間は、特に限定はされないが、例えば0.1秒以上600秒以下とすると良い。また、該時間は0.1秒以上3秒以下であることが好ましく、0.1秒以上1秒以下であることが特に好ましい。0.1秒より短いと、スプレッドおよびフィルが不十分となり、未充填欠陥と呼ばれる欠陥が多発する傾向がある。
【0116】
なお、スプレッドおよびフィルが完了した際の硬化性組成物(α1)202のうち溶剤である成分(D)を除く成分の硬化性組成物(α1´)202´および硬化性組成物(α2)203(被形状転写層)の平均膜厚は、使用する用途によっても異なるが、例えば、0.001μm以上100.0μm以下である。
【0117】
この際、前述の本実施形態に係る硬化性組成物(α)の一種である、含有する粒径が0.07μm以上のパーティクルの個数濃度(個/mL)が2021個/mL未満である硬化性組成物(α1)202を用いることで、パーティクルによるモールド205の破損を抑制することができる。また、得られる硬化物パターンのパターン欠陥を抑制することができる。この結果、SST−NILプロセスの歩留まりの低下を抑制することができる。
【0118】
また、前述の本実施形態に係る硬化性組成物(α)202の一種である、含有する粒径が0.07μm以上のパーティクルの個数濃度(個/mL)が471個/mL未満である硬化性組成物(α2)203を用いることで、パーティクルによるモールド205の破損を抑制することができる。また、得られる硬化物パターンのパターン欠陥を抑制することができる。この結果、SST−NILプロセスの歩留まりの低下を抑制することができる。
さらには、含有する粒径が0.07μm以上のパーティクルの個数濃度(個/mL)が2021個/mL未満である硬化性組成物(α1)202および含有する粒径が0.07μm以上のパーティクルの個数濃度(個/mL)が471個/mL未満である硬化性組成物(α2)203の両方を用いることで、パーティクルによるモールド205の破損をさらに抑制することができる。また、得られる硬化物パターンのパターン欠陥をさらに抑制することができる。この結果、SST−NILプロセスの歩留まりの低下をさらに抑制することができる。
【0119】
本工程は、大気雰囲気下、減圧雰囲気下、不活性ガス雰囲気下のいずれの条件下でも行うことができるが、酸素や水分による硬化反応への影響を防ぐことができるため、減圧雰囲気や不活性ガス雰囲気とすることが好ましい。不活性ガス雰囲気下で本工程を行う場合に使用することができる不活性ガスの具体例としては、窒素、二酸化炭素、ヘリウム、アルゴン、各種フロンガス等、あるいはこれらの混合ガスが挙げられる。大気雰囲気下を含めて特定のガスの雰囲気下で本工程を行う場合、好ましい圧力は、0.0001気圧以上10気圧以下である。
【0120】
型接触工程は、凝縮性ガスを含む雰囲気(以下、「凝縮性ガス雰囲気」と称する)下で行ってもよい。本明細書において凝縮性ガスとは、モールド205上に形成された微細パターンの凹部、およびモールド205と基板201との間隙に、硬化性組成物(α1)202のうち溶剤である成分(D)を除く成分の硬化性組成物(α1´)202´および硬化性組成物(α2)203と一緒に雰囲気中のガスが充填されたとき、充填時に発生する毛細管圧力で凝縮して液化するガスのことを指す。なお凝縮性ガスは、型接触工程で硬化性組成物(α1)202のうち溶剤である成分(D)を除く成分の硬化性組成物(α1´)202´および硬化性組成物(α2)203とモールド205とが接触する前(
図2(c)および(d))は雰囲気中に気体として存在する。
凝縮性ガス雰囲気下で型接触工程を行うと、微細パターンの凹部に充填されたガスが液化することで気泡が消滅するため、充填性が優れる。凝縮性ガスは、硬化性組成物(α1)202のうち溶剤である成分(D)を除く成分の硬化性組成物(α1´)202´および/または硬化性組成物(α2)203に溶解してもよい。
【0121】
凝縮性ガスの沸点は、型接触工程の雰囲気温度以下であれば限定はされないが、−10℃〜23℃が好ましく、さらに好ましくは10℃〜23℃である。この範囲であれば、充填性がさらに優れる。
【0122】
凝縮性ガスの型接触工程の雰囲気温度での蒸気圧は、型接触工程で押印する際、すなわちモールド205と硬化性組成物(α1)202のうち溶剤である成分(D)を除く成分の硬化性組成物(α1´)202´および硬化性組成物(α2)203とを接触させる際に、硬化性組成物(α1)202のうち溶剤である成分(D)を除く成分の硬化性組成物(α1´)202´および硬化性組成物(α2)203に加える圧力以下であれば制限がないが、0.1〜0.4MPaが好ましい。この範囲であれば、充填性がさらに優れる。雰囲気温度での蒸気圧が0.4MPaより大きいと、気泡の消滅の効果を十分に得ることができない傾向がある。一方、雰囲気温度での蒸気圧が0.1MPaよりも小さいと、減圧が必要となり、装置が複雑になる傾向がある。
【0123】
型接触工程の雰囲気温度は、特に制限がないが、20℃〜25℃が好ましい。
【0124】
凝縮性ガスとして、具体的には、トリクロロフルオロメタン等のクロロフルオロカーボン(CFC)、フルオロカーボン(FC)、ハイドロクロロフルオロカーボン(HCFC)、1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパン(CHF
2CH
2CF
3、HFC−245fa、PFP)等のハイドロフルオロカーボン(HFC)、ペンタフルオロエチルメチルエーテル(CF
3CF
2OCH
3、HFE−245mc)等のハイドロフルオロエーテル(HFE)等のフロン類が挙げられる。
これらのうち、型接触工程の雰囲気温度が20℃〜25℃での充填性が優れるという観点から、1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパン(23℃での蒸気圧0.14MPa、沸点15℃)、トリクロロフルオロメタン(23℃での蒸気圧0.1056MPa、沸点24℃)、およびペンタフルオロエチルメチルエーテルが好ましい。さらに、安全性が優れるという観点から、1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパンが特に好ましい。
【0125】
凝縮性ガスは、一種類を単独で用いてもよいし、二種類以上を混合して用いてもよい。またこれら凝縮性ガスは、空気、窒素、二酸化炭素、ヘリウム、アルゴン等の非凝縮性ガスと混合して用いてもよい。凝縮性ガスと混合する非凝縮性ガスとしては、充填性の観点から、ヘリウムが好ましい。ヘリウムはモールド205を透過することができる。そのため、型接触工程でモールド205上に形成された微細パターンの凹部に硬化性組成物(α1)202のうち溶剤である成分(D)を除く成分の硬化性組成物(α1´)202´および/または硬化性組成物(α2)203と一緒に雰囲気中のガス(凝縮性ガスおよびヘリウム)が充填されたとき、凝縮性ガスが液化するとともにヘリウムはモールド205を透過する。
【0126】
<光照射工程(4)>
次に、
図2(f)に示すように、硬化性組成物(α1)202のうち溶剤である成分(D)を除く成分の硬化性組成物(α1´)202´および硬化性組成物(α2)203が部分的に混合してなる混合層に対し、モールド205を介して照射光206を照射する。より詳細には、モールド205の微細パターンに充填された硬化性組成物(α1)202のうち溶剤である成分(D)を除く成分の硬化性組成物(α1´)202´および/または硬化性組成物(α2)203に、モールド205を介して照射光206を照射する。これにより、モールド205の微細パターンに充填された硬化性組成物(α1)202のうち溶剤である成分(D)を除く成分の硬化性組成物(α1´)202´および/または硬化性組成物(α2)203は、照射される照射光206によって硬化してパターン形状を有する硬化膜207となる。
【0127】
ここで、モールド205の微細パターンに充填された被形状転写層を構成する硬化性組成物(α1)202のうち溶剤である成分(D)を除く成分の硬化性組成物(α1´)202´および硬化性組成物(α2)203に照射する照射光206は、硬化性組成物(α1)202のうち溶剤である成分(D)を除く成分の硬化性組成物(α1´)202´および硬化性組成物(α2)203の感度波長に応じて選択される。具体的には、150nm以上400nm以下の波長の紫外光や、X線、電子線等を適宜選択して使用することが好ましい。
これらの中でも、硬化性組成物(α1)202のうち溶剤である成分(D)を除く成分の硬化性組成物(α1´)202´および硬化性組成物(α2)203に照射する照射光206は、紫外光が特に好ましい。これは、硬化助剤(光重合開始剤)として市販されているものは、紫外光に感度を有する化合物が多いからである。ここで紫外光を発する光源としては、例えば、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、低圧水銀灯、Deep−UVランプ、炭素アーク灯、ケミカルランプ、メタルハライドランプ、キセノンランプ、KrFエキシマレーザ、ArFエキシマレーザ、F2エキシマレーザ等が挙げられるが、超高圧水銀灯が特に好ましい。また使用する光源の数は1つでもよいしまたは複数であってもよい。また、光照射を行う際には、モールド205の微細パターンに充填された被形状転写層(硬化性組成物(α1)202のうち溶剤である成分(D)を除く成分の硬化性組成物(α1´)202´および硬化性組成物(α2)203)の全面に行ってもよく、一部領域にのみ行ってもよい。
【0128】
また、光照射は、基板201上の全領域に断続的に複数回行ってもよいし、全領域に連続照射してもよい。さらに、第一の照射過程で一部領域Aを照射し、第二の照射過程で領域Aとは異なる領域Bを照射してもよい。
【0129】
<離型工程(5)>
次に、パターン形状を有する硬化膜207からモールド205を引き離す。
本工程(離型工程(5))では、
図2(g)に示すように、パターン形状を有する硬化膜207からモールド205を引き離すことにより、工程(4)(光照射工程)において、モールド205上に形成された微細パターンの反転パターンとなるパターン形状を有する硬化膜207が得られる。なお、パターン形状を有する硬化膜207の凹凸パターンの凹部にも硬化膜が残存するが、この膜のことを残膜303と呼ぶこととする(
図3(a)参照。)。
【0130】
なお、工程(3)(型接触工程)を凝縮性ガス雰囲気下で行った場合、工程(5)(離型工程)でパターン形状を有する硬化膜207とモールド205とを引き離す際に、パターン形状を有する硬化膜207とモールド205とが接触する界面の圧力が低下することに伴って凝縮性ガスが気化する。これにより、パターン形状を有する硬化膜207とモールド205とを引き離すために必要な力である離型力を低減させる効果を奏する傾向がある。
パターン形状を有する硬化膜207とモールド205とを引き離す方法としては、引き離す際にパターン形状を有する硬化膜207の一部が物理的に破損しなければ特に限定されず、各種条件等も特に限定されない。例えば、基板201(被加工基板)を固定してモールド205を基板201から遠ざかるように移動させて剥離してもよい。もしくは、モールド205を固定して基板201をモールド205から遠ざかるように移動させて剥離してもよい。あるいは、これらの両方を正反対の方向へ引っ張って剥離してもよい。
【0131】
以上の工程(1)〜工程(5)を有する一連の工程(製造プロセス)によって、所望の位置に、所望の凹凸のパターン形状(モールド205の凹凸形状に因むパターン形状)を有する硬化膜207を得ることができる。得られたパターン形状を有する硬化膜207は、例えば、後述の半導体加工用途のほか、フレネルレンズや回折格子などの光学部材(光学部材の一部材として用いる場合を含む。)として利用することもできる。このような場合、少なくとも、基板201と、この基板201の上に配置されたパターン形状を有する硬化膜207と、を有する光学部材とすることができる。
【0132】
本実施形態のパターン形状を有する膜の製造方法では、工程(1)で基板201表面の大部分に硬化性組成物(α1)202を一括して配置し、工程(2)〜工程(5)からなる繰り返し単位(ショット)を、同一基板上で繰り返して複数回行うことができる。また、工程(1)〜工程(5)を同一基板上で繰り返して複数回行ってもよい。工程(1)〜工程(5)あるいは工程(2)〜工程(5)からなる繰り返し単位(ショット)を複数回繰り返すことで、基板201(被加工基板)の所望の位置に複数の所望の凹凸のパターン形状(モールド205の凹凸形状に因むパターン形状)を有する硬化膜207を得ることができる。
【0133】
<硬化膜の一部を除去する残膜除去工程(6)>
離型工程(5)により得られるパターン形状を有する硬化膜207は、特定のパターン形状を有するものの、このパターン形状が形成される領域以外の領域においても、
図3(a)に示すように、残膜303が残る場合がある。そのような場合は、
図3(b)に示すように、得られたパターン形状を有する硬化膜302のうちの除去すべき領域にある硬化膜(残膜303)をエッチングガスA305(
図3(b))などにより除去する。これにより、所望の凹凸パターン形状(
図2のモールド205の凹凸形状に因むパターン形状)を有する残膜303のない(基板301の表面の所望の部分が露出した)硬化膜パターン304を得ることができる。
【0134】
ここで、残膜303を除去する方法としては、例えば、パターン形状を有する硬化膜302の凹部である硬化膜(残膜303)をエッチングなどの方法により取り除き、パターン形状を有する硬化膜302が有するパターンの凹部において基板301の表面を露出させる方法が挙げられる。
【0135】
パターン形状を有する硬化膜302の凹部にある残膜303をエッチングにより除去する場合、その具体的な方法としては、特に限定されるものではなく、従来公知の方法、例えば、エッチングガスA305(
図3(b))を用いたドライエッチングを用いることができる。ドライエッチングには、従来公知のドライエッチング装置を用いることができる。そして、エッチングガスA305は、エッチングに供される硬化膜302の元素組成によって適宜選択されるが、CF
4、C
2F
6、C
3F
8、CCl
2F
2、CCl
4、CBrF
3、BCl
3、PCl
3、SF
6、Cl
2等のハロゲン系ガス、O
2、CO、CO
2等の酸素原子を含むガス、He、N
2、Ar等の不活性ガス、H
2、NH
3のガス等を使用することができる。なお、これらのガスは混合して用いることもできる。
【0136】
なお、使用される基板301(被加工基板)が、シランカップリング処理、シラザン処理、有機薄膜の成膜、等の表面処理によりパターン形状を有する硬化膜302との密着性を向上させた基板301の場合には、パターン形状を有する硬化膜302の凹部にある硬化膜(残膜303)のエッチングに引き続いて、前記の表面処理層もエッチングにより除去することができる。
【0137】
以上の工程(1)〜工程(6)の製造プロセスによって、所望の凹凸パターン形状(モールド205の凹凸形状に因むパターン形状)を、所望の位置に有する残膜303のない硬化膜パターン304を得ることができ、硬化膜パターン304を有する物品を得ることができる。さらに、得られた残膜303のない硬化膜パターン304を利用して基板301を加工する場合は、後述する基板301の加工工程(7)を行う。
【0138】
一方、得られた残膜303のない硬化膜パターン304は、例えば、後述の半導体加工用途のほか、回折格子や偏光板などの光学部材(光学部材の一部材として用いる場合を含む)として利用し、光学部品を得ることもできる。このような場合、少なくとも、基板301と、この基板301の上に配置された残膜303のない硬化膜パターン304と、を有する光学部品とすることができる。
【0139】
<基板加工工程(7)>
残膜除去工程(6)後、残膜303のない硬化膜パターン304をレジスト膜として利用して、工程(6)において表面が露出した基板301の一部分に対してドライエッチングを行う。ドライエッチングには、従来公知のドライエッチング装置を用いることができる。そして、エッチングガスB306(
図3(c))は、エッチングに供される硬化膜302の元素組成および基板301の元素組成によって適宜選択されるが、CF
4、C
2F
6、C
3F
8、CCl
2F
2、CCl
4、CBrF
3、BCl
3、PCl
3、SF
6、Cl
2等のハロゲン系ガス、O
2、CO、CO
2等の酸素原子を含むガス、He、N
2、Ar等の不活性ガス、H
2、NH
3のガス等を使用することができる。なお、これらのガスは混合して用いることもできる。エッチングガスA305(
図3(b))およびエッチングガスB306(
図3(c))は、同一であっても異なっていても良い。
【0140】
図2(g)に示すように、パターン形状を有する硬化膜207において硬化性組成物(α1)202のうち溶剤である成分(D)を除く成分の硬化性組成物(α1´)202´および硬化性組成物(α2)203の濃度の不均一性が生じる可能性がある。本実施形態に係る硬化性組成物(α1)202のうち溶剤である成分(D)を除く成分の硬化性組成物(α1´)202´は、硬化性組成物(α2)203と同等以上のドライエッチング耐性を有している。このため、硬化性組成物(α1)202のうち溶剤である成分(D)を除く成分の硬化性組成物(α1´)202´の濃度の高い領域においても基板301を良好に加工することができ、結果として、基板301を均一に加工することができる。
【0141】
以上の工程(1)〜(7)を有する一連の工程(製造プロセス)に加えて電子部品を形成することにより、モールド205の凹凸形状に因むパターン形状に基づく回路構造を基板301上に形成することができる。これにより、半導体素子等で利用される回路基板を製造することができる。ここでいう半導体素子とは、例えば、LSI、システムLSI、DRAM、SDRAM、RDRAM、D−RDRAM、NANDフラッシュ等が挙げられる。また、この回路基板と回路基板の回路制御機構などとを接続することにより、ディスプレイ、カメラ、医療装置などの電子機器を形成することもできる。
【0142】
また、同様に、残膜303のない硬化物パターン304をレジスト膜として利用してドライエッチングにより基板301を加工し、光学部品を得ることもできる。
【0143】
また、基板301として石英基板を用い、残膜303のない硬化物パターン304をレジスト膜として利用して石英をドライエッチングで加工して、石英インプリントモールドのレプリカ(石英レプリカモールド)を作製することもできる。
【0144】
なお、回路付基板や電子部品を作製する場合、最終的には、加工された基板301から残膜303のない硬化物パターン304を除去してもよいが、素子を構成する部材として残す構成としてもよい。
【実施例】
【0145】
以下、実施例により本発明をより詳細に説明するが、本発明の技術的範囲は以下に説明
する実施例に限定されるものではない。
【0146】
<硬化性組成物(α1)および硬化性組成物(α2)の調製>
(実施例1)
【0147】
(1)硬化性組成物(α1−1)の調製
下記に示される成分(A)、成分(B)、成分(C)、成分(D)を配合し、イオンフィルタ、10nmナイロンフィルタ、5nmHDPEフィルタを用いて循環ろ過した。約8パス相当の時間(被ろ過液の液量の8倍量の液に相当する送液時間)をかけて循環ろ過し、実施例1の硬化性組成物(α1−1)を調製した。
(1−1)成分(A):合計100重量部
<A−1>1,12−ドデカンジオールジアクリレート(Wanda Science製):100重量部
(1−2)成分(B):合計0重量部
成分(B)は添加しなかった。
(1−3)成分(C):合計0重量部
成分(C)は添加しなかった。
(1−4)成分(D):合計33000重量部
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(東京化成工業製、略称PGMEA):33000重量部
【0148】
(2)硬化性組成物(α1−1)中のパーティクルの個数濃度の測定
調製した硬化性組成物(α1−1)中のパーティクルの個数濃度の測定は、液中パーティクルセンサKS−18F(リオン製)を用いて行った。また、コントローラKE−40B1(リオン製)、シリンジサンプラKZ−30W1(リオン製)を併用した。シリンジサンプラを駆動することで、硬化性組成物(α1−1)を15mL送液し、液中パーティクルセンサの測定セル中を10mL/minの流速で通過させた。これにより、硬化性組成物(α1−1)中の粒径が0.07μm以上のパーティクルの個数濃度を測定した。これを2回繰り返して行って得られた個数濃度の平均値を求め、粒径が0.07μm以上のパーティクルの個数濃度(平均)とした。硬化性組成物(α1−1)中の粒径が0.07μm以上のパーティクルの個数濃度(平均)は、21.5個/mLであった。
【0149】
なお、本明細書中におけるパーティクルの個数濃度の測定は全て、予め光散乱式LPCを純水中に分散させた粒径既知のポリスチレンラテックス(PSL)標準粒子で校正してから行った。また、測定直後に波高分析用ソフトウェアKF−50A(リオン製)を用いて、粒径が0.07μm以上のパーティクルの個数濃度の測定値の正確性が十分に保証されることを確認した。具体的には、0.07μmPSL粒子水溶液の散乱光の受光素子電圧値sと測定液の散乱光の受光素子電圧値nの比(s/n)を求め、その比が1.3より十分に大きいことを確認した。
【0150】
(実施例2)
(1)硬化性組成物(α1−2)の調製
成分(A)を、<A−1>1,12−ドデカンジオールジアクリレート(Wanda Science製):30重量部、<A−2>ジメチロールトリシクロデカンジアクリレート(Sartomer製、商品名:SR833s):70重量部としたこと以外は、実施例1と同様にして硬化性組成物(α1−2)を調製した。
【0151】
(2)硬化性組成物(α1−2)中のパーティクルの個数濃度の測定
実施例1と同様にしてパーティクルの個数濃度を測定した。硬化性組成物(α1−2)中の粒径が0.07μm以上のパーティクルの個数濃度(平均)は、36.5個/mLであった。
【0152】
(実施例3)
(1)硬化性組成物(α2−1)の調製
下記に示される成分(A)、成分(B)、成分(C)、成分(D)を配合し、イオンフィルタ、10nmナイロンフィルタ、5nmHDPEフィルタを用いて循環ろ過した。約8パス相当の時間をかけて循環ろ過し、実施例3の硬化性組成物(α2−1)を調製した。
(1−1)成分(A):合計94重量部
<A−1>イソボルニルアクリレート(共栄社化学製、商品名:IB−XA):9.0重量部
<A−2>ベンジルアクリレート(大阪有機化学工業製、商品名:V#160):38.0重量部
<A−3>ネオペンチルグリコールジアクリレート(共栄社化学製、商品名:NP−A):47.0重量部
(1−2)成分(B):合計3重量部
<B−1>LucirinTPO(BASF製):3重量部
(1−3)成分(C):合計2.1重量部
<C−1>SR−730(青木油脂工業製):1.6重量部
<C−2>4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン(東京化成製):0.5重量部
(1−4)成分(D):合計0重量部
成分(D)は添加しなかった。
【0153】
(2)硬化性組成物(α2−1)中のパーティクルの個数濃度の測定
調製した硬化性組成物(α2−1)中のパーティクルの個数濃度の測定は、液中パーティクルセンサKS−41B(0.07μm対応オプション付き、リオン製)を用いて行った。また、コントローラKE−40B1(リオン製)、シリンジサンプラKZ−30W1(リオン製)を併用した。シリンジサンプラを駆動することで、硬化性組成物(α2−1)を10mL送液し、液中パーティクルセンサの測定セル中を5mL/minの流速で通過させた。これにより、硬化性組成物(α2−1)中の粒径が0.07μm以上のパーティクルの個数濃度を測定した。これを3回繰り返して行って得られた個数濃度の平均値を求め、粒径が0.07μm以上のパーティクルの個数濃度(平均)とした。硬化性組成物(α2−1)中の粒径が0.07μm以上のパーティクルの個数濃度(平均)は、99.9個/mLであった。
【0154】
(比較例1)
(1)硬化性組成物(α1−1β)の調製
実施例1と同様の成分(A)、成分(B)、成分(C)、成分(D)を配合し、比較例1の硬化性組成物(α1−1β)を調製した。実施例1のような循環ろ過は行わなかった。
【0155】
(2)硬化性組成物(α1−1β)中のパーティクルの個数濃度の測定
本比較例における硬化性組成物(α1−1β)はろ過等の精製工程を行っていないため、パーティクルの個数濃度は非常に高いものと推測される。このような硬化性組成物(α1−1β)中のパーティクルの個数濃度の測定を行うと、パーティクルによって液中パーティクルセンサの測定セルや流路を著しく汚染してしまう可能性が高い。そのため、硬化性組成物(α1−1β)中のパーティクルの個数濃度の測定は実施しなかった。
【0156】
しかしながら、後述のように、硬化性組成物(α2−1β)の加圧ろ過前の粒径が0.07μm以上のパーティクルの個数濃度(平均)が、使用した液中パーティクルセンサの最大定格粒子個数濃度(9600個/mL)以上であったことから、硬化性組成物(α1−1β)中の粒径が0.07μm以上のパーティクルの個数濃度は、9600個/mL以上になると考えられる。
【0157】
(比較例2)
(1)硬化性組成物(α1−2β)の調製
実施例2と同様の成分(A)、成分(B)、成分(C)、成分(D)を配合し、比較例2の硬化性組成物(α1−2β)を調製した。実施例2のような循環ろ過は行わなかった。
【0158】
(2)硬化性組成物(α1−2β)中のパーティクルの個数濃度の測定
本比較例における硬化性組成物(α1−2β)はろ過等の精製工程を行っていないため、パーティクルの個数濃度は非常に高いものと推測される。このような硬化性組成物(α1−2β)中のパーティクルの個数濃度の測定を行うと、パーティクルによって液中パーティクルセンサの測定セルや流路を著しく汚染してしまう可能性が高い。そのため、硬化性組成物(α1−2β)中のパーティクルの個数濃度の測定は実施しなかった。
【0159】
しかしながら、後述のように、硬化性組成物(α2−1β)の加圧ろ過前の粒径が0.07μm以上のパーティクルの個数濃度(平均)が、使用した液中パーティクルセンサの最大定格粒子個数濃度(9600個/mL)以上であったことから、硬化性組成物(α1−2β)中の粒径が0.07μm以上のパーティクルの個数濃度は、9600個/mL以上になると考えられる。
【0160】
(比較例3)
(1)硬化性組成物(α2−1β)の調製
実施例3と同様の成分(A)、成分(B)、成分(C)、成分(D)を配合し、孔径5nmのフィルタ(Optimizer D300、日本インテグリス製)を用いて加圧ろ過を行い、比較例3の硬化性組成物(α2−1β)を調製した。
【0161】
(2)硬化性組成物(α2−1β)中のパーティクルの個数濃度の測定
実施例3と同様にしてパーティクルの個数濃度を測定したところ、硬化性組成物(α2−1β)中の粒径が0.07μm以上のパーティクルの個数濃度(平均)は、616個/mLであった。また、加圧ろ過前の粒径が0.07μm以上のパーティクルの個数濃度(平均)は、使用した液中パーティクルセンサの最大定格粒子個数濃度(9600個/mL)以上であった。
【0162】
<硬化性組成物(α1)および硬化性組成物(α2)を用いた光ナノインプリント>
(実施例4)
スピンコーターを用いて硬化性組成物(α1−1)を直径450mmのシリコンウエハ上に塗布することで、7nm程度の厚さの硬化性組成物(α1´−1)の膜を得ることができる。この際、硬化性組成物(α1−1)中の溶媒成分(D)が蒸発し、溶媒成分(D)を除く硬化性組成物(α1−1)の成分の組成物(α1´−1)となる。
硬化性組成物(α1´−1)の膜の上に、インクジェット法を用いて硬化性組成物(α2−1)の1pLの液滴を離散的に配置することができる。液滴量は、例えば、硬化性組成物(α1´−1)と硬化性組成物(α2−1)の混合物の液膜を光硬化した際の硬化膜の平均膜厚が37nm程度になる量とする。このとき、下層に配置されている硬化性組成物(α1´−1)の表面張力は、その上層に滴下される硬化性組成物(α2−1)の表面張力より高いので、マランゴニ効果が発現し、硬化性組成物(α2−1)の液滴の拡大(プレスプレッド)は速やかである。なお、溶媒成分(D)を除く硬化性組成物(α1)の成分の硬化性組成物(α1´)および硬化性組成物(α2)の表面張力の測定は、以下に示すように行った。
【0163】
また、上記硬化性組成物(α1´−1)と硬化性組成物(α2−1)の混合物の液膜に、モールドの凹部の幅Sが28nmであり、モールドの凸部の幅Lが28nmであり高さHが60nmであるライン・アンド・スペース(L/S)パターンを有する表面処理がされていない石英モールドを接触させる。この際、硬化性組成物(α1−1)中の粒径0.07μm以上のパーティクルの個数濃度(平均)は、21.5個/mLであり、硬化性組成物(α2−1)中の粒径0.07μm以上のパーティクルの個数濃度(平均)は、99.9個/mLであるため、硬化性組成物(α1−1)および硬化性組成物(α2−1)由来のシリコンウエハ上のパーティクルの粒子数が1個未満となり、パーティクルによるモールドの破損の発生を抑制することができる。また、得られる硬化物パターンのパターン欠陥を抑制することができる。
【0164】
(実施例5)
実施例4と同様に、下層に配置されている溶媒成分(D)を除く硬化性組成物(α1−2)の成分の組成物(α1´−2)の表面張力は、その上層に滴下される硬化性組成物(α2−1)の表面張力より高いので、マランゴニ効果が発現し、硬化性組成物(α2−1)の液滴の拡大(プレスプレッド)は速やかである。
【0165】
また、硬化性組成物(α1−2)中の粒径0.07μm以上のパーティクルの個数濃度(平均)は、36.5個/mLであり、硬化性組成物(α2−1)中の粒径0.07μm以上のパーティクルの個数濃度(平均)は、99.9個/mLであるため、硬化性組成物(α1−2)および硬化性組成物(α2−1)由来のシリコンウエハ上のパーティクルの粒子数が1個未満となり、パーティクルによるモールドの破損の発生を抑制することができる。また、得られる硬化物パターンのパターン欠陥を抑制することができる。
【0166】
(比較例4)
実施例4と同様に、下層に配置されている溶媒成分(D)を除く硬化性組成物(α1−1β)の成分の組成物(α1´−1β)の表面張力は、その上層に滴下される硬化性組成物(α2−1β)の表面張力より高いので、マランゴニ効果が発現し、硬化性組成物(α2−1β)の液滴の拡大(プレスプレッド)は速やかである。
【0167】
また、硬化性組成物(α1−1β)中の粒径0.07μm以上のパーティクルの個数濃度(平均)は、>9600個/mLであり、硬化性組成物(α2−1β)中の粒径0.07μm以上のパーティクルの個数濃度(平均)は、616個/mLであるため、硬化性組成物(α1−1β)および硬化性組成物(α2−1β)由来のシリコンウエハ上のパーティクルの粒子数が1個以上となり、実施例と比較してパーティクルによるモールドの破損が発生しやすくなる。また、実施例と比較して得られる硬化物パターンのパターン欠陥が発生しやすくなる。
【0168】
<溶媒成分(D)を除く硬化性組成物(α1)の成分の硬化性組成物(α1´)および硬化性組成物(α2)の表面張力の測定>
溶媒成分(D)を除く硬化性組成物(α1)の成分の硬化性組成物(α1´)および硬化性組成物(α2)の表面張力の測定は、自動表面張力計DY−300(協和界面化学製)を用い、白金プレートを用いたプレート法により、25℃における表面張力を測定することにより行った。なお、測定は、測定回数5回、白金プレートのプリウェット浸漬距離0.35mmの条件で行った。1回目の測定値を除いて、2回目から5回目の測定値の平均値を表面張力とした。
【0169】
実施例および比較例の結果を、表1および表2にまとめて示す。
【0170】
【表1】
【0171】
【表2】
【0172】
まず、実施例1および実施例2と比較例1および比較例2との比較から、循環ろ過工程を用いることによって、硬化性組成物(α1)中のパーティクルの個数濃度を効果的に減少させることができることがわかった。実施例1および実施例2では、硬化性組成物(α1−1およびα1−2)中の粒径が0.07μm以上のパーティクルの個数濃度はそれぞれ21.5個/mLおよび36.5個/mLであり、いずれも2021個/mL未満であった。
このように、粒径が0.07μm以上のパーティクルの個数濃度が2021個/mL未満となる硬化性組成物(α1)を用いると、パーティクルによるモールドの破損の発生を抑制することができると考えられる。また、得られる硬化物パターンのパターン欠陥を抑制することができると考えられる。この結果、SST−NILプロセスの歩留まりの低下を抑制することができると考えられる。
【0173】
また、実施例3と比較例3との比較から、循環ろ過工程を用いることによって、硬化性組成物(α2)中のパーティクルの個数濃度を効果的に減少させることができることがわかった。実施例3では、硬化性組成物(α2−1)中の粒径が0.07μm以上のパーティクルの個数濃度は99.9個/mLであり、471個/mL未満であった。
このように、粒径が0.07μm以上のパーティクルの個数濃度が471個/mL未満となる硬化性組成物(α2)を用いると、パーティクルによるモールドの破損の発生を抑制することができると考えられる。また、得られる硬化物パターンのパターン欠陥を抑制することができると考えられる。この結果、SST−NILプロセスの歩留まりの低下を抑制することができると考えられる。
【0174】
次に、SST−NILプロセスでは、型接触工程(3)において前記硬化性組成物(α1)のうち溶剤である成分(D)を除く成分の硬化性組成物(α1´)と前記硬化性組成物(α2)が部分的に混合してなる混合層がモールドに接触する。したがって、実施例4および実施例5のように、粒径が0.07μm以上のパーティクルの個数濃度が2021個/mL未満となる硬化性組成物(α1)および粒径が0.07μm以上のパーティクルの個数濃度が471個/mL未満となる硬化性組成物(α2)の両方を組み合わせて用いると、パーティクルによるモールドの破損の発生をより一層抑制することができると考えられる。また、得られる硬化物パターンのパターン欠陥をより一層抑制することができると考えられる。この結果、SST−NILプロセスの歩留まりの低下をより一層抑制することができると考えられる。
【0175】
さらには、前述のように、モールドの凹部の幅S(nm)のL/Sパターン付きモールドを用いた場合、パーティクルの粒径D(nm)が、3S(nm)よりも大きい(D>3S)ときにモールドが破損すると考えることができる。すなわち、0.07μm以上の粒径のパーティクルの場合、破損しないモールドパターンは粒径の3分の1以上、つまり23.3nm以上のスペース幅のパターンであると考えられる。すなわち、本実施例の硬化性組成物は、23.3nm以上の最小スペース幅のパターンを有するモールドを用いたSST−NILプロセスにおいて特に、歩留まりの低下を抑制することができると考えられる。
【0176】
この出願は2016年4月8日に出願された米国特許出願番号62/319,878からの優先権を主張するものであり、その内容を引用してこの出願の一部とするものである。