特許第6983786号(P6983786)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6983786感光性ガラスおよびガラスセラミックおよびそれらから作製される複合ガラス材料
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6983786
(24)【登録日】2021年11月26日
(45)【発行日】2021年12月17日
(54)【発明の名称】感光性ガラスおよびガラスセラミックおよびそれらから作製される複合ガラス材料
(51)【国際特許分類】
   C03C 10/12 20060101AFI20211206BHJP
   C03B 32/02 20060101ALI20211206BHJP
【FI】
   C03C10/12
   C03B32/02
【請求項の数】11
【全頁数】32
(21)【出願番号】特願2018-538707(P2018-538707)
(86)(22)【出願日】2017年1月26日
(65)【公表番号】特表2019-502646(P2019-502646A)
(43)【公表日】2019年1月31日
(86)【国際出願番号】US2017015176
(87)【国際公開番号】WO2017132406
(87)【国際公開日】20170803
【審査請求日】2020年1月24日
(31)【優先権主張番号】62/287,157
(32)【優先日】2016年1月26日
(33)【優先権主張国】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】397068274
【氏名又は名称】コーニング インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100073184
【弁理士】
【氏名又は名称】柳田 征史
(72)【発明者】
【氏名】ビール,ジョージ ホールジー
(72)【発明者】
【氏名】ボレッリ,ニコラス フランシス
(72)【発明者】
【氏名】シュローダー,ジョセフ フランシス ザ サード
(72)【発明者】
【氏名】スワード,トーマス フィリップ ザ サード
【審査官】 若土 雅之
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−238280(JP,A)
【文献】 米国特許第03663193(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C03C 1/00 − 14/00
C03B 23/00 − 35/26
C03B 40/00 − 40/04
INTERGLAD
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の領域および第2の領域を含む、増大した機械的強度を有する複合ガラス物品であって、
前記第1の領域は、リチウム系ガラスセラミックを含み、該リチウム系ガラスセラミックは、セラミック相および残留ガラス相を含み、該セラミック相は、リチウムアルミノシリケートスタッフドβ石英構造を有するリチウムアルミノシリケート相を含み、
該第2の領域は、リチウム亜鉛アルミノシリケートガラスを含み、該リチウム亜鉛アルミノシリケートガラスは、透明であり、少なくとも1種の増感剤および少なくとも1種の核形成剤を含み、
前記リチウム系ガラスセラミックと前記リチウム亜鉛アルミノシリケートガラスとの界面で前記リチウム系ガラスセラミックは圧縮下におかれ前記リチウム亜鉛アルミノシリケートガラスは張力下におかれて、伝播亀裂をそらすことが可能な応力領域が形成される、
複合ガラス物品において、
前記リチウム亜鉛アルミノシリケートガラスは、波長が248nmから360nmの範囲の紫外線照射に対してネガ型感光性であり、66重量%から76重量%のSiO、5重量%から9重量%のAl、5重量%から8重量%のLiO、0重量%超から1重量%のKO、0重量%超から6重量%のF、0重量%超から0.1重量%のCeO、0重量%超から0.05重量%のAg、および6重量%から8重量%のZnOを含む、
複合ガラス物品
【請求項2】
前記第1の領域は、前記第2の領域から空間的に分離されている、請求項1記載の複合ガラス物品。
【請求項3】
前記少なくとも1種の核形成剤は、少なくとも1種のハロゲンを含み、該少なくとも1種のハロゲンは、フッ素、臭素または塩素を含む、請求項1または2記載の複合ガラス物品。
【請求項4】
前記少なくとも1種の増感剤は、銀およびセリウムのうち少なくとも1種を含む、請求項1から3のいずれか一項記載の複合ガラス物品。
【請求項5】
第1の領域および第2の領域を含む、増大した機械的強度を有する複合ガラス物品であって、
前記第1の領域は、リチウム系ガラスセラミックを含み、該リチウム系ガラスセラミックは、セラミック相および残留ガラス相を含み、該セラミック相は、リチウムアルミノシリケートスタッフドβ石英構造を有するリチウムアルミノシリケート相を含み、
該第2の領域は、リチウム亜鉛アルミノシリケートガラスを含み、該リチウム亜鉛アルミノシリケートガラスは、透明であり、少なくとも1種の増感剤および少なくとも1種の核形成剤を含み、
前記リチウム系ガラスセラミックと前記リチウム亜鉛アルミノシリケートガラスとの界面で前記リチウム系ガラスセラミックは圧縮下におかれ前記リチウム亜鉛アルミノシリケートガラスは張力下におかれて、伝播亀裂をそらすことが可能な応力領域が形成される、
複合ガラス物品において、
前記リチウム亜鉛アルミノシリケートガラスは、波長が248nmから360nmの範囲の紫外線照射に対してポジ型感光性であり、68重量%から78重量%のSiO、1重量%以下のKO、5重量%から10重量%のZnO、10重量%以下のBr、5重量%から14重量%のAl、0.01重量%から0.07重量%のCeO、0.01重量%から0.05重量%のAg、5重量%から10重量%のLiO、1重量%以下のNaO、0重量%から3重量%のF、および5重量%以下のZrOを含む、複合ガラス物品。
【請求項6】
前記ガラスセラミックは、NaO、MgO、P、TiO、ZrOおよび臭素のうち少なくとも1種を含まない、請求項1からのずれか一項記載の複合ガラス物品。
【請求項7】
前記リチウムアルミノシリケート相は、前記リチウム系ガラスセラミックの少なくとも50体積パーセントを含む、請求項1からのずれか一項記載の複合ガラス物品。
【請求項8】
前記リチウム亜鉛アルミノシリケートガラスは、68重量%から76重量%のSiO、0.5重量%から1重量%のKO、5重量%から8重量%のZnO、0.5重量%から1.0重量%のBr、7重量%から14重量%のAl、0.01重量%から0.07重量%のCeO、0.03重量%から0.05重量%のAg、7重量%から9重量%のLiO、0.05重量%以下のNaO、および2重量%から3重量%のFを含む、請求項からのいずれか一項記載の複合ガラス物品。
【請求項9】
増大した機械的強度を有する複合ガラス物品を作製する方法であって、
該複合ガラス物品は、リチウム亜鉛アルミノシリケートガラスおよびリチウム系ガラスセラミックを含み、該リチウム系ガラスセラミックは、セラミック相および残留ガラス相を含み、該セラミック相は、リチウムアルミノシリケートβ石英構造を有するリチウムアルミノシリケート相を含み、前記リチウム亜鉛アルミノシリケートガラスと前記リチウム系ガラスセラミックとの界面で前記リチウム系ガラスセラミックは圧縮下におかれ前記リチウム亜鉛アルミノシリケートガラスは張力下におかれて、伝播亀裂をそらすことが可能な応力領域が形成されるものであり、
該方法は、
a.リチウム亜鉛アルミノシリケート前駆体ガラスを提供するステップであって、前記リチウム亜鉛アルミノシリケートガラスは、少なくとも1種の増感剤ならびに少なくとも1種の核形成剤を含み、該少なくとも1種の増感剤は、銀およびセリウムのうち少なくとも1種を含み、該少なくとも1種の核形成剤は、少なくとも1種のハロゲンを含むステップと、
b.前記リチウム亜鉛アルミノシリケート前駆体ガラスの第1の領域を、波長が248nmから360nmの範囲の紫外線照射に対して曝露するステップであって、一方で前記リチウム亜鉛アルミノシリケート前駆体ガラスの第2の領域を、該紫外線照射に対して非曝露であるステップと、
c.前記曝露したリチウム亜鉛アルミノシリケート前駆体ガラスを加熱して前記リチウム系ガラスセラミックを形成し、それにより前記複合ガラス物品を形成するステップと、
を含
前記リチウム亜鉛アルミノシリケート前駆体ガラスは、ネガ型感光性であり、前記曝露したリチウム亜鉛アルミノシリケート前駆体ガラスを加熱する前記ステップは、前記曝露したリチウム亜鉛アルミノシリケート前駆体ガラスを550℃から650℃の範囲の温度で少なくとも2時間加熱して前記第2の領域に前記リチウム系ガラスセラミックを形成するステップを含む、
方法。
【請求項10】
増大した機械的強度を有する複合ガラス物品を作製する方法であって、
該複合ガラス物品は、リチウム亜鉛アルミノシリケートガラスおよびリチウム系ガラスセラミックを含み、該リチウム系ガラスセラミックは、セラミック相および残留ガラス相を含み、該セラミック相は、リチウムアルミノシリケートβ石英構造を有するリチウムアルミノシリケート相を含み、前記リチウム亜鉛アルミノシリケートガラスと前記リチウム系ガラスセラミックとの界面で前記リチウム系ガラスセラミックは圧縮下におかれ前記リチウム亜鉛アルミノシリケートガラスは張力下におかれて、伝播亀裂をそらすことが可能な応力領域が形成されるものであり、
該方法は、
a.リチウム亜鉛アルミノシリケート前駆体ガラスを提供するステップであって、前記リチウム亜鉛アルミノシリケートガラスは、少なくとも1種の増感剤ならびに少なくとも1種の核形成剤を含み、該少なくとも1種の増感剤は、銀およびセリウムのうち少なくとも1種を含み、該少なくとも1種の核形成剤は、少なくとも1種のハロゲンを含むステップと、
b.前記リチウム亜鉛アルミノシリケート前駆体ガラスの第1の領域を、波長が248nmから360nmの範囲の紫外線照射に対して曝露するステップであって、一方で前記リチウム亜鉛アルミノシリケート前駆体ガラスの第2の領域を、該紫外線照射に対して非曝露であるステップと、
c.前記曝露したリチウム亜鉛アルミノシリケート前駆体ガラスを加熱して前記リチウム系ガラスセラミックを形成し、それにより前記複合ガラス物品を形成するステップと、
を含み
前記リチウム亜鉛アルミノシリケート前駆体ガラスは、ポジ型感光性であり、前記曝露したリチウム亜鉛アルミノシリケート前駆体ガラスを加熱する前記ステップは、
a.前記リチウム亜鉛アルミノシリケート前駆体ガラスを第1の温度で第1の時間の間加熱して銀を還元するステップであって、該第1の温度は、550℃から675℃の範囲であって、該第1の時間は、0.5時間から4時間の範囲であるステップと、
b.前記リチウム亜鉛アルミノシリケート前駆体ガラスを第2の温度で第2の時間の間加熱するステップであって、該第2の温度は、550℃から675℃の範囲であり、該第2の時間は、0.5時間から4時間の範囲であり、前記リチウム系ガラスセラミックを前記第1の領域に形成し、それにより前記複合ガラス物品を形成するステップと、を含
前記リチウム亜鉛アルミノシリケート前駆体ガラスは、68重量%から78重量%のSiO、1重量%以下のKO、5重量%から10重量%のZnO、10重量%以下のBr、5重量%から14重量%のAl、0.01重量%から0.07重量%のCeO、0.01重量%から0.05重量%のAg、5重量%から10重量%のLiO、1重量%以下のNaO、0重量%から3重量%のF、および5重量%以下のZrOを含む、
方法
【請求項11】
増大した機械的強度を有する複合ガラス物品を作製する方法であって、
該複合ガラス物品は、リチウム亜鉛アルミノシリケートガラスおよびリチウム系ガラスセラミックを含み、該リチウム系ガラスセラミックは、セラミック相および残留ガラス相を含み、該セラミック相は、リチウムアルミノシリケートβ石英構造を有するリチウムアルミノシリケート相を含み、前記リチウム亜鉛アルミノシリケートガラスと前記リチウム系ガラスセラミックとの界面で前記リチウム系ガラスセラミックは圧縮下におかれ前記リチウム亜鉛アルミノシリケートガラスは張力下におかれて、伝播亀裂をそらすことが可能な応力領域が形成されるものであり、
該方法は、
a.リチウム亜鉛アルミノシリケート前駆体ガラスを提供するステップであって、前記リチウム亜鉛アルミノシリケートガラスは、少なくとも1種の増感剤ならびに少なくとも1種の核形成剤を含み、該少なくとも1種の増感剤は、銀およびセリウムのうち少なくとも1種を含み、該少なくとも1種の核形成剤は、少なくとも1種のハロゲンを含むステップと、
b.前記リチウム亜鉛アルミノシリケート前駆体ガラスの第1の領域を、波長が248nmから360nmの範囲の紫外線照射に対して曝露するステップであって、一方で前記リチウム亜鉛アルミノシリケート前駆体ガラスの第2の領域を、該紫外線照射に対して非曝露であるステップと、
c.前記曝露したリチウム亜鉛アルミノシリケート前駆体ガラスを加熱して前記リチウム系ガラスセラミックを形成し、それにより前記複合ガラス物品を形成するステップと、
を含み、
前記リチウム亜鉛アルミノシリケート前駆体ガラスは、ポジ型感光性であり、前記曝露したリチウム亜鉛アルミノシリケート前駆体ガラスを加熱する前記ステップは、
a.前記リチウム亜鉛アルミノシリケート前駆体ガラスを第1の温度で第1の時間の間加熱して銀を還元するステップであって、該第1の温度は、550℃から675℃の範囲であって、該第1の時間は、0.5時間から4時間の範囲であるステップと、
b.前記リチウム亜鉛アルミノシリケート前駆体ガラスを第2の温度で第2の時間の間加熱するステップであって、該第2の温度は、550℃から675℃の範囲であり、該第2の時間は、0.5時間から4時間の範囲であり、前記リチウム系ガラスセラミックを前記第1の領域に形成し、それにより前記複合ガラス物品を形成するステップと、を含み
前記リチウム亜鉛アルミノシリケート前駆体ガラスは、66重量%から76重量%のSiO、5重量%から9重量%のAl、5重量%から8重量%のLiO、0重量%超から1重量%のKO、0重量%超から6重量%のF、0重量%超から0.5重量%のCeO、0重量%超から0.5重量%のAg、および6重量%から8重量%のZnOを含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本出願は、2016年1月26日に出願された米国仮出願第62/287、157号の優先権の利益を米国特許法第119条のもとに主張し、この内容は、依拠され、全体を参照により本明細書に援用される。
【技術分野】
【0002】
本開示は、感光性ガラスに関する。より具体的には、本開示は、ガラスセラミックを形成するように処理できる感光性ガラスに関する。さらにより具体的には、本開示は、透明および不透明または半透明である(すなわち乳白化した)領域の両方を含むことができる感光性リチウム亜鉛アルミノシリケートガラスおよびガラスセラミックに関する。
【背景技術】
【0003】
ガラスセラミックは、出来上がったままの(as−made)ガラスを加熱処理し、制御された結晶相を生成する加熱処理によって名目上生成される。結晶含有量がガラスセラミックを典型的に定義する50%レベルを優に下回る感光性材料を生成するために、セリウムおよび銀の光増感剤がFOTOFORM(商標)およびFOTA−LITE(商標)等のガラス系において使用されてきた。そのようなガラス系では、NaFを含有する乳白(すなわち、不透明、光学的に密、白色、光散乱性である)相は、短波長光に曝露した後に加熱処理するガラスの領域に形成され、一方で非曝露であるガラスの領域は透明なままである。
【発明の概要】
【0004】
ガラスおよびガラスセラミックの、模様を付けた領域を提供するために選択的にセラミック化(ceram)できる感光性リチウム亜鉛アルミノシリケートガラスならびにそのようなガラスおよびガラスセラミックから作製される複合ガラス物品が提供される。これらのガラスを紫外線(UV)照射に対して曝露し、加熱処理する(セラミック化する)とき、β石英結晶構造を有するリチウム系ガラスセラミックが、選択したガラス領域に形成される。いくつかの実施形態において、リチウム亜鉛アルミノシリケートガラスは「ネガ型」感光性である、すなわち、リチウム系ガラスセラミックが、UV照射に対して曝露しないまたはUV照射から保護されたガラスの部分に形成され、一方で、透明なリチウム亜鉛アルミノシリケートガラスがUV照射に対して曝露した領域に残る。別の実施形態において、リチウム亜鉛アルミノシリケートガラスは「ポジ型」感光性である、すなわち、リチウム系ガラスセラミックがUV照射に対して曝露するガラスの部分に形成され、一方で、透明なリチウム亜鉛アルミノシリケートガラスがUV照射に対して曝露しない領域に残る。いくつかの実施形態において、リチウム系ガラスセラミックは、「乳白化した」、すなわち、不透明または半透明であり、または、いくつかの実施形態において、乳白光を発する。そのような複合ガラス/ガラスセラミック物品において、リチウム系ガラス−セラミックとリチウム亜鉛アルミノシリケートガラスとの界面での圧縮応力および引張応力を使用して亀裂伝播を阻止できる。そのようなリチウム系ガラスセラミックおよびリチウム亜鉛アルミノシリケートガラスを含む複合ガラス物品を作製する方法も提供される。
【0005】
したがって、本開示の一態様は、第1の領域および第2の領域を含む複合ガラス物品を提供することである。当該第1の領域は、リチウム系ガラスセラミックを含む。当該リチウム系ガラスセラミックは、残留ガラス相、およびリチウムアルミノシリケートスタッフド(stuffed)β石英構造を有するリチウムアルミノシリケート相を含むセラミック相を含む。当該第2の領域は、少なくとも1種の増感剤および少なくとも1種の核形成剤を含むリチウム亜鉛アルミノシリケートガラスを含む。当該リチウム亜鉛アルミノシリケートガラスは、波長が約248nmから約360nmの範囲の紫外線照射に対して感光性である。
【0006】
本開示の第2の態様は、少なくとも1種の増感剤および少なくとも1種の核形成剤を含むリチウム亜鉛アルミノシリケートガラスを提供することであり、当該リチウム亜鉛アルミノシリケートガラスは、波長が約248nmから約360nmの範囲の照射に対して感光性である。
【0007】
本開示の第3の態様は、リチウム亜鉛アルミノシリケートガラスおよびリチウム系ガラスセラミックを含む複合ガラス物品を作製する方法を提供することである。当該リチウム系ガラスセラミックは、残留ガラス相およびセラミック相を含み、当該セラミック相は、リチウムアルミノシリケートβ石英構造を有するリチウムアルミノシリケート相を含む。前記方法は、少なくとも1種の増感剤および少なくとも1種の核形成剤を含むリチウム亜鉛アルミノシリケート前駆体ガラスを提供するステップであって、前記リチウム亜鉛アルミノシリケートガラスはネガ型感光性であるステップと、前記リチウム亜鉛アルミノシリケート前駆体ガラスの第1の領域を波長が約248nmから約360nmの範囲の紫外線照射に曝露するステップであって、前記リチウム亜鉛アルミノシリケートガラスの第2の領域は当該紫外線照射に対して非曝露であるステップと、当該曝露したリチウム亜鉛アルミノシリケート前駆体ガラスを加熱して前記リチウム系ガラスセラミックを当該第2の領域に形成するスッテプと、を含む。
【0008】
本開示の第4の態様は、リチウム亜鉛アルミノシリケートガラスおよびリチウム系ガラスセラミックを含む複合ガラス物品を作製する方法を提供することである。当該リチウム系ガラスセラミックは、残留ガラス相およびセラミック相を含み、当該セラミック相は、リチウムアルミノシリケートβ石英構造を有するリチウムアルミノシリケート相および残留ガラス相を含む。前記方法は、少なくとも1種の増感剤および少なくとも1種の核形成剤を含むリチウム亜鉛アルミノシリケート前駆体ガラスを提供するステップであって、前記リチウム亜鉛アルミノシリケートガラスはポジ型感光性であるステップと、前記リチウム亜鉛アルミノシリケート前駆体ガラスの第1の領域を波長が約248nmから約360nmの範囲の紫外線照射に対して曝露するステップであって、前記リチウム亜鉛アルミノシリケート前駆体ガラスの第2の領域は当該紫外線照射に対して非曝露であるステップと、前記リチウム亜鉛アルミノシリケート前駆体ガラスを第1の温度で第1の時間の間加熱するステップと、前記リチウム亜鉛アルミノシリケート前駆体ガラスを第2の温度で第2の時間の間加熱して前記リチウム系ガラスセラミックを当該第1の領域に形成するステップと、を含む。
【0009】
これらおよびその他の態様、利点、および顕著な特徴は、以下の詳細な説明、添付図面、および添付の請求項から明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】ポジ型感光性のリチウム亜鉛アルミノシリケート前駆体ガラス/ガラス−セラミックの試料の写真であり、試料は、ZrOがネガ型感光性のリチウム亜鉛アルミノシリケート前駆体ガラス組成物に添加されたものである。
図2】UV照射に対して曝露し、最初に575℃で2時間加熱処理して室温まで冷却し、それから575℃で2時間加熱処理した試料の乳白化した部分に対して得られたX線回折パターンである。
図3】紫外線照射に対する曝露ならびに第1の温度および第2の温度での加熱処理後の2つの試料の写真である。
図4】紫外線照射に対する曝露ならびに第1の温度および第2の温度での加熱処理後の2つの試料の写真である。
図5A】本明細書で説明する複合ガラス物品のリチウム系ガラスセラミックの熱膨張を温度の関数として示すグラフである。
図5B】本明細書で説明するリチウム亜鉛アルミノシリケートガラスの熱膨張を温度の関数として示すグラフである。
図6】非偏光下(A)および偏光下(B)で見た複合ガラス物品の顕微鏡画像を示す。
図7】本明細書で説明するポジ型感光性のリチウム亜鉛アルミノシリケートガラスおよびリチウム系ガラスセラミックを含む、模様を付けた複合ガラス物品において生じる内部応力を示す写真である。
図8】本明細書で説明する模様を付けた複合ガラス物品の概略的図示である。
図9】複合ガラス物品をネガ型感光性のリチウム亜鉛アルミノシリケート前駆体ガラスから作製する方法を説明するフローチャートである。
図10】複合ガラス物品をポジ型感光性のリチウム亜鉛アルミノシリケート前駆体ガラスから作製する方法を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下の説明において、図中に示す種々の表示を通して、同様の参照符号は同様のまたは対応する部位を示す。別段の定めがない限り、「上部」、「下部」、「外側に」「内側に」等のような用語は、便宜上の単語であって、限定する用語として解釈されるべきではないことも理解される。さらに、ある群が、要素の群およびそれらの組み合わせのうち少なくとも1つを含むと説明されるときは常に、当該群は、個別にでも要素同士の組み合わせでも、任意の数の記載されるそれらの要素を含んでもよい、基本的にそれらの要素から成ってもよい、またはそれらの要素から成ってもよいことは理解される。同様に、ある群が、要素の群およびそれらの組み合わせのうち少なくとも1つから成ると説明されるときは常に、当該群は、個別にでも要素同士の組み合わせでも、任意の数の記載されるそれらの要素から成ってもよいことは理解される。別段の定めがない限り、値の範囲は、記載されるとき、当該範囲の上限および下限の両方ならびにその間の任意の範囲を含む。本明細書において、別段の定めがない限り、名詞は、「少なくとも1つ」または「1つまたは複数」の対象を指す。本明細書および図面において開示される様々な特徴は、あらゆる組み合わせにおいて使用できることも理解される。
【0012】
本明細書において、用語「複合ガラス物品」および「複合ガラスセラミック物品」は、最も広い意味で使用され、全体または部分がガラスおよびガラスセラミックから作製されるあらゆる物体を含む。別段の定めがない限り、すべての組成物は、重量パーセント(重量%)で表される。本明細書において、用語「セラミック化する」および「セラミック化すること」は、加熱処理(複数可)または前駆体ガラスがガラス−セラミックに変換されるプロセスを言う。
【0013】
本明細書において、用語「ガラスセラミック」は、ガラス相および結晶性セラミック相を含む材料を言い、セラミック相は、材料の少なくとも50体積パーセントを占めるまたは構成する。用語「ガラスセラミック」および「結晶性」は、等価の用語であり、本明細書において交換可能に使用できる。
【0014】
本明細書において用語「乳白」は、乳白光を発する特性を有してもよいが、有していなくてもよい、不透明、光学的に密、白色および/または光散乱性であるガラス、セラミックまたはガラスセラミック材料を言う。用語「乳白化すること」は、ガラス、セラミックまたはガラスセラミック材料を乳白材料に変えるプロセスを言う。乳白または乳白化した材料は、少なくとも1つの結晶相またはセラミック相を含み、この相では、結晶性粒子は、波長が可視光線(400nmから750nm)内のまたは可視光線より大きい範囲の平均粒子径を有する。本明細書において、用語「半透明である」は、材料の向こうにある物体が肉眼でははっきり見えない程度に、光を透過するおよび拡散する材料を言う。
【0015】
本明細書において、用語「反転型(reverse)感光性の」「ネガ型の感光性の」および「ネガ型感光性の」は、材料を続いて室温より高い温度で加熱するとき、電磁放射に対して曝露した材料の領域が透き通ったままであり、一方で、非曝露である材料の残りの部分は乳白化するまたは半透明になる材料およびプロセスを言う。反対に、用語「ポジ型の感光性の」および「ポジ型感光性の」は、電磁放射に対して曝露した材料の領域が乳白化するまたは半透明になり、一方で非曝露である材料の残りの部分は透き通ったままである材料およびプロセスを言う。
【0016】
用語「実質的に」および「約」は、本明細書において、あらゆる定量的比較、値、測定値またはその他の表現に属する場合がある固有の不確実度を表すために利用できることが留意される。これらの用語は、本明細書において、論点となっている主題の基本的な機能を結果的に変更することなく、定量的表現が、定められた基準と異なる可能性がある度合を表すためにも利用できる。したがって、例えば、「TiOを実質的に含まない」または「TiOを含まない」と言われるガラスとは、TiOが積極的にガラスに添加されていない、またはバッチ配合されていないが、汚染物質として極少量(例えば、≦100ppmまたは、いくつかの実施形態において、≦50ppm)が存在する可能性がある、ガラスである。
【0017】
全体に図面を参照すると、例示は、特定の実施形態を説明する目的のためのものであり、本開示または添付の請求項をこの例示に限定することを意図しないことが理解されるであろう。図面は必ずしも縮尺されておらず、図面のある特定の特徴およびある特定の表示は、明確性および簡潔性のために縮尺が誇張されてまたは概略的に示される場合がある。
【0018】
一態様において、感光性のリチウム亜鉛アルミノシリケートガラスが提供される。当該ガラスは少なくとも1種の増感剤および少なくとも1種の核形成剤を含む。リチウム亜鉛アルミノシリケートガラスは、波長が約248nmから約360nmの範囲の紫外線(UV)照射に対して感光性である。いくつかの実施形態において、少なくとも1種の増感剤は銀およびセリウムのうち少なくとも1種を含んでもよいが、それらに限定されない。少なくとも1種の核形成剤は、銀および/または少なくとも1種のハロゲンまたはハロゲン化物を含んでもよいが、それらに限定されない。いくつかの実施形態において、少なくとも1種の核形成剤は、フッ素、塩素および臭素のうち少なくとも1種を含む。特定の実施形態において、少なくとも1種の核形成剤は、フッ素および/または臭素を含む。
【0019】
いくつかの実施形態において、感光性のリチウム亜鉛アルミノシリケートガラスは、ネガ型感光性である、すなわち、紫外線照射にたいして曝露し、続いて加熱処理したまたはセラミック化した材料の領域は、透明なままであり、一方で、そのような照射に対して曝露せずまたはそのような照射から保護され、続いて少なくとも約500℃の温度で加熱処理した材料の残りの部分は、乳白化するまたは半透明になる。そのような実施形態において、感光性ガラスは、核形成剤および限定するものではないがフッ素等の増感剤を含む。ガラスの曝露した部分において核形成剤として作用する銀は、格子定数が0.408nmである面心結晶(FCC)構造を有するのに対して、LiFは、格子定数が0.407nmであるFCC構造を有する。Agの格子定数は、LiFの格子定数にほとんど一致するため、Agは、LiFに対して非常に効果的な核形成剤として働く。これらの核形成部位の多数性は著しく、核形成が多くなるため、LiF結晶は光を顕著に散乱する寸法には成長せず、したがって曝露した領域を透明にする。いくつかの実施形態において、この曝露した領域に形成された微結晶は、波長が可視光(400nmから750nm)より小さい。いくつかの実施形態において、曝露した領域に形成された微結晶は、寸法が100nmより小さい。
【0020】
ネガ型感光性のリチウム亜鉛アルミノシリケートガラスがそのような照射に対して曝露しない(本明細書において「非曝露である」とも言う)領域においては、金属銀核は形成されない。結果として、UV照射に対して曝露しないガラスの領域において、様々なセラミック相の結晶がより大きな寸法に成長する場合があり、いくつかの実施形態において、これらの領域を乳白に、すなわち、不透明または最低限でも半透明にする。いくつかの実施形態において、この非曝露である領域に形成される微結晶は、波長が少なくとも可視光(400nmから750nm)と大きさが同じである。いくつかの実施形態において、非曝露である領域に形成する微結晶は、寸法が1μmより大きい。少なくとも約500℃の温度で加熱されるとき、結晶性セラミック相および残留ガラスを含むリチウム系ガラスセラミックがそのような照射に対して曝露しないガラスの領域に形成する。
【0021】
加熱処理温度に応じて、UV照射に対して曝露しない前駆体ガラスの領域における結晶性セラミック相は、β石英結晶構造を有するリチウムアルミノシリケート(LAS、またはバージライト(Virgilite))、およびフッ化リチウム(LiF、またはグリス石(Griceite))を含む。LAS相は、「スタッフドβ石英」相として説明することができ、「スタッフドβ石英」相では、LiAlが、結晶構造内のSiO部位を占める。いくつかの実施形態において、LASは優勢結晶相である、すなわち、LASはセラミック中に存在する結晶相の大部分を構成する。セラミック相はLiFをさらに含んでもよい。いくつかの実施形態において、LAS相はガラスセラミックの少なくとも約50体積パーセントを構成する。リチウム亜鉛アルミノシリケートガラスは、出来上がったままの状態では透き通っており透明であるが、いくつかの実施形態において、248から360nm範囲のUV照射に対して曝露せず、加熱処理される(「セラミック化される」)とき、少なくとも約540°の温度に再加熱されるとき乳白化する。
【0022】
約540℃未満の温度では、LiFのみが結晶する相であるのに対して、より高温では、LiFおよびLAS相の両方が結晶する。金属銀は、LiFに核を形成し、金属銀またはLiFが、LAS相に核を形成する。しかし、非曝露である領域には、銀の析出がなく、これらの領域において、LiFがLASの核形成相となると推定される。
【0023】
前述の部分において説明したネガ型感光性ガラスおよびガラスセラミックは、フッ素も含む。フッ素により、感光性が与えられるだけでなく、確実に前駆体ガラスの非曝露である領域における結晶相が広範囲に核形成する。フッ素がない場合、非曝露である領域は、制御されない形で結晶するように見え、550℃以上の温度で材料の破壊および崩壊にいたる。
【0024】
波長が約248nmから約360nmの範囲の電磁放射に対して曝露し、次に500℃以上の温度で、またはいくつかの実施形態において550℃以上の温度で、約0.5時間から約8時間、約1時間から約8時間、約1時間から約7時間、約1時間から約6時間、約0.5時間から約7時間、約0.5時間から約6時間、約2時間から約6時間、または約1時間から約5時間にわたる時間の間、加熱されるとき、ネガ型感光性のリチウム亜鉛アルミノシリケートガラスは、本分野において公知であり結晶寸法を測定するために慣例的に使用されるX線粉体回折法により検出可能であるのに十分な寸法(<10nm)の結晶材料を実質的に含まない。
【0025】
いくつかの実施形態において、ネガ型感光性のリチウム亜鉛アルミノシリケートガラスは、約60重量%から約80重量%のSiO(すなわち、60重量%≦SiO≦80重量%)、約3重量%から約12重量%のAl(すなわち、3重量%≦Al≦12重量%)、約2重量%から約10重量%のLiO(すなわち、2重量%≦LiO≦10重量%)、0重量%から約5重量%のKO(すなわち、0重量%≦KO≦5重量%)、0重量%超から約10重量%のF(すなわち、0重量%<F≦10重量%)、0重量%超から約2重量%のCeO(すなわち、0重量%<CeO≦2重量%)、0重量%超から約2重量%のAg(すなわち、0重量%<Ag≦2重量%)、および0重量%超から約10重量%のZnO(すなわち、0重量%<ZnO≦10重量%)を含む。
【0026】
いくつかの実施形態において、ネガ型感光性のリチウム亜鉛アルミノシリケートガラスは、約66重量%から約76重量%のSiO(すなわち、66重量%≦SiO≦76重量%)、約5重量%から約9重量%のAl(すなわち、5重量%≦Al≦9重量%)、約5重量%から約8重量%のLiO(すなわち、5重量%≦LiO≦8重量%)、0重量%超から約1重量%のKO(すなわち、0重量%<KO≦1重量%)、0重量%超から約6重量%のF(すなわち、0重量%<F≦6重量%)、0重量%超から約0.1重量%のCeO(すなわち、0重量%<CeO≦0.1重量%)、0重量%超から約0.05重量%のAg(すなわち、0重量%<Ag≦0.05重量%)、および約6重量%から約8重量%のZnO(すなわち、6重量%≦ZnO≦8重量%)を含む。
【0027】
いくつかの実施形態において、ネガ型感光性のリチウム亜鉛アルミノシリケートガラスは、約6重量%から約8重量%のLiO(すなわち、6重量%≦LiO≦8重量%)を含んでもよい。いくつかの実施形態において、感光性のリチウム亜鉛アルミノシリケートガラスは、約0.5重量%から約1重量%のKO(すなわち、0.5重量%≦KO≦1重量%)を含んでもよい。いくつかの実施形態において、感光性のリチウム亜鉛アルミノシリケートガラスは、約0.03重量%から約0.09重量%のCeO(すなわち、0.03重量%≦CeO≦0.09重量%)を含んでもよい。いくつかの実施形態において、感光性のリチウム亜鉛アルミノシリケートガラスは、0重量%超から約0.03重量%のAg(すなわち、0重量%<Ag≦0.03重量%)を含んでもよい。いくつかの実施形態において、感光性のリチウム亜鉛アルミノシリケートガラスは、約2重量%から約4重量%のF(すなわち、2重量%≦F≦4重量%)または約2重量%から約3.5重量%のF(すなわち、2重量%≦F≦3.5重量%)を含んでもよい。いくつかの実施形態において、感光性のリチウム亜鉛アルミノシリケートガラスは、約1.5重量%以下のBr(すなわち、0重量%≦Br≦4重量%)、または約0.3重量%から約1.5重量%のBr(すなわち、0.3重量%≦Br≦1.5重量%)、または約0.3重量%から約1.3重量%のBr(すなわち、0.3重量%≦Br≦1.3重量%)を含んでもよい。いくつかの実施形態において、当該ガラスは、臭素を含まない。
【0028】
いくつかの実施形態において、ネガ型感光性のリチウム亜鉛アルミノシリケートガラスは、約0.5、0.4、0.3、0.2または0.1重量%以下のNaO(すなわち、0重量%≦NaO≦0.5重量%)を含んでもよく、いくつかの実施形態において、NaOを含まない。いくつかの実施形態において、感光性のリチウム亜鉛アルミノシリケートガラスは、MgO、P、TiO、およびZrOのうち少なくとも1種を含まない。これらのネガ型感光性のリチウム亜鉛アルミノシリケートガラスの非限定的な実施例を、表1に列挙する。UV照射に対する曝露の後、500℃以上で、いくつかの実施形態において550℃以上で、加熱処理することにより、曝露した領域は透き通ったままであり、その周囲の非曝露である領域は、いくつかの実施形態において、曇ったまたはさらには乳白化したままになる。
【0029】
【表1】
【0030】
他の実施形態において、リチウム亜鉛アルミノシリケートガラスは、ポジ型感光性である、すなわち、波長が約248nmから約360nmの範囲の紫外線照射に対して曝露し、後に第1の温度および第2の温度で別々に加熱処理した材料の領域は、乳白化するまたは半透明になり、一方で、非曝露である材料の残りの部分は、そのような加熱処理の後、透き通ったままである。ポジ型感光性のリチウム亜鉛アルミノシリケートガラスは、いくつかの実施形態において、前述の部分において説明したネガ型感光性ガラス−セラミックまたは前駆体ガラスの組成物を変更し、前駆体ガラスを追加の加熱処理に供することによって得てもよい。
【0031】
いくつかの実施形態において、ポジ型感光性のリチウム亜鉛アルミノシリケートガラスは、約65重量%から約80重量%のSiO(65重量%≦SiO≦80重量%)、約1重量%以下のKO(0重量%≦KO≦1重量%)、約3重量%から約12重量%のZnO(3重量%≦ZnO≦12重量%)、約10重量%以下のBr(0重量%≦Br≦10重量%)、約5重量%から約16重量%のAl(5重量%≦Al≦16重量%)、0重量%超から約2重量%のCeO(0重量%<CeO≦2重量%)、0重量%超から約2重量%のAg(0重量%<Ag≦2重量%)、約2重量%から約14重量%のLiO(2重量%≦LiO≦14重量%)、約1重量%以下のNaO(0重量%≦NaO≦1重量%)、約0重量%から約5重量%のF(0重量%≦F≦5重量%)、および約8重量%以下のZrO(0重量%≦ZrO≦8重量%)を含む。
【0032】
いくつかの実施形態において、ポジ型感光性のリチウム亜鉛アルミノシリケートガラスは、約68重量%から約78重量%のSiO(68重量%≦SiO≦78重量%)、約1重量%以下のKO(0重量%≦KO≦1重量%)、約5重量%から約10重量%のZnO(5重量%≦ZnO≦10重量%)、約10重量%以下のBr(0重量%≦Br≦10重量%)、約5重量%から約14重量%のAl(5重量%≦Al≦14重量%)、約0.01重量%から約0.07重量%のCeO(0.01重量%≦CeO≦0.07重量%)、約0.01重量%から約0.05重量%のAg(0.01重量%≦Ag≦0.05重量%)、約5重量%から約10重量%のLiO(5重量%≦LiO≦10重量%)、約1重量%以下のNaO(0重量%≦NaO≦1重量%)、約0重量%から約3重量%のF(0重量%≦F≦3重量%)、および約5重量%以下のZrO(0重量%≦ZrO≦5重量%)を含む。
【0033】
いくつかの実施形態において、ポジ型感光性のリチウム亜鉛アルミノシリケート前駆体ガラスは、ZrOをネガ型感光性のリチウム亜鉛アルミノシリケート組成物に添加することによって生成してもよい。これらのガラスの非限定的な実施例を、以下の表2に列挙する。表2中の実施例16は、ネガの(photonegative)ガラスセラミックおよびガラスの例示的な組成物である。これらの実施形態において、ポジ型感光性のリチウム亜鉛アルミノシリケートガラスは、約72重量%から約76重量%のSiO(72重量%≦SiO≦76重量%)、約0.5重量%から約1重量%のKO(0.5重量%≦KO≦1重量%)、約5重量%から約7重量%のZnO(5重量%≦ZnO≦7重量%)、約0.5重量%から約0.8重量%のBr(0.5重量%≦Br≦0.8重量%)、約6重量%から約8重量%のAl(6重量%≦Al≦8重量%)、約0.01重量%から約0.04重量%のCeO(0.01重量%≦CeO≦0.04重量%)、約0.03重量%から約0.05重量%のAg(0.03重量%≦Ag≦0.05重量%)、約6重量%から約8重量%のLiO(6重量%≦LiO≦8重量%)、約0.05重量%以下のNaO(0重量%≦NaO≦0.05重量%)、約2重量%から約3重量%のF(2重量%≦F≦3重量%)、および約0.5重量%から約5重量%のZrO(0.5重量%≦ZrO≦5重量%)を含む。
【0034】
図1は、試料の写真であり、この試料は、ZrOがネガ型感光性のリチウム亜鉛アルミノシリケート前駆体ガラス組成物に添加されたものである。得られたガラスは、ポジ型感光性であり、UV照射に対して曝露した試料の部分に存在する乳白化したセラミック相およびUV照射に対して曝露しなかった試料の部分に存在するリチウム亜鉛アルミノシリケートガラス相を有する。試料AおよびBはそれぞれ、表2に列挙する、2.92重量%ZrOを含有する組成物19を有し、および試料C、DおよびEはそれぞれ、表2に列挙する、3.85重量%ZrOを含有する組成物20を有する。実施例19および実施例20におけるリチウム系ガラスセラミックを形成するために使用した加熱処理の時間および温度を、表2Aに列挙する。図1の試料AからEの曝露した部分110は乳白化しており、一方で、非曝露である部分120は透き通ったままである。乳白化した材料のX線回折(XRD)分析は、バージライトLi−アルミノシリケート相の存在を示す。図2は、組成物18を有する試料の乳白化した部分に対して得られたX線回折パターンであり、組成物18は、UV照射に対して曝露し、続いて最初に575℃で2時間加熱処理して室温まで冷却し、それから575℃で2時間再び加熱処理した。XRDパターンは、優勢相がスタッフドβ石英Li−アルミノシリケート(バージライトLiAlSi3−x)結晶構造を有することを示す。
【0035】
【表2】
【0036】
【表2A】
【0037】
他の実施形態において、ネガ型感光性のリチウムアルミノシリケート組成物中のアルミナ含有量をSiO含有量に対し増加することによって、ポジ型感光性のリチウム亜鉛アルミノシリケート前駆体ガラスを生成する。これらの実施形態において、ポジ型感光性の前駆体ガラスは、約68重量%から約76重量%のSiO(68重量%≦SiO≦76重量%)、約0.5重量%から約1重量%のKO(0.5重量%≦KO≦1重量%)、約5重量%から約8重量%のZnO(5重量%≦ZnO≦8重量%)、約0.5重量%から約1.0重量%のBr(0.5重量%≦Br≦1.0重量%)、約7重量%から約14重量%のAl(7重量%≦Al≦12重量%)、約0.01重量%から約0.07重量%のCeO(0.01重量%≦CeO≦0.07重量%)、約0.03重量%から約0.05重量%のAg(0.03重量%≦Ag≦0.05重量%)、約7重量%から約9重量%のLiO(7重量%≦LiO≦9重量%)、約0.05重量%以下のNaO(0重量%≦NaO≦0.05重量%)、および約2重量%から約3重量%のF(2重量%≦F≦3重量%)を含む。これらのガラスおよびガラスセラミックの非限定的な実施例を、以下の表3に列挙する。実施例21および実施例22のアルミナ含有量を、表1に列挙する参照実施例16の組成物に対しそれぞれ2重量%および4重量%増加する。実施例21では、最初に575℃で2時間加熱し、それから室温(約25℃)まで冷却し、後に575℃で2時間加熱したのに対して、実施例22では、最初に550℃で2時間加熱し、それから室温まで冷却し、後に575℃で2時間加熱した。図3は、照射および加熱処理後の実施例21(図3中のF)および実施例22(図3中のG)の試料の写真である。試料の両方は、UV照射に対して曝露した、乳白化した領域110、および、試料Gにおける112および114、を有する。実施例22/試料Gに対して得られたXRDパターンは、乳白化した領域における大きい方の相が、「スタッフドβ石英」リチウム−アルミノシリケート(バージライト)LiAlSi3−x結晶構造を有することを示す。
【0038】
【表3】
【0039】
ZnOがネガ型感光性ガラス−セラミックおよび前駆体ガラスの構成成分である一方で、ネガ型感光性のリチウムアルミノシリケート組成物におけるZnO濃度をアルミナおよびシリカ含有量に対し増加することによって、ポジ型感光性ガラス−セラミックおよび前駆体ガラスを得てもよい。これらの実施形態において、ポジ型感光性ガラス前駆体ガラスは、約68重量%から約77重量%のSiO(68重量%≦SiO≦77重量%)、約0.5重量%から約1重量%のKO(0.5重量%≦KO≦1重量%)、約6重量%から約10重量%のZnO(6重量%≦ZnO≦10重量%)、約0.5重量%から約1.0重量%のBr(0.5重量%≦Br≦1重量%)、約7重量%から約10重量%のAl(7重量%≦Al≦10重量%)、約0.02重量%から約0.05重量%のCeO(0.02重量%≦CeO≦0.05重量%)、約0.02重量%から約0.05重量%のAg(0.03重量%≦Ag≦0.05重量%)、約7重量%から約10重量%のLiO(7重量%≦LiO≦10重量%)、約0.05重量%以下のNaO(0重量%≦NaO≦0.05重量%)、約1重量%から約3重量%のF(1重量%≦F≦3重量%)、および約4重量%以下のZrO(0重量%≦ZrO≦4重量%)を含む。これらのポジ型感光性のリチウム亜鉛アルミノシリケートガラスの非限定的な実施例の組成物を、以下の表4に列挙する。いくつかの実施形態において、最初にポジ型感光性の前駆体ガラスを紫外線光に対して曝露した後、約575℃で2時間第1の加熱処理をし、それから前駆体ガラスを室温(約25℃)まで冷却し、後に前駆体ガラスを約575℃で2時間加熱してガラスセラミックを形成することによって、ガラス−セラミックを得てもよい。図4は、照射および加熱処理後の実施例28(図4中のH)および実施例30(図4中のI)の試料の写真である。試料の両方は、乳白化した領域110、および、試料Hにおける114、および試料Iにおける112、を有し、これらの領域では材料をUV照射に曝露した。実施例30/試料I(図4)に対して得られたXRDパターンは乳白化した領域における大きい方の相が、「スタッフドβ石英リチウム−アルミノシリケート(バージライト)LiAlSi3−x結晶構造を有することを示す。
【0040】
【表4】
【0041】
他の実施形態において、ポジ型感光性のリチウム亜鉛アルミノシリケート前駆体ガラスを、フッ素を臭素で置換することによって得てもよい。そのような実施形態において、前駆体ガラスは、約10重量%以下の、または、いくつかの実施形態において、約1重量%以下のBrを含んでもよい。これらの実施形態において、ポジ型感光性のリチウム亜鉛アルミノシリケート前駆体ガラスは、約70重量%から約78重量%のSiO(70重量%≦SiO≦78重量%)、約0.5重量%から約1重量%のKO(0.5重量%≦KO≦1重量%)、約5重量%から約7重量%のZnO(5重量%≦ZnO≦7重量%)、約0重量%から約10重量%のBr(0.5重量%≦Br≦10重量%)、約6重量%から約8重量%のAl(6重量%≦Al≦8重量%)、約0.02重量%から約0.05重量%のCeO(0.02重量%≦CeO≦0.05重量%)、約0.02重量%から約0.05重量%のAg(0.02重量%≦Ag≦0.05重量%)、約6重量%から約8重量%のLiO(6重量%≦LiO≦8重量%)、約1重量%以下のNaO(0重量%≦NaO≦1重量%)、および0重量%から約3重量%のF(0重量%≦F≦3重量%)を含んでもよい。これらのガラスおよびガラスセラミックの非限定的な実施例を、以下の表5に列挙する。実施例34について列挙した組成物を有する試料に対して得られたXRDパターンは、乳白化した領域における大きい方の相が、「スタッフドβ石英」リチウム−アルミノシリケート(バージライト)LiAlSi3−x結晶構造を有することを示す。これらの試料を異なる温度で加熱処理したが、XRDデータにおいて識別可能な差は認められなかった。
【0042】
【表5】
【0043】
別の態様において、リチウム系ガラスセラミックおよび感光性のリチウム亜鉛アルミノシリケートガラスを含む複合ガラス物品が提供される。複合ガラス物品は、第1の領域および第2の領域を含む。第1の領域は、セラミック相および残留ガラス相を含むリチウム系ガラスセラミックを含む。セラミック相は、前述の部分において説明したようなリチウムアルミノシリケートスタッフドβ石英構造を有する、リチウムアルミノシリケート(LAS)相を含む。いくつかの実施形態において、リチウム系ガラスセラミックは、NaO、MgO、P、TiO、ZrO、または臭素のうち少なくとも1種を含まない。いくつかの実施形態において、LAS相は、ガラスセラミック領域の少なくとも約50体積パーセントを構成する。
【0044】
第2の領域は、前述の部分において説明したもの等の、波長が約248nmから約360nmの範囲の紫外線照射に対して感光性であるリチウム亜鉛アルミノシリケートガラスを含む。リチウム亜鉛アルミノシリケートガラスは、少なくとも1種の増感剤および少なくとも1種の核形成剤を含む。いくつかの実施形態において、少なくとも1種の増感剤は、銀またはセリウムのうち少なくとも1種を含んでもよいが、それらに限定されない。少なくとも1種の核形成剤は、銀および/または少なくとも1種のハロゲンまたはハロゲン化物を含んでもよいが、それらに限定されない。いくつかの実施形態において、少なくとも1種の核形成剤は、フッ素、塩素または臭素のうち少なくとも1種を含む。特定の実施形態において、少なくとも1種の核形成剤は、フッ素または臭素を含む。
【0045】
いくつかの実施形態において、第1の領域は、不透明または半透明である。いくつかの実施形態において、リチウム亜鉛アルミノシリケートガラスは、透明である。
【0046】
いくつかの実施形態において、リチウム亜鉛アルミノシリケートガラスは、紫外線照射に関してネガ型感光性であり、すなわち、紫外線照射に対して曝露し、続いて加熱処理またはセラミック化されたガラスの領域は、透き通ったままであり、一方で、そのような照射に対して曝露せずまたは照射から保護され、加熱処理された材料の残りの部分は、加熱処理されるまたはセラミック化されるとき、乳白化するまたは半透明になる。第2の領域がネガ型感光性のリチウム亜鉛アルミノシリケートガラスを含む、それらの実施形態において、リチウム系ガラスセラミックを含む第1の領域は、UV照射に対して曝露しない(すなわち、「非曝露である」)。
【0047】
いくつかの実施形態において、ネガ型感光性のリチウム亜鉛アルミノシリケートガラスは、約66重量%から約76重量%のSiO(すなわち、66重量%≦SiO76重量%)、約5重量%から約9重量%のAl(すなわち、5重量%≦Al≦9重量%)、約5重量%から約8重量%のLiO(すなわち、5重量%≦LiO≦8重量%)、0重量%超から約1重量%のKO(すなわち、0重量%<KO≦1重量%)、0重量%超から約6重量%のF(すなわち、0重量%<F≦6重量%)、0重量%超から約0.1重量%のCeO(すなわち、0重量%<CeO≦0.1重量%)、0重量%超から約0.05重量%のAg(すなわち、0重量%<Ag≦0.05重量%)、および約6重量%から約8重量%のZnO(すなわち、6重量%≦ZnO≦8重量%)を含む。
【0048】
他の実施形態において、第2の領域はポジ型感光性のリチウム亜鉛アルミノシリケートガラスを含む、すなわち、波長が約248nmから約360nmの範囲の紫外線照射に対して曝露するガラスの領域は、後に第1の温度および第2の温度で別々に加熱処理されるとき、乳白化するまたは半透明になり、一方で、非曝露である材料の残りの部分は、そのような加熱処理後、透き通ったままである。これらのポジ型感光性ガラスは、先に前述の部分において説明されており、約68重量%から約78重量%のSiO(68重量%≦SiO≦78重量%)、約1重量%以下のKO(0重量%≦KO≦1重量%)、約5重量%から約10重量%のZnO(4重量%≦ZnO≦8重量%)、約10重量%以下のBr(0重量%≦Br≦10重量%)、約5重量%から約14重量%のAl(5重量%≦Al≦12重量%)、約0.01重量%から約0.07重量%のCeO(0.01重量%≦CeO≦0.07重量%)、約0.01重量%から約0.05重量%のAg(0.01重量%≦Ag≦0.05重量%)、約5重量%から約10重量%のLiO(5重量%≦LiO≦10重量%)、約1重量%以下のNaO(0重量%≦NaO≦1重量%)、約0重量%から約3重量%のF(0重量%≦F≦3重量%)、および約5重量%以下のZrO(0重量%≦ZrO≦5重量%)を含む。
【0049】
いくつかの実施形態において、ポジ型感光性のリチウム亜鉛アルミノシリケートガラスは、約72重量%から約76重量%のSiO(72重量%≦SiO≦76重量%)、約0.5重量%から約1重量%のKO(0.5重量%≦KO≦1重量%)、約5重量%から約7重量%のZnO(5重量%≦ZnO≦7重量%)、約0.5重量%から約0.8重量%のBr(0.5重量%≦Br≦0.8重量%)、約6重量%から約8重量%のAl(6重量%≦Al≦8重量%)、約0.01重量%から約0.04重量%のCeO(0.01重量%≦CeO≦0.04重量%)、約0.03重量%から約0.05重量%のAg(0.03重量%≦Ag≦0.05重量%)、約6重量%から約8重量%のLiO(6重量%≦LiO≦8重量%)、約0.05重量%以下のNaO(0重量%≦NaO≦0.05重量%)、約2重量%から約3重量%のF(2重量%≦F≦3重量%)、および約0.5重量%から約5重量%のZrO(0.5重量%≦ZrO≦5重量%)を含む。
【0050】
いくつかの実施形態において、ポジ型感光性のリチウム亜鉛アルミノシリケートガラスは、約68重量%から約76重量%のSiO(68重量%≦SiO≦76重量%)、約0.5重量%から約1重量%のKO(0.5重量%≦KO≦1重量%)、約5重量%から約8重量%のZnO(5重量%≦ZnO≦8重量%)、約0.5重量%から約1.0重量%のBr(0.5重量%≦Br≦1.0重量%)、約7重量%から約14重量%のAl(7重量%≦Al≦12重量%)、約0.01重量%から約0.07重量%のCeO(0.01重量%≦CeO≦0.07重量%)、約0.03重量%から約0.05重量%のAg(0.03重量%≦Ag≦0.05重量%)、約7重量%から約9重量%のLiO(7重量%≦LiO≦9重量%)、約0.05重量%以下のNaO(0重量%≦NaO≦0.05重量%)、および約2重量%から約3重量%のF(2重量%≦F≦3重量%)を含む。
【0051】
いくつかの実施形態において、ポジ型感光性のリチウム亜鉛アルミノシリケートガラスは、約68重量%から約77重量%のSiO(68重量%≦SiO≦77重量%)、約0.5重量%から約1重量%のKO(0.5重量%≦KO≦1重量%)、約6重量%から約10重量%のZnO(6重量%≦ZnO≦10重量%)、約0.5重量%から約1.0重量%のBr(0.5重量%≦Br≦1重量%)、約7重量%から約10重量%のAl(7重量%≦Al≦10重量%)、約0.02重量%から約0.05重量%のCeO(0.02重量%≦CeO≦0.05重量%)、約0.02重量%から約0.05重量%のAg(0.03重量%≦Ag≦0.05重量%)、約7重量%から約10重量%のLiO(7重量%≦LiO≦10重量%)、約0.05重量%以下のNaO(0重量%≦NaO≦0.05重量%)、約1重量%から約3重量%のF(1重量%≦F≦3重量%)、および約4重量%以下のZrO(0重量%≦ZrO≦4重量%)を含む。
【0052】
いくつかの実施形態において、ポジ型感光性のリチウム亜鉛アルミノシリケートガラスは、約70重量%から約78重量%のSiO(70重量%≦SiO≦78重量%)、約0.5重量%から約1重量%のKO(0.5重量%≦KO≦1重量%)、約5重量%から約7重量%のZnO(5重量%≦ZnO≦7重量%)、約0重量%から約10重量%のBr(0.5重量%≦Br≦10重量%)、約6重量%から約8重量%のAl(6重量%≦Al≦8重量%)、約0.02重量%から約0.05重量%のCeO(0.02重量%≦CeO≦0.05重量%)、約0.02重量%から約0.05重量%のAg(0.02重量%≦Ag≦0.05重量%)、約6重量%から約8重量%のLiO(6重量%≦LiO≦8重量%)、約1重量%以下のNaO(0重量%≦NaO≦1重量%)、および0重量%から約3重量%のF(0重量%≦F≦3重量%)を含む。
【0053】
いくつかの実施形態において、本明細書で説明する複合ガラス物品の第1の領域(リチウム系ガラスセラミック)および第2の領域(リチウム亜鉛アルミノシリケートガラス)は、複合ガラス物品全体にわたって任意に分散させてもよい。他の実施形態において、第1の領域および第2の領域は、互いから空間的に分離されている。
【0054】
いくつかの実施形態において、本明細書で説明する複合ガラス物品の第1の領域(リチウム系ガラスセラミック)および第2の領域(リチウム亜鉛アルミノシリケートガラス)は、アレイ状に配置してもよい。アレイは、いくつかの実施形態において、規則的な、繰り返し模様であってもよく、この模様は、短い範囲(すなわち、約1mm以下の大きさを有する/約1mm以下の大きさで延在する)であっても、または長い範囲(すなわち、1mm超の大きさを有する/1mm超の大きさで延在する)であってもよい。そのようなアレイは、UV光で前駆体ガラスの部分を所定の模様に選択的に照射することによってまたは前駆体ガラスの部分をUV光から保護することによって形成してもよい。
【0055】
いくつかの実施形態において、リチウム系ガラスセラミックは、室温と第2の温度Tとの間で測定する熱膨張ΔL/Lを有し、リチウム亜鉛アルミノシリケートガラスは、室温と第2の温度Tとの間で測定する熱膨張ΔL/Lを有し、温度Tは25℃≦T≦300℃であり、ΔLは、リチウム系ガラスセラミックおよびリチウム亜鉛アルミノシリケートガラスの、測定する温度範囲にわたる大きさLの変化である。この熱膨張の差異により、ガラス相とセラミック相との境界で、リチウム亜鉛アルミノシリケートガラスは張力下におかれ、リチウム系ガラスセラミックは圧縮下におかれ、それにより、複合ガラス物品の機械的強度が増大する。
【0056】
複合ガラス物品のリチウム系ガラスセラミックおよびリチウム亜鉛アルミノシリケートガラスの熱膨張を、温度の関数として図5Aおよび図5Bにそれぞれグラフ化する。図5Aおよび図5Bでわかるように、リチウム系ガラスセラミックでは、600℃の熱現像温度から冷却すると体積が0.6%減少するのに対して、リチウム亜鉛アルミノシリケートガラスでは、熱現像温度から冷却すると体積が0.3%減少する。したがって、リチウム系ガラスセラミックの体積は、リチウム亜鉛アルミノシリケートガラスに対し、50%多く体積が減少し、リチウム系ガラスセラミックにおける圧縮応力およびリチウム亜鉛アルミノシリケートガラスにおける引張応力が、ガラスセラミック/ガラス界面の境界で蓄積することになる。この条件下で生じる圧縮応力および引張応力の性質により、伝播亀裂をそらすことが可能な応力領域が提供される。
【0057】
リチウム系ガラスセラミックとリチウム亜鉛アルミノシリケートガラスとの間のこの誘導応力は、得られる光学複屈折においておよび顕微鏡レベルでも同様に、認めることができる。図6Aおよび図6Bは、それぞれ非偏光下および偏光下での複合ガラス物品の顕微鏡画像である。複合ガラス物品600は、リチウム系ガラスセラミック620およびリチウム亜鉛アルミノシリケートガラス610を含む。リチウム系ガラスセラミック620とリチウム亜鉛アルミノシリケートガラス610との界面での応力616は、偏光下で可視であり、この応力は、光弾性効果によって誘導される(図6B)。
【0058】
図7は、本明細書で説明するネガ型感光性のリチウム亜鉛アルミノシリケートガラスおよびリチウム系ガラスセラミックを含む、模様を付けた複合ガラス物品によって生じる内部応力を示す写真である。試料は、交差した偏光子の間において示されており、応力の規模は、光弾性効果(すなわち、応力誘導の複屈折)を通して見える。複合ガラス物品は、リチウム系ガラスセラミック720によって取り囲まれたリチウム亜鉛アルミノシリケートガラス710を含む。複合ガラス物品700におけるネガ型感光性のリチウム亜鉛アルミノシリケートガラスは、実施例16の組成物(表2)を有する。応力パターン715は、交差した偏光子の間において示されるとき、ガラスセラミック領域720によって取り囲まれたガラス領域710において現れる。
【0059】
ガラス−セラミックとリチウム亜鉛アルミノシリケートガラスとの境界界面で圧縮応力および引張応力を導入することによって、本明細書で説明する模様を付けた複合ガラス物品を使用して、そのような物品の縁からの亀裂伝播を阻止できる。そのような物品を、図8において概略的に示す。複合ガラス物品805は、リチウム亜鉛アルミノシリケートガラスを含む第1の領域815およびリチウム系ガラスセラミック815を含む第2の領域を含む。リチウム亜鉛アルミノシリケートガラスおよびリチウム系ガラスセラミックの両方は、本明細書において説明される。リチウム亜鉛アルミノシリケートガラスがポジ型感光性である場合、前駆体ガラス800の中心部分810は、UV照射に対して曝露せず、一方で、前駆体ガラス800の周縁部分820は、UV照射に対して曝露する。UV照射に対する曝露(図8中の830)の後、前駆体リチウム亜鉛アルミノシリケートガラスを、それから第1の温度に加熱し、第1の温度で所定の時間の間保持し、室温まで冷却し(840)、それから第2の温度に加熱し、第2の温度で所定の時間の間保持し、室温まで冷却し(850)、リチウム系ガラスセラミックおよび複合ガラス物品805を形成する。ガラス−セラミックが、曝露した周縁部分820に形成され、リチウム亜鉛アルミノシリケートガラスとリチウム系ガラスセラミックとの界面で、圧縮応力(図8中の815)が、リチウム系ガラスセラミック内に存在し、引張応力がリチウム亜鉛アルミノシリケートガラスにおいて作り出される。この界面応力により、複合ガラス物品805の縁からの亀裂の伝播を阻止する。
【0060】
リチウム亜鉛アルミノシリケートガラスがネガ型感光性である場合、前駆体ガラス800の中心部分810は、UV照射に対して曝露し、一方で、前駆体ガラス800の周縁部分820は、UV照射に対して曝露しない。UV照射に対する曝露(図8中の830)の後、前駆体リチウム亜鉛アルミノシリケートガラスを、それから第1の温度に加熱し、第1の温度で所定の時間の間保持し、室温まで冷却し(845)、リチウム系ガラスセラミックおよび複合ガラス物品805を形成する。
【0061】
別の態様において、前述の部分において説明した複合ガラス物品をネガ型感光性のリチウム亜鉛アルミノシリケート前駆体ガラス(前駆体ガラス)から作製する方法が提供される。複合ガラス物品は、リチウム亜鉛アルミノシリケートガラスおよびリチウム系ガラスセラミックを含む。リチウム系ガラスセラミックは、残留ガラス相、およびスタッフドβ石英リチウム−アルミノシリケート(バージライト、またはLiAlSi3−x)結晶構造を含むセラミック相を含み、いくつかの実施形態において、結晶性LiF相を含む。リチウム系ガラスセラミックは、いくつかの実施形態において、乳白化してもまたは半透明であってもよい。
【0062】
この方法を説明するフローチャートを図9において示す。方法900の第1のステップ910において、少なくとも1種の増感剤および少なくとも1種の核形成剤を含むネガ型感光性のリチウム亜鉛アルミノシリケート前駆体ガラスが提供される。前駆体ガラスは、本分野で公知の、ダウンドロー(フュージョンドローまたはスロットドロー)法、アップドロー法、フロート法、鋳造法、鋳型法等を含む手段によって形成してもよい。
【0063】
第2のステップ920において、ネガ型感光性のリチウム亜鉛アルミノシリケート前駆体ガラスの第1の領域は、波長が約248nmから約360nmの範囲の紫外線照射に対して曝露し、一方で、ネガ型感光性のリチウム亜鉛アルミノシリケート前駆体ガラスの第2の領域は、紫外線照射に対して非曝露である。いくつかの実施形態において、第1の領域は、例えば、355nmパルスレーザー等のようなUVレーザーで、または例えば、310nmHg(0.041Pa)アーク灯等の連続UV光のビーム等で照射され、一方で、前駆体ガラスの第2の領域は、UV照射で照射されない(すなわち、UV照射に対して非曝露である)。他の実施形態において、前駆体ガラスの第2の領域はUV照射から保護されてもよい。そのような保護は、本分野で公知のもの等の不透明または反射性のフィルムを含んでもよく、このフィルムは第2の領域の表面に適用する。先に前述の部分において説明したように、UV照射は、いくつかの実施形態において、波長が355nm、周波数が10Hz、およびフルエンスが6.5W/cmであってもよい。いくつかの実施形態において、UVレーザーまたはビームは、ネガ型感光性のリチウム亜鉛アルミノシリケート前駆体ガラスの少なくとも部分にわたり走査(raster)される。例えば、前駆体ガラスを、10mm/secの速度で材料にわたり走査されるUV光で5秒間照射してもよい。他の実施形態において、ネガ型感光性のリチウム亜鉛アルミノシリケート前駆体ガラスを、UV光で固定の時間の間、例えば、約1分間、または約5秒から約10秒にわたる時間の間、連続的に照射してもよい。
【0064】
UV曝露したネガ型感光性のリチウム亜鉛アルミノシリケート前駆体ガラスを、それから加熱し、リチウム系ガラスセラミックを第2の領域に形成し、それにより複合ガラス物品を形成する(ステップ930)。いくつかの実施形態において、曝露したリチウム亜鉛アルミノシリケート前駆体ガラスを、約550℃から約650℃の範囲の温度で少なくとも約2時間加熱し、いくつかの実施形態において、UV照射に対して曝露しなかった第2の領域における結晶性リチウム−アルミノシリケートおよびLiF相(存在するとき)は、少なくとも可視光(≧400nm)の波長と同じ大きさの結晶寸法を有し、したがって光を散乱し、乳白化し、セラミック相を不透明または半透明にする。しかし、いくつかの実施形態において、第2の領域における結晶寸法は、十分小さいため、光を散乱しないまたは光を感知できるほどには屈折させず、したがってセラミック相を透明にする。
【0065】
更に別の態様において、ポジ型感光性のリチウム亜鉛アルミノシリケート前駆体ガラス(前駆体ガラス)から前述の部分において説明した複合ガラス物品を作製する方法が提供される。複合ガラス物品は、リチウム亜鉛アルミノシリケートガラスおよびリチウム系ガラスセラミックを含む。リチウム系ガラスセラミックは、残留ガラス相、およびスタッフドβ石英リチウム−アルミノシリケート(バージライト、またはLiAlSi3−x)結晶構造を含むセラミック相を含み、いくつかの実施形態において、結晶性LiF相を含む。リチウム系ガラスセラミックは、いくつかの実施形態において、乳白化してもまたは半透明であってもよい。
【0066】
この方法を説明するフローチャートを図10に示す。方法1000の第1のステップ1010において、少なくとも1種の増感剤および少なくとも1種の核形成剤を含むポジ型感光性のリチウム亜鉛アルミノシリケート前駆体ガラスが提供される。前駆体ガラスは、本分野で公知の、ダウンドロー(フュージョンドローまたはスロットドロー)法、アップドロー法、フロート法、鋳造法、鋳型法等を含む手段によって形成してもよい。
【0067】
第2のステップ1020において、ポジ型感光性のリチウム亜鉛アルミノシリケート前駆体ガラスの第1の領域は、波長が約248nmから約360nmの範囲の紫外線照射に対して曝露する一方で、リチウム亜鉛アルミノシリケートガラスの第2の領域は、紫外線照射に対して非曝露である(すなわち、曝露しない)。いくつかの実施形態において、第1の領域は、例えば、355nmパルスレーザー等のようなUVレーザーで、または例えば、310nmHg(0.041Pa)アーク灯等の連続UV光のビーム等で照射され、一方で、前駆体ガラスの第2の領域はUV照射で照射されない。他の実施形態において、前駆体ガラスの第2の領域はUV照射から保護されてもよい。そのような保護は、本分野で公知のもの等の不透明または反射性のフィルムを含んでもよく、このフィルムは第2の領域の表面に適用される。先に前述の部分において説明したように、UV照射は、いくつかの実施形態において、波長が355nm、周波数が10Hz、およびエネルギーが6.5W/cmであってもよい。いくつかの実施形態において、UVレーザーまたは集束ビームは、ネガ型感光性のリチウム亜鉛アルミノシリケート前駆体ガラスの少なくとも部分にわたり走査される。例えば、前駆体ガラスを、10mm/secの速度で材料にわたり走査するUV光で5秒間照射してもよい。他の実施形態において、ポジ型感光性のリチウム亜鉛アルミノシリケート前駆体ガラスを、UV光で固定の時間の間(例えば、約1分間、または約5秒から約10秒にわたる時間の間、または、いくつかの実施形態において、2時間以下の間)、連続的に照射してもよい。
【0068】
UV照射の後、リチウム亜鉛アルミノシリケート前駆体ガラスを、第1の温度で第1の所定の時間の間加熱し、光学的中間体(optical intermediate)としてセリウムを使用して銀を還元する(ステップ1030)。いくつかの実施形態において、第1の温度は、約550℃から約700℃の範囲にあり、第1の所定の時間は、約0.5時間から約4時間にわたる。前駆体ガラスを、それから室温(おおよそ25℃)まで冷却する(図示せず)。曝露した前駆体ガラスを、それから第2の温度で第2の所定の時間の間加熱し、リチウム系ガラスセラミックを第1の領域に形成し、このガラスセラミックは、残留ガラス相、およびスタッフドβ石英リチウム−アルミノシリケート(バージライト、またはLiAlSi3−x)結晶構造を含むセラミック相を含み、いくつかの実施形態において、結晶性LiF相(ステップ1040)を含み、それにより複合ガラス物品を形成する。いくつかの実施形態において、第2の温度は、約500℃から約700℃の範囲にあり、第2の所定の時間は、約0.5時間から約4時間にわたる。最後に、複合ガラス物品を室温(おおよそ25℃)まで冷却する(図示せず)。
【0069】
典型的な実施形態を例示の目的で記述してきたが、上述の説明は、本開示または添付の請求項の範囲の限定であると見なされるべきではない。したがって、様々な修正、応用、および代替は、本開示または添付の請求項の趣旨および範囲から逸脱することなく当業者に想起されるであろう。
【0070】
以下、本発明の好ましい実施形態を項分け記載する。
【0071】
実施形態1
第1の領域および該第1の領域と界面で接触する第2の領域を含む複合ガラス物品であって、
前記第1の領域は、リチウム系ガラスセラミックを含み、該リチウム系ガラスセラミックは、セラミック相および残留ガラス相を含み、
該セラミック相は、リチウムアルミノシリケートスタッフドβ石英構造を有するリチウムアルミノシリケート相を含み、該第2の領域は、リチウム亜鉛アルミノシリケートガラスを含み、
該リチウム亜鉛アルミノシリケートガラスは、透明であり、少なくとも1種の増感剤および少なくとも1種の核形成剤を含む、複合ガラス物品。
【0072】
実施形態2
前記第1の領域は、前記第2の領域から空間的に分離されている、実施形態1記載の複合ガラス物品。
【0073】
実施形態3
前記リチウム亜鉛アルミノシリケートガラスは透明である、実施形態1または2記載の複合ガラス物品。
【0074】
実施形態4
前記第1の領域は、不透明または半透明である、実施形態1から3のいずれか一項記載の複合ガラス物品。
【0075】
実施形態5
前記リチウム系ガラスセラミックは、前記界面で圧縮応力下にあり、前記リチウム亜鉛アルミノシリケートガラスは、前記界面で引張応力下にある、実施形態1から4のいずれか一項記載の複合ガラス物品。
【0076】
実施形態6
前記少なくとも1種の増感剤は、銀およびセリウムのうち少なくとも1種を含む、実施形態1から5のいずれか一項記載の複合ガラス物品。
【0077】
実施形態7
前記少なくとも1種の核形成剤は、少なくとも1種のハロゲンを含む、実施形態1から6のいずれか一項記載の複合ガラス物品。
【0078】
実施形態8
前記少なくとも1種のハロゲンは、フッ素を含む、実施形態7記載の複合ガラス物品。
【0079】
実施形態9
前記少なくとも1種のハロゲンは、臭素および塩素のうち少なくとも1種を含む、実施形態7または8記載の複合ガラス物品。
【0080】
実施形態10
前記第2の領域は、波長が約248nmから約360nmの範囲である紫外線照射に対して曝露した、実施形態1から9のいずれか一項記載の複合ガラス物品。
【0081】
実施形態11
前記リチウム亜鉛アルミノシリケートガラスは、66重量%から約76重量%のSiO、約5重量%から約9重量%のAl、約5重量%から約8重量%のLiO、0重量%超から約1重量%のKO、0重量%超から約6重量%のF、0重量%超から約0.1重量%のCeO、0重量%超から約0.05重量%のAg、および約6重量%から約8重量%のZnOを含む、実施形態10記載の複合ガラス物品。
【0082】
実施形態12
前記第1の領域は、波長が約248nmから約360nmの範囲である紫外線照射に対して曝露した、実施形態1から9のいずれか一項記載の複合ガラス物品。
【0083】
実施形態13
前記リチウム亜鉛アルミノシリケートガラスは、約68重量%から約78重量%のSiO、約1重量%以下のKO、約5重量%から約10重量%のZnO、約10重量%以下のBr、約5重量%から約14重量%のAl、約0.01重量%から約0.07重量%のCeO、約0.01重量%から約0.05重量%のAg、約5重量%から約10重量%のLiO、約1重量%以下のNaO、約0重量%から約3重量%のF、および約5重量%以下のZrOを含む、実施形態12記載の複合ガラス物品。
【0084】
実施形態14
前記リチウム亜鉛アルミノシリケートガラスは、約72重量%から約76重量%のSiO、約0.5重量%から約1重量%のKO、約5重量%から約7重量%のZnO、約0.5重量%から約0.8重量%のBr、約6重量%から約8重量%のAl、約0.01重量%から約0.04重量%のCeO、約0.03重量%から約0.05重量%のAg、約6重量%から約8重量%のLiO、約0.05重量%以下のNaO、約2重量%から約3重量%のF、および約0.5重量%から約5重量%のZrOを含む、実施形態12または13記載の複合ガラス物品。
【0085】
実施形態15
前記リチウム亜鉛アルミノシリケートガラスは、約68重量%から約76重量%のSiO、約0.5重量%から約1重量%のKO、約5重量%から約8重量%のZnO、約0.5重量%から約1.0重量%のBr、約7重量%から約14重量%のAl、約0.01重量%から約0.07重量%のCeO、約0.03重量%から約0.05重量%のAg、約7重量%から約9重量%のLiO、約0.05重量%以下のNaO、および約2重量%から約3重量%のFを含む、実施形態12または13記載の複合ガラス物品。
【0086】
実施形態16
前記リチウム亜鉛アルミノシリケートガラスは、約68重量%から約77重量%のSiO、約0.5重量%から約1重量%のKO、約6重量%から約10重量%のZnO、約0.5重量%から約1.0重量%のBr、約7重量%から約10重量%のAl、約0.02重量%から約0.05重量%のCeO、約0.02重量%から約0.05重量%のAg、約7重量%から約10重量%のLiO、約0.05重量%以下のNaO、約1重量%から約3重量%のF、および約4重量%以下のZrOを含む、実施形態12または13記載の複合ガラス物品。
【0087】
実施形態17
前記リチウム亜鉛アルミノシリケートガラスは、約70重量%から約78重量%のSiO、約0.5重量%から約1重量%のKO、約5重量%から約7重量%のZnO、約0重量%から約10重量%のBr、約6重量%から約8重量%のAl、約0.02重量%から約0.05重量%のCeO、約0.02重量%から約0.05重量%のAg、約6重量%から約8重量%のLiO、約1重量%以下のNaO、および0重量%から約3重量%のFを含む、実施形態12または13記載の複合ガラス物品。
【0088】
実施形態18
前記ガラスセラミックは、NaO、MgO、P、TiO、ZrO、および臭素のうち少なくとも1種を含まない、実施形態1から17のいずれか一項記載の複合ガラス物品。
【0089】
実施形態19
前記リチウムアルミノシリケート相は、前記リチウム系ガラスセラミックの少なくとも50体積パーセントを構成する、実施形態1から18のいずれか一項記載の複合ガラス物品。
【0090】
実施形態20
前記第1の領域および前記第2の領域は模様になったアレイを形成する、実施形態1から19のいずれか一項記載の複合ガラス物品。
【0091】
実施形態21
少なくとも1種の増感剤および少なくとも1種の核形成剤を含むリチウム亜鉛アルミノシリケートガラスであって、
該リチウム亜鉛アルミノシリケートガラスは、波長が約248nmから約360nmの範囲である照射に対して感光性である、リチウム亜鉛アルミノシリケートガラス。
【0092】
実施形態22
前記少なくとも1種の増感剤は、銀およびセリウムのうちの少なくとも1種を含む、実施形態21記載のリチウム亜鉛アルミノシリケートガラス。
【0093】
実施形態23
前記少なくとも1種の核形成剤は、少なくとも1種のハロゲンを含む、実施形態21または22記載のリチウム亜鉛アルミノシリケートガラス。
【0094】
実施形態24
前記少なくとも1種の核形成剤は、フッ素を含む、実施形態22または23記載のリチウム亜鉛アルミノシリケートガラス。
【0095】
実施形態25
前記少なくとも1種のハロゲンは、臭素および塩素うち少なくとも1種を含む、実施形態22から26のいずれか一項記載のリチウム亜鉛アルミノシリケートガラス。
【0096】
実施形態26
前記リチウム亜鉛アルミノシリケートガラスは、波長が約248nmから約360nmの範囲である紫外線照射に対してネガ型感光性である、実施形態21から25のいずれか一項記載のリチウム亜鉛アルミノシリケートガラス。
【0097】
実施形態27
前記リチウム亜鉛アルミノシリケートガラスは、66重量%から約76重量%のSiO、約5重量%から約9重量%のAl、約5重量%から約8重量%のLiO、0重量%超から約1重量%のKO、0重量%超から約6重量%のF、0重量%超から約0.1重量%のCeO、0重量%超から約0.05重量%のAg、および約6重量%から約8重量%のZnOを含む、実施形態26記載のリチウム亜鉛アルミノシリケートガラス。
【0098】
実施形態28
前記感光性ガラスは、NaO、MgO、P、TiO、ZrO、および臭素のうち少なくとも1種を含まない、実施形態21から27のいずれか一項記載のリチウム亜鉛アルミノシリケートガラス。
【0099】
実施形態29
前記リチウム亜鉛アルミノシリケートガラスは、波長が約248nmから約360nmの範囲である紫外線照射に対してポジ型感光性である、実施形態21から28のいずれか一項記載のリチウム亜鉛アルミノシリケートガラス。
【0100】
実施形態30
前記リチウム亜鉛アルミノシリケートガラスは、約68重量%から約78重量%のSiO、約1重量%以下のKO、約5重量%から約10重量%のZnO、約10重量%以下のBr、約5重量%から約14重量%のAl、約0.01重量%から約0.07重量%のCeO、約0.01重量%から約0.05重量%のAg、約5重量%から約10重量%のLiO、約1重量%以下のNaO、約0重量%から約3重量%のF、および約5重量%以下のZrOを含む、実施形態29記載のリチウム亜鉛アルミノシリケートガラス。
【0101】
実施形態31
前記リチウム亜鉛アルミノシリケートガラスは、約72重量%から約76重量%のSiO、約0.5重量%から約1重量%のKO、約5重量%から約7重量%のZnO、約0.5重量%から約0.8重量%のBr、約6重量%から約8重量%のAl、約0.01重量%から約0.04重量%のCeO、約0.03重量%から約0.05重量%のAg、約6重量%から約8重量%のLiO、約0.05重量%以下のNaO、約2重量%から約3重量%のF、および約0.5重量%から約5重量%のZrOを含む、実施形態29または30記載のリチウム亜鉛アルミノシリケートガラス。
【0102】
実施形態32
前記リチウム亜鉛アルミノシリケートガラスは、約68重量%から約76重量%のSiO、約0.5重量%から約1重量%のKO、約5重量%から約8重量%のZnO、約0.5重量%から約1.0重量%のBr、約7重量%から約14重量%のAl、約0.01重量%から約0.07重量%のCeO、約0.03重量%から約0.05重量%のAg、約7重量%から約9重量%のLiO、約0.05重量%以下のNaO、および約2重量%から約3重量%のFを含む、実施形態29から31のいずれか一項記載のリチウム亜鉛アルミノシリケートガラス。
【0103】
実施形態33
前記リチウム亜鉛アルミノシリケートガラスは、約68重量%から約77重量%のSiO、約0.5重量%から約1重量%のKO、約6重量%から約10重量%のZnO、約0.5重量%から約1.0重量%のBr、約7重量%から約10重量%のAl、約0.02重量%から約0.05重量%のCeO、約0.02重量%から約0.05重量%のAg、約7重量%から約10重量%のLiO、約0.05重量%以下のNaO、約1重量%から約3重量%のF、および約4重量%以下のZrOを含む、実施形態29から32のいずれか一項記載のリチウム亜鉛アルミノシリケートガラス。
【0104】
実施形態34
前記リチウム亜鉛アルミノシリケートガラスは、約70重量%から約78重量%のSiO、約0.5重量%から約1重量%のKO、約5重量%から約7重量%のZnO、約0重量%から約10重量%のBr、約6重量%から約8重量%のAl、約0.02重量%から約0.05重量%のCeO、約0.02重量%から約0.05重量%のAg、約6重量%から約8重量%のLiO、約1重量%以下のNaO、および0重量%から約3重量%のFを含む、実施形態29から33のいずれか一項記載のリチウム亜鉛アルミノシリケートガラス。
【0105】
実施形態35
複合ガラス物品を作製する方法であって、
該複合ガラス物品は、リチウム亜鉛アルミノシリケートガラスおよびリチウム系ガラスセラミックを含み、該リチウム系ガラスセラミックは、セラミック相を含み、該セラミック相は、リチウムアルミノシリケートβ石英構造を含むリチウムアルミノシリケート相および残留ガラス相を含み、該方法は、
a.リチウム亜鉛アルミノシリケート前駆体ガラスを提供するステップであって、前記リチウム亜鉛アルミノシリケートガラスは、少なくとも1種の増感剤および少なくとも1種の核形成剤を含み、前記リチウム亜鉛アルミノシリケートガラスは、ネガ型感光性であるステップと、
b.前記リチウム亜鉛アルミノシリケート前駆体ガラスの第1の領域を、波長が約248nmから約360nmの範囲の紫外線照射に対して曝露するステップであって、一方で前記リチウム亜鉛アルミノシリケート前駆体ガラスの第2の領域を、該紫外線照射に対して非曝露であるステップと、
c.前記曝露したリチウム亜鉛アルミノシリケート前駆体ガラスを加熱して前記リチウム系ガラスセラミックを前記第2の領域に形成し、それにより前記複合ガラス物品を形成するステップと、
を含む方法。
【0106】
実施形態36
前記リチウム亜鉛アルミノシリケート前駆体ガラスは、約66重量%から約76重量%のSiO、約5重量%から約9重量%のAl、約5重量%から約8重量%のLiO、0重量%超から約1重量%のKO、0重量%超から約6重量%のF、0重量%超から約0.5重量%のCeO、0重量%超から約0.5重量%のAg、および約6重量%から約8重量%のZnOを含む、実施形態35記載の方法。
【0107】
実施形態37
前記曝露したリチウム亜鉛アルミノシリケート前駆体ガラスを加熱する前記ステップは、前記曝露したリチウム亜鉛アルミノシリケートガラスを約550℃から約650℃の範囲の温度で加熱するステップを含む、実施形態35または36記載の方法。
【0108】
実施形態38
前記曝露したリチウム亜鉛アルミノシリケート前駆体ガラスを加熱する前記ステップは、前記曝露したリチウム亜鉛アルミノシリケートガラスを少なくとも約2時間加熱するステップを含む、実施形態35から37のいずれか一項記載の方法。
【0109】
実施形態39
前記少なくとも1種の増感剤は、銀およびセリウムのうち少なくとも1種を含む、実施形態35から38のいずれか一項記載の方法。
【0110】
実施形態40
前記少なくとも1種の核形成剤は、少なくとも1種のハロゲンを含む、実施形態35から39のいずれか一項記載の方法。
【0111】
実施形態41
前記第2の領域は、不透明または半透明である、実施形態35から40のいずれか一項記載の方法。
【0112】
実施形態42
前記リチウムアルミノシリケート相は、前記リチウム系ガラスセラミックの少なくとも50体積パーセントを構成する、実施形態35から41のいずれか一項記載の方法。
【0113】
実施形態43
複合ガラス物品を作製する方法であって、
該複合ガラス物品は、リチウム亜鉛アルミノシリケートガラスおよびリチウム系ガラスセラミックを含み、該リチウム系ガラスセラミックは、セラミック相を含み、該セラミック相は、リチウムアルミノシリケートβ石英構造を有するリチウムアルミノシリケート相および残留ガラス相を含み、該方法は、
a.リチウム亜鉛アルミノシリケート前駆体ガラスを提供するステップであって、前記リチウム亜鉛アルミノシリケートガラスは、少なくとも1種の増感剤および少なくとも1種の核形成剤を含み、前記リチウム亜鉛アルミノシリケートガラスは、ポジ型感光性であるステップと、
b.前記リチウム亜鉛アルミノシリケート前駆体ガラスの第1の領域を、波長が約248nmから約360nmの範囲の紫外線照射に曝露するステップであって、一方で前記リチウム亜鉛アルミノシリケート前駆体ガラスの第2の領域を、該紫外線照射に対して非曝露であるステップと、
c.前記リチウム亜鉛アルミノシリケート前駆体ガラスを、第1の温度で第1の時間の間加熱して銀を還元するステップと、
d.前記リチウム亜鉛アルミノシリケート前駆体ガラスを、第2の温度で第2の時間の間加熱して前記第1の領域に前記リチウム系ガラスセラミックを形成し、それにより前記複合ガラス物品を形成するステップと、
を含む方法。
【0114】
実施形態44
前記第1の温度は、約550℃から約675℃の範囲であり、前記第1の時間は、約0.5時間から約4時間の範囲である、実施形態43記載の方法。
【0115】
実施形態45
前記第2の温度は、約550℃から約675℃の範囲であり、前記第2の時間は、約0.5時間から約4時間の範囲である、実施形態43または44記載の方法。
【0116】
実施形態46
前記リチウムアルミノシリケート相は、前記リチウム系ガラスセラミックの少なくとも50体積パーセントを構成する、実施形態43から45のいずれか一項記載の方法。
【0117】
実施形態47
前記第1の温度で約0.5時間から約4時間の間加熱する前記ステップの後、前記リチウム亜鉛アルミノシリケート前駆体ガラスを、室温まで冷却するステップをさらに含む、実施形態43から46のいずれか一項記載の方法。
【0118】
実施形態48
前記リチウム亜鉛アルミノシリケート前駆体ガラスは、約68重量%から約78重量%のSiO、約1重量%以下のKO、約5重量%から約10重量%のZnO、約10重量%以下のBr、約5重量%から約14重量%のAl、約0.01重量%から約0.07重量%のCeO、約0.01重量%から約0.05重量%のAg、約5重量%から約10重量%のLiO、約1重量%以下のNaO、約0重量%から約3重量%のF、および約5重量%以下のZrOを含む、実施形態43から47のいずれか一項記載の方法。
【0119】
実施形態49
前記第1の領域は、不透明または半透明である、実施形態43から48のいずれか一項記載の方法。
【符号の説明】
【0120】
120 非曝露である部分
110 乳白化した領域
600 複合ガラス物品
620 リチウム系ガラスセラミック
610 リチウム亜鉛アルミノシリケートガラス
616 応力
800 前駆体ガラス
805 複合ガラス物品
810 中心部分
815 リチウム系ガラスセラミック
820 周縁部分
830 UV照射に対して曝露する
840 第1の温度に加熱し、第1の温度で所定の時間の間保持し、室温まで冷却する
850 第2の温度に加熱し、第2の温度で所定の時間の間保持し、室温まで冷却する
845 第1の温度に加熱し、第1の温度で所定の時間の間保持し、室温まで冷却する
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6
図7
図8
図9
図10