特許第6983790号(P6983790)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6983790動力式外科用器具における駆動トレイン故障を補償するための機構
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6983790
(24)【登録日】2021年11月26日
(45)【発行日】2021年12月17日
(54)【発明の名称】動力式外科用器具における駆動トレイン故障を補償するための機構
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/072 20060101AFI20211206BHJP
【FI】
   A61B17/072
【請求項の数】10
【全頁数】41
(21)【出願番号】特願2018-542223(P2018-542223)
(86)(22)【出願日】2017年2月8日
(65)【公表番号】特表2019-509786(P2019-509786A)
(43)【公表日】2019年4月11日
(86)【国際出願番号】US2017016882
(87)【国際公開番号】WO2017139297
(87)【国際公開日】20170817
【審査請求日】2020年2月7日
(31)【優先権主張番号】15/043,254
(32)【優先日】2016年2月12日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】517076008
【氏名又は名称】エシコン エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】Ethicon LLC
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】シェルトン・ザ・フォース・フレデリック・イー
(72)【発明者】
【氏名】オーバーマイヤー・マーク・ディー
(72)【発明者】
【氏名】イェイツ・デビッド・シー
(72)【発明者】
【氏名】ハリス・ジェイソン・エル
【審査官】 安田 昌司
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−208672(JP,A)
【文献】 特表2015−515344(JP,A)
【文献】 特開2010−065594(JP,A)
【文献】 米国特許第06370957(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/00
A61B 34/00
A61B 90/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
組織に影響を及ぼすための装置であって、
組織と相互作用するように構成されたエンドエフェクタと、
外科用器具であって、
前記外科用器具の動作を実施するために、複数のギヤ構成要素を駆動するように構成された1つ又は2つ以上の駆動トレインと、
前記外科用器具の前記1つ又は2つ以上の駆動トレインからの振動情報を感知及び記録するために、前記外科用器具の前記1つ又は2つ以上の駆動トレインに対して位置決めされた1つ又は2つ以上の振動センサと、を含む、外科用器具と、を備え、前記1つ又は2つ以上の振動センサは、前記振動情報に基づいて、出力信号を生成するように構成され、前記出力信号は、前記外科用器具の状態を決定するのに使用され
適切に機能する駆動トレインを含む前記1つ又は2つ以上の駆動トレインからの前記振動情報に基づく前記出力信号が、高速フーリエ変換を用いて処理され、シグネチャ波形が生成されて、記憶され、
前記適切に機能する駆動トレインのシグネチャ波形、及び、被検駆動トレインである、前記適切に機能する駆動トレインと同一の駆動トレインまたは前記適切に機能する駆動トレインと異なる駆動トレインのシグネチャ波形の比較が行われ、
前記比較の結果に基づき、前記被検駆動トレインの状態が決定される、装置。
【請求項2】
前記1つ又は2つ以上の振動センサの前記出力信号を受信するように構成された少なくとも1つの周波数フィルタを更に備え、前記少なくとも1つの周波数フィルタは、前記受信された出力信号に基づいて、フィルタリングされた信号を生成するように構成されている、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記シグネチャ波形を記憶するメモリと、
前記少なくとも1つの周波数フィルタと通信するプロセッサと、を更に備える、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記メモリがプログラム命令を含み、該プログラム命令は、前記プロセッサによって実行されると、前記プロセッサに、前記フィルタリングされた信号に基づいて、処理された信号である前記シグネチャ波形を生成させる、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記プログラム命令は、前記プロセッサによって実行されると、前記プロセッサに、前記高速フーリエ変換を用いて前記処理された信号を発生させる、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
外科用ステープラであって、
組織内に展開可能な複数のステープルを含むステープルカートリッジと、
前記外科用ステープラの発射シーケンス中に、前記複数のステープルを前記組織内に展開するように動作可能な少なくとも1つの駆動機構と、
前記少なくとも1つの駆動機構によって生成された振動を記録するように構成された1つ又は2つ以上の振動センサと、を備え、前記1つ又は2つ以上の振動センサは、感知された前記振動に基づいて、出力信号を生成するように構成され、前記出力信号は、前記少なくとも1つの駆動機構の状態を決定するのに使用され
適切に機能する駆動機構を含む前記少なくとも1つの駆動機構からの前記振動に基づく前記出力信号が、高速フーリエ変換を用いて処理され、シグネチャ波形が生成されて、記憶され、
前記適切に機能する駆動機構のシグネチャ波形、及び、被検駆動機構である、前記適切に機能する駆動機構と同一の駆動機構または前記適切に機能する駆動機構と異なる駆動機構のシグネチャ波形の比較が行われ、
前記比較の結果に基づき、前記被検駆動機構の状態が決定される、外科用ステープラ。
【請求項7】
前記1つ又は2つ以上の振動センサの前記出力信号を受信するように構成された少なくとも1つの周波数フィルタを更に備え、前記少なくとも1つの周波数フィルタは、前記受信された出力信号に基づいて、フィルタリングされた信号を生成するように構成されている、請求項に記載の外科用ステープラ。
【請求項8】
前記シグネチャ波形を記憶するメモリと、
前記少なくとも1つの周波数フィルタと通信するプロセッサと、
を更に備える、請求項に記載の外科用ステープラ。
【請求項9】
前記メモリがプログラム命令を含み、該プログラム命令は、前記プロセッサによって実行されると、前記プロセッサに、前記フィルタリングされた信号に基づいて、処理された信号である前記シグネチャ波形を生成させる、請求項に記載の外科用ステープラ。
【請求項10】
前記プログラム命令は、前記プロセッサによって実行されると、前記プロセッサに、前記高速フーリエ変換を用いて前記処理された信号を発生させる、請求項に記載の外科用ステープラ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、代理人整理番号END7794USNP/150508及び表題MECHANISMS FOR DETECTING DRIVETRAIN FAILURE IN POWERED SURGICAL INSTRUMENTSの下で参照される、同一所有者かつ同時出願の米国出願、代理人整理番号END7795USNP/150509及び表題MECHANISMS FOR DETECTING DRIVETRAIN FAILURE IN POWERED SURGICAL INSTRUMENTSの下で参照される米国出願、代理人整理番号END7796USNP/150510及び表題MECHANISMS FOR DETECTING DRIVETRAIN FAILURE IN POWERED SURGICAL INSTRUMENTSの下で参照される米国出願に関連し、各々が参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
表題MECHANISMS FOR COMPENSATING FOR BATTERY PACK FAILURE IN POWERED SURGICAL INSTRUMENTSの同一所有者の米国特許出願第14/984,488号、表題SURGICAL INSTRUMENTS WITH SEPARABLE MOTORS AND MOTOR CONTROL CIRCUITSの米国特許出願第14/984,552号、及び表題MECHANISMS FOR COMPENSATING FOR DRIVETRAIN FAILURE IN POWERED SURGICAL INSTRUMENTSの米国特許出願第14/984,525号もまた、参照によりそれら全体が本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0003】
本発明は、外科用器具に関し、また様々な構成配置において、組織をステープル留め及び切断するために設計される、外科用ステープル留め及び切断器具並びにそれらと共に使用するためのステープルカートリッジに関する。
【図面の簡単な説明】
【0004】
様々な態様の特徴は、添付の特許請求の範囲において具体的に記載される。しかしながら、様々な態様は、その機構及び動作方法のいずれに関しても、それらの利点と共に、以下の説明文を添付図面と併せて参照することで最もよく理解することができる。
図1】本開示による、外科用器具、アダプタ、及びエンドエフェクタを含む電気機械的外科用システムの斜視分解図である。
図2】本開示の少なくとも1つの態様による、図1の外科用器具の斜視図である。
図3】本開示の少なくとも1つの態様による、図1の外科用器具の斜視展開図である。
図4】本開示の少なくとも1つの態様による、図1の外科用器具の電池の斜視図である。
図5】本開示の少なくとも1つの態様による、図1の外科用器具の上面部分分解図である。
図6】本開示の少なくとも1つの態様による、アダプタが分離された図1の外科用器具の正面斜視図である。
図7】本開示の少なくとも1つの態様による、図2の7−7を通して切り取られた、図1の外科用器具の側面断面図である。
図8】本開示の少なくとも1つの態様による、図2の8−8を通して切り取られた、図1の外科用器具の上面断面図である。
図9】本開示の少なくとも1つの態様による、図1のエンドエフェクタの斜視展開図である。
図10A】本開示の少なくとも1つの態様による、ロック部材の上面図である。
図10B】本開示の少なくとも1つの態様による、図10Aのロック部材の斜視図である。
図11】本開示の少なくとも1つの態様による、図1の外科用器具の概略図である。
図12】本開示の少なくとも1つの態様による、部品が分離された電気機械的外科用システムの斜視図である。
図13】本開示の少なくとも態様による、図12の電気機械的外科用システムの、シャフトアセンブリ及び動力式外科用器具の後方斜視図であり、それらの間の接続を示す。
図14】本開示の少なくとも態様による、部品が分離された図13のシャフトアセンブリの斜視図である。
図15】本開示の少なくとも態様による、部品が分離された図13のシャフトアセンブリのトランスミッションハウジングの斜視図である。
図16】本開示の少なくとも態様による、図15のトランスミッションハウジング内に支持された第1のギヤトレインシステムの斜視図である。
図17】本開示の少なくとも態様による、図15のトランスミッションハウジング内に支持された第2のギヤトレインシステムの斜視図である。
図18】本開示の少なくとも態様による、図15のトランスミッションハウジング内に支持された第3の駆動シャフトの斜視図である。
図19】本開示の少なくとも1つの態様による、外科用器具の斜視図である。
図20】本開示の少なくとも1つの態様による、図19の外科用器具の様々な構成要素の回路図である。
図21】本開示の少なくとも1つの態様による、複数の論理ゲートに連結された複数のフィルタと通信するマイクロホンを含む回路図である。
図22】時間(秒)に対するマイクロホンの出力(ボルト)のグラフであり、このグラフは、本開示の少なくとも1つの態様による、外科用器具の動作中にマイクロホンによって記録された、図19の適切に機能する外科用器具の振動応答を表す。
図22A】本開示の少なくとも1つの態様による、図22のマイクロホン出力のフィルタリングされた信号である。
図23】時間(秒)に対するマイクロホンの出力(ボルト)のグラフであり、このグラフは、本開示の少なくとも1つの態様による、外科用器具の動作中にマイクロホンによって記録された、図19の機能不良の外科用器具の振動応答を表す。
図23A】本開示の少なくとも1つの態様による、図23のマイクロホン出力のフィルタリングされた信号である。
図24】本開示の少なくとも1つの態様による、マルチプレクサ及びアナログ/デジタル変換器を介してマイクロコントローラと通信する複数のフィルタに連結された図19の外科用器具のセンサを含む回路図である。
図24A】本開示の少なくとも1つの態様による、マルチプレクサ及びアナログ/デジタル変換器を介してマイクロコントローラと通信する複数のフィルタに連結された図19の外科用器具のセンサを含む回路図である。
図24B】本開示の少なくとも1つの態様による、図19の外科用器具の帯域通過フィルタの構造的及び動作的特性を示す。
図24C】本開示の少なくとも1つの態様による、図19の外科用器具の帯域通過フィルタの構造的及び動作的特性を示す。
図24D】本開示の少なくとも1つの態様による、図19の外科用器具の帯域通過フィルタの構造的及び動作的特性を示す。
図25】本開示の少なくとも1つの態様による、図19の外科用器具のセンサ出力のフィルタリングされた信号を表すグラフである。
図26】本開示の少なくとも1つの態様による、図19の外科用器具のセンサ出力の処理された信号を表すグラフである。
図27】本開示の少なくとも1つの態様による、開始位置からの外科用器具の駆動アセンブリの変位位置に関して、図19の外科用器具を発射するのに必要な力(force needed to fire、FTF)を表すグラフである。
図28】本開示の少なくとも1つの態様による、開始位置からの駆動アセンブリの変位位置に関して、発射ストローク中の図19の外科用器具の駆動アセンブリの速度を表すグラフである。
図29】本開示の少なくとも1つの態様による、図19の外科用器具の発射ストローク中の、ストローク位置のゾーンに基づく、許容される制限修正を表すグラフである。
図30】本開示の少なくとも1つの態様による、発射ストローク中の駆動アセンブリによって経験される負荷及び速度変化に起因する、処理された信号の周波数応答のシフトを示す、図19の外科用器具のセンサの出力の処理された信号を表すグラフである。
図31】動作のゾーン中の、図19の外科用器具のセンサによって捕捉された振動の処理された信号を表すグラフであり、このグラフは、本開示の少なくとも1つの態様による、動作のゾーンに対する許容される制限、限界制限、及び臨界制限を示す。
図32】本開示の少なくとも1つの態様による、図19の外科用器具の論理図である。
図33】本開示の少なくとも1つの態様による、図19の外科用器具のセンサによって捕捉された振動の処理された信号を表すグラフである。
図34】本開示の少なくとも1つの態様による、図19の外科用器具のセンサによって捕捉された振動の処理された信号を表すグラフである。
図35】本開示の少なくとも1つの態様による、図19の外科用器具のセンサによって捕捉された振動の処理された信号を表すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0005】
動力式外科用器具における駆動トレイン故障を補償するための機構の様々な形態について詳細に説明する前に、例示的な形態は、その応用又は用途において、添付図面及び説明において例示される部品の構造及び配列の詳細に限定されないことに留意すべきである。例示的な形態は、他の形態、変形、及び修正で実行されるか、又はそれらに組み込まれてもよく、様々な方法で実施又は実行してもよい。更に、特に明記しない限り、本明細書で用いる用語及び表現は、読者の便宜のために例示的な形態を説明する目的で選ばれており、それらを限定するためのものではない。
【0006】
更に、以下で記述する形態、形態の具現、実施例のうちの任意の1つ又は2つ以上を、以下で記述する他の形態、形態の具現、及び実施例のうちの任意の1つ又は2つ以上と組み合わせることができるものと理解されたい。
【0007】
様々な形態は、動力式外科用器具における駆動トレイン故障を補償するための機構を対象とする。一形態では、動力式外科用器具における駆動トレイン故障を補償するための機構は、切開外科的処置における使用のために構成され得るが、腹腔鏡、内視鏡、及びロボット支援処置などの他の種類の手術における用途を有する。
【0008】
図1図18は、一般に10として指定され、動力式手持ち型電気機械的外科用器具による作動及び操作のために各々が構成されている、複数の異なるエンドエフェクタの、外科用システムに選択的に取り付けるために構成された動力式手持ち型電気機械的器具の形態である、外科用システムの様々な態様を示す。図1図18の態様は、2012年10月23日に出願された表題SURGICAL INSTRUMENT WITH RAPID POST EVENT DETECTIONの米国特許出願公開第2014/0110453号、2013年6月19日に出願された表題APPARATUS FOR ENDOSCOPIC PROCEDURESの米国特許出願公開第2013/0282052号、及び2013年5月10日に出願された表題APPARATUS FOR ENDOSCOPIC PROCEDURESの米国特許出願公開第2013/0274722号に開示されている。
【0009】
図1図3を参照すると、外科用器具100は、アダプタ200との選択的接続のために構成され、順にアダプタ200は、エンドエフェクタ又は単回使用ローディングユニット又はリロード300との選択的接続のために構成される。図1図3に示すように、外科用器具100は、下側ハウジング部分104を有するハンドルハウジング102と、下側ハウジング部分104から延びる及び/又はその上に支持される中間ハウジング部分106と、中間ハウジング部分106から延びる及び/又はその上に支持される上側ハウジング部分108とを含む。中間ハウジング部分106及び上側ハウジング部分108は、下側部分104と一体に形成され、かつそれから延びている遠位半部110aと、複数の締結具によって遠位半部110aに接続可能な近位半部110bとに分離される。接合したときに、遠位半部110a及び近位半部110bは、内部に回路基板150及び駆動機構160が位置する空洞102aを有するハンドルハウジング102を画定する。
【0010】
図2及び図3に見られるように、遠位半部110a及び近位半部110bは、上側ハウジング部分108の長手方向軸「X」を横切る平面に沿って分割されている。ハンドルハウジング102は、遠位半部110a及び/又は近位半部110bの縁の周りに完全に延び、かつ遠位半部110aと近位半部110bとの間に置かれているガスケット112を含む。ガスケット112は、遠位半部110a及び近位半部110bの周囲を密封する。ガスケット112は、回路基板150及び駆動機構160が滅菌及び/又は洗浄処置から保護されるように、遠位半部110aと近位半部110bとの間に気密シールを確立するように機能する。
【0011】
このように、ハンドルハウジング102の空洞102aは、遠位半部110a及び近位半部110bの周囲に沿って封止されているが、それでいて、ハンドルハウジング102内で回路基板150及び駆動機構160のより容易で効率的なアセンブリを可能にするように構成されている。
【0012】
ハンドルハウジング102の中間ハウジング部分106は、回路基板150が位置するハウジングを提供する。回路基板150は、外科用器具100の様々な動作を制御するように構成されている。
【0013】
外科用器具100の下側ハウジング部分104は、その上面に形成された開口(図示せず)を画定し、中間ハウジング部分106の下又は中に位置している。下側ハウジング部分104の開口には、ワイヤ152が通って、下側ハウジング部分104に位置する電気的に相互接続された電気構成要素(図4に示す電池156、図3に示す回路基板154等)に至る経路が設けられ、電気構成要素(回路基板150、駆動機構160等)は、中間ハウジング部分106及び/又は上側ハウジング部分108に位置している。
【0014】
ハンドルハウジング102は、下側ハウジング部分104(図示せず)の開口内に配設されたガスケット103を含み、それによりワイヤ152が内部を通過することを可能にしながら下側ハウジング部分104の開口を閉塞又は封止する。ガスケット103は、回路基板150及び駆動機構160が滅菌及び/又は洗浄処置から保護されるように、下側ハウジング部分106と中間ハウジング部分108との間に気密シールを確立するように機能する。
【0015】
図に示すように、ハンドルハウジング102の下側ハウジング部分104は、再充電式電池156が取り外し可能に位置しているハウジングを提供する。電池156は、外科用器具100の電気構成要素のうちのいずれかに電力を供給するように構成される。下側ハウジング部分104は、電池156が挿入される空洞(図示せず)を画定する。下側ハウジング部分104は、下側ハウジング部分104の空洞を閉鎖し、かつ電池156を内部に保持するために枢動的に接続されたドア105を含む。
【0016】
図3及び図5を参照して、上側ハウジング部分108の遠位半部110aは、ノーズ又は接続部108aを定義する。ノーズコーン114は、上側ハウジング部分108のノーズ部分108a上に支持されている。ノーズコーン114は、透明材料から製造される。例えば、照明部材116などのフィードバックインジケータは、照明部材116がそれを通して可視であるように、ノーズコーン114内に配設されている。照明部材116は、発光ダイオードプリント回路基板(light emitting diode printed circuit board、LED PCB)であってもよい。照明部材116は、固有の離散的イベントと関連付けられた特定の色パターンで複数の色を照明するように構成されている。
【0017】
ハンドルハウジング102の上側ハウジング部分108は、駆動機構160が位置するハウジングを提供する。図5に示すように、駆動機構160は、外科用器具100の様々な動作を実施するために、シャフト及び/又はギヤ構成要素を駆動するように構成されている。特に、駆動機構160は、エンドエフェクタ300(図1及び図9を参照)のツールアセンブリ304を、エンドエフェクタ300の近位本体部分302に対して選択的に移動させるために、ハンドルハウジング102に対して長手方向軸「X」(図2を参照)を中心にエンドエフェクタ300を回転させるために、エンドエフェクタ300のカートリッジアセンブリ308に対してアンビルアセンブリ306を移動させるために、及び/又はエンドエフェクタ300のカートリッジアセンブリ308内でステープル留め及び切断カートリッジを発射するために、シャフト及び/又はギヤ構成要素を駆動するように構成されている。
【0018】
駆動機構160は、アダプタ200に対して直近位に位置するセレクタギヤボックスアセンブリ162を含む。セレクタギヤボックスアセンブリ162の近位には、セレクタギヤボックスアセンブリ162内でギヤ要素を選択的に移動させて、第2のモータ166を有する入力駆動構成要素165と係合させるように機能する、第1のモータ164を有する機能選択モジュール163がある。
【0019】
図1図4に示すように、かつ上述のように、上側ハウジング部分108の遠位半部分110aは、アダプタ200の対応する駆動連結アセンブリ210を受け入れるように構成された接続部分108aを画定する。
【0020】
図6図8に示すように、外科用器具100の接続部分108aは、アダプタ200が外科用器具100に嵌合されたときに、アダプタ200の駆動連結アセンブリ210を受容する円筒形凹部108bを有する。接続部分108aは、3つの回転可能な駆動コネクタ118、120、122を収容する。
【0021】
アダプタ200が外科用器具100に嵌合されると、外科用器具100の回転可能な駆動コネクタ118、120、122の各々は、図6に示すように、アダプタ200の対応する回転可能なコネクタスリーブ218、220、222と連結する。この点において、対応する第1の駆動コネクタ118と第1のコネクタスリーブ218との間の界面、対応する第2の駆動コネクタ120と第2のコネクタスリーブ220との間の界面、及び対応する第3の駆動コネクタ122と第3のコネクタスリーブ222との間の界面は、外科用器具100の駆動コネクタ118、120、122の各々の回転が、アダプタ200の対応するコネクタスリーブ218、220、222の対応する回転を引き起こすようにキー付けされている。
【0022】
外科用器具100の駆動コネクタ118、120、122と、アダプタ200のコネクタスリーブ218、220、222との嵌合は、回転力が、3つそれぞれのコネクタ界面の各々を介して独立して伝達されることを可能にする。外科用器具100の駆動コネクタ118、120、122は、駆動機構160によって独立して回転されるように構成されている。この点において、駆動機構160の機能選択モジュール163は、外科用器具100のどの駆動コネクタ(複数可)118、120、122が駆動機構160の入力駆動構成要素165によって駆動されるかを選択する。
【0023】
外科用器具100の駆動コネクタ118、120、122の各々は、アダプタ200のそれぞれのコネクタスリーブ218、220、222とのキー付き及び/又は実質的に回転可能でない界面を有するため、アダプタ200が外科用器具100に連結されると、回転力(複数可)は、外科用器具100の駆動機構160からアダプタ200に選択的に伝達される。
【0024】
外科用器具100の駆動コネクタ(複数可)118、120及び/又は122の選択的回転は、外科用器具100が、エンドエフェクタ300の異なる機能を選択的に作動させることを可能にする。外科用器具100の第1の駆動コネクタ118の選択的かつ独立した回転は、エンドエフェクタ300のツールアセンブリ304の選択的かつ独立した開閉、及びエンドエフェクタ300のツールアセンブリ304のステープル留め/切断構成要素の駆動に対応する。また、外科用器具100の第2の駆動コネクタ120の選択的かつ独立した回転は、長手方向軸「X」(図2を参照)を横切るエンドエフェクタ300のツールアセンブリ304の選択的かつ独立した関節接合に対応する。追加として、外科用器具100の第3の駆動コネクタ122の選択的かつ独立した回転は、外科用器具100のハンドルハウジング102に対する長手方向軸「X」(図2を参照)を中心としたエンドエフェクタ300の選択的かつ独立した回転に対応する。
【0025】
上述のように、かつ図5及び図8に示すように、駆動機構160は、セレクタギヤボックスアセンブリ162と、セレクタギヤボックスアセンブリ162内のギヤ要素を選択的に移動させて、第2のモータ166と係合させるように機能する、セレクタギヤボックスアセンブリ162の近位に位置する機能選択モジュール163とを含む。したがって、駆動機構160は、所与の時間に外科用器具100の駆動コネクタ118、120、122のうちの1つを選択的に駆動する。
【0026】
図1図3に示すように、ハンドルハウジング102は、中間ハウジング部分108の遠位表面又は側面上で制御アセンブリ107を支持する。制御アセンブリ107は、器具に連結する前に、器具100の残部とは別個にアセンブリ及び試験され得る、完全に機能的な機械的サブアセンブリである。
【0027】
制御アセンブリ107は、中間ハウジング部分108と協働して、一対の指作動制御ボタン124、126及び一対のロッカー装置128、130をハウジング107a内で支持する。制御ボタン124、126は、延長シャフト125、127にそれぞれ連結される。特に、制御アセンブリ107は、延長シャフト125を摺動可能に受容するための上側開口124a、及び延長シャフト127を摺動可能に受容するための下側開口126aを画定する。
【0028】
制御アセンブリ107及びその構成要素(例えば、制御ボタン124、126及びロッカー装置128、130)は、低摩擦、自己潤滑、潤滑性のプラスチック又は移動する構成要素を被覆する材料若しくはコーティングから形成され、作動力、主要構成要素の摩耗の低減、摩損の排除、滑らかな一貫作動、改善された構成要素及びアセンブリの信頼性、並びにより密着した適合及び一貫した感覚のための低減したクリアランスをもたらす。これは、ブッシング、ロッカージャーナル、プランジャブッシング、ばねポケット、保持リング及びスライダ構成要素におけるプラスチック材料の使用を含む。プラスチックで構成要素を成形することはまた、これらの性能属性の全てを有するネット形状又はメッシュ形状の構成要素を提供する。プラスチック構成要素は、オートクレーブ、蒸気滅菌及び洗浄などの電解条件下で腐食及び二金属の陽極反応を排除する。潤滑性プラスチック及び材料での圧入もまた、類似の金属構成要素と比較して、構成要素上に最小限の歪み又は機能的ペナルティを有するクリアランスを排除する。
【0029】
制御アセンブリ107の構成要素を形成するための好適な材料は、ポリアミン、ポリフェニレンスルフィド、ポリフタルアミド、ポリフェニルスルホン、ポリエーテルケトン、ポリテトラフルオロエチレン、及びこれらの組み合わせを含むが、これらに限定されない。これらの構成要素は、潤滑剤の有無にかかわらず使用されてもよく、また摩耗及び摩擦力の低減のための添加剤を含んでもよい。
【0030】
外科用器具100の構造及び動作に関する詳細な論考については、参照によりその内容全体が本明細書に組み込まれる、米国特許出願第13/331,047号、現在は米国特許第8,968,276号を参照することができる。
【0031】
外科用器具100は、エンドエフェクタ300によって捕捉された組織内に複数のステープルを展開又は排出するように構成された発射アセンブリを含む。発射アセンブリは、図9に示すように、駆動アセンブリ360を含む。駆動アセンブリ360は、動的クランプ部材365に固定された遠位端と、近位係合部368とを有する可撓性駆動ビーム364を含む。係合部368は、肩部370を画定する段付き部分を含む。係合部368の近位端は、直径方向に対向して内側に延びる指部372を含む。指部372は、中空駆動部材374に係合して、駆動部材374をビーム364の近位端にしっかりと固定する。エンドエフェクタ300がアダプタ200の遠位カップリング230に取り付けられると、駆動部材374は、アダプタ200の駆動管246(図1)の接続部材を受容する近位ポート穴376aを画定する。
【0032】
駆動アセンブリ360がツールアセンブリ304内に遠位に前進すると、クランプ部材365の上側ビーム365aは、アンビルプレート312とアンビルカバー310との間に画定されたチャネル内で移動し、下側ビーム365bは、キャリア316の外面上を移動して、ツールアセンブリ304を閉じ、そこからステープルを発射する。
【0033】
エンドエフェクタ300の近位本体部分302は、上側ハウジング部分301a及び下側ハウジング部分301bを取り囲むシース又は外管301を含む。ハウジング部分301a及び301bは、エンドエフェクタ300の近位端から延びるフック付き近位端366aを有する関節接合リンク366を取り囲む。関節接合リンク366のフック付き近位端366aは、エンドエフェクタ300がアダプタ200の遠位ハウジング232に固定されると、アダプタ200のカップリングフック(図示せず)に係合する。アダプタ200の駆動バー258が、上記のように前進又は後退すると、エンドエフェクタ300の関節接合リンク366は、エンドエフェクタ300内で前進又は後退して、近位本体部分302の遠位端に関して、ツールアセンブリ304を旋回させる。
【0034】
上記図9に示すように、ツールアセンブリ304のカートリッジアセンブリ308は、キャリア316内で支持可能なステープルカートリッジ305を含む。カートリッジは、エンドエフェクタ300に永久的に設置され得るか、又は取り外し可能及び交換可能であるように配置され得る。ステープルカートリッジ305は、中央長手方向スロット305a、及び長手方向スロット305aの各側に位置決めされたステープル保持スロット305bの3つの線形列を画定する。ステープル保持スロット305bの各々は、単一のステープル307及びステープルプッシャ309の部分を受容する。器具100の動作中、駆動アセンブリ360は、作動スレッドに当接し、カートリッジ305を介して作動スレッドを押す。作動スレッドがカートリッジ305を通って移動すると、作動スレッドのカムウェッジが、ステープルプッシャ309に順次係合して、ステープルプッシャ309をステープル保持スロット305b内で垂直方向に移動させて、アンビルプレート312に対する形成のために、ステープル307をそこから順次排出する。
【0035】
中空駆動部材374は、以前に発射されたエンドエフェクタ300の発射を防止するロックアウト機構373を含む。ロックアウト機構373は、ロック部材371が駆動部材374に対してピン377を中心に旋回するように、ピン377を介して遠位ポート穴376b内に枢動可能に連結されたロック部材371を含む。
【0036】
図10A及び図10Bを参照して、ロック部材371は、細長いグライド381と383との間に形成されたチャネル379を画定する。ウェブ385は、グライド381及び383の上面の部分を接合する。ウェブ385は、駆動部材374のポート穴376b内に適合するように構成及び寸法決めされる。水平レッジ389及び391は、グライド381及び383それぞれから延びる。図9に最良に示すように、ばね393は、駆動部材374内に配設され、水平レッジ389及び/又は水平レッジ391に係合して、ロック部材371を下向きに付勢する。
【0037】
動作時に、ロック部材371は、最初に、ハウジング部分301a及び301bの近位端においてその発射前位置に配設され、水平レッジ389及び391は、ハウジング部分301bの側壁に形成された突出部303a、303bの上に置かれる。この位置において、ロック部材371は持ち上げられ、突出部303a、303bの遠位にあるハウジング部分301bの底面に形成された突出部303cとの係合から外れ、ウェブ385は、駆動ビーム364において画定された肩部370と長手方向に並ぶ。この構成は、ロック部材371を起動させて使い捨てエンドエフェクタ300を不能にすることなく、外科医が位置に満足するまで、アンビル306が開き、ステープルされる組織の上に再配置されることを可能にする。
【0038】
駆動管246による駆動ビーム364の遠位移動時に、ロック部材371は、突出部303a、303bから脱出し、突出部303cの遠位にあるばね393によってハウジング部分301bと係合するように付勢される。ロック部材371は、装置の発射全体を通してこの構成を維持する。
【0039】
駆動ビーム364の後退時に、少なくとも部分的な発射の後、ロック部材371は、突出部303a、303bの下方を進み、ロック部材371の最遠位部分が突出部303cの近位になるまで、ハウジング部分301bの突出部303cに乗り上げる。ばね393は、ロック部材371を付勢して突出部303cと並列に整列させ、使い捨てエンドエフェクタを効果的に不能にする。既存のエンドエフェクタ300が装着された装置を再作動させようとするとき、ロック部材371は、ハウジング部分301bの突出部303cに当接し、駆動ビーム364の遠位移動を阻害する。
【0040】
器具100の別の態様を図11に示す。器具100は、モータ164を含む。モータ164は、1つ又は2つ以上の駆動装置(例えば、図6の回転可能な駆動コネクタ118、120、122)を作動させるように構成された任意の電気モータであってよい。モータ164は、DC電池(例えば、再充電式リードベース、ニッケルベース、リチウムイオンベースの電池等)、AC/DC変圧器、又はモータ164に電気エネルギーを供給するために好適な任意の他の電源であり得る、電池156に連結される。
【0041】
電池156及びモータ164は、電池156からモータ164への電気エネルギーの流れを含む、モータ164の動作を制御する回路基板154上に配設されたモータドライバ回路404に連結される。ドライバ回路404は、モータ164及び電池156の動作状態を測定するように構成された複数のセンサ408a、408b、...408nを含む。センサ408a〜nは、電圧センサ、電流センサ、温度センサ、圧力センサ、テレメトリセンサ、光センサ、及びこれらの組み合わせを含むことができる。センサ408a〜408nは、電池156によって供給される電気エネルギーの電圧、電流、及び他の電気的特性を測定することができる。センサ408a〜408nはまた、モータ164の毎分回転数(revolutions per minute、RPM)としての回転速度、トルク、温度、引き込み電流、及び他の動作特性を測定することができる。RPMは、モータ164の回転を測定することによって決定することができる。様々な駆動シャフト(例えば、図6の回転可能な駆動コネクタ118、120、122)の位置は、シャフト内若しくはその近位に配設されるか、又はRPM測定から外挿される様々な線形センサを使用することによって決定されてもよい。態様では、トルクは、一定のRPMでのモータ164の規定引き込み電流に基づいて計算することができる。更なる態様では、ドライバ回路404及び/又はコントローラ406は、時間を測定し、上記の値を、積分及び/又は微分を含むその関数として処理して、例えば測定値の変化率等を決定することができる。
【0042】
ドライバ回路404はまた、命令のセットに従って演算を実施し、かつ/又は動作するように適合された任意の好適な論理制御回路であり得る、コントローラ406に連結される。コントローラ406は、一時的メモリ(例えば、RAM)及び/又は非一時的メモリ(例えば、フラッシュメディア、ディスクメディア等)を含み得る、メモリに動作可能に接続された中央処理装置を含み得る。コントローラ406は、ドライバ回路404とインターフェースするための複数の入力及び出力を含む。特に、コントローラ406は、モータ164及び電池156の動作状態に関する、ドライバ回路404からの測定センサ信号を受信し、順に制御信号をドライバ回路404に出力して、センサ読み取り値及び特定のアルゴリズム命令に基づいてモータ164の動作を制御する。コントローラ406はまた、ユーザインターフェース(例えば、コントローラ406に連結された制御アセンブリ107のスイッチ、ボタン、タッチスクリーン等)から複数のユーザ入力を受け入れるように構成されている。取り外し可能なメモリカード又はチップが提供され得るか、又はデータを無線でダウンロードすることができる。
【0043】
図12図18を参照すると、外科用器具10’が示される。外科用システム10’は、外科用システム10に多くの点で類似している。例えば、外科用システム10’は、外科用器具100を含む。器具ハウジング102の上側ハウジング部分108は、シャフトアセンブリ200に多くの点で類似しているシャフトアセンブリ500のトランスミッションハウジング512の対応するシャフトカップリングアセンブリ514を受け入れるように構成されたノーズ又は接続部分108aを画定する。
【0044】
シャフトアセンブリ500は、外科用器具の少なくとも1つの駆動部材を、エンドエフェクタの少なくとも1つの回転受容部材に相互接続するための力伝達アセンブリを有する。力伝達アセンブリは、少なくとも1つの回転可能な駆動部材に接続可能な第1の端部と、エンドエフェクタの少なくとも1つの回転受容部材に接続可能な第2の端部とを有する。シャフトアセンブリ500が外科用器具100に嵌合されると、外科用器具100の回転可能な駆動部材又はコネクタ118、120、122の各々は、シャフトアセンブリ500の対応する回転可能なコネクタスリーブ518、520、522と連結する(図13及び図15を参照)。この点において、対応する第1の駆動部材又はコネクタ118と第1のコネクタスリーブ518との間の界面、対応する第2の駆動部材又はコネクタ120と第2のコネクタスリーブ520との間の界面、及び対応する第3の駆動部材又はコネクタ122と第3のコネクタスリーブ522との間の界面は、外科用器具100の駆動部材又はコネクタ118、120、122の各々の回転が、シャフトアセンブリ500の対応するコネクタスリーブ518、520、522の対応する回転を引き起こすようにキー付けされている。
【0045】
外科用器具100の駆動部材(複数可)又はコネクタ(複数可)118、120及び/又は122の選択的回転は、外科用器具100が、エンドエフェクタ400の異なる機能を選択的に作動させることを可能にする。
【0046】
図12及び図14を参照すると、シャフトアセンブリ500は、近位端510a及び遠位端510bを有する細長い、実質的に剛性のある外側管状本体510と、管状本体510の近位端210aに接続され、かつ外科用器具100に選択的に接続するように構成されているトランスミッションハウジング212とを含む。加えて、シャフトアセンブリ500は、細長い本体部分510の遠位端510bに接続された関節接合するネックアセンブリ530を更に含む。
【0047】
トランスミッションハウジング512は、回転速度/力をエンドエフェクタ501に伝達する前に、外科用器具100の第1、第2、及び/又は第3の回転可能な駆動部材又はコネクタ118、120、及び/又は122の回転の速度/力を変える(例えば、増加又は減少させる)ために、一対のギヤトレインシステムを内部に収容するように構成されている。図15に見られるように、トランスミッションハウジング512及びシャフトカップリングアセンブリ514は、第1の近位又は入力駆動シャフト524a、第2の近位又は入力駆動シャフト526a、及び第3の駆動シャフト528を回転可能に支持する。
【0048】
シャフト駆動カップリングアセンブリ514は、それぞれ第1、第2及び第3のコネクタスリーブ518、520、522の遠位に配設された第1、第2及び第3の付勢部材518a、520a及び522aを含む。付勢部材518a、520a及び522aの各々は、それぞれ第1の近位駆動シャフト524a、第2の近位駆動シャフト526a、及び第3の駆動シャフト228を中心に配設されている。シャフトアセンブリ500が外科用器具100に接続されたとき、付勢部材518a、520a及び522aは、それぞれのコネクタスリーブ518、520及び522に作用して、コネクタスリーブ218、220及び222が外科用器具100のそれぞれの駆動回転可能な駆動部材又はコネクタ118、120、122の遠位端に係合された状態を維持するのを助ける。
【0049】
シャフトアセンブリ500は、トランスミッションハウジング512及び管状本体510内に配設され、かつカップリングアセンブリ514に隣接した第1及び第2のギヤトレインシステム540、550それぞれを含む。上述のように、各ギヤトレインシステム540、550は、回転速度/力をエンドエフェクタ501に伝達する前に、外科用器具100の第1及び第2の回転可能な駆動コネクタ118及び120の回転の速度/力を変える(例えば、増加又は減少させる)ように構成及び適合される。
【0050】
図15及び図16に示すように、第1のギヤトレインシステム540は、第1の入力駆動シャフト524aと、第1の入力駆動シャフト524aにキー付けされた第1の入力駆動シャフトスパーギヤ542aとを含む。第1のギヤトレインシステム540はまた、トランスミッションハウジング512内に回転可能に支持された第1の伝達シャフト544と、第1の伝達シャフト544にキー付けされ、かつ第1の入力駆動シャフトスパーギヤ542aに係合された第1の入力伝達スパーギヤ544aと、第1の伝達シャフト544にキー付けされた第1の出力伝達スパーギヤ544bとを含む。第1のギヤトレインシステム540は、トランスミッションハウジング512及び管状本体510内に回転可能に支持された第1の出力駆動シャフト546aと、第1の出力駆動シャフト546aにキー付けされ、かつ第1の出力伝達スパーギヤ544bに係合された第1の出力駆動シャフトスパーギヤ546bとを更に含む。
【0051】
少なくとも1つの例では、第1の入力駆動シャフトスパーギヤ542aは、10個の歯を含み、第1の入力伝達スパーギヤ544aは、18個の歯を含み、第1の出力伝達スパーギヤ544bは、13個の歯を含み、第1の出力駆動シャフトスパーギヤ546bは、15個の歯を含む。このように構成されると、第1の入力駆動シャフト524aの入力回転は、1:2.08の比で第1の出力駆動シャフト546aの出力回転に変換される。
【0052】
作動時に、第1の入力駆動シャフトスパーギヤ542aは、外科用器具100の第1のそれぞれの駆動コネクタ118の回転の結果として、第1のコネクタスリーブ558及び第1の入力駆動シャフト524aの回転に起因して回転すると、第1の入力駆動シャフトスパーギヤ542aは、第1の入力伝達スパーギヤ544aに係合して、第1の入力伝達スパーギヤ544aを回転させる。第1の入力伝達スパーギヤ544aが回転すると、第1の伝達シャフト544は回転し、したがって第1の伝達シャフト544にキー付けされた第1の出力駆動シャフトスパーギヤ546bを回転させる。第1の出力駆動シャフトスパーギヤ546bが回転すると、第1の出力駆動シャフトスパーギヤ546bがそれと係合するため、第1の出力駆動シャフトスパーギヤ546bも回転する。第1の出力駆動シャフトスパーギヤ546bが回転すると、第1の出力駆動シャフトスパーギヤ546bが、第1の出力駆動シャフト546aにキー付けされるため、第1の出力駆動シャフト546aが回転する。
【0053】
第1のギヤシステム540を含むシャフトアセンブリ500は、エンドエフェクタ501を動作、作動及び/又は発射させるために、外科用器具100からエンドエフェクタ501に作動力を伝達するように機能する。
【0054】
図15及び図17に示すように、第2のギヤトレインシステム550は、第2の入力駆動シャフト526aと、第2の入力駆動シャフト526aにキー付けされた第2の入力駆動シャフトスパーギヤ552aとを含む。第2のギヤトレインシステム550はまた、トランスミッションハウジング512内に回転可能に支持された第1の伝達シャフト554と、第1の伝達シャフト554にキー付けされ、かつ第2の入力駆動シャフトスパーギヤ552aに係合された第1の入力伝達スパーギヤ554aと、第1の伝達シャフト554にキー付けされた第1の出力伝達スパーギヤ554bとを含む。
【0055】
第2のギヤトレインシステム550は、トランスミッションハウジング512内に回転可能に支持された第2の伝達シャフト556と、第2の伝達シャフト556にキー付けされ、かつ第1の伝達シャフト554にキー付けされた第1の出力伝達スパーギヤ554bに係合された第2の入力伝達スパーギヤ556aと、第2の伝達シャフト556にキー付けされた第2の出力伝達スパーギヤ556bとを更に含む。
【0056】
第2のギヤトレインシステム550は、追加として、トランスミッションハウジング512及び管状本体510内に回転可能に支持された第2の出力駆動シャフト558aと、第2の出力駆動シャフト558aにキー付けされ、かつ第2の出力伝達スパーギヤ556bに係合された第2の出力駆動シャフトスパーギヤ558bとを含む。
【0057】
少なくとも1つの例では、第2の入力駆動シャフトスパーギヤ552aは、10個の歯を含み、第1の入力伝達スパーギヤ554aは、20個の歯を含み、第1の出力伝達スパーギヤ554bは、10個の歯を含み、第2の入力伝達スパーギヤ556aは、20個の歯を含み、第2の出力伝達スパーギヤ556bは、10個の歯を含み、第2の出力駆動シャフトスパーギヤ558bは、15個の歯を含む。このように構成されると、第2の入力駆動シャフト526aの入力回転は、1:6の比で第2の出力駆動シャフト558aの出力回転に変換される。
【0058】
作動時に、第2の入力駆動シャフトスパーギヤ552aは、外科用器具100の第2のそれぞれの駆動コネクタ120の回転の結果として、第2のコネクタスリーブ560及び第2の入力駆動シャフト526aの回転に起因して回転すると、第2の入力駆動シャフトスパーギヤ552aは、第1の入力伝達スパーギヤ554aに係合して、第1の入力伝達スパーギヤ554aを回転させる。第1の入力伝達スパーギヤ554aが回転すると、第1の伝達シャフト554は回転し、したがって第1の伝達シャフト554にキー付けされた第1の出力伝達スパーギヤ554bを回転させる。第1の出力伝達スパーギヤ554bが回転すると、第2の入力伝達スパーギヤ556aがそれと係合するため、第2の入力伝達スパーギヤ556aも回転する。第2の入力伝達スパーギヤ556aが回転すると、第2の伝達シャフト256は回転し、したがって第2の伝達シャフト556にキー付けされた第2の出力伝達スパーギヤ256bを回転させる。第2の出力伝達スパーギヤ556bが回転すると、第2の出力駆動シャフトスパーギヤ558bがそれと係合するため、第2の出力駆動シャフトスパーギヤ558bが回転する。第2の出力駆動シャフトスパーギヤ558bが回転すると、第2の出力駆動シャフトスパーギヤ558bが、第2の出力駆動シャフト558aにキー付けされるため、第2の出力駆動シャフト558aが回転する。
【0059】
第2のギヤトレインシステム550を含むシャフトアセンブリ500は、シャフトアセンブリ500及び/又はエンドエフェクタ501を外科用器具100に対して回転させるために、外科用器具100からエンドエフェクタ501に作動力を伝達するように機能する。
【0060】
図15及び図18に示すように、トランスミッションハウジング512及びシャフトカップリングアセンブリ514は、第3の駆動シャフト528を回転可能に支持する。第3の駆動シャフト528は、第3のコネクタスリーブ522を支持するように構成された近位端528aと、関節接合アセンブリ570へと延び、かつそれに動作可能に接続された遠位端528bとを含む。
【0061】
図14に示すように、シャフトアセンブリ500の細長い外側管状本体510は、第1の半部511aと、第2の半部511bとを含み、半部511a、511bが互いに嵌合したときに、外側管状本体510を通して少なくとも3つの長手方向に延びるチャネルを画定する。これらのチャネルは、第1の出力駆動シャフト546a、第2の出力駆動シャフト558a、及び第3の駆動シャフト528が、トランスミッションハウジング512から関節接合するネックアセンブリ530へと延びるとき、第1の出力駆動シャフト546a、第2の出力駆動シャフト558a、及び第3の駆動シャフト528を回転可能に受容し、支持するように構成及び寸法決めされる。第1の出力駆動シャフト546a、第2の出力駆動シャフト558a、及び第3の駆動シャフト528の各々は、細長く、トランスミッションハウジング520から関節接合するネックアセンブリ530へと回転力を伝達するために十分に剛性である。
【0062】
図14を参照すると、シャフトアセンブリ500は、関節接合するネックアセンブリ530を更に含む。関節接合するネックアセンブリ530は、近位ネックハウジング532と、近位ネックハウジング532に接続され、かつそれから直列に延びる複数のリンク534と、複数のリンク534の最遠位リンクに接続され、かつそれから延びる遠位ネックハウジング536とを含む。本明細書に開示される態様のうちのいずれかでは、シャフトアセンブリは、エンドエフェクタの関節接合を可能にするための単一リンク又はピボット部材を有してもよいことが企図される。本明細書に開示される態様のうちのいずれかでは、遠位ネックハウジングが最遠位リンクに組み込まれ得ることが企図される。
【0063】
以下の開示内容全体が参照により本明細書に組み込まれる。すなわち、
2012年10月23日に出願された表題SURGICAL INSTRUMENT WITH RAPID POST EVENT DETECTIONの米国特許出願公開第2014/0110453号、
2013年6月19日に出願された表題APPARATUS FOR ENDOSCOPIC PROCEDURESの米国特許出願公開第2013/0282052号、及び
2013年5月10日に出願された表題APPARATUS FOR ENDOSCOPIC PROCEDURESの米国特許出願公開第2013/0274722号。
【0064】
図19図20を参照すると、外科用器具10が示される。外科用器具10は、外科用器具100に多くの点で類似している。例えば、外科用器具10は、アダプタ200を介して、エンドエフェクタ又は単回使用ローディングユニット又はリロード300との選択的接続のために構成されている。また、外科用器具10は、下側ハウジング部分104、中間ハウジング部分106、及び上側ハウジング部分108を含む、ハンドルハウジング102を含む。
【0065】
外科用器具100と同様に、外科用器具10は、外科用器具10の様々な動作を実施するために、シャフト及び/又はギヤ構成要素を駆動するように構成された駆動機構160を含む。少なくとも1つの例では、駆動機構160は、ハンドルハウジング102に対して長手方向軸「X」(図2を参照)を中心にエンドエフェクタ300を回転させるように構成された回転駆動トレイン12(図20を参照)を含む。駆動機構160は、エンドエフェクタ300のカートリッジアセンブリ308に対してアンビルアセンブリ306を移動させて間に組織を捕捉するように構成された閉鎖駆動トレイン14(図20を参照)を更に含む。加えて、駆動機構160は、エンドエフェクタ300のカートリッジアセンブリ308内でステープル留め及び切断カートリッジを発射するように構成された発射駆動トレイン16(図20を参照)を含む。
【0066】
上記のように、図7図8、及び図20を主に参照して、駆動機構160は、アダプタ200に対して直近位に位置することができるセレクタギヤボックスアセンブリ162を含む。セレクタギヤボックスアセンブリ162の近位には、セレクタギヤボックスアセンブリ162内でギヤ要素を選択的に移動させて、第2のモータ166の入力駆動構成要素165と係合するように、駆動トレイン12、14、及び16のうちの1つを選択的に位置決めするように機能する第1のモータ164を含む、機能選択モジュール163がある。
【0067】
図20を参照して、モータ164及び166は、電源156からモータ164及び166への電気エネルギーの流れを含む、モータ164及び66の動作を制御するように構成されたモータ制御回路18及び18’にそれぞれ連結されている。電源156は、DC電池(例えば、再充電式リードベース、ニッケルベース、リチウムイオンベースの電池等)、AC/DC変圧器、又は外科用器具10に電気エネルギーを供給するために好適な任意の他の電源であり得る。
【0068】
外科用器具10は、マイクロコントローラ20(「コントローラ」)を更に含む。特定の例では、コントローラ20は、マイクロプロセッサ36(「プロセッサ」)と、1つ又は2つ以上のコンピュータ可読媒体又はメモリユニット38(「メモリ」)とを含んでもよい。特定の例では、メモリ38は、様々なプログラム命令を記憶することができ、当該プログラム命令は、実行されると、プロセッサ36に、本明細書に記載される複数の機能及び/又は計算を実施させることができる。電源156は、例えば、コントローラ20に電力を供給するように構成することができる。
【0069】
プロセッサ36は、モータ制御回路18と通信し得る。加えて、メモリ38は、プログラム命令を記憶することができ、当該プログラム命令は、ユーザ入力34に応答してプロセッサ36によって実行されると、モータ制御回路18に、モータ164を動機づけさせて少なくとも1つの回転運動を発生させ、セレクタギヤボックスアセンブリ162内でギヤ要素を選択的に移動させて、駆動トレイン12、14、及び16のうちの1つを第2のモータ166の入力駆動構成要素165と係合するように選択的に位置決めすることができる。更に、プロセッサ36は、モータ制御回路18’と通信し得る。メモリ38はまた、プログラム命令を記憶することができ、当該プログラム命令は、ユーザ入力34に応答してプロセッサ36によって実行されると、モータ制御回路18’に、モータ166を動機づけさせて少なくとも1つの回転運動を発生させ、例えば、第2のモータ166の入力駆動構成要素165と係合された駆動トレインを駆動することができる。
【0070】
コントローラ20及び/又は本開示の他のコントローラは、集積型及び/若しくは離散的なハードウェア要素、ソフトウェア要素並びに/又は両方の組み合わせを使用して実装されてもよい。集積型ハードウェア要素の例としては、プロセッサ、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、集積回路、ASIC、PLD、DSP、FPGA、論理ゲート、レジスタ、半導体素子、チップ、マイクロチップ、チップセット、マイクロコントローラ、SoC、及び/又はSIPが挙げられ得る。離散的なハードウェア要素の例としては、論理ゲート、電界効果トランジスタ、バイポーラトランジスタ、抵抗器、コンデンサ、インダクタ、及び/若しくはリレーなど、回路並びに/又は回路素子が挙げられ得る。特定の例では、コントローラ20は、例えば、1つ又は2つ以上の基板上に離散的及び集積型の回路素子又は構成要素を含むハイブリッド回路を含んでもよい。
【0071】
特定の例では、コントローラ20及び/又は本開示の他のコントローラは、例えば、Texas Instrumentsから入手可能なLM 4F230H5QRであってもよい。特定の例では、Texas InstrumentsのLM4F230H5QRは、容易に利用可能な他の特性の中でも特に、最大40MHz、256KBの単一サイクルフラッシュメモリ若しくは他の不揮発性メモリのオンチップメモリと、40MHz超の性能を改善するプリフェッチバッファと、32KBの単一サイクルSRAMと、StellarisWare(登録商標)ソフトウェアを搭載した内部ROMと、2KBのEEPROMと、1つ又は2つ以上のPWMモジュールと、1つ又は2つ以上のQEIアナログと、12のアナログ入力チャネルを備えた1つ又は2つ以上の12ビットADCとを備える、ARM Cortex−M4Fプロセッサコアである。他のマイクロコントローラが、本開示と共に使用するために容易に代用され得る。したがって、本開示は、この文脈に限定されるべきではない。
【0072】
様々な例では、本明細書に記載される様々な工程のうちの1つ又は2つ以上は、組み合わせ論理回路又は順序論理回路のいずれかを含む有限状態マシンによって実施可能であり、組み合わせ論理回路又は順次論理回路のいずれかが、少なくとも1つのメモリ回路に連結される。少なくとも1つのメモリ回路は、有限状態マシンの現前状態を記憶する。組み合わせ論理回路又は順序論理回路は、有限状態マシンをこれらの工程に供するように構成される。順序論理回路は、同期又は非同期であってもよい。他の例では、本明細書に記載される様々な工程のうちの1つ又は2つ以上は、例えば、プロセッサ36と有限状態マシンとの組み合わせを含む回路によって実施され得る。
【0073】
様々な例では、適切な機能を確保するために外科用器具の機能性の状態を評価することが可能であることが有利であり得る。例えば、上で説明されるように、外科用器具10の様々な動作を実施するために様々なモータ、駆動トレイン及び/又はギヤ構成要素を含むように構成された駆動機構が、経時的に摩耗することは可能である。これは、通常の使用を通じて起こり得るが、場合によっては、駆動機構は、悪用条件に起因してより早く摩耗し得る。特定の例では、外科用器具10は、駆動機構及びその様々な構成要素の状態、例えば、劣化を決定するために自己評価を実施するように構成することができる。
【0074】
例えば、自己診断は、外科用器具10が再滅菌前にその機能を実施することが可能であるとき、又は構成要素のうちのいくつかを交換及び/又は修復すべきときを決定するのに使用され得る。回転駆動トレイン12、閉鎖駆動トレイン14、及び/又は発射駆動トレイン16を含むが、これらに限定されない駆動機構及びその構成要素の評価は、様々な方法で達成することができる。予測された性能からのずれの大きさは、感知された故障の可能性及びそのような故障の重度を決定するのに使用され得る。繰り返し可能に予測可能なイベントの周期的解析、予想される閾値を超えるピーク又はドロップ、及び故障の幅を含む、いくつかのメトリックが使用され得る。
【0075】
様々な例では、適切に機能する駆動機構又はその構成要素のうちの1つ又は2つ以上のシグネチャ波形は、駆動機構又はその構成要素のうちの1つ又は2つ以上の状態を評価するのに用いられ得る。1つ又は2つ以上の振動センサは、適切に機能する駆動機構又はその構成要素のうちの1つ又は2つ以上に対して配置して、適切に機能する駆動機構又はその構成要素のうちの1つ又は2つ以上の動作中に起こる様々な振動を記録することができる。記録された振動は、シグネチャ波形を生成するのに用いられ得る。未来の波形をシグネチャ波形と比較して、駆動機構及びその構成要素の状態を評価することができる。
【0076】
少なくとも1つの態様では、音響の原理は、駆動機構及びその構成要素の状態を評価するのに用いられる。本明細書で使用されるとき、音響という用語は、一般に、振動、音、超音波(ヒト聴力の可聴上限より高い周波数を有する音波)及び超低周波音(20Hz[ヘルツ]又はサイクル毎秒より低い、したがってヒト聴力の「通常」制限より低い周波数、低周波数の音)を含む、気体、液体、及び固体中の全ての機械的波を指す。したがって、駆動機構及びその構成要素からの音響放出は、振動、音、超音波、及び超低周波音センサを含む音響センサで検出され得る。一態様では、駆動機構160の振動周波数シグネチャを分析して、駆動トレイン12、14及び/又は16のうちの1つ又は2つ以上の状態を決定することができる。1つ又は2つ以上の振動センサは、使用時に駆動トレインの音響出力を記録するために、駆動トレイン12、14及び/又は16のうちの1つ又は2つ以上に連結され得る。
【0077】
図20を再度参照して、外科用器具10は、駆動トレイン12、14及び/又は16のうちの1つ又は2つ以上の、1つ又は2つ以上の音響出力を記録及び分析するように構成された駆動トレイン故障検出モジュール40を含む。プロセッサ36は、モジュール40と通信し得るか、又は他の方法で制御することができる。下でより詳細に記載されるように、モジュール40は、処理装置(例えば、プロセッサ36)又はそれらのいくつかの組み合わせによって実行可能なコンピュータ読み取り可能なプログラム命令を記憶するコンピュータ読み取り可能な媒体(例えば、メモリ38)を含む、回路、ハードウェア、コンピュータプログラム製品などの様々な手段として具現化され得る。いくつかの態様では、プロセッサ36は、モジュール40を含み得るか、又は他の方法で制御することができる。
【0078】
モジュール40は、外科用器具10の駆動トレイン故障を検出するために、モジュール40によって用いられ得る1つ又は2つ以上のセンサ42を含み得る。少なくとも1つの例では、図21に示すように、センサ42は、例えば1つ又は2つ以上の音響センサ又はマイクロホンを備えることができる。少なくとも1つの例では、図24に示すように、センサ42は、1つ又は2つ以上の加速度計を備えることができる。
【0079】
様々な種類のフィルタ及び変圧器をセンサ42の出力に使用して、例えば、外科用器具10の駆動トレインの動作状態を表す波形を生成することができる。図21に示すように、複数の帯域通過フィルタは、その出力を処理するためにセンサ42と通信するように構成することができる。図21に示す実施例では、センサ42の出力をフィルタリングするために使用される、4つの帯域通過フィルタ、BPF1、BPF2、BPF3、及びBPF4がある。これらのフィルタは、例えば、許容される制限、限界制限、及び臨界制限を含む、外科用器具10の劣化を評価するために使用される様々な閾値を決定するのに使用される。一実施例では、図24に示す一連の低域通過フィルタをセンサ42の出力に使用することができる。
【0080】
一態様では、図21に示すように、論理ゲートをフィルタと共に用いて、センサ42の出力を処理することができる。代替として、例えばプロセッサ36などのプロセッサをフィルタと共に用いて、図24及び図24Aに示すセンサ42の出力を処理することができる。図24B図24C、及び図24Dは、センサ42の出力をフィルタリングするために使用される帯域通過フィルタの例示的な構造及び動作詳細を示す。少なくとも1つの例では、センサ42の出力をフィルタリングする際に用いられるフィルタのうちの1つ又は2つ以上は、デュアル低雑音JFET入力汎用演算増幅器である。
【0081】
様々な周波数を使用することができるが、図21に示すフィルタの例示的な周波数は、5kHz、1kHz、200Hz、及び50Hzである。各フィルタの出力は、各フィルタの周波数における電圧振幅を示している図25に示す。各フィルタの出力のピーク振幅を図26に示す。これらの値は、例えば、メモリ38に記憶された閾値との比較によって、外科用器具10の劣化を決定するのに用いられ得る。図24に示すように、マルチプレクサ44及びアナログ/デジタル変換器46は、フィルタの出力をプロセッサ36に通信するのに用いられ得る。
【0082】
少なくとも1つの例では、繰り返し可能な動きを有する既知の機能中にモータが走行しているときに、センサ42の出力を記録することができる。例えば、モータ166が走行しているときに出力を記録して、例えば発射駆動トレイン16などの駆動トレインを元の位置又は開始位置に後退させる又はリセットすることができる。センサ42の記録された出力は、その動きのシグネチャ波形を発生させるのに使用され得る。一実施例では、センサ42の記録された出力は、高速フーリエ変換を通してシグネチャ波形を発生させる。
【0083】
上記に加えて、結果として生じるシグネチャ波形の主要領域の振幅を、例えばメモリ38に記憶された所定の値と比較することができる。少なくとも1つの例では、メモリ38は、プログラム命令を含むことができ、当該プログラム命令は、プロセッサ36によって実行されると、プロセッサ36に、主要領域の振幅をメモリ38に記憶された所定の値と比較させることができる。振幅がそのような記憶された値を超える場合、プロセッサ36は、外科用器具10の1つ又は2つ以上の構成要素が適切に機能しなくなったこと、及び/又は外科用器具10がその使用可能な寿命の終了に達したことを決定する。
【0084】
図22は、適切に機能する駆動トレインからの振動応答を示している。駆動トレインに又はその近位に位置決めされたマイクロホンからのボルトの出力を、経時的に記録する。この出力の周波数応答は、図22Aに示すように、高速フーリエ変換を使用して決定され、適切に機能している駆動トレインのシグネチャ波形を発生させる。適切に機能している駆動トレインのシグネチャ波形は、同じ駆動トレイン又は他の類似の駆動トレインにおけるあらゆる機能不良を検出するのに用いられ得ることができる。例えば、図23は、適切に機能していない駆動トレインからの振動応答を示している。マイクロホン出力は、図23Aに示すように、機能不良の駆動トレインの周波数応答を決定するのに使用される。適切に機能している駆動トレインのシグネチャ波形からの、機能不良の駆動トレインの周波数応答のずれは、駆動トレインにおける機能不良を示す。
【0085】
少なくとも1つの例では、図22Aに示すように、適切に機能する駆動トレインの周波数応答の主要領域の記憶された値を、図23Aに示すように、被験駆動トレインの周波数応答の対応領域の記録された値と比較する。記憶された値を記録された値が超える場合には、被験駆動トレインにおいて機能不良が検出されたと判断することができる。それに応じて、2015年12月30日に出願された表題MECHANISMS FOR COMPENSATING FOR DRIVETRAIN FAILURE IN POWERED SURGICAL INSTRUMENTSの同一所有者の米国特許出願第14/984,525号(参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)に詳細に記載されるように、様々な安全及び補修的工程を行うことができる。
【0086】
構成要素を移動させて、外科用器具10のエンドエフェクタにおいて、例えば組織を捕捉する、捕捉した組織にステープルを発射する、及び/又は捕捉した組織を切断するなどの機能をもたらすため、外科用器具10の様々な動作段階があり得る。外科用器具10の駆動機構160によって生成される振動は、外科用器具10の動作の段階に応じて異なり得る。特定の振動は、外科用器具10の特定の動作段階と一意に関連付けられることができる。したがって、外科用器具10の動作の段階又はゾーンを考慮することにより、その動作の段階又はゾーンに関連しない他の振動を無視しながら、その動作の段階又はゾーンと関連付けられた振動を選択的に分析することができる。例えば、位置センサなどの様々なセンサは、プロセッサ36によって、外科用器具10の動作の段階を決定するのに用いられ得る。
【0087】
一実施例では、器具10の様々な動作の段階は、図27のグラフに表され、外科用器具10の発射シーケンス又はストローク中の、開始位置又は元の位置からの駆動アセンブリ360の変位位置に関して外科用器具10を発射するために必要な力(FTF)を示す。ゾーン1において、外科用器具10のエンドエフェクタ300は、上記のように、組織にクランプされているが、組織に影響を与えない。ゾーン2において、外科用器具10の作動スレッドを動かすために負荷がかけられ、エンドエフェクタ300は、例えば組織を切断及びステープル留めすることによって組織に影響を及ぼすことができる。ゾーン3において、外科用器具10のエンドエフェクタ300によって組織が切断及びステープル留めされている。外科用器具10が、捕捉及び様々な駆動トレインによって作製された振動の処理中にどのゾーンにあるかに応じて、振動を閾値周波数と比較することができるか、又は無視され得るか若しくは考慮されない。図27のブロック48及びブロック50におけるセンサ42によって捕捉される振動の場合、捕捉された振動の特定の部分は、外科用器具10の劣化を決定する目的のために無視され得るか、又は考慮されない。
【0088】
少なくとも1つの例では、閾値ライン52の下で捕捉された任意の振動は、無視され得るか、又は考慮されない。少なくとも1つの例では、外科用器具10の発射シーケンス又はストローク中の最小閾値52に対する最大FTFの比は、例えば約0.001〜約0.30の範囲から選択される任意の値である。少なくとも1つの例では、この比は、例えば約0.01〜約0.20の範囲から選択される任意の値である。少なくとも1つの例において、この比は、例えば約0.01〜約0.10の範囲から選択される任意の値である。
【0089】
加えて、ブロック48及びブロック50内に捕捉された任意の振動もまた、これらのブロック内のイベントが壊滅的イベントでない限り、無視され得るか、又は考慮されない。壊滅的故障のイベントにおいて、駆動機構160が動作不能にされ、特定のベイルアウト工程を行って、中でも特に、治療されている組織からの外科用器具10の安全な分離を確実にする。代替として、深刻な駆動トレイン故障のイベントにおいて、駆動トレインを依然として動作させて、外科的工程を完了させるか、又は外科用器具10をリセットすることができるが、特定の予防及び/又は安全工程を行い、外科用器具10の駆動トレイン及び/又は他の構成要素への付加的な損傷を回避又は最小限にすることができる。
【0090】
図27を再度参照して、少なくとも1つの例では、外科用器具10の発射ストロークの最初及び/又は最後に検出される振動は、外科用器具10の損傷/機能状態を評価する目的のために、無視されるか又は考慮されない。一実施例では、外科用器具10の発射ストロークの中央部分で検出された振動のみが、外科用器具10の損傷/機能状態を評価する目的のために考慮される。少なくとも1つの例では、図27に示すように、外科用器具10の発射ストロークのゾーン1の最初及び/又はゾーン2の最後で検出された振動は、外科用器具10の損傷/機能状態を評価する目的のために、無視されるか又は考慮されない。
【0091】
制限された雑音の増加は、例えば、ギヤの部品の摩耗又は壊滅的でない故障の増加を示し得る。慢性的な雑音の大きさの大幅な増加は、トランスミッションの継続的な浸食を示し得るが、器具10の寿命及び性能低下を予測するのに使用することができ、例えば特定のジョブの完了を可能にする。ピークの大きさ又は数の深刻で劇的な増加は、実質的又は壊滅的な故障を示すことができ、例えば器具に、より多くの中間及び最終反応オプションを開始させる。
【0092】
図28は、開始位置又は元の位置からの駆動アセンブリ360の変位位置に関して、外科用器具10の駆動アセンブリ360の速度を示す。図27及び図28に示す点Aは、組織との初期接点を表し、図27に示す外科用器具10の駆動アセンブリ360を前進させる力を増大させ、かつ図28に示すように、駆動アセンブリ360の速度を減少させる。同様に図27及び図28に示す点Bは、ステープル留め及び切断中の組織の最も厚い部分との接点を表す。したがって、図27に示すように、点BにおけるFTFは最大であり、点Bにおける速度は、図28に示すように、その最低点である。例えば、力センサなどの1つ又は2つ以上のセンサは、駆動アセンブリ360が前進するにつれてFTFを測定するように構成することができる。加えて、1つ又は2つ以上の位置センサは、外科用器具10の発射シーケンス中に駆動アセンブリ360の位置を検出するように構成することができる。
【0093】
少なくとも1つの例では、メモリ38はプログラム命令を含み、当該プログラム命令は、プロセッサ36によって実行されると、プロセッサ36に、外科用器具10の駆動機構160の1つ又は2つ以上の構成要素の近くに位置決めされた1つ又は2つ以上のセンサ42を用いて、発射シーケンスの所定のセクション中に駆動機構160の1つ又は2つ以上の構成要素によって生成された振動を選択的に捕捉又は記録させる。少なくとも1つの例では、センサ42は、所定のセクションの開始点においてプロセッサ36により起動され、発射シーケンス又はストロークの所定のセクションの終了点において停止され、それによりセンサ42は、所定のセクション中に生成された振動のみを捕捉又は記録することができる。
【0094】
所定のセクションは、発射シーケンスが開始した後に開始点を有し、発射シーケンスが完了する前に終了点を有し得る。換言すれば、プロセッサ36は、センサ42に発射シーケンスの中央セクションにおける振動のみを記録させるように構成される。図28に示すように、プロセッサ36は、駆動アセンブリ360の速度の下向きの傾斜の間に、センサ42に振動の捕捉又は記録を開始させ、駆動アセンブリ360の速度の上向きの傾斜の間に、振動の記録を停止させるように構成することができる。代替として、プロセッサ42は、外科用器具10の発射シーケンス全体の間にアクティブであり得るが、プロセッサ36は、発射シーケンス又はストロークの所定のセクション以外で記録された振動を無視又は排除する。
【0095】
図29は、ストローク位置のゾーンに基づく許容される制限修正を示す。ゾーン1及びゾーン2の両方の制限プロファイルを示す。ゾーン2の閾値制限は、外科用器具10上の組織の負荷に起因して、ゾーン1よりも高い。器具がゾーン1からゾーン2に移動するにつれて器具の速度が減少すると、電力スペクトルは周波数でシフトダウンする。図30に示すように、図27及び図28の点A及びBについて、図24に示すフィルタによって表される様々な帯域幅での電圧振幅に対する周波数を表し、各フィルタ帯域幅の点Bと関連付けられた周波数ラインは、点Bにおける組織からの器具10への負荷及びストロークゾーンに起因する速度変化に起因して、点Aと関連付けられた周波数ラインよりも低い。
【0096】
したがって、これらの制限は、外科用器具10に対する潜在的な損傷を評価するのに使用することができる。外科用器具10の様々な駆動トレインからの捕捉された振動を使用して、図21に示すプロセッサ36を使用して振動を処理し、振動の捕捉期間中に外科用器具10の動作のゾーンを考慮しながら、振動の周波数がプロセッサ36と関連付けられたメモリ38に記憶された特定の閾値を超えるときを決定する。外科用器具10が何らかの故障があると決定された場合、器具10は、滅菌又はその後の使用の前に、修理又は交換することができる。様々な他の安全及び/又は補修工程を行うこともできる。
【0097】
別の態様では、外科用器具10によって生成される雑音の大きさを、既定のシステム高調波と比較して、外科用器具10の潜在的な損傷及びその損傷の重度を評価することができる。図31に示すように、外科用器具10の1つ又は2つ以上の駆動トレインからのセンサ42からの出力は、例えば、ゾーン1の電圧信号として提示される。図24に示すものなどの、フィルタを通して信号の処理中に捕捉される、各周波数は、それ自体の閾値プロファイルを有し得る。
【0098】
例えば、図31に示すように、各周波数は、外科用器具10の動作の各ゾーンについて、それ自体の許容される制限54、限界制限56、及び臨界制限58を有し得る。図31に示す実施例に基づいて、全ての周波数が許容され、A’によって表される周波数を除いて、適切に機能する外科用器具10を表す。少なくとも1つの例では、これは、図24に示すプロセッサ36などのプロセッサに、深刻であるが壊滅的でない駆動トレイン故障が発生したと判断させる。
【0099】
上記に加えて、少なくとも1つの例では、プロセッサ36は、いずれか1つの周波数が臨界制限58以上である場合に、壊滅的な駆動トレイン故障が発生していたと判断するように構成されている。代替として、プロセッサ36は、例えば、複数の周波数が臨界制限58以上である場合にのみ、壊滅的な駆動トレイン故障が発生していたと判断するように構成されてよい。代替として、プロセッサ36は、フィルタを通して信号の処理中に捕捉される、全ての周波数が、例えば臨界制限58以上である場合にのみ、壊滅的な駆動トレイン故障が発生していたと判断するように構成されてもよい。
【0100】
上記に加えて、少なくとも1つの例では、プロセッサ36は、図31に示すように、いずれか1つの周波数が限界制限56以上であるが、臨界制限58を下回る場合に、深刻な駆動トレイン故障が発生していたと判断するように構成されている。代替として、プロセッサ36は、例えば、複数の周波数が限界制限56以上であるが、臨界制限58を下回る場合にのみ、深刻な駆動トレイン故障が発生していたと判断するように構成されてよい。代替として、プロセッサ36は、フィルタを通して信号の処理中に捕捉される、全ての周波数が、例えば限界制限56以上であるが、臨界制限58を下回る場合にのみ、深刻な駆動トレイン故障が発生していたと判断するように構成されてもよい。
【0101】
図32を参照して、論理図21は、検出された駆動トレイン故障に応答して、外科用器具10によって実装され得る、可能性のある動作を表す。メモリ38はプログラム命令を含むことができ、当該プログラム命令は、プロセッサ36によって実行されると、プロセッサ36に、センサ42からの入力に基づいて駆動トレイン故障の重度を評価させ、かつ決定された重度に応じて適切な応答を起動させることができる。メモリ38はプログラム命令を含むことができ、当該プログラム命令は、プロセッサ36によって実行されると、プロセッサ36に、例えば動作の安全モード22を起動することによって、検出された23深刻な駆動トレイン故障に応答させることができる。加えて、メモリ38はプログラム命令を含むことができ、当該プログラム命令は、プロセッサ36によって実行されると、プロセッサ36に、リカバリ又はベイルアウトモード22を起動することによって、検出された壊滅的な駆動トレイン故障に応答させることができる。駆動トレイン故障が検出されない場合、プロセッサ36は、駆動トレイン故障が検出されるまで、外科用器具10に通常動作を継続させる27ことができる。
【0102】
図32を再度参照して、安全モード22は、アクティブな駆動トレインの速度を制限するためにプロセッサ36によって用いられ得る、例えばモータ変調工程などの1つ又は2つ以上の工程を含むことができる。例えば、発射シーケンス中に発射駆動トレイン16がモータ166によってアクティブに駆動されている場合、モジュール40による深刻な駆動トレイン故障の検出は、プロセッサ36に、モータ駆動回路18’(図20)命令に通信させてモータ166の機械的出力を低減させることができる。モータ166の機械的出力の低減は、アクティブな駆動トレイン16の速度を低減し、発射シーケンスの安全な完了及び/又はアクティブな駆動トレイン16の元の位置又は開始位置へのリセットを確実にする。
【0103】
別の態様では、所定の最小及び/又は最大閾値に対する雑音の累積的な大きさの周波数比較は、外科用器具10の潜在的な損傷を評価するのに使用される。少なくとも1つの例では、最小閾値は、許容される制限54を定義する。最小閾値を下回る雑音の累積的な大きさは、プロセッサ36によって、許容される制限54として解釈される。加えて、最大閾値は、臨界制限58を定義するのに用いられ得る。最小閾値を上回る雑音の累積的な大きさは、プロセッサ36によって、臨界制限58として解釈される。限界制限56は、最小及び最大閾値によって定義することができる。一実施例では、最小閾値を上回るが、最大閾値を下回る雑音の累積的な大きさは、プロセッサ36によって限界制限56として解釈される。
【0104】
図33は、4つの帯域通過フィルタ、BPF1、BPF2、BPF3、及びBPF4によってフィルタリングされたセンサ42の出力の処理された信号の表示である。処理された信号は、周波数帯域幅a、a、a、及びa内で表され、4つの帯域通過フィルタ、BPF1、BPF2、BPF3、及びBPF4の帯域幅に対応する。
【0105】
図33は、処理された信号の電圧振幅に対する周波数のグラフを示している。帯域通過フィルタ、BPF1、BPF2、BPF3、及びBPF4の中心周波数における処理された信号のピーク電圧振幅は、垂直実線A、A’、A’’及びA’’’によってそれぞれ表される。加えて、ベースライン閾値60は、予測可能な雑音の量が無視されるか、又は考慮されないようにするのに使用される。付加的な雑音は、周波数スペクトルに入るかどうかに応じて、考慮され得るか、又は無視され得る。
【0106】
図33に示す実施例では、電圧振幅Z2は、それが許容されるレベルの雑音を表したベースライン閾値60を下回る場合に無視され、Z4は、それが所定の帯域幅a、a、a、及びaから外れる場合に無視される。Z、Z1、及びZ3が、ベースライン閾値60を超え、かつ所定の帯域幅a1、a2、a3、及びa4内にあるとき、雑音の累積的な大きさを定義し、順に器具10に対する潜在的な損傷を決定する際に、これらの電圧振幅をA、A’、A’’、及びA’’’と共に考慮した。
【0107】
少なくとも1つの例では、中心周波数A、A’、A’’、及びA’’’における電圧振幅値を加算して、電圧振幅によって表される、雑音の累積的な大きさを生成し、次いでそれは、故障が起こっていたかどうか、及びそうであればその故障の重度を評価するのに用いられる。別の例では、中心周波数A、A’、A’’、及びA’’’における電圧振幅値、並びに所定の帯域幅a1、a2、a3、及びa4内の任意の電圧振幅を加算して、電圧振幅によって表される、雑音の累積的な大きさを生成し、次いでそれは、故障が起こっていたかどうか、及びそうであればその故障の重度を評価するのに用いられる。別の例では、中心周波数A、A’、A’’、及びA’’’における電圧振幅値、並びにベースライン閾値60よりも大きく、かつ所定の帯域幅a1、a2、a3、及びa4内の任意の電圧振幅値を加算して、電圧振幅によって表される、雑音の累積的な大きさを生成し、次いでそれは、故障が起こっていたかどうか、及びそうであればその故障の重度を評価するのに用いられる。
【0108】
様々な例では、現在の雑音信号と、メモリ38に記憶され得る、以前に記録された雑音信号との間の比較は、プロセッサ36によって、外科用器具10の損傷/機能状態を決定するのに用いられ得る。外科用器具10の通常動作中にセンサ42によって記録された雑音信号は、プロセッサ36によってフィルタリング及び処理されて、メモリ38に記憶された通常の処理された信号を生成することができる。センサ42によって記録された任意の新たな雑音信号は、通常の雑音信号と同様にフィルタリング及び処理されて、メモリ38に記憶された通常の処理された信号と比較され得る、現在の処理された信号を生成することができる。
【0109】
現在の処理されたシグネチャと、所定の閾値を超える通常の処理された信号との間のずれは、外科用器具10に対する潜在的損傷として解釈され得る。通常の処理された信号は、例えば、器具が最初に使用されたときに設定され得る。代替として、現在の処理された信号は、次の現在の処理された信号に対する通常の処理された信号となる。
【0110】
図34は、4つの帯域通過フィルタ、BPF1、BPF2、BPF3、及びBPF4によってフィルタリングされたセンサ42の出力の2つの処理された信号の表示である。処理された信号は、周波数帯域幅a、a、a、及びa内で表され、4つの帯域通過フィルタ、BPF1、BPF2、BPF3、及びBPF4の帯域幅に対応する。図34は、処理された信号の電圧振幅に対する周波数のグラフを示している。
【0111】
通常の及び現在の処理された信号の電圧振幅は、垂直実線によって表される。通常の処理された信号は、実線であるが、現在の処理された信号は、破線であり、上記のように、現在/現前の処理された信号を表す。図33のベースライン閾値60と同様に、予測可能な量の雑音を無視することを可能にするために使用される、ベースライン閾値60がある。2つの反復間の差を計算し、図34ではδ1、δ2、及びδ3として示される。様々なδ値と比較されて外科用器具10の損傷を決定する、様々な閾値があり、器具10を交換又は修理する必要性を示す、許容されるδ、限界δ、又は臨界δを示す。
【0112】
少なくとも1つの例では、1つ又は2つ以上の電圧振幅を、以前に記録された雑音パターンにおける対応する電圧振幅と比較して、外科用器具10の任意の損傷を評価する。現在の電圧振幅と以前に記憶された電圧振幅との間の差を、メモリ38に記憶され得る1つ又は2つ以上の所定の閾値と比較して、許容される限界又は臨界状態の出力を選択することができる。
【0113】
少なくとも1つの例では、現在の電圧振幅と以前に記憶された電圧振幅との間の差を加算し、メモリ38に記憶された1つ又は2つ以上の所定閾値と比較して、例えば、許容される限界又は臨界状態の出力を選択する。ずれの大きさを範囲間で比較して、ローカルイベントにおけるせん断変化を示すことができる。
【0114】
様々な例では、プロセッサ38に記憶され得る1つ又は2つ以上のアルゴリズムは、プロセッサ36によって、センサ42の出力の処理された信号に基づいて外科用器具10の損傷/機能状態を決定するのに用いられ得る。センサ42によって記録される異なる雑音信号は、外科用器具10の異なる損傷/機能状態を表すと解釈され得る。通常動作中に、通常の又は予想される雑音信号は、センサ42によって記録される。異常な雑音信号がセンサ42によって記録されると、それは、プロセッサ36によって、メモリ38に記憶されたアルゴリズムのうちの1つ又は2つ以上を使用して、外科用器具10の損傷/機能状態を決定するのに更に評価され得る。異常な信号は、外科用器具10の損傷の性質を評価するために使用され得る固有の特性を含むことができる。例えば、異常な信号の固有の特性は、外科用器具10の特定の構成要素に対する損傷を示すことができ、容易に交換することができる。
【0115】
特定の例では、1つ又は2つ以上のアルゴリズムは、センサ42の出力の処理された信号に基づいて、外科用器具10の1つ又は2つ以上の構成要素における通常の摩耗を評価するように構成される。通常の摩耗は、例えば、潜在的デブリを示す雑音信号を識別することによって検出され得る。その記録された雑音符号によって測定されるデブリが、例えば、メモリ38に記憶された所定の閾値に達するか又はそれを超えると、プロセッサ36は、例えば、外科用器具10がその寿命に近づきつつあるか、又はメンテナンスが必要であるという警告を発行するように構成され得る。
【0116】
更に、1つ又は2つ以上のアルゴリズムは、例えば、センサ42の出力の処理された信号に基づいて、駆動機構160内の遊星ギヤ機構などの1つ又は2つ以上のギヤ機構に対する潜在的な損傷を決定するように構成され得る。通常動作中、遊星ギヤは、センサ42によって記録される、通常の雑音信号を生成することができる。遊星ギヤが、破損した歯に起因して損傷されると、例えば異常な雑音信号が、センサ42によって記録される。異常な信号は、例えば、損傷した遊星ギヤを示す固有の特性を含むことができる。
【0117】
図35は、4つの帯域通過フィルタ、BPF1、BPF2、BPF3、及びBPF4によってフィルタリングされたセンサ42の出力の処理された信号の表示である。処理された信号は、周波数帯域幅a、a、a、及びa内で表され、4つの帯域通過フィルタ、BPF1、BPF2、BPF3、及びBPF4の帯域幅に対応する。上記のような様々なアルゴリズムを、図35の処理された信号に適用して、外科用器具10の損傷/機能状態を決定することができる。
【0118】
図33と同様に、図35は、処理された信号の電圧振幅に対する周波数のグラフを示している。処理された信号の電圧振幅は、垂直実線によって表される。帯域幅a、a、a及びaの各々において、処理された信号は、振幅閾値及びサブ帯域幅閾値によって定義された予想範囲内で評価される。予想範囲E、E、E、及びEは、帯域幅a、a、a、及びaにそれぞれ対応する。
【0119】
図35に示す実施例では、潜在的な遊星損傷を示す第1のイベントが観察される。観察された第1のイベントは、潜在的な遊星損傷を示す2つの電圧振幅読み取り値を含む、処理された信号を含む。2つの電圧振幅読み取り値は、帯域幅aの中心周波数での予想範囲Eを超える第1の電圧振幅読み取り値、及び帯域幅aとaとの間にあるが、その外側の周波数での第2の電圧振幅読み取り値である。第1のアルゴリズムは、観察されたイベントを潜在的な遊星損傷を示すものとして認識するように構成され得る。プロセッサ36は、第1のアルゴリズムを用いて、潜在的な遊星損傷が検出されると判断することができる。
【0120】
また、図35に示す実施例では、外科用器具10のハブに関する固有の潜在的損傷を示す第2のイベントが観察される。第2のイベントは、帯域幅aの中心周波数での、予想電圧振幅閾値を下回る電圧振幅読み取り値を含む、処理された信号を含む。加えて、処理された信号は、ベースライン閾値60を超え、かつ帯域幅a内であるが、予想範囲Eのサブ帯域幅閾値域の外側である、電圧振幅読み取り値Z及びZを含む。第2のアルゴリズムは、観察された第2のイベントを、固有の潜在的損傷を示すものとして認識するように構成され得る。プロセッサ36は、第2のアルゴリズムを用いて、外科用器具10のハブに関する潜在的な損傷が検出されたと判断することができる。
【0121】
また、図35に示す実施例では、外科用器具10の1つ又は2つ以上の構成要素と関連付けられた摩耗を示す潜在的なデブリを示す第3のイベントが観察される。第3のイベントは、帯域幅aの中心周波数での、予想電圧振幅閾値を超える電圧振幅読み取り値を含む、処理された信号を含む。第3のアルゴリズムは、観察された第3のイベントを、潜在的なデブリを示すものとして認識するように構成され得る。プロセッサ36は、第3のアルゴリズムを用いて、例えば、観察された電圧振幅と予想電圧振幅閾値との間の差に基づいて、潜在的なデブリの重度を評価することができる。
【0122】
様々な詳細が上述の説明において記載されてきたが、動力式外科用器具における駆動トレイン故障を補償するための機構の様々な態様が、これらの特定の詳細なしで実施され得ることが理解されるであろう。例えば、簡潔かつ明確にするために、選択された態様は、詳細に示すのではなく、ブロック図で示されている。本明細書に示した詳細な説明のいくつかの部分は、コンピュータメモリに記憶されたデータに対して動作する命令という点で提示され得る。そのような説明及び表現は、当業者によって、自身の仕事の内容を当該技術分野の他者に説明及び伝達するために使用されているものである。一般に、アルゴリズムとは、所望の結果につながる工程の自己無撞着シーケンスを指し、「工程」とは、必ずしも必要ではないが、記憶、伝達、結合、比較及び別様に操作されることが可能な電気又は磁気信号の形態をとることができる物理量の操作を指す。これらの信号を、ビット、値、要素、記号、文字、用語、番号などで参照することが一般的な扱い方である。これらの及び類似の用語は、適切な物理量と関連付けられてもよく、また単に、これらの物理量に当てはめられる便利なラベルである。
【0123】
別段の明確な定めがない限り、前述の議論から明らかなように、説明の全体を通じて、「処理する」又は「計算する」又は「算出する」又は「決定する」又は「表示する」などの用語を使用する議論は、コンピュータシステムのレジスタ及びメモリ内で物理(電子的)量として表現されるデータを、コンピュータシステムのメモリ若しくはレジスタ又は他のそのような情報記憶、伝送若しくは表示装置内で物理量として同様に表現される他のデータへと操作し変換する、コンピュータシステム又は類似の電子計算装置の動作及び処理を指していることが理解されよう。
【0124】
「一態様」又は「態様」への言及は、その態様と関連して記載される、特定の特徴、構造、又は特性が、少なくとも一態様に含まれていることを意味することは特記に値する。したがって、明細書を通じて様々な場所における、「一態様において」、又は「ある態様において」という用語の出現は、必ずしも全てが同じ態様を指しているわけではない。更に、特定の特徴、構造、又は特性は、1つ又は2つ以上の態様において任意の適当な形で組み合わせることができる。
【0125】
様々な態様について本明細書で述べたが、これらの態様に対する多くの改変例、変形例、代替例、変更例及び同等物を実装することが可能であり、また、当業者には想到されるであろう。また、材料が特定の構成要素に関して開示されているが、他の材料が使用されてもよい。したがって、上記の説明文及び添付の「特許請求の範囲」は、全てのそのような改変例及び変形例を、開示された態様の範囲に含まれるものとして網羅することを目的としたものである点を理解されたい。以下の「特許請求の範囲」は、全てのそのような改変例及び変形例を網羅することを目的としたものである。
【0126】
本明細書に記載される態様の一部又は全ては、概して、動力式外科用器具における駆動トレイン故障を補償するための機構のための技術、又はそうでなければ本明細書に記載の技術によるものを含み得る。一般的な意味で、多様なハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア又はそれらの任意の組み合わせによって、個々にかつ/又は共同して実装することができる、本明細書で説明する様々な態様を、様々な種類の「電気回路」から構成されるものと見なすことができることを、当業者には理解されよう。その結果として、本明細書で使用されるとき、「電気回路」は、限定するものではないが、少なくとも1つの個々の電気回路を有する電気回路、少なくとも1つの集積回路を有する電気回路、少なくとも1つの専用集積回路を有する電気回路、コンピュータプログラムで構成された汎用コンピューティングデバイス(例えば、本明細書で説明したプロセス及び/若しくは装置を少なくとも部分的に実行するコンピュータプログラムで構成された汎用コンピュータ、又は、本明細書で説明したプロセス及び/若しくは装置を少なくとも部分的に実行するコンピュータプログラムで構成されたマイクロプロセッサ)を形成する電気回路、メモリデバイスを形成する(例えばランダムアクセスメモリを形成する)電気回路、並びに/又は、通信装置(例えばモデム、通信スイッチ又は光学的−電気的設備)を形成する電気回路を含む。本明細書で述べた主題は、アナログ若しくはデジタルの形式又はそれらのいくつかの組み合わせで実現されてもよいことを、当業者には理解されよう。
【0127】
上記の詳細な説明は、ブロック図、フローチャート及び/又は実施例を用いて装置及び/又はプロセスの様々な態様について記載してきた。そのようなブロック図、フローチャート及び/又は実施例が、1つ又は2つ以上の機能及び/又は動作を含む限り、当業者に理解されたいこととして、そのようなブロック図、フローチャート又は実施例に含まれる各機能及び/又は動作は、多様なハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、又はそれらの事実上任意の組み合わせによって、個々にかつ/又は共同に実装することができる。一態様では、本明細書に記載される主題のいくつかの部分は、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、デジタル信号プロセッサ(DSP)、又は他の集積型の形式で実装されてもよい。しかしながら、当業者であれば、その全部か一部かを問わず、本明細書で開示される態様のいくつかの態様は、1つ又は2つ以上のコンピュータ上で稼働する1つ又は2つ以上のコンピュータプログラムとして(例えば、1つ又は2つ以上のコンピュータシステム上で稼働する1つ又は2つ以上のプログラムとして)、1つ又は2つ以上のプロセッサ上で稼働する1つ又は2つ以上のプログラムとして(例えば、1つ又は2つ以上のマイクロプロセッサ上で稼働する1つ又は2つ以上のプログラムとして)、ファームウェアとして、あるいは、それらの実質的に任意の組み合わせとして、集積回路において等価に実現され得、また、回路を設計すること、並びに/又はソフトウェア及び/若しくはファームウェアのコードを記述することは、本開示を鑑みれば当業者の技能の範囲内に含まれることを理解するであろう。加えて、本明細書に記載される主題の機構は、多様な形式でプログラム製品として配布されることが可能であり、本明細書に記載される主題の例示的な態様は、配布を実際に行うために使用される信号搬送媒体の特定の種類にかかわらず用いられることが、当業者には理解されよう。信号搬送媒体の例としては、フロッピーディスク、ハードディスクドライブ、コンパクトディスク(CD)、デジタルビデオディスク(DVD)、デジタルテープ、コンピュータメモリなどの記録可能型の媒体と、デジタル及び/又はアナログ通信媒体(例えば、光ファイバケーブル、導波管、有線通信リンク、無線通信リンク(例えば、送信機、受信機、送信ロジック、受信ロジックなど)など)などの伝送型の媒体と、が挙げられるが、これらに限定されない。
【0128】
全ての上述した米国特許、米国特許出願公開、米国特許出願、外国特許、外国特許出願、本明細書で引用された及び/若しくは任意の出願データシートに列挙された非特許刊行物又は任意のその他の開示文献は、本明細書と矛盾しない範囲で、参照により本明細書に組み込まれる。それ自体、また必要な範囲で、本明細書に明瞭に記載される開示内容は、参照により本明細書に組み込まれるあらゆる矛盾する記載に優先するものとする。参照により本明細書に組み込まれるものとするが、既存の定義、記述、又は本明細書に記載される他の開示文献と矛盾する任意の文献、又はそれらの部分は、組み込まれる文献と既存の開示内容との間に矛盾が生じない範囲においてのみ組み込まれるものとする。
【0129】
本明細書に記載される要素(例えば、動作)、装置、目的及びそれらに伴う考察は、構想を明らかにするための例として使用され、様々な構成の修正が想到されることが、当業者には認識されるであろう。その結果として、本明細書で使用されるとき、説明した特定の例及びそれらに伴う考察は、より一般的な種類を代表することを意図したものである。一般に、特定の代表例を用いることは、その種類を代表することを意図したものであり、また、特定の要素(例えば、動作)、装置、及び目的を含めないことは、限定と見なされるべきではない。
【0130】
本明細書における実質的に全ての複数形及び/又は単数形の用語の使用に関して、当業者であれば、文脈及び/又は用法に則して複数形から単数形に、及び/又は単数形から複数形に読み替えることができる。様々な単数形/複数形の置換えは、簡潔にするため、本明細書では明示的には記述されない。
【0131】
本明細書に記載する主題はときに、種々のその他の要素の中に含められた、又はそれらと結合された種々の要素を示す。理解されたいこととして、そのように表現したアーキテクチャは単に例示的なものであり、実際に、同じ機能性を達成する多くのその他のアーキテクチャが実現され得る。構想の意味で、同じ機能性を達成する要素の任意の配置は、所望の機能性が達成されるように効果的に「関連付け」られる。したがって、特定の機能性を達成するように組み合わされた本明細書での任意の2つの要素は、アーキテクチャ又は中間要素にかかわらず、所望の機能性が達成されるように互いと「関連付け」られていると見なすことができる。同様に、そのように関連付けられた任意の2つの要素はまた、所望の機能性を達成するように互いに「動作可能に接続」又は「動作可能に連結」されているものと見なすことができ、そのように関連付けることが可能な任意の2つの要素はまた、所望の機能性を達成するように互いに「動作可能に連結可能」であると見なすことができる。動作可能に連結可能であることの特定の例としては、物理的に噛み合い可能なかつ/若しくは物理的に相互作用する要素、並びに/又は無線式で相互作用可能なかつ/若しくは無線式で相互作用する要素、並びに/又は論理的に相互作用する、及び/若しくは論理的に相互作用可能な要素が挙げられるが、これらに限定されない。
【0132】
いくつかの態様は、「連結された」及び「接続された」という表現を、それらの派生語と共に使用して記載されることがある。これらの用語は、互いに同義語であることは意図されないことを理解されたい。例えば、いくつかの態様は、2つ又は3つ以上の要素が互いに直接物理的又は電気的に接触していることを示すため、「接続された」という用語を使用して記載されることがある。別の例では、いくつかの態様は、2つ又は3つ以上の要素が直接物理的又は電気的に接触していることを示すため、「連結された」という用語を使用して記載されることがある。しかしながら、「連結された」という用語はまた、2つ又は3つ以上の要素が互いに直接接触はしないが、依然として互いに協働又は相互作用することを意味することがある。
【0133】
場合によっては、1つ又は2つ以上の要素が、本明細書において、「ように構成される」、「ように構成可能である」、「ように動作可能である/動作する」、「適合される(adapted)/適合可能である」、「ことが可能である」、「ように適合可能である/適合される(conformed)」などと呼ばれることがある。当業者は、「ように構成される」は一般に、文脈上他の意味に解釈すべき場合を除き、アクティブ状態の要素及び/又は非アクティブ状態の要素及び/又はスタンドバイ状態の要素を包含し得ることを理解するであろう。
【0134】
本明細書に記載される主題の特定の態様が図示され記載されてきたが、本明細書の教示に基づいて、本明細書に記載される主題及びそのより広範な態様から逸脱することなく、変更及び修正を行うことができ、したがって添付の特許請求の範囲は、全てのかかる変更及び修正を、本明細書に記載される主題の真の趣旨及び範囲内にあるものとして、その範囲内に包含するものであることが、当業者には明白となるであろう。一般に、本明細書で使用され、かつ特に添付の特許請求の範囲(例えば、添付の特許請求の範囲の本文)で使用される用語は、概して「開放的」用語として意図されるものである(例えば、「含む(including)」という用語は、「〜を含むが、これらに限定されない(including but not limited to)」と解釈されるべきであり、「有する(having)」という用語は「〜を少なくとも有する(having at least)」と解釈されるべきであり、「含む(includes)」という用語は「〜を含むが、これらに限定されない(includes but is not limited to)」と解釈されるべきであるなど)ことが、当業者には理解されるであろう。更に、導入されたクレーム記載(introduced claim recitation)において特定の数が意図される場合、かかる意図は当該クレーム中に明確に記載され、またかかる記載がない場合は、かかる意図は存在しないことが、当業者には理解されるであろう。例えば、理解を助けるものとして、後続の添付の特許請求の範囲は、「少なくとも1つの(at least one)」及び「1つ又は2つ以上の(one or more)」という導入句を、クレーム記載を導入するために含むことがある。しかしながら、かかる句の使用は、「a」又は「an」という不定冠詞によってクレーム記載を導入した場合に、たとえ同一のクレーム内に「1つ又は2つ以上の」又は「少なくとも1つの」といった導入句及び「a」又は「an」という不定冠詞が含まれる場合であっても、かかる導入されたクレーム記載を含むいかなる特定のクレームも、かかる記載事項を1つのみ含むクレームに限定されると示唆されるものと解釈されるべきではない(例えば、「a」及び/又は「an」は通常、「少なくとも1つの」又は「1つ又は2つ以上の」を意味するものと解釈されるべきである)。定冠詞を使用してクレーム記載を導入する場合にも、同様のことが当てはまる。
【0135】
加えて、導入されたクレーム記載において特定の数が明示されている場合であっても、かかる記載は、一般的に、少なくとも記載された数を意味するものと解釈されるべきであることが、当業者には認識されるであろう(例えば、他に修飾語のない、単なる「2つの記載事項」という記載がある場合、一般的に、少なくとも2つの記載事項、又は2つ又は3つ以上の記載事項を意味する)。更に、「A、B、及びCなどのうちの少なくとも1つ」に類する表記が用いられる場合、一般に、かかる構文は、当業者がその表記を理解するであろう意味で意図されている(例えば、「A、B、及びCのうちの少なくとも1つを有するシステム」は、限定するものではないが、Aのみ、Bのみ、Cのみ、AとBの両方、AとCの両方、BとCの両方、及び/又はAとBとCの全てなどを有するシステムを含む)。「A、B、又はCなどのうちの少なくとも1つ」に類する表記が用いられる場合、一般に、かかる構文は、当業者がその表記を理解するであろう意味で意図されている(例えば、「A、B、又はCのうちの少なくとも1つを有するシステム」は、限定するものではないが、Aのみ、Bのみ、Cのみ、AとBの両方、AとCの両方、BとCの両方、及び/又はAとBとCの全てなどを有するシステムを含む)。更に、典型的には、2つ又は3つ以上の選択的な用語を表すあらゆる選言的な語及び/又は句は、文脈上他の意味に解釈すべき場合を除いて、説明文内であろうと、特許請求の範囲内であろうと、あるいは図面内であろうと、それら用語のうちの1つ、それらの用語のうちのいずれか、又はそれらの用語の両方を含む可能性を意図すると理解されるべきであることが、当業者には理解されるであろう。例えば、「A又はB」という句は、典型的には、「A」又は「B」又は「A及びB」の可能性を含むものと理解されるであろう。
【0136】
添付の特許請求の範囲に関して言えば、当業者は、本明細書における引用した動作は一般に、任意の順序で実施され得ることを理解するであろう。また、様々な動作上の流れがシーケンスの形で提示されているが、様々な動作は、例示した以外の順序で行われてもよく、又は同時に行われてもよいことが理解されるべきである。かかる代替の順序付けの例は、文脈上他の意味に解釈すべき場合を除いて、重複、交互配置、割込み、再順序付け、増加的、予備的、追加的、同時、逆又は他の異なる順序付けを含んでもよい。更に、「〜に応答する」、「〜に関連する」といった用語、又は他の過去時制の形容詞は、一般に、文脈上他の意味に解釈すべき場合を除き、かかる変化形を除外することが意図されるものではない。
【0137】
特定の場合には、構成要素が領域の外に位置している場合であっても、システム又は方法の使用がその領域で起こってもよい。例えば、分散コンピューティングの文脈において、システムの一部分が領域の外に位置している可能性があっても(例えば、継電器、サーバ、プロセッサ信号搬送媒体、送信コンピュータ、受信コンピュータなどが領域の外に位置している)、分散コンピューティングシステムの使用はその領域で起こってもよい。
【0138】
システム又は方法の構成要素が領域の外に位置するかつ/又は外で使用される場合であっても、システム又は方法の売買は同様にその領域で起こってもよい。更に、1つの領域で方法を実行するためにシステムの少なくとも一部分を実現することは、システムを別の領域で使用することを排除しない。
【0139】
様々な態様について本明細書で述べたが、これらの態様に対する多くの改変例、変形例、代替例、変更例及び同等物を実装することが可能であり、また、当業者には想到されるであろう。また、材料が特定の構成要素に関して開示されているが、他の材料が使用されてもよい。したがって、上記の説明文及び添付の「特許請求の範囲」は、全てのそのような改変例及び変形例を、開示された態様の範囲に含まれるものとして網羅することを目的としたものである点を理解されたい。以下の「特許請求の範囲」は、全てのそのような改変例及び変形例を網羅することを目的としたものである。
【0140】
要約すると、本明細書に記載した構想を用いる結果として得られる多くの利益が記載されてきた。1つ又は2つ以上の態様の上述の記載は、例示及び説明を目的として提示されているものである。包括的であることも、開示された厳密な形態に限定することも意図されていない。上記の教示を鑑みて、修正又は変形が可能である。1つ又は2つ以上の態様は、原理及び実際の応用について例示し、それによって、様々な態様を様々な修正例と共に、想到される特定の用途に適するものとして当業者が利用できるようにするために、選択され記載されるものである。本明細書と共に提示される特許請求の範囲が全体的な範囲を定義することが意図される。
【0141】
本明細書に記載される主題の様々な態様は、以下の付番された項目において説明される。
1.組織に影響を及ぼすための装置であって、組織と相互作用するように構成されたエンドエフェクタと、外科用器具であって、当該外科用器具の動作を実施するために、複数のギヤ構成要素を駆動するように構成された1つ又は2つ以上の駆動トレインと、当該外科用器具の当該1つ又は2つ以上の駆動トレインからの振動情報を感知及び記録するために、当該外科用器具の当該1つ又は2つ以上の駆動トレインに対して位置決めされた1つ又は2つ以上の振動センサと、を含む、外科用器具と、を備え、当該1つ又は2つ以上の振動センサは、当該振動情報に基づいて、出力信号を生成するように構成され、当該出力信号は、当該外科用器具の状態を決定するのに使用される、装置。
2.当該1つ又は2つ以上の振動センサの当該出力信号を受信するように構成された少なくとも1つの周波数フィルタを更に備え、当該少なくとも1つの周波数フィルタは、受信された当該出力信号に基づいて、フィルタリングされた信号を生成するように構成されている、項目1に記載の装置。
3.所定の閾値を記憶するメモリと、当該少なくとも1つの周波数フィルタと通信するプロセッサと、を更に備える、項目1又は2に記載の装置。
4.当該メモリがプログラム命令を含み、当該プログラム命令は、当該プロセッサによって実行されると、当該プロセッサに、当該フィルタリングされた信号に基づいて、処理された信号を生成させる、項目1〜3のいずれか一項に記載の装置。
5.当該メモリがプログラム命令を含み、当該プログラム命令は、当該プロセッサによって実行されると、当該プロセッサに、高速フーリエ変換を用いて当該処理された信号を発生させる、項目1〜4のいずれか一項に記載の装置。
6.当該プログラム命令が、当該プロセッサによって実行されると、当該プロセッサに、当該所定の閾値と当該処理された信号の対応する値とを比較させる、項目1〜4のいずれか一項に記載の装置。
7.当該プログラム命令が、当該プロセッサによって実行されると、当該プロセッサに、当該所定の閾値が当該処理された信号の当該対応する値以下であるときに、当該外科用器具の機能不良を検出させる、項目1〜6のいずれか一項に記載の装置。
8.当該所定の閾値が、当該1つ又は2つ以上の振動センサの試験出力信号から生成されている、項目1〜3のいずれか一項に記載の装置。
9.当該試験出力信号が、当該外科用器具の試験手順中に、当該1つ又は2つ以上の振動センサによって記録された試験振動情報に基づくものである、項目8に記載の装置。
10.当該所定の閾値が、以前に処理された信号から生成されている、項目1〜3のいずれか一項に記載の装置。
11.1つ又は2つ以上の駆動トレインを含む外科用器具の性能を評価するための方法であって、当該外科用器具の当該1つ又は2つ以上の駆動トレインの動作中に生成された振動を、1つ又は2つ以上の振動センサを介して感知することと、当該感知された振動に基づいて、出力信号を生成することと、当該出力信号をフィルタリングして、当該1つ又は2つ以上の駆動トレインからの当該振動の、フィルタリングされた信号を生成することと、当該フィルタリングされた信号を処理して、当該1つ又は2つ以上の駆動トレインからの当該振動の、処理された信号を生成することと、所定の閾値を、当該処理された信号の対応する値と比較することと、
当該所定の閾値が当該処理された信号の当該対応する値以下であるときに、当該外科用器具の機能不良を検出することと、を含む、方法。
12.当該所定の閾値が、試験出力信号から生成されている、項目11に記載の方法。
13.当該試験出力信号が、当該外科用器具の試験手順中に、当該1つ又は2つ以上の振動センサによって感知された振動に基づくものである、項目11又は12に記載の方法。
14.当該所定の閾値が、以前に処理された信号から生成されている、項目11〜13のいずれか一項に記載の方法。
15.当該フィルタリングされた信号を処理することが、高速フーリエ変換を使用することを含む、項目11〜14のいずれか一項に記載の方法。
16.外科用ステープラであって、組織内に展開可能な複数のステープルを含むステープルカートリッジと、当該外科用ステープラの発射シーケンス中に、当該複数のステープルを当該組織内に展開するように動作可能な少なくとも1つの駆動機構と、当該少なくとも1つの駆動機構によって生成された振動を記録するように構成された1つ又は2つ以上の振動センサと、を備え、当該1つ又は2つ以上の振動センサは、感知された当該振動に基づいて、出力信号を生成するように構成され、当該出力信号は、当該少なくとも1つの駆動機構の状態を決定するのに使用される、外科用ステープラ。
17.当該1つ又は2つ以上の振動センサの当該出力信号を受信するように構成された少なくとも1つの周波数フィルタを更に備え、当該少なくとも1つの周波数フィルタは、受信された当該出力信号に基づいて、フィルタリングされた信号を生成するように構成されている、項目16に記載の外科用ステープラ。
18.所定の閾値を記憶するメモリと、当該少なくとも1つの周波数フィルタと通信するプロセッサと、を更に備える、項目16又は17に記載の外科用ステープラ。
19.当該メモリがプログラム命令を含み、当該プログラム命令は、当該プロセッサによって実行されると、当該プロセッサに、当該フィルタリングされた信号に基づいて、処理された信号を生成させる、項目16〜18のいずれか一項に記載の外科用ステープラ。
20.当該メモリがプログラム命令を含み、当該プログラム命令は、当該プロセッサによって実行されると、当該プロセッサに、高速フーリエ変換を用いて当該処理された信号を発生させる、項目16〜19のいずれか一項に記載の外科用ステープラ。
【0142】
〔実施の態様〕
(1) 組織に影響を及ぼすための装置であって、
組織と相互作用するように構成されたエンドエフェクタと、
外科用器具であって、
前記外科用器具の動作を実施するために、複数のギヤ構成要素を駆動するように構成された1つ又は2つ以上の駆動トレインと、
前記外科用器具の前記1つ又は2つ以上の駆動トレインからの振動情報を感知及び記録するために、前記外科用器具の前記1つ又は2つ以上の駆動トレインに対して位置決めされた1つ又は2つ以上の振動センサと、を含む、外科用器具と、を備え、前記1つ又は2つ以上の振動センサは、前記振動情報に基づいて、出力信号を生成するように構成され、前記出力信号は、前記外科用器具の状態を決定するのに使用される、装置。
(2) 前記1つ又は2つ以上の振動センサの前記出力信号を受信するように構成された少なくとも1つの周波数フィルタを更に備え、前記少なくとも1つの周波数フィルタは、前記受信された出力信号に基づいて、フィルタリングされた信号を生成するように構成されている、実施態様1に記載の装置。
(3) 所定の閾値を記憶するメモリと、
前記少なくとも1つの周波数フィルタと通信するプロセッサと、を更に備える、実施態様2に記載の装置。
(4) 前記メモリがプログラム命令を含み、該プログラム命令は、前記プロセッサによって実行されると、前記プロセッサに、前記フィルタリングされた信号に基づいて、処理された信号を生成させる、実施態様3に記載の装置。
(5) 前記メモリがプログラム命令を含み、該プログラム命令は、前記プロセッサによって実行されると、前記プロセッサに、高速フーリエ変換を用いて前記処理された信号を発生させる、実施態様4に記載の装置。
【0143】
(6) 前記プログラム命令が、前記プロセッサによって実行されると、前記プロセッサに、前記所定の閾値と前記処理された信号の対応する値とを比較させる、実施態様4に記載の装置。
(7) 前記プログラム命令は、前記プロセッサによって実行されると、前記プロセッサに、前記所定の閾値が前記処理された信号の前記対応する値以下であるときに、前記外科用器具の機能不良を検出させる、実施態様6に記載の装置。
(8) 前記所定の閾値が、前記1つ又は2つ以上の振動センサの試験出力信号から生成されている、実施態様3に記載の装置。
(9) 前記試験出力信号が、前記外科用器具の試験手順中に、前記1つ又は2つ以上の振動センサによって記録された試験振動情報に基づくものである、実施態様8に記載の装置。
(10) 前記所定の閾値が、以前に処理された信号から生成されている、実施態様3に記載の装置。
【0144】
(11) 1つ又は2つ以上の駆動トレインを含む外科用器具の性能を評価するための方法であって、
前記外科用器具の前記1つ又は2つ以上の駆動トレインの動作中に生成された振動を、1つ又は2つ以上の振動センサを介して感知することと、
前記感知された振動に基づいて、出力信号を生成することと、
前記出力信号をフィルタリングして、前記1つ又は2つ以上の駆動トレインからの前記振動の、フィルタリングされた信号を生成することと、
前記フィルタリングされた信号を処理して、前記1つ又は2つ以上の駆動トレインからの前記振動の、処理された信号を生成することと、
所定の閾値を、前記処理された信号の対応する値と比較することと、
前記所定の閾値が前記処理された信号の前記対応する値以下であるときに、前記外科用器具の機能不良を検出することと、を含む、方法。
(12) 前記所定の閾値が、試験出力信号から生成されている、実施態様11に記載の方法。
(13) 前記試験出力信号が、前記外科用器具の試験手順中に、前記1つ又は2つ以上の振動センサによって感知された振動に基づくものである、実施態様12に記載の方法。
(14) 前記所定の閾値が、以前に処理された信号から生成されている、実施態様11に記載の方法。
(15) 前記フィルタリングされた信号を処理することが、高速フーリエ変換を使用することを含む、実施態様11に記載の方法。
【0145】
(16) 外科用ステープラであって、
組織内に展開可能な複数のステープルを含むステープルカートリッジと、
前記外科用ステープラの発射シーケンス中に、前記複数のステープルを前記組織内に展開するように動作可能な少なくとも1つの駆動機構と、
前記少なくとも1つの駆動機構によって生成された振動を記録するように構成された1つ又は2つ以上の振動センサと、を備え、前記1つ又は2つ以上の振動センサは、感知された前記振動に基づいて、出力信号を生成するように構成され、前記出力信号は、前記少なくとも1つの駆動機構の状態を決定するのに使用される、外科用ステープラ。
(17) 前記1つ又は2つ以上の振動センサの前記出力信号を受信するように構成された少なくとも1つの周波数フィルタを更に備え、前記少なくとも1つの周波数フィルタは、前記受信された出力信号に基づいて、フィルタリングされた信号を生成するように構成されている、実施態様16に記載の外科用ステープラ。
(18) 所定の閾値を記憶するメモリと、
前記少なくとも1つの周波数フィルタと通信するプロセッサと、
を更に備える、実施態様17に記載の外科用ステープラ。
(19) 前記メモリがプログラム命令を含み、該プログラム命令は、前記プロセッサによって実行されると、前記プロセッサに、前記フィルタリングされた信号に基づいて、処理された信号を生成させる、実施態様18に記載の外科用ステープラ。
(20) 前記メモリがプログラム命令を含み、該プログラム命令は、前記プロセッサによって実行されると、前記プロセッサに、高速フーリエ変換を用いて前記処理された信号を発生させる、実施態様19に記載の外科用ステープラ。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10A
図10B
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図22A
図23
図23A
図24
図24A
図24B
図24C
図24D
図25
図26
図27
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図30
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図35