特許 6983799 整形外科用途のための拡張可能ファスナ

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)

(12)【公報種別】特許公報(B2)

(11)【特許番号】6983799

(24)【登録日】2021年11月26日

(45)【発行日】2021年12月17日

(54)【発明の名称】整形外科用途のための拡張可能ファスナ

(51)【国際特許分類】

   A61B 17/84 20060101AFI20211206BHJP

【ＦＩ】

   A61B17/84

【請求項の数】15

【全頁数】21

(21)【出願番号】特願2018-549155(P2018-549155)

(86)(22)【出願日】2017年3月20日

(65)【公表番号】特表2019-509821(P2019-509821A)

(43)【公表日】2019年4月11日

(86)【国際出願番号】AU2017050248

(87)【国際公開番号】WO2017156596

(87)【国際公開日】20170921

【審査請求日】2020年3月4日

(31)【優先権主張番号】2016901033

(32)【優先日】2016年3月18日

(33)【優先権主張国】AU

(73)【特許権者】

【識別番号】500534843

【氏名又は名称】カーティン ユニバーシティ

(74)【代理人】

【識別番号】110001210

【氏名又は名称】特許業務法人ＹＫＩ国際特許事務所

(72)【発明者】

【氏名】カスター マークス

(72)【発明者】

【氏名】オルダコフスキ マシュー ピーター

(72)【発明者】

【氏名】オルダコフスカ インタン カメリア ワトノ

(72)【発明者】

【氏名】アリソン ゲイリー

(72)【発明者】

【氏名】リー ガブリエル

【審査官】 北村 龍平

(56)【参考文献】

【文献】 国際公開第２００９／００９７７２（ＷＯ，Ａ１）

【文献】 米国特許出願公開第２０１５／００４５８４１（ＵＳ，Ａ１）

【文献】 特開２００７−０９００９４（ＪＰ，Ａ）

【文献】 特表２００４−５００９１６（ＪＰ，Ａ）

【文献】 韓国公開特許第２００３−００１７５０５（ＫＲ，Ａ）

【文献】 国際公開第２００８／１４５９８４（ＷＯ，Ａ１）

【文献】 特表２００８−５０１４２８（ＪＰ，Ａ）

(58)【調査した分野】（Int.Cl.，ＤＢ名）

Ａ６１Ｂ １７／５６ − １７／９０

(57)【特許請求の範囲】

【請求項1】

整形外科用途のための、骨の穿孔内に設置されると締結するように配列された拡張可能ファスナであって、前記ファスナは、
軸線を有する本体と、
前記ファスナの遠位端部において前記本体に取り付けられた作用要素と、
収縮構成と拡張構成との間で可動である拡張部分であって、使用中、前記拡張部分は、前記本体から前記穿孔を囲む前記骨に向かって外向きに押すように可動であって、さらに前記拡張部分は拡張部材の一部であって、前記拡張部材は、前記本体に対して可動であり、かつ、前記本体の軸線に沿って前記作用要素に向かって又はそれから離れる方に可動である、拡張部分と、を備え、
前記ファスナは、前記拡張部分と前記本体との間での骨の内殖が回避可能とされるように、前記拡張部分の長さの少なくとも一部に沿って前記本体と接触しているように前記拡張部分を前記拡張構成に配列し、
前記拡張部材が前記ファスナの遠位端部及び前記作用要素に向かって動かされて前記作用要素と係合するとき、前記作用要素に向かう前記拡張部材の更なる動きにより、前記拡張部材の拡張部分が前記本体の軸線から離れる方に移動され、その結果、前記拡張部分が前記拡張構成に変わるように前記拡張部材及び前記作用要素が構成されている、ファスナ。

【請求項2】

前記拡張部分は、前記拡張部分が前記拡張構成にあるとき、前記本体によって少なくとも部分的に囲まれ、当該部分において前記拡張部分と前記本体との間の隙間の形成が回避可能な、請求項１に記載のファスナ。

【請求項3】

前記拡張部分と前記本体との直接隣接する表面領域が相互に直接接触していることにより、前記隣接する表面領域同士の間の隙間の形成が回避可能な、請求項１または２のうちのいずれか１項に記載のファスナ。

【請求項4】

前記ファスナは、前記ファスナが前記拡張構成にあるとき、前記拡張部分の厚さの少なくとも一部分が前記拡張部分の長さに沿って前記本体の一部分と重複するように配列されている、請求項１〜３のうちのいずれか１項に記載のファスナ。

【請求項5】

前記ファスナが前記拡張構成にあるとき、前記拡張部分と前記本体との間の隙間の少なくとも一部分を覆うか又は塞ぐように配列されている要素を備える、請求項１または２に記載のファスナ。

【請求項6】

前記拡張部分は、前記本体から独立している拡張部材の一部分である、請求項１〜５のうちのいずれか１項に記載のファスナ。

【請求項7】

前記本体は、前記拡張部分の長さの少なくとも一部分に沿って延在する楔状接触面を有し、前記ファスナが前記拡張構成にあるとき、前記拡張部分の接触面において前記楔状接触面が前記拡張部分に当接して当該拡張部分を楔締めする、請求項１〜６のうちのいずれか１項に記載のファスナ。

【請求項8】

前記拡張部分は、複数の拡張部分のうちの１つである、請求項１〜７のうちのいずれか１項に記載のファスナ。

【請求項9】

少なくとも２対の拡張部分を備える請求項８に記載のファスナであって、１つの対の前記拡張部分が、別の対の前記拡張部分に対向して向いていることにより、前記１つの対の拡張部分の端部が、前記別の対の拡張部分の端部に対向しており、前記１つの対の拡張部分が、前記軸線から離れる向きである外向きに拡張されるとき、前記１つの対の拡張部分の端部と当接する前記別の対の対向する端部も外向きに拡張される、ファスナ。

【請求項10】

前記拡張部分が曲げ領域を備え、前記拡張部分は、前記拡張部分が前記拡張構成に向かって押されるときに、前記曲げ領域において曲がり、前記拡張部分が前記拡張構成であるときに、前記曲げ領域は、前記本体の一部分によって少なくとも部分的に重複されている、請求項１〜９のうちのいずれか１項に記載のファスナ。

【請求項11】

前記本体又は前記拡張部分の少なくとも部分は、外側への変形可能な材料の層を備え、前記拡張部分が外向きに押されるときに、前記本体の接触面及び前記拡張部分の側壁が相互に係合するように配列されており、それによって、前記外側への変形可能な材料の層が変形して、当該材料の層の変形の無い場合に前記拡張部分と前記本体との間に形成され得る隙間の少なくとも一部分を前記材料の層が塞ぐか又はそれと重複することを可能にする、請求項１〜１０のうちのいずれか１項に記載のファスナ。

【請求項12】

前記拡張構成にあるとき、前記本体と拡張部分との間に又は隣接する拡張部分同士の間に、さもなければ形成することがある隙間と重複する外側弾性膜を備える、請求項１〜１１のうちのいずれか１項に記載のファスナ。

【請求項13】

非粘着性であり、前記本体と前記拡張部分との間に又は隣接する拡張部分同士の間に配置されて隙間を塞ぐ材料を備える、請求項１〜１２のうちのいずれか１項に記載のファスナ。

【請求項14】

変形可能な材料が、前記ファスナの内部に注入され、前記変形可能な材料は、細菌の形成又は蓄積を防止するように配列されている抗菌性物質である、請求項１〜１３のうちのいずれか１項に記載のファスナ。

【請求項15】

コーティングを備え、前記コーティングは、骨の成長を抑制又は低減可能な化学的性質を有することにより、前記ファスナが前記拡張構成にあるとき、前記拡張部分と前記本体との間での前記骨の内殖が低減される、請求項１〜１４のうちのいずれか１項に記載のファスナ。

【発明の詳細な説明】

【技術分野】

【0001】

本発明は、整形外科用途のための拡張可能ファスナに関する。

【背景技術】

【0002】

骨の穿孔内の拡張可能ファスナが、整形外科用途のために従来使用されることにより、固定強度を増加させて破損のリスクを減少させてきた。

【0003】

通常、ある期間経過後にファスナを穿孔から取り外すことが必要であり、このことは、ファスナを拡張構成から収縮構成まで収縮させることを必要とする。しかし、骨の内殖（内部成長）が、しばしばファスナを収縮させることを不可能にし、このことが合併症をもたらす。

【先行技術文献】

【特許文献】

【0004】

【特許文献1】米国特許第６６８９１３５号明細書

【特許文献2】米国特許出願公開第２０１２／００７８３７３号明細書

【発明の概要】

【課題を解決するための手段】

【0005】

本発明は、整形外科用途のためのファスナであって、骨の穿孔内に設置されると締結するように配列された拡張可能ファスナを提供し、このファスナは、軸線を有する本体と、収縮構成と拡張構成との間で可動である拡張部分であって、使用中、拡張部分が本体から穿孔を囲む骨に向かって外向きに押すように可動である、拡張部分と、を備え、ファスナは、拡張部分が拡張構成にあるとき、拡張部分と本体との間での骨の内殖が実質的に回避されるように配列される。

【0006】

ファスナは、ファスナが拡張構成にあるとき、拡張部材が拡張部分の長さの少なくとも大部分に沿って本体と接触しているように配列されてもよい。

【0007】

本発明の１つの特定の実施形態では、拡張部分は、拡張部分の長さに沿って及び一般的に拡張部分の幅にもわたって本体と接触し、それによって、ファスナは、拡張部分と本体との間の隙間が実質的に回避されるように配列される。

【0008】

拡張部分は、拡張部分が拡張構成にあるとき、本体によって部分的又は全体的に囲まれてもよい。ファスナが拡張構成にあるとき、拡張部分と本体との間の１つの隙間又はあらゆる隙間が十分に小さいことにより、骨の内殖が実質的に又は完全に回避される。

【0009】

１つの特定の例では、拡張部分と本体との任意の直接隣接する表面領域が相互に直接接触していることにより、隣接する表面領域同士の間の隙間が実質的に回避される。

【0010】

ファスナは、また、ファスナが拡張構成にあるとき、本体の軸線に沿った骨の内殖が実質的に回避されるように配列されてもよい。

【0011】

本発明の１つの特定の実施形態では、ファスナは、ファスナが拡張構成にあるとき、拡張部分の厚さの少なくとも一部分が、拡張部分の長さに沿った本体の一部分と重複するように配列される。

【0012】

本発明の別の特定の実施形態では、ファスナは、ファスナが拡張構成にあるとき、拡張部分と本体との間の隙間の少なくとも一部分を覆うか又は塞ぐように配列された要素を備える。この特定の実施形態では、拡張部分と本体との少なくともいくつかの又は全ての直接隣接する表面領域同士が、要素を介して間接的に接触している。

【0013】

拡張部分は、本体から独立している拡張部材の部分であってもよい。その代替として、拡張部分は、本体に取り付けられてもよい。

【0014】

１つの特定の実施形態では、拡張部分は、複数の拡張部分のうちの１つである。この実施形態では、拡張部分は、一般的に本体に取り付けられる。要素が、隣接する拡張部分同士の間の隙間の少なくとも一部分を覆うか又は塞ぐように配列されてもよい。

【0015】

拡張部分は、ファスナの軸線の周りの異なる角度位置に設置されてもよい。更に、拡張部分の少なくともいくつかは、ファスナの軸線に沿って異なる長手方向位置又はレベルに設置されてもよい。それに加えて、拡張部分のうちの少なくともいくつかは、ファスナの軸線に沿って実質的に同一の長手方向位置に設置されてもよい。拡張部分の長さの少なくとも一部分は、ねじ付き又は波状外面を備えてもよい。

【0016】

更に、拡張部分は、実質的に弧状である端面を有してもよい。

【0017】

拡張部分は、楔状接触面を有してもよく、この楔状接触面は、拡張部分の長さの少なくとも一部分に沿って延在し、そして、ファスナが拡張構成にあるとき、本体の接触面において本体に当接して楔で締める。

【0018】

その代替又は追加として、本体が、楔状接触面を有してもよく、この楔状接触面は、拡張部分の長さの少なくとも一部分に沿って延在し、そして、ファスナが拡張構成にあるとき、拡張部分の接触面において拡張部分に当接して楔で締める。

【0019】

拡張部分は、作用面を有してもよく、そして、ファスナは、作用部材が軸線に沿って受け取られて作用面に当接して押すときに、拡張部分がファスナの軸線から離れる方に外向きに押されるように配列されてもよい。ファスナは、作用部材を備えてもよい。

【0020】

作用面は、凸状であってもよく、又は突起等を有してもよい。その代替として、作用面は、窪みを有するか又は凹形であって、作用部材が窪み内部で又は凹状面内部で作用するように配列され、それによって、ファスナは、本体と拡張部分との間の重複が、凸状作用面を有し拡張部分の側面がより薄い拡張部分と比べて、拡張部分の所定の拡張に対して増加されるように配列される。

【0021】

１つの特定の実施形態では、拡張部分は、本体の軸線に沿って本体に対して可動である拡張部材の部分である。この実施形態では、拡張部材は、一般的に本体に取り付けられない。ファスナは、また、作用要素を備えてもよい。作用要素は、ファスナの遠位端部に設置されてもよく、そして、ファスナは、拡張部材が本体の軸線に沿って作用要素に向かって又はそれから離れる方に可動であるように配列されてもよい。更に、ファスナは、拡張部材がファスナの遠位端部に向かって及び作用要素に向かって動かされて作用要素と係合すると、作用要素に向かう拡張部材の更なる動きが、拡張部材の拡張部分を本体の軸線から離れる方に前方に押すことにより、ファスナを拡張構成へと移行させて骨の中への貫通力を提供するように構成されてもよい。

【0022】

１つの変形では、作用要素は、頂点を有するテーパ面を有し、そして、拡張部材の拡張部分が作用要素のテーパ面と接触するとき、及び、拡張部材が作用要素に向かって更に動かされるとき、拡張部材の拡張部分が外向きに押すことを促進するように設置されている。

【0023】

別の実施形態では、ファスナは、本体から独立し、そして本体の軸線に沿って可動である作用部材を備える。ファスナは、作用部材が軸線に沿って受け取られて拡張部分の作用面部分に当接して押すとき、拡張部分が本体の軸線から離れる方に外向きに押すように配列されてもよい。

【0024】

拡張部分は、複数の拡張部分のうちの１つであってもよく、そして、少なくとも２つの拡張部分が、対向方向を向いていてもよい。拡張構成にあるとき、対向方向を向き、そして外向きに押される少なくとも２つの拡張部分は、周囲の骨が硬く高密度である場合に、ファスナの固定強度が増加させられ得るという利点がある。

【0025】

一実施形態では、ファスナは、少なくとも２対の拡張部分を備える。この実施形態では、一方の対の拡張部分が他方の対の拡張部分に対向した向きにあることにより、一方の対の拡張部分の端部が他方の対の拡張部分の端部と対向している。第１の対の拡張部分は、本体に取り付けられていてもよく、第２の対の拡張部分は、本体から独立していてもよい。両方の対の拡張部分は、一方の対の拡張部分の端部が他方の対の対向する端部に当接して動かされるときに外向きに押すように配列されてもよい。この実施形態では、ファスナは、本体の軸線に沿って可動である作用部材が、他方の対の対向する端部と当接している一方の対の拡張部分の端部を動かし得るように配列されてもよい。ファスナは、両方の対の拡張部分の端部が外向きに押すことにより、拡張部分の対向する端部の間の隙間が実質的に回避されるように配列されてもよい。

【0026】

更に、ファスナは、第２の対の拡張部分に当接した第１の対の拡張部分を内向きに押すことによって生じさせられた弾性力が、拡張状態にあるとき及び作用部材が取り外されるとき、ファスナの取外しを容易にするように配列されてもよい。

【0027】

拡張部分は、拡張部分が拡張構成に向かって押すときに、拡張部分が顕著に曲がるための曲げ領域を備えてもよく、曲げ領域は、本体の外側周辺部内側に設置されてもよく、そして、本体の一部分によって少なくとも部分的に重複されてもよい。

【0028】

本体又は拡張部分の少なくとも部分は、外側の変形可能な材料の層を備えてもよく、そして、拡張部分が外向きに押すとき、本体又は拡張部分の側壁の接触面が相互にわずかに係合し、それによって、外側の変形可能な材料の層が変形し、そして拡張部分と本体との間にそうでなければ形成することがある隙間の少なくとも一部分を塞ぐか又はそれと重複することを可能にするように配列されてもよい。外側の変形可能な材料の層は、チタンを含んでもよい。

【0029】

ファスナは、Ｓｅｌｅｃｔｉｖｅ Ｌａｓｅｒ Ｍｅｌｔｉｎｇ又はＥｌｅｃｔｒｏｎ Ｂｅａｍ Ｍｅｌｔｉｎｇを含むプロセス等の３Ｄプリンティングプロセスを使用して形成されてもよい。

【0030】

ファスナは、弾性膜等の外側弾性層を備えてもよい。弾性膜は、拡張構成にあるとき、本体と拡張部分との間、又は隣接する拡張部分同士の間に形成することがある隙間と重複し、それによって骨の内殖を回避するように配列されてもよい。弾性層又は膜は、本体及び拡張部分から分離していてもそうでなくてもよく、そして、本体及び拡張部分の両方を囲んでいてもよい。

【0031】

ファスナは、また、非粘着性であり、本体と拡張部分との間、又は隣接する拡張部分同士の間に設置されて隙間を塞いでもよい材料を備えてもよい。例えば、材料は、最初に、内部部分に導入されてもよく、そして、アクチュエータがファスナによって受け取られて１つ又は複数の拡張部分を外向きに押すとき、本体と拡張部分との間、又は隣接する拡張部分同士の間の隙間の中に侵入するように設置されてもよい。

【0032】

変形可能材料が、ファスナの内部に注入されてもよく、そして、細菌の形成又は蓄積を実質的に防止するように配列された抗菌性物質を備えてもよい。変形可能材料は、また、ファスナが拡張構成にあるとき、本体の軸線に沿った隙間を塞ぐために使用されてもよい。変形可能材料は、ゴム等のポリマー材料を含んでもよい。

【0033】

その代替又は追加として、ファスナは、また、コーティングを備えてもよく、このコーティングは、コーティングにおいて骨の成長を実質的に抑制又は低減する化学的性質を有することにより、拡張部分と本体との間での骨の内殖が、ファスナが拡張構成にあるときに低減される。

【0034】

ファスナは、一般的に生体適合材料から形成される。

【0035】

ファスナは、作用部材が取り外されるとき、拡張部材が内向きに押すように配列されてもよい。

【0036】

ファスナが取り外されなければならないときに拡張部分が収縮できない場合、ファスナは、拡張部分の収縮が始動され得るように配列されてもよい。例えば、ファスナは、拡張部分と係合するように配列された取外し要素を備えてもよく、取外し要素は、骨の穿孔からのファスナの取外しが開始されるとき、拡張部分を収縮させるように配列される。

【0037】

ファスナは、本体の中に挿入するように配列され、そして、ファスナが拡張構成にあるとき、拡張部分と係合するように構成された取外し要素を備えてもよく、取外し要素は、取外し要素がファスナの軸線に沿って穿孔から離れる方向に動かされるとき、拡張部分を収縮させるように配列される。

【0038】

１つの例では、取外し要素は、本体に取り付けられているか又はその部分であり、そして、ファスナは、拡張部分が本体の軸線に沿って動かされるとき、拡張部分が内向きに動かされるように配列される。

【0039】

その代替として、取外し要素は、別の機器（平板、脊髄内釘、又はロッド等）の部分であってもよく、又はそれに結合されてもよく、そして、ファスナは、別の機器を有する取外し要素が本体の軸線に沿って動かされるとき、十分に短縮されないならば、拡張部分が内向きに押すように配列されてもよい。

【0040】

取外し要素は、作用部材が取り外されるとき、拡張部分を内向きに押すばね要素又は弾性要素であってもよい。例えば、ばね要素又は弾性要素は、ファスナの少なくとも一部分を囲む弾性リング又はばねクリップの形式で提供されてもよい。

【0041】

ファスナは、取外し要素としても機能する作用要素を備えてもよい。

【0042】

拡張部分及び作用要素のうちの一方は、孔を備えてもよく、拡張部分及び作用要素のうちの他方は、孔内部に係合するための好適な突起を備えてもよい。孔及び突起のうちのいずれか一方又は両方は、係合を容易にするためにテーパ形状であってもよい。

【0043】

作用要素と拡張部分とは、作用要素がファスナの軸線に沿って穿孔から離れる方向に動かされるとき、作用部材が拡張部分と係合し、拡張部分を拡張構成から収縮構成まで強制的に動かすように配列されてもよい。

【0044】

作用要素は、リンク機構を介して拡張部分に結合されている中央ロッドを備えてもよく、作用要素がファスナの軸線に沿って異なる位置まで動くとき、拡張部分が収縮構成と拡張構成との間で動くように、ファスナは配列され、そしてリンク機構が設置される。

【0045】

ファスナの本体は、それ自体の長さの少なくとも一部分に沿ってねじ付き又は波状外面を有してもよい。

【0046】

拡張部分は、ファスナの軸線の周りの方向にテーパ形状である厚さを有することにより、拡張部分が拡張構成にあるとき、拡張部分は、対向する第２の側面部分におけるよりも、軸線からより遠く離れた１つの側面部分において突き出ている。

【0047】

当業者であれば、ファスナが様々な整形外科用途に対して使用されてもよいことを認識するであろう。例えば、ファスナは、骨折固定及び脊柱固定に対して、又は、脊髄内釘及び股関節ステムとして使用されてもよい。

【図面の簡単な説明】

【0048】

本発明の実施形態が、ここで単に例として添付図面を参照して説明される。

【図1】（ａ）及び（ｂ）は、本発明の実施形態に従うファスナを示す。

【図2】（ａ）及び（ｂ）は、図１に示すファスナの一部分を示す。

【図3】（ａ）〜（ｃ）は、本発明の実施形態に従うファスナの断面図である。

【図4】（ａ）及び（ｂ）は、本発明の実施形態に従うファスナの部分の斜視断面図である。

【図5】（ａ）は、収縮構成での、並びに（ｂ）及び（ｃ）は、拡張構成での本発明の実施形態に従うファスナの断面図である

【図6】本発明の更なる実施形態に従うファスナの側面図である。

【図7】本発明の実施形態に従うファスナの側面図である。

【図8】(ａ）〜（ｄ）は、本発明の実施形態に従うファスナの部分の断面図である。

【図9】（ａ）及び（ｂ）は、本発明の実施形態に従う拡張部分の端部部分及び取外し要素の端部部分の斜視図であり、並びに（ｃ）は、本発明の実施形態に従う拡張部分及び取外し要素の部分の断面図である。

【図10】（ａ）は、本発明の実施形態に従うファスナの断面図であり、（ｂ）は、図１０（ａ）のファスナの側面図である。

【図11】本発明の実施形態に従うファスナの断面図である。

【図12】（ａ）及び（ｂ）は、本発明の実施形態に従うファスナの部分の断面図である。

【図13】（ａ）は、本発明の実施形態に従うファスナの収縮構成での断面図であり、（ｂ）は、同じく拡張構成での断面図であり、及び（ｃ）は、同じく収縮構成での断面図である。

【図14】本発明の実施形態に従うファスナの側面図である。

【図15】（ａ）は、本発明の別の実施形態に従うファスナの収縮構成での断面図であり、及び（ｂ）は、同じく拡張構成での断面図である。

【図16】（ａ）は、本発明の別の実施形態に従うファスナの収縮構成での断面図であり、及び（ｂ）は、同じく拡張構成での断面図である。

【発明を実施するための形態】

【0049】

本発明の実施形態は、概して拡張可能ファスナに関する。例えば、ファスナは、骨折した骨を安定させるために使用される安定化部材を固定するための整形外科用途に対して使用されてもよい。ファスナは、骨の穿孔内に配置するように配列される。

【0050】

ファスナは、本体と、収縮構成と拡張構成との間で可動である拡張部分と、を有することにより、使用中、拡張部分は、本体から穿孔を囲む骨に向かって外向きに押す。ファスナは、拡張部分が拡張構成にあるとき、拡張部分と本体との間での、又は本体の内部区間への骨の内殖が実質的に回避されるように配列される。

【0051】

ファスナは、ファスナが拡張構成にあるとき、拡張部分のそれぞれの厚さが本体の厚さと重複するように配列されてもよい。それぞれの拡張部分は、一般的に、拡張部分の長さに沿って（及び、一般的に幅にもわたって）本体と接触することにより、拡張部分が拡張構成にあるとき、隙間が回避される。その代替又は追加として、ファスナは、層又は充填材等の要素を備え、この要素は、ファスナが拡張構成にあるとき、拡張部分と本体との間、又は、隣接する拡張部分同士の間の隙間の少なくとも一部分を覆うか又は塞ぐように配列される。

【0052】

ファスナは、作用部材を受け取るための中空内部領域を有し、この作用部材は、作用部材がファスナの内部領域の中へ動かされるとき、拡張部分と係合して拡張部分を外向きに押す。

【0053】

一般に、そのようなファスナは、以下のように骨に用意された予め穿設された穿孔の中に挿入されてもよい。ファスナは、収縮状態で、ファスナを保持する好適なツールと係合されて提供され、ファスナに対する並進又は回転移動を防止する。ツールは、次いでファスナを予め穿設された穿孔の中に挿入するために使用される。以下で更に詳細に説明するように、ファスナは、作用部材を備えてもよい。ツールは、作用部材がファスナの中に挿入されている間、ファスナとの係合状態に保持されることにより、ファスナと骨との間の相対的な並進又は回転移動を停止させる。作用部材は、次いでファスナの軸線に沿ってファスナ内部の中空空間の中に挿入されて、ファスナの遠位部分に向かって動かされる。その代替として、ファスナは、作用部材がファスナの本体内部で回転させられるように配列されてもよい。いずれの場合も、１つ又は複数の拡張部分は、作用部材が、１つ又は複数の拡張部分が穿孔と係合する拡張構成に向かって動く間、外向きに押す。

【0054】

ファスナは、以下のように穿孔から取り外されてもよい。最初に、ツールがファスナと係合されることにより、ツールに対するファスナの回転又は並進運動が防止される。ツールは、また、骨に対するファスナの並進及び回転運動を防止することになる。作用部材は、次いでファスナの軸線に沿った回転運動又は並進運動のいずれかによって取り外され、それによって、１つ又は複数の拡張部分が収縮構成へと収縮することにより、ファスナが穿孔から取り外されてもよい。以下で更に詳細に説明されることになる代替の変化において、作用部材は、また、取外し部材として機能してもよく、そして、１つ又は複数の拡張部分と係合して１つ又は複数の拡張部分を収縮構成へと動かしてもよい。

【0055】

ファスナの特定の例が、ここで、図１〜１６を参照して説明される。

【0056】

最初に図１（ａ）及び（ｂ）を参照すると、骨の穿孔内に設置されると締結するように拡張可能ファスナ１０が示されている。ファスナ１０は、軸線Ａと、拡張部分１６が設置される複数のレベルＬ１、Ｌ２、Ｌ３、及びＬ４と、を有する本体１４を有する。それぞれの拡張部分１６は、ファスナ１０の収縮構成と拡張構成との間で可動である。図１（ａ）は、収縮構成の拡張部分１６を示し、図１（ｂ）は、拡張構成の拡張部分１６を示す。

【0057】

使用中、それぞれの拡張部分１６は、本体１４から穿孔を囲む骨（図示せず）に向かって外向きに押す。この実施形態では、ファスナ１０は、軸線Ａを横断する平面において実質的に円形の断面形状を有する。ファスナ１０は、生体適合性材料から形成される。

【0058】

更に、ファスナ１０の本体１４は、それ自体の長さに沿ってねじ付き又は波状外面を有し、そして、拡張部分の長さの少なくとも一部分は、ねじ付き又は波状外面を備える。

【0059】

ここで図２（ａ）及び（ｂ）を参照すると、収縮構成（ａ）及び拡張構成（ｂ）の拡張部分１６を有するファスナ１０の一部分が示されている。拡張部分１６は、収縮構成から、本体１４から離れる方に外向きに押すように配列されることにより、拡張部分１６の厚さ「ｔ」の少なくとも一部分は、拡張部分１６の長さ「Ｌ」に沿って本体１４の一部分と重複する。１つの特定の実施形態では、拡張部分が本体と重複し、本体と接触することにより、拡張部分と本体との間の隙間が実質的に又は完全に回避される。

【0060】

ここで図３を参照すると、本発明の更なる実施形態に従うファスナ３０の断面図が示されている。図３（ａ）は、収縮構成のファスナ３０を示し、図３（ｂ）は、中間構成のファスナ３０を示し、そして、図３（ｃ）は、拡張構成のファスナ３０を示す。拡張部分３２は、本体部分３４同士の間に設置され、そして、使用中に骨と接触する弧状端面３５を有する。本体部分３４は、楔状接触面３７を有し、この楔状接触面は、拡張部分３２が拡張構成にあるとき、接触面３６において拡張部分３２を楔で締める。

【0061】

図４（ａ）は、本発明の更なる実施形態に従うファスナ４０の斜視断面図である。ファスナ４０は、本体部分４２と、拡張部分４４及び４５と、を備える。拡張部分４４及び４５は、それぞれ内側作用面４６及び４８を有する。拡張部分４４及び４５は、作用部材（図示せず）がファスナ４０の軸線に沿って受け取られてそれぞれ作用面４６、４８に当接して押すとき、外向きに押す。それぞれの拡張部分４４の作用面４６は、この実施形態では、先端部の方にテーパ形状である（又は、例えば凸状に湾曲していてもよい）。逆に、拡張部分４５の作用面４８が、その代わりに凹状に湾曲していることにより、拡張部分４５の側面部分における拡張部分４５の厚さが、拡張部分４４の厚さと比べて増加している。拡張部分４４、４５の側面部分は、拡張部分４４、４５が拡張構成にあるとき、拡張部分４４、４５の長さの少なくとも一部分に沿って、いずれの実施形態でも本体４２の表面とも重複している。しかし、拡張部分４５の作用面４８が窪んでいるか又は凹状であり、厚さが拡張部分４５の側面部分で増加しているので、拡張部分４５は、凸状の作用面を有する拡張部分４４と比べて、拡張部分４５と本体４２との間に隙間を形成することなく、更に拡張してもよく、このことが、拡張部分４５が拡張構成にあるとき、それぞれの拡張部分４５と本体４２との間での骨の内殖の可能性を低減する。

【0062】

上記の実施形態の変形では、拡張部分が、ファスナの軸線の周りの方向にテーパ形状である厚さを有することにより、拡張部分が拡張構成にあるとき、それぞれの拡張部分は、対抗する第２の側面部分におけるよりも軸線からより遠く離れた１つの側面部分において突き出ている。この実施形態は、作用部材が取り外されて、ファスナが拡張部分のより薄い側面部分に向かう方向に軸線の周りを回転させられるとき、拡張部分の収縮が促進されるという利点を提供する。

【0063】

一般に、それぞれの拡張部分は、曲げ領域を有し、この曲げ領域において、材料がより薄く、そして、拡張部分が拡張構成へと移るときに、この曲げ領域において拡張部分が顕著に（predominantly）曲がる。更に、それぞれの拡張部分は、内向きに傾斜している作用面を有する。曲げ区間は、弾性又は実質的に弾性変形を提供するためにできるだけ短くなければならない。より短い曲げ区間は、より大きい単位長さ当たりの拡張を可能にし、このことが固定強度を増加させる。より短い曲げ区間は、また、より強い戻り力を提供し、このことが運動を助ける。更に、より短い曲げ区間は、また、拡張角度を増加させ、このことが更に固定強度を増加させる。

【0064】

図４（ｂ）は、ファスナ４０の一部分の断面斜視側面図である。図は、拡張部分４４の曲げ領域４９及び傾斜作用面４６を示す。上記のように、拡張部分の曲げ領域を比較的短く設計することが有利である。更に、作用面を有する上側領域を比較的長く設計すること、及び／又は作用面の勾配を比較的緩やかで比較的大きい長さ部分に沿って延在するように設計することが有利であり、拡張部分４４が拡張構成にあるとき、拡張部分４４の側面部分の厚さが、拡張部分４４のより長い長さ部分に沿って（又は、全長に沿って）重複することにより、いかなる隙間も回避する。

【0065】

図５は、本発明の更なる実施形態に従う、(ａ）収縮構成及び（ｂ）拡張構成のファスナ５０の断面図である。

【0066】

ファスナ５０は、本体５２と、拡張部分５４と、を備える。この例では、本体５２の表面は、外側の薄い変形可能な材料の層５６を備え、この層は、拡張部分５４が外向きに押すとき、本体５２の接触面が、拡張部分５４の側壁とわずかに係合し、それによって、外側の薄い変形可能な材料の層５６が変形して、そうでなければ拡張部分５４と本体５２との間に形成することがある隙間の少なくとも一部分を塞ぐか又はそれと重複することを可能にするように配列される。このことは、材料の蓄積をもたらし、これが、拡張部分５４の一部分と重複する「縁部」５８によって図５（ｃ）に図式的に示されている。外側の薄い変形可能な材料の層は、例えば、本体５２を構成する材料と同一の金属材料から形成されてもよく、そして、場合によってはチタンから形成されてもよい。本体５２を囲む、外側の薄い変形可能な材料の層は、製造行程の間に組み込まれる、本体５２の拡張部であってもよい。

【0067】

当業者であれば、その代替として、拡張部分５４の部分が、この外側の薄い変形可能な材料の層を備えてもよいことがわかるであろう。

【0068】

図６は、本体６２と、拡張部分６４と、を備えるファスナ６０の側面図である。この例では、シーラント６６が、本体６２と拡張部分６４との間等の、骨の内殖が望ましくない領域に注入される。シーラント６６は、拡張部分６４が収縮構成から拡張構成まで押すときに、本体６２と拡張部分６４との間で圧搾されることにより、本体６２と拡張部分６４との間の隙間を覆うか又は塞ぎ、それによって、本体６２と拡張部分６４との間での骨の内殖を回避する。シーラント６６は、この実施形態では、ポリマー又はエラストマの混合物であり、そして、非粘着性であってもよい。シーラント６６は、また、シーラントのところでの骨の成長を抑制し、それによって、骨の内殖を抑制する物質を含んでもよい。

【0069】

図７は、本発明の実施形態に従う本体７２及び拡張部分７４を備えるファスナ７０の側面図である。ファスナ７０の外面は、薄い膜７６によってコーティングされている。薄い膜７６は、拡張部分７４が収縮構成から拡張構成まで動くにつれて伸長し、それによって、拡張部分７４が拡張構成にあるとき、いずれの隙間をも覆って望ましくない骨の内殖を回避させる。薄い膜７６は、この実施形態では、シリコーンゴム等の弾力性エラストマである。

【0070】

図８（ａ）〜（ｄ）は、ファスナ８０の断面図である。ファスナは、拡張部分８２を備える。この実施形態では、拡張部分８２は、作用面８４を有し、この作用面は、ファスナ８０の軸線Ａに沿って作用部材８６を受け取るように配列されることにより、拡張部分８２が図８（ｂ）に示すように軸線Ａから離れる方に外向きに押される。作用面８４を有する拡張部分８２は、また、作用部材８６が取り外されることによりファスナ８０が図８（ａ）に示す構成のような収縮構成まで動くときに、骨からファスナ８０の軸線に向かって内向きに押すように配列される。拡張部分８２は、作用部材８６が受け取られるか又は取り外されるときに、拡張部分８２がそれぞれ外向き及び内向きに弾力的に押すように構成されている。

【0071】

拡張部分８２が収縮できない場合、ファスナ８０と結合する取外し要素８９が使用されてもよい。拡張部分８２は、この実施形態では、内方にテーパ形状になる孔８８を備える。取外し要素８９は、突起を備え、この突起は、拡張部分８２と、そして拡張部分８２の孔８８内部で係合するように配列されることにより、取外し要素８９が、図８（ｃ）に示すような拡張構成の拡張部分８２と係合し終わって前方へ押されると、拡張部分８２が、内向きに動かされ、そしてファスナ８０が、図８（ｄ）に示すような収縮構成まで動かされる。

【0072】

図９（ａ）、（ｂ）、及び（ｃ）は、本発明の更なる実施形態に従うファスナ９０の部分を示す。ファスナ９０は、取外し要素として機能し、凹溝９４を有する作用部材９２を備える。ファスナ９０は、係合部分９８を有する拡張部分９６を更に備える。作用部材９２と拡張部分９６は、作用部材９２が軸線Ａに沿って受け取られて拡張部分９６に当接して押すとき、凹溝９４が拡張部分９６の係合部分９８と係合するように配列される。拡張部分９６と作用部材９２とが係合させられるので、拡張部分９６は、作用部材９２が挿入されるときに外向きに動き、そして、作用部材９２が後退させられるときには、穿孔を囲む骨から本体まで内向きに動く。

【0073】

図１０は、ファスナ１００の（ａ）断面図、及び（ｂ）側面図を示し、このファスナは、本体１０２と、拡張部分１０４と、ファスナ１００の外面１０５の一部分に結合された取外し要素１０６と、を備える。この実施形態では、取外し要素１０６が本体１０２及び拡張部分１０４に結合されていることにより、作用部材がファスナ１００の内部から取り外されるとき、収縮力を増加させて拡張部分１０４の収縮を誘導する。取外し要素１０６は、ポリマー材料から形成されたＯリング等の弾性リングである。その代替として、取外し要素１０６は、また、金属材料（チタン等）から形成されたばねクリップ等の好適なばねクリップであってもよい。

【0074】

図１１は、本体１１２と、２つの対向する拡張部分１１４と、を備えるファスナ１１０の断面図である。拡張部分１１４は、取外し要素としても機能する作用要素１１３に結合されている。作用要素１１３は、剛性の放射状リンク機構１１８に接続された中央ロッド１１６を備える。作用要素１１３がファスナ１１０の軸線Ａに沿って異なる位置まで動くときに、拡張部分１１４が収縮構成（ａ）と拡張構成（ｂ）との間で動くように、作用要素１１３が配列され、そしてリンク機構が設置されている。

【0075】

図１２（ａ）及び（ｂ）は、本発明の実施形態に従うファスナ１２０の部分の断面図である。この実施形態では、拡張部分１２２は端面１２３を有し、この端面は、実質的に弧状であることにより、拡張部分１２２が拡張構成にあるとき、周囲の成長する骨（図示せず）との拡張部分１２２の干渉が最小化される。更に、拡張部分１２２は、ねじ付き又は波状外面を有する上側区間１２４と、曲げ区間１２５と、を備え、この曲げ区間において、材料が上側区間１２４の材料よりも薄く、そして、この曲げ区間において、拡張部分１２２が拡張構成に向かって押すときに拡張部分１２２が卓越して曲がる。曲げ区間１２４は、本体１２６の外側周辺部の内側に設置され、本体１２６の一部分によって重複されている。

【0076】

この実施形態は、拡張部分１２２が拡張構成にあるとき、本体１２６と拡張部分１２２との間のいかなる隙間も実質的に回避しながら、拡張部分１２２のより大きい拡張角度を可能にし、このことが、ファスナ１２０の固定強度を更に増加させる。

【0077】

この実施形態は、ねじ付き又は波状外面を有する区間１２７が、曲げ区間１２５の外面に設置されることにより、拡張部分１２２が拡張構成にあるときに、本体１２６と拡張部分１２２との間の曲げ区間１２５の隙間を覆うか又は塞ぐことを更に可能にする。それによって、本体１２６と拡張部分１２２との間での骨の内殖が、拡張部分１２２が拡張構成にあるとき、曲げ区間１２５を囲む領域において防止され、そして、付加区間１２７のねじ付き又は波状外面が骨（図示せず）の穿孔内でのファスナ１２０の固定強度を更に増加させる。

【0078】

この実施形態では、作用部材１２８がファスナ１２０の軸線Ａに沿って受け取られて、拡張部分１２２を外向きに押すとき、抗菌性物質が注入された変形可能材料１２９によって、ファスナ１２０の本体１２６の軸線Ａに沿った隙間を塞ぐことにより、拡張部分１２２が拡張構成にあるときに、ファスナ１２０の本体１２６の軸線に沿った細菌の成長を防止することもまた可能である。変形可能材料１２９は、ゴムを含んでもよい。

【0079】

図１３は、（ａ）収縮構成、（ｂ）拡張構成、及び（ｃ）収縮構成にある、本発明の実施形態に従うファスナ１３０の断面図である。この実施形態では、作用部材１３２が、取外し要素として機能する。作用部材１３２が、「チューリップ」設計（ａ）の拡張部分１３４と係合することにより、拡張部分１３４は、作用部材１３２がファスナ１３０の軸線Ａに沿って穿孔から離れる方向に動かされるとき、拡張（ｂ）構成から収縮（ｃ）構成まで動くことを強制される。

【0080】

図１４は、本発明の実施形態に従う、骨１４１の穿孔内に挿入されたときの拡張構成のファスナ１４０の側面図である。ファスナ１４０は、本体１４２と、骨１４１の穿孔内に固定するための、ファスナ１４０の長さに沿って分布する３つのレベルの拡張部分１４４、１４６、及び１４８と、を備える。この実施形態では、１４４及び１４６等の少なくとも２つのレベルの拡張部分が、本体１４２の軸線Ａに沿って逆方向を向いている（１８０度だけ回転させられた拡張部分１４４が拡張部分１４６に匹敵する）。拡張部分１４４、１４６、及び１４８は、作用部材（図示せず）が本体１４２の軸線Ａに沿って受け取られて、拡張部分１４４、１４６及び１４８の作用面部分（図示せず）に当接して押すとき、本体１４２から骨１４１に向かって外向きに押す。逆方向を向いている、２つのレベルの拡張部分１４４及び１４６は、特に骨１４１が海綿状の骨よりも硬く高密度である皮質骨等で硬く高密度である場合、拡張構成にあるときに、穿孔を囲む骨１４１へのファスナ１４０の固定強度を増加させることを可能にする。

【0081】

図１５は、本発明の別の実施形態に従う、（ａ）収縮構成及び（ｂ）拡張構成のファスナ１５０の断面図である。この実施形態では、２対の拡張部分１５２と１５４とが、ファスナ１５０の軸線Ａに沿って異なる長手方向位置に設置されている。拡張部分１５２の対が拡張部分１５４の対に対向して向けられていることにより、拡張部分１５２の端部１５７は、拡張部分１５４のそれぞれの端部１５８に対向している。拡張部分１５２は、作用面１５９を有し、この作用面が、拡張部分１５４の近位端部から拡張部分１５２の端部１５７に向かってファスナ１５０の軸線Ａに沿って作用部材１５６を受け取るように配列されることにより、拡張部分１５２は、軸線Ａから離れる方に外向きに押される。拡張部分１５２の端部１５７は、拡張部分１５４の端部１５８と接触することにより、拡張部分１５２の拡張が拡張部分１５４を外向きに押す。更に、作用部材１５６が取り外されるとき、拡張部分１５４は、骨（図示せず）から離れる方に軸線Ａに向かって内向きに弾力でもって押す。端部１５７と１５８とが接触していることにより、拡張部分１５２は、内向きに押される端部１５８が対向する端部１５７に当接して動くとき、拡張部分１５４と一緒に内向きに押される。拡張部分１５２及び１５４の対は、対向する端部１５７と１５８との間の隙間が実質的に回避されるような態様で、拡張構成（ｂ）に向かって外向きに押す。

【0082】

図１６は、収縮構成（ａ）、及び拡張構成（ｂ）の、別の特定の実施形態に従うファスナ１６０の断面図である。この特定の実施形態では、ファスナ１６０は、本体１６２と、拡張部分１６４と、を備え、拡張部分１６４は、本体１６２内部に設置された拡張部材１６６の部分であり、拡張部材１６６は、ファスナ１６０の本体１６２の軸線Ａに沿って本体１６２に対して拡張部分１６４とともに可動である。ファスナ１６０は、ファスナ１６０の遠位端部１６８に設置された作用要素１６７を更に備え、拡張部分１６４を有する拡張部材１６６は、作用要素１６７に向かって又はそれから離れる方に可動である。作用要素１６７が頂点を有するテーパ面を有することにより、拡張部分１６４を有する拡張部材１６６が、ファスナ１６０の遠位端部１６８に向かって、及び作用要素１６７に向かって動かされるとき、拡張部分１６４を外向きに押すことが促進され、そして、拡張部分１６４は、拡張部分１６４を有する拡張部材１６６が作用面１６９によって受け取られる作用要素１６７に向かって更に動かされるとき、ファスナ１６０の軸線Ａから離れる方に外向きに押される。ファスナ１６０は、このように拡張構成（ｂ）に変えられる。

【0083】

更に、拡張要素１６６が作用要素１６７から離れる方に動かされるとき、拡張部分１６４は、内向きに作用要素１６８から離れる方に動くように押されることにより、ファスナ１６０は、収縮構成（ａ）に変えられる。

【0084】

多数の変化及び修正が、基本的な発明の概念から逸脱することなく、既に説明された変化及び修正に加えて、当業者の念頭に浮かぶであろう。全てのかかる変化及び修正は、本発明の範囲以内にあると見なされるべきであり、その範囲の性質は、前述の説明から決定されるべきである。例えば、ファスナは、必ずしも実質的に円形の断面形状を有しなくてもよく、その代わりに任意の別の好適な断面形状を有してもよい。更に、ファスナは、任意の好適な材料から形成されてもよい。

【図1】

【図2】

【図3(a)】

【図3(b)】

【図3(c)】

【図4(a)】

【図4(b)】

【図5(a)】

【図5(b)】

【図5(c)】

【図6】

【図7】

【図8(a)】

【図8(b)】

【図8(c)】

【図8(d)】

【図9(a)】

【図9(b)】

【図9(c)】

【図10(a)】

【図10(b)】

【図11(a)】

【図11(b)】

【図12(a)】

【図12(b)】

【図13(a)】

【図13(b)】

【図13(c)】

【図14】

【図15(a)】

【図15(b)】

【図16(a)】

【図16(b)】