(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明による抗菌パーソナル洗浄組成物は、洗浄界面活性剤を含む水性連続相(i)を含む。
【0012】
本明細書において使用される用語「水性連続相」とは、水を基剤とする連続相を意味する。
【0013】
適切には、本発明の組成物は、(組成物の総重量に基づいて)約50〜約90重量%、好ましくは約55〜約85重量%、より好ましくは約60〜約85重量%、最も好ましくは約65〜約83重量%の水を含む。
【0014】
洗浄界面活性剤は、1または複数種のアニオン性界面活性剤から適切に選択することができる。
【0015】
本発明における洗浄界面活性剤としての使用のための典型的なアニオン性洗浄界面活性剤としては、8〜14個の炭素原子、好ましくは10〜14個の炭素原子をその分子構造中に有する有機疎水性基;ならびに好ましくは硫酸塩、スルホン酸塩、サルコシン酸塩およびイセチオン酸塩から選択される少なくとも1種の水可溶化基を含む表面活性薬剤が挙げられる。
【0016】
このようなアニオン性界面活性剤の具体例としては、ラウリル硫酸アンモニウム、ラウレス硫酸アンモニウム、ラウリル硫酸トリメチルアミン、ラウレス硫酸トリメチルアミン、ラウリル硫酸トリエタノールアミン、ラウレス硫酸トリメチルエタノールアミン、ラウリル硫酸モノエタノールアミン、ラウレス硫酸モノエタノールアミン、ラウリル硫酸ジエタノールアミン、ラウレス硫酸ジエタノールアミン、ラウリン酸モノグリセリド硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウレス硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸カリウム、ラウレス硫酸カリウム、ラウリルサルコシン酸ナトリウム、ラウロイルサルコシン酸ナトリウム、ラウリルサルコシン、ココイル硫酸アンモニウム、ラウロイル硫酸アンモニウム、ココイル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ココイル硫酸カリウム、ラウリル硫酸カリウム、ココイル硫酸モノエタノールアミン、ラウリル硫酸モノエタノールアミン、トリデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ココイルイセチオン酸ナトリウムおよびこれらの混合物が挙げられる。
【0017】
本発明における洗浄界面活性剤としての使用に好ましい種類のアニオン性界面活性剤は、一般式:
R−O−(CH
2CH
2−O)
n−SO
3−M
+
(式中、Rは10〜14個の炭素原子を有する直鎖または分枝鎖アルキル基であり、nは、1〜5、好ましくは2〜3.5の範囲の、平均エトキシル化度を表す数字であり、Mはアルカリ金属、アンモニウムまたはアルカノールアンモニウムカチオン、好ましくはナトリウム、カリウム、モノエタノールアンモニウムもしくはトリエタノールアンモニウムまたはこれらの混合物である)
のアルキルエーテル硫酸塩である。
【0018】
このような好ましいアニオン性界面活性剤の具体例には、C
10〜C
12アルキル硫酸塩およびC
10〜C
12アルキルエーテル硫酸塩の、ナトリウム、カリウム、アンモニウムまたはエタノールアミン塩(例えば、ラウリルエーテル硫酸ナトリウム)が挙げられる。
【0019】
上記の物質の任意の混合物も使用することができる。
【0020】
本発明の典型的な組成物では、洗浄界面活性剤のレベルは、概して(組成物の総重量に基づいて)5〜26重量%の範囲である。
【0021】
本発明による抗菌パーソナル洗浄組成物は、皮膚および/または毛髪用の可溶化油性液体コンディショニング剤(iii)を含む。
【0022】
本発明の目的上、用語「油性液体」は、周囲条件下(1気圧、25℃)で、自重で流動することができる油を意味する。用語「油」は、水(蒸留水または等価物)と25℃において0.1wt%の濃度で混和しない非水性化合物を意味する。
【0023】
本発明で使用するための適切な油性液体コンディショニング剤(iii)は、一般に40℃で1000cS(mm
2・s
−1)以下、好ましくは500cS(mm
2・s
−1)以下、より好ましくは50cS(mm
2・s
−1)以下、最も好ましくは10cS(mm
2・s
−1)以下、例えば0.5〜10cS(mm
2・s
−1)の動粘度を有する。
【0024】
本発明で使用するための適切な油性液体コンディショニング剤(iii)は、一般に化粧品として許容される油、例えばシリコーン油、炭化水素系油およびこれらの混合物から選択され得る。
【0025】
本発明の目的のために、用語「シリコーン油」は、少なくとも1個のケイ素原子、より詳細には少なくとも1つのSi−O基を含有する油を意味する。用語「炭化水素系油」は、炭素原子および水素原子により形成され、ならびに酸素および窒素原子から形成されていてもよい、ケイ素またはフッ素原子を含まない油を意味する。これは、アルコール、エステル、エーテル、カルボン酸、アミンおよび/またはアミド基を含んでもよい。これらの油は、植物、鉱物または合成起源のものであってもよい。
【0026】
本発明で使用するための適切なシリコーン油の例としては、25℃において約0.65〜約50、好ましくは約1.5〜約5cS(mm
2・s
−1)の動粘度を有する直鎖状または環状シリコーン油が挙げられる。このような材料としては、2〜7個のシロキサン単位を有する直鎖または環状のポリジメチルシロキサン、例えば、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、オクタメチルトリシロキサン、ヘキサメチルジシロキサン、デカメチルテトラシロキサン、ドデカメチルペンタシロキサンおよびそれらの混合物が挙げられる。3〜5個のシロキサン単位を有する直鎖状ポリジメチルシロキサンおよびそれらの混合物が好ましい。このような材料は、例えばDow Corning(登録商標)200シリーズ流体として市販されている。
【0027】
本発明で使用するための好ましい油性液体コンディショニング剤(iii)は、一般に炭化水素系油から選択される。
【0028】
そのような材料の例としては、油性液体炭化水素、例えばC
4−C
50直鎖または分枝鎖、飽和または不飽和の脂肪族または脂環式炭化水素およびこれらの混合物が挙げられる。直鎖炭化水素は、好ましくは約12〜約30個の炭素原子を含有する。分枝鎖炭化水素は、典型的にはより多くの炭素原子を含有することができる。ポリマー性炭化水素、例えば、C
2−
6アルケニルモノマー(例えばポリイソブテン、ポリブテン)のポリマーおよび約6〜約16個の炭素、好ましくは約6〜約12個の炭素を有する1−アルケンモノマーから誘導されたポリα−オレフィン油(例えば、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、およびこれらの混合物から誘導されたポリマー)も適している。本発明で使用するためのポリマー性炭化水素は、直鎖または分枝鎖ポリマーであってもよく、水素化されていてもよい。そのようなポリマー材料の数平均分子量は広範囲に変動してよいが、典型的には約200〜約3000の範囲である。
【0029】
本発明で使用するための好ましい油性液体炭化水素には、鉱油が含まれる。本発明の文脈における用語「鉱油」は、一般に、200℃を超える沸点を有する飽和炭化水素の油性液体混合物を意味し、石油(すなわち、鉱物源)から得られる。鉱油の飽和炭化水素には、直鎖(パラフィン)、分枝鎖(イソパラフィン)および環状(ナフテン)構造、ならびに3つの立体配置すべてを含む分子が含まれ、炭化水素分子あたりの炭素原子の数が一般に約C
15〜約C
50の範囲である。本発明で使用するための適切な鉱油は、典型的には、様々な精製工程(例えば、蒸留、抽出および/または結晶化)およびその後の精製(例えば、酸処理および/または接触水素化処理)によって石油から得られる。
【0030】
鉱油はまた、それらの粘度の点で特徴付けることができる。「軽質」鉱油は、一般に40℃において約34cS(mm
2.s
−1)以下の動粘度を有し、「重質」鉱油は一般に40℃において約35cS(mm
2.s
−1)〜約240cS(mm
2.s
−1)の範囲の動粘度を有する。
【0031】
軽質鉱油(上記で定義した)が、本発明での使用に好ましい。より好ましくは、このような軽質鉱油は、40℃において約10cS(mm
2・s
−1)以下の動粘度を有する。最も好ましくは、動粘度は40℃において約3〜約5cS(mm
2・s
−1)の範囲である。このタイプの材料は、Lytol(登録商標)のブランド名でSonneborn Inc.から市販されている。
【0032】
本発明で使用するための適切な他の炭化水素系油としては、油性液体エステルが挙げられる。本発明で使用するための油性液体エステルは、一般に、少なくとも10個の炭素原子を有することを特徴とし、直鎖または分枝鎖のいずれであってもよい。エステルは、脂肪酸またはアルコール(例えば、モノエステル、多価アルコールエステル、およびジ−およびトリ−カルボン酸エステル)から誘導されたヒドロカルビル鎖を有することができる。ヒドロカルビル基は、アミドおよびアルコキシ部分(例えば、エトキシまたはエーテル結合)などの他の適合する官能基を含むかまたは共有結合してもよい。
【0033】
本発明で使用するための油性液体エステルの例としては:
脂肪族1価アルコールエステル、例えばC
1−C
18直鎖または分枝鎖の飽和または不飽和アルキルアルコールのC
5−C
22直鎖または分枝鎖の飽和または不飽和アルキルエステル(但し、エステル中の炭素原子の総数が少なくとも10個である)、例えば、パルミチン酸イソステアリル、イソノナン酸イソノニル、プロピオン酸ミリスチル、イソステアリン酸イソプロピル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸エチルヘキシル、酢酸セチル、プロピオン酸セチル、ステアリン酸セチル、ネオペンタン酸イソデシル、オクタン酸セチル、ステアリン酸イソセチル、ステアリン酸エチルヘキシル、およびこれらの混合物;
脂肪族多価アルコールエステル、例えばC
3−C
30直鎖または分枝鎖の飽和または不飽和ポリオールのC
5−C
22直鎖または分枝鎖の飽和または不飽和アルキルエステル(但し、エステル中の炭素原子の総数が少なくとも10個である)、例えばジペラルゴン酸プロピレングリコール、テトラオクタン酸ペンタエリスリチル、トリカプリル酸/トリカプリン酸トリメチロールプロパン、トリオクタノイン、テトラペラルゴン酸ペンタエリスリチル、トリオレイン酸ソルビタン、カプリル/カプリントリグリセリド、テトラオクタン酸ネオペンチルアルコール、およびこれらの混合物;
脂肪族ポリカルボン酸ポリエステル、例えばC
2−C
10直鎖または分枝鎖の飽和または不飽和ジカルボン酸のC
5−C
22直鎖または分枝鎖の飽和または不飽和アルキルジエステル(但し、エステル中の炭素原子の総数が少なくとも10個である)、例えば、アジピン酸ジイソプロピル、セバシン酸ジオクチル、コハク酸ジオクチル、マレイン酸ジオクチル、アジピン酸ジイソステアリル、セバシン酸ジエチル、フマル酸ジイソステアリル、アジピン酸ジオクチルおよびこれらの混合物;および/またはC
6−C
10直鎖または分枝鎖の飽和または不飽和トリカルボン酸のC
5−C
22直鎖または分枝鎖の飽和または不飽和アルキルトリエステル(但し、エステル中の炭素原子の総数が少なくとも10個である)、例えば、クエン酸トリオクチルドデシル、クエン酸トリイソステアリル、クエン酸トリイソプロピルおよびこれらの混合物;ならびに芳香族酸の脂肪族エステル、例えば安息香酸のC
12−C
15分枝または不飽和アルキルエステル
が挙げられる。
【0034】
本発明で使用するための好ましい油性液体エステルは、上記でより詳細に記載されている脂肪族一価および/または多価アルコールエステルから選択することができる。
【0035】
上記の物質の任意の混合物も使用することができる。
【0036】
本発明の組成物中の油性液体コンディショニング剤(iii)のレベルは、使用される(1または複数の)特定の材料に依存するが、一般に、組成物の総重量に基づいて約0.5〜約3重量%の範囲である。
【0037】
本発明による好ましい組成物において、油性液体コンディショニング剤(iii)は油性液体炭化水素、油性液体エステルおよびこれらの混合物から選択され、(組成物の総重量に基づいて)約0.45〜約2重量%、より好ましくは約0.5〜約1.5重量%の範囲のレベルである。
【0038】
本発明による特に好ましい組成物では、油性液体コンディショニング剤(iii)は、約0.5〜約1.5重量%(組成物の総重量に基づいて)の範囲のレベルの(上記で定義した)軽質鉱油である。
【0039】
本発明による組成物において、油性液体コンディショニング剤(iii)は水性連続相(i)に紐状ミセル中で可溶化される。典型的には、可溶化油性液体コンディショニング剤(iii)は、相分離に対して安定なマイクロエマルジョンを形成する。
【0040】
本発明の文脈における「紐状ミセル」は、水中の界面活性剤分子の自己組織化によって形成される細長い柔軟な凝集体である。閾値濃度を超えると、紐状ミセルは一時的なネットワークに絡み合い、ポリマー溶液を連想させ、粘弾性を示す。しかし、共有結合したポリマー主鎖とは異なり、このミセルは溶媒との熱力学的平衡状態にあり、ブラウン運動の下で永続的に破壊され再形成される。これは、課されたせん断または伸張流のもとで変化し得るミセルの長さの広範囲かつ動的な分布をもたらす。
【0041】
紐状ミセルは、広範囲の長さスケールにわたるいくつかの構造パラメータによって完全に記述することができる。ミセルの全長は、輪郭長さLと呼ばれ、数(例えば、約1〜10)ナノメートルから数(例えば、約1または2)ミクロンまで変動する。Cryo−TEMは、ミセルの直接的な視覚化を提供し、輪郭の長さを推定するのに使用することができ、一方、光および中性子散乱によりさらに正確な決定が得られる。紐状ミセルの半径は、典型的には、数(例えば、約1〜10)nmである。紐状ミセルの記述における別の重要な構造パラメータは持続長l
pであり、この長さを超えるとミセルが硬質であると考えられる。紐状ミセルは非常に柔軟であり、長さがマイクロメータであるが、その大きな断面は、(l
pの)より小さい長さスケールでは、それらが剛性ロッドとして作用することを意味する。レオロジー、光および中性子散乱、および流動複屈折などの技術は、l
pおよびシミュレーションを推定するために使用されてきた。実験的には、約10〜約40nmの持続長が中立系で報告されている。荷電した紐状ミセルの場合、持続長は、界面活性剤の構造、対イオンおよび塩の濃度によって大きく変化するが、典型的には数十ナノメートル(例えば、約30〜約100nm)である。
【0042】
油性液体コンディショニング剤(iii)は、少なくとも1種の無機電解質と、上で定義した一般式R(X)
nの少なくとも1種のリンカー分子とを組み込むことによって水性連続相に紐状ミセル中で可溶化される。
【0043】
本発明の文脈における「リンカー分子」は、界面活性剤−油または界面活性剤−水の相互作用を増強する界面活性剤系に使用される化学添加剤である。親油性リンカーは、界面活性剤の尾部に近い界面の油側に偏析する。親油性リンカーの存在は、界面活性剤の油相への影響をより深く広げ、油分子のさらなる配向を促進し得る。親水性リンカーは、界面活性剤様の分子であり、油/水界面で界面活性剤と共吸着するが、油分子との相互作用は最小限である。油/水界面における親水性リンカーの吸着は、全界面面積を増加させる。
【0044】
上記一般式R(X)
nのRは、好ましくは、フェニル環または3〜12個の炭素原子を有する一価、二価もしくは三価の直鎖のアルキル鎖もしくはヒドロキシアルキル鎖である。
【0045】
本発明で使用するための好ましいリンカー分子としては:
上記定義の式R(X)
nの芳香族カルボン酸(式中、Rはフェニル環であり、nは1または2であり、各Xは−COOHおよび−COO
−M
+基(式中Mは上記で定義した通りであり、好ましくはナトリウムまたはカリウムである)から独立して選択される);
上記定義の式R(X)
nの直鎖脂肪族モノ−、ジ−またはトリカルボン酸(式中、Rは、3〜12個、好ましくは6〜10個の炭素原子を有する一価、二価または三価の直鎖のアルキル鎖またはヒドロキシアルキル鎖であり、各Xは−COOHおよび−COO
−M
+基(式中Mは上記で定義した通りであり、好ましくはナトリウムまたはカリウムである)から独立して選択される);ならびに
上記定義の式R(X)
nの直鎖脂肪族ジオール(式中、Rは3〜12個の炭素原子を有する二価直鎖アルキル鎖である)
が挙げられる。
【0046】
本発明で使用するための好ましいリンカー分子の例としては、安息香酸、クエン酸、フタル酸、カプリル酸、ラウリン酸、アゼライン酸(および/またはそれらのナトリウム塩もしくはカリウム塩)および1,12−ドデカンジオールが挙げられる。
【0047】
上記の物質の任意の混合物も適切であり得る。
【0048】
本発明の組成物中の(上記定義の)リンカー分子のレベルは、好ましくは、組成物の総重量に基づいて約0.01〜約1重量%、より好ましくは約0.02〜約0.5重量%、最も好ましくは約0.05〜約0.15重量%の範囲である。
【0049】
本発明の組成物中の可溶化油性液体コンディショニング剤(iii)対(上記定義の)リンカー分子の重量比は、概して、約15:1〜約1:1、好ましくは約12:1〜約6:1より好ましくは約10:1〜約8:1である。
【0050】
本発明による特に好ましい組成物は、上記の量および比率で、可溶化油性液体コンディショニング剤(iii)としての軽質鉱油と組み合わせてリンカー分子としてカプリル酸を含む。
【0051】
本発明による組成物は、少なくとも1種の無機電解質を含む。無機電解質は、油性液体コンディショニング剤(iii)の可溶化を補助し、組成物に粘度を付与するために使用される。
【0052】
本発明の組成物の粘度は、Brookfield V2粘度計(スピンドルRTV5、1分、20rpm)を用いて30℃で測定した場合、3,000〜10,000mPa.s、好ましくは4,000〜9,000mPa.sの範囲が適切である。
【0053】
適切な無機電解質としては、金属塩化物(塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化亜鉛、塩化第二鉄および塩化アルミニウムなど)および金属硫酸塩(硫酸ナトリウムおよび硫酸マグネシウムなど)が挙げられる。
【0054】
本発明で使用するための好ましい無機電解質の例としては、塩化ナトリウム、塩化カリウム、硫酸マグネシウムおよびこれらの混合物が挙げられる。
【0055】
上記の物質の任意の混合物も適切であり得る。
【0056】
本発明の組成物中の無機電解質のレベルは、使用される特定の油性液体コンディショニング剤(iii)に依存するが、一般に、(組成物の総重量に基づいた無機電解質の総重量で)約1〜約25%、好ましくは約1.5〜約20%の範囲である。
【0057】
本発明による特に好ましい組成物は、無機電解質として塩化ナトリウムを上記の量で含む。
【0058】
本発明の組成物は、1または複数種の亜鉛含有抗菌剤の分散粒子を含む分散相(ii)を含む。
【0059】
本発明で使用するための亜鉛含有抗菌剤の好ましい例は、亜鉛ピリチオン(ZPT)である。
【0060】
亜鉛ピリチオン(ZPT)は以下の化学構造を有する:
【化1】
【0061】
亜鉛ピリチオン粒子は、非晶質であってもよく、またはロッド、針状、ブロック、小板状およびこれらの混合物などの様々な規則的または不規則な結晶形をとってもよい。亜鉛ピリチオン粒子の平均粒径(最大寸法)は、例えばHoriba LA−910レーザー散乱粒度分布測定装置を使用して決定した場合、典型的には、約0.1〜約50μm、好ましくは約0.1〜約10μm、より好ましくは約0.1〜約5μmである。
【0062】
本発明で用いることができる他の亜鉛含有抗菌剤としては、有機酸の亜鉛塩、無機酸の亜鉛塩、酸化亜鉛、水酸化亜鉛およびこれらの混合物が挙げられる。
【0063】
そのような材料の好ましい例には、酸化亜鉛、クエン酸亜鉛、マロン酸亜鉛、炭酸亜鉛およびこれらの混合物が含まれる。
【0064】
上記の物質の任意の混合物も適切であり得る。
【0065】
本発明の組成物中の(1または複数の)亜鉛含有抗菌剤のレベルは、使用される(1または複数の)特定の材料に依存するが、一般に、組成物の総重量に基づいた(1または複数の)亜鉛含有抗菌剤の総重量で約0.1〜約5%の範囲である。本発明による特に好ましい組成物では、亜鉛含有抗菌剤は、組成物の総重量に基づいて、約0.2〜約3重量%、より好ましくは約0.25〜約2.5重量%の範囲のレベルの亜鉛ピリチオンである。
【0066】
本発明の組成物は、オクトピロックス(ピロクトンオラミン)、アゾール抗菌剤(例えば、クリンバゾール、ケトコナゾール)、硫化セレンおよびこれらの混合物などのさらなる抗菌剤も含むことができる。これらの物質が含まれる場合、それらの量は、組成物の総重量に基づいて約0.01〜約5重量%、好ましくは0.1〜3重量%、最適には約0.3〜約4重量%の範囲であり得る。
【0067】
本発明の組成物の分散相(ii)はまた、1マイクロメートル以下の平均液滴径(D3,2)を有する不揮発性シリコーンの乳化液滴を含むことができる。好ましくは、平均液滴径(D3,2)は1マイクロメートル以下、より好ましくは0.5マイクロメートル以下、最も好ましくは0.25マイクロメートル以下である。
【0068】
平均液滴径(D3,2)を測定する適切な方法は、Malvern Mastersizerのような機器を用いたレーザー光散乱によるものである。
【0069】
本発明の文脈における用語「不揮発性シリコーン」は、25℃において1000Pa未満の蒸気圧を有するシリコーンを意味する。
【0070】
本発明で使用するための適切なシリコーンとしては、ポリジオルガノシロキサン、特にポリジメチルシロキサン(ジメチコン)、ヒドロキシル末端基を有するポリジメチルシロキサン(ジメチコノール)、およびアミノ官能性ポリジメチルシロキサン(アモジメチコン)が挙げられる。
【0071】
適切なシリコーンは、好ましくは100,000を超える分子量、より好ましくは250,000を超える分子量を有する。
【0072】
本明細書で使用されるすべての分子量は、特に明記しない限り、重量平均分子量である。
【0073】
適切なシリコーンは、好ましくは50,000cS(mm
2・s
−1)超の動粘度、より好ましくは500,000cS(mm
2・s
−1)超の動粘度を有する。本発明の文脈におけるシリコーン動粘度は25℃において測定され、Dow Corning Corporate Test Method CTM004 1970年7月20日にも記載されているガラス毛細管粘度計を用いて測定することができる。
【0074】
本発明で使用するための適切なシリコーンは、Dow CorningおよびGE Siliconesなどの供給元から予備形成されたシリコーンエマルジョンとして入手可能である。このような予備形成されたシリコーンエマルジョンの使用は、処理の容易さおよびシリコーン粒経の制御にとって好ましい。このような予備形成されたシリコーンエマルジョンは、典型的には、適切な乳化剤をさらに含み、乳化重合などの化学乳化法によって、または高せん断ミキサーを使用する機械的乳化によって調製することができる。0.15マイクロメートル未満の平均液滴径(D3,2)を有する予備形成されたシリコーンエマルジョンは、一般にマイクロエマルジョンと呼ばれる。
【0075】
好適な予備形成シリコーンエマルジョンの例としては、エマルジョンDC2−1766、DC2−1784、DC−1785、DC−1786、DC−1788、DC−1310、DC−7123およびマイクロエマルジョンDC2−1865およびDC2−1870が挙げられ、すべてDow Corningから入手可能である。これらはすべてジメチコノールのエマルジョン/マイクロエマルジョンである。また、DC939(Dow Corning製)およびSME253(GE Silicones製)などのアモジメチコンエマルジョンも適している。
【0076】
上記のシリコーンエマルジョンの任意の混合物も使用することができる。
【0077】
含まれる場合、本発明の組成物中の乳化された非揮発性シリコーンの量は、(組成物の総重量に基づいたシリコーンの総重量で)0.05〜10%、好ましくは0.2〜8%の範囲であり得る。
【0078】
本発明の組成物は、好ましくは、1または複数種のカチオン性ポリマーを含む。このようなポリマーは、コンディショニング剤の送達を高め、それによって得られるコンディショニング利益を改善することができる。
【0079】
カチオン性ポリマーは、典型的には、カチオン性窒素含有基、例えば第4級アンモニウムまたはプロトン化アミノ基を含有する。カチオン性プロトン化アミンは、第1級、第2級または第3級アミン(好ましくは第2級または第3級)であり得る。カチオン性ポリマーの平均分子量は5,000〜1000万が好ましい。カチオン性ポリマーは、好ましくは0.2meq/gm〜7meq/gmのカチオン電荷密度を有する。
【0080】
本発明の文脈における用語「カチオン電荷密度」は、ポリマーが含まれるモノマー単位上の正電荷の数とモノマー単位の分子量の比を指す。電荷密度にポリマー分子量を乗じたものは、所与のポリマー鎖上の正に荷電した部位の数を決定する。
【0081】
カチオン性ポリマーのカチオン性窒素含有部分は、一般に、これらの反復単位の全部、またはより典型的には一部に置換基として存在する。カチオン性ポリマーは、第4級アンモニウムまたはカチオン性アミンにより置換された反復単位のホモポリマーまたはコポリマーであってもよく、非カチオン性繰り返し単位と組み合わされていてもよい。本発明で使用するための適切なカチオン性ポリマーには、カチオン性セルロース誘導体、カチオン性デンプン誘導体、およびカチオン性グアーガム誘導体などのカチオン性多糖ポリマーが含まれる。
【0082】
使用できる特に適切なタイプのカチオン性多糖ポリマーは、グアーヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロリド(Rhodia(登録商標)からJAGUAR(登録商標)の商標シリーズで市販されている)のようなカチオン性グアーガム誘導体である。そのような材料の例はJAGUAR(登録商標)C13S、JAGUAR(登録商標)C14、JAGUAR(登録商標)C15およびJAGUAR(登録商標)C17である。
【0083】
上記のカチオン性ポリマーの任意の混合物も使用することができる。
【0084】
含まれる場合、本発明の組成物中のカチオン性ポリマーの総レベルは、好ましくは、組成物の総重量に基づいて0.05重量%〜2重量%、より好ましくは0.1重量%〜0.5重量%である。
【0085】
本発明の組成物は、好ましくは、1または複数種の両性界面活性剤を含む。適切な両性界面活性剤はベタイン、例えば一般式R(CH
3)
2N
+CH
2COO
−(式中、Rはアルキルまたはアルキルアミドアルキル基であり、アルキル基は好ましくは10〜16個の炭素原子を有する)を有するベタインである。特に適切なベタインは、オレイルベタイン、カプリルアミドプロピルベタイン、ラウラミドプロピルベタイン、イソステアリルアミドプロピルベタインおよびココアミドプロピルベタインである。
【0086】
含まれる場合、両性界面活性剤の総レベルは、組成物の総重量に基づいて、一般に0.1重量%〜20重量%、好ましくは1重量%〜10重量%、より好ましくは1重量%〜5重量%である。
【0087】
本発明の組成物は、好ましくは、1または複数種の懸濁化剤を含む。適切な懸濁化剤としては、ポリアクリル酸、アクリル酸の架橋ポリマー、アクリル酸と疎水性モノマーとのコポリマー、カルボン酸含有モノマーとアクリル酸エステルとのコポリマー、アクリル酸とアクリル酸エステルとの架橋コポリマー、ヘテロ多糖ガムおよび結晶長鎖アシル誘導体が挙げられる。
【0088】
上記懸濁化剤のいずれかの混合物を使用することができる。アクリル酸と結晶性長鎖アシル誘導体との架橋ポリマーの混合物が好ましい。
【0089】
含まれる場合、懸濁化剤の総レベルは、組成物の総重量に基づいて、一般に0.1〜10重量%、好ましくは0.5〜6重量%、より好ましくは0.9〜4重量%である。
【0090】
組成物のpHは、好ましくは4〜7、より好ましくは5〜7の範囲である。
【0091】
本発明による組成物は、性能および/または消費者の受容性を高めるためにさらなる任意成分を含有してもよい。このような成分の例には、芳香剤、染料および顔料、pH調整剤ならびに防腐剤または抗菌剤が含まれる。これらの各成分は、その目的を達成するのに有効な量で存在する。一般に、これらの任意成分は、組成物の総重量に基づいて、5重量%までのレベルで個別に含まれる。
【0092】
典型的には、本発明の組成物は、毛髪に局所適用され、次いで、毛髪および頭皮にマッサージされる。次いで、組成物は毛髪および頭皮から水ですすぎ落とされ、その後、髪を乾燥させる。
【0093】
本発明を、以下の非限定的な実施例によってさらに例示するものであるが、すべてのパーセンテージは、特に明記しない限り、総重量に基づく重量%である。
【0094】
[実施例]
以下の表1に示す成分を有する毛髪洗浄シャンプー製剤を調製した。実施例1〜4は、本発明に従う製剤を示す。
【表1】
【0095】
亜鉛沈着の測定
表1に記載された製剤を、以下のプロトコルを使用して、未処理ヘアへのそれらの亜鉛沈着について評価した:
ヴァージンダークブラウンヨーロピアン(DBE)ヘアの2.5g/6インチのウェットスイッチに0.25gの試験製剤を適用する。試験製剤をスイッチ上で30秒間マッサージした後、温水で30秒間すすぐ。この処理を2回繰り返す。亜鉛の沈着はX線蛍光(XRF)によって測定する。各試験製剤について5つの複製を作製した。測定された亜鉛沈着の平均を表2に示す。
【表2】
【0096】
結果は、実施例1〜4(本発明による)が対照(本発明によらない)よりもかなり多くの亜鉛を沈着させることを示している。この亜鉛沈着の改善は、P値およびt検定の両方によって統計的に有意であることが確認された。
【0097】
表1に記載された製剤もまた、上記と同じ試験プロトコルを用いたが、代わりに二重に漂白されたヨーロピアンヘアの2.5g/6インチのウェットスイッチを使用して、損傷した毛髪へのそれらの亜鉛沈着について評価した。再度、各試験製剤について5つの複製を作製した。測定された亜鉛沈着の平均を表3に示す。
【表3】
【0098】
この結果もまた、実施例1〜4(本発明による)は対照(本発明によらない)よりもかなり多くの亜鉛を沈着させることを示している。この亜鉛沈着の改善は、P値およびt検定の両方によって統計的に有意であることが確認された。