特許第6983812号(P6983812)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6983812感光性樹脂組成物及びそれから調製される硬化膜
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6983812
(24)【登録日】2021年11月26日
(45)【発行日】2021年12月17日
(54)【発明の名称】感光性樹脂組成物及びそれから調製される硬化膜
(51)【国際特許分類】
   G03F 7/023 20060101AFI20211206BHJP
   G03F 7/075 20060101ALI20211206BHJP
   G03F 7/004 20060101ALI20211206BHJP
   C08F 22/20 20060101ALI20211206BHJP
【FI】
   G03F7/023
   G03F7/075 521
   G03F7/004 501
   C08F22/20
【請求項の数】5
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2018-556382(P2018-556382)
(86)(22)【出願日】2017年3月29日
(65)【公表番号】特表2019-517023(P2019-517023A)
(43)【公表日】2019年6月20日
(86)【国際出願番号】KR2017003421
(87)【国際公開番号】WO2017200201
(87)【国際公開日】20171123
【審査請求日】2020年2月19日
(31)【優先権主張番号】10-2016-0061371
(32)【優先日】2016年5月19日
(33)【優先権主張国】KR
(31)【優先権主張番号】10-2017-0039208
(32)【優先日】2017年3月28日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】509266480
【氏名又は名称】ローム・アンド・ハース・エレクトロニック・マテリアルズ・コリア・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000589
【氏名又は名称】特許業務法人センダ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジョン・ハン・ヤン
(72)【発明者】
【氏名】グン・ホ
(72)【発明者】
【氏名】ジン・クォン
(72)【発明者】
【氏名】ジョン−ホ・ナ
【審査官】 川口 真隆
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−193318(JP,A)
【文献】 特開2008−176037(JP,A)
【文献】 特開2015−146332(JP,A)
【文献】 特開2014−106250(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0052439(US,A1)
【文献】 韓国公開特許第10−2017−0053008(KR,A)
【文献】 特開2012−123391(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03F 7/023
G03F 7/075
G03F 7/004
C08F 22/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
感光性樹脂組成物の製造方法であって、
(A−1)2.38重量%の水酸化テトラメチルアンモニウムの水溶液に対して、事前硬化されたとき400〜2,000Å/秒の溶解速度を有する第1のシロキサンポリマーと、(A−2)1.5重量%の水酸化テトラメチルアンモニウムの水溶液に対して、事前硬化されたとき1,900〜8,000Å/秒の溶解速度を有する第2のシロキサンポリマーと、
(B)1,2−キノンジアジド化合物と、
(C)エポキシ化合物と、溶媒とを混合する工程を含み、
前記(A−1)第1のシロキサンポリマーの量比は、前記(A−1)第1のシロキサンポリマー及び前記(A−2)第2のシロキサンポリマーの混合物の総量に基づいて、60〜99重量%であり、前記(A−2)第2のシロキサンポリマーの量比は、前記(A−1)第1のシロキサンポリマー及び前記(A−2)第2のシロキサンポリマーの混合物の総量に基づいて、1〜40重量%である、感光性樹脂組成物の製造方法
【請求項2】
前記(C)エポキシ化合物が、以下の式1の繰り返し単位を含み、
【化1】
式1中、
が、水素またはC1−4アルキルであり、
が、C1−10アルキレン、C6−10アリーレン、C3−10シクロアルキレン、C3−10ヘテロシクロアルキレン、C2−10ヘテロアルキレン、R−O−R
【化2】
であり、
〜R10が各々独立して、C1−10アルキレンである、請求項1に記載の感光性樹脂組成物の製造方法
【請求項3】
前記(A−2)第2のシロキサンポリマーの量比が、前記(A−1)第1のシロキサンポリマー及び前記(A−2)第2のシロキサンポリマーの混合物の総量に基づいて、1〜20重量%である、請求項1に記載の感光性樹脂組成物の製造方法
【請求項4】
前記シロキサンポリマーが、以下の式2により表されるシラン化合物に由来する構造単位を含み、
[式2]
(RSi(OR4−n
式2中、Rが、1〜12個の炭素原子を有するアルキル、2〜10個の炭素原子を有するアルケニル、または6〜15個の炭素原子を有するアリールであり、複数のRが同じ分子中に存在する場合、各Rは同じでも、異なっていてもよく、Rがアルキル、アルケニル、またはアリールである場合、水素原子は部分的または全体的に置換されていてもよく、Rがヘテロ原子を有する構造単位を含んでいてもよく、
が、水素、1〜6個の炭素原子を有するアルキル、2〜6個の炭素原子を有するアシル、または6〜15個の炭素原子を有するアリールであり、複数のRが同じ分子中に存在する場合、各Rは同じでも、異なっていてもよく、Rがアルキル、アシル、またはアリールである場合、水素原子は部分的または全体的に置換されていてもよく、
nが、0〜3の整数である、請求項1に記載の感光性樹脂組成物の製造方法
【請求項5】
前記シロキサンポリマーが、式2(式中nが0である)のシラン化合物に由来する構成単位を含む、請求項4に記載の感光性樹脂組成物の製造方法
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、感光性樹脂組成物及びそれから調製される硬化膜に関する。より具体的には、本発明は、高い透明度及び優れた耐薬品性を有する感光性樹脂組成物、ならびに液晶表示装置または有機発光(EL)表示装置で使用され得るそれから調製される硬化膜に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、透明な平坦化膜が、絶縁のために薄膜トランジスタ(TFT)基板上に形成されて、液晶表示装置または有機EL表示装置において、透明電極とデータ線との間の接触を防止する。データ線の近くに配置された透明な画素電極を介して、パネルの開口率を高め、高輝度値/高解像度を達成することができる。かかる透明平坦化膜を形成するためには、いくつかの処理ステップが用いられて特定のパターン形状が付与され、より少ない処理ステップしか必要とされないため、ポジ型感光性樹脂組成物がこのプロセスで広く用いられている。特に、シロキサンポリマーを含有するポジ型感光性樹脂組成物は、高耐熱性、高透明度、及び低誘電率を有する材料としてよく知られている。
【0003】
韓国特許出願公開第2006−059202号は、20モル%以下の量比でフェノール性ヒドロキシル基を含有するシロキサンポリマーと、その中のフェノール性ヒドロキシル基に対してオルトまたはパラ位にメチル基を含有していないキノンジアジド化合物と、溶媒として、アルコール性ヒドロキシル基を含有する化合物及び/またはカルボニル基を含有する環式化合物とを含む組成物を開示しており、ここで、この組成物から調製された硬化膜は、少なくとも95%の透過率を有し、特定の色度座標を満たす。
【0004】
しかしながら、かかるシロキサン組成物を含有する従来のポジ型感光性組成物を使用して調製される平坦化膜、または同じ組成物を用いる表示装置は、硬化膜が、後処理で使用される溶媒、酸、塩基などに浸漬されるか、またはそれらと接触した際に、硬化膜が基板から隆起または剥離するなどの制限を有する場合がある。さらに、高感度に対する要求が高まると共に、処理時間を短縮するために、後処理で使用される溶媒、酸、アルカリなどの濃度が従来よりも高くなっており、良好な耐薬品性を有する硬化膜を形成し得る感光性樹脂組成物に対する要求が高まっている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、後処理で使用される化学薬品(溶媒、酸、アルカリなど)に対する優れた耐薬品性を有する高い透明度の硬化膜を形成し得る感光性樹脂組成物を提供し、また、液晶表示装置または有機EL表示装置で使用されるそれから調製される硬化膜を提供することが本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、
(A)水酸化テトラメチルアンモニウムの水溶液に対して異なる溶解速度を有する2つ以上のシロキサンポリマーの混合物と、
(B)1,2−キノンジアジド化合物と、
(C)エポキシ化合物と、を含む感光性樹脂組成物を提供し、
(A)シロキサンポリマーの混合物が、(A−1)2.38重量%の水酸化テトラメチルアンモニウムの水溶液に対して、事前硬化されたとき400〜2,000Å/秒の溶解速度を有する第1のシロキサンポリマーと、(A−2)1.5重量%の水酸化テトラメチルアンモニウムの水溶液に対して、事前硬化されたとき1,900〜8,000Å/秒の溶解速度を有する第2のシロキサンポリマーと、を含む。
【発明の効果】
【0007】
本発明の感光性樹脂組成物は、水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)の水溶液に対して異なる溶解速度を有する2つ以上のシロキサンポリマーの混合物を含み、高感度の従来の特性を維持し得、同じ度合いの溶解速度を有する単一のシロキサンポリマーと比較すると、優れた耐薬品性を満たし得る。つまり、異なる溶解速度を有する2つ以上のシロキサンポリマーの使用を起因として、本発明の感光性樹脂組成物は、良好な保持率及び高解像度を導き、それにより、耐薬品性及び高感度を有する硬化膜を形成し得る。
【0008】
したがって、それから調製される硬化膜は、液晶表示装置または有機EL表示装置を構成する膜として有用であり得る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明による感光性樹脂組成物は、(A)TMAHの水溶液に対して異なる溶解速度を有する2つ以上のシロキサンポリマーの混合物と、(B)1,2−キノンジアジド化合物と、(C)エポキシ化合物とを含み、任意に、(D)溶媒及び/または(E)界面活性剤をさらに含み得る。
【0010】
以下に、感光性樹脂組成物の各構成成分が詳細に説明される。
【0011】
本開示において、「(メタ)アクリル」は、「アクリル」及び/または「メタクリル」を意味し、「(メタ)アクリレート」は、「アクリレート」及び/または「メタクリレート」を意味する。
【0012】
(A)シロキサンポリマーの混合物
シロキサンポリマー(ポリシロキサン)の混合物は、事前硬化後に、TMAHの水溶液に対して異なる溶解速度を有する2つ以上のシロキサンポリマーの混合物である。かかるシロキサンポリマーは、露光及び現像の処理を介して、ポジ型パターンを形成し得る。シロキサンポリマーの可溶性は、TMAHの水溶液に対する可溶性に基づいて比較され得、TMAHの水溶液に対して高い可溶性を有するシロキサンポリマーが、高感度を有するシロキサン樹脂の調製のための原材料として使用され得る。
【0013】
一方で、硬化膜が、約230℃の温度でシロキサンポリマーを含む感光性樹脂組成物の事後硬化により形成される場合、有機膜の形成後に使用される酸化インジウム亜鉛(IZO)のエッチング溶液またはリワーク溶液に対して耐薬品性を有することが必要とされる。耐薬品性が確保されていない場合、エッチング溶液またはリワーク溶液が、硬化膜中に染み込み、硬化膜の隆起が誘発され得る。追加の事後硬化が行われた際に硬化膜の厚みが復元され、隆起前の元の厚みに戻ったとしても、クラックの発生という欠陥が、有機膜上に堆積されるIZOなどの無機膜において生じ得る。上述されるように、エッチング溶液またはリワーク溶液は、TMAHの水溶液に対して高い可溶性を有するシロキサンポリマーを使用して形成される硬化膜中に容易に染み込み得、高感度及び良好な耐薬品性の両方を満たすのは困難である。
【0014】
本発明において、2つ以上の種類のシロキサンポリマーが使用され、ここで、1.5重量%のTMAHの水溶液に対して著しく速い溶解速度を有する少なくとも1つのシロキサンポリマーが、2.38重量%のTMAHの水溶液に対して一般的な溶解速度を有する少なくとも1つのシロキサンポリマーと混合される。例えば、シロキサンポリマーの混合物(A)は、(A−1)2.38重量%のTMAHの水溶液に対して、事前硬化後に400〜2,000Å/秒の溶解速度を有する第1のシロキサンポリマーと、(A−2)1.5重量%のTMAHの水溶液に対して、事前硬化後に1,900〜8,000Å/秒の溶解速度を有する第2のシロキサンポリマーと、を含む。
【0015】
TMAHの水溶液に対する単一のシロキサンポリマー及びシロキサンポリマーの混合物の溶解速度は、以下の通りに測定され得る:シロキサンポリマー試験片を、固体含有量が17重量%になるようにプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA、溶媒)に添加し、室温で1時間、撹拌機を使用して撹拌及び溶解し、シロキサンポリマー溶液を調製する。次いで、そのようにして調製された3ccのシロキサンポリマー溶液を、23.0±0.5℃の温度及び50±5.0%の湿度の条件下の清潔な室内でピペットを使用して、525μmの厚みを有する6インチのシリコンウェハの中心部上に落とし、ウェハをスピンコーティングして、2±0.1μmの厚みを有するコーティング膜を提供した。次いで、シリコンウェハを105℃で90秒間、熱板上で加熱して溶媒を除去し、分光エリプソメーター(Woollam Co.)を使用して硬化膜の膜の厚みを測定する。薄膜分析装置(TFA−11CT、Shinyoung Co.)により、2.38重量%のTMAHの水溶液または1.5重量%のTMAHの水溶液を使用して溶解時間に対する厚みを測定することにより、硬化膜を有するシリコンウェハから溶解速度を測定する。
【0016】
シロキサンポリマー(第1のシロキサンポリマー、第2のシロキサンポリマーなど)は、シラン化合物及び/またはその加水分解物の縮合物を含む。この場合、シラン化合物またはその加水分解物は、単官能から四官能のシラン化合物であり得る。結果として、シロキサンポリマーは、以下のQ型、T型、D型、及びM型から選択されるシロキサン構造単位を含み得る。
【0017】
−Q型シロキサン構造単位:例えば、四官能シラン化合物、または4つの加水分解性基を有するシラン化合物の加水分解物に由来し得る、シリコン原子及び4個の隣接する酸素原子を含むシロキサン構造単位。
【0018】
−T型シロキサン構造単位:例えば、三官能シラン化合物、または3つの加水分解性基を有するシラン化合物の加水分解物に由来し得る、シリコン原子及び3個の隣接する酸素原子を含むシロキサン構造単位。
【0019】
−D型シロキサン構造単位:例えば、二官能シラン化合物、または2つの加水分解性基を有するシラン化合物の加水分解物に由来し得る、シリコン原子及び2個の隣接する酸素原子を含むシロキサン構造単位。
【0020】
−M型シロキサン構造単位:例えば、単官能シラン化合物、または1つの加水分解性基を有するシラン化合物の加水分解物に由来し得る、シリコン原子及び1個の隣接する酸素原子を含むシロキサン構造単位。
【0021】
例えば、シロキサンポリマーは、以下の式2により表されるシラン化合物に由来する少なくとも1つの構造単位を含み得る。特に、第1のシロキサンポリマー及び第2のシロキサンポリマーの各々は、以下の式2により表されるシラン化合物及び/またはその加水分解物の縮合物であり得る。
[式2]
(RSi(OR4−n
【0022】
式2中、Rは、1〜12個の炭素原子を有するアルキル、2〜10個の炭素原子を有するアルケニル、または6〜15個の炭素原子を有するアリールであり得、複数のRが同じ分子中に存在する場合、各Rは同じでも、異なっていてもよく、Rがアルキル、アルケニル、またはアリールである場合、水素原子は部分的または全体的に置換されていてもよく、Rはヘテロ原子を有する構造単位を含んでいてもよく、
【0023】
は、水素、1〜6個の炭素原子を有するアルキル、2〜6個の炭素原子を有するアシル、または6〜15個の炭素原子を有するアリールであり、複数のRが同じ分子中に存在する場合、各Rは同じでも、異なっていてもよく、Rがアルキル、アシル、またはアリールである場合、水素原子は部分的または全体的に置換されていてもよく、
【0024】
nは、0〜3の整数である。
【0025】
ヘテロ原子を有する構造単位を含むRの例には、エーテル、エステル、及びスルフィドが含まれ得る。
【0026】
シラン化合物は、nが0である四官能シラン化合物、nが1である三官能シラン化合物、nが2である二官能シラン化合物、及びnが3である単官能シラン化合物であり得る。
【0027】
シラン化合物の特定の例には、例えば、四官能シラン化合物として、テトラアセトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラブトキシシラン、テトラフェノキシシラン、テトラベンジルオキシシラン、及びテトラプロポキシシラン;三官能シラン化合物として、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリイソプロポキシシラン、メチルトリブトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、エチルトリイソプロポキシシラン、エチルトリブトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、ペンタフルオロフェニルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、d−メチルトリメトキシシラン、ノナフルオロブチルエチルトリメトキシシラン、トリフルオロメチルトリメトキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、n−ブチルトリエトキシシラン、n−ヘキシルトリメトキシシラン、n−ヘキシルトリエトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、3−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリルオキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−アクリルオキシプロピルトリエトキシシラン、p−ヒドロキシフェニルトリメトキシシラン、1−(p−ヒドロキシフェニル)エチルトリメトキシシラン、2−(p−ヒドロキシフェニル)エチルトリメトキシシラン、4−ヒドロキシ−5−(p−ヒドロキシフェニルカルボニルオキシ)ペンチルトリメトキシシラン、トリフルオロメチルトリエトキシシラン、3,3,3−トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、[(3−エチル−3−オキセタニル)メトキシ]プロピルトリメトキシシラン、[(3−エチル−3−オキセタニル)メトキシ]プロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、及び3−トリメトキシシリルプロピルコハク酸;二官能シラン化合物として、ジメチルジアセトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、ジフェニルジフェノキシシラン、ジブチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、(3−グリシドキシプロピル)メチルジメトキシシラン、(3−グリシドキシプロピル)メチルジエトキシシラン、3−(2−アミノエチルアミノ)プロピルジメトキシメチルシラン、3−アミノプロピルジエトキシメチルシラン、3−クロロプロピルジメトキシメチルシラン、3−メルカプトプロピルジメトキシメチルシラン、シクロヘキシルジメトキシメチルシラン、ジエトキシメチルビニルシラン、ジメトキシメチルビニルシラン、及びジメトキシジ−p−トリルシラン;ならびに単官能シラン化合物として、トリメチルメトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、トリブチルメトキシシラン、トリブチルエトキシシラン、(3−グリシドキシプロピル)ジメチルメトキシシラン、及び(3−グリシドキシプロピル)ジメチルエトキシシランが含まれ得る。
【0028】
四官能シラン化合物の中でも、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、及びテトラブトキシシランが好ましく;三官能シラン化合物の中でも、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリイソプロポキシシラン、メチルトリブトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、エチルトリイソプロポキシシラン、エチルトリブトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、及び2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシランが好ましく;二官能シラン化合物の中でも、ジメチルジメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、ジフェニルジフェノキシシラン、ジブチルジメトキシシラン、及びジメチルジエトキシシランが好ましい。
【0029】
かかるシラン化合物は、単独で、またはそれらの2つ以上の組み合わせで使用され得る。
【0030】
式2により表されるシラン化合物の加水分解物またはその縮合物を調製するための条件は、特に限定されない。例えば、所望の加水分解物または縮合物は、エタノール、2−プロパノール、アセトン、及びブチルアセテートなどの溶媒中に式2のシラン化合物を希釈することと、それに、反応に必要な水、及び触媒として、酸(例えば、塩酸、酢酸、硝酸、シュウ酸など)または塩基(例えば、アンモニア、トリエチルアミン、シクロヘキシルアミン、TMAHなど)を添加することと、次いで、そのようにして得られた混合物を撹拌して、加水分解重合反応を完了させることとにより調製され得る。
【0031】
式2のシラン化合物の加水分解重合により得られる縮合物(シロキサンポリマー)の重量平均分子量は、好ましくは500〜50,000の範囲内であり、この範囲内において、感光性樹脂組成物は、現像剤内で望ましい膜形成特性、可溶性、及び溶解速度を有し得る。
【0032】
加水分解物またはその縮合物の調製のために使用される溶媒、及び酸または塩基触媒の種類または量は、限定することなく任意に選択され得る。加水分解重合は20℃以下の低温で行われ得るが、反応は加熱または還流により促進され得る。反応に必要とされる時間は、シランモノマーの種類または濃度、反応温度などに従って変動し得る。一般に、約500〜50,000の重量平均分子量を有する縮合物を得るために必要とされる反応時間は、15分〜30日の範囲内であるが、本発明における反応時間はこれに限定されない。
【0033】
シロキサンポリマーは、線状シロキサン構造単位(すなわち、D型シロキサン構造単位)を含み得る。線状シロキサン構造単位は、二官能シラン化合物、例えば、式2のシラン化合物に由来し得、式中、nは2である。特に、シロキサンポリマーは、Si原子のモルに基づいて、0.5〜50mol%、及び好ましくは1〜30mol%の量で式2のシラン化合物に由来する構造単位を含み得、式中、nは2である。この範囲内において、硬化膜は一定の硬度を維持し得、かつ柔軟性を示し得、それにより、外部応力に対する耐クラック性がさらに改善する。
【0034】
シロキサンポリマーは、式2のシラン化合物に由来する構造単位を含み得、式中、nは1である(すなわち、T型構造単位)。例えば、シロキサンポリマーは、Si原子のモルに基づいて、40〜85mol%、及び好ましくは50〜80mol%の比で式2のシラン化合物に由来する構造単位を含み得、式中、nは1である。このモル範囲内において、感光性樹脂組成物は、より精密なパターンを形成するのにより有利であり得る。
【0035】
加えて、シロキサンポリマーは好ましくは、硬化膜の硬度、感度、及び保持率の点でアリール基を有するシラン化合物に由来する構造単位を含み得る。例えば、シロキサンポリマーは、Si原子のモルに基づいて、30〜70mol%、及び好ましくは35〜50mol%のモル比でアリール基を有するシラン化合物に由来する構造単位を含み得る。この範囲内において、シロキサンポリマーと1,2−キノンジアジド化合物(B)との相溶性は良好であり、よって、硬化膜のより好ましい透明度を達成しつつ、感度の過剰な低下を防止することができる。Rとしてアリール基を有するシラン化合物に由来する構造単位は、式2(式中、Rはアリールである)のシラン化合物、好ましくは、式2(式中、nは1であり、Rはアリールである)のシラン化合物、及び特に、式2(式中、nは1であり、Rはフェニル(すなわち、T−フェニル型構造単位)である)のシラン化合物に由来する構造単位であり得る。
【0036】
シロキサンポリマーは、式2のシラン化合物に由来する構造単位を含み得、式中、nは0である(すなわち、Q型構造単位)。例えば、シロキサンポリマーは、Si原子のモルに基づいて、10〜40mol%、または15〜35mol%のモル比で式2のシラン化合物に由来する構造単位を含み得、式中、nは0である。このモル範囲内において、感光性樹脂組成物は、パターン形成中にアルカリ性水溶液中のその溶解性を適正な程度に維持し得、それにより、組成物の可溶性の低減または可溶性の極端な増加により引き起こされる任意の欠陥を防止し得る。
【0037】
用語「Si原子のモルに基づくmol%」は、本明細書で使用される場合、シロキサンポリマーを構成する構造単位の全ての中に含有されるSi原子のモルの合計数に対する、特定の構造単位中に含有されるSi原子のモルの数の割合を指す。
【0038】
シロキサンポリマー中のシロキサン単位のモル量は、Si−NMR、H−NMR、13C−NMR、IR、TOF−MS、元素分析、灰分測定などの組み合わせから測定され得る。例えば、フェニル基を有するシロキサン単位のモル量を測定するために、全シロキサンポリマーに関してSi−NMR分析が行われ、次いでフェニル結合Siピーク面積及びフェニル非結合Siピーク面積が分析され、その間のピーク面積比からモル量が計算され得る。
【0039】
本発明の感光性樹脂組成物は、溶媒を除外した全固体含有量に基づいて、50〜95重量%、及び好ましくは65〜90重量%の量比でシロキサンポリマーを含み得る。この範囲内において、樹脂組成物は、好適なレベルでその現像性を維持し得、それにより、改善された膜保持率及びパターン解像度を有する硬化膜を生成する。
【0040】
シロキサンポリマーの混合物は、シロキサンポリマーの混合物の総量に基づいて、1〜40重量%、及び好ましくは1〜20重量%の量比で第2のシロキサンポリマー(A−2)を含み得る。この範囲内において、樹脂組成物は、好適なレベルでその現像性を維持し得、それにより、改善された膜保持率及びパターン解像度を有する硬化膜を生成する。
【0041】
シロキサンポリマーの混合物は、シロキサンポリマーの混合物の総量に基づいて、60〜99重量%、及び好ましくは80〜99重量%の量比で第1のシロキサンポリマー(A−1)を含み得る。この範囲内において、樹脂組成物は、好適なレベルでその現像性を維持し得、それにより、改善された膜保持率及びパターン解像度を有する硬化膜を生成する。
【0042】
(B)1,2−キノンジアジド化合物
本発明による感光性樹脂組成物は、1,2−キノンジアジド化合物(B)を含む。1,2−キノンジアジド化合物は、フォトレジスト分野において感光剤として使用される任意の化合物であり得る。
【0043】
1,2−キノンジアジド化合物の例には、1,2−ベンゾキノンジアジド−4−スルホン酸または1,2−ベンゾキノンジアジド−5−スルホン酸を有するフェノール性化合物のエステル、1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルホン酸または1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸を有するフェノール性化合物のエステル、フェノール性化合物のヒドロキシル基が1,2−ベンゾキノンジアジド−4−スルホン酸または1,2−ベンゾキノンジアジド−5−スルホン酸を有するアミノ基で置換される化合物のスルホンアミド、フェノール性化合物のヒドロキシル基が1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルホン酸または1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸を有するアミノ基で置換される化合物のスルホンアミド、(2−ジアゾ−1−ナフトン(naphthone)−5−スルホニルクロリド)のエステルが含まれ得る。上記の化合物は、単独で、またはそれらの2つ以上の組み合わせで使用され得る。
【0044】
フェノール性化合物の例には、2,3,4−トリヒドロキシベンゾフェノン、2,4,6−トリヒドロキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,3,3’,4−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,3,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、ビス(2,4−ジヒドロキシフェニル)メタン、ビス(p−ヒドロキシフェニル)メタン、トリ(p−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1,1−トリ(p−ヒドロキシフェニル)エタン、ビス(2,3,4−トリヒドロキシフェニル)メタン、2,2−ビス(2,3,4−トリヒドロキシフェニル)プロパン、1,1,3−トリス(2,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)−3−フェニルプロパン、4,4’−[1−[4−[1−[4−ヒドロキシフェニル]−1−メチルエチル]フェニル]エチリデン]ビスフェノール、ビス(2,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)−2−ヒドロキシフェニルメタン、3,3,3’,3’−テトラメチル−1,1’−スピロビインデン−5,6,7,5’,6’,7’−ヘキサノール、2,2,4−トリメチル−7,2’,4’−トリヒドロキシフラバンなどが含まれ得る。
【0045】
1,2−キノンジアジド化合物のより具体的な例には、2,3,4−トリヒドロキシベンゾフェノン及び1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルホン酸のエステル、2,3,4−トリヒドロキシベンゾフェノン及び1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸のエステル、4,4’−[1−[4−[1−[4−ヒドロキシフェニル]−1−メチルエチル]フェニル]エチリデン]ビスフェノール及び1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルホン酸のエステル、4,4’−[1−[4−[1−[4−ヒドロキシフェニル]−1−メチルエチル]フェニル]エチリデン]ビスフェノール及び1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸のエステル、4,4’−[1−[4−[1−(4−ヒドロキシフェニル)−1−メチルエチル]フェニル]エチリデン]ビス[フェノール]を有する(2−ジアゾ−1−ナフトン(naphthone)−5−スルホニルクロリド)エステルなどが含まれ得る。上記の化合物は、単独で、またはそれらの2つ以上の組み合わせで使用され得る。上記の好ましい化合物を使用することにより、感光性樹脂組成物の透明度を改善し得る。
【0046】
1,2−キノンジアジド化合物は、シロキサンポリマーの混合物(A)の100重量部に基づいて、1〜40重量部、及び好ましくは3〜20重量部の範囲の量で感光性樹脂組成物中に含まれ得る。この量の範囲内において、樹脂組成物は、コーティング膜の粗面及び現像時のパターンの下部におけるスカムなどの欠陥を有することなくより容易にパターンを形成し得る。
【0047】
(C)エポキシ化合物
本発明の感光性樹脂組成物は、シロキサン結合剤の内部密度を高め、それにより、それから調製される硬化膜の耐薬品性を改善するために、シロキサンポリマーと共にエポキシ化合物を使用する。
【0048】
エポキシ化合物(C)は、以下の式1の繰り返し単位を含み得る。
【0049】
【化1】
【0050】
式1中、
が、水素またはC1−4アルキルであり、
が、C1−10アルキレン、C6−10アリーレン、C3−10シクロアルキレン、C3−10ヘテロシクロアルキレン、C2−10ヘテロアルキレン、R−O−R
【0051】
【化2】
【0052】
であり、
〜R10が各々独立して、C1−10アルキレンである。
【0053】
式1中、Rの具体的な例には、水素、メチル、エチル、プロピル、n−ブチル、イソブチル、及びtert−ブチルが含まれ得、好ましくは水素またはメチルが含まれ得る。
【0054】
の具体的な例には、メチレン、エチレン、プロピレン、ブチレン、ペンチレン、ヘキシレン、ヘプチレン、オクチレン、ノニレン、デシレン、フェニレン、−C−O−C−、−C−O−C−、−C−O−CH−、−C−O−C−、−C−O−CH−、−C−COO−C−、−C−COO−C−、−C−COO−CH−、−C−COO−C−、−C−COO−CH−、−C−COONH−C−、及び−C−CH(OH)−C−が含まれ得、好ましくは、メチレンまたは−C−O−CH−が含まれ得る。
【0055】
本明細書で使用される用語「ホモオリゴマー」は、別途記載されていない限り、重合のための同じ繰り返し単位を有するオリゴマーを意味し、式1の2つ以上の種類の繰り返し単位の場合を含み、かつ90重量%以上の式1の繰り返し単位の場合を含む。本発明のエポキシ化合物(C)は、式1の繰り返し単位を形成するモノマー間のホモオリゴマーであり得る。
【0056】
本発明で使用される式1の繰り返し単位を含む化合物は、周知の方法により合成され得る。
【0057】
エポキシ化合物は加えて、式1の構造単位(繰り返し単位)以外のモノマーに由来する構造単位を含み得る。
【0058】
式1の構造単位以外のモノマーに由来する構造単位の具体的な例には、スチレン;アルキル置換基を有するスチレン、例えば、メチルスチレン、ジメチルスチレン、トリメチルスチレン、エチルスチレン、ジエチルスチレン、トリエチルスチレン、プロピルスチレン、ブチルスチレン、へキシルスチレン、ヘプチルスチレン、及びオクチルスチレン;ハロゲンを有するスチレン、例えば、フルオロスチレン、クロロスチレン、ブロモスチレン、及びヨードスチレン;アルコキシ置換基を有するスチレン、例えば、メトキシスチレン、エトキシスチレン、及びプロポキシスチレン;p−ヒドロキシ−α−メチルスチレン、アセチルスチレン;芳香族環を含有するエチレン性不飽和化合物、例えば、ジビニルベンゼン、ビニルフェノール、o−ビニルベンジルメチルエーテル、m−ビニルベンジルメチルエーテル、及びp−ビニルベンジルメチルエーテル;不飽和カルボン酸エステル、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、シクロへキシル(メタ)アクリレート、エチルへキシル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−クロロプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、グリセロール(メタ)アクリレート、メチルα−ヒドロキシメチルアクリレート、エチルα−ヒドロキシメチルアクリレート、プロピルα−ヒドロキシメチルアクリレート、ブチルα−ヒドロキシメチルアクリレート、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、3−メトキシブチル(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシトリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ポリ(エチレングリコール)メチルエーテル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、2−フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、p−ノニルフェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、p−ノニルフェノキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、1,1,1,3,3,3−ヘキソフルオロイソプロピル(メタ)アクリレート(hexofluoroisopropyl(meth)acrylate)、オクタフルオロペンチル(メタ)アクリレート、ヘプタデカフルオロデシル(メタ)アクリレート、トリブロモフェニル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルオキシエチル(メタ)アクリレート、及びジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート;N−ビニル基を有する第三アミン、例えばN−ビニルピロリドン、N−ビニルカルバゾール、及びN−ビニルモルホリン;不飽和エーテル、例えば、ビニルメチルエーテル、及びビニルエチルエーテル;不飽和エーテル、例えば、アリルグリシジルエーテル、及び2−メチルアリルグリシジルエーテル;不飽和イミド、例えばN−フェニルマレイミド、N−(4−クロロフェニル)マレイミド、N−(4−ヒドロキシフェニル)マレイミド、及びN−シクロヘキシルマレイミドに由来する構造単位が含まれ得る。上記の例示的な化合物に由来する構造単位は、エポキシ化合物中に単独で、または2つ以上の組み合わせで含まれ得る。好ましくは、スチレン系化合物は、重合性の点で好ましい。特に、耐薬品性の観点から、これらの化合物の中では、カルボキシル基を含有するモノマーに由来する構造単位を使用しないことにより、エポキシ化合物は、カルボキシル基を含有しないことがより好ましい。
【0059】
式1の構造単位以外のモノマーに由来する構造単位は、エポキシ化合物を構成する総構造単位に基づいて、1〜70mol%、及びより好ましくは10〜60mol%のモル比で含まれ得る。好ましい範囲内において、硬化膜は、望ましい硬度を有し得る。
【0060】
エポキシ化合物は好ましくは、100〜30,000、及びより好ましくは1,000〜15,000の重量平均分子量を有し得る。エポキシ化合物の重量平均分子量が100以上である場合、薄膜の硬度は改善され得、重量平均分子量が30,000以下である場合、硬化膜は均一な厚みを有し得、これは、硬化膜上のあらゆる段差を平坦化するのに好適である。重量平均分子量は、ポリスチレン標準を使用する重量平均分子量を意味し、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC、溶離液としてテトラヒドロフランを使用する)により測定される。
【0061】
本発明の感光性樹脂組成物において、エポキシ化合物(C)は、シロキサンポリマーの混合物(A)の100重量部に基づいて、1〜40重量部、及び好ましくは5〜27重量部の量で感光性樹脂組成物中に含まれ得る。この量の範囲内において、感光性樹脂組成物の感度及び耐薬品性が改善され得る。
【0062】
(D)溶媒
本発明の感光性樹脂組成物は、上記の構成成分を溶媒と混合することにより液相組成物として調製され得る。溶媒は、例えば、有機溶媒であり得る。
【0063】
本発明の感光性樹脂組成物中の溶媒の量は、特に限定されないが、感光性樹脂組成物の総重量に基づいて、10〜70重量%、及び好ましくは15〜60重量%の固体含有量を有するように調整され得る。
【0064】
固体含有量は、本発明の樹脂組成物からの溶媒を除く構成成分を意味する。その量の範囲内にある溶媒の量を以って、コーティングが円滑に行われ得、適度な流動性が維持され得る。
【0065】
本発明の溶媒は、各構成成分を溶解し得、化学的に安定している任意のものであり得、これには、例えば、アルコール、エーテル、グリコールエーテル、エチレングリコールアルキルエーテルアセテート、ジエチレングリコール、プロピレングリコールモノアルキルエーテル、プロピレングリコールアルキルエーテルアセテート、プロピレングリコールアルキルエーテルプロピオネート、芳香族炭化水素、ケトン、エステルなどが限定することなく含まれ得る。
【0066】
溶媒の具体的な例には、メタノール、エタノール、テトラヒドロフラン、ジオキサン、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、エチルアセトアセテート、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールプロピルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールブチルエーテルアセテート、トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノン、シクロペンタノン、シクルヘキサノン(cyclhexanone)、2−ヘプタノン、γ−ブチロラクトン、エチル2−ヒドロキシプロピオネート、エチル2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオネート、エチルエトキシアセテート、エチルヒドロキシアセテート、メチル2−ヒドロキシ−3−メチルブタノエート、メチル2−メトキシプロピオネート、メチル3−メトキシプロピオネート、エチル3−メトキシプロピオネート、エチル3−エトキシプリオピオネート(ethoxypriopionate)、メチル3−エトキシプロピオネート、メチルピルベート、エチルピルベート、エチルアセテート、ブチルアセテート、エチルラクテート、ブチルラクテート、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドンなどが含まれ得る。
【0067】
これらの化合物の中でも、エチレングリコールアルキルエーテルアセテート、ジエチレングリコール、プロピレングリコールモノアルキルエーテル、プロピレングリコールアルキルエーテルアセテート、ケトンなどが好ましく、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、メチル2−メトキシプロピオネート、γ−ブチロラクトン、4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノンなどが特に好ましい。
【0068】
上記の例示的な溶媒は、単独で、またはそれらの2つ以上の組み合わせで使用され得る。
【0069】
(E)界面活性剤
本発明の感光性樹脂組成物は、必要に応じて、その被覆性を増強させるために界面活性剤をさらに含み得る。
【0070】
界面活性剤の種類は限定されないが、フッ素系界面活性剤、シリコン系界面活性剤、非イオン界面活性剤などが好ましい。
【0071】
界面活性剤の具体的な例には、フッ素系界面活性剤及びシリコン系界面活性剤、例えば、Dow Corning Toray Co.,Ltdにより製造されたFZ−2122、BM CHEMIE Co.,Ltd.により製造されたBM−1000及びBM−1100、Dai Nippon Ink Kagaku Kogyo Co.,Ltd.により製造されたMegapack F−142 D、F−172、F−173、及びF−183、Sumitomo 3M Ltd.により製造されたFlorad FC−135、FC−170 C、FC−430、及びFC−431、Asahi Glass Co.,Ltd.により製造されたSufron S−112、S−113、S−131、S−141、S−145、S−382、SC−101、SC−102、SC−103、SC−104、SC−105、及びSC−106、Shinakida Kasei Co.,Ltd.により製造されたEftop EF301、EF303、及びEF352、Toray Silicon Co.,Ltd.により製造されたSH−28 PA、SH−190、SH−193、SZ−6032、SF−8428、DC−57、及びDC−190;非イオン系界面活性剤、例えば、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリールエーテル、及びポリオキシエチレンオレイルエーテルなどのポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル及びポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルなどのポリオキシエチレンアリールエーテル、ならびにポリオキシエチレンジラウレート及びポリオキシエチレンジステアレートなどのポリオキシエチレンジアルキルエステル;さらにはオルガノシロキサンポリマーKP341(Shin−Etsu Kagaku Kogyo Co.,Ltd.製)、(メタ)アクリレート系コポリマーPolyflow No.57及び95(Kyoei Yuji Kagaku Kogyo Co.,Ltd.)などが含まれ得る。これらの界面活性剤は、単独で、またはそれらの2つ以上の組み合わせで使用され得る。
【0072】
界面活性剤(E)は、感光性樹脂組成物中のシロキサンポリマーの混合物(A)の100重量部に基づいて、0.001〜5重量部、及び好ましくは0.05〜3重量部の量で含有され得る。この量の範囲内において、コーティングの特性及び本組成物の水平化が改善され得る。
【0073】
加えて、感光性樹脂組成物の物理的特性が悪影響を受けない限り、他の添加構成成分がさらに含まれ得る。
【0074】
本発明の感光性樹脂組成物は、ポジ型感光性樹脂組成物として使用され得る。
【0075】
特に、本発明においてTMAHの水溶液に対して異なる溶解速度を有する2つ以上のシロキサンポリマーの混合物を使用することにより、従来の特性が維持され得、同じ度合いの溶解速度を有する単一のシロキサンポリマーと比較すると、優れた耐薬品性が満たされ得る。加えて、本発明の感光性樹脂組成物は、異なる溶解速度を有する2つ以上のシロキサンポリマーの使用を起因とする優れた保持率及び高解像度を誘発し得、よって、耐薬品性及び高感度を有する硬化膜が形成され得る。
【0076】
本発明は、感光性樹脂組成物から形成される硬化膜も提供する。
【0077】
硬化膜は、当該技術分野で周知の方法、例えば、感光性樹脂組成物を基板上にコーティングし、硬化プロセスにより形成され得る。
【0078】
コーティングは、スピンコーティング法、スリットコーティング法、ロールコーティング法、スクリーン印刷法、アプリケータ法などを含む方法により行われ得、所望の厚み、例えば、2〜25μmの厚みにされ得る。
【0079】
特に、感光性樹脂組成物の硬化に関して、例えば、基板上にコーティングされた組成物は、溶媒を除去するために、例えば60〜130℃の温度でプリベークに供され得、所望のパターンを有するフォトマスクを使用して露光され得、かつ現像剤、例えばTMAH溶液を使用して現像に供することで、コーティング膜上にパターンが形成され得る。露光は、200〜500nmの波長帯域の波長365nmに基づいて、10〜200mJ/cmの照射線量率で行われ得る。露光(照射)に使用される光源としては、低圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、メタルハライドランプ、アルゴンガスレーザなどが使用され得、所望であれば、X線、電子ビームなども使用され得る。
【0080】
次いで、パターンを有するコーティング膜は必要に応じて、所望の硬化膜を製造するために、例えば150〜300℃の温度で10分〜5時間ポストベークに供される。そのようにしてパターン化された硬化膜は、耐薬品性、付着性、耐熱性、透明度、誘電性、耐溶媒性、耐酸性、及び耐アルカリ性の点で優れた物理的特性を有する。
【0081】
したがって、硬化膜は、組成物を熱処理に供するか、または溶媒、酸、塩基などの中に浸漬されるか、もしくはそれらと接触する場合、粗面を伴うことなく優れた光透過率を有する。よって、硬化膜は、液晶表示装置または有機EL表示装置のTFT基板のための平坦化膜、有機EL表示装置のパーティション、半導体装置の層間絶縁膜、光導波路のコアまたはクラッド材などとして効果的に使用され得る。
【0082】
さらに、本発明は、硬化膜を保護膜として含む、電子部品を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0083】
以下、本発明は、実施例を参照して詳細に説明される。しかしながら、これらの実施例は本発明を例証するためにのみ提供され、本発明の範囲はこれらに限定されない。
【0084】
以下の実施例において、重量平均分子量はポリスチレン標準を使用してゲル透過クロマトグラフィ(GPC)により決定される。
【0085】
合成実施例1:第1のシロキサンポリマー(A−1−1)の合成
還流凝縮器が供された反応器に、20重量%のフェニルトリメトキシシラン、30重量%のメチルトリメトキシシラン、20重量%のテトラエトキシシラン、及び15重量%の純水を添加し、15重量%のプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)をそこに添加し、続いて、混合物を0.1重量%のシュウ酸触媒の存在下で、8時間、還流撹拌し、冷却した。次いで、反応物質を固体含有量が30重量%になるまでPGMEAで希釈し、GPCにより分析した。結果として、ポリスチレン標準を使用すると、そのようにして合成された第1のシロキサンポリマー(A−1−1)の重量平均分子量は、9,000〜13,000Daであった。
【0086】
そのようにして合成されたシロキサンポリマーの、TMAHの水溶液に対する溶解速度を、本開示の上述の方法により測定し、事前硬化後のその溶解速度は、2.38重量%のTMAHの水溶液に対して、1,959.5Å/秒であった。
【0087】
合成実施例2:第1のシロキサンポリマー(A−1−2)の合成
還流凝縮器が供された反応器に、40重量%のフェニルトリメトキシシラン、15重量%のメチルトリメトキシシラン、20重量%のテトラエトキシシラン、及び20重量%の純水を添加し、そこに5重量%のPGMEAを添加し、続いて、混合物を0.1重量%のシュウ酸触媒の存在下で、8時間、勢いよく還流撹拌し、冷却した。次いで、反応物質を固体含有量が40重量%になるまでPGMEAで希釈し、GPCにより分析した。結果として、ポリスチレン標準を使用すると、そのようにして合成された第1のシロキサンポリマー(A−1−2)の重量平均分子量は、5,000〜10,000Daであった。
【0088】
そのようにして合成されたシロキサンポリマーの、TMAHの水溶液に対する溶解速度を、本開示の上述の方法により測定し、事前硬化後のその溶解速度は、2.38重量%のTMAHの水溶液に対して、1,483.8Å/秒であった。
【0089】
合成実施例3:第2のシロキサンポリマー(A−2−1)の合成
還流凝縮器が供された反応器に、20重量%のフェニルトリメトキシシラン、30重量%のメチルトリメトキシシラン、20重量%のテトラエトキシシラン、及び15重量%の純水を添加し、そこに15重量%のPGMEAを添加し、続いて、混合物を0.1重量%のシュウ酸触媒の存在下で、7時間、勢いよく還流撹拌し、冷却した。次いで、反応物質を固体含有量が30重量%になるまでPGMEAで希釈し、GPCにより分析した。結果として、ポリスチレン標準を使用すると、そのようにして合成された第2のシロキサンポリマー(A−2−1)の重量平均分子量は、8,000〜14,000Daであった。
【0090】
そのようにして合成されたシロキサンポリマーの、TMAHの水溶液に対する溶解速度を、本開示の上述の方法により測定し、事前硬化後のその溶解速度は、1.5重量%のTMAHの水溶液に対して、1,921.7Å/秒であった。
【0091】
合成実施例4:第2のシロキサンポリマー(A−2−2)の合成
還流凝縮器が供された反応器に、20重量%のフェニルトリメトキシシラン、30重量%のメチルトリメトキシシラン、20重量%のテトラエトキシシラン、及び15重量%の純水を添加し、そこに15重量%のPGMEAを添加し、続いて、混合物を0.1重量%のシュウ酸触媒の存在下で、9時間、勢いよく還流撹拌し、冷却した。次いで、反応物質を固体含有量が30重量%になるまでPGMEAで希釈し、GPCにより分析した。結果として、ポリスチレン標準を使用すると、そのようにして合成された第2のシロキサンポリマー(A−2−2)の重量平均分子量は、13,000〜19,000Daであった。
【0092】
そのようにして合成されたシロキサンポリマーの、TMAHの水溶液に対する溶解速度を、本開示の上述の方法により測定し、事前硬化後のその溶解速度は、1.5重量%のTMAHの水溶液に対して、7,648.3Å/秒であった。
【0093】
合成実施例5:第1のシロキサンポリマー(A−1−3)の合成
還流凝縮器が供された反応器に、40重量%のフェニルトリメトキシシラン、15重量%のメチルトリメトキシシラン、20重量%のテトラエトキシシラン、及び20重量%の純水を添加し、そこに5重量%のPGMEAを添加し、続いて、混合物を0.1重量%のシュウ酸触媒の存在下で、6時間、勢いよく還流撹拌し、冷却した。次いで、反応物質を固体含有量が40重量%になるまでPGMEAで希釈し、GPCにより分析した。結果として、ポリスチレン標準を使用すると、そのようにして合成された第1のシロキサンポリマー(A−1−3)の重量平均分子量は、5,500〜10,000Daであった。
【0094】
そのようにして合成されたシロキサンポリマーの、TMAHの水溶液に対する溶解速度を、本開示の上述の方法により測定し、事前硬化後のその溶解速度は、2.38重量%のTMAHの水溶液に対して、480Å/秒であった。
【0095】
合成実施例6:シロキサンポリマーの合成
還流凝縮器が供された反応器に、40重量%のフェニルトリメトキシシラン、15重量%のメチルトリメトキシシラン、20重量%のテトラエトキシシラン、及び20重量%の純水を添加し、そこに5重量%のPGMEAを添加し、続いて、混合物を0.1重量%のシュウ酸触媒の存在下で、5時間、勢いよく還流撹拌し、冷却した。次いで、反応物質を固体含有量が40重量%になるまでPGMEAで希釈し、GPCにより分析した。結果として、ポリスチレン標準を使用すると、そのようにして合成されたシロキサンポリマーの重量平均分子量は、5,000〜10,000Daであった。
【0096】
そのようにして合成されたシロキサンポリマーの、TMAHの水溶液に対する溶解速度を、本開示の上述の方法により測定し、事前硬化後のその溶解速度は、2.38重量%のTMAHの水溶液に対して、100Å/秒以下であった。
【0097】
合成実施例7:第2のシロキサンポリマー(A−2−3)の合成
還流凝縮器が供された反応器に、20重量%のフェニルトリメトキシシラン、30重量%のメチルトリメトキシシラン、20重量%のテトラエトキシシラン、及び15重量%の純水を添加し、そこに15重量%のPGMEAを添加し、続いて、混合物を0.1重量%のシュウ酸触媒の存在下で、7時間、勢いよく還流撹拌し、冷却した。次いで、反応物質を固体含有量が30重量%になるまでPGMEAで希釈し、GPCにより分析した。結果として、ポリスチレン標準を使用すると、そのようにして合成された第2のシロキサンポリマー(A−2−3)の重量平均分子量は、10,000〜15,000Daであった。
【0098】
そのようにして合成されたシロキサンポリマーの、TMAHの水溶液に対する溶解速度を、本開示の上述の方法により測定し、事前硬化後のその溶解速度は、1.5重量%のTMAHの水溶液に対して、4,358.4Å/秒であった。
【0099】
合成実施例8:エポキシ化合物(C)の合成
三つ口フラスコに冷却凝縮器を備え付け、自動温度調節装置が供された撹拌機上に配置した。次いで、グリシジルメタクリレート(100mol%)からなる100重量部のモノマー、10重量部の2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、及び100重量部のPGMEAをフラスコ内に置き、窒素をそこに注入した。次いで、溶液をゆっくりと撹拌し、溶液の温度を80℃に上げ、5時間維持して、約6,000〜10,000Daの重量平均分子量を有するエポキシ化合物を合成した。次いで、そこにPGMEAを添加して、その固体含有量を20重量%になるように調整した。
【0100】
実施例及び比較例:感光性樹脂組成物の調製
合成実施例で調製した化合物を使用して、以下の実施例及び比較例による感光性樹脂組成物を調製した。
【0101】
以下の実施例及び比較例において、以下の化合物を追加の構成成分として使用した。
【0102】
−1,2−キノンジアジド化合物(B):TPA−517(2−ジアゾ−1−ナフトン(naphthone)−5−スルホニルクロリドのエステル)、Miwon Commercial Co.,Ltd.
−溶媒(D−1):PGMEA、Chemtronics Co.,Ltd.
−溶媒(D−2):ガンマ−ブチロラクトン(GBL)、BASF Co.,Ltd.
−界面活性剤(E):シリコン系水平化界面活性剤、FZ−2122、Dow Corning Toray Co.,Ltd.
【0103】
実施例1
95重量%の合成実施例1の第1のシロキサンポリマー(A−1−1)と5重量%の合成実施例3の第2のシロキサンポリマー(A−2−1)との100重量部の混合物(結合剤)に基づいて、20.8重量部の合成実施例8のエポキシ化合物(C)、4.8重量部の1,2−キノンジアジド化合物(B)、及び0.1重量部の界面活性剤(E)を均一に混合し、固体含有量が17重量%になるように、溶媒(D−1(PGMEA):D−2(GBL)=93:7重量)中で溶解した。そのようにして得られた生成物を1〜2時間撹拌し、0.2μmの孔直径を有するろ過膜でろ過して、固体含有量が17重量%である感光性樹脂組成物を得た。
【0104】
実施例2
90重量%の合成実施例2の第1のシロキサンポリマー(A−1−2)と10重量%の合成実施例3の第2のシロキサンポリマー(A−2−1)との100重量部の混合物(結合剤)に基づいて、26.5重量部の合成実施例8のエポキシ化合物(C)、6.1重量部の1,2−キノンジアジド化合物(B)、及び0.1重量部の界面活性剤(E)を均一に混合し、固体含有量が17重量%になるように、溶媒(D−1(PGMEA):D−2(GBL)=93:7重量)中で溶解した。そのようにして得られた生成物を1〜2時間撹拌し、0.2μmの孔直径を有するろ過膜でろ過して、固体含有量が17重量%である感光性樹脂組成物を得た。
【0105】
実施例3
97重量%の合成実施例1の第1のシロキサンポリマー(A−1−1)と3重量%の合成実施例4の第2のシロキサンポリマー(A−2−2)との100重量部の混合物(結合剤)に基づいて、20.8重量部の合成実施例8のエポキシ化合物(C)、4.7重量部の1,2−キノンジアジド化合物(B)、及び0.1重量部の界面活性剤(E)を均一に混合し、固体含有量が17重量%になるように、溶媒(D−1(PGMEA):D−2(GBL)=93:7重量)中で溶解した。そのようにして得られた生成物を1〜2時間撹拌し、0.2μmの孔直径を有するろ過膜でろ過して、固体含有量が17重量%である感光性樹脂組成物を得た。
【0106】
実施例4
92重量%の合成実施例2の第1のシロキサンポリマー(A−1−2)と8重量%の合成実施例4の第2のシロキサンポリマー(A−2−2)との100重量部の混合物(結合剤)に基づいて、26.5重量部の合成実施例8のエポキシ化合物(C)、6.1重量部の1,2−キノンジアジド化合物(B)、及び0.1重量部の界面活性剤(E)を均一に混合し、固体含有量が17重量%になるように、溶媒(D−1(PGMEA):D−2(GBL)=93:7重量)中で溶解した。そのようにして得られた生成物を1〜2時間撹拌し、0.2μmの孔直径を有するろ過膜でろ過して、固体含有量が17重量%である感光性樹脂組成物を得た。
【0107】
実施例5
82重量%の合成実施例5の第1のシロキサンポリマー(A−1−3)と18重量%の合成実施例4の第2のシロキサンポリマー(A−2−2)との100重量部の混合物(結合剤)に基づいて、26.1重量部の合成実施例8のエポキシ化合物(C)、6.0重量部の1,2−キノンジアジド化合物(B)、及び0.1重量部の界面活性剤(E)を均一に混合し、固体含有量が17重量%になるように、溶媒(D−1(PGMEA):D−2(GBL)=93:7重量)中で溶解した。そのようにして得られた生成物を1〜2時間撹拌し、0.2μmの孔直径を有するろ過膜でろ過して、固体含有量が17重量%である感光性樹脂組成物を得た。
【0108】
実施例6
94重量%の合成実施例1の第1のシロキサンポリマー(A−1−1)と6重量%の合成実施例7の第2のシロキサンポリマー(A−2−3)との100重量部の混合物(結合剤)に基づいて、20.8重量部の合成実施例8のエポキシ化合物(C)、4.7重量部の1,2−キノンジアジド化合物(B)、及び0.1重量部の界面活性剤(E)を均一に混合し、固体含有量が17重量%になるように、溶媒(D−1(PGMEA):D−2(GBL)=93:7重量)中で溶解した。そのようにして得られた生成物を1〜2時間撹拌し、0.2μmの孔直径を有するろ過膜でろ過して、固体含有量が17重量%である感光性樹脂組成物を得た。
【0109】
比較例1
100重量部の合成実施例1の第1のシロキサンポリマー(A−1−1)に基づいて、20.7重量部の合成実施例8のエポキシ化合物(C)、4.7重量部の1,2−キノンジアジド化合物(B)、及び0.1重量部の界面活性剤(E)を均一に混合し、固体含有量が17重量%になるように、溶媒(D−1(PGMEA):D−2(GBL)=93:7重量)中で溶解した。そのようにして得られた生成物を1〜2時間撹拌し、0.2μmの孔直径を有するろ過膜でろ過して、固体含有量が17重量%である感光性樹脂組成物を得た。
【0110】
比較例2
100重量部の合成実施例1の第1のシロキサンポリマー(A−1−1)に基づいて、4.1重量部の1,2−キノンジアジド化合物(B)、及び0.1重量部の界面活性剤(E)を均一に混合し、固体含有量が17重量%になるように、溶媒(D−1(PGMEA):D−2(GBL)=93:7重量)中で溶解した。そのようにして得られた生成物を1〜2時間撹拌し、0.2μmの孔直径を有するろ過膜でろ過して、固体含有量が17重量%である感光性樹脂組成物を得た。
【0111】
比較例3
79重量%の合成実施例6の第1のシロキサンポリマーと21重量%の合成実施例4の第2のシロキサンポリマー(A−2−2)との100重量部の混合物(結合剤)に基づいて、20.9重量部の合成実施例8のエポキシ化合物(C)、4.8重量部の1,2−キノンジアジド化合物(B)、及び0.1重量部の界面活性剤(E)を均一に混合し、固体含有量が17重量%になるように、溶媒(D−1(PGMEA):D−2(GBL)=93:7重量)中で溶解した。そのようにして得られた生成物を1〜2時間撹拌し、0.2μmの孔直径を有するろ過膜でろ過して、固体含有量が17重量%である感光性樹脂組成物を得た。
【0112】
比較例4
79重量%の合成実施例6のシロキサンポリマーと21重量%の合成実施例4の第2のシロキサンポリマー(A−2−2)との100重量部の混合物(結合剤)に基づいて、4.2重量部の1,2−キノンジアジド化合物(B)、及び0.1重量部の界面活性剤(E)を均一に混合し、固体含有量が17重量%になるように、溶媒(D−1(PGMEA):D−2(GBL)=93:7重量)中で溶解した。そのようにして得られた生成物を1〜2時間撹拌し、0.2μmの孔直径を有するろ過膜でろ過して、固体含有量が17重量%である感光性樹脂組成物を得た。
【0113】
比較例5
95重量%の合成実施例1の第1のシロキサンポリマー(A−1−1)と5重量%の合成実施例3の第2のシロキサンポリマー(A−2−1)との100重量部の混合物(結合剤)に基づいて、4.2重量部の1,2−キノンジアジド化合物(B)、及び0.1重量部の界面活性剤(E)を均一に混合し、固体含有量が17重量%になるように、溶媒(D−1(PGMEA):D−2(GBL)=93:7重量)中で溶解した。そのようにして得られた生成物を1〜2時間撹拌し、0.2μmの孔直径を有するろ過膜でろ過して、固体含有量が17重量%である感光性樹脂組成物を得た。
【0114】
実験例1:感度の評価
実施例及び比較例で得た組成物の各々をスピンコーティングによりガラス基板上にコーティングし、コーティングした基板を110℃に維持した熱板上で90秒間プリベークして、溶媒を除去し、乾燥膜を形成した。その乾燥膜を、2μm〜25μmの範囲内のサイズの角孔からなるパターンを有するマスクを介して、200nm〜450nmの波長を有する光を放射するアライナー(モデル名:MA6)を使用して、365nmの波長に基づいて200mJ/cmまでの照射線量率で、ある特定の時間にわたって露光し、2.38重量%のTMAHの水性現像剤を、パドルノズルを通して23℃で噴霧することにより現像した。次いで、その露光済み膜をコンベクションオーブンにて230℃で30分間加熱して、3.0μmの厚さを有する硬化膜を得た。
【0115】
40mJの露光エネルギーを用いて、10μmのサイズを有するマスクを介して形成された孔パターンの臨界次元(CD、線幅:μm)により達成された孔サイズを測定した。孔サイズが約10μmまたは10μmを超えた場合、感度を良好と評価し、孔サイズが10μm未満であった場合、良好ではないと評価した。
【0116】
実験例2:耐薬品性(膨潤厚)の評価
実施例及び比較例で得た組成物の各々をスピンコーティングによりガラス基板上にコーティングし、110℃に維持した熱板上で90秒間プリベークして、3.1μmの厚みを有する乾燥膜を形成した。その乾燥膜を、パドルノズルからの2.38重量%のTMAHの水溶液を用いて、23℃で60秒間現像した。次いで、その現像した膜を、200nm〜450nmの波長を有する光を放射するアライナー(モデル名:MA6)を使用して、波長365nmに基づいて200mJ/cmの照射線量率でパターンマスクを介してある特定の期間にわたって露光した(ブリーチング処理)。次いで、その露光膜をコンベクションオーブンにて230℃で30分間加熱して硬化膜を得た。硬化膜の厚さ(T1)は、非接触式厚み測定装置(SNU Precision)を使用して測定した。恒温浴にリワークケミカル(製品名:LT−360)を入れ、温度を50℃に維持した。硬化膜を浴中に2分間浸漬し、脱イオン水で洗浄し、空気でリワークケミカルを除去した。次いで、硬化膜の厚さ(T2)を測定した。
【0117】
この測定値から以下の方程式1により耐薬品性を評価した(膨潤厚さは耐薬品性の評価実験後に計算した)。
【0118】
[方程式1]
膨潤厚(Å)=リワークケミカルに浸漬した後の膜厚(T2)−リワークケミカルに浸漬する前の膜厚(T1)
【0119】
膨潤厚が1,000Å未満の場合、耐薬品性を良好と認識した。
【0120】
実験例3:密着性の評価
実施例または比較例で得た感光性樹脂組成物の各々をスピンコーティングによりガラス基板上にコーティングし、コーティングした基板を110℃に維持した熱板上で90秒間プリベークして、溶媒を除去し、乾燥膜を形成した。その乾燥膜を、1μm〜25μmの範囲内のサイズのロッド孔からなるパターンを有するマスクを介して、200nm〜450nmの波長を有する光を放射するアライナー(モデル名:MA6)を使用して、365nmの波長に基づいて200mJ/cmまでの照射線量率で、ある特定の時間にわたって露光し、2.38重量%のTMAHの水性現像剤を、パドルノズルを通して23℃で噴霧することにより現像した。次いで、その露光済み膜をコンベクションオーブンにて230℃で30分間加熱して、3.0μmの厚さを有する硬化膜を得た。
【0121】
そのようにして形成した硬化膜パターンへの密着性を評価するために、光学顕微鏡(Olympus Co.,Ltd.製STM6−LM)を使用して、1:1のパターン対間隙比を有し、1μm〜10μmの範囲の幅を有するロッドパターンの形状を観察した。つまり、パターン化されたロッドパターンのパターン間の距離がクリーンかつ一定に維持されている場合、パターンの密着性が確保されていると認識される。観察されたパターンサイズが小さいほど、密着性はより高い。
【0122】
参考までに、密着性を確保している最小のパターンのサイズが4μm以下の場合、密着性は○であり、6μm以下の場合、△であり、8μm以下の場合、Xである。
【0123】
【表1】
【0124】
表1に示されるように、本発明の範囲内に含まれる実施例の組成物は等しく、良好な耐薬品性、感度、及び密着性を示した。対照的に、本発明の範囲内に含まれない比較例の組成物は、少なくとも1つの劣った結果を示した。