【実施例】
【0039】
抗ウイルス活性を有するヌクレオシド誘導体を得るために、下記表1に示す組み合わせにて官能基を有する下記一般式(1)で表されるヌクレオシド誘導体を、以下に示す方法にて合成した。なお、表中の番号は、以下に示す化合物の番号を示す。
【0040】
【化4】
【0041】
【表1】
【0042】
また、比較化合物として、以下の表2に示す化合物C1及びC2を合成した。また、参照化合物として、以下の表3に化合物R1乃至R4を合成した。
【0043】
【表2】
【表3】
【0044】
なお、このようにして合成された化合物が、所望の構造を有する化合物であることは、
1H核磁気共鳴(NMR)スペクトルを測定することにより確認した。それらの結果も併せて以下に示す。
【0045】
合成例1:9−(3,5−ジ−O−tert−ブチルジメチルシリル−4−C−シアノ−2−O−デオキシ−β−D−リボフラノシル)−2−イソブチリルアミノ−6−(2,4,6−トリイソプロピルベンゼンスルホニルオキシ)プリン(化合物6)の合成
化合物6を、以下に示す反応工程にて合成した。
【0046】
【化5】
【0047】
先ず、化合物1(Nucleoside&Nucleotide,1985,4,641−649 参照)から、化合物2(9−(3−O−tert−ブチルジメチルシリル−2−O−デオキシ−β−D−リボフラノシル)−2−イソブチリルアミノ−1H−プリン−6−オン)を合成した。すなわち、化合物1(8.33g,13mmol)をN,N−ジメチルホルムアミド(65mL)に溶解させた後、イミダゾール(2.83g,42mmol)とtert−ブチルジメチルシリルクロリド(5.89g,39mmol)を順次加え、室温で20時間攪拌した。反応終了後、飽和重曹水でクエンチを行った後、酢酸エチルによる抽出を行った。続いて硫酸マグネシウムによる有機層の乾燥と溶媒の減圧留去を行い、粗精製の3’水酸基保護体(13mmol)を得た。粗精製の3’水酸基保護体(13mmol)をクロロホルム(87mL)に溶解させた後、メタノール(37mL)に溶解させたp−トルエンスルホン酸一水和物(7.42g,39mmol)を−15℃で滴下し、同温で1.5時間攪拌した。反応終了後、反応液がオレンジから無色になるまで飽和重曹水を加え、クロロホルムによる抽出を行った。硫酸マグネシウムによる有機層の乾燥と溶媒の減圧留去を行った後、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/n−ヘキサン=1/1→酢酸エチル→メタノール/クロロホルム=1/20)で精製を行い、化合物2を得た(5.44g,12mmol,2工程93%)。
【0048】
1H−NMR(CDCl
3,500MHz);δ12.08(1H,brs),8.36(1H,brs),7.73(1H,s),6.19(1H,dd,J=9.0,5.5Hz),5.21(1H,d,J=10.5Hz),4.61(1H,d,J=5.5Hz),4.12(1H,d,J=1.0Hz),3.94(1H,m),3.74(1H,m),2.79(1H,m),2.65(1H,m),2.23(1H,m),1.28(3H,d,J=3.0Hz),1.27(3H,d,J=3.0Hz),0.93(9H,s),0.118(3H,s),0.115(3H,s)。
【0049】
次に、このようにして得られた化合物2から、化合物3(9−(3−O−tert−ブチルジメチルシリル−2−O−デオキシ−4−C−ヒドロキシメチル−β−D−リボフラノシル)−2−イソブチリルアミノ−1H−プリン−6−オン)を合成した。すなわち、化合物2(103mg,0.23mmol)をトルエン(0.23mL)とジメチルスルホキシド(0.23mL)に溶解させた後、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(132mg,0.69mmol)、ピリジン(36.9μL,0.46mmol)、トリフルオロ酢酸(18μL,0.23mmol)を順次加え、室温で14時間攪拌した。反応終了後、酢酸エチルによる抽出を行った。続いて硫酸マグネシウムによる有機層の乾燥と溶媒の減圧留去を行い、粗精製のアルデヒドを得た。粗精製のアルデヒドを1,4−ジオキサン(4.6mL)に溶解させた後、37%ホルムアルデヒド水溶液(100μL,1.0mmol)と1規定の水酸化ナトリウム水溶液(275μL,0.28mmol)を順次加え、室温で20分攪拌した。次に1規定の水酸化ナトリウム水溶液(275μL,0.28mmol)を追加し、室温で35分攪拌した後、0℃で水素化ホウ素ナトリウム(26.0mg,0.69mmol)を加え、室温で45分攪拌した。反応終了後、1規定塩酸でクエンチを行った後、酢酸エチルによる抽出を行った。硫酸マグネシウムによる有機層の乾燥と溶媒の減圧留去を行った後、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(メタノール/クロロホルム=1/20)で精製を行い、化合物3を得た(38.9mg,0.081mmol,2工程35%)。
【0050】
1H−NMR(CDCl
3,500MHz);δ12.08(1H,brs),9.78(1H,brs),7.92(1H,s),6.27(1H,t,J=7.0Hz),4.83(1H,dd,J=7.0,4.0Hz),4.76(1H,brs),3.95(1H,d,J=12.0Hz),3.89(1H,d,J=11.0Hz),3.68−3.61(3H,m),2.85−2.77(2H,m),2.41(1H,m),1.25(3H,d,J=7.0Hz),1.22(3H,d,J=7.0Hz),0.90(9H,s),0.13(3H,s),0.12(3H,s)。
【0051】
次に、このようにして得られた化合物3から、化合物4(9−(3,5−ジ−O−tert−ブチルジメチルシリル−2−O−デオキシ−4−C−ヒドロキシメチル−β−D−リボフラノシル)−2−イソブチリルアミノ−1H−プリン−6−オン)を合成した。すなわち、化合物3(726mg,1.5mmol)をピリジンで共沸させた後、N,N−ジメチルホルムアミド(15mL)に溶解させ、0℃でトリエチルアミン(421μL,3.0mmol)と4,4’−ジメトキシトリチルクロリド(767mg,2.3mmol)を順次加え、室温で20分、0℃で1時間攪拌した。反応終了後、メタノールでクエンチを行った後、酢酸エチルによる抽出を行った。硫酸マグネシウムによる有機層の乾燥と溶媒の減圧留去を行った後、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/n−ヘキサン=2/1→酢酸エチル)で精製を行い、粗精製の6’水酸基保護体(958mg,1.2mmol)を得た。6’水酸基保護体(958mg,1.2mmol)をN,N−ジメチルホルムアミド(6mL)に溶解させた後、イミダゾール(291mg,4.27mmol)とtert−ブチルジメチルシリルクロリド(552mg,3.7mmol)を順次加え、室温で25分攪拌した。反応終了後、飽和重曹水でクエンチを行った後、酢酸エチルによる抽出を行った。続いて硫酸マグネシウムによる有機層の乾燥と溶媒の減圧留去を行い、粗精製の5’水酸基保護体を得た。粗精製の5’水酸基保護体をクロロホルム(8mL)に溶解させた後、メタノール(4.5mL)に溶解させたp−トルエンスルホン酸一水和物(928mg,4.9mmol)を−15℃で滴下し、同温で1.5時間攪拌した。反応終了後、反応液がオレンジから無色になるまで飽和重曹水を加え、クロロホルムによる抽出を行った。硫酸マグネシウムによる有機層の乾燥と溶媒の減圧留去を行った後、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/n−ヘキサン=2/1)で精製を行い、化合物4を得た(461mg,0.77mmol,3工程51%)。
【0052】
1H−NMR(CDCl
3,500MHz);δ12.03(1H,brs),8.68(1H,brs),7.94(1H,s),6.24(1H,t,J=6.0Hz),4.79(1H,dd,J=6.5,5.0Hz),3.83(1H,dd,J=12.0,4.5Hz),3.75(1H,d,J=10.5Hz),3.69−3.65(2H,m),2.68−2.58(3H,m),2.50−2.45(1H,m),1.27(3H,d,J=7.0Hz),1.24(3H,d,J=7.0Hz),0.92(9H,s),0.91(9H,s),0.14(3H,s),0.13(3H,s),0.08(3H,s),0.07(3H,s)。
【0053】
次に、このようにして得られた化合物4から、化合物5(9−(3,5−ジ−O−tert−ブチルジメチルシリル−4−C−シアノ−2−O−デオキシ−β−D−リボフラノシル)−2−イソブチリルアミノ−1H−プリン−6−オン)を合成した。すなわち、化合物4(70.4mg,0.12mmol)をトルエン(0.12mL)とジメチルスルホキシド(0.12mL)に溶解させた後、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(67.9mg,0.35mmol)、ピリジン(19.0μL,0.24mmol)、トリフルオロ酢酸(9.0μL,0.12mmol)を順次加え、室温で14時間攪拌した。反応終了後、酢酸エチルによる抽出を行った。続いて硫酸マグネシウムによる有機層の乾燥と溶媒の減圧留去を行い、粗精製のアルデヒドを得た。粗精製のアルデヒドをピリジン(1.2mL)に溶解させた後、塩酸ヒドロキシルアミン(12.3mg,0.18mmol)を加え、室温で35分攪拌した。反応終了後、酢酸エチルによる抽出を行った。続いて硫酸マグネシウムによる有機層の乾燥と溶媒の減圧留去を行い、粗精製のオキシムを得た。粗精製のオキシムをジクロロメタン(1.2mL)に溶解させた後、0℃でトリエチルアミン(33μL,0.24mmol)とメタンスルホニルクロリド(14μL,0.18mmol)を順次加え、同温で1時間攪拌した。反応終了後、飽和重曹水でクエンチを行った後、酢酸エチルによる抽出を行った。続いて硫酸マグネシウムによる有機層の乾燥と溶媒の減圧留去を行った後、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/n−ヘキサン=2/1)で精製を行い、化合物5を得た(61.1mg,0.10mmol,3工程88%)。
【0054】
1H−NMR(CDCl
3,500MHz);δ12.00(1H,brs),7.97(1H,brs),7.81(1H,s),6.36(1H,t,J=6.5Hz),4.82(1H,t,J=6.0Hz),3.91(2H,s),2.66−2.55(3H,m),1.31(6H,d,J=7.0Hz),0.97(9H,s),0.90(9H,s),0.19(3H,s),0.17(3H,s),0.11(3H,s),0.07(3H,s)。
【0055】
次に、このようにして得られた化合物5から、化合物6(9−(3,5−ジ−O−tert−ブチルジメチルシリル−4−C−シアノ−2−O−デオキシ−β−D−リボフラノシル)−2−イソブチリルアミノ−6−(2,4,6−トリイソプロピルベンゼンスルホニルオキシ)プリン)を合成した。すなわち、化合物5(46.1mg,0.078mmol)をジクロロメタン(1mL)に溶解させた後、トリエチルアミン(22μL,0.16mmol)、2,4,6−トリイソプロピルベンゼンスルホニルクロリド(47.3mg,0.16mmol),4−ジメチルアミノピリジン(0.95mg,7.8μmol)を順次加え、室温で1.5時間攪拌した。反応終了後、飽和重曹水でクエンチを行った後、酢酸エチルによる抽出を行った。硫酸マグネシウムによる有機層の乾燥と溶媒の減圧留去を行った後、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/n−ヘキサン=1/4)で精製を行い、化合物6を得た(58.5mg,0.068mmol,88%)。
【0056】
1H−NMR(CDCl
3,500MHz);δ7.99(1H,s),7.95(1H,brs),7.23(2H,s),6.38(1H,t,J=6.5Hz),5.18(1H,t,J=5.5Hz),4.25(2H,m),4.12(1H,d,J=11.5Hz),3.95(1H,d,J=11.0Hz),3.20(1H,m),2.94(1H,m),2.69(1H,brs),2.51(1H,m),1.30−1.26(18H,m),1.23(3H,d,J=2.0Hz),1.21(3H,d,J=1.5Hz),0.96(9H,s),0.88(9H,s),0.22(3H,s),0.14(3H,s),0.070(3H,s),0.065(3H,s)。
【0057】
合成例2:9−(3,5−ジ−O−tert−ブチルジメチルシリル−4−C−シアノ−2−O−デオキシ−β−D−リボフラノシル)−2−イソブチリルアミノプリン(化合物7)の合成
化合物7を、以下に示す反応工程にて合成した。
【0058】
【化6】
【0059】
化合物6(626mg,0.730mmol) をテトラヒドロフラン(3mL)に溶解させた後、ヒドラジン一水和物(0.2mL,4.12mmol)を加え、室温で1時間攪拌した。反応終了後、酢酸エチルによる抽出を行った。硫酸マグネシウムによる有機層の乾燥と溶媒の減圧留去を行い、粗精製の6位ヒドラジド化体を得た。
粗精製の6位ヒドラジド化体(<0.730mmol)をテトラヒドロフラン(4mL)に溶解させた後、酸化銀(I)(508mg,2.19mmol)を加え、遮光下および加熱還流下で15時間攪拌した。反応終了後、酢酸エチルによる抽出を行った。硫酸マグネシウムによる有機層の乾燥と溶媒の減圧留去を行った後、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/n−ヘキサン=1/1)で精製を行い、化合物7(180mg,0.313mmol,2工程43%) を得た。
【0060】
1H−NMR(CDCl
3,500MHz);δ8.91(1H,s),8.18(1H,brs),8.07(1H,s),6.43(1H,t,J=6.5 Hz),5.16(1H,t,J =6.0 Hz),4.12(1H,d,J=12Hz),3.96(1H,d,J=11Hz),3.23(1H,m),2.76(1H,brs),2.55(1H,m),1.23(6H,d,J=6.5Hz),0.97(9H,s),0.89(9H,s),0.23(3H,s),0.16(3H,s), 0.081(3H,s),0.067(3H,s)。
【0061】
合成例3:2−アミノ−9−(3,5−ジ−O−tert−ブチルジメチルシリル−4−C−シアノ−2−O−デオキシ−β−D−リボフラノシル)プリン(化合物8)の合成
化合物8を、以下に示す反応工程にて合成した。
【0062】
【化7】
【0063】
化合物7(180mg,0.313mmol)をイソプロピルアルコール(2.5mL)に溶解させた後、ヨウ化アンモニウム(45.3mg,0.313mmol)、ヒドラジン一水和物(2.5mL)を順次加え、室温で6.5時間攪拌した。反応終了後、酢酸エチルによる抽出を行った。硫酸マグネシウムによる有機層の乾燥と溶媒の減圧留去を行った後、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル)で精製を行い、化合物8(120mg,0.238mmol,76%)を得た。
【0064】
1H−NMR (CDCl
3,500MHz);δ8.70(1H,s),7.88(1H,s),6.40(1H,dd,J=5.5,1.5Hz),5.04(2H,brs),4.95(1H,t,J=6.0Hz),3.99(1H,d,J=11Hz),3.88(1H,d,J=11Hz),3.05(1H,m),2.56(1H,m),0.97(9H,s),0.87(9H,s),0.20(3H,s),0.18(3H,s),0.083(3H,s),0.023(3H,s)。
【0065】
合成例4:2−アミノ−9−(4−C−シアノ−2−O−デオキシ−β−D−リボフラノシル)プリン(化合物P1)の合成
化合物P1を、以下に示す反応工程にて合成した。
【0066】
【化8】
【0067】
化合物8(120mg,0.238mmol)をクロロホルム(2mL)とメタノール(4mL)に溶解させた後、酸性フッ化アンモニウム(815mg,14.3mmol)を加え、室温下で137.5時間攪拌した。反応終了後、溶媒の減圧留去を行い、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(メタノール/クロロホルム=1/4)で精製を行い、粗精製の化合物P1を得た。粗精製の化合物P1に対し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(メタノール/クロロホルム=1/6)で精製を行い、化合物P1(57.5mg,0.208mmol,88%)を得た。
【0068】
1H−NMR(CD
3OD,500MHz);δ8.56(1H,s),8.21(1H,s),6.51(1H,t,J=6.5Hz),4.90(1H,m),3.94(1H,d,J=12Hz,3.87(1H,d,J=12Hz),3.02(1H,m),2.56(1H,m)。
【0069】
合成例5:2−アミノ−9−(2−O−アセチル−3,5−ジ−O−ベンジル−4−C−フルオロメチル−β−D−リボフラノシル)−6−クロロプリン(化合物10)の合成
化合物9を、以下に示す反応工程にて合成した。
【0070】
【化9】
【0071】
化合物9(Tetrahedron,Vol.53,No.39,pp.13315−13322(1997)参照)(117mg,0.263mmol)と2−アミノ−6−クロロプリン(66.8mg,0.394mmol)をアセトニトリル(1.3mL)に溶解させた後、N,O−ビス(トリメチルシリル)アセトアミド(206μL,0.842 mmol)を加え、加熱還流下で1時間攪拌した。続いて反応溶液を室温に戻した後、トリフルオロメタンスルホン酸トリメチルシリル(64μL,0.342mmol)を加え、加熱還流下で5時間攪拌した。反応終了後、飽和重曹水によるクエンチを行った後、酢酸エチルによる抽出を行った。硫酸マグネシウムによる有機層の乾燥と溶媒の減圧留去を行った後、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/n−ヘキサン=1/2→1/1)で精製を行い、化合物10(122mg,0.220mmol,84%)を得た。
【0072】
1H−NMR(CDCl
3,500MHz);δ7.99(1H,s),7.38−7.29(10H,m),6.16(1H,d,J=5.5 Hz),5.91(1H,dd,J=5.5,5.5Hz),5.01(2H,brs),4.71−4.54(7H,m),3.72(1H,dd,J=10,2.0 Hz),3.66(1H,dd,J=10,2.0Hz),2.06(3H,s)。
【0073】
合成例6:2−アミノ−9−(3,5−ジ−O−ベンジル−4−C−フルオロメチル−2−O−フェニルチオホルミル−β−D−リボフラノシル)−6−クロロプリン(化合物12)の合成
化合物12を、以下に示す反応工程にて合成した。
【0074】
【化10】
【0075】
化合物10(122mg,0.220mmol)をメタノール(2mL)に溶解させた後、アンモニア水(0.5mL) を加え、室温で13時間攪拌した。反応終了後、酢酸エチルによる抽出を行った。硫酸マグネシウムによる有機層の乾燥と溶媒の減圧留去を行い、粗精製の化合物11を得た。
粗精製の化合物11(<0.220mmol)をジオキサンによる共沸脱水を行った。次にアセトニトリル(3mL)に溶解させた後、4−ジメチルアミノピリジン(80.6mg,0.660mmol)、フェニルクロロチオノホルメート(45.6μM,0.330mmol)を順次加え、室温で2時間攪拌した。反応終了後、酢酸エチルによる抽出を行った。硫酸マグネシウムによる有機層の乾燥と溶媒の減圧留去を行った後、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/n−ヘキサン=1/2)で精製を行い、化合物12(110.6mg,0.170mmol,2工程77%)を得た。
【0076】
1H−NMR(CDCl
3,500MHz);δ8.00(1H,s),7.41−7.33(13H,m),6.97(2H,d,J=8.0Hz),6.41(1H,dd,J=6.3,5.5Hz),6.37(1H,d,J=6.5Hz),5.00(2H,brs),4.88(1H,d,J=5.0Hz),4.76−4.59(6H,m),3.77(1H,dd,J=10,2.0Hz),3.74(1H,dd,J=10,2.0Hz)。
【0077】
合成例7:2−アミノ−9−(3,5−ジ−O−ベンジル−2−O−デオキシ−4−C−フルオロメチル−β−D−リボフラノシル)−6−クロロプリン(化合物13)の合成
化合物13を、以下に示す反応工程にて合成した。
【0078】
【化11】
【0079】
化合物12(110.6mg,0.170mmol)をトルエン(6mL)に溶解させた後、水素化トリブチルスズ(229μL,0.850mmol)とアゾビスイソブチロニトリル(7.0mg,0.0425mmol)を加え、80℃で1時間攪拌した。反応終了後、溶媒の減圧留去を行い、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/n−ヘキサン=1/2→1/1)で精製を行い、化合物13(59.3mg,0.119mmol,70%)を得た。
【0080】
1H−NMR(CDCl
3,500MHz);δ7.99(1H,s),7.39−7.25(10H,m),6.34(1H,dd,J=6.5,6.5Hz),5.02(2H,brs),4.67(2H,d,J=47.5 Hz),4.65(1H,d,J=12Hz),4.55−4.51(4H,m),3.63(1H,s),3.62(1H,s),2.78(1H,m),2.63(1H,m)。
【0081】
合成例8:2−アミノ−9−(3,5−ジ−O−ベンジル−2−O−デオキシ−4−C−フルオロメチル−β−D−リボフラノシル)プリン(化合物14)の合成
化合物14を、以下に示す反応工程にて合成した。
【0082】
【化12】
【0083】
化合物13(59.3mg,0.119mmol)と10% パラジウム炭素(29.7mg,50wt%)にメタノール(3mL)を加えた後、トリエチルアミン(166μL,1.19mmol)を加え、室温、水素雰囲気下で19時間攪拌した。反応終了後、溶媒の減圧留去を行った後、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル)で精製を行い、化合物14(37.6mg,0.0811mmol,68%)を得た。
【0084】
1H−NMR(CDCl
3,500MHz);δ8.65(1H,s),7.94(1H,s),7.39−7.26(10H,m),6.39(1H,dd,J=6.5,6.5Hz),4.97(2H,brs),4.69(2H,d,J=47Hz),4.66(1H,d,J=12Hz),4.57−4.50(4H,m),3.65(1H,s),3.64(1H,s),2.81(1H,m),2.62(1H,m)。
【0085】
合成例9:2−アミノ−9−(2−O−デオキシ−4−C−フルオロメチル−β−D−リボフラノシル)プリン(化合物P2)の合成
化合物P2を、以下に示す反応工程にて合成した。
【0086】
【化13】
【0087】
化合物14(18.0mg,0.0388mmol)をトルエンで共沸脱水した後、ジクロロメタン(1mL)に溶解させ、三塩化ホウ素(CH
2Cl
2中1.0M,0.29mg,0.291mmol)を加え、−78℃で21時間攪拌した。反応終了後、1Mのトリエチルアミン‐二酸化炭素緩衝液(4.4mL)でクエンチを行った後、メタノールによる共沸を行った。その後、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(メタノール/クロロホルム=1/5)と 分取薄層クロマトグラフィー(メタノール/クロロホルム=1/4)で精製を行い、化合物P2(6.7mg,0.0237mmol,61%)を得た。
【0088】
1H−NMR(CD
3OD,500MHz);δ8.56(1H,s),8.26(1H,s),6.42(1H,dd,J=6.5,6.5 Hz),4.73(1H,dd,J=6.5,4.0Hz),4.63(2H,dd,J=47.5,2.5Hz),3.76(2H,s),2.97(1H,m),2.48(1H,m)。
【0089】
合成例10:9−(5−O−アセチル−3−O−tert−ブチルジメチルシリル−2−O−デオキシ−β−D−リボフラノシル)−2−イソブチリルアミノ−1H−プリン−6−オン(化合物15)の合成
化合物15を、以下に示す反応工程にて合成した。
【0090】
【化14】
【0091】
化合物2(15.0mg,0.0332mmol)をジクロロメタン(1mL)に溶解させた後、トリエチルアミン(13.9μL,0.0996mmol)、4−ジメチルアミノピリジン(0.41mg,3.32μmol)、無水酢酸(4.71μL,0.0498mmol)を順次加え、室温で2時間攪拌した。反応終了後、飽和重曹水によるクエンチと酢酸エチルによる抽出を行った。硫酸マグネシウムによる有機層の乾燥と溶媒の減圧留去を行った後、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/n−ヘキサン=2/1→酢酸エチル)で精製を行い、化合物15(11.4mg,0.0231mmol,70%)を得た。
【0092】
1H−NMR(CDCl
3,500MHz);δ8.57(1H,brs),8.02(1H,s),7.74(1H,s),6.23(1H,dd,J=7.5,6.0Hz),4.60(1H,dd,J=11.5,5.5Hz),4.48(1H,m),4.37(1H,dd,J=11.5,6.0Hz),2.76(1H,m),2.67(1H,m),2.33(1H,m),2.11(3H,s),1.30(3H,d,J=4.0Hz),1.28(3H,d,J=4.0Hz)0.93(9H,s),0.123(3H,s),0.120(3H,s)。
【0093】
合成例11:9−(5−O−アセチル−3−O−tert−ブチルジメチルシリル−2−O−デオキシ−β−D−リボフラノシル)−2−イソブチリルアミノ−6−(2,4,6−トリイソプロピルベンゼンスルホニルオキシ)プリン(化合物16)の合成
化合物16を、以下に示す反応工程にて合成した。
【0094】
【化15】
【0095】
化合物15(5.55g,11.2mmol)をジクロロメタン(56mL)に溶解させた後、トリエチルアミン(3.1 mL,22.4mmol)、4−ジメチルアミノピリジン(137mg,1.12mmol)、2,4,6−トリイソプロピルベンゼンスルホニルクロリド(6.78g,22.4mmol)を順次加え、室温で2時間攪拌した。反応終了後、飽和重曹水によるクエンチとクロロホルムによる抽出を行った。硫酸マグネシウムによる有機層の乾燥と溶媒の減圧留去を行った後、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/n−ヘキサン=1/4)で精製を行い、化合物16(7.26g,9.55mmol,85%)を得た。
【0096】
1H−NMR(CDCl
3,500MHz);δ8.04(1H,s),7.85(1H,brs),7.23(2H,s),6.33(1H,t,J=6.5Hz),4.76(1H,dd,J=10.5,4.5Hz),4.39(1H,dd,J=12,4.5Hz),4.30−4.23(3H,m),4.13(1H,dd,J=9.5,4.5Hz),2.93(2H,m),2.86(1H,brs),2.44(1H,m),2.05(3H,s),1.30−1.26(18H,m),1.23(3H,d,J=3.0Hz),1.21(3H,d,J=3.5Hz)0.91(9H,s),0.13(3H,s),0.11(3H,s)。
【0097】
合成例12:9−(3−O−tert−ブチルジメチルシリル−2−O−デオキシ−β−D−リボフラノシル)−2−イソブチリルアミノプリン(化合物18)の合成
化合物18を、以下に示す反応工程にて合成した。
【0098】
【化16】
【0099】
化合物16(6.92g,9.10mmol)を1,4−ジオキサン(65mL)に溶解させた後、トリエチルアミン(7.6mL,54.6mmol),ギ酸(2.1mL,54.6mmol),1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン(413mg,1.00mmol),酢酸パラジウム(II)(204mg,0.91mmol)を順次加え、90℃で3.5時間攪拌した。反応終了後、溶媒の減圧留去を行い、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル、ショート)で精製を行い、粗精製の化合物17を得た。
粗精製の化合物17(<9.10 mmol)をメタノール(46mL)に溶解させた後、アンモニア水(15mL)を加え、室温で12.5時間攪拌した。反応終了後、酢酸エチルによる抽出を行った。硫酸マグネシウムによる有機層の乾燥と溶媒の減圧留去を行った後、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/n−ヘキサン=2/1→酢酸エチル)で精製を行い、化合物18(1.82 g,4.18 mmol,2工程46%) を得た。
【0100】
1H−NMR(CDCl
3,500MHz);δ8.96(1H,s),8.30(1H,brs),8.09(1H,s),6.31(1H,dd,J=8.0,6.0 Hz),4.88(1H,ddd,J=5.5,2.5,2.5 Hz),4.44(1H,m),4.09(1H,dd,J=4.5,2.0Hz),3.95(1H,m),3.82(1H,m),3.02(1H,m),2.79(1H,m),2.30(1H,m),1.30(3H,d,J=2.0Hz),1.28(3H,d,J=2.0Hz),0.927(9H,s),0.138(3H,s),0.121(3H,s)。
【0101】
合成例13:9−(3−O−tert−ブチルジメチルシリル−2−O−デオキシ−4−C−ヒドロキシメチル−β−D−リボフラノシル)−2−イソブチリルアミノプリン(化合物20)の合成
化合物20を、以下に示す反応工程にて合成した。
【0102】
【化17】
【0103】
化合物18(26.8mg,0.0618mmol)をトルエン(0.5mL)とジメチルスルホキシド(0.5mL)に溶解させた後、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(35.5mg,0.185mmol),ピリジン(10μL,0.124mmol),トリフルオロ酢酸(4.7μL,0.0618mmol)を順次加え、室温で14時間攪拌した。その後、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(118mg,0.618mmol),ピリジン(30μL,0.371mmol),トリフルオロ酢酸(14μL,0.186mmol)を順次追加し、室温で2時間攪拌した。反応終了後、酢酸エチルによる抽出を行った。硫酸マグネシウムによる有機層の乾燥と溶媒の減圧留去を行い、粗精製の化合物19を得た。
粗精製の化合物19(<0.0618mmol)を1,4−ジオキサン(1mL)に溶解させた後、37% ホルムアルデヒド水溶液(27μL,0.272 mmol)、1規定の水酸化ナトリウム水溶液(155μL,0.155mmol)を順次加え、室温で1時間攪拌した。続いて0℃で水素化ホウ素ナトリウム(7.0mg,0.185mmol)を加え、同温で30分攪拌した。反応終了後、メタノールによるクエンチと酢酸エチルによる抽出を行った。硫酸マグネシウムによる有機層の乾燥と溶媒の減圧留去を行った後、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー (酢酸エチル→メタノール/クロロホルム=1/10)で精製を行い、化合物20(18.3mg,0.0393mmol,2工程64%)を得た。
【0104】
1H−NMR(CDCl
3,500MHz);δ8.94(1H,s),8.75(1H,brs),8.09(1H,s),6.38(1H,dd,J=6.5,6.5Hz),5.30(1H,dd,J=6.5,5.0Hz),4.28(1H,brs),3.90−3.63(5H,m),3.09(1H,m),2.94(1H,m),2.51(1H,m),1.29(3H,d,J=6.0Hz),1.28(3H,d,J=7.0 Hz),0.945(9H,s),0.215(3H,s),0.152(3H,s)。
【0105】
合成例13:9−(2−O−デオキシ−3,5−ジ−O−tert−ブチルジメチルシリル−4−C−ヒドロキシメチル−β−D−リボフラノシル)−2−イソブチリルアミノプリン(化合物23)の合成
化合物23を、以下に示す反応工程にて合成した。
【0106】
【化18】
【0107】
化合物20(103.4 mg,0.222mmol)をN,N−ジメチルホルムアミド(2.3mL)に溶解させた後、トリエチルアミン(62μL,0.444mmol),4,4’−ジメトキシトリチルクロリド(113mg,0.333mmol)を順次加え、0℃で1.5時間攪拌した。反応終了後、メタノールによるクエンチと、酢酸エチルによる抽出を行った。硫酸マグネシウムによる有機層の乾燥と溶媒の減圧留去を行い、粗精製の化合物21を得た。
粗精製の化合物21(<0.222mmol)をN,N−ジメチルホルムアミド(2.2mL)に溶解した後、イミダゾール(52.9mg,0.777mmol),tert−ブチルジメチルシリルクロリド(100mg,0.666mmol)を順次加え、室温で16.5時間攪拌した。反応終了後、飽和重曹水でクエンチを行った後、酢酸エチルによる抽出を行った。硫酸マグネシウムによる有機層の乾燥と溶媒の減圧留去を行い、粗精製の化合物22を得た。
粗精製の化合物22(<0.222mmol)をクロロホルム(1.5mL)に溶解させた後、−15℃でメタノール(0.6mL)に溶解させたp−トルエンスルホン酸一水和物(127mg,0.666 mmol)を滴下し、同温で2時間攪拌した。反応終了後、1規定の水酸化ナトリウム水溶液によるクエンチを行った後、酢酸エチルによる抽出を行った。硫酸マグネシウムによる有機層の乾燥と溶媒の減圧留去を行った後、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー (酢酸エチル/n−ヘキサン=2/1)で精製を行い、化合物23(19.8 mg,0.0341mmol,3工程15.4%) を得た。
【0108】
1H−NMR(CDCl
3,500MHz);δ8.98(1H,s),8.83(1H, brs),8.27(1H,s),6.48(1H,dd,J=7.0,6.0Hz),4.97(1H,dd,J=6.5,5.5 Hz),3.87(1H,m),3.82(2H,s),3.73(1H,m),2.93(1H,m),2.78(1H,m),2.59(1H,m),1.29(3H,d,J=2.0Hz),1.28(3H,d,J=2.0Hz),0.939(9H,s),0.883(9H,s),0.165(3H,s),0.147(3H,s),0.043(6H,s)。
【0109】
合成例14:9−(2−O−デオキシ−3,5−ジ−O−tert−ブチルジメチルシリル−4−C−ビニル−β−D−リボフラノシル)−2−イソブチリルアミノプリン(化合物25)の合成
化合物25を、以下に示す反応工程にて合成した。
【0110】
【化19】
【0111】
化合物23(42.7mg,0.0737mmol)をトルエン(0.5mL)とジメチルスルホキシド(0.5mL)に溶解させた後、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(141.3mg,0.737mmol),ピリジン(36μL,0.442mmol),トリフルオロ酢酸(17μL,0.221mmol)を順次加え、室温で1時間攪拌した。反応終了後、酢酸エチルによる抽出を行った。硫酸マグネシウムによる有機層の乾燥と溶媒の減圧留去を行い、粗精製の化合物24を得た。
メチルトリフェニルホスホニウムブロミド(79.0 mg,0.221mmol)をテトラヒドロフラン(2mL)に溶解させた後、−78℃でn−ブチルリチウム(ヘキサン中1.6M,0.13mL,0.214mmol)を加え、0℃で30分攪拌した。続いて、テトラヒドロフラン(4mL)に溶解させた粗精製の化合物24(<0.0737mmol)をテトラヒドロフラン(4mL)に溶解させた後、室温で11時間攪拌した。続いて、別途調製した9.9当量のウィッティヒ(Wittig)試薬を0℃で加え、室温で3時間攪拌した。反応終了後、飽和塩化アンモニウム水溶液によるクエンチと酢酸エチルによる抽出を行った。硫酸マグネシウムによる有機層の乾燥と溶媒の減圧留去を行った後、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/n−ヘキサン=1/1)で精製を行い、化合物25(14.4mg,0.0250mmol,2工程34%)を化合物25’との混合物(25:25’=1:0.3)として得た。なお、化合物25と化合物25’の混合比は
1H−NMRスペクトルより決定した。
化合物25のLRMS(ESI
+); m/z 598.4114[M+Na]
+。
【0112】
合成例15:2−アミノ−9−(2−O−デオキシ−3,5−ジ−O−tert−ブチルジメチルシリル−4−C−ビニル−β−D−リボフラノシル)プリン(化合物26)の合成
化合物26を、以下に示す反応工程にて合成した。
【0113】
【化20】
【0114】
化合物25と化合物25’の混合物(18.1mg,0.0314mmol)をイソプロピルアルコール(1mL)に溶解させた後、ヨウ化アンモニウム(4.6mg,0.0314mmol)、ヒドラジン一水和物(1mL)を順次加え、室温で1.5時間攪拌した。反応終了後、酢酸エチルによる抽出を行った。硫酸マグネシウムによる有機層の乾燥と溶媒の減圧留去を行った後、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/n−ヘキサン=1/1)で精製を行い、化合物26(10.1mg,0.0200mmol,64%)を化合物26’との混合物(26:26’=1:0.3)として得た。なお、化合物26と化合物26’の混合比は
1H−NMRスペクトルより決定した。
化合物26のLRMS(ESI
+); m/z 528.3378[M+Na]
+。
【0115】
合成例16:2−アミノ−9−(2−O−デオキシ−4−C−ビニル−β−D−リボフラノシル)プリン(化合物P3)の合成
化合物P3を、以下に示す反応工程にて合成した。
【0116】
【化21】
【0117】
化合物26と化合物26’の混合物(10.1mg,0.0200mmol)をクロロホルム(1mL)とメタノール(1mL)に溶解させた後、酸性フッ化アンモニウム(68.4mg,1.2mmol)を加え、室温下で84時間攪拌した。続いて、酸性フッ化アンモニウム(68.4mg,1.2mmol)を追加し、室温で48時間攪拌した。その後、酸性フッ化アンモニウム(205mg,3.6mmol)を追加し、室温で216時間攪拌した。反応終了後、溶媒の減圧留去を行い、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(メタノール/クロロホルム=1/4)で精製を行い、化合物P3(4.4mg,0.0159mmol,79%)を、化合物P3’との混合物(P3:P3’=1:0.3)として得た。なお、化合物P3と化合物P3’との混合比は
1H−NMR スペクトルより決定した。
【0118】
化合物P3の
1H−NMR(CD
3OD,500MHz);δ8.56(1H,s),8.36(1H,s),6.37(1H,dd,J=7.0,4.5Hz),6.00(1H,dd,J=17.5,11.0Hz),5.53(1H,dd,J=17.5,2.0Hz),5.32(1H,dd,J=11.0,2.0Hz),4.80(1H,t,J=6.5Hz),3.70(1H,d,J=12.0Hz),3.60(1H,d,J=12.0Hz),2.74(1H,m),2.41(1H,m);
化合物P3’の
1H−NMR(CD
3OD,500MHz);δ8.56(1H,s),8.30(1H,s),6.33(1H,t,J=7.0Hz),4.61(1H,dd,J=6.0,4.0Hz),3.71(2H,d,J=12.0Hz),3.63(1H,d,J=12.0Hz),2.93(1H,m),2.42(1H,m),1.77(1H,m),1.68(1H,m),0.992(3H,t,J=7.5Hz)。
【0119】
合成例17:9−(3−O−tert−ブチルジメチルシリル−2,5−ジ−O−デオキシ−5−O−ヨード−β−D−リボフラノシル)−2−イソブチリルアミノプリン(化合物27)の合成
化合物27を、以下に示す反応工程にて合成した。
【0120】
【化22】
【0121】
化合物18(323mg,0.742mmol)をピリジン(3.7mL)に溶解させた後、トリフェニルホスフィン(584mg,2.23mmol)とヨウ素(565mg,2.23mmol)を順次加え、室温で3時間攪拌した。その後、トリフェニルホスフィン(389mg,1.48mmol)とヨウ素(377mg,1.48mmol)を追加し、室温で16時間攪拌した。反応終了後、飽和チオ硫酸ナトリウム水溶液によるクエンチと酢酸エチルによる抽出を行った。硫酸マグネシウムによる有機層の乾燥と溶媒の減圧留去を行った後、溶媒の減圧留去を行い、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/n−ヘキサン=2/1)で精製を行い、化合物27(352mg,0.645mmol,87%)を得た。
【0122】
1H−NMR(CDCl
3,500MHz);δ8.93(1H,s),8.35(1H,s),8.18(1H,s),6.38(1H,t,J=7.0 Hz),4.73(1H,m),4.06(1H,m),3.66(1H,dd,J=10.5,6.5 Hz),3.47(1H,dd,11,6.0Hz),3.21(1H,m),2.86(1H,brs),2.38(1H,m),1.30(3H,d,J=5.0Hz),1.29(3H,d,J=4.5 Hz),0.93(9H,s),0.18(3H,s),0.15(3H,s)。
【0123】
合成例18:9−(3−O−tert−ブチルジメチルシリル−2,5−ジ−O−デオキシ−β−D−エリトロ−ペント−4−エノフラノシル)−2−イソブチリルアミノプリン(化合物28)の合成
化合物28を、以下に示す反応工程にて合成した。
【0124】
【化23】
【0125】
化合物27(352mg,0.645mmol)をアセトニトリル(4mL)に溶解させた後、ジアザビシクロウンデセン(481μL,3.23mmol)を加え、80℃で1.5時間攪拌した。反応終了後、溶媒の減圧留去を行い、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/n−ヘキサン=2/1)で精製を行い、化合物28(240mg,0.574mmol,89%)を得た。
【0126】
1H−NMR(CDCl
3,500MHz);δ8.95(1H,s),8.19(1H,s),8.06(1H,s),6.57(1H,t,J=6.0 Hz),5.12(1H,t,J=5.5Hz),4.51(1H,m),4.26(1H,m),3.05(1H,brs),2.95(1H,m),2.55 (1H,m),1.29(3H,d,J=3.0 Hz),1.28(3H,d,J=3.0 Hz),0.94(9H,s),0.18(3H,s),0.17(3H,s)。
【0127】
合成例19:9−(4− C−アジド−3−O−tert−ブチルジメチルシリル−2,5−ジ−O−デオキシ−5−O−ヨード−β−D−リボフラノシル)−2−イソブチリルアミノプリン(化合物29)の合成
化合物29を、以下に示す反応工程にて合成した。
【0128】
【化24】
【0129】
アジ化ナトリウム(187mg,2.87mmol)と一塩化ヨウ素(ヘキサン中1.0M,1.44mL,1.44mmol)をN,N−ジメチルホルムアミド(1mL)に溶解させた後、N,N−ジメチルホルムアミド(3mL)に溶解させた化合物28(240mg,0.574mmol)を加え、室温で3.5時間攪拌した。反応終了後、飽和チオ硫酸ナトリウム水溶液によるクエンチと酢酸エチルによる抽出を行った。硫酸マグネシウムによる有機層の乾燥と溶媒の減圧留去を行った後、溶媒の減圧留去を行い、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/n−ヘキサン=1/1)で精製を行い、化合物29(206mg,0.351mmol,61%) を得た。
【0130】
1H−NMR(CDCl
3,500MHz);δ8.94(1H,s),8.69(1H,s),8.08(1H,s),6.38(1H,dd,J=7.0,6.0Hz),5.39(1H,t,J=6.0Hz),4.00(1H,d,J=11.5Hz),3.73(1H,d,J=11.0Hz),3.34(1H,m),2.74(1H,brs),2.58(1H,m),1.30(3H,d,J=7.0Hz),1.28(3H,d,J=7.5Hz),0.97(9H,s),0.25(3H,s),0.18 (3H, s)。
【0131】
合成例20:2−アミノ−9−(4− C−アジド−3−O−tert−ブチルジメチルシリル−β−D−リボフラノシル)プリン(化合物31)の合成
化合物31を、以下に示す反応工程にて合成した。
【0132】
【化25】
【0133】
化合物29(152mg,0.259mmol)をN,N−ジメチルホルムアミド(5mL)に溶解させた後、安息香酸ナトリウム(373mg,2.59mmol)と15−クラウン−5(514μL,2.59 mmol)を加え、90℃で24時間攪拌した。反応終了後、酢酸エチルによる抽出を行った。硫酸マグネシウムによる有機層の乾燥と溶媒の減圧留去を行った後、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/n−ヘキサン=1/1) で精製を行い、粗精製の化合物30を得た。
粗精製の化合物30(<0.113 mmol)をイソプロピルアルコール(1.5mL)に溶解させた後、ヨウ化アンモニウム(16.4mg,0.113mmol)、ヒドラジン一水和物(1.5mL)を順次加え、室温で15時間攪拌した。反応終了後、酢酸エチルによる抽出を行った。硫酸マグネシウムによる有機層の乾燥と溶媒の減圧留去を行った後、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(メタノール/クロロホルム=1/10)で精製を行い、化合物31(38.4mg,0.0945mmol,2工程37%)を得た。
【0134】
1H−NMR(CDCl
3,500MHz);δ8.74(1H,s),7.83(1H,s),7.41(1H,s),6.41(1H,dd,J=9.0,5.5Hz),5.14(2H,brs),4.78(1H,dd,J=5.0,1.5 Hz),3.87(1H,d,J=12.5 Hz),3.53(1H,d,J=12.5 Hz),3.21(1H,m),2.38(1H,m),0.97(9H,s),0.21(3H,s),0.18(3H,s)。
【0135】
合成例21:2−アミノ−9−(4−C−アジド−2−デオキシ−β−D−リボフラノシル)プリン(化合物P4)の合成
化合物P4を、以下に示す反応工程にて合成した。
【0136】
【化26】
【0137】
化合物31(38.4mg,0.0945mmol)をクロロホルム(2mL)とメタノール(2mL)に溶解させた後、酸性フッ化アンモニウム(323mg,5.67mmol)を加え、室温で41時間攪拌した。続いて、酸性フッ化アンモニウム(323mg,5.67mmol)を追加し、室温で72時間攪拌した。その後、50℃で42時間攪拌した。反応終了後、溶媒の減圧留去を行い、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(メタノール/クロロホルム=1/6→1/4)で精製を行い、化合物P4(22.6mg,0.0773mmol,82%)を得た。
【0138】
1H−NMR(CD
3OD,500MHz);δ8.56(1H,s),8.26(1H,s),6.52(1H,dd,J=7.0,4.0Hz),4.88(1H,m),3.83(1H,d,J=12.0 Hz),3.75(1H,d,J=12.0Hz),2.90(1H,m),2.59(1H,m)。
【0139】
合成例22:化合物C1及びC2の合成
上述した非特許文献1の記載に基いて、以下の式で表される化合物C1及びC2を合成した。
【0140】
【化27】
【化28】
【0141】
合成例23:2−アミノ−2’−デオキシ−4’−フルオロメチルアデノシン(化合物R1)の合成
2−アミノ−2’−デオキシ−4’−フルオロメチルアデノシン(化合物R1)を合成すべく、先ず、下記化合物32(2’−O−Acetyl−2−amino−3’,5’−di−O−benzyl−4’−fluoromethyladenosine)を、以下の通りにして合成した。
【0142】
【化29】
【0143】
すなわち、化合物9(5.78g、12.9mmol)、2,6−ジアミノプリン(3.87g、25.8mmol)、N,O−ビス(トリメチルシリル)アセトアミド(37.8mL、0.155mol)に1,2−ジクロロエタン(104mL)を加え、1時間加熱還流した。反応液を0℃に冷却した後、トリフルオロメタンスルホン酸トリメチルシリル(4.66mL、25.8mmol)を加え、8時間加熱還流した。反応液を0℃に冷却後、飽和重曹水を加え撹拌し、生じた不溶物をセライト濾過により除去後、濾液有機層を硫酸マグネシウム上で乾燥、濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム:メタノール=50:1)により精製し、化合物32を得た(5.15g、9.60mmol、74.4%)。
【0144】
1H−NMR(CD
3CN):δ7.65(1H,s),7.24−7.08(10H,m),6.02(1H,d),5.98(1H,t),5.70(2H,br.s),4.95(2H,br.s),4.82(1H,d),4.71(1H,dd),4.61(1H,dd),4.62(1H,d),4.59(2H,d),4.56(1H,d),4.53(1H,d),3.70(2H,m),2.01(3H,s)。
【0145】
次に、前記の通りにして得られた化合物32を用い、下記の通りに化合物33(2−Amino−3’,5’−di−O−benzyl−4’−fluoromethyladenosine)を合成した。
【0146】
【化30】
【0147】
すなわち、化合物32(5.15g、9.60mmol)をメタノール(100mL)に溶解し、1M水酸化ナトリウム水溶液(20mL、20mmol)を加え、室温で2時間撹拌した。反応液を酢酸で中和した後、濃縮し、残渣を酢酸エチルに溶解、水洗した。有機層を硫酸マグネシウム上乾燥、濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム:メタノール=50:1〜10:1)により精製し、化合物33を得た(4.70g、9.50mmol、99.0%)。
【0148】
1H−NMR(DMSO−d
6):δ7.84(1H,s),7.38−7.28(10H,m),6.72(2H,br.s),5.86(1H,d),5.81(2H,br.s),5.74(1H,d),5.01(1H,dd),4.89(1H,d),4.68−4.53(5H,m),4.28(1H,d),3.68(1H,dd),3.64(1H,dd)。
【0149】
次に、前記の通りにして得られた化合物33を用い、下記の通りに化合物34(2−Amino−3’,5’−di−O−benzyl−2’−deoxy−4’−fluoromethyladenosine)を合成した。
【0150】
【化31】
【0151】
すなわち、化合物33(4.70g、9.50mmol)、4−ジメチルアミノピリジン(1.74g、14.2mmol)をアセトニトリル(38.0mL)に溶解し、0℃にてクロロチオノギ酸フェニル(1.54mL、11.4mmol)を加え、2時間撹拌した。メタノール(2mL)を加え撹拌した後、反応液を酢酸エチルで希釈、洗浄(飽和食塩水→0.1M塩酸→飽和食塩水→飽和炭酸水素ナトリウム水溶液)した。有機層を硫酸マグネシウム上で乾燥後、濃縮し、残渣をトルエンで共沸し、粗製のチオ炭酸エステルを得た。
粗製のチオ炭酸エステル、水素化トリブチルスズ(10.2mL、37.9mmol)をトルエン(95.0mL)に溶解後、85℃に加熱し、アゾビスイソブチロニトリル(20mg)を加え、2時間撹拌した。反応液を濃縮後、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム:メタノール=50:1)により精製し、化合物34を得た(3.23g、6.75mmol、71.1%)。
【0152】
1H−NMR(DMSO−d
6):δ7.87(1H,s),7.37−7.26(10H,m),6.71(2H,br.s),6.23(1H,d),5.80(2H,br.s),4.70−4.50(7H,m),3.64(2H,dd),3.60(2H,dd),2.91(1H,m),2.59(1H,m)。
【0153】
次に、前記の通りにして得られた化合物34を用い、下記の通りに化合物R1(2−Amino−2’−deoxy−4’−fluoromethyladenosine)を合成した。
【0154】
【化32】
【0155】
すなわち、ナフタレン(9.08g、70.8mmol)を脱水テトラヒドロフラン(76.1mL)に溶解し、金属リチウム(369mg、53.2mmol)を加え、室温で3時間撹拌した。溶液を−78℃に冷却後、化合物34(2.12g、4.33mmol)の脱水テトラヒドロフラン溶液(35.6mL)を加え、−45℃で2時間撹拌した。メタノール(5mL)を加えた後、反応液を酢酸エチルで希釈し、脱イオン水で抽出した。水層を合わせ少量にまで濃縮した後、ODSカラムクロマトグラフィー(脱イオン水〜5%メタノール)により精製し、真空乾燥の後、化合物R1を得た(0.90g、3.0mmol、68%)。
【0156】
1H−NMR(DMSO−d
6):δ7.91(1H,s),6.70(2H,br.s),6.24(1H,dd),5.72(2H,br.s),5.36−5.35(2H,m),4.60(1H,dd),4.50(1H,dd),4.51(1H,m),3.54(1H,br.s),3.53(1H,br.s),2.81(1H,m),2.22(1H,m)。
【0157】
合成例24:6、4’−フルオロメチル−2’−デオキシグアノシン(化合物R2)の合成
合成例23にて得られた化合物R1を用い、下記の通り6、4’−フルオロメチル−2’−デオキシグアノシン(化合物R2)を合成した。
【0158】
【化33】
【0159】
すなわち、化合物R1(500mg、1.68mmol)を50mMトリス塩酸緩衝液(pH7.5)(45.0mL)に溶解し、子牛脾臓由来アデノシンデアミナーゼ(50uL、6.5units)を加え、40℃で2時間撹拌した。5℃で終夜静置し、析出した化合物R2を濾取、乾燥した(409mg)。更に濾液を少量にまで濃縮後、ODSカラムクロマトグラフィー(ODS 50cc、0〜5% MeOH)により精製(44mg)した。先に得られたものと合わせ、化合物R2を得た(453mg、1.51mmol、89.9%)。
【0160】
1H−NMR(DMSO−d
6):δ10.58(1H,br.s),7.91(1H,s),6.42(2H,br.s),6.19(1H,dd),5.37(1H,m),5.09(1H,t),4.59(1H,dd),4.49(1H,dd),4.49(1H,m),3.50(2H,m),2.71(1H,m),2.25(1H,m)。
【0161】
合成例25:2−アミノ−2’−デオキシ−4’−ビニルアデノシン(化合物R3)の合成
2−アミノ−2’−デオキシ−4’−ビニルアデノシン(化合物R3)を合成すべく、先ず、下記化合物36(2−Benzamido−N
6−benzoyl−3’,5’−di−O−tert−butyldimethylsilyl−2’−deoxy−4’−vinyladenosine)を以下の通りにして合成した。
【0162】
【化34】
【0163】
すなわち、化合物35(Nucleosides,Nucleotides&Nucleic Acids,Vol.23,No.4,pp.671−690,2004 参照)(0.42g、0.57mmol)を乾燥ジメチルスルホキシド(2.5mL)、乾燥トルエン(1.3mL)に溶解し、塩酸1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(328mg、1.71mmol)、乾燥ピリジン(104μL)、トリフルオロ酢酸(52μL)を加え、室温で2時間撹拌した。反応液を酢酸エチルで希釈後、洗浄(飽和食塩水)、乾燥(無水硫酸マグネシウム)、濃縮した。残渣をテトラヒドロフランと3回共沸後、真空乾燥し、粗アルデヒドを得た。
【0164】
臭化メチルトリフェニルホスホニウム(1.02g、2.86mmol)を乾燥テトラヒドロフラン(7.1mL)に懸濁し、−78℃に冷却した。n−ブチルリチウムヘキサン溶液(1.60M、1.79mL、2.86mmol)を加え、0℃で1時間撹拌後、前記粗アルデヒド乾燥テトラヒドロフラン溶液(5.9mL)を加え、室温で1時間撹拌した。飽和塩化アンモニウム水溶液を加え撹拌後、生成物を酢酸エチルにより抽出した。有機層を乾燥(無水硫酸マグネシウム)、濃縮後、残渣を少量のジクロロメタンに溶解し、シリカゲルを加え濃縮した。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=1:1)により精製し、化合物36を得た(293mg、0.402mmol、71%)。
【0165】
1H−NMR(CDCl
3):δ9.29(1H,br.s),9.24(1H,br.s),8.44(1H,s),8.04−7.49(10H,m),6.49(1H,t),5.98(1H,dd),5.57(1H,dd),5.34(1H,dd),4.90(1H,t),3.72(1H,d),3.68(1H,dd),2.87(3H,br.s),2.49(2H,m),0.94(9H,s),0.91(9H,s),0.04,0.03(12H,s)。
【0166】
次に、前記の通りにして得られた化合物36を用い、下記の通りに化合物R3(2−Amino−2’−deoxy−4’−vinyladenosine)を合成した。
【0167】
【化35】
【0168】
すなわち、化合物36(293mg、0.402mmol)を乾燥テトラヒドロフラン(1.3mL)に溶解し、フッ化テトラブチルアンモニウムテトラヒドロフラン溶液(1.0M、2.01mL、2.01mmol)を加え、室温で1時間撹拌した。反応液を濃縮後、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム:メタノール=20:1)により精製し、粗ジオール(293mg、0.402mmol、71%)を得た。粗ジオールをメタノール(10mL)、40%メチルアミン水溶液(10mL)に溶解し、室温で48時間撹拌した。反応液を濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム:メタノール=10:1〜5:1)により精製した。残渣を脱イオン水から再結晶化し、化合物R3を得た(83mg、0.28mmol、70%)。
【0169】
1H−NMR(DMSO−d
6):δ7.94(1H,s),6.71(1H,br.s),6.16(1H,t),5.95(1H,dd),5.69(2H,br.s),5.49(1H,t),5.35(1H,dd),5.19−5.16(2H,m),5.18(1H,dd),4.58(1H,q),3.50(1H,dd),3.41(1H,dd),2.54(1H,m),2.17(1H,m)。
【0170】
合成例26:2’−デオキシ−4’−ビニルグアノシン(化合物R4)の合成
2’−デオキシ−4’−ビニルグアノシン(化合物R4)を、以下の通りにして合成した。
【0171】
【化36】
【0172】
すなわち、合成例25にて得られた化合物R3(30mg、0.10mmol)をトリス塩酸緩衝液(50mM、pH7.5、2.8mL)に溶解し、子牛脾臓由来アデノシンデアミナーゼ(3μL、3.5units)を加え、40℃で5時間撹拌した。5℃で終夜静置後、析出した固体を濾取し、少量の脱イオン水で洗浄した。得られた固体を真空乾燥し、化合物25を得た(25mg、0.085mmol、83%)。
【0173】
1H−NMR(DMSO−d
6):δ10.60(1H,br.s),7.98(1H,s),6.44(1H,br.s),6.10(1H,dd),5.95(1H,dd),5.34(1H,dd),5.24(1H,br.s),5.19(1H,dd),5.11(1H,br.s),4.57(1H,t),3.50(1H,d),3.40(1H,d),2.44(1H,m),2.19(1H,m)。
【0174】
上述の通りに合成して得られたヌクレオシド誘導体において、以下に示す方法にて、抗ウイルス活性及び細胞毒性を評価した。なお、化合物P3については、化合物P3’との混合物の形で評価に供した。
【0175】
試験例1:抗HBV活性の評価(2週間評価系)
供試細胞として、ヒト肝ガン由来細胞株(HepG2細胞)にHBV遺伝子を導入することにより、持続的にHBVを産生するように調製された、HepG2 2.2.15細胞を用いた。なお、HepG2 2.2.15細胞は、10%胎児ウシ血清含有DMEMにおける継続培養にて維持した。また、当該細胞は、エピソームとして産生するHBV遺伝子を有するため、このエピソームHBVのDNAを定量し、上記ヌクレオシド誘導体の存在下における当該量の減少度によって抗HBV活性を評価とした。得られた結果を表4乃至6に示す。
【0176】
より具体的には、HepG2 2.2.15細胞を、12穴細胞培養皿の各ウェルに1.5×10
5cells/2mLの濃度になるよう播種した。細胞が80%コンフルエントに達した段階で、各ヌクレオシド誘導体を様々な濃度にて添加した。各ヌクレオシド誘導体を添加した培養液は4日毎に交換し、当該誘導体の存在下で12日間培養した。その後、各HepG2 2.2.15細胞から、QIAamp DNA Blood Mini Kit(QIAGEN社製)を用い、全細胞DNAを抽出し、200μLの1×TEバッファーに溶解した。次いで、このようにして抽出したDNAを鋳型として、リアルタイムPCRでHBV DNAを定量した。すなわち、HepG2 2.2.15細胞からの抽出DNAのうち2μLを2×SYBR PCR master mix(Applied Biosystems社製)を用いて増幅した。その増幅(PCR)反応には、HBVポリメラーゼ領域を検出する下記のプライマーセットを用いた:
5’−GCGAGGACTGGGGACCCTGTGACGAAC−3’(配列番号:1)、及び 5’−GTCCACCACGAGTCTAGACTCTGC−3’(配列番号:2)。
また、PCRの反応は、95℃で10分間、その後、95℃で15秒と60℃で1分間とを40サイクル行った。
【0177】
このようなPCR反応によって得られたデータを、StepOneTM Software Version2.0(Applied Biosystems社製)で解析し、CT値を得た。次いで、既知濃度のHBVプラスミドを10倍ごとに希釈(20から2×10
8コピー)したものを用いて作成された検量線により、前記CT値を各ヌクレオシド誘導体存在下におけるHBVのコピー数(HBVのDNA量)へと変換した。そして、ヌクレオシド誘導体の非存在下にて培養した対照におけるそれと比較し、その減少度からEC
50値を算出し、各ヌクレオシド誘導体の抗HBV活性を評価した。得られた結果を表4乃至6に示す。
【0178】
試験例2:抗HBV活性の評価(1週間評価系)
供試細胞として、前記HepG2 2.2.15細胞を親株とする、HepG2 2.2.15.7細胞を用いた。なお、HepG2 2.2.15細胞は、10%胎児ウシ血清、G418(500μg/ml)及び抗生剤(ペニシリンとカナマイシン)含有DMEMにおける継続培養にて維持した。また、HepG2 2.2.15.7細胞は、HepG2 2.2.15細胞同様、ゲノムに統合されたDNAだけでなくエピソームとして産生されるHBV遺伝子を保持するHBV持続産生細胞である。そこで、各ヌクレオシド誘導体と共培養し、培養上清に放出されるウイルスのDNAコピー数を定量し、その減少度を抗HBV活性の評価の指標とした。
【0179】
より具体的には、コラーゲンコートされた96穴細胞培養皿に細胞生存性90%以上のHepG2 2.2.15.7細胞を2×10
4cells/mlの濃度で播種し、細胞播種同日に、様々な濃度にて各ヌクレオシド誘導体を添加した。37℃、5%CO
2の標準培養条件で3日培養した後、さらに各ヌクレオシド誘導体を含むフレッシュな培地に交換し、交換後3日目の培養上清からHBV DNAを回収した。そして、回収した培地から、上記同様にして、定量的PCRを行い検量線からウイルスコピー数を求め、ヌクレオシド誘導体ごとのEC
50を算出した。得られた結果を表4乃至6に併せて示す。
【0180】
なお、表中、1Wは1週間評価形の結果を表し、2Wは2週間評価系の結果を表す。両者の違いは、培養期間だけでなく、評価するDNAが細胞内を含めた全DNA(2週間評価系)か細胞外のみのDNA(1週間評価系)かの違いもある。
【0181】
試験例3:細胞毒性試験
上記ヌクレオシド誘導体に関し、HepG2細胞に対する細胞毒性試験も行った。段階希釈後の各濃度の各ヌクレオシド誘導体を添加した培地と共に、HepG2細胞を1×10
4cells/mlの濃度になるよう播種した。このようにして様々な濃度の各ヌクレオシド誘導体の存在下、37℃、5%CO
2の標準培養条件で7日間、これら細胞を培養した後、各ウェルの生存細胞数をMTTアッセイで定量化した。そして、得られた生存細胞数に基づき、各ヌクレオシド誘導体に関し、CC
50を算出した。得られた結果を表4乃至6に併せて示す。
【0182】
なお、表4乃至6には、選択性指数として、CC
50値をEC
50値で除した値も示している。この選択性指数が大きいほど、毒性/活性比が大きく、薬剤として好適である。
【0183】
【表4】
【0184】
【表5】
【0185】
【表6】
【0186】
表4乃至6に示した結果から明らかな通り、化合物P1乃至P4は、化合物C1及びC2並びにR1乃至R4と比較して、細胞毒性がより低いことが明らかとなった。また、化合物P1乃至P4は、HBVに対する優れた抗ウイルス活性を有することも明らかとなった。