特許第6983827号(P6983827)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6983827
(24)【登録日】2021年11月26日
(45)【発行日】2021年12月17日
(54)【発明の名称】ピペットチップ
(51)【国際特許分類】
   B01L 3/02 20060101AFI20211206BHJP
   G01N 35/10 20060101ALI20211206BHJP
   G01N 1/00 20060101ALI20211206BHJP
【FI】
   B01L3/02 D
   G01N35/10 G
   G01N1/00 101K
【請求項の数】28
【全頁数】46
(21)【出願番号】特願2019-25331(P2019-25331)
(22)【出願日】2019年2月15日
(62)【分割の表示】特願2018-218934(P2018-218934)の分割
【原出願日】2018年11月22日
(65)【公開番号】特開2019-195802(P2019-195802A)
(43)【公開日】2019年11月14日
【審査請求日】2020年3月11日
(31)【優先権主張番号】62/670,361
(32)【優先日】2018年5月11日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】62/724,308
(32)【優先日】2018年8月29日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】510079765
【氏名又は名称】バイオティクス, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(72)【発明者】
【氏名】アルタ モタデル
(72)【発明者】
【氏名】ピーター ポール ブラスチャック
【審査官】 山崎 直也
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−136052(JP,A)
【文献】 特開2018−012085(JP,A)
【文献】 特開2017−067481(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0071643(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0213151(US,A1)
【文献】 米国特許第07335337(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01L 1/00−99/00
G01N 35/00−37/00
G01N 1/00− 1/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ピペットチップ内へフィルタを装填する方法であって、
近位表面を備えるフィルタをピペットチップの近位末端に配置することであって、
前記ピペットチップは、近位開口と、遠位開口と、近位領域と、遠位領域と、外側表面と、内側表面と、複数の内側リブとを含む単体ピペットチップであり、
前記複数の内側リブの各内側リブは、前記近位領域おける前記ピペットチップの前記内側表面上に軸方向に配置され、
前記複数の内側リブ、前記ピペットチップの前記内側表面の周りに周方向に分布させられており、
前記複数の内側リブの各内側リブは、前記ピペットチップの内側を向いている軸方向表面と、隣接する近位表面と、遠位末端とを備え、
前記複数の内側リブの各々の近位表面は、前記ピペットチップの内側の中心を通る長手方向軸に対して10度から80度の間の角度に配置されており、
前記複数の内側リブの各々の近位表面は、前記ピペットチップの前記近位領域内のノズル密封区域より下に配置されている、ことと、
前記フィルタの前記近位表面に力を加えることであって、
前記力は、前記長手方向軸に平行な方向に加えられ、
前記フィルタの遠位表面は、前記内側リブの前記近位表面に接触して通り越し、
前記力は、前記フィルタの前記近位表面が前記複数の内側リブの各内側リブの前記遠位末端に対して遠位である位置に配置されるまで加えられる、ことと
を含む、方法。
【請求項2】
前記ピペットチップは、前記近位開口と前記遠位開口との間の長さを含み、
前記近位領域は、近位領域長さを備え、
前記遠位領域は、遠位領域長さを備え、
前記近位領域は、前記遠位領域に隣接し、
前記近位領域長さは、前記近位開口と前記遠位開口との間の前記長さの5%以下である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ピペットチップは、複数の外側リブを備え、
前記複数の外側リブの各外側リブは、前記ピペットチップの前記外側表面上に軸方向に配置されており、
前記複数の外側リブ、前記ピペットチップの前記外側表面の周りに周方向に分布させられており、
前記複数の外側リブの各外側リブは、遠位末端を備える、請求項1または請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記ピペットチップの前記近位領域は、前記ピペットチップの前記近位開口から前記外側リブの前記遠位末端までであり、
前記ピペットチップの前記遠位領域は、前記遠位開口から前記外側リブの前記遠位末端までである、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記フィルタは、ポリエステル、コルク、プラスチック、シリカ、ゲル、またはそれらの組み合わせを含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記複数の内側リブの各々は、近位末端を備え、
前記ピペットチップの近位開口と前記内側リブの近位末端との間の前記ピペットチップの前記内側表面の領域は、環状突出を備えていない、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記ピペットチップの近位開口と前記内側リブの近位末端との間の前記ピペットチップの前記内側表面の領域は、突出を備えていない、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記ピペットチップの近位開口と前記内側リブの近位末端との間の前記ピペットチップの前記内側表面の領域は、滑らかである、請求項6または請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記ピペットチップは、フランジと、フランジ遠位周囲とをさらに備えており、前記フランジおよびフランジ遠位周囲は、前記ピペットチップの前記近位開口に配置されている、請求項6〜8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記フランジ遠位周囲と前記内側リブの近位末端との間の前記ピペットチップの前記内側表面の領域、または前記フランジ遠位周囲と前記内側リブの近位末端との間の軸方向距離に沿った前記内側表面の領域の一部分は、前記ピペットチップに挿入されることができる分注器ノズルの外側表面と接触するように構成されている、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記一部分は、前記フランジ遠位周囲と前記内側リブの近位末端との間の前記軸方向距離の0%から5%である、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記内側表面の領域または領域の一部分は、軸方向に配置された連続的な途切れのない表面である、請求項10または請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記内側表面の領域または領域の一部分は、隣接する軸方向に配置された近位表面と、隣接する軸方向に配置された遠位表面とによって境を限られ、
前記隣接する軸方向に配置された近位表面および前記隣接する軸方向に配置された遠位表面は、分注器の外側表面と接触するようには構成されていない、請求項10〜12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記内側表面の領域または領域の一部分は、前記フランジ遠位周囲に位置付けられたかもしくは前記フランジ遠位周囲に隣接して位置付けられた近位周囲によって画定される、請求項10〜13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記内側表面の領域の一部分は、.005インチ以上の軸方向距離によって画定された連続的な表面であり、
前記軸方向距離は、(i)内側リブ近位末端と(ii)前記フランジ遠位周囲との間の軸方向距離以下である、請求項10〜14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記複数の内側リブの各々の近位末端は、前記ピペットチップの前記近位領域における所定の流体分注器挿入深度に配置されるか、または前記ピペットチップの前記近位領域における前記所定の流体分注器挿入深度より下に配置される、請求項1〜15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記所定の流体分注器挿入深度は、前記ピペットチップが流体分注器と密封係合させられた後、前記流体分注器から前記ピペットチップを除去するために必要とされる低減させられた排出力のために最適化された挿入深度である、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記所定の流体分注器挿入深度は、前記ピペットチップが前記流体分注器と密封係合させられた後、前記流体分注器から前記ピペットチップを除去するために必要とされる最小限の排出力のために最適化された挿入深度である、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記ピペットチップの前記内側表面は、前記近位領域における第一の内側壁区分を備え、前記第一の内側壁区分は、前記長手方向軸に対して第一の角度を有する連続的に先細りしている内側壁表面を含み、
前記ピペットチップの前記内側表面は、前記近位領域における第二の内側壁区分を備え、前記第二の内側壁区分は、前記長手方向軸に対して第二の角度を有する連続的に先細りしている内側壁表面を含み、
前記第一の内側壁区分および前記第二の内側壁区分の各々は、壁区分の近位端から遠位端に先細りし、
前記第二の角度は、前記第一の角度より大きい、請求項1〜18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記複数の内側リブの各内側リブの前記遠位末端の少なくとも一部分は、前記第二の内側壁区分と接続している、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記第一の内側壁区分の角度は、前記長手方向軸に対して.2度から度であり、前記第二の内側壁区分の角度は、前記長手方向軸に対して度から0度である、請求項19または請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記複数の内側リブの各々の近位末端は、前記ピペットチップの近位末端からの同じ深度に配置されている、請求項1〜21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
(i)2つの外側リブの間、かつ、(ii)前記ピペットチップの近位末端から前記複数の内側リブの各々の近位末端までの間に配置される前記外側表面と前記内側表面との間の厚みは、.005インチから.015インチである、請求項1〜22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
前記複数の内側リブの各々の近位表面は、前記長手方向軸に対して40度と50度との間の角度で配置されている、請求項1〜23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
前記複数の内側リブの各々の近位表面は、傾斜表面であり、前記長手方向軸に対して25度と35度との間の角度で配置されている、請求項23に記載の方法。
【請求項26】
前記ピペットチップは、ポリマーを備えている、請求項1〜25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
前記フィルタは、前記ピペットチップを通る近位区分末端へのエアロゾルの移行を妨げるかまたはブロックする、請求項1〜26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
前記力は、押圧デバイスによって加えられる、請求項1〜27のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連特許出願)
本特許出願は、(1)発明者としてArta Motadel等を含み代理人ドケッティング番号PEL−1034−PVによって指定される2018年5月11日に出願されたPIPETTE TIPという名称の米国仮特許出願第62/670,361号と、(2)発明者としてArta Motadel等を含み代理人ドケッティング番号PEL−1034−PV2によって指定される2018年8月29日に出願されたPIPETTE
TIPという名称の米国仮特許出願第62/724,308号との利益を主張する。全ての文章、表及び図面を含む先行する特許出願の各々の内容は、全ての目的に関して、全て参照により援用される。
【0002】
(分野)
本技術は、ピペットチップ、製造方法および使用方法に部分的に関する。
【背景技術】
【0003】
(背景)
ピペットチップは、流体を取り扱う要件を有する様々な産業において利用され、例えば、医学研究所や調査研究所を含む施設において使用される。ピペットチップは、多くの場合において多数使用され、多くの場合、例えば、多くのサンプルの処理および/またはサンプルへの多くの試薬の添加に利用される。
【0004】
ピペットチップは、多くの場合、実質的に円錐形であり、一端における分注デバイスに係合可能な開孔と、他端における流体を受け取って放出することが可能な別の比較的小さな開孔とを有する。概してピペットチップは、例えばポリプロピレン等の成形可能なプラスチックから製造される。ピペットチップは、正確かつナノリットルからミリリットルの範囲の容量が再現可能な液体取扱を可能にするために、いくつかのサイズに作られる。
【0005】
ピペットチップは、手動分注器(例えば、ピペッター)および自動分注器を含む様々な分注デバイスと併せて利用されることができる。分注器は、ピペットチップの上部の近位端(大きい方の開口端)に取り付けられているとき、流体を得るために陰圧を加え、流体を分注するために陽圧を加えるデバイスである。分注器の下部の遠位部分(典型的に、バレルまたはノズルとして言及される)は、ピペットチップの近位端と接触して配置され、分注器のバレルまたはノズルをピペットチップの近位部分の中に挿入して押すことで固定される。次に、組み合わせは、液体サンプルを操作するために使用されることができ、流体は、概して分注器に係合されているピペットチップの下部の遠位開口を通して受け取られて放出される。ピペットチップによって流体が受け取られて随意に放出された後、ピペットチップは、分注器から取り外されるか、または排出されることができる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
(概要)
ある局面において提供されるのは、近位開口と、遠位開口と、近位領域と、遠位領域と、外側表面と、内側表面と、複数の内側リブとを含むピペットチップである。近位開口は、概して、ピペットチップの近位末端に位置付けられ、遠位開口は、典型的に、ピペットチップの遠位末端に位置付けられる。複数の内側リブの各内側リブは、多くの場合、近位領域においてピペットチップの内側表面上に軸方向に配置され、複数の内側リブのうちの内側リブは、多くの場合、ピペットチップの内側表面の周りに周方向に分布させられ、複数の内側リブの各内側リブは、多くの場合、ピペットチップの内側の方を向いている軸方向表面と、隣接している近位表面とを含む。内側リブの各々の近位表面は、多くの場合、ピペットチップの内側の中心に配置され、かつピペットチップの内側の中心から延びている仮想長手方向軸に対して、10度と80度との間の角度で配置される。
【0007】
ピペットチップは、概して、近位開口と遠位開口との間の長さ含み、近位領域は、典型的に、近位領域長さを含み、遠位領域は、概して、遠位領域長さを含み、近位領域は、典型的に、遠位領域に隣接する。近位領域長さは、ときに、近位開口と遠位開口との間の長さの約45%以下である。
【0008】
ピペットチップは、ときに、複数の外側リブを含む。複数の外側リブの各外側リブは、多くの場合、ピペットチップの外側表面上に軸方向に配置され、複数の外側リブのうちの外側リブは、多くの場合、ピペットチップの外側表面の周りに周方向に分布させられ、複数の外側リブの各外側リブは、概して、遠位末端を含む。ピペットチップの近位領域は、ときに、ピペットチップの近位開口から外側リブの遠位末端まで延びる。ピペットチップの遠位領域は、ときに、遠位開口から少なくとも外側リブの遠位末端の一部まで延びる(例えば、外側リブの遠位末端は、ときに、ピペットチップの近位開口から同じ距離で配置される)。
【0009】
ある局面においても提供されるのは、(a)溶融ポリマーを本明細書に記載のピペットチップを成形するように構成された型の空洞内に分注することと、(b)空洞の中のポリマーを冷却させることと、(c)冷却後、形成されたピペットチップを型から外すこととを含むピペットチップを製造する方法である。(a)流体分注器部材を本明細書に記載のピペットチップ内へ挿入することと、(b)ピペットチップ内に流体を受け取ることとを含む、ピペットチップを使用する方法もある局面において提供される。
本発明は、例えば、以下の項目を提供する。
(項目1)
近位開口と、遠位開口と、近位領域と、遠位領域と、外側表面と、内側表面と、複数の内側リブとを備えているピペットチップであって、該ピペットチップは、
該複数の内側リブの各内側リブは、該近位領域において該ピペットチップの該近位表面上に軸方向に配置され、
該複数の内側リブのうちの該内側リブは、該ピペットチップの該内側表面の周りに周方向に分布させられており、
該複数の内側リブの各内側リブは、該ピペットチップの内側に面している軸方向表面と、隣接している近位表面とを備え、
該内側リブの各々の該近位表面は、該ピペットチップの内側の中心を通した長手方向軸に対して10度と80度との間の角度に配置されている、
ピペットチップ。
(項目2)
前記近位開口と前記遠位開口との間の長さを備え、
前記近位領域は、近位領域長さを備え、
前記遠位領域は、遠位領域長さを備え、
該近位領域は、該遠位領域に隣接し、
該近位領域長さは、該近位開口と該遠位開口との間の該長さの約45%以下である、
上記項目に記載のピペットチップ。
(項目3)
複数の外側リブを備え、
該複数の外側リブの各外側リブは、該ピペットチップの前記外側表面上に軸方向に配置されており、
該複数の外側リブのうちの該外側リブは、該ピペットチップの該外側表面の周りに周方向に分布させられており、
該複数の外側リブの各外側リブは、遠位末端を備えている、
上記項目のいずれかに記載のピペットチップ。
(項目4)
前記ピペットチップの前記近位領域は、該ピペットチップの前記近位開口から前記外側リブの前記遠位末端までであり、
該ピペットチップの前記遠位領域は、前記遠位開口から該外側リブの該遠位末端までである、上記項目のいずれかに記載のピペットチップ。
(項目5)
前記内側リブの各々は、遠位末端を備え、
前記ピペットチップは、近位表面と、遠位表面とを備えているフィルタを備え、
該フィルタの該近位表面は、該内側リブの各々の該遠位末端に配置されているか、または該内側リブの各々の該遠位末端から遠位に間隔を置かれている、
上記項目のいずれかに記載のピペットチップ。
(項目6)
前記内側リブの各々は、近位末端を備え、
前記ピペットチップ近位開口と該内側リブの該近位末端との間の前記ピペットチップの前記内側表面の領域は、環状突出を備えていない、
上記項目のいずれかに記載のピペットチップ。
(項目7)
前記ピペットチップ近位開口と前記内側リブの前記近位末端との間の前記ピペットチップの前記内側表面の前記領域は、突出を備えていない、上記項目のいずれかに記載のピペットチップ。
(項目8)
前記ピペットチップ近位開口と前記内側リブの前記近位末端との間の前記ピペットチップの前記内側表面の前記領域は、滑らかである、上記項目のいずれかに記載のピペットチップ。
(項目9)
フランジと、フランジ遠位周囲とを備えている、上記項目のいずれかに記載のピペットチップ。
(項目10)
前記フランジ遠位周囲と前記内側リブの前記近位末端との間の前記ピペットチップの前記内側表面の前記領域、または該フランジ遠位周囲と該内側リブの該近位末端との間の軸方向距離に沿った該内側表面の該領域の一部分は、該ピペットチップに挿入されることができる分注器ノズルの外側表面と接触するように構成されている、上記項目のいずれかに記載のピペットチップ。
(項目11)
前記一部分は、前記フランジ遠位周囲と前記内側リブの前記近位末端との間の前記軸方向距離の約10%から約85%である、上記項目のいずれかに記載のピペットチップ。
(項目12)
前記内側表面の前記領域または該領域の前記一部分は、軸方向に配置された連続的な途切れのない表面である、上記項目のいずれかに記載のピペットチップ。
(項目13)
前記内側表面の前記領域または該領域の前記一部分は、隣接する軸方向に配置された近位表面と隣接する軸方向に配置された遠位表面とによって境を限られ、
該隣接する軸方向に配置された近位表面と該隣接する軸方向に配置された遠位表面とは、前記分注器の外側表面と接触するように構成されていない、
上記項目のいずれかに記載のピペットチップ。
(項目14)
前記内側表面の前記領域または該領域の前記一部分は、前記フランジ遠位周囲に位置付けられたか、または該フランジ遠位周囲に隣接して位置付けられた近位周囲によって画定される、上記項目のいずれかに記載のピペットチップ。
(項目15)
前記内側表面の前記領域の前記一部分は、約0.005インチ以上の軸方向距離によって画定された連続的な表面であり、
該軸方向距離は、(i)前記内側リブ近位末端と(ii)前記フランジ遠位周囲との間の前記軸方向距離以下である、
上記項目のいずれかに記載のピペットチップ。
(項目16)
前記内側リブの各々の前記近位表面は、前記ピペットチップの前記近位領域内のノズル密封区域より下に配置されている、上記項目のいずれかに記載のピペットチップ。
(項目17)
前記内側リブの各々の前記近位末端は、前記ピペットチップの前記近位領域における所定の流体分注器挿入深度に配置されているか、または該ピペットチップの該近位領域における所定の流体分注器挿入深度より下に配置されている、上記項目のいずれかに記載のピペットチップ。
(項目18)
前記所定の流体分注器挿入深度は、前記ピペットチップが前記流体分注器と密封係合させられた後、該流体分注器から該ピペットチップを除去するために必要とされる低減させられた排出力のために最適化された挿入深度である、上記項目のいずれかに記載のピペットチップ。
(項目19)
前記所定の流体分注器挿入深度は、前記ピペットチップが前記流体分注器と密封係合させられた後、該流体分注器から該ピペットチップを除去するために必要とされる最小限の排出力のために最適化された挿入深度である、上記項目のいずれかに記載のピペットチップ。
(項目20)
前記ピペットチップの前記内側表面は、前記近位領域における第一の内側壁区分を備え、該第一の内側壁区分は、前記長手方向軸に対して第一の角度を有する連続的に先細りしている内側壁表面を含み、
該ピペットチップの該内側表面は、該近位領域における第二の内側壁区分を備え、該第二の内側壁区分は、該長手方向軸に対して第二の角度を有する連続的に先細りしている内側壁表面を含み、
該第一の内側壁区分および該第二の内側壁区分の各々は、その壁区分の近位端から遠位端に先細りし、
該第二の角度は、該第一の角度より大きい、
上記項目のいずれかに記載のピペットチップ。
(項目21)
各内側リブは、遠位末端を備え、
各内側リブの該遠位末端の少なくとも一部分は、前記第二の内側壁区分と接続している、
上記項目のいずれかに記載のピペットチップ。
(項目22)
前記長手方向軸に対する前記第一の内側壁区分の前記角度は、約0.2度から約2度であり、該長手方向軸に対する前記第二の内側壁区分の前記角度は、約5度から約40度である、上記項目のいずれかに記載のピペットチップ。
(項目23)
前記内側リブの各々の前記近位末端は、前記ピペットチップの前記近位末端からの同じ深度に配置されている、上記項目のいずれかに記載のピペットチップ。
(項目24)
(i)2つの外側リブの間、かつ、(ii)前記ピペットチップの前記近位末端から前記内側リブの各々の前記近位末端までの間に配置されている前記外側表面と前記内側表面との間の厚みは、約0.005インチから約0.015インチである、上記項目のいずれかに記載のピペットチップ。
(項目25)
前記内側リブの各々の前記近位表面は、前記長手方向軸に対して40度と50度との間の角度で配置されている、上記項目のいずれかに記載のピペットチップ。
(項目26)
前記内側リブの各々の前記近位表面は、前記長手方向軸に対して25度と35度との間の角度で配置されている、上記項目のいずれかに記載のピペットチップ。
(項目27)
前記ピペットチップは、ポリマーを備えている、上記項目のいずれかに記載のピペットチップ。
(項目28)
上記項目のいずれかに記載のピペットチップと、流体分注器とを備えているアセンブリであって、
該流体分注器は、ノズル部材と、ノズル部材遠位末端と、ノズル外側壁とを備え、
該ノズル部材の一部分は、該ピペットチップの前記近位部分内に挿入されており、
該ノズル外側壁の一部分は、該ピペットチップの前記内側壁の一部分と接触しており、
該ノズル部材遠位末端は、該ピペットチップの前記内側リブの前記近位末端と接触している、
アセンブリ。
(項目29)
前記ノズル外側壁の前記一部分は、前記ピペットチップの前記第一の内側壁区分の少なくとも一部分と接触している、上記項目に記載のアセンブリ。
(項目30)
前記フランジ遠位周囲と前記内側リブの前記近位末端との間の前記ピペットチップの前記内側表面の前記領域、または該フランジ遠位周囲と該内側リブの該近位末端との間の前記軸方向距離に沿った該内側表面の該領域の一部分は、前記分注器ノズルの前記外側表面と接触している、上記項目のいずれかに記載のアセンブリ。
(項目31)
前記領域の前記一部分は、前記フランジ遠位周囲と前記内側リブの前記近位末端との間の前記軸方向距離の約10%から約90%である、上記項目のいずれかに記載のアセンブリ。
(項目32)
前記内側表面の前記領域または該領域の前記一部分は、軸方向に配置された連続的な途切れのない表面である、上記項目のいずれかに記載のアセンブリ。
(項目33)
前記内側表面の前記領域または該領域の前記一部分は、隣接する軸方向に配置された近位表面と隣接する軸方向に配置された遠位表面とによって境を限られ、
該隣接する軸方向に配置された近位表面と該隣接する軸方向に配置された遠位表面とは、前記分注器の外側表面と接触しない、
上記項目のいずれかに記載のアセンブリ。
(項目34)
前記内側表面の前記領域または該領域の前記一部分は、前記フランジ遠位周囲に位置付けられたかもしくは該フランジ遠位周囲に隣接して位置付けられた近位周囲によって画定される、上記項目のいずれかに記載のアセンブリ。
(項目35)
前記内側表面の前記領域の前記一部分は、約0.005インチ以上の軸方向距離によって画定された連続的な表面であり、
該軸方向距離は、(i)前記内側リブ近位末端と(ii)前記フランジ遠位周囲との間の前記軸方向距離以下である、上記項目のいずれかに記載のアセンブリ。
(摘要)
本明細書において開示されるのは、複数の傾斜内側リブを含む、液体を受け取りおよび分注に有用なピペットチップである。
【0010】
一定の実施形態は、以下の説明、実施例、特許請求の範囲および図面において更に説明される。
【0011】
図は、開示される本技術の実施形態を例示するのであり、限定的ではない。説明の明確性および容易性のために、図は必ずしも一定の縮尺では作られておらず、いくつかの場合において、様々な局面は、特定の実施形態の理解を容易にするために誇張するか、あるいは拡大して示され得る。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、外側リブおよび内側リブを含むピペットチップ実施形態100の正面図を示す。
図2図2は、ピペットチップ実施形態100の背面図を示す。
図3図3は、ピペットチップ実施形態100の側面図を示す。
図4図4は、ピペットチップ実施形態100の反対側の側面図を示す。
図5図5は、ピペットチップ実施形態100の上面図を示す。
図6図6は、ピペットチップ実施形態100の底面図を示す。
図7図7は、ピペットチップ実施形態100の上部斜視図を示す。
図8図8は、ピペットチップ実施形態100の底部斜視図を示す。
図9図9は、図3に示される切断面A−Aを通してのピペットチップ実施形態100の断面図である。
図10図10は、図2に示される切断面B−Bを通してのピペットチップ実施形態100の断面図である。
図11図11は、ピペットチップ実施形態100の上部の正面斜視図である。
図12図12は、ピペットチップ実施形態100の上部の背面斜視図である。
図13図13は、ピペットチップ実施形態100および流体分注器200を含むアセンブリ250の正面図である。
図14図14は、図13に示される切断面C−Cを通してのアセンブリ250の断面図である。
図15図15は、外側リブおよび内側リブを含むピペットチップ実施形態300の正面図である。
図16図16は、ピペットチップ実施形態300の上面図である。
図17図17は、ピペットチップ実施形態300の上部の正面斜視図である。
図18図18は、外側リブおよび内側リブを含むピペットチップ実施形態400の正面図である。
図19図19は、ピペットチップ実施形態400の上面図である。
図20図20は、ピペットチップ実施形態400の上部の正面斜視図である。
図21図21は、外側リブおよび内側リブを含むピペットチップ実施形態500の正面図である。
図22図22は、ピペットチップ実施形態500の上面図である。
図23図23は、ピペットチップ実施形態500の上部の正面斜視図である。
図24図24は、外側リブおよび内側リブを含むピペットチップ実施形態600の正面図である。
図25図25は、ピペットチップ実施形態600の上面図である。
図26図26は、ピペットチップ実施形態600の上部の正面斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図面における一定の特徴は、表1に要約される。
【表1-1】
【表1-2】
【表1-3】
【表1-4】
【表1-5】
【0014】
(詳細な説明)
本明細書において、複数の内側リブを含むピペットチップが提供され、各内側リブは、ピペットチップの近位領域の内側表面上に軸方向に配置され、複数の内側リブは、ピペットチップの内側表面の周りに周方向に分布させられている。内側リブの各々は、概して、近位末端と、近位表面と、軸方向表面とを含む。内側リブの各々の近位表面は、多くの場合、ピペットチップの内側の中心に配置されかつピペットチップの内側の中心を通って横切っている仮想長手方向軸に対して、10度と80度との間の角度で配置される。内側リブの各々の角度付けられた近位表面は、内部フィルタを含むピペットチップを製造する過程の一部としてフィルタ装填を容易にするように機能することができる。内側リブの近位末端は、ピペットチップの内側に挿入された流体分注器ノズルの遠位末端に対するバリアとして一緒に機能でき、それによって、ピペットチップ内へのノズルの挿入深度を制限する。ピペットチップの近位末端と内側リブの遠位末端との間のピペットチップの内側壁表面は、多くの場合、突出を含まず(例えば、突出を有さないか、または実質的に突出を有さない;環状突出を含まない)、ときに、滑らかであるか、または実質的に滑らかである。一定のピペットチップ実施形態のこれらの局面および他の局面は、以下でより詳細に説明される。
【0015】
(内側リブ)
一定の実施形態において、ピペットチップは、フィルタを含み、ピペットチップの遠位部分に向かって傾いている内側リブの各々の近位表面の角度は、そのようなピペットチップを製造する過程の一部としてフィルタの挿入を容易にする。いくつかの実施形態において、本明細書において説明されるピペットチップは、本明細書において説明されるピペットチップの近位末端にフィルタを配置することと、フィルタの近位表面に力を加えることとを含む過程によって、フィルタを装填されることができる。力は、多くの場合、ピペットチップの内側の中心に配置されかつピペットチップの内側の中心を通って横切っている仮想長手方向軸に平行である方向に加えられ、力は、多くの場合、長手方向軸と同一直線上に加えられる。フィルタの遠位表面は、多くの場合、内側リブの近位表面に接触して内側リブの近位表面を通り越し、力は、多くの場合、フィルタの近位表面が内側リブの各々の遠位末端に対して遠位である位置に配置されるまで加えられる。比較として、内側リブの近位表面が内側側壁から垂直またはほぼ垂直に延びた場合、そのような内側リブの近位表面は、本明細書において説明される角度付けられた表面をもつ内側リブを有するピペットチップと比べて、フィルタの遠位表面および側面により多くの摩擦を及ぼし、フィルタの挿入を妨げる。一定のピペットチップ実施形態において、内側リブの各々は、遠位末端を含み、ピペットチップは、近位表面および遠位表面を有するフィルタを含み、フィルタの近位表面は、内側リブの各々の遠位末端に配置されるか、または内側リブの各々の遠位末端から遠位に間隔を置かれる。
【0016】
内側リブは、多くの場合、ピペットチップの近位領域に位置付けられている内側表面上に配置される。近位領域(例えば、図1に示された領域130)は、典型的に、遠位領域に隣接し、近位領域長さは、多くの場合、遠位領域長さより短い。近位領域長さおよび遠位領域長さの各々は、概して、ピペットチップの近位末端と遠位末端との間のピペットチップの内側の中心に配置されかつピペットチップの内側の中心を通って横切っている仮想長手方向軸のある割合である。一定の実施形態において、近位領域長さは、ときに、ピペットチップの近位末端と遠位末端との間の長さの約45%以下(例えば、ピペットチップの近位末端と遠位末端との間の長さの10%以下、11%以下、12%以下、13%以下、14%以下、15%以下、16%以下、17%以下、18%以下、19%以下、20%以下、21%以下、22%以下、23%以下、24%以下、25%以下、26%以下、27%以下、28%以下、29%以下、30%以下、31%以下、32%以下、33%以下、34%以下、35%以下、36%以下、37%以下、38%以下、39%以下、40%以下、41%以下、42%以下、43%以下、44%以下)である。いくつかの実施形態において、近位領域の遠位境界は、ショルダーとして構成される。ショルダーは、ときに、ピペットチップの内側の中心に配置されかつピペットチップの内側の中心を通って横切っている仮想長手方向軸に対して約81度から約99度の角度でピペットチップの外側表面から突起する環状遠位表面を含む。
【0017】
各リブ(例えば、内側リブ、外側リブ)は、概して、ピペットチップの壁に軸方向に配置される。軸方向に配置されるリブの主要長さは、典型的に、ピペットチップの内側の中心に配置されかつピペットチップの内側の中心を通って横切っている仮想長手方向軸(例えば、軸195)に対して平行である。ピペットチップに配置される複数のリブ(例えば、複数の内側リブ、複数の外側リブ)は、概して、ピペットチップの壁に周方向に配置される。ピペットチップに配置される複数の内側リブにおける内側リブの各々における同じ点は、典型的に、ピペットチップの内側壁に配置された1つの仮想円周上の異なる場所に配置される。同様に、ピペットチップに配置される複数の外側リブにおける外側リブの各々における同じ点は、典型的に、ピペットチップの外側壁に配置された1つの仮想円周上の異なる場所に配置される。
【0018】
内側リブがピペットチップへのフィルタ装填を容易にすることに加えて、内側リブの近位末端は、ピペットチップの内側に挿入された流体分注ノズルの遠位末端に対するバリアとして一緒に機能でき、それによって、ピペットチップ内への分注器ノズルの挿入深度を制限する。ノズル遠位末端は、ときに、ピペットチップにおける内側リブの近位末端と接触している(例えば、ノズル側壁がノズル遠位末端へのエッジ遷移を有するノズルに関する)。ノズル遠位末端は、ときに、ピペットチップの内側表面から間隔を空けられた近位表面上の地点で、ピペットチップにおける内側リブの近位表面と接触している(例えば、ノズル側壁がノズル遠位末端への傾斜または丸い遷移を有するノズルに関する)。ピペットチップは、ピペットチップに挿入された流体分注器の遠位末端に対するバリアとして機能するための任意の好適な数の内側リブを含むことができる。いくつかの実施形態において、ピペットチップは、約3個から約20個の内側リブ(例えば、ピペットチップにおいて3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20個の内側リブ)を含む。
【0019】
長手方向軸に対する内側リブの近位表面の角度は、フィルタ装填を容易にするためと、内側リブが流体分注器遠位末端に対するバリアとしての役割を果たすことを可能にするためとに好適である任意の角度である。ピペットチップの内側リブの各々の近位表面は、ときに、ピペットチップの内側の中心に配置されかつピペットチップの内側の中心を通って横切っている仮想長手方向軸に対して約10度から約80度の角度(例えば、約20度から約70度、約25度から約65度、約30度から約60度、約20度から約40度、約25度から約35度、約35度から約55度、約40度から約50度、約50度から約70度、約55度から約65度(例えば、約20、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、70度))で配置される。角度がより低いとき、内側リブ近位表面は、ピペットチップの遠位領域に向かってより急勾配に傾いており、角度がより大きいとき、内側リブ近位表面は、ピペットチップの遠位領域に向かってより少ない急勾配に傾いている。
【0020】
ピペットチップの近位末端と内側リブの近位末端との間の距離(例えば、ピペットチップ100の図9に示される垂直距離158)は、任意の好適な距離であり、ときに、約0.15インチから約0.35インチ、約0.20インチから約0.30インチ、約0.20インチから約0.25インチ、または約0.25インチから約0.30インチ(例えば、約0.15、0.16、0.17、0.18、0.19、0.20、0.21、0.22、0.23、0.24、0.25、0.26、0.27、0.28、0.29、0.30、0.31、0.32、0.33、0.34、0.35インチ)である。
【0021】
内側リブを有するピペットチップの非限定的実施例は、ピペットチップ実施形態100である。ピペットチップは、多くの場合、ピペットチップ100に関して例示された以下の特徴を含む。特徴は、近位末端105と、近位開口107と、内側表面115と、外側表面120と、近位領域130と、遠位領域135と、遠位末端125と、遠位開口127とである。ピペットチップは、ときに、ピペットチップ100に関して例示されるようなフランジ110およびフランジ遠位末端113を含む。フィルタを含むピペットチップは、ときに、ピペットチップ100に関して例示されるフィルタ170のように構成されたフィルタを含み、フィルタは、遠位表面173と、近位表面175とを含む。ピペットチップは、ときに、内側リブ155等のピペットチップ100に関して例示されるような内側リブ含み、内側リブは、例えば、近位末端160と、近位表面163と、軸方向表面165と、側面166と、遠位末端167とを有する。近位表面163と軸方向表面165との間の遷移は、エッジ遷移(即ち、傾斜遷移)である一方、これら2つの表面の間の遷移は、ときに、湾曲した遷移(即ち、丸い遷移)である。同様に、(i)近位表面163と側面166との間の遷移、および(ii)近位表面163と軸方向表面165との間の遷移は、エッジ遷移(即ち、傾斜遷移)である一方、これら2つの表面間の遷移は、ときに、湾曲した遷移(即ち、丸い遷移)である。図10は、ピペットチップ100の中心に配置されかつピペットチップ100の中心を通って伸びている仮想長手方向軸195と、内側リブ近位表面163と同一直線上にある仮想軸196を示す。図10は、軸195と軸196との間の角度(例えば、ドラフト角度)である角度aも示す。ピペットチップは、長手方向軸に対して約10度から約80度の角度a(例えば、約20度から約70度、約25度から約65度、約30度から約60度、約20度から約40度、約25度から約35度、約35度から約55度、約40度から約50度、約50度から約70度、約55度から約65度(例えば、20、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、70度))を有し得る。
【0022】
手動流体分注デバイス実施形態200の一部の非限定的実施例は、図13および図14に示され、本明細書においてノズル部材として言及される。流体分注デバイスは、例えば、図13および図14において流体分注器200に関して例示されるように、排出器205、ノズル210、内側チャネル215およびノズル遠位末端220のうちの1つ以上を含むことができる。ピペットチップと流体分注器ノズル部材との間の相互作用の非限定的実施例は、ときに、図10に示されるノズル挿入区域190のためのように構成され、ノズル挿入区域190において、ノズル遠位末端220は、ピペットチップ100に関して例示されるように、連結部192における内側リブ155の近位末端160に配置される。
【0023】
論理によって限定されることなく、流体分注器ノズルがピペットチップ内へ挿入される深度は、多くの場合、(i)ノズルとピペットチップとの間で生成される接着力、および、(ii)分注器からピペットチップを排出するために接着力を克服するために必要な力(即ち、排出力)と明確に相互関連する。従って、挿入のより大きな深度は、多くの場合、より大きな接着力およびより大きな排出力と相互関連する。流体分注器ノズル挿入深度は、概して、(i)ピペットチップ近位末端に隣接するノズル上の地点と(ii)ノズル遠位末端との間の距離である。排出力は、任意の好適な方法(例えば、デジタルフォースゲージを使用すること)によって測定されることができ、排出力は、ピペットチップの内側における流体分注器ノズルの異なる挿入深度に関して決定されることができる。
【0024】
流体の分注器ノズルの挿入深度は、多くの場合、ピペットチップとのノズルの密封の程度とも明確に相互関連する。内側リブの各々の近位表面は、多くの場合、ピペットチップの近位領域内において、ノズル密封区域の下に配置され、多くの場合、ノズル挿入区域の下に配置される。密封は、任意の好適な方法によって評価されることができる。密封を評価するための非限定的方法は、ピペットチップの流体取り込み量と流体放出量との相違を測定することであり、より低い相違度は、より高い程度の密封を伴う。流体分注器ノズルとピペットチップとの間の密封の程度は、ピペットチップの内側における流体分注器ノズルの異なる挿入深度に関して決定されることができる。
【0025】
(i)ピペットチップとのノズルの密封を提供し、かつ(ii)最小限の排出力を提供する最適化された所定の流体分注器挿入深度が、決定されることができる。そのような所定の流体分注器挿入深度は、多くの場合、異なるサイズのピペットチップ(即ち、異なる最大容量を扱うことができるピペットチップおよび様々な直径の近位末端を有するピペットチップ)に関して異なる。いくつかの実施形態において、所定の流体分注器挿入深度は、最小限の排出力でのピペットチップとのノズルの密封を可能にするために決定されることができる。一定の実施形態において、所定の流体分注器挿入深度は、ピペットチップが流体分注器と密封係合した後に流体分注器からピペットチップを取り外すために必要とされる低減させられた排出力のために最適化された挿入深度である。内側リブの各々の近位末端は、多くの場合、所定の流体分注器挿入深度に配置され、いくつかの実施形態において、所定の流体分注器挿入深度より最短距離だけ上または下(例えば、所定の流体分注器挿入深度の約0.005インチ以下(例えば、約0.004インチ以下、0.003インチ以下、0.002インチ以下、0.001インチ以下)だけ上または下)に配置される。密封のための挿入力を低減させ、かつ/または排出力を低減させる最適化された流体分注器挿入深度は、操作者の疲労を低減させること、損傷(例えば、反復動作損傷)の発生を低減させること、処理能力の向上を可能にすること、および流体移動正確性の向上を可能にすることのうちの1つ以上をもたらすことができる。
【0026】
流体分注器ノズルとピペットチップの内側壁との間の接触領域(例えば、図14に示される挿入区域190)における近位領域における壁の厚さは、分注器ノズルとピペットチップとの間の密封係合および合理的な排出力を可能にする任意の好適な厚さであることができる。(i)2つの外側リブの間かつ(ii)ピペットチップの近位末端から内側リブの各々の近位末端までの間に配置される外側表面と内側表面との間の厚さは、ときに、約0.005インチから約0.015インチ(例えば、約0.007インチから約0.0013インチ、0.009インチから約0.011インチ(例えば、約0.005、0.006、0.007、0.008、0.009、0.010、0.011、0.012、0.013、0.014、0.015インチ))である。(i)2つの外側リブの間かつ(ii)フランジの遠位末端(フランジ遠位周囲)から内側リブの各々の近位末端までの間に配置された外側表面と内側表面との間の厚さは、約0.005インチから約0.015インチ(例えば、約0.007インチから約0.0013インチ、0.009インチから約0.011インチ(例えば、約0.005、0.006、0.007、0.008、0.009、0.010、0.011、0.012、0.013、0.014、0.015インチ))である。非限定的実施例として、ピペットチップは、ピペットチップ100に関して例示されるように、外側リブの間に外側壁区分180と、内側リブの間に内側壁区分185とを含み得る。
【0027】
一定の実施形態において、ピペットチップの各内側リブの近位末端は、ピペットチップの近位末端からの内側壁上の同じ位置に配置される(例えば、内側リブの各々の近位末端は、ピペットチップの近位末端からの同じ深度に配置される)。言い換えると、ピペットチップの近位末端と1つの内側リブの近位末端と間の距離は、ピペットチップの他の内側リブ全てに関して同じである。そのような実施形態において、内側リブの近位末端は、ピペットチップの内側壁の周りの円周を画定する(即ち、内側リブ近位末端円周(IRC))。IRCは、典型的に、内側リブ近位末端に配置されるピペットチップの内側表面の周りの円周である。いくつかの実施形態において、IRCに対する全ての内側リブの近位末端の対象範囲は、決定される(即ち、内側リブ円周対象範囲(IRCC))。IRCCは、典型的に、IRCを決定することと、ピペットチップの内側リブに配置されたIRCの割合を評価することとによってピペットチップに関して決定される。いくつかの実施形態において、IRCCは、ピペットチップの内側リブの近位末端に配置される円周幅(CW)の合計(SCW)を決定することと、SCWをIRCで割ることとによって決定される。IRCCは、ときに、割合として表され、ときに、パーセントとして表される。IRCCは、ときに、ピペットチップに対して約15パーセントから約60パーセントである。IRCCは、ときに、約15パーセントから約30パーセント、約18パーセントから約29パーセント、または約20パーセントから約26パーセント(例えば、約18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30パーセント)である。IRCCは、ときに、約25パーセントから約45パーセント、約28パーセントから約38パーセント、または約30パーセントから約36パーセント(例えば、約29、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、30パーセント)である。IRCCは、ときに、約30パーセントから約50パーセント、約33パーセントから約43パーセント、または約35パーセントから約41パーセント(例えば、約33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43パーセント)である。IRCCは、ときに、約40パーセントから約60パーセント、約47パーセントから約57パーセント、約42パーセントから約52パーセント、約49パーセントから約55パーセント、または約44パーセントから約50パーセント(例えば、約40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60パーセント)である。
【0028】
修正された内側リブ設計に関して、ピペットチップの内側の中心に配置されかつピペットチップの内側の中心を通って横切っている仮想長手方向軸に対する、近位表面の角度(例えば、角度a)がベース設計に関する角度aよりも著しく小さい場合、IRCCは、修正された設計に関して増加させられることができる。IRCCを増加させることは、修正された設計に関して、流体分注器ノズル遠位末端が内側リブ近位末端を過ぎて挿入されない確率を増加させることができる。修正された内側リブ設計に関する角度aがベース設計に関する角度aより著しく大きい場合、IRCCは、随意に修正された設計のために低減させられることができる。IRCCは、任意の好適な様式で増加または低減させられることができる。ときに、(i)内側リブの数は、増加または低減させられるか、ときに、(ii)内側リブのうちの1つ以上の近位末端円周幅は、増加または低減させられる(即ち、内側リブの円周幅は、増加または低減させられる)、またはときに、(iii)(i)および(ii)の組み合わせが実施される。
【0029】
内側リブの遠位末端の近位である領域におけるピペットチップの内側表面は、(i)多くの場合、突出を含まず(例えば、突出を有さない;環状突出を含まない)、かつ/または(ii)多くの場合、滑らかであるか、実質的に滑らかである。本明細書において提供されるピペットチップは、多くの場合、近位表面、遠位表面およびピペットチップ内側に向けて方向づけられている遠位表面と近位表面との間の縁表面を有する環状突出を含まない。本明細書において提供されるピペットチップは、多くの場合、縁表面が0.005インチ未満の軸方向幅で画定されている環状突出を含まない。内側リブの遠位末端の近位領域は、ときに、軸方向距離(例えば、ピペットチップ100に関して図9に示される軸方向距離157または158)(即ち、ピペットチップフランジ遠位周囲またはピペットチップ近位末端まで延びる仮想長手方向軸(例えば、仮想長手方向軸195)に対して平行である)によって画定される。例えば、図9に示されるような(i)内側リブ近位末端160と(ii)フランジ遠位周囲112との間の軸方向距離157(即ち、垂直距離157)によって画定されたピペットチップの内側壁表面は、多くの場合、突出を含まず(例えば、環状突出を含まない)、かつ/または多くの場合、滑らかであるか、もしくは実質的に滑らかである。別の例において、図9に示されるような(i)内側リブ近位末端160と(ii)ピペットチップ近位末端105との間の距離158(垂直距離158)によって画定されたピペットチップの内側壁表面は、多くの場合、突出を含まず(例えば、環状突出を含まない)、かつ/または多くの場合、滑らかであるか、もしくは実質的に滑らかである。
【0030】
内側リブの遠位末端の近位領域におけるピペットチップの内側表面(領域は、滑らかもしくは実質的に滑らかである内側表面を含み、かつ/または突出を有さない(例えば、環状突出を有さない))または内側表面の実質的部分は、多くの場合、ピペットチップに挿入された分注器ノズルの外側表面に接触するように構成される。いくつかの実施形態において、(A)(i)内側リブ近位末端と(ii)フランジ遠位周囲との間の軸方向距離によって画定されたか、または(B)(i)内側リブ近位末端と(ii)ピペットチップ近位末端との間の軸方向距離によって画定されたピペットチップの全てもしくは実質的に全ての内側表面は、ピペットチップに挿入された分注器ノズルの外側表面に接触するように構成される(例えば、図14に示される領域190)。
【0031】
いくつかの実施形態において、(A)(i)内側リブ近位末端と(ii)フランジ遠位周囲との間の軸方向距離によって画定されたか、または(B)(i)内側リブ近位末端と(ii)ピペットチップ近位末端との間の軸方向距離によって画定されたピペットチップの内側表面の一部分は、ピペットチップに挿入された分注器ノズルの外側表面と接触するように構成される。一部分は、ときに、軸方向距離の約10%から約90%(例えば、軸方向距離の約15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%)である。分注器の外側表面と接触するように構成されかつ軸方向距離の一部分によって画定されたピペットチップの内側表面の一部分は、(i)多くの場合、軸方向に配置される連続的な途切れのない表面であり、(ii)多くの場合、隣接する軸方向に配置された近位表面および隣接する軸方向に配置された遠位表面によって境を限られ、その各々は、分注器の外側表面と接触するようには構成されておらず、かつ/または(iii)フランジ遠位周囲またはピペットチップ近位末端に位置付けられたかもしくはフランジ遠位周囲またはピペットチップ近位末端に隣接して位置付けられた近位周囲によって画定される。軸方向に配置された表面は、概して、仮想長手方向軸(例えば、仮想長手方向軸195)に対して平行またはほぼ平行な表面である。いくつかの実施形態において、ピペットチップの内側表面の一部分は、約0.005インチ以上(例えば、0.006インチ以上、0.007インチ以上、0.008インチ以上、0.009インチ以上、0.01インチ以上、0.02インチ以上、0.03インチ以上、0.04インチ以上、0.05インチ以上、0.06インチ以上、0.07インチ以上、0.08インチ以上、0.09インチ以上、0.10インチ以上、0.20インチ以上、0.30インチ以上、0.40インチ以上、0.50インチ以上)の軸方向距離によって画定された連続的な表面であり、軸方向距離は、(A)(i)内側リブ近位末端と(ii)フランジ遠位周囲との間の軸方向距離もしくは(B)(i)内側リブ近位末端と(ii)ピペットチップ近位末端との間の軸方向距離以下である。ピペットチップの内側表面と流体分注器ノズルの外側表面との間にありかつ仮想長手方向軸(例えば、仮想長手方向軸)に対して平行であるかまたはほぼ平行であるピペットチの内側表面に沿った距離である接触領域は、ときに、「延びた接触領域」と呼ばれる。延びた接触領域は、0.005インチの接触領域より大きく、異なるサイズおよび形のピペットチップと分注器ノズルとの間で汎用性を有利に提供できる。言い換えると、延びた接触領域は、特定のピペットチップ/分注器ノズル組み合わせに関する低減させられた接触領域を可能にすると同時に組み合わせのピペットチップおよび分注器ノズルが密封を形成することを保証する。
【0032】
一定の実施形態において、ピペットチップの内側表面は、近位領域における第一の内側壁区分と、近位領域における第二の内側壁区分とを含む。第一の内側壁区分は、ときに、長手方向軸に対して第一の角度を有する連続的に先細りになっている内側壁表面を含む。近位領域における第二の内側壁区分は、ときに、長手方向軸に対して第二の角度を有する連続的に先細りになっている内側壁表面を含む。第一の内側壁区分および第二の内側壁区分の各々は、ときに、壁区分の近位端から遠位端に向かって先細りし、第二の角度は、ときに、第一の角度よりも大きい。一定の実施形態において、第一の内側壁区分は、第二の内側壁区分に隣接する。第一の内側壁区分は、ときに、連続的に先細りしている内側壁表面からなり、第二の内側壁区分は、ときに、連続的に先細りしている内側壁表面からなる。いくつかの実施形態において、各内側リブは、遠位末端を含み、各内側リブの遠位末端の少なくとも一部分は、第二の内側壁区分と接続している。
【0033】
第一の内側壁区分の角度(例えば、ドラフト角度)は、ときに、長手方向軸に対して約0.1度から約2度(例えば、約0.2度から約1.5度、約0.3度から約1.2度、または約0.5度から約1.2度(例えば、約0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.1、1.2度))である。第二の内側壁区分の角度(例えば、ドラフト角度)は、ときに、長手方向軸(例えば、図10に示される角度b)に対して約5度から約40度、約5度から約15度、約15度から約30度、および約20度から約40(例えば、約5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40度)である。ピペットチップの近位末端とピペットチップの第一の内側壁区分の遠位末端と間の距離(例えば、ピペットチップ100に関して図10に示される距離151)は、ときに、約0.25インチから約0.55インチ、約0.30インチから約0.50インチ、約0.32インチから約0.48インチ、約0.30インチから約0.35インチ、約0.35インチから約0.40インチ、約0.40インチから約0.45インチ、または約0.45インチから約0.50インチ(例えば、約0.25、0.26、0.27、0.28、0.29、0.30、0.31、0.32、0.33、0.34、0.35、0.36、0.37、0.38、0.39、0.40、0.41、0.42、0.43、0.44、0.45、0.46、0.47、0.48、0.49、0.50、0.51、0.52、0.53、0.54、0.55インチ)である。
【0034】
非限定的実施形態においてピペットチップ100に関して例示されるように、ピペットチップは、第一の内側壁区分150、第二の内側壁区分153、および第二の内側壁区分の反対側の外側壁区分154のうちの1つ以上を含み得る。第一の内側壁区分150は、図10においてピペットチップ100に関して例示されるように、軸方向長さ151によってピペットチップにおいて画定され得る。ピペットチップ100に関して示されるように、仮想軸197は、第二の内側壁区分表面153と同一直線上にあり、第二の内側壁区分表面153の角度は、ときに、仮想長手方向軸195と仮想軸197との間の角度b(例えば、ドラフト角度)によって画定される。角度bの非限定的実施例は、約5度から約40度、約5度から約15度、約15度から約30度、および約20度から約40度(例えば、約5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40度)である。
【0035】
内側リブおよび外側リブは、任意の好適な間隔で円周に分布させられ得る。ときに、独立的に内側リブおよび外側リブは、規則的(即ち、全ての外側リブおよび/または全ての内側リブに関して隣接するリブ間において同じ距離)に分布させられ、ときに、不規則に分布させられ、2つの隣接するリブの間の距離は、他の2つの隣接するリブの間の距離と異なる。内側リブは、ときに、ピペットチップの外側リブの反対側に配置され、ときに、1つ以上の内側リブは、外側リブの反対側に配置されない。
【0036】
本明細書において提供されるピペットチップは、多くの場合、以下を含まない:(i)内側表面の周りに配置される連続的な環状ステップ、(ii)分注器がピペットチップに挿入されるときに分注器遠位末端が配置される場所に配置される連続的な環状ステップ、および/または(iii)ピペットチップ内側の中心を通る仮想長手方向軸に対して約81度から約99度の間の角度で配置された近位表面を含む連続的な環状ステップ。
【0037】
(他のピペットチップの特徴)
いくつかの実施形態において、ピペットチップは、ピペットチップの近位開口における外側表面上に配置されるフランジ(例えば、環状フランジ)を含む。一定の実施形態において、各外側リブは、近位末端を含み、各外側リブの近位末端は、フランジと接続している。
【0038】
一定の実施形態において、複数の外側リブは、外側リブの第一の組と、外側リブの第二の組とを含む。第一の組外側リブは、ときに、第二の組の外側リブの最大厚みよりも厚い最大厚みを有する。第一の組の各外側リブは、ときに、第二の組の各リブと交互する。第一の組の外側リブの近位末端、第二の組の外側リブの近位末端、または第一の組および第二の組の外側リブの近位末端は、ときに、フランジと同一範囲であるか、またはフランジにおいて終わる。いくつかの実施形態において、第一の組の外側リブの近位末端、第二の組の外側リブの近位末端、または第一の組および第二の組の外側リブの近位末端は、フランジと近位領域との間の連結部と同一範囲であるか、またはフランジと近位領域との間の連結部において終わる。一定の実施形態において、第一の組の外側リブの遠位末端、第二の組の外側リブの遠位末端、または第一の組および第二の組の外側リブの遠位末端は、近位領域と遠位領域との間の連結部と同一範囲であるか、または近位領域と遠位領域との間の連結部において終わる。いくつかの実施形態において、第一の組の外側リブ、第二の組の外側リブ、または第一の組および第二の組の外側リブは、フランジと近位領域との連結部から近位領域と遠位領域との連結部へ延びる。
【0039】
いくつかの実施形態において、内側リブは、ピペットチップの外側リブと整列させられ、(i)内側リブの近位末端の全てまたは一部分は、外側リブの断面と共存させられ、(
ii)外側リブの断面は、内側リブ近位末端において長手方向主要外側リブ寸法に対して垂直である切断面(即ち、図9および図10に示される内側リブ近位末端160において軸195に対して垂直である切断面)にある。例えば、上または下の視点からピペットチップを見たとき(例えば、図5または図6)、約12時の位置に確認される内側リブ近位末端は、同じ位置における外側リブの断面(即ち、長手方向主要外側リブ寸法に対して垂直である切断面における断面)と整列させられ得、ピペットチップの周りの他の位置に確認される他の内側リブは、対応する外側リブと整列させられ得る。1つの内側リブが、ピペットチップの外側リブと整列させられ得、ときに、2つ以上または全ての内側リブが、ピペットチップの対応する外側リブと整列させられる。いくつかの実施形態において、ピペットチップの外側リブと整列させられる内側リブは、ない。
【0040】
一定の非限定的実施例において、ピペットチップ100に関して例示されるように、ピペットチップは、一定の外側リブ構造を含むことができる。ピペットチップ100に関して例示されるように、例えば、ピペットチップは、複数の外側リブ140と、複数の交互に間隔を置かれた外側リブ141とを含み得、各リブは、外側リブ近位末端143と、外側リブ遠位末端145とを含む。外側リブに関する遠位末端145は、例えば、ピペットチップ100に関して例示されるように、カラー147を形成し得る。
【0041】
ピペットチップは、ときに、低減させられた厚みを有する遠位末端含み、遠位末端は、遠位末端に接着する流体量を低減させることにより、低減させられた厚さを有する遠位末端を有さないピペットチップと比べて送達量の一貫性を増加させられることができる。いくつかの実施形態において、遠位領域末端における壁の厚さは、約0.0040インチから約0.0055インチ(例えば、約0.0043インチから約0.0050インチ、または約0.0044インチから約0.0049インチ(例えば、約0.0040、0.0041、0.0042、0.0043、0.0044、0.0045、0.0046、0.0047、0.0048、0.0049、0.0050、0.0051、0.0052、0.0053、0.0054、0.0055インチ))である。遠位領域の内側表面は、ときに、滑らかであり、ときに、実質的に滑らかである。遠位領域の外側表面は、ときに、ステップ(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10ステップ)を含む。一定の実施形態において、遠位領域の壁の厚さは、(a)(i)近位領域と遠位領域との連結部あたりから(ii)遠位領域の末端から連結部までの軸方向距離の約4分の1あたりまでの地点、または(i)近位領域と遠位領域との連結部あたりから(ii)遠位領域の末端から連結部までの軸距離の約4分の1あたりまでの間の地点から(b)遠位領域末端まで先細りする。そのような特徴を含むピペットチップに関する追加の詳細は、2011年7月28日に公報第WO2011/091308号として公開された2011年1月21日に出願された国際PCT出願第PCT/US2011/022129号において言及される。ピペットチップは、一定の非限定的実施形態において、ピペットチップ100に関して例示されるように、低減させられた厚み128の領域を含み得る。
【0042】
本明細書において説明されるピペットチップの特徴は、広い範囲のピペットサイズに適用可能である。一定の実施形態において、(i)ピペットチップ100に関して示される要素は、約200マイクロリットルから約300マイクロリットル(例えば、約250マイクロリットル)の最大容量を送達できるピペットチップに適用可能であり、(ii)ピペットチップ300に関して示される要素は、約15マイクロリットルから約25マイクロリットル(例えば、約20マイクロリットル)の最大容量を送達できるピペットチップに適用可能であり、(iii)ピペットチップ400に関して示される要素は、約250マイクロリットルから約350マイクロリットル(例えば、約300マイクロリットル)の最大容量を送達できるピペットチップに適用可能であり、(iv)ピペットチップ500に関して示される要素は、約800マイクロリットルから約1200マイクロリットル(例えば、約1000マイクロリットル)の最大容量を送達できるピペットチップに適用可能であり、(v)ピペットチップ600に関して示される要素は、約1100マイクロリットルから約1500マイクロリットル(例えば、約1300マイクロリットル)の最大容量を送達できるピペットチップに適用可能である。
【0043】
一定の実施形態において、約15マイクロリットルから約25マイクロリットル(例えば、約15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25マイクロリットル)の最大容量を送達できるピペットチップは、以下の特徴のうちの1つ、2つ、3つ、または4つを含む。特徴は、(i)約40度から約50度(例えば、約40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50度)である内側リブ近位表面と長手方向軸との間の角度(即ち、角度a)と、(ii)約0.10インチから約0.35インチ(例えば、約0.12、0.14、0.15、0.16、0.17、0.18、0.19、0.20、0.21、0.22、0.23、0.24、0.25、0.26、0.28、0.30、0.32、0.34インチ)であるピペットチップ近位末端から内側リブ近位末端までの間の距離と、(iii)約18パーセントから約28パーセントまたは約20パーセントから約26パーセント(例えば、約18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28パーセント)であるIRCCと、(iv)4個から8個の内側リブ(即ち、4、5、6、7、または8の内側リブ)とである。
【0044】
いくつかの実施形態において、約200マイクロリットルから約300マイクロリットル(例えば、約220、240、250、260、280マイクロリットル)の最大容量を送達できるピペットチップは、以下の特徴のうちの1つ、2つ、3つ、または4つを含む。特徴は、(i)約25度から約35度(例えば、約25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35度)である内側リブ近位表面と長手方向軸との間の角度(即ち、角度a)と、(ii)約0.20インチから約0.40インチ(例えば、約0.20、0.22、0.24、0.25、0.26、0.27、0.28、0.29、0.30、0.31、0.32、0.33、0.34、0.35、0.36、0.38、0.40インチ)であるピペットチップ近位末端から内側リブ近位末端までの間の距離と、(iii)約28パーセントから約38パーセントまたは約30パーセントから約36パーセント(例えば、約28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38パーセント)であるIRCCと、(iv)6個から10個の内側リブ(即ち、6、7、8、9、または10の内側リブ)とである。
【0045】
一定の実施形態において、約250マイクロリットルから約350マイクロリットル(例えば、約260、280、300、320、340マイクロリットル)の最大容量を送達できるピペットチップは、以下の特徴のうちの1つ、2つ、3つ、または4つを含む。特徴は、(i)約40度から約50度(例えば、約40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50度)である内側リブ近位表面と長手方向軸との間の角度(即ち、角度a)と、(ii)約0.20インチから約0.40インチ(例えば、約0.20、0.22、0.24、0.25、0.26、0.27、0.28、0.29、0.30、0.31、0.32、0.33、0.34、0.35、0.36、0.38、0.40インチ)であるピペットチップ近位末端から内側リブ近位末端までの間の距離と、(iii)約33パーセントから約43パーセントまたは約35パーセントから約41パーセント(例えば、約33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43パーセント)であるIRCCと、(iv)6個から10個の内側リブ(即ち、6、7、8、9、または10の内側リブ)とである。
【0046】
いくつかの実施形態において、約800マイクロリットルから約1200マイクロリットル(例えば、約800、900、1000、1100、または1200マイクロリットル)の最大容量を送達できるピペットチップは、以下の特徴のうちの1つ、2つ、3つ、または4つを含む。特徴は、(i)約55度から約65度(例えば、約55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65度)である内側リブ近位表面と長手方向軸との間の角度(即ち、角度a)と、(ii)約0.20インチから約0.40インチ(例えば、約0.20、0.22、0.24、0.25、0.26、0.27、0.28、0.29、0.30、0.31、0.32、0.33、0.34、0.35、0.36、0.38、0.40インチ)であるピペットチップ近位末端から内側リブ近位末端までの間の距離と、(iii)約47パーセントから約57パーセントまたは約49パーセントから約55パーセント(例えば、約47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57パーセント)であるIRCCと、(iv)10個から14個の内側リブ(即ち、10、11、12、13、または14の内側リブ)とである。
【0047】
一定の実施形態において、約1100マイクロリットルから約1500マイクロリットル(例えば、約1100、1200、1300、1400、1500マイクロリットル)の最大容量を送達できるピペットチップは、以下の特徴のうちの1つ、2つ、3つ、または4つを含む。特徴は、(i)約55度から約65度(例えば、約55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65度)である内側リブ近位表面と長手方向軸との間の角度(即ち、角度a)と、(ii)約0.20インチから約0.40インチ(例えば、約0.20、0.22、0.24、0.25、0.26、0.27、0.28、0.29、0.30、0.31、0.32、0.33、0.34、0.35、0.36、0.38、0.40インチ)であるピペットチップ近位末端から内側リブ近位末端までの間の距離と、(iii)約42パーセントから約52パーセントまたは約44パーセントから約50パーセント(例えば、約42、43、44、45、46、47、48、49、50パーセント)であるIRCCと、(iv)10個から14個の内側リブ(即ち、10、11、12、13、または14の内側リブ)とである。
【0048】
(ピペットチップアセンブリ)
アレイにおけるピペットチップの各々が本明細書において説明されるピペットチップであるピペットチップのアレイは、一定の実施形態において組み立てられることができる。ピペットチップのアレイは、ときに、ピペットチップレセプタクルプレート(例えば、本明細書においては「プレート」として言及される)に関連付けられている。プレートは、ときに、トレイベースに関連付けられ、ときに、トレイ蓋に関連付けられている。
【0049】
各プレートがピペットチップのアレイを含む複数のプレートは、アセンブリとして製造されて使用のために提供される(例えば、包装される、分配される)ことができる。ピペットチップのアレイは、ときに、本明細書において説明されるシートに関連付けられる。各シートがピペットチップのアレイを保持する複数のシートは、アセンブリとして製造されて使用のために提供される(例えば、包装される、分配される)ことができる。プレートに配置されかつシートによって保持されるピペットチップのアレイは、シート/プレート組み合わせとしても提供されることができ、複数のシート/プレート組み合わせは、アセンブリとして製造されて使用のために提供される(例えば、包装される、分布させられる)。各々がピペットチップのアレイを含んでいる複数のプレートおよび/またはシートを含むアセンブリは、任意の好適な適用に利用されることができ、ときに、そのようなアセンブリは、ピペットチップ再装填システムの一部として利用される。再装填システムは、各々がピペットチップのアレイを含むいくつかのプレートを(i)1つのベースのみまたは限定された数のベース、および(ii)1つの蓋または限定された数の蓋と合わせて経済的に活用できる。ピペットチップのアレイは、ときに、12、16、24、32、48、64、96、128、256、384、または1536のピペットチップを含む。本明細書において説明されるプレートおよび/またはシートは、ときに、ピペットチップとの関連付けのために構成されたボアのアレイを含み、プレートまたはシートは、ときに、12、16、24、32、48、64、96、128、256、384、または1536のボアを含む。
【0050】
一定の実施形態において、プレートまたはシートのうちの2つの各々の遠位表面は、アセンブリにおいて互いに対向する。そのようなアセンブリ実施形態において、第一のプレートまたは第一のシートにおいて配置されるピペットチップの各々の遠位部分は、多くの場合、第二のプレートまたは第二のシートにおいて配置されるピペットチップの遠位部分に隣接する。
【0051】
いくつかの実施形態において、第一のプレートまたは第一のシートの遠位表面は、アセンブリにおけるプレートまたはシートのうちの少なくとも2つに関して第二のプレートまたは第二のシートの近位表面に近位に配置され、第一のプレートまたは第一のシートの遠位表面は、第二のプレートまたは第二のシートの近位表面から間隔を置かれる。そのようなアセンブリ実施形態において、第一のプレートまたは第一のシートにおいて配置されるピペットチップの各々の遠位部分の少なくとも一部分は、多くの場合、第二のプレートまたは第二のシートにおいて配置されるピペットチップ内に入れ子にされる。
【0052】
従って、一定の実施形態において提供されるのは、ピペットチップのアレイを含むアセンブリであり、アレイにおけるピペットチップの各々は、本明細書において説明されるピペットチップである。いくつかの実施形態において提供されるのは、ピペットチップトレイおよびピペットチップのアレイを含むアセンブリである。そのような実施形態において、トレイは、典型的に、ベース含み、典型的に、ベースに関連するピペットチップレセプタクルプレートを含み、多くの場合、プレートおよび/またはベースに関連する蓋を含む。プレートは、概して、近位表面と、遠位表面と、各々が近位表面から遠位表面まで横切るボアのアレイとを含み、ピペットチップのアレイにおける各ピペットチップは、多くの場合、プレートのボアに配置される。
【0053】
一定の実施形態において提供されるのは、シートによって保持される本明細書において説明されるピペットチップのアレイを含むアセンブリである。シートは、多くの場合、近位表面と、遠位表面と、穴のアレイとを含む。シートの穴の各々は、概して、内側穴縁を含み、シートの穴の各々は、概して、有効直径を有する。
【0054】
ピペットチップのアレイにおける各ピペットチップは、ときに、シートの穴に配置される。シートの穴の各々の穴縁は、ときに、シートの穴に配置されたピペットチップの外部表面に接触し、シートの穴の有効直径は、ときに、穴縁と接触しているピペットチップの外側表面の外径より小さい。穴縁は、ときに、締りばめによってピペットチップの外側表面に接触し、ときに、穴縁は、重力より大きな力によってピペットチップを保持する。シートの遠位表面は、ときに、プレートの近位表面に接触し、ときに、シートにおける穴は、プレートのボアと中心を共有する。各ピペットチップの外側リブの各々の遠位リブ末端は、一定の実施形態において、シートの近位表面に接触する。
【0055】
一定の実施形態において、ピペットチップのアレイにおけるピペットチップの各々は、近位末端と、近位末端内径とを含み、シートの遠位表面は、ピペットチップのアレイにおけるピペットチップの近位末端に接着する。そのようなアセンブリにおけるピペットチップの各々は、ときに、接着剤によってシートの遠位表面に接着される。シートの穴の各々は、ときに、ピペットチップの近位末端内径と中心を共有する。そのような実施形態において、シートは、ときに、重力より大きな接着力によってピペットチップを保持し、ときに、シートの穴は、プレートにおける穴のアレイにおける穴と中心を共有する。
【0056】
(製造の方法)
本明細書において説明されるピペットチップは、任意の好適な過程によって製造され得る。製造過程の非限定的実施例は、熱成形と、真空成形と、圧力成形と、プラグアシスト成形と、リバースドロー熱成形と、マッチドダイ成形と、押出成形と、鋳造と、射出成形とを含む。
【0057】
ピペットチップは、多くの場合、単体構造であり、ときに、マルチパーツ構造(例えば、ダブルショット構造)であり、2つ以上のパーツは、ときに、別々に成形される。ピペットチップは、ときに、エラストマーを含み(例えば、マルチパーツピペットチップは、エラストマーを含む材料から製造された1つのパーツと、より硬いポリマー(例えば、ポリプロピレン)を含む材料から製造された別のパーツとを含む)、ときに、エラストマーを含まない。
【0058】
ピペットチップのいくつかの要素または全ての要素は、ときに、好適なポリマーまたはポリマー混合物を含むか、または好適なポリマーまたはポリマー混合物から製造される。ポリマーの非限定的例は、低密度ポリエチレン(LDPE)と、高密度ポリエチレン(HDPE)と、ポリプロピレン(PP)と、高衝撃性ポリスチレン(HIPS)と、ポリ塩化ビニル(PVC)と、非結晶性ポリエチレンテレフタレート(APET)と、ポリカーボネート(PC)と、ポリエチレン(PE)とを含む。ピペットチップの1つ以上の要素は、再生利用可能な材料および/または分解可能な材料(例えば、生分解性材料)を含むことができるか、または再生利用可能な材料および/または分解可能な材料(例えば、生分解性材料)から製造されることができ、その非限定的実施例は、2009年11月9日に出願された国際出願第PCT/US2009/063762号において開示されており、2010年5月14日にWO2010/054337として公開されている。いくつかの実施形態において、ピペットチップの1つ以上の要素は、抗菌剤を含み、その非限定的実施例は、2009年6月16日に出願された国際出願第PCT/US2009/047541号において開示されており、2010年1月10日にWO2010/008737として公開されている(例えば、抗菌金属(例えば、銀))。
【0059】
本明細書において説明されるピペットチップは、ときに、本明細書において説明されるピペットチップを成形するように構成された型の空洞へ溶融ポリマーを分注することと、空洞内のポリマーを冷却させることと、冷却後、形成されたピペットチップを型から外すこととを含む方法によって製造される。型は、ときに、金属を含み、ときに、型は、金属から製造される。金属は、ときに、アルミニウム、亜鉛、鋼、または鋼合金のうちの1つ以上を含む。ポリマーの非限定的例は、本明細書において提供される。一定の実施形態において、成形過程は、射出成形過程である。
【0060】
一定の実施形態において、成形過程(例えば、射出成形過程)によって本明細書において説明されるピペットチップを製造するための型も提供され、型は、ピペットチップの外側表面を形成する本体と、ピペットチップの内側表面を形成する部材とを含む。型は、ときに、ピペットチップの内側表面を形成する1つ以上のコア構成要素を含む(例えば、コアピン構成要素)。
【0061】
ピペットチップは、ときに、射出成形過程によって製造される。射出成形は、熱可塑性(例えば、ナイロン、ポリプロピレン、ポリエチレン、およびポリスチレン等)材料または熱硬化性(例えば、エポキシおよびフェノール等)材料から物を生産するための製造過程である。適した可塑性材料(例えば、ポリマー材料)は、多くの場合、熱バレルに供給され、混ぜられ、型の空洞に押し進められ、冷えて固まり、型の空洞の構成となる。溶けた材料は、ときに、圧力下で開口(例えば、スプルー)を通して型の空洞に押し進められるか、または射出される。圧力射出方法は、多くの場合、溶けたプラスチックでの完全な型の充填を保証する。型が冷えた後、型の部分は分離され、成形されたものは、排出される。
【0062】
流れがより速く粘度がより低いプラスチックは、ときに、射出成形過程における使用のために選択される。流れがより速く粘度がより低いプラスチックの非限定的例は、以下の特性のうちの1つ以上を有する任意の好適な成形可能な材料を含む。特性は、ASTMD
1238試験方法を使用する10分毎に約30から約75グラムのメルトフローレート(2.16kgで摂氏230度)、ASTMD638試験方法を使用する平方インチ当たり約3900ポンドから約5000ポンドの降伏時の引張強度、ASTMD638試験方法を使用する約7%から約14%の降伏時の引張伸び、ASTMD790試験方法を使用する平方インチ当たり約110000ポンドから約240000ポンドの1%sectantの曲げ弾性率、ASTMD256試験方法を使用するインチ当たり約0.4フィートポンドから約4.0フィートポンドの切り欠きのあるアイゾット衝撃強度(摂氏23度)、および/またはASTMD648試験方法を使用するカ氏約160度から約250度の(0.455MPaにおける)熱変形温度である。使用可能な材料の非限定的例は、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリカーボネート等と、その混合物とを含む。いくつかの実施形態において、最終生産物に追加の特性を与えるために、追加の添加物が、プラスチックまたは型に含まれることができる(例えば、抗菌特性、分解特性、帯電防止特性)。ピペットチップは、単体構造として射出成形されることができる。
【0063】
型は、多くの場合、プラスチックの冷却時に所望の製品を産出する形状に溶融プラスチックを保持するように構成される。射出型は、ときに、2つ以上のパーツから作られる。型は、典型的に、冷却後、型が開いた後に成形された部分が型の排出器側に確実に保持されるように設計される。成形されたパーツは、型の排出器側から排出されたときに型から自由に落ちて外れ得る。いくつかの実施形態において、排出器スリーブが、型の排出器側から成形されたパーツを押す。
【0064】
本明細書において説明されるピペットチップは、任意の好適なフィルタを含むことができる。フィルタは、任意の形(例えば、プラグ、ディスク;米国特許第5156811号および米国特許第7335337号)であることができ、ピペットチップを通る近位区分末端へのエアロゾルの移行を妨げるか、またはブロックする任意の材料から製造されることができ、限定されることなく、ポリエステル、コルク、プラスチック、シリカ、ゲル等と、その混合物とを含む。いくつかの実施形態において、フィルタは、多孔性、非多孔性、疎水性、親水性、またはそれらの組み合わせであり得る。いくつかの実施形態におけるフィルタは、垂直に向けられた孔を含み得、孔のサイズは、規則的または不規則であり得る。フィルタの孔は、エアロゾルと接触したときに拡張して孔を塞ぐことができる材料(例えば、粒状の材料)を含み得る(例えば、米国特許第5,156,811号)。一定の実施形態において、フィルタは、例えば、約30、25、20、15、10、9、8、7、6、5、4、3、2、1、0.5、または0.05マイクロメートルの普通、標準的、または平均的な孔のサイズを含み得る。
【0065】
本明細書において説明されるピペットチップは、本明細書において説明されるピペットチップの近位末端においてフィルタを配置することと、フィルタの近位表面に力を加えることとを含む方法によってフィルタを装填されることができる。力は、多くの場合、本明細書において説明される仮想長手方向軸に平行な方向で加えられ、フィルタの遠位表面は、多くの場合、内側リブの近位表面に接触して通り越し、力は、多くの場合、フィルタの近位表面が内側リブの各々の遠位末端に対して遠位の位置に配置されるまで加えられる。力は、ときに、当該分野において知られている押圧デバイスによって加えられる。
【0066】
ピペットチップの一部分はまた、生体分子等の対象の分子または分析物と相互作用ができる材料または挿入物を含み得る。挿入物または材料は、対象の分子との相互作用のための任意の好適な場所に位置付けられ得、ときに、ピペットチップの遠位部分に位置付けられる(例えば、挿入物の末端または材料は、ピペットチップの遠位開口に位置付けられるか、またはピペットチップの遠位開口の近くに位置付けられ得る)。挿入物は、マルチキャピラリー(例えば、US2007/0017870)と、ファイバ(例えば、ランダムに方向づけられたか、または積み重ねられた平行な向き)と、ビーズ(例えば、シリカゲル、ガラス(例えば、制限された多孔性ガラス(CPG))、ナイロン、セファデックス(登録商標)、セファローズ(登録商標)、セルロース、金属表面(例えば、鋼、金、銀、アルミニウム、ケイ素および銅)、磁性材料、可塑性材料(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリエステル、フッ化ポリビニリデン(PVDF))、ワング樹脂、メリフィールド樹脂、またはダイナビーズ(登録商標))を限定することなく含む1つ以上の構成要素を含み得る。ビーズは、焼結され得る(例えば、焼結されたガラスビーズ)か、または(例えば、1つまたは2つのバリア(例えば、フィルタ、フリット)の間で)自由であり得る。各挿入物または挿入構成要素は、対象の分子(例えば、C18、ニッケル、親和性基質)と相互作用(例えば、結合する)ができる分子でコーティングまたは誘導体化され得る(例えば、共有結合的または非共有結合的に修正される)。挿入物または材料は、挿入物に力を加えて遠位領域へピペットチップの遠位開口または近位開口を通して挿入物を押す押圧デバイスの使用を限定することなく含む任意の好適な方法によってピペットチップ内に配置され得る。
【0067】
(使用方法)
本明細書において説明されるピペットチップは、流体分注器部材を本明細書において説明されるピペットチップ内へ挿入することであって、、流体分注部材は、多くの場合、ピペットチップの内側表面と密封する、ことと、ピペットチップへ流体を受け取ることとを含む方法で使用されることができる。流体は、ときに、ピペットチップから分注され、ピペットチップは、ときに、流体分注器部材から排出される。
【0068】
手動分注器、自動分注器、単一ノズル分注器およびマルチノズル分注器を限定することなく含む任意の好適な分注デバイスが、使用されることができる。流体取扱デバイスのノズルは、多くの場合、ノズルがピペットチップと密封係合するまでピペットチップの内側へ一定の距離だけ挿入される。流体分注器は、ときに、ノズル部材と、ノズル部材遠位末端と、ノズル外側表面壁とを含み、ときに、ノズル部材の一部分は、ピペットチップの近位部分内へ挿入され、ときに、ノズル外側壁の一部分は、ピペットチップの内側壁の一部分と接触しており、ノズル外側壁の一部分は、ときに、ピペットチップの第一の内側壁区分の少なくとも一部分と接触しており、ときに、ノズル部材遠位末端は、ピペットチップの内側リブの近位末端と接触している。手動流体分注デバイス実施形態200の一部分の非限定的実施例は、ノズルと密封係合しているピペットチップと合わせて図13および図14に示される。
【0069】
ピペットチップは、ときに、分注器の排出部材の作動時、流体分注器から排出される。排出部材は、ときに、作動時に移動し、分注器のノズルからピペットチップを分離するのに十分な量の力をピペットチップの近位末端に及ぼす。
【0070】
(実施形態の実施例)
本明細書において以下に提供されるのは、当該技術の実施形態の一定の非限定的実施例である。
【0071】
A1.近位開口と、遠位開口と、近位領域と、遠位領域と、外側表面と、内側表面と、複数の内側リブとを含むピペットチップであって、
複数の内側リブの各内側リブは、近位領域おけるピペットチップの内側表面上に軸方向に配置され、
複数の内側リブのうちの内側リブは、ピペットチップの内側表面の周りに周方向に分布させられており、
複数の内側リブの各内側リブは、ピペットチップの内側を向いている軸方向表面と、隣接する近位表面とを備え、
内側リブの各々の近位表面は、ピペットチップの内側の中心を通して長手方向軸に対して10度から80度の間の角度に配置されている、
ピペットチップ。
【0072】
A2.近位開口と遠位開口との間の長さを含み、
近位領域は、近位領域長さを備え、
遠位領域は、遠位領域長さを備え、
近位領域は、遠位領域に隣接し、
近位領域長さは、近位開口と遠位開口との間の長さの約45%以下である、
実施形態A1に記載のピペットチップ。
【0073】
A3.複数の外側リブを備え、
複数の外側リブの各外側リブは、ピペットチップの外側表面上に軸方向に配置されており、
複数の外側リブのうちの外側リブは、ピペットチップの外側表面の周りに周方向に分布させられており、
複数の外側リブの各外側リブは、遠位末端を備える、
実施形態A1またはA2に記載のピペットチップ。
【0074】
A4.ピペットチップの近位領域は、ピペットチップの近位開口から外側リブの遠位末端までであり、
ピペットチップの遠位領域は、遠位開口から外側リブの遠位末端までである、
実施形態A3に記載のピペットチップ。
【0075】
A5.複数の外側リブを備え、
複数の外側リブの各外側リブは、ピペットチップの外側表面上に軸方向に配置されており、
複数の外側リブのうちの外側リブは、ピペットチップの外側表面の周りに周方向に分布させられており、
複数の外側リブの各外側リブは、遠位末端を備え、
ピペットチップの近位領域は、ピペットチップの近位開口から外側リブの遠位末端までであり、
ピペットチップの遠位領域は、遠位開口から外側リブの遠位末端までである、
実施形態A1に記載のピペットチップ。
【0076】
A6.内側リブの各々は、遠位末端を備え、
ピペットチップは、近位表面と、遠位表面とを備えるフィルタを備え、
フィルタの近位表面は、内側リブの各々の遠位末端に配置されているか、または内側リブの各々の遠位末端から遠位に間隔を置かれている、
実施形態A1からA5のうちのいずれかに記載のピペットチップ。
【0077】
A7.内側リブの各々は、近位末端を備え、
ピペットチップ近位開口と内側リブの近位末端との間のピペットチップの内側表面の領域は、環状突出を備えていない、
実施形態A1からA6のうちのいずれかに記載のピペットチップ。
【0078】
A8.ピペットチップ近位開口と内側リブの近位末端との間のピペットチップの内側表面の領域は、突出を備えていない、実施形態A7に記載のピペットチップ。
【0079】
A9.ピペットチップ近位開口と内側リブの近位末端との間のピペットチップの内側表面の領域は、滑らかである、実施形態A7またはA8に記載のピペットチップ。
【0080】
A10.ピペットチップ近位開口と内側リブの近位末端との間のピペットチップの内側表面の領域は、実質的に滑らかである、実施形態A7またはA8に記載のピペットチップ。
【0081】
A11.ピペットチップ近位開口と内側リブの近位末端との間のピペットチップの内側表面の領域、またはピペットチップ近位開口と内側リブの近位末端との間の軸方向距離に沿った内側表面の領域の一部分は、ピペットチップに挿入されることができる分注器ノズルの外側表面と接触するように構成されている、実施形態A7からA10のうちのいずれかに記載のピペットチップ。
【0082】
A12.一部分は、ピペットチップ近位開口と内側リブの近位末端との間の軸方向距離の約10%から約85%である、実施形態A11に記載のピペットチップ。
【0083】
A13.内側表面の領域または領域の一部分は、軸方向に配置された連続的な途切れのない表面である、実施形態A11またはA12に記載のピペットチップ。
【0084】
A14.内側表面の領域または領域の一部分は、隣接する軸方向に配置された近位表面と隣接する軸方向に配置された遠位表面とによって境を限られ、
隣接する軸方向に配置された近位表面および隣接する軸方向に配置された遠位表面は、分注器の外側表面と接触するように構成されていない、
実施形態A11からA13のうちのいずれかに記載のピペットチップ。
【0085】
A15.内側表面の領域または領域の一部分は、ピペットチップ近位末端に位置付けられたかもしくはピペットチップ近位末端に隣接して位置付けられた近位周囲によって画定される、実施形態A11からA14のうちのいずれかに記載のピペットチップ。
【0086】
A16.内側表面の領域の一部分は、約0.005インチ以上の軸方向距離によって画定された連続的な表面であり、
軸方向距離は、(i)内側リブ近位末端と(ii)ピペットチップ近位末端との間の軸方向距離以下である、
実施形態A11からA15のうちのいずれかに記載のピペットチップ。
【0087】
A17.フランジと、フランジ遠位周囲とを備えている、実施形態A1からA6のうちのいずれかに記載のピペットチップ。
【0088】
A18.フランジ遠位周囲と内側リブの近位末端との間のピペットチップの内側表面の領域、またはフランジ遠位周囲と内側リブの近位末端との間の軸方向距離に沿った内側表面の領域の一部分は、ピペットチップに挿入されることができる分注器ノズルの外側表面と接触するように構成されている、実施形態A17に記載のピペットチップ。
【0089】
A19.一部分は、フランジ遠位周囲と内側リブの近位末端との間の軸方向距離の約10%から約85%である、実施形態A18に記載のピペットチップ。
【0090】
A20.内側表面の領域または領域の一部分は、軸方向に配置された連続的な途切れのない表面である、実施形態A18またはA19に記載のピペットチップ。
【0091】
A21.内側表面の領域または領域の一部分は、隣接する軸方向に配置された近位表面と隣接する軸方向に配置された遠位表面とによって境を限られ、
隣接する軸方向に配置された近位表面および隣接する軸方向に配置された遠位表面は、分注器の外側表面と接触するようには構成されていない、
実施形態A18からA20のうちのいずれかに記載のピペットチップ。
【0092】
A22.内側表面の領域または領域の一部分は、フランジ遠位周囲に位置付けられたかもしくはフランジ遠位周囲に隣接して位置付けられた近位周囲によって画定される、実施形態A18からA21のうちのいずれかに記載のピペットチップ。
【0093】
A23.内側表面の領域の一部分は、約0.005インチ以上の軸方向距離によって画定された連続的な表面であり、
軸方向距離は、(i)内側リブ近位末端と(ii)フランジ遠位周囲との間の軸方向距離以下である、
実施形態A18からA22のうちのいずれかに記載のピペットチップ。
【0094】
A24.内側リブの各々の近位表面は、ピペットチップの近位領域内のノズル密封区域より下に配置されている、実施形態A1からA23のうちのいずれかに記載のピペットチップ。
【0095】
A25.内側リブの各々の近位末端は、ピペットチップの近位領域における所定の流体分注器挿入深度に配置されるか、またはピペットチップの近位領域における所定の流体分注器挿入深度より下に配置される、実施形態A1からA24のうちのいずれかに記載のピペットチップ。
【0096】
A26.所定の流体分注器挿入深度は、ピペットチップが流体分注器と密封係合させられた後、流体分注器からピペットチップを除去するために必要とされる低減させられた排出力のために最適化された挿入深度である、実施形態A25に記載のピペットチップ。
【0097】
A27.所定の流体分注器挿入深度は、ピペットチップが流体分注器と密封係合させられた後、流体分注器からピペットチップを除去するために必要とされる最小限の排出力のために最適化された挿入深度である、実施形態A26に記載のピペットチップ。
【0098】
A28.ピペットチップの内側表面は、近位領域における第一の内側壁区分を備え、第一の内側壁区分は、長手方向軸に対して第一の角度を有する連続的に先細りしている内側壁表面を含み、
ピペットチップの内側表面は、近位領域における第二の内側壁区分を備え、第二の内側壁区分は、長手方向軸に対して第二の角度を有する連続的に先細りしている内側壁表面を含み、
第一の内側壁区分および第二の内側壁区分の各々は、壁区分の近位端から遠位端に先細りし、
第二の角度は、第一の角度より大きい、
実施形態A1からA27のうちのいずれかに記載のピペットチップ。
【0099】
A29.第一の内側壁区分は、第二の内側壁区分に隣接している、実施形態A28に記載のピペットチップ。
【0100】
A30.第一の内側壁区分は、連続的に先細りしている内側壁表面からなり、
第二の内側壁区分は、連続的に先細りしている内側壁表面からなる、
実施形態A28またはA29に記載のピペットチップ。
【0101】
A31.各内側リブは、遠位末端を備え、
各内側リブの遠位末端の少なくとも一部分は、第二の内側壁区分と接続している、
実施形態A28からA30のうちのいずれかに記載のピペットチップ。
【0102】
A32.第一の内側壁区分の角度は、長手方向軸に対して約0.2度から約2度である、実施形態A28からA31のうちのいずれかに記載のピペットチップ。
【0103】
A33.第二の内側壁区分の角度は、長手方向軸に対して約5度から約40度である、実施形態A28からA32のうちのいずれかに記載のピペットチップ。
【0104】
A34.内側リブの各々の近位末端は、ピペットチップの近位末端からの同じ深度に配置されている、実施形態A1からA33のうちのいずれかに記載のピペットチップ。
【0105】
A35.(i)2つの外側リブの間、かつ、(ii)ピペットチップの近位末端から内側リブの各々の近位末端までの間に配置される外側表面と内側表面との間の厚みは、約0.005インチから約0.015インチである、実施形態A1からA34のうちのいずれかに記載のピペットチップ。
【0106】
A36.ピペットチップの近位開口における外側表面上に配置されたフランジを備えている、実施形態A1からA35のうちのいずれかに記載のピペットチップ。
【0107】
A37.各外側リブは、近位末端を備え、
各外側リブの近位末端は、フランジと接続している、
実施形態A36に記載のピペットチップ。
【0108】
A38.各内側リブは、遠位末端を備え、
各内側リブの遠位末端の少なくとも一部分は、第二の内側壁区分と接続している
実施形態A36またはA37に記載のピペットチップ。
【0109】
A39.(i)2つの外側リブの間、かつ、(ii)フランジの遠位末端から内側リブの各々の近位末端までの間に配置された外側表面と内側表面との間の厚みは、約0.005インチから約0.015インチである、実施形態A36からA38のうちのいずれかに記載のピペットチップ。
【0110】
A40.内側リブの各々の近位表面は、長手方向軸に対して40度と50度との間の角度で配置されている、実施形態A1からA39のうちのいずれかに記載のピペットチップ。
【0111】
A41.内側リブの各々の近位表面は、長手方向軸に対して25度と35度との間の角度で配置されている、実施形態A40に記載のピペットチップ。
【0112】
A42.ピペットチップは、ポリマーを備えている、実施形態A1からA41のうちのいずれかに記載のピペットチップ。
【0113】
A43.ピペットチップは、ポリマーから製造される、実施形態A1からA42のうちのいずれかに記載のピペットチップ。
【0114】
A44.ポリマーは、低密度ポリエチレン(LDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、ポリプロピレン(PP)、高衝撃性ポリスチレン(HIPS)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、非結晶性ポリエチレンテレフタレート(APET)、ポリカーボネート(PC)、ポリエチレン(PE)、またはそれらの組み合わせから選択される、実施形態A42またはA43に記載のピペットチップ。
【0115】
A45.複数の外側リブは、外側リブの第一の組と、外側リブの第二の組とを含み、
第一の組の外側リブは、第二の組の外側リブの最大厚みよりも大きな最大厚みを有する、
実施形態A1からA44のうちのいずれかに記載のピペットチップ。
【0116】
A46.第一の組の外側リブの近位末端、第二の組の外側リブの近位末端、または第一の組および第二の組の外側リブの近位末端は、フランジと同一範囲であるか、またはフランジで終わる、実施形態A45に記載のピペットチップ。
【0117】
A47.第一の組の外側リブの近位末端、第二の組の外側リブの近位末端、または第一の組および第二の組の外側リブの近位末端は、フランジと近位領域との間の連結部と同一範囲であるか、またはフランジと近位領域との間の連結部で終わる、実施形態A45またはA46に記載のピペットチップ。
【0118】
A48.第一の組の外側リブの遠位末端、第二の組の外側リブの遠位末端、または第一の組および第二の組の外側リブの遠位末端は、近位領域と遠位領域との間の連結部と同一範囲であるか、または近位領域と遠位領域との間の連結部で終わる、実施形態A45からA47のうちのいずれかに記載のピペットチップ。
【0119】
A49.第一の組の外側リブ、第二の組の外側リブ、または第一の組および第二の組の外側リブは、フランジと近位領域との連結部から近位領域と遠位領域との連結部まで延びている、実施形態A45からA47のうちのいずれかに記載のピペットチップ。
【0120】
A50.遠位領域の壁の厚みは、(a)(i)近位領域と遠位領域との連結部あたりから(ii)遠位領域の末端から連結部までの軸方向距離の約4分の1あたりまでの地点、または(i)近位領域と遠位領域との連結部あたりから(ii)遠位領域の末端から連結部までの軸距離の約4分の1あたりまでの間の地点から(b)遠位領域末端まで先細りし、
遠位領域末端における壁の厚みは、約0.0040インチから約0.0055インチである、
実施形態A1からA49のうちのいずれかに記載のピペットチップ。
【0121】
A51.遠位領域末端における壁の厚さは、約0.0043インチから約0.0050インチである、実施形態A50に記載のピペットチップ。
【0122】
A52.遠位領域末端における壁の厚さは、約0.0044インチから約0.0049インチである、実施形態A51に記載のピペットチップ。
【0123】
A53.遠位領域の内側表面は、滑らかであるか、または実質的に滑らかである、実施形態A1からA52のうちのいずれかに記載のピペットチップ。
【0124】
A54.遠位領域の外側表面は、ステップを備えている、実施形態A1からA53のうちのいずれかに記載のピペットチップ。
【0125】
A55.近位領域の内側に円錐台形の空洞を備えている、実施形態A1からA54のうちのいずれかに記載のピペットチップ。
【0126】
A56.円錐台形の空洞は、内側リブを除いて実質的に滑らかである、実施形態A55に記載のピペットチップ。
【0127】
A57.円錐台形の空洞は、環状溝を除いて実質的に滑らかである、実施形態A55またはA56に記載のピペットチップ。
【0128】
A58.第一の組の各外側リブは、第二の組の各リブと交互している、実施形態A45からA57のうちのいずれかに記載のピペットチップ。
【0129】
B1.実施形態A1からA58のうちのいずれかに記載のピペットチップと、流体分注器とを備えているアセンブリであって、
流体分注器は、ノズル部材と、ノズル部材遠位末端と、ノズル外側壁とを備え、
ノズル部材の一部分は、ピペットチップの近位部分内に挿入されており、
ノズル外側壁の一部分は、ピペットチップの内側壁の一部分と接触しており、
ノズル部材遠位末端は、ピペットチップの内側リブの近位末端と接触している、
アセンブリ。
【0130】
B2.ノズル外側壁の一部分は、ピペットチップの第一の内側壁区分の少なくとも一部分と接触している、実施形態B1に記載のアセンブリ。
【0131】
B3.ピペットチップのアレイを備えているアセンブリであって、アレイにおけるピペットチップの各々は、実施形態A1からA58のうちのいずれかに記載のピペットチップである、アセンブリ。
【0132】
B4.ピペットチップトレイと、ピペットチップのアレイとを備えているアセンブリであって、
トレイは、ベースと、ベースに関連しているピペットチップレセプタクルプレートとを備え、
プレートは、近位表面と、遠位表面と、各々が近位表面から遠位表面へ横切るボアのアレイとを備え、
ピペットチップのアレイにおける各ピペットチップは、実施形態A1からA58のうちのいずれかに記載のピペットチップであり、
アレイにおける各ピペットチップは、プレートのボアの中に配置されている、
アセンブリ。
【0133】
B5.トレイは、蓋を備えている、実施形態B4に記載のアセンブリ。
【0134】
B6.シートを備えている実施形態B3からB5のうちのいずれかに記載のアセンブリであって、
シートは、近位表面と、遠位表面と、穴のアレイとを備え、
シートの穴の各々は、内側穴縁を備え、シートの穴の各々は、有効直径を備え、
ピペットチップのアレイにおける各ピペットチップは、シートの穴の中に配置されており、
シートの穴の各々の穴縁は、シートの穴に配置されたピペットチップの外側表面に接触しており、
シートの穴の有効直径は、穴縁と接触しているピペットチップの外側表面の外径より小さい、
実施形態B3からB5のうちのいずれかに記載のアセンブリ。
【0135】
B7.穴縁は、締りばめによってピペットチップの外側表面に接触している、実施形態B6に記載のアセンブリ。
【0136】
B8.穴縁は、重力より大きい力によってピペットチップを保持している、実施形態B6またはB7に記載のアセンブリ。
【0137】
B9.シートの遠位表面は、プレートの近位表面に接触しており、
シートにおける穴は、プレートのボアと中心を共有している、
実施形態B6からB8のうちのいずれかに記載のアセンブリ。
【0138】
B10.外側リブの各々の遠位リブ末端は、シートの近位表面に接触している、実施形態B6からB9のうちのいずれかに記載のアセンブリ。
【0139】
B11.シートを備え、
シートは、近位表面と、遠位表面と、穴のアレイとを備え、
ピペットチップのアレイにおけるピペットチップの各々は、近位末端と、近位末端内径とを備え、
シートの遠位表面は、ピペットチップの近位末端に接着されており、
シートの穴の各々は、ピペットチップの各々の近位末端内径と中心を共有している、
実施形態B3からB5のうちのいずれかに記載のアセンブリ。
【0140】
B12.シートは、重力より大きい接着力によってピペットチップを保持する、実施形態B11に記載のアセンブリ。
【0141】
B13.シートの穴は、プレートにおけるボアのアレイにおけるボアと中心を共有する、実施形態B11またはB12に記載のアセンブリ。
【0142】
B14.ピペットチップ近位開口と内側リブの近位末端との間のピペットチップの内側表面の領域またはピペットチップ近位開口と内側リブの近位末端との間の軸方向距離に沿った内側表面の領域の一部分は、分注器ノズルの外側表面と接触する、実施形態B1からB13のうちのいずれかに記載のアセンブリ。
【0143】
B15.一部分は、ピペットチップ近位開口と内側リブの近位末端との間の軸方向距離の約10%から約90%である、実施形態B14に記載のアセンブリ。
【0144】
B16.内側表面の領域または領域の一部分は、軸方向に配置された連続的な途切れのない表面である、実施形態B14またはB15に記載のアセンブリ。
【0145】
B17.内側表面の領域または領域の一部分は、隣接する軸方向に配置された近位表面と隣接する軸方向に配置された遠位表面とによって境を限られ、
隣接する軸方向に配置された近位表面および隣接する軸方向に配置された遠位表面は、分注器の外側表面と接触しない、
実施形態B14からB16のうちのいずれかに記載のアセンブリ。
【0146】
B18.内側表面の領域または領域の一部分は、ピペットチップ近位開口に位置付けられたかもしくはピペットチップ近位開口に隣接して位置付けられた近位周囲によって画定される、実施形態B14からB17のうちのいずれかに記載のアセンブリ。
【0147】
B19.内側表面の領域の一部分は、約0.005インチ以上の軸方向距離によって画定された連続的な表面であり、
軸方向距離は、(i)内側リブ近位末端と(ii)ピペットチップ近位末端との間の軸方向距離以下である、
実施形態B14からB18のうちのいずれかに記載のアセンブリ。
【0148】
B20.フランジ遠位周囲と内側リブの近位末端との間のピペットチップの内側表面の領域、またはフランジ遠位周囲と内側リブの近位末端との間の軸方向距離に沿った内側表面の領域の一部分は、ピペットチップに挿入されることができる分注器ノズルの外側表面と接触する、実施形態B1からB13に記載のアセンブリ。
【0149】
B21.一部分は、フランジ遠位周囲と内側リブの近位末端との間の軸方向距離の約10%から約90%である、実施形態B20に記載のアセンブリ。
【0150】
B22.内側表面の領域または領域の一部分は、軸方向に配置された連続的な途切れのない表面である、実施形態B20またはB21に記載のアセンブリ。
【0151】
B23.内側表面の領域または領域の一部分は、隣接する軸方向に配置された近位表面と隣接する軸方向に配置された遠位表面とによって境を限られ、
隣接する軸方向に配置された近位表面および隣接する軸方向に配置された遠位表面は、分注器の外側表面と接触しない、
実施形態B20からB22のうちのいずれかに記載のアセンブリ。
【0152】
B24.内側表面の領域または領域の一部分は、フランジ遠位周囲に位置付けられたかもしくはフランジ遠位周囲に隣接して位置付けられた近位周囲によって画定される、実施形態A20からA23のうちのいずれかに記載のアセンブリ。
【0153】
B25.内側表面の領域の一部分は、約0.005インチ以上の軸方向距離によって画定された連続的な表面であり、
軸方向距離は、(i)内側リブ近位末端と(ii)フランジ遠位周囲との間の軸方向距離以下である、
実施形態B20からB24のうちのいずれかに記載のアセンブリ。
【0154】
C1.ピペットチップを製造する方法であって、方法は、
溶融ポリマーを実施形態A1からA58のうちのいずれかに記載のピペットチップを成形するように構成された型の空洞の中に分注することと、
空洞の中のポリマーを冷却させることと、
冷却後、形成されたピペットチップを型から外すことと
を含む方法。
【0155】
C2.型は、金属を備えている、実施形態C1に記載の方法。
【0156】
C3.型は、金属から製造される、実施形態C2に記載の方法。
【0157】
C4.金属は、アルミニウム、亜鉛、鋼、および鋼合金から選択される、実施形態C2またはC3に記載の方法。
【0158】
C5.ポリマーは、低密度ポリエチレン(LDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、ポリプロピレン(PP)、高衝撃性ポリスチレン(HIPS)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、非結晶性ポリエチレンテレフタレート(APET)、ポリカーボネート(PC)、ポリエチレン(PE)、またはそれらの組み合わせから選択される、実施形態C1からC4のうちのいずれかに記載の方法。
【0159】
C6.成形過程によって実施形態A1からA58のうちのいずれかに記載のピペットチップを形成するように構成された型。
【0160】
C7.型は、金属を備えている、実施形態C6に記載の型。
【0161】
C8.型は、金属から製造される、実施形態C7に記載の型。
【0162】
C9.金属は、アルミニウム、亜鉛、鋼、および鋼合金から選択される、実施形態C7またはC8に記載の型。
【0163】
C10.成形過程は、射出成形過程である、実施形態C6からC9のうちのいずれかに記載の型。
【0164】
D1.実施形態A1からA58のうちのいずれかに記載のピペットチップを使用する方法であって、方法は、
実施形態A1からA58のうちのいずれかに記載のピペットチップ内へ流体分注器部材を挿入することと、
ピペットチップの中に流体を受け取ることと
を含む方法。
【0165】
D2.ピペットチップから流体を分注することを含む、実施形態D1に記載の方法。
【0166】
D3.流体分注器部材からピペットチップを排出することを含む、実施形態D1またはD2に記載の方法。
【0167】
E1.実施形態A1からA58のうちのいずれかに記載のピペットチップへフィルタを装填する方法であって、方法は、
実施形態A1からA58のうちのいずれかに記載のピペットチップの近位末端にフィルタを配置することと、
フィルタの近位表面に力を加えることを含み、
力は、長手方向軸に平行な方向に加えられ、
フィルタの遠位表面は、内側リブの近位表面に接触して通り越し、
力は、フィルタの近位表面が内側リブの各々の遠位末端に対して遠位である位置に配置されるまで加えられる、
方法。
【0168】
E2.力は、押圧デバイスによって加えられる、実施形態E1に記載の方法。
【0169】
本明細書において本明細書によって参照される各特許、特許出願、公開公報および文献は、全て参照により援用される。上記特許、特許出願、公開公報および文献の引用は、前述のうちのいずれかが関連する先行技術であるとの自認ではなく、これらの公開公報または文献の内容または日付に関する一切の自認を構成することもない。
【0170】
開示される本技術の基本的局面から離れることなく前述のものに修正が加えられ得る。開示される本技術は、1つ以上の具体的実施形態に言及して実質的に詳細に説明されたが、当業者は、本願において具体的に開示される実施形態に対して変更が加えられ得る一方、これらの修正および改善が開示される本技術の範囲および主旨内にあることを認識する。
【0171】
本明細書において例示的に説明される本技術は、本明細書において具体的に開示されていない任意の要素(単数または複数)の不在において好適に実施され得る。従って、例えば、本明細書における各事例において、「備えている」、「から原則的になる」、および「からなる」のうちの任意の用語は、残り2つの用語と置き換えられ得る。採用された用語および表現は、説明の用語として使用されているのであり、限定の用語としては使用されておらず、そのような用語および表現の使用は、示し説明された特徴またはその部分のいかなる同等物も排除せず、特許を請求される技術の範囲内での様々な修正は、可能である。「a」または「an」といった用語は、要素のうちの1つが説明されているか、または要素のうちの1つより多くが説明されていることが文脈的に明らかである場合を除き、それが修飾する要素のうちの1つまたは複数を意味することができる(例えば、「試薬」は、1つ以上の試薬を意味することができる)。本明細書において使用されているような用語「約」は、基となるパラメータの10%以内の値(即ち、プラス10%またはマイナス10%)を意味し、一連の値のはじめにある用語「約」の使用は、値の各々を修飾する(即ち、「約1、2および3」は、約1、約2、および約3を意味する)。例えば、「約100グラム」の重さは、90グラムと110グラムとの間の重さを含むことができる。更に、本明細書において値の一覧が説明されるとき(例えば、約50%、60%、70%、80%、85%、または86%)、一覧は、その全ての間の値および少数値(例えば、54%、85.4%)を含む。従って、本技術は、代表的な実施形態および随意の特徴によって具体的に開示されてきたが、本明細書に開示される内容の修正および変化は、当業者によって行われ得、そのような修正および変化は、本技術の範囲内であると判断されることを理解されたい。
【0172】
本技術の一定の実施形態は、以下の特許請求の範囲において示される。
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