(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記基端チューブ部分及び前記先端チューブ部分が、互いに独立して移動することができる2つの異なるチューブのパーツであることを特徴とする請求項1に記載のデバイス。
前記導入器が、前記基端止血シールを通って前記導入器の前記基端チューブ部分を配置するために、前記基端止血シールに対して基端向きに移動するように構成されたシャトルをさらに備えていることを特徴とする請求項1に記載のデバイス。
前記導入器が、前記先端止血シールに対して先端向きに移動するように構成されたシャトルをさらに備え、このため、シャトルシースの先端部が、前記先端止血シールを通って先端向きに移動し、前記導入器の前記先端チューブ部分が、前記先端止血シールを通って配置されていることを特徴とする請求項1に記載のデバイス。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の例示としての導入器デバイスを示す側面図である。
【
図3】
図1の導入器デバイスの基端部を示す側面図であって、シャトルが先端位置で図示されており、端部ハブが基端位置で図示されている。
【
図5】
図1の導入器デバイスの基端部を示す断面図であって、シャトルが基端位置で図示されており、端部ハブが基端位置で図示されている。
【
図6】
図1の導入器デバイスの基端部を示す断面図であって、シャトルが基端位置で図示されており、端部ハブが先端位置で図示されている。
【
図7】本発明の他の例示としての導入器デバイスを示す断面図であって、導入器デバイス内に搬送カテーテルが挿入されている。
【
図8】本発明の他の例示としての導入器デバイスを示す断面図である。
【
図9】本発明の他の例示としての導入器デバイスを示す断面図である。
【
図10A】導入器デバイスにおける例示としての止血シールを示す図である。
【
図10B】導入器デバイスにおける例示としての止血シールを示す図である。
【
図10C】導入器デバイスにおける例示としての止血シールを示す図である。
【
図10D】導入器デバイスにおける例示としての止血シールを示す図である。
【
図10E】導入器デバイスにおける例示としての止血シールを示す図である。
【
図10F】導入器デバイスにおける例示としての止血シールを示す図である。
【
図11A】導入器デバイスのための他の例示としての止血シールを示す図である。
【
図11B】導入器デバイスのための他の例示としての止血シールを示す図である。
【
図11C】導入器デバイスのための他の例示としての止血シールを示す図である。
【
図11D】導入器デバイスのための他の例示としての止血シールを示す図である。
【
図11E】導入器デバイスのための他の例示としての止血シールを示す図である。
【
図11F】導入器デバイスのための他の例示としての止血シールを示す図である。
【
図11G】導入器デバイスのための他の例示としての止血シールを示す図である。
【
図12】本発明の他の例示としての導入器デバイスを示す側面図である。
【
図13】
図12の導入器デバイスを示す断面図であって、導入器デバイスのシャトルが中立位置で図示されており、搬送カテーテルが、挿入の待ち受け状態で図示されている。
【
図14】
図12の導入器デバイスを示す断面図であって、導入器デバイスのシャトルが基端位置で図示されており、搬送カテーテルが、導入器デバイス内へと部分的に挿入された状態で図示されている。
【
図15】
図12の導入器デバイスを示す断面図であって、導入器デバイスのシャトルが先端位置で図示されており、搬送カテーテルが、導入器デバイスを通って延在している。
【
図16】本発明の他の例示としての導入器デバイスを示す断面図であって、長手方向に分割される長手方向分割部材を有している。
【
図17】
図16の導入器デバイスにおける長手方向分割部材を示す図である。
【
図18】
図16の導入器デバイスにおける長手方向分割部材を示す図である。
【
図19】
図16の導入器デバイスにおける長手方向分割部材を示す図である。
【
図20】本発明の他の例示としての導入器デバイスを示す側面図であって、伸縮式の基端ボディを有している。
【
図21】
図20の導入器デバイスを示す側面図であって、基端ボディが、2つの部分に分割されている。
【
図22】
図20の導入器デバイスを示す側面図であって、基端ボディが組み立てられて、伸張された形状とされている。
【
図23】
図20の導入器デバイスを示す側面図であって、基端ボディが、短縮された形状とされている。
【
図24】本発明の他の例示としての導入器デバイスを示す側面図であって、伸張された形状とされている。
【
図25】
図24の導入器デバイスを示す側面図であって、短縮された形状とされている。
【
図26】本発明の他の例示としての導入器デバイスを示す斜視図である。
【
図27】
図26の導入器デバイスにおけるシャトル部分を示す側面図である。
【
図28】
図26の導入器デバイスを示す断面図であって、搬送カテーテルが、挿入の待ち受け状態とされている。
【
図29】
図26の導入器デバイスを示す断面図であって、基端シールが開放されており、搬送カテーテルが、基端シールを通して挿入されている。
【
図30】
図26の導入器デバイスを示す断面図であって、基端シールが閉塞されており、先端シールが開放されており、搬送カテーテルが、導入器デバイスを通して延在している。
【
図31】本発明の他の例示としての導入器デバイスを示す斜視図であって、ヒンジ機構を有している。
【
図32】
図31の導入器デバイスを示す側面図であって、導入器デバイスが伸張した形状とされている。
【
図33】
図31の導入器デバイスを示す側面図であって、導入器デバイスが短縮した形状とされている。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1〜
図6は、本発明の例示としての導入器10を示している。導入器10は、止血シールを提供するとともに、個別の搬入デバイスを使用する必要なく、この導入器を通して、患者の血管系内へと搬送カテーテルを挿入することができる。導入器10は、皮膚を通して血管内へと挿入される先端シース12と、テーパー形状移行シース14と、ハウジング16と、基端ハブ18と、洗浄ポート20と、長手方向にスライド可能なシャトル22と、を備えている。ハウジング16は、止血シール42を支持しており、基端ハブ18は、止血シール56を支持している(
図4〜6を参照されたい)。導入器10を操作することにより、シール42,56を選択的に開閉することができ、これにより、搬送カテーテル上に搭載されたデバイス(医療デバイス)を損傷させることなく、導入器を通して身体内へと搬送カテーテル(図示せず)を先端向きに挿入したり、また、導入器を通して搬送カテーテル(図示せず)を基端向きに引き抜いたり、することができる。例えば、搬送カテーテルは、収縮したプロテーゼ的心臓バルブや、収縮したステントや、膨張可能なバルーンや、および/または、患者の血管系内の導入のために搬送カテーテルの先端部の近傍において搬送カテーテル上に取り付けられた他の医療デバイス、を備えることができる。搬送カテーテル上に取り付けられ得るそのような様々なデバイスは、本明細書においては、「医療デバイス」と総称され、搬送カテーテルは、「搬送システム」と称される。
【0015】
ハウジング16は、
図3において最も明瞭に示すように、メインハウジング32、先端シールハウジング34、および/または、先端シースハウジング36を備えることができる。
図4において最も明瞭に示すように、先端シールハウジング34は、螺着によって、メインハウジング32の先端部に対して固定することができ、先端シースハウジング36は、螺着によって、先端シールハウジング34の先端部に対して固定することができる。先端シール42は、先端シールハウジング34内に設置され、先端シース12および移行シース14は、先端シースハウジング36によって、基端部のところで固定されている。
【0016】
メインハウジング32は、シャトル22を収容している。シャトル22は、先端位置(
図1〜4)と基端位置(
図5,6)との間にわたってハウジング16に対して長手方向にスライド可能とされている。シャトル22は、長手方向シャトルシース40を有することができる。シャトルシース40は、先端部44と基端部48とを有している。シャトルシース40の先端部44は、シャトルが基端位置とされたときには(
図5,6)先端シール42よりも基端側に位置しており、シャトルが先端位置とされたときには(
図4)先端シール42を通して移動する。シャトルシースの基端部48は、メインハウジング32の大径部分50の内部において、例えばOリングタイプのシール49を使用してといったような態様で、その大径部分50との間においてシール係合しつつ、伸縮式にスライドすることができる。シャトルシース40は、また、より先端側の位置において、先端シール42の近傍において、例えば他のOリングタイプのシール45を使用してといったような態様で、メインハウジング32に対しても係合することができる。これにより、メインハウジング32内におけるシャトルシース40の長手方向移動の案内を補助することができる。
【0017】
図4は、先端位置におけるシャトル22を示している。この先端位置においては、シャトルシース40の先端部は、先端シール42を通して突出している。図示のように、先端シール42は、シャトルシース40の先端移動に応答して分離されているとともに、シャトルシースの先端部44の外表面まわりをシールしている。
【0018】
シャトル22は、さらに、アクチュエータ30(
図3を参照することができる)を有している。アクチュエータ30は、ハウジング16の長手方向スロット25を通して、シャトルシース40から径方向に突出している(
図2を参照することができる)。アクチュエータ30を使用することにより、シャトル22を、ハウジング16のスロット25に沿って、先端位置と基端位置との間にわたって、手動で駆動することができる。アクチュエータ30は、例えばアクチュエータ30を回転させて、周縁まわりにスロット25から延出されたノッチ28(
図2,3を参照することができる)内へとアクチュエータ30を係合させることにより、ハウジング16に対してロックすることができ、これにより、基端位置においてシャトル22を保持することができる。また、アクチュエータ30は、例えばアクチュエータ30を回転させて、周縁まわりにスロット25から延出されたノッチ26(
図2,3を参照することができる)内へとアクチュエータ30を係合させることにより、ハウジング16に対してロックすることができ、これにより、先端位置においてシャトル22を保持することができる。
【0019】
基端ハブ18は、ハウジング16の基端部に対して連結されている。基端ハブ18は、基端位置(
図1〜5)と先端位置(
図6)との間にわたって、ハウジング16に対して長手方向に移動することができる。基端ハブ18は、
図4〜6に示すように、基端シール56を収容しており、付加的には、二次的基端シール54を収容している。基端ハブ18は、導入器の基端ポート24を有している。この基端ポート24を通して、医療デバイスを付帯した搬送カテーテルを挿入したりまた取り外したりすることができる。基端ハブ18は、互いに対応する螺旋リッジ60およびグルーブ62によって、ハウジング16の基端部に対して係合することができる。これにより、基端ハブ18は、
図5,6において最も明瞭に示すように、ハウジング16に対して基端ハブ18を回転させることによって、基端位置と先端位置との間にわたって、選択的に移動することができる。基端ハブ18およびハウジング16は、さらに、基端ハブを先端位置および/または基端位置に保持またはロックするための相互係合特徴物を備えることができる。例えばOリングといったようなシール特徴物を、基端ハブ18とハウジング16との間に配置することができる。
【0020】
ハウジング16は、基端チューブ52を備えることができる。基端チューブ52は、メインハウジング32の大径部分50から基端向きに延出されている。基端ハブ18が基端位置とされたときには(
図1〜5)、基端チューブ52の基端部53は、基端シール54,56よりも先端側に位置しており、これにより、基端シール54,56を閉塞状態に維持することができる。基端ハブ18が先端位置とされたときには(
図6)、基端チューブ52の基端部53は、基端シール54,56を通して延出されることができ、医療デバイスを付帯した搬送カテーテルを、基端ポート24を通して基端チューブ52内へと挿入することができる、あるいは、基端ポート24を通して基端チューブ52から引っ込めることができる。
【0021】
図6は、先端位置とされた基端ハブ18を示している。この先端位置においては、基端チューブ52の基端部53が、基端シール54,56を通して突出している。図示のように、端シール54,56は、分離されて開放されている。これにより、基端チューブ52の基端部53を、それら基端シール54,56を通して延出させ得るとともに、基端チューブの外表面をシールすることができる。詳細に後述するように、図示の実施形態においては、先端シール42および基端シール56は、ゼロシールとガイドワイヤシールとを提供し、基端シール54は、例えば搬送カテーテルといったようなものに対して、器具シールを提供する。他の実施形態は、ゼロシールとガイドワイヤシールと器具シールとに関しての、他の組合せおよび/または他の構成を有することができる。
【0022】
例示としての手順においては、まず最初に、先端シース12を、例えばガイドワイヤ上において、患者の血管内へと挿入することができる。その場合、シャトル22は、基端位置とされ、基端ハブ18は、基端位置とされる。これにより、
図5に示すように、先端シール42および基端シール54,56は、閉塞され、血液の損失が低減される。詳細に後述するように、先端シール42および基端シール56は、ガイドワイヤまわりをシールし、これにより、この状態において止血を提供する。この状態において、シャトルシース40の基端部48は、基端チューブ52の先端部の近傍に配置され、これにより、実質的に一定の直径を有した連続的な導管を形成する。その後、基端ハブ18を、
図6に示すように、先端位置へと駆動することができる。これにより、基端シール54,56を開放させて、基端ポート24を通しておよび基端チューブ52を通してシャトルシース40内へと搬送カテーテルを挿入することができる。医療デバイスを付帯した搬送カテーテルの先端部が、基端シール54,56を超えて基端チューブ52内へと挿入された後には、基端ハブ18を、基端向きに、戻り移動させることができる。これにより、基端シール54,56は、基端チューブ52を超えてスライド移動し、基端シール54が、搬送カテーテルまわりをシールする。この構成により、搬送カテーテルをさらに
先端向きに移動させる際には、基端シール54が搬送カテーテルまわりを密にシールした状態で、搬送カテーテルを基端シール54,56を通してスライドさせることができる。
【0023】
搬送カテーテル上の医療デバイスがシャトルシース40内に位置した状態で、シャトル22を、先端位置(
図4)へと先端向きに移動させることができる。これにより、シャトルシース40の先端部44が、先端シール42を開放することができる。その後、搬送カテーテルは、シャトルシース40から、ハウジング16のうちの、図示の実施形態ではシャトルシース40と同様の直径を有した先端部46を通して、さらに両シース12,14を通して、患者の血管系内へと、先端向きに
移動することができる。医療デバイスを付帯した搬送カテーテルの先端部が、先端シール42を超えて
先端向きに移動した後には、シャトル22を、基端位置(
図5)へと戻り移動させることができる。これにより、先端シール42がシャトルシース40からスライドし、搬送カテーテルをさらに
先端向きに移動させる際におよび/または部分的に
基端向きに移動させる際に、搬送カテーテルを、先端シール42を通してスライドさせることができる。
【0024】
シャトルシース40および基端チューブ52は、十分な剛直さを有することができる。これにより、これらシャトルシース40および基端チューブ52は、シール内において潰れることがなく、シールを開放状態に維持することができ、シールを通しての医療デバイスの通過を可能とする。よって、シャトルシース40および基端チューブ52は、シールによって医療デバイスが損傷を受けてしまうことから医療デバイスを保護するものであり、シールが医療デバイスを引き留めて医療デバイスを搬送カテーテルから取り外してしまうことを防止する。シャトルシース40および基端チューブ52の内表面は、円滑なものとすることができる。これにより、医療デバイスに対しての摩擦を最小化することができ、医療デバイスに対する損傷を防止することができる。
【0025】
身体内において搬送システムを使用した所望の手順を行った後には、搬送カテーテルは、導入器10を通して基端向きに引き戻される。いくつかの場合においては、例えばプロテーゼ的心臓バルブといったような医療デバイスは、心臓内へと適切に埋設された後であり、搬送カテーテルだけが引き戻される。しかしながら、他の場合においては、医療デバイスを、搬送カテーテル上に付設したままの状態で、引き戻すことができる。例えば、生体の動脈弁が重度に狭窄していた場合には、収縮したプロテーゼ的心臓バルブは、その埋設に必要であるようには、動脈弁を通して通過し得ないものであることがあり得る。その場合には、搬送カテーテルおよび収縮したプロテーゼ的心臓バルブを、導入器10内へと引き戻すことができ、患者の体内から除去することができる。
【0026】
そのような場合には、シャトルシース40を、先端シール42を通して先端向きに
移動させることができ、医療デバイスを、シャトルシース40の先端部44内へと案内して戻すことができる。その後、シャトル22および医療デバイスを、先端シール42を通して、導入器10のハウジング16内へと、引っ込めることができる。この状態においては、先端シール42は、引き続いて、ガイドワイヤまわりをシールすることができる。その後、基端シール54,56を、基端ハブ18を先端位置へと移動させることによって、開放することができる。これにより、医療デバイスを付帯した搬送カテーテルを、基端ポート24を通して、導入器10から取り出すことができる。このようにして、医療デバイスを、再使用可能な状態で、身体から取り出して回収することができる。なぜなら、導入器10が、シールによって医療デバイスが損傷するというリスクが除去されるからあるいは低減されるからである。
【0027】
搬送カテーテルが回収される際には、導入器10は、先端シール42が止血を維持したまま、患者内に留まることができる。動脈弁の狭窄を処置するためには、例えば、その後、同じ導入器10を使用することにより、バルーン弁形成術や他の処置を行うことができる。動脈弁が処置された後には、先に回収された医療デバイスを付帯した同じ搬送カテーテルを、同じ導入器10を使用して再導入することができる。
【0028】
図7は、本発明の他の例示としての導入器100を示している。導入器100は、導入器10と同様に機能する。導入器100は、ハウジング116を備えることができる。このハウジング116は、メインハウジング126、先端シールハウジング134、および/または、先端シースハウジング136を備えることができる。シャトル122は、ハウジング116に対してスライド可能に取り付けられている。シャトル122は、シャトルシース140と、アクチュエータ130と、を有している。アクチュエータ130は、ハウジング116のスロット128を通して径方向に突出している。先端シール142が、先端シールハウジング134内に収容されており、先端シース110を、先端シースハウジング136によって固定することができる。基端ハブ118を、ハウジング116の基端部に対して連結することができる。基端ハブ118は、導入器100の基端ポート124の近傍に、基端シール154を保持することができる。
【0029】
導入器10を参照して上述したのと同様に、導入器100により、保護用の搬入デバイスを使用する必要なく、搬送システムを患者の血管内へと導入することができる。導入器100は、さらに、搬送システムを損傷させることなく、導入器を通して患者の体内から回収することができる。これにより、回収した搬送システムを回収することができる。
【0030】
搬送システム102を導入器100内へと搬入するためには、シャトル122を、基端向きに移動させる。これにより、図示のように、シャトルシース140の基端部148を、基端シール154を通して押し込むことができ、基端シール154を開放することができる。医療デバイス106を、シャトルシース140内へと基端ポート124を通して挿入した後には、図示していないけれども、シャトル122を、先端向きに移動させることができる。これにより、基端シール154が、搬送カテーテル104まわりをシールすることができ、シャトルシース140の先端部144が、先端シール142を押し込んで開放することができる。その後、搬送システム102を、シャトルシースの先端部144から、先端シース110を通して、患者の体内へと、
先端向きに移動させることができる。その後、シャトルを、中立位置へと移動させることができる。これにより、双方のシール142,154を、シャトルシース140から自由なものとすることができる。その際、処置時には、基端シール154が、搬送カテーテル104まわりをシールする。その後、この手順を反転させて、導入器10に関して上述したようにして、患者の体内から搬送システムを回収することができる。代替可能な実施形態をなす導入器100は、先端側の器具シールを有している。これにより、その後の手順時には基端シール154を開放状態に維持したまま、シャトル122を、基端位置へと、戻り移動させることができる。
【0031】
図8は、本発明の他の例示としての導入器200を示している。導入器200は、導入器10と同様に機能する。導入器200は、メインハウジング216と、先端シールハウジング234と、先端シースハウジング236と、を備えることができる。シャトル222は、メインハウジング216に対してスライド可能に取り付けられている。シャトル222は、シャトルシース240と、アクチュエータ223と、を有している。アクチュエータ223は、ハウジング216のスロット225を通して径方向に突出している。先端シール242を、先端シールハウジング234内に収容することができ、先端シース212,214を、先端シースハウジング236によって固定することができる。基端ハブ218を、ハウジング216の基端部に対して連結することができる。基端ハブ218は、導入器200の基端ポート224の近傍に、基端シール254を保持することができる。
【0032】
導入器10を参照して上述したのと同様に、導入器200により、保護用の搬入デバイスを使用する必要なく、搬送システムを患者の血管内へと導入することができる。導入器200は、さらに、搬送システムを損傷させることなく、導入器を通して患者の体内から回収することができる。これにより、回収した搬送システムを回収することができる。
【0033】
搬送システムを導入器200内へと搬入するためには、例えばそれぞれの螺旋ネジ山260,262まわりにメインハウジング216に対して基端ハブ218を回転させることによって、基端ハブ218を先端側に移動させる。これにより、メインハウジングの基端チューブ252の基端部を、基端シール254を通して押し込むことができ、基端シール254を開放することができる。また、シャトル222を、基端チューブ252に向けて基端向きに移動させることができる。搬送システムに付帯された医療デバイスを、基端ポート224を通しておよび基端チューブ252を通してシャトルシース240内へと挿入した後には、基端ハブ218を、基端向きに、戻り移動させることができる。これにより、基端シール254を、基端チューブ252からスライド移動させることができ、搬送システムの搬送カテーテルまわりをシールすることができる。その後、シャトル222を、先端向きに移動させることができる。これにより、シャトルシース240の先端部244が、先端シール242を押し込んで開放することができる。その後、搬送システムを、シャトルシースの先端部244から、先端チャンバ246を通しておよび先端シース212,214を通して、患者の体内へと、
先端向きに移動させることができる。その後、シャトル222を、基端位置へと移動させることができる。これにより、双方のシール242,254が、搬送カテーテルまわりをシールすることができる。その後、この手順を反転させて、導入器10に関して上述したようにして、患者の体内から導入器200を通して搬送システムを回収することができる。
【0034】
図9は、本発明の他の例示としての導入器300を示している。導入器300は、導入器10と同様に機能する。導入器300は、メインハウジング316と、先端シールハウジング334と、先端シースハウジング336と、を備えることができる。シャトル322は、メインハウジング316に対してスライド可能に取り付けられている。シャトル322は、シャトルシース340と、アクチュエータ330と、を有している。アクチュエータ330は、ハウジングのスロット326,328を通して径方向に突出している。先端シール342を、先端シールハウジング334内に収容することができ、先端シース312,314を、先端シースハウジング336によって固定することができる。基端ハブ318を、ハウジング316の基端部に対して連結することができる。基端ハブ318は、導入器300の基端ポート324の近傍に、基端シール356を保持することができる。
【0035】
導入器10を参照して上述したのと同様に、導入器300により、保護用の搬入デバイスを使用する必要なく、搬送システムを患者の血管内へと導入することができる。導入器300は、さらに、搬送システムを損傷させることなく、導入器を通して患者の体内から回収することができる。これにより、回収した搬送システムを回収することができる。
【0036】
搬送システムを導入器300内へと搬入するためには、例えばそれぞれの螺旋ネジ山360,362まわりにメインハウジング316に対して基端ハブ318を回転させることによって、基端ハブ318を先端側に移動させる。これにより、メインハウジングの基端チューブ352の基端部を、基端シール356を通して押し込むことができ、基端シール356を開放することができる。また、シャトル322を、基端チューブ352に向けて基端向きに移動させることができる。搬送システムに付帯された医療デバイスを、基端ポート324を通しておよび基端チューブ352を通してシャトルシース340内へと挿入した後には、基端ハブ318を、基端向きに、戻り移動させることができる。これにより、基端シール356を、基端チューブ352からスライド移動させることができ、搬送カテーテルまわりをシールすることができる。その後、シャトル322を、先端向きに移動させることができる。これにより、シャトルシース340の先端部344が、先端シール342を押し込んで開放することができる。その後、搬送システムを、シャトルシースの先端部344から、先端チャンバ346を通しておよび先端シース312,314を通して、患者の体内へと、
先端向きに移動させることができる。その後、シャトル322を、基端位置へと移動させることができる。これにより、双方のシール342,356が、搬送カテーテルまわりをシールすることができる。その後、この手順を反転させて、導入器10に関して上述したようにして、患者の体内から導入器300を通して搬送システムを回収することができる。
【0037】
図10A〜
図10Fおよび
図11A〜
図11Gは、導入器において使用し得る例示としてのシール64,80を示している。シール64,80の各々は、本発明によるすべての導入器デバイスにおける先端シールおよび/または基端シールとして適切なものである。シール64,80の各々は、ガイドワイヤまわりを止血シールすることができ(ガイドワイヤシール)、また、通過させる対象物が存在しない場合にも止血シールすることができる(ゼロシール)。このような二重のシール能力を達成するために、シール64,80の各々は、狭いガイドワイヤ通路と、このガイドワイヤ通路をカバーする小さな1つまたは複数のフラップと、を有している。フラップは、ガイドワイヤが存在しない場合にガイドワイヤ通路を閉塞し得るに十分にフレキシブルであり十分に適合性を有している。フラップは、ガイドワイヤが存在する場合には、ガイドワイヤによって開放されてガイドワイヤまわりをシールすることができる。
【0038】
図10A〜
図10Fにおけるシール64は、カモノハシタイプのシールであって、環状ボディを備えている。環状ボディは、第1端部66(例えば、基端部)と、第2端部68(例えば、先端部)と、を有している。シール64は、2つの半円形のシール部材すなわちシールリップ72,74を備えている。シールリップ72,74は、環状ボディから径方向内向きに突出しており、全体的に直線形状のスリット70に沿って当接している。狭いガイドワイヤ通路76が、スリット70の中央に設けられている。これにより、スリットの残部を分離させる必要なく、スリットを通してガイドワイヤを延在させることができる。これにより、シール64によって、ガイドワイヤまわりをシールすることができる。
図10Fに示すように、ガイドワイヤ通路76は、全体的に円筒形状の部分78を有することができる。これにより、ガイドワイヤまわりをシールすることができる。シールの第2端部68のところにおける1つまたは複数のフラップ79は、ガイドワイヤが存在しない場合においてさえも、シールリップ72,74の接合を可能とする。いくつかの実施形態においては、スリット70の長さL2(
図10Cを参照することができる)は、約13mm(約0.5インチ)とすることができ、1つまたは複数のフラップ79の厚さD2(
図10Fを参照することができる)は、約0.3mm(約0.012インチ)〜約0.5mm(約0.018インチ)という範囲とすることができる。
【0039】
図11A〜
図11Gにおけるシール80は、ドームタイプのシールであって、環状ボディを備えている。環状ボディは、第1端部82(例えば、基端部)と、第2端部84(例えば、先端部)と、を有している。シール80は、2つの半円形のシール部材すなわちシールリップ96,98を備えている。シールリップ96,98は、環状ボディから径方向内向きに突出しており、全体的に直線形状の接合スリット86に沿って当接している。補強ストラット88を、シールリップ96,98の第2端部84のサイドに配置することができる(
図11B,11Eを参照することができる)。および/または、リッジ90を、シールリップ96,98の第1端部82のサイドに配置することができる(
図11A,11Cを参照することができる)。
図11Gに示すように、狭いガイドワイヤ通路92が、接合スリット86の中央に設けられている。これにより、スリットの残部を分離させる必要なく、スリット86を通してガイドワイヤを延在させることができる。これにより、シール80によって、ガイドワイヤまわりをシールすることができる。ガイドワイヤ通路92は、ガイドワイヤが存在する場合にはガイドワイヤまわりをシールすることができる。シールの第2端部84のところにおける、例えば1つまたは複数のフラップといったような、より狭い部分/閉塞した部分94により、ガイドワイヤ通路92内にガイドワイヤが存在しない場合においてさえも、シールリップ96,98の完全な接合を可能とする。いくつかの実施形態においては、スリット86の長さL1(
図11Eを参照することができる)は、約13mm(約0.5インチ)とすることができ、1つまたは複数のフラップ94の厚さD1(
図11Gを参照することができる)は、約0.3mm(約0.012インチ)〜約0.5mm(約0.018インチ)という範囲とすることができる。
【0040】
図12〜15は、本発明の他の例示としての導入器400を示している。導入器400は、導入器10と同様に機能する。
図13において最も明瞭に示すように、導入器400は、ハウジング416を備えることができる。このハウジング416は、メインハウジング432、先端シールハウジング433、1つまたは複数の先端ハウジング部分434,436、基端シールハウジング417、および/または、基端部ハウジング418を有している。洗浄ポート420を、任意のポイントのところにおいてハウジング416に対して連結することができる。シャトル422は、ハウジング416に対してスライド可能に取り付けられている。シャトル422は、シャトルシース440と、アクチュエータ430と、を有している。アクチュエータ430は、
図14において最も明瞭に示すように、ハウジングのスロット425を通して径方向に突出している。シャトルは、アクチュエータ430がスロット425の基端部428に対して当接した基端位置と、アクチュエータ430がスロット425の先端部426に対して当接した先端位置と、の間にわたって、長手方向にスライドすることができる。2つ以上のスロット425および2つ以上のアクチュエータ430を、設けることができる。
【0041】
1つまたは複数の先端シール442が、先端シールハウジング433内に収容され、追加的な先端シャトルシール450を、ハウジング416内においてシャトルシース440まわりに設けることができる。同様に、1つまたは複数の基端シール454が、基端シールハウジング417内に収容され、追加的な基端シャトルシール452を、ハウジング416内においてシャトルシース440まわりに設けることができる。複数の先端シール442は、環状ガスケット460と一緒に、先端シールハウジング433と先端ハウジング部分434との間に固定することができる。同様に、複数の基端シール454は、環状ガスケット462と一緒に、基端シールハウジング417と基端部ハウジング418との間に固定することができる。先端シース412,414は、先端シースハウジング436によって、導入器ハウジング434に対して固定することができる。
【0042】
導入器10を参照して上述したのと同様に、導入器400により、保護用の搬入デバイスを使用する必要なく、搬送システムを患者の血管内へと導入することができる。導入器400は、さらに、搬送システムを損傷させることなく、導入器を通して患者の体内から回収することができる。これにより、回収した搬送システムを回収することができる。
【0043】
搬送システム402を導入器400内へと搬入するためには、シャトル422を基端側に移動させる。これにより、シャトルシースの基端部448を、基端シール454を通して押し込むことができ、基端シール454を開放することができる(
図14を参照することができる)。搬送システムの搬送カテーテルに付帯された医療デバイスを、基端ポート424を通してシャトルシース440内へと挿入した後には、シャトル422を、先端側に移動させることができる。これにより、基端シール454が、搬送カテーテルまわりをシールすることができる。シャトルシース440の先端部444が、先端シール442を押し込んで開放することができる(
図15を参照することができる)。その後、搬送システム402を、シャトルシースの先端部444から、テーパー形状の移行部分446を通しておよび先端シース412,414を通して、患者の体内へと、
先端向きに移動させることができる。その後、シャトル422を、中立位置へと移動させることができる。これにより、双方のシール442,454が、シャトルシース440から自由とすることができ、搬送カテーテルまわりをシールすることができる(
図13を参照することができる)。あるいはこれに代えて、シャトル422を、その後の手順時には基端シール454を開放状態に維持したまま、シャトル422を、基端位置へと戻り移動させることができる。その後、この手順を反転させて、導入器10に関して上述したようにして、患者の体内から搬送システムを回収することができる。
【0044】
図16は、本発明の他の例示としての導入器500を示している。導入器500は、長手方向の継ぎ目に沿って分割可能とされたハウジング構成部材を備えている。導入器500は、構成部材532A,532B(
図17に図示されている)へと分割されるメインハウジング532と、構成部材533A,533B(
図18に図示されている)へと分割される先端ハウジング533と、構成部材522A,522B,522C,522D(
図19に図示されている)へと分割されるシャトルアクチュエータ522と、を備えることができる。構成部材を分割し得る能力により、それら構成部材をカテーテルシステムの端部に対して基端向きにスライドさせる必要なく、それら構成部材を、患者の体内へと導入器を通して延在する搬送カテーテルの周囲から、取り外すことができる。導入器500の他の部材も、例えばシャトルや基端ハウジングといったような他の部材も、また、より小さな構成部材へと分割することができる、あるいは、搬送カテーテルの周囲から取外し可能であるように構成することができる。これは、導入器のうちの、患者の身体から突出している残部の長さを短縮することによって、カテーテルシステムの動作長さを増大させることができる。
【0045】
導入器500は、さらに、例えば符号534,536で示すような1つまたは複数の追加的な先端ハウジング部分、先端シース512、および/または、基端ハウジング518を備えることができる。シャトルアクチュエータ522は、ハウジングスロット525A,525B(
図17を参照することができる)に対してスライド可能に取り付けられている。シャトルアクチュエータ522は、ハウジングの内部に収容されたシャトルシースを備えることができる。シャトルシースは、本発明による導入器の他の実施形態に関して上述したのと同様に、シャトルアクチュエータ522によって、1つまたは複数の基端シールが開放される基端位置と、1つまたは複数の先端シールが開放される先端位置と、の間にわたって、長手方向にスライド駆動される。
【0046】
搬送カテーテルを導入器を通して患者の体内へと挿入した状態において、導入器500の分割可能部材522,532,533および/または他の部材を、分割することによって搬送カテーテルから横方向に取り外すことができる。これにより、導入器のうちの、止血シールの目的で搬送カテーテルおよび患者に対して係合しているシールおよび最先端の部材(例えば、512,534,536)が残される。導入器500内に配置された搬送カテーテルの低減された長さに基づき、その後、必要に応じて、搬送カテーテルを、患者内へとさらに先端向きに挿入することができる。搬送カテーテルを使用した手順が完了した後には、搬送カテーテルの動作長さを増大させるために取り外された様々な部材を、搬送カテーテルの周囲において、再度組み立てることができる。これにより、導入器の機能を部分的にまたは完全に回復させることができる。これに代えて、搬送カテーテルは、取り外された部材を再組立する必要なく、導入器500の残された先端部分を通して、患者の体内から、引き抜くことができる。
【0047】
図20〜23は、本発明の他の例示としての導入器600を示している。導入器600は、伸縮式のハウジング部材を備えている。そのため、導入器600のハウジングは、導入器600の先端シールを通しての搬送カテーテルの搬入に際して、その長さを短縮したり伸張したりすることができる。導入器600は、外側ハウジング604、中間ハウジング602、内側先端ハウジング606、基端ハウジング608、基端部分610、先端シース612、先端シースハウジング616、内側シース618(
図21)、横方向ポート620,622(
図20)、および/または、基端ポート624を備えている。先端シールは、内側先端ハウジング606内に収容されており、基端シールは、基端ハウジング608内に収容されている。
【0048】
外側ハウジング604および基端ハウジング608(
図20の右側を参照することができる)を含めた導入器600の基端部は、中間ハウジング602および内側先端ハウジング606(
図20の左側を参照することができる)を含めた導入器600の先端部上へと、伸縮式に先端向きに移動することができる。これに加えてあるいはこれに代えて、中間ハウジング602が、導入器600の長さを短縮し得るよう、内側先端ハウジング606上へとおよび/またはシースハウジング616(
図23に図示されている)上へと、伸縮式に移動することができる。導入器の基端部が導入器の先端部上を移動する際には、内側シース618が、先端シールを押し込んで開放させ、これにより、先端シールを損傷させることなく、患者内へと搬送カテーテルを挿入したり患者から搬送カテーテルを引き出したりすることができる。
【0049】
加えて、基端部分610は、基端ハウジング608に対して先端向きに移動させることができる。これにより、内側チューブが基端シールを押し込んで内側チューブが基端シールを開放させることができる。これにより、搬送カテーテルを、基端シールを損傷させることなく、基端ポート624を通してさらに基端シールを通して内側シース618内へと挿入したり、内側シースから取り外したり、することができる。基端ハウジング608と基端部分610との間のインターフェースは、基端シールを選択的に開状態でロックしたりまた基端シールを選択的に閉状態でロックしたりし得るよう、押込ロックタイプの機構や捻りロックタイプの機構を備えることができる。
【0050】
図24,25は、本発明の他の例示としての導入器700を示している。導入器700は、伸縮式のハウジング部材を備えている。そのため、導入器700のハウジングは、導入器700の先端シールを通しての搬送カテーテルの搬入に際して、その長さを短縮したり伸張したりすることができる。導入器700は、外側ハウジング702、内側ハウジング704、先端シールハウジング706、基端シールハウジング708、基端部分710、先端シース712、横方向ポート720,722、および/または、基端ポート724を備えている。先端シールは、先端シールハウジング706内に収容されており、基端シールは、基端シールハウジング708内に収容されている。
【0051】
外側ハウジング702を含めた導入器700の基端部は、内側ハウジング704を含めた導入器700の先端部上へと、伸縮式に先端向きに移動することができる。これにより、導入器700の長さを短縮する。外側ハウジング702が内側ハウジング704上を移動する際には、外側ハウジング702に対して取り付けられた内側シースが、先端シールを押し込んで開放させ、これにより、医療デバイスが先端シールから損傷を受けることなく、患者内へと搬送カテーテルおよび医療デバイスを挿入したり患者から搬送カテーテルおよび医療デバイスを引き出したりすることができる。導入器700は、さらに、ハウジング内に、スプリング730または他の付勢機構を備えることができる。スプリング730または他の付勢機構は、外側ハウジング702および内側シースを、後方向きにすなわち基端向きに付勢し、内側ハウジング704および先端シールから離間させる。ユーザーは、外側ハウジング702を、
図24に示す位置から
図25に示す位置へと移動させることができ、これにより、先端シールを開放して、搬送カテーテルを先端シールを通して移動させることができる。その後、単にハウジングを解放することによって、スプリング730の付勢力により、内側ハウジング704と外側ハウジング702とを互いに離間させて、
図24に示す位置とすることができる。これにより、先端シールが再度閉塞される。内側ハウジング704および外側ハウジング702は、さらに、捻りロック機構を備えることができる。これにより、外側ハウジング702を内側ハウジング704に対して捻ることによって、導入器を、
図25に示す短縮構成にロックすることができ、先端シールを開放状態に維持することができる。捻りロック機構のいくつかの実施形態には、内側ハウジング704および外側ハウジング702上における係合ネジ山や、バヨネット機構、等がある。
【0052】
加えて、基端部分710は、基端シールハウジング708に対して先端向きに移動させることができる。これにより、内側チューブが基端シールを押し込んで内側チューブが基端シールを開放させることができる。これにより、搬送システムを、搬送システムが基端シールから損傷を受けることなく、基端ポート724を通してさらに基端シールを通して内側シース内へと挿入したり、内側シースから取り外したり、することができる。基端シールハウジング708と基端部分710との間のインターフェースは、基端シールを選択的に開状態でロックしたりまた基端シールを選択的に閉状態でロックしたりし得るよう、押込ロックタイプの機構や捻りロックタイプの機構を備えることができる。
【0053】
図26〜30は、本発明の例示としての導入器800を示している。導入器800は、シャトル802、メインハウジング804、先端シールハウジング806、基端部分810、先端シース812、横方向ポート820,822、および/または、基端ポート824を備えている。1つまたは複数の先端シール842は、先端シールハウジング806内に収容されており、1つまたは複数の基端シール854は、基端部分810(
図27を参照することができる)内に収容されている。
【0054】
シャトル802は、メインハウジング804(
図26)上をスライドする外側円筒形状部分と、メインハウジング内のシャトルシース834(
図27)と、を備えている。シャトルシースの先端部836は、シャトル802が先端位置(
図30)へと移動したときには、先端シール842を押し込んで先端シール842を開放することができる。シャトルシースの基端部838は、シャトル802が基端位置(
図29)へと移動したときには、基端シール854を押し込んで基端シール854を開放することができる。シャトルシース834は、また、中間位置あるいは中立位置(
図26〜28)とすることができる。中間位置あるいは中立位置においては、先端シール842と基端シール854との双方が、閉塞される。例えばOリング850,852といったような先端シールや基端シールを、シャトルシース834まわりに配置することができる。これにより、メインハウジング804の内部に対してシールすることができる。
【0055】
導入器800は、さらに、メインハウジング804内に、スプリング830,832(
図27)または他の付勢機構を備えることができる。スプリング830,832または他の付勢機構は、シャトル802を、中立位置に向けて付勢する。各スプリング830,832の一端は、Oリングのそれぞれに対して当接することができる。各スプリングの他端は、シャトル802に対して当接する。ユーザーは、シャトル802を、
図26〜28に示す中立位置から基端向きに移動させることができ、これにより、基端シール854(
図29)を開放することができる。これにより、医療デバイス862を付帯した搬送カテーテル860をシャトルシース834内へと搬入することができる。その後、ユーザーは、シャトル802を解放することができる、および/または、スプリング830,832を利用してシャトル802を先端向きに中立位置へと移動させることができる。これにより、基端シール854が、医療デバイス862の背後で搬送カテーテル860の周囲をシールする。その後、ユーザーは、先端位置(
図30)へとシャトル802を移動させることができ、先端シール842を開放して、先端シールを通して搬送カテーテル860を移動させることができる。搬送カテーテル上に取り付けられた医療デバイス862を、先端シール842を超えて先端向きに移動させた後には、ユーザーは、シャトル802を解放することができる、あるいは、スプリング830,832を利用してシャトル802を基端向きに移動させることができる。これにより、シャトル802を中立位置へと戻り移動させることができる。これにより、搬送カテーテル860を患者内へと
先端向きに移動させる際に、先端シールによって搬送カテーテル860の周囲をシールすることができる。
【0056】
メインハウジング804は、長手方向スロット814,818(
図26)を備えることができる。長手方向スロット814,818により、シャトル802を、基端位置と先端位置との間にわたって長手方向に移動させることができる。いくつかの実施形態においては、メインハウジング804は、さらに、長手方向スロット814から周縁まわりに延在する先端スロット815を備えることができる。これにより、先端位置とされたシャトル802を、メインハウジングに対して回転させて、シャトルを先端位置にロックすることができ、先端シール842を開状態に維持することができる。同様に、メインハウジング804は、さらに、長手方向スロット818から周縁まわりに延在する基端スロット819を備えることができる。これにより、基端位置とされたシャトル802を、メインハウジングに対して回転させて、シャトルを基端位置にロックすることができ、基端シール854を開状態に維持することができる。メインハウジング804は、さらに、1つまたは複数の追加的なスロットを備えることができる。これにより、シャトル802を、メインハウジングに対してロック位置へと回転させることができ、中立位置にロックすることができる。
【0057】
図31〜33は、本発明の例示としての導入器900を示している。導入器900は、ヒンジ機構を使用している。これにより、導入器の先端部および基端部を互いに接近させたり互いに離間させたりすることができる。これにより、搬送カテーテルと、この搬送カテーテル上に取り付けられた医療デバイスと、を搬入することができる。導入器900は、先端ハウジング902、基端ハウジング904、先端シールハウジング906、基端シールハウジング908、基端部分910、先端シース912、先端シースハウジング916、横方向ポート920,922、基端ポート924、内側搬入器シース930、先端ヒンジアーム932、および/または、基端ヒンジアーム934を備えることができる。ヒンジアーム932,934は、先端ハウジング902を基端ハウジング904に対して連結するものであり、導入器900の基端部を、
図32に示すような基端側の伸張位置と、
図33に示すような先端側の短縮位置と、の間にわたって移動させることができる。ヒンジアーム932,934の数は、任意の数とすることができる。例えば、図示のように、ハウジングまわりにおいて90°間隔で配置された4対のヒンジアームを有することができる。
【0058】
基端部分910は、基端シールハウジング908に対して係合することができる。これにより、基端シールハウジング908に向けて基端部分910を押し込むことにより、内側チューブ(例えば、搬入器シース930の基端部)によって基端シールを開放することができ、搬送カテーテルおよび医療デバイスを、基端ポート924を通しておよび基端シールを通して搬入器シース930内へと、挿入することができる。カテーテル上に取り付けられた医療デバイスを、基端シールを超えて
先端向きに移動させた後には、基端部分910を、基端向きに後方移動させることができる。これにより、基端シールによって、取り付けられた医療デバイスの後方の搬送カテーテルの一部をシールすることができる。
【0059】
搬送カテーテルが搬入器シース930内に搬入された状態で、基端ハウジング904を、先端ハウジング902に対して先端向きに移動させることができる。これにより、
図33に示すように、ヒンジアーム932,934を、径方向外向きに曲げて突出させることができる。他方、搬入器シース930を、先端シールハウジング906を通して先端向きに移動させることにより、先端シールを開放することができる。搬入器シース930を、先端シールを通して配置した状態で、搬送カテーテルを、先端シース912を通して患者の体内へと
先端向きに移動させることができる。搬送カテーテルおよび医療デバイスは、また、このプロセスを反転させることによって、シールから損傷を受けることなく、患者の体内から回収することができる。
【0060】
導入器の様々な実施形態に関してそれぞれ上述したけれども、1つまたは複数の実施形態に関して上述した任意の特徴点や任意の特性や任意の関連する使用方法は、実施可能である限りにおいては、他の任意の実施形態においても同様に適用したり使用したりすることができる。
【0061】
本明細書においては、「先端」や「先端側」という用語は、長尺部材の一部が、その長尺部材が患者の血管系内へと埋設または挿入された際に(例えば、血管内への経皮的挿入)、長尺部材のうちの、患者の身体から突出している方の端部から、遠方に離間した位置あるいは遠方に離間する向きであるとともに、長尺部材のうちの、患者の身体内に位置する端部の近傍の位置あるいはそのような端部に向かう向き、を意味している。「基端」や「基端側」という用語は、長尺部材の一部が、その長尺部材が患者の血管系内へと埋設または挿入された際に(例えば、血管内への経皮的挿入)、長尺部材のうちの、患者の身体から突出している方の端部の近傍の位置あるいはそのような端部に向かう向きであるとともに、長尺部材のうちの、患者の身体内に位置する端部から、遠方に離間した位置あるいは遠方に離間する向き、を意味している。「長手方向」という用語は、先端・基端方向に延在する軸線の方向、あるいは、円筒形状ボディまたは円筒形状管腔の長手方向軸線の方向、を意味している。
【0062】
本明細書においては、開示の目的のために、本発明の様々な実施形態に関して、ある種の見地やある種の利点やある種の新規な特徴点について上述した。上記の方法や装置やシステムは、本発明を何ら制限するものではない。そうではなく、本発明は、様々な実施形態におけるすべての新規な特徴点やすべての新規な見地を、単独であるいは様々な組合せでもって、包含するものである。本発明による方法や装置やシステムは、特定の見地や特徴点によって限定されるものではなく、また、特定の利点や特定の解決課題を有した上述の実施形態によって限定されるものではない。
【0063】
本発明によるいくつかの方法における操作が簡便化のために特定の順序で説明されているけれども、特定の順序が要望されない限りにおいては、順序の再構成を包含していることは、理解されるであろう。例えば、順序を有して記載された複数の操作は、いくつかの場合においては、再構成された順序で、あるいは、同時に、行うことができる。さらに、簡略化のために、添付図面は、開示された方法を他の方法において使用するための様々な手法を図示しているわけではない。
【0064】
本明細書においては、「1つの」や「少なくとも1つの」という用語は、特定された1つまたは複数の部材を包含している。つまり、特定された2つの部材が存在する場合、それら部材の一方が存在し、このため、「1つの」部材が存在すると表記される。「複数の」という用語は、特定された2つのあるいはそれ以上の部材を意味する。本明細書においては、列挙された少なくとも2つの部材の間において使用された「および/または」という用語は、列挙された部材の任意のものあるいは列挙された部材の複数のものを意味している。例えば、「A,B,および/または,C」という記載は、「A」または「B」または「C」または「AおよびB」または「AおよびC」または「BおよびC」または「AおよびBおよびC」を意味している。本明細書においては、「連結された」という用語は、一般に、物理的に連結されていることを意味するものであり、特に記載がなくても、それら連結された部材どうしの間に中間介在部材が存在することを排除するものではない。
【0065】
本発明の原理を適用し得る多数の可能な実施形態に鑑み、図示された複数の実施形態が、本発明の好ましい例示に過ぎないこと、また、それら実施形態が、本発明の範囲を何ら制限するものではないことは、理解されるであろう。そうではなく、本発明の範囲は、特許請求の範囲によって規定される。したがって、本発明の範囲は、特許請求の範囲に規定された範囲および精神によって規定されるべきものである。