【実施例】
【0043】
次に、本発明を詳細な実施例に基づいて説明するが、本発明は後述する実施例に限定されるものではない。以下、本発明により得られた再生アスファルト混合物の供試体(以下、「実施例1〜3」と称す)と、
図8に示す従来の再生アスファルト混合物の製造システム10により得られた供試体(以下、「比較例」と称す)との性能を比較する。
【0044】
[サンプル製造方法]
・実施例1:
ミキサ2内の再生骨材約600kgにチャンバ型2流体ノズル63で微発泡化させた再生用添加剤1〜3kgを拡散散布する(air量:3700NL/min,air圧:0.4MPa,オリフィス径:φ9mm,散布幅:W130mm×L800mm)。その後、新規骨材約380kgをミキサ2に投入し、さらに、加熱アスファルトを配管52からミキサ2に投入させた後に、ミキサ2で混練して再生アスファルト混合物を製造する。
【0045】
・実施例2:
ミキサ2内の再生骨材約600kgにチャンバ型2流体ノズル63で微発泡化させた再生用添加剤1〜3kgを拡散散布する(air量:3700NL/min,air圧:0.4MPa,オリフィス径:φ9mm,散布幅:W130mm×L800mm)。その後、新規骨材約380kgをミキサ2に投入し、さらに、発泡装置で発泡化させたアスファルト(フォームドアスファルト)をミキサ2に投入させた後に、ミキサ2で混練して再生アスファルト混合物を製造する。
【0046】
・実施例3:
ミキサ2内の再生骨材約600kgに2流体ノズル63で微発泡化させた再生用添加剤1〜3kgを拡散散布する(air量:400NL/min,air圧:0.4MPa,オリフィス径:φ3mm,散布幅:W200mm×L400mm)。その後、新規骨材約380kgをミキサ2に投入し、さらに、発泡装置で発泡化させたアスファルト(フォームドアスファルト)をミキサ2に投入した後に、ミキサ2で混練して再生アスファルト混合物を製造する。
【0047】
・比較例:
ミキサ11内の再生骨材約600kgに液状の再生用添加剤1〜3kgを吐出する。その後、新規骨材約380kgをミキサ11に投入し、さらに、アスファルトをミキサ2に吐出させた後に、ミキサ11で混練して再生アスファルト混合物を製造する。
[評価(供試体)]
【0048】
次に、実施例1〜3及び比較例について各種試験を行った結果を示す。試験内容は、以下の通りである。
・マーシャル安定度試験:
締固め温度145〜105℃で締固めた実施例1〜3及び比較例について「舗装調査・試験法便覧 平成31年版(著:公益社団法人 日本道路協会) 試験法番号B001、B008-1」に準拠してマーシャル安定度試験を行った。
【0049】
図3は、マーシャル安定度試験の供試体密度を示すグラフであり、
図3(a)は、実施例1及び比較例の比較であり、
図3(b)は、実施例2及び比較例の比較であり、
図3(c)は、実施例3及び比較例の比較である。
【0050】
図3によれば、実施例1〜3は、比較例と比べて、広範な締固め温度(特に、約140℃以下)においてかさ密度が増大しており、締固め温度が低下するにつれて、かさ密度の改善は顕著となっている。
【0051】
特に、実施例1〜3では、比較例と比べて、かさ密度が増大しており、再生用添加剤の分散性に優れ、再生用添加剤が再生骨材に均一に散布・混合されていると推測される。
【0052】
特に、実施例1、2は、実施例3と比べて再生用添加剤の分散性は顕著であると考えられる。また、実施例2では、フォームドアスファルトを用いていることから、実施例1と比べてかさ密度の増大に寄与しているものと考えられる。さらに、実施例1〜3では、比較例と比べて、締固め温度が低下してもかさ密度の低下が少ない。これは、舗装時の温度を下げてもかさ密度を確保できることを意味し、施工時の作業性に優れる。
【0053】
・圧裂試験:
締固め温度145〜105℃で締固めた実施例1〜3及び比較例について「舗装調査・試験法便覧 平成31年版(著:公益社団法人 日本道路協会) 試験法番号B006」に準拠して圧裂試験を行った。
【0054】
図4は、圧裂試験の結果を示すグラフであり、
図4(a)は、実施例1及び比較例の比較であり、
図4(b)は、実施例2及び比較例の比較であり、
図4(c)は、実施例3及び比較例の比較である。
【0055】
圧裂係数は、アスファルト混合物の性状(劣化指標)を表す指標であり、一般的に0.6〜0.9MPa/mmであることが求められる。再生アスファルト混合物の場合には、この範囲内で数値が少ない程に、旧アスファルトの性状が改善される傾向にある。
図4によれば、実施例1〜3は、比較例と比べて、圧裂係数が低いことが分かる。
【0056】
特に、実施例1〜3では、圧裂係数が低下しており、再生用添加剤の分散性に優れ、再生用添加剤が再生骨材に均一に散布・混合されていると推測される。特に、実施例1、2は、実施例3と比べて再生用添加剤の分散性は顕著であると考えられる。また、実施例2では、フォームドアスファルトを用いていることから、実施例1と比べて圧裂係数の低減に寄与しているものと考えられる。
【0057】
ここで、発泡補助剤を再生用添加剤に混合した場合の効果について、実施例2と、再生用添加剤に対して重量比1%の発泡補助剤を再生用添加剤に混合した点を除いて実施例2と同様の条件で得られた再生アスファルト混合物の供試体(以下、「実施例4」と称す)とを比較して説明する。
【0058】
図5(a)は、マーシャル安定度試験の供試体密度を示すグラフであり、
図5(b)は、圧裂試験の結果を示すグラフである。なお、
図3〜4における実施例2と
図5における実施例2とは数値が一致していないが、これは供試体作製に用いられた再生骨材及び新規骨材が相違することに起因するものである。
【0059】
図5(a)によれば、実施例4は、実施例2と比べて、広範な締固め温度(特に、約135℃以下)においてかさ密度が増大しており、締固め温度が低下するにつれて、かさ密度の改善は顕著となっている。また、
図5(b)によれば、実施例4では、実施例2と比べて、圧裂係数が低下しており、再生用添加剤の分散性に優れ、再生用添加剤が再生骨材に均一に散布・混合されていると推測される。このように、発泡補助剤を再生用添加剤に混合することにより、実施例2と比べて、旧アスファルトの性状をさらに改善できることが分かる。
【0060】
[評価(簡易敷均し)]
・コア密度、作業性:
実施例1〜3及び比較例について「舗装調査・試験法便覧 平成31年版(著:公益社団法人 日本道路協会) 試験法番号B008」に準拠してコア密度を測定した。また、異なる温度条件(通常温度時、温度低減時)でのレーキワーク等について、作業性の評価を行った。なお、
図6は、各種施工条件、コア密度及び作業性の評価結果を示すものである。
図7は、実施例1〜3及び比較例のコア密度を比較したグラフである。
【0061】
図6中の「通常温度」とは、一般的に敷均しに最適とされている温度における試験を意味し、本試験では、「敷均し温度」を約160℃程度に設定し、転圧温度を150〜160℃に設定した。また、「温度低減」とは、「通常温度」よりも低温度で行った試験を意味し、本試験では、「敷均し温度」を約130℃程度に設定し、転圧温度を110℃程度に設定した。
【0062】
また、本試験は、W1m×L4mの施工ヤードを用意し、中央50cmの境界を挟んで、一方の領域(W1m×L1.75m)を通常温度、他方の領域を(W1m×L1.75m)を低温に設定して簡易的に敷均しを行った。なお、締固めは、1tハンドガイドローラを用いて無振で1回転圧した後に、有振で2回転圧により実施した。
【0063】
図6によれば、「通常温度」で行った敷均しでは、実施例1〜3及び比較例の何れであっても作業性については良好であった。また、
図7によれば、「通常温度」で行った敷均しでは、コア密度を比較すると、実施例1〜3は比較例と比べても良好であり必要な密度を確保していることが分かり、特に、実施例2が顕著に優れていた。
【0064】
次に、「通常温度」よりも低温で行った敷均しでは、比較例は施工が出来なかった。一般的には、敷均し温度、転圧温度が低ければ、再生アスファルト混合物の粘性が高くなり、敷均しの作業性は悪化する傾向にある。一方、実施例1〜3では施工が可能であり、特に、実施例2、3では低温時であっても通常温度と同様に施工が可能であった。すなわち、実施例1〜3によれば、通常よりも低温での施工が可能であり、良好な品質・作業性を維持しつつ、例えば、夏場に混合物出荷時の温度を下げたり、遠方出荷が可能になる等、作業環境の改善を図ることもできる。
【0065】
また、本発明は、本発明の精神を逸脱しない限り、上記以外にも種々の改変を為すことができ、そして、本発明が該改変されたものに及ぶことは当然である。
【0066】
例えば、本発明は、上述したような再生骨材、新規骨材、加熱アスファルト及び再生用添加剤を混合して得られる再生アスファルト混合物の製造システム及びその方法に適用されるものに限定されず、再生骨材、加熱アスファルト及び再生用添加剤を混合して得られる再生アスファルト混合物(いわゆる、再生骨材100%の再生アスファルト混合物)の製造システム及びその方法に適用することもできる。