(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1に例示されている心臓70は左心房72、右心房74、左心室76及び右心室78を有し、それらが心膜嚢80内に封じ込められて、心臓を囲繞する囲心腔82を形成している。アブレーションカテーテル84は心臓(例えば、右心室78)内に位置付けられており、そのアブレーション遠位先端85は、選択された組織アブレーションの標的部位87にて心内膜86に接触する。剣状突起下での接近法(subxyphoid approach)を用いて、本発明の心外膜カテーテル10を囲心腔82内の心膜嚢80の内側に位置付け、その温度感知アレイ17をアブレーションカテーテル84のアブレーション遠位先端85の概ね反対側の位置にて心外膜89の外側面上に又は外側面近くに配置することによって、カテーテル10のアレイ17が概ねアブレーション遠位先端85を覆いその上に架かるようにし、結果として、アブレーション組織の標的部位87から心内膜86及び心筋88を通して熱が外方へ放出されるのが感知されるようになる。
【0017】
図2に示すように、カテーテル10は、近位端及び遠位端を備える細長いカテーテル本体12と、カテーテル本体12の遠位端から延在する中間の偏向可能区域14と、温度感知アレイ17を担持する中間区域14の遠位端から延在する遠位区域15と、を備える。カテーテルは更に、第1のアクチュエータ16を通って中間区域14の偏向を制御するための制御ハンドル16を、カテーテル本体12の近位端に含む。好都合にも、温度感知アレイ17は、心外膜組織を含む組織のエリアに接触する表面を提供する2次元体を備える。
【0018】
図3A、3B、及び3Cを参照すると、カテーテル本体12は、単一の軸方向の又は中央ルーメン18を有する、細長いチューブ状の構造を備えている。カテーテル本体12は、可撓性、即ち屈曲可能であるが、その長手方向に沿って実質的に非圧縮性である。カテーテル本体12は、任意の好適な構造であってもよく、及び任意の好適な材料から作られてもよい。現在好ましい構成体は、ポリウレタン又はPEBAXで作製された外壁20を含む。外壁20は、ステンレス鋼等の埋め込まれた編みメッシュを含み、カテーテル本体12のねじり剛性を上昇させ、その結果、制御ハンドル16が回動すると、カテーテル10の中間区域14が対応する様式にて回動する。
【0019】
カテーテル本体12の外径は重要ではないが、好ましくは約8フレンチ以下、より好ましくは7フレンチである。同様に外壁20の厚さは重要ではないが、中央ルーメン18がプーラワイヤ、リードワイヤ、及び任意の他の所望のワイヤ、ケーブル又は管材を収容できるように十分薄い。必要に応じて、外壁20の内面は、ねじれ安定性を向上させるために強化チューブ22で裏打ちされる。補剛チューブ22と外壁20とを互いに固定するために、接着部(図示せず)が設けられている。接着部は、カテーテル本体12の近位端部及び遠位端部に設けられてもよい。
【0020】
制御ハンドル16からカテーテル本体12の中央ルーメン18へと延在するコンポーネントは、温度感知アレイ17用の複数の熱電対ワイヤ対28及び29と、温度アレイ17内に又は温度アレイ17の近くに収容された電磁気位置センサー32用のケーブル30と、中間区域14を偏向させる一対のプーラワイヤ24と、を備える。
【0021】
図3A、3B、及び3Cにはまた、チューブ材13の短尺区域を含む中間区域14の実施形態も、例示されている。このチューブ材は、複数の軸外ルーメン、例えばルーメン21、23、25、及び27を有する編組みメッシュ構造を有している。各正反対の第1及び第2のルーメン21及び23はそれぞれプーラワイヤ24を担持し、平面内でカテーテルを2つの反対方向に二方向偏向させることによって(
図2の矢印51を参照)、カテーテルが、例えば、囲心腔82内での動きによく適した部位から部位への「掃引」運動を取ることを可能にする。第3のルーメン25にはセンサーケーブル30が収納されており、第4のルーメン27には熱電対ワイヤ対28及び29が担持されている。必要に応じて更なるルーメンを提供してもよい。
【0022】
中間区域14のチューブ材13は、好ましくはカテーテル本体12よりも僅かに可撓性の高い好適な非中毒性材料でできている。チューブ材13に好適な材料は、編み組まれたステンレス鋼などの埋込みメッシュを有する編組みポリウレタンである。各ルーメンの寸法は、これらのルーメンを通じて延びるそれぞれの構成要素を収容するのに十分な長さである限りは重要ではない。
【0023】
アセンブリ17を除いて患者の体の中に挿入され得るカテーテル、即ちシャフト12及び中間区域14の有用な長さは、所望に応じて異なり得る。一実施形態において、有用な長さは約110cm〜約120cm、より好ましくは約115cm〜約117cm、更により好ましくは約116cmの範囲に及ぶ。中間区域14の長さは、有用な長さの比較的小さい部分であり、好ましくは約6.35cm〜約7.62cm、より好ましくは約6.43cm〜約6.5cm、更により好ましくは約6.4cmの範囲に及ぶ。
【0024】
カテーテル本体12を中間区域14に取り付ける手段が、
図3A及び
図3Bに示されている。中間区域14の近位端部は、カテーテル本体12の外壁20の内側表面を受容する外周ノッチ31を備えている。中間区域14及びカテーテル本体12は、糊等により取り付けられる。
【0025】
必要に応じて、スペーサ(図示せず)を、カテーテル本体内の、強化チューブ(提供される場合)の遠位端と中間区域の近位端との間に配置できる。スペーサは、カテーテル本体と中間区域との間の接合部で可撓性の変化をもたらし、これにより接合部が折り畳まれる又はよじれることなく滑らかに曲がることが可能になる。このようなスペーサを有するカテーテルは、米国特許第5,964,757号に開示され、この開示は参考として本明細書に組み込まれる。
【0026】
中間シャフト14のルーメン21及び23の各々に担持されたプーラワイヤ24は、好ましくはテフロン(登録商標)でコーティングされている。プーラワイヤ24は、ステンレス鋼若しくはニチノールなどの任意の好適な金属、又は、ベクトラン(登録商標)ナイロンチューブ材などのより強固な材料で作られることができ、テフロンコーティングはプーラワイヤに潤滑性を付与する。プーラワイヤは好ましくは、約0.015〜0.025センチメートル(0.006〜0.010インチ)の範囲の直径を有する。
【0027】
図3Bに示すように、各プーラワイヤ24は、プーラワイヤ24を囲む関係で圧縮コイル35を通過している。圧縮コイル35は概ね、カテーテル本体12の近位端部から中間区域14の近位端部まで延びており、また、圧縮コイル35の近位端部及び遠位端部でそれぞれ補剛チューブ22及び中間区域14の近位端部に接着剤(図示せず)で固定されていてもよい。圧縮コイル35は、任意の好適な金属、好ましくはステンレス鋼で作製され、それ自体にきつく巻かれて、可撓性、即ち、屈曲性を与えるが、圧縮に対して耐性である。圧縮コイルの内径は、引っ張りワイヤの直径よりも僅かに大きいことが好ましい。カテーテル本体12内で、圧縮コイル35の外側表面はまた、例えばポリイミドのチューブ材でできた、可撓性の非導電性シース39で被覆されている。中間区域14内で、各プーラワイヤは、偏向の間にプーラワイヤが中間区域14のチューブ材13の中に食い込むのを防止するために、保護シース49を通して延びている。
【0028】
プーラワイヤ24の近位端部は、制御ハンドル16内に定着されている。プーラワイヤ24の遠位端部は、
図4Bに示すように、中間区域14のチューブ材13の遠位端部の近くに定着されている。具体的には、管状ステンレス鋼37の小片(例えば皮下ストック)を含むT字型固定具が形成されており、この固定具が、プーラワイヤにしっかりと固定するために圧着されたプーラワイヤ24の遠位端に嵌着されている。チューブ状のステンレス鋼の遠位端部は、ステンレス鋼のリボンなどで形成された十字片(cross-piece)39に、例えば溶接によってしっかりと取り付けられている。十字片39は、チューブ材13内に形成されたホール(図示せず)を通じて延びている。十字片39はそのホールよりも大きいため、そのホールから引き抜かれることがなく、また、十字片39は、プーラワイヤの遠位端部を中間区域14の遠位端部に定着する。
図2に示すように、偏向可能な区域14は有利にも、遠位端部の近くで角度θで予め成形されており、それにより、アレイ17は、中間の偏向可能区域14の長手方向軸から角度θで延びている。この角度により、中間の偏向可能区域14及びアレイ17は、幅が狭く湾曲した囲心腔82により適合する形状を与えられる。この角形成によって、アレイ17により心外膜89の外側面への組織の接触が改善される。角度θは、約10度〜15度、より好ましくは約10度〜12度に及び得る。本発明の特徴によれば、中間区域14を介した電極アセンブリ17の二方向偏向と、二方向偏向の平面に概ね垂直な方向にて予め形成された角度θの曲げとが相まって、電極アセンブリ17は、部位から部位への掃引運動(矢印51)を取ることが可能となり、その掃引運動により、囲心腔82の領域内での組織接触性と快適性が高められる。当業者には理解されるように治具中のチューブ材をベーキングすることを含めて、この角度θをチューブ材13に形成することができる。
【0029】
中間区域14の遠位端には、温度感知アレイ17がある。
図5、5A及び6に例示されている実施形態において、アレイ17は、アレイ17上の2次元体42を支持する細長い長手方向の支持部材、例えばチューブ材40を有する。チューブ材40は、中間の偏向可能区域14の遠位端から遠位に延在しており、任意の好適な手段によって、この偏向可能区域に取り付けることができる。一実施形態において、チューブ材40は、単一の中央ルーメン41と、例えば無傷のドームに形成されたポリウレタン接着剤などの好適な材料で封着された遠位端40Dと、を有する。熱電対ワイヤ対28及び29は、中間区域14のルーメン27からルーメン41へと延在する。各熱電対の遠位部分は、チューブ材40の側壁内に形成されたそれぞれの穴48を通過して、チューブ材40の外側へと移動する。センサーケーブル30は中間区域14のルーメン25からルーメン41へと延在し、センサーケーブルの遠位端は、チューブ材40の遠位端に又は遠位端近くに収容された位置センサー32に取り付けられている。
【0030】
アレイ17はまた、相互に積み重ねられ接着剤で固着されて2次元体42を形成する第1及び第2のシート部材43及び44と、これらのシート部材の間に「脊椎」として挟持されたチューブ材40と、そこから延在する対向するフラップ又は「ウィング」42a及び42bと、を備える。本体42は、心外膜89の外側面のエリア上に配置されかつ接触するように適応された接触表面45を含む、第1及び第2の表面を有する。例示されている実施形態において、アレイ17の本体42は、チューブ材40で画定された長手方向軸に沿った長さLと、幅Wと、を有する略矩形の形状を備える。長さLは、約10〜200mm、より好ましくは約25〜75mmの範囲に及び得る。幅Wは、約5〜75mm、より好ましくは約40mm〜60mmの範囲に及び得る。アレイ17の本体42は、本体42を案内シース(不図示)に給送し易くするための先細の隅47を有しており、本体42が患者の身体を通過して標的部位に配設されたときに、心外膜89及び心膜嚢80に対する傷害が最小限に抑えられるようになっている。シート部材は、PEBAX及びPELLETHANEを含む任意の好適な生体適合性材料から作製され得る。
【0031】
例示されているように、各熱電対の遠位部分ワイヤ対28及び29は、それぞれの穴48から垂直に(約90度の角度で)チューブ材40へと延在するが、この角度は必要に応じて又は所望通りに変えることもできる。チューブ材40は、長手方向にかつ相互に正反対に延在する2列の穴を有し、それにより、選択された熱電対ワイヤ対が、チューブ材の片側上の1列を通って外向きに延在し、チューブ材の反対側から別の列を通って外方へ延在するようになっている。各列の穴48は、チューブ材40の長さに沿って概ね均等間隔に離間されているが、この間隔は、必要に応じて又は所望通りに変えることもできる。例示されているように、各列の穴48を長手方向に位置合わせすることも、又は代わりに、相互にオフセットすることもできる。熱電対ワイヤ対の各遠位部分の長さは、各ペアが撚り合わせられるか又はさもなければその遠位端にて接合される限り、必要に応じて又は所望通りに変えることもできるし、又は等しい長さにすることもでき、その結果、当業者に理解されるように、ゼーベック効果に従って温度感知機能が有効化される。結果的に、撚り合わせられた遠位端を本体42上の所定の温度感知位置50に配置することで、それらの位置における温度が検出されるようになる。熱電対ワイヤ対の各ワイヤを、短尺の保護シース52で囲繞し、遠位端を接合し易いように露出させてもよい。例示されている実施形態において、温度アレイ17は、チューブ材40の両側に4つずつ、計8つのワイヤ対を有する。位置50において温度を感知する目的に、例えば、サーミスタをはじめとする任意の好適な温度感知部材を使用できることが理解されよう。
【0032】
アレイ17に対して更なる支持体を提供するため、形状記憶付きの支持フレーム54をシート部材43と44との間に固着してもよい。例示されている実施形態において、支持フレーム54は、構成が形状及びサイズに関して適合し、かつ同様に隅が先細のものとなるように、アレイ17の本体42の周辺縁55に概ね沿って延在している。フレーム54は、2つの長手方向区域57と、2つの短手方向の区域58と、を備える。短手方向の区域58を、チューブ材40の上又は下のいずれかに通過させてもよいし、又は代わりに、熱電対ワイヤ対28及び29のそれぞれ遠位及び近位にあるチューブ材40内に形成された穴56D及び56P、並びに穴48に貫通させてもよい。
【0033】
フレーム54は、アレイ17をチューブ材40の周りに回動させるだけの十分な可撓性を有し(
図7A及び7Bを参照)、その結果として、アレイが弾力的にコイル状になり案内シースを通過するように圧縮され得る。
図7Aに例示されている実施形態において、フラップ42aは一方向(例えば、反時計回り)に巻装されており、フラップ42bはフラップ42aの周りに反対方向(例えば、時計回り)に包まっている。
図7Bに例示されている実施形態において、フラップ42a及び42bは相互に同一方向(例えば、時計回り)に包まっている。形状記憶は案内シースの外部にあるときに、フレーム54をその展開された構成に戻す。フレームはまた、所定の湾曲(例えば、凹面)を有し、心外膜との適合を良好化し得る(
図5Aの矢印Cを参照のこと)。フレームは、任意の好適な材料、例えば、ニチノールから構成され得る。
【0034】
図8、8A、8B及び8Cに示す別の実施形態において、カテーテル100は、チューブ状ステンレス鋼部材120の圧縮された短尺区域から延在する単一又は複数の指部材122(例えば、皮下ストック)を備える温度感知アレイ117を備え、これは、部材122を、偏向可能な中間区域14から延在するコネクタチューブ材123に給送する助けになる。コネクタチューブ材123はポジションセンサー32(
図8C)を収容しており、環状電極126用のリードワイヤ26(
図8A)並びに熱電対ワイヤ対28及び29を、必要に応じてアレイ117内に延在するように向き直させることができる(
図4A及び4Bを参照のこと)。チューブ状ステンレス鋼部材120は、チューブ材123の遠位端に挿入される円形断面を有する、近位部分120Pを備える(
図8C)。チューブ状ステンレス鋼部材120の遠位部分120Dは、指部材122が放射状に扇形に広がるような、平坦な楕円形の断面を備える(
図8B)。(
図8Bに示すように)楕円形の断面は、指部材がまた僅かに湾曲して扇形に広がるような僅かな湾曲を有していてもよく、その結果、心外膜との接触が良好化され得る。
【0035】
図8Aに示すように、各指部材122は、直径が小さいチューブ材124を備える。チューブ材は中央ルーメン125を備えており、選択された熱電対ワイヤ対28及び29並びにリードワイヤ26は、この中央ルーメンを通ってそれぞれの感知位置50へと延在するか、又は環状電極126の下部のチューブ材124の側壁内に形成された穴127を経由してそれぞれの環状電極126へと延在する。各指部材122はまた、チューブ材124内を長手方向に延在する形状記憶付きの細長い支持部材128を備え得る。指部材122の支持部材128は全て、チューブ状ステンレス鋼部材120(
図8C)内に固定されている共通の近位端128P(
図9)から延出し得る。支持部材128及び近位端128Pは、例えばニチノールなどの、僅かな湾曲Cを有し得る好適な材料でできた単一のシートから形成(例えば、レーザーカット)され得る(
図9)。近位端128Pは、チューブ材120の圧縮済み短尺区域において封止剤130で注封される。各指部材122の遠位端は、無傷のドームに形成された封止剤129で封着される。
【0036】
別の実施形態においては、
図10に示すように、細長い本体を備えるカテーテル200は温度感知アレイ217を備えており、この細長い本体は、概ね平面内に配置された2次元円形構成を有する。本発明の特徴によれば、主要部を成す略円形の近位部分217Pと、略円形構成の概ね中心に好都合に位置付けられた遠位端を有する内向きに延在する又は螺旋状の遠位部分217Dと、を用いて、アレイが、少なくとも1つの外側の中央温度感知位置50aを、複数の外側の温度感知位置50bで囲繞して構成され得るように、本体を異なる構成、例えば、螺旋状構成を取るようにマニピュレートしてもよい。例示されているように、遠位部分217Dは、略円形構成(
図10における破線)に位置合わせされている第1の位置と、略円形構成(
図10における実線)に対し螺旋状に内向した第2の位置と、の間を移動できる。その点で、心臓内部の組織アブレーション部位において内側の温度感知位置50aがアブレーションカテーテル84とは正反対側になるように、かつ外側の温度感知位置50bがそこから半径距離にある部位を囲繞するように、カテーテル200を心膜嚢内にて心外膜89に接触するか又はこの心外膜から離隔して位置付けることができ、それによって、位置50aと50bとの間のエリアの温度差又は勾配が測定されるようになる。
【0037】
図10A及び10Bを参照すると、アレイ217は、複数のルーメンを有するチューブ材224の区域を備え、それらのルーメンのうち少なくとも1つは軸外ルーメンである。例示されている実施形態において、チューブ材224は4つの軸外ルーメン231、233、235及び237を有している。支持部材228は、ルーメン231を通って延在する。環状電極226用のリードワイヤ26はルーメン235を通って延在する。熱電対ワイヤ対28及び29はルーメン237を通って延在する。更なるプーラワイヤ222はルーメン233を通って延在する。形状記憶付きの支持部材228、例えばニチノールワイヤは、半径R1を有する略円形構成を提供するように構成される。プーラワイヤ222は、制御ハンドル16内に固定された近位端と、アレイ217の遠位端240内に固定された遠位端と、を備え、螺旋状の遠位部分の近位端に又は近位端近くに遠位端を備える圧縮コイル234で囲繞される遠位部分を有して構成されている。
図10に例示されている実施形態において、主要部を成す略円形の近位部分は、アレイ217の約0度〜270度の間に延在し、結果として、圧縮コイルも同様に、アレイ217の約0度〜270度の間に延在する。それ故、更なるプーラワイヤ222を近位に引き寄せると、約270〜360度の間に延在するチューブ材224の遠位部分(圧縮コイル234の遠位端の遠位)では、湾曲部が締め付けられて、半径R1より小さい半径R2が得られ、半径R1の円形構成の中心付近に温度感知位置50を位置付けるための内向き螺旋状の遠位部分が、アレイ217に提供される。その点で、主要部を成す円形構成217Pの中心にプーラワイヤ222がごく接近するように、ルーメン233に対してアレイ217のチューブ材224が向けられている。なお、ルーメン233は、偏向プーラワイヤ24a及び24b用の偏向可能な中間区域14のチューブ材13のルーメン21及び23のいずれかに整列され得る。更なるプーラワイヤを近位に引き寄せたときにアレイが螺旋状構成を成すのを促進するためには、偏向可能な中間区域14のチューブ材13よりもチューブ材224の方が、可撓性が高い(例えば、ジュロ硬度が小さい)ことが望ましいと言える。
【0038】
支持部材228は、アレイ217の少なくとも全長にわたって延在するが、延在する長さは、偏向可能な中間区域14の遠位端に入る遠端のすぐ手前までであることが好ましい。
図3Dに示すように、中間区域14のチューブ材13は、支持部材の近位端を受容するための第1の更なるルーメン36を備える。同様に
図3Dに示すように、チューブ材13はまた、プーラワイヤ222を受容するための第2の更なるルーメン38も備える。
【0039】
プーラワイヤ222の近位端はまた、制御ハンドル16内に固定されていて、この制御ハンドルは、更なるプーラワイヤ222をマニピュレートするための第2のアクチュエータ16b(
図2)を有し得る。複数のプーラワイヤアクチュエータを備える制御ハンドルとしては、米国特許出願第12/550,204号(2009年8月28日出願)、名称「CATHETER WITH MULTI−FUNCTIONAL HANDLE HAVING LINEAR MECHANISM」、及び同第12/550,307号(2009年8月28日出願)、名称「CATHETER WITH MULTI−FUNCTIONAL CONTROL HANDLE HAVING ROTATIONAL MECHANISM」などに記載されているもの知られており、これら開示内容はその全体が本明細書において参照により援用されている。
【0040】
偏向可能な中間区域14並びに上記の様々な温度感知アレイ17、117及び217のチューブ材は、可撓性かつ生体適合性である任意の好適な材料、好ましくはポリウレタン又はPEBAXなどのプラスチックから作製され得る。上記の形状記憶性の支持部材54、128及び228は、直線状であってもよいが、又は、力を印加してその元の形状を屈曲させることもでき、力を解除すればその元の形状に実質的に回復され得る。形状記憶要素用の好適な材料は、ニッケル/チタン合金である。このような合金は、典型的には、約55%のニッケルと45%のチタンを含むが、約54%〜約57%のニッケルと、チタンである残部を含んでもよい。好ましいニッケル/チタン合金は二チノールであり、これは耐久性、強度、腐食耐性、電気抵抗及び温度安定性とともに、優れた形状記憶性を有する。
【0041】
環状電極126は、リードワイヤ26を通って適切なマッピング又は監視システム(不図示)に電気的に接続されていて、各リードワイヤは、その近位端が制御ハンドル16の近位端にあるコネクタ内で終端している。電極のリードワイヤは、カテーテル本体12の中央ルーメン18を通じて、また中間区域14のルーメン25を通じて延びている。リードワイヤのうちの、カテーテル本体12の中央ルーメン18及びルーメン24の近位端部を通じて延びる部分は、保護シース(図示せず)に封入され得て、その保護シースは、任意の好適な材料、好ましくはポリイミドで作られ得る。
【0042】
それぞれのリードワイヤは、任意の好適な方法により対応する環状電極に取り付けられる。リードワイヤを環状電極に取り付けるための好ましい方法は、まず非導電性チューブ材の壁を通して小さな穴を作製することを含む。そのようなホールは、例えば、永久的なホールを形成するように十分に非伝導性カバーを貫いて針を挿入することによって生じさせることができる。リードワイヤは、次いで、マイクロフック等を用いることにより、穴を通して引かれる。次いでリードワイヤの端部がコーティングを剥ぎ取られ、環状電極の下側に溶接され、次いでその電極が、ホールの上の所定位置に滑り込まされ、ポリウレタン系接着剤などで適所に固定される。あるいは、それぞれの環状電極は、何度も非導電性カバーの周りにリードワイヤを巻き付け、外向きに面する表面上に、それ自体の絶縁されたコーティングのリードワイヤを剥ぎ取ることにより形成される。
【0043】
この環状電極は、白金又は金、好ましくは白金とイリジウムの組み合わせなど、任意の好適な固体導電材料で作ることができる。この環状電極は、チューブ材の上に接着剤などで装着され得る。あるいは、環状電極は、プラチナ、金及び/又はイリジウムのような導電性材料で管材をコーティングすることにより形成できる。コーティングは、スパッタリング、イオンビーム蒸着又は等価技術を用いて適用できる。環状電極は、単極性又は双極性の環状電極として構成され得るが、必要に応じて又は適宜に、環状電極を任意の数だけ使用してもよいし又は単極性及び双極性の環状電極を併用することもできることが理解される。
【0044】
使用時に、剣状突起下での接近法を用いて、好適な案内シースが、その遠位端部を心膜嚢に配置して患者に挿入される。本発明と共に使用するのに適した案内シースの一例としては、Biosense Webster,Inc.(Diamond Bar,Calif.)より市販されるPreface(商標)Braiding Guiding Sheathが挙げられる。
図7A及び7Bに示すように、カテーテル10の温度感知アレイ17を、案内シース内に挿入されるようにロールアップする。カテーテル100の温度感知アレイ117の指部材122の遠位端(
図8)を寄せ集めて案内シースに挿入した。カテーテル200の円形の温度感知アレイ217(
図10)を真っ直ぐにして、案内シースに給送する。そのように挿入した場合、
図1に示すように、使用されている温度感知カテーテルが、案内シースを通って給送され、ついには、温度感知アレイがアブレーションカテーテル84のアブレーション電極(1つ又は複数)の概ね反対側の組織治療部位に近付く。案内シースを近位に牽制し、アレイを露出させると、このアレイは、その形状記憶の下で、その中立の展開済み構成を再開するようになり、心外膜89上に置かれる。
【0045】
アレイを位置付ける際、ユーザーはアクチュエータ16aを使用してプーラワイヤ24を中間区域14の二方向偏向に対して制御することにより、アレイを部位から部位に掃引するような挙動にて動かす。温度感知カテーテル200が使用されている状況では、ユーザーはまた、
図10に示すように、アクチュエータ16bを使用してプーラワイヤ222を制御することによって、内向きの螺旋状構成に合わせてアレイ217を締め付け、遠位の温度感知位置50aを周囲の温度感知位置50bに対して相対的に内側又は中心位置に配置できる。
【0046】
心房及び/又は心室のアブレーション手技の間、本発明の温度感知カテーテルが心膜腔に置かれることが理解される。任意選択的に、Carto(登録商標)3(Biosense Webster)などの電気生理学マッピングシステムを使用して、心臓の解剖学的構造に対してカテーテルを視覚化してもよい。
図1に例示されているように、カテーテルの温度感知アレイは、RFアブレーション時にアブレーション電極の位置により特定される心内膜アブレーション部位とはほぼ反対側に位置付けられる。アブレーション中には、RFが伝達された結果として温度が上昇したことが、アレイによって検出され得る。従来の組織剖検の解釈によれば、カテーテルで不可逆的損傷の温度(およそ50℃)が測定された場合、その位置において貫壁性病変が生じている。如何なる場合も、カテーテルは、所望される任意の温度を監視できる。
【0047】
また、カテーテルを使用してアブレーション部位における組織厚さを定量できると共に、マッピングシステムでアブレーションカテーテル84の先端と本カテーテルの最も近い部分との間の距離を計算することもできる。アブレーションにおいて、温度センサーのアレイ17、及び位置センサー32に対する温度センサーの相対位置をアルゴリズムにて用い、病変が発生している間、現在の病変の寸法を推定できる。例えば、マッピングシステムにて温度アレイの製造仕様による所定の設定を使用するアルゴリズムは、心膜嚢内の温度アレイの位置及び温度示度に基づく。また、このアルゴリズムは、例えば、温度、電力、持続時間、アブレーション電極の接触力、インピーダンス、安定性、及び局部組織の厚さなどの他のパラメータを含み得る。あるいは、心内膜上に温度センサーアレイ付きの本カテーテルを使用する一方、心膜嚢において心外膜上にアブレーションカテーテルを使用してもよい。
【0048】
加えて、カテーテルは、ユーザーに特定の温度閾値に関する警告を与え、かつ/又は自動的にRF電力を停止若しくは節減する安全機能を備えていてもよい。これにより、アブレーション手技の間、側副組織及び器官が損傷する可能性が低減され得る。
【0049】
環状電極126はマッピングの目的に使用することもできる。また環状電極は、アブレーション部位の周囲の電気活動を測定することを可能とし、その結果、カテーテルは、アブレーションが実施されているとき、心外膜組織の電位図(ECG)又は電位記録を実時間でかつ連続的にフィードバックすることができる。故に、カテーテルにECGを用いることで、病変の有効性を判定する助けになり得る。この方法は(心室などの)厚い壁のエリア内では特に役立つ。その理由は、アブレーション電極で囲繞されているエリアがデッド状態になることに起因してアブレーションカテーテル上でECG信号が減弱する可能性があるが、壁内の深部では信号が依然として伝送されるため、その信号伝送が温度感知カテーテルのECGによって感知されるからである。
【0050】
囲心腔内に使用される本発明のカテーテルはまた、EPナビゲーションシステムにより、又は両方の電極間の直接的な信号伝達情報(例えば、磁気信号又は信号対電力の比率)により、カテーテル上の電極(1つ又は複数)とアブレーションカテーテルのアブレーション電極(1つ又は複数)との間の距離を測定することで、アブレーションの時点における壁厚を判別するのにも役立ち得る。結果として得られたデータは、病変を生ずるためのアブレーションパラメータを選択する助けるなるよう、ユーザーに提示される。それらのアブレーションパラメータとしては、限定されないが、電力、時間、力、温度などが挙げられる。
【0051】
アブレーション電極の壁と反対側の囲心腔内で、本発明のカテーテル上の温度感知位置を位置決めする工程は、蛍光透視法、EPナビゲーションシステム、超音波などを含む従来のカテーテル可視化技術を使用して遂行される。
【0052】
一実施形態において、磁気の相互作用を提供する磁気部材は、温度感知カテーテル及びアブレーションカテーテルの各遠位端内又は各遠位端近くに設けられる。シースを使用すると、囲心腔内で温度感知カテーテルをアブレーションカテーテル付近の位置まで誘導し易くなり、このシースは、磁気引力の範囲に入ると、磁気引力によって、アブレーションカテーテルに対して相対的な位置へと牽引される。これにより、アブレーション時に、温度感知アレイをアブレーション電極にできるだけ近付けて、心外膜壁に接触させ、かつアレイを適所に保持することが可能になる。
【0053】
なお、EPマッピングシステム(例えば、CARTO 3)が適切にプログラムされている場合、システムのモニターに好都合にも、心臓上の心膜温度センサー及び/又は電極アレイ、並びにカラーコードが表示されるか、又はさもなければRF伝達中に組織温度を監視できるようユーザーにアレイの温度が指示される。好適なアルゴリズムを用いることで、マッピングシステム上での温度に応じた病変サイズ、インピーダンス、温度感知アレイから導き出された病変の幾何学的形状、及び/又はアレイからのECGフィードバックを、アブレーションカテーテルからの同じ/類似のパラメータと組み合わせて、システムのモニター上に表示できる。加えて、好適なアルゴリズムを用い、囲心腔内のアブレーションカテーテルと温度感知カテーテルとの間にある心臓壁を、両カテーテル間の距離に基づいてシステムのモニター上に表示することで、本明細書において記述されている他のソフトウェアの開示を支持することも可能になる。
【0054】
更に理解されるように、本発明はまた、心膜腔内で作動するアブレーションカテーテルを支持する目的で心内膜腔内に用いられる温度感知カテーテルを備えており、それによって、本明細書に記載されているのと同じ全ての機能及び性能を可能にしている。
【0055】
先行技術は、本発明の特定の代表的な実施形態を参照して提示されてきた。当業者は、記載した構造の代替及び変化が、本発明の原理、趣旨及び範囲を逸脱することなく実施できることを理解するだろう。図面は、必ずしも縮尺通りではないことが理解される。したがって、前述の記載は、添付図面に記載及び例示された正確な構造のみに関するものとして読むべきではない。むしろ、その最も完全かつ最も正確な範囲を有する以下の特許請求の範囲に一致し、それを支持するものとして読むべきである。
【0056】
〔実施の態様〕
(1) 心臓の心外膜組織と心膜組織との間の囲心腔で使用されるように適応された温度感知カテーテルであって、
細長いカテーテル本体と、
前記カテーテル本体の遠位にある温度感知アレイであって、前記アレイが、前記心膜で使用されるように適応された少なくとも1つの温度感知部材を備える、温度感知アレイと、
を備える、温度感知カテーテル。
(2) 前記アレイが、表面が前記心外膜組織上のエリア又は前記囲心腔内のエリアに接触するように適応された、2次元体を備える、実施態様1に記載のカテーテル。
(3) 前記2次元体が、頂部部材と、底部部材と、前記頂部部材と底部部材との間に位置付けられたチューブ材と、を備える、実施態様2に記載のカテーテル。
(4) 前記2次元体が、所定の湾曲を有する、実施態様3に記載のカテーテル。
(5) 前記2次元体が、前記頂部部材と底部部材との間に位置付けられた支持フレームを更に備える、実施態様3に記載のカテーテル。
【0057】
(6) 前記支持フレームが、略矩形の構成を有する、実施態様5に記載のカテーテル。
(7) 前記2次元体が、前記チューブ材の周りに巻かれるように適応されている、実施態様2に記載のカテーテル。
(8) 前記温度感知部材が、前記頂部部材と底部部材との間に延在する熱電対ワイヤ対を備え、前記2次元体上に温度感知位置を提供する、実施態様3に記載のカテーテル。
(9) 前記熱電対ワイヤ対が、前記チューブ材を通って延在し、前記チューブ材に形成された穴を通って前記チューブ材から抜け出る、実施態様8に記載のカテーテル。
(10) 前記アレイが、少なくとも1つの指部材を備え、各々の指部材が少なくとも1つの温度感知位置を有する、実施態様1に記載のカテーテル。
【0058】
(11) 前記指部材が、前記指部材の近位端から放射状に広がり、前記近位端が圧縮済みチューブ状部材内に固定されている、実施態様10に記載のカテーテル。
(12) 前記圧縮済みチューブ状部材が、所定の湾曲を有する、実施態様11に記載のカテーテル。
(13) 前記圧縮済みチューブ状部材が、調整可能な湾曲を有する、実施態様11に記載のカテーテル。
(14) 各指部材が、少なくとも1つの環状電極を有する、実施態様10に記載のカテーテル。
(15) 前記複数の指部材が、約1個〜8個の範囲である、実施態様10に記載のカテーテル。
【0059】
(16) 前記アレイが、略円形構成を使用するように適応された細長い本体を備え、前記細長い本体が、前記略円形構成に位置合わせされた第1の位置と前記略円形構成の螺旋状に内向きの第2の位置との間を移動できる遠位部分を有する、実施態様1に記載のカテーテル。
(17) 前記アレイが、
前記本体を通って延在するプーラワイヤであって、前記プーラワイヤの遠位端が前記本体の遠位端に又は前記遠位端近くに固定されている、プーラワイヤと、
前記プーラワイヤを囲繞する圧縮コイルであって、前記圧縮コイルが、前記遠位部分の近位端に又は前記近位端近くにある遠位端を有する、圧縮コイルと、
を更に備える、実施態様16に記載のカテーテル。
(18) 前記アレイが前記細長い本体上に少なくとも1つの環状電極を備える、実施態様16に記載のカテーテル。
(19) 前記カテーテル本体と前記アレイとの間に中間区域を更に備え、前記中間区域が、平面内で偏向するように適応されており、かつ前記アレイが、概ね前記平面内に位置する、実施態様16に記載のカテーテル。
(20) 前記アレイが、少なくとも1つの環状電極を更に備える、実施態様1に記載のカテーテル。