(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6983863
(24)【登録日】2021年11月26日
(45)【発行日】2021年12月17日
(54)【発明の名称】車両用操作ユニット
(51)【国際特許分類】
G05G 5/03 20080401AFI20211206BHJP
B60R 16/02 20060101ALI20211206BHJP
G05G 1/02 20060101ALI20211206BHJP
B60K 35/00 20060101ALI20211206BHJP
【FI】
G05G5/03 Z
B60R16/02 630Z
G05G1/02 B
B60K35/00 Z
【請求項の数】7
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2019-500438(P2019-500438)
(86)(22)【出願日】2017年7月10日
(65)【公表番号】特表2019-523488(P2019-523488A)
(43)【公表日】2019年8月22日
(86)【国際出願番号】EP2017067283
(87)【国際公開番号】WO2018007646
(87)【国際公開日】20180111
【審査請求日】2020年6月8日
(31)【優先権主張番号】102016212524.9
(32)【優先日】2016年7月8日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】508066083
【氏名又は名称】ベーア−ヘラー サーモコントロール ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100120329
【弁理士】
【氏名又は名称】天野 一規
(72)【発明者】
【氏名】ベシュニット,アレクサンダー
(72)【発明者】
【氏名】パンクラッツ,ハリ
【審査官】
前田 浩
(56)【参考文献】
【文献】
特表2013−513865(JP,A)
【文献】
特開2003−058321(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05G 5/03
B60R 16/02
G05G 1/02
B60K 35/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
前面を有する筐体(26)と、
前記筐体(26)の前記前面に配置され、操作面(14)を有する操作要素(12)であって、
前記操作面(14)に対して略直交に延びる垂直の移動軸(18)に沿って、及び前記垂直の移動軸に対して略横断方向に延びる横移動軸(20)に沿って、筐体(26)の上及び/又は内部のリターンスプリング(22、24、24’)によってばね弾性的に設置された操作要素(12)と、
前記垂直の移動軸(18)の方向における前記操作要素(12)の作動動作を検出するための1以上のセンサ(28)と、
前記操作要素(12)のフィードバック動作のために前記筐体(26)の上及び/又は内部であって、前記操作要素(12)の作動動作が検出される際は少なくとも横の移動軸(20)上にも配置されたアクチュエータ(32)であって、前記操作要素(12)と機械的に結合され有効移動軸(38)に沿って前後に移動可能な電気的に起動される駆動要素(34)を含むアクチュエータ(32)と、
前記センサ(28)と前記アクチュエータ(32)とに接続された評価/制御部(30)と、を含む、特には種々の車載機器を制御するための娯楽情報システムである車両用操作ユニットであって、
前記リターンスプリング(22、24、24’)は、前記アクチュエータ(32)の有効移動軸(38)と平行に伸びるバネ作用軸(42、42’)を有し、
前記アクチュエータ(32)の前記有効移動軸(38)が延びている、及び/又は前記操作要素(12)の重心(40)又はとりわけ前記操作要素(12)及びこれに結合された前記駆動要素(34)を含む前記アクチュエータ(32)の可動部分系(41)の重心(40)が位置している垂直平面上で見た場合、前記リターンスプリング(24、24’)の前記バネ作用軸(42、42’)は、前記アクチュエータ(32)の前記有効移動軸(38)からそれぞれ第1の距離(L1)及び第2の距離(L2)離間した両側に延び、
前記リターンスプリング(22、24、24’)のバネ力に対する寸法及び前記第1及び第2の距離(L1、L2)の寸法は、前記リターンスプリング(22、24、24’)により前記操作要素(12)の前記重心(40)又は前記可動部分系(41)の前記重心(40)に加わる回転モーメントを略相殺するよう選択されることを特徴とする、車両用操作ユニット。
【請求項2】
前記垂直平面に垂直に延び、前記アクチュエータ(32)の前記有効移動軸(38)が延びている、及び/又は前記操作要素(12)の重心(40)又は前記アクチュエータ(32)の可動部分系(41)の重心(40)が位置している傾斜平面上で見た場合、前記リターンスプリング(22、24、24’)の前記バネ作用軸(42、42’)は、前記アクチュエータ(32)の前記有効移動軸(38)からそれぞれ第3の距離(L3)及び第4の距離(L4)離間した両側に延び、前記リターンスプリング(22、24、24’)のバネ力に対する寸法決め及び前記第3及び第4の距離(L3、L4)の寸法決めは、前記リターンスプリング(22、24、24’)により前記操作要素(12)の前記重心(40)又は前記可動部分系(41)の前記重心(40)に加わる回転モーメントを略相殺するよう選択されることを特徴とする、請求項1に記載の車両用操作ユニット。
【請求項3】
前記操作要素(12)の前記重心(40)又は前記可動部分系(41)の前記重心(40)は、前記アクチュエータ(32)の前記駆動要素(34)の前記有効移動軸(38)上に位置することを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載の車両用操作ユニット。
【請求項4】
前記操作要素(12)の前記横移動軸(20)と、前記アクチュエータ(32)の前記駆動要素(34)の前記有効移動軸(38)とが、前記操作面(14)に略直交して延びる共通の垂直平面に位置することを特徴とする、請求項1、請求項2、又は請求項3に記載の車両用操作ユニット。
【請求項5】
前記筐体(26)は前記操作要素(12)の下に設置スペースを含み、また、前記アクチュエータ(32)の前記駆動要素(34)の前記有効移動軸(38)と前記操作要素(12)の前記横移動軸(20)との間の角度を可能な限り小さくするため、前記アクチュエータ(32)は、前記設置スペースが許す限り前記操作要素(12)の直下に、及び/又は、前記設置スペースが許す限り前記操作要素(12)の前記重心(40)から離間して配置されることを特徴とする、請求項4に記載の車両用操作ユニット。
【請求項6】
前記バネ作用軸(42、42’)は、前記横移動軸(20)上又は前記アクチュエータ(32)の前記駆動要素(34)の前記有効移動軸(38)上、もしくは、前記アクチュエータ(32)の前記駆動要素(34)の前記有効な移動軸(38)及び前記操作要素(12)の前記横移動軸(20)が位置する垂直平面に略直交する平面(44)上において、前記横移動軸(20)に対して対称に配置されることを特徴とする、請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の車両用操作ユニット。
【請求項7】
前記リターンスプリング(22、24、24’)により前記操作要素(12)の前記重心(40)又は前記部分系の前記重心(40)に加わる前記回転モーメントは、互いに打ち消し合い、それにより、前記アクチュエータ(32)の前記駆動要素(34)の前記有効移動軸(38)に沿ってフィードバック動作中の前記操作要素(12)に更なるねじれ又は傾きが起こらないことを特徴とする、請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の車両用操作ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本特許出願は、2016年7月8日付の独国特許出願第10 2016 212 524.9号の優先権を主張し、その主題が参照により本出願の主題に援用される。また、2016年9月6日出願のPCT/EP2016/070989、2016年9月12日出願のPCT/EP2016/071414、及び2017年1月24日出願のPCT/EP2017/051416、以上の3件のPCT国際出願の主題が参照により本出願の主題に援用される。
本発明は、例えば種々の車載機器を制御するための娯楽情報システムであってよい車両用操作ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば様々な記号フィールドのメニュー方式ディスプレイを行い、車載機器の機能を選択するよう構成された表示アセンブリを含む操作ユニットが、広く受け入れられている。このような操作ユニットでは、ユーザーが、機能選択に対して、触覚による確認を受け取ることが望ましい。これは例えば、作動後の操作要素による更なる能動移動によって実現される。この触覚フィードバックは、操作要素の操作面全体にわたって可能な限り同質であるべきである。このような操作ユニットの例が、独国特許公開公報第10 2008 035 907号及び第10 2009 007 243号に記載されている。また、独国特許公開公報第100 43 805号には、電磁アクチュエータを備えた装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】独国特許公開公報第10 2008 035 907号
【特許文献2】独国特許公開公報第10 2009 007 243号
【特許文献3】独国特許公開公報第100 43 805号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、操作面のどこが接触され作動されたかにかかわらず触覚が略同質な、操作面を有する1以上の操作要素を含みかつ能動触覚フィードバックを備えた車両用操作ユニットを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述の目的を達成するために本発明で提案される車両用操作ユニットは、前面を有する筐体と、前記筐体(26)の前記前面に配置され、操作インターフェイスを有する操作要素であって、前記操作面に対して略直交に延びる垂直の移動軸に沿って、及び前記垂直の移動軸に対して略横断方向に延びる横移動軸に沿って、筐体の上及び/又は内部のリターンスプリングによってばね弾性的に設置された操作要素と、前記垂直の移動軸の方向における前記操作要素の作動動作を検出するための1以上のセンサと、前記操作要素のフィードバック動作のために前記筐体の上及び/又は内部であって、前記操作要素の作動動作が検出される際は少なくとも横の移動軸上にも配置されたアクチュエータであって、前記操作要素と機械的に結合され有効移動軸に沿って前後に移動可能な電気的に起動される駆動要素を含むアクチュエータと、前記センサと前記アクチュエータとに接続された評価/制御部と、を含む、特には種々の車載機器を制御するための娯楽情報システムである車両用操作ユニットであって、前記リターンスプリングは、前記アクチュエータの有効移動軸と平行に伸びるバネ作用軸を有し、前記アクチュエータの前記有効移動軸が延びている、及び/又は前記操作要素の重心又はとりわけ前記操作要素及びこれに結合された前記駆動要素を含む前記アクチュエータの可動質量の重心が位置している垂直平面上で見た場合、前記リターンスプリングの前記バネ作用軸は、前記アクチュエータの前記有効移動軸からそれぞれ第1の距離及び第2の距離離間した両側に延び、前記リターンスプリングのバネ力に対する寸法決め及び前記第1及び第2の距離は、前記リターンスプリングにより前記操作要素の前記重心又は前記可動質量の前記重心に加わる回転モーメントを略相殺するよう選択される。
【0006】
本発明によれば、前記リターンスプリングは、前記アクチュエータの有効移動軸と平行に伸びるバネ作用軸を有し、前記アクチュエータの前記有効移動軸が延びている、及び/又は前記操作要素の重心又はとりわけ前記操作要素及びこれに結合された前記駆動要素を含む前記アクチュエータの可動質量の重心が位置している垂直平面上で見た場合、前記リターンスプリングの前記バネ作用軸は、前記アクチュエータの前記有効移動軸からそれぞれ第1の距離及び第2の距離離間した両側に延び、前記リターンスプリングのバネ力に対する寸法決め及び前記第1及び第2の距離は、前記リターンスプリングにより前記操作要素の前記重心又は前記可動質量の前記重心に加わる回転モーメントを略相殺するよう選択される。
【0007】
本発明において、操作要素の作動の能動的触覚フィードバックは操作要素の横方向の撓みによって実現される。作動のために、操作要素は、操作面に略直交して延びる垂直の移動軸に沿って移動される。この作動動作がセンサによって検出されると、横移動方向(例えば左右方向、上向き又は下向き)に操作要素の能動移動が行われる。ここで、操作要素は傾斜しないようにすることが重要であるが、しかしながらこれは、アクチュエータと操作要素との接続が操作要素の重心に位置していない一般的なケースにおいては、特別な手段がない限りほぼ不可能である。操作要素は、対応する表示設計及び技術を有するディスプレイ(液晶ディスプレイ等)と、無視できない設置深さを有するバックライトとを実質的に含む。アクチュエータはこの操作要素の直下に配置されることが理想であることから、駆動要素は、横移動方向の能動的触覚フィードバック動作を生成するために、操作要素または可動部分系の重心を外れた位置で、操作要素または可動部分系とそれぞれ係合する。この結果、適切な対策を講じないと、操作要素の傾斜が避けられず、望ましくない。周知の解決法は、対応して設計されたばねシステムによる強制的な誘導で、これによって操作要素を操作ユニットの筐体に設置する。これは機械的に複雑である。
【発明の効果】
【0008】
そのため、本発明では、(垂直及び横の)リターンスプリングの働きによって操作要素に加わる回転モーメントの相殺を行う。これは、一方では、駆動要素の有効移動軸に対するリターンスプリングの位置決め、及び/又は、他方では、リターンスプリングの寸法決め及び/又は操作要素の重量分布を変える(追加の錘を設ける、又は狙いを定めて重量分布を変える)ことによる操作要素の重心の「再配置」、によって実現される。そのため、設置スペースの状況によりリターンスプリングの位置を変更することが不可能な場合、回転モーメントの相殺はリターンスプリングの寸法決め及び/又は操作要素内の質量分布の変更によって実現できる。結果として、本発明は、あらゆる応用においてデザインの自由度を十分に提供できる。より詳細には、操作要素の重心だけでなく、操作ユニットの可動部分系の重心を考慮する必要がある。ここで、可動部分系は操作要素、アクチュエータの駆動要素(操作要素への取り付け具を含む)、及びリターンスプリング(この質量は無視できる程度ではあるが)を含む。本発明の枠組において、回転モーメント相殺を目的とするリターンスプリングの配置及び/又は寸法決めのために肝要な重心は、触覚フィードバックのために移動される総質量によって決まる。そのため、以下で言及される操作要素の重心とは、触覚フィードバックのために機械的に作動される、弾性支持された可動部分系の重心を指す。
【0009】
本発明の別の有利な実施形態によれば、垂直平面に垂直に延び、アクチュエータの有効移動軸が延びている、及び/又は操作要素の重心又はアクチュエータの可動部分系の重心が位置している傾斜平面上で見た場合、リターンスプリングのバネ作用軸は、アクチュエータの有効移動軸からそれぞれ特定の距離離間した両側に延び、リターンスプリングのバネ力に対する寸法決め及び距離は、リターンスプリングにより操作要素の重心又は可動部分系の重心に加わる回転モーメントを略相殺するよう選択される。
【0010】
アクチュエータの有効移動軸の配向によって定義される傾斜平面についても、上述の垂直面に関する考慮が同じように当てはまる。アクチュエータの有効移動軸が位置する(すなわち、この軸が架け渡されて垂直軸と直行して延びる)この傾斜平面でもやはり、触覚フィードバックのためにアクチュエータが制御された際にこの傾斜平面と水平投影面とに対して振動が発生しないよう、リターンスプリングによって可動部分系に加えられた力を相殺する必要がある。
【0011】
更に、本発明ではアクチュエータを、駆動要素の有効移動軸が操作要素の重心と好適に交差するような配向で機械的に配置する。したがって、操作要素の重心は、駆動要素の有効移動軸の延長線上に位置する。すなわちこの配置では、駆動要素の有効移動軸は、能動触覚フィードバックのための横移動に意図された方向に向かって、鋭角に延びる。したがって、駆動要素の有効移動軸に沿って移動される操作要素によって、意図された横移動成分とは別に、垂直移動成分も有するが、これは顕著な影響をもたらさない。重大なのはむしろ、能動触覚フィードバック中に、操作要素の操作面が空間内の配向を維持すること、つまり、垂直平面及び/又は水平平面で見た場合に、特に無振動で、傾斜配向の平行移動を行うことである。
【0012】
本発明の手段によれば、フィードバックの動作を、駆動要素の有効な方向が操作要素の重心を通過して延びるような純粋な並進運動として行うことができる。
【0013】
操作要素の能動触覚フィードバックの回転成分は、触覚フィードバックの後に操作要素を初期位置に戻すリターンスプリング要素によって更に低減される。リターンスプリング要素は操作要素の重心と共通の平面に設置される。さもなければ、操作要素の能動的触覚フィードバック動作のパターンは回転成分を含むことになる。
【0014】
もしくは、バネ作用軸は、アクチュエータの駆動要素の有効移動軸と一致してもよい。バネ作用軸はその後、共通の直線上に配置される。
【0015】
本発明によれば、リターンスプリング要素から操作要素の重心に加わる回転モーメントが互いに打ち消し合い、アクチュエータの駆動要素の有効移動軸に沿ってフィードバック動作中の操作要素に更なるねじれ又は傾きが起こらないようにする効果が有利に達成される。
【0016】
更に、触覚を往路及び復路において能動制御又はフィードバック制御することが有利である。このためには、可能な限り、操作要素の移動が、本発明のアプローチによって実現される純粋な並進運動であることも極めて重要である。また、本発明のアプローチは、ユーザー面上の作動位置とは無関係に、触覚が常に同じであることを実質的に保証する。本発明によれば、操作要素が純粋な並進運動を行うための、操作要素の弾性支持の複雑な構築ソリューションが不要となる。
【0017】
操作要素の横移動軸と、アクチュエータの駆動要素の有効移動軸とが、操作面に略直交して延びる共通の垂直平面に架け渡されていると有用である。
【0018】
本発明の別の実施形態によれば、筐体は操作要素の下に設置スペースを含み、また、アクチュエータの駆動要素の有効移動軸と操作要素の横移動軸との間の角度を可能な限り小さくするため、アクチュエータは、設置スペースが許す限り操作要素の直下に、及び/又は、設置スペースが許す限り操作要素の重心から離間して配置される。アクチュエータの有効な移動軸と操作要素の横移動軸との間の角度が小さいほど、フィードバック動作の横移動成分に対する操作要素の横移動成分が大きくなる。
【0019】
本発明の別の実施形態によれば、操作ユニットは、操作要素の両側に配置された操作要素用のリターンスプリング要素を含み、リターンスプリング要素の軸は、横移動軸上、又は、アクチュエータの駆動要素の有効な移動軸と操作要素の横移動軸とが架け渡されている平面と略直交する平面上に位置し、かつ横移動軸に対して対称に配置されている。
【0020】
さらに、アクチュエータは、第1励振コイルを含む第1固定子と、駆動要素としての電機子とを有する電機子ソレノイドとして構成され、電機子は、第1励振コイルによって生成された磁束が電機子を通過する際に測定電圧が印加される測定コイルを備え、第1励振コイルと測定コイルとが評価/制御部に接続され、評価/制御部によって力の制御又はフィードバック制御が可能であり、それによりアクチュエータの駆動要素が第1固定子に向かって移動でき、及び、駆動要素の静止位置からの撓み動作ならびに駆動要素の静止位置への戻り動作が制御又はフィードバック制御される。
【0021】
本発明の本実施形態によれば、操作要素の触覚フィードバック用のソレノイドとして構成されたアクチュエータにおいて、比較的正確かつ安価な力測定が有利に提供される。本明細書内において、ソレノイドはシングルタイロッド型でも二重電機子型でもよい。もしくは、アクチュエータは1以上の圧電素子を含んでもよい、すなわち、圧電的に機能してもよい。
【0022】
設置スペースとコスト面の理由から、永久磁石を持たないソレノイド(電機子磁石)が、触覚フィードバック用のアクチュエータとしてしばしば用いられている。このような電機子磁石の固定子は、こうして電磁的に操作される。操作要素の操作面の所望の動作を設定するために、アクチュエータにおける経時的な力の発生は正確に設定可能でなければならない。また、操作要素を前後に移動させる力は毎回能動的にビルドアップされることが求められ得る。これは、2つの電磁固定子間に共通の電機子を有する、二重電機子型のソレノイドによって実現され得る。
【0023】
緩慢に変化する磁場の場合、ソレノイドの力は実質的に、電機子電流と、電機子と固定子との間の空隙とに依存する。しかしながら、触覚フィードバックの場合の力の発生は非常に動的であり、1kHz超の周波数成分を有する。ここで、磁束を誘導するために通常用いられる快削鋼及び電気鋼板の場合、電流と力との関連は自明ではなく、非常に複雑なモデルによってのみ記述可能である。更に、空隙は、機械公差及び操作面の動作のため、正確に把握されず、電機子磁石の力の作用は大まかに概算することしかできない。
【0024】
測定コイルと、そこで低下する誘導電圧によって電機子を通過する磁束を測定する本発明のアプローチでは、電機子の力と動きを制御及びフィードバック制御可能である。更に、電機子の動きは、電機子の前後運動のそれぞれの端部におけるオーバーランが回避可能であるように、狙いを定めて鈍らせることが可能である。
【0025】
上述のとおり、電磁的に操作される2つの固定子の間に電機子が配置されると更に有利である。本発明の本実施形態において、電機子はこのように、第2励振コイルを有する第2固定子を含み、2つの固定子は電機子の両側に配置され、第2励振コイルは評価/制御部にも接続され、評価/制御部によって、それぞれの力が制御又はフィードバック制御可能となり、それにより電機子が第1及び/又は第2固定子に向かってそれぞれの方向に移動でき、また、駆動要素の静止位置からの撓み動作ならびに駆動要素の静止位置への戻り動作が制御又はフィードバック制御される。
【0026】
以下、図面を参照し、本発明をより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】弾性支持された表示要素として設計された操作要素、ならびに操作要素を作動するための能動的触覚フィードバックを有する、車載機器用操作ユニットの模式的側面図。
【
図2】固定子と電機子とを有する電機子磁石として設計されたソレノイドの、電磁的特徴の基本的な説明図。
【
図3】二重ソレノイドとして設計された、能動的触覚フィードバック用アクチュエータの斜視図。
【
図4】
図3に図示したソレノイドの考えうる回路構成を示す図。
【
図5-8】操作要素の重心に加わりその重心の周辺に振動を引き起こす回転モーメントが互いに打ち消し合うように、能動フィードバックを備えた操作要素の戻り動作のために設けられたリターンスプリングの、垂直平面、及び水平又は傾斜平面の両方における配置及び設計の様々な実施形態を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0028】
図1は、操作要素12を含む操作ユニット10の模式的側面図である。本実施形態において操作要素12は、複数の記号フィールド16が表示されるよう適合された操作面14を有する表示アセンブリとして設計されている。一般に、操作要素12はバックライト型である。
【0029】
垂直方向の作動動作(両矢印18)を実行するため、及びこのような作動動作の横方向における確認(
図1の両矢印20)のために、操作要素12は第1リターンスプリング22及び第2リターンスプリング24、24’を介して筐体26に弾性支持される。センサ28は、操作要素が垂直の移動軸に沿って移動したかどうかを判定可能である。これは、評価/制御部30によって確認され、その際、評価/制御部30は、駆動要素34を含むソレノイドとして構成されたアクチュエータ32を制御する。アクチュエータ32の不動固定子部36は筐体26上で支持され、アクチュエータ32の駆動要素34は操作要素12と機械的に連結されている。駆動要素34の有効な移動軸は両矢印38で示されている。
【0030】
操作要素12の設計が大型かつ複雑になるほど、重量が増え、より大きな設置スペースを占有する。触覚フィードバックが操作面14の全体にわたって同質であることが求められるならば、操作要素12は触覚フィードバック中、並進運動のみを行うべきである。理論上これは、アクチュエータ32の駆動要素34を操作要素12の重心40、より正確には弾性支持された可動部分系の重心、に係合させるという非常に単純な方法で実現可能である。しかしながら、設置スペースの制限のため、これは実行不可能である。
【0031】
それでもなお、触覚フィードバック中、操作要素12が並進運動のみを実行することが望ましい場合、比較的単純な設計ソリューションは、操作要素12、アクチュエータ32の駆動要素40、及び全てのリターンスプリング22、24、24’の質量を含む可動部分系41の重心40が、アクチュエータ32の駆動要素34の有効な移動軸38上に位置するような形でアクチュエータ32を配置することである。これは
図1に示されている。
図1はまた、作動動作が検出され、能動フィードバックによって操作要素12の作動が確認された際に、操作要素12が能動的に移動する様子を図示している。
【0032】
操作要素12の横移動軸20、及びアクチュエータ32の駆動要素34の有効移動軸38が架け渡される平面が、この平面44に略直交して延びる。
図1においてこの平面は紙面である。
【0033】
このように、能動触覚フィードバック中の操作要素12の純粋な並進運動は、横方向成分及び垂直成分の両方を含む。操作要素12の操作面14全体にわたって触覚が同質であるべきという要請に関連して、このフィードバック動作が純粋に横方向でないという事実は重要ではない。極めて重要なのは、操作要素12が、触覚フィードバック中に一切の回転動作成分を有しないということ、すなわち、空間内で操作要素12が平行移動するということである。
【0034】
上述のとおり、特に設置スペース及びコストの理由から、操作要素の触覚フィードバック用のアクチュエータは、しばしばソレノイドとして構成される。このソレノイドによって生成された力はソレノイドの電流と空隙とに大きく依存し、これを見積もるには大きな労力が必要である。
図2を参照し、ソレノイドに適用可能な条件を以下に説明する。
【0035】
図2では、固定子及び電機子が透過性の高い材料(通常、快削鋼又は電気鋼板)で形成され、電圧を印加された励振コイルによって磁場が発生しているソレノイドが図示されている。
【0036】
このようなソレノイドの力は、通常、励振電流と空隙のサイズとから算出される。しかしながら、触覚フィードバックの場合の力の発生は非常に動的であり、1kHz超の周波数成分を有する。ここで、磁束を誘導するために通常用いられる快削鋼及び電気鋼板の場合、電流と力との関連は自明ではなく、非常に複雑なモデルによってのみ記述可能である。更に、空隙は、機械公差及び操作面の動作のため、正確に把握されず、電機子磁石の力の作用は大まかに概算することしかできない。一般に、電圧測定は電流測定よりも安価に実現可能であることから、マックスウェルの引張強度の公式と、空隙内の磁束密度を検出する測定コイルとを用いることで、この問題は回避可能である。
【数1】
【0037】
実用において、空隙の磁束密度の不均質性が相対的に低いことは補正係数を用いることで検討可能であり、ひいては、測定コイルによる力測定を単純に実現することにつながる。
【数2】
【0038】
誘導電圧の積分は、通常システム内に存在するマイクロコントローラによってデジタル的に行うことができる。これにより、制御中いつでも力を把握可能になる。
【0039】
図3は、アクチュエータ32の斜視図である。このアクチュエータ32は二重ソレノイドとして構成され、第1固定子48と第2固定子50との間に配置された電機子46として機能する駆動要素34が、有効移動軸38に沿った逆向きの2方向に力を発生可能である。第1及び第2固定子48、50は筐体26に取り付けられ、電機子46は操作要素12に強固に接続されている。第1固定子48は第1励振コイル52を含み、第2固定子50は第2励振コイル54を含む。電機子46は測定コイル56に包囲されている。電機子46の両側には、第1及び第2空隙58、60がそれぞれ設けられている。電機子46に働く力は毎回一方向に配向されるため、励振コイル52、54には同時にではなく交互に電圧が印加される。電機子46に測定コイル56を配置することで、有効移動軸38に沿った有効方向の両方において正確かつ安価な力測定が可能になる。
【0040】
一例として、測定コイル56で誘導された電圧の制御及び評価は、評価/制御部30の一部であってよいマイクロコントローラ62によって行われてよい。マイクロコントローラ62の回路構成の例を
図4に示す。2つの励振コイル52、54を交互に制御するためのPWMクロッキング(通常20kHz超の周波数)を測定信号から除去するため、測定コイル56で誘導された電圧はまず単純なローパスフィルタ64で平滑化される。その後、マイクロコントローラ62が誘導電圧を検出してデジタル的に積分する。ローパスフィルタ64の遮断周波数は、力の発生のうち最も高い周波数成分よりも十分に高い必要がある。
【0041】
図1に関して上述したとおり、リターンスプリング22、24、24’は、それぞれのバネ作用軸42、42’が、重心40を通るアクチュエータ32の有効移動軸38と平行に延びるように配置される。移動中の操作要素12の、リターンスプリング22、24、24’による回転(特に、操作要素12の重心40を水平に通る軸と、垂直に通る軸との両方を中心とした回転)を防止するために、重心40において、リターンスプリング22、24、24’による回転モーメントの合計はゼロになるべきである。このためには、バネ作用軸42、42’が、例えば互いに対し、及び有効移動軸38に対し、平行に延びる(
図1におけるリターンスプリング22、24、24’のバネ効果の三角形を参照)。
【0042】
重心40及びリターンスプリング22、24、24’(及び操作要素12上のリターンスプリング24、24’それぞれの係合点)と、(垂直)リターンスプリング22の同一の特性線及び(横)リターンスプリング24、24’の特性線とが全体的に対称に配置されていることにより、リターンスプリング22、24、24’が発生させる回転モーメントは、操作要素12の重心40に一切加わらない(
図1参照。距離L1及びL2が同一)。しかしながら、このような設置条件や配置条件は、常に実現可能とはいえない。例えば、リターンスプリング24、24’が(特に水平及び/又は垂直平面において)非対称に配置された場合には、レバーアームが原因で、すなわちリターンスプリング22及び24ならびにリターンスプリング22及び24’のバネ作用軸42、42’(アクチュエータ32の有効移動軸38と平行に延びる)から重心40までの距離が原因で、重心40(及び有効移動軸38)に回転モーメントが発生する。触覚フィードバック動作中の、重心40を中心とした操作要素12の回転振動を防ぐためには、これらの回転モーメントを互いに打ち消し合わなければならない。
【0043】
図5から8には、重心40の位置に基づいて、リターンスプリング22、24、24’の配置(操作要素12上におけるリターンスプリング22、24、24’の係合点の位置)及び/又は弾性(巻きの密度によって模式的に図示。巻きが密であるものは、巻きが密でないものよりも弾性が低い、より剛性なバネであることを示す)によって、特に垂直平面(
図5及び6)及び水平平面(
図7及び8のΔhを参照)の両方において、重心40を中心とした可動部分系41の振動を防ぐ/低減することを可能にする様々なシナリオが示されている。部分系41の両側に配置されたリターンスプリング22、24、24’の回転モーメントの相殺は、垂直方向及び水平方向の位置を選択すること(
図6及び7)、及び/又はバネ力を選択すること(
図5及び8)によって実現可能である。また、回転モーメントの相殺は、機械的に励振される可動部分系41の重心を調整する(追加の錘を設ける、質量分布を変更するなど)ことによって実現することもできる。
【0044】
上述した、部分系41の重心40に加わるすべての回転モーメントが互いに打ち消し合うという限界条件は、2次元の問題として考えてよい(垂直及び水平平面)。
【0045】
例えば、2つの回転軸(垂直及び水平)を中心とした操作要素12の望ましくない回転を防止又は低減するために、重心40を通り、互いに垂直に配置された2対のリターンスプリング24、24’が必要となる場合がある。操作要素12を筐体26に弾性結合するには、冒頭で言及した2017年1月24日出願のPCT/EP2017/051416に記載の固定枠を用いることが好ましい。この場合、例えばこのPCT出願PCT/EP2017/051416に記載の2つの横バネアーム(リターンスプリング22、24、24’の機能を実現しているもの)の厚さ、及び/又は断面形状、及び/又は長さ、及び/又は高さ位置によって、操作要素12に加わる回転モーメントを調整できる。
【0046】
バランスの狂った系は、次のいずれかの方法で最適化できる。
アクチュエータの有効軸と相対的なその有効軸に対してリターンスプリングをずらす。
重心をずらす(追加の錘を設ける、又は操作要素の幾何学形状を変更するなどの方法で)。
法線方向に加わるリターンスプリングのバネ力をリターンスプリングごとに変える。
【符号の説明】
【0047】
10:操作ユニット
12:操作要素
14:操作要素の操作面
16:記号フィールド
18:操作要素の垂直移動軸
20:操作要素の横移動軸
22:(垂直)リターンスプリング
24:(横)リターンスプリング
24’:(横)リターンスプリング
26:筐体
28:センサ
30:制御部
32:アクチュエータ
34:アクチュエータの駆動要素
36:アクチュエータの固定子部
38:アクチュエータの有効移動軸
40:可動部分系の重心
41:可動部分系
42:リターンスプリング24及び22のバネ作用軸
42’:リターンスプリング24’及び22’のバネ作用軸
44:平面
46:アンカー
48:固定子
50:固定子
52:励振コイル
54:励振コイル
56:測定コイル
58:空隙
60:空隙
62:マイクロコントローラ
64:ローパスフィルタ
L1:リターンスプリング22、24の作用軸からアクチュエータ32の有効移動軸38までの(第1)距離(垂直平面で見た場合)
L2:リターンスプリング22、24’の作用軸からアクチュエータ32の有効移動軸38までの(第2)距離(垂直平面で見た場合)
L3:リターンスプリング22、24の作用軸からアクチュエータ32の有効移動軸38までの(第3)距離(有効移動軸が架け渡される傾斜平面で見た場合)
L4:リターンスプリング22、24’の作用軸からアクチュエータ32の有効移動軸38までの(第4)距離(有効移動軸が架け渡される傾斜平面で見た場合)