(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6983882
(24)【登録日】2021年11月26日
(45)【発行日】2021年12月17日
(54)【発明の名称】強化された電解浮上による廃水処理のためのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
C02F 1/465 20060101AFI20211206BHJP
C02F 1/70 20060101ALI20211206BHJP
C02F 1/56 20060101ALI20211206BHJP
B01D 19/04 20060101ALI20211206BHJP
C02F 11/127 20190101ALI20211206BHJP
【FI】
C02F1/465ZAB
C02F1/70 Z
C02F1/56 Z
B01D19/04 B
C02F11/127
【請求項の数】21
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2019-521799(P2019-521799)
(86)(22)【出願日】2017年10月31日
(65)【公表番号】特表2019-536617(P2019-536617A)
(43)【公表日】2019年12月19日
(86)【国際出願番号】IB2017056766
(87)【国際公開番号】WO2018083594
(87)【国際公開日】20180511
【審査請求日】2020年9月23日
(31)【優先権主張番号】62/417,013
(32)【優先日】2016年11月3日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】507128654
【氏名又は名称】インドゥストリエ・デ・ノラ・ソチエタ・ペル・アツィオーニ
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】キャスビア、ダナ
(72)【発明者】
【氏名】バリヤ、ルビン
(72)【発明者】
【氏名】パテル、セフル
(72)【発明者】
【氏名】マトウシェク、ルドルフ
(72)【発明者】
【氏名】リーブス、トーマス
【審査官】
富永 正史
(56)【参考文献】
【文献】
特表2012−509170(JP,A)
【文献】
中国特許出願公開第102515398(CN,A)
【文献】
米国特許出願公開第2003/0070993(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2010/0307984(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C02F 1/00− 1/78
C02F 9/00
C02F 11/127
B01D 21/00−21/34
B01D 19/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
廃水処理のための方法であって、
第1の予め設定されたレベルに達するまで、海水を回分槽に充填することと、
前記回分槽内の海水と浮遊固形粒子を含む廃水との混合物が第2の予め設定されたレベルに達するまで、前記回分槽に前記廃水を移送することと、
前記回分槽の外に装着された電解セル内で、前記海水と廃水との混合物の流れに電気分解を施すことにより、電解流を生成することと、
鎮圧室に電解流を配管移送することであって、前記鎮圧室は、前記回分槽の上に装着され、かつ、希釈ポリマ溶液と前記電解流とを分散させるための一体型フローディフューザ板を有するコアレシングパックを備え、前記電解流には、前記電気分解の過程で発生したマイクロ気泡/微細ガス気泡が混入している、前記電解流を配管移送することと、
前記電解セルの出口において、消泡剤貯留室から、薬液注入ポンプにより、希釈消泡剤溶液を注入することと、
インラインミキサ配管の上流において前記希釈ポリマ溶液を注入し、前記電解流と略同時に前記鎮圧室内に配管移送することと、
前記浮遊固形粒子の凝集を促す前記希釈ポリマ溶液と、前記電解流とを、前記回分槽内の残留海水と廃水との上に微細なシャワーとして散布可能にすることと、
前記マイクロ気泡が付着した、前記凝集した固形粒子の顕著な浮力のある層を形成することと、
凝集した前記層から略浄化済みの排水を分離することと、
残留固形粒子を有するスラリを生成するために、前記浄化済みの排水の流れを前記回分槽に噴霧することと、
前記残留固形粒子を圧縮するとともに、遠心分離液を生成するために、前記スラリを脱水することと、
後続の処理サイクルの過程で使用するために、前記回分槽に前記遠心分離液を再循環させることと、を備える方法。
【請求項2】
前記電気分解を施す前に、前記浮遊固形粒子をふやかすことをさらに備える、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記希釈消泡剤溶液は、前記鎮圧室に配管移送される前の前記電解流における余剰の泡の蓄積を管理する、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
ポリマ混合室/混合塔を備えるイン・サイチュ・ポリマ混合システムにおいて、前記希釈ポリマ溶液を生成するために、カチオン性ポリマを予め設定された量の水道水とブレンドすることをさらに備える、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記海水を前記回分槽に移送するのと同時に、前記ブレンドすることのために、前記ポリマ混合室/混合塔内に前記カチオン性ポリマをポンピングする、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記ポリマ混合室/混合塔内のポリマ溶液レベルを検出するために、前記ポリマ混合室/混合塔に、第1の/上側スイッチ及び第2の/下側スイッチを設けることをさらに備え、これにより、最適量の前記希釈ポリマ溶液が前記回分槽に添加されることを確実なものとする、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
前記凝集した前記層から略浄化済みの排水を分離することを可能とするために、沈降時間サイクルを進めることをさらに備える、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記浄化済みの排水を前記回分槽から排出することをさらに備える、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記浄化済みの排水の前記排出を、第3の予め設定されたレベルに達したときに終了させる、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記排出することの前に、前記浄化済みの排水中の残留塩素を、1種以上の化学物質を用いて中和することをさらに備える、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
前記中和することの少なくとも前後いずれか一方に、前記浄化済みの排水の濁度を測定することをさらに備える、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記浄化済みの排水と一緒に凝集した前記層が排出されることを防ぐように、装置を用いて前記回分槽内で凝集した前記層を概ね捕捉することをさらに備える、請求項8に記載の方法。
【請求項13】
前記回分槽内において、概ね空の回分槽に相当する遮断レベルが検出されるまで、スラッジ槽内に前記回分槽から凝集した前記層をポンピングすることをさらに備える、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記廃水の処理のための後続サイクルを開始するために、海水の前記回分槽への充填を再開することをさらに備える、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記後続の処理サイクルにおいて海水を添加する前に、前記海水に補充するための前記遠心分離液を、前記回分槽に戻すために添加する、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
廃水処理のためのシステムであって、
浮遊固形粒子を含む廃水と、海水とを受容するための回分槽と、
前記回分槽に動作可能に連通している電解セルであって、前記回分槽の外に設置され、かつ、前記海水と廃水との混合物の流れを電気分解することにより、電解流を生成するように構成されており、当該電解流が混入したマイクロ気泡/微細ガス気泡を含む、前記電解セルと、
前記回分槽の上に装着され、かつ、前記回分槽及び前記電解セルに流体連通している鎮圧室と、
イン・サイチュ・ポリマ混合システムであって、前記鎮圧室に液体連通するポリマ混合室/混合塔を備え、かつ、前記ポリマ混合室/混合塔は、当該ポリマ混合室/混合塔内のポリマ溶液レベルを検出するために、第1の/上側スイッチ及び第2の/下側スイッチを有する、前記イン・サイチュ・ポリマ混合システムと、を備え、
前記回分槽は、1つ以上のセンサを備え、前記1つ以上のセンサは、
前記回分槽内の予め設定された海水充填レベルに対応した第1の予め設定されたレベルと、
前記回分槽内の予め設定された廃水充填レベルに対応した第2の予め設定されたレベルと、を検出するように構成されており、
前記鎮圧室は、一体型フローディフューザ板を有するコアレシングパックを備える、システム。
【請求項17】
前記システムは、スキッドに搭載されている、請求項16に記載のシステム。
【請求項18】
前記回分槽の外で、前記電解セルに近接して配置された消泡剤注入器をさらに備える、請求項16に記載のシステム。
【請求項19】
浄化済みの排水を排出するためのポートに近接して配置されて、前記浄化済みの排水を中和するための脱塩素剤注入器をさらに備える、請求項16に記載のシステム。
【請求項20】
含水スラリの形態で凝集した固形粒子を受け取るための遠心分離機を備える脱水システムをさらに備える、請求項16に記載のシステム。
【請求項21】
前記脱水システムは、前記凝集した固形粒子/含水スラリの遠心分離/脱水で発生した遠心分離液を前記回分槽に循環させるための配管をさらに備える、請求項20に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、廃水処理に関し、特に、機械的に誘起される電解浮上を用いた、浮遊固形物、有機物、重金属、及び細菌を備える廃水汚染物質の酸化及び除去に関するものである。
【背景技術】
【0002】
水中の固形/浮遊不純物を除去するためのいくつかの従来プロセスがある。しかしながら、これらのプロセスのそれぞれは、以下で説明するような関連した欠点を有する。
加圧浮上法(DAF:Dissolved Air Flotation)は、油及び油脂又は固形物のような浮遊物質を除去することにより廃水を浄化する水処理プロセスである。このような除去は、外部からの圧縮空気供給又はブロワユニットからの空気供給のいずれかを用いて加圧下で廃水中に空気を溶解させた後に、その空気を浮上分離槽内で大気圧で放出することにより実現される。放出された空気は、廃水中の浮遊物質に付着するマイクロ気泡を形成して、浮遊物質を水の表面に浮上させ、その後、そこから浮遊物質を機械的スキミング装置によって除去し得る。しかしながら、高コストの専用ディフューザ及び高圧空気供給装置を用いることなく、浮遊物質を効果的に浮上させるための最適な微細気泡サイズ(気泡束)を形成することは難しい。また、DAF槽の底に取り付けられた気泡ディフューザは、槽の表面積を100%カバーすることはできないので、廃水の一部が処理されることなく最終的にDAF浮上分離プロセスを迂回することを許す。さらに、浮上した固形塊は水面上に残留するので、それらの固形物を槽から効果的に除去するために、機械的スキミング装置又はポンプが必要となる。DAFは、より機械集約的であるが、設備保守がおろそかになりやすい海洋掘削基地のような場所には適していない。
【0003】
電気的に発生させた気泡による浮上分離を伴う電解浮上(EF:ElectroFlotation)は、液相に浮遊又は溶解している浮遊イオン又は固形物質を除去するための、もう1つのプロセスである。EFは、(非酸化材料で構成され得る)カソード及び(鉄又はアルミニウムで構成され得る)アノードを必要とする。電極板又は電極パックが、電源に接続され得るとともに、浮上分離槽内で水面下に配置され得る。電気分解中に、電極板/パックは、小さなガス気泡(例えば、O
2、H
2)を発生させ、その後、それらは、水中の汚染物質(例えば、浮遊固形物)に付着してから、浮上分離槽内で浮上を開始し、そこから回収及び除去することがより容易に可能である。しかしながら、正確な気泡サイズを形成するには、浸漬電極板/パックに対して何らかの電力制御が必要となる。従来のEFプロセスは、電極の表面に形成する鉄又はアルミニウムの水和物及び酸化物の層のために、それを電極から分離しなければ時間と一緒に電流が減少することで水和物の形成が減少するので、継続的な保守が必要であるという欠点がある。その他の欠点は、電極が不均一な摩耗を受けることであり、完全に摩耗する前に電極を頻繁に交換することが必要となる。また、電極板/パックの保守では、浮上分離槽の水を抜くか、又は水ボリュームから電極を保守点検のために取り出すか、いずれかが必要となる。槽の底に取り付けられた電極板/パックによって、槽の水の表面積の100%はカバーされないことが多いので、廃水の一部が最終的に浮上分離プロセスを迂回して未処理のまま処理ユニットから流出することを許す。さらに、DAFプロセスと同様に、浮上した固形塊は水柱の表面上に残留するので、それらの固形物を槽から効果的に除去するために、様々な機械的スキミング装置又はポンプが必要となる。
【0004】
これらの理由から、廃水処理産業、特に海洋汚水処理産業では、効率的な固形物分離、有機物及び細菌の除去のための、技術的かつ経済的に実現可能なシステムを必要としている。
【発明の概要】
【0005】
1つ以上の態様によれば、本発明は、廃水処理のためのシステム及び方法に関するものである。一態様では、本発明は、廃水又は海洋廃水を処理する方法に関するものである。
一態様によれば、廃水処理のためのシステム(すなわち「処理システム」)は、水位制御システムを有する回分式汚水処理用の主槽と、局所取付けされた電気制御盤と、高効率電解セル(群)と、水素希釈用ブロワと、スキッド搭載の自動ポリマブレンド/混合システムと、によって構成される。処理システムは、さらに、船舶に緩結合された亜硫酸/亜硫酸水素ナトリウム貯留/脱塩素(中和)槽と薬液注入ポンプとを備えた脱塩素処理ユニットを備える。脱塩素処理ユニットによって、無塩素の国際海事機関(IMO:International Maritime Organization)準拠の排水が海洋に投棄されることを確実なものとする。この処理システムの処理能力は、小さい設置床面積を利用しつつ、1日当たり4.85〜49.95立方メートルの範囲である。一態様では、この処理システムは、海洋汚水処理のための永久運転又は長期運転が要求される海洋設備及び沖合設備において使用される。
【0006】
この処理システムは、操作員がほとんど介入することなく、自動モードで運転するように設計されている。処理システムは、基地又は船舶の汚水処理要求に基づき、汚水移送装置を初期化して、処理プロセスを開始する。トラブルシューティング並びに緊急排出及び/又は処理システムのフラッシングのために、手動操作モードが提供される。
【0007】
本発明について、添付の図面を参照して、さらに詳細に以下で説明する。それらはすべて、本発明の装置、システム、及び方法を記述するもの、又はそれに関連するものである。それらの図面は、縮尺通りに描かれたものではなく、各種図面に示す類似の各構成要素は、同様の数字で表している。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1A】一実施形態による廃水処理のための例示的なシステムの斜視図。
【
図1B】一実施形態による廃水処理のための例示的なシステムの斜視図。
【
図3A】一実施形態による例示的なポリマ混合システムの斜視図。
【
図3B】一実施形態による例示的なポリマ混合システムの斜視図。
【
図4】一実施形態による廃水処理のための例示的なシステムのブロック図。
【
図5】一実施形態による、廃水処理で発生したスラッジを埋め立て処分のために脱水するための例示的なシステムのブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
文脈に応じて、以下での「発明」という表現はいずれも、場合によっては、いくつかの特定の実施形態のみを指すことがある。他の場合には、「発明」という表現は、請求項のうちの、必ずしもすべてではないが1つ以上に記載の主題を指すことは理解されるであろう。
【0010】
一実施形態において、本発明は、浮遊固形物及びその他の不純物(例えば、有機物、細菌など)を含有する廃水又は海洋廃水を処理するためのシステム100に関する。システム100は、回分式処理システムであり、電解セル(群)を用いて効率的な酸化性物質/マイクロ気泡を生成するとともに、ポリマを凝集剤として用いて浮遊固形物の「浮上層」を形成し、これを各処理サイクルの終わりにシステムから効果的に除去する。
【0011】
本明細書で使用する場合の「廃水」という用語は、生分解性物質の固形汚染物質を有する、沖合基地及び船舶からのブラックウォータ及びグレイウォータ、又は工業、農業、及び都市/家庭の排出源からの廃水流のような、処理対象のあらゆる水を含む。海洋廃水流は、一般的に、ブラックウォータ、グレイウォータ、及びその組み合わせを含む。「ブラックウォータ」という用語は、大腸菌及びその他の桿菌を含む人間の排泄物で汚染された水を指す。「グレイウォータ」という用語は、調理室、洗濯室、流し台、及びシャワーからの水のような、人間の排泄物を含まない使用済み水を指す。一般的に、海洋廃水は、有毒及び無毒の有機汚染物質と無機汚染物質の双方、セルロース、砂、グリット、人間のバイオマスなどを含む、微視的浮遊個体物と巨視的浮遊個体物の双方、並びに乳濁液とガスの双方を含むもので構成されている。ブラックウォータとグレイウォータを合わせた汚染ポテンシャルは、いくつかの廃水パラメータによって示され、生化学的酸素要求量(BOD:Biochemical Oxygen Demand)、化学的酸素要求量(COD:Chemical Oxygen Demand)、大腸菌群、及び浮遊固形物(SS:Suspended Solids)は、主なものである。全浮遊固形物(TSS:Total Suspended Solids)は、本質的に有機物であり得るとともに、有害細菌及びその他の微生物の安全な隠れ場として機能する可能性がある。「廃水」、「汚水」、及び「海洋廃水」という用語は、本明細書では互換可能に使用される。
【0012】
他の実施形態において、本発明は、廃水処理のための方法及び/又は処理サイクルに関する。この方法は、浮遊固形物を効率的に分離し、さらに水を浄化するために、電気分解と、強化された/機械的に誘起される電解浮上段階とに関わる。第1のステップにおいて、有機物の酸化を助ける殺菌剤(例えば、次亜塩素酸ナトリウム)を生成するとともに、マイクロ気泡(水素/酸素)を形成するために、電解セル(群)を使用することができる。これらの気泡によって、回分槽の水ボリューム中の浮遊固形物を浮き上がらせることができる。第2のステップにおいて、少量のポリマを、本システムにおける混合用スプール配管内において、イン・サイチュで混合することができる。混合用スプールを通過するプロセスフローによって、廃水流におけるブレンドポリマの良好な散布が確保される。ポリマが添加されて結合した第1のステップからのマイクロ気泡は、固形物の凝集(agglomeration)と液面での浮上とを促進するための電解浮上状態を作り出す。本方法は、さらに、遠心分離液と埋め立て処分用の圧縮スラッジとを得るために、この処理プロセスにおいて発生する含水重合固形廃棄物/スラッジを処理することに関わる。遠心分離液は、後続の廃水処理サイクルにおいて、海水に補充するため、又は使用する海水量を削減するために使用されることがある。
【0013】
図1A及び
図1Bは、廃水処理のためのシステム100を例示する具体的かつ非限定的な実施形態の斜視図を示している。システム100は、処理対象の廃水を受容するための単一の回分槽105を含む。回分槽105は、さらに、廃水と混合するための海水も収容するように設計されている。例示的な一実施形態において、回分槽105は、耐食アクリルポリウレタンコーティングで被覆された炭素鋼で構成される。回分槽は、スラッジ及び浄化済みの排水を槽の基部から回収することを可能とするように構成されている。従来の槽では、基部から浄化済みの排水を取り出すときに、残存しているスラッジが槽内の他の装置(例えば、電解セル)を塞ぐ/詰まらせることがあり、保守問題を引き起こす。従って、従来の槽では、頂部から固形廃棄物を除去しなければならず、これは、本プロセスとは別の単位操作となる。これにより、パドル、スキーマ、及びその他の機械的装置の追加が必要になることによって、運用コストは増大する。
【0014】
回分槽105、電解セル110、ポリマ混合装置又はシステム130などを含むシステム構成要素は、スキッド125上に簡便に設置される。スキッド125は、コンパクトな鉄骨ベースフレームを備え得る。その他のシステム構成要素については、
図4を参照して説明する。システム100全体にわたって、ポンプ、管、センサ、又は弁のような追加のプロセス装置を採用してよい。システム100は、操作員の介入を最小限として、自動回分モードで運転するように構成されている。システム100は、船舶の汚水処理要求に基づき、汚水移送装置を初期化して、処理を開始することができる。
【0015】
回分槽105は、電解セル110に流体連通している。本明細書で使用する場合の「電解セル」という用語は、1つ、2つ、又は(例えば、より大型の船舶又は処理ユニットで使用するための)複数の電解セルを包含することができる。電解セル110は、回分槽105の外に意図的に配置される。これにより、回分槽105内に収容される構成要素/部品を削減している。また、これによって、腐食/摩耗及び亀裂も最小限に抑えられ、電解セル110の保守は、より簡便となる。(もしセルが回分槽内に配置された場合には、保守作業を実施する前に槽の水を完全に抜かなければならなくなるであろう。)電解セル110から流出する酸化廃水混合物に少量の希釈消泡剤を注入するために、消泡剤注入ポンプ442が設けられる。電解セル110に通電されたときに、ブロワ120が始動するように構成することができる。再循環ポンプ140は、インライン混合用スプール/配管135を通して酸化廃水流を再循環させるように構成される。
【0016】
システム100は、電気制御盤150を含む。制御盤150は、操作が単純かつ簡単である。制御盤150では、システム100の安全かつ効果的な操作のための基本として、スイッチング電源及びスマートリレーコントローラを利用する。すべてのシステム構成要素は、制御盤150に予め配線接続され得る。
【0017】
図2A及び2Bは、電解セル110A、110Bの2通りの例示的な実施形態の等角図を示している。電解セルは、略平坦な/ブック形状のハウジング110A又は略円筒状のハウジング110Bを有することができる。ハウジングの幾何学的形状(110A、110B)に拘らず、電解セル110は、海水から次亜塩素酸ナトリウム及びその他の混合酸化剤を生成することにより廃水中の細菌/病原菌を死滅させるための主要構成要素として機能するように構成される。電解セル110は、1対以上の対向電極(図示せず)と、電極間に電流を印加するための手段(図示せず)である例えばDC電源と、を装備している。保守を最小限とするために、電解セル110内の電極の電気的極性を周期的に(すなわち、処理システムが連続運転されるときには24時間毎に1回)反転させることができる。この作用によって、硬物質(カルシウム及びマグネシウム)の付着物を除去するための、電極のセルフクリーニングが可能となる。処理システム100では、典型的には不均一な摩耗を受けることで完全に摩耗する前に交換が必要となることが多い犠牲電極を収容した電解セル(群)を使用しない。
【0018】
図3A及び3Bは、ポリマ混合システム130の例示的な図を示している。ポリマ混合システム130は、典型的には用水又は水道水である予め測定された量の水とニートポリマを混合するために設けられる。海水を除いて、飲用水又は非飲用水のどちらを用いてもよい。
【0019】
次に
図3Aを参照して、ポリマ混合システム130は、ポリマ混合室/混合塔310を含む。ポリマ混合室/混合塔310は、希釈ポリマ溶液を生成するために、海水以外の非飲用水とニートポリマとをブレンドするための自動高剪断ポリマミキサ320を含む。ほとんどのポリマは高粘性であるため、ポリマの凝集及び「フィッシュアイ」(フィッシュアイとは、混合プロセスでの分散が不十分であることによって生じる球状のポリマ又は部分的に水和したポリマのことである。)を伴うことなく、ポリマをプロセスフローに効果的に散布するためには、適切に混合することが不可欠である。一態様では、ミキサ320は、角孔高剪断ヘッドを備える。ポリマ混合システム130は、モータ330と、モータ330への電気的接続のための接続箱と、を備える。モータ330は、典型的には透明な管片であるシャフトを介して、ミキサ320に動作可能に連結されている。接続箱340は、ポリマミキサのモータへの電気的接続を提供する。
【0020】
次に
図3Bを参照して、ポリマ混合室/混合塔310は、高液位スイッチ350Aと低液位スイッチ350Bである2つのスイッチを含む。システム100が例えば22.5度の傾斜で斜め又は傾斜姿勢であるときであっても、インライン静的混合用スプール/配管135の上流で、再循環する酸化廃水中に最適かつ正確な量の希釈ポリマが添加されることを確実なものとするために、スイッチ350Aと350Bは、異なる高さに設定されている。
【0021】
図1A及び1Bを参照して、希釈ポリマは、希釈ポリマ注入ポンプ155によってインライン静的混合用スプール/配管135の上流で添加されて、鎮圧室115に送られる。
システム100を使用して廃水を処理するための例示的な方法について、
図4を参照して説明する。新たな回分処理サイクルは、自動海水入口弁407を開くことによって予め設定された量の海水405が槽105に送られる充填サイクルで開始する。海水は内部の海水噴霧器410によって槽105に移送される。噴霧器410は、槽105の頂部に沿って構成され得る。海水は、本処理プロセスの重要な要素である。有機物を効果的に除去するとともに糞便性大腸菌を死滅させるための所要量の次亜塩素酸ナトリウムを生成するために、電解酸化/殺菌は、海水に依存するからである。レベルセンサ409から受け取る測定値に基づいて、槽105は、予め規定された槽液位まで充填される。回分槽105内の液位を検出するために、2つ以上のレベルセンサを使用することができるものと理解される。作動している海水供給弁407は、回分槽105内の海水が予め規定された液位に達したら、自動的に閉止/通電停止するように構成されている。
【0022】
回分槽105に海水流が添加されるのと同時に、ニートポリマ注入ポンプ145によって、ニートポリマ流がニートポリマ貯留槽430からポリマ混合室/混合塔310内にポンピングされる。弁437を開くことにより、海水435を除く予め測定された量の飲用水又は非飲用水が、ポリマ混合室/混合塔310内に配管移送され得る。廃水中に浮遊する固形物のフロキュレーション又はアグロメレーションのために有用な希釈/ブレンドポリマ溶液を形成するために、ニートポリマと、海水を除く飲用水又は非飲用水は、ポリマ混合室/混合塔310内で、(
図3Aに示すような)高剪断ミキサによって、予め設定された流量で極めて良好にブレンドされる。
【0023】
予め規定された海水レベルに達したら、レベルセンサ409は、廃水415を移送するための汚水移送ポンプに対して信号を送信することができる。槽105への所望の流量又は最適な流量を確保するために、流量制御ボール弁(図示せず)又は当技術分野で周知の他の機構を汚水移送ポンプ上に設定してよい。回分槽105内に、予め規定されたレベルまで廃水が充填される。予め規定されたレベルに達したら、レベルセンサ409は、廃水移送を終了させるための信号を送信することができる。廃水及び海水の所望の流量は又は最適な流量は、このシステム100の処理能力に依存し得る。
【0024】
回分槽105の片側に、液位計/液位サイトグラス420が接続されることがある。液位計420は、透明管を備える。液位計420は、回分槽105内の液位が変化するときに、回分槽105内の実際の液位についての視覚的指標を与える。これにより、回分槽105内の実際の液位を操作員が監視及び特定するための簡便な機構を提供する。
【0025】
次に、マセレータ/グラインダポンプ425に通電する。弁422が開いて、廃水と海水の混合物流が回分槽105の底からマセレータ425を通って誘導される。マセレータ425は、廃水流に見られる固形物をより小さい粒子サイズに効果的に粉砕又はふやかすように構成されており、これにより、処理を促進するための多くの高表面積を提供するとともに、廃棄物混合物がセルを塞ぐ/詰まらせる恐れなく電解セル110の帯電表面を通過するのを助ける。
【0026】
ふやかされた廃水混合物が電解セル110まで通過することを許すために、ダイバータ弁427を作動又は通電させる。この弁427は、シールフラッシング電磁弁であってよい。電解セル110に通電して、ふやかされた廃水混合物を対向電極の間で効果的に電気分解することで、混合酸化剤を形成する。この酸化剤は、主に次亜塩素酸ナトリウムを含む。次亜塩素酸ナトリウムは、廃水混合物を効果的に酸化することができる。次亜塩素酸ナトリウムは、相当量の有機物を除去するとともに、糞便性大腸菌を破壊する。電解セル110は、動作時に、水界面レベルで微粒子を支持するための微細なガス気泡を生成することができる。廃水混合物の再循環を、予め設定された期間にわたって継続することができる。例えば、廃棄物スラリを、約5〜20分にわたって、電解セル110に再循環させることができる。酸化/電解混合物は、電解セルから、回分槽105に流体連通している鎮圧室115に配管移送される。電解セル110に通電されたときに、ブロワ120が始動するように構成することができる。再生ブロワ120を用いて、周囲空気をベントラインに送り込む。
【0027】
1種以上の希釈消泡剤又は泡消剤を格納するために、消泡剤貯留槽440が設けられる。一態様では、消泡剤は、有機消泡剤である。消泡剤は、ポリオールジエステルを形成するように、天然に存在するトール油脂肪酸(TOFA:Tall Oil Fatty Acid)及びポリオールから誘導されてよい。酸化/電解サイクル中は、電解セル110から流出する酸化廃水混合物に、消泡剤貯留槽440から少量の希釈消泡剤を注入するために、消泡剤注入ポンプ442に通電する。浮遊固形物内に混入するガスによって生じる余剰の泡の蓄積を管理するとともに、電解セル110から流出する酸化流における発泡を最小限に抑えるために、消泡剤を使用する。また、通常は、より小さい気泡は、電解セル110内で電極のカソード面に沿って転がることが多いため、より大きい気泡に合体する。本発明者らは、この合体作用が消泡剤の導入によって抑制されることを発見した。
【0028】
電気分解中に、水素、酸素、及びその他の残留ガスの小さな気泡が、副生成物として発生する。これらのガスは、酸化流に混入する。次亜塩素酸ナトリウム及びガスと混合されたプロセス流/酸化流は、電解セル110から流出すると、鎮圧室115に誘導される。鎮圧室115は、回分槽105の上に設置されている。次亜塩素酸ナトリウム及びガスと混合されたプロセス流が鎮圧室115に流入すると、電解反応で発生した混入ガスは、周囲空気で希釈されて、空気中の水素の爆発下限濃度、すなわちLEL(Lower Explosive Level)の25%未満となる。希釈されたガスは、鎮圧室115から積極的に排出されて、ベントライン445を通って安全な場所に至る。これにより、少なくともより大きなプロセスガス気泡が安全に大気中に排出されることが確実になる。従って、残りのプロセス流は、混入したマイクロ気泡/微細ガス気泡以外は、概ね脱気される。
【0029】
鎮圧室115は、さらに、分散コアレシングパック450を含む。コアレシングパックは、ボックス/容器内に収容された複数の一体型フローディフューザ板又はダイバータ板を備える。マイクロ気泡を含む酸化流は、コアレシングパック450を越えて誘導される。その流れは、板450を通して散布されて、そこから、連続的な流れ、すなわちフローではなく微細液滴として、回分槽105内の水面上に降り注ぐ/散布される。コアレシングパック450は、その流れの接触表面積を増大させて、流れを分散させるとともに、その流動エネルギーを取り除く。
【0030】
板450を収容している鎮圧室115の底は、回分槽105内に開口している。鎮圧室115は、流れの流動を減速させて、流れの中の固形粒子がいずれも分解しないことを確実なものとする。センサ409によって、充填量を制御して、コアレシングパック450の底と回分槽105内の水面との間に予め設定された空隙が維持されることを確実なものとする。この予め設定された空隙は、例えば約2インチ〜8インチに、好ましくは3〜6インチの間に、予め設定されている。この予め設定された間隙によって、回分槽105内での効果的な固形物分離を確保する。
【0031】
ニートポリマ貯留槽/容器430に、ニート/濃縮ポリマが格納され得る。また、ニートポリマ貯留槽430は、同じく(
図1A及び1Bに示す125のような)スキッド上に設置され得る。あるいは、ポリマは、貯蔵容器又はペール缶(図示せず)から取り出されることがある。ポリマは、廃水中に浮遊する固形物の凝集又はアグロメレーションを促進する凝集剤/脱水ポリマである。ポリマは、カチオン性ポリマとすることができる。一態様では、カチオン性ポリマは、カチオン性ポリアクリルアミドである。例えば、ポリマは、高分子量を有する、アクリルアミドと四級化カチオン性モノマとのコポリマ(又はポリアクリルアミドの逆乳濁液)である。カチオン性ポリマは、広いpH範囲(4.0〜9.0)にわたって有効である水溶性凝集剤である。
【0032】
前述のように、ポリマ混合室/混合塔310は、第1のレベル又は高レベルのポリマ溶液と、第2のレベル又は低レベルのポリマ溶液を検出するための、2つのスイッチ350Aと350Bを含む。IMO排出基準を満たすために、ポリマ混合室/混合塔310内のポリマレベルを監視することは重要である。適切な量のブレンド/混合ポリマが回分槽105に添加されることを確実なものとするために、2つのスイッチが不可欠である。実験を通して、本発明者らは、処理システムが傾斜姿勢であるときに、回分溶液に所望量のポリマを混合するためには、スイッチが1つだけでは不十分であることを発見した。従って、ポリマ混合室/混合塔310は、処理プロセスのより良好な制御を得るための安全機能としての2つのスイッチを用いて構成された。
【0033】
再循環ポンプ140は、通電されると、インライン混合用スプール/配管135を通して酸化廃水流を鎮圧室115に戻す再循環を開始させる。さらに希釈ポリマ注入ポンプ155にも通電する。その後、希釈ポリマ注入ポンプ155によって、この混合ポリマ溶液が添加されて、インライン混合用スプール/配管135の上流に注入される。概ね脱気されたプロセス流と同様に、ポリマ溶液は、板450を通して回分槽105内に降り注ぐことが可能である。酸化廃水流の再循環及び希釈ポリマ注入のサイクルが完了した後に、回分槽内において短い(例えば、約5〜15分、好ましくは約10分の)沈静滞留時間が観測される。この沈静滞留時間によって、回分槽105の液体ボリューム表面上の浮上塊層としての、酸化流中の固形物の濃縮と、その浮上層からの浄化排水の分離が促される。
【0034】
鎮圧室115内に配置された板450は、希釈ポリマを含有する酸化廃水流を分散させて、槽105のボリュームの液界面上に降り注ぐ穏やかなシャワーにするように構成されている。続いて、非常に浮力のある浮遊固形塊が水面に形成され、それらの凝集塊にマイクロ気泡が付着している。それらの凝集粒子は、回分槽150内の水上面に浮上層を形成する。この現象は、「電解浮上」(electroflotation)と呼ばれる。従って、原廃水流中の固形粒子は、この時点では、ガス気泡によって、浮上層として回分槽内の水面上に浮上している一方、この浮上層の下には、海に投棄することが可能な、十分に浄化処理された排水がある。
【0035】
ポリマは、2つの機能を果たす。第1に、ポリマは、廃水中に浮遊する固形不純物を引き付けて、それらの表面電荷を中和する。この電荷中和は、電解浮上分離プロセスの鍵である。第2に、ポリマは、酸化廃水流中に含まれる固形不純物の凝集を開始させるための凝集剤として作用する。電解プロセスからの混入マイクロ気泡は、水界面に密集して、廃水流中に見られる凝集粒子の浮上を促す。凝集粒子の密度は、十分に浄化された排水の表面よりも上に留まるような密度である。
【0036】
沈静滞留時間の後に、浄化済みの排水の通過を促すために、ソレノイドによって弁459を作動させる。再循環ポンプ140に通電することで、弁457を通して浄化済みの排水を回収して、海又は任意の指定場所に送る。船外に投棄する前に、硫酸塩系の化学物質を添加することにより、浄化済みの排水流を中和する。このときの中和処理済み流485は、残留塩素を実質的に含まない。浄化済みの排水が取り出されると、滑りやすい凝集スラッジ層が回分槽105の壁を降りていき、槽の側面に付着する。一態様では、スラッジが回分槽105の底に落下しやすくするために、回分槽105の1つ以上の側壁の一部が内側に傾斜している。回分槽105の底に近接して、固形物トラップ455が構成される。固形物トラップ455は、概ね「キノコ」形状のキャップを有する配管固定具を備える。固形物トラップ455は、凝集スラッジと、ポンプ送出時又は排出時の浄化済みの排水との相互汚染がないことを確実なものとするように構成されている。他の実施形態において、キャップは、ベル形状、凸形状、又は傘形状であってよい。他の態様では、固形物トラップ455は、「Pトラップ」配管固定具であってよい。
【0037】
固形物トラップ455は、さらに、浄化済みの上澄み/排水と一緒にスラッジがポンプ送出されることを防ぐように構成されている。固形物トラップ455の上面に、「停止レベル」を設定し得る。排水レベルが停止レベルに達したことをセンサ409で検出したら、再循環ポンプ140への通電を停止する。この作用によって、凝集塊が浄化済みの排水と一緒に排出されることがないように、回分槽105からの浄化済みの排水の排出は停止される。このように、固形物トラップ455は、(凝集の濃度/密度による)凝集塊のトラップとして機能する。
【0038】
少量の浄化済みの排水が回分槽105内に残ることがある。回分槽105は、さらに洗流噴霧器460を含む。洗流噴霧器460は、回分槽105内で、海水噴霧器410の下方、かつ、固形物トラップ455の上方に配置されている。噴霧器460は、それぞれの充填サイクルの開始時に、槽105の内壁に沿って、あらゆる固形粒子、すなわちデブリの内部洗浄を進める。回分槽105内に残留している固形物を残りの浄化済みの排水と混合してスラリを生成するために、洗流噴霧器460を使用することができる。この「槽洗浄」ステップにより、槽105の側壁の適切な洗浄が可能になるとともに、固形物排出サイクルにおける槽105からの回収を容易とするための、スラリの適切な混合が助長される。スラリは、約0.8〜2.5重量%の固形物を含む。槽の底を通して固形物トラップ455からスラリを回収するために、弁422の再設定(又は通電)を行う。弁427及び462を通してスラリを回分槽105に戻すように再循環させるために、マセレータ425に通電する。このステップは、残存している含水固形物を排出用に準備するための「リンスステップ」と呼ばれる。短期間の後に、次は弁462を再設定することで、固形物脱水/処理システム又は顧客の固形物貯留槽への排出が可能となる。マセレータポンプ425は、レベルセンサ409によって回分槽105内で下限遮断レベル測定値が検出されるまで、含水固形物を移送する。下限遮断レベルに達したら、マセレータポンプ425への通電を停止する。排出弁462は、通電停止されて、その「通常」位置に戻る。これにより、1回の完全な回分処理サイクルが基本的に完了する。このとき、回分槽105は再び空になり、次の処理サイクルのために回分槽への海水の充填を開始することができる。システム100が自動運転モードから物理的に抜け出されない限り、又はシステムで障害又は警報が発生しない限り、自動回分運転サイクルを継続することができる。
【0039】
中和プロセスを再び参照して、一態様では、脱塩素処理ユニット480が設けられる。脱塩素処理ユニット480は、薬液注入ポンプ又は定量ポンプ475を含む。回分槽105から流出する十分に浄化処理済みの排水は、船外に投棄する前に、亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、又は二酸化硫黄のような、最適量の1種以上の脱塩素剤を添加することによって、脱塩素化され得る。浄化済みの排水の排出流に脱塩素剤を注入するために、脱塩素処理ユニット480に開始信号が送信され得る。センサ409によって回分槽105内で「下限レベル」切替点が検出されるまで、脱塩素化済み排水を船外にポンプ送出する。これで、再循環ポンプ140への通電を停止し、脱塩素化信号を解除する。排水排出弁459は、通電停止されて、その「通常」位置に戻る。
【0040】
投棄される排水の塩素含有量(<0.5mg/L)は、さらなる処理なしに、海洋環境への排水放出に関するIMO決議MEPC 227(64)の要件を満たすように設定される。脱塩素化済み排水は、環境的に安全であり、残留塩素を実質的に含まない。
【0041】
脱塩素化済み排水485は、配管を通して船外に重力排水され得る。例えば、システム100は、脱塩素化済み排水を船外に投棄するためのステンレス鋼製の遠心式船外排出ポンプ(図示せず)を備え得る。投棄される排水は、100cfu/100ml未満の糞便性大腸菌、17mg/L未満のBOD
5、84mg/L未満のCOD、23mg/L未満のTSS、6〜8.5の間のpH、0.5mg/L未満の全残留塩素、を有する。
【0042】
一態様では、脱塩素処理及び船外投棄される前の浄化処理済み廃水における濁度/全浮遊固形物レベルを、オンライン濁度センサ/トランスミッタ470で監視する。オンライン濁度センサ470は、脱塩素剤が注入される少なくとも前後いずれか一方のいずれかで、投棄排水における(ネフェロメ濁度単位(NTU:Nephelometric Turbidity Unit)の)濁度を検出できるように配置することができる。
【0043】
一態様では、排出された0.8〜2.5重量%の含水固形物/スラッジ465は、スキッド外にある汚水回収/均等化槽に回収されてよい。汚水回収/均等化槽(図示せず)は、システム100の顧客/使用者が提供し得る。
【0044】
他の態様では、回分槽105から排出された0.8〜2.5重量%の含水固形物/スラッジ465に対して、脱水処理のような、さらなる処理を施すことができる。
図5は、
図4を参照して前述した廃水処理プロセスで発生するスラッジを脱水又は圧縮するためのシステム500の例示的なブロック図を示している。脱水システム500は、遠心分離によるスラッジ脱水システムである。脱水システム500は、0.8〜2.5重量%の含水固形物を含むスラッジを、脱水後のスラッジが10〜13重量%の固形物を含む点まで効果的に脱水するように構成されている。脱水後のスラッジは、陸上の都市処理場でのさらなる処理の必要なく、認定クラスB都市固形廃棄物埋め立て施設で処分され得る「クラスB」タイプの衛生廃棄物として分類することができる。この脱水システム500の運転は自動化することができる。脱水システム500は、遠心分離システム制御盤(図示せず)を介して、処理システム100と通信することができる。
【0045】
脱水システム500は自動モードで運転される。脱水システム500は、処理システム100から受け取ったスラッジ排出物に対して脱水運転を開始する準備ができたときに、信号すなわち「遠心分離受け入れ準備完了」信号を送信するように構成されている。
【0046】
次に
図4及び
図5を参照して、処理システム100からのスラッジを脱水システム500に送る準備ができると、マセレータポンプ425は、回分槽105が空になるまで、遠心分離ユニット530への「スラッジ移送」信号のような信号と一緒に、0.8〜2.5重量%の含水固形物/スラッジ流465をスラッジ回収槽510に送る。スラッジ脱水プロセス中は、スラッジ回収槽510をサージ槽として使用する。
【0047】
脱水システム500がない場合には、顧客は、大きな質量及び体積のスラッジを船舶上で貯蔵するという問題に対処しなければならなくなる。例えば、最初の処理サイクル後に、(0.8〜2.5重量%の固形物を含む)大量のスラッジが発生する。顧客は、この量のスラッジ廃棄物を貯蔵期間に応じて格納するために、膨大な容量を有する槽が必要となる。0.8〜2.5重量%の含水固形物を、脱水することによって、約10〜13重量%の濃縮固形物に圧縮する。脱水プロセスから得られる遠心分離液は、回分槽に戻すように再循環させることによって再使用することができ、これにより、海水の使用量を削減する。従って、顧客は、少量の圧縮スラッジを船舶上で貯蔵するだけでよいことになる。弁555は、遠心分離液流560を処理ユニットにおける回分槽105に戻すように誘導することを可能とするために開放される作動ボール弁である。
【0048】
遠心分離液560が処理システム100に送り戻された後に、スラッジ回収槽510のボリュームは、オン/オフ弁516を通して、重力流により再循環槽520に移送される。これにより、スラッジ回収槽510は、空になると、処理システム100からのスラッジ/含水固形物の次の廃棄回分を受け取る準備ができる。
【0049】
次に、脱水システム500は、処理システム100からの次のスラッジ移送回分のための準備として、「遠心分離受け入れ準備完了」信号のような信号を、処理システム100に送信することができる。脱水システム500は、再循環槽520が満杯になると運転を開始する。
【0050】
再循環ポンプ526は、再循環槽520からスラッジを取り出す。ポンプ526は、スラッジ流を遠心分離機530に通過させる。遠心分離機530では、高速回転によって生じる遠心力を用いて、その流体から混入固形物を分離する。遠心分離機530は、流体を受けるための内部の遠心分離ボウル(図示せず)を含む。一態様では、その内容が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第6224532号明細書、第6461286号明細書、第6478724号明細書、第6932757号明細書、第7044904号明細書に記載されているように、遠心分離機530は、軸に関して回転するように構成されたスピンドルであって、これと一緒に回転するように内部の遠心分離ボウルが装着されているスピンドルと、ドライブシャフトと、ドライブシャフトに対して一緒に回転するように装着されたスクレーパブレードであって、遠心分離ボウルの内面に蓄積した固形物を選択的に除去することが可能なスクレーパブレードと、クラッチ機構と、を含むことができる。スラッジは、回転する遠心分離機に流入すると、遠心分離ボウルの壁に隣接して輪を形成する。脱水されたより高密度の固形物は、遠心力によって、遠心分離ボウルの壁に向かって外向きに移動する一方、同時に液体は、ボウルから溢れ出て、再循環槽520内に重力排水される。その液体は、固形物を比較的含んでいない。10〜13重量%の固形物は、遠心分離機の壁に留まっている。これは、流れの混入固形物から流体が分離されつつ、予め設定された時間間隔にわたって継続する。予め設定された時間の経過後に、回転する遠心分離ボウルは減速して停止し、脱水された固形物は、内部スクレーパによって遠心分離ボウルから掻き取られる。これらの固形物は、ボウルから掻き取られる/払い落されると、重力によって脱水固形物回収容器540内に落下することが可能である。脱水固形物回収容器540は、遠心分離機530の下に配置され得る。
【0051】
この工程の全体において、レベル検出器514及び524は、関連付けられた槽510及び520内のレベルを監視することができる。槽510及び520は、それぞれ大気連通用の槽通気口512及び522を備える。再循環槽520内に残った遠心分離液550は、弁528及び545を通して脱水システム500から排出することができる。
【0052】
一態様では、脱水システムは、スラッジを、0.8〜2.5重量%の固形物から、10〜13重量%の固形物に圧縮することができ、これにより、廃棄が必要となるスラッジの質量及び体積を削減する。この場合、顧客は、10〜13重量%の固形物の処分について懸念するだけでよい。脱水システム500は、回分式処理システム100と同時に作動する。
【0053】
一態様では、この廃水処理は、船舶上で実施され得る。この船上処理は、一般的に、都市浄水場又は同等の施設へのアクセスに制限があるような場所で用いられる。そのような場所の例は、船舶及び沖合掘削基地である。
【0054】
本システムの1つ以上の実施形態において、設置面積が低減されており、また、廃水中の固形物と液体を分離するための部品数及び複雑さが低減されることによって(自動弁、電解セル数、日常保守、鋼製支持構造、電力供給、制御システム)、システムの操作がより簡単である。これにより、材料コスト及び製造工数コストも削減される。
【0055】
[型式承認検定試験]
本出願人の処理システムに対して、フランス船級協会(BV:Bureau Veritas)公認機関の監督の下、型式承認検定試験を実施した。国際海事機関(IMO)の海洋環境保護委員会(MEPC:Marine Environmental Protection Committee)によって1976年12月3日の決議MEPC 2(VI)で採択された「排水基準に関する汚水処理施設の性能試験のための指針」並びに2006年10月13日のMEPC 159(55)及び2012年10月5日のMEPC 227(64)で採択された改訂の下で、処理システムを運転した。
【0056】
型式試験のための生汚水特性:型式試験期間全体にわたって、生汚水品質は、決議MEPC 227(64)のセクション5.2で規定されている要件を満たしていた。表1は、生汚水(流入水)について、TSS、BOD
5、COD、濁度の、幾何平均、最小値、最大値を一覧表示している。
【0058】
注記:TSS−全浮遊固形物、BOD
5−5日間の生化学的酸素要求量、COD−化学的酸素要求量、FC−糞便性大腸菌、TRC−全残留塩素、TN−全窒素、TP−全リン。幾何学的計算では、>20,000 CFU/100mLと分析されたFC値は、20,000 CFU/100mLとみなしている。
【0059】
型式試験のための脱塩素排水特性:この流れは、処理システムから流出する船外排水を表している。表2は、脱塩素排水について、TSS、BOD
5、COD、濁度の、幾何平均、最小値、最大値を一覧表示している。
【0061】
注記:TSS−全浮遊固形物、BOD
5−5日間の生化学的酸素要求量、COD−化学的酸素要求量、FC−糞便性大腸菌、TRC−全残留塩素、TN−全窒素、TP−全リン、NA−分析なし。幾何学的計算では、0.0mg/Lと記録されたTRC値は0.001mg/Lとみなし、<2.0mg/Lと記録されたBOD
5値は2.0mg/Lとみなしている。
【0062】
従って、本発明は、前述の目的及び効果、並びにその本来の目的及び効果を達成するのに、よく適合している。上記説明は、本発明を限定するものではなく、本発明は、発明の範囲から逸脱することなく、様々に異なる態様又は実施形態によって用いられてよく、発明の範囲は添付の請求項によって一義的に規定される。文書、法令、資料、考案、条項などについての考察は、単に本発明の背景を提示する目的で、本明細書に記載されている。これらの事項の一部又はすべてが、本出願の各請求項の優先日以前に、従来技術の基礎の一部をなしていたこと、又は本発明に関連した分野において共通の一般的知識であったことを、示唆又は表明するものではない。
【0063】
また、上記で開示した具体的かつ例示的な実施形態は、変更又は変形されてよく、かかるすべての変形は、本発明の範囲及び趣旨の範囲内にあるものとみなされる。システム及び方法について、各種装置/構成要素又はステップを「備えている(comprising)」、「含有している(containing)」、又は「含んでいる(including)」という表現で記述しているが、システム及び方法は、それらの各種構成要素及びステップで「基本的に構成されている(consist essentially of)」又は「構成されている(consist of)」可能性もあるものと理解される。下限及び上限を有する数値範囲が開示されている場合には、いずれも、その範囲内にある任意の数、及びその範囲内に含まれる任意の範囲を具体的に開示するものである。特に、本明細書で開示している(「約aから約bまで」、又は同じように「およそaからbまで」という形式の)値の範囲は、いずれも、より広い値範囲内に包含されるあらゆる数及び範囲を記載しているものと理解されるべきである。また、請求項における用語は、特許権者による明白かつ明確な別段の規定がある場合を除き、その平易な通常の意味を有する。さらに、請求項で使用される場合の不定冠詞「a」又は「an」は、本明細書では、それによって導入される要素の1つ又は複数を意味するものと規定される。本明細書と、参照により本明細書に組み込まれ得る1つ以上の特許又はその他の文献との間で、単語又は用語の使い方に何らかの矛盾がある場合には、本明細書に沿った定義を採用すべきである。