【課題を解決するための手段】
【0011】
この目的は、主要な請求項による本発明に係るプリントヘッドによって達成される。
【0012】
まず、本発明の文脈において用いられる「プリントヘッド」という用語は、一般的に理解されるべきであり、塗布されるべきコーティング剤のスプレーを吐出する噴霧器(例えば、回転噴霧器、円盤噴霧器、エアレス噴霧器、エアミックス噴霧器、超音波噴霧器)から区別するに役立つだけであることに注意されたい。反対に、本発明に係るプリントヘッドはコーティング剤の空間的に限定されたジェットを吐出する。このようなプリントヘッドは、最新技術から知られており、例えば、特許文献7、特許文献2及び特許文献3に記載されている。
【0013】
本発明に係るプリントヘッドは、好ましくは、塗料(例えば、ベースコート、クリアコート、水性塗料、溶剤系塗料)の塗布のために用いられることにも言及されるべきである。しかし、本発明に係るプリントヘッドは、その代わりに、僅かな数例の名前を挙げると、シーラント、絶縁材料、接着剤、プライマー等の他のコーティング剤の塗布のために設計され得る。
【0014】
最新技術に従い、本発明に係るプリントヘッドは、コーティング剤を吐出する少なくとも1つのノズルを含むノズルプレートを備える。好ましくは、このノズルは、コーティングされるべき部品上に前述のコーティング剤のジェットを吐出する。しかし、ノズルがプリントヘッドの内部に配置され、コーティング剤を外部吐出ノズルに通過させるだけであり、その後、ノズルがコーティング剤のジェットを部品に塗布する可能性もあり得る。
【0015】
加えて、最新技術に従い、本発明に係るプリントヘッドは、ノズルを通したコーティング剤の解放を制御するバルブ要素を備える。このバルブ要素は、ノズルプレートに対して相対的に可動であり、閉鎖位置においてノズルを閉鎖するが、この可動バルブ要素は、開放位置においてノズルを解放する。
【0016】
好ましくは、閉鎖位置と開放位置との間のバルブ要素の移動は純粋な直線運動(変位運動)であるが、本発明の範囲内で、開放位置と閉鎖位置との間で他の運動の可能性も基本的にあり得る。バルブ要素の回転運動、旋回運動又は組み合わされた回転と直線の運動は、少数の例にすぎない。
【0017】
さらに、本発明に係るプリントヘッドは、バルブ要素の閉鎖位置において、可動バルブ要素に対してノズルを封止する封止部を含む。
【0018】
しかし、本発明に係るプリントヘッドの場合には、上述の問題に関連するため、この封止部は、好ましくはバルブ要素上の弾性体挿入部としては設計されない。
【0019】
例えば、封止部はノズルプレート上に配置され得る、即ち、既知の弾性体挿入部と同様に可動バルブ要素上には配置されない。その代わりに、本発明に係る封止部は、ノズルプレートではなく、可動バルブ要素と接続されることも可能である。加えて、これらの2つの代替を組み合わせることも可能であり、これによって、封止部は可動バルブ要素とノズルプレートの両方に接続され、この場合には、ノズルと、2つの封止部が互いに相互作用する。
【0020】
封止部は、好ましくは平坦であり、閉鎖位置において、動くバルブ要素と封止部との間に平坦な接触を形成することにも言及されるべきである。例えば、平坦な封止プレート又は封止層がこの目的のためにノズルプレートの内部に適用され得る。
【0021】
さらに、本発明の一実施形態において、可動バルブ要素の形状は、ノズルの形状と相補的であり、閉鎖位置におけるノズルに投影する可能性がある。例えば、ノズルは流れの方向に円錐状に狭まり得る。可動バルブ要素は、好ましくは、ノズルと同一の円錐角で自由端に向けて円錐状に先細るはずであり、このため、バルブ要素とノズルは対応する形状適合を形成し、このことは、封止の効果を改善する。代わりに、好ましくは、可動バルブ要素も半球型の外部輪郭を有するように、例えば、ノズルが半球型の内部輪郭を有することも可能である。
【0022】
封止部は、ノズルの内側面に適用され得ることも言及されるべきである。ノズルの内部輪郭が先細るならば、封止部は、好ましくは、ノズルの内側面を覆うであろう。
【0023】
本発明の別の実施形態においては、プリントヘッドは、柔軟なシーリング膜を備え、それにより、柔軟なシーリング膜は可動バルブ要素を形成し、閉鎖位置においてノズルを閉鎖し、開放位置においてノズルを解放する。このシーリング膜は、閉鎖位置と開放位置との間でバルブアクチュエータによって歪められる。一方で、柔軟なシーリング膜は、閉鎖位置でこのようにしてノズルを封止する。他方で、シーリング膜は、バルブアクチュエータがコーティング剤と接することにならないように、コーティング剤の供給部のバルブアクチュエータからの分離も行う。これは、異なる複数の色のコーティング剤が次々に塗布されることになっていて、そのため、プリントヘッドがフラッシング剤で濯がれなければならない場合に、特に有利である。柔軟なシーリング膜は、バルブアクチュエータ内にコーティングが堆積することを防止し、滑らかな表面のおかげで、良好なフラッシング性能をも可能にする。
【0024】
加えて、シーリング膜は弾性を有していてもよく、そうならばリターンスプリングの機能を実現し、シーリング膜を静止位置、特に、閉鎖位置に押し入れる。バルブアクチュエータは、好ましくは、シーリング膜を開放位置に歪ませるが、シーリング膜はばねの弾性のためバルブアクチュエータによって動かされることなく閉鎖位置に押し込まれる。しかし、本発明の範囲内において、シーリング膜はばねの弾性のため開放位置に押し込まれてもよく、バルブアクチュエータはシーリング膜を閉鎖位置に押し込む可能性もある。
【0025】
可動バルブ駆動部を動かすため、好ましくは、プリントヘッドは可動バルブ駆動部を有する。この発明の一例において、バルブ駆動部は、可動バルブ要素と機械的に結合された柔軟な駆動膜を備え、駆動膜を歪めることによりバルブ要素を動かすため、駆動流体(例えば、作動油、圧縮空気)を供給され得る。
【0026】
アクチュエータ膜は、コーティング剤自身による作用を受ける可能性もある。その代わりに、駆動流体は、塗料の一部、例えば、バインダ、溶剤、Mesamol(商標)又は類似物から構成されていてもよい。膜が破れる場合、このことは、化学反応又は不適合ではないであろう。
【0027】
バルブアクチュエータのこの変更例は、ノズルとアクチュエータ流体との間に2つの封止部があり、一方はアクチュエータ膜を介した封止部であり、他方は柔軟なシーリング膜を介した封止部であるため、上記の柔軟なシーリング膜との組合せで特に有利である。このようにして、ノズルを通したアクチュエータ流体(例えば、作動油)の漏れは、二重の安全性をもって予防され得る。
【0028】
しかし、本発明の範囲内において、バルブ駆動部の他の設計も可能である。例えば、バルブ駆動部は、コイルとそのコイル内の可動電機子を備えるソレノイドアクチュエータとして設計されてもよく、それにより、電機子は、可動バルブ要素と機械的に結合され、コイルに供給される電流に応じて開放位置と閉鎖位置との間を移動させられる。
【0029】
本発明の一実施形態において、バルブ要素(例えば、タペット)はプリントヘッド内に固定されているが、ノズルプレートは弾力的で柔軟であり、バルブアクチュエータによって曲げられる。閉鎖位置においては、ノズルプレートが平坦で、可動バルブ要素(例えば、タペット)の自由端にノズルで密封するように、バルブ駆動部は、好ましくは、ノズルプレートに力をかけない。他方、開放位置においては、ノズルが一定のストロークでバルブ要素の自由端から離され、コーティング剤がノズルから離れられるように、バルブ駆動部はノズルプレートを曲げる。閉鎖位置と開放位置との間ノズル領域におけるノズルプレートのストロークは、好ましくは、約30μmである。
【0030】
封止部は平坦であってもよいことがすでに冒頭で簡潔に言及された。例として、封止部は、例えば、ノズルプレート上に加硫され、蒸発させられ、層形成プロセスによって塗布され又は印刷された、封止層を備えてもよい。
【0031】
代わりに、封止部は、例えば、ノズルプレート上に糊付けされ、配置され、接着され、又はラミネート加工され得るフィルムを備えることも可能である。
【0032】
本発明の範囲内における材料の選択に関して、可動要素は、好ましくは、少なくとも部分的には、金属、プラスチック又は珪素からなることに言及されるべきである。
【0033】
さらに、本発明に係るプリントヘッドは、好ましくは、バルブ要素側とノズル側との間のノズル上に、次の材料の組合せの1つを有する。
金属上の金属、
金属上のプラスチック、
プラスチック上の金属、
珪素上のプラスチック、
珪素上の珪素、又は、
珪素上の金属。
【0034】
例えば、可動バルブ要素は、金属でできており、かつ、プラスチックのタペットに結合され得る。
【0035】
加えて、開口部は珪素でできているか、又は珪素の開口挿入部を備えていてもよいが、可動バルブ要素は、少なくとも部分的には鉄、ゴム又はプラスチック(例えば、PTFE:ポリテトラフルオロエチレン)でできている。
【0036】
可動バルブ要素が開放位置から閉鎖位置に移動するとき、封止部は、通常、バルブ要素の移動も閉鎖位置までに限定する機械的な停止部を形成する。そのため、封止部は、2つの機能、第1に実際の封止機能、第2に機械的な停止部の機能を有する。
【0037】
本発明の別の実施形態において、バルブ要素の移動を閉鎖位置までに限定するための別途の機械的な停止部が提供される。これは、規定の圧縮力が封止部に作用するため、有利であり得る。
【0038】
機械的な停止部は、好ましくは、バルブ要素側とノズル側との間に材料の対を有し、両側に金属を提供する。他方、封止部は、好ましくは、弾性を有し、閉鎖位置において、機械的な停止部によって規定される特定の材料の圧縮を受ける。
【0039】
本発明の別の実施形態において、他方で、可動バルブ要素は、好ましくは、開放位置と閉鎖位置との間でタペットを通してバルブアクチュエータによって動かされ得るバルブプレートとして設計される。
【0040】
本発明の変更例において、タペットはノズルから突き出し、バルブプレートはバルブ駆動部とは反対側のノズルプレートの下側の閉鎖位置にある。そして、バルブプレートは、ノズルを閉じるためにノズルに向かって引っ張られ、一方、ノズルプレートは、ノズルを開けるためにノズルから押し出される。
【0041】
別の変更例において、ノズル流路は、少なくとも1つのノズルに供給されるノズルプレートを貫く。閉鎖位置において、板状のバルブ要素は、バルブ駆動部に面するノズル流路の上部と密着している。
【0042】
プリントヘッドが、従来の噴霧器(例えば、回転噴霧器)によって吐出されるようなスプレーミストとは対照的に、好ましくは、狭く限定されたコーティング剤のジェットを吐出することは、すでに説明された。
【0043】
ジェットの長手方向に連続的なコーティング剤のジェットとは対照的に、プリントヘッドが液滴のジェットを吐出してもよいことに言及されるべきである。しかし、本発明の範囲内で、液滴のジェットとは対照的に、プリントヘッドがジェットの長手方向に互いに接続されるコーティング剤のジェットを吐出することも可能である。
【0044】
特定の応用において、より高い塗布効率及び/又はエッジにおける静電気的な回り込み(帯電した塗料は電気力線に沿って移動して、エッジ近くの塗布器から離れた表面に塗布する。)などの静電塗装の追加的な長所を利用するために、プリントヘッド全体に対して、又はプリントヘッドの個別の構成要素に対して(例えば、ノズルプレート1に対して)、高電圧(30−90kV)を加えることは、有利であり得る。
【0045】
もし静電気的な帯電が使われるならば、導電性の塗料を扱うときに、材料供給部において電位の分離システムが用いられなければならないかもしれない。この場合には、塗布器のすべての構成要素も高電圧に耐えるように設計されなければならない。
【0046】
本発明に係るプリントヘッドの特別な長所は、ほとんどオーバースプレーする必要なく上手くできるという事実、即ち、このプリントヘッドは、好ましくは、少なくとも80%、90%、95%又は99%の塗布効率を達成するので、本質的に全体的な塗布されるコーティング剤が、オーバースプレー形成をすることなしに、部品上に完全に堆積することである。
【0047】
プリントヘッドが車体部品に連続的に塗装するときに面のコーティングにも適するように、プリントヘッドは、好ましくは、大きな面のコーティング能力を備えることにも言及されるべきである。プリントヘッドは、そのため、好ましくは、少なくとも、毎分0.5m
2、毎分1m
2、毎分2m
2又は毎分3m
2もの表面コーティング性能を備える。
【0048】
さらに、本発明は、本発明に係る上述のプリントヘッドの保護を単一の部品として求めるだけではないことに言及されるべきである。むしろ、本発明は、部品(例えば、自動車の車体部品)に塗布するための完全なコーティングシステム(例えば、塗布システム)の保護をも求め、それにより、本発明に係るプリントヘッドは、塗布装置として用いられる。
【0049】
例えば、本発明に係るプリントヘッドは、好ましくは、少なくとも6つの可動ロボット軸を有する直列的な運動力学を備える、多軸塗布ロボットによって導かれることができる。
【0050】
本発明の他の有利な変形は、従属請求項において示されるか、又は次に示す図面を用いた本発明の好適な実施形態の記載とともに、以下でより詳細に説明される。