特許第6983892号(P6983892)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6983892
(24)【登録日】2021年11月26日
(45)【発行日】2021年12月17日
(54)【発明の名称】液体中の負荷に給電するための負荷装置
(51)【国際特許分類】
   B63B 59/04 20060101AFI20211206BHJP
   G02B 6/00 20060101ALI20211206BHJP
   H02J 50/20 20160101ALI20211206BHJP
【FI】
   B63B59/04 A
   G02B6/00 331
   H02J50/20
   B63B59/04 C
【請求項の数】15
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2019-533023(P2019-533023)
(86)(22)【出願日】2017年12月14日
(65)【公表番号】特表2020-516508(P2020-516508A)
(43)【公表日】2020年6月11日
(86)【国際出願番号】EP2017082923
(87)【国際公開番号】WO2018114630
(87)【国際公開日】20180628
【審査請求日】2020年12月11日
(31)【優先権主張番号】16205379.7
(32)【優先日】2016年12月20日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
【氏名又は名称原語表記】KONINKLIJKE PHILIPS N.V.
(74)【代理人】
【識別番号】110001690
【氏名又は名称】特許業務法人M&Sパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】デルデン マーク
(72)【発明者】
【氏名】ヨンゲリウス ミヒール ヨハネス
(72)【発明者】
【氏名】バン デルデン マーティヌス ヘルマヌス ウィルヘルムス マリア
【審査官】 福田 信成
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第4283461(US,A)
【文献】 特開昭59−124489(JP,A)
【文献】 特開平4−83888(JP,A)
【文献】 特開平11−244861(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0048877(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B63B 59/04
G02B 6/00
H02J 50/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体にさらされた海洋構造物の表面における負荷に給電するための負荷装置であって、前記液体が、電気伝導媒体を構成し、前記負荷装置が、
送信器装置と、
シートとして形作られた少なくとも1つのキャリア媒体と
を備え、
前記キャリア媒体が、前記海洋構造物の前記表面内、又は当該表面上に配置される後面と、前記液体に接触する前面とを含み、
前記キャリア媒体が、
前記キャリア媒体に埋設された多数の負荷であって、各負荷が、電源から電源電流を受信するために、第1の給電ノードと第2の給電ノードとの間に結合された、前記多数の負荷と、
前記前面における複数の前電極であって、各前電極が、前記第1の給電ノードのうちの1つ又は複数に接続され、前記電気伝導媒体に結合された、前記複数の前電極と、
前記第2の給電ノードのうちの1つ又は複数に接続された1つ又は複数の後電極であって、各後電極が、前記海洋構造物の反対側エリア及び誘電体層と組み合わされて、前記第2の給電ノードと前記海洋構造物に結合された前記電源の1つの極性部との間における電源電流の容量性の伝達のための後コンデンサを形成するように、前記後面付近において前記キャリア媒体に埋設された後電気伝導層を備える、前記1つ又は複数の後電極と、
を備え、
前記送信器装置が、前記電源の他方の極性部に結合するための電源線と、前記電源線にガルバニック的に接続された多数の送信器とを含み、前記多数の送信器が、前記複数の前電極付近において前記電気伝導媒体に接触する前記電源線に沿って分布し、それぞれの送信器が、それぞれの1つ又は複数の前電極付近に位置する、
負荷装置。
【請求項2】
前記前電極は、前記第1の給電ノードと前記電気伝導媒体との間における電源電流の伝達のための、前記液体にガルバニック的に接触した前記前面における伝導部を備える、請求項1に記載の負荷装置。
【請求項3】
前記前電極は、前記前面付近において前記キャリア媒体に埋設された電気伝導層を備え、埋設された前記電気伝導層は、前記液体の反対側エリア、及び、前記キャリア媒体の材料により構成された誘電体層と組み合わされて、前記第1の給電ノードと前記電気伝導媒体との間における電源電流の容量性の伝達のための前コンデンサを形成する、請求項1に記載の負荷装置。
【請求項4】
前記電源線は、
絶縁カバー内の電源伝導体と、
前記液体に接触するために前記絶縁カバーから延びた電気伝導突出部を備える1つ又は複数の送信器、及び、前記液体に接触するために局所的に前記絶縁カバーを含まない前記電源伝導体のむき出しのエリアにより形成される1つ又は複数の送信器、並びに
前記液体に接触するために局所的に前記絶縁カバーを含まない前記電源伝導体のむき出しのエリアにより形成される1つ又は複数の送信器
のうちの一方と
を備える、請求項1乃至3の何れか一項に記載の負荷装置。
【請求項5】
前記電源線は、絶縁カバー内に電源伝導体を備え、各送信器は、前記絶縁カバー内において当該絶縁カバーの表面付近に埋設された送信器層を備え、前記送信器層は、導電性であり、前記電源伝導体に接続されて、前記液体の反対側エリア、及び、前記絶縁カバーの材料により構成された誘電体層と組み合わされて、前記電源線と前記液体との間における電源電流の容量性の伝達のための送信器コンデンサを形成する、請求項1乃至3の何れか一項に記載の負荷装置。
【請求項6】
前記送信器装置は、それぞれのリード線においてそれぞれの送信器を含む多リード線ケーブルを備え、前記多リード線ケーブルは、前記電源線を構成するために前記リード線を前記電源の前記他方の極性部に接続し、前記海洋構造物の前記表面にわたって前記リード線を分離して、分布させる、請求項1乃至5の何れか一項に記載の負荷装置。
【請求項7】
前記送信器装置は、絶縁された配線と、それぞれの配線においてそれぞれの送信器とを含む配線メッシュを備え、前記配線メッシュは、前記電源線を構成するために前記電源の前記他方の極性部に接続され、前記海洋構造物の前記表面にわたって分布する、請求項1乃至6の何れか一項に記載の負荷装置。
【請求項8】
前記キャリア媒体は、前記後コンデンサ、前コンデンサ、及び送信器コンデンサのうちの少なくとも1つと組み合わされて、共振周波数でAC電源電圧を生成する前記電源により給電されて前記共振周波数で共振する回路を構成するために、前記負荷に接続されたインダクタを備える、請求項1乃至7の何れか一項に記載の負荷装置。
【請求項9】
前記キャリア媒体は、前記負荷に接続された単巻変圧器を備え、各単巻変圧器は、前記前電極及び前記後電極に接続された低電圧接続体と、前記負荷に接続された高電圧接続体とを含む、請求項1乃至8の何れか一項に記載の負荷装置。
【請求項10】
異なるインダクタ又は単巻変圧器が、異なる共振周波数でAC電源電圧を生成する前記電源により選択的に給電されるように、それぞれの前記後コンデンサ、前コンデンサ、及び送信器コンデンサと組み合わされて、前記異なる共振周波数で共振するそれぞれの回路を構成する、請求項8又は9に記載の負荷装置。
【請求項11】
前記キャリア媒体は、前記負荷に直列に接続されたコンデンサを備える、請求項1乃至10の何れか一項に記載の負荷装置。
【請求項12】
前記キャリア媒体は光学媒体であり、前記負荷は、汚損生物を含有する汚損液体である前記液体に接触した前記海洋構造物の前記表面の防汚のための防汚光を出射するためのUV光源である、請求項1乃至11の何れか一項に記載の負荷装置。
【請求項13】
電気伝導媒体を構成する液体にさらされる表面を含む海洋構造物であって、前記海洋構造物が、少なくとも1つの請求項1乃至12の何れか一項に記載の負荷装置を備え、
前記少なくとも1つのキャリア媒体が、前記海洋構造物の前記表面内、又は当該表面上に前記後面を含む当該海洋構造物に装着され、
前記少なくとも1つの送信器装置が、前記複数の前電極付近において前記海洋構造物の前記表面に配置され、
前記海洋構造物が、
前記海洋構造物と、電源から前記負荷に電源電流を伝達するための前記送信器装置の前記電源線との間に結合された前記電源
を備える、海洋構造物。
【請求項14】
前記少なくとも1つの送信器装置の送信器の総数が、前記少なくとも1つのキャリア媒体の前電極の総数よりも少ない、請求項13に記載の海洋構造物。
【請求項15】
請求項1乃至12の何れか一項に記載の負荷装置を設置するための方法であって、
前記液体にさらされる前記海洋構造物の前記表面に少なくとも1つの前記シートを装着するステップと、
前記複数の前電極付近において前記海洋構造物の前記表面に前記送信器装置を配置するステップと、
前記海洋構造物と、前記電源から前記負荷に電源電流を伝達するための前記送信器装置の前記電源線との間に結合された前記電源を提供するステップと、
を有する、方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、海水などの液体にさらされた海洋構造物の表面における負荷に給電するための負荷装置に関する。液体は、電気伝導媒体を構成する。負荷は、キャリアに埋設されており、電源から電源電流を受信するために第1の給電ノードと第2の給電ノードとの間に結合される。
【背景技術】
【0002】
それらの耐用期間の少なくとも一部にわたって水にさらされた表面の生物汚損は、多くの分野で重大な問題をもたらすよく知られた現象である。例えば、海運の分野では、船の船殻における生物汚損は、船の抗力の深刻な増加、つまりは船の燃料消費量の増加をもたらすことが知られている。この点について、最大40%の燃料消費量の増加が生物汚損に起因し得ると推定される。
【0003】
概して、生物汚損は、表面における微生物、植物、藻、小動物などの蓄積である。ある推定によると4,000を越える生物を含む1,800を越える種が生物汚損の原因とされる。従って、生物汚損は、幅広い様々な生物によりもたらされ、表面へのフジツボ及び海藻の付着よりもはるかに多くのものが関与する。生物汚損は、生物膜の形成及び細菌付着を含むマイクロ汚損と、より大きな生物の付着を含むマクロ汚損とに分類される。何がそれらの定着を防止するかを特定する個別化された化学及び生物学に基づいて、生物は、さらに硬質又は軟質に分類される。硬質汚損生物は、フジツボ、表面を覆うコケムシ、軟体動物、多毛類の動物及び他の棲管虫、及び、カワホトトギスガイなどの石灰質生物を含む。軟質汚損生物は、海藻、ヒドロ虫、藻、及び生物膜「粘着物」などの非石灰質生物を含む。一緒に、これらの生物は汚損コミュニティを形成する。
【0004】
ここまでに説明されるように、生物汚損は重大な問題を生み出す。生物汚損は、機械が動作を停止すること、及び水口が詰まることをもたらし、単なる例示であるが、上述の船の抗力の増加の他に2つの他の否定的な結果をもたらし得る。従って、生物防汚の話題、すなわち、生物汚損の除去又は防止の工程はよく知られている。
【0005】
WO2014/188347A1は、表面が液体環境、特に、水性環境又は油性環境中に少なくとも部分的に沈められた状態での、表面の防汚の方法について説明している。この方法は、露出された表面において光学媒体に埋設された光源から防汚光を提供することをともない、光学媒体は、実質的に平面の出射面を含む。防汚光は、光学媒体の出射面から、露出された表面から離れる方向に出射され、防汚光は、紫外光である。光源は、給電されることを必要とし、従って、海洋構造物の表面において給電される負荷の一例を構成する。WO2014/188347A1は、光学媒体に埋設された配線を介してこのような負荷に給電することについて説明する。
【0006】
WO2016193114A1は、使用中に水中に少なくとも部分的に沈められる物体について説明しており、物体は、UV出射要素を備える生物防汚システムをさらに備え、UV出射要素は、1つ又は複数の光源を備え、(i)物体の外面の部分と、(ii)外面の部分に隣接した水とのうちの1つ又は複数を、照射段階中にUV放射光を使用して照射するように構成されており、物体が、船舶とインフラストラクチャー物体とからなる群から選択され、物体が、水スイッチをさらに備え、水スイッチが水と物理的接触したことに応じて、生物防汚システムが、部分にUV放射光を提供するように構成される。
【0007】
WO2010079401A1は、反応チャンバを規定する反応室エンクロージャを含む光反応室について説明している。反応チャンバにおいて、非常に高い周波数で動作する光源が、対処される流体に光を放射するように配置される。低電圧電極が、光源を囲むように配置される。光源は、反応室エンクロージャに隣接して配置された駆動回路により通電される。駆動回路は、光源の高電圧入力端子に接続された高電圧出力端子を含む。駆動回路は、低電圧電極に接続された低電圧出力端子を含む。
【0008】
WO2016193055は、使用中に水中に少なくとも部分的に沈められる物体について説明しており、物体は、船舶とインフラストラクチャー物体とからなる群から選択され、物体は、UV出射要素を備える生物防汚システムをさらに備え、UV出射要素は、(i)物体の外面の第1の部分と、(ii)物体の外面の第1の部分に隣接した水とのうちの1つ又は複数を、照射段階中にUV放射光を使用して照射するように構成されており、物体が、突出要素間に構成された、及び、突出要素に対して窪むように構成されたUV出射要素を含む突出要素をさらに備える。
【0009】
WO2016096770A1は、使用中に少なくとも一時的に水にさらされるその外面に沿った生物汚損を防ぐか、又は減らすように構成された海底ケーブルデバイスについて説明している。本発明による海底ケーブルデバイスは、防汚光を生成するように構成された少なくとも1つの光源と、防汚光の少なくとも一部を受容するように構成された少なくとも1つの光学媒体とを備える。光学媒体は、外面の少なくとも一部に、防汚光の少なくとも一部を提供するように構成された少なくとも1つの出射面を備える。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
以上のことからWO2014/188347A1は、海洋構造物の表面に防汚光を提供するという主題に対処すると言える。電気負荷がキャリアに埋設されており、キャリアに埋設された配線を介して給電される。それぞれのキャリアを電源に接続するために、例えば、高価であり信頼できない電力線及び電力コネクタを使用して、ガルバニック接続が作られる必要がある。従って、より利便性の高い、信頼可能な手法により、このような光源及び他の負荷に電力を供給する必要性が存在する。
【0011】
本発明は、液体にさらされた表面における負荷に給電するための負荷装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明によると、液体にさらされた海洋構造物の表面における負荷に給電するための負荷装置が提供され、液体が、電気伝導媒体を構成し、負荷装置が、
− 送信器装置と
− シートとして形作られた少なくとも1つのキャリア媒体と
を備え、
キャリア媒体が、海洋構造物の表面内、又は表面上に配置される後面と、液体に接触する前面とを含み、
キャリア媒体が、
− キャリア媒体に埋設された多数の負荷であって、
各負荷が、電源から電源電流を受信するために、第1の給電ノードと第2の給電ノードとの間に結合された、多数の負荷と、
− 前面における複数の前電極であって、各前電極が、第1の給電ノードのうちの1つ又は複数に接続され、電気伝導媒体に結合されるように配置された、複数の前電極と、
− 第2の給電ノードのうちの1つ又は複数に接続された1つ又は複数の後電極であって、各後電極が、海洋構造物の反対側エリア及び誘電体層と組み合わされて、第2の給電ノードと海洋構造物に結合された電源の1つの極性部との間における電源電流の容量性の伝達のための後コンデンサを形成するように、後面付近においてキャリア媒体に埋設された後電気伝導層を備える、1つ又は複数の後電極と、
を備え、
送信器装置が、電源の他方の極性部に結合するために配置された電源線と、電源線にガルバニック的に接続された多数の送信器とを含み、多数の送信器が、複数の前電極付近において電気伝導媒体に接触して配置される電源線に沿って分布し、それぞれの送信器が、それぞれの1つ又は複数の前電極付近に位置する。
【0013】
本発明のさらなる一態様によると海洋構造物は、電気伝導媒体を構成する液体にさらされる表面を含むように提供され、海洋構造物が、ここまでに規定されるように少なくとも1つの負荷装置を備え、
− 少なくとも1つのキャリア媒体が、海洋構造物の表面内、又は表面上に後面を含む海洋構造物に装着され、
− 少なくとも1つの送信器装置が、複数の前電極付近において海洋構造物の表面に配置され、
海洋構造物が、
− 海洋構造物と電源から負荷に電源電流を伝達するための送信器装置の電源線との間に結合された電源
を備える。
【0014】
本発明のさらなる一態様によると、ここまでに規定されるように負荷装置を設置するための方法が提供され、方法は、
− 液体にさらされる海洋構造物の表面に少なくとも1つのシートを装着することと、
− 複数の前電極付近において海洋構造物の表面に送信器装置を配置することと、
− 海洋構造物と、電源から負荷に電源電流を伝達するための送信器装置の電源線との間に結合された電源を提供することと、
を有する。
【0015】
上述の特徴は、以下の効果をもつ。キャリア媒体は、負荷を物理的に支持する機械的要素である。キャリア媒体は、液体に接触した前面と、海洋構造物の表面内、又は表面上に配置される後面とを含む。負荷は、キャリア媒体に埋設されており、例えば、光学媒体に埋設された光源である。各負荷は、電源から電源電流を受信するために、第1の給電ノードと第2の給電ノードとの間に結合される。複数の前電極が、前面に位置する。各前電極は、第1の給電ノードのうちの1つ又は複数に接続されており、電気伝導媒体に結合されるように配置される。
【0016】
負荷装置は、第2の給電ノードのうちの1つ又は複数に接続された1つ又は複数の後電極をさらに含む。各後電極は、後面付近においてキャリア媒体に埋設された後電気伝導層を含む。後電気伝導層は、海洋構造物の反対側エリア及び誘電体層と組み合わされて、第2の給電ノードと電源の1つの極性部に結合された海洋構造物との間における電源電流の容量性の伝達のための後コンデンサを形成する。
【0017】
送信器装置は、電源の他方の極性部に結合するために配置された電源線を含む。多数の送信器が電源線にガルバニック的に接続され、電源線に沿って分布する。送信器は、複数の前電極付近において電気伝導媒体に接触して配置される。個々の送信器は、それぞれの前電極の一部の付近に位置する。
【0018】
使用中、送信器装置は、キャリア媒体付近に設置される。例えば、送信器装置の送信器を含む様々な要素が、キャリア媒体上に設置されるが、また、キャリア媒体のシート又はタイル間の空間内に少なくとも部分的に設置される。
【0019】
効果的に、負荷回路は、電源電流を、電源から、電源線、多数の送信器、電気伝導媒体、複数の前電極、第1の給電ノード、負荷、第2の給電ノード、1つ又は複数の後コンデンサ、及び海洋構造物を順に介して、電源に戻るように伝達するために、様々な上述の要素により形成される。有益なことに、送信器装置は、送信器からそれぞれの前電極に、複数の比較的短い伝導路を提供する。従って、液体と伝導状態で接触した海洋構造物のエリア、例えば、塗装層が損傷を受けた塗装された船の船殻の部分に漏れ出る電流が、より少なくなる。
【0020】
負荷装置の一実施形態において、前電極は、第1の給電ノードと電気伝導媒体との間における電源電流の伝達のための、液体にガルバニック的に接触した前面における伝導部を備える。効果的に、前電極が電気伝導媒体と伝導状態で接触し、任意の種類の電流を伝導する。
【0021】
負荷装置の一実施形態において、前電極は、前面付近においてキャリア媒体に埋設された電気伝導層を備え、埋設された層は、液体の反対側エリア、及び、キャリア媒体の材料により構成された誘電体層と組み合わされて、第1の給電ノードと電気伝導媒体との間における電源電流の容量性の伝達のための前コンデンサを形成するように配置される。効果的に、キャリア材料により形成された誘電体層を介して、前電気伝導層と電気伝導媒体を構成する液体とによりキャパシタンスが形成される。有益なことに、このようなキャパシタンスは、適切な周波数のAC電流を伝導するとともに、さらに、負荷の短絡又は異常が発生した場合に電流量を制限する。さらに、埋設されることにより、電気伝導層は、例えば、腐食、汚損、及び伝導性の低下を招かないように、液体から分離及び保護される。
【0022】
負荷装置の一実施形態において、電源線は、絶縁カバー内の電源伝導体と、液体に接触するために絶縁カバーから延びた電気伝導突出部を備える1つ又は複数の送信器とを含む。任意選択的に、1つ又は複数の送信器は、液体に接触するために局所的に絶縁カバーを含まない電源伝導体のむき出しのエリアにより形成される。使用中、突出部又はむき出しのエリアを含む電源線は、複数の前電極付近に設置される。電源線に沿って分布していることにより、送信器は、それぞれの1つ又は複数の前電極付近に簡単に位置する。
【0023】
負荷装置の一実施形態において、電源線は、絶縁カバー内に電源伝導体を備え、各送信器は、絶縁カバー内においてその表面付近に埋設された送信器層を備え、送信器層は、導電性であり、電源伝導体に接続されて、液体の反対側エリア、及び、絶縁カバーの材料により構成された誘電体層と組み合わされて、電源線と液体との間における電源電流の容量性の伝達のための送信器コンデンサを形成する。効果的に、絶縁カバーの材料により形成された誘電体層を介して、送信器層と電気伝導媒体を構成する液体とによりキャパシタンスが形成される。有益なことに、このようなキャパシタンスは、適切な周波数のAC電流を伝導するとともに、さらに、負荷の短絡又は異常が発生した場合に電流量を制限する。さらに、埋設されることにより、送信器層は、例えば、腐食、汚損、及び伝導性の低下を招かないように、液体から分離及び保護される。
【0024】
負荷装置の一実施形態において、送信器装置は、それぞれのリード線においてそれぞれの送信器を含む多リード線ケーブルを備える。多リード線ケーブルは、電源線を構成するためにリード線を電源の他方の極性部に接続し、海洋構造物の表面にわたってリード線を分離して、分布させるように構成されている。多数のリード線は、1つの極性部に接続された電源から始まり、続いて、表面にわたって分離されるように、及び分布するように使用される。使用中、多リード線ケーブルは、様々なリード線が設置された経路に沿って分布した送信器のパターンを提供する。有益なことに、電源極性部と送信器との間において軌道に沿って、相互接続部が作られる必要がない。
【0025】
負荷装置の一実施形態において、送信器装置は、絶縁された配線と、それぞれの配線におけるそれぞれの送信器とを含む配線メッシュを備え、配線メッシュは、電源線を構成するために電源の他方の極性部に接続され、海洋構造物の表面にわたって分布するように構成されている。有益なことに、配線メッシュは、カバーされる表面にわたって簡単に分布させられ得る二次元構造物である。使用中、配線メッシュは、配線メッシュによりカバーされた表面にわたって一様に分布した送信器のパターンを本来的に提供する。
【0026】
負荷装置の一実施形態において、キャリア媒体は、後コンデンサ、前コンデンサ、及び送信器コンデンサのうちの少なくとも1つと組み合わされて、共振周波数でAC電源電圧を生成する電源により給電されて共振周波数で共振する回路を構成するために、負荷に接続されたインダクタを備える。効果的に、共振回路を形成することにより、電源の1つの極性部と前電極との間に存在する回路のインピーダンスが下げられる。有益なことに、前電極におけるより低いAC電圧は、負荷のために必要な電源電流を送達するために十分である。さらに、望ましくない経路、例えば、コーティングされた船の船殻の損傷したエリア、又は、かじなどのむき出しのコンポーネントを通って漏れる電流が、より少なくなる。
【0027】
負荷装置の一実施形態において、キャリア媒体は、負荷に接続された単巻変圧器を備え、各単巻変圧器は、前電極及び後電極に接続された低電圧接続体と、負荷に接続された高電圧接続体とを含む。単巻変圧器は、電極に到達する低電圧を負荷におけるより高い電圧に変換する。効果的に、電源の1つの極性部と前電極との間に存在する回路のインピーダンスが下げられる。有益なことに、前電極におけるより低いAC電圧は、負荷のために必要な電源電流を送達するために十分である。さらに、望ましくない経路、例えば、コーティングされた船の船殻の損傷したエリア、又は、かじなどのむき出しのコンポーネントを通って漏れる電流が、より少なくなる。
【0028】
任意選択的に、異なるインダクタ又は単巻変圧器が、異なる共振周波数でAC電源電圧を生成する電源により選択的に給電されるように、それぞれの後コンデンサ、前コンデンサ、及び送信器コンデンサと組み合わされて、異なる共振周波数で共振するそれぞれの回路を構成する。有益なことに、それぞれの異なる周波数におけるAC電源電圧を提供することにより、それぞれの周波数をもつそれぞれのエリアが、別々に給電及び制御され得る。
【0029】
負荷装置の一実施形態において、キャリア媒体は、負荷に直列に接続されたコンデンサを備える。有益なことに、このようなキャパシタンスは、適切な周波数のAC電流を伝導するとともに、さらに、負荷の短絡又は異常が発生した場合に電流量を制限する。
【0030】
負荷装置の一実施形態において、キャリア媒体は光学媒体であり、負荷は、汚損生物を含有する汚損液体である液体に接触した海洋構造物の表面の防汚のための防汚光を出射するためのUV光源である。負荷装置の実用的な実施形態では、負荷は、紫外光を出射するように適応される光源であり、キャリア媒体は、スラブ又はシートの形態の光学媒体であり、前面が防汚光を出射するための出射面であるとともに、光学媒体の両面が実質的に平面であり、互いに実質的に平行に広がっている。このような光学媒体は、海洋構造物の表面に適用されることに非常に適している。生物防汚のための紫外光を使用することの概括的な利点は、きれいに維持される表面に微生物が接着すること、及び根を下ろすことが防止されることである。
【0031】
光源が紫外光を出射するように適応されるとき、光学媒体が紫外線透過シリコーンなどの紫外線透過材料を含むことが有益である。概括的な意味で、防汚光の少なくとも一部が光学媒体を通して配光されることを可能にするように構成された材料を、光学媒体が含むということは、例えば、光学媒体が防汚光に対して実質的に透過性の材料を含むことを意味すると理解される。
【0032】
本発明による負荷装置が単一の光学媒体と複数の光源とを備えることが実際に実現可能である。媒体は、出射面に光を反射する1つ又は複数のミラーをさらに備える。このような場合において、負荷装置の光学媒体は、任意の適切な形状及び寸法であり得、LEDなどの光源は、光学媒体にわたって分布し、光源の各々により出射された光は、最適化された程度で光学媒体の出射面にわたって配光される。光源は、それぞれの前電極及び後電極に対して、グリッド内の一連の並列接続として配置され得る。
【0033】
本発明は、様々な例に適用可能である。例えば、本発明による負荷装置は、船舶の例に適用される。任意選択的に、液体にさらされる海洋構造物は、上述の負荷装置を備える表面を含み、負荷装置は、露出された表面に装着され、例えば負荷は、汚損生物を含有する汚損液体に浸されたときの露出された表面の防汚のためのUV光源を備える。さらに、上述の負荷装置を設置する方法において、方法は、海洋構造物の露出された表面に負荷装置を装着するステップを有する。さらに、上述の負荷装置の使用が予見されるとともに、負荷装置は、例えば、汚損生物を含有する汚損液体に浸されたときの露出された表面の防汚のために、海洋構造物の露出された表面に設置される。このような事例において、負荷装置は、例えば、船舶の船殻を生物汚損を防いできれいに維持する役割を果たすように配置されるが、このことが、そのような例において多くの他の適用可能性がさらに存在するという事実を変えるわけではない。
【0034】
本発明の上述の態様及び他の態様が、以下の実施形態の詳細な説明から明確にされ、その詳細な説明を参照しながら説明される。
【0035】
本発明のこれらの態様及び他の態様は、以下の説明において例示として添付図面を参照しながら説明される実施形態から明確にされ、さらに、その実施形態を参照しながら説明される。
【図面の簡単な説明】
【0036】
図1】負荷装置の一例を示す図である。
図2】ガルバニック前電極を含む負荷装置の第2の例を示す図である。
図3】容量性送信器を含む負荷装置の第3の例を示す図である。
図4】容量性送信器を含む負荷装置のさらなる例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
図は概略的なものに過ぎず、一定の縮尺で描かれていない。図中、既に説明されている要素に対応した要素は、同じ参照符号をもつ。
【0038】
以下、本発明が適用シナリオを参照しながら説明され、この説明において、負荷装置は、生物汚損に対処するために、船の船殻の露出された表面に搭載されたUV光源(特にLED)に給電するために使用される。しかし、海洋構造物の表面における任意の他の負荷は、本発明により給電され、例えば、ソナーユニット又は他のセンサーである。開示される主題の様々な実施形態の詳細が説明される前に、このような適用例において生物汚損に対処する一般的なアイデア及び知られたアプローチが説明される。負荷装置における光源は、防汚のために、特に、UVC光としても知られるC型の紫外光、さらには、より具体的には、おおよそ220nmから300nmの間の波長の光を出射するように、選択される。実際には、ピーク効率が約265nmにおいて達成され、より高い波長及びより低い波長に向かって低下する。220nmにおいて、及び、300nmにおいて、効率は約10%の効率まで低下する。
【0039】
最も多くの汚損生物が、特定の線量の紫外光にそれらをさらすことにより、殺されるか、不活性にされるか、又は繁殖することが不可能とされることが見出された。生物防汚を実現するために適していると考えられる典型的な強度は、10mW毎平方メートルである。光は、連続的に、又は適切な頻度で、所与の状況において適切でありさえすれば、特に、所与の光の強さで適用される。LEDは、負荷装置の光源として適用されるUVCランプの一種である。LEDは、概して、比較的小さなパッケージに含まれ、他の種類の光源より少ない電力を消費し得ると言える。さらに、LEDは、材料のスラブに非常に適切に埋設され得る。さらに、LEDは、様々な所望の波長の光(紫外線)を出射するように製造され得、それらの動作パラメータ、とりわけ出力パワーが大幅に制御され得る。LEDは、いわゆる側面発光LEDであり、シートの平面に沿った方向に防汚光を出射するように光学媒体内に配置される。
【0040】
防汚光は、シリコーン材料及び/又はUVグレード(溶融)シリカを含む光学媒体を通して分布させられ、光学媒体から、及び海洋構造物の表面から防汚光を出射する。UV−Cの照射は、例えば、船の船殻における、微生物及びマクロ生物の(初期)定着を防ぐ。生物膜に付随する問題は、生物の成長に起因してそれらの厚さが経時的に増加するにつれてその表面が粗くなることである。従って、抗力が増加し、エンジンが船の巡航速度を維持するためにより多くの燃料を消費することを必要とするので、運航コストが増加する。生物汚損の別の影響は、パイプ放熱器の冷却容量の低下、又は、食塩水吸入フィルタ及びパイプの流量容量の低下であり得る。従って、サービス及び保守コストが増加する。
【0041】
船の船殻の生物汚損に対処するための考えられる解決策は、例えば、埋設されたUV−C LEDを含むUV−C透過性材料のスラブによる、外部船殻のカバーであり得る。これらのスラブ、又は、概して、任意の負荷装置(すなわち、光を生成するために電気エネルギーを消費する要素又は装置)が、水線より下方に位置する。これは、沈んだ表面は圧倒的に生物汚損を受けやすく、従って、抗力の増加の原因となるからである。従って、電力は、負荷に向けて水線より下方で送達される必要がある。
【0042】
電力、水、及び海洋産業の荒れた厳しい環境の組み合わせが、現実の課題を提起する。これは、(海)水が良い電気伝導体であり、従って、短絡が簡単に発生するからである。さらに、水は、電流の影響を受けて分解する。海水の場合、海水がDC電流のもとで塩素と水素ガスとに分解する。AC電流のもとで、両方のガスが各電極において交互に形成される。形成されたガスに付随する追加的な問題は、塩素が既に自然界で発生している鋼船の船殻の腐食を進め得、密閉封止されていない場合にはUV−C LEDを含む他の物質の劣化を加速する。その一方で、水素ガスは、鉄の脆化を引き起こし得、最終的に鉄バルク内の深刻な亀裂の形成をもたらす。
【0043】
鋼の船殻の自然腐食に対処するために、ほとんどの船はコーティング又は塗装されており、加えて、多くの場合、保護コーティング又は塗装が局所的に劣化したときに、船の船殻が自然腐食から保護されたまま留まるように、受動的な、又は能動的なカソード防食システムを備える。受動システムが、経時的に電気化学的に分解する犠牲となる亜鉛、アルミニウム、又は鉄のアノードを使用するのに対し、能動システムは、MMO−Ti(混合金属酸化物)によりコーティングされたチタン又はPt/Ti(白金によりコーティングされたチタン)から作られたアノードを使用してDC電流を印加する。海水中にDC電流を印加する能動システム(印加電流カソード保護、ICCP:impressed current cathodic protection)の場合、注意深い監視が必要とされる。過大な電流は、過剰な水素の形成に起因して鉄の脆化をもたらすのに対し、大きすぎる小さな電流は、保護のもとで、鉄の船殻が静かにゆっくりと溶解することを可能にすることをもたらす。当然に、防汚解決策は、カソード防食システムを機能しない状態にしてはならない。
【0044】
生物汚損防止システムの、UV LEDなどの様々な負荷が、電力を必要とする。UV LEDは、動作するためにDC電流を必要とする、2本のリード線が延びた、極性に敏感な光源である。従来のアプローチでは、有線接続された伝導体が、ガルバニック接触により電源電流を提供するために使用され得る。しかし、従来の完全に有線接続されたアプローチは、電源を負荷に接続するために、複雑な配線及びコネクタスキームを必要とする。
【0045】
アプローチがここで説明される。電源の1つの極性部に接続された複数の送信器付近における複数の前電極間の共通の伝導媒体として海水を使用する。電源の他方の極性部への接続は、海洋構造物自体の伝導部、例えば、金属の船の船殻(の部分)により形成される。
【0046】
1つの伝導体として海水を使用する無線の概念が、負荷間におけるガルバニック接続の構築を必要とせずに負荷に給電する。しかし、外部に与えられた損傷がある場合、又は、例えば、遮蔽されていない接地されたかじ又はプロペラへの、他の寄生した並列な電流路が存在する場合、給電が失敗する。例えば船において、船殻の塗装が深刻な損傷を受けて、深いかき傷がキャリアの表面から鋼の船殻に到達するまで延びることにより、残念ながら海水が共通グランド端子を濡らす。局所的な短絡が発生する。望ましくない短絡は、LEDを通る経路に比べて、より低い抵抗の電流路を発生させる。従って、AC電源の大部分は、もはや、UV−C LEDを通って流れず、すなわち、本概念は、外的に与えられた損傷に起因して、深刻なほどに損なわれる。提案されるシステムは、他の負荷への給電が深刻な影響を受けないようにすることが意図される。
【0047】
図1は、負荷装置の一例を示す。本例において、負荷は、電気伝導媒体を構成する液体10、例えば、汚損生物を含有する海水などの汚損液体にさらされた海洋構造物50の表面30の防汚のための光源20である。負荷装置は、破線により示されるようなキャリア媒体100と、キャリア100及び海洋構造物の表面30の上方に位置するように示される送信器装置110とを備える。使用中、海洋構造物及び負荷装置は、液体、例えば海水中に沈められる。
【0048】
キャリア媒体は、液体を向いた前面102と、表面30と送信器装置とを少なくとも部分的にカバーする後面101とを含む。負荷20は、キャリア媒体に埋設されており、電源1から電源電流を受信するために第1の給電ノード21と第2の給電ノード22との間に結合されている。前電極130は前面102に位置し、伝導体2cを介して第1の給電ノード21に接続されている。前電極130は、電気伝導媒体10に結合するために配置されている。本例において、前電極は、液体中に延びてガルバニック接触している。後電極120は、後面101に位置する。1つの負荷のみが図に示されるが、キャリア媒体は、多数のこのような埋設された負荷とそれぞれの電極とを含む。
【0049】
電源の1つの極性部は、電源接続体1aにより示されるように海洋構造物に結合されている。各後電極120は、後面付近においてキャリア媒体に埋設された後電気伝導層を含む。後電気伝導層は、海洋構造物の反対側エリア及び誘電体層(4a)と組み合わされて、後コンデンサを形成する。後コンデンサは、第2の給電ノード22と海洋構造物を介した電源の1つの極性部との間における、電源電流の容量性の伝達を可能にする。
【0050】
図1は、電源接続体1dにより示されるように、電源の他方の極性部に結合された電源線111を含む送信器装置110をさらに示す。送信器装置110は、電源線にガルバニック的に接続された多数の送信器114を含む。電源線は、絶縁カバー内に電源伝導体を含む。1つ又は複数の送信器は、液体に接触するために絶縁カバーから延びた電気伝導突出部により形成される。さらに、1つ又は複数の送信器は、液体に接触するために局所的に絶縁カバーを含まない電源伝導体のむき出しのエリアにより形成される。送信器は、電源線に沿って分布しており、電気伝導媒体に接触している。それぞれの送信器は、1つ又は複数の前電極付近に位置するので、それぞれの送信器と前電極のうちのそれぞれの前電極との間に、比較的短い経路113が形成される。
【0051】
送信器装置110は、電源線の絶縁された部分を介して電源1の極性部に接続されている。電源線は、海洋構造物の表面にわたって設置された送信器装置のさらに絶縁された部分に接続され、その表面は、給電される負荷を含むキャリア媒体によりカバーされている。例えば、送信器装置は、絶縁された配線若しくは金属ストリップ、格子若しくはメッシュ、又は、海洋構造物の表面にわたって分布した別の形態の絶縁された伝導体を含む。絶縁された部分から、送信器は、前電極を介して給電される表面にわたって分布したパターンで広がる。従って、それぞれの送信器とこのような送信器付近におけるそれぞれの前電極との間に、多くの短距離経路が形成される。
【0052】
前電極は、第1の給電ノードと電気伝導媒体との間における電源電流の伝達のための、液体にガルバニック的に接触した前面における伝導部を含む。例えば、前面102付近に埋設された前伝導層により形成されたコンデンサを介して液体に結合する、送信器への前電極の代替的な接続も検討される。従って、前電極は、前面付近においてキャリア媒体に埋設された電気伝導層を含む。埋設された層は、液体の反対側エリア、及び、キャリア媒体の材料により構成された誘電体層と組み合わされて、第1の給電ノードと電気伝導媒体との間における電源電流の容量性の伝達のための前コンデンサを形成するように配置されている。
【0053】
キャリアは、光学媒体4を備え、シート形態に形作られ、負荷は光源である。光学媒体の前面は、出射面を構成し、キャリアの後面に対して実質的に平面であり、表面は、互いに実質的に平行に広がっている。本図は、光学媒体4の一部、光学媒体に埋設された負荷20を構成するLED、及び、光学媒体の後面付近に存在するミラー40の断面図を概略的に示す。光ビームの取る経路は、矢印により概略的に示される。光源は、紫外光を出射するように適応され、例えば、ここまでのセクションにおいて説明されるようなUV−C LEDである。光学媒体は、光源から出る矢印により示されるように、光学媒体の層において内部で伝搬及び反射しながら、光の少なくとも一部が光学媒体を通して配光することを可能にする。本例において1つの光源が示され、及び説明される。実際には、負荷装置は、単一の光学媒体、複数の光源、及び、対応する関係する複数のミラーを備える。ミラーの各々は、光源のうちの1つ又は複数に電気的に結合される。
【0054】
ミラーは、導電性の後電極であって、リード線2aにより第2の給電ノード22において光源に電気的に結合された後電極を構成する。例えば、ミラーは、反射性であり伝導性の金属の薄い金属層である。ミラーの少なくとも一部は、散乱層である。図1に示される実施形態において、後電極120は、誘電体層4a、及び、後電極に対向した海洋構造物の表面のエリアと組み合わされて、コンデンサを形成するように配置されている。コンデンサは、後電極と、コンデンサを介した十分な給電を可能にする周波数で動作する電源1との間における、電力の容量性の伝達を可能にする。電源への後電極の代替的な接続、例えば、ガルバニック接続が検討される。
【0055】
実際には、負荷装置は、複数の負荷、例えば、複数の光源と、関係するミラーとのパターンを含んで、出射面から一様な光の出射を実質的に提供しながら、より広いエリアをカバーする。このような装置において、前電極及び/又は後電極が複数の負荷により共有される。
【0056】
図2は、ガルバニック前電極を含む負荷装置の第2の例を示す。本例において、負荷は、黒色のドットとして示される第1の給電ノードと第2の給電ノードとの間に結合された、防汚光を出射するためのUV−C LEDの集合225である。負荷装置は、破線により示されるようなキャリア200を備え、送信器装置210は、電源201の第1の極性部202に結合された絶縁材料212内の電源線211を含む。絶縁材料から送信器214が液体中に延びており、送信器は液体とガルバニック接触している。送信器は、それぞれの前電極204付近に配置されることにより、液体を介して比較的短い伝導路213を形成する。
【0057】
実用的な実施形態では、送信器装置は、各送信器を1つ又は複数の前電極に結合するための、キャリアを含む海洋構造物のエリアにわたって分布したパターンで配置された絶縁された伝導体を含む。後電極205は、海洋構造物250に対する容量結合のために配置されている。負荷装置は、図1に示される例と同様である。
【0058】
図2において、電源201は、(例えば、100kHz〜440kHzの領域における、又は、7.56MHz又は13.56MHzにおける)AC電源であり、電源201の1つの極性部202が、送信器装置210を通して(本例において、半フェーズの両方がUV生成のために使用されるように、逆平行ペアとして示される)LEDに接続されている。他方の極性部203は、伝導部と後層とにより形成されたコンデンサを通る第2の電力接続体を作るために、海洋構造物の伝導部に接続されている。
【0059】
海水が、海洋構造物250の非保護金属エリア、例えば船の船殻の部分、プロペラ若しくはかじ、又は、海洋構造物の海水中に沈められた他の金属領域(例えば、バウスラスタートンネル)に望ましくない電気伝導路を形成するので、漏れ電流が発生することに留意されたい。効果的に、送信器と前電極との間における伝導路213が短いこと、及び、比較的小さなインピーダンスをもつことに起因して、電源からの電流の大部分が、負荷を通って流れる。
【0060】
(電気化学的な)腐食現象につながる可能性のある望ましくない漏れ電流の発生を避けることに加えて、容量結合した送信器が、LEDに対する電流制限器としても機能し得る。逆平行UV−LEDの単一のペアを約100kHzにおいて駆動するために、これらのLEDからのUVCによりきれいに維持されるエリアより大きなエリアである送信器エリアに対応した送信器に対する容量値が必要とされる。従って、平面の容量性送信器に代えて、海水に対する電気接続を提供する、海水にむき出しのPt/Ti配線を備える、より小型のディスクリート型(セラミックス)コンデンサが使用され得る。別の選択肢は、より高い駆動周波数(例えば>2MHz)を印加することである。
【0061】
本概念において電源線は、それぞれの受信器に近接した位置において海水中に延びた様々な電極に給電する。実際の配線は、例えば、グリッド状の、伝導メッシュの、又は魚の骨様の形状の様々な形状とされ得る。それらは、タイル(のグループ)間に位置するようにされるか、又は、タイルの上に重ね合わされる。この概念の利点は、LEDまでの海水中の無線経路は短距離であり、従って、寄生電流路に対する適切な対抗策が得られる。ここで、短絡をもたらすかき傷、又は、他の損傷の場合、損傷のごく近傍にあるタイルに対する給電のみが影響を受ける。
【0062】
図3は、容量性送信器を含む負荷装置の第3の例を示す。本例において、負荷は、黒色のドットとして示される第1の給電ノードと第2の給電ノードとの間に結合された防汚光を出射するためのUV−C LEDの集合225である。キャリア媒体200は、液体とガルバニック接触した前電極204を含む図2に示される例と同様である。送信器装置310は、AC電源201の第1の極性部202に結合された絶縁材料312内の電源線311を含む。従って、電源線は、絶縁カバー内の電源伝導体を含み、各送信器314は、絶縁カバー内においてその表面付近に埋設された送信器層を備える。送信器層は導電性であり、液体の反対側エリア313、及び、絶縁カバーの材料により構成された誘電体層と組み合わされて、電源線と液体との間における電源電流の容量性の伝達のための送信器コンデンサを形成するように電源伝導体に接続されている。各コンデンサは、液体のセクションの反対側にある伝導送信器層と、絶縁材料により形成された誘電体層とにより形成されている。送信器は、それぞれの前電極204付近に配置されていることにより、液体を介した比較的短い伝導路を形成する。
【0063】
送信器装置は、この場合、海水に対する局所的な容量性相互接続をともなう絶縁された配線を含む。船の船殻における近くのかき傷に対する短絡の場合、又は、タイルが損傷を受けた場合、これらの容量性相互接続が電流制限器として機能する。その結果、他のタイルに対する給電はほとんど影響を受けない。
【0064】
一実施形態において、送信器装置は、多リード線ケーブルを含む。それぞれの送信器は、それぞれのリード線に形成される。多リード線ケーブルは、電源線を構成するためにリード線を電源の他方の極性部に接続するように、及び、前電極付近に送信器を配置するために、海洋構造物の表面にわたってリード線を分離する、及び分布させるように構成されている。任意選択的に、配線メッシュとしての送信器装置は、絶縁された配線と、それぞれの配線におけるそれぞれの送信器とを含む。配線メッシュは、電源線を構成するために電源の他方の極性部に接続されるように、及び、海洋構造物の表面にわたって配線メッシュを分布させるように構成されている。
【0065】
一実施形態において、キャリア媒体は、後コンデンサ、前コンデンサ、及び送信器コンデンサのうちの少なくとも1つと組み合わされて、共振周波数においてAC電源電圧を生成する電源により給電される、共振周波数において共振する回路を構成するために、負荷に接続されたインダクタを備える。
【0066】
回路は、共振周波数においてAC電源電圧を生成する電源と連携するために、共振周波数において共振する。効果的に、共振回路を形成することにより、送信器装置の伝導体と液体との間に存在する回路のインピーダンスが下げられる。任意選択的に、キャリアは、負荷に直列に接続されたコンデンサを備える。このようなキャパシタンスは、所望の共振周波数を達成することにさらに寄与する。インダクタ及びコンデンサを寸法決定することは、以下の分析に基づく。
【0067】
AC容量性プレート送信器の容量は、
C=εεA/d
により与えられ、ここで、Aは表面であり、dはプレートから海水までのギャップの厚さであり、(キャリアの材料としてのシリコーンの場合)ε=8.854×10−12F/mであり、ε=2.75である。ギャップが0.1mmの間であり、プレート表面が50×50mmである場合、カップリングコンデンサの値がC=6×10−10Fである。f=100kHzの周波数の場合、AC抵抗は
Z=1/iωC
により与えられる。従って、このコンデンサに対する|Z|の典型的な値は、|Z|=2.6kOhmである。これは、約6V/15mA=400OhmであるUVC LEDの典型的な抵抗より大きい。従って、LEDの単一の集合が使用される場合、これは、容量性結合器の抵抗に起因して大幅な電力損失につながる。より高い振動数(例えば>2MHz)において、結合器の抵抗はより小さいので、電力損失が小さくなる。
【0068】
カップリングコンデンサに直列に誘導コイルLを置くことにより、電力損失が防止される。コンデンサ及びインダクタの総抵抗は、
Z=iωL+1/iωC
により与えられ、
|Z|=(1−ωLC)/ωC
となる。|Z|の値は
【数1】
の共振周波数においてゼロまで低下する。この共振周波数において、コンデンサの損失はインダクタにより補償される。C=6×10−10F及びω=2π×1×10=6×10Hzである場合、要求されるインダクタンス値は、L=5mHにより与えられる。
【0069】
一実施形態において、共振周波数は、C及びLに対して特別な値を選択することにより、船の異なるセクションに対して異なるようにされる。従って、これらのセクションは、それぞれの異なるAC電源により、又は、それらの特定の共振周波数にマッチングするように周波数を調整/調節することにより制御可能なAC電源により、選択的に給電され得る。このアプローチを介して、無線AC給電は、海洋構造物の表面の選択的なエリアにおいて負荷に向けられ得る。例えば、電力は、短絡した位置からある距離におけるLEDのエリアに選択的に向けられ得る。
【0070】
図4は、容量性送信器を含む負荷装置のさらなる例を示す。本例において、負荷425は、黒色のドットとして示される第1の給電ノードと第2の給電ノードとの間に結合された、防汚光を出射するためのUV−C LEDである。キャリア媒体200は、液体とガルバニック接触した前電極204を含む図2に示される例と同様である。送信器装置310は、AC電源201の第1の極性部202に結合された、絶縁材料312内の電源線311を含む。送信器装置は、図3を参照して説明されている。
【0071】
本例において、キャリア媒体は、負荷に接続された単巻変圧器435を備える。単巻変圧器は、給電ノードを介して前電極及び後電極に接続された低電圧接続体と、負荷に接続された高電圧接続体とを含む。単巻変圧器は、例えば、1つの低抵抗大電流一次コイルと昇圧変圧小電流二次コイルとの2つの入れ子状コイル間の巻線比がN=1:7であるブースト変圧器である。まず、駆動されるエネルギーは、一次コイルに蓄積される。AC信号がゼロを通過した後、このエネルギーが解放され、UV−LEDを動作させるのに十分な、より高い電圧に昇圧される。この概念の重要な利点は、共振する単巻変圧器回路が非常に低いインピーダンスをもつことである。従って、ある距離におけるかき傷に起因した短絡に対する対抗策が、より良いものとなる。さらに、入力電圧が昇圧されて、低電圧大電流生成器の動作を可能にする。上述のように船殻の特定の部分の選択的な駆動を可能にするように、異なるコンデンサ及びインダクタ値が選択され得る。
【0072】
任意選択的に、分布した容量性アノードの入れ子状ラインが使用される。例えば、格子若しくはメッシュ、又は、別の形態の絶縁された給電線が船殻にわたって分布させられる。開放エリア間において、容量結合した単巻変圧器のタイルが、所望どおりに分布させられる。面積当たりの電流は、送信器装置によりカバーされた表面に沿ってそのように分布する。従って、電源線の全長に対する全電流は、対応する表面エリアを介した電流と同じである。送信器装置から、全電流の係数倍部分がラインに沿った所与の位置において利用可能であり、長さ当たりに限り、それほど多くの電流が短距離において利用可能である。従って、短絡に対する対抗策は、幾何学的視点から改善される。
【0073】
本発明がここまでに説明される例に限定されず、そのいくつかの修正例及び変形例が考えられることが当業者に明らかとなる。本発明が図及び説明において詳細に例示及び説明されるが、このような例示及び説明は単なる例示又は一例とみなされ限定とはみなされない。本発明は、開示される実施形態に限定されない。図面は概略図であり、本発明を理解するために必要とされない詳細は省略される場合があり、一定の縮尺とは限らない。
【0074】
図面、説明、及び添付の特許請求の範囲の考察により、請求項に記載された発明を実施するときに、開示される実施形態の変形例が当業者により理解及び実施され得る。特許請求の範囲において、「備える(comprising)」という用語は他のステップも要素も排除せず、英語の「a」又は「an」という不定冠詞に対応した表現は複数を排除しない。本明細書において使用される「備える(comprise)」という用語は、「からなる」という用語を内包すると当業者により理解される。従って、「備える(comprise)」という用語は、一実施形態に関連して「からなる」を意味する場合があるが、別の一実施形態において「少なくとも規定の種及び任意選択的に1つ又は複数の他の種を含有/を含む」ことを意味する場合がある。特許請求の範囲における参照符号は、いずれも本発明の範囲を限定するように解釈されてはならない。
【0075】
特定の実施形態に対して、又は特定の実施形態に関係して説明される要素及び態様は、明示的に別段の記載がない限り、他の実施形態の要素及び態様と適切に組み合わされる。従って、単に特定の手段が相互に異なる従属請求項に記載されているということが、利点を得るためにこれらの手段の組み合わせが使用不可能なことを示すわけではない。
【0076】
最後に、上述の負荷装置の使用、特に、汚損生物を含有する汚損液体に浸されたときの露出された表面の防汚のために海洋構造物の露出された表面に設置された負荷装置の使用が予見される。この使用は、ライティング装置が、コンデンサを介して必要な電力を光源に渡すための十分に高い周波数をもつAC電源により給電されることを必要とする。従って、本発明による負荷装置100は、船舶の船殻に設けられる。露出された表面30の他の例として、箱形冷却器の外面、海中海洋機器の表面、船舶のバラストタンクなどの貯水容器の内壁、及び、淡水化プラントにおけるフィルタシステムのフィルタ面が挙げられる。
【0077】
要約すると、汚損液体にさらされた海洋構造物の表面における負荷に給電する負荷装置が提供され、負荷装置は、送信器装置と埋設された負荷を含む少なくとも1つのキャリア媒体とを含む。前電極は、液体に結合されるように配置され、後電極は、海洋構造物の反対側エリア及び誘電体層と組み合わされて、第2の給電ノードと海洋構造物に結合された電源の1つの極性部との間に電源電流の容量性の伝達のための後コンデンサを形成する、キャリア媒体に埋設された後電気伝導層を含む。送信器装置は、電源線と、電源線にガルバニック的に接続された多数の送信器とを含む。多数の送信器は、短い伝導路を形成するために、複数の前電極付近に配置された電源線に沿って分布している。

図1
図2
図3
図4