【文献】
GRETENER, Christina et al.,CdTe Thin Films doped by Cu and Ag - a Comparison in Substrate Configuration Solar Cells,2014 IEEE 40th Photovoltaic Specialist Conference (PVSC),IEEE,2014年10月16日,pp.3510-3514,DOI: 10.1109/PVSC.2014.6925689
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
II-VI半導体物質はカドミウム、セレン、およびテルルを含み、そして吸収体はある厚さを有するとともに、フロント接点の方を向いている隣接層を伴う第一の境界面およびバック接点の方を向いている隣接層を伴う第二の境界面を有する、請求項1に記載の方法。
セレンの濃度は、第一の境界面における最も高いレベルから第二の境界面における最も低いレベルまで吸収体層の厚さ全体に渡って変化する、請求項6に記載の光起電力デバイス。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[0013]テルル化カドミウム/硫化カドミウム(CdTe/CdS)ヘテロ接合をベースとするPV電池は、薄膜ヘテロ接合太陽電池の一例である。そのような電池は、キャリア密度を高めるためにCuでドープしたCdTe吸収体を含むことができる。CdTe吸収体における代わりのドーパントとして、他のIB族元素、特にAgまたはAuを用いることができる。共ドーパントとして特定の比率で一緒に用いられるCuとAgでドープすると、本明細書中で記述するように、変換効率の利益がもたらされ得る。例えば、幾つかの態様において高いV
OCおよび/またはI
SCが達成され、従って、高い潜在的総出力P
Tが達成され、このとき、FFの相応する低下は伴わず、また全体的な変換効率の相応する損失も伴わない。
【0010】
[0014]以下で詳細に論じるように、本開示の態様の幾つかのものには、カドミウム、亜鉛、硫黄、セレン、およびテルルのようなII-VI半導体を含む光起電力デバイスが含まれ
る。これらの半導体は格子構造を形成し、従って、II族元素(Cd、Zn)はVI族元素(S、Se、Te)とほぼ同等である。
【0011】
[0015]明細書と特許請求の範囲を通してここで用いられる近似する用語は、関連する基本的な機能において変化をもたらさずに許容される範囲で変化し得る全ての量的な表現を修正するために適用することができる。従って、「約」や「実質的に」といった用語によって修飾される値は、特定される厳密な値には限定されない。例えば、近似する用語は、値を測定するための装置の精密さに対応するかもしれない。ここにおいて、また明細書と請求の範囲を通して、範囲の限定は組み合わせることができ、そして/または、交換することができ、そして文脈または言い回しによって特に示されない限り、それらの範囲は同一視され、またそれらに含まれる全ての下位範囲を含む。
【0012】
[0016]以下の明細書と請求の範囲において、単一の語形は、文脈において明らかに規定
されない限り、複数の指示物を含む。ここで用いるものとして、「または」という用語は排他的であることは意味せず、存在している言及した構成要素(例えば、層)のうちの少なくとも一つを指すものであり、また文脈において明らかに規定されない限り、言及した構成要素の組み合わせが存在してもよい場合を含む。
【0013】
[0017]ここで用いるものとして、「透明な領域」および「透明な層」という用語は、約350nmから約1000nmまでの範囲の波長を有する入射電磁放射線の少なくとも70%の平均透過率を可能にする領域または層を指す。
【0014】
[0018]ここで用いるものとして、「層」という用語は、下にある表面の少なくとも一部の上に連続的または不連続的なやり方で配置された材料を指す。さらに、「層」という用語は均一な厚さで配置された材料を必ずしも意味せず、またその配置された材料は均一な厚さまたは変化する厚さを有していてもよい。さらに、ここで用いる「層」という用語は、文脈において明らかに規定されない限り、単一の層または複数の層を指す。
【0015】
[0019]ここで用いるものとして、「上に配置された」という用語は、特に示されない限り、互いに直接に接触して配置された層を指すか、またはそれらの間に介在する層を有することによって間接的に配置された層を指す。ここで用いる「隣接した」という用語は、二つの層が接触して配置されていて、それらが互いに直接に接触していることを意味する。
【0016】
[0020]本開示において、層が別の層または支持体の「上にある」と記述されるとき、それらの層が互いに直接に接触しているか、あるいはそれらの層の間に一つ(または、もっと多くの)層または特徴部分を有するかのいずれかであると理解すべきである。さらに、「上に」という用語は層の互いの相対的な位置を記述していて、そして「最上部に」という意味では必ずしもないのであり、というのは、上あるいは下という相対的な位置は観察者にとってのデバイスの方向に依存するからである。さらに、「最上部に」、「底部に」、「上に」、「下に」、およびこれらの用語の変形の使用は便宜上なされるのであり、特に明言されない限り、構成要素のいかなる特定の方向付けも必要とされない。
【0017】
[0021]所定の明示した原子(例えば、SeまたはAg)に関してここで用いる「原子濃度」という用語は、所定の層の単位体積当りのそれらの原子の平均の数を指す。「原子濃度」および「濃度」という用語は、ここでは、明細書の全体を通して入れ替えできるものとして用いられる。所定の明示した原子(例えば、SeまたはAg)に関してここで用いる「厚さに渡って変化する」という用語は、それらの原子の濃度が吸収体層の厚さに渡って連続的または不連続な形で変化することを意味する。
【0018】
[0022]一つの見地において、本発明は、光の入射側にあるフロント接点、バック接点および支持体を有する光起電力デバイスに関し、このデバイスは、フロント接点とバック接点の間に形成された吸収体層を含み、吸収体層はある厚さを有するとともにフロント接点の方を向いている隣接層を伴う第一の境界面およびバック接点の方を向いている隣接層を伴う第二の境界面を有し、吸収体層はカドミウム、セレン、およびテルルを含むII-VI半
導体物質を含み、吸収体層はAgでドープされている。
【0019】
[0023]この見地に関して、幾つかの態様において、吸収体は漸次変化するレベルのセレンを含んでいてもよく、それによりそのレベルは第二の境界面におけるよりも第一の境界面において高く、幾つかの態様において、吸収体はCuおよびAgの両者でドープされていてもよく、それにより銅のドーパントは約5×10
15/cm
3から約1×10
18/cm
3までの範囲であってもよく、例えば約5×10
16/cm
3から約5×10
17/cm
3までであり、一方、銀のドーパントの量は約1×10
15/cm
3から約5×10
17/
cm
3までの範囲であってもよく、例えば約5×10
15/cm
3から約2.5×10
1
7/cm
3までであり、幾つかの態様において、Agのドーパントはバック接点として配
置された層から吸収体へ配給されてもよい(例えば、Cd
yZn
1−yTe:Ag、ここでyは0から約0.6まで変化してもよい)。
【0020】
[0024]別の見地において、本発明は光起電力デバイスをドープする方法に関し、この方法は;支持体の上に吸収体層を形成すること、この吸収体はII-VI半導体物質を含む;吸
収体層の上にバック接点を形成すること、このバック接点はAg金属またはAg含有合金を含む;およびデバイスを熱加工し、それにより吸収体層の中へのAgの拡散をAgドーパントとして生じさせること;を含む。この見地に関して、II-VI半導体物質はSeを含
むか、あるいは含んでいなくてもよく、またそれはCuでドープされているか、あるいはドープされていなくてもよい。
【0021】
[0025]別の見地において、本発明は、光の入射側にあるフロント接点、バック接点、および支持体を有する光起電力デバイスに関し、このデバイスは、フロント接点とバック接点の間に形成された吸収体層を含み、吸収体層はある厚さを有するとともにフロント接点の方を向いている隣接層を伴う第一の境界面およびバック接点の方を向いている隣接層を伴う第二の境界面を有し、吸収体層はカドミウム、セレン、およびテルルを含むII-VI半
導体物質を含み、吸収体層は約5×10
16/cm
3から約5×10
17/cm
3までの濃度でCuでドープされていて、吸収体層はまた、約5×10
15/cm
3から約2.5×
10
17/cm
3までの濃度でAgでドープされている。
【0022】
[0026]この見地に関して、CuおよびAgのドーパントは、本明細書中で説明される方法のいずれかを含めた何らかの公知の方法によって吸収体層の中に配置されていてもよい。吸収体層におけるAgドーパントに対するCuドーパントの相対的な量(または比率)は約1から約50までである。
PVデバイスおよび形成する方法
[0027]光起電力デバイスは一般に、支持体の上に配置された物質の複数の層を含む。重要な層には、光子エネルギーを電流に変換するための半導体の吸収体層、および発生した電流を集めてデバイスへ運ぶ(またはデバイスから運ぶ)フロント接点とバック接点が含まれる。典型的には、pn接合が吸収体層の中に形成されるか(ホモ接合)、あるいは吸収体層と追加の別の層との間に形成され(ヘテロ接合)、その追加の別の層は通常、窓層と呼ばれるが、しかしそれは緩衝層(バッファ層)または界面層であってもよい。デバイスの性能を改良するために、多くのその他の層が任意に存在していてもよい。
【0023】
[0028]
図2は本開示に係る光起電力デバイス100を描写していて、全体として幾つかの層が示されていて、ここで説明する。以下で説明され、そして図面で示される本発明の態様において、ここで説明される層、それらの層を形成するために用いられる材料、および/または光起電力デバイス100の層を形成する方法は、置き換えることができ、記述される層に加えて含めることができ、あるいは存在しないこととすることができる。
【0024】
[0029]光起電力デバイス100は、支持体層105、フロント接点としての透明な導電性酸化物(TCO)の層110、任意の窓層115(すなわち、幾つかの態様において窓層115は省かれる)、単層または複数層とすることができる吸収体層120または積層、バック接点125、および背後金属電極127を含むことができる。光起電力デバイス100はさらに緩衝層のような界面層を、例えば、デバイスの様々な層の間に含んでいてもよい。幾つかの態様において、緩衝層は窓層115と吸収体層120の間に配置することができる。あるいは、緩衝層を窓層115の代わりに置いてもよく、すなわち、緩衝層をTCO層110と吸収体層120の間に配置することができる。光起電力デバイスはさらに、発生した電流を、モジュールの中で一つの光電池から隣接する電池へ送るか、あるいは配列した一つの光電池モジュールから隣接するモジュールへ送るための電流経路を与える電気接続(図示せず)を含んでいてもよい。あるいは、電気接続は、光生成電流が出力を与えるような外部の負荷デバイスへ電流を送ってもよい。
【0025】
[0030]光起電力デバイス100およびここで説明するデバイスの層の各々は、スパッタリングまたは堆積プロセスによって付着させることができる。一般に、スパッタリングは、ターゲットの表面上へのイオンのエネルギー衝撃によってターゲット材料の表面から原子を射出させることを含む。あるいは、層は当分野で知られた何らかの他の適当な堆積プロセスによって形成することができ、そのようなプロセスには、(これらに限定はされないが)パルスレーザー堆積(PLD)、化学気相成長(CVD)、電気化学堆積(ECD)、原子層堆積(ALD)、蒸発、近接昇華(CSS)、または蒸気輸送堆積(VTD)が含まれる。さらに、層の各々は、所望により、単一の材料からの単一相堆積によって、単一の材料からの多相堆積によって、あるいは複数の材料からの多相堆積によって付着させてもよい。
【0026】
[0031]各々の層は、デバイスの全てまたは一部および/または層あるいはその層の下にある物質の全てまたは一部を覆うことができる。例えば、「層」は表面の全てまたは一部と接触するいずれかの量の物質を意味することができる。一つの層を形成するためのプロセスの間に、生成する層は、支持体または支持体構造の外表面の上に、典型的には上面の上に形成される。支持体構造には、堆積プロセスの中に導入される支持体層、および前の堆積プロセスにおいて支持体層の上に堆積されているかもしれない何らかの他の層または追加の層が含まれてもよい。層は支持体の全体の上に堆積されてもよく、その場合、物質の特定の部分はレーザーアブレーション、スクライビング(scribing)、またはその他の物質除去プロセスによって後に除去されてもよい。
【0027】
[0032]支持体層105はガラス(例えば、ソーダ石灰ガラスまたはフロートガラス)から形成されてもよい。あるいは、支持体層105は光電池の基材を形成するための適当な構造を与えるポリマー、セラミック、またはその他の物質から形成されてもよい。支持体層105は、その厚さを通しての光子の伝送を促進するために適用される追加の層を有していてもよく、それには反射防止膜や防汚膜が含まれるだろう。
【0028】
[0033]幾つかの態様において、支持体105は、透過性が望まれる波長の範囲にわたって透明である。一つの態様において、支持体105は、約350nmから約1000nmまでの範囲の波長を有する可視光に対して透明であってもよい。幾つかの態様において、支持体105は約600℃を超える熱処理温度に耐えられる物質、例えば、石英ガラスまたはホウケイ酸ガラスを含む。幾つかのその他の態様において、支持体105は600℃よりも低い軟化温度を有する物質、例えば、ソーダ石灰ガラスまたはポリイミドを含む。支持体層105は、その上に堆積されたTCO層110を有する。
【0029】
[0034]TCO層110はいずれかの適当な透明な導電性酸化物から形成することができ、それには、(これらに限定はされないが)酸化インジウムガリウム、スズ酸カドミウム、酸化カドミウムスズ、酸化ケイ素、酸化スズ、酸化カドミウムインジウム、フッ素をドープした酸化スズ、アルミニウムをドープした酸化亜鉛、酸化インジウムスズ、またはこれらの様々な組み合わせが含まれる。ここで用いられる「透明な導電性酸化物層」という用語は、前部集電体として機能することができる実質的に透明な層を指す。幾つかの態様において、TCO層110は透明な導電性酸化物(TCO)を含む。TCOの非限定的な例には、酸化カドミウムスズ(Cd
2SnO
4またはCTO)、酸化インジウムスズ(ITO)、フッ素をドープした酸化スズ(SnO:FまたはFTO)、インジウムをドープした酸化カドミウム、ドープした酸化亜鉛(ZnO)(例えば、アルミニウムをドープした酸化亜鉛(ZnO:AlまたはAZO))、酸化インジウム亜鉛(IZO)、および酸化亜鉛スズ(ZnSnO
x)、またはこれらの組み合わせが含まれる。用いられる特定のTCOおよびそのシート抵抗に依存して、TCO層110の厚さは、一つの態様において、約50nmから約600nmの範囲であってもよい。
【0030】
[0035]ここで用いられる「緩衝層(バッファ層)」という用語は、透明な導電性酸化物層110と吸収体層120の間に置かれる任意の層を指す。一般に、緩衝層はTCO層110のシート抵抗よりも高いシート抵抗を有する。緩衝層は当分野においてしばしば「高抵抗透明導電性酸化物層」または「HRT層」と呼ばれる。この任意の緩衝層は半導体物質から形成することができ、例えば、酸化スズ、酸化亜鉛マグネシウム、カドミウム、酸化カドミウムスズ、酸化亜鉛スズ、酸化カドミウム、酸化亜鉛アルミニウム、酸化亜鉛ケイ素、酸化亜鉛ジルコニウム、酸化スズアルミニウム、酸化スズケイ素、酸化スズジルコニウム、または別の適当なワイドバンドギャップかつ安定な物質から形成することができる。
【0031】
[0036]窓層115は、これがもし存在する場合、TCO層110の上に形成され、そして半導体物質から形成することができ、例えば、CdS、CdSSe、CdSe、硫化亜鉛(ZnS)、ZnS/CdS合金、ZnSO、酸化亜鉛マグネシウム、硫化カドミウム
マグネシウム、酸化カドミウムスズ、酸化亜鉛スズ、酸化カドミウム、酸化亜鉛アルミニウム、酸化亜鉛ケイ素、酸化亜鉛ジルコニウム、酸化スズアルミニウム、酸化スズケイ素、酸化スズジルコニウム、または別の適当なワイドバンドギャップかつ安定な物質から形成することができる。この任意の層は堆積した状態でn型のものとすることができ、あるいはデバイス構造の加工が完了した後にn型のものとなり得る。窓層115とTCO層110の間に緩衝層を形成してもよいということを理解されたい。光起電力デバイス100においては、所望により、窓層115を省いてもよいということを理解されたい。
【0032】
[0037]吸収体層120は、窓層115が存在する場合、この窓層115の上に形成され、窓層115が存在しない場合は、TCO層または緩衝層の上に形成される。吸収体120は、一般に、二元、三元、四元、あるいは (Cd,Zn)(S,Se,Te) の形のさらに複雑な合金のような、いずれかのII-VI半導体物質から形成することができ、ここで、II族元素の原子の合計はVI族元素の原子の合計とほぼ等しい。典型的なそのようなII-VI半導体化合物には、テルル化カドミウム(CdTe)、テルル化カドミウム亜鉛、セレン化カドミウム(CdSe)、スルホテルル化カドミウム(CdSTe)、テルル化カドミウムセレン(CdSeTe)(例えば、CdSe
xTe
1−x、ここで、xは約1原子%から約40原子%まで)、および上記のII-VI半導体のいずれかの組み合わせおよび合金が含まれる。CdTe吸収体層にSまたはSeを添加すると、CdTe物質のバンドギャップが低下し、また吸収されてエネルギーに転化される光の波長が広がり、それにより生成する電流が増大することが示された。例えば、0%Se(x=0)のときのCdSe
xTe
1−xは約1.5eVのバンドギャップを有するが、しかるに、40%Se(x=0.4)のとき、バンドギャップは約1.39eVである。
【0033】
[0038]吸収体層120は単一の堆積層から形成してもよく、あるいは熱加工を行う間に再結晶する二元、三元、または四元の合金を形成する異なる物質の複数の層から形成してもよい。堆積の後のされるプロセスの間に組成は変化を受け、そして堆積と焼鈍の最適化によって望ましい分布(特徴)の最適化が可能になる。三元以上の合金を用いると、複数の層が焼鈍されたときに、少なくとも一つの元素が吸収体層120を通して選択的に勾配を形成するかもしれず、それにより、その元素(例えば、SeまたはS)の濃度は吸収体層120の厚さを通して変化する。吸収体層120が如何にして形成されるかにかかわらず、吸収体層120はフロント接点とバック接点の間に形成され、そして吸収体層は、フロント接点(これはTCO層110によって形成され得る)の方を向いている第一の境界面とバック接点125の方を向いている第二の境界面との間の厚さを有する。幾つかの態
様において、第一の境界面はフロント接点の方を向いている隣接層と隣接することができ、そして第二の境界面はバック接点125の方を向いている隣接層と隣接することができる。一つの態様において、三元合金の吸収体はカドミウム、セレン、およびテルルで形成され、このとき、第一の境界面におけるSeの濃度は第二の境界面におけるSeの濃度よりも高い。例えば、吸収体層はCdSe
xTe
1−xを含むことができ、ここで、xは約1原子%から約40原子%までであるが、しかるにxは第一の境界面において約10原子%から約40原子%までの範囲とすることができ、そして第二の境界面において約1原子%から約20原子%までの範囲とすることができる。
図3は漸次変化するSeの含有量のそのような分布を示し、Seの含有量は第一の境界面において約20原子%であり、そして第二の境界面においてゼロに近い値まで徐々に減少する。
【0034】
[0039]吸収体層の多くのその他の特定の構成およびそれらを堆積させる方法は、共同所有の米国出願番号14/531425号(これはUS2016/0126395号として2016年5月5日に発行された)において開示されていて、これは本明細書に参考文献として組み入れられる。例えば、少なくとも一つの態様において、吸収体層における漸次変化するSeの含有量は、CdSeを含む一つ以上の第一の層を堆積させ、CdTeを含む一つ以上の第二の層を堆積させ、そして層を熱加工して第二の層の中へSeを拡散させることによって達成される。あるいは、CdSe
xTe
1−xの複数の層を連続して堆積させることによって、
図3に表されているもののような漸次変化するSeの分布を有する層を形成することができる(xは連続して形成される層の各々について値が減少する)。幾つかの態様において、第一の境界面におけるセレンの原子濃度は、第二の境界面におけるセレンの原子濃度よりも少なくとも10倍、例えば、20倍、40倍、80倍、100倍、あるいはそれ以上に大きい。
【0035】
[0040]特定の態様において、セレンの濃度は吸収体層120の厚さを通して連続的に変化する。さらに、そのような場合、セレンの濃度の変化は単調であるか、あるいは非単調であってもよい。幾つかの場合において、濃度の変化率は、それ自体が厚さを通して変化してもよく、例えば、厚さの幾つかの領域においては増大し、そして厚さのその他の領域においては低下する。さらに、幾つかの場合において、セレンの濃度は厚さのある部分について実質的に一定のままであってもよい。この文脈において用いられる「実質的に一定」という用語は、濃度の変化が厚さのその部分を通して5パーセント未満であることを意味する。
【0036】
[0041]他の態様において、吸収体層の厚さを通してのセレンの濃度は、徐々にというよりはむしろ、より顕著に階段状に変化する。
[0042]バック接点125は吸収体層120と背後金属電極127の間の界面層である。バック接点125と背後金属電極127の組み合わせは包括的に、それらの層の間に区別をつけずに一般にバック接点と言うことができる。バック接点125は、テルル、セレン、金、タングステン、タンタル、チタン、パラジウム、ニッケル、銀、カルシウム、鉛、水銀、黒鉛、その他同種類のものを含めたいずれかの物質から形成することができる。幾つかの態様において、バック接点125はCd
yZn
1−yTe:Dの形のテルル化亜鉛合金で形成することができ、ここでyは0から約0.6まで変化することができ、そしてDは任意のドーパントを表す。従って、この一般式は以下の典型例のバック接点化合物を含む:ZnTe、ZnTe:Cu、ZnTe:Ag、ZnTe:Au、Cd
yZn
1−yTe:Cu、Cd
yZn
1−yTe:Ag、Cd
yZn
1−yTe:Au、ここでyは上で定義されている。幾つかの態様において、yは約0.3から約0.6までの範囲とすることができ、例えば、0.45から約0.55までである。幾つかのその他の態様において、バック接点は窒化インジウム、HgTe、Te、およびPbTe、あるいはいずれかのその他の適当な物質で形成してもよい。ドーパントD、およびそれらを用いることができる場合の濃度については後述する。
【0037】
[0043]背後金属電極127は外側の回路への電気の横方向伝導を与える。背後金属電極127は、アルミニウム、銅、ニッケル、金、銀、窒化モリブデン、モリブデン、クロム、酸化金属、窒化金属、これらの組み合わせ、これらの合金、あるいは光起電力デバイスにおいて導電体として有用であることが知られているいずれかのその他の金属から形成することができる。適当なバック接点125と背後金属電極127は「改良された背後電極を有する光起電力デバイスおよび形成する方法」と題する共同所有の特許出願WO2014/151610に記載されていて、その全体が参考文献として本明細書に組み入れられるが、その開示は、本開示のバック接点125と背後金属電極127について可能にするための拠りどころとなるであろう。
【0038】
[0044]光起電力デバイス100において界面層が存在する場合、界面層はどのような数の物質からでも形成することができ、またそれは、所望により、光起電力デバイスの様々な層のいずれのものの間にでも配置してもよい。界面層は、デバイス100の支持体105または別の層から、またはそれらの層の中へ、またはそれらの層を横切って、化学的なイオンが拡散するのを抑制する緩衝層またはバリヤー層(遮断層)であってもよい。例えば、光起電力デバイス100に含まれる一つの界面層は、支持体層105とTCO層110の間に形成されるバリヤー層であってもよい。バリヤー層は、(これらに限定はされないが)シリカ、アルミナ、酸化スズ、または酸化ケイ素アルミニウムを含めたいずれの適当な物質からでも形成することができる。界面層の別の例は、TCO層110と窓層115の境界面における正孔と電子の再結合を低減するためにTCO層110と窓層115の間に形成される緩衝層であろう。緩衝層はいずれかの適当な物質で形成することができ、そのような物質には、例えば(これらに限定はされないが)酸化スズ、酸化亜鉛、酸化亜鉛スズ、亜鉛をドープした酸化スズ、酸化インジウム、酸化スズと酸化亜鉛の混合物、スズ酸亜鉛、酸化亜鉛マグネシウム、オキシ硫化亜鉛、硫化カドミウムマンガン、または硫化カドミウムマグネシウム、またはこれらの組み合わせが含まれる。
【0039】
[0045]光起電力デバイス100は、ブスバー(母線)、外部配線、レーザーエッチングなど、その他の構成要素を含むことができる。例えば、デバイス100が光電池モジュールの光電池を形成する場合、電気配線の接続を通すなどして望ましい電圧を達成するために、複数の光電池を直列に接続することができる。列として接続された電池の両末端は、配線やブスバーのような適当な導線に取り付けることができ、それにより、発生した電流を用いるデバイスまたはその他のシステムに接続するための好都合な位置へ発生した電流を送る。幾つかの態様において、光起電力デバイス100の堆積した層をけがく(刻みつける)ためにレーザーを用いてもよく、それによりデバイスを複数の列として接続された電池に分割することができる。
【0040】
[0046]幾つかの態様において、典型的な光起電力デバイス100に、ブスバーまたはテープ、接続箱(ジャンクションボックス)、外部配線、レーザースクライブ、封入材など、その他の構成要素(図示せず)を含ませることができる。例えば、デバイス100が光電池モジュールの光電池を形成する場合、電気配線の接続を通すなどして望ましい電圧を達成するために、複数の光電池を直列に接続することができる。列として接続された電池の両末端は、配線やブスバーのような適当な導線に取り付けることができ、それにより、発生した電流を用いるデバイスまたはその他のシステムに接続するための好都合な位置へ発生した電流を送る。モノリシックの(一体の)薄膜の態様において、光起電力デバイス100の堆積した層をけがく(刻みつける)ためにレーザーを用いてもよく、それによりデバイスを複数の列として接続された電池に分割することができる。
【0041】
ドーパントおよびドープする方法
[0047]ドープしていないCdTeは、約1×10
10/cm
3のキャリア密度またはキ
ャリア濃度を有する真性のものであるとみなされる。キャリア密度を増大させるために、および/または、層または領域をよりp型またはよりn型のものになるように変性するために、ドーパントを添加することができる。ドーパントDは、層を堆積する前に、堆積する間に、または堆積した後に添加することができ、電荷キャリアの密度を数桁まで増大させることができる。境界は厳密ではないけれども、電子受容体のキャリアが約1×10
11/cm
3ないし約1×10
17/cm
3の範囲で存在する場合、物質は一般にp型であるとみなされ、そして受容体のキャリア密度が約1×10
17/cm
3よりも大きい場合にp+型であるとみなされる。同様に、電子供与体のキャリアが約1×10
11/cm
3な
いし約1×10
17/cm
3の範囲で存在する場合、物質はn型であるとみなされ、そし
て供与体のキャリア密度が約1×10
17/cm
3よりも大きい場合にn+型であるとみ
なされる。
【0042】
[0048]CdTeのようなII-VI半導体をよりp型のものにすることができる適当な受容
体のドーパントには以下のものが含まれる:(i)CdTeの格子におけるCdに置き換わるものであって、これには、(これらに限定はされないが)Li、Na、K、Rb(ここではこれらをIA族ドーパントと呼ぶ)、およびCu、Ag、およびAu(ここではこれらをIB族ドーパントと呼ぶ)が含まれる、および(ii)CdTeの格子におけるTeに置き換わるものであって、これには、(これらに限定はされないが)V、Nb、およびTa(ここではこれらをVB族ドーパントと呼ぶ)、およびN、P、As、Sb、およびBi(ここではこれらをVA族ドーパントと呼ぶ)が含まれる。CdTeのようなII-VI半導体をよりn型のものにすることができる適当な供与体のドーパントには以下のものが含まれる:(i)CdTeの格子におけるCdに置き換わるものであって、これには、(これらに限定はされないが)Sc、Y、およびLa(ここではこれらをIIIB族ドーパントと呼ぶ)、およびB、Al、Ga、およびIn(ここではこれらをIIIA族ドーパントと呼ぶ)が含まれる、および(ii)CdTeの格子におけるTeに置き換わるものであって、これには、(これらに限定はされないが)Mn、Tc(ここではこれらをVIIB族ドーパントと呼ぶ)、およびF、Cl、Br、およびI(ここではこれらをVIIA族ドーパントと呼ぶ)が含まれる。
【0043】
[0049]銅はCdTeのようなII-VI半導体をよりp型のものにするために用いることが
できるIB族ドーパントである。ドーパントのCuは吸収体層120と背後金属電極127の間にオーミックコンタクトを作るために用いることができ、というのは、数少ない金属が十分に高い仕事関数を有するからである。特定の態様において、吸収体層120は銅のドーパントをさらに含み、それは約5×10
15/cm
3から約1×10
18/cm
3までの範囲であってもよく、例えば、約5×10
16/cm
3から約5×10
17/cm
3までである。幾つかの態様において、吸収体の中のCuの濃度は第一の境界面におけるよりも第二の境界面における方が高い。銅(Cu)に加えて、銀(Ag)と金(Au)はCdTe半導体のためのIB族ドーパントとして知られていて、またそれらはこの目的についてはCuと同等であることが文献で示唆されている。
【0044】
[0050]特定の態様において、吸収体層120は銀のドーパントをさらに含み、それは約1×10
15/cm
3から約1×10
18/cm
3までの範囲であってもよく、例えば、約5×10
15/cm
3から約2.5×10
17/cm
3までである。銀は、ここに記述される方法のいずれかを用いてドーパントとして吸収体層120に加えることができる。銀は単一のドーパントとしてII-VI半導体において用いてもよく、あるいは補助的なドーパン
トとしてCuと一緒に用いてもよい。II-VI半導体においてAgが単一のドーパントとし
て用いられるとき、驚くべきことに、Cuドーパントのレベルと比較して、必要とされるドーパントは少ないことが見出された。幾つかの態様において、Cuの代わりにAgが置き換えられるとき、15%ないし70%のドーパントレベルで十分であり、例えば、約20%から約60%までである。このことは、
図6の促進された応力のデータによって示されるように、改善された長期間の安定性に寄与するかもしれない(後に実施例2において説明される)。同様に、CuおよびAgの両方で共添加されるデバイスにおいて、Cuの量は20%ないし50%の倍率で低減させてもよく、従って、高度に拡散性であるCuの量が低減される。
【0045】
[0051]上で言及したように、II-VI半導体にCuおよびAgの両方をここで記述する割
合で共添加すると、後に論じるように、変換効率における顕著な利益に寄与した。そのような場合、銅対銀のドーパントの割合としては、銅ドーパントが約5×10
15/cm
3
から約1×10
18/cm
3までの範囲であってもよく、例えば、約5×10
16/cm
3から約5×10
17/cm
3までであり、一方、銀ドーパントの量は約1×10
15/cm
3から約5×10
17/cm
3までの範囲であってもよく、例えば、約5×10
15/cm
3から約2.5×10
17/cm
3までである。CuおよびAgのドーパントの両方を用
いる幾つかの態様では、約1:1から約50:1までのCu対Agの比率を示す。例えば、吸収体層120におけるCu対Agの比率は少なくとも約2:1とすることができ、例えば、一つの態様においては少なくとも約4:1であり、別の態様においては少なくとも約3:1である。他の態様においては、吸収体層120におけるCu対Agの比率は約40:1まで、約30:1まで、あるいは約20:1までとすることができる。境界を設けた範囲においては、吸収体層120におけるCu対Agの比率は、一つの態様においては約5:1と40:1の間、あるいは別の態様においては約5:1と30:1の間、あるいはさらなる態様においては約10:1と20:1の間とすることができる。
【0046】
[0052]ドーパント(例えば、Cu、Ag、Au)は、幾つかの手段によって吸収体層120の中に組み入れることができる。第一に、蒸着またはスパッタリングのためのソースターゲット(ターゲット源)がドーパントを含んでいてもよい。あるいは、複数のソースまたはターゲット(一つがドーパントを含み、そして別のものがメインの吸収体物質を含む)が、ドーパントを組み入れるために共堆積または共スパッターされてもよい。別の方法においては、吸収体層120の上に、あるいは吸収体層120を堆積する前に、純粋なドーパントの薄い層を界面層として堆積し、続いて、熱加工を行うことによってその層から吸収体の隣接する層の中へドーパントを拡散させてもよい。加えて、ドーパントを「湿潤プロセス」によって適用してもよく、このプロセスはドーパントまたはドーパントの塩の溶液を作ることを含み、その溶液は吸収体層120を堆積する前または後のいずれかに層の表面上に噴霧または被覆されてもよく、続いて、熱加工を行うことによってその湿潤溶液から吸収体層120の隣接する層の中へドーパントを拡散させる。このやり方においては、ドーパントの溶液を塩化カドミウムと混合し、そして熱処理の前に吸収体層に塗布することによって、ドーパントを適用してもよい。
【0047】
[0053]少なくとも一つの態様において、ドーパントは、バック接点を形成するものの一部として吸収体層の中に組み入れられ、あるいは吸収体とバック接点の間の界面層の中に組み入れられる。前に説明したように、バック接点の堆積は、CdTe、ZnTe、CdSeTe、またはCdZnTeのようなII-VI半導体の吸収体の中にドーパントD(例え
ば、Cu、AuまたはAg)を含むことができる。これらの態様において、ドーパントを伴うバック接点125または界面層は吸収体層120の上に堆積され、そして吸収体層120の中にドーパントを拡散させるために熱加工または焼鈍される。一つの態様において、Cd
yZn
1−yTeを含むバック接点の物質の中にAgが含まれていてもよく、ここでyは0から約0.6までであり、例えば、約0.4から約0.6まで、または約0.5までである。
【0048】
[0054]銅または銀のようなドーパントが溶液または金属層のいずれかからそれ自体の層として適用されるとき、ドーパントの配合量または用量を被覆される質量または領域として特徴づけることがより有用な場合がある。デバイス100がさらに熱加工されるとき、
ドーパントは上で説明したようにして層の中へ拡散する。このやり方で表される本開示において有用な銅のドーパントの用量には、約5ng/cm
2から約70ng/cm
2までが含まれ、例えば、約10ng/cm
2から約50ng/cm
2までである。このやり方で表される本発明において有用な銀のドーパントの用量には、約1ng/cm
2から約30n
g/cm
2までが含まれ、例えば、約2ng/cm
2から約20ng/cm
2までである。
【実施例】
【0049】
実施例および改善された効率の実績
[0055]
実施例1
吸収体層における約2×10
17/cm
3のCuドーパントを伴う比較例のCdSeT
e吸収体のPVデバイスを形成した。吸収体層の上にZnTe:Cu層を堆積させることによって銅を供給し、次いで、熱加工した。吸収体層における約2×10
17/cm
3の
Cuドーパントおよび約1.5×10
16/cm
3のAgドーパントを伴う実施例のCd
SeTeのPVデバイスを形成した。硝酸銀の水溶液として約2ng/cm
2の用量で銀
を吸収体層に塗布し、そして層を焼鈍するとともに吸収体の中へAgを拡散させるために加熱した。
図1および
図4に示すように、I
SCおよびV
OCの値を得るために、比較例および実施例のPVデバイスの両者についてI-V掃引曲線を作成した。P
MAX、P
T
、およびFFはこれらから計算され、そしてP
MAXを
図5において相対的な増大量としてプロットする。
図5におけるゼロの基線は特定の厚さのデバイスについての自由裁量による基線であるが、比較例のデバイス(四角)を上回る実施例のデバイス(円)の相対的な改善がここでは反映されている。約161Wから約168WまでのP
T=I
SC・V
OCの積(ワット、W)において、P
MAXは、Agをドープしていないデバイスと比較してAgをドープしたデバイスにおける方が約1%から約5%まで高く、そしてより高いP
T=I
SC・V
OCの積の領域においてより大きな改善を示す傾向にある。
【0050】
[0056]上で説明した実施例から、銀のドーパントを有するPVデバイスは銅のドーパントだけを有する比較例のデバイスよりも性能が優れていることが明らかである。これは、電子殻の構成が極めて類似していることを考慮すると、幾分意外なことである(3d/4
dの殻は10個の電子で満たされていて、次の殻には1個の電子だけしかない)。さらに、CdTe吸収体の太陽電池におけるドーパントとしてのCuに代わるAgの同等性(優越性ではない)は、文献においても示唆されている。例えば、Gretener, et al, CdTe Thin Films doped by Cu and Ag - a Comparison in Substrate Configuration Solar Cells, (2014) 2014 IEEE 40th Photovoltaic Specialist Conference, PVSC 2014, art. no. 6925689, pp. 3510-3514; を参照されたい。
【0051】
[0057]しかし、改善された効率の実績は、
図4および
図5に示すように、より大きなI
SC、より大きなV
OC、または両者の形(これらは、より高いP
T、を生み出す)で生じることを出願人は見出した。FFは高いP
T=I
SC・V
OCの積において低下するが、それはずっと高いP
T=I
SC・V
OCの積においてそうなるのであり、それは高いP
MAXおよび高い変換効率に変わる。増大するP
Tにおいて高いFFを維持することによって、高いP
MAXが達成される。このことは
図4から明白であり、そこでは、Agをドープしたデバイス(円)はいずれかの所定のP
T=I
SC・V
OCの積において銀をドープしないデバイス(四角)よりも約1ないし約3パーセントのポイントで高いFFを示し、そしてその効果は最も高いP
Tの値において最も顕著である。いずれかの所定のP
TにおいてFFを増大させることによって、より高いP
MAXが達成される。
【0052】
[0058]
図4および
図5に示すように、Agを共添加する利益はI
SC・V
OCの積が大きくなるのに従って増大する。このP
T(=I
SC・V
OCの積)の値は、吸収体のセレンの含有量を増大させてバンドギャップを低下させることによってより高い値に調整することができる。このことは重要な進展であり、というのは、現在、入射光の吸収量、特に
約800nmよりも上の赤外範囲における吸収量を最大限にするために、より高いセレンの含有量を有するCdSeTe吸収体を用いることができるからである。そのような新規な吸収体の吸収端は1〜10nmに、例えば約5nmに、さらにはIR範囲(赤外範囲)へと押し広げることができることが測定されている。
【0053】
[0059]
実施例2
ドーパントを含むスパッターしたバック接点によって供給されるドーパントを用いて、CdSeTe吸収体のPVデバイスを形成し、続いて熱加工を行った。吸収体層において約2×10
17/cm
3の見積もりの吸収体の濃度を生成させるためにバック接点のスパ
ッターターゲットにおける1.0%のCuドーパントを用いて、比較例のPVデバイスを形成した。バック接点のスパッターターゲットにおける0.3%のAgドーパントを用いて、実施例のPVデバイスを形成した。最初の時期においてデバイスの変換効率を測定し、そして長期間の使用を模擬するために設計した促進された応力試験の後に再び変換効率を測定した。データを
図6に示す。初期の測定時に、Agデバイス(約1/3の全ドーパントを用いたもの)の効率は、比較例のCuをドープしたデバイスよりも約6%高かった(図においては1.0の値に正規化されている)。さらに、それぞれを促進された応力試験に供した後、比較例のCuデバイスは15%よりも大きな効率の低下を示したが、Agをドープしたデバイスは約8%の低下しか示さなかった。特に、Agをドープしたデバイスの応力後の変換効率は、Cuをドープしたデバイスの初期の(応力をかけていないものの)効率の数%以内であった。
【0054】
[0060]添付した特許請求の範囲は本発明を考案したままに広く権利請求することを意図していて、ここに提示する実施例は多岐にわたる全ての可能な態様から選択された態様の実例である。従って、添付した特許請求の範囲は本発明の特徴を例示するために用いられた選択された実施例によって限定されない、ということが出願人の意図するところである。特許請求の範囲において用いられている「含む」という用語および論理的にその文法上の変形であるものは、例えば、(これらに限定はされないが)「本質的に〜から成る」および「〜から成る」といった変形する範囲および異なる範囲の語句の基礎となっていて、それらの語句を含むものである。必要な場合には範囲が与えられているが、それらの範囲は、それらの間にある全ての副次的な範囲を含む。これらの範囲にある変形は当分野における熟練した実行者に対してそれら自体が示唆されていて、また、いまだ公衆に開放されていない場合は、それらの変形は添付した特許請求の範囲によって保護されると(可能であれば)解釈されるべきである。また、科学と技術における進歩は、言葉の不正確さの故に現在は考えられていない同等物や代用物を可能なものにするであろうと予想され、これらの変形もまた、添付した特許請求の範囲によって保護されると(可能であれば)解釈されるべきである。
[発明の態様]
[1]
光子エネルギーを電流に変換する吸収体層を含む光起電力デバイスであって、
吸収体層はカドミウム、セレン、およびテルルを含むII-VI半導体物質を含み、そして
吸収体層は、2:1よりも大きな銅対銀の比率で銅と銀でドープされている、前記光起電力デバイス。
[2]
銅対銀の比率は5:1と40:1の間である、1に記載の光起電力デバイス。
[3]
吸収体層は5×10
16/cm
3と5×10
17/cm
3の間の濃度で銅でドープされている、1に記載の光起電力デバイス。
[4]
吸収体層は5×10
15/cm
3と2.5×10
17/cm
3の間の濃度で銀でドープされている、1に記載の光起電力デバイス。
[5]
吸収体層の上のバック接点を含み、バック接点はAgでドープされている、1に記載の光起電力デバイス。
[6]
バック接点はZnTeを含む、5に記載の光起電力デバイス。
[7]
光の入射側にあるフロント接点を含み、
吸収体層は、フロント接点の方を向いている第一の境界面とバック接点の方を向いている第二の境界面との間の厚さを有し、
セレンの濃度は、第一の境界面における最も高いレベルから第二の境界面における最も低いレベルまで吸収体層の厚さ全体に渡って変化する、5に記載の光起電力デバイス。
[8]
吸収体層はCdSe
xTe
1−xの供給源から形成され、ここで、xは約1原子%から約40原子%までである、7に記載の光起電力デバイス。
[9]
xは第一の境界面において約10原子%から約40原子%までであり、そして第二の境界面において約0原子%から約20原子%までである、8に記載の光起電力デバイス。
[10]
光起電力デバイスをドープする方法であって、
フロント接点の上に吸収体層を形成すること、吸収体はII-VI半導体物質を含む、
吸収体層の上にバック接点を形成すること、バック接点は1ng/cm
2と30ng/cm
2の間のAgの用量でAg金属またはAg含有合金を含む、および
光起電力デバイスを熱加工し、それにより吸収体層の中へのAgの拡散をAgドーパントとして生じさせること、
を含む前記方法。
[11]
Agドーパントは吸収体層の中へ5×10
15/cm
3から2.5×10
17/cm
3までの濃度まで拡散される、10に記載の方法。
[12]
吸収体層をCuドーパントで5×10
16/cm
3から5×10
17/cm
3までの濃度までドープすることをさらに含む、10に記載の方法。
[13]
バック接点はCuをさらに含み、そしてCuはドーパントとして吸収体層の中へ拡散する、10に記載の方法。
[14]
吸収体層を堆積する工程の間に行うAg金属またはAg含有合金の一つ以上の層の蒸着によって追加のAgドーパントを吸収体層の中へ組み入れることを含む、10に記載の方法。
[15]
バック接点を形成する工程は、吸収体層の上にAgとCd
yZn
1−yTe(ここで、yは0から約0.6までである)の混合物を蒸着することをさらに含む、10に記載の方法。
[16]
yは約0.4から約0.6までである、15に記載の方法。
[17]
熱加工を行う前にAgドーパントはバック接点の中に約0.1%から約1.0%までの濃度で存在する、15に記載の方法。
[18]
II-VI半導体物質はカドミウム、セレン、およびテルルを含み、そして吸収体はある厚さを有するとともに、フロント接点の方を向いている隣接層を伴う第一の境界面およびバック接点の方を向いている隣接層を伴う第二の境界面を有する、10に記載の方法。
[19]
セレンの濃度は、第一の境界面における最も高いレベルから第二の境界面における最も低いレベルまで吸収体層の厚さ全体に渡って変化する、18に記載の方法。
[20]
光の入射側にあるフロント接点、バック接点および支持体を有する光起電力デバイスであって、
フロント接点とバック接点の間に形成された吸収体層を含み、吸収体層はある厚さを有するとともにフロント接点の方を向いている第一の境界面およびバック接点の方を向いている第二の境界面を有し、吸収体層はカドミウム、セレン、およびテルルを含むII-VI半導体物質を含み、
吸収体層はAgでドープされている、前記光起電力デバイス。
[21]
セレンの濃度は、第一の境界面における最も高いレベルから第二の境界面における最も低いレベルまで吸収体層の厚さ全体に渡って変化する、20に記載の光起電力デバイス。
[22]
吸収体層はCdSe
xTe
1−xの供給源から形成され、ここで、xは約1原子%から約40原子%までである、20および21のいずれかに記載の光起電力デバイス。
[23]
xは第一の境界面において約10原子%から約40原子%までであり、そして第二の境界面において約0原子%から約20原子%までである、20から22のいずれかに記載の光起電力デバイス。
[24]
Agドーパントは吸収体の中に約5×10
15原子/cm
3から約2.5×10
17原子/cm
3までの濃度で存在する、20から23のいずれかに記載の光起電力デバイス。
[25]
Agドーパントに加えてCuドーパントをさらに含む、20から24のいずれかに記載の光起電力デバイス。
[26]
Cuドーパントは約5×10
16原子/cm
3から約5×10
17原子/cm
3までの濃度で存在する、20から25のいずれかに記載の光起電力デバイス。
[27]
光起電力デバイスは、Agドーパントの無い吸収体層を有する別の光起電力デバイスと比較して約160Wよりも大きなP
Tの値において曲線因子の増大を示す、20から25のいずれかに記載の光起電力デバイス。
[28]
同じP
Tにおいて曲線因子の約1ないし約3パーセントのポイントの増大を示す、27に記載の光起電力デバイス。
[29]
約160Wないし約170WのP
Tの値において約1%ないし約4%のP
MAXの値の増大を示す、27に記載の光起電力デバイス。
[30]
20から29のいずれかに記載の光起電力デバイスを形成する方法であって、
少なくとも前方と後方の領域を有する複数層の積み重ねとして吸収体層を堆積すること、前方の領域はCdSe、CdSSe、またはCdSe
xTe
1−x(xは約10原子%から約40原子%までである)を含み、そして後方の領域はCdTe、またはCdSe
xTe
1−x(xは約1原子%から約20原子%までである)を含む、
続いて、前方と後方の領域の層の混ざり合いが起こるのに十分な熱処理を行うこと、および
Agドーパントを吸収体層の中へ組み入れること、
を含む前記方法。
[31]
吸収体層の両方の領域をCdSe
xTe
1−xの供給源から形成することを含み、ここで、xは前方の領域においてより高い値から後方の領域においてより低い値まで漸次変化する、30に記載の方法。
[32]
Agドーパントを吸収体の中に約5×10
15/cm
3から約2.5×10
17/cm
3までの濃度で組み入れることをさらに含む、30および31のいずれかに記載の方法。
[33]
Cuドーパントを吸収体の中に約5×10
16/cm
3から5×10
17/cm
3までの濃度で組み入れることをさらに含む、30から32のいずれかに記載の方法。
[34]
Agドーパントを吸収体層の中に組み入れる工程は、吸収体層を堆積する工程の間に行うAg金属またはAg含有合金の一つ以上の層の蒸着によって行われる、32および33のいずれかに記載の方法。
[35]
Agドーパントを吸収体層の中に組み入れる工程は、Ag金属またはAg含有合金を含むバック接点を形成し、続いてデバイスを熱加工し、それにより吸収体層の中へのAgの拡散を生じさせることによって行われる、32および33のいずれかに記載の方法。
[36]
Agドーパントを吸収体層の中に組み入れる工程は、AgとCd
yZn
1−yTe(ここで、yは0から約0.6までである)の混合物を吸収体層の上に形成されるバック接点として蒸着することによって行われる、32および33のいずれかに記載の方法。
[37]
yは約0.4から約0.6までである、36に記載の方法。
[38]
Agドーパントを吸収体層の中に組み入れる工程は、Ag塩を含む溶液を(i)第一の領域を堆積する前にデバイスに塗布すること、(ii)第二の領域を堆積した後であって、熱処理を行う前に塗布すること、または(iii)バック接点を形成する前に塗布すること、によって行われる、32および33のいずれかに記載の方法。
[39]
デバイスは、Agでドープされていない同様のII-VI半導体の吸収体を有するPVデバイスと比較して約160Wよりも大きなP
Tの値において曲線因子の増大を示す、30から38のいずれかに記載の方法。
[40]
デバイスは、同じP
Tにおいて曲線因子の約1ないし約3パーセントのポイントの増大を示す、39に記載の方法。
[41]
デバイスは、約160Wないし約170WのP
Tの値において約1%ないし約4%のP
MAXの値の増大を示す、40に記載の方法。
[42]
光の入射側にあるフロント接点、バック接点および支持体を有する光起電力デバイスであって、
フロント接点とバック接点の間に形成された吸収体層を含み、吸収体層はある厚さを有するとともにフロント接点の方を向いている第一の境界面およびバック接点の方を向いている第二の境界面を有し、吸収体層はカドミウム、セレン、およびテルルを含むII-VI半導体物質を含み、
吸収体層は約5×10
16/cm
3から5×10
17/cm
3までの濃度でCuでドープされていて、また吸収体層は約5×10
15/cm
3から約2.5×10
17/cm
3までの濃度でAgでドープされている、前記光起電力デバイス。
[43]
セレンの濃度は、第一の境界面における最も高いレベルから第二の境界面における最も低いレベルまで吸収体層の厚さ全体に渡って変化する、42に記載の光起電力デバイス。
[44]
吸収体層はCdSe
xTe
1−xの供給源から形成され、ここで、xは約1原子%から約40原子%までである、43に記載の光起電力デバイス。
[45]
xは第一の境界面において約10原子%から約40原子%までであり、そして第二の境界面において約0原子%から約20原子%までである、44に記載の光起電力デバイス。
[46]
吸収体層におけるAgドーパントに対するCuドーパントの比率は約1から約50までである、42から45のいずれかに記載の光起電力デバイス。
[47]
吸収体層はCuおよびAgでドープされていて、それらのうちの少なくとも一つのドーパントは、ドーパント金属またはドーパント含有合金の一つ以上の層を含むバック接点の層を形成することによって付与される、42から46のいずれかに記載のデバイス。
[48]
バック接点はAgとCd
yZn
1−yTe(ここで、yは0から約0.6までである)の混合物の蒸着によって形成される、47に記載のデバイス。
[49]
yは約0.4から約0.6までである、48に記載のデバイス。
[50]
yは約0.5である、48に記載のデバイス。
[51]
光起電力デバイスをドープする方法であって、
支持体の上のフロント接点の上に吸収体層を形成すること、吸収体はII-VI半導体物質を含む、
吸収体層の上にバック接点を形成すること、バック接点はAg金属またはAg含有合金を含む、および
デバイスを熱加工し、それにより吸収体層の中へのAgの拡散をAgドーパントとして生じさせること、
を含む前記方法。
[52]
Agドーパントは吸収体層の中へ約5×10
15/cm
3から約2.5×10
17/cm
3までの濃度まで拡散する、51に記載の方法。
[53]
吸収体層をCuドーパントで約5×10
16/cm
3から約5×10
17/cm
3までの濃度までドープすることをさらに含む、51および52のいずれかに記載の方法。
[54]
バック接点はCuをさらに含み、CuとAgの両者が吸収体層の中へドーパントとして拡散する、51から53のいずれかに記載の方法。
[55]
吸収体層を堆積する工程の間に行うAg金属またはAg含有合金の一つ以上の層の蒸着によって追加のAgドーパントを吸収体層の中へ組み入れることをさらに含む、51から54のいずれかに記載の方法。
[56]
バック接点を形成する工程は、吸収体層の上にAgとCd
yZn
1−yTe(ここで、yは0から約0.6までである)の混合物を蒸着することをさらに含む、55に記載の方法。
[57]
yは約0.4から約0.6までである、56に記載の方法。
[58]
熱加工を行う前にAgドーパントはバック接点の中に約0.1%から約1.0%までの濃度で存在する、51から57のいずれかに記載の方法。
[59]
吸収体はカドミウム、セレン、およびテルルを含み、そして吸収体はある厚さを有するとともに、フロント接点の方を向いている第一の境界面およびバック接点の方を向いている第二の境界面を有する、51から58のいずれかに記載の方法。
[60]
吸収体層はCdSe
xTe
1−xの供給源から形成され、ここで、xは約1原子%から約40原子%までである、59に記載の方法。
[61]
xは第一の境界面において約10原子%から約40原子%までであり、そして第二の境界面において約0原子%から約20原子%までである、59および60のいずれかに記載の方法。
[62]
セレンの濃度は、第一の境界面における最も高いレベルから第二の境界面における最も低いレベルまで吸収体層の厚さ全体に渡って変化する、59から61のいずれかに記載の方法。