(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の好適な実施形態を挙げ、添付の図面を参照して詳細に説明する。なお、以下の説明において、吊下フック10、10A、40の支持部材80に当接する側を「上側」、物品が取り付けられる側を「下側」と呼ぶ。
【0012】
(第1実施形態)
本実施形態に係る吊下フック10は、
図1Aに示すように、側面視して略S字型に形成されており、中間部分が回動可能となっている。具体的には、吊下フック10は、上側を構成する上側フック本体12、下側を構成する下側フック本体14、上側フック本体12と下側フック本体14とを回動可能に接続する軸ピン16、及び軸ピン16の外周部に装着された付勢部材18を有する。
【0013】
上側フック本体12は、側面視してC字型に形成された部材であり、樹脂材料によって一体的に形成されている。上側フック本体12の上端部には、机の天板(
図9A、
図9B参照)等の支持部材80と当接する当接部20が設けられている。当接部20は横方向に延び、その先端部に、下側(軸ピン16側)に向けて膨出した下側部分20aが設けられている。下側部分20aは、当接部20の中で最も下側に向けて突出した部分であり、支持部材80(
図9A参照)に当接する部分となっている。当接部20の基端側からは、緩やかな湾曲部20bを介して第1垂下部22が下方に向けて延び出ている。
【0014】
第1垂下部22は、
図1Bに示すように、同じ厚さの薄板状に形成されている。第1垂下部22の上下方向の長さは、下側フック本体14が取付対象となる支持部材80と干渉を防ぐべく、支持部材80の厚さに応じて適宜増減させてよい。吊下フック10のバッグ82への収納性との兼ね合いを考慮して、第1垂下部22の上下方向の長さは、例えば5〜6cm程度とすると好適である。
【0015】
図1Aに示すように、第1垂下部22の下端部22aからは、支持板24(第1支持板)が当接部20の下方に向けて延び出ている。支持板24は、上下方向に延びる中心軸を中心とした円板状に形成されている。支持板24の上側(当接部20側)には、平坦な上面24aが形成されるとともに、その中心軸付近には上下方向に貫通する軸孔24bが形成されている。
【0016】
図2に示すように、上面24aの周方向の所定箇所には、下側フック本体14の回動停止位置を規制するための凹部24cが設けられている。特に限定されるものではないが、凹部24cは、中心軸から径方向外方に向けて直線状に延びて形成されている。これらの凹部24cは、周方向に90°の角度を開けて4本設けられている。なお、凹部24cは線状に限定されるものではなく、ドット状の形状であってもよい。
【0017】
図1Aに示すように、下側フック本体14は、側面視してC字型に形成された部材であり、上側フック本体12と同様の樹脂材料によって一体的に形成されている。下側フック本体14の上端部には、摺動板26が形成されている。摺動板26は、上下方向の軸回りに円板状に形成された板状の部分である。摺動板26の下側には平坦な下面26aが形成されている。
【0018】
また、摺動板26の中心軸付近には上下方向に貫通する軸孔26bが形成されている。
図2に示すように、摺動板26の下面26aには、支持板24の凹部24cに係合可能な凸部26cが設けられている。凸部26cは、中心軸から径方向外方に向けて直線状に延びて形成されている。これらの凸部26cは、周方向に90°の角度を開けて4本設けられている。なお、凸部26cの形状は線状に限定されるものではなく、ドーム状(半球状)に形成されていてもよい。
【0019】
図1Aに示すように、摺動板26の側部からは、斜め下方に向けて第2垂下部28が延び出ている。第2垂下部28の上下方向の長さは、バッグ82(
図9A参照)の持ち手84を通すことができる長さに設定されている。第2垂下部28の下端28aからは、吊下部30が摺動板26側に向けて延び出ている。吊下部30には、吊下げ対象となるバッグ82の持ち手84が引っ掛けられる。吊下部30の先端には、物品の脱落を防ぐための膨出部30aが設けられている。
【0020】
本実施形態の吊下フック10の中央部分には、上側フック本体12と下側フック本体14とを回動可能に接続する回動軸構造32が設けられている。回動軸構造32は、上側フック本体12の支持板24と、下側フック本体14の摺動板26と、支持板24及び摺動板26とを貫通する軸孔34と、軸孔34に挿入された軸ピン16と、軸ピン16の外周部に嵌装された付勢部材18とを備えている。
【0021】
回動軸構造32において、支持板24の上側に摺動板26が配置されており、支持板24の上面24aには、摺動板26の下面26aが摺動可能に面接触している。支持板24の軸孔24bと、摺動板26の軸孔26bとがつながって一本の軸孔34を構成している。軸孔34は、摺動板26の上端面26dから、支持板24の下端面24dまでを貫通して形成されている。その軸孔34に、軸ピン16が挿入されている。
【0022】
軸ピン16は、軸孔34の中心軸と同じ位置に中心軸を有する円柱状の部材であり、軸ピン16の中心軸が回動軸構造32の回動軸となっている。軸ピン16の回動軸の上側への延長線上に、上側フック本体12の当接部20の下側部分20aが形成されている。また、軸ピン16の回動軸の下側の延長線上に下側フック本体14の吊下部30の中央部が設けられている。
【0023】
下側フック本体14は、軸ピン16を軸として上側フック本体12に対して回動可能に接続されている。軸ピン16の上端側は、摺動板26の上方に突出しており、その上端部には、拡径した軸頭16aが形成されている。また、軸ピン16の下端部には、かしめ部16bが形成されている。かしめ部16bは、支持板24に下端側から当接して軸ピン16の上方への引き抜けを阻止する。
【0024】
軸ピン16の外周部であって、軸頭16aと摺動板26との間のスペースに、摺動板26を支持板24に付勢する付勢部材18が嵌装されている。付勢部材18は、コイルバネよりなり、摺動板26の凸部26cを支持板24の凹部24cに押し付ける付勢力を発生させる。
【0025】
本実施形態の吊下フック10は以上のように構成され、以下その作用について説明する。
【0026】
吊下フック10は、上側フック本体12の当接部20を机の天板等の支持部材80に引っ掛けて使用する。当接部20を支持部材80に引っ掛けると、回動軸構造32及び下側フック本体14の吊下部30が当接部20の下方に配置されて、バッグ82等の物品を吊下部30に吊り下げることができる。
【0027】
吊下部30にバッグ82の持ち手84を引っ掛けて吊下げると、下側部分20a(支点)と、軸ピン16と、吊下部30の中央部(作用点)とが鉛直方向に揃い、安定して吊下フック10に吊り下げることができる。また、軸ピン16の回動軸が、上側フック本体12の下側部分20a(支点)と、下側フック本体14の吊下部30の中央部(作用点)とを結ぶ線と一致していることにより、下側フック本体14を回動させても、吊下部30の傾斜が変化せず、吊下フック10を安定させたまま、下側フック本体14の向きを変えることができる。
【0028】
吊下部30に物品を吊り下げると、下側フック本体14に吊り下げ荷重が作用する。この吊り下げ荷重は、摺動板26と支持板24の摺動面27(上面24a及び下面26a)を介して上側フック本体12に伝わる。すなわち、吊下荷重が軸ピン16に直接作用することがなく、吊下げ荷重を摺動板26と支持板24とが受け持つ。これにより、軸ピン16への荷重の集中を防止でき、軸ピン16の破損を防ぐことができる。
【0029】
また、摺動板26と支持板24との摺動面27に設けられた凹凸構造(凹部24c及び凸部26c)とによって、下側フック本体14の周方向の自由な回動が阻止される。凹凸構造による回転規制は、吊下げ荷重が作用することでより強く働く。これにより、下側フック本体14が不用意に回動して、物品の向きが頻繁に変化するのを防止できる。
【0030】
本実施形態の吊下フック10は、以下の効果を奏する。
【0031】
本実施形態の吊下フック10は、本体中央部が回動軸構造32によって回動可能となっている。吊下フック10は、側面視してC字型に形成された上側フック本体12、側面視してC字型に形成された下側フック本体14、上側フック本体12の下端に設けられた支持板24、下側フック本体14に設けられ、支持板24に当接する摺動板26を有する。摺動板26及び支持板24には、これらを貫通する軸孔34が設けられ、軸孔34には軸ピン16が挿入されている。摺動板26は、支持板24の上側に重ね合わされて支持板24と面接触し、下側フック本体14の吊り下げ荷重を、摺動板26と支持板24との摺動面27を介して上側フック本体12に伝える。
【0032】
上記のように構成することにより、吊下げ荷重が軸ピン16に直接作用するのを防ぐことができ、軸ピン16及びその周辺の部材の破損を防止することができる。
【0033】
上記の吊下フック10は、さらに、摺動板26を支持板24に向けて付勢する付勢部材18を備えてもよい。このように構成することで、摺動板26と支持板24とを面接触した状態に保つことができ、吊下フック10が揺動した際の摺動板26と支持板24とのガタツキを防止できる。また、付勢部材18は、摺動板26を支持板24に設けられた凹凸構造をより強く嵌合させることにより、下側フック本体14の回動停止位置の保持を容易とすることができる。
【0034】
上記の吊下フック10において、支持板24と摺動板26との摺動面27には、上側フック本体12に対する下側フック本体14の周方向の回動停止位置を規制する凹凸構造が設けられていてもよい。このように構成することにより、下側フック本体14の回動停止位置を所定角度に保つことができる。
【0035】
上記の吊下フック10において、凹凸構造は90°毎に設けられていてもよい。このように構成することにより、吊下フック10の支持部材80への取付位置に応じて、
図9A又は
図9Bに示すように、吊下げる物品の向きを調節することができて好適である。
【0036】
(第1実施形態の変形例)
以下、
図1A、
図1B及び
図2を参照しつつ説明した吊下フック10の変形例に係る吊下フック10Aについて説明する。なお、吊下フック10Aにおいて、
図1A、
図1B及び
図2を参照しつつ説明した吊下フック10と同様の構成については、吊下フック10の対応する構成と同一の符号を付して、その詳細な説明は省略する。
【0037】
図3に示すように本変形例の吊下フック10Aは、軸ピン16の軸頭16a側が上側フック本体12の支持板24の下方に突出しており、軸頭16aと支持板24の下端面24dとの間に付勢部材18が嵌装されている。軸ピン16は摺動板26側の端部がかしめによって摺動板26に接合されている。付勢部材18は、バネ等よりなり、支持板24を摺動板26に向けて付勢することで、第1実施形態の付勢部材18と同様の効果を奏する。
【0038】
以上の本変形例の吊下フック10Aは、第1実施形態の吊下フック10と同様の効果を奏する。
【0039】
(第2実施形態)
図4Aに示すように、本実施形態の吊下フック40は、C字型の上側フック本体42と、C字型の下側フック本体44とを備えており、上側フック本体42と下側フック本体44とは、回動軸構造46によって回動自在に接合されている。
【0040】
上側フック本体42は、支持部材80に当接する当接部48と、当接部48からC字型に湾曲して延びる第1垂下部50と、第1垂下部50の下端部に設けられた第1支持板52及び第2支持板54とを備えている。
図4Bに示すように当接部48及び第1垂下部50は、正面視したときの幅が、側面視した幅よりも薄い板状に形成されている。
【0041】
図4Aに示すように、当接部48及び第1垂下部50の周縁部には、紙面に垂直な方向に突出したリブ56a、56bが設けられている。すなわち、当接部48及び第1垂下部50の中心線に垂直な断面はH型となっている。リブ56a、56bは上側フック本体42の剛性を高め、上側フック本体42の厚み方向への湾曲を阻止する。
【0042】
また、当接部48には、支持部材80との摩擦抵抗を増加させるべく、シリコーンゴム等のゴム素材よりなる摩擦部材58が装着されている。摩擦部材58は、当接部48と略同じ大きさの空洞を有する筒状部材であり、当接部48を摩擦部材58の空洞に挿入することで装着される。
【0043】
リブ56aは、第1垂下部50の下端部において下側に位置し、そのリブ56aからは第1支持板52が延び出ている。また、リブ56bは第1垂下部50の下端部において、リブ56aの上側に位置し、そのリブ56bから第2支持板54が延び出ている。
【0044】
図5に示すように、第1支持板52及び第2支持板54は、上下方向を中心軸とする円板状に形成されており、上下方向に所定の間隔を開けて平行に設けられている。第1支持板52及び第2支持板54の中心軸は上下方向に延びており、その中心軸は一致している。第1支持板52及び第2支持板54の中心軸周りには同一内径の軸孔52a、54aがそれぞれ形成されている。
【0045】
図5に示すように、第1支持板52の上面52b及び第2支持板54の上面54bは、後述する下側フック本体44の第1摺動板60及び第2摺動板62とそれぞれ当接する。第1支持板52の上面52b及び第2支持板54の上面54bは平面状に形成されるとともに、その周方向の一部に、下側フック本体44の回動停止位置を規制する凸部52c及び凹部54cがそれぞれ形成されている。凸部52cは、第1支持板52の上面52bに形成されており、第1支持板52の中心軸から径方向外方に向けて直線状に延びて形成されている。凸部52cは、周方向に90°の角度を開けて4本形成されている。そのうち2本の凸部52cは、当接部48の延在方向と平行な向きに延び、他の2本の凸部52cは、当接部48の延在方向と垂直な向きに延びている。
【0046】
図4Aに示すように、下側フック本体44は、第1支持板52及び第2支持板54にそれぞれ当接する第1摺動板60及び第2摺動板62を有する。第1摺動板60及び第2摺動板62からは、側方及び下方に向けて第2垂下部64が延び出ている。そして、第2垂下部64の下端から回動軸構造46の下方に向けて吊下部66が延び出ている。
【0047】
第2垂下部64及び吊下部66は、
図4Aの紙面奥行き方向の幅が薄い板状に形成されており、その縁部にリブ68a、68bが形成されている。第1摺動板60はリブ68aとつながって形成され、第2摺動板62はリブ68bとつながって形成されている。
図5に示すように、第1摺動板60及び第2摺動板62は、円板状に形成されるとともにその中心軸付近に軸孔60a、62aがそれぞれ形成されている。軸孔60a、62aは、第1支持板52の軸孔52a及び第2支持板54の軸孔54aと同一の内径に形成されており、それらの軸孔52a、54a、60a、62aには軸ピン70が挿入される。
【0048】
第1摺動板60の下面60b及び第2摺動板62の下面62bは、平坦に形成されており、下面60bは第1支持板52の上面52bと面接触し、下面62bは第2支持板54の上面54bと面接触する。第1摺動板60の下面60bには、第1支持板52の上面52bの凸部52cに対応する部分に、線状の凹部60cが形成されている。また、第2摺動板62の下面62bには、第2支持板54の上面54bの凹部54cに対応する部分に、線状の凸部62cが形成されている。凸部52c、62c及び凹部54c、60cによって、下側フック本体44の回動停止位置を規制する凹凸構造が構成される。
【0049】
図4Aに示すように、第2垂下部64は、第1摺動板60及び第2摺動板62の側部から側方及び下方に向けて延びている。第2垂下部64の上下方向の長さは、バッグ82の持ち手84等の吊下げられる物品の一部を通すことができる範囲で適宜増減させることができる。第2垂下部64の下端からは、吊下部66が略水平方向に延びている。吊下部66は、図示のように直線状に延びたものに限定されず、下側に凸に湾曲してもよい。吊下部66の末端には、吊輪66aが設けられている。吊輪66aには、キーホルダーや環状チェーン(ボールチェーン)等を取り付けることができる。
【0050】
次に、回動軸構造46について説明する。
図5に示すように、回動軸構造46は、第1支持板52、第2支持板54、第1摺動板60及び第2摺動板62と、軸ピン70と、付勢部材72とを備えている。軸ピン70は円柱状に形成されており、第1支持板52、第2支持板54、第1摺動板60及び第2摺動板62に形成された軸孔52a、54a、60a、62aに挿入される。軸ピン70の上端部には軸頭74が形成されている。軸頭74は、軸ピン70の胴部よりも一回り大きな外径に形成されており、軸ピン70の下方への抜け落ちを阻止する。軸頭74は、第2摺動板62の軸孔62aの上部に形成された拡径部63に収容されており、軸ピン70の上端面70aは、第2摺動板62の上面62dと面一となる。
【0051】
軸ピン70の上端付近の側部には、係合突起76が設けられている。係合突起76は、軸ピン70の外方に突出するとともに、上下方向に所定の長さで線状に延びた突起である。
図6に示すように、係合突起76は、第2摺動板62の軸孔62aに形成された係合凹部62eと係合する。軸ピン70は、係合突起76が係合凹部62eに係合することにより、第2摺動板62と一体的に回動するように構成されている。また、軸ピン70の下端付近には、抜止突起78が設けられている。抜止突起78は上側に切り立った返しを有しており、第1摺動板60の抜止部60eに係合することで、軸ピン70の上方への引き抜けを阻止する。
【0052】
図5に示すように、付勢部材72は、軸ピン70が挿通可能な孔が中央に形成された環状の板材を、板の厚さ方向に湾曲した板バネとして構成されている。付勢部材72は、第1摺動板60と第2支持板54との間に生じるスペースに配置されて、第1摺動板60及び第2摺動板62を第1支持板52及び第2支持板54に付勢する。付勢部材72は、弾性変形可能な樹脂又は金属等の材料よりなる。付勢部材72は、樹脂で構成すると、製造コストが低減して好適である。なお、付勢部材72は板バネに限定されるものではなく、コイルバネとして構成してもよい。
【0053】
以下、本実施形態の吊下フック40の作用について説明する。
【0054】
吊下フック40は、
図7及び
図8に示すように、下側フック本体44を回動させて、その向きを変えることができる。吊下フック40は、回動軸構造46の摺動面27に設けられた凹凸構造が付勢部材72に付勢されることで、下側フック本体44の回動停止位置は、
図7に示す初期位置と、
図8に示す回動位置とに規制される。
図7の状態では、吊下フック40が厚さ方向に薄くなるため、嵩張らない状態とすることができ、持ち運びに好適である。また、吊下フック40は、上下方向に離間した一対の支持板52、54及び摺動板60、62を備えている。これにより、上側フック本体42と下側フック本体44との間に、上下方向以外の方向に捻る力が作用した場合であっても、支持板52、54及び摺動板60、62で捻る力を分散して受けることができるため、回動軸構造46が破損しにくくなる。
【0055】
図9Aに示すように、吊下フック40は机の天板等の支持部材80に当接部48を引っ掛けて使用される。吊下フック40の吊下部66にはバッグ82の持ち手84が取り付けられる。バッグ82の荷重は、下側フック本体44の第1摺動板60と第1支持板52との摺動面27、及び第2摺動板62と第2支持板54との摺動面27とを通じて上側フック本体42に伝わる。そのため、
図1Aの吊下フック10よりも大きな荷重に耐えることができる。このため、吊下フック40の軸ピン70を含む全体を樹脂部品で構成しても十分な強度を発揮することができる。
【0056】
また、吊下フック40は、下側フック本体44の向きを
図8の向きにすることで、バッグ82を
図9Bに示す向きで吊り下げることができる。バッグ82を図示の向きにすることで、バッグ82が支持部材80の幅方向に占める占有幅を小さくすることができる。そのため、使用者の席の幅方向に隣接する席が設けられている場合において、隣接する着席者に対して邪魔にならない向きにバッグ82を吊り下げておくことができる。
【0057】
また、吊下フック40の下側フック本体44を
図7に示す向きにしておくことで、
図9Aに示す向きにバッグ82を吊り下げておくことができる。これにより、バッグ82が支持部材80の外側に突出する突出幅を小さくすることができる。
図7の向きにすることで、吊下フック40を通路際の支持部材80に引っ掛けて使用する場合に、バッグ82の通路側への突出幅を抑制することができて好適である。
【0058】
本実施形態の吊下フック40は、以下の効果を奏する。
【0059】
本実施形態の吊下フック40は、上側フック本体42の下端部に第1支持板52及び第1支持板52の上方に離間して設けられた第2支持板54を有している。また、下側フック本体44の上端部には、第1支持板52と第2支持板54との間に配置される第1摺動板60と、第2支持板54の上側に配置される第2摺動板62とが設けられている。軸孔52a、54a、60a、62aは第2摺動板62の上面62dから第1支持板52の下面52dを貫通して形成されている。
【0060】
上記のように構成することにより、下側フック本体44の吊り下げ荷重を、第1摺動板60(第1支持板52)と第2摺動板62(第2支持板54)とで分散して伝えることができるため、より大きな吊り下げ荷重に耐えることができる。また、上側フック本体42と下側フック本体44とを捻る力に対する回動軸構造46の強度が向上し、回動軸構造46がより一層破損しにくくなる。
【0061】
上記の吊下フック40において、第1摺動板60と第2支持板54との隙間に、第1摺動板60を第1支持板52に付勢し且つ第2摺動板62を第2支持板54に付勢する付勢部材72が設けられていてもよい。このように構成することにより、回動軸構造46を小型化できる。
【0062】
上記の吊下フック40において、付勢部材72は、厚み方向に湾曲した環状の樹脂板で構成してもよい。これにより、付勢部材72を安価な部品で構成できる。
【0063】
上記吊下フック40において、上側フック本体42、下側フック本体44、付勢部材72及び軸ピン70が樹脂によって形成されている。これにより、吊下フック40の製造コストを抑制できる。
【0064】
上記において、本発明について好適な実施形態を挙げて説明したが、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、種々の改変が可能なことは言うまでもない。