特許第6983948号(P6983948)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6983948インクジェット3Dプリンター用光硬化性サポート材組成物、インクジェット3Dプリンター用インク、インクジェット3Dプリンター用カートリッジ、サポート材の製造方法ならびに光造形物の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6983948
(24)【登録日】2021年11月26日
(45)【発行日】2021年12月17日
(54)【発明の名称】インクジェット3Dプリンター用光硬化性サポート材組成物、インクジェット3Dプリンター用インク、インクジェット3Dプリンター用カートリッジ、サポート材の製造方法ならびに光造形物の製造方法
(51)【国際特許分類】
   B29C 64/40 20170101AFI20211206BHJP
   B29C 64/112 20170101ALI20211206BHJP
   B29C 64/264 20170101ALI20211206BHJP
   B33Y 70/00 20200101ALI20211206BHJP
   B29C 64/259 20170101ALI20211206BHJP
   B33Y 10/00 20150101ALI20211206BHJP
   C08F 2/48 20060101ALI20211206BHJP
【FI】
   B29C64/40
   B29C64/112
   B29C64/264
   B33Y70/00
   B29C64/259
   B33Y10/00
   C08F2/48
【請求項の数】13
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2020-87865(P2020-87865)
(22)【出願日】2020年5月20日
(62)【分割の表示】特願2018-537355(P2018-537355)の分割
【原出願日】2017年8月30日
(65)【公開番号】特開2020-128094(P2020-128094A)
(43)【公開日】2020年8月27日
【審査請求日】2020年5月20日
(31)【優先権主張番号】特願2016-170655(P2016-170655)
(32)【優先日】2016年9月1日
(33)【優先権主張国】JP
(31)【優先権主張番号】特願2017-52167(P2017-52167)
(32)【優先日】2017年3月17日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000004628
【氏名又は名称】株式会社日本触媒
(74)【代理人】
【識別番号】100161942
【弁理士】
【氏名又は名称】鴨 みどり
(72)【発明者】
【氏名】辻野 恭範
(72)【発明者】
【氏名】浦田 稔
(72)【発明者】
【氏名】真嶋 宣明
【審査官】 池田 安希子
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2016/121587(WO,A1)
【文献】 特開2012−111226(JP,A)
【文献】 特開2016−056353(JP,A)
【文献】 特開2016−107638(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 64/40
B29C 64/112
B29C 64/264
B33Y 70/00
B29C 64/259
B33Y 10/00
C08F 2/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
イオン性基と対イオンとを含有する水溶性エチレン性不飽和単量体と、光重合開始剤とを含み、
該水溶性エチレン性不飽和単量体の含有量が、インクジェット3Dプリンター用光硬化性サポート材組成物100質量%中、30質量%超60質量%以下であり、
該水溶性エチレン性不飽和単量体と、該水溶性エチレン性不飽和単量体以外の他の不飽和単量体と、の合計含有量が、インクジェット3Dプリンター用光硬化性サポート材組成物100質量%中、39.6質量%以上60質量%以下である
インクジェット3Dプリンター用光硬化性サポート材組成物。
【請求項2】
前記他の不飽和単量体を、前記合計含有量が60質量%以下となる範囲内で、前記インクジェット3Dプリンター用光硬化性サポート材組成物100質量%中、2質量%未満含む
請求項1に記載のインクジェット3Dプリンター用光硬化性サポート材組成物。
【請求項3】
さらに、有機酸及び/又はその塩を含む
請求項1又は2に記載のインクジェット3Dプリンター用光硬化性サポート材組成物。
【請求項4】
前記イオン性基は、カルボン酸基、リン酸基、及びスルホン酸基からなる群から選択された少なくとも1つである、
請求項1〜3の何れか1項に記載のインクジェット3Dプリンター用光硬化性サポート材組成物。
【請求項5】
前記対イオンは、ナトリウムイオン、カリウムイオン、及びアンモニウムイオンからなる群から選択された少なくとも1つである、
請求項1〜4の何れか1項に記載のインクジェット3Dプリンター用光硬化性サポート材組成物
【請求項6】
前記水溶性エチレン性不飽和単量体の炭素数が3〜15である
請求項1〜の何れか1項に記載のインクジェット3Dプリンター用光硬化性サポート材組成物。
【請求項7】
さらに、溶剤を含む、
請求項1〜の何れか1項に記載のインクジェット3Dプリンター用光硬化性サポート材組成物。
【請求項8】
前記イオン性基と対イオンとを含有する水溶性エチレン性不飽和単量体としてさらに、前記対イオンが、亜鉛イオン、マグネシウムイオン、カルシウムイオン、アルミニウムイオン、及びネオジウムイオンからなる群から選択された少なくとも1つである水溶性エチレン性不飽和単量体を含む、
請求項に記載のインクジェット3Dプリンター用光硬化性サポート材組成物。
【請求項9】
前記水溶性エチレン性不飽和単量体30質量%超60質量%以下と、前記光重合開始剤0.05〜10.0質量%と、さらに溶剤20〜60質量%とを含む、
請求項1に記載のインクジェット3Dプリンター用光硬化性サポート材組成物。
【請求項10】
請求項1〜の何れか1項に記載のインクジェット3Dプリンター用光硬化性サポート材組成物を含む、インクジェット3Dプリンター用インク。
【請求項11】
請求項10に記載のインクジェット3Dプリンター用インクを充填したインクジェット3Dプリンター用カートリッジ。
【請求項12】
請求項1〜の何れか1項に記載のインクジェット3Dプリンター用光硬化性サポート材組成物または請求項10に記載のインクジェット3Dプリンター用インクを用いてサポート材を形成する、
サポート材の製造方法。
【請求項13】
請求項1〜の何れか1項に記載のインクジェット3Dプリンター用光硬化性サポート材組成物または請求項10に記載のインクジェット3Dプリンター用インクを用いた光造形物の製造方法であって、
該インクジェット3Dプリンター用光硬化性サポート材組成物または該インクジェット3Dプリンター用インクを用いたサポート材の形成工程と、
モデル材の形成工程と、
該サポート材の除去工程と
を含む、光造形物の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクジェット3Dプリンター用光硬化性サポート材組成物、インクジェット3Dプリンター用インク、インクジェット3Dプリンター用カートリッジ、サポート材の製造方法ならびに光造形物の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、インクジェットノズルから吐出した液状の光硬化性樹脂を硬化させ、積層して光造形するインクジェット方式による光造形法が提案されている。この光造形法を用いたインクジェット3Dプリンター用インクは、UV等の光硬化により成型体を構成するモデル材と、モデル材を立体的に積み上げる際の支持材として使用するサポート材とを含んでいる。サポート材の上にモデル材を積層することで、オーバーハング構造や中空構造を造形することが可能となる。
【0003】
特許文献1には、エチレン重合性基を有する少なくとも2種類の単官能モノマーと光開始剤とを含有する3D造形用組成液であって、単官能モノマーとしてイオン性基を有する単官能モノマーおよびイオン性基を有しない単官能モノマーを含み、イオン性基の対イオンをさらに含有する3D造形用組成液と、サポート材組成液とを含む、3D造形用インクセットが記載されている。上記3D造形用組成液では、紫外線照射によって硬化させることができ、さらには高い靱性を有し、壊れにくい3D造形物が得られることが記載されている。
【0004】
サポート材は、積層に耐える硬度(サポート性)が求められている。また、サポート材は、硬化後、水溶解、加熱、化学反応、水圧洗浄、電磁波照射、熱膨張差利用などにより、モデル材から除去される。このため、インクジェット3Dプリンター用光硬化性サポート材組成物には、硬化後、容易にモデル材から除去できることが求められている。
【0005】
特許文献2には、N−ヒドロキシエチルアクリルアミド5〜40重量部とPPG95〜60重量部とを含むインクジェット光造形法における光造形品の光造形時の形状支持用サポート材が記載されている。上記サポート材では、水溶性に優れるが、硬化物の硬度が低いという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2016−2704号公報
【特許文献2】特開2012−111226号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従って、本発明の課題は、硬化後の硬化物が水溶性に優れ且つ硬化物の硬度が十分なインクジェット3Dプリンター用光硬化性サポート材組成物、インクジェット3Dプリンター用インク、インクジェット3Dプリンター用カートリッジ、サポート材の製造方法ならびに光造形物の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた。その結果、特定の基を含有する水溶性エチレン性不飽和単量体を含む組成物により、硬化後の硬化物の硬度が十分であり且つ該硬化物が水溶性に優れるインクジェット3Dプリンター用光硬化性サポート材組成物、インクジェット3Dプリンター用インク、インクジェット3Dプリンター用カートリッジ、サポート材の製造方法ならびに光造形物の製造方法が得られることを見出して、本発明を完成した。
【0009】
すなわち、本発明のインクジェット3Dプリンター用光硬化性サポート材組成物は、イオン性基と対イオンとを含有する水溶性エチレン性不飽和単量体と、光重合開始剤とを含み、上記水溶性エチレン性不飽和単量体の含有量は、上記インクジェット3Dプリンター用光硬化性サポート材組成物100質量%中、30質量%超である。
また、本発明のインクジェット3Dプリンター用光硬化性サポート材組成物では、他の不飽和単量体を、上記インクジェット3Dプリンター用光硬化性サポート材組成物100質量%中、2質量%未満含むことが好ましい。
また、本発明のインクジェット3Dプリンター用光硬化性サポート材組成物では、有機酸及び/又はその塩を含むことが好ましい。
【0010】
上記イオン性基は、カルボン酸、リン酸、及びスルホン酸類からなる群から選択された少なくとも1つのイオン性基であることが好ましい。
また、上記対イオンは、ナトリウムイオン、カリウムイオン、及びアンモニウムイオンからなる群から選択された少なくとも1つであることが好ましい。
さらに、上記水溶性エチレン性不飽和単量体の炭素数は、3〜15であることが好ましい。
【0011】
上記インクジェット3Dプリンター用光硬化性サポート材組成物は、さらに、溶剤を含んでいることが好ましい。
また、上記インクジェット3Dプリンター用光硬化性サポート材組成物は、上記イオン性基と対イオンとを含有する水溶性エチレン性不飽和単量体としてさらに、上記対イオンが、亜鉛イオン、マグネシウムイオン、カルシウムイオン、アルミニウムイオン、及びネオジウムイオンからなる群から選択された少なくとも1つである水溶性エチレン性不飽和単量体を含んでいることが好ましい。
【0012】
上記インクジェット3Dプリンター用光硬化性サポート材組成物は、イオン性基と対イオンとを含有する水溶性エチレン性不飽和単量体30質量%超70質量%以下と、光重合開始剤0.05〜10.0質量%と、溶剤20〜60質量%とを含んでいることが好ましい。
【0013】
また、本発明のインクジェット3Dプリンター用インクは、上記の何れかのインクジェット3Dプリンター用光硬化性サポート材組成物を含んでいる。
【0014】
また、本発明のインクジェット3Dプリンター用カートリッジでは、上記のインクジェット3Dプリンター用インクを充填している。
【0015】
また、本発明のサポート材の製造方法では、上記の何れかのインクジェット3Dプリンター用光硬化性サポート材組成物または上記のインクジェット3Dプリンター用インクを用いてサポート材を形成する。
【0016】
また、本発明の光造形物の製造方法は、上記の何れかのインクジェット3Dプリンター用光硬化性サポート材組成物または上記のインクジェット3Dプリンター用インクを用いた光造形物の製造方法であって、該インクジェット3Dプリンター用光硬化性サポート材組成物または該インクジェット3Dプリンター用インクを用いたサポート材の形成工程と;モデル材の形成工程と;該サポート材の除去工程とを含んでいる。
【発明の効果】
【0017】
本発明のインクジェット3Dプリンター用光硬化性サポート材組成物によれば、硬化後の硬化物の硬度が十分であり且つ該硬化物が水溶性に優れるインクジェット3Dプリンター用光硬化性サポート材組成物、インクジェット3Dプリンター用インク、インクジェット3Dプリンター用カートリッジ、サポート材の製造方法ならびに光造形物の製造方法を提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
[インクジェット3Dプリンター用光硬化性サポート材組成物]
本発明に係るインクジェット3Dプリンター用光硬化性サポート材組成物(以下、単に光硬化性サポート材組成物という場合がある)は、イオン性基と対イオンとを含有する水溶性エチレン性不飽和単量体と、光重合開始剤とを含んでいる。本発明の光硬化性サポート材組成物は、硬化後の硬化物の硬度が十分であり且つ該硬化物が水溶性に優れる。
【0019】
1.水溶性エチレン性不飽和単量体
本発明のサポート材組成物に含まれる水溶性エチレン性不飽和単量体とは、エチレン性不飽和基を分子内に1つ以上有する単量体であり、イオン性基と対イオンとを含有することにより、水溶性が高い単量体である。
【0020】
エチレン性不飽和基としては、エチレン基、プロペニル基、ブテニル基、ビニルフェニル基、(メタ)アクリル基、アリルエーテル基、ビニルエーテル基、マレイル基、マレイミド基、(メタ)アクリルアミド基、アセチルビニル基およびビニルアミド基などが挙げられる。なお、本明細書において、「(メタ)アクリル」は「アクリル」、「メタクリル」の双方又は何れかを意味し、「(メタ)アクリレート」は「アクリレート」、「メタクリレート」の双方又は何れかを意味する。なかでも、(メタ)アクリル基、ビニルエーテル基および(メタ)アクリルアミド基が好ましく、(メタ)アクリル基がより好ましい。
【0021】
上記イオン性基としては、カルボン酸、リン酸、スルホン酸等が挙げられる。中でもカルボン酸が好ましい。
【0022】
上記対イオンとしては、ナトリウムイオン、カリウムイオン、アンモニウムイオン等の1価の対イオン;亜鉛イオン、マグネシウムイオン、カルシウムイオン、アルミニウムイオン、ネオジウムイオン等の多価の金属イオンなどが挙げられる。中でも、1価の対イオンが好ましく、ナトリウムイオン、カリウムイオン、またはアンモニウムイオンがより好ましく用いられ、さらに好ましくはカリウムイオンが用いられる。1価の対イオンに加えて、亜鉛イオン、マグネシウムイオン、カルシウムイオン、アルミニウムイオン、またはネオジウムイオンなどの多価の金属イオンを用いることも好ましい。
対イオンとして、1価の対イオンを含有する水溶性エチレン性不飽和単量体と、多価の金属イオンを含有する水溶性エチレン性不飽和単量体とを併用した場合に、インクジェット3Dプリンター用光硬化性サポート材組成物を光硬化して得られる硬化物のサポート性をより向上できる。また、これらに加えて、さらに後述の有機酸及び/又はその塩と併用することは本発明の好ましい形態である。多価金属イオンで好ましくは、亜鉛イオン、マグネシウムイオン、カルシウムイオンである。
【0023】
対イオンとして1価の対イオンを含有する水溶性エチレン性不飽和単量体と、対イオンとして多価の金属イオンを含有する水溶性エチレン性不飽和単量体と、の合計含有量としては、インクジェット3Dプリンター用光硬化性サポート材組成物100質量%中、好ましくは20〜70質量%、より好ましくは25〜65質量%、さらに好ましくは30〜60質量%である。下限としては、30質量%超であることが特に好ましい。
対イオンとして多価の金属イオンを含有する水溶性エチレン性不飽和単量体の含有量は、インクジェット3Dプリンター用光硬化性サポート材組成物100質量%中、上限としては好ましくは15質量%以下、より好ましくは10質量%以下、下限としては好ましくは0.5質量%以上、より好ましくは1質量%以上である。このようにした場合にインクジェット3Dプリンター用光硬化性サポート材組成物のサポート性とともに溶解性をより向上できる。
【0024】
本発明に係るインクジェット3Dプリンター用光硬化性サポート材組成物に含まれる、イオン性基としてのカルボン酸と対イオンとを含有する水溶性エチレン性不飽和単量体としては、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、2−(メタ)アクリロイルオキシ安息香酸、3−(メタ)アクリロイルオキシ安息香酸、4−(メタ)アクリロイルオキシ安息香酸、2−(メタ)アクリロイロキシエチルヘキサヒドロフタル酸、2−(メタ)アクリロイロキシエチルフタル酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルコハク酸、2−ビニル安息香酸、3−ビニル安息香酸、4−ビニル安息香酸、N−(メタ)アクリロイルアスパラギン酸、ω−(メタ)アクロイルアルカン−1,1ジカルボン酸類の、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩及びアンモニウム塩等の1価塩;亜鉛塩、マグネシウム塩、カルシウム塩、アルミニウム塩、またはネオジウム塩等の多価塩などが挙げられる。
中でも、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩及びアンモニウム塩等の1価塩が好ましく、より好ましくはナトリウム塩、カリウム塩又はアンモニウム塩である。さらに好ましくはカリウム塩である。
カルボン酸の1価塩と多価金属塩を併用した場合に、インクジェット3Dプリンター用光硬化性サポート材組成物を光硬化して得られる硬化物のサポート性をより向上できる。また、これらに加えて、さらに後述の有機酸及び/又はその塩と併用することは本発明の好ましい形態である。カルボン酸多価金属塩で好ましくは、亜鉛塩、マグネシウム塩、カルシウム塩である。
【0025】
カルボン酸の1価塩と多価金属塩の合計含有量としては、インクジェット3Dプリンター用光硬化性サポート材組成物100質量%中、好ましくは20〜70質量%、より好ましくは25〜65質量%、さらに好ましくは30〜60質量%である。下限としては、30質量%超であることが特に好ましい。
カルボン酸の多価金属塩の含有量は、インクジェット3Dプリンター用光硬化性サポート材組成物100質量%中、上限としては好ましくは15質量%以下、より好ましくは10質量%以下、下限としては好ましくは0.5質量%以上、より好ましくは1質量%以上である。このようにした場合にインクジェット3Dプリンター用光硬化性サポート材組成物のサポート性とともに溶解性をより向上できる。
【0026】
イオン性基としてのカルボン酸と対イオンとを含有する水溶性エチレン性不飽和単量体としては、炭素数が3〜15のナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩、及び亜鉛塩が好ましく、炭素数3〜12のナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩、及び亜鉛塩がより好ましい。上記炭素数としては、炭素数3〜9がより好ましく、炭素数3〜6がさらに好ましい。中でも、(メタ)アクリル酸カリウム、(メタ)アクリル酸ナトリウム、(メタ)アクリル酸アンモニウム、(メタ)アクリル酸亜鉛が特に好ましい。炭素数が少ない単量体を用いることにより、分子中の疎水性部分を小さくすることができ、水溶性エチレン性不飽和単量体の水溶性をより高められる。
【0027】
本発明に係るインクジェット3Dプリンター用光硬化性サポート材組成物に含まれる、イオン性基としてのリン酸と対イオンとを含有する水溶性エチレン性不飽和単量体としては、例えば、モノ(2−アクリロイルオキシエチル)アシッドホスフェート、モノ(2−メタクリロイルオキシエチル)アシッドホスフェート、ジフェニル(2−アクリロイルオキシエチル)ホスフェート、ジフェニル(2−メタクリロイルオキシエチル)ホスフェート、フェニル(2−アクリロイルオキシエチル)ホスフェート、アシッドホスホオキシエチルメタクリレート、メタクロイルオキシエチルアシッドホスフェート、ホスホオキシポリオキシエチレングリコールモノメタクリレート、アシッド・ホスホオキシポリオキシプロピレングリコールメタクリレート、(メタ)アクリロイルオキシエチルアシッドホスフェート、(メタ)アクリロイルオキシプロピルアシッドホスフェート、(メタ)アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロピルアシッドホスフェート、(メタ)アクリロイルオキシ−3−ヒドロキシプロピルアシッドホスフェート、(メタ)アクリロイルオキシ−3−クロロ−2−ヒドロキシプロピルアシッドホスフェート、ならびにビニルリン酸、p−ビニルベンゼンリン酸等の分子内にホスホノ基を有する化合物の、ナトリウム塩、カリウム塩、及びアンモニウム塩が挙げられる。
【0028】
本発明に係るインクジェット3Dプリンター用光硬化性サポート材組成物に含まれる、イオン性基としてのスルホン酸と対イオンとを含有する水溶性エチレン性不飽和単量体としては、例えば、アリルスルホン酸、イソプレンスルホン酸、2−(メタ)アクリルアミドエチルスルホン酸、3−(メタ)アクリルアミドプロピルスルホン酸、4−(メタ)アクリルアミドブチルスルホン酸、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、p−ビニルベンゼンスルホン酸、およびビニルスルホン酸等の化合物の、ナトリウム塩、カリウム塩、及びアンモニウム塩が挙げられる。上記例示のイオン性基と対イオンとを含有する水溶性エチレン性不飽和単量体は、単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0029】
本発明のインクジェット3Dプリンター用光硬化性サポート材組成物中に含まれるイオン性基と対イオンとを含有する水溶性エチレン性不飽和単量体としては、アクリル酸塩が好ましく、リチウム、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属塩、アンモニウム塩、アミン塩等、アクリル酸の1価塩がより好ましく、さらに好ましくはアルカリ金属塩又はアンモニウム塩、特に好ましくはナトリウム塩、カリウム塩又はアンモニウム塩である。最も好ましくはカリウム塩である。
本発明のインクジェット3Dプリンター用光硬化性サポート材組成物中に含まれるイオン性基と対イオンとを含有する水溶性エチレン性不飽和単量体としては、上記に加えて、亜鉛塩、マグネシウム塩、カルシウム塩、アルミニウム塩、またはネオジウム塩等のアクリル酸多価金属塩を含んでいてもよい。アクリル酸多価金属塩で好ましくは、亜鉛塩、マグネシウム塩、カルシウム塩である。
アクリル酸の1価塩と多価金属塩を併用した場合に、インクジェット3Dプリンター用光硬化性サポート材組成物を光硬化して得られる硬化物のサポート性をより向上できる。また、これらに加えて、さらに後述の有機酸及び/又はその塩と併用することは本発明の好ましい形態である。
【0030】
本発明のインクジェット3Dプリンター用光硬化性サポート材組成物中に含まれるイオン性基と対イオンとを含有する水溶性エチレン性不飽和単量体の含有量としては、上記組成物100質量%中、好ましくは30質量%超70質量%以下、より好ましくは30質量%超65質量%以下、さらに好ましくは30質量%超60質量%以下である。下限としては、30質量%超である。このようにした場合に、インクジェット3Dプリンター用光硬化性サポート材組成物のサポート性をより向上できる。
また、アクリル酸の1価塩と多価金属塩の合計含有量としては、インクジェット3Dプリンター用光硬化性サポート材組成物100質量%中、好ましくは20〜70質量%、より好ましくは25〜65質量%、さらに好ましくは30〜60質量%である。下限としては、30質量%超であることが特に好ましい。
アクリル酸の多価金属塩の含有量は、インクジェット3Dプリンター用光硬化性サポート材組成物100質量%中、上限としては好ましくは15質量%以下、より好ましくは10質量%以下、下限としては好ましくは0.5質量%以上、より好ましくは1質量%以上である。このようにした場合にインクジェット3Dプリンター用光硬化性サポート材組成物のサポート性とともに溶解性をより向上できる。
【0031】
2.他の不飽和単量体
本発明のインクジェット3Dプリンター用光硬化性サポート材組成物は、上記イオン性基と対イオンとを含有する水溶性エチレン性不飽和単量体以外の他の不飽和単量体を含んでいてもよい。上記他の不飽和単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、イソミリスチル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、n−ステアリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシエトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシエチル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、メトキシエトキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、t−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル−ジグリコール(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、メトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、2−(2−エトキシエトキシ)エチル(メタ)アクリレート、2−シアノエチル(メタ)アクリレート、メチル=2−(ヒドロキシメチル)アクリレート、および2−エチルヘキシルカルビトール(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリレート;フェニルアリルエーテル、o−,m−,p−クレゾールモノアリルエーテル、ビフェニル−2−オールモノアリルエーテル、ビフェニル−4−オールモノアリルエーテル、ブチルアリルエーテル、シクロヘキシルアリルエーテル、およびシクロヘキサンメタノールモノアリルエーテル等のアリルエーテル;ブチルビニルエーテル、ブチルプロペニルエーテル、ブチルブテニルエーテル、ヘキシルビニルエーテル、エチルヘキシルビニルエーテル、フェニルビニルエーテル、ベンジルビニルエーテル、エチルエトキシビニルエーテル、アセチルエトキシエトキシビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、およびアダマンチルビニルエーテル等のビニルエーテル;フェニルマレイミド、シクロヘキシルマレイミド、およびn−ヘキシルマレイミド等のマレイミド;ベンジルアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、フェノキシエトキシエチルアクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジアクリレート、ビスフェノールAのEO付加物ビス(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのPO付加物ビス(メタ)アクリレート、水添ビスフェノールAのEO付加物ビス(メタ)アクリレート等の芳香族基を有するモノマーおよび脂環式基を有するモノマー;ポリオキシエチレンジ(メタ)アクリレート、ポリオキシプロピレンジ(メタ)アクリレート等のポリオキシアルキレンジ(メタ)アクリレート;アクロロイルモルホリン;N−ビニルピロリドン;ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート;(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−ヒドロキシエチルアクリルアミド等のアクリルアミド等が挙げられる。
これらは1種で単独使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
上記他の不飽和単量体の含有量としては、上記組成物100質量%中、好ましくは20〜50質量%、より好ましくは25〜45質量%である。他の不飽和単量体の含有量が、上記光硬化性サポート材組成物100質量%中、2質量%未満であることも好ましい。このようにした場合に、インクジェット3Dプリンター用光硬化性サポート材組成物の臭気をより抑制できる。
【0032】
3.有機酸及び/又はその塩
本発明のインクジェット3Dプリンター用光硬化性サポート材組成物は、有機酸及び/又はその塩を含んでいてもよい。有機酸及び/又はその塩は、上記水溶性エチレン性不飽和単量体、及び上記他の不飽和単量体以外の化合物である。
有機酸としては、例えば、p−トルエンスルホン酸などの有機スルホン酸、フェニルホスホン酸などの有機リン酸、有機カルボン酸、リン酸エステルなどが挙げられる。なかでも有機カルボン酸が好ましい。有機カルボン酸としては、例えば、脂肪族カルボン酸、芳香族カルボン酸が挙げられる。脂肪族カルボン酸としては、例えば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、オクチル酸、ノナン酸、デカン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、トリデカン酸、ペンタデカン酸、ヘプタデカン酸、乳酸、リンゴ酸、クエン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、フマル酸、マレイン酸、アジピン酸、安息香酸、グリシン、ポリアクリル酸、ポリ乳酸などが挙げられる。芳香族カルボン酸としては、例えば、安息香酸、フタル酸、サリチル酸などが挙げられる。なかでも、脂肪族カルボン酸がより好ましく、乳酸、プロピオン酸、ポリアクリル酸がさらに好ましい。
有機酸の塩としては、例えば、金属カルボン酸塩が挙げられる。金属カルボン酸塩の金属としては、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属;マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウムなどのアルカリ土類金属;亜鉛;ジルコニウムなどが挙げられる。なかでもカリウムなどのアルカリ金属が好ましい。有機酸の塩としては、乳酸カリウム、プロピオン酸カリウムが好ましい。
本発明のインクジェット3Dプリンター用光硬化性サポート材組成物は、有機酸及び/又はその塩を含んでいる場合に、貯蔵安定性がより向上する。
有機酸及び/又はその塩の含有量は、インクジェット3Dプリンター用光硬化性サポート材組成物100質量%中、上限としては好ましくは60質量%以下、より好ましくは50質量%以下、さらに好ましくは40質量%以下、下限としては好ましくは5質量%以上、より好ましくは15質量%以上、さらに好ましくは25質量%以上である。このようにした場合にインクジェット3Dプリンター用光硬化性サポート材組成物のサポート性・溶解性とともに貯蔵安定性をより向上できる。
【0033】
4.光重合開始剤
本発明のインクジェット3Dプリンター用光硬化性サポート材組成物は、光重合開始剤を含んでいる。上記光重合開始剤としては、例えばベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル等のベンゾイン化合物;アセトフェノン、2,2−ジエトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2,2−ジエトキシ−2−フェニルアセトフェノン、1,1−ジクロロアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−フェニルプロパン−1−オン、ジエトキシアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパン−1−オン等のアセトフェノン化合物;2−エチルアントラキノン、2−t−ブチルアントラキノン、2−クロロアントラキノン、2−アミルアントラキノン等のアントラキノン化合物;2,4−ジエチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、[3−(3,4−ジメチル−9−オキソチオキサンテン−2−イル)オキシ−2−ヒドロキシプロピル]−トリメチルアザニウムクロリド等のチオキサントン化合物;アセトフェノンジメチルケタール、ベンジルジメチルケタール等のケタール化合物;ベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルサルファイド、4,4’−ビスメチルアミノベンゾフェノン等のベンゾフェノン化合物;2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、ビス−(2、6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキシド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキシド等のホスフィンオキシド;およびこれらの混合物等が挙げられる。
これらは1種で単独使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
上記光重合開始剤の含有量としては、上記組成物100質量%中、好ましくは0.05〜10.0質量%、より好ましくは0.1〜7.0質量%、さらに好ましくは0.5〜5.0質量%である。
【0034】
5.溶剤
本発明の光硬化性サポート材組成物は、溶剤を含んでいてもよい。上記溶剤としては、水、メタノール、エタノール、プロパノールやエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセロール、ポリオキシプロピレングリコールなどのオキシプロピレン基を含むアルキレンオキサイド付加物等が挙げられる。
上記組成物100質量%中、溶剤の含有量は、下限としては、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上、さらに好ましくは15質量%以上、上限としては、好ましくは60質量%以下である。
【0035】
6.添加物
本発明の光硬化性サポート材組成物には、本発明の効果を阻害しない範囲で必要によりその他の添加剤を含有させることができる。具体的には、例えば、光開始助剤、重合禁止剤、界面活性剤、着色剤、酸化防止剤、連鎖移動剤、充填剤等が挙げられる。
【0036】
光開始助剤としては、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジエチルアニリン、N,N−ジメチル−p−トルイジン、N,N−ジメチルアミノ−p−安息香酸エチルエステル、N,N−ジメチルアミノ−p−安息香酸イソアミルエチルエステル、N,N−ジヒドロキシエチルアニリン、トリエチルアミンおよびN,N−ジメチルヘキシルアミン等の第3級アミン化合物が挙げられる。
【0037】
重合禁止剤としては、(アルキル)フェノール、ハイドロキノン、カテコール、レゾルシン、p−メトキシフェノール、t−ブチルカテコール、t−ブチルハイドロキノン、ピロガロール、1,1−ピクリルヒドラジル、フェノチアジン、p−ベンゾキノン、ニトロソベンゼン、2,5−ジ−t−ブチル−p−ベンゾキノン、ジチオベンゾイルジスルフィド、ピクリン酸、クペロン、アルミニウムN−ニトロソフェニルヒドロキシルアミン、トリ−p−ニトロフェニルメチル、N−(3−オキシアニリノ−1,3−ジメチルブチリデン)アニリンオキシド、ジブチルクレゾール、シクロヘキサノンオキシムクレゾール、グアヤコール、o−イソプロピルフェノール、ブチラルドキシム、メチルエチルケトキシム、シクロヘキサノンオキシム等が挙げられる。
【0038】
界面活性剤としては、ノニルフェノールのエチレンオキサイド(以下EOと略記)1〜40モル付加物、ステアリン酸EO1〜40モル付加物等のPEG型非イオン界面活性剤;ソルビタンパルミチン酸モノエステル、ソルビタンステアリン酸モノエステル、ソルビタンステアリン酸トリエステル等の多価アルコール型非イオン界面活性剤;パーフルオロアルキルEO1〜50モル付加物、パーフルオロアルキルカルボン酸塩、パーフルオロアルキルベタイン等のフッ素含有界面活性剤;ポリエーテル変性シリコーンオイル、(メタ)アクリレート変性シリコーンオイル等の変性シリコーンオイル等が挙げられる。
【0039】
着色剤としては、トルイジンレッド、パーマネントカーミンFB、ファストイエローG、ジスアゾイエローAAA、ジスアゾオレンジPMP、溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、キレートアゾ顔料、フタロシアニンブルー、インダントロンブルー、キナクリドンレッド、ジオキサジンバイオレット、塩基性染料、酸性染料、アニリンブラック、昼光蛍光顔料、ニトロソ顔料、ニトロ顔料、天然顔料、無機顔料としての金属酸化物、カーボンブラック等が挙げられる。
【0040】
酸化防止剤としては、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、ジラウリル3,3’−チオジプロピオネート、トリフェニルホスファイト、オクチル化ジフェニルアミン、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)等が挙げられる。
【0041】
連鎖移動剤としては、ヒドロキノン、ジエチルメチルアミン、ジフェニルアミン、ジエチルジスルフィド、ジ−1−オクチルジスルフィド、トルエン、キシレン、1−ブテン、1−ノネン、ジクロロメタン、四塩化炭素、メタノール、1−ブタノール、エチルチオール、1−オクチルチオール、アセトン、メチルエチルケトン、2−メチル−2−プロピルアルデヒド、1−ペンチルアルデヒド、フェノール、m−クレゾール、p−クレゾール、o−クレゾール等が挙げられる。
【0042】
充填剤としては、アルミナ粉、シリカ粉、タルク、マイカ、クレー、水酸化アルミニウム、炭酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、アルミニウム粉、銅粉、炭素繊維、ガラス繊維、コットン繊維、ナイロン繊維、アクリル繊維、レーヨン繊維、マイクロバルーン、カーボンブラック、金属硫化物、木粉等が挙げられる。
【0043】
上記添加物は、単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
上記添加物の含有量としては、上記組成物100質量%中、好ましくは0.05〜30質量%、より好ましくは0.05〜20質量%である。
【0044】
本発明の光硬化性サポート材組成物は、上述した各種成分を用いて調製することができ、その調製手段や条件は特に限定されないが、例えば、一般的な攪拌羽根や超音波ホモジナイザー、高速ホモジナイザー、高圧ホモジナイザー、遊星攪拌装置、3本ロール、ボールミル、キティーミル、ディスクミル、ピンミル、ダイノーミル等の混合又は攪拌できる装置を用いて撹拌・混合する方法が挙げられる。溶液調製後に各種フィルターを用いてろ過をしてもよい。
【0045】
7.光硬化性サポート材組成物の臭気
本発明の光硬化性サポート材組成物は、臭気が抑制されていることが好ましい。具体的には、モノマーによる刺激臭が僅かであることが好ましく、モノマーによる刺激臭がないことがより好ましい。本発明の光硬化性サポート材組成物では、水溶性エチレン性不飽和単量体以外の他の不飽和単量体の含有量を、好ましくは、光硬化性サポート材組成物100質量%中、2質量%未満とすることにより、上記臭気をより効果的に抑制できる。
【0046】
8.光硬化性サポート材組成物の貯蔵安定性
本発明の光硬化性サポート材組成物は、貯蔵安定性に優れていることが好ましい。具体的には、1週間以上1か月未満は安定であることが好ましく、1か月以上安定であることがより好ましく、3か月以上安定であることがさらに好ましい。ここで、安定であるとは、光硬化性サポート材組成物を室温にて密閉状態で静置した場合に、目視観察において、分離していたり、ゲル状体や沈殿物が発生したりしておらず、変化がないと判断されることを意味する。
本発明の光硬化性サポート材組成物では、好ましくは、有機酸及び/又はその塩を含有することにより、貯蔵安定性・溶解性をより向上することができる。
【0047】
9.光硬化性サポート材組成物の硬化性
本発明の光硬化性サポート材組成物は、硬化性に優れていることが好ましい。硬化性としては、100〜2000mJ/cmの光を照射することにより硬化することが好ましく、100〜1000mJ/cmの光を照射することにより硬化することがより好ましい。ここで、硬化するとは、液状でなくなり、流動性がなくなることをいう。
【0048】
10.光硬化性サポート材組成物の硬化後の硬化物の水溶性
本発明の光硬化性サポート材組成物は、硬化後の硬化物がサポート材として使用されるため、サポート材の必須要件として、硬化物の水溶性が優れている。水溶性は、例えば、硬化物0.5g(表面積4cm)を金網の上に置き、常温(例えば25℃前後)の水100g中に浸漬した場合に、2時間以内に溶解することが好ましく、1時間以内にほとんど溶解することがより好ましく、1時間以内に溶解して不溶物が目視で観察されないことがさらに好ましい。
【0049】
11.サポート性
本発明におけるサポート性(サポート力)とは、光硬化性サポート材組成物の硬化物がモデル材の硬化物を支える性能であり、後述する方法で測定される、サポート材の硬化物の硬度(ショワE)で表すことができる。
本発明の光硬化性サポート材組成物では、上記水溶性エチレン性不飽和単量体の含有量が、上記光硬化性サポート材組成物100質量%中、30質量%超であるため、サポート性をより向上することができる。
【0050】
本発明のインクジェット3Dプリンター用光硬化性サポート材組成物は、イオン性基と対イオンとを含有する水溶性エチレン性不飽和単量体30質量%超70質量%以下と、光重合開始剤0.05〜10.0質量%と、溶剤20〜60質量%とを含んでいることが好ましく、イオン性基と対イオンとを含有する水溶性エチレン性不飽和単量体30質量%超65質量%以下と、光重合開始剤0.5〜5.0質量%と、溶剤30〜60質量%とを含んでいることがより好ましい。
【0051】
[インクジェット3Dプリンター用インク]
本発明に係るインクジェット3Dプリンター用インクは、少なくとも上記の何れかのインクジェット3Dプリンター用光硬化性サポート材組成物を含んでいる。本発明に係るインクジェット3Dプリンター用インクに含まれる上記インクジェット3Dプリンター用光硬化性サポート材組成物は、媒体で希釈されていてもよい。
【0052】
上記インクジェット3Dプリンター用光硬化性サポート材組成物をそのまま(あるいは直接)インクジェット3Dプリンター用インクとして用いることもできるし、媒体と上記インクジェット3Dプリンター用光硬化性サポート材組成物とを混合することによって本発明に係るインクジェット3Dプリンター用インクを製造することもできる。上記媒体としては、親油性媒体や水性媒体が好ましく、水性媒体がより好ましい。
【0053】
本発明に係るインクジェット3Dプリンター用インクは必要に応じてその他の添加剤を、本発明の効果を害しない範囲内において含んでいてもよい。その他の添加剤としては、例えば、乳化安定剤、浸透促進剤、紫外線吸収剤、防腐剤、防黴剤、防錆剤、pH調整剤、表面張力調整剤、消泡剤、粘度調整剤、分散剤、分散安定剤、キレート剤、乾燥防止剤(湿潤剤)、着色剤、褪色防止剤、比抵抗調整剤、皮膜調整剤、酸化防止剤、及び界面活性剤等の公知の添加剤が挙げられる。これらの各種添加剤は、たとえばインク液に直接添加できる。
【0054】
本発明に係るインクジェット3Dプリンター用インク100質量%中、上記インクジェット3Dプリンター用光硬化性サポート材組成物の含有量は、下限としては、50質量%以上が好ましく、60質量%以上がより好ましく、70質量%以上がさらに好ましく、上限としては、100質量%以下が好ましい。
【0055】
本発明のインクジェット3Dプリンター用インクでは、25℃における粘度は5〜300mPa・sが好ましい。また、表面張力は25〜70mN/mが好ましい。
【0056】
[インクジェット3Dプリンター用カートリッジ]
本発明のインクジェット3Dプリンター用カートリッジでは、上記のインクジェット3Dプリンター用インクを充填している。本発明のインクジェット3Dプリンター用カートリッジは、上記インクジェット3Dプリンター用インクが充填されていればよく、インクジェット3Dプリンター用カートリッジの形態としては公知のものが使用できる。
【0057】
[サポート材の製造方法]
本発明のサポート材の製造方法では、上記の何れかのインクジェット3Dプリンター用光硬化性サポート材組成物または上記のインクジェット3Dプリンター用インクを用いてサポート材を形成する。本発明のサポート材の製造方法は、上記インクジェット3Dプリンター用インクを使用しておればよく、特に限定されないが、ノズルから噴射、印刷等にて造形後、100mJ/cm〜1500mJ/cm程度の紫外線を照射して硬化する等の公知の方法が使用できる。
【0058】
[光造形物の製造方法]
本発明の光造形物の製造方法は、上記の何れかのインクジェット3Dプリンター用光硬化性サポート材組成物または上記のインクジェット3Dプリンター用インクを用いた光造形物の製造方法であって、
上記インクジェット3Dプリンター用光硬化性サポート材組成物または該インクジェット3Dプリンター用インクを用いたサポート材の形成工程と;
モデル材の形成工程と;
上記サポート材の除去工程とを含んでいる。
【0059】
本発明の光造形物の製造方法では、サポート材の形成工程において上記インクジェット3Dプリンター用光硬化性サポート材組成物または上記インクジェット3Dプリンター用インクを用いる他は、公知の方法が使用できる。
本発明の光造形物の製造方法では、上記インクジェット3Dプリンター用光硬化性サポート材組成物または上記インクジェット3Dプリンター用インクを用いたサポート材を硬化して得られる硬化物は硬度が十分であり、且つ該硬化物の水溶性が優れるため、優れた光造形物を容易に製造することができる。
【実施例】
【0060】
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はもとより下記実施例によって制限を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも勿論可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。
【0061】
<実施例1>
水40質量部に、水溶性エチレン性不飽和単量体としてアクリル酸カリウム((株)日本触媒製)60質量部、光重合開始剤としてイルガキュア2959(BASFジャパン(株)製)1質量部を加えて撹拌混合し、サポート材組成物を得た。
【0062】
<実施例2〜3、参考例4、実施例5〜6、比較例1〜5>
実施例2〜3、参考例4、実施例5〜6、比較例1〜5のそれぞれについて、下記表1に記載された配合(質量部)に変更した以外は実施例1と同様にして、サポート材組成物を得た。なお、表1において、アクリル酸ナトリウムは(株)日本触媒製、アクリル酸亜鉛は(株)日本触媒製、アクリル酸は(株)日本触媒製、ヒドロキシエチルアクリルアミドは東京化成工業(株)製、アクリロイルモルフォリンは東京化成工業(株)製、エチレングリコールは(株)日本触媒製、PPG(ポリオキシプロピレングリコール:P−400)は(株)アデカ製、イルガキュア184はBASFジャパン(株)製、イルガキュアTPOはBASFジャパン(株)製から市販のものを使用した。
【0063】
実施例1〜3、参考例4、実施例5〜6、比較例1〜5で得たサポート材組成物について、以下の評価方法で評価を行った。
【0064】
(i)臭気評価
実施例1〜3、参考例4、実施例5〜6、比較例1〜5で得たサポート材組成物について、臭気を評価した。評価基準は、次の通りである。結果を表1に示す。
◎:モノマーによる刺激臭なし
○:わずかにモノマーによる刺激臭あり
△:モノマーによる刺激臭がやや強い
×:モノマーによる刺激臭が強い
【0065】
(ii)貯蔵安定性評価
実施例1〜3、参考例4、実施例5〜6、比較例1〜5で得たサポート材組成物について、室温にて所定期間、密閉状態で静置した場合の貯蔵安定性を評価した。評価基準は、次の通りである。結果を表1に示す。
◎:3か月以上安定
○:1か月以上安定
△:1週間以上1か月未満は安定
×:1週間以内に変化あり
【0066】
(iii)硬化性評価
実施例1〜3、参考例4、実施例5〜6、比較例1〜5で得たサポート材組成物について、500mJ/cmおよび1000mJ/cmの光を照射し、硬化性を評価した。評価基準は、次の通りである。結果を表1に示す。
◎:500mJ/cmの光で硬化した。
○:1000mJ/cmの光で硬化した。
×:1000mJ/cmの光で硬化せず、液状のままであった。
【0067】
(iv)溶解性評価
(iii)硬化性評価において硬化した、実施例1〜3、参考例4、実施例5〜6、比較例2〜5のサポート材組成物の硬化物片(1×1×0.5cm)を金網の上に置き、水温25℃の水100mLに水中で保持し、溶解性を評価した。評価基準は、次の通りである。結果を表1に示す。
◎:1時間以内に溶解し、目視観察で溶液が透明。
○:1時間以内に溶解し、目視観察で溶液が白濁。
△:2時間以内に溶解した。
×:2時間以内に溶解せず。
【0068】
(v)サポート性評価
(iii)硬化性評価において硬化した、実施例1〜3、参考例4、実施例5〜6、比較例2〜5のサポート材組成物の硬化物について、デュロメーターE型(高分子計器社製)を用いて、硬さを測定して評価した。評価基準は、次の通りである。結果を表1に示す。
◎:30以上
○:20以上30未満
△:10以上20未満
×:10未満(測定不能)
【0069】
【表1】
【0070】
表1に示すように、イオン性基と対イオンとを含有する水溶性エチレン性不飽和単量体を含有するサポート材組成物は、水溶性エチレン性不飽和単量体を含まないサポート材組成物よりも、硬化後、溶媒への溶解性により優れ、且つ硬化物の硬度が十分となることが明らかになった。
【0071】
<実施例7〜13、参考例14〜15、実施例16〜20、参考例21>
実施例7〜13、参考例14〜15、実施例16〜20、参考例21のそれぞれについて、下記表2に記載された化合物ならびに配合(質量部)に変更した以外は実施例1と同様にして、サポート材組成物を得た。得られたサポート材組成物について、実施例1と同様に上記の評価方法で評価を行った。結果を表2に示す。
【0072】
【表2】
【0073】
<実施例22〜26>
実施例22〜26のそれぞれについて、下記表3に記載された化合物ならびに配合(質量部)に変更した以外は実施例1と同様にして、サポート材組成物を得た。得られたサポート材組成物について、実施例1と同様に上記の評価方法で評価を行った。結果を表3に示す。
【0074】
【表3】
【0075】
表2に示すように、水溶性エチレン性不飽和単量体の含有量が、サポート材組成物100質量%中、30質量%超である場合には、サポート性により優れていた。また、アクリル酸、ヒドロキシエチルアクリルアミド、アクリロイルモルフォリン、ヒドロキシエチルアクリレート、メトキシエチルアクリレート等の他の不飽和単量体の含有量が、サポート材組成物100質量%中、2質量%未満の場合には、組成物の臭気がより抑制されていた。また、有機酸及び/又はその塩を含む場合には、貯蔵安定性により優れた結果となった。また、表3に示すように、アクリル酸の1価塩と多価金属塩を併用し、さらに有機酸及び/又はその塩を使用した場合に、組成物を光硬化して得られた硬化物のサポート性をより向上できた。
【産業上の利用可能性】
【0076】
本発明のインクジェット3Dプリンター用光硬化性サポート材組成物によれば、硬化後、溶媒への溶解性に優れ且つ硬化物の硬度が十分なインクジェット3Dプリンター用光硬化性サポート材組成物を提供できる。