(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、開示はあくまで一例に過ぎず、当業者において、発明の主旨を保っての適宜変更について容易に想到し得るものについては、当然に本発明の範囲に含有されるものである。また、図面は、説明をより明確にするため、実際の態様に比べて、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同一又は類似した機能を発揮する構成要素には同一の参照符号を付し、重複する詳細な説明を適宜省略することがある。
【0013】
(第1実施形態)
本実施形態では、タッチ検出機能を備えた表示装置を説明する。本実施形態は、表示素子に液晶が利用される装置、或いは有機EL素子等の発光素子が利用される装置のいずれにも適用可能である。また、タッチ検出装置として、表示パネルとは独立した専用のタッチパネルを利用している装置であっても、一部の部品を表示パネルの部品と共用して用いる装置であっても本実施形態が適用可能である。
【0014】
図1は、本実施形態に係る表示装置を概略的に示す断面図である。本実施形態は、液晶表示装置100であり、平面視して、通常使用する際の横方向を第1方向Xとし、縦方向を第2方向Yとし、その厚み方向を第3方向Zとして説明する。また画面側、すなわち第3方向Z側を上側(表面側)、画面と反対側を下側(裏側)として説明する。
【0015】
液晶表示装置100は、アクティブマトリクス型の液晶表示パネルLCD、バックライトユニットBL、タッチパネル13、制御基板11、シールドケース12、などを備えている。
【0016】
液晶表示パネルLCDは、平面視して例えば矩形状であり、バックライトユニットBLから照射された光を選択的に透過することで画像を表示する透過表示機能を備えている。尚、液晶表示パネルLCDは、透過表示機能に加えて、外光を選択的に反射することで画像を表示する反射表示機能を備えるタイプであってもよい。
【0017】
液晶表示パネルLCDは、第1基板SUB1とこれに対向した第2基板SUB2とを備え、第1基板SUB1と第2基板SUB2との間に液晶層を備える。第1基板SUB1及び第2基板SUB2は、例えばガラス、或いは樹脂等からなる透明な絶縁基板を用いて構成されている。
【0018】
バックライトユニットBLは、液晶表示パネルLCDの下側面に対向して設けられている。バックライトユニットBLは、各種のタイプがあり、いずれのタイプが用いられてもよい。バックライトユニットBLは、導光板とそのエッジに発光素子を配列したタイプや、光を散乱させるガラス板の裏側に冷陰極線管を配列するタイプなどがある。
【0019】
上記バックライトユニットBLの下面側に制御基板11が配置されている。制御基板11には、液晶表示パネルLCDを制御するLCD制御ICチップ、LCD制御ICチップと連動して後述するタッチ検出装置を駆動するタッチパネル駆動ICチップなどを搭載している。さらに外部との通信を行うための通信モジュールや、各種アプリケーションを実装して、液晶表示装置の動作を制御するホスト装置も搭載している。
【0020】
上記制御基板11はその動作が外部干渉を受けないように、例えば金属材料からなるシールドケース(またはフィルム状のシールドカバー)12により覆われている。
【0021】
上記液晶表示パネルLCDの上面(すなわちバックライトユニットBLと反対側)には、タッチ検出装置を構成するタッチパネル13が配置されている。タッチパネル13は、透明な合成樹脂或いはガラス基板を含み、後で説明するように、少なくとも検出電極を備えている。
【0022】
タッチパネル13と制御基板11とは、タッチパネル用フレキシブルプリント回路基板(以下FPCと称す)22により接続されている。なお、先のタッチパネル駆動ICチップは、このタッチパネル用FPC22に搭載されてもよい。液晶表示パネルLCDと制御基板11とは、表示パネル用FPC(チップオンフィルム(COF)を含む)21により接続されている。
【0023】
図2は、
図1の破線で囲まれた領域Aを拡大して示している。領域Aは、タッチパネル13の第2方向Yの縁の一部であって、特にタッチ操作面と反対側の平坦な面を第3方向Zに断面した状態を示している。この平坦な面には、後述する駆動電極に接続される引き回し配線LTx、検出電極に接続される引き回し配線LRxが存在する。
【0024】
そしてこれらの引き回し配線LTx及びLRxの少なくとも一部が、ノイズを除去するための導電層CSにより覆われている。引き回し配線LTx及びLRxの表面は、絶縁材15が塗布されているので、導電層CSと導通することはない。導電層CSは、例えば銅、アルミニウム等の金属材料からなるシート状の部材である。導電層CSは、例えば粘着性を有する粘着面を有していてもよく、接着剤を用いて絶縁材15に貼り付けられていてもよい。あるいは、導電層CSは、例えば銀等の金属材料を含む例えばペースト状の導電材料を塗布することで形成されてもよい。この場合、導電材料が絶縁材15に直接塗布されてもよく、導電材料が塗布された部材が引き回し配線LTx及びLRxと重なるように配置されてもよい。
【0025】
導電層CSとシールドケース12との間には、緩衝材としてのガスケット14が設けられている。シールドケース12は、縁の一部が折り曲げられてタッチパネル13と平行となる屈曲片12aを有している。この屈曲片12aと導電層CSとで、ガスケット14を挟んでいる。
【0026】
なお、タッチパネル13のタッチ操作面と反対側の面であってシールドケース12で囲まれた部分には、タッチパネル用FPC22を接続するための端子部22aが設けられている。
【0027】
図3Aは、タッチパネル13に設けられる検出電極Rxと駆動電極Txの配置例と、導電層CSの貼り付け位置の例をタッチ操作面と反対側(すなわち液晶表示パネルLCD側)からみて示す平面図である。タッチパネル13は、センサ領域SAにおいて、タッチ操作を検出するための複数の駆動電極Tx(Tx1、Tx2、・・・・、Txm)と、この複数の駆動電極Txに対して絶縁し、交差するように配列された複数の検出電極Rx(Rx1、Rx2、・・・・、Rxn)とを備える。センサ領域SAにおいて、第1方向Xに沿って配置された複数の検出電極Rx(Rx1、Rx2、・・・・、Rxn)は、第2方向Yへ間隔を置いて並列に配列されている。第2方向Yに沿って配置された複数の駆動電極Tx(Tx1、Tx2、・・・・、Txm)は、第1方向Xへ間隔を置いて並列に配列されている。駆動電極Txと検出電極Rxとの各交差部では、対向する電極間で容量を形成している。
【0028】
センサ領域SAの周辺には、センサ領域SAを囲む周辺領域CAが設けられている。周辺領域CAには、各駆動電極Txに接続された引き回し配線LTx及び各検出電極Rxに接続された引き回し配線LRxが配置されている。各列の駆動電極Txは、引き回し配線LTxによりループを形成している。すなわち、第1方向Xにおいて、タッチパネル13の左半分の領域の駆動電極Txの引き回し配線LTxは、タッチパネル13の左側の縁の領域を通ってループを形成している。タッチパネル13の右半分の領域の駆動電極Txの引き回し配線LTxは、タッチパネルの右側の縁の領域を通ってループを形成している。また、各行の検出電極Rxの引き回し配線LRxは、タッチパネルの第2方向Yの一端側、すなわち第1方向Xに平行な端部13E側の縁の領域を通ってループを形成している。
【0029】
なお、上記の例は、一例であり、駆動電極Tx及び検出電極Rxの形状やパターンは、必ずしも図に示した形状やパターンに限定されるものではない。また、上記の説明では引き回し配線LTx及びLRxが、ループを形成しているとして説明したが、必ずしもループを形成する必要はない。駆動電極Tx及び検出電極Rxが、タッチパネル用FPC22を介して、タッチパネル駆動ICチップ23に接続される構成であればよい。
【0030】
端部13E側には、タッチパネル用FPC22が配置され、端子部22aに接続されている。端子部22aは、引き回し配線LTx及びLRxを、外部に接続するための配線集約部である。端子部22aを介して引き回し配線LTx及びLRxに接続された金属配線は、タッチパネル用FPC22を介して、制御基板11に設けられたタッチパネル駆動ICチップ23に接続されている。なお、端子部22aを配置する位置は、必ずしも図に示されるように引き回し配線のループ内に限定されるものではない。端子部22aを配置する位置は、例えばさらに端部13E側であってもよい。
【0031】
上記タッチパネル用FPC22が接続された領域の近傍には、表示パネル用FPC(COFを含む)21も設けられている。すなわち、タッチパネル13とほぼ重なる領域に設けられた液晶表示パネルLCDの第2方向Yの一端側には、表示パネル用FPC(COFを含む)21が接続されている。表示パネル用FPC(COFを含む)21には、液晶表示パネルLCDを駆動するための駆動信号ライン、液晶表示パネルLCDに映像信号を供給するための複数の映像信号線SL(図では代表して1つの信号線を示している)、信号の切り替えやスイッチを制御するための制御信号用ラインなどが設けられている。これらの映像信号線SL等は、表示パネル用FPC(COFを含む)21を介して、制御基板11に設けられた図示しないLCD制御ICチップに接続されている。
【0032】
ここで、端部13E側において、引き回し配線LTx及びLRxの一部を覆う領域に、複数の導電層CS、すなわち第1導電層CS1と第2導電層CS2とが設けられている。第1導電層CS1と第2導電層CS2とは、端子部22aの近傍において、第1方向Xに沿って設けられた引き回し配線LTx及びLRxの一部と重なるように、第1方向Xに沿って離間して設けられている。なお、第1導電層CS1及び第2導電層CS2は、少なくとも引き回し配線LRxと重なる領域に設けられていればよい。また、導電層CSの数は、1つでもよく、3つ以上でもよい。
【0033】
第1導電層CS1及び第2導電層CS2の電位は、例えば接地電位等の基準電位に固定されている。すなわち、第1導電層CS1及び第2導電層CS2は、電位が例えば接地電位等の基準電位に固定された部材(以下、基準電位部材とも称す)と電気的に接続されている。本実施形態においては、後述するように、例えばバックライトユニットBLを構成する筐体或いはシールドケース12が基準電位部材として機能するので、第1導電層CS1及び第2導電層CS2は、直接的或いは間接的に当該筐体及び又はシールドケース12に接続される。
【0034】
図3Bは、導電層CSにより覆われた領域の等価回路の例を示している。
図3Bは、引き回し配線LRxと導電層CSにより形成される等価回路を代表して示しているが、引き回し配線LTxと導電層CS、及び、映像信号線SLと導電層CSに関しても同様の等価回路で表すことができる。
【0035】
引き回し配線LRxは、ある抵抗値を有している。基準電位(例えば接地電位)に固定された導電層CSを引き回し配線LRxと重なる領域に設けることにより、引き回し配線LRxと導電層CSとの間には、結合容量C1が生じる。結合容量C1と引き回し配線LRx(及び検出電極Rx)の抵抗値とが、検出電極Rxを流れる電流値のノイズを減少させるフィルタとして機能する。すなわち、検出電極Rxを流れるノイズの電流は、結合容量C1を介して、接地電位に接続された端子へ流れる。
【0036】
図4Aは、本実施形態に係る液晶表示装置100の外観を概略的に示す斜視図である。
図4Aは、液晶表示装置100のタッチ操作面と反対側を示している。
【0037】
図4Aに示すように、第1導電層CS1及び第2導電層CS2は、バックライトユニットBLを構成する筐体CHSに接している。すなわち、第1導電層CS1及び第2導電層CS2と筐体CHSとは、電気的に接続されている。また、シールドケース12は、ネジ16により筐体CHSに固定されている。これにより、シールドケース12を筐体CHSと同電位とすることができる。筐体CHSは、ネジ(固定部材)17または導電部材17aを介して図示しない基準電位(接地電位)部材に電気的に接続されている。なお、表示装置が他の表示装置である場合には、第1導電層CS1及び第2導電層CS2は、バックライトユニットBLに限定されず、導電部材17bを介して基準電位に接続される場合がある。
【0038】
また、
図4Bに示すように、筐体CHSは、先のネジ17により基準電位部材に固定されていなくてもよい。この場合、筐体CHSは、図示しない基準電位部材と容量結合している。
【0039】
本実施形態では、表示装置が透過表示機能を備えるタイプ、又は反射機能を備えるタイプの液晶表示装置である場合を例として説明したが、表示装置が反射型の液晶表示装置、あるいは有機EL素子を有する有機EL表示装置である場合は、バックライトユニットBLは省略することが可能である。この場合、例えばシールドケース12等の筐体を、固定部材又は容量結合により基準電位部材に接続し、導電層CSを上記筐体に接続することで、本実施形態を反射型の液晶表示装置、及び有機EL表示装置にも適用することができる。
【0040】
本実施形態によれば、引き回し配線LTx及びLRxが設けられた周辺領域CAにおいて、タッチパネル用FPC22の近傍で引き回し配線LTx及びLRxの少なくとも一部と重なる領域に、導電材料からなる導電層CSが設けられている。これにより、例えば引き回し配線LTx及びLRxに例えば電磁波等の影響によりノイズが生じた場合であっても、タッチパネル13の周辺領域CAにおいて、タッチパネル用FPC22に侵入するノイズを低減することができる。すなわち、タッチパネル用FPC22を介して、制御基板11に設けられたタッチパネル駆動ICチップ23に侵入するノイズを低減することができる。したがって、タッチパネル13の誤動作を抑制することが可能となる。
【0041】
また、本実施形態によれば、タッチパネル13の全域に導電材料からなるカバーを設けた場合と比較して、簡単な構成で安価であり、且つ効果的に、ノイズの影響を低減することができる。
【0042】
さらに、導電層CSは、
図3AからもわかるようにLCD制御ICチップに接続された表示パネル用FPC(COFを含む)21と重なる領域にも設けられている。これにより、映像信号線SLに生じるノイズの影響も低減することができる。したがって、例えばノイズに起因した画面のちらつき等を抑え、表示品位を向上することができる。なお、引き回し配線LRx及び又はLTxは、タッチパネル用FPC22上に電気的に延在するので、導電層CSは、タッチパネル用FPC22上に位置する引き回し配線LRx及び又はLTxの一部に重なって設けられてもよい。このように導電層CSは、タッチパネル13の誤動作防止並びに映像信号へのノイズ混入防止として機能するために、安価で有効に活用されることになる。
【0043】
(第2実施形態)
図5は、第2実施形態に係る表示装置に用いられるタッチパネル13を概略的に示す平面図である。第2実施形態は、引き回し配線LRx及びLRxを覆う導電層CSが、周辺領域CAのほぼ全域に設けられている点で第1実施形態と相違する。図示した例では、導電層CSは、環状であり、センサ領域SA及び端子部22aを囲んでいる。
【0044】
なお、環状の導電層CSは、単一部材で形成されていなくてもよく、複数の部材で形成されてもよい。例えば、導電層CSは、第1方向Xに延出した2つの部材と、第2方向Yに延出した2つの部材とを備え、これらの部材が互いに接続されていてもよい。
【0045】
本実施形態においても、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。さらに、本実施形態によれば、引き回し配線LRx及びLRxと導電層CSとが重なる面積が大きいため、引き回し配線LRx及びLRxに生じたノイズの影響をさらに低減することができる。
【0046】
(第3実施形態)
図6は、第3実施形態に係る表示装置に用いられるタッチパネル13を概略的に示す平面図である。第3実施形態は、端子部22aとタッチパネル13の端部13Eとの間に導電層CSが設けられていない点で第2実施形態と相違する。すなわち、導電層CSは、略C字状であり、端子部22aと端部13Eとの間で、第1方向Xに離間した第1端部CSE1と第2端部CSE2とを有している。なお、このような形状の導電層CSは、単一部材で一体的に形成されていてもよく、複数の部材で形成されていてもよい。
【0047】
本実施形態においても、第2実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0048】
(第4実施形態)
図7は、第4実施形態に係る表示装置に用いられるタッチパネル13を概略的に示す平面図である。第4実施形態は、端子部22aとタッチパネル13の端部13Eとの間に、第3導電層CS3が設けられている点で第1実施形態と相違している。
【0049】
第3導電層CS3は、第1方向Xに沿って延出し、帯状に形成されている。第3導電層の電位は、基準電位(接地電位)である。図示した例では、第3導電層CS3は、端子部22aよりも端部13Eに近接し、引き回し配線LTx及びLRxとは重なっていない。しかしながら、第3導電層CS3は、端部13Eよりも端子部22aに近接していてもよく、引き回し配線LTx及びLRxと重なっていてもよい。また、図示した例では、第3導電層CS3は、端子部22aと端部13Eとの間に1本配置されているが、複数本配置されてもよい。また、第3導電層CS3の形状は、第1方向Xに沿った直線状に限らず、波状などの他の形状であってもよい。このような第3導電層CS3は、第1乃至第3実施形態で示した第1導電層CS1、及び第2導電層CS2と同一の材料から形成されていてもよく、異なる材料から形成されていてもよい。
【0050】
図8に示すように、端子部22aは、第1方向Xに沿って配置された複数の端子22b(22b1、22b2、・・・22bi)を備えている。本実施形態では、端子部22aの第1方向Xの幅H22とは、端子部22aの両端に位置する端子22bの間の第1方向Xの距離として定義される。すなわち、端子部22aの一端に位置する端子22b1は、一端部(辺)S1を有する。端子部22aの他端に位置する端子22biは、他端部(辺)S2を有する。幅H22は、一端部(辺)S1と他端部(辺)S2との間の第1方向Xの距離に相当する。
【0051】
第3導電層CS3の第1方向Xの幅HCは、幅H22より大きい。しかも、第3導電層CS3は、すべての端子22bと端部13Eとの間に介在している。なお、図示した例では、端子22bは矩形状であるが、他の形状でもよい。この場合であっても、端子部22aの第1方向Xの幅H22は、同様に定義される。また、複数の端子22bは、直線的に並ぶように配置されていなくてもよく、千鳥状に配置されてもよい。あるいは、端子部22aは、端部13Eからの距離が異なる複数の端子22bを有していてもよい。
【0052】
図9は、
図7に示すIX−IX’線に沿ったタッチパネル13の断面図である。
【0053】
タッチパネル13は、樹脂或いはガラスからなる透明な基板SUBを用いて構成されている。基板SUBは、検出電極Rxn、図示されない駆動電極Tx、及び端子部22aが設けられた第1主面13Aと、第1主面13Aと反対側のタッチ操作面としての第2主面13Bと、第1主面13A及び第2主面13Bに繋がる側面13Cとを有している。
【0054】
本実施形態において、タッチパネル13の端部13Eは、
図9において破線で囲まれた領域に相当する。すなわち、端部13Eは、基板SUBの第2方向Yの一端側の第1主面13A、第2主面13B、及び側面13Cを含む領域である。第3導電層CS3は、基準電位(接地電位)であり、端部13Eと端子部21aとの間で主面13Aに接している。第3導電層CS3と基準電位部材との接続関係は、
図4A及び
図4Bに示す例と同様である。なお、後述するように、第3導電層CS3は、端部13Eまで延在していてもよい。
【0055】
図示した例では、側面13Cは、第1方向X及び第3方向Zで規定されるX−Z平面に平行な平面であるが、これに限定されない。側面13Cは、例えば第3方向Zに対して傾いた平面でもよく、曲面でもよく、平面と曲面とを含んでいてもよい。また、タッチパネル13は、基板SUB、検出電極Rx、駆動電極Txなどの他、例えば主面13A側に設けられた保護フィルムなどを含んでいてもよい。
【0056】
第4実施形態によれば、端子部22aと、端子部22aが近接した端部13Eとの間に第3導電層CS3を設けることで、タッチパネル13の沿面を伝わって端子部22aにノイズが侵入することを抑制することができる。
【0057】
例えば、
図9に示すように、タッチ操作面である第2主面13Bにおいて静電放電が生じた場合に、この静電放電に起因したノイズ電流は、タッチパネル13の端部13Eを介して第1主面13Aに回り込む場合がある。すなわち、第2主面13Bに生じたノイズ電流は、第2主面13B、側面13C、及び第1主面13Aを伝搬し、端子部22aへ到達する場合がある。本実施形態によれば、端子部22aと端部13Eとの間で接地電位の第3導電層CS3が第1主面13Aに接触しているため、第2主面13Bから端部13Eを伝わって第1主面13Aに回り込んだノイズ電流は、端子部22aへ侵入する前に第3導電層CS3に吸収される。
【0058】
また、タッチパネル13の沿面を伝わるノイズ電流の大きさは、伝搬する距離が大きくなるほど小さくなる。本実施形態によれば、
図8に示すように、第3導電層CS3の幅HCが端子部22aの幅H22より大きい。このため、例えば第2主面13Bから端部13Eを介して第1主面13Aに到達したノイズ電流が第3導電層CS3の第1方向Xの両端部を迂回する場合、ノイズ電流の端子部22aまでの伝搬距離は、十分に大きくなる。すなわち、第2主面13Bから伝搬したノイズ電流の大きさは、端子部22aに到達するまでに十分に減衰される。したがって、本実施形態によれば、ノイズ電流が端子部22aへ侵入することを抑制することができる。
【0059】
(第5実施形態)
図10A及び
図10Bは、第5実施形態に係る表示装置に用いられるタッチパネル13を概略的に示す平面図である。第5実施形態は、タッチパネル13が第3導電層CS3に加えて、第1実施形態で示した第1導電層CS1と第2導電層CS2とをさらに備えている点で第4実施形態と相違している。
【0060】
図10Aに示す例では、第3導電層CS3は、第1導電層CS1及び第2導電層CS2より端部13Eに近接しており、
図10Bに示す例では、第3導電層CS3は、第1導電層CS1及び第2導電層CS2より端子部22aに近接している。
【0061】
本実施形態において、第1導電層CS1、第2導電層CS2、及び第3導電層CS3は、互いに離間しているが、いずれも同電位に設定され、例えば基準電位(接地電位)である。第3導電層CS3の第1方向Xの幅HCは、第1導電層CS1と第2導電層CS2との第1方向Xの距離D1より大きい。しかも、
図10Aに示す例では、第3導電層CS3は、第1導電層CS1と端部13Eとの間、及び、第2導電層CS2と端部13Eとの間にそれぞれ介在している。
図10Bに示す例では、第1導電層CS1及び第2導電層CS2は、第3導電層CS3と端部13Eとの間にそれぞれ介在している。
【0062】
本実施形態によれば、端子部22aへのノイズ電流の侵入を抑制するとともに、引き回し配線LTx、LRxに生じたノイズ電流の影響も低減することができる。
【0063】
(第6実施形態)
図11A及び
図11Bは、第6実施形態に係る表示装置に用いられるタッチパネル13を概略的に示す平面図である。第6実施形態は、第3導電層CS3が第1導電層CS1と第2導電層CS2とに接続されている点で第5実施形態と相違している。
【0064】
第3導電層CS3は、
図11Aに示すように、例えば導電性を有する接着剤により第1導電層CS1及び第2導電層CS2に接続されている。あるいは、
図11Bに示すように、第1導電層CS1、第2導電層CS2、及び第3導電層CS3は、一体的に形成されていてもよい。すなわち、端子部22aと端部13Eとの間で、引き回し配線LTx及びLRxと重なり、且つ、タッチパネル13と接する単一部材の導電層CSが設けられていてもよい。なお、第3導電層CS3は、端部13Eよりも端子部22aと近接する側で第1導電層CS1及び第2導電層CS2と接続されても良い。
【0065】
本実施形態においても、第5実施形態と同様の効果を得ることができる。また、第1導電層CS1及び第2導電層CS2がタッチパネル13と接している場合は、第1導電層CS1及び第2導電層CS2と第3導電層CS3との間にノイズ電流の伝搬経路がないため、端子部22aへのノイズ電流の侵入をさらに抑制することができる。
【0066】
(第7実施形態)
図12は、第7実施形態に係る表示装置に用いられるタッチパネル13を概略的に示す平面図である。第7実施形態は、第3実施形態に示す導電層CSと、第4実施形態に示す第3導電層CS3とを備えている。
【0067】
図示した例では、第3導電層CS3は、導電層CSより端部13Eに近接しているが、導電層CSの第1端部CSE1及び第2端部CSE2と、端子部22aとの間に位置していてもよい。第3導電層CS3の第1方向Xの幅HCは、導電層CSの第1端部CSE1と第2端部CSE2との第1方向Xの距離D2より大きい。
【0068】
本実施形態においても、第5実施形態と同様の効果を得ることができる。なお、第2実施形態で示した
図5は、本実施形態の第3導電層CS3と導電層CS1、導電層CS2とが接続された状態に相当する。したがって、
図5に示す導電層CSによっても、引き回し配線LTx、LRxに生じたノイズ電流の影響を低減するとともに、タッチパネル13の沿面を伝搬したノイズ電流の端子部22aへの侵入を抑制することができる。
【0069】
(第8実施形態)
図13A及び
図13Bは、第8実施形態に係る表示装置に用いられるタッチパネル13の断面図である。第8実施形態は、第3導電層CS3が基板SUBの側面13Cに接している点で第4乃至第7実施形態と相違している。
図13Aに示す例では、第3導電層CS3は、側面13Cのみに接している。
図13Bに示す例では、第3導電層CS3は、端部13Eを覆っている。すなわち、第3導電層CS3は、第2主面13B、側面13C、及び第1主面13Aに接している。なお、第3導電層CS3は、主面13A及び側面13Cの少なくとも一方と接触していればよい。
【0070】
本実施形態においても、第4実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0071】
(適用例)
上記した実施形態で採用されるタッチ検出装置(センサ)の検出方式は、相互容量方式(ミューチャル方式)、自己容量方式(セルフ方式)のいずれであってもよい。
【0072】
図14に相互容量方式のタッチ検出装置200の基本構成を示す。タッチ検出装置200は、タッチパネル13と、タッチパネル13を制御するためのタッチパネル駆動ICチップ23とを備えている。相互容量方式では、タッチパネル13の基板SUBは、タッチ操作を検出するための、複数の駆動電極Tx(Tx1、Tx2、Tx3・・・)と、この複数の駆動電極Txに対して絶縁し、交差するように配列された複数の検出電極Rx(Rx1、Rx2、Rx3・・・)を備える。第2方向Y(又は縦方向)に細長い複数の駆動電極Tx(Tx1、Tx2、Tx3・・・)は、第1方向X(又は横方向)へ間隔を置いて並列に配列されている。第1方向Xに細長い複数の検出電極Rx(Rx1、Rx2、Rx3・・・)は、第2方向Yへ間隔を置いて並列に配列されている。駆動電極Txと検出電極Rxとの各交差部では、対向する電極間で容量を形成している。
【0073】
なお、表示パネルにおいて表示期間に一定電位が与えられる共通電極が、上記駆動電極Txとして利用されてもよい。つまり、インセルタイプと称される表示装置においては、駆動電極Tx(Tx1、Tx2、Tx3・・・)が、画素回路のための共通電極として兼用される。オンセルタイプと称される表示装置においては、タッチ検出用として設けられたタッチパネル(タッチ検出用基板)に対して上記駆動電極Tx及び検出電極Rxがタッチ検出専用電極として設けられている。上記のタッチ検出装置200は、タッチパネル駆動ICチップ23により制御される。
【0074】
タッチ検出期間は、例えば1フレーム内に分散して設定されている。したがって、表示装置では、表示期間とタッチ検出期間が、時分割されている。そして、セレクタSELAは、パルス状の駆動信号Txsを、タッチ検出期間に駆動電極Tx1、Tx2、Tx3・・・に順次供給する。もし、どこかにユーザの指が触れていると(タッチしていると)、該当するタッチ位置の検出電極から出力される検出信号Rxsは、他の検出電極から出力される検出信号Rxsよりも低いレベルとなる。図の例では、タッチを検出していない検出信号レベルがAP1の場合と、タッチを検出している電極の検出信号レベルがAP2<AP1の場合を示している。
【0075】
なお、上記の説明では、駆動電極Txと検出電極Rxとが利用された相互容量方式を説明したが、駆動電極Tx及び検出電極Rxは、自己容量方式の電極として用いられてもよい。例えば、タッチ検出装置200は、駆動電極Txのみを用いて自己容量方式として動作してもよく、検出電極Rxのみを用いて自己容量方式として動作してもよい。このような動作は、例えば節電状態のときに実行される。
【0076】
図15に自己容量方式のタッチ検出装置200の一構成例を示す。タッチ検出装置200は、タッチパネル13と、タッチパネル駆動ICチップ23と、駆動・検出回路DDETとを備えている。自己容量方式では、タッチパネル13の基板SUBは、マトリックス状に配置された、タッチ操作を検出するための複数の共通電極CE(CE11、CE12、CE13、・・・・、CE21、CE22、CE23、・・・・、CE31、CE32、CE33、・・・・、)を備えている。それぞれの共通電極CEには、引き回し配線TR(TR1,TR2・・・・)が接続されている。この引き回し配線TRは、駆動・検出回路DDETに接続されている。駆動・検出回路DDETは、例えば、第1基板(アレイ基板)SUB1の非表示領域に形成されている。この駆動・検出回路DDETは、タッチパネル駆動ICチップ23(制御部)により制御され、タッチ検出機能を制御する。なお、1つの共通電極CEの面積は、例えば1つの画素領域の24倍程度である。
【0077】
図16Aは、Y方向に1つの列を構成する複数の共通電極CE(CE11、CE21、CE31、・・・・)が、駆動・検出回路DDETを介してタッチパネル駆動ICチップ23に関連している状態を示している。駆動・検出回路DDETは、共通電圧Vcomを選択することができる第1セレクタ501、センシング回路520を備える。今、複数の共通電極CEが、5つの共通電極CE11、CE21、CE31、CE41、CE51を備えるものとして説明する。
【0078】
引き回し配線TR1〜TR5は、各共通電極CE11〜CE51からそれぞれ駆動・検出回路DDETに導かれている。駆動・検出回路DDETは、表示期間に共通電極CE11〜CE51のすべてに共通電圧Vcomを印加するための第1セレクタ501を備える。また引き回し配線TR1〜TR5は、第1セレクタ501を介して、センシング回路520内の第2セレクタ522に接続されている。
【0079】
第2セレクタ522は、各引き回し配線TR1〜TR5を1つずつ選択して、各引き回し配線TR1〜TR5にセンサ信号を供給する。このセンサ信号の供給期間は、
図16Bに示す、タッチ検出期間である。タッチ検出期間は、1フレーム内で、表示期間が時分割されており、表示期間と表示期間の間にタッチ検出期間が設定されている。
【0080】
上記のセンサ信号は、センサ信号発生器524で生成され、変換回路523を介して第2セレクタ522に入力している。また、センサ信号は、変換回路523の出力側、つまり検知回路530側にも検出信号として出力される。ここで、共通電極CE11〜CE51のいずれかに対して、ユーザの指がタッチしていたとする。すると、当該共通電極にセンサ信号が供給されたとき、変換回路523から出力されるセンサ信号のレベルが、他のユーザの指がタッチしていないときのレベル(非検出レベル)とは異なるレベル(タッチ検出レベル)で出力される。変換回路523の回路は特に限定するものではないが、一例として容量結合を介してセンサ信号発生器524の信号によりタッチ操作を検出するための複数の共通電極CEを駆動し、検知回路530で共通電極CEの変動電圧レベルを測定することでタッチの有無を検出する。指が共通電極CEに接触しているときは共通電極CEの容量成分は指が接触していないときに比べて大きくなるため、共通電極CEの電圧変動は指が接触しているときは指が接触していないときに比べて小さくなる。
【0081】
検知回路530は、スイッチ531と、比較器532と、フィルタ533、A/D変換器534とを備えている。比較器532はその前段に配置されたスイッチ531により変換回路523との接続(タッチ検出期間は接続)及び切り離し(表示期間は切り離し)が可能としてもよい。
【0082】
比較器532は、変換回路523からのセンサ信号を受信し、該信号と閾値Vrefとの差分を出力する。また、比較器532には、コンデンサ535とスイッチ536とが並列に接続されている。比較器532の出力は、例えば表示期間にスイッチ536をオンすることによりリセットされる。スイッチ531およびスイッチ536の切り替えは、例えばタッチパネル駆動ICチップ23からの制御データに基づいて行われる。
【0083】
比較器532から出力された値はフィルタ533によりノイズ除去され、A/D変換器534により、デジタル信号に変換される。このデジタル値が、タッチ検出データとして、タッチパネル駆動ICチップ23に入力される。タッチパネル駆動ICチップ23は、センシング回路520からのデータに基づいて演算処理を実行し、タッチ位置を特定している。タッチパネル駆動ICチップ23は、第1セレクタ501、第2セレクタ522、スイッチ531などを制御するためのシーケンス制御データを有する。したがって、タッチパネル駆動ICチップ23は、検知回路530からタッチ検出データが入力したとき、どの共通電極からの検出データであるかを把握することができる。
【0084】
上記では、第1列の各共通電極CE11〜CE51を示して、タッチ検出動作を説明したが、第2列、第3列・・・の各共通電極に対しても順次同様な方法で、タッチ検出動作が実行される。この場合、センシング回路520は、各列のためのセンシング回路として順次利用されてもよい。あるいは、各列に対して専用のセンシング回路が設けられてもよい。
【0085】
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これらの新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。