(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
<第一実施形態>
(船舶の全体構成)
以下、本開示の実施形態に係る船舶について、
図1〜
図4を参照して説明する。
図1、
図2に示すように、この実施形態の船舶1は、船舶本体2と、タンク10と、散水設備20と、水回収設備30と、を備えている。船舶1の船種は、特定のものに限られない。船舶1の船種は、例えば液化ガス運搬船、フェリー、RORO船、自動車運搬船、客船等を例示できる。
【0011】
(船舶本体の構成)
船舶本体2は、船体3と、上部構造4と、を備えている。
船体3は、その外殻をなす、一対の舷側5A,5Bと、船底6と、を有している。舷側5A,5Bは、左右舷側をそれぞれ形成する一対の舷側外板を備える。船底6は、これら舷側5A,5Bを接続する船底外板を備える。これら一対の舷側5A,5B及び船底6により、船体3の外殻は、船首尾方向FAに直交する断面において、U字状を成している。
【0012】
図1に示すように、船体3は、更に、最も上層に配置される全通甲板である上甲板7を備えている。この実施形態で例示する上甲板7は、外部に露出する曝露甲板でもある。上甲板7よりも下層の船体3内には、船舶1を推進させるための主機(図示無し)、船内に電気を供給する発電機(図示無し)等が収容されている。
【0013】
上部構造4は、船体3の上甲板7上に設けられている。この実施形態で例示する船舶1は、船首尾方向FAで船尾3bに近い側に配置されている。上部構造4は、その内部に、複数層の上部甲板41〜44を備えている。複数層の上部甲板41〜41は、上部構造4において上下方向Dvに間隔をあけて設けられている。上部構造4内の上部甲板41〜44には、居住区等が設けられている。なお、この実施形態における船舶1は、上部構造4よりも船首3a側の船体3内に、貨物を搭載するカーゴスペース(図示無し)が設けられている。
【0014】
(タンクの構成)
タンク10は、液化アンモニアを貯留する。液化アンモニアは、燃料として、船体3内に設けられた主機や発電機に、供給配管系統(図示無し)を通して送られる。タンク10は、船体3の上甲板7の上方に設けられている。本開示の実施形態において、タンク10は、上部構造4に対し、船首尾方向FAの船尾3b側に設けられている。また、上甲板7上には、燃料機器室11が設けられている。燃料機器室11には、タンク10内の液化アンモニアをガス化するための各種の機器(図示無し)等が収容されている。また、タンク10の上部には、タンクコネクションスペース12が設けられている。タンクコネクションスペース12には、例えば、タンク10内に液化アンモニアを搭載する際に用いられるポンプやバルブ(図示無し)等が設けられている。
【0015】
上部構造4の外部には、ライフボート9が装備されている。ライフボート9は、船舶1の乗客や乗員が船外に脱出する際に用いられる。
また、船舶本体2には、船舶1の乗客や乗員が避難をする際に通る避難経路として用いられる通路100が設けられている。通路100は、上部構造4内の廊下や、ある程度の広さを有したマスターステーション等のスペース、ライフボート9に乗り込む際に通る経路、上甲板7等に設けられている。
【0016】
図2に示すように、散水設備20は、通路100に水を散水可能な設備である。散水設備20は、散水部21Aと、給水ポンプ25と、ポンプ作動部27と、を備えている。
【0017】
図3、
図4に示すように、散水部21Aは、通路100の延伸方向De(
図3において紙面に直交する方向)に延びて設けられている。散水部21Aは、通路100の上方に設けられた上部構造4の天井45に設けられている。散水部21Aは、通路100の延伸方向Deに水平面内で直交する幅方向Dsの両側に、それぞれ設けられている。各散水部21Aは、配管21pと、複数の水吹出部22と、を備えている。配管21pは、通路100の延伸方向Deに延びている。複数の水吹出部22は、配管21pに、通路100の延伸方向Deに間隔を開けて設けられている。各水吹出部22は、ノズル状で、配管21p内を流れる水を、下方に向かって吹き出す。
図4に示すように、複数の水吹出部22は、延伸方向Deで互いに隣り合う水吹出部22から吹き出される水の流れである水流F1が、互いに重なり合うように配置されている。
図3に示すように、このような散水部21Aは、通路100の幅方向Dsの中央部100cと側部100sとのうち、側部100sのみに水を散水可能である。
【0018】
図2に示すように、給水ポンプ25は、各散水部21Aの配管21pに水を供給する。給水ポンプ25には、例えば舷側5A下部等に開口する取水管26が接続されている。給水ポンプ25が作動すると、取水管26を通して船体3の外部の海水が吸い上げられ、配管21pに送り込まれる。
【0019】
ポンプ作動部27は、給水ポンプ25の作動のON・OFFを切り替える。ポンプ作動部27は、例えば、乗員等が、アンモニアが漏れていることを報知するスイッチ等を操作した場合に、給水ポンプ25を作動させる。また、ポンプ作動部27は、例えば、タンク10、タンク10に接続される供給配管系統(図示無し)、燃料機器室11、タンクコネクションスペース12等において、アンモニアの漏れをセンサー(図示無し)等で検知した場合に、給水ポンプ25を作動させてもよい。
【0020】
このような散水設備20では、アンモニアの漏れが生じた場合に、ポンプ作動部27により給水ポンプ25が作動される。すると、取水管26を通して船体3の外部の海水が吸い上げられ、散水部21Aの各配管21pに送り込まれる。
図3に示すように、散水部21Aでは、複数の水吹出部22から水を吹き出すことによって、通路100の幅方向Dsの両側の側部100sに、延伸方向Deに連続する膜状、カーテン状の水流F1を形成する。この水流F1は、通路100と天井45との間で、通路100の幅方向Dsの内側の通路内100iの領域と、側部100sに対して幅方向Dsの外側の通路外100oの領域とを仕切るように形成される。水流F1の水は、アンモニアガスと接触すると、アンモニアガスを吸収してアンモニア吸収水となり流下する。そのため、通路外100oから通路内100iに、アンモニアガスが侵入することが抑えられる。また、水流F1によって、その周囲の空気にも水流F1と同じ方向の気流F2が生じる。これらの水流F1、気流F2によっても、通路外100oから通路内100iへの、アンモニアガスや霧状のアンモニアの侵入が抑えられる。
なお、この散水設備20は、火災発生時用のスプリンクラー等として用いることもできる。
【0021】
図2に示すように、水回収設備30は、水回収部31と、水排出部32と、水貯留部34とを備えている。
【0022】
水回収部31は、散水設備20で散水された水を回収する。
図3に示すように、本開示の実施形態において、水回収部31は、例えば、下方に窪む回収トレイ31Aを有している。回収トレイ31Aは、通路100の下方に設けられている。回収トレイ31Aは、延伸方向Deに連続して設けられている。回収トレイ31Aは、通路100の幅方向Dsの両側に張り出して設けられている。水回収部31は、回収トレイ31Aに代えて、通路100の幅方向Dsの両側に、それぞれ溝を設けてもよい。
【0023】
図2に示すように、回収トレイ31Aには、回収管31Bが接続されている。回収管31Bは、回収トレイ31Aで回収した水を、水排出部32又は水貯留部34に導く。また、散水部21Aが設けられた通路100が上甲板7上に設けられている場合、回収管31Bは、上甲板7上を流れる水を回収する。上甲板7は、船幅方向Dwの中央部から船幅方向Dwの外側に向かって斜め下方に傾斜している。そのため、回収管31Bは、上甲板7で船幅方向Dwの外側に設けられた舷側5B(または5A)に近い位置で開口するように設けてもよい。また、回収管31Bには、下方に向かって湾曲又は屈曲した、トラップ部31tが設けられている。このトラップ部31tにより、アンモニアガスが水貯留部34側から通路100側に逆流するのを抑えている。
【0024】
水排出部32は、水回収部31で回収した水を、船舶1外に排出する。水排出部32は、管状で、回収管31Bから分岐している。水排出部32は、例えば、舷側5B(または5A)に開口して設けられている。ここで、水排出部32は、散水設備20で通路100に水を散水するための海水を吸い上げる取水管26が開口する舷側5Aとは、船幅方向Dwで反対側の舷側5Bに開口するように設けてもよい。水排出部32は、水回収部31で回収した水を、舷側5Bから船舶1外に排出する。
【0025】
水貯留部34は、船体3内に設けられている。水貯留部34は、水回収部31で回収した水を貯留するタンクである。水貯留部34には、回収管31Bから分岐して設けられたタンク排水管35を通して、水回収部31で回収した水が送り込まれる。この水貯留部34は、通常時(アンモニアの漏れが生じていないとき)には、他の用途で水を貯留するタンクとして用いてもよい。
【0026】
水排出部32と、タンク排水管35には、それぞれ、開閉弁32V、35Vが設けられている。開閉弁32V、35Vの開閉動作は、弁開閉部37によって遠隔操作される。弁開閉部37は、アンモニアの漏れが生じて給水ポンプ25が作動すると、開閉弁32V、35Vの少なくとも一方を開く。弁開閉部37は、例えば、水回収部31で回収された水に含まれるアンモニアの濃度をセンサー(図示無し)で検知し、検知されたアンモニアの濃度に基づいて、開閉弁32V又は35Vの一方を開くようにしてもよい。具体的には、アンモニアの濃度が予め定めた基準よりも低ければ、開閉弁32Vを開いて水排出部32から船外に水を排出してもよい。また、アンモニアの濃度が予め定めた基準よりも高ければ、開閉弁35Vを開いて水貯留部34で水を貯留するようにしてもよい。
水貯留部34では、外部から別途取り入れた海水等によってアンモニアの濃度を下げる処理や、中和処理等を行ってもよい。さらに、例えば満水になるなど、水貯留部34の水位に応じて開閉弁32V、35Vの開閉切替操作をして、回収管31Bを流れる水を船舶1外に排出するようにしてもよい。また、開閉弁32V、35Vの開閉切替操作は、遠隔操作ではなく乗員の判断で行うことも可能である。
【0027】
上記実施形態の船舶1は、タンク10に貯留されたアンモニアや、タンク10から配管系統等に送られたアンモニアが漏れた場合、散水設備20で通路100に水を散水する。散水設備20で散水した水によって、通路内100iと通路外100oとを仕切るようにすることで、アンモニアガスや霧状のアンモニアが通路100に侵入することを抑えることができる。これにより、通路100を通る乗客や乗員へのアンモニアガスの接触を抑えられる。したがって、船舶1内でアンモニアガスによる影響を有効に抑えることができる。
【0028】
上記実施形態では、散水設備20は、通路100の幅方向Dsの中央部100cと側部100sとのうち、側部100sのみに水を散水可能である。これにより、通路100の側部100sのみに散水される水によって、通路内100iと通路外100oとを仕切り、アンモニアガスが通路内100iに侵入するのを抑えることができる。
【0029】
上記実施形態では、通路100の延伸方向Deに間隔を開けて設けられた複数の水吹出部22から水を吹き出すことで、通路100の延伸方向Deに沿って、通路内100iと通路外100oとを仕切り、アンモニアガスが通路内100iに侵入するのを抑えることができる。
【0030】
上記実施形態では、散水部21Aは、通路100の上方、かつ通路100の幅方向Dsの両側にそれぞれ設けられている。これにより、通路100の上方から散水される水によって、通路100の幅方向Dsの両側で、通路内100iと通路外100oとを仕切り、アンモニアガスが通路内100iに侵入するのを抑えることができる。
【0031】
上記実施形態では、散水設備20によって散水された水を、通路100の下方に設けられた水回収部31で回収することができる。これにより、アンモニアガスと接触してアンモニアを含んだ水を回収し、通路100周辺に残留するアンモニア濃度の上昇を抑えることができる。
【0032】
上記実施形態では、水回収部31で回収した水を、水排出部32によって船外に排出することができる。
【0033】
上記実施形態では、水回収部31で回収した水を水貯留部34に貯留することができる。水貯留部34では、例えば、回収した水に含まれるアンモニアを薄める処理や中和処理等を行うこともできる。
【0034】
(第一実施形態の第一変形例)
上記第一実施形態において、散水部21Aは、配管21pと、複数の水吹出部22と、を備えているようにしたが、これに限られない。
例えば、
図5、
図6に示すように、この第一変形例の散水設備20の散水部21Bは、通路100の上方に設けられた天井45の幅方向Dsの両側に、それぞれ設けられている。各散水部21Bは、樋23を備えている。樋23は、通路100の延伸方向Deに延び、その内側を水が流れる。樋23は、その上部又は側部に、延伸方向Deに連続する開口又はスリット23sを有している。樋23は、開口又はスリット23sから水が下方に流れ落ちる。樋23から流れ落ちる水流F3は、膜状となる。これにより、散水部21Bは、通路100の幅方向Dsの中央部100cと側部100sとのうち、側部100sのみに水を散水可能である。
【0035】
(第一実施形態の第二変形例)
また、上記第一実施形態において、散水部21Aは、通路100の幅方向Dsの両側に設けられるようにしたが、これに限られない。
例えば、
図7に示すように、散水設備20の散水部21Cは、通路100の幅方向Dsの中央部100cの上方に設けられている。散水部21Cは、配管21qと、複数の水吹出部24と、を備えている。配管21qは、通路100の延伸方向De(
図7の紙面に直交する方向)に延びている。複数の水吹出部24は、配管21qに、通路100の延伸方向Deに間隔を開けて設けられている。各水吹出部24は、ノズル状で、配管21q内を流れる水を、幅方向Dsで斜め下方に向かって吹き出す。複数の水吹出部24は、通路100の幅方向Dsの第一側に水流F4を吹き出す第一ノズル25Aと、幅方向Dsの第二側に水流F5を吹き出す第二ノズル25Bと、を備えている。このようにして、散水部21Cは、通路100の幅方向Dsの中央部100cと側部100sとのうち、側部100sのみに水を散水可能である。
【0036】
<第二実施形態>
次に、この発明に係る船舶の第二実施形態について説明する。以下に説明する第二実施形態においては、第一実施形態と散水部21Dの構成のみが異なるので、第一実施形態と同一部分に同一符号を付して説明するとともに、重複説明を省略する。
図8に示すように、船舶1に設けられた散水設備20は、散水部21Dを備えている。散水部21Dは、通路100の幅方向Dsの第一側に設けられた壁46に設けられている。散水部21Dは、通路100の上部に設けられている。各散水部21Dは、上記第一実施形態の散水部21Aと同様、配管21pと、複数の水吹出部22Dと、を備えている。配管21pは、通路100の延伸方向De(
図8の紙面に直交する方向)に延びている。複数の水吹出部22Dは、配管21pに、通路100の延伸方向Deに間隔を開けて設けられている。各水吹出部22Dは、ノズル状で、配管21p内を流れる水を、幅方向Dsの第二側に向かって斜め下方に吹き出し、水流F6を形成する。このようにして、散水部21Dは、通路100の幅方向Dsの中央部100cと側部100sとのうち、幅方向Dsの第二側の側部100sのみに水を散水可能である。
【0037】
上記実施形態の船舶1では、通路100の幅方向Dsの第一側は、壁46によって閉塞されている。この壁46に設けられた散水部21Dによって通路100の幅方向Dsの第二側に水を散水することで、水流F6により、通路100の幅方向Dsの第二側で通路内100iと通路外100oとを仕切り、アンモニアガスが通路内100iに侵入するのを抑えることができる。これにより、通路100を通る乗客や乗員にアンモニアガスが接触することを抑えられる。したがって、船舶1内でアンモニアガスによる影響を有効に抑えることができる。
【0038】
以上、本開示の実施の形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施の形態に限られるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
なお、上記実施形態では、水回収設備30を備えるようにしたが、例えば、通路100が、上甲板7上に設けられている場合、上甲板7が船幅方向Dwの中央部から舷側5A、5B側に向かって斜め下方に傾斜した水勾配を利用し、散水設備20で散水した水を、上甲板7上から舷側5A、5Bに形成された開口(図示無し)を通して船外に排出するようにしてもよい。
【0039】
また、上記実施形態では、タンク10やタンクコネクションスペース12を、上部構造4に対して船尾3b側に設けるようにしたが、これに限られない。
例えば、
図9に示すように、上部構造4に対して船首3a側の上甲板7上に、タンク10やタンクコネクションスペース12を設けるようにしてもようにしてもよい。このような場合においても、アンモニアの漏洩による影響を受けると想定された領域に設定された通路100に、上記実施形態と同様の散水設備20を設ければよい。
【0040】
さらには、上甲板7上に限らず、上甲板7の下側の船体3内に、タンク10等を設ける場合であっても、アンモニアの漏洩による影響を受けると想定された領域に設定された通路100に、上記実施形態と同様の散水設備20を設ければよい。
【0041】
加えて、アンモニアは、船舶1を推進させるための主機等の燃料として用いられるものに限らず、船舶1で運搬する貨物であってもよい。このような場合においても、アンモニアの漏洩による影響を受けると想定された領域に設定された通路100に、上記実施形態と同様の散水設備20を設ければよい。
【0042】
<付記>
各実施形態に記載の船舶1は、例えば以下のように把握される。
【0043】
(1)第1の態様に係る船舶1は、通路100を有する船舶本体2と、前記船舶本体2に設けられて、アンモニアを貯留可能なタンク10と、前記通路100に水を散水可能な散水設備20と、を備える。
タンク10に貯留されるアンモニアは、船舶1の燃料や、船舶1で運搬する貨物である。
【0044】
この船舶1は、タンク10に貯留されたアンモニアや、タンク10から配管系統等に送られたアンモニアが漏れた場合、散水設備20で通路100に水を散水する。散水設備20で散水した水によって、通路内100iと通路外100oとを仕切るようにすることで、漏れたアンモニアが気化したアンモニアガスが通路100に侵入することを抑える。これにより、通路100を通る乗客や乗員にアンモニアガスが接触することが抑えられる。したがって、船舶1内でアンモニアガスによる影響を有効に抑えることができる。
【0045】
(2)第2の態様に係る船舶1は、(1)の船舶1であって、前記散水設備20は、前記通路100の幅方向Dsの中央部100cと側部100sとのうち、前記側部100sのみに水を散水可能である。
【0046】
これにより、通路100の側部100sのみに散水される水によって、通路内100iと通路外100oとを仕切り、アンモニアガスが通路内100iに侵入するのを抑えることができる。
【0047】
(3)第3の態様に係る船舶1は、(1)又は(2)の船舶1であって、前記散水設備20は、前記通路100の延伸方向Deに間隔を開けて複数の水吹出部22、22Dを有した散水部21A、21C、21Dを備える。
【0048】
これにより、通路100の延伸方向Deに間隔を開けて設けられた複数の水吹出部22、22Dから水を吹き出すことで、通路100の延伸方向Deに沿って、通路内100iと通路外100oとを仕切り、アンモニアガスが通路内100iに侵入するのを抑えることができる。
【0049】
(4)第4の態様に係る船舶1は、(3)の船舶1であって、前記散水部21A、21Bは、前記通路100の上方、かつ前記通路100の幅方向Dsの両側にそれぞれ設けられている。
【0050】
これにより、通路100の上方から散水される水によって、通路100の幅方向Dsの両側で、通路内100iと通路外100oとを仕切り、アンモニアガスが通路内100iに侵入するのを抑えることができる。
【0051】
(5)第5の態様に係る船舶1は、(3)の船舶1であって、前記散水部21Dは、前記通路100の幅方向Dsの第一側に設けられた壁46に設けられ、前記通路100の幅方向Dsの第二側に水を散水する。
【0052】
これにより、通路100の幅方向Dsの第一側は、壁46によって閉塞されている。この壁46に設けられた散水部21Dから通路100の幅方向Dsの第二側に水を散水することで、通路100の幅方向Dsの第二側で通路内100iと通路外100oとを仕切り、アンモニアガスが通路内100iに侵入するのを抑えることができる。
【0053】
(6)第6の態様に係る船舶1は、(1)から(5)の何れか一つの船舶1であって、前記通路100の下方に設けられ、前記散水設備20で散水された水を回収する水回収部31をさらに備える。
【0054】
これにより、散水設備20によって散水された水を、通路100の下方に設けられた水回収部31で回収することができる。これにより、アンモニアガスと接触してアンモニアを含んだ水を回収し、通路100周辺に残留するアンモニア濃度の上昇を抑えることができる。
【0055】
(7)第7の態様に係る船舶1は、(6)の船舶1であって、前記水回収部31で回収した水を、船舶1外に排出する水排出部32をさらに備える。
【0056】
これにより、水回収部31で回収した水を、船外に排出することができる。
【0057】
(8)第8の態様に係る船舶1は、(6)又は(7)の船舶1であって、前記船舶本体2内に設けられ、前記水回収部31で回収した水を貯留する水貯留部34をさらに備える。
【0058】
これにより、水回収部31で回収した水を水貯留部34に貯留することができる。水貯留部34では、例えば、回収した水に含まれるアンモニアを薄める処理、中和処理等を行うこともできる。
【解決手段】船舶は、船舶本体と、タンクと、散水設備と、を備える。船舶本体は、通路を有する。タンクは、船舶本体に設けられて、アンモニアを貯留可能である。散水設備は、通路に水を散水可能である。