特許第6983966号(P6983966)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6983966
(24)【登録日】2021年11月26日
(45)【発行日】2021年12月17日
(54)【発明の名称】厚み測定装置
(51)【国際特許分類】
   G01B 15/02 20060101AFI20211206BHJP
【FI】
   G01B15/02 A
【請求項の数】4
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2020-155796(P2020-155796)
(22)【出願日】2020年9月16日
【審査請求日】2021年8月13日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】598076591
【氏名又は名称】東芝インフラシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】特許業務法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】デ アポロニャ チャラ
【審査官】 櫻井 仁
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2019/230010(WO,A1)
【文献】 特開2020−095011(JP,A)
【文献】 特開2012−238416(JP,A)
【文献】 特開昭62−044616(JP,A)
【文献】 特開2007−171063(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2017/0097231(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B 15/00−15/08
G01N 23/00−23/2276
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
測定対象物に放射線を放射する放射線源と、
前記放射線源から放射され前記測定対象物を透過した前記放射線を検出し、放射線検出信号を出力する検出部と、
前記検出部によって出力された前記放射線検出信号に基づいて前記測定対象物の厚みを測定する測定部と、
自装置の異常について診断する複数種類の自己診断の少なくともいずれかを実行する自己診断部と、
前記測定部による測定結果と前記自己診断部による自己診断結果を含む測定関係情報を記憶するとともに、複数種類の前記自己診断それぞれに対して、取得するデータの種類と期間とが対応付けられた対応情報を記憶する記憶部と、
前記自己診断部によって前記自己診断が実行された場合に、前記対応情報を参照し、当該自己診断に対応づけられた種類のデータを対応付けられた期間の分だけ前記記憶部に記憶されている前記測定関係情報から取得する取得部と、
前記取得部によって取得されたデータを集約したファイルデータを生成する集約部と、
を備える厚み測定装置。
【請求項2】
情報を表示する表示部に、前記ファイルデータのうちの少なくとも一部のデータを外部記憶装置に保存させるための操作ボタンを表示させる表示制御部を、さらに備える請求項1に記載の厚み測定装置。
【請求項3】
前記表示制御部は、前記ファイルデータのうちの少なくとも一部のデータをユーザ操作に応じて選択し、前記表示部に、選択した前記データ、および、選択した前記データに基づいて生成した2次元コードを表示させる、請求項2に記載の厚み測定装置。
【請求項4】
前記自己診断部が複数種類の前記自己診断を実行する場合に、
前記取得部は、複数種類の前記自己診断それぞれの少なくともいずれかに対応付けられた種類のデータのすべてを、対応付けられた期間のうちの最長の期間の分だけ取得する、請求項1に記載の厚み測定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、厚み測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、例えば、様々な鋼板の製造ラインにおいて、測定対象物である鋼板の板厚を、放射線(X線等)を用いて測定する厚み測定装置がある。
【0003】
また、厚み測定装置には、自装置の異常について診断する自己診断機能が搭載されている場合がある。厚み測定装置に異常が発生した場合、ユーザは、厚み測定装置のメーカに、厚み測定装置の異常発生を伝えるとともに、自己診断結果等のデータを提供することが望ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第6585325号公報
【特許文献2】特開2008−26043号公報
【特許文献3】特開2008−93054号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、厚み測定装置に異常が発生した場合にユーザがメーカに提供すべきデータとしての自己診断コード、板厚測定データ、データログなどは別々に管理されている。したがって、ユーザがメーカにとって必要なすべてのデータを見つけて保存等してメーカに提供するのは容易ではない。
【0006】
そこで、本発明の実施形態の課題は、自己診断の実行後にユーザからメーカに提供すべき一連のデータを集約することができる厚み測定装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態の厚み測定装置は、測定対象物に放射線を放射する放射線源と、前記放射線源から放射され前記測定対象物を透過した前記放射線を検出し、放射線検出信号を出力する検出部と、前記検出部によって出力された前記放射線検出信号に基づいて前記測定対象物の厚みを測定する測定部と、自装置の異常について診断する複数種類の自己診断の少なくともいずれかを実行する自己診断部と、前記測定部による測定結果と前記自己診断部による自己診断結果を含む測定関係情報を記憶するとともに、複数種類の前記自己診断それぞれに対して、取得するデータの種類と期間とが対応付けられた対応情報を記憶する記憶部と、前記自己診断部によって前記自己診断が実行された場合に、前記対応情報を参照し、当該自己診断に対応づけられた種類のデータを対応付けられた期間の分だけ前記記憶部に記憶されている前記測定関係情報から取得する取得部と、前記取得部によって取得されたデータを集約したファイルデータを生成する集約部と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施形態の厚み測定装置の全体構成の例を示す概略図である。
図2図2は、実施形態の制御装置の機能構成の例を示すブロック図である。
図3図3は、実施形態の操作用PCの機能構成の例を示すブロック図である。
図4図4は、実施形態の対応情報の例を示す図である。
図5図5は、実施形態の自己診断結果データの一部を示す図である。
図6図6は、実施形態の厚み測定装置におけるファイルデータの作成を模式的に示す図である。
図7図7は、実施形態の厚み測定装置における自己診断履歴の表示画面の例を示す図である。
図8図8は、実施形態の厚み測定装置における自己診断時の処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の厚み測定装置の実施形態について、図面を参照して説明する。図1は、実施形態の厚み測定装置1の全体構成の例を示す概略図である。厚み測定装置1は、厚み測定部2によって測定対象物6(例えば鋼板)の厚みを測定したり、制御装置3によって厚み測定部2の自己診断を制御したりする。
【0010】
厚み測定装置1は、2台の厚み測定部2と、制御装置3と、操作用PC4と、を備える。なお、厚み測定部2は、2台に限定されず、1台や3台以上であってもよい。
【0011】
厚み測定部2は、主な構成として、X線発生器21(放射線源)と、検出器22(検出部)と、X線コントローラ23(測定部)と、を備える。X線発生器21は、測定対象物6にX線(放射線)を放射する。
【0012】
検出器22は、測定対象物6を挟んでX線発生器21と対向する位置に配置されており、X線発生器21から放射され測定対象物6を透過したX線を検出し、放射線検出信号を出力する。
【0013】
X線コントローラ23は、検出器22によって出力された放射線検出信号に基づいて測定対象物6の厚みを測定する。つまり、X線が測定対象物6を透過する際に減衰する原理を利用し、測定対象物6の厚みを測定できる。X線コントローラ23は、厚み測定部2の制御全般を司り、例えば、CPU(Central Processing Unit)やGPU(Graphics Processing Unit)等のハードウェアプロセッサを備え、種々の演算処理を実行する。
【0014】
また、X線コントローラ23は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、HDD(Hard Disk Drive)等の記憶装置を備え、各種プログラム、各種設定データ、各種測定データ等を記憶する。なお、X線コントローラ23の全部または一部は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)などのハードウェアによって実現されてもよい。
【0015】
制御装置3は、伝送路7で厚み測定部2と接続され、伝送路9で上位計算機5と接続される。また、操作用PC4は、伝送路8で制御装置3と接続される。なお、伝送路7、8は、例えば、厚み測定部2、制御装置3および操作用PC4を互いに情報送受信可能に接続するLAN(Local Area Network)等である。また、伝送路9は、例えば、制御装置3と上位計算機5をTCP/IP(Transmission Control Protocol /Internet Protocol)等の通信規格に従って情報送受信可能に接続するインターネット等のネットワークである。
【0016】
以下、図2も併せて参照する。図2は、実施形態の制御装置3の機能構成の例を示すブロック図である。制御装置3は、処理部31と、記憶部32と、通信インタフェース33と、を備える。
【0017】
記憶部32は、例えば、ROM、RAM、HDD等の記憶装置を備え、各種情報を記憶する。記憶部32は、例えば、測定データ321、ログデータ322、自己診断用データ323、自己診断結果データ324などを記憶する。なお、データ321〜324は測定関係情報である。
【0018】
測定データ321は、厚み測定部2から取得した測定対象物6の厚みの測定結果のデータであり、測定時の日時情報を含む。
【0019】
ログデータ322は、厚み測定装置1における通信ログや操作ログのデータである。ログデータ322は、例えば、図4の分類2データの通信ログに対応する。
【0020】
自己診断用データ323は、自己診断のための各種データである。
【0021】
自己診断結果データ324は、自己診断部313によって実行された自己診断の結果のデータである。
【0022】
処理部31は、制御装置3の制御全般を司り、例えば、CPUやGPU等のハードウェアプロセッサを備え、種々の演算処理を実行する。なお、処理部31の全部または一部は、ASICやFPGAなどのハードウェアによって実現されてもよい。処理部31は、機能構成として、取得部311と、測定制御部312と、自己診断部313と、を備える。
【0023】
取得部311は、厚み測定部2、操作用PC4、上位計算機5から各種情報を取得する。取得部311は、例えば、厚み測定部2から測定データを取得して記憶部32の測定データ321として記憶させる。また。取得部311は、例えば、自己診断部313によって厚み測定部2の自己診断が実行(制御)された場合に、厚み測定部2から自己診断結果データを取得し、記憶部32の自己診断結果データ324として記憶させる。
【0024】
測定制御部312は、厚み測定部2による測定対象物6の厚みの測定の動作を制御する。また、測定制御部312は、厚み測定装置1の異常や自己診断の実行の必要の有無を所定のアルゴリズムに基づいて判定する。
【0025】
自己診断部313は、測定制御部312によって厚み測定装置1の自己診断の実行の必要があると判定された場合に、該当する自己診断を実行(制御)する。
【0026】
通信インタフェース33は、2つの厚み測定部2、操作用PC、上位計算機5と通信するためのインタフェースである。なお、通信インタフェース33は、例えば、通信対象の数だけ設けられるが、図2では図示を簡潔にするために1つだけ示している。
【0027】
次に、図3を参照して、操作用PC4について説明する。図3は、実施形態の操作用PC4の機能構成の例を示すブロック図である。操作用PC4は、厚み測定部2のユーザ(メンテナンス担当者等を含む。)がログデータ322を確認したりデータ収集を行ったりするために使用するコンピュータ装置である。操作用PC4は、例えば、HMI(Human Machine Interface)である。
【0028】
操作用PC4は、処理部41と、記憶部42と、表示部43と、入力部44と、入出力インタフェース45と、通信インタフェース46と、を備える。
【0029】
記憶部42は、例えば、ROM、RAM、HDD等の記憶装置を備え、各種情報を記憶する。記憶部42は、例えば、制御装置3から取得したデータや、対応情報421や、集約部412が生成したファイルデータ422等を記憶する。
【0030】
図4は、実施形態の対応情報421の例を示す図である。対応情報421は、厚み測定部2の異常について診断する複数種類の自己診断(図4の自己診断名)それぞれに対して、取得するデータの種類(図4の分類1データ、分類2データ)と期間(図4の必要データ期間)とが対応付けられた情報である。
【0031】
図4に示すように、対応情報421における情報は、左から順に、自己診断名、日時、分類1データ(ステータスデータ(自己診断実行時))、分類2データ(集める必要のあるデータ)、必要データ期間である。
【0032】
自己診断名は、複数種類の自己診断のうちの実行した自己診断の名称である。自己診断名として、ここでは、全校正要求、全校正データ長期変動大、Ethernet(登録商標)通信異常を示している。日時は、自己診断を実行した日付と時間の情報である。
【0033】
分類1データは、自己診断実行時のステータスデータであり、例えば、自己診断結果データ324に記憶される。分類1データとして、ここでは、Data1〜4を示している。Data1〜4の内容は、自己診断名に応じて異なる。例えば、自己診断名が全校正要求の場合、Data1は校正点板厚(単位はμm)であり、自己診断実行時に測定した板厚を示す。また、Data2は校正点測定時のドリフト量(単位はμm)である。
【0034】
また、自己診断名が全校正データ長期変動大の場合、Data1とData2は、自己診断名が全校正要求のときと同様である。Data3は、前回の全校正実施からの時間間隔である全校正時間間隔(単位は分)である。
【0035】
また、自己診断名がEthernet通信異常の場合、Data1は実行中処理区分であり、例えば「Send」であれば制御装置3から上位計算機5への送信処理において異常が発生したことを示す。
【0036】
分類2データは、ファイルデータ422(図3)を作成するために集める必要のあるデータ、つまり、自己診断結果を分析するために必要なデータであり、元は厚み測定部2に保存されているデータである。分類2データとして、ここでは、自己診断履歴、スタートアップデータ、全校正データ、基準線量履歴、通信ログを示している。それらのうち、例えば、自己診断履歴、スタートアップデータ、全校正データ、基準線量履歴は自己診断結果データ324に記憶され、通信ログはログデータ322に記憶される。
【0037】
自己診断履歴は、発生した自己診断のリストと詳細である。スタートアップデータは、最初からの全校正データ、または、厚み測定部2の一部(X線発生器21、検出器22等)を交換した後の最初の全校正データである。スタートアップデータは、厚み測定部2で板厚測定を行うために用いる検量線作成に必要なデータであり、各校正点板厚における測定値である。また、スタートアップデータの収集は厚み測定部2の初回立ち上げ時や、主要部品交換時に行う。
【0038】
全校正データは、スタートアップデータと同種のデータであるが、測定中のドリフト量をキャンセルするために数時間毎に行う校正でのデータである。通信ログは、制御装置3と上位計算機5の間の通信データの履歴である。
【0039】
例えば、自己診断名が全校正データ長期変動大の場合、分類1データのステータスデータ(Data1、Data2、Data3)に加え、分類2データとしての自己診断履歴、スタートアップデータ、全校正データ、基準線量履歴が必要なデータである。
【0040】
必要データ期間は、実行された自己診断に対して予め定義された、データを集める対象の期間である。具体的には、必要データ期間は、分類2データをいつまで遡って収集する必要があるか(つまり、厚み測定部2の異常を究明するためにどれだけ前までのデータを見たいか)を定義したものである。例えば、自己診断名が全校正要求の場合、必要データ期間は自己診断が発生した時から1週間前までである。また、自己診断名が全校正データ長期変動大の場合、必要データ期間は自己診断が発生した時から<DATA3>前まである。また、自己診断名がEthernet通信異常の場合、必要データ期間は自己診断が発生した時からリミット(収集できる限界)まである。
【0041】
図5は、実施形態の自己診断結果データ324の一部を示す図である。図5に示すように、ここでは、自己診断結果データ324として、日時ごとに、校正点板厚(μm)、校正点測定時のドリフト量(μm)、全校正時間間隔(分)が保存されている。
【0042】
これらのうち、例えば、校正点板厚(μm)は、自己診断名が全校正要求の場合と全校正データ長期変動大の場合におけるData1(図4)のデータである。
【0043】
また、校正点測定時のドリフト量(単位はμm)は、自己診断名が全校正要求の場合と全校正データ長期変動大の場合におけるData2のデータである。
【0044】
また、全校正時間間隔(分)は、自己診断名が全校正データ長期変動大の場合におけるData3のデータである。
【0045】
図3に戻り、処理部41は、操作用PC4の制御全般を司り、例えば、CPUやGPU等のハードウェアプロセッサを備え、種々の演算処理を実行する。なお、処理部41の全部または一部は、ASICやFPGAを含む回路等のハードウェアによって実現されてもよい。処理部41は、機能構成として、取得部411と、集約部412と、表示制御部413と、入出力制御部414と、を備える。
【0046】
取得部411は、制御装置3から各種情報を取得する。取得部411は、例えば、制御装置3の自己診断部313によって厚み測定部2の自己診断が実行(制御)された場合に、記憶部42に記憶された対応情報421を参照し、当該自己診断(図4の自己診断名)に対応づけられた種類(図4の分類1データ、分類2データ)のデータを、対応付けられた期間(図4の必要データ期間)の分だけ、制御装置3の記憶部32から取得する。
【0047】
例えば、自己診断部313によって全校正要求(図4の自己診断名)の自己診断が実行された場合に、取得部411は、対応情報421を参照し、対応づけられた種類のデータとして図4の分類1データにおけるDATA1と、図4のDATA2のデータと分類2データの自己診断履歴、スタートアップデータ、全校正データ、基準線量履歴(図4で丸印の付いているデータ)のデータを、対応付けられた期間として図4の必要データ期間に示されている「発生した時から、1週間前まで」の分だけ、制御装置3の記憶部32から取得する。
【0048】
また、取得部411は、自己診断部313が複数種類の自己診断を実行する場合に、複数種類の自己診断それぞれの少なくともいずれかに対応付けられた種類のデータのすべてを、対応付けられた期間のうちの最長の期間の分だけ取得するようにしてもよい。そうすれば、メーカにとって必要なデータをより確実に取得することができる。
【0049】
集約部412は、取得部411によって取得されたデータを集約したファイルデータ422を生成し、例えば、記憶部42に保存する。
【0050】
表示制御部413は、表示部43に各種情報を表示させる。表示制御部413は、表示部43に、例えば、ファイルデータ422のうちの少なくとも一部のデータを表示する。また、表示制御部413は、例えば、表示部43に、自己診断結果などのデータに加えて、ファイルデータ422のうちの少なくとも一部のデータを外部記憶装置に保存させるための操作ボタン(図7の保存ボタンB1)を表示させる。
【0051】
入出力制御部414は、入出力インタフェース45を用いたデータの入出力を制御する。
【0052】
表示部43は、情報を表示する手段であり、例えば、LCD(Liquid Crystal Display)、タッチパネル等である。
【0053】
入力部44は、ユーザが情報を入力するための手段であり、例えば、キーボード、マウス、タッチパネル等である。
【0054】
入出力インタフェース45は、USB(Universal Serial Bus)メモリスティック等の外部記憶装置に対して情報を入出力するためのインタフェースである。
【0055】
通信インタフェース46は、制御装置3と通信するためのインタフェースである。
【0056】
次に、図6を参照して、ファイルデータ422の作成について説明する。図6は、実施形態の厚み測定装置1におけるファイルデータ422の作成を模式的に示す図である。図6の例では、自己診断名が全校正データ長期変動大の自己診断を実行した際に収集するデータの期間として、自己診断が発生した時から、<DATA3>前までとして、前回全校正を行った1756分前までが定義されている。操作用PC4の取得部411は、その自己診断の発生後に、対応情報421で必要と定義されている各データ(DATA1、DATA2、DATA3、自己診断履歴、スタートアップデータ、全校正データ、基準線量履歴)を対象期間分だけ制御装置3の記憶部32から取得し、集約部412がそれらのデータを集約したファイルデータ422を生成して記憶部42に保存する。
【0057】
次に、図7を参照して、自己診断履歴の表示画面の例について説明する。図7は、実施形態の厚み測定装置1における自己診断履歴の表示画面の例を示す図である。操作用PC4の表示制御部413は、ファイルデータ422のうちの少なくとも一部のデータ(ここでは自己診断履歴の一部)をユーザ操作に応じて選択し、表示部43に、選択したデータ、および、選択したデータに基づいて生成した2次元コードを表示させる。
【0058】
図7において、領域R2には、ファイルデータ422の一部としての自己診断履歴の一部が表示されている。また、領域R1には、領域R2に表示する自己診断履歴の切り替えボタンG1、G2、S1、S2が表示されている。
【0059】
また、データ期間決定ボタンB2を操作すると、データの対象期間を入力するための画面が表示され、ユーザはその画面を用いてデータの対象期間を入力することができる。
【0060】
また、保存ボタンB1を操作すると、例えば、集約部412によってそのときに画面表示されている情報が集約され、例えば、その集約された情報が入出力制御部414によって通信ポートPに接続されている外部記憶装置(USBメモリスティック等)に保存される。なお、保存ボタンB1を操作した場合に、画面表示されていない情報も併せて集約して外部記憶装置に保存してもよい。
【0061】
また、2次元コード生成ボタンB3を操作すると、表示制御部413は、そのときに画面表示されている情報に基づいて2次元コードを生成し、領域R3に表示させる。2次元コードには、例えば、数値のみのデータであれば約7000文字、英数字データであれば約4000文字の情報を埋め込むことができる。
【0062】
次に、図8を参照して、厚み測定装置1における自己診断時の処理について説明する。図8は、実施形態の厚み測定装置1における自己診断時の処理を示すフローチャートである。
【0063】
制御装置3において、測定制御部312(図2)によって厚み測定装置1の自己診断の実行の必要があると判定された場合、ステップS1において、自己診断部313は、該当する自己診断を実行(制御)する。
【0064】
次に、ステップS2において、操作用PC4の取得部411(図3)は、記憶部42に記憶された対応情報421を参照し、自己診断に関するデータとして、当該自己診断(図4の自己診断名)に対応づけられた種類(図4の分類1データ、分類2データ)のデータを、対応付けられた期間(図4の必要データ期間)の分だけ、制御装置3の記憶部32から取得する。
【0065】
次に、ステップS3において、操作用PC4の集約部412(図3)は、ステップS2で取得されたデータを集約したファイルデータ422を生成し(図6)、例えば、記憶部42に保存する。
【0066】
次に、ステップS4において、操作用PC4の表示制御部413(図3)は、ユーザによる操作に応じて、表示部43に、ステップS3で作成したファイルデータ422のうちの少なくとも一部のデータを表示する(図7)。
【0067】
次に、ステップS5において、操作用PC4の表示制御部413(図3)は、2次元コード生成ボタンB3(図7)がユーザによって操作されたか否かを判定し、Yesの場合はステップS6に進み、Noの場合はステップS7に進む。
【0068】
ステップS6において、操作用PC4の表示制御部413(図3)は、そのときに画面表示されている情報に基づいて2次元コードを生成し、領域R3(図7)に表示させる。
【0069】
ステップS7において、操作用PC4の表示制御部413(図3)は、ユーザによって表示終了の操作が行われたか否かを判定し、Yesの場合は処理を終了し、Noの場合はステップS4に戻る。
【0070】
このように、実施形態の厚み測定装置1によれば、厚み測定部2の自己診断を実行した場合に、当該自己診断に対応づけられた種類のデータを、対応付けられた期間の分だけ取得し、その取得されたデータを集約したファイルデータ422を生成することができる。つまり、厚み測定部2の自己診断の実行後にユーザからメーカに提供すべき一連のデータを集約することができる。そして、ユーザがメーカにそのファイルデータ422を渡すことによって、メーカは厚み測定部2の自己診断結果を分析するために必要なデータを取得することができる。
【0071】
また、図7の保存ボタンB1によって、そのときに画面表示されている情報の保存を容易に実行できる。また、図7の2次元コード生成ボタンB3によって、画面表示されている情報に対応する2次元コードを生成し、領域R3に表示させることができる。これにより、例えば、ユーザは、この2次元コードを携帯電話(スマートフォン等)で撮影し、その撮影画面を厚み測定装置1のメーカの担当者に送信することができる。そうすれば、メーカの担当者は、その2次元コードに埋め込まれた情報を取得し、その情報を厚み測定部2の異常発生の原因究明等に活用することができる。
【0072】
従来技術では、ユーザがメーカに自己診断に関するデータの一部しか送らない背景には、ユーザがメーカにとって必要なすべてのデータを見つけて保存等するのが容易でなかったことのほかに、以下の事情もある。例えば、厚み測定装置へのコンピュータウイルス汚染を防ぐことを目的として、厚み測定装置に対して、USBメモリスティック等の外部記憶装置の接続やインターネットへの接続に関して制限を課している場合がある。
【0073】
それらの制限があったとしても、本実施形態の厚み測定装置1によれば、上述の2次元コード表示によって、ユーザは、USBメモリスティック等の外部記憶装置の接続やインターネットへの接続をすることなく、例えば、2次元コードを携帯電話等で撮影してその撮影画像をメーカに送ることで、メーカに必要な情報を容易に渡すことができる。
【0074】
本発明の実施形態を説明したが、この実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。この新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。この実施形態は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0075】
例えば、ファイルデータ422の少なくとも一部を保存する外部記憶装置は、USBメモリスティックに限定されず、CD-ROM(Compact Disc-Read Only Memory)等の他の外部記憶装置であってもよい。
【0076】
また、図7に示す画面は、ファイルデータ422の作成後でなく、ファイルデータ422の作成前に表示してもよい。
【0077】
また、制御装置3の記憶部32に記憶されている測定データ321、ログデータ322、自己診断用データ323、自己診断結果データ324のうちの少なくとも一部を、操作用PC4側で記憶するようにしてもよい。
【0078】
また、制御装置3と操作用PC4の機能を1つの情報処理装置で実現してもよい。
【符号の説明】
【0079】
1…厚み測定装置、2…厚み測定部、3…制御装置、4…操作用PC、5…上位計算機、6…測定対象物、7、8、9…伝送路、21…X線発生器、22…検出器、23…X線コントローラ、31…処理部、32…記憶部、41…処理部、42…記憶部、43…表示部、44…入力部、45…入出力インタフェース、311…取得部、312…測定制御部、313…自己診断部、411…取得部、412…集約部、413…表示制御部、414…入出力制御部
【要約】
【課題】厚み測定装置において、自己診断の実行後にユーザからメーカに提供すべき一連のデータを集約する。
【解決手段】実施形態の厚み測定装置は、測定対象物に放射線を放射する放射線源と、放射線を検出する検出部と、測定対象物の厚みを測定する測定部と、複数種類の自己診断の少なくともいずれかを実行する自己診断部と、測定部による測定結果と自己診断部による自己診断結果を含む測定関係情報を記憶するとともに、複数種類の自己診断それぞれに対して、取得するデータの種類と期間とが対応付けられた対応情報を記憶する記憶部と、自己診断部によって自己診断が実行された場合に、対応情報を参照し、当該自己診断に対応づけられた種類のデータを対応付けられた期間の分だけ記憶部に記憶されている測定関係情報から取得する取得部と、取得部によって取得されたデータを集約したファイルデータを生成する集約部と、を備える。
【選択図】図8
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8