(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【0006】
我々はそこで、1つ以上テルル(Te)原子を含む新規なモノマーおよびポリマーを提供する。本発明者らはまた、本発明のモノマーまたはポリマーの1種以上を含むフォトレジスト組成物および(反射防止または平坦化組成物などの)下地コーティング組成物を含むリソグラフィ組成物も提供する。
【0007】
1つの好ましい態様において、1つ以上のTe原子を含む1種以上の繰り返し単位を含む付加型重合体が提供される。別の好ましい態様において、1つ以上のペンダント部分が、1つ以上のTe原子を含む、ポリマー主鎖への1つ以上のペンダント部分を含むポリマーが提供される。本発明のポリマーにおいて、ポリマーの1つ以上のTe原子は、好適には二価または四価のいずれかである。
【0008】
好ましい態様において、(a)1つ以上のTe原子、および(b)1つ以上のエチレン性重合性基を含む1つ以上の不飽和重合性基、を含むモノマーが提供される。このようなモノマーの1つ以上のTe原子は、好適には二価または四価のいずれかである。
【0009】
好ましいモノマーは、1つ以上の酸開裂基、極性基および/または塩基反応性基をさらに含むことができる。
【0010】
好適な酸開裂性基としては、リソグラフィ処理中に、フォトレジストまたは他の組成物層中に存在する光生成酸と反応することができるエステルおよびアセタール基が挙げられる。シアノ、ヒドロキシルまたはエポキシなどの1つ以上のヘテロ原子を含む1つ以上の部分で置換されたアルキルおよびアリール基を含む様々な極性基が好適である。好適な塩基反応性基または酸性基はまた、様々であり、例えば、ヘキサフルオロアルコール(HFA)を含むハロゲン化ヒドロキシアルキル、カルボン酸、スルホン酸、スルホンアミド、ラクトン、またはフェノールなどの酸性または塩基反応性基が挙げられる。
【0011】
1種以上の重合性基は、好適には、置換基を有していてもよいアクリレート、置換基を有していてもよいアクリルアミド、置換基を有していてもよいビニルエーテル部分、置換基を有していてもよい非環状ビニル基、または環状オレフィン部分などのエチレン性不飽和基であってもよい。
【0012】
より具体的には、特定の態様において、好ましいモノマーは、アクリレート部分を含むことができる。好ましいアクリレートモノマーは、以下の式(I)
【0014】
(式中、Rは、水素であるか、または置換基を有していてもよいメチルを含む置換基を有していてもよいC
1−16アルキルなどの非水素置換基であり、
Pは、1つ以上のTe原子を含む。)に対応する構造を含むことができる。
【0015】
特定の好ましい態様において、Pは、1つ以上の酸開裂基、極性基および/または塩基反応性基を含むことができる。
【0016】
特定の態様において、好ましいアクリレートモノマーとしては、以下の式(IA):
【0018】
(式(IA)中、Rおよび各Pは、上記の式(I)で定義されたものと同じであり、Sは、示されたエステル結合に隣接する四級炭素原子を提供することを含めて置換基を有していてもよい、1〜20またはそれ以上の炭素およびヘテロ原子(N、O、S)を有する化学結合または鎖などのリンカーであり、
各R
1は、同一または異なる非水素置換基であり、1つ以上の酸開裂基、極性基または塩基反応性基を含むことができ、または任意選択で1つ以上のアルキル基を含むことができ、
mは、1〜Gによって許容される最大原子価に等しい整数であり、典型的には、mは、1、2、4、5、6、7または8の整数であり、
nは、0(R
1基が存在しない)〜Gによって許容される最大原子価に等しい整数であり、典型的には、mは、0、1、2、3、4、5、6、7または8の整数であり、
【0020】
は、単環式もしくは多環式の非置換もしくは置換C
6−30アリーレン基、または1つ以上のテルロフェンヘテロ環を含む基もしくは単環式もしくは多環式の非置換もしくは置換C
3−30ヘテロアリーレン基を表し、式中、「*」は、隣接する基または原子への結合点を示す。)の構造を含むモノマーなどの、炭素もしくはヘテロ芳香族(炭素環式アリールもしくはヘテロアリール)または脂環式(炭素脂環式もしくはヘテロ脂環式)基を含むものが挙げられる。
【0021】
特定の態様において、好ましいアクリレートモノマーは、フェニルまたはナフチル基などの1つ以上の炭素環式アリール基を含むことができる。このような好ましいモノマーとしては、以下の式(IB):
【0023】
(式(IB)中、
Rは上記式(I)で定義されたものと同じであり、
Sは、示されたエステル結合に隣接する四級炭素原子を提供することを含めて置換基を有していてもよい、1〜20またはそれ以上の炭素およびヘテロ原子(N、O、S)を有する化学結合または鎖などのリンカーであり、
Pは、1つ以上のTe原子を含み、任意選択で1つ以上の酸開裂基、極性基、または塩基反応性基をさらに含むことができ、
各R
1は、同一または異なる非水素置換基であり、1つ以上の酸開裂基、極性基または塩基反応性基を含むことができ、または任意選択で1つ以上のアルキル基を含むことができ、
nは、0(R
1基が存在しない)〜4の整数であり、mは、1〜4の整数である。)に対応する構造を含むものが挙げられる。
【0024】
特定の好ましい態様において、Pまたは少なくとも1つのR
1基は、任意選択で少なくとも1つの酸不安定性、極性または塩基反応性基を含む。
【0025】
特定の態様において、好ましいアクリレートモノマーは、Te原子が炭素環式アリール環に直接置換されている(Teと炭素環式アリール環原子との間に他の原子が介在していない)1つ以上の炭素環式アリール基を含むことができる。例えば、下記式(IC):
【0027】
(式(IC)中、
RおよびSはそれぞれ、上記式(IB)で定義されたものと同じであり、
各R
1は、同一または異なる非水素置換基であり、1つ以上の酸開裂基、極性基および/または塩基反応性基を含むことができ、
R
2は、非水素置換基であり、任意選択で1つ以上の酸開裂基、極性基、および/または塩基反応性基を含むことができ、
nは、0(R
1基が存在しない)〜4の整数である。)の構造を含むモノマーが好ましい。
【0028】
式(IC)のモノマーの特定の好ましい実施形態において、少なくとも1つのR
1基または1つのR
2基は、少なくとも1つの酸不安定性、極性または塩基反応性基を含む。
【0029】
特定の他の態様において、好ましいモノマーは、ビニルエーテル部分を含むことができる。好ましいビニルエーテルモノマーは、以下の式(II):
【0031】
(式(II)中、RおよびPは、上記式(I)で定義されたものと同じである。)に対応する構造を含むことができる。
【0032】
特定の態様において、好ましいビニルエーテルモノマーとしては、以下の式(IIA):
【0034】
(式(IIA)中、R、各P、S、各R
1、mおよびnは、上記式(IA)で定義されたものと同じであり、
【0036】
は、単環式もしくは多環式の非置換もしくは置換C
6−30アリーレン基、または1つ以上のテルロフェンヘテロ環を含む基もしくは単環式もしくは多環式の非置換もしくは置換C
3−30ヘテロアリーレン基を表し、式中、「*」は、隣接する基または原子への結合点を示す。)の構造を含むモノマーなどの、炭素もしくはヘテロ芳香族(炭素環式アリールもしくはヘテロアリール)または脂環式(炭素脂環式もしくはヘテロ脂環式)基を挙げることができる。
【0037】
好ましいビニルエーテルモノマーは、フェニルまたはナフチル基などの1つ以上の炭素環式アリール基を含むことができる。このような好ましいモノマーとしては、以下の式(IIB):
【0039】
(式(IIB)中、R、S、P、R
1およびnは、上記式(IB)で定義されたものと同じである。)に対応する構造を含むものが挙げられる。
【0040】
1つ以上の炭素環式アリール基を含む好ましいビニルエーテルモノマーとしては、Te原子が炭素環式アリール環に直接置換されているものが挙げられる。例えば、下記式(IIC):
【0042】
(式(IIC)中、R、S、R
1、R
2およびnは、上記式(IC)で定義されたものと同じである。)の構造を含むモノマーが好ましい。
【0043】
特定の他の態様において、好ましいモノマーは、ビニル部分を含むことができ、以下の式(III):
【0045】
(式(III)中、RおよびPは、上記式(I)で定義されたものと同じである。)に対応する構造を好適に含むことができる。
【0046】
特定の態様において、好ましいビニルモノマーとしては、以下の式(IIIA):
【0048】
(式(IIIA)中、R、各P、S、各R
1、mおよびnは、上記式(IA)で定義されたものと同じであり、
【0050】
は、単環式もしくは多環式の非置換もしくは置換C
6−30アリーレン基、または1つ以上のテルロフェンヘテロ環を含む基もしくは単環式もしくは多環式の非置換もしくは置換C
3−30ヘテロアリーレン基を表し、式中、「*」は、隣接する基または原子への結合点を示す。)の構造を含むモノマーなどの、炭素もしくはヘテロ芳香族(炭素環式アリールもしくはヘテロアリール)または脂環式(炭素脂環式もしくはヘテロ脂環式)基を含むものが挙げられる。
【0051】
特定の態様において、好ましいビニルモノマーは、フェニルまたはナフチル基などの1つ以上の炭素環式アリール基を含むことができる。このような好ましいモノマーとしては、以下の式(IIIB):
【0053】
(式(IIIA)中、R、P、R
1およびnは、上記式(IB)で定義されたものと同じである。)に対応する構造を含むものが挙げられる。
【0054】
1つ以上の炭素環式アリール基を含む好ましいビニルモノマーとしては、Te原子が炭素環式アリール環に直接置換されているものが挙げられる。例えば、下記式(IIIC):
【0056】
(式(IIIC)中、R、S、R
1、R
2およびnは、上記式(IC)で定義されたものと同じである。)の構造を含むモノマーが好ましい。
【0057】
さらに好ましくは、1つ以上のTe原子を含む環状オレフィンモノマーが提供される。本明細書で言及されるように、環状オレフィンは、少なくとも1つの環内炭素−炭素の単一の環内多重結合を有する非芳香族環構造(特定の実施形態において、例えば5から約20個の環原子、好ましくは5または6個の環原子)である。特定の態様において、好ましい環状オレフィンモノマーとしては、以下の式(IV):
【0059】
(式(IV)中、
Pは、1つ以上のTe原子を含み、
各R
1は、同一または異なる非水素置換基であり、1つ以上の酸開裂基、極性基および/または塩基反応性基を含むことができ、または任意選択で1つ以上のアルキル基を含むことができ、
nは、0(R1基が存在しない)〜脂環式環によって許容される最大原子価に等しい整数であり、典型的には、nは、0、1、2、3、4、または5である。)の構造を有するものが挙げられる。上記の式(IV)中、示された環縫合は、単一の縮合環構造または連結環構造中に5〜約20個の環原子を有することを含む様々な構造であってもよく、ある実施形態において、5または6個の環原子が好ましい場合がある。式(IV)中の示された炭素−炭素二重結合を含有する環は、非芳香族であるが、1つ以上の芳香族環は、脂環式(非芳香族)環に(縮合を含む)共有結合することができる。
【0060】
さらにいっそう好ましい態様において、1つ以上のTe原子および1つ以上のラクトン官能基を含むモノマーが提供される。例えば、上記式(I)、(IA)、(IB)、(IC)、(II)、(IIA)、(IIB)、(IIC)、(III)、(IIIA)、(IIIB)、(IIIC)および(IV)中の、任意のP、R
1またはR
2基は、以下の構造(波線は、モノマーへの共有結合を示す)のうちの1つの群などの、1つ以上のラクトン部分を含むことができる。
【0062】
本明細書に開示されるような上記式(I)、(IA)、(IB)、(IC)、(II)、(IIA)、(IIB)、(IIC)、(III)、(IIIA)、(IIIB)、(IIIC)または(IV)のいずれか1つのうちの、1種以上の反応したモノマーを含む、1種以上の反応したTeモノマーを含むポリマーもまた提供される。
【0063】
本発明の好ましいフォトレジストは、1種以上の酸発生剤化合物、および本明細書に開示されるような1種以上のTeポリマーを含むポリマー成分を含みことができる。本発明のフォトレジストは、好適にはポジ型またはネガ型であってもよい。
【0064】
ポジ型フォトレジストは、好適には、本明細書に開示されるような酸不安定基を含む成分を含むことができる。酸不安定基は、1つ以上のTe原子を含有するポリマー(Te−ポリマー)上に存在することができ、かつ/または酸不安定基は、Te原子を含まない別のレジスト樹脂などの、別のフォトレジスト成分上に存在することができる。
【0065】
ネガ型フォトレジストは、好適には、別個の組成物として、またはTe−ポリマーなどのレジスト成分の共有結合部分としてのいずれかで、架橋剤成分を含むことができる。好適なフォトレジスト架橋剤としては、下層組成物のための架橋剤として以下に議論されるアミン系材料が挙げられる。
【0066】
フォトレジストが下層組成物の層上にコーティングされる場合に利用することができる、下層組成物もまた提供される。本下層組成物は、本明細書に開示されるような1種以上のTeポリマーを含み、任意選択で1種以上の架橋剤および酸または酸発生剤化合物などの追加の成分を含むことができる。好ましくは、下層コーティング組成物は、架橋された有機膜であり得、好ましくは、実質的に減少した厚さを有し得る。特定の好ましい実施形態において、下層組成物膜層の乾燥厚さは、約200Å以下、または約100Å以下、または約90Å以下、または約80Å以下、または約70Å以下、または約60Å以下、または約50Å以下である。
【0067】
一態様において、開示されるような1種以上のTeポリマーを含む下層組成物の層を基板上に塗布することと、下層コーティング組成物層の上にフォトレジスト組成物の層を塗布することと、を含む方法が提供される。
【0068】
また、本発明のフォトレジスト組成物のレリーフ像(50nm未満または20nm未満の寸法を有するパターン化された線を含む)を形成するための方法も提供される。そのような方法は、例えば、a)本発明のフォトレジストのコーティング層を基板上に塗布することと;b)フォトレジスト組成物層をEUVを含む活性化放射線に露光することと;およびc)露光されたフォトレジスト組成物コーティング層を現像することと、を含むことができる。
【0069】
また、本発明のフォトレジスト組成物がその上にコーティングされたマイクロエレクトロニクスウエハ等の基板も提供される。開示された方法によって形成された電子デバイスもまた提供される。
【発明を実施するための形態】
【0071】
Teポリマーという用語は、1つ以上のTe原子を含む本明細書に開示されるようなポリマーを指す。
【0072】
上述のように、1つの好ましい態様において、1つ以上のTe原子を含む1種以上の繰り返し単位を含む付加型重合体が提供される。本明細書で言及されるような付加重合体は、フリーラジカル、カチオン、アニオンまたは配位重合などの付加重合によって形成される。本明細書で言及されるように、付加重合体は、反応によって小分子副生成物(例えば、H
2OまたはMeOH)が生成されない反応を介して形成することができ、縮合型重合反応とは区別される。上記の式(I)、(IA)、(IB)、(IC)、(II)、(IIA)、(IIB)、(IIC)、(III)、(IIIA)、(IIIB)、(IIIC)および(IV)の好ましいモノマーの重合は、付加重合体を提供することができる。特定の好ましい態様において、付加重合体は、フリーラジカル重合、ニトロキシド媒介重合(NMP)、原子移動ラジカル重合(ATRP)、可逆的付加−フラグメンテーション連鎖移動(RAFT)重合、リビングアニオン重合(LAP)および/または原子移動重合(ATP)のいずれかによって形成することができる。
【0073】
上述のように、別の好ましい態様において、1つ以上のペンダント部分が、1つ以上のTe原子を含む、ポリマー主鎖への1つ以上のペンダント部分を含むポリマーが提供される。特に好ましいポリマーは、このようなペンダントTe部分を含み得るが、ポリマー骨格に沿ったTe原子を有さない。上記の式(I)、(IA)、(IB)、(IC)、(II)、(IIA)、(IIB)、(IIC)、(III)、(IIIA)、(IIIB)、(IIIC)および(IV)の好ましいモノマーの重合は、このようなペンダントTe含有部分を提供することができる。
【0074】
本明細書で言及されるように、Te含有部分は、その部分の1つ以上のTe原子が、例えばアルキル(アルキレン)を含む多数の基のいずれか、炭素原子を含む環基、および/または酸素または置換基を有していてもよい硫黄(例えば、S(O)、S(O)
2)などのヘテロ原子によってポリマー骨格から離間している、1つ以上の原子(炭素原子を含む)、一般に1、2、3、4、5、6、7、8、9または10個の原子(炭素原子を含む)を含む鎖中の、ポリマー骨格と反応性窒素含有部分との間で介在する、ポリマー鎖へのペンダントである。
【0075】
理解されるように、ポリマー骨格という用語は、一緒になってポリマーの連続的な直鎖を形成する一連の共有結合した原子を指す。ポリ(アクリレート)またはポリ(アルキルアクリレート)(ポリ(メタクリレート)樹脂など)において、ペンダントTe原子は、重合されたアクリレートカルボキシ(−CH
2−CH(COO−)−)部分、またはアルキルアクリレートカルボキシ(−CH
2−C(アルキル)(COO−)−)部分から、1つ以上の原子(炭素原子を含む)、一般に1、2、3、4、5、6、7、8、9または10個の原子(炭素原子を含む)によって、離間することができる。
【0076】
特定の好ましい態様において、1、2、3、4または5個の置換基を有していてもよい炭素原子(スペーサー基)は、重合したアクリレートまたは(メタクリレートなどの)アルキルアクリレートポリマー主鎖部分とペンダントTe含有部分のTe原子との間に介在することができる。
【0077】
上記の式(I)、(IA)、(IB)、(IC)、(II)、(IIA)、(IIB)、(IIC)、(III)、(IIIA)、(IIIB)、(IIIC)および(IV)において、好適な非水素置換基は、例えば、ハロ(F、Cl、BrまたはI)、シアノ、ニトロ、ヒドロキシ、置換基を有していてもよいC1−20アルキル、置換基を有していてもよいC1−20アルコキシ、例えば置換基を有していてもよいアルキル(例えば置換C1−10アルキル)、好ましくは2〜約20個の炭素原子を有する置換基を有していてもよいアルケニルまたはアルキニル、例えばアリルなど、好ましくは1〜約20個の炭素原子を有する置換基を有していてもよいケトン、好ましくは1〜約20個の炭素原子を有する置換基を有していてもよいアルキルチオ、好ましくは1〜約20個の炭素原子を有する置換基を有していてもよいアルキルスルフィニル、好ましくは1〜約20個の炭素原子を有する置換基を有していてもよいアルキルスルホニル、好ましくは1〜約20個の炭素原子を有する置換基を有していてもよいカルボキシ(−COOR’などの基を含み、R’はHまたはC
1−8アルキルであり、光酸と実質的に非反応性であるエステルを含む)、置換基を有していてもよいアルカリル、例えば置換基を有していてもよいベンジル、置換基を有していてもよい炭素環式アリール、例えば置換基を有していてもよいフェニル、ナフチル、アセナフチル、または置換基を有していてもよいヘテロ脂環式もしくはヘテロ芳香族基、例えばピリジル、フラニル、ピロール、チオフェン、フラン、イミダゾール、ピラゾール、オキサゾール、イソキサゾール、チアゾール、イソチアゾール、トリアゾール、フランザン、オキサジアゾール、チアジアゾール、ジチアゾール、テラゾール、ピラン、チオピラン、ジアジン、オキサジン、チアジン、ジオキシン、ジチン、およびトリアジン、ならびにこのような部分の1つ以上を含有するポリ芳香族基であってもよい。
【0078】
本明細書で言及されるように、「アリーレン基」という用語は、芳香族環中の2個の水素を除去することによって得られる少なくとも2の原子価を有し、1つ以上の示されている置換基で置換されていてもよい、官能基を指すが、ただし、アリーレン基の原子価を超えないものとする。
【0079】
本明細書で言及されるように、「ヘテロアリーレン基」という用語は、ヘテロ芳香族環中の2個の水素を除去することによって得られる少なくとも2の原子価を有し、1つ以上の示されている置換基で置換されていてもよい、官能基を指すが、ただし、ヘテロアリーレン基の原子価を超えないものとする。
【0080】
上述のように、上記式の基は、1つ以上の酸不安定基によって、利用可能な位置で好適に置換することができる。好適な酸不安定基は、置換基を有していてもよいエチルシクロペンチルエステル、メチルアダマンチルエステル、エチルアダマンチルエステル、t−ブチルエステル、フェニルエステル、ナフチルエステルなどの、酸不安定エステルおよびアセタールを含む、様々な部分であってもよい。特定の好ましい態様において、本発明のTe−ポリマーは、1つまたは2つの共有結合した酸不安定基を含有する。本明細書で言及されるように、酸不安定性部分または基(酸不安定性エステルおよびアセタールを含む)は、任意の放射線露光後の熱暴露を含む、典型的なリソグラフィ処理の間、(レジスト中の酸発生剤から)生成された酸の存在下で反応を受ける。本明細書で言及される場合、酸不安定基はまた、光酸不安定基とも呼ぶことができる。
【0081】
本発明のTe含有モノマーおよびポリマーは、容易に調製することができる。例えば、以下の実施例に記載される合成を参照されたい。
【0082】
具体的には、本発明のモノマー化合物は、以下の:
【0085】
上述のように、例えば、ヘキサフルオロアルコール(HFAまたはヘキサフルオロ−2−プロピルアルコール)などのフッ素化アルコールなどのハロゲン化アルコール基を含むアルコール基、カルボン酸基、スルホン酸基、スルホンアミド基、またはフェノール性基などの酸性基または塩基反応基を含むモノマーが好ましい。フェノール基を含む特に好ましいモノマーとしては、以下の:
【0088】
アルコール(ナフトールを含む)、カルボン酸、およびハロゲン化アルコール置換を含むさらに好ましいモノマーとしては、以下の:
【0091】
上述のように、1つ以上のラクトン基を含む化合物、例えば以下の:
【0094】
1つ以上のエポキシ基を含む化合物もまた好ましい場合がある。
【0096】
好ましい環状オレフィンモノマーとしては、以下の:
【0099】
1つ以上の酸不安定基を含む好ましい化合物としては、以下の:
【0105】
フォトレジスト組成物
上述のように、本明細書に開示されるポリマーは、ポジ型およびネガ型化学増幅型レジスト組成物の両方を含むフォトレジスト組成物において有用である。
【0106】
本発明のフォトレジストは、典型的には、本明細書に開示されるようなポリマーおよび1種以上の光酸発生剤化合物を含む。
【0107】
本発明のポリマーは、1つ以上のTe原子を含んでいてもいなくてもよい種々な繰り返し単位を含むことができる。
【0108】
例えば、本ポリマーの形成に使用される好ましい追加のモノマーとしては、下記式(V)を有する酸不安定性モノマー、式(VI)のラクトン含有モノマー、アルカリ性現像剤への溶解速度を調節するための式(VII)の塩基可溶性モノマー、および式(VIII)の光酸発生モノマー、または上記モノマーのうちの少なくとも1種を含む組み合わせが挙げられる。
【0110】
式中、各R
aは、独立して、H、F、−CN、C
1−10アルキル、またはC
1−10フルオロアルキルである。式(V)の酸脱保護可能なモノマーにおいて、Rbは、独立して、C
1−20アルキル、C
3−20シクロアルキル、C
6−20アリールまたはC
7−20アラルキルであり、各R
bは、別個であるか、少なくとも1つのRbが隣接するR
bに結合して環状構造を形成する。式(VI)のラクトン含有モノマーにおいて、Lは、単環式、多環式または縮合多環式C
4−20ラクトン含有基である。式(VII)の塩基可溶化モノマーにおいて、Wは、12以下のpKaを有するハロゲン化または非ハロゲン化芳香族または非芳香族C
2−50ヒドロキシル含有有機基である。式(VIII)の光酸発生モノマーにおいて、Qは、エステル含有または非エステル含有およびフッ素化または非フッ素化であり、C
1−20アルキル、C
3−20シクロアルキル、C
6−20アリールまたはC
7−20アラルキルであり、Aは、エステル含有または非エステル含有およびフッ素化または非フッ素化であり、C
1−20アルキル、C
3−20シクロアルキル、C
6−20アリール、またはC
7−20アラルキルであり、Z
−は、カルボキシレート、スルホネート、スルホンアミドのアニオン、またはスルホンイミドのアニオンを含むアニオン性部分であり、G
+は、スルホニウムまたはヨードニウムカチオンである。
【0111】
例示的な酸不安定性モノマーは、これらに限定されないが、
【0113】
または上記の少なくとも1つを含む組み合わせを含み、式中、R
aは、H、F、−CN、C
1−6アルキル、またはC
1−6フルオロアルキルである。
【0114】
好適なラクトンモノマーは、下記式(IX)のモノマーであってもよい。
【0116】
式中、R
aは、H、F、−CN、C
1−6アルキル、またはC
1−6フルオロアルキルであり、Rは、C
1−10アルキル、シクロアルキル、またはヘテロシクロアルキルであり、wは、0から5の整数である。式(IX)において、Rは、ラクトン環に直接結合しているか、またはラクトン環および/もしくは1つ以上のR基に共通して結合しており、エステル部分はラクトン環に直接またはRを介して間接的に結合している。
【0119】
または上記モノマーの少なくとも1つを含む組み合わせを含み、式中、R
aは、H、F、−CN、C
1−10アルキル、またはC
1−10フルオロアルキルである。
【0120】
好適な塩基可溶性モノマーは、下記式(X)のモノマーであってもよい。
【0122】
式中、各R
aは、独立してH、F、−CN、C
1−10アルキルまたはC
1−10フルオロアルキルであり、Aは、ヒドロキシル含有または非ヒドロキシル含有、エステル含有または非エステル含有、フッ素化または非フッ素化C
1−20アルキレン、C
3−20シクロアルキレン、C
6−20アリーレンまたはC
7−20アラルキレンであり、xは0から4の整数であり、xが0である場合、Aはヒドロキシル含有C
6−20アリーレンである。
【0123】
例示的な塩基可溶性モノマーは、以下の構造:
【0125】
または上記の少なくとも1つを含む組み合わせを含み、式中、R
aは、H、F、−CN、C
1−6アルキル、またはC
1−6フルオロアルキルである。
【0126】
好ましい光酸発生モノマーは、式(XI)または(XII)のモノマーを含む。
【0129】
式中、各R
aは、独立して、H、F、−CN、C
1−6アルキルまたはC
1−6フルオロアルキルであり、Aはフッ素置換C
1−30アルキレン基、フッ素置換C
3−30シクロアルキレン基、フッ素置換C
6−30アリーレン基、またはフッ素置換C
7−30アルキレン−アリーレン基であり、G
+は、スルホニウムまたはヨードニウムカチオンである。
【0130】
好ましくは、式(XI)および(XII)中、Aは、−[(C(R
1)
2)
xC(=O)O]
b−C((R
2)
2)
y(CF
2)
z−基、またはo−、m−もしくはp−置換−C
6F
4−基であり、各R
1およびR
2は、それぞれ独立して、H、F、−CN、C
1−6フルオロアルキル、またはC
1−6アルキルであり、bは、0または1であり、xは、1から10の整数であり、yおよびzは、独立して、0から10の整数であり、y+zの合計は、少なくとも1である。
【0131】
例示的な好ましい光酸発生モノマーは、
【0133】
または上記の少なくとも1つを含む組み合わせを含み、式中、各R
aは、独立して、H、F、−CN、C
1−6アルキル、またはC
1−6フルオロアルキルであり、kは、好適には0から5の整数であり、G
+は、スルホニウムまたはヨードニウムカチオンである。
【0134】
好ましい光酸発生モノマーは、スルホニウムまたはヨードニウムカチオンを含み得る。好ましくは、式(IV)中、G
+は式(XIII)のものである。
【0136】
式中、Xは、SまたはIであり、各R
0は、ハロゲン化または非ハロゲン化であり、独立して、C
1−30アルキル基;多環式もしくは単環式C
3−30シクロアルキル基;多環式もしくは単環式C4−30アリール基;または上記の少なくとも1つを含む組み合わせであり、XがSである場合、R
0基の1つは、単結合によって1つの隣接するR
0基に任意選択で結合し、aは、2もしくは3であり、XがIである場合、aは2であり、または、XがSである場合、aは3である。
【0137】
例示的な酸生成モノマーは、以下の式を有するモノマーを含む。
【0139】
式中、R
aは、H、F、−CN、C
1−6アルキル、またはC
1−6フルオロアルキルである。
【0140】
本発明のポジ型化学増幅型フォトレジストにおいて使用するための酸不安定性脱保護基を有する特に好適なポリマーは、欧州特許出願第0829766A2号(アセタールおよびケタールポリマーを有するポリマー)ならびに欧州特許出願第EP0783136A2号1)スチレン;2)ヒドロキシスチレン;および3)酸不安定基、特にアルキルアクリレート酸不安定基の単位を含むターポリマーおよび他のコポリマー)において開示されている。
【0141】
本発明のフォトレジストおよび下層組成物において使用するためのTe−ポリマーは、分子量および多分散性が広範囲に好適に変動し得る。好適なポリマーとしては、約3以下の分子量分布、より典型的には約2以下の分子量分布と共に、約500または1,000〜約50,000、より好ましくは約2,000〜約30,000の重量平均M
wを有するものが挙げられる。他の分子量および分子量分布のTe−ポリマーもまた好適である。
【0142】
本発明のフォトレジストは他の物質を含んでいてもよい。例えば、他の任意選択の添加剤は、化学線および造影剤、条線防止剤、可塑剤、速度向上剤、増感剤、光分解性塩基等を含む。そのような任意選択の添加剤は、典型的には、フォトレジスト組成物中に低濃度で存在する。
【0143】
塩基性材料、好ましくは光分解性カチオンのカルボン酸塩またはスルホン酸塩を含むことにより、酸分解性基からの酸を中和するための機構がもたらされ、光生成酸の拡散が制限され、それによりフォトレジストのコントラストが改善される。
【0144】
光分解性塩基は、光分解性カチオンを含み、好ましくは、弱(pKa>2)酸、例えばC
1−20カルボン酸等のアニオンと対になる酸発生化合物の調製にも有用であるものを含む。例示的なそのようなカルボン酸は、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酒石酸、コハク酸、シクロヘキシルカルボン酸、安息香酸、サリチル酸および他のそのようなカルボン酸を含む。
【0145】
代替として、またはそれに加えて、他の添加剤は、例えば、水酸化物、カルボキシレート、アミン、イミン、およびアミドをベースとするもの等の非光分解性塩基である消光剤を含み得る。好ましくは、そのような消光剤は、C
1−30有機アミン、イミン、もしくはアミドを含むか、あるいは強塩基(例えば、水酸化物もしくはアルコキシド)または弱塩基(例えば、カルボキシレート)のC
1−30四級アンモニウム塩であってもよい。例示的な消光剤は、アミン、例えばトリプロピルアミン、ドデシルアミン、1,1’,1’’−ニトリロトリプロパン−2−オール、1,1’,1’’,1’’’−(エタン−1,2−ジイルビス(アザントリイル))テトラプロパン−2−オール;アリールアミン、例えばジフェニルアミン、トリフェニルアミン、アミノフェノール、および2−(4−アミノフェニル)−2−(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、トレーガー塩基、ヒンダードアミン、例えばジアザビシクロウンデセン(DBU)もしくはジアザビシクロノネン(DBN)、または四級アルキルアンモニウム塩、例えばテトラブチルアンモニウムヒドロキシド(TBAH)もしくはテトラブチルアンモニウムラクテートを含むイオン性消光剤を含む。
【0146】
界面活性剤は、フッ素化および非フッ素化界面活性剤を含み、好ましくは非イオン性である。例示的なフッ素化非イオン性界面活性剤は、3M Corporationから入手可能なFC−4430およびFC−4432界面活性剤等のパーフルオロC
4界面活性剤;OmnovaからのPOLYFOX PF−636、PF−6320、PF−656、およびPF−6520フルオロ界面活性剤等のフルオロジオールを含む。
【0147】
フォトレジストは、フォトレジストに使用される成分を溶解、分配、およびコーティングするために一般的に好適な溶媒をさらに含む。例示的な溶剤としては、アニソール、乳酸エチル、1−メトキシ−2−プロパノールおよび1−エトキシ−2−プロパノールを含むアルコール、n−ブチルアセテート、1−メトキシ−2−プロピルアセテート、メトキシエトキシプロピオネート、エトキシエトキシプロピオネートを含むエステル、シクロヘキサノンおよび2−ヘプタノンを含むケトン、および前記溶剤の少なくとも1つを含む組み合わせが含まれる。
【0148】
そのようなフォトレジストは、固体の総重量を基準として50〜99重量%、具体的には55〜95重量%、より具体的には60〜90重量%、さらにより具体的には65〜90の量のコポリマーを含んでもよい。使用される場合、光分解性基剤は、固体の総重量を基準として0.01〜5重量%、具体的には0.1〜4重量%、さらにより具体的には0.2〜3重量%の量でフォトレジスト中に存在してもよい。界面活性剤は、固体の総重量を基準として0.01〜5重量%、具体的には0.1〜4重量%、さらにより具体的には0.2〜3重量%の量で含まれてもよい。消光剤は、例えば、固体の総重量を基準として0.03〜5重量%の比較的少量で含まれてもよい。他の添加剤は、固体の総重量を基準として30重量%以下、具体的には20重量%以下、より具体的には10重量%以下の量で含まれてもよい。フォトレジスト組成物の全固体含量は、固体および溶媒の総重量を基準として0.5〜50重量%、具体的には1〜45重量%、より具体的には2〜40重量%、さらにより具体的には5〜30重量%であってもよい。酸発生剤化合物は、レジストのコーティング層中に潜像を生成し得るために十分な量で存在すべきである。より具体的
には、1種以上の酸発生剤化合物は、好適には、レジストの全固体の約1〜50重量%の量で存在する。固体は、コポリマー、光分解性塩基、消光剤、界面活性剤、添加された任意のPAG、および溶媒を除くあらゆる任意選択的な添加剤を含むことが理解されるだろう。
【0149】
下層組成物
上述のように、本明細書に開示されるような1種以上のTeポリマーを含む下層コーティング組成物もまた提供される。
【0150】
特定の実施形態において、本発明の下層コーティング組成物はまた、Teポリマーに加えて、またはTeポリマーの成分として(すなわち共有結合された)架橋剤も含むこともできる。例えば、下層コーティング組成物は、Cytec Industriesによって製造され、Cymel 300、301、303、350、370、380、1116および1130の商品名で販売されているようなメラミン樹脂を含む、メラミン材料などのアミン系架橋剤、Cytec Industriesから入手可能である、これらのグリコールウリル(glycolurils)を含むグリコールウリル、およびCytec Industriesから、Cymel 1123および1125の名称で入手可能なであるベンゾクアナミン樹脂などの樹脂を含むベンゾクアナミンおよび尿素系材料、およびCytec Industriesから、Powderlink 1174および1196の名称で入手可能である尿素樹脂を含むことができる。このようなアミン系樹脂は、市販されていることに加えて、例えばアクリルアミドまたはメタクリルアミドとホルムアルデヒドとのアルコール含有溶液中での反応によって、あるいはN−アルコキシメチルアクリルアミドまたはメタクリルアミドと他の好適なモノマーとの共重合によって調製することができる。
【0151】
特に反射制御用途のための、本発明のコーティング組成物は、また、オーバーコーティングされたフォトレジスト層を露光するために使用される放射線を吸収する追加の染料化合物を含有してもよい。
【0152】
本発明の下層コーティング組成物はまた、1種以上の熱酸発生剤および/または光酸発生剤を含む1種以上の酸発生剤化合物などの他の材料を含有し得る。下層コーティング組成物に使用するのに好適な光酸発生剤には、オーバーコーティングされたフォトレジスト組成物について本明細書に開示された光酸発生剤が含まれる。下地コーティング組成物における光酸発生剤のこのような使用についての議論については、米国特許第6,261,743号を参照されたい。
【0153】
液体下層コーティング組成物を作製するために、コーティング組成物の成分は、例えば、1種以上のオキシイソ酪酸エステル、特にメチル−2−ヒドロキシイソブチレート、乳酸エチル、または2−メトキシエチルエーテル(ジグリム)、エチレングリコールモノメチルエーテルおよびプロピレングリコールモノメチルエーテル等の1種以上のグリコールエーテル、メトキシブタノール、エトキシブタノール、メトキシプロパノール、およびエトキシプロパノール等のエーテルおよびヒドロキシ部分の両方を有する溶剤、2−ヒドロキシイソ酪酸メチル、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のエステル、二塩基性エステル、プロピレンカーボネート、γ−ブチロラクトン等の他の溶剤、のような適切な溶剤に溶解される。
【0154】
溶媒中の乾燥成分(溶媒を除くすべてのコーティング組成物)の濃度は、塗布方法などのいくつかの要因次第である。一般に、下層コーティング組成物の固形分は、コーティング組成物の全重量の約0.1〜20重量%で変動し、好ましくは、固形分はコーティング組成物の約0.1〜10重量%で変動する。
【0155】
リソグラフィ処理
コーティングされた基材は、本明細書に開示されるような1種以上のTe−ポリマーを含有するフォトレジストと、典型的には、レジストおよび酸発生剤化合物のコーティング層中に潜像を生成し得るために十分な量で存在すべき酸発生剤化合物とから形成することができる。そのようなコーティングされた基板は、(a)その表面にパターン化される1つ以上の層を有する基板と、(b)パターン化される1つ以上の層の上に酸発生剤化合物を含むフォトレジスト組成物の層とを含む。EUVまたは電子ビーム像形成の場合、フォトレジストは、例えば1種以上の酸発生剤化合物がレジストの全固体の5〜10から約65重量%を構成する場合、比較的高い含有量の酸発生剤化合物を好適に有し得る。典型的には、より少量の光活性成分が、化学増幅型レジストに好適である。
【0156】
本発明のフォトレジストは、一般的に、本発明の1種以上のTeポリマーがフォトレジストに含まれ、ある特定の態様において、このようなフォトレジストの配合に使用される先の光活性化合物の代わりであることを除いて、既知の手順に従って調製される。本発明のフォトレジストは、既知の手順に従って使用することができる。
【0157】
基板は、任意の寸法および形状のものであってもよく、好ましくは、フォトリソグラフィに有用なもの、例えばシリコン、二酸化ケイ素、シリコン・オン・インシュレータ(SOI)、歪みシリコン、ヒ化ガリウム、窒化ケイ素でコーティングされたものを含むコーティングされた基板、オキシ窒化ケイ素、窒化チタン、窒化タンタル、超薄型ゲート酸化物、例えば酸化ハフニウム、チタン、タンタル、銅、アルミニウム、タングステン、それらの合金でコーティングされたものを含む金属または金属コーティング基板、およびそれらの組み合わせである。好ましくは、本明細書における基板の表面は、例えば、半導体製造のための基板上の1つ以上のゲートレベル層または他の限界寸法層を含む、パターン化される限界寸法層を含む。そのような基板は、好ましくは、例えば20cm、30cmまたはそれ以上の直径等の寸法、またはウエハ製造生産に有用な他の寸法を有する円形ウエハとして形成されたシリコン、SOI、歪みシリコンおよび他のそのような基板材料を含み得る。
【0158】
さらに、電子デバイスを形成する方法は、(a)基板の表面上を含むフォトレジスト組成物の層を塗布することと;(b)フォトレジスト組成物層を活性化放射線にパターン状に露光することと;(c)露光されたフォトレジスト組成物層を現像して、レジストレリーフ像を提供することとを含む。
【0159】
使用される場合、本発明の下層コーティング組成物は、スピンコーティングなどの様々な方法のいずれかによって基板にコーティング層として塗布される。一般的に、コーティング組成物は、0.002〜0.01μmを含む、約0.001〜0.5μmの乾燥層厚で基板上に塗布される。基板は、フォトレジストを含むプロセスで使用される任意の基板であることが適切である。例えば、基板は、ケイ素、二酸化ケイ素、またはアルミニウム−酸化アルミニウムマイクロエレクトロニクスウエハであってもよい。ガリウム砒素、炭化珪素、セラミック、石英、または銅基板を使用することもできる。
【0160】
EUV画像化を含む所定の態様において、下層コーティング組成物は、好適にはハードマスク層の上に塗布され得る。
【0161】
好ましくは、塗布された下層コーティング層は、フォトレジスト組成物が下層コーティング組成物上に塗布される前に、硬化される。硬化条件は、下層コーティング組成物の成分によって変化する。特に、硬化温度は、コーティング組成物に使用される特定の酸または酸(例えば、熱)発生剤に依存する。典型的な硬化条件は、約60℃〜225℃で約0.5〜5分間である。硬化条件は、好ましくは、コーティング組成物のコーティング層を、フォトレジスト溶媒および使用される現像液に実質的に不溶性にする。
【0162】
このような硬化の後、フォトレジストが塗布されたコーティング組成物の表面上に塗布され得る。ボトムコーティング組成物層(複数可)の塗布と同様に、オーバーコーティングされたフォトレジストは、スピンニング、浸漬、メニスカス、またはローラーコーティングなどのいずれかの標準的な手段によって塗布することができる。塗布後、フォトレジストコーティング層は、典型的には、好ましくはレジスト層が不粘着性になるまで、加熱により乾燥されて溶剤を除去する。最適には、ボトム組成物層とオーバーコーティングされたフォトレジスト層の本質的に相互混合が起こるべきではない。
【0163】
次いで、レジスト層は、従来の方法でマスクを通して248nm、193nm、またはEUV放射線のような活性化放射線で像形成される。露光エネルギーはレジストシステムの光活性成分を有効に活性化してレジストコーティング層にパターン化された像を生成するのに十分である。典型的には、露光エネルギーは、約3〜300mJ/cm
2の範囲であり、露光ツールおよび使用される特定のレジストおよびレジスト処理に幾分依存する。露光されたレジスト層は、所望であれば露光後ベークに付されて、コーティング層の露光領域と未露光領域との間の溶解度差を作り出すか、または向上させることができる。例えば、ネガ型酸硬化性フォトレジストは、酸促進架橋反応を誘発するために典型的には露光後加熱を必要とし、多くの化学増幅ポジ型レジストは、酸促進脱保護反応を誘発するために露光後加熱を必要とする。典型的には、露光後ベーク条件は、約50℃以上の温度、より特別には約50℃〜約160℃の範囲の温度を含む。
【0164】
次いで、フィルムの露光部分を選択的に除去する(フォトレジストがポジ型である場合)か、またはフィルムの非露光部分を除去する(フォトレジストが露光された領域で架橋可能である、すなわちネガ型である場合)ことができる、好適な現像剤で処理することによって、露光されたフォトレジスト層の現像を達成することができる。好ましくは、フォトレジストは、酸感受性(脱保護性)基を有するポリマーをベースとするポジ型であり、現像剤は、好ましくは金属イオン不含水酸化テトラアルキルアンモニウム溶液、例えば0.26N水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液である。現像によってパターンが形成される。
【0165】
さらに、ポジ型レジストの場合、ネガ型現像用の好適な非極性溶媒による処理によって、非露光領域を選択的に除去することができる。ポジ型フォトレジストのネガ型現像のための好適な手順については、US2011/0294069を参照されたい。ネガ型現像用の典型的な非極性溶媒は、有機現像剤、例えばケトン、エステル、炭化水素、およびそれらの混合物、例えばアセトン、2−ヘキサノン、酢酸メチル、酢酸ブチル、およびテトラヒドロフランから選択される溶媒である。
【0166】
フォトレジストは、1つ以上のそのようなパターン形成プロセスで使用される場合、メモリデバイス、プロセッサチップ(CPUの)、グラフィックスチップ、および他のそのようなデバイス等の電子およびオプトエレクトロニクスデバイスを製造するために使用され得る。
【0167】
以下の非限定的な実施例は、本発明を例示するものである。
【0168】
実施例1−3:モノマー合成
実施例1:M1合成
モノマーM1の合成のための反応を以下のスキーム1に示す。テルロフェン誘導体1の合成は、Ahmad,Sohail et al,Journal of Organic Chemistry,80(8),3880−3890;2015、およびAhmad,Sohail et al,RSC Advances,4(7),3171−3180;2014に記載されている。2,2’−(テルロフェン−2,5−ジイル)ビス(プロパン−2−オール)(化合物1、15.0g、50.7mmol)の塩化メチレン150mL溶液を、反応フラスコに充填する。溶液を0℃に冷却する。塩化メタクリロイル(3.53g、33.8mmol)およびトリエチルアミン(3.54g、35.0mmol)を、反応フラスコに添加し、混合物を室温で16時間撹拌する。有機相を水(3×100mL)で洗浄し、溶媒を減圧下で完全に除去する。粗物質を、シリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製する。生成物を含有する溶媒画分を回収し、溶媒を減圧下で完全に除去してモノマーM1を生成する。
【0170】
実施例2:M2合成
モノマー化合物M2の合成のための反応工程を以下のスキーム2に示す。ビス(4−ヒドロキシフェニル)テルル化物(2)の合成は、S.Zhang et al,Tetrahedron Letters,54(20),2452−2454;2013に記載されている。1−エチルシクロペンチルブロモアセテート(3)の合成は、US2014/0080062(Thackeray,James W.et al)に記載されている。クロロ酢酸tert−ブチルエステル(6.0g、31.50mmol)および炭酸カリウム4.40gを、化合物2(10.0g、31.80mmol)のN−ジメチルホルムアミド75mL溶液に添加する。混合物を、不活性雰囲気下80℃で6時間撹拌し、室温に冷却し、水150mLに注いで、所望の生成物4および他の有機成分の混合物を含む残渣を生成する。生成物4を、カラムクロマトグラフィーによって他の成分から分離する。次のステップにおいて、化合物4(10.0g、21.36mmol)の塩化メチレン50mL溶液を、反応フラスコに充填する。溶液を0℃に冷却する。塩化メタクリロイル(2.23g、21.36mmol)およびトリエチルアミン(2.5g、24.7mmol)を、反応フラスコに添加し、混合物を室温で16時間撹拌する。有機相を水(3×75mL)で洗浄し、溶媒を減圧下で完全に除去する。粗物質を、シリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製する。生成物を含有する溶媒画分を回収し、溶媒を減圧下で完全に除去してモノマーM2を生成する。
【0172】
実施例3:M3合成
モノマー化合物M3の合成のための反応工程を以下のスキーム3に示す。化合物2(10.0g、31.86mmol)の塩化メチレン50mL溶液を、反応フラスコに充填する。溶液を0℃に冷却した。塩化メタクリロイル(3.32g、31.86mmol)およびトリエチルアミン(2.5g、24.7mmol)を、反応フラスコに添加し、混合物を室温で16時間撹拌する。有機相を水(3×75mL)で洗浄し、溶媒を減圧下で完全に除去する。粗物質を、シリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製する。生成物を含有する溶媒画分を回収し、溶媒を減圧下で完全に除去してモノマーM3を生成する。
【0174】
実施例4:ポリマー合成
この実施例は、本発明の合成および比較コポリマーの合成を説明する。各ポリマーの合成に使用されるモノマーのモル比を、以下の表1に記載する。モノマーの構造を以下のスキーム4に示す。以下の手順を、ポリマー1(P1)の合成のために使用する。プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)48g中の、モノマーMAMA(10.16g、0.058mol)、モノマーaGBLMA(8.31g、0.066mol)%、およびモノマーHAMA(5.17g、0.022mol)の混合物、ならびに開始剤アゾ開始剤ジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)(2.5g)を、窒素雰囲気下で8時間加熱する。反応物を室温に冷却し、メタノールに注いで、ポリマーP1を生成し、これを濾過し、乾燥させる。
【0175】
以下の表1に記載される追加のポリマー(P2、P3、P4、P5)を、表1に特定されるようなモノマー種類およびモル供給比を用いることを除いて、コポリマー1(P1)を作製するために使用される同様の手順を用いて調製する。
【0178】
実施例5:フォトレジスト組成物の調製
PTD(ポジ型現像)用途のためのフォトレジスト調製の一般的手順。ポリマー溶液(上記実施例4に記載されたP2、P3、P4またはP5などの15%のポリマーのPGMEA溶液)38.85g、トリフェニルスルホニウムトリフラート(TPS Tf)(2%メチル−2−ヒドロキシイソブチラート溶液)31.04g、tert−ブチル(1,3−ジヒドロキシ−2−(ヒドロキシメチル)プロパ−2−イル)カルバメート溶液(1%メチル−2−ヒドロキシイソブチラート溶液)5.03gを混合し、ナイロンフィルターで濾過して、フォトレジスト組成物を生成する。
【0179】
実施例6:下層組成物
上記実施例4に記載されたポリマーP1を0.14g、架橋剤としてテトラメトキシメチルグリコールウリル0.012g、p−トルエンスルホン酸2,4,6−トリメチルピリジニウム塩0.002gを、メチル−2−ヒドロキシイソブチラート溶媒82gに溶解して、流体の下層コーティング組成物を得る。調製された流体の組成物を、PTFE分子量ポリエチレン膜フィルターを通して濾過する。濾過された下層コーティング組成物を、次にaを使用して1500rpmでシリコンウエハ上にスピンコーティングし、このようにコーティングされたウエハを、ホットプレート上で205℃で1分間加熱する。
【0180】
実施例7:リソグラフィ処理
実施例5で調製されたフォトレジスト組成物を、300mmシリコンウエハ上に硬化した有機コーティング上にスピンコーティングし、続いて100℃で60秒間ソフトベークする。レジストコーティング層を、マスクを介してパターン化されたEUV放射に露光する。露光されたウエハを、100℃で60秒間ベークし、レジスト層を、2.38%テトラメチル水酸化アンモニウム(TMAH)中で現像して、レリーフ像を形成する。
【0181】
実施例8:さらなるリソグラフィ処理
実施例5で調製されたフォトレジスト組成物を、実施例6で調製されたベーキングされたコーティング層上にスピンコーティングし、続いて100℃で60秒間ソフトベークする。レジストコーティング層を、マスクを介してパターン化されたEUV放射に露光する。露光されたウエハを、100℃で60秒間ベークし、レジスト層を、2.38%テトラメチル水酸化アンモニウム(TMAH)中で現像して、レリーフ像を形成する。
【0182】
実施例9:EUV透過率の計算
以下の表2は、それぞれがポリマー、および20重量%のトリフェニルスルホニウムトリフラート(TPS Tf)光酸発生剤を含む、比較の組成物および本発明の組成物の構成を示す。本発明の組成物C2、C3、C4およびC5は、それぞれ本発明のポリマーP2、P3、P4およびP5を含む。実施例組成物から作製されたフィルムのEUV露光(13.5nm)での透過率を、計算された組成物の分子式を入力し、1.20g/cm
3のフィルム密度および60nmのフィルム厚さを仮定することによって、ローレンス・バークレー国立研究所のX線光学センターのウェブサイトから計算した。表2から分かるように、本発明の実施例を構成する配合物については、より低い透過率が得られる。これらのデータは、テルル含有ポリマーのPAG吸収において有意な増加を確認する。