(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1は、実施形態の画像解析システム1の構成を示す。画像解析システム1は、画像供給部10、画像解析装置20および表示装置40を備える。画像供給部10は、入力画像を画像解析装置20に供給する。画像解析装置20は、入力画像を複数の局所領域に分割して、複数の局所領域それぞれのカテゴリを算出し、複数の局所領域カテゴリから、画像全体のカテゴリを算出する。
【0018】
実施形態の入力画像は、スライドガラス上の病理標本(組織)を顕微鏡を通して拡大撮影した病理診断用画像(病理画像)であってよい。病理画像は、RGBの3チャンネルからなるカラー画像であり、病理標本のサイズに応じて異なる画像サイズ(縦横の画素数)を有してよい。
【0019】
図2は、病理画像の例を示す。病理画像は、病理標本を撮影した組織領域と、病理標本が配置されないスライドガラスを撮影した背景領域とを含む。組織領域は、がんなどの病変が存在しなければ、病変画像を含まない正常領域により構成される。この病理画像は、横方向および縦方向に12分割され、計144個の局所領域に分割されている。
【0020】
図3は、異常領域を含む病理画像の例を示す。組織に病変が含まれる場合、組織領域は、病変を含まない正常領域と、病変を含む異常領域により構成される。
図3において異常領域は、ある程度の大きさをもつ連続領域として示されているが、領域の大きさは様々であり、1つの細胞の大きさであることもある。
【0021】
画像解析装置20は、入力画像を複数の局所領域に分割して、複数の局所領域それぞれのカテゴリを算出する。局所領域は、1以上の連続する画素から構成される。実施形態において、各局所領域のカテゴリは、正常であることを示すカテゴリ(正常領域カテゴリ)、病変であることを示すカテゴリ(異常領域カテゴリ)、背景領域であることを示すカテゴリ(背景領域カテゴリ)のいずれかに設定される。
【0022】
画像解析装置20は、局所領域およびその周辺領域を画像解析して、当該局所領域の各カテゴリの確率(当該局所領域のカテゴリであると推定される確率)を算出する。
図3において、横軸をX軸、縦軸をY軸とし、局所領域の位置を(X座標、Y座標)で表現する。以下、いくつかの局所領域において算出されるカテゴリの確率を例示する。
【0023】
(7,5)の局所領域における各カテゴリの確率
・正常領域カテゴリ 20%
・異常領域カテゴリ 70%
・背景領域カテゴリ 10%
【0024】
(4,10)の局所領域における各カテゴリの確率
・正常領域カテゴリ 30%
・異常領域カテゴリ 10%
・背景領域カテゴリ 60%
【0025】
(7,8)の局所領域における各カテゴリの確率
・正常領域カテゴリ 46%
・異常領域カテゴリ 44%
・背景領域カテゴリ 10%
【0026】
後述するが、画像解析装置20は、算出した各カテゴリの確率を調整する確率変更処理を目的に応じて実行する。確率変更処理は、算出した確率を演算して変更する処理であり、算出した確率に、所定値を加算、減算、乗算、除算等してよい。確率変更処理は、すべてのカテゴリの確率に対して実行されてもよい。なお実施形態の画像解析装置20は、異常領域カテゴリを検出対象カテゴリとして設定しているため、確率変更処理は、異常領域カテゴリの確率に対してのみ実行されてよい。
【0027】
画像解析装置20は、確率変更処理を実行した後、局所領域ごとに、正常領域カテゴリの確率、異常領域カテゴリの確率、背景領域カテゴリの確率の中から、最も高い確率のカテゴリを特定して、局所領域のカテゴリとして算出する。
【0028】
画像解析装置20は、各局所領域のカテゴリを算出すると、算出した各局所領域のカテゴリから、画像全体のカテゴリ(画像カテゴリ)を算出する。画像カテゴリは、正常画像であることを示すカテゴリ(正常画像カテゴリ)、異常画像であることを示すカテゴリ(異常画像カテゴリ)のいずれかである。実施形態では、複数の局所領域カテゴリの中に異常領域カテゴリが1つでも含まれていれば、その入力画像のカテゴリは、異常画像カテゴリと算出される。一方で、複数の局所領域カテゴリの中に異常領域カテゴリが含まれていなければ、その入力画像のカテゴリは、正常画像カテゴリと算出される。
【0029】
実施形態の画像解析装置20は、局所領域カテゴリを、少なくとも2系統で算出する。第1の系統で算出される第1局所領域カテゴリは、画像全体のカテゴリ(画像カテゴリ)を算出するために利用される。第2の系統で算出される第2局所領域カテゴリは、病理医などのユーザへの出力のために利用される。第2局所領域カテゴリは、異常領域カテゴリの局所領域に色づけした画像として出力されてもよい。画像解析装置20は、画像カテゴリおよび第2局所領域カテゴリを表示装置40に出力し、表示装置40は、画像カテゴリおよび第2局所領域カテゴリを表示装置40に画面表示する。
【0030】
画像解析装置20は、局所領域を画像解析する畳み込みニューラルネットワーク(CNN)を有する。
図4は、CNN100の構成を示す。CNN100は、入力層101と、複数の中間層102a〜102n(以下、特に区別しない場合には「中間層102」と呼ぶ)と、出力層103とを備える。中間層102は、畳み込み層とプーリング層を含み、畳み込み層のノードのパラメータであるウェイト(weight)とバイアス(bias)を学習することで、入力画像の解析精度を向上する。実施形態でCNN100に要求される解析精度は、局所領域を正確にカテゴライズする精度である。
【0031】
CNN100では、各層の複数のノードが次の層の複数のノードと接続する。各ノードは、前の層からの入力値とウェイトとのベクトル積を求めてバイアスを加算した総和を、所定の活性化関数に通して次の層のノードに出力する。各ノードのウェイトおよびバイアスは、バックプロパゲーションとして知られる学習アルゴリズムにより変更される。バックプロパゲーションでは、CNN100の後方から前方までウェイトとバイアスを補正しながら値を伝搬させる。各ウェイトとバイアスについて補正した量は、誤差への寄与として扱われて最急降下法で計算され、ウェイトとバイアスの値を変更することにより、誤差関数の値を最小化する。
【0032】
CNN100は、多数の病理画像を用いた教師あり学習によって、各ノードのウェイトとバイアスを最適に設定される。画像解析装置20は、学習済の固定したパラメータをもつCNN100を用いて、画像解析処理を実施する。実施形態において、CNN100は、局所領域カテゴリを算出する機能、または局所領域カテゴリを算出するための中間情報を算出する機能を有する。
【0033】
以下、図面を参照して、画像解析装置20の実施例を説明する。複数の図面において同一の符号で示される構成要素は、同一または同様の機能および動作を実現する。
【0034】
<実施例1>
図5は、実施例1の画像解析装置20aの構成を示す。画像解析装置20aは、第1局所領域カテゴリ算出部22a、画像カテゴリ算出部24、画像カテゴリ出力部26、第2局所領域カテゴリ算出部22bおよび局所領域カテゴリ出力部28を備える。第1局所領域カテゴリ算出部22aは、第1系統で、入力画像の複数の局所領域のカテゴリを算出し、第2局所領域カテゴリ算出部22bは、第2系統で、同じ入力画像の複数の局所領域のカテゴリを算出する。第1局所領域カテゴリ算出部22aおよび第2局所領域カテゴリ算出部22bは、学習済のパラメータを設定されたCNN100を含んで構成されてよい。
【0035】
第1局所領域カテゴリ算出部22aは、入力画像から、第1の局所領域カテゴリを算出する。局所領域カテゴリの種類は、正常領域カテゴリ、異常領域カテゴリ、背景領域カテゴリであり、第1局所領域カテゴリ算出部22aは、局所領域を画像解析して、局所領域の各カテゴリの確率を算出し、各カテゴリの算出した確率を調整する確率変更処理を実行する。なお第1局所領域カテゴリ算出部22aは、異常領域カテゴリの確率のみを調整してもよい。第1局所領域カテゴリ算出部22aは、局所領域ごとに、確率変更処理した各カテゴリの確率を比較し、最も高い確率のカテゴリを、当該局所領域のカテゴリとして算出する。
【0036】
画像カテゴリ算出部24は、第1局所領域カテゴリ算出部22aにより算出された複数の第1局所領域カテゴリから、画像カテゴリを算出する。実施例1の画像カテゴリ算出部24は、画像に含まれる全ての局所領域カテゴリを参照して、異常領域カテゴリが1つでも存在していれば、異常画像カテゴリを算出し、異常領域カテゴリが1つも存在していなければ、正常画像カテゴリを算出する。画像カテゴリ出力部26は、画像カテゴリ算出部24により算出された画像カテゴリを表示装置40などに出力する。なお画像カテゴリ出力部26は、算出された画像カテゴリを、当該入力画像に関連づけるために、所定の記憶装置に出力してよい。記憶装置において、画像カテゴリは、当該入力画像に関連づけられて記憶される。なお画像解析装置20aにおいて、第1局所領域カテゴリは、画像カテゴリを算出するために利用され、表示のためには出力されない。後述するが画像解析装置20aでは、局所領域カテゴリとして、後述する第2局所領域カテゴリが表示装置40から出力される。これにより画像解析装置20aは、画像カテゴリを高精度に算出しつつ、ユーザによる画像観察に有用な局所領域のカテゴリを出力する。
【0037】
第2局所領域カテゴリ算出部22bは、同じ入力画像から、第2の局所領域カテゴリを算出する。局所領域カテゴリの種類は、正常領域カテゴリ、異常領域カテゴリ、背景領域カテゴリであり、第2局所領域カテゴリ算出部22bは、局所領域を画像解析して、局所領域の各カテゴリの確率を算出し、各カテゴリの算出した確率を調整する確率変更処理を実行する。第2局所領域カテゴリ算出部22bは、異常領域カテゴリの確率のみを調整してもよい。第2局所領域カテゴリ算出部22bは、局所領域ごとに、確率変更処理した各カテゴリの確率を比較し、最も高い確率のカテゴリを、当該局所領域のカテゴリとして算出する。
【0038】
局所領域カテゴリ出力部28は、第2局所領域カテゴリ算出部22bにより算出された第2局所領域カテゴリを表示装置40に出力する。局所領域カテゴリ出力部28は、第2局所領域カテゴリを様々な態様で出力してよいが、一つの出力態様として、異常領域カテゴリに分類された局所領域の画像中の位置を色づけするなどの可視化処理した病理画像を生成して出力してもよい。異常領域カテゴリに分類された局所領域を可視化することで、病理医による観察効率の向上が期待される。
【0039】
第1局所領域カテゴリ算出部22aと第2局所領域カテゴリ算出部22bにおいて、確率変更処理前の各カテゴリ確率の算出は、同じ学習済のパラメータを設定されたCNN100を用いて実行されてよい。したがって第1局所領域カテゴリ算出部22aと第2局所領域カテゴリ算出部22bの双方において、算出される各カテゴリの確率は同じとなる。実施例1では、第1局所領域カテゴリと第2局所領域カテゴリの利用目的の違いから、第1局所領域カテゴリ算出部22aと第2局所領域カテゴリ算出部22bは、算出した同じカテゴリ確率に対して、異なる確率変更処理を実行する。
【0040】
画像カテゴリ算出部24による画像カテゴリの算出を高精度に実現するために、第1局所領域カテゴリ算出部22aは、確率変更処理を実行して、画像カテゴリ算出用に各カテゴリ確率を最適化する。病理画像の場合、正常な局所領域にも異常と類似した特徴をもつ構造が多くあるため、異常領域カテゴリが1つでも存在すると画像全体を異常画像と判定するアルゴリズムにおいては、正常な局所領域を異常領域カテゴリと誤分類して、異常を含まない画像を異常画像と誤判定しやすい。そのため第1局所領域カテゴリ算出部22aは、異常領域カテゴリの確率値を下げる確率変更処理を実行することで、異常を含まない画像を異常画像と誤判定する可能性を低減する。
【0041】
第1局所領域カテゴリ算出部22aは、異常領域カテゴリの確率値を、たとえば20%下げる。この確率変更処理によれば、第1局所領域カテゴリ算出部22aにおいて算出される(7,5)、(4,10)、(7,8)における各カテゴリの確率は、以下のようになる。
【0042】
(7,5)の局所領域における各カテゴリの確率
・正常領域カテゴリ 20%
・異常領域カテゴリ 50%(=70%−20%)
・背景領域カテゴリ 10%
【0043】
(4,10)の局所領域における各カテゴリの確率
・正常領域カテゴリ 30%
・異常領域カテゴリ −10%(=10%−20%)
・背景領域カテゴリ 60%
【0044】
(7,8)の局所領域における各カテゴリの確率
・正常領域カテゴリ 46%
・異常領域カテゴリ 24%(=44%−20%)
・背景領域カテゴリ 10%
【0045】
したがって第1局所領域カテゴリ算出部22aは、第1局所領域のカテゴリを、以下のように算出する。
(7,5)の局所領域カテゴリ : 異常領域カテゴリ
(4,10)の局所領域カテゴリ : 背景領域カテゴリ
(7,8)の局所領域カテゴリ : 正常領域カテゴリ
【0046】
第2局所領域カテゴリ算出部22bは、確率変更処理を実行して、ユーザへの提示目的で使用する各カテゴリ確率を最適化する。第2局所領域カテゴリ算出部22bが算出する第2局所領域カテゴリは、異常領域カテゴリと分類された局所領域をマーキング処理するために利用される。そのため、たとえば異常領域カテゴリと正常領域カテゴリの確率がほぼ同じである局所領域は、ある意味、強制的に異常領域カテゴリに分類して、病理医に慎重に観察してもらうことが好ましい。
【0047】
そのため第1局所領域カテゴリ算出部22aと第2局所領域カテゴリ算出部22bの確率変更処理を比べると、第2局所領域カテゴリ算出部22bが算出する複数の第2の局所領域カテゴリに占める検出対象カテゴリ(異常領域カテゴリ)の割合は、第1局所領域カテゴリ算出部22aが算出する複数の第1の局所領域カテゴリに占める検出対象カテゴリ(異常領域カテゴリ)の割合以上となる。つまり第1局所領域カテゴリ算出部22aにより異常領域カテゴリと算出された局所領域の第1集合は、第2局所領域カテゴリ算出部22bにより異常領域カテゴリと算出された局所領域の第2集合の部分集合となる。
【0048】
第2局所領域カテゴリ算出部22bは、異常領域カテゴリの確率値を、たとえば10%上げる。この確率変更処理によれば、第2局所領域カテゴリ算出部22bにおいて算出される(7,5)、(4,10)、(7,8)における各カテゴリの確率は、以下のようになる。
【0049】
(7,5)の局所領域における各カテゴリの確率
・正常領域カテゴリ 20%
・異常領域カテゴリ 80%(=70%+10%)
・背景領域カテゴリ 10%
【0050】
(4,10)の局所領域における各カテゴリの確率
・正常領域カテゴリ 30%
・異常領域カテゴリ 20%(=10%+10%)
・背景領域カテゴリ 60%
【0051】
(7,8)の局所領域における各カテゴリの確率
・正常領域カテゴリ 46%
・異常領域カテゴリ 54%(=44%+10%)
・背景領域カテゴリ 10%
【0052】
したがって第2局所領域カテゴリ算出部22bは、第2局所領域カテゴリを、以下のように算出する。
(7,5)の局所領域カテゴリ : 異常領域カテゴリ
(4,10)の局所領域カテゴリ : 背景領域カテゴリ
(7,8)の局所領域カテゴリ : 異常領域カテゴリ
【0053】
第1局所領域カテゴリ算出部22aにより算出された局所領域カテゴリと比較すると、(7,8)の局所領域カテゴリの算出結果が異なっている。つまり(7,8)の第1局所領域カテゴリは正常領域カテゴリであるのに対し、第2局所領域カテゴリは異常領域カテゴリとして算出されている。
【0054】
図6は、第1局所領域カテゴリ算出部22aにより算出された第1局所領域カテゴリの出力例を示す。なお
図6に示す第1局所領域カテゴリの出力例は、
図7に示す第2局所領域カテゴリの出力例と比較するためのものであり、実施形態の画像解析装置20において、第1局所領域カテゴリが出力されることはない。
【0055】
第1局所領域カテゴリ算出部22aは、(3,5)、(3,6)、(3,7)、(4,5)、(4,6)、(4,7)、(7,4)、(7,5)、(7,6)、(8,4)、(8,5)、(8,6)の局所領域を、異常領域カテゴリに分類している。
【0056】
図7は、画像カテゴリ出力部26による画像カテゴリの出力、および第2局所領域カテゴリ算出部22bにより算出された第2局所領域カテゴリの出力例を示す。表示装置40は、画像カテゴリをテキスト表示し、異常領域カテゴリの局所領域をマーキング処理により色づけして表示する。
【0057】
第2局所領域カテゴリ算出部22bは、(3,5)、(3,6)、(3,7)、(4,5)、(4,6)、(4,7)、(6,9)、(7,4)、(7,5)、(7,6)、(7,8)、(8,4)、(8,5)、(8,6)、(9,4)、(9,5)、(9,6)の局所領域を、異常領域カテゴリに分類している。
【0058】
図6と
図7を比較すると、第2局所領域カテゴリ算出部22bは、第1局所領域カテゴリ算出部22aで算出された異常領域カテゴリの局所領域に加えて、(6,9)、(7,8)、(9,4)、(9,5)、(9,6)の局所領域を異常領域カテゴリに分類している。つまり第2局所領域カテゴリにおいては、より多くの局所領域が異常領域カテゴリに分類されている。CNN100により、正常領域か異常領域かを完璧に判断できない場合であっても、当該領域をマーキングして病理医に提示することで、病理医は、マーキングされた局所領域を慎重に観察でき、病理医の効率的な診断を支援できる。
【0059】
なお実施例1では、第1局所領域カテゴリ算出部22aと第2局所領域カテゴリ算出部22bにおいて、各カテゴリ確率の算出が同じ学習済のパラメータを設定されたCNN100を用いて実行されてよいことを説明したが、第1局所領域カテゴリを決定する局所領域の大きさと、第2局所領域カテゴリを決定する局所領域の大きさは、異なっていてもよい。
【0060】
たとえば第2局所領域カテゴリ算出部22bにより算出される第2局所領域カテゴリの解像度は、第1局所領域カテゴリ算出部22aにより算出される第1局所領域カテゴリの解像度よりも低くてよい。第2局所領域カテゴリ算出部22bでは、第1局所領域カテゴリ算出部22aと比べて、CNN100のストライドを2倍にしてもよく、またCNN100の出力データの解像度を変換してもよい。たとえば第2局所領域カテゴリ算出部22bで分割する局所領域数は、第1局所領域カテゴリ算出部22aで分割する局所領域数の1/4倍であってもよい。
【0061】
画像解析装置20aにおいて、局所領域カテゴリ出力部28は、異常領域カテゴリの局所領域の位置をマーキングした画像データを生成して表示装置40に出力してよいが、画像データの生成は、別の処理ユニットで実行されてもよい。この場合、局所領域カテゴリ出力部28は、第2局所領域カテゴリを当該処理ユニットに出力し、当該処理ユニットが画像データを生成して、表示装置40に出力してもよい。また局所領域カテゴリ出力部28は、算出された第2の局所領域カテゴリを、当該入力画像に関連づけるために、所定の記憶装置に出力してよい。記憶装置において、画像解析装置20aから出力された画像カテゴリおよび第2の局所領域カテゴリは、当該入力画像に関連づけられて記憶される。
【0062】
実施例1の画像解析装置20aによれば、2系統で局所領域カテゴリを算出することで、画像カテゴリを高精度に推定し、且つ、ユーザによる画像観察に有用な局所領域カテゴリを算出することが可能となる。
【0063】
<実施例2>
図8は、実施例2の画像解析装置20bの構成を示す。画像解析装置20bは、第1局所領域カテゴリ算出部22a、画像カテゴリ算出部24、画像カテゴリ出力部26、第2局所領域カテゴリ算出部22bおよび局所領域カテゴリ出力部28を備える。第1局所領域カテゴリ算出部22aは、第1系統で、入力画像の複数の局所領域のカテゴリを算出し、第2局所領域カテゴリ算出部22bは、第2系統で、同じ入力画像の複数の局所領域のカテゴリを算出する。第1局所領域カテゴリ算出部22aおよび第2局所領域カテゴリ算出部22bは、学習済のパラメータを設定されたCNN100を含んで構成されてよい。
【0064】
実施例1の画像解析装置20aと比較すると、実施例2の画像解析装置20bでは、画像カテゴリ算出部24が算出した画像カテゴリが、局所領域カテゴリ出力部28に対する制御情報として、局所領域カテゴリ出力部28に供給される。算出される画像カテゴリは、正常画像カテゴリまたは異常画像カテゴリのいずれかであり、画像カテゴリ算出部24が画像カテゴリを算出すると、画像カテゴリが局所領域カテゴリ出力部28に供給される。
【0065】
画像カテゴリが異常画像カテゴリである場合、局所領域カテゴリ出力部28は、第2局所領域カテゴリを出力する。第2局所領域カテゴリは、異常領域カテゴリの局所領域の位置を可視化した病理画像データとして出力されてよい。
【0066】
一方で、画像カテゴリが正常画像カテゴリである場合、局所領域カテゴリ出力部28は、第2局所領域カテゴリを出力しない。正常画像カテゴリは、画像に異常が含まれていないことを示すが、局所領域カテゴリ出力部28から出力される局所領域カテゴリに異常領域カテゴリが含まれていると、画像解析結果が整合していないことになる。そこで画像解析装置20bでは、画像カテゴリが正常画像カテゴリである場合に、局所領域カテゴリ出力部28が第2局所領域カテゴリを出力しないことで、ユーザに不整合な解析結果を提示する状況を回避する。
【0067】
<実施例3>
図9は、実施例3の画像解析装置20cの構成を示す。画像解析装置20cは、第1局所領域カテゴリ算出部22a、画像カテゴリ算出部24、画像カテゴリ出力部26、第2局所領域カテゴリ算出部22bおよび局所領域カテゴリ出力部28を備える。第1局所領域カテゴリ算出部22aは、第1系統で、入力画像の複数の局所領域のカテゴリを算出し、第2局所領域カテゴリ算出部22bは、第2系統で、同じ入力画像の複数の局所領域のカテゴリを算出する。第1局所領域カテゴリ算出部22aおよび第2局所領域カテゴリ算出部22bは、学習済のパラメータを設定されたCNN100を含んで構成されてよい。
【0068】
実施例1の画像解析装置20aと比較すると、実施例3の画像解析装置20cでは、画像カテゴリ算出部24が算出した画像カテゴリが、第2局所領域カテゴリ算出部22bに対する制御情報として、第2局所領域カテゴリ算出部22bに供給される。算出される画像カテゴリは、正常画像カテゴリまたは異常画像カテゴリのいずれかであり、画像カテゴリ算出部24が画像カテゴリを算出すると、画像カテゴリが第2局所領域カテゴリ算出部22bに供給される。
【0069】
画像カテゴリが異常画像カテゴリである場合、第2局所領域カテゴリ算出部22bは、第2局所領域カテゴリを算出する。算出した第2局所領域カテゴリは局所領域カテゴリ出力部28に供給されて、画像カテゴリとともに、表示装置40に出力される。
【0070】
一方で、画像カテゴリが正常画像カテゴリである場合、第2局所領域カテゴリ算出部22bは、第2局所領域カテゴリを算出しない。正常画像カテゴリは、画像に異常が含まれていないことを示すが、第2局所領域カテゴリ算出部22bが算出する局所領域カテゴリに異常領域カテゴリが含まれていると、画像解析結果が整合していないことになる。そこで画像カテゴリが正常画像カテゴリである場合には、第2局所領域カテゴリ算出部22bに第2局所領域カテゴリを算出させないことで、ユーザに不整合な解析結果を提示する状況を回避し、また第2局所領域カテゴリ算出部22bによる演算処理を停止する。
【0071】
<実施例4>
図10は、実施例4の画像解析装置20dの構成を示す。画像解析装置20dは、局所領域カテゴリ確率算出部30、第1局所領域カテゴリ算出部22c、画像カテゴリ算出部24、画像カテゴリ出力部26、第2局所領域カテゴリ算出部22dおよび局所領域カテゴリ出力部28を備える。第1局所領域カテゴリ算出部22cは、第1系統で、入力画像の複数の局所領域のカテゴリを算出し、第2局所領域カテゴリ算出部22dは、第2系統で、同じ入力画像の複数の局所領域のカテゴリを算出する。
【0072】
実施例4の局所領域カテゴリ確率算出部30は、実施例1における確率変更処理前の各カテゴリ確率の算出処理を実施する。実施例1では、第1局所領域カテゴリ算出部22aと第2局所領域カテゴリ算出部22bにおいて、確率変更処理前の各カテゴリ確率の算出をCNN100を用いて実行することを説明したが、実施例4の局所領域カテゴリ確率算出部30はCNN100を用いて、確率変更処理前の各カテゴリの確率を算出する。
【0073】
実施例1では、第1局所領域カテゴリ算出部22aと第2局所領域カテゴリ算出部22bとが、重複して各カテゴリの確率を算出していたが、実施例4では、局所領域カテゴリ確率算出部30が、代表して各カテゴリの確率を算出して、第1局所領域カテゴリ算出部22cおよび第2局所領域カテゴリ算出部22dの双方に供給する。これにより実施例1では重複していた各カテゴリ確率の算出処理が1回で済む。
【0074】
第1局所領域カテゴリ算出部22cは、供給された各カテゴリの確率値に対して確率変更処理を実行し、確率変更処理した各カテゴリの確率を比較し、最も高い確率のカテゴリを、第1の局所領域カテゴリとして算出する。同様に第2局所領域カテゴリ算出部22dは、供給された各カテゴリの確率値に対して確率変更処理を実行し、確率変更処理した各カテゴリの確率を比較し、最も高い確率のカテゴリを、第2の局所領域カテゴリとして算出する。第1局所領域カテゴリ算出部22cによる確率変更処理、第2局所領域カテゴリ算出部22dによる確率変更処理は、実施例1における第1局所領域カテゴリ算出部22aによる確率変更処理、第2局所領域カテゴリ算出部22bによる確率変更処理と同じである。画像カテゴリ算出部24、画像カテゴリ出力部26、局所領域カテゴリ出力部28の動作については、実施例1の画像カテゴリ算出部24、画像カテゴリ出力部26、局所領域カテゴリ出力部28の動作と同じである。
【0075】
実施例4の画像解析装置20dによれば、局所領域カテゴリ確率算出部30が、局所領域におけるカテゴリ確率を算出することで、重複したカテゴリ確率の算出処理を回避できる。
【0076】
<実施例5>
図11は、実施例5の画像解析装置20eの構成を示す。画像解析装置20eは、局所領域カテゴリ確率算出部30、第1局所領域カテゴリ算出部22c、画像カテゴリ算出部24、画像カテゴリ出力部26、第2局所領域カテゴリ算出部22dおよび局所領域カテゴリ出力部28を備える。第1局所領域カテゴリ算出部22cは、第1系統で、入力画像の複数の局所領域のカテゴリを算出し、第2局所領域カテゴリ算出部22dは、第2系統で、同じ入力画像の複数の局所領域のカテゴリを算出する。
【0077】
実施例4の画像解析装置20dと比較すると、実施例5の画像解析装置20eでは、画像カテゴリ算出部24が算出した画像カテゴリが、局所領域カテゴリ出力部28に対する制御情報として、局所領域カテゴリ出力部28に供給される。算出される画像カテゴリは、正常画像カテゴリまたは異常画像カテゴリのいずれかであり、画像カテゴリ算出部24が画像カテゴリを算出すると、画像カテゴリが局所領域カテゴリ出力部28に供給される。
【0078】
画像カテゴリが異常画像カテゴリである場合、局所領域カテゴリ出力部28は、第2局所領域カテゴリを出力する。第2局所領域カテゴリは、異常領域カテゴリの局所領域の位置を可視化した病理画像データとして出力されてよい。
【0079】
一方で、画像カテゴリが正常画像カテゴリである場合、局所領域カテゴリ出力部28は、第2局所領域カテゴリを出力しない。正常画像カテゴリは、画像に異常が含まれていないことを示すが、局所領域カテゴリ出力部28から出力される局所領域カテゴリに異常領域カテゴリが含まれていると、画像解析結果が整合していないことになる。そこで画像解析装置20eでは、画像カテゴリが正常画像カテゴリである場合に、局所領域カテゴリ出力部28が第2局所領域カテゴリを出力しないことで、ユーザに不整合な解析結果を提示する状況を回避する。
【0080】
<実施例6>
図12は、実施例6の画像解析装置20fの構成を示す。画像解析装置20fは、局所領域カテゴリ確率算出部30、第1局所領域カテゴリ算出部22c、画像カテゴリ算出部24、画像カテゴリ出力部26、第2局所領域カテゴリ算出部22dおよび局所領域カテゴリ出力部28を備える。第1局所領域カテゴリ算出部22cは、第1系統で、入力画像の複数の局所領域のカテゴリを算出し、第2局所領域カテゴリ算出部22dは、第2系統で、同じ入力画像の複数の局所領域のカテゴリを算出する。
【0081】
実施例4の画像解析装置20dと比較すると、実施例6の画像解析装置20fでは、画像カテゴリ算出部24が算出した画像カテゴリが、第2局所領域カテゴリ算出部22dに対する制御情報として、第2局所領域カテゴリ算出部22dに供給される。算出される画像カテゴリは、正常画像カテゴリまたは異常画像カテゴリのいずれかであり、画像カテゴリ算出部24が画像カテゴリを算出すると、画像カテゴリが第2局所領域カテゴリ算出部22dに供給される。
【0082】
画像カテゴリが異常画像カテゴリである場合、第2局所領域カテゴリ算出部22dは、第2局所領域カテゴリを算出する。算出した第2局所領域カテゴリは局所領域カテゴリ出力部28に供給されて、画像カテゴリとともに、表示装置40に出力される。
【0083】
一方で、画像カテゴリが正常画像カテゴリである場合、第2局所領域カテゴリ算出部22dは、第2局所領域カテゴリを算出しない。正常画像カテゴリは、画像に異常が含まれていないことを示すが、第2局所領域カテゴリ算出部22dが算出する局所領域カテゴリに異常領域カテゴリが含まれていると、画像解析結果が整合していないことになる。そこで画像カテゴリが正常画像カテゴリである場合には、第2局所領域カテゴリ算出部22dに第2局所領域カテゴリを算出させないことで、ユーザに不整合な解析結果を提示する状況を回避し、また第2局所領域カテゴリ算出部22dによる演算処理を停止する。
【0084】
<実施例7>
図13は、実施例7の画像解析装置20gの構成を示す。画像解析装置20gは、中間情報算出部32、第1局所領域カテゴリ算出部22e、画像カテゴリ算出部24、画像カテゴリ出力部26、第2局所領域カテゴリ算出部22fおよび局所領域カテゴリ出力部28を備える。第1局所領域カテゴリ算出部22eは、第1系統で、入力画像の複数の局所領域のカテゴリを算出し、第2局所領域カテゴリ算出部22fは、第2系統で、同じ入力画像の複数の局所領域のカテゴリを算出する。
【0085】
実施例7の中間情報算出部32は、入力画像から、局所領域カテゴリを算出するための中間情報を局所領域ごとに算出して、第1局所領域カテゴリ算出部22cおよび第2局所領域カテゴリ算出部22dの双方に供給する。実施例7の中間情報算出部32は、CNN100を用いて、中間情報を算出してよい。中間情報は、局所領域の画像特徴量、または局所領域の複数のカテゴリそれぞれの確率であってよい。
【0086】
中間情報が局所領域の画像特徴量である場合、第1局所領域カテゴリ算出部22eは、中間情報から、局所領域の複数のカテゴリのそれぞれの確率を算出し、各カテゴリの確率値に対して確率変更処理を実行し、確率変更処理した各カテゴリの確率を比較し、最も高い確率のカテゴリを、第1の局所領域カテゴリとして算出する。同様に第2局所領域カテゴリ算出部22fは、中間情報から、局所領域の複数のカテゴリのそれぞれの確率を算出し、各カテゴリの確率値に対して確率変更処理を実行し、確率変更処理した各カテゴリの確率を比較し、最も高い確率のカテゴリを、第2の局所領域カテゴリとして算出する。第1局所領域カテゴリ算出部22eによる確率変更処理、第2局所領域カテゴリ算出部22fによる確率変更処理は、実施例1における第1局所領域カテゴリ算出部22aによる確率変更処理、第2局所領域カテゴリ算出部22bによる確率変更処理と同じである。画像カテゴリ算出部24、画像カテゴリ出力部26、局所領域カテゴリ出力部28の動作については、実施例1の画像カテゴリ算出部24、画像カテゴリ出力部26、局所領域カテゴリ出力部28の動作と同じである。
【0087】
<実施例8>
図14は、実施例8の画像解析装置20hの構成を示す。画像解析装置20hは、局所領域カテゴリ確率算出部30、第1局所領域カテゴリ算出部22c、第1画像カテゴリ算出部24a、画像カテゴリ出力部26、第2局所領域カテゴリ算出部22d、局所領域カテゴリ出力部28、第3局所領域カテゴリ算出部22g、第2画像カテゴリ算出部24b、画像セットカテゴリ算出部34および画像セットカテゴリ出力部36を備える。実施例8の画像解析装置20hにおける局所領域カテゴリ確率算出部30、第1局所領域カテゴリ算出部22c、第1画像カテゴリ算出部24a、画像カテゴリ出力部26、第2局所領域カテゴリ算出部22d、局所領域カテゴリ出力部28は、実施例6の画像解析装置20fにおける局所領域カテゴリ確率算出部30、第1局所領域カテゴリ算出部22c、画像カテゴリ算出部24、画像カテゴリ出力部26、第2局所領域カテゴリ算出部22d、局所領域カテゴリ出力部28に対応する。
【0088】
画像解析システム1において、画像供給部10は、1人の標本(患者)から取得されたN(Nは1以上)枚の組織切片の病理画像を1つの画像セットとして画像解析装置20hに入力する。画像解析装置20hは、画像セットが正常であるか、異常であるかを示す画像セットカテゴリと、画像セットが異常の場合には、N枚の画像がそれぞれ正常であるか、異常であるかを示すN個の画像カテゴリと、更に画像カテゴリが異常の画像に関し、画像の局所領域が異常であるか、異常でないかを表す局所領域カテゴリを出力する。
【0089】
局所領域カテゴリ確率算出部30は、N枚の入力画像を入力されて、複数の入力画像のそれぞれに対応するN個の局所領域カテゴリ確率を算出する。1つの入力画像に対する局所領域カテゴリ確率算出部30の処理は、
図10に示す実施例4の画像解析装置20dにおける局所領域カテゴリ確率算出部30の処理と同様である。実施例8の局所領域カテゴリ確率算出部30は、CNN100を用いて、確率変更処理前の各カテゴリの確率を算出する。画像解析装置20hの局所領域カテゴリ確率算出部30は、N枚の入力画像のそれぞれの局所領域カテゴリ確率を算出する。
【0090】
第3局所領域カテゴリ算出部22gは、複数の入力画像のそれぞれに対応する第3の局所領域カテゴリを算出する。具体的に第3局所領域カテゴリ算出部22gは、供給された各カテゴリの確率値に対して確率変更処理を実行し、確率変更処理した各カテゴリの確率を比較し、最も高い確率のカテゴリを、第3の局所領域カテゴリとして算出する。
【0091】
第2画像カテゴリ算出部24bは、第3局所領域カテゴリ算出部22gにより算出された各入力画像の複数の第3局所領域カテゴリから、それぞれの第3局所領域カテゴリに対応する画像カテゴリを算出する。実施例8の第2画像カテゴリ算出部24bは、画像に含まれる全ての局所領域カテゴリを参照して、異常領域カテゴリが1つでも存在していれば、異常画像カテゴリを算出し、異常領域カテゴリが1つも存在していなければ、正常画像カテゴリを算出する。
【0092】
画像セットカテゴリ算出部34は、複数の画像カテゴリから、画像セットカテゴリを算出する。具体的に画像セットカテゴリ算出部34はN個の画像カテゴリを入力されて、全ての画像カテゴリのうち異常の画像カテゴリが1つでも含まれていた場合には画像セットカテゴリとして異常を判定し、異常の画像カテゴリが1つも含まれていない場合には画像カテゴリとして正常を判定して、画像セットカテゴリを出力する。
【0093】
実施例8では、第1局所領域カテゴリ、第2局所領域カテゴリ、第3局所領域カテゴリの利用目的の違いから、第1局所領域カテゴリ算出部22c、第2局所領域カテゴリ算出部22d、第3局所領域カテゴリ算出部22gは、局所領域カテゴリ確率算出部30が算出したカテゴリ確率に対して、異なる確率変更処理を実行する。なお第1局所領域カテゴリ算出部22cによる確率変更処理、第2局所領域カテゴリ算出部22dによる確率変更処理は、実施例1における第1局所領域カテゴリ算出部22aによる確率変更処理、第2局所領域カテゴリ算出部22bによる確率変更処理と同じであってよい。
【0094】
第3局所領域カテゴリは、画像セットが正常であるか、異常であるかを示す画像セットカテゴリを算出するために利用される。画像セットが正常であるか、または異常であるかは、当該患者が病変を有していないか、または病変を有しているかと同義である。第3局所領域カテゴリ算出部22gは、確率変更処理を実行して、画像セットカテゴリ算出用に各カテゴリ確率を最適化する。第3局所領域カテゴリ算出部22gは、異常領域カテゴリの確率値を下げる確率変更処理を実行することで、異常を含まない画像セットを異常と誤判定する可能性を低減する。
【0095】
第3局所領域カテゴリ算出部22gと第1局所領域カテゴリ算出部22cの確率変更処理を比べると、第1局所領域カテゴリ算出部22cが算出する複数の第1の局所領域カテゴリに占める検出対象カテゴリ(異常領域カテゴリ)の割合は、第3局所領域カテゴリ算出部22gが算出する複数の第3の局所領域カテゴリに占める検出対象カテゴリ(異常領域カテゴリ)の割合以上となる。つまり第3局所領域カテゴリ算出部22gにより異常領域カテゴリと算出された局所領域の第3集合は、第1局所領域カテゴリ算出部22cにより異常領域カテゴリと算出された局所領域の第1集合の部分集合となる。
【0096】
第3局所領域カテゴリ算出部22gは、異常領域カテゴリの確率値を、たとえば30%下げる。この確率変更処理によれば、第3局所領域カテゴリ算出部22gにおいて算出される(7,5)、(4,10)、(7,8)における各カテゴリの確率は、以下のようになる。
【0097】
(7,5)の局所領域における各カテゴリの確率
・正常領域カテゴリ 20%
・異常領域カテゴリ 40%(=70%−30%)
・背景領域カテゴリ 10%
【0098】
(4,10)の局所領域における各カテゴリの確率
・正常領域カテゴリ 30%
・異常領域カテゴリ −20%(=10%−30%)
・背景領域カテゴリ 60%
【0099】
(7,8)の局所領域における各カテゴリの確率
・正常領域カテゴリ 46%
・異常領域カテゴリ 14%(=44%−30%)
・背景領域カテゴリ 10%
【0100】
したがって第1局所領域カテゴリ算出部22aは、第1局所領域のカテゴリを、以下のように算出する。
(7,5)の局所領域カテゴリ : 異常領域カテゴリ
(4,10)の局所領域カテゴリ : 背景領域カテゴリ
(7,8)の局所領域カテゴリ : 正常領域カテゴリ
【0101】
画像セットカテゴリ算出部34は、1人の患者の画像セットに対して正常か異常かを表現する画像セットカテゴリを算出し、画像セットカテゴリが異常を示す場合に、第1局所領域カテゴリ算出部22cが、N枚の入力画像の第1局所領域カテゴリを算出する。第1画像カテゴリ算出部24aが、各入力画像のそれぞれの画像カテゴリを算出すると、画像カテゴリが異常を示す画像について、第2局所領域カテゴリ算出部22dが、局所領域のカテゴリを算出する。画像セットカテゴリ出力部36は、画像セットカテゴリを出力し、画像カテゴリ出力部26は、画像カテゴリを出力し、局所領域カテゴリ出力部28は、局所領域カテゴリを出力する。実施例8の画像解析装置20hによれば、1人の患者の画像セットを、効率的に解析できる。
【0102】
以上、本発明を実施形態および複数の実施例をもとに説明した。これらの実施例は例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【0103】
実施例においては、第1の局所領域カテゴリおよび第2の局所領域カテゴリは、ともに共通のグループに含まれるカテゴリの1つとして決定される。つまり実施例では、正常領域カテゴリ、異常領域カテゴリ、背景領域カテゴリの3つのカテゴリからなる局所領域カテゴリグループの中から、第1の局所領域カテゴリおよび第2の局所領域カテゴリが決定されている。
【0104】
変形例では、局所領域カテゴリの第1グループと第2グループとが用意され、第1の局所領域カテゴリが、第1グループに含まれるカテゴリの1つとして決定され、第2の局所領域カテゴリが、第2グループに含まれるカテゴリの1つとして決定されてよい。第1グループを構成するカテゴリ群と、第2グループを構成するカテゴリ群は、異なる。
【0105】
たとえば第1局所領域カテゴリは、異常領域を細分化したサブカテゴリを含む。異常領域が、胃癌に属する病変画像を含む場合に、管状腺癌の高分化カテゴリ、管状腺癌の中分化カテゴリ、低分化腺癌カテゴリの3つに細分化されてよい。つまり第1局所領域カテゴリ算出部22a、22c、22eは、局所領域ごとに、正常領域カテゴリ、管状腺癌の高分化カテゴリ、管状腺癌の中分化カテゴリ、低分化腺癌カテゴリ、背景領域カテゴリのいずれかに分類した第1の局所領域カテゴリを算出する。変形例で画像カテゴリ算出部24は、管状腺癌の高分化カテゴリ、管状腺癌の中分化カテゴリ、低分化腺癌カテゴリを、異常領域カテゴリとして扱う。この変形例では、第1の局所領域カテゴリの異常を細分化したサブカテゴリに分類することにより、第1の局所領域カテゴリを高精度に解析できるという効果がある。このとき、第2の局所領域カテゴリは、サブカテゴリを含まず、実施例のカテゴリ群と同じであってよい。
【0106】
実施形態、実施例および変形例において、画像解析装置は、プロセッサと、メモリ等のストレージを含んでよい。ここでのプロセッサは、例えば各部の機能が個別のハードウェアで実現されてもよいし、あるいは各部の機能が一体のハードウェアで実現されてもよい。例えば、プロセッサはハードウェアを含み、そのハードウェアは、デジタル信号を処理する回路およびアナログ信号を処理する回路の少なくとも一方を含むことができる。例えば、プロセッサは、回路基板に実装された1又は複数の回路装置(例えばIC等)や、1又は複数の回路素子(例えば抵抗、キャパシタ等)で構成することができる。プロセッサは、例えばCPU(Central Processing Unit)であってもよい。ただしプロセッサはCPUに限定されるものではなく、GPU(Graphics Processing Unit)、あるいはDSP(Digital Signal Processor)等、各種のプロセッサを含んでよい。またプロセッサはASIC(application specific integrated circuit)又はFPGA(field-programmable gate array)によるハードウェア回路でもよい。またプロセッサは、アナログ信号を処理するアンプ回路やフィルタ回路等を含んでもよい。メモリは、SRAM、DRAMなどの半導体メモリであってもよいし、レジスタであってもよいし、ハードディスク装置等の磁気記憶装置であってもよいし、光学ディスク装置等の光学式記憶装置であってもよい。例えば、メモリはコンピュータにより読み取り可能な命令を格納しており、当該命令がプロセッサにより実行されることで、画像解析装置の各部の機能が実現されることになる。ここでの命令は、プログラムを構成する命令セットの命令でもよいし、プロセッサのハードウェア回路に対して動作を指示する命令であってもよい。
【0107】
また実施形態、実施例および変形例において、画像解析装置の各処理部は、例えば通信ネットワークのようなデジタルデータ通信の任意の型式または媒体によって接続されてもよい。通信ネットワークの例は、例えば、LANと、WANと、インターネットを形成するコンピュータおよびネットワークとを含む。