特許第6984027号(P6984027)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6984027
(24)【登録日】2021年11月26日
(45)【発行日】2021年12月17日
(54)【発明の名称】電動機
(51)【国際特許分類】
   H02K 3/50 20060101AFI20211206BHJP
   H02K 3/52 20060101ALI20211206BHJP
【FI】
   H02K3/50 A
   H02K3/52 E
【請求項の数】3
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2020-540896(P2020-540896)
(86)(22)【出願日】2018年9月4日
(86)【国際出願番号】JP2018032743
(87)【国際公開番号】WO2020049631
(87)【国際公開日】20200312
【審査請求日】2020年11月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001461
【氏名又は名称】特許業務法人きさ特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】松田 茂
【審査官】 島倉 理
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−29352(JP,A)
【文献】 特開昭62−60440(JP,A)
【文献】 特開2008−187779(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 3/50
H02K 3/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワイヤが巻回されたコイルを各々が備えた複数の固定子鉄心を環状に備えた固定子と、前記ワイヤの端末をヒュージングにより固定するヒュージング用端子と、
を有する電動機であって、
前記ヒュージング用端子は、
前記固定子鉄心の外周側に位置するベースに、長手方向の一端が差し込まれた本体と、
前記本体の縁から延びる保護板と、
前記保護板の一面上に設けられ、前記保護板に連なる部材の折り返し部分において前記ワイヤの端末前記保護板との間でヒュージングにより固定するヒュージング部と、
前記保護板の前記一面上に設けられ、前記保護板に連なる部材の折り返し部分において前記ワイヤの端末と前記コイルとの間に位置する前記ワイヤを前記保護板との間で保持する保持部と、
を備え、
前記保護板は、前記本体の長手方向に垂直な方向、且つ、前記固定子の環軸に垂直な方向に延びており、
前記ヒュージング部及び前記保持部の各々の折り返し部分は、前記保護板が前記本体から延びる方向に垂直な方向、且つ、前記固定子の環軸に平行な方向に折り返されていることを特徴とする電動機。
【請求項2】
ワイヤが巻回されたコイルを各々が備えた複数の固定子鉄心を環状に備えた固定子と、前記ワイヤの端末をヒュージングにより固定するヒュージング用端子と、
を有する電動機であって、
前記ヒュージング用端子は、
前記固定子鉄心の外周側に位置するベースに、長手方向の一端が差し込まれた本体と、
前記本体の縁から延びる保護板と、
前記保護板の一面上に設けられ、前記保護板に連なる部材の折り返し部分において前記ワイヤの端末を前記保護板との間で保持する第1保持部と、
前記保護板の前記一面上に設けられ、前記保護板に連なる部材の折り返し部分において前記ワイヤの端末と前記コイルとの間に位置する前記ワイヤを前記保護板との間で保持する第2保持部と、
前記保護板の前記一面上に設けられ、前記保護板に連なる部材の折り返し部分において前記第1保持部と前記第2保持部との間の前記ワイヤを前記保護板との間でヒュージングにより固定するヒュージング部と、を備え、
前記保護板は、前記本体の長手方向に垂直な方向、且つ、前記固定子の環軸に垂直な方向に延びており、
前記ヒュージング部、前記第1保持部、及び、前記第2保持部の各々の折り返し部分は、前記保護板が前記本体から延びる方向に垂直な方向、且つ、前記固定子の環軸に平行な方向に折り返されていることを特徴とする電動機。
【請求項3】
前記固定子の前記コイルが前記ヒュージング用端子を介して接続された基板を更に備え、
前記固定子と、前記基板とが、モールド樹脂により一体成形されていることを特徴とする
請求項1又は2に記載の電動機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動機に関し、特に、電動機の固定子のコイルを形成するワイヤの端末にヒュージングにより電気的に接続されるヒュージング用端子を備えた電動機に関する。
【背景技術】
【0002】
電動機などにおけるワイヤの端末処理方法として、ワイヤ及び端子に設けられワイヤを保持する保持部に電流を流し、その際の熱によりワイヤの絶縁被膜を破壊して、端子とワイヤとを電気的に接続するヒュージングという方法が知られている。
【0003】
ヒュージング用端子では、ヒュージング時の熱により、ヒュージングが施されたワイヤの強度低下が発生する。そのため、特許文献1では、ヒュージング用端子に第1保持部と第2保持部とを設けた構成が開示されている。具体的には、第1保持部と第2保持部とによりワイヤの端末を挟み込んで保持した後、第1保持部のワイヤをヒュージングしてヒュージング用端子とワイヤとを電気的に接続することが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−257297号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の構成の場合、第1保持部と第2保持部との間に隙間があり、この隙間においてワイヤがむき出しになっている。そのため、電動機の固定子をモールド成形する際に樹脂がこの隙間に流入すると、第1保持部と第2保持部との間のワイヤに樹脂の外力が作用し、ワイヤが断線しやすいという問題点がある。
【0006】
本発明は、上述のような課題を背景としてなされたものであり、ワイヤが断線しにくい電動機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
発明に係る電動機は、ワイヤが巻回されたコイルを各々が備えた複数の固定子鉄心を環状に備えた固定子と、前記ワイヤの端末をヒュージングにより固定するヒュージング用端子と、を有する電動機であって、前記ヒュージング用端子は、前記固定子鉄心の外周側に位置するベースに、長手方向の一端が差し込まれた本体と、前記本体の縁から延びる保護板と、前記保護板の一面上に設けられ、前記保護板に連なる部材の折り返し部分において前記ワイヤの端末前記保護板との間でヒュージングにより固定するヒュージング部と、前記保護板の前記一面上に設けられ、前記保護板に連なる部材の折り返し部分において前記ワイヤの端末と前記コイルとの間に位置する前記ワイヤを前記保護板との間で保持する保持部と、を備え、前記保護板は、前記本体の長手方向に垂直な方向、且つ、前記固定子の環軸に垂直な方向に延びており、前記ヒュージング部及び前記保持部の各々の折り返し部分は、前記保護板が前記本体から延びる方向に垂直な方向、且つ、前記固定子の環軸に平行な方向に折り返されていることを特徴とする
【発明の効果】
【0009】
本発明に係るヒュージング用端子によれば、ヒュージング部と本体との間のワイヤの一部が保護板の第3部分に沿い、他の部分が保持部で保持されている。このため、ヒュージングによりヒュージング部のワイヤの強度が低下していても、ヒュージング部と本体との間のワイヤの断線を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施の形態1に係るヒュージング用端子を備えた電動機の固定子を示す全体図である。
図2図1の固定子の固定子鉄心の拡大図である。
図3】本発明の実施の形態1に係るヒュージング用端子の斜視図である。
図4図3からワイヤを除いた図である。
図5】本発明の実施の形態1に係るヒュージング用端子を用いた電動機の内部構成図である。
図6】本発明の実施の形態2に係るヒュージング用端子の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1に係るヒュージング用端子1を備えた電動機の固定子100を示す全体図である。本発明の実施の形態1に係るヒュージング用端子1は、例えば、電動機の固定子100に設けられるコイル70のワイヤ80を、センサなどが実装された基板101に、電気的に接続するために用いられるものである。
【0012】
図1に示すように、電動機の固定子100は、ワイヤ80が巻回されたコイル70を備えた複数の固定子鉄心100aを備えている。固定子100は、複数の固定子鉄心100aが放射状に配置されて構成されており、平面視で円環状である。固定子100の軸方向の端部には、センサなどが実装された基板101が配置されている。基板101は、ヒュージング用端子1により固定子100のコイル70と接続されている。
【0013】
図2は、図1の固定子100の固定子鉄心100aの拡大図である。図2に示すように、固定子鉄心100aは、固定子100の外周側に位置する樹脂製のベース100bと、ベース100bから固定子100の内周側に突出するティース100cとを備えている。ベース100bには、差込部90が形成されている。差込部90には、ヒュージング用端子1が差し込まれている。ティース100cには、ワイヤ80が巻回されたコイル70が設けられている。
【0014】
図3は、本発明の実施の形態1に係るヒュージング用端子1の斜視図である。図4は、図3からワイヤ80を除いた図を示している。図3及び4に示すように、ヒュージング用端子1は、本体10と、ヒュージング部11と、保持部12と、保護板13とを備える。ヒュージング用端子1は、銅又はその他の導電性材料の平板から一体形成されている。
【0015】
本体10は、例えば、長尺形状である。本体10は、長手方向の一端側が固定子100のベース100bの差込部90に差し込まれる差込端10aになっており、他端側が基板101に接続される領域になっている。なお、本体10は、固定子100と基板101とを接続することができる形状であればよく長尺形状に限られないが、以下では説明の便宜上、長尺形状の場合について説明する。
【0016】
保護板13は、本体10の長手方向の縁部10bから、本体10の長手方向の縁部10bに垂直な方向に延びている。保護板13は、例えば、本体10の長手方向の縁部10bに垂直な方向が長手方向となる長尺形状である。保護板13についても、本体10から延びる形状であればよく長尺形状に限られないが、以下では説明の便宜上、長尺形状の場合について説明する。
【0017】
保護板13は、短手方向の寸法が長手方向にわたって同一な形状である。保護板13は、保護板13の長手方向に沿って、第1部分13a、第3部分13c、及び、第2部分13bを有する。第1部分13aと対向してヒュージング部11が設けられており、第2部分13bと対向して保持部12が設けられている。第3部分13cは、第1部分13aと第2部分13bとの間に延在し、第1部分13aと第2部分13bとを繋いでいる。
【0018】
保持部12は、保護板13の第2部分13bの一面上に設けられている。保持部12は、保護板13の第2部分13bとの間でコイル70から本体10に沿って延びるワイヤ80を挟み、保持している。保持部12は、保護板13の長手方向の縁部に繋がっている。
【0019】
ヒュージング部11は、保護板13の第1部分13aの一面上に設けられている。ヒュージング部11は、保護板13の第1部分13aとの間でワイヤ80の端末80aを挟んでいる。ワイヤ80の端末80aは、コイル70から延びたワイヤ80の遠位端である。ヒュージング部11は、保護板13の長手方向の縁部に繋がっている。保持部12とヒュージング部11とは、本体10の長手方向の縁部10bと垂直な方向に並んでいる。本体10とヒュージング部11との間に保持部12が位置している。保持部12とヒュージング部11とは、なるべく近い位置に配置されている。
【0020】
ヒュージング部11には、保護板13の第1部分13aとの間に挟まれたワイヤ80の端末80aがヒュージングにより固定され、電気的に接続されている。ヒュージングでは、ヒュージング部11に流れる電流によりワイヤ80の絶縁被覆を溶かし、ワイヤ80を被覆から露出させる。更に電流を流し、ワイヤ80をヒュージング部11と保護板13との間で圧着して、ワイヤ80とヒュージング用端子1とを機械的且つ電気的に接続している。
【0021】
保持部12が設けられる第2部分13bとヒュージング部11が設けられる第1部分13aとの間には、保護板13の第3部分13cが延在している。第2部分13bと第1部分13aとの間のワイヤ80は、第3部分13cに沿って延びている。
【0022】
固定子鉄心100aのコイル70から延びるワイヤ80は、本体10側から保護板13の第2部分13bに設けられた保持部12を通り、保護板13の第3部分13cに沿いながら保護板13の第1部分13aに設けられたヒュージング部11に至っている。ヒュージング部11では、ワイヤ80の端末80aがヒュージングにより固定され、保持部12では、ワイヤ80の端末80aとコイル70との間のワイヤ80が、ヒュージングが施されることなく保持される。
【0023】
ヒュージング部11のワイヤ80の端末80aの強度は、ヒュージングにより低下しているが、ヒュージングが施されない保持部12により保持されるワイヤ80には強度低下がない。ワイヤ80が保持部12で保持されることで、ヒュージング部11と本体10との間のワイヤ80の断線が抑制される。
【0024】
次に、ヒュージング用端子1と固定子鉄心100aのコイル70との接続方法について説明する。まず、ヒュージング部11及び保持部12が形成される前にヒュージング用端子1の本体10の差込端10aを、固定子鉄心100aのベース100bの差込部90に差し込む。このとき、ヒュージング部11及び保持部12となる部分は、保護板13の長手方向の縁部から保護板13の長手方向の縁部に垂直な方向に延びている。
【0025】
そして、固定子鉄心100aに形成されたコイル70のワイヤ80をヒュージング用端子1の本体10から保護板13に沿うように配置する。ワイヤ80は、本体10の長手方向の縁部10bに垂直な方向に延びる保護板13に沿って延びる。
【0026】
そして、ヒュージング部11となる保護板13に連なる部材を、保護板13の長手方向の縁部に垂直な方向に折り返す。ヒュージング部11は、保護板13の第1部分13aに接し、保護板13の第1部分13aとの間にワイヤ80の端末80aを挟む。また、保持部12となる保護板13に連なる部材を、保護板13の長手方向に垂直な方向に折り返す。保持部12は、保護板13の第2部分13bに接し、保護板13の第2部分13bとの間にコイル70側のワイヤ80を挟む。
【0027】
ここで、保持部12とヒュージング部11とは、なるべく近い位置に設けてあることが望ましい。保持部12及びヒュージング部11となる部分は、保持部12及びヒュージング部11となる部分を折り曲げ加工することが可能な程度の距離が間に確保されていればよい。また、ヒュージング部11と保持部12とは、保護板13に連なる部材を同時に折り曲げ加工することにより形成すればよい。これにより、加工工程の増加を抑制できる。
【0028】
そして、ヒュージング部11にヒュージングを施し、ワイヤ80の端末80aをヒュージング部11及び保護板13に電気的に接続する。ワイヤ80の端末80aの余剰な部分は、ヒュージング部11の保持部12とは反対の位置において切断する。
【0029】
これにより、ヒュージング用端子1とコイル70とが、ワイヤ80の端末80aにおいてヒュージング部11と保護板13の第1部分13aとの間で電気的に接続される。また、ヒュージング部11とコイル70との間のワイヤ80が、保護板13の第3部分13cに沿いながら保持部12に至り、保持部12と保護板13の第2部分13bとに挟まれ保持される。
【0030】
保持部12及びヒュージング部11は、保護板13の長手方向の縁部に垂直な方向に折り返されており、ワイヤ80が保護板13の長手方向の縁部に沿って水平に保持されている。そのため、ワイヤ80の切断面が、ヒュージング用端子1が固定子鉄心100aのベース100bの差込部90に差し込まれる差込方向と同じになり、ワイヤ80の端末80aの余剰な部分の切断が容易になる。
【0031】
図5は、本発明の実施の形態1に係るヒュージング用端子1を用いた電動機200の内部構成図である。図1図5を用いて電動機200の製造方法について説明する。
【0032】
まず、複数の固定子鉄心100aを円環状に組み合わせ、固定子100を形成する。複数の固定子鉄心100aには、ヒュージング用端子1が差し込まれている。固定子100のヒュージング用端子1が差し込まれた面には、基板101を配置する。それぞれの固定子鉄心100aのコイル70は、ワイヤ80の端末80aにおいてヒュージング用端子1に接続されている。
【0033】
次に、ヒュージング用端子1を介し、固定子鉄心100aのコイル70と、基板101とを接続する。固定子100と、ヒュージング用端子1と、基板101とは、モールド金型に設置され、モールド金型の内部にモールド樹脂が供給される。モールド樹脂は、モールド金型と固定子100との隙間、及び、固定子100と基板101との隙間などに流入する。
【0034】
このとき、モールド樹脂は、ヒュージング用端子1に設けられたヒュージング部11と保持部12との間にも流入する。ヒュージング部11と保持部12との間には、ワイヤ80が延びているが、ヒュージング部11と保持部12との間のワイヤ80は、保護板13の第3部分13cに沿って延びている。そのため、モールド樹脂の流れによる外力が保護板13に作用することとなり、ヒュージング部11と保持部12との間のワイヤ80への外力の作用が抑制される。
【0035】
その後、モールド金型に供給したモールド樹脂を硬化させることで、図5に示す、固定子100、基板101及びその他構成部品が一体成形された電動機200が得られる。
【0036】
このように、ヒュージング用端子1においては、ヒュージング部11と保持部12との間のワイヤ80が保護板13の第3部分13cに沿って延びており、ヒュージング部11及び保持部12との間でむき出しになっていない。保護板がない場合には、保持部とヒュージング部との間のワイヤがむき出しになり、モールド樹脂の流れによる外力でワイヤが断線し易い。ヒュージング部11と保持部12との間のワイヤ80を保護板13の第3部分13cに沿わせることで、ヒュージング部11と保持部12との隙間に流入したモールド樹脂による外力が保護板13に作用する。これにより、ワイヤ80に作用するモールド樹脂の外力が低減され、モールド成形時のワイヤ80の断線を抑制できる。
【0037】
以上説明した、本実施の形態に係るヒュージング用端子1によれば、保護板13の第1部分13aにヒュージング部11を設け、保護板13の第2部分13bに保持部12を設け、第1部分13aと第2部分13bとの間に第3部分13cが延在している。ヒュージング部11でヒュージングにより端末80aが固定されたワイヤ80は、保護板13の第3部分13cに沿いながら保持部12に至り保持される。これにより、ヒュージングによりヒュージング部11に固定されるワイヤ80の端末80aの強度が低下していても、本体側のワイヤ80、つまり、ワイヤ80のコイル70側が保持部12で保持され、ワイヤ80の断線が抑制される。
【0038】
また、保持部12は、保護板13の第2部分13bとの間でワイヤ80を挟んでいる。保持部12のワイヤ80は、保持部12にヒュージングされておらずヒュージングによる強度の低下がないため、保持部12でワイヤ80が断線することを回避することができる。
【0039】
また、ヒュージング部11と保持部12とは、保護板13の長手方向の縁部に垂直な方向に折り返されている。これによりワイヤ80が保護板13の長手方向に沿ってヒュージング用端子1の差込方向に垂直に延びるため、ワイヤ80の端末80aの切断が容易になる。
【0040】
また、保持部12をヒュージング部11の本体10側に設けることで、ヒュージング部11と本体10との間のワイヤ80が保持部12により保持され、ワイヤ80の端末80aに作用する外力を低減することができる。これにより、ヒュージング部11でワイヤ80の端末80aの強度が低下しても、ワイヤ80が断線することを抑制することができる。
【0041】
また、電動機200において、固定子鉄心100aのコイル70と基板101とがヒュージング用端子1を介して接続されている。ヒュージング用端子1では、コイル70から延びるワイヤ80の端末80aがヒュージング部11に固定され、コイル70とヒュージング部11との間のワイヤ80が保護板13に沿いながら保持部12において保持されている。これにより、ヒュージング部11においてヒュージングで強度が低下したワイヤ80の端末80aに作用する外力が抑制され、コイル70と基板101との接続をより確実にすることができる。
【0042】
また、固定子鉄心100aと基板101との接続にヒュージング用端子1を用いることで、固定子100のモールド成形時において、モールド樹脂の流れによる外力が保護板13に作用する。これにより、ヒュージング部11及び保持部12の間のワイヤ80に作用する外力が低減され、ワイヤ80が断線することを抑制できる。
【0043】
実施の形態2.
実施の形態2に係るヒュージング用端子について説明する。本実施の形態に係るヒュージング用端子は、ヒュージング部の両側に保持部を備える点で実施の形態1と相違する。なお、本実施の形態では、実施の形態1との相違点を中心に説明し、実施の形態1と同一部分には、同一符号を付して説明を省略するものとする。
【0044】
図6は、実施の形態2に係るヒュージング用端子40の斜視図である。ヒュージング用端子40では、2つのコイル70a、70bの間の経路のワイヤ80に対しヒュージングが施される。図6に示すように、ヒュージング用端子40は、保護板43に設けられたヒュージング部41、第1の保持部42a及び第2の保持部42bを備えている。第1の保持部42a、ヒュージング部41、及び、第2の保持部42bは、本体10の縁部10bの長手方向に垂直な方向に並んでいる。
【0045】
第1の保持部42a、ヒュージング部41、及び、第2の保持部42bは、それぞれ、保護板43の一面上の第2部分43b、第1部分43a、及び、第4部分43dに設けられている。第1の保持部42a及び第2の保持部42bの間には、ヒュージング部41が設けられている。第1の保持部42aとヒュージング部41との間、及び、ヒュージング部41と第2の保持部42bとの間には、保護板43の第3部分43c及び第5部分43eが延在している。
【0046】
第1の保持部42aは、保護板43の第2部分43bとの間で、コイル70aから延びるワイヤ80を挟み、保持している。第2の保持部42bは、保護板43の第4部分43dとの間で、コイル70bから延びるワイヤ80を挟み、保持している。
【0047】
ヒュージング部41は、保護板43の第1部分43aとの間で、2つのコイル70a、70bの間の経路のワイヤ80を挟んでいる。ヒュージング部41で保持されたワイヤ80には、ヒュージングが施され、ワイヤ80が電気的に接続されている。
【0048】
ヒュージング部41から第1の保持部42aに至るワイヤ80は、第1部分43aと第2部分43bとの間に延在する第3部分43cに沿って延びている。ヒュージング部41から第2の保持部42bに至るワイヤ80は、第1部分43aと第4部分43dとの間に延在する第5部分43eに沿って延びている。
【0049】
コイル70aから延びるワイヤ80は、保護板43の第2部分43bに設けられた第1の保持部42aを通り、保護板43の第3部分43cに沿いながら保護板43の第1部分43aに設けられたヒュージング部41に至っている。
【0050】
ヒュージング部41に至ったワイヤ80は、保護板43の第5部分43eに沿いながら保護板43の第4部分43dに設けられた第2の保持部42bで保持され、本体10側に位置するコイル70bに至る。
【0051】
このように、ヒュージング用端子40は、保護板43の一面側に設けられた第1の保持部42a及び第2の保持部42bを有する。これにより、コイル70a、70bを接続するワイヤ80がヒュージング部41においてヒュージングされる場合にも、ワイヤ80を第1の保持部42a及び第2の保持部42bで保持することができる。そのため、ヒュージング部41においてヒュージングにより強度が低下したワイヤ80の断線を低減することができる。
【0052】
保護板43の第1部分43aと第2部分43bとの間には、保護板43の第3部分43cが延在している。第3部分43cには、ヒュージング部41に固定され第1の保持部42aで保持されるワイヤ80が沿っている。また、保護板43の第1部分43aと第4部分43dとの間には、保護板43の第5部分43eが延在している。第5部分43eには、ヒュージング部41に固定され第2の保持部42bで保持されるワイヤ80が沿っている。そのため、電動機200の形成時にモールド樹脂が流入しても、モールド樹脂による外力が保護板43に係るためワイヤ80への外力が低減される。これにより、ヒュージング部41と第1の保持部42aとの間のワイヤ80、及び、ヒュージング部41と第2の保持部42bとの間のワイヤ80のモールド樹脂による断線を抑制することができる。
【0053】
以上説明した、本実施の形態に係るヒュージング用端子40によれば、ヒュージング部41に対しヒュージングにより接続されたワイヤ80が、ヒュージング部41の両側の第1の保持部42a及び第2の保持部42bにより保持される。そのため、第1の保持部42a及び第2の保持部42bにより、ワイヤ80のヒュージングにより強度低下をしている部分以外の部分でワイヤ80を保持することができる。これにより、ヒュージング用端子40の両側にコイル70a、70bが接続された場合でもヒュージングにより強度が低下したワイヤ80の断線を抑制することができる。
【符号の説明】
【0054】
1 ヒュージング用端子、10 本体、10a 差込端、10b 縁部、11 ヒュージング部、12 保持部、13 保護板、13a 第1部分、13b 第2部分、13c 第3部分、40 ヒュージング用端子、41 ヒュージング部、42a 第1の保持部、42b 第2の保持部、43 保護板、43a 第1部分、43b 第2部分、43c 第3部分、43d 第4部分、43e 第5部分、70、70a、70b コイル、80 ワイヤ、80a 端末、90 差込部、100 固定子、100a 固定子鉄心、100b ベース、100c ティース、101 基板、200 電動機。
図1
図2
図3
図4
図5
図6