【実施例1】
【0030】
図1は、実施例1に係る車両用点火装置100の構成の一例を示す図である。
【0031】
本実施例1に係る車両用点火装置100は、二輪車(図示せず)に積載され、制御部CNTは、当該二輪車のエンジン(内燃機関)Eの動作を制御するようになっている。
【0032】
なお、この車両用点火装置100は、四輪車(図示せず)に積載され、制御部CNTは、当該四輪車のエンジン(内燃機関)Eの動作を制御するようにしてもよい。
【0033】
この車両用点火装置100は、例えば、
図1に示すように、バッテリ端子TBと、一次側イグニッションコイルL1と、二次側イグニッションコイルL2と、点火プラグPと、インジェクタEと、表示部Aと、制御スイッチング素子CSWと、検出部Cと、駆動部Dと、メインスイッチMSWと、制御部CNTと、を備える。
【0034】
なお、例えば、
図1に示すように、制御スイッチング素子CSW、検出部C、駆動部D、及び、制御部CNTは、点火制御部(点火制御装置)Xを構成する。
【0035】
そして、バッテリ端子TBは、例えば、
図1に示すように、直流電源であるバッテリBから点火用電圧が供給されるようになっている。
【0036】
また、一次側イグニッションコイルL1は、例えば、
図1に示すように、一端がバッテリ端子TBに接続され、他端が検出用端子TCに接続されている。
【0037】
また、二次側イグニッションコイルL2は、例えば、
図1に示すように、一端がバッテリ端子TBに接続され、他端がプラグ端子TPに接続されている。
【0038】
この二次側イグニッションコイルL2は、一次側コイルL1とトランスXを構成するようになっている。
【0039】
また、点火プラグPは、例えば、
図1に示すように、プラグ端子TPに接続された第1の電極(中心電極)P1、及び、固定電位(接地電位)に接続された第2の電極(接地電極)P2を有する。
【0040】
また、メインスイッチMSWは、例えば、
図1に示すように、バッテリBの正極とバッテリ端子TBとの間に接続されている。このメインスイッチMSWは、ユーザによりオン/オフが制御されるようになっている。
【0041】
例えば、後述のように、このメインスイッチMSWがオンされると、制御部CNTは、バッテリBから電力が供給されて、点火プラグPの点火制御を開始するようになっている。一方、このメインスイッチMSWがオフされると、制御部CNTは、バッテリBからの電力の供給が停止されて、制御動作を停止するようになっている。
【0042】
また、表示部Aは、制御部CNTにより制御され、ユーザに提供するための所定の情報を表示するようになっている。
【0043】
なお、後述のように、制御部CNTは、点火プラグPが正常に点火されているか否かを判断した結果を、当該表示部Aに表示させるようになっている。
【0044】
また、制御スイッチング素子CSWは、例えば、
図1に示すように、一端が検出用端子TCに接続され、他端が固定電位(接地電位)に接続されている。
【0045】
この制御スイッチング素子CSWは、例えば、
図1に示すように、コレクタが検出用端子TCに接続され、エミッタが固定電位(接地電位)に接続され、ベース電流が駆動部Dにより制御されるNPN型バイポーラトランジスタ(IGBT:絶縁ゲート型バイポーラトランジスタを含む)である。
【0046】
また、検出部Cは、例えば、
図1に示すように、検出用端子TCの1次電圧、又は検出用端子TCから制御スイッチング素子CSWに流れる通電電流を、検出するようになっている。
【0047】
また、駆動部Dは、制御スイッチング素子CSWに供給するベース電流を制御することにより、制御スイッチング素子CSWを駆動してオン又はオフに制御するようになっている。
【0048】
また、制御部CNTは、検出部Cが検出した1次電圧の値、及び/又は既述の通電電流の値に基づいて、駆動部Dにより制御スイッチング素子CSWを制御するようになっている。
【0049】
この制御部CNTは、予め設定された検出期間において、検出部Cが検出した1次電圧の値と予め設定された閾値電圧とを比較した電圧比較結果、及び/又は、検出部Cが検出した通電電流の値と予め設定された閾値電流とを比較した電流比較結果に基づいて、点火プラグPが正常に点火されているか否かを判断するようになっている。
【0050】
そして、制御部CNTは、例えば、既述の電圧比較結果及び/又は既述の電流比較結果に基づいて、点火プラグPが正常に点火していないと判断した場合には、制御スイッチング素子CSWをオフさせて、点火プラグPの点火を停止するようになっている。
【0051】
このように、車両用点火装置100は、異常時に点火を止めるようになっている。
【0052】
なお、後述のように、通電電流又はバッテリ電圧も同時に監視して、通電電流又はバッテリ電圧の値に応じて、既述の閾値電圧及び/又は閾値電流の値を変更するようにしてもよい。これにより、異常検出(点火不良の検出)の精度を向上することができる。
【0053】
ここで、例えば、制御部CNTは、検出期間において、検出した1次電圧が閾値電圧を超えている期間が予め設定された基準時間以上である場合には、点火プラグPが正常に点火していないと判断するようにしてもよい。
【0054】
一方、制御部CNTは、当該検出期間において、検出した1次電圧が既述の閾値電圧を超えている期間が基準時間未満である場合には、点火プラグPが正常に点火していると判断するようにしてもよい。
【0055】
また、例えば、制御部CNTは、点火プラグPの点火動作を開始してから予め設定された第1待機時間が経過したときに、検出した1次電圧が予め設定された第1閾値電圧(例えば、400V)を超えている場合には、点火プラグPが正常に点火していないと判断するようにしてもよい。
【0056】
一方、制御部CNTは、当該第1待機時間が経過したときに、検出した1次電圧が第1閾値電圧を超えていない場合には、点火プラグPが正常に点火していると判断するようにしてもよい。
【0057】
また、例えば、制御部CNTは、点火プラグPの点火動作を開始してから第1待機時間より長い予め設定された第2待機時間が経過したときに、検出した1次電圧が予め設定された第2閾値電圧(例えば、0V)を超えている場合には、点火プラグPが正常に点火していると判断するようにしてもよい。
【0058】
一方、制御部CNTは、当該第1待機時間が経過したときに、検出した1次電圧が第2閾値電圧を超えていない場合には、点火プラグPが正常に点火していないと判断するようにしてもよい。
【0059】
また、例えば、制御部CNTは、点火プラグPの点火動作を開始してから予め設定された第3待機時間が経過したときに、検出した通電電流が予め設定された閾値電流を超えている場合には、点火プラグPが正常に点火していると判断するようにしてもよい。
【0060】
一方、制御部CNTは、当該第3待機時間が経過したときに、検出した通電電流が既述の閾値電流を超えていない場合には、点火プラグPが正常に点火していないと判断するようにしてもよい。
【0061】
また、制御部CNTは、バッテリBのバッテリ電圧を取得し、取得したバッテリ電圧に基づいて、既述の閾値電圧及び/又は既述の閾値電流を変化させるようにしてもよい。
【0062】
なお、点火プラグPが正常に点火していない(点火不良である)場合とは、例えば、2次側にオープン故障が発生している場合、点火プラグPの第1の電極P1と第2の電極P2との間のギャップ幅が予め設定された値より大きい場合、又は、第1の電極P1と第2の電極P2との間のギャップに異物(絶縁物)が混入している場合等である。
【0063】
なお、既述のように、メインスイッチMSWがオンされると、この制御部CNTは、バッテリBから電力が供給されて、点火プラグPの点火制御を開始するようになっている。
【0064】
また、既述のように、制御部CNTは、点火プラグPが正常に点火されているか否かを判断した結果を、当該表示部Aに表示させるようになっている。
【0065】
なお、制御部CNTは、電圧比較結果及び/又は電流比較結果に基づいて、点火プラグPが正常に点火していないと判断した場合には、エンジンEの燃焼室内に燃料を噴射するインジェクタFの動作を停止させるようになっている。
【0066】
以上のように、実施例1に係る車両用点火装置100は、1次側の点火動作時の電圧値(電流値)及び印加時間から、正常に火花放電しているかを判断することができるようになっている。
【0067】
次に、以上のような構成を有する車両用点火装置100の制御方法の一例について説明する。ここで、
図2は、通電電流が小さく、ギャップ幅が正常であり、正常点火している場合における、検出用端子TCの1次電圧、検出用端子TCに流れる通電電流、プラグ端子TPの2次電圧の波形の一例を示す図である。また、
図3は、通電電流が大きく、ギャップ幅が正常であり、正常点火している場合における、検出用端子TCの1次電圧、検出用端子TCに流れる通電電流、プラグ端子TPの2次電圧の波形の一例を示す図である。また、
図4は、通電電流が大きく、ギャップ幅が大きく、正常点火している場合における、検出用端子TCの1次電圧、検出用端子TCに流れる通電電流、プラグ端子TPの2次電圧の波形の一例を示す図である。また、
図5は、通電電流が小さく、点火不良である場合における、検出用端子TCの1次電圧、検出用端子TCに流れる通電電流、プラグ端子TPの2次電圧の波形の一例を示す図である。また、
図6は、
図5の時間を長くした波形の一例を示す図である。また、
図7は、通電電流が大きく、点火不良である場合における、検出用端子TCの1次電圧、検出用端子TCに流れる通電電流、プラグ端子TPの2次電圧の波形の一例を示す図である。
【0068】
なお、
図2ないし
図7において、時刻t0は、制御部CNTが駆動部Dにより制御スイッチング素子CSWをオンして点火動作を開始した時刻である。
【0069】
また、
図2ないし
図7において、閾値電圧は、簡単のため、第1閾値電圧TH1と同じ値になっているが、当該閾値電圧は、第1閾値電圧TH1と異なる値に設定してもよい。
【0070】
なお、既述のように、点火プラグPが正常に点火していない(点火不良である)場合とは、例えば、2次側にオープン故障が発生している場合、点火プラグPの第1の電極P1と第2の電極P2との間のギャップ幅が予め設定された値より大きい場合、第1の電極P1と第2の電極P2との間のギャップに異物(絶縁物)が混入している場合、バッテリBのバッテリ電圧が低下している場合、又は、1次側オープン・シュート故障が発生している場合等である。
【0071】
既述のように、制御部CNTは、検出部Cが検出した1次電圧の値、及び/又は通電電流の値に基づいて、駆動部Dにより制御スイッチング素子CSWを制御する。
【0072】
この制御部CNTは、予め設定された検出期間(例えば、時刻t0〜時刻t1)において、検出部Cが検出した1次電圧の値と予め設定された閾値電圧とを比較した電圧比較結果、及び/又は、検出部Cが検出した通電電流の値と予め設定された閾値電流(図示せず)とを比較した電流比較結果に基づいて、点火プラグPが正常に点火されているか否かを判断する。
【0073】
なお、制御部CNTは、バッテリBのバッテリ電圧を取得し、取得したバッテリ電圧に基づいて、既述の閾値電圧及び/又は既述の閾値電流を変化させる。
【0074】
そして、制御部CNTは、例えば、既述の電圧比較結果及び/又は既述の電流比較結果に基づいて、点火プラグPが正常に点火していないと判断した場合には、制御スイッチング素子CSWをオフさせて、点火プラグPの点火を停止する。
【0075】
このように、車両用点火装置100は、異常時に点火を止める。
【0076】
なお、既述のように、メインスイッチMSWがオンされると、この制御部CNTは、バッテリBから電力が供給されて、点火プラグPの点火制御を開始する。
【0077】
また、既述のように、制御部CNTは、点火プラグPが正常に点火されているか否かを判断した結果を、当該表示部Aに表示させる。
【0078】
なお、制御部CNTは、電圧比較結果及び/又は電流比較結果に基づいて、点火プラグが正常に点火していないと判断した場合には、エンジンEの燃焼室内に燃料を噴射するインジェクタFの動作を停止させる。
【0079】
ここで、例えば、制御部CNTは、該検出期間(例えば、時刻t0〜時刻t1)において、検出した1次電圧が閾値電圧を超えている期間が予め設定された基準時間以上である場合には、点火プラグPが正常に点火していないと判断する(
図5、
図6、
図7)。
【0080】
一方、制御部CNTは、当該検出期間(例えば、時刻t0〜時刻t1)において、検出した1次電圧が既述の閾値電圧を超えている期間が基準時間未満である場合には、点火プラグPが正常に点火していると判断する(
図2、
図3、
図4)。
【0081】
また、例えば、制御部CNTは、点火プラグPの点火動作を開始してから予め設定された第1待機時間(例えば、30μsec)が経過したとき(例えば、時刻t1)に、検出した1次電圧が予め設定された第1閾値電圧(例えば、400V)TH1を超えている場合には、点火プラグPが正常に点火していないと判断する(
図5、
図6、
図7)。
【0082】
一方、制御部CNTは、当該第1待機時間が経過したときに、検出した1次電圧が第1閾値電圧を超えていない場合には、点火プラグPが正常に点火していると判断する(
図2、
図3、
図4)。
【0083】
この場合、継続的な時間による判定でなく、電圧(“High”レベル/“Low”レベル)で判定可能なので、車両用点火装置100のハードウェアの構成の容易化を図ることができる。
【0084】
なお、制御部CNTは、当該第1待機時間を、例えば、通電電流(若しくはバッテリ電圧)の値に応じて変更するようにしてもよい。
【0085】
また、例えば、制御部CNTは、点火プラグPの点火動作を開始(時刻t0)してから第1待機時間より長い予め設定された第2待機時間(例えば、80μsec)が経過したとき(例えば、時刻t2)に、検出した1次電圧が予め設定された第2閾値電圧(例えば、0V)TH2を超えている場合には、点火プラグPが正常に点火していると判断する(
図2、
図3、
図4)。
【0086】
一方、制御部CNTは、当該第1待機時間が経過したときに、検出した1次電圧が第2閾値電圧を超えていない場合には、点火プラグPが正常に点火していないと判断する(
図5、
図6、
図7)。
【0087】
この場合、検出した1次電圧が負であれば、点火プラグPが正常に点火していないと判断する。点火不良時には、マイナス方向に電流が流れるので、このように検出可能である。
【0088】
なお、制御部CNTは、当該第2待機時間を、例えば、通電電流(若しくはバッテリ電圧)の値に応じて変更するようにしてもよい。
【0089】
また、例えば、制御部CNTは、点火プラグPの点火動作を開始してから予め設定された第3待機時間(時刻t3)が経過したときに、検出した通電電流が予め設定された閾値電流(例えば、0A)THXを超えている(正電流である)場合には、点火プラグPが正常に点火していると判断する(
図2)。
【0090】
一方、制御部CNTは、当該第3待機時間(時刻t3)が経過したときに、検出した通電電流が既述の閾値電流を超えていない(負電流である)場合には、点火プラグPが正常に点火していないと判断する(
図5、
図6)。
【0091】
このように、点火後、通電電流を確認することで、点火不良時には、マイナス方向に電流が流れるので、検出可能である。
【0092】
なお、制御部CNTは、当該第3待機時間を、例えば、通電電流(若しくはバッテリ電圧)の値に応じて変更するようにしてもよい。
【0093】
ここで、既述のように、車両用点火装置100は、
図1に示すように、バッテリBから点火用電圧が供給されるバッテリ端子TBと、一端がバッテリ端子TBに接続され、他端が検出用端子TCに接続された一次側イグニッションコイルL1と、一端がバッテリ端子TBに接続され、他端がプラグ端子TPに接続され、一次側コイルL1とトランスを構成する二次側イグニッションコイルL2と、プラグ端子TPに接続された第1の電極(中心電極)P1、及び、固定電位(接地電位)に接続された第2の電極(接地電極)P2を有する点火プラグPと、一端が検出用端子TCに接続され、他端が固定電位に接続された制御スイッチング素子CSWと、検出用端子TCの1次電圧又は検出用端子から制御スイッチング素子CSWに流れる通電電流を検出する検出部Cと、制御スイッチング素子を駆動してオン又はオフに制御する駆動部Dと、検出部Cが検出した1次電圧の値及び/又は通電電流の値に基づいて、駆動部Dにより制御スイッチング素子CSWを制御する制御部CNTと、を備える。
【0094】
そして、制御部CNTは、予め設定された検出期間において、検出部Cが検出した1次電圧の値と予め設定された閾値電圧とを比較した電圧比較結果、及び/又は、検出部Cが検出した通電電流の値と予め設定された閾値電流とを比較した電流比較結果に基づいて、点火プラグPが正常に点火されているか否かを判断する。
【0095】
すなわち、実施例1に係る車両用点火装置100によれば、1次側の点火動作時の電圧値(電流値)及び印加時間から、正常に火花放電しているかを判断することができる。