(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付す。以下では、各家庭に設置されている機器から機器データを含む流通データを収集して外部に提供する(流通させる)場合について説明するが、一例であり、他に、各職場(オフィス、工場等)、若しくは、各施設(商業施設、学校、病院等)に設置されている機器から機器データを含む流通データを収集して外部に提供する場合においても本発明を適用することができる。すなわち、以下に説明する実施形態は説明のためのものであり、本発明の範囲を制限するものではない。従って、当業者であればこれらの各要素または全要素をこれと均等なものに置換した実施形態を採用することが可能であるが、これらの実施形態も本発明の範囲に含まれる。
【0012】
(実施形態1)
図1は、本発明の実施形態1に係るデータ流通システム1の全体構成の一例を示す図である。このデータ流通システム1は、後述するように、機器データ及び付帯情報を含んだ流通データを取引する(流通させる)ために構築されるシステムである。図示するように、データ流通システム1は、住宅H内に配置された機器の一例である空調機10、照明装置20、温度センサ30、及び、人感センサ40と、これらの機器をインターネットN2に繋げるためのルータ50と、これらの機器から得られる機器データ(より詳細には、流通データ)を収集するデータ収集サーバ60と、データ収集サーバ60が収集した流通データを利用するデータ利用サーバ70とを含んでいる。なお、データ収集サーバ60は、サーバ装置の一例である。また、
図1では、データ収集サーバ60とデータ利用サーバ70との間を、インターネットN2を介して接続する場合を示しているが、一例であり、他に、データ収集サーバ60とデータ利用サーバ70との間を、専用のネットワークを介して接続するようにしてもよい。
【0013】
住宅H内に配置された空調機10、照明装置20、温度センサ30、及び、人感センサ40は、有線又は無線の宅内ネットワークN1を介してルータ50と通信可能に接続されている。これら住宅H内に配置される機器は、一例であり、他に、給湯器、IH(Induction Heating)調理器、炊飯器、冷蔵庫、除湿機、換気扇等を含めてもよい。なお、これら空調機10、照明装置20、温度センサ30、人感センサ40等の機器が、直接インターネットN2に接続可能であれば、ルータ50を省略してもよい。また、
図1では、1つの住宅Hだけを示しているが、実際には、膨大な数の家庭(同様な構成の住宅H)が含まれており、各家庭のそれぞれが、インターネットN2に接続されている。
【0014】
空調機10は、例えば、冷房、暖房、除湿等の空調運転を行って、室内(住宅H内)の空気を調和する機器である。この空調機10は、一例として、室内の空気を取り込む取り込み口の近傍に温度計測ユニットを備えており、室内の温度を計測可能となっている。
【0015】
照明装置20は、例えば、LED(Light Emitting Diode)又は蛍光灯を発光させて、室内を照らす機器である。
【0016】
温度センサ30は、例えば、高精度の半導体温度センサを備え、室内の温度を計測する機器である。一例として、温度センサ30は、上述した空調機10が計測する温度よりも高精度の温度が計測できるようになっている。
【0017】
人感センサ40は、例えば、室内に人がいるかどうか、そして、室内に人がいる場合に、その人の動き量(動きの度合い)を検出する機器である。人感センサ40は、一例として、人の発する赤外線を捉えたり、超音波の反射を捉えることにより、室内における人の有無を検出する。また、人感センサ40は、赤外線による温度(熱)分布の変化、又は、超音波の反射時間の変化に応じて、室内にいる人の動き量を検出する。
【0018】
これらの機器の具体的な構成を、空調機10を一例として、
図2を参照して説明する。
図2は、空調機10の構成を説明するためのブロック図である。図示するように、空調機10は、送信手段の一例である通信部11と、制御部12と、主機能部13とを備えている。
【0019】
通信部11は、例えば、BLE(Bluetooth(登録商標) Low Energy )、Wi−Fi等の無線通信、若しくは、PLC(Power Line Communication)、Ethernet(登録商標)等の有線通信によって、宅内ネットワークN1を介して、ルータ50と通信を行う。より詳細に、通信部11は、このルータ50を通じ、インターネットN2を介して、データ収集サーバ60と通信を行う。
【0020】
制御部12は、例えば、CPU(Central Processing Unit),ROM(Read Only Memory),RAM(Random Access Memory)等を備えており、空調機10(機器)の動作を制御する。より詳細に、制御部12には、機能的に、主機能制御部121と、データ生成部122とが含まれている。これらの機能は、例えば、CPUが、RAMをワークメモリとして用い、ROMに記憶されているプログラムを適宜実行することにより実現される。
【0021】
主機能制御部121は、例えば、ユーザからの指示(一例として、リモコン操作)に応じて主機能部13を制御して、冷房、暖房、除湿等の空調運転を行う。
【0022】
データ生成部122は、データ流通システム1において流通対象となる流通データを生成する。例えば、データ生成部122は、空調機10(機器)の機器データに、付帯情報を付加した流通データを生成する。以下、これらのデータ(情報)について、具体的に説明する。
【0023】
機器データは、空調機10(機器)の状態を示すデータであり、一例として、
図3Aに示すように、電源及び運転モードの状態、設定温度に代表される設定状態、室内温度に代表される検出状態等を含んでいる。なお、機器データの内容(項目)は、機器に応じて、適宜異なっている。
【0024】
また、付帯情報は、空調機10(機器)及び機器データについて付帯すべき詳細情報である。付帯情報は、予めROM内に記憶されており、一例として、
図3Bに示すように、空調機10(機器)について、メーカ、機種、型番等の情報と、機器データについて、取得時刻(日時)、単位、精度、分解能等の情報とを含んでいる。なお、付帯情報には、後述するように、機器データに対する処理内容が含まれていてもよい。
【0025】
そして、データ生成部122は、
図3Aの機器データに、
図3Bの付帯情報を付加して、
図3Cに示すような流通データを生成する。なお、
図3Cに示す流通データは、JSON(JavaScript(登録商標) Object Notation)形式にて記述されている場合を示しているが、一例であり、XML(Extensible Markup Language)形式、CSV(Comma-Separated Values)形式など他の形式で記述されていてもよい。
【0026】
図2に戻って、データ生成部122は、予め定められた送信条件を満たした場合(例えば、送信条件が5分間隔であれば、前回の送信から5分が経過したとき)に、
図3Cに示すような流通データを生成する。そして、データ生成部122は、生成した流通データを、通信部11から(ルータ50を通じて)データ収集サーバ60に送信する。なお、送信条件には、空調機10(機器)の状態変化時が含まれていてもよい。例えば、ユーザの指示により空調機10の電源又は運転モードが変化した場合にも、データ生成部122は、同様に流通データを生成し、通信部11からデータ収集サーバ60に送信する。
【0027】
主機能部13は、冷房、暖房、除湿等の空調機能を実現するための構成であり、例えば、冷媒を循環させるポンプ、冷媒を圧縮させる圧縮機、冷媒を膨張させる膨張器、送風を行うファンモータ等である。なお、他の機器であれば、主機能部13は、その機器に応じた機能を実現するための構成となる。つまり、照明装置20であれば、主機能部13は、例えば、LED、蛍光灯、その周辺回路等である。また、温度センサ30であれば、主機能部13は、例えば、高精度の半導体温度センサ、その周辺回路等である。そして、人感センサ40であれば、主機能部13は、例えば、焦電型赤外線センサ、その周辺回路等である。
【0028】
このような
図2に示す構成は、照明装置20、温度センサ30、人感センサ40等の機器でも同様である。つまり、主機能部13については、機器に応じて異なっているものの、データ生成部122は、上記と同様に、流通データを生成する。例えば、温度センサ30であれば、データ生成部122は、
図4Aに示すような流通データを生成する。また、人感センサ40であれば、データ生成部122は、
図4Bに示すような流通データを生成する。これらの流通データも、機器(温度センサ30,人感センサ40等)からデータ収集サーバ60に送信される。
【0029】
図1に戻って、ルータ50は、宅内ネットワークN1とインターネットN2との通信を中継する通信装置である。なお、上述した空調機10、照明装置20、温度センサ30、人感センサ40等の機器が、直接インターネットN2に接続可能であれば、ルータ50を省略してもよい。
【0030】
データ収集サーバ60は、例えば、機器のメーカが構築したサーバ(一例として、オンプレミスのサーバ)、クラウドベンダが構築したパブリッククラウド等であり、各家庭(各住宅H)の機器(空調機10、照明装置20、温度センサ30、人感センサ40等)から収集した流通データを外部に提供する(流通させる)。
【0031】
データ収集サーバ60の具体的な構成について、
図5を参照して説明する。
図5は、データ収集サーバ60の構成を説明するためのブロック図である。図示するように、データ収集サーバ60は、通信部61と、制御部62と、データ蓄積手段の一例であるデータ記憶部63とを備えている。
【0032】
通信部61は、例えば、インターネットN2を通じて、上述した機器(空調機10、照明装置20、温度センサ30、人感センサ40等)、及び、データ利用サーバ70と通信可能なネットワークインタフェースである。なお、通信部61は、データ利用サーバ70との通信を、標準化されたWeb API(Web Application Programming Interface)に沿って行う。つまり、データ収集サーバ60からデータ利用サーバ70に提供される流通データは、Web APIに応じたデータフォーマット(一例として、JSON形式のフォーマット)で配信される。
【0033】
制御部62は、例えば、CPU,ROM,RAM等を備えており、データ収集サーバ60の動作を制御する。より詳細に、制御部62には、機能的に、データ収集手段の一例であるデータ収集部621と、データ提供手段の一例であるデータ提供部622とが含まれている。これらの機能は、例えば、CPUが、RAMをワークメモリとして用い、ROMに記憶されているプログラムを適宜実行することにより実現される。
【0034】
データ収集部621は、空調機10、照明装置20、温度センサ30、人感センサ40等の機器から流通データを収集する。つまり、データ収集部621は、通信部61を制御して、機器から送られた流通データを受信し、受信した流通データをデータ記憶部63に保存する。
【0035】
データ提供部622は、データ利用サーバ70からの要求に応じて、該当する流通データをデータ利用サーバ70に提供する。例えば、付帯情報における特定の内容(項目)が指定された場合に、データ提供部622は、データ記憶部63に保存されている流通データのうち、該当する付帯情報が含まれる流通データを抽出する(読み出す)。そして、データ提供部622は、通信部61を制御して、抽出した流通データをデータ利用サーバ70に送信する。
【0036】
データ記憶部63は、データ収集部621が収集した流通データを蓄積する。つまり、データ記憶部63は、
図6に示すように、各家庭から収集した膨大な数の流通データ(流通データ群)を記憶する。
【0037】
図1に戻って、データ利用サーバ70は、例えば、流通データを利用するサービサが構築したサーバ(一例として、オンプレミスのサーバ)、又は、クラウドベンダが構築したパブリッククラウドであり、データ収集サーバ60から提供される流通データを用いた各種サービスを提供する。
【0038】
データ利用サーバ70の具体的な構成について、
図7を参照して説明する。
図7は、データ利用サーバ70の構成を説明するためのブロック図である。図示するように、データ利用サーバ70は、通信部71と、制御部72とを備えている。なお、データ利用サーバ70は、データ収集サーバ60から提供される流通データを保存するデータ記憶部を更に備えてもよい。
【0039】
通信部71は、例えば、インターネットN2を通じて、データ収集サーバ60と通信可能なネットワークインタフェースである。なお、通信部71は、データ収集サーバ60との通信を、標準化されたWeb APIに沿って行う。つまり、データ利用サーバ70は、データ収集サーバ60からWeb APIに応じたデータフォーマット(一例として、JSON形式のフォーマット)で送られる流通データを受信する。
【0040】
制御部72は、例えば、CPU,ROM,RAM等を備えており、データ利用サーバ70の動作を制御する。より詳細に、制御部72には、機能的に、データ分析部721と、サービス提供手段の一例であるサービス提供部722とが含まれている。これらの機能は、例えば、CPUが、RAMをワークメモリとして用い、ROMに記憶されているプログラムを適宜実行することにより実現される。
【0041】
データ分析部721は、データ収集サーバ60から提供された流通データを分析する。例えば、データ利用サーバ70が、見守りサービス(一例として、離れて暮らしている親世帯の安否を確認するサービス)を提供している場合では、データ分析部721は、見守り対象となる家庭(住宅H)の流通データを分析し、その家庭において異常の有無を判別する。より具体的に、見守り対象の家庭に、空調機10、人感センサ40等の機器が配置されており、それらの機器についての流通データがデータ収集サーバ60から提供される場合を一例として説明する。その場合、データ分析部721は、上述した
図3Cに示す空調機10の流通データにおいて、空調機10のPowerがOnの状態であり、かつ、上述した
図4Bに示す人感センサ40の流通データ(時系列に沿った複数の流通データ)において、人感センサ40から一定時間(一例として、30分)に亘って「検出なし」(一例として、機器データの値が10mV以下の状態)が続いた場合に、異常と判別する。その際、データ分析部721は、
図4Bに示す流通データの付帯情報から、人感センサ40の精度が基準よりも低いと判別した場合に、例えば、上記の一定時間を30分から45分に延ばして、異常の判別を行うようにしてもよい。つまり、データ分析部721は、流通データに含まれる付帯情報に応じて、異常を検出する手法を適宜変更する。
【0042】
サービス提供部722は、データ分析部721による分析(判別)結果に応じて、ユーザに必要な情報を提供する。例えば、データ利用サーバ70が、見守りサービスを提供している場合において、サービス提供部722は、データ分析部721が異常を判別した際に、登録されたユーザ(一例として、見守り対象の親族)のアドレス先に、電子メールを送信し、異常の発生を通知する。なお、電子メールを用いるのは一例であり、他に、サービス提供部722は、登録されたユーザのSNS(Social Networking Service)アカウントに、メッセージを送信し、異常の発生を通知してもよい。
【0043】
以下、このような構成のデータ流通システム1の動作について、
図8,及び、
図9を参照して説明する。
図8は、空調機10、照明装置20、温度センサ30、人感センサ40等の機器が実行するデータ送信処理、及び、データ収集サーバ60が実行するデータ蓄積処理の一例を示すフローチャートである。また、
図9は、データ利用サーバ70が実行する見守り処理、及び、データ収集サーバ60が実行するデータ提供処理の一例を示すフローチャートである。
【0044】
最初に、
図8を参照して、機器におけるデータ送信処理、及び、データ収集サーバ60におけるデータ蓄積処理について説明する。これらのデータ送信処理及びデータ蓄積処理は、機器及びデータ収集サーバ60において、繰り返し実行される。
【0045】
まず、機器は、データの送信条件を満たしたか否かを判別する(ステップS101)。例えば、空調機10のデータ生成部122は、送信条件が5分間隔であれば、前回の送信から5分が経過したか否かを判別する。なお、送信条件には、空調機10の状態変化時が含まれていてもよい。その場合、データ生成部122は、空調機10の電源又は運転モードが変化したか否かも併せて判別する。
【0046】
機器は、データの送信条件を満たしていないと判別すると(ステップS101;No)、そのまま、送信条件を満たすまで待機する。
【0047】
一方、データの送信条件を満たしていると判別した場合(ステップS101;Yes)に、機器は、機器データを生成する(ステップS102)。例えば、空調機10のデータ生成部122は、空調機10の状態に応じて、
図3Aに示すような機器データを生成する。
【0048】
機器は、機器データに付帯情報を付加して流通データを生成する(ステップS103)。例えば、空調機10のデータ生成部122は、
図3Aの機器データに
図3Bの付帯情報を付加して、
図3Cに示すような流通データを生成する。なお、
図3Cに示す流通データは、JSON形式にて記述されている場合を示しているが、一例であり、XML形式、CSV形式など他の形式で記述されていてもよい。
【0049】
機器は、生成した流通データをデータ収集サーバ60に送信する(ステップS104)。例えば、空調機10の通信部11は、ステップS103にて生成された
図3Cに示すような流通データを、ルータ50を通じて、データ収集サーバ60に送信する。なお、機器が、温度センサ30であれば、
図4Aに示すような流通データを、データ収集サーバ60に送信し、また、機器が、人感センサ40であれば、
図4Bに示すような流通データを、データ収集サーバ60に送信する。
【0050】
一方のデータ収集サーバ60は、流通データを受信したか否かを判別する(ステップS201)。つまり、データ収集部621は、機器から送られる流通データを、通信部61にて、受信したかどうかを判別する。
【0051】
データ収集サーバ60は、流通データを受信していないと判別すると(ステップS201;No)、そのまま、流通データを受信するまで待機する。
【0052】
一方、流通データを受信したと判別した場合(ステップS201;Yes)に、データ収集サーバ60は、受信した流通データを蓄積する(ステップS202)。すなわち、データ収集部621は、受信した流通データをデータ記憶部63に保存する。
【0053】
続いて、
図9を参照して、データ利用サーバ70における見守り処理、及び、データ収集サーバ60におけるデータ提供処理について説明する。これらの見守り処理及びデータ提供処理は、データ利用サーバ70及びデータ収集サーバ60において、繰り返し実行される。
【0054】
まず、データ利用サーバ70は、付帯情報の内容を指定して、流通データを要求する(ステップS301)。例えば、データ利用サーバ70は、見守り対象の家庭(住居H)に配置されている空調機10及び人感センサ40の固有情報(一例として、シリアル番号)を指定しつつ、データ収集サーバ60に対して、流通データを要求する。
【0055】
一方のデータ収集サーバ60は、要求があったか否かを判別する(ステップS401)。つまり、データ提供部622は、データ利用サーバ70から送られる要求(付帯情報の内容を指定した要求)を、通信部61にて、受信したかどうかを判別する。
【0056】
データ収集サーバ60は、要求がなかったと判別すると(ステップS401;No)、そのまま、要求があるまで待機する。
【0057】
一方、要求があったと判別した場合(ステップS401;Yes)に、データ収集サーバ60は、要求に該当する流通データを抽出する(ステップS402)。すなわち、データ提供部622は、指定された機器の固有情報(一例として、シリアル番号)に合致する付帯情報を含んだ流通データを、データ記憶部63から読み出す。
【0058】
データ収集サーバ60は、流通データをデータ利用サーバ70に提供する(ステップS403)。すなわち、データ提供部622は、通信部61を制御して、抽出した流通データをデータ利用サーバ70に送信する。
【0059】
データ利用サーバ70は、データ収集サーバ60から提供される流通データを受信する(ステップS302)。
【0060】
データ利用サーバ70は、受信した流通データを分析する(ステップS303)。すなわち、データ分析部721は、流通データを分析して、異常の有無を判別する。例えば、データ分析部721は、
図3Cに示す空調機10の流通データにおいて、空調機10のPowerがOnの状態であり、かつ、
図4Bに示す人感センサ40の流通データ(時系列に沿った複数の流通データ)において、人感センサ40から一定時間(一例として、30分)に亘って「検出なし」(一例として、人感センサ40の値が10mV以下の状態)が続いている場合に、異常と判別する。その際、データ分析部721は、
図4Bに示す流通データの付帯情報から、人感センサ40の精度が基準よりも低いと判別した場合に、例えば、上記の一定時間を30分から45分に延ばして、異常の判別を行うようにしてもよい。
【0061】
データ利用サーバ70は、ステップS303における分析結果により、見守り対象の家庭で、異常があったかどうかを判別する(ステップS304)。データ利用サーバ70は、異常がないと判別すると(ステップS304;No)、上述したステップS301に処理を戻す。
【0062】
一方、異常があったと判別した場合(ステップS304;Yes)に、データ利用サーバ70は、異常の発生を電子メールにて通知する(ステップS305)。すなわち、サービス提供部722は、登録されたユーザ(一例として、見守り対象の親族)のアドレス先に、電子メールを送信し、異常の発生を通知する。
【0063】
このような
図8に示す処理によって、機器データ及び付帯情報が含まれる流通データが、データ収集サーバ60に蓄積され、また、
図9に示す処理によって、有用な流通データを利用することができる。すなわち、利用者側は、付帯情報に基づいて、流通データについての有効性、信頼性等を検証できる。また、利用者側は、付帯情報に基づいて、流通データの使い分けが行えるようになる。つまり、流通データに付帯情報が付加されているため、利用者側は、流通データ(機器データ)の加工若しくは使い分けが容易になる。例えば、異なる設置箇所から取得した流通データに含まれる機器データ(一例として、温度のデータ)を演算するときに、精度又は分解能に応じて、有効数字を適切に定めたり、また、精度の高い機器データを判定に用い、逆に精度の低い機器データを表示にだけ用いることが可能となる。また、機器が、同じ物理量を測定するために精度の異なるセンサを複数備えているような場合でも、流通データに付帯情報が付加されているため、利用者側は、何れのセンサで測定した物理量を採用するかを、状況に応じて、適宜切り換えることができる。その場合、状況に応じて切り換えることで、有用な流通データだけを使用し、通信量も最適化できる。そして、データ利用サーバ70では、上述した見守り処理の他にも、種々のサービスを提供できる。つまり、データ利用サーバ70は、データ収集サーバ60から提供された流通データに含まれる付帯情報を用いて、サービスに応じて最適化したアルゴリズムを組むことで、種々のサービスを提供することができる。
【0064】
この結果、本発明の実施形態1に係るデータ流通システム1において、より適切なデータを流通させることができる。
【0065】
上記の実施形態1では、データ収集サーバ60が、データ利用サーバ70からの要求に応じて、流通データを提供する場合について説明したが、データ収集サーバ60が該当する流通データを収集したことに応じて、要求を待たずに、データ収集サーバ60からデータ利用サーバ70にその流通データを提供するようにしてもよい。
【0066】
上記の実施形態1では、空調機10、照明装置20、温度センサ30、人感センサ40等の機器側で、流通データを生成する場合について説明したが、機器からは機器データをそのまま送るようにし、データ収集サーバ60側で流通データを生成してもよい。以下、データ収集サーバ60側で流通データを生成することを特徴とする実施形態2について説明する。
【0067】
(実施形態2)
本発明の実施形態2に係るデータ流通システム1の全体構成は、上述した
図1に示す構成と同じである。また、空調機10、照明装置20、温度センサ30、人感センサ40等の機器の構成も、上述した
図2に示す構成と同じである。なお、実施形態2において、データ生成部122は、機器データを生成するまでとする。そして、データ利用サーバ70の構成も、上述した
図7に示す構成と同じである。
【0068】
図10は、本発明の実施形態2に係るデータ収集サーバ60の構成を説明するためのブロック図である。図示するように、データ収集サーバ60は、通信部61と、制御部62と、データ蓄積手段の一例であるデータ記憶部63と、付帯情報データベース64とを備えている。なお、制御部62には、流通データ生成手段の一例である流通データ生成部623が更に含まれている。つまり、
図10に示すデータ収集サーバ60の構成は、流通データ生成部623、及び、付帯情報データベース64を更に備えている点で、上述した
図5のデータ収集サーバ60と異なっている。
【0069】
付帯情報データベース64は、空調機10、照明装置20、温度センサ30、人感センサ40等の機器(一例として、機器ID)に対応する付帯情報を記憶するデータベースである。例えば、付帯情報データベース64には、
図11に示すような、メーカ、型番等に対応する付帯情報が記憶されている。なお、このような付帯情報データベース64に記憶される付帯情報は、最低限の内容(項目)となっている(一例として、メーカ、型番、シリアル番号のみ)。
【0070】
また、制御部62において、データ収集部621は、空調機10、照明装置20、温度センサ30、人感センサ40等の機器から機器データを収集する。つまり、データ収集部621は、上述した
図3Aに示すような機器データだけを収集する。
【0071】
そして、流通データ生成部623は、データ収集部621が収集した機器データに対応する付帯情報を付帯情報データベース64から取得し、機器データに付帯情報を付加して
図12に示すような流通データを生成する。なお、
図12に示す流通データは、JSON形式にて記述されている場合を示しているが、一例であり、XML形式、CSV形式など他の形式で記述されていてもよい。流通データ生成部623は、生成した流通データをデータ記憶部63に保存する。
【0072】
また、データ提供部622は、上記と同様に、データ利用サーバ70からの要求に応じて、該当する流通データをデータ利用サーバ70に提供する。
【0073】
以下、実施形態2に係るデータ流通システム1の動作について、
図13を参照して説明する。
図13は、空調機10、照明装置20、温度センサ30、人感センサ40等の機器が実行するデータ送信処理、及び、データ収集サーバ60が実行するデータ蓄積処理の一例を示すフローチャートである。なお、
図13において、上述した
図8の処理と同じ処理内容には、同じ符号を付している。
【0074】
まず、機器は、データの送信条件を満たしたか否かを判別する(ステップS101)。機器は、データの送信条件を満たしていないと判別すると(ステップS101;No)、そのまま、送信条件を満たすまで待機する。
【0075】
一方、データの送信条件を満たしていると判別した場合(ステップS101;Yes)に、機器は、機器データを生成する(ステップS102)。例えば、空調機10のデータ生成部122は、空調機10の状態に応じて、
図3Aに示すような機器データを生成する。なお、機器データには、機器を識別するための機器IDも含まれているものとする。
【0076】
機器は、生成した機器データをデータ収集サーバ60に送信する(ステップS113)。例えば、空調機10の通信部11は、ステップS102にて生成された機器データを、ルータ50を通じて、データ収集サーバ60に送信する。
【0077】
一方のデータ収集サーバ60は、機器データを受信したか否かを判別する(ステップS211)。つまり、データ収集部621は、機器から送られる機器データを、通信部61にて、受信したかどうかを判別する。
【0078】
データ収集サーバ60は、機器データを受信していないと判別すると(ステップS211;No)、そのまま、機器データを受信するまで待機する。
【0079】
一方、機器データを受信したと判別した場合(ステップS211;Yes)に、データ収集サーバ60は、機器データに付帯情報を付加して流通データを生成する(ステップS212)。すなわち、流通データ生成部623は、ステップS211にて受信した機器データに対応する付帯情報を付帯情報データベース64から取得し、機器データに付帯情報を付加して
図12に示すような流通データを生成する。なお、
図12に示す流通データは、JSON形式にて記述されている場合を示しているが、一例であり、XML形式、CSV形式など他の形式で記述されていてもよい。
【0080】
データ収集サーバ60は、流通データを蓄積する(ステップS202)。すなわち、データ収集部621は、ステップS212にて生成した流通データをデータ記憶部63に保存する。
【0081】
このような
図13に示す処理によって、機器データ及び付帯情報が含まれる流通データが、データ収集サーバ60に蓄積される。その際、機器は、機器データをデータ収集サーバ60に送信するだけであるため、処理負荷、通信量等を低減することができる。そして、実施形態2に係るデータ流通システム1でも、上述した
図9に示す処理を行うことによって、有用な流通データを利用することができる。すなわち、利用者側は、付帯情報に基づいて、流通データについての有効性、信頼性等を検証できる。また、利用者側は、付帯情報に基づいて、流通データの使い分けが行えるようになる。つまり、流通データに付帯情報が付加されているため、利用者側は、流通データ(機器データ)の加工若しくは使い分けが容易になる。例えば、異なる設置箇所から取得した流通データに含まれる機器データ(一例として、温度のデータ)を演算するときに、精度又は分解能に応じて、有効数字を適切に定めたり、また、精度の高い機器データを判定に用い、逆に精度の低い機器データを表示にだけ用いることが可能となる。また、機器が、同じ物理量を測定するために精度の異なるセンサを複数備えているような場合でも、流通データに付帯情報が付加されているため、利用者側は、何れのセンサで測定した物理量を採用するかを、状況に応じて、適宜切り換えることができる。その場合、状況に応じて切り換えることで、有用な流通データだけを使用し、通信量も最適化できる。そして、データ利用サーバ70では、上述した見守り処理の他にも、種々のサービスを提供できる。つまり、データ利用サーバ70は、データ収集サーバ60から提供された流通データに含まれる付帯情報を用いて、サービスに応じて最適化したアルゴリズムを組むことで、種々のサービスを提供することができる。
【0082】
この結果、本発明の実施形態2に係るデータ流通システム1において、より適切なデータを流通させることができる。
【0083】
上記の実施形態1,2では、データ収集サーバ60が、空調機10、照明装置20、温度センサ30、人感センサ40等の機器から収集した流通データ、若しくは、データ収集サーバ60側で生成した流通データだけを蓄積する場合について説明したが、蓄積した複数の流通データを基に、新たな流通データを生成して蓄積するようにしてもよい。以下、データ収集サーバ60側で新たな流通データを生成することを特徴とする実施形態3について説明する。
【0084】
(実施形態3)
本発明の実施形態3に係るデータ流通システム1の全体構成は、上述した
図1に示す構成と同じである。また、空調機10、照明装置20、温度センサ30、人感センサ40等の機器の構成も、上述した
図2に示す構成と同じである。なお、実施形態3において、データ生成部122は、実施形態1と同じく、流通データまで生成する。そして、データ利用サーバ70の構成も、上述した
図7に示す構成と同じである。
【0085】
図14は、本発明の実施形態3に係るデータ収集サーバ60の構成を説明するためのブロック図である。図示するように、データ収集サーバ60は、通信部61と、制御部62と、データ蓄積手段の一例であるデータ記憶部63とを備えている。なお、制御部62には、
図5の制御部62の構成に、流通データ加工手段の一例であるデータ加工部624が更に含まれている。
【0086】
制御部62において、データ収集部621は、空調機10、照明装置20、温度センサ30、人感センサ40等の機器から流通データを収集する。つまり、データ収集部621は、上述した
図3C,
図4A等に示すような流通データを収集して、データ記憶部63に保存する。なお、
図3Cに示す空調機10の流通データは、一例として、5分間隔で収集され、また、
図4Aに示す温度センサ30の流通データは、一例として、1分間隔で収集される場合について、以下説明する。
【0087】
データ加工部624は、データ収集部621が収集した流通データを加工して新たな流通データを生成する。例えば、5分間隔で収集される空調機10の流通データを線形補間して、間を埋める1分間隔の流通データを生成する。具体的に、データ加工部624は、
図15Aに示すような5分前の流通データ(取得時刻が5分前である空調機10の流通データの一部)と、
図15Bに示すような現時点の流通データ(取得時刻が現時点である空調機10の流通データの一部)とを線形補間して、4分前、3分前、2分前、及び、1分前の流通データをそれぞれ生成する。具体的に、
図15Aに示す5分前の流通データにおける室温が25℃であり、
図15Bに示す現時点の流通データにおける室温が26℃であるため、データ加工部624は、4分前の室温を25.2℃、3分前の室温を25.4℃、2分前の室温を25.6℃、及び、1分前の室温を25.8℃にした流通データを、
図15Cに示すように、それぞれ生成する。その際、データ加工部624は、
図15Cに示す流通データにおいて、精度(Resolution)に「1.0」を設定して粗くする(室温についての精度を下げる)と共に、処理内容(Processing)に「12」を設定して、線形補間が行われていることを明確にしている。
【0088】
なお、データ加工部624は、このような線形補間だけでなく他の加工により、新たな流通データを生成してもよい。例えば、データ加工部624は、一定期間(一例として、60分前から現時点まで)の流通データにおける室温の平均を求め、求めた平均室温の流通データを新たに生成してもよい。
【0089】
そして、データ加工部624は、このように加工によって生成した新たな流通データをデータ記憶部63に保存する。
【0090】
また、データ提供部622は、上記と同様に、データ利用サーバ70からの要求に応じて、該当する流通データをデータ利用サーバ70に提供する。
【0091】
以下、実施形態3に係るデータ流通システム1の動作について、
図16及び
図17を参照して説明する。
図16は、データ収集サーバ60が実行するデータ蓄積処理の一例を示すフローチャートである。なお、空調機10、照明装置20、温度センサ30、人感センサ40等の機器が実行するデータ送信処理は、
図8と同じであるため省略している。なお、
図16において、上述した
図8のデータ蓄積処理と同じ処理内容には、同じ符号を付している。また、
図17は、データ利用サーバ70が実行する室温監視処理の一例を示すフローチャートである。なお、データ収集サーバ60が実行するデータ提供処理は、
図9と同じであるため省略している。
【0092】
最初に、
図16を参照して、データ収集サーバ60におけるデータ蓄積処理について説明する。
【0093】
データ収集サーバ60は、機器から送られる流通データを受信したか否かを判別する(ステップS201)。データ収集サーバ60は、流通データを受信していないと判別すると(ステップS201;No)、そのまま、流通データを受信するまで待機する。
【0094】
一方、流通データを受信したと判別した場合(ステップS201;Yes)に、データ収集サーバ60は、受信した流通データが空調機10からの流通データであるか否かを判別する(ステップS222)。例えば、データ収集部621は、受信したのが、5分間隔で収集される空調機10の流通データであるかどうかを判別する。
【0095】
データ収集サーバ60は、空調機10からの流通データでないと判別すると(ステップS222;No)、後述するステップS202に処理を進める。
【0096】
一方、空調機10からの流通データであると判別した場合(ステップS222;Yes)に、データ収集サーバ60は、5分前の流通データを取得する(ステップS223)。すなわち、データ加工部624は、データ記憶部63から、5分前の空調機10の流通データを読み出す。
【0097】
データ収集サーバ60は、1分毎に補完した室内温度を算定する(ステップS224)。例えば、ステップS223にて取得した5分前の流通データにおける室温が25℃であり、また、ステップS201にて受信した現時点の流通データにおける室温が26℃であった場合に、データ加工部624は、線形補間により、4分前の室温を25.2℃、3分前の室温を25.4℃、2分前の室温を25.6℃、及び、1分前の室温を25.8℃と算定する。
【0098】
データ収集サーバ60は、補完した室内温度毎に流通データを生成する(ステップS225)。例えば、データ加工部624は、
図15Cに示すように、4分前、3分前、2分前、及び、1分前の流通データをそれぞれ生成する。その際、データ加工部624は、
図15Cに示す流通データにおいて、精度(Resolution)に「1.0」を設定して粗くする(室温についての精度を下げる)と共に、処理内容(Processing)に「12」を設定して、線形補間が行われていることを明確にしている。
【0099】
データ収集サーバ60は、流通データを蓄積する(ステップS202)。すなわち、データ収集部621は、ステップS201にて受信した流通データをデータ記憶部63に保存する。また、データ加工部624は、ステップS225にて新たに生成した流通データをデータ記憶部63に保存する。
【0100】
続いて、
図17を参照して、データ利用サーバ70における室温監視処理について説明する。
【0101】
まず、データ利用サーバ70は、付帯情報の内容を指定して、流通データを要求する(ステップS501)。例えば、データ利用サーバ70は、室温を監視する対象の家庭(住居H)に配置されている空調機10及び温度センサ30の固有情報(一例として、シリアル番号)を指定しつつ、データ収集サーバ60に対して、流通データを要求する。
【0102】
データ利用サーバ70は、データ収集サーバ60から提供される流通データを受信する(ステップS502)。
【0103】
データ利用サーバ70は、受信した流通データの付帯情報で示される室温の精度が基準よりも高いか否かを判別する(ステップS503)。例えば、データ分析部721は、付帯情報における精度(Resolution)が、「0.1」以下であるか否かを判別する。なお、
図3Cに示す空調機10の流通データでは、精度(Resolution)が「0.5」と記述されており、また、
図15Cに示す補完した空調機10の流通データでは、精度(Resolution)が「1.0」と記述されており、そして、
図4Aに示す温度センサ30の流通データでは、精度(Resolution)が「0.1」と記述されている。そのため、温度センサ30の流通データだけが、室温の精度が基準よりも高いと判別される。
【0104】
データ利用サーバ70は、付帯情報で示される室温の精度が基準よりも高くないと判別すると(ステップS503;No)、上述したステップS501に処理を戻す。
【0105】
一方、付帯情報で示される室温の精度が基準よりも高いと判別した場合(ステップS503;Yes)に、データ利用サーバ70は、その室温が上限値を超えているか否かを判別する(ステップS504)。なお、このように、室温を上限値と比較するだけでなく、下限値とも比較するようにしてもよい。
【0106】
データ利用サーバ70は、室温が上限値を超えていないと判別すると(ステップS504;No)、上述したステップS501に処理を戻す。
【0107】
一方、室温が上限値を超えていると判別した場合(ステップS504;Yes)に、データ利用サーバ70は、室温の異常を電子メールにて通知する(ステップS505)。すなわち、サービス提供部722は、登録されたユーザのアドレス先に、電子メールを送信し、室温の異常を通知する。
【0108】
なお、
図17に示す室温監視処理では、室温の異常を通知する処理だけを示しているが、データ利用サーバ70が、データ収集サーバ60から提供された流通データを蓄積するようにし、利用者端末(一例として、スマートフォン)から室温の照会があった場合に、室温の変化を時系列で表示するようにしてもよい。その際、精度の高い温度センサ30の流通データを用いて、室温を表示するようにしてもよい。また、空調機10と温度センサ30の設置場所(一例として、部屋の上部、机の上など)の情報が付帯情報に含まれている場合に、それぞれの場所と室温とを併記して表示してもよい。なお、上述した様に、空調機10の流通データは、1分毎に補間されているため、利用者端末は、温度センサ30が計測した室温と空調機10が計測した室温とを、1分単位の時系列でそれぞれ表示することができる。
【0109】
このような
図16に示すデータ蓄積処理によって、機器データ及び付帯情報が含まれる流通データが、適宜加工されてデータ収集サーバ60に蓄積され、また、
図17に示す室温監視処理によって、有用な流通データを利用することができる。すなわち、新たな流通データが加工により生成されるため、利用者に対してより細かなサービスを提供することができる。また、利用者側は、付帯情報に基づいて、流通データについての有効性、信頼性等を検証できる。また、利用者側は、付帯情報に基づいて、流通データの使い分けが行えるようになる。つまり、流通データに付帯情報が付加されているため、利用者側は、流通データ(機器データ)の加工若しくは使い分けが容易になる。例えば、異なる設置箇所から取得した流通データに含まれる機器データ(一例として、温度のデータ)を演算するときに、精度又は分解能に応じて、有効数字を適切に定めたり、また、精度の高い機器データを判定に用い、逆に精度の低い機器データを表示にだけ用いることが可能となる。また、機器が、同じ物理量を測定するために精度の異なるセンサを複数備えているような場合でも、流通データに付帯情報が付加されているため、利用者側は、何れのセンサで測定した物理量を採用するかを、状況に応じて、適宜切り換えることができる。その場合、状況に応じて切り換えることで、有用な流通データだけを使用し、通信量も最適化できる。そして、データ利用サーバ70では、上述した室温監視処理の他にも、種々のサービスを提供できる。つまり、データ利用サーバ70は、データ収集サーバ60から提供された流通データに含まれる付帯情報を用いて、サービスに応じて最適化したアルゴリズムを組むことで、種々のサービスを提供することができる。
【0110】
この結果、本発明の実施形態3に係るデータ流通システム1において、より適切なデータを流通させることができる。
【0111】
また、上記の実施形態において、データ収集サーバ60及びデータ利用サーバ70の制御部62,72により実行されるプログラムは、CD−ROM(Compact Disc Read Only Memory),DVD(Digital Versatile Disc),MO(Magneto-Optical Disk),USBメモリ,メモリカード等のコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納して配布することも可能である。そして、かかるプログラムを特定の又は汎用のコンピュータにインストールすることによって、当該コンピュータを上記の実施形態におけるデータ収集サーバ60及びデータ利用サーバ70として機能させることも可能である。
【0112】
また、上記のプログラムをインターネットといった通信ネットワーク上のサーバ装置が有するディスク装置に格納しておき、例えば、搬送波に重畳させて、コンピュータにダウンロードするようにしてもよい。また、通信ネットワークを介してプログラムを転送しながら起動実行することによっても、上述の処理を達成することができる。さらに、プログラムの全部又は一部をサーバ装置上で実行させ、その処理に関する情報をコンピュータが通信ネットワークを介して送受信しながらプログラムを実行することによっても、上述の処理を達成することができる。
【0113】
なお、上述の機能を、OS(Operating System)が分担して実現する場合又はOSとアプリケーションとの協働により実現する場合等には、OS以外の部分のみを上記の記録媒体に格納して配布してもよく、また、コンピュータにダウンロードしてもよい。
【0114】
本発明は、広義の精神と範囲を逸脱することなく、様々な実施形態及び変形が可能である。また、上述した実施形態は、本発明を説明するためのものであり、本発明の範囲を限定するものではない。つまり、本発明の範囲は、実施形態ではなく、請求の範囲によって示される。そして、請求の範囲内及びそれと同等の発明の意義の範囲内で施される様々な変形が、本発明の範囲内とみなされる。