(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ノズル部における筒部の先端面と前記キャップとは離間しており、前記キャップ内空間における、前記先端面と前記キャップとの間の空間には、前記ペーストが充填されている請求項1に記載の充填済み容器。
前記キャップは透明であり、前記キャップ内空間に充填されている前記ペーストは、前記キャップの外部から目視可能である請求項1から4のいずれか一項に記載の充填済み容器。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図面に基づいて、本発明の実施形態に係る充填済み容器及び泡混入抑制方法について説明する。
【0018】
(概要の説明)
図1には、本実施形態に係る充填済み容器の容器として用いるシリンジ1を示している。
図2には、容器の充填装置Mの一例を示している。
【0019】
シリンジ1は、
図1に示すように、ペーストPを充填可能であり、充填されたペーストPを吐出させることができる容器である。なお、
図1に示すシリンジ1の具体的な形状は本実施形態を説明するための例示に過ぎない。
【0020】
シリンジ1は、ペーストPが充填される筒状の胴部10、胴部10の先端部に設けられ、胴部よりも細い筒状のノズル部11、及び、ノズル部11の先端に外嵌された有底筒状のキャップ2を備えている。
【0021】
シリンジ1は、キャップ2をキャップ2から取り外して開封した状態で、ノズル部11の先端開口からペーストPを吐出させることができる。
【0022】
シリンジ1は、胴部10の筒内に挿入されるプランジャ18を装着可能となっている。シリンジ1では、ペーストPを吐出させる場合、キャップ2を取り外した後、プランジャ18を胴部10の筒内部に押し込むことにより、胴部10の筒内に充填されたペーストPを押し出して、ノズル部11から吐出させることができる。
【0023】
ペーストPは、後述するように、ノズル部11とキャップ2とに隙間が生じないようにノズル部11がキャップ2で封止されたのちに胴部10内に充填される。
【0024】
以下の説明では、シリンジ1において、胴部10から見てノズル部11側を先端側と定義し、その反対側を後端側と定義する。
【0025】
図2には、充填装置Mを示している。充填装置Mは、シリンジ1へペーストPを充填する装置である。
図2では、充填装置Mにシリンジ1が装着されている状態を示している。
図2では、鉛直方向における上側に胴部10の後端側であるクリップ部10bが配置されており、鉛直方向における上側に胴部10の先端側であるノズル部11が配置されている場合を示している。充填装置Mは、シリンジ1の胴部10、胴部10のノズル部11、及び、キャップ2にペーストを充填することができる。
【0026】
充填装置Mは、ペーストPを吐出して、シリンジ1の胴部10及びノズル部11の内部
空間S(
図1参照)にペーストPを充填する充填ノズル6と、充填ノズル6によるペーストPの吐出を制御する制御部9と、を備えている。
【0027】
本実施形態では、充填装置Mが更に、シリンジ1に供給するペーストPを貯留したタンク3、タンク3から充填ノズル6へのペーストPの供給量を調節する液量調整部4、充填ノズル6を昇降させる昇降部5、シリンジ1を保持する保持部7、及び、昇降部5や保持部7を支持する支柱などで構成される支持本体8を有する場合を例示して説明している。
【0028】
以下の説明では、充填装置Mの上下を説明する場合に、鉛直方向における上向きを上、下向きを下と定義して説明する。
図2の場合では、シリンジ1の先端側は充填装置Mの下側に対応し、シリンジ1の後端側は充填装置Mの上側に対応する。
【0029】
制御部9は、充填ノズル6がシリンジ1のノズル部11の筒内部に挿入された状態で、充填ノズル6からペーストPを吐出開始させて、シリンジ1の胴部10及びノズル部11の内部空間S(
図1参照)にペーストPを充填する。
【0030】
(詳細説明)
図1に示すように、胴部10は、ポリオレフィンなどで形成された樹脂製の容器である。胴部10には、ペーストPを充填可能な内部空間Sが形成されている。
【0031】
胴部10は、円筒状の直胴部分10aと、直胴部分10aの先端部に形成されたノズル部11と、直胴部分10aの先端部に形成されており、ノズル部11の外側に嵌る筒状で、筒壁面にネジ部13が形成されたスリーブ12と、直胴部分10aの後端部に形成されたクリップ部10bとを備えている。直胴部分10a、ノズル部11、スリーブ12及びクリップ部10bは射出成型などにより一体成型されている。胴部10は、透明であると、ペーストPの状態を外部から目視可能となり、外部からペーストPの充填状態が適切であるか否かを把握できるため好ましい。本実施形態では、胴部10が透明である場合を説明している。以下では、内部空間Sのうち、直胴部分10aの筒の内側の空間を空間S1(
図3参照)と称する。
【0032】
直胴部分10aは、一例として、外径が10mm〜20mmである。また、軸心Yに沿う方向の長さは60mm〜120mm程度である。また、肉厚は、0.5mm〜2mmである。なお、これら外径、長さ及び肉厚は、直胴部分10aの形状や大きさの例示であって、本実施形態はこのような形状や大きさに限られない。
【0033】
クリップ部10bは、直胴部分10aの後端部において、胴部10の径方向外側に延出するリブ状に形成されている。クリップ部10bは、シリンジ1の使用時における使いやすさ向上(使用時における、把持や支持に利用可能)のために形成されており、シリンジ1から省略可能である。
【0034】
ノズル部11は、胴部10に充填されたペーストPを吐出する円筒状の部材である。ノズル部11は、後端側から先端側に向けて、ややすぼむ形状とされている。ノズル部11の外径は直胴部分10aの外径よりも小さく形成されている。ノズル部11の筒内部と直胴部分10aの筒内部とは連通している。以下では、内部空間Sのうち、ノズル部11の筒の内側の空間を空間S2(
図3参照)と称する。
【0035】
本実施形態におけるノズル部11は、
図3参照に示すように、直胴部分10aの先端側に形成されたテーパー部10cの先端から軸心Yに沿い延出するように形成されている。ノズル部11は、後端側から先端側にかけて、外径がやや小さくなり、先端側が窄まった形状となっている。そして、ノズル部11の軸心Xは直胴部分10aの軸心Yに沿うよう
に配置されている。本実施形態では一例として軸心Xは軸心Yと重複しており同軸心である。
【0036】
ノズル部11は、一例として外径が3mm〜6mmである。また、内径が2mm〜4mmである。また、軸心Xに沿う方向の長さは、8mm〜15mm程度である。そして、肉厚は0.5mm〜2mmである。なお、これら外径などは、ノズル部11の形状や大きさの例示であって、本実施形態はこのような形状や大きさに限られない。本実施形態では、ノズル部11の内径が2.4mmである場合を例示して説明する。
【0037】
スリーブ12は、
図3に示すように、キャップ2を固定するための固定座である。スリーブ12は、円筒状に形成されており、ノズル部11を筒の内側にはめ込んだ位置関係で、直胴部分10aの先端部に設けられている。スリーブ12は、ノズル部11の軸心Xと同軸心となるように形成されている。本実施形態において、スリーブ12の外径は直胴部分10aよりも小さく形成されている場合を例示しているが、スリーブ12の外径は直胴部分10aよりも大きく形成されていてもよい。スリーブ12の筒内周面には一例としてネジ部13が二条ネジ(本実施形態では雌ネジ)として形成されている。
【0038】
キャップ2は、ポリオレフィンなどで形成された樹脂製の有底筒状の蓋部材である。キャップ2は、本実施形態では透明である。キャップ2は、透明であると、ペーストPの状態を外部から目視で把握できるため好ましいが、キャップ2は、透明である場合に限られない。
【0039】
キャップ2は、ノズル部11の先端部11aを封止する有底筒状のキャップ部20と、キャップ2の着脱時のつまみとなり、キャップ2の着脱装置などと係合する係合部21とを有する。キャップ部20の筒内部の形状は、後端側から先端側にかけて、内径がやや小さくなり、先端側が窄まった形状であったり、逆に、後端側から先端側にかけて、内径が拡大する形状であったりしてもよい。キャップ部20の筒の内周面は、ノズル部11の外周面に沿うように形成されている。
【0040】
一例として、キャップ部20の外周面上に、スリーブ12のネジ部13と螺合可能なキャップ側ネジ部23が形成されている。キャップ側ネジ部23は二条ネジ(本実施形態では雄ネジ)である。本実施形態においてキャップ2は、スリーブ12と螺合し、スリーブ12への螺合接続により胴部10に固定可能である。キャップ2は、このように螺合接続などされた状態でノズル部11の先端に外嵌されてノズル部11の先端開口を封止する。
【0041】
キャップ2がノズル部11の先端に外嵌された封止状態では、ノズル部11がキャップ部20の筒内に嵌る。この際、キャップ部20の筒の内周面は、ノズル部11の外周面と少なくとも一部が当接し、ノズル部11の先端部11aを封止する。
【0042】
キャップ2がノズル部11の先端に外嵌された封止状態では、ノズル部11の先端部11aとキャップ部20における筒内の筒底面20aとは離間している。本実施形態では、ノズル部11における先端部11aと筒底面20aとは、ノズル部11の先端部11aの内径d以上の距離hだけ離間している。本実施形態において、先端部11aと筒底面20aとの距離hは、軸心Xに沿う方向における、先端部11aから筒底面20aまでの最大距離として定義している。距離hは、後述するようにノズル部11の内径d以上の距離であることが好ましい。なお、距離hは、内径dの3倍以下の距離であれば、通常は足りる。本実施形態では、距離hは、3.0mmであり、内径dは1.5mmである。また、ノズル部11の先端面(
図3では、先端部11aの先端側の面、ノズル部11の筒の先端側の端面)とキャップ2のキャップ部20の内面とは離間している。そして、先端部11aと筒底面20aとの間には、キャップ内空間S3が形成されている。
【0043】
図1に示すペーストPの一例は、導電性フィラーとして銀の微粒子を溶剤や基材樹脂等に分散した熱伝導性導電性接着剤である。このような銀ペーストは、例えば半導体素子をリードフレームや基板等に接着させる接合材料(ダイボンド材)として使用される。熱伝導性導電性接着剤としてのペーストPは、一例として、銀微粒子に加えて、エポキシ樹脂やアクリル樹脂などの基材樹脂、基材樹脂の硬化剤、熱可塑性樹脂、有機溶剤などを含む。銀微粒子の平均粒子径(電子顕微鏡の画像解析によって求めた各粒子の面積から算出した円相当の粒子径の平均)の一例は、10nmから50μmである。銀微粒子の粒度分布は、いわゆるひと山のピークでもふた山以上のピークであってもよい。銀微粒子の粒度分布は、例えば、サブミクロン(300nm)未満の領域と、1μmを超える領域とにそれぞれピークを有していてもよい。銀微粒子の形状は特定の形状に限られず、球形状、ラグビーボール状、針状、フレーク状、その他の不定形状であってよい。銀ペーストは、酸化亜鉛、酸化錫、酸化インジウム、錫とビスマスの複合酸化物などの銀微粒子以外の金属酸化物微粒子を含んでもよい。ペーストPは、例えば、粘度が5から90Pas程度で、揺変性が1.0から11.5程度の上記銀微粒子の粒子分散体である。
【0044】
なお、ペーストPの粘度はRVT型粘度計、HVT型粘度計又はE型粘度計で計測した値を採用することができる。本実施形態では、ペーストPの粘度が50Pas以上である場合は、HVT型粘度計又はE型粘度計で計測した値を採用することが好ましく、25℃で、ロータの回転数を10rpmとして計測した場合の粘度を採用することができる。揺変性は、25℃で、ロータの回転数を10rpmとして計測した場合の粘度の値を、25℃で、ロータの回転数を50rpmとして計測した場合の粘度で除した値を採用することができる。ペーストPの粘度が5Pas以上50Pas未満の場合は、E型粘度計で計測した値を採用することが好ましく、25℃で、ロータの回転数を5rpmとして計測した場合の粘度を採用することができる。揺変性は、25℃で、ロータの回転数を0.5rpmとして計測した場合の粘度の値を、25℃で、ロータの回転数を5rpmとして計測した場合の粘度で除した値を採用することができる。
【0045】
シリンジ1は、
図2に示すように、スリーブ12にキャップ2を螺合接続してノズル部11の先端開口を封止された後、充填装置Mにより胴部10及びキャップ2内にペーストPを充填される。本実施形態では、後述するように、ペーストPは、
図3に示すシリンジ1の空間S1、空間S2及びキャップ内空間S3に充填される。
【0046】
本実施形態ではシリンジ1へのペーストPの充填後、
図1に示すように後端部の開口からプランジャ18と封止蓋19とをこの順で挿入されて後端側の開口を封止される。これにより、シリンジ1は、ペースト充填済み容器となり、ペーストPの塗布機や接着装置などでペーストPの供給容器(いわゆるカートリッジ)として使用される。シリンジ1におけるペーストPの充填状態については後述する。
【0047】
図2に示すように、充填装置Mは、中央制御機構としての制御部9、ペーストPが供給されるシリンジ1を保持する保持部7、胴部10の直胴部分10aの軸心Yに沿う方向に昇降可能なシリンダ50を備えた昇降部5、シリンダ50の昇降位置を検出する位置検出部59、シリンダ50により昇降され、シリンジ1内にペーストPを供給して充填する充填ノズル6、充填ノズル6に供給するペーストPを貯留するタンク3、タンク3から充填ノズル6へペーストPを供給し、且つ、ペーストPの供給量を調整する液量調整部4、液量調整部4から供給されるペーストPの圧力を検出する圧力検出部49及びこれらを支持する支持本体8を備えている。
【0048】
充填装置Mでは、上側から下側に向けて、昇降部5及びタンク3、液量調整部4、及び充填ノズル6の順に配置されている。
【0049】
制御部9は、充填装置Mの動作を制御する、充填装置Mの中央制御機構となる機能部である。制御部9は、充填装置Mの各部や各センサ類から、動作状況や検出状況に係る情報を受信し、また、各部に動作指令を送出してそれらの動作を制御する。制御部9の詳細は後述する。
【0050】
保持部7は、ペーストPが供給されるシリンジ1を保持する治具である。保持部7は、例えば筒状に形成されており、その筒内部にシリンジ1の胴部10を挿入することでシリンジ1を保持する。保持部7は、本実施形態では、胴部10の直胴部分10aの軸心Yが鉛直方向に沿うようにシリンジ1を保持している。
【0051】
昇降部5は、充填ノズル6を昇降させるための昇降機構である。昇降部5は、一例として、エアシリンダ、電動アクチュエータ、サーボモータなどのモータなどの駆動機構を含む。本実施形態では、昇降部5は、その駆動機構に駆動されて胴部10の直胴部分10aの軸心Yに沿う方向(本実施形態では鉛直方向と同じ)に昇降可能なシリンダ50を備えている。シリンダ50は、例えば昇降位置の調節や制御が可能な上述の駆動機構によって駆動され、スライド動作により昇降動作を実現するスライド機構などである。本実施形態では、エアシリンダによってシリンダ50が昇降駆動される場合を例示して説明する。本実施形態において昇降部5は、後述するように、シリンダ50に固定されたタンク3及びタンク3に固定された液量調整部4を介して充填ノズル6を昇降させている。
【0052】
位置検出部59は、昇降部5による充填ノズル6の昇降位置を検出する位置センサなどの計測装置である。位置検出部59は、光学式や圧力式などその位置の検出原理は問わない。本実施形態では、位置検出部59は光学式の位置センサを含み、シリンダ50の昇降位置(移動距離)を検出し、当該検出結果に基づく位置情報を制御部9に送出している。制御部9は、位置検出部59が送出した位置情報に基づいて充填ノズル6の昇降位置を算出し、充填ノズル6の昇降位置を昇降部5で制御することができる。また、制御部9は、位置情報に基づいて充填ノズル6の昇降速度を算出し、充填ノズル6の昇降速度を昇降部5で制御することができる。
【0053】
充填ノズル6は、ペーストPを吐出してシリンジ1にペーストPを充填するためのノズルデバイスである。充填ノズル6は、液量調整部4の下流側に接続されている。充填ノズル6は、例えば液量調整部4に吊り下げた状態で、着脱自在に固定されている。本実施形態では、充填ノズル6は、液量調整部4と連通し、液量調整部4に吊り下げ固定されたノズル基部60と、ノズル基部60の下端側に接続されたノズル状のニードル61とを有する。
【0054】
ノズル基部60は、内部にペーストPが通流可能な筒状の部材である。ノズル基部60は、液量調整部4から供給されたペーストPをニードル61へ供給する。ノズル基部60は、一例として直管状の円筒状形状である。
【0055】
ニードル61は、
図4に示すように、ノズル基部60から供給されたペーストPを胴部10の直胴部分10a、胴部10のノズル部11、及び、キャップ2内で吐出し、これら内部にペーストPを充填する。ニードル61は、一例として直管状の円筒状形状である。ニードル61の筒の外径は、ノズル基部60の外径よりも細い。また、ニードル61の筒の外径は、キャップ2のキャップ部20の内径よりも細い。ニードル61は、一例としてノズル基部60に固定されている。
【0056】
充填ノズル6は、ノズル基部60と種々の大きさや形状のニードル61とを組み合わせたものがあらかじめ準備されてよい。充填ノズル6は、シリンジ1の大きさや形状に合わ
せて適切な充填ノズル6を選択可能とされてよい。
【0057】
充填ノズル6は、昇降部5に昇降されて、ニードル61を、
図2に示すように、胴部10の後端側から胴部10の筒内部に挿入される。充填ノズル6は昇降部5に昇降されて、
図4に示すように、ニードル61の先端部62を、ノズル部11の先端部11aを超えて更に先端側まで突出させて、キャップ部20の筒内まで挿入可能とされている。すなわち、先端部62は、胴部10の後端側の開口部からキャップ部20の筒内までの範囲を進退可能とされている。
【0058】
本実施形態では、充填ノズル6は、ノズル部11に対して、様々な長さや太さ(内径又は外径)のニードル61を任意に着脱及び交換可能となっている。すなわち、ニードル61はシリンジ1の寸法や形状に合わせて任意に交換可能である。
【0059】
ニードル61は、一例として外径が1.5mm〜2.5mmである。また、内径が1.0mm〜2.0mmである。また、肉厚が0.15mm〜0.40mmである。なお、これら外径などは、ニードル61の形状や大きさの例示であって、本実施形態はこのような形状や大きさに限られない。ニードル61の筒の軸方向に沿う方向の長さは、ノズル部11の軸心Xに沿う方向の長さよりも長く、例えば、ノズル部11の軸心Xに沿う方向の長さの130%から250%である。本実施形態のニードル61は、例示として内径1.5mmの場合で説明する。
【0060】
図2に示すように、タンク3は、充填ノズル6によりシリンジ1に供給されるペーストPを貯留する貯留容器である。タンク3から充填ノズル6へのペーストPの供給は、例えばコンプレッサAから供給される圧縮空気の圧力などを利用して圧送により行うことができる。コンプレッサAから供給される圧縮空気は、後述するレギュレータ41やコントローラ42で圧力や流量を調節されて、タンク3に供給される。タンク3は、液量調整部4を介して充填ノズル6にペーストPを供給する。本実施形態においてタンク3は、シリンダ50に固定されており、昇降部5に液圧力をよって昇降される。
【0061】
液量調整部4は、タンク3から供給されるペーストPの充填ノズル6への供給量を調整する供給量調整機構である。液量調整部4は、タンク3から供給されるペーストPの充填ノズル6への供給の許容と禁止を切り替え、また、タンク3から供給されるペーストPの充填ノズル6への供給量を調整することができる開度調整弁などのバルブ40を有する。本実施形態の液量調整部4は、更に、コンプレッサAから供給される圧縮空気の圧力を減圧するレギュレータ41とコンプレッサAからタンク3へ供給される圧縮空気の流量又は圧力を調整するコントローラ42とを有する。
【0062】
バルブ40は、タンク3から充填ノズル6へ供給されるペーストPの送液圧力を調整することで充填ノズル6への供給量を調整する。本実施形態では、バルブ40は、タンク3から圧送されるペーストPの送液圧力を減圧することで充填ノズル6への供給量を調整する。バルブ40としては、一例として、開度調整の可能なダイアフラムバルブやニードルバルブを使用できる。
【0063】
液量調整部4は、タンク3の下部に固定されている。液量調整部4の下部には充填ノズル6が固定されている。タンク3、液量調整部4及び充填ノズル6は、昇降部5のシリンダ50の昇降により一体に昇降する。
【0064】
圧力検出部49は、液量調整部4から充填ノズル6に流れるペーストPの圧力を検出する圧力センサなどの圧力検出装置である。圧力検出部49は、圧電式やダイアフラム式などその圧力の検出原理は問わない。本実施形態では、圧力検出部49は圧電式の圧力セン
サを含み、バルブ40の下流側(充填ノズル6の上流側)におけるペーストPの圧力(送液圧力)を検出し、当該検出結果に基づく圧力情報を制御部9に送出している。制御部9は、圧力検出部49が送出した圧力情報に基づいて液量調整部4を制御してペーストPの送液圧力を制御し、これにより充填ノズル6からのペーストPの吐出量を調整することができる。なお、本実施形態では、充填ノズル6から吐出するペーストPの吐出量は、送液圧力に加えて、ノズル基部60やニードル61の筒の長さ及び内径で決定される。したがって、本実施形態において制御部9は、圧力情報に加えて、ノズル基部60やニードル61の筒の長さ及び内径に関する情報を加味して充填ノズル6からのペーストPの吐出量を調整している。
【0065】
制御部9は、CPUや当該CPUに、充填装置Mの制御(後述する充填方法を実施する制御)を実現させるプログラム(ソフトウェア)により、ハードウェア又はソフトウェア的に実現される。本実施形態では、制御部9は、
図5に示すように、パーソナルコンピュータやPLCなどのコンピュータC及びその記憶部90に格納された制御ソフトウェアにより実現される。制御部9は、ポートやバス、有線や無線のネットワーク(インターネット回線を含む)などで構成される通信路Nを介して液量調整部4、昇降部5、圧力検出部49、位置検出部59などと通信可能に接続されている。なお、記憶部90としては、いわゆるUSBメモリなどのフラッシュメモリ、ハードディスク、SSDやCDROMなどの光学ディスクなど、コンピュータCで使用可能な記憶装置又は記憶媒体が一般に利用可能である。
【0066】
(充填方法の説明)
シリンジ1へのペーストPの充填は、充填装置Mが実行する以下の各工程の実行により行われる。
【0067】
まず、
図6に示すように、制御部9は、昇降部5によって、充填ノズル6を胴部10の筒内部(直胴部分10aの筒内部)を介してノズル部11の筒内部に挿入する挿入工程を実行する。本実施形態では、充填ノズル6のニードル61の先端部62がノズル部11の先端部11aの開口から突出するまで充填ノズル6をノズル部11の筒内部に挿入する(
図6のA点)。先端部62は、ノズル部11の先端部11aの開口から、距離hの16.7%以上90%以下突出していることが好ましい。また、先端部62は、ノズル部11の先端部11aの開口から、ノズル部11の内径dの33.4%以上の距離だけ突出していることが好ましい。本実施形態では、先端部62は、ノズル部11の先端部11aの開口から、2.5mm突出している。ニードル61は、その長手方向をノズル部11の軸心Xに沿わせてノズル部11に挿入されることが好ましい。ニードル61は、その長手方向をノズル部11の軸心Xと重複させてノズル部11に挿入されることが更に好ましい。
【0068】
上述の挿入工程を実行終了後に、制御部9は、液量調整部4にペーストPの供給を開始させ、充填ノズル6からペーストPを吐出させてシリンジ1の空間S1、空間S2及びキャップ内空間S3にペーストPを充填する充填工程を実行する。
【0069】
充填工程は、充填ノズル6のニードル61をノズル部11の筒内部に挿入した状態で、ニードル61からペーストPを吐出開始させることで開始される。本実施形態の充填工程においては、充填ノズル6の先端部62がノズル部11の先端部11aの開口から突出した状態で、充填ノズル6からペーストPを吐出開始する。これにより内部空間Sとキャップ内空間S3とにペーストPを充填することができる。
【0070】
充填工程では、制御部9は、液量調整部4で充填ノズル6からペーストPを吐出させながら、昇降部5で充填ノズル6を胴部10から引き抜く制御を行う。これにより内部空間SにペーストPを充填することができる。制御部9は、充填ノズル6の先端部62を胴部
10の直胴部分10a内の所定位置(
図6のC点)まで引き抜いた時点で、液量調整部4に充填ノズル6へのペーストPの供給を停止させ、充填ノズル6からのペーストPの吐出を停止させる(
図6参照)。
【0071】
制御部9は、充填工程において、初期充填工程と第一充填工程と第二充填工程とを実行する。
図7には、充填装置Mが実行する動作のタイムチャートを示している。
図7では、横軸に工程時間を示している。以下では、
図2から
図7を参照しつつ説明を行う。
【0072】
図7の上部のグラフは、液量調整部4で調整するペーストPの送液圧力の経時変化を示している。
【0073】
図7の下部のグラフは、昇降部5で進退させられる充填ノズル6の先端部62の位置の経時変化を示している。
図7における先端部62の位置は、ノズル部11の先端部11aの先端面と先端部62の先端面との距離で示しており、先端部11aの先端面と先端部62の先端面とが鉛直方向において重複する場合をゼロとし、先端部62の先端面が先端部11aの先端面よりも鉛直方向における上側にある場合を正の値で、先端部62の先端面が先端部11aの先端面よりも鉛直方向における下側にある場合を負の値で示している。すなわち、
図7では、A点は負の値で示される距離の位置にあり、ニードル61がノズル部11内に位置し、且つ、先端部62の先端面が先端部11aの先端面よりも鉛直方向における下側にあることを意味している。
【0074】
初期充填工程では、制御部9は、充填ノズル6の先端部62をA点に位置させたまま(充填ノズル6の引抜を停止させた状態で)、液量調整部4によりペーストPの送液圧力を圧力p1(第一吐出速度の一例)に設定し、ペーストPを充填ノズル6から吐出開始させる(
図7の時刻t0)。制御部9は、少なくともキャップ内空間S3をペーストPで満たし、且つ、内部空間Sのうち、ノズル部11の先端側から軸方向に沿って20%以上の距離の範囲を満たした時点(
図7の時刻t1)で、第一充填工程を実行開始する。充填ノズル6の引抜を停止させたままペーストPを充填ノズル6から吐出させる時間(
図7の時刻t0からt1の時間)の一例は、0.2秒以上0.5秒以下である。本実施形態では、0.3秒である場合を例示して説明している。
【0075】
本実施形態では、先端部62がノズル部11の先端部11aの開口から、距離hの16.7%以上、且つ、先端部62がノズル部11の先端部11aの開口から、ノズル部11の内径dの33.4%以上の距離だけ突出させてペーストPを吐出するため、内部空間S及びキャップ内空間S3への気泡の混入を極力減らしてペーストPを充填することができる。
【0076】
また、本実施形態では、制御部9が、少なくともキャップ内空間S3をペーストPで満たし、且つ、内部空間Sのうち、ノズル部11の先端側から軸方向に沿って20%以上の距離の範囲を満たした時点で第一充填工程を実行開始することで、後述するように、先端部62をペーストPに埋没された状態とすることができる。
【0077】
このように、キャップ内空間S3をペーストPで満たした時点では、先端部62がペーストPに埋没された状態となる。これにより、以後のペーストPの充填の過程において、充填されたペーストP中への気泡混入を抑制(防止の概念を含む。以下同じ。)できる。なお、A点(
図6参照)は、鉛直方向におけるノズル部11の先端部11aとキャップ部20における筒内の筒底面20aとの間の領域内から選択される。圧力p1は、一例として200kPa以上500kPa以下に設定される。適切な圧力p1の値やその範囲は充填ノズル6内の流路形状(たとえば、ニードル61の内径や長さ)に依存するため、必要に応じて変更してよい。本実施形態では、圧力p1が、350kPaに設定されている場
合を例示して説明する。
【0078】
第一充填工程では、制御部9は、昇降部5によって第一引抜速度で充填ノズル6の先端部62をA点からB点(
図6参照)まで引き抜きながら、圧力p1でペーストPを充填ノズル6から吐出させる。なお、
図7に示すように、充填ノズル6の引抜速度は、充填ノズル6の先端部62の位置変化を表すラインLの傾きで示される。第一引抜速度は、時刻t1から時刻t2までのラインLの傾きに対応する。B点は、鉛直方向におけるノズル部11の筒内部の領域内から選択される。本実施形態では、A点からB点までの距離は5mmである。
【0079】
第一引抜速度は、ペーストPの粘性や表面張力との関係で、先端部62が、ペーストPに埋没された状態を維持する速度に設定される。
図6に示すように、先端部62がペーストPに埋没された状態を維持することで、充填されたペーストPへの気泡混入を抑制することができる。第一引抜速度は、充填時におけるノズル部11内でのペーストPの液面の上昇速度と同じ速度に設定されることが好ましい。第一引抜速度の一例は、8mm/s以上20mm/s以下である。本実施形態では、第一引抜速度が15mm/sである場合を例示して説明する。
【0080】
第二充填工程では、
図7に示すように、制御部9は、昇降部5によって第一引抜速度よりも遅い第二引抜速度で充填ノズル6の先端部62をB点からC点(
図6参照)まで引き抜きながら、圧力p1(第二吐出速度が第一吐出速度と同じ場合の一例)でペーストPを充填ノズル6から吐出させる。第二引抜速度は、時刻t2から時刻t3までのラインLの傾きに対応する。制御部9は、先端部62がC点に到達すると、充填を終了(充填工程を終了)する(時刻t3)。充填済みのシリンジ1は、
図6及び
図8に示すように、空間S1、空間S2及びキャップ内空間S3にペーストPを充填された状態の充填済み容器となる。
【0081】
第二引抜速度は、例えば第一引抜速度の50%以上90%以下の速度に設定される。第二引抜速度の一例は、5mm/s以上15mm/s以下である。本実施形態では、第二引抜速度が15mm/sである場合を例示して説明する。第二引抜速度は、ペーストPの粘性や表面張力との関係で、先端部62が、ペーストPに埋没された状態を維持する速度に設定される。先端部62がペーストPに埋没された状態を維持することで、充填されたペーストPへの気泡混入を抑制することができる。第二引抜速度は、充填工程が終了するまでの間、先端部62がペーストPに埋没された状態を維持することができる速度であればよい。第二引抜速度は、例えば、充填時における直胴部分10a内でのペーストPの液面の上昇速度と同じ速度に設定されると、充填工程が終了するまでの間、先端部62がペーストPに埋没された状態を確実に維持することができるため好ましい。
【0082】
本実施形態では、充填工程の終了後、例えば、充填ノズル6の引抜速度を一時的に第二引抜速度よりも遅くして、先端部62を充填されたペーストPからゆっくりと引き抜く。これにより、先端部62からのペーストPの液だれを抑制して充填されたペーストPへの気泡混入を抑制できる。その後、引抜速度を加速して胴部10から充填ノズル6を完全に引き抜くことができる。加速して引き抜くことで工程時間を短縮できる。
【0083】
第一引抜速度及び第二引抜速度の適切な範囲はシリンジ1の大きさや形状(例えば胴部10やノズル部11の内径)に依存するため、上述の具体的な速度の例示に限られず、シリンジ1の大きさや形状に合わせて適宜設定してよい。
【0084】
図8を参照しつつ、充填済み容器としての充填済みのシリンジ1について詳述する。上述のごとく、シリンジ1は、空間S1、空間S2及びキャップ内空間S3にペーストPを
充填されている。充填済みのシリンジ1では、キャップ内空間S3における、先端部11aの筒部の先端面とキャップ2との間の空間、すなわち、ノズル部11の先端部11aとキャップ部20の内周面との境界(ノズル部11の先端部11aとキャップ部20とが接する部分又はノズル部11の先端部11aとキャップ部20との中間位置)近傍の空間である境界部分20bにもペーストPを充填されている。なお、境界部分20bの定義に関する近傍、とは、先端部11aの筒部の筒の肉厚以内の距離のことを言う。
【0085】
シリンジ1では、空間S2及びキャップ内空間S3にペーストPが充填されることで、シリンジ1の使用時(例えば、シリンジ1のペーストPが使用される塗布装置に、キャップ2を取り外したシリンジ1を搭載してノズル部11を当該塗布装置に接続した際)における、ノズル部11への気泡混入を抑制できる。これにより、シリンジ1のペーストPを使用する際に、空打ちや銀ペーストの均一性と塗布作業性を損なわせる問題を抑制できる。また、ノズル部11へ混入した気泡を除去するために、ノズル部11内のペーストPを一定量押し出して捨てるような操作が不要になり、ペーストPを無駄なく使用可能となる。そのため、ペーストPが銀ペーストのように高価なものである場合には経済的なメリットは極めて大きくなる。
【0086】
シリンジ1では、特にキャップ内空間S3にペーストPが充填されることで、キャップ2を取り外した際のノズル部11への気泡混入を抑制できる。
図9に示すように、シリンジ1では、キャップ内空間S3にペーストPが充填されていることで、キャップ2を取り外した際に、キャップ内空間S3に充填されていたペーストPの一部P1が、ノズル部11の先端部11aよりも先端側に突出した状態(先端部11aに付着して残留した状態)で残留する。そのため、キャップ2の取り外し時におけるノズル部11の筒内への空気(気泡)の混入を抑制できる。
【0087】
キャップ2の取り外し時におけるノズル部11の筒内への空気(気泡)の混入の抑制効果を高めるためには、
図3に示すように、ノズル部11における先端部11aと筒底面20aとは、ノズル部11の先端部11aの内径d以上の距離hだけ離間していることが好ましい。これにより、キャップ内空間S3を十分に大きくしてキャップ内空間S3に充填されるペーストPの容量を確保して、キャップ2を取り外した際に、ノズル部11の先端部11aよりも先端側に突出した状態で残留するペーストPの一部P1(
図9参照)の形成を確実ならしめる。また、ノズル部11の先端部11aの内径d以上の距離hだけ離間していることで、キャップ2を取り外した際に、ノズル部11の先端部11aよりも先端側に突出した状態で残留するペーストPの一部P1の形成を促進できる。これらにより、キャップ2の取り外し時におけるノズル部11の筒内への空気(気泡)の混入を抑制できる。
【0088】
充填済みのシリンジ1では、キャップ内空間S3における、ノズル部11の先端部11aとキャップ部20の内周面との境界部分20bにもペーストPが充填されていることで、キャップ2の取り外し時におけるノズル部11の筒内への空気(気泡)の混入抑制を更に確実ならしめる。キャップ2の取り外し時において、境界部分20bのペーストPがノズル部11の内側へ移動するため、ノズル部11の筒内への空気(気泡)が混入しにくくなるためである。境界部分20bのペーストPにより、ノズル部11の先端部11aよりも先端側に突出した状態で残留するペーストPの一部P1の形成も促進される。これらにより、キャップ2の取り外し時におけるノズル部11の筒内への空気(気泡)の混入を抑制できる。
【0089】
特に、ペーストPが所定の粘度及び揺変性を有することから、
図9に示すように、キャップ2を取り外した際に、ノズル部11内(内部空間S内)のペーストPが流れ出る(垂れる)ことなく、且つ、上述の境界部分20bのペーストPの移動も伴って、ノズル部1
1の先端部11aよりも先端側に突出した状態で残留するペーストPの一部P1の形成が促進される。このような作用によっても、キャップ2の取り外し時におけるノズル部11の筒内への空気(気泡)の混入を抑制できる。
【0090】
充填済みのシリンジ1は、
図10に示すように、後端部の開口からプランジャ18と封止蓋19とをこの順で挿入されて、後端側の開口を封止された状態で出荷されるとよい。そして、ペーストPの塗布機や接着装置などでペーストPの供給容器として使用される。
【0091】
充填済みのシリンジ1は気泡混入が抑制されているため、ペーストPの塗布機や接着装置などで脱泡処理(例えば、遠心力を利用した脱泡処理)を要しない。そのため、使用時の作業効率が向上するメリットもある。また、脱泡による分散状態の偏りの発生及びこれによる性能劣化を回避できる。特に、高度なブレンドがなされたペーストP、例えば、銀微粒子の粒度分布のピークがふた山以上になるようにブレンドされたペーストPでは、脱泡操作による分散状態の偏りが生じやすいところ、このような分散状態の偏り発生による性能劣化を防止できる点は大きなメリットである。
【0092】
以上のようにして、使用時において、ノズル部への気泡混入を抑制できる充填済み容器を提供することができる。
【0093】
〔別実施形態〕
(1)上記実施形態では、第二充填工程において、圧力p1でペーストPを充填ノズル6から吐出させる場合を説明したが、
図11に示すように、第二充填工程においては、圧力p1よりも高い圧力p2(第二吐出速度が第一吐出速度よりも速い場合の一例)でペーストPを充填ノズル6から吐出させてもよい。このようにすれば、シリンジ1の充填に要する工程時間を短縮できる。圧力p2は、一例として300kPa以上500kPa以下に設定される。適切な圧力p2の値やその範囲は充填ノズル6内の流路形状(たとえば、ニードル61の内径や長さ)に依存するため、必要に応じて変更してよい。
【0094】
(2)上記実施形態では、ノズル部11の軸心Xは直胴部分10aの軸心Yに沿うように配置されている場合、特に、軸心Xは軸心Yと重複している場合を例示して説明した。しかし、軸心Xは軸心Yと重複せず、軸心Yに沿うのみであってもよい。軸心Xが軸心Yと重複せずとも、ニードル61は、その長手方向をノズル部11の軸心Xに沿わせて(例えば、軸心Xと重複させて)ノズル部11に挿入することができる。
【0095】
(3)上記実施形態では、ノズル部11の軸心Xは直胴部分10aの軸心Yに沿うように配置されている場合を例示して説明した。しかし、軸心Xは軸心Yに沿っていなくてもよい。この場合、例えば可撓性のある材料でニードル61を形成するなどしてニードル61を可撓性のあるものとし、ニードル61をノズル部11の内壁に沿わせて(例えば、ノズル部11の内壁面に摺接させながら)ノズル部11に挿入すれば充填できる。
【0096】
(4)上記実施形態では、制御部9は、充填ノズル6の先端部62を胴部10の直胴部分10a内の所定位置(
図6のC点)まで引き抜いた時点で、液量調整部4に充填ノズル6へのペーストPの供給を停止させ、充填ノズル6からのペーストPの吐出を停止させる場合を説明したが、ペーストPの吐出を停止させるタイミングは、先端部62をC点まで引き抜いたタイミングに限られない。例えば、保持部7に重量検知センサを設けてシリンジ1の重量を検知可能とし、ペーストPが充填されたシリンジ1の重量が所定の重量になった時点でペーストPの吐出を停止させてもよい。
【0097】
(5)上記実施形態では、液量調整部4は、タンク3から供給されるペーストPの充填ノズル6への供給量を調整し、且つ、充填ノズル6へのペーストPの送液を禁止することの
できる開度調整弁などのバルブ40を有し、バルブ40は、タンク3から充填ノズル6へ供給されるペーストPの送液圧力を調整することで充填ノズル6への供給量を調整する場合を例示して説明した。しかし、ペーストPの送液圧力の調整は上記態様に限られない。
【0098】
(6)上記実施形態では、充填ノズル6のニードル61の先端部62がノズル部11の先端部11aの開口から突出するまで充填ノズル6をノズル部11の筒内部に挿入し、充填ノズル6の先端部62がノズル部11の先端部11aの開口から突出した状態で、充填ノズル6からペーストPを吐出開始する場合を説明した。しかし、ペーストPを吐出開始する位置は、上記態様に限られない。たとえば、充填ノズル6のニードル61の先端部62をノズル部11の筒内部(例えば、先端部62の先端面が先端部11aの先端面と軸心Xに沿う方向において同じ位置)に挿入し、充填ノズル6の先端部62がノズル部11の筒内部に位置する状態で、充填ノズル6からペーストPを吐出開始してもよい。充填ノズル6により内部空間Sとキャップ内空間S3とにペーストPを充填することができればキャップ2の取り外し時におけるノズル部11の筒内への空気(気泡)の混入を抑制できる。
【0099】
たとえば、液量調整部4が、バルブ40では、ペーストPの供給と停止のみを制御し、圧力検出部49で検出された圧力情報に基づいてコントローラ42でタンク3に供給する圧縮空気の流量又圧力の調整を行うことによりペーストPの送液圧力の調整を行ってもよい。液量調整部4によるペーストPの送液圧力の調整方法や態様は上記実施形態に限定されない。
【0100】
(7)上記実施形態では、ペーストPの一例として、導電性フィラーとして銀の微粒子を溶剤や基材樹脂等に分散した熱伝導性導電性接着剤である場合を例示して説明した。しかし、ペーストPは、導電性フィラーが分散された場合に限られない。また、導電性フィラーが銀の微粒子である場合に限られない。ペーストPのフィラーとしては、銀の微粒子以外にも、白金、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム、金、銅などの金属系微粒子や、アクリルやポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリエステルなどの熱可塑性樹脂の微粒子が分散されたものであってもよい。
【0101】
なお、上記実施形態(別実施形態を含む、以下同じ)で開示される構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示される構成と組み合わせて適用することが可能であり、また、本明細書において開示された実施形態は例示であって、本発明の実施形態はこれに限定されず、本発明の目的を逸脱しない範囲内で適宜改変することが可能である。
【解決手段】充填済み容器は、筒状の胴部10、胴部10の先端部に設けられ、胴部10よりも細い筒状のノズル部11、ノズル部11の先端に外嵌されており、ノズル部11に着脱自在の有底筒状のキャップ2、及び、ノズル部11から吐出させるペーストPを備え、ノズル部11における先端部11aとキャップ2における筒底20aとは離間して、先端部11aと筒底20aとの間にはキャップ内空間S3が形成されており、ペーストPは、胴部10の筒内の空間S1、ノズル部11の筒内の空間S2、及び、キャップ内の空間S3に充填されている。