(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
一重項酸素により活性化可能な化学発光化合物は、一重項酸素との化学反応を受けて、同時または後の発光により分解することができる準安定中間体種を形成する物質である、請求項1に記載のキット。
(a)および/または(b)の一重項酸素により活性化可能な化学発光化合物は、それに直接的または間接的に結合しているハプテンを有する、請求項1に記載のキット。
(a)および(b)の蛍光分子は、各々独立して、テルビウム、ウラン、サマリウム、ユーロピウム、ガドリニウムおよびジスプロシウムからなる群から選択される、請求項1に記載のキット。
(e)化学発光化合物に直接的または間接的に結合している第2の標的検体についての第1の検体特異的結合パートナーを有する一重項酸素により活性化可能な化学発光化合物と;
活性化された化学発光化合物によって励起される蛍光分子であって、(a)および(b)の蛍光分子と異なり、(a)および(b)の蛍光分子と異なる波長で発光する、蛍光分子と
を含む組成物と;
(f)第2の標的検体についてのビオチン化した第2の検体特異的結合パートナーであって、(e)の第1の検体特異的結合パートナーと異なる第2の標的検体のエピトープに結合する、第2の検体特異的結合パートナーと
をさらに含む、請求項1に記載のキット。
(a)および(b)の一重項酸素により活性化可能な化学発光化合物は、一重項酸素との化学反応を受けて、同時または後の発光により分解することができる準安定中間体種を形成する物質である、請求項12に記載のマイクロ流体デバイス。
(a)および/または(b)の一重項酸素により活性化可能な化学発光化合物は、それに直接的または間接的に結合しているハプテンを有する、請求項12に記載のマイクロ流体デバイス。
(a)および(b)の蛍光分子は、各々独立して、テルビウム、ウラン、サマリウム、ユーロピウム、ガドリニウムおよびジスプロシウムからなる群から選択される、請求項12に記載のマイクロ流体デバイス。
第3の組成物の蛍光分子は、テルビウム、ウラン、サマリウム、ユーロピウム、ガドリニウムおよびジスプロシウムからなる群から選択される、請求項23に記載のマイクロ流体デバイス。
一重項酸素により活性化可能な化学発光化合物は、一重項酸素との化学反応を起こして、同時または後の発光により分解することができる準安定中間体種を形成する物質である、請求項25に記載の方法。
生体サンプルは、全血またはそのいずれかの部分、尿、唾液、痰、脳脊髄液、皮膚、腸液、腹腔内液、嚢胞液、汗、間質液、細胞外液、涙、粘液、膀胱洗浄液、精液、糞便、胸膜液、鼻咽頭液、およびそれらの組合せからなる群から選択される、請求項28に記載の方法。
(a)および/または(b)の一重項酸素により活性化可能な化学発光化合物は、それに直接的または間接的に結合しているハプテンを有する、請求項25に記載の方法。
(a)および(b)の蛍光分子は、各々独立して、テルビウム、ウラン、サマリウム、ユーロピウム、ガドリニウムおよびジスプロシウムからなる群から選択される、請求項25に記載の方法。
(8)(e)の蛍光分子によって発せられた光の量を測定することによって第2の標的検体複合体における活性化された化学発光化合物によって生じる化学発光の量を決定して、サンプル中の標的検体の量を決定する工程と;
(9)工程(4)において検出されたいくらかのビオチン干渉に基づいて工程(8)の結果を補正する工程または工程(4)において検出されたビオチン濃度が最大閾値レベルを超える場合、工程(8)の結果を信頼できないとしてフラグ付けする工程と
をさらに含む、請求項36に記載の方法。
【発明を実施するための形態】
【0013】
例示的な言語および結果によって本開示の少なくとも1つの実施形態を詳細に説明する前に、本開示は、その適用において以下の説明に記載される構成の詳細および構成要素の配列に限定されないことは理解されるべきである。本開示は、他の実施形態が可能であるか、または種々の手法で実践もしくは実行することができる。したがって、本明細書に使用される言語は、可能な限り最も広い範囲および意味を与えることを意図し;実施形態は包括的ではなく、例示的であることを意味する。また、本明細書に利用される表現および用語は、説明の目的のためであり、限定的とみなされるべきではないことは理解されるべきである。
【0014】
本明細書で別段に定義されない限り、本開示に関連して使用される科学的および技術的用語は、当業者によって一般的に理解されている意味を有するものとする。さらに、文脈によって別段に必要とされない限り、単数形の用語は複数を含むものとし、複数形の用語は単数を含むものとする。前述の技術および手順は、一般に、当該技術分野において周知であり、本明細書全体を通して引用され、論じられている種々の一般的およびより具体的な参考文献に記載されている従来の方法に従って実施される。本明細書に記載される分析化学、有機合成化学、ならびに医薬品化学および薬化学と関連して利用される命名法、ならびにそれらの実験手順および技術は、当該技術分野において周知であり、一般的に使用されているものである。標準的な技術が化学合成および化学分析のために使用される。
【0015】
本明細書において述べられている全ての特許、公開された特許出願、および非特許刊行物は、本開示が関係する当業者の技術レベルを示す。本出願のいずれかの部分に参照されている全ての特許、公開された特許出願、および非特許刊行物は、各個々の特許または刊行物が参照によって組み入れることを具体的かつ個別に示している場合と同じ程度までそれらの全体を参照によって明示的に本明細書に組み入れる。
【0016】
本明細書に開示される物品、組成物、キットおよび/または方法の全ては、本開示に照らして過度の実験をすることなく作製され、実行される。物品、組成物、キットおよび/または方法は特定の実施形態に関して記載されているが、本開示の概念、趣旨および範囲から逸脱せずに、物品、組成物、キットおよび/または方法に対して、ならびに本明細書に記載される方法の工程または一連の工程において変更を適用することができることは当業者には明らかであろう。当業者に明らかである全てのこのような同様の置換および修飾は、添付の特許請求の範囲によって規定される本開示の趣旨、範囲および概念内であるとみなされる。
【0017】
本開示に従って利用される場合、別段に示さない限り、以下の用語は以下の意味を有すると理解されるべきである:
【0018】
特許請求の範囲および/または明細書において「含む(comprising)」という用語と併せて使用される場合、「1つの(a)」または「1つの(an)」という用語の使用は、「1つ(one)」を意味することがあるが、それはまた、「1つまたはそれ以上」、「少なくとも1つ」および「1つまたは1つより多い」の意味と一致する。したがって、「1つの(a)」、「1つの(an)」および「その」という用語は、文脈が明確に別段を示さない限り、複数の指示対象を含む。したがって、例えば、「化合物」に対する言及は、1つもしくはそれ以上の化合物、2つもしくはそれ以上の化合物、3つもしくはそれ以上の化合物、4つもしくはそれ以上の化合物、またはより多い数の化合物を指すことがある。「複数」という用語は、「2つまたはそれ以上」を指す。
【0019】
「少なくとも1つ」という用語の使用は、1つおよび限定されないが、2、3、4、5、10、15、20、30、40、50、100などを含む1つより多い任意の量を含むと理解されるだろう。「少なくとも1つ」という用語は、それが付されている用語に応じて、100または1000またはそれ以上にまで及ぶことがある;さらに、より高い限界値も満足のいく結果をもたらす可能性があるため、100/1000の量は限定的と考えられるべきではない。さらに、「X、Y、およびZのうちの少なくとも1つ」という用語の使用は、X単独、Y単独、およびZ単独、ならびにX、YおよびZの任意の組合せを含むと理解されるだろう。序数の用語(すなわち、「第1」、「第2」、「第3」、「第4」など)の使用は、2つまたはそれ以上の項目を区別する目的のためのみであり、例えば、任意の順列もしくは順序または1つの項目の別の項目に対する重要性あるいは添加の任意の順序を意味することを意図するものではない。
【0020】
特許請求の範囲における「または」という用語の使用は、選択肢のみを指すように明示的に示されない限りまたは選択肢が相互に排他的でない限り、包括的な「および/または」を意味するために使用される。例えば、条件「AまたはB」は、以下のいずれかによって満たされる:Aは真であり(または存在する)、かつBは偽である(または存在しない)、Aは偽であり(または存在しない)、かつBは真である(または存在する)、およびAとBは両方とも真である(または存在する)。
【0021】
本明細書で使用される場合、「1つの実施形態」、「ある実施形態」、「いくつかの実施形態」、「1つの例」、「例えば」または「ある例」に対するいずれかの言及は、実施形態に関連して記載される特定の要素、機能、構造または特性が少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。例えば、明細書の種々の場所における「いくつかの実施形態において」または「1つの例」という語句の出現は、必ずしも全てが同じ実施形態を参照しているわけではない。さらに、1つまたはそれ以上の実施形態または例に対する言及は、全て、特許請求の範囲を限定するものではないと解釈されるべきである。
【0022】
本出願全体を通して、「約」という用語は、値が組成物/装置/デバイスについての誤差の固有の変動、値を決定するために用いられる方法、または研究対象の間に存在する変動を含むことを示すために使用される。例えば、限定するものではないが、「約」という用語が利用される場合、指定された値は、特定された値から、プラスマイナス20パーセント、または15パーセント、または12パーセント、または11パーセント、または10パーセント、または9パーセント、または8パーセント、または7パーセント、または6パーセント、または5パーセント、または4パーセント、または3パーセント、または2パーセント、または1パーセントだけ変化することがあり、このような変動は、開示された方法を実施するのに適切であり、当業者によって理解されている通りである。
【0023】
本明細書および特許請求の範囲において使用される場合、「含む(comprising)」(ならびに「含む(comprise)」および「含む(comprises)」のような含む(comprising)の任意の形)、「有する(having)」(ならびに「有する(have)」および「有する(has)」のような有する(having)の任意の形)、「含む(including)」(ならびに「含む(includes)」および「含む(include)」のような含む(including)の任意の形)、または「含有する(containing)」(ならびに「含有する(contains)」および「含有する(contain)」のような含有する(containing)の任意の形)という単語は、包括的であるかまたは無制限であり、追加の、引用されていない要素または方法ステップを排除しない。
【0024】
本明細書で使用される場合、「またはそれらの組合せ」という用語は、この用語に先立って列挙された項目の全ての順列および組合せを指す。例えば、「A、B、Cまたはそれらの組合せ」は、A、B、C、AB、AC、BCまたはABCの少なくとも1つを含むことを意図し、特定の文脈において順序が重要である場合、BA、CA、CB、CBA、BCA、ACB、BACまたはCABも、含むことを意図する。この例に引き続いて、BB、AAA、AAB、BBC、AAABCCCC、CBBAAA、CABABBなどのような、1つまたはそれ以上の項目または用語の繰り返しを含有する組合せも明示的に含まれる。当業者は、文脈からそうでないことが明らかでない限り、典型的には、いかなる組合せにおいても項目または用語の数に制限がないことを理解するであろう。
【0025】
本明細書で使用される場合、「実質的に」という用語は、それに引き続いて記載される事象もしくは状況が完全に起きるか、またはそれに引き続いて記載される事象もしくは状況が大いにもしくはかなりの程度起きることを意味する。例えば、特定の事象または状況と関連する場合、「実質的に」という用語は、それに引き続いて記載される事象または状況が時間の少なくとも80%、または時間の少なくとも85%、または時間の少なくとも90%、または時間の少なくとも95%に起きることを意味する。「実質的に隣接している」という用語は、2つの項目が互いに100%隣接していること、または2つの項目が互いに近接している範囲内であるが、互いに100%隣接していないこと、または2つの項目のうちの1つの一部が他の項目に100%隣接していないが、他の項目に近接している範囲内であることを意味することがある。
【0026】
本明細書で使用される場合、「会合する」および「連結する」という語句は、2つの部分の互いに直接的な会合/結合および2つの部分の互いに間接的な会合/結合の両方を含む。会合/連結の非限定的な例には、例えば、直接結合によるもしくはスペーサー基を介した1つの部分の別の部分への共有結合、直接的なもしくは両部分に結合している特異的結合対メンバーによる1つの部分の別の部分への非共有結合、1つの部分の別の部分への溶解もしくは合成によるような1つの部分の別の部分への組み込み、および1つの部分の別の部分への被覆が含まれる。
【0027】
「類似体」および「誘導体」という用語は、本明細書では交換可能に使用され、その構造において所与の化合物と同じ基本的な炭素骨格および炭素官能基を含むが、それらに対する1つまたはそれ以上の置換も含有することができる物質を指す。本明細書で使用される場合、「置換」という用語は、化合物上の少なくとも1つの置換基の残基Rによる置き換えを指すと理解されるだろう。ある特定の非限定的な実施形態では、Rは、H、ヒドロキシル、チオール、フッ化物、塩化物、臭化物またはヨウ化物から選択されるハロゲン化物、以下:場合により置換されている、直鎖、分枝または環状アルキル、および直鎖、分枝または環状アルケニルのうちの1つから選択されるC1−C4化合物を含んでもよく、任意選択の置換基は、1つまたはそれ以上のアルケニルアルキル、アルキニルアルキル、シクロアルキル、シクロアルケニルアルキル、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、複素環アルキル、場合により置換されているヘテロシクロアルケニルアルキル、アリールシクロアルキル、およびアリールヘテロシクロアルキルから選択され、それらの各々は場合により置換されており、任意選択の置換基は、アルケニルアルキル、アルキニルアルキル、シクロアルキル、シクロアルケニルアルキル、アリールアルキル、アルキルアリール、ヘテロアリールアルキル、複素環アルキル、場合により置換されているヘテロシクロアルケニルアルキル、アリールシクロアルキル、およびアリールヘテロシクルアルキル、フェニル、シアノ、ヒドロキシル、アルキル、アリール、シクロアルキル、シアノ、アルコキシ、アルキルチオ、アミノ、−NH(アルキル)、−NH(シクロアルキル)
2、カルボキシ、および−C(O)−アルキルのうちの1つまたは複数から選択される。
【0028】
本明細書で使用される場合、「サンプル」という用語は、本開示に従って利用することができる任意の種類の生体サンプルを含むと理解されるだろう。利用することができる流体生体サンプルの例には、限定されないが、全血またはそのいずれかの部分(すなわち、血漿または血清)、尿、唾液、痰、脳脊髄液(CSF)、皮膚、腸液、腹腔内液、嚢胞液、汗、間質液、細胞外液、涙、粘液、膀胱洗浄液、精液、糞便、胸膜液、鼻咽頭液、それらの組合せなどが含まれる。
【0029】
特に(限定する目的ではないが)本明細書で使用される場合、「ビオチン特異的結合パートナー」または「標的検体特異的結合パートナー」という用語における「特異的結合パートナー」という用語は、それぞれビオチンまたは標的検体と特異的に会合することができる任意の分子を指すと理解される。例えば、限定する目的ではないが、結合パートナーは、抗体、受容体、リガンド、アプタマー、分子インプリントポリマー(すなわち、無機マトリクス)、それらの組合せまたは誘導体、ならびにビオチンまたは標的検体にそれぞれ特異的に結合することができる任意の他の分子であってもよい。
【0030】
「抗体」という用語は、最も広い意味において本明細書で使用され、例えば、インタクトなモノクローナル抗体およびポリクローナル抗体、多重特異性抗体(例えば、二重特異性抗体)、検体結合の所望の生物活性を示す抗体断片およびそのコンジュゲート(例えば、限定されないが、Fab、Fab’、F(ab’)2、Fv、scFv、Fd、ダイアボディ、一本鎖抗体、ならびにインタクトな抗体の可変領域の少なくとも一部を保持する他の抗体断片およびそのコンジュゲート)、抗体置換タンパク質またはペプチド(すなわち、操作された結合タンパク質/ペプチド)、ならびにそれらの組合せまたは誘導体を指す。抗体は、任意の種類またはクラス(例えば、IgG、IgE、IgM、IgDおよびIgA)またはサブクラス(例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1およびIgA2)であってもよい。
【0031】
本明細書で使用される場合、「ハプテン」という用語は、(限定されないが)抗体のような標的検体特異的結合パートナーによって認識することができる小さなタンパク質性または非タンパク質抗原決定基(または「エピトープ」)を指す。本明細書で使用される場合、「ポリハプテン」という用語は、それに付着される複数のエピトープ/抗原決定基を含有する合成分子を指すと理解される。
【0032】
「検体」は、(限定されないが)抗体のような検体特異的結合パートナーによって認識することができる巨大分子である。検体およびハプテンの両方は、少なくとも1つの抗原決定基または「エピトープ」を含み、それは検体特異的結合パートナー(すなわち、抗体)に結合する抗原またはハプテンの領域である。典型的に、ハプテンにおけるエピトープは分子全体である。
【0033】
本開示のある特定の非限定的な実施形態は、サンプル中のビオチンおよび標的検体の両方を検出するための多重アッセイならびにそれを含有するキットおよびその使用方法を対象とする。一部のアッセイ実施形態では、シグナル生成システム(sps)メンバーは、例えば、光増感剤および2つまたはそれ以上の化学発光−蛍光分子組成物のような増感剤を含み(第1の化学発光組成物はビオチンの存在に関連するシグナルを生成するのに対して、少なくとも第2の化学発光組成物は標的検体の存在に関連するシグナルを生成する);これらのアッセイ実施形態では、増感剤の活性化は化学発光組成物を活性化する産生物を生じ、それによって検出される結合標的検体および結合ビオチンの量に関連する検出可能なシグナルを生成する。本開示が基づくことができるアッセイプラットフォームの例示的(しかし非限定的)な実施形態は、発光酸素チャネリングアッセイ(Luminescence Oxygen Channeling Assay)(LOCI(登録商標);Siemens Healthcare Diagnostics Inc.、Tarrytown、NY)である。LOCI(登録商標)アッセイは、例えば、米国特許第5,340,716号(Ullmanら)に記載されており、それらの全体の内容は参照によって明示的に本明細書に組み入れる。
【0034】
本明細書に記載されるか、またはそうでなければ企図されるアッセイ形式を介して検出可能な任意の標的検体は、本開示の多重アッセイによって検出される。標的検体の非限定的な例には:プロカルシトニン(PCT)、BNP、NT−proBNP、D−ダイマー、CKMB、ミオグロビン、ミエロペルオキシダーゼ、ST2、hCG、LH、FSH、iPTH、TSH、fT
4、T
4、PSA、fPSAおよびcPSA、ならびにそれらの組合せが含まれる。
【0035】
本開示のある特定の非限定的な実施形態は、サンプル中のビオチンおよび少なくとも1つのさらなる標的検体の濃度を決定するための化学発光検出システムを利用する多重アッセイを実行するためのキットを対象とする。キットは:(a)化学発光化合物に直接的または間接的に結合しているビオチンまたはその類似体を有する一重項酸素により活性化可能な化学発光化合物と、活性化された化学発光化合物によって励起される蛍光分子とを含む組成物と;(b)化学発光化合物に直接的または間接的に結合している標的検体についての第1の検体特異的結合パートナーを有する一重項酸素により活性化可能な化学発光化合物と、活性化された化学発光化合物によって励起される蛍光分子であって、(a)の蛍光分子と異なり、(a)の蛍光分子と異なる波長で発光する、蛍光分子とを含む組成物と;(c)標的検体についてのビオチン化した第2の検体特異的結合パートナーであって、(b)の第1の検体特異的結合パートナーと異なる標的検体のエピトープに結合する、第2の検体特異的結合パートナーと;(d)一重項酸素をその励起状態において生成することができ、増感剤に直接的または間接的に結合しているビオチン特異的結合パートナーを有することができる増感剤を含む組成物とを含む。
【0036】
ある特定の非限定的な実施形態では、キットは、(e)化学発光化合物に直接的または間接的に結合している第2の標的検体についての第1の検体特異的結合パートナーを有する一重項酸素により活性化可能な化学発光化合物と、活性化された化学発光化合物によって励起される蛍光分子であって、(a)および(b)の蛍光分子と異なり、(a)および(b)の蛍光分子と異なる波長で発光する、蛍光分子とを含む組成物と;(f)第2の標的検体についてのビオチン化した第2の検体特異的結合パートナーであって、第1の検体特異的結合パートナーと異なる第2の標的検体のエピトープに結合する、第2の検体特異的結合パートナーとをさらに含む。
【0037】
化学発光化合物(化学発光物質(chemiluminescer))は、化学的に活性化可能であり、そのような活性化の結果として、ある特定の波長で光を発する化合物である。例示を目的とし、限定ではない化学発光物質の例には:一重項酸素または過酸化物と反応してヒドロペルオキシドまたはジオキセタンを形成することができるオレフィン、これはケトンまたはカルボン酸誘導体に分解することができる;光の作用によって分解することができる安定なジオキセタン;一重項酸素と反応してジケトンを形成することができるアセチレン;(限定されないが)ルミノールのようなアゾ化合物またはアゾカルボニルを形成することができるヒドラゾンまたはヒドラジド;および例えば、エンドペルオキシドを形成することができる芳香族化合物が含まれる。活性化反応の結果として、化学発光物質は直接的または間接的に発光を引き起こす。
【0038】
ある特定の実施形態では、一重項酸素により活性化可能な化学発光化合物は、一重項酸素との化学反応を起こして、同時または後の発光により分解することができる準安定中間体種を形成する物質であり得る。化学発光化合物を含む組成物は活性化された化学発光化合物によって直接励起される;あるいは組成物は活性化された化学発光化合物によって励起される少なくとも1つの蛍光分子をさらに含んでもよい。
【0039】
増感剤は、化学発光化合物の活性化のための、例えば、一重項酸素のような反応中間体を生じる、分子、通常、化合物である。一部の非限定的な実施形態では、増感剤は光増感剤である。(例えば、酵素および金属塩によって)化学的に活性化される(chemi−activated)他の増感剤には、例を目的とし、限定ではない、外部光源によって活性化されてまたは活性化されずに一重項酸素を生じることができる他の物質および組成物が含まれる。例えば、ある特定の化合物は、過酸化水素の一重項酸素および水への変換を触媒することが示されている。他の増感剤物質および組成物の非限定的な例には:アルカリ土類金属Ca、SrおよびBaの酸化物;d
0配置の3A、4A、SAおよび6A族の元素の誘導体;アクチニドおよびランタニドの酸化物;ならびに酸化剤ClO
−、BrO
−、Au
3+、IO
3−およびIO
4−;ならびに特に、モリブデン酸イオン、ペルオキソモリブデン酸イオン、タングステン酸イオンおよびペルオキソタングステン酸イオン、ならびにアセトニトリルが含まれる。それらの全体を参照によって明示的に本明細書に組み入れる以下の参考文献は、本開示の範囲内でもある増感剤物質および組成物に関するさらなる開示を提供する:Aubry、J.Am.Chem.Soc.、107:5844〜5849(1985);Aubry、J.Org.Chem.、54:726〜728(1989);BohmeおよびBrauer、Inorg.Chem.、31:3468〜3471(1992);NiuおよびFoote、Inorg.Chem.、31:3472〜3476(1992);Nardelloら、Inorg.Chem.、34:4950〜4957(1995);AubryおよびBouttemy、J.Am.Chem.Soc.、119:5286〜5294(1997);ならびにAlmeidaら、Anal.Chim.Acta、482:99〜104(2003);これらの各々の全体の内容は参照によって明示的に本明細書に組み入れる。
【0040】
光増感剤の範囲内には、真の増感剤ではないが、熱、光、電離放射線または化学活性化による励起で一重項酸素の分子を放出する化合物も含まれる。このクラスの化合物のメンバーには、例えば(限定する目的ではないが)、1,4−ビスカルボキシエチル−1,4−ナフタレンエンドペルオキシド;9,10−ジフェニルアントラセン−9,10−エンドペルオキシド;および5,6,11,12−テトラフェニルナフタレン5,12−エンドペルオキシドのようなエンドペルオキシドが含まれる。加熱またはこれらの化合物による光の直接吸収は一重項酸素を放出する。
【0041】
光増感剤は、例えば、光による励起による一重項酸素の生成によって光活性化合物を活性化するための増感剤である。光増感剤は光活性化可能であり、例えば、色素および芳香族化合物を含み、通常、複数の共役二重または三重結合を有する、通常、共有結合原子からなる化合物である。化合物は、励起波長において、500M
−1cm
−1より大きい、または5,000M
−1cm
−1より大きい、または50,000M
−1cm
−1より大きい、その吸収最大における吸光係数で、(限定されないが)約300nm〜約1,000nmの範囲または約450nm〜950nmの範囲のような約200nm〜約1,100nmの波長範囲の光を吸収すべきである。光増感剤は比較的光安定性であるべきであり、一重項酸素と効率的に反応しなくてもよい。例示を目的とし、限定ではない、光増感剤の例には:アセトン;ベンゾフェノン;9−チオキサントン;エオシン;9,10−ジブロモアントラセン;メチレンブルー;(限定されないが)ヘマトポルフィリンのようなメタロ−ポルフィリン;フタロシアニン;クロロフィル;ローズベンガル;およびバックミンスターフラーレン;ならびにこれらの化合物の誘導体が含まれる。
【0042】
特に、本開示に従って利用することができる化学発光化合物および光増感剤の非限定的な例は米国特許第5,340,716号(Ullmanら)に記載されており、その全体の内容は参照によって明示的に本明細書に組み入れる。
【0043】
当該技術分野において公知であるか、またはそうでなければ本明細書に企図される任意の標的検体特異的結合パートナーは、本開示に従って利用することができる。標的検体についての検体特異的結合パートナーの非限定的な例には、抗体、受容体、リガンド、アプタマー、分子インプリントポリマー(すなわち、無機マトリクス)、およびそれらのいずれかの組合せまたは誘導体、ならびに標的検体に特異的に結合することができる任意の他の分子が含まれる。ある特定の(しかし非限定的な)例において、(a)および(b)の第1および第2の検体特異的結合パートナーの各々は、標的検体に対する抗体である。同様に、(e)および(f)の第1および第2の検体特異的結合パートナーの各々は、存在する場合、ある特定の(しかし非限定的な)実施形態では、第2の標的検体に対する抗体であってもよい。
【0044】
当該技術分野において公知であるか、またはそうでなければ本明細書に企図される任意のビオチン特異的結合パートナーは、本開示に従って利用することができる。ある特定の非限定的な実施形態では、ビオチン特異的結合パートナーはビオチンに対する抗体である。他の非限定的な実施形態では、ビオチン特異的結合パートナーはアビジンまたはその類似体である。
【0045】
当該技術分野において公知であるか、またはそうでなければ本明細書に企図される任意のアビジン類似体は、アビジンまたはアビジン類似体が:(1)増感剤と会合することができ;(2)ビオチン化した検体特異的結合パートナーに結合することができ;(3)サンプル中に存在し得るビオチンに結合することができる限り、本開示に従って利用することができる。本開示に従って利用することができるアビジン類似体の非限定的な例には、Kangら(J Drug Target(1995)3:159〜65)に開示されているものが含まれ、その全体の内容は参照によって明示的に本明細書に組み入れる。アビジン類似体の特定の非限定的な例には、アビジン、ストレプトアビジン、トラプトアビジン、中性アビジン、ニュートラライトアビジン(Neutralite avidin)、ニュートラアビジン(Neutravidin)、ライト−アビジン(Lite−avidin)、スクシニル化アビジン、修飾もしくは遺伝子操作されたアビジンの他の形態、上記のいずれかのエステル、塩および/または誘導体などが含まれる。
【0046】
ある特定の非限定的な実施形態では、(a)および/または(b)の一重項酸素により活性化可能な化学発光化合物は、それに直接的または間接的に結合しているハプテンを有する。
【0047】
活性化された化学発光化合物によって励起され、特定の検出可能な波長で発光することができる当該技術分野において公知の任意の蛍光分子は、各蛍光分子によって生成されるシグナルが、利用される他の蛍光分子によって生成されるシグナルから検出可能である限り、(a)および(b)(および存在する場合、(e))の蛍光分子として本開示に従って利用することができる。すなわち、(a)の蛍光分子は、(b)の蛍光分子が発光する波長と十分に異なる波長で発光しなければならず、それによって2つのシグナルは、同時に検出される場合、互いに区別される。ある特定の(しかし非限定的な)例において、本開示に従って利用される各蛍光分子は、独立して、テルビウム、ウラン、サマリウム、ユーロピウム、ガドリニウムおよびジスプロシウムからなる群から選択される。例えば(限定する目的ではないが)、同時に検出される場合、互いに区別される2つまたは3つのシグナルの生成に関して、テルビウムは約545nmの波長で発光し、ウランは約612nmの波長で発光し、サマリウムは約645nmの波長で発光する。
【0048】
組成物/キット/マイクロ流体デバイス/方法のアッセイ成分/試薬は、それらが本開示に従って機能することを可能にする任意の形態で提供される。例えば、限定の目的ではないが、試薬の各々は、液体形態で提供され、キット内にバルクおよび/または単一のアリコート形態で配置される。あるいは、特に(しかし非限定的な)実施形態では、試薬の1つまたはそれ以上は、単一のアリコートの凍結乾燥試薬の形態でキット内に配置される。マイクロ流体デバイスにおける乾燥試薬の使用は米国特許第9,244,085号(Samproni)に詳細に記載されており、それらの全体の内容は参照によって明示的に本明細書に組み入れる。
【0049】
本明細書上記で詳細に記載されるアッセイ成分/試薬に加えて、キットは、本明細書に記載されるか、またはそうでなければ企図される特定のアッセイのいずれかを行うための他の試薬をさらに含有してもよい。これらのさらなる試薬の性質は特定のアッセイ形式に依存し、それらの同定は十分に当業者の技術の範囲内である;したがってそれらのさらなる説明は必要ないと考えられる。また、キットに存在する成分/試薬の各々は別個の容器/区画にあってもよいか、または種々の成分/試薬が、成分/試薬の交差反応および安定性に応じて、1つもしくはそれ以上の容器/区画内に合わせられる。さらに、キットは、成分/試薬が配置されているマイクロ流体デバイスを含んでもよい。
【0050】
キット内の種々の成分/試薬の相対量は、アッセイ方法の間に発生することを必要とする反応を十分に最適化し、さらに、アッセイの感度を十分に最適化する濃度の成分/試薬を提供するために広範に変更することができる。適切な状況下で、キット内の成分/試薬の1つまたはそれ以上は凍結乾燥粉末のような乾燥粉末として提供することができ、キットは乾燥試薬を溶解するための賦形剤をさらに含んでもよい;このように、本開示に従って方法またはアッセイを実施するための適切な濃度を有する試薬溶液はこれらの成分から得ることができる。陽性および/または陰性対照もまた、キット内に含んでもよい。さらに、キットは、キットの使用方法を説明している書面の説明書のセットをさらに含んでもよい。この性質のキットは、本明細書に記載されるか、またはそうでなければ企図される方法のいずれかにおいて使用することができる。
【0051】
本開示のある特定のさらなる非限定的な実施形態は、本明細書上記に記載されるキットのいずれかの成分を含むマイクロ流体デバイスを対象とする。特に、ある特定の非限定的な実施形態は、サンプル中のビオチンおよび少なくとも1つのさらなる標的検体の濃度を決定するためのマイクロ流体デバイスを含む。マイクロ流体デバイスは、(i)サンプルが適用される入口チャネルと;(ii)入口チャネルと流体連絡することができる少なくとも第1の区画とを含む。(ii)の区画は:(a)一重項酸素により活性化可能な化学発光化合物を含み、それに直接的または間接的に結合しているビオチンまたはその類似体を有する、少なくとも第1の組成物であって、活性化された化学発光化合物によって励起される蛍光分子をさらに含む、第1の組成物と;(b)一重項酸素により活性化可能な化学発光化合物を含み、それに直接的または間接的に結合している標的検体についての第1の検体特異的結合パートナーを有する少なくとも第2の組成物であって、活性化された化学発光化合物によって励起される蛍光分子をさらに含み、蛍光分子は、(a)の蛍光分子と異なり、(a)の蛍光分子と異なる波長で発光する、第2の組成物と;(c)標的検体についてのビオチン化した第2の検体特異的結合パートナーであって、(b)の第1の検体特異的結合パートナーと異なる標的検体のエピトープに結合する、第2の検体特異的結合パートナーと;(d)一重項酸素をその励起状態において生成することができ、増感剤に直接的または間接的に結合しているビオチン特異的結合パートナーを有することができる増感剤を含む組成物とを含有する。ある特定の(しかし非限定的な)実施形態では、(ii)の区画は、一重項酸素により活性化可能な化学発光化合物を含み、それに直接的または間接的に結合している第2の標的検体またはその類似体を有する少なくとも第3の組成物であって、第3の組成物は、活性化された化学発光化合物によって励起される蛍光分子をさらに含み、蛍光分子は、(a)および(b)の蛍光分子と異なり、(a)および(b)の蛍光分子と異なる波長で発光する、第3の組成物をさらに含有する。
【0052】
本明細書上記に詳細に記載されるか、またはそうでなければ本明細書に企図される一重項酸素により活性化可能な化学発光化合物、増感剤、蛍光分子、ビオチンまたはその類似体、標的検体またはその類似体、および標的検体特異的結合パートナーのいずれかは、本開示のマイクロ流体デバイスに利用することができる。
【0053】
例えば、ある特定の(しかし非限定的な)実施形態では、(a)および(b)の一重項酸素により活性化可能な化学発光化合物は、一重項酸素との化学反応を受けて、同時または後の発光により分解することができる準安定中間体種を形成する物質である。
【0054】
ある特定の(しかし非限定的な)実施形態では、増感剤は光増感剤である。
【0055】
ある特定の(しかし非限定的な)実施形態では、(b)および(c)の第1および第2の検体特異的結合パートナーの各々は、標的検体に対する抗体である。
【0056】
ある特定の(しかし非限定的な)実施形態では、(iii)のビオチン特異的結合パートナーは、アビジンもしくはその類似体であるか、またはビオチンに対する抗体である。
【0057】
ある特定の(しかし非限定的な)実施形態では、(a)および/または(b)の一重項酸素により活性化可能な化学発光化合物は、それに直接的または間接的に結合しているハプテンを有する。
【0058】
ある特定の(しかし非限定的な)実施形態では、(a)および(b)の蛍光分子は、各々独立して、テルビウム、ウラン、サマリウム、ユーロピウム、ガドリニウムおよびジスプロシウムからなる群から選択される。例えば(限定する目的ではないが)、テルビウムは約545nmの波長で発光し、ウランは約612nmの波長で発光し、サマリウムは約645nmの波長で発光する。
【0059】
ある特定の(しかし非限定的な)実施形態では、(ii)の区画は:(e)一重項酸素により活性化可能な化学発光化合物を含み、それに直接的または間接的に結合している第2の標的検体についての第1の検体特異的結合パートナーを有する少なくとも第3の組成物であって、第3の組成物は、活性化された化学発光化合物によって励起される蛍光分子をさらに含み、蛍光分子は、(a)および(b)の蛍光分子と異なり、(a)および(b)の蛍光分子と異なる波長で発光する、第3の組成物と;(f)第2の標的検体についてのビオチン化した第2の検体特異的結合パートナーであって、(e)の第1の検体特異的結合パートナーと異なる第2の標的検体のエピトープに結合する、第2の検体特異的結合パートナーとをさらに含有する。ある特定の(しかし非限定的な)実施形態では、第3の組成物の蛍光分子は、テルビウム、ウラン、サマリウム、ユーロピウム、ガドリニウムおよびジスプロシウムからなる群から選択される。
【0060】
ある特定の非限定的な実施形態では、(ii)の要素(a)〜(d)の全て(ならびに存在する場合、(e)および(f))は同じ区画中に存在する。代替の非限定的な実施形態では、要素(a)〜(d)(ならびに存在する場合、(e)および(f))は、2つまたはそれ以上の区画の間で分割される。
【0061】
デバイスは、本開示に従ってそのデバイスが機能することを可能にする、区画の任意の配列およびそれらの間の種々の成分の分配を提供することができる。
【0062】
マイクロ流体デバイスの区画のいずれかは、試薬を使用するまで、実質的に気密環境でその中に配置される試薬を維持するために封止され;例えば、凍結乾燥試薬を含有する区画は試薬のあらゆる意図的でない再構成を阻止するために封止される。入口チャネルおよび区画、ならびに2つの区画は互いに「流体連絡することができる」と記載され;この語句は、区画の各々を常に封止することができるが、2つの区画はそれらの中またはそれらの間に形成される封止が破壊されるとそれらの間に流体が流れることができることを示す。
【0063】
本開示のマイクロ流体デバイスは、当該技術分野において公知であるか、またはそうでなければ本明細書に企図される任意の他の所望の機能を提供することができる。例えば、限定する目的ではないが、本開示のマイクロ流体デバイスは読み取りチャンバをさらに含んでもよく;読み取りチャンバは本明細書上記に記載される試薬を含有する区画のいずれかであってもよいか、または読み取りチャンバは前記区画と流体連絡することができる。マイクロ流体デバイスは、(限定されないが)洗浄液、希釈液、賦形剤、干渉液、陽性対照、陰性対照、品質対照などのような他の溶液を含有する1つまたはそれ以上のさらなる区画をさらに含んでもよい。これらのさらなる区画は他の区画の1つまたはそれ以上と流体連絡することができる。例えば、マイクロ流体デバイスは洗浄液を含有する1つまたはそれ以上の区画をさらに含んでもよく、これらの区画はデバイスのいずれかの他の区画と流体連絡することができる。別の例では、マイクロ流体デバイスは1つまたはそれ以上の乾燥試薬を溶解するための賦形剤を含有する1つまたはそれ以上の区画をさらに含んでもよく、区画はデバイスのいずれかの他の区画と流体連絡することができる。なおさらなる例では、マイクロ流体デバイスは希釈液を含有する1つまたはそれ以上の区画を含んでもよく、区画はデバイスのいずれかの他の区画と流体連絡することができる。
【0064】
さらに、本明細書に記載されるか、またはそうでなければ企図されるキット/マイクロ流体デバイスのいずれかは、単一のキット/デバイスにおけるビオチンアッセイと多重化された1つより多い標的検体アッセイを含んでもよい。複数の標的検体アッセイが存在する場合、アッセイの各々は本明細書に記載されるように構築することができ、機能する。あるいは、本明細書に記載されるビオチンおよび標的検体アッセイは、本開示のキット/マイクロ流体デバイス内に含有することができる、当該技術分野において公知である任意の他の標的検体アッセイと多重化される。本明細書に開示され、請求されるアッセイと多重化される他のアッセイの非限定的な例には、BNP、NT−proBNP、D−Dimer、CKMB、ミオグロビン、ミエロペルオキシダーゼ、ST2、PCT、hCG、LH、FSH、iPTH、TSH、fT
4、T
4、PSA、fPSA、およびcPSA、ならびにそれらの組合せが含まれる。
【0065】
複数の標的検体アッセイが単一のマイクロ流体デバイスに存在する場合、複数の入口チャネルをサンプル適用チャンバに接続することができる。ある特定の実施形態では、サンプルの一部は、その内容物にかかわらず、サンプル適用チャンバから複数の入口チャネルまで通過することができる。あるいは、ある特定の成分のサンプル全体からの分離および前記成分の異なるアッセイへの送達を可能にする構造が、サンプル適用チャンバ、入口チャネル、および/またはそれらの間の接続部に存在してもよい。本開示に従って利用することができるサンプル分配デバイスの非限定的な例は、米国特許第9,416,776号(Leddenら)に詳細に記載され、それらの全体の内容は参照によって明示的に本明細書に組み入れる。
【0066】
ある特定の非限定的な実施形態はまた、サンプル中のビオチンおよび少なくとも1つのさらなる標的検体の存在および/または濃度を検出するための方法を対象とする。その方法は以下の工程を含む。
【0067】
第1の工程において、ビオチンおよび少なくとも1つのさらなる標的検体を含有すると疑われるサンプルは:(a)一重項酸素により活性化可能な化学発光化合物を含み、それに直接的または間接的に結合しているビオチンまたはその類似体を有する少なくとも第1の組成物であって、活性化された化学発光化合物によって励起される蛍光分子をさらに含む、第1の組成物と;(b)一重項酸素により活性化可能な化学発光化合物を含み、それに直接的または間接的に結合している標的検体の第1の検体特異的結合パートナーを有する少なくとも第2の組成物であって、活性化された化学発光化合物によって励起される蛍光分子をさらに含み、蛍光分子は、(a)の蛍光分子と異なり、(a)の蛍光分子と異なる波長で発光する、第2の組成物と;(c)標的検体についてのビオチン化した第2の検体特異的結合パートナーであって、(b)の第1の検体特異的結合パートナーと異なる標的検体のエピトープに結合する、第2の検体特異的結合パートナーと;(d)一重項酸素をその励起状態において生成することができ、増感剤に直接的または間接的に結合しているビオチン特異的結合パートナーを有することができる増感剤を含む過剰な組成物と同時にまたは全体的もしくは部分的に連続して合わせられる。
【0068】
第2の工程において、成分は、サンプル中に存在する標的検体への(b)および(c)の結合ならびに(d)への(c)の結合を可能にするために一緒にインキュベートされ、((c)および標的検体を介する)(d)への(b)の間接的な結合は、増感剤が化学発光化合物と近接する標的検体複合体の形成を生じる。さらに、(a)は、サンプル中のビオチンの不在下で(d)に結合し、増感剤が化学発光化合物と近接するビオチン複合体の形成を生じる。
【0069】
第3の工程において、増感剤は活性化されて一重項酸素を生成し、ビオチン複合体および標的検体複合体に存在する増感剤の活性化は、各複合体に存在する化学発光化合物の活性化を引き起こす。
【0070】
第4の工程において、ビオチン複合体における活性化された化学発光化合物によって生じる化学発光の量は、(a)の蛍光分子によって発せられた光の量を測定することによって決定され、サンプル中のビオチンの量は発せられた光の量と反比例する。
【0071】
第5の工程において、標的検体複合体における活性化された化学発光化合物によって生じる化学発光の量は、(b)の蛍光分子によって発せられた光の量を測定することによって決定されて、サンプル中の標的検体の量を決定する。
【0072】
第6の工程において、第2から第5の工程は、所望の場合、場合により反復することができる。
【0073】
第7の工程において、工程(5)の結果は、工程(4)において検出されたいくらかのビオチン干渉に基づいて補正される。あるいは、工程(5)の結果は、工程(4)において検出されたビオチン濃度が最大閾値レベルを超える場合、信頼できないとしてフラグ付けされる。
【0074】
方法のある特定の非限定的な実施形態では、工程(1)は:(e)化学発光化合物に直接的または間接的に結合している第2の標的検体についての第1の検体特異的結合パートナーを有する一重項酸素により活性化可能な化学発光化合物を含む少なくとも第3の組成物であって、活性化された化学発光化合物によって励起される蛍光分子をさらに含み、蛍光分子は、(a)および(b)の蛍光分子と異なり、(a)および(b)の蛍光分子と異なる波長で発光する、第3の組成物と;(f)第2の標的検体についてのビオチン化した第2の検体特異的結合パートナーであって、(e)の第1の検体特異的結合パートナーと異なる第2の標的検体のエピトープに結合する、第2の検体特異的結合パートナーとを、要素(a)〜(d)と合わせる工程をさらに含む。この場合、方法は:(8)(e)の蛍光分子によって発せられた光の量を測定することによって第2の標的検体複合体における活性化された化学発光化合物によって生じる化学発光の量を決定して、サンプル中の標的検体の量を決定する工程と;(9)工程(4)において検出されたいくらかのビオチン干渉に基づいて工程(8)の結果を補正する工程および/または工程(4)において検出されたビオチン濃度が最大閾値レベルを超える場合、工程(8)の結果を信頼できないとしてフラグ付けする工程をさらに含んでもよい。
【0075】
本明細書上記に詳細に記載されるか、またはそうでなければ本明細書に企図される一重項酸素により活性化可能な化学発光化合物、増感剤、蛍光分子、ビオチンまたはその類似体、標的検体またはその類似体、および標的検体特異的結合パートナーのいずれかは、本開示の方法において利用することができる。
【0076】
例えば、ある特定の(しかし非限定的な)実施形態では、(a)および(b)(および存在する場合、(e))の一重項酸素により活性化可能な化学発光化合物は、一重項酸素との化学反応を受けて、同時または後の発光により分解することができる準安定中間体種を形成する物質である。
【0077】
ある特定の(しかし非限定的な)実施形態では、増感剤は光増感剤であり、工程(3)における増感剤の活性化は、光による照射(例えば、限定されないが、約680nmでの照射)を含む。
【0078】
ある特定の(しかし非限定的な)実施形態では、(b)および(c)(ならびに存在する場合、(e)および(f))の第1および第2の検体特異的結合パートナーの各々は、標的検体に対する抗体である。
【0079】
ある特定の(しかし非限定的な)実施形態では、(d)のビオチン特異的結合パートナーは、アビジンもしくはその類似体であるか、またはビオチンに対する抗体である。
【0080】
ある特定の(しかし非限定的な)実施形態では、(a)および/または(b)の一重項酸素により活性化可能な化学発光化合物は、それに直接的または間接的に結合しているハプテンを有する。
【0081】
ある特定の(しかし非限定的な)実施形態では、(a)および(b)(および存在する場合、(e))の蛍光分子は、各々独立して、テルビウム、ウラン、サマリウム、ユーロピウム、ガドリニウムおよびジスプロシウムからなる群から選択される。例えば(限定する目的ではないが)、テルビウムは約545nmの波長で発光し、ウランは約612nmの波長で発光し、サマリウムは約645nmの波長で発光する。
【0082】
ビオチンの存在についてのアッセイが所望される任意のサンプルを、本開示の方法に従ってサンプルとして利用することができる。サンプルの非限定的な例には、限定されないが、全血またはそのいずれかの部分(すなわち、血漿または血清)、尿、唾液、痰、脳脊髄液(CSF)、皮膚、腸液、腹腔内液、嚢胞液、汗、間質液、細胞外液、涙、粘液、膀胱洗浄液、精液、糞便、胸膜液、鼻咽頭液、およびそれらの組合せのような生体サンプルが含まれる。特定の非限定的な例には、溶解全血細胞および溶解赤血球が含まれる。
【0083】
上述のように、方法の種々の成分は、(同時にまたは連続してのいずれかで)組み合わせて提供される。方法の種々の成分が連続して添加される場合、成分の添加の順序を変更させてもよく;当業者は、アッセイへの異なる成分の添加の特定の所望の順序を決定することができる。添加の最も簡単な順序は、もちろん、全ての材料を同時に添加し、それらから生成されたシグナルを決定することである。あるいは、成分の各々、または成分のグループを連続して合わせることができる。ある特定の実施形態では、インキュベーション工程は1つまたはそれ以上の追加の後に含まれる。
【0084】
代替の(しかし非限定的な)実施形態では、方法の工程(1)は、サンプルを、ビオチン化した標的検体特異的結合パートナーおよび増感剤を含む組成物と最初に合わせる工程と、それを、一重項酸素により活性化可能な化学発光化合物を含む組成物を加える前に、インキュベートする工程とを含む。あるいは、方法の工程(1)は、サンプルを、一重項酸素により活性化可能な化学発光化合物を含む組成物と最初に合わせる工程と、それを、増感剤を含む組成物を加える前に、インキュベートする工程とを含んでもよい。この後者の実施形態では、ビオチン化した標的検体特異的結合パートナーはインキュベーション工程の前または後に加えられる。
【0085】
本開示の特定の実施形態は、LOCI(登録商標)アッセイ形式を有すると記載されているが、本開示はまた、サンプルビオチン干渉の排除が望まれる他のアッセイ形式(ならびにキット、マイクロ流体デバイスおよびそれを実行する方法)を対象とすることも理解されるべきである。例えば(しかし限定する目的ではないが)、本開示はまた、異なる波長でシグナルを生成する異なる酵素に連結している(限定されないが)異なる抗体のような異なるシグナル分子を、本明細書上記に記載される化学発光化合物含有組成物の代わりに利用することができる、アッセイ形式も含む。
【実施例】
【0086】
実施例を本明細書以下に提供する。しかしながら、本開示は、その適用において、本明細書に開示される特定の実験、結果、および実験手順に限定されないことは理解されるべきである。むしろ、実施例は種々の実施形態の1つとして単に提供され、包括的ではなく、例示的であることを意図する。
【実施例1】
【0087】
図1は、キットおよびマイクロ流体デバイスに存在し、本開示のある特定の非限定的な実施形態の方法に使用されるアッセイ成分を示す。これらの成分は(左から右へ):
(i)第1のケミビーズに直接的または間接的に結合しているビオチンまたはその類似体を有し、ケミビーズに存在する活性化された化学発光化合物によって励起される第1の蛍光分子を含有する第1のケミビーズと;
(ii)一重項酸素をその励起状態において生成することができ、センシビーズに直接的または間接的に結合しているビオチン特異的結合パートナーを有することができるセンシビーズと;
(iii)ビオチン化した標的検体特異的結合パートナーと;
(iv)第2のケミビーズに直接的または間接的に結合している標的検体またはその類似体を有し、ケミビーズに存在する活性化された化学発光化合物によって励起される第2の蛍光分子を含有する第2のケミビーズと
を含む。
第1および第2の蛍光分子は、互いに異なり、異なる波長で発光する;このように、ビオチンおよび標的検体の両方についてのアッセイは、(i)を含有する複合体が(iv)を含有する複合体と異なる波長で検出されるので、同じ反応において同時に実行することができる。
【0088】
ビオチンがサンプル中に存在しない場合、
図2の上側パネルの左側に示すように、複合体は(i)と(ii)との間で形成され、シグナルは増感剤の活性化により生成される。しかしながら、ビオチンがサンプル中に存在する場合、それは、
図2の下側パネルの左側に示すように、(ii)への結合に関して(i)と競合する。したがって、サンプル中のビオチンの存在は、第1の蛍光分子から発せられた光を検出するために使用される第1の波長で検出されたシグナルの減少として検出される。
【0089】
さらに、同じ反応において、(iii)はサンプル中に存在する標的検体に結合し、次いで、
図2の下側パネルの右側に示すように、(iv)は(iii)に結合する。したがって、サンプル中の標的検体の存在は、第2の蛍光分子から発せられた光を検出するために使用される第2の波長で検出されたシグナルの増加として検出される。対照的に、標的検体が存在しない場合、(iii)のみが(ii)に結合することができるが、(iv)はそれに結合することができず、したがって、シグナルは標的検体の不在下で生成されない(
図2の上側パネルの左側)。
【0090】
ビオチンがサンプル中で検出される場合、次いで標的検体アッセイから得られた結果は、第1のケミビーズを使用して検出されたいくらかのビオチン干渉に基づいて補正することができ、および/または検出されたビオチン濃度が最大閾値レベルを超える場合、信頼できないとしてフラグ付けすることができる。
【0091】
さらに、本開示の多重アッセイは、ビオチン干渉の検出に加えて1つより多い標的検体を同時に検出するように適合することができる。検出されるべき各々のさらなる標的検体に関して、(iii)および(iv)のようなさらなる成分が加えられ、(iv)のようなさらなる成分に存在する蛍光分子は、第1および第2の蛍光分子と異なり、別々に検出可能な波長で発光するという点で第1および第2の蛍光分子と異なる。このように、各々を検出するために使用されるケミビーズが、異なり、別々に検出可能な波長で各々発光する異なる蛍光分子を含有する限り、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、またはそれ以上の標的検体を単一の反応において検出することができ;したがって、単一反応において検出することができる標的検体の数の制限因子は、本明細書に記載されるように機能する利用可能な蛍光分子の数である。
【実施例2】
【0092】
この実施例は、ビオチンおよびプロカルシトニン(PCT)についての多重化アッセイを提供する。ビオチンはテルビウムで染色したケミビーズに共有結合によりコンジュゲートしており(
図3、上側パネルの左側)、PCTについての捕捉抗体はユーロピウムで染色したケミビーズに共有結合によりコンジュゲートしている(
図3、上側パネルの右側)。多重化方法は、少なくともビオチンおよびPCTの両方を含有する複数検体較正器を用いて較正される。同じストレプトアビジンセンシビーズを、ビオチンおよびPCTの両方を検出するために使用する。
【0093】
図3の下側パネルに示すように、センシビーズは680nmの励起光によって活性化して一重項酸素を生成し、一重項酸素は両方の種類のケミビーズに拡散する。ビオチンと複合体化すると、ビオチンケミビーズは545nmで発光し、これはビオチンシグナルとして測定される。PCTと複合体化すると、PCTケミビーズは612nmで発光し、これはPCTシグナルとして測定される。次いで2つの較正曲線を多重測定から生成する:1つはビオチンについて、および1つはPCTについて。
【0094】
蛍光分子としてテルビウムを使用したサンプル中の測定したビオチン濃度は、蛍光分子としてユーロピウムを使用して測定したビオチンLOCI(登録商標)シグナルに関連する。ユーロピウムによって測定した種々のビオチン濃度でのLOCI(登録商標)シグナルは実験的に得られる。次いである特定のビオチン濃度でのユーロピウムによるビオチンLOCI(登録商標)シグナルを予測(外挿)することができ、必要な場合、後で差し引くか(シグナルに対するプラスの影響が観察される場合)、または加えて(シグナルに対するマイナスの影響が観察される場合)、標的検体の結果を補正する。
【0095】
このように、標的検体アッセイの結果は、多重様式においてビオチン測定から推定したビオチンシグナルを使用して補正することができる。あるいは、検出されたビオチン濃度が最大閾値レベルを超える場合、結果を信頼できないとしてフラグ付けすることができる。
【実施例3】
【0096】
図4は、本開示に従って構築した多重アッセイの1つの非限定的な実施形態についてのアッセイ順序を示し、2つの検体が測定される:標的検体(この実施例においてタンパク質X(PrX)と称する)およびビオチン。標的検体PrXについてのアッセイは2つの抗体の使用を必要とするサンドイッチアッセイであり;第1の抗体(Ab1)はケミビーズに被覆され(Ab1−CB)、第2の抗体(Ab2)はビオチン化される。ビオチンアッセイは、競合形式を使用し、ビオチンにより(またはビオチン類似体により)被覆したケミビーズ(ビオチン−CB)の使用を必要とする。Ab1−CBおよびビオチン−CBの各々は異なる色素を含有するので、2つのケミビーズを含有する複合体は単一の反応において別々に検出することができる。さらに、両方のアッセイは同じストレプトアビジンにより被覆したセンシビーズ(SB)を使用する。
【0097】
図4は、この多重アッセイについての1つの追加の順列を示すが、このような順列は本開示を限定するとみなされるべきではなく;実際に、様々なアッセイ成分を任意の順序で追加することができ、2つのアッセイを任意の所望の順列で実行することができる。したがって、
図4に示すアッセイの追加および順列の順序は本開示の範囲に限定されない。
【0098】
上記のビオチンアッセイから得られたビオチンシグナルは、
図5に示す(および米国特許出願第62/711,694号(2018年7月30日に出願された)に詳細に記載される)ように、標準曲線を利用する適切な較正によってサンプルビオチン濃度([ビオチン]ng/ml)に変換することができる。ある特定の非限定的な実施形態では、この濃度は標的検体についてアッセイする前に得ることができる。計算したビオチン濃度は4つの異なる手法のうちの1つに利用することができる:
(1)ビオチンシグナルまたは計算したビオチン濃度が閾値未満である場合であって、その閾値を超えるとビオチンが標的検体アッセイを干渉し始めることが知られている場合、標的検体アッセイの結果を正常と報告する。
(2)ビオチンシグナルまたは計算したビオチン濃度が閾値レベルを超える(すなわち、ビオチンが標的検体アッセイを干渉し始めることが知られているレベルを超える)場合、標的検体の結果を信頼できないとしてフラグ付けし、報告されない。
(3)ビオチンシグナルまたは計算したビオチン濃度が閾値レベルを超える場合、ビオチン濃度またはシグナル値を利用して標的検体アッセイの結果を補正する。
(4)この選択肢は、(1)、(2)および(3)の組合せを利用する。すなわち、ビオチンレベルが標的検体アッセイに影響を及ぼすことに関して閾値レベルを超えるが、閾値レベルを圧倒的に上回らない場合、影響を受けた標的検体アッセイの結果を補正する。検出されたビオチンシグナル/計算した濃度が低い場合(すなわち、ビオチンが標的検体の結果を干渉しないような閾値レベル未満)、標的検体の結果は正常と報告される。検出されたビオチンシグナル/計算した濃度が非常に高く(すなわち、最大閾値レベルを超える)、補正が可能ではない場合、フラグを作動すべきであり、標的検体の結果を信頼できないとしてフラグ付けすべきである。
【0099】
図6は、標的検体シグナルとのビオチン干渉およびその可能な補正に関連するこれらの様々なシナリオをグラフで示す。最も上側の曲線は、ビオチンが存在しない場合に得られたアッセイ値を示す。最も上側の曲線のすぐ下の曲線では、標的検体シグナルに対して最小限の影響を及ぼす低いビオチン濃度が存在する;このシナリオでは、標的検体の結果の補正は必要とされない。次の曲線では、ビオチン濃度/シグナルは閾値を上回り、それを超えるとビオチンは標的検体アッセイを干渉する;このシナリオでは、検出されたビオチン干渉の量に基づく標的検体の結果の補正が必要とされる。すなわち、ビオチン濃度またはシグナル値を利用して標的検体アッセイの結果を補正する。最も下側の曲線では、ビオチン濃度またはシグナル値は閾値を有意に超えて、最大閾値を上回り、それを超えると標的検体濃度はもはや補正することはできない;したがって、存在するビオチン干渉の量により、標的検体の結果が信頼できないことを示すようにフラグが作動される。
【0100】
アッセイの成分に関して、サンプル中にビオチンが存在しない場合または最小限のビオチンが存在する場合、全てのビオチン−ケミビーズは、
図4の「Rxn段階1」におけるセンシビーズに結合している;この場合、標的検体シグナルのビオチン干渉は存在しない。サンプルビオチンが十分に高い場合、サンプルビオチンおよびビオチン−ケミビーズの一部は、
図4の「Rxn段階1」において追加されるセンシビーズに結合せず、したがって
図4の「Rxn段階2」におけるセンシビーズ結合反応に持ち越される。十分な量のサンプルビオチンおよびビオチン−ケミビーズのあふれた量は、
図4の「Rxn段階2」におけるセンシビーズ/ビオチン−抗体1/標的検体/抗体2−ケミビーズ複合体(「SB::ビオチン−Ab1::PrX::Ab2−CB」として
図4に示す)の形成に影響を及ぼし、したがって
図6のグラフに示すように、減少した標的検体シグナルを生じる。
【0101】
図7の上側の表は、サンプルビオチンの不在下および存在下での本開示による多重アッセイによって得られた標的検体(PrX)シグナル(キロカウントにおける)の仮定シナリオを示す。理解できるように、任意の最小サンプルビオチン濃度(10ng/ml)では、標的検体シグナルに対する影響は、試験した標的検体濃度のいずれにおいても観察されない。閾値ビオチン濃度(例えば、100ng/mlおよび500ng/mlの任意の値における)を過ぎると、PrXシグナルに対するサンプルビオチン濃度の影響を観察することができ、その後PrX値を存在するビオチン干渉の量に基づいて補正することができる。しかしながら、最大閾値レベルに到達すると(例えば、3000ng/mlの任意の値)、PrXシグナルに対するビオチン干渉の影響は、もはやビオチン干渉を補正することができないほど非常に大きくなるので、PrXシグナルを信頼できないとしてフラグ付けしなければならない。3000ng/mlの任意の値の開示は例示目的のためだけであり;本開示の範囲は、本明細書に記載されるか、またはそうでなければ企図されるように計算される任意の閾値の値を含み、3000ng/mlよりはるかに低い閾値の値および3000ng/mlよりはるかに高い閾値の値を含むことに留意されたい。
【0102】
図7の上側の表は検出された実際の標的検体シグナルを示すが、
図7の下側の表はPrXシグナルに対するサンプルビオチンによる干渉パーセント(上側の表の値に基づく)を示す。理解できるように、サンプルビオチン濃度が一定のままであっても、干渉の異なるパーセンテージが異なるPrX濃度において見られる。
【0103】
図8および9は、標的検体シグナルを、検出されたサンプルビオチンシグナル/濃度に基づいて補正することができる2つの方法を例示する。
図9に例示した方法は、
図7に提示したデータの全てを利用するのに対して、
図8に例示した方法は
図7からのデータのサブセットを利用する。しかしながら、これらの2つの例は例示の目的のために提供され、標的検体シグナルを、当業者に明らかであるサンプルビオチンシグナル/濃度に基づいて補正することができる任意の方法を本開示に従って利用することができることは理解されるべきである。
【0104】
図8において、上側の表の影付きの長方形(
図7から単に再現されている)は、PrXシグナルのより局所的な補正を提供するために、サンプルビオチンシグナル/濃度を使用してPrXシグナルを補正するために利用される。
図8の下側の表に示すように、影付きの長方形からの値を再配置し、次いで回帰を行う統計ソフトウェアに入力して、影付きの長方形からのデータに基づいて補正式を得る。この例において得られる回帰補正式を
図8の下部に示す。
【0105】
この工程は、種々の既知の濃度でPrXおよびビオチンの両方を含有する較正器を用いた共較正(製造時または顧客の較正による)の間に完了することができる。2つの検体共較正により、ビオチンおよびPrXの各々についての較正とは別の表面方程式が得られる。ビオチンまたはPrXシグナル検体較正は他の検体の不在下で行われる。しかし、この共較正は、両方の検体が種々の濃度で存在する場合に実行される。共較正の目的は、PrX濃度(または0ng/mlビオチンでのPrXシグナル)がビオチン干渉の存在下でPrXシグナルの関数として役立つ表面方程式を得ることである。
【0106】
図8の方法においてデータのサブセットを使用する理由は、より局所的なレベルでの補正についてのより正確な回帰を保証するためである。したがって、PrXシグナルおよびビオチンシグナル/濃度(ng/ml)が既知である場合、正確なPrX濃度(ng/ml)を計算することができる。
【0107】
あるいは、
図9に示すように、得られた表全体またはアッセイ範囲全体(ビオチンおよびPrX)を利用する同様の回帰を実行することによって、補正したPrX濃度を計算することができる。
図9の左側には、
図7からのデータを、示した表に単に再配置している。次いで、本明細書上記に記載されるように回帰分析を実行して、
図9の右側に示すように回帰式を得る。
【0108】
どの特定の方法が使用されるかにかかわらず、
図8および9の方法は両方とも、ビオチン干渉の存在下で標的検体(PrX)濃度を予測するための回帰式を作成する。
【0109】
このように、本開示に従って、本明細書上記に示した目的および利点を完全に満たす、組成物、キット、およびデバイス、ならびにそれらを製造し、使用する方法が提供される。本開示は、本明細書上記に示した具体的な図面、実験、結果、および言語と併せて記載してきたが、多くの代替、修飾、および変更が当業者には明らかであることは自明である。したがって、本開示の趣旨および広い範囲内である全てのこのような代替、修飾、および変更を包含することを意図する。