(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
汚水処理による有機物除去には、従来の経典的な方法として有機物を接触分解するフェン
トン試薬方法が使用されており、即ち、pH3−5の環境においては、第一鉄イオンと過
酸化水素分子が反応してヒドロキシルラジカル(OH
・)を発生させ、ヒドロキシルラジ
カルがさらに過酸化水素と反応してペルオキシヒドロキシルラジカル(HO
2・)を発生
させる。ヒドロキシルラジカルの酸化電位が2.73Vと高く、ペルオキシヒドロキシル
ラジカルと相乗して接触酸化を行い、このように通常の試薬で酸化されにくい芳香族化合
物及び一部の複素環類化合物を、フェントン試薬によりすべて非選択的に酸化して分解す
ることができる。それを生産するための主な化学反応の原理は以下のとおりである。
Fe
2+ + H
2O
2 → Fe
3+ + OH
− + OH
・
(1)
OH
・ + H
2O
2 → HO
2・ + H
2O
(2)
3OH
・ + 3HO
2・ + 2(―CH2―) → 2CO
2↑ + 5H
2O
(3)
【0003】
したがって、フェントン試薬で汚水における有機物を処理するとき、反応式(1)と(2
)に従えば、大量の市販過酸化水素(H
2O
2)と硫酸第一鉄の使用を必要とする。同時
に、反応式(1)がさらに右に進行してヒドロキシルラジカルを得るために、反応させて
発生した水酸根(OH
―)イオンが絶えずに移動する必要があり、即ち、反応のpH値を
制御するために、処理現場でH
2SO
498%の市販高濃度硫酸を大量で使用する必要が
ある。使用に適するように、濃硫酸の濃度を希釈しなければならない。価格が高いだけで
はなく、生産や作業に安全上のリスクをもたらす。
【0004】
ナノ二酸化チタンは、表面に存在する格子欠陥と活性化点のため、触媒反応特性を有する
ものであり、水分子を直接接触酸化してヒドロキシルラジカル(OH
・)とペルオキシヒ
ドロキシルラジカル(HO
2・)にして、過酸化水素による作用を果たし、それによって
過酸化水素(H
2O
2)を置換または減少させることができる。従来の火力発電所では、
脱硫脱窒をするための選択的接触還元(SCR)法、自動車排ガスの触媒およびセルフク
リーニングガラスなどはいずれもナノ二酸化チタン(TiO
2)の触媒性能に基づく新材
料であり、ナノ二酸化チタンの触媒機理による主な反応過程は以下のとおりである。
H
2O + O
2 + hv
OH
・ + HO
2・ (4)
3OH
・ + 3HO
2・ + 2(―CH2―)→ 2CO
2↑ + 5H
2O
(5)
【0005】
したがって、反応式(4)に従って光のエネルギーを利用して、ナノTiO
2が存在する
触媒反応において、水分子(H
2O)と酸素分子(O
2)を直接触媒反応させてヒドロキ
シルラジカル(OH
・)とペルオキシヒドロキシルラジカル(HO
2・)を得ることで、
フェントン法における汚水処理剤に過酸化水素(H
2O
2)を使用するという目的を実現
し、過酸化水素の代わりとなりまたはその使用量を削減させる。
【0006】
しかしながら、ナノTiO
2の生産方法は多数あり、液相法、固相法および気相法がある
。固相法と気相法により生産されたナノTiO
2製品は、複雑なプロセス、装置への高要
求、そして影響を与える価格上の要素などにより、汚水処理触媒として使用されることが
制限され、液相法の場合では、特に硫酸法によるチタン白生産における中間製品を用いて
ナノTiO
2触媒を生産する場合、依然として長いプロセス、多数の加工装置、生産のた
めに消費される大量の補助材料のため、生産コストが高くなり、特にナノTiO
2の超微
粒子では分離や洗浄が困難であり、汚水触媒処理剤の市場では理想的なものと言えない。
【0007】
たとえば、米国特許US 8,182,602 B2(高分散性微結晶二酸化チタンの製
造方法)に記載のように、(実施例1)硫酸法により生産される中間製品であるメタチタ
ン酸を用いて350g/LのTiO
2のスラリーを調製して、NaOH濃度が700g/
Lのアルカリ液を加え、60℃で2時間中和反応させて、温度を90℃に上げてチタン酸
ナトリウム固体を得て、硫酸根イオンがなくなるまで濾過と洗浄を行い、さらにチタン酸
ナトリウム濾過ケーキ固体をスラリー化して、TiO
2濃度が180g/Lのスラリーを
調製し、HCl濃度が30%の30g/L塩酸を加えて酸性化反応を、90℃の反応温度
で2時間行い、次に炭酸ナトリウムでpH値が4.7になるまで中和した後、濾過して4
倍の蒸留水で洗浄し、洗浄した濾過ケーキをスラリーにして0.2−1%のKH
2PO
4
助剤を配合し、4時間後、回転窯に輸送して720℃でか焼し、粒度10−50nmのT
iO
2か焼品を得て、か焼して得られたナノTiO
2についてサンドミルと後処理を施し
て、粒子径60ナノの高分散性ルチル型TiO
2製品を得る。該特許では、硫酸法による
チタン白生産において多段の分離と浄化により純化されたメタチタン酸を用い、且つプロ
セスが十分に長く、必要とされる生産装置が多く、そして操作が煩雑であり、特許の
図1
を参照すると合計10個のステップがあり、且つ大量の水酸化ナトリウム、塩酸および蒸
留水が使用されている。
【0008】
また、米国特許US 7,521,039 B2(光触媒型ルチル型二酸化チタン)に記
載のように、(実施例1)ナノ触媒TiO
2を得るために、前記のように、硫酸チタニル
が熱加水分解して得たメタチタン酸(水和二酸化チタン)と水酸化ナトリウムを反応させ
てチタン酸ナトリウムを製造し、次にチタン酸ナトリウムを濾過して水で洗浄した後、p
H3の塩酸溶液で硫酸根イオンとナトリウムイオンがなくなるまで洗浄し、製造されたチ
タン酸ナトリウム濾過ケーキを70g/LHCl溶液と混合して、加熱温度を90℃とし
て60分間反応させ、冷却させて粒度が(80−100)×10×10ナノのTiO
2を
得る。さらに、(実施例6)TiOCl
2溶液を水酸化ナトリウム溶液に加えて、溶液p
H値を0.5、温度を80℃にしで、2時間後冷却させ、次に脱イオン水で洗浄した後、
120℃で乾燥させる方法があり、ナノTiO
2は、比表面積が115−139m
2/g
で、高触媒性能を有し、それに対して、600℃でか焼した製品は、比表面積が32−4
4.7m
2/gだけであり、触媒性能が比較的低い。該発明特許のようにナノ触媒TiO
2を製造する場合、同様に硫酸法によって加水分解して沈殿させて洗浄したメタチタン酸
を用いるため、プロセスが長く、操作が煩雑であり、そして大量の水酸化ナトリウム、塩
酸および脱イオン水が使用されている。
【0009】
さらに、米国特許US 6,919,029 B2(水処理プロセス用の表面活性二酸化
チタンの製造方法)に記載のように、(実施例1)前記の2つの特許と同様に、硫酸法に
よるチタン白生産において加水分解して分離して洗浄したメタチタン酸スラリーを、水酸
化ナトリウムでpH 4−9に中和し、次に濾過して洗浄して、それにおける塩分を除去
し、得られた固体濾過ケーキを105−700℃の温度範囲で2時間乾燥させる。分析し
たところ、二酸化チタン粒子の粒子径が6.6−10.89nm範囲の凝集体が得られ、
製品は表面活性剤として水における有害物及び有害金属イオンの吸着に用いられる。該特
許のように表面活性二酸化チタンを製造する場合も、プロセスが複雑であり、水酸化ナト
リウムで中和される必要がある。濾過して洗浄し乾燥させることを必要とし、そして前記
のように硫酸法によるチタン白生産におけるメタチタン酸を原料とし、製品は吸着剤とし
てしか使用し得ない。
【0010】
硫酸法によるチタン白の生産プロセスでは、
図2に示されるように、メタチタン酸を加水
分解して濾過するとき、濾過した濾液が20−25%程度の希硫酸を含有しており、組成
が表1に示される。このような希硫酸資源を利用して、汚水水処理剤の分野でポリ硫酸第
二鉄(PFS)を生産するために、触媒である亜硝酸ナトリウムの存在下で酸素ガスまた
は空気を送風して酸化重合を行って、ポリ硫酸第二鉄(塩基性硫酸鉄(III))を得て
、汚水を処理するための凝集剤として用いる。その主な化学反応は以下のとおりである。
2FeSO
4 + NaNO
2 + H
2SO
4 → 2Fe(OH)SO
4 + Na
2SO
4 + 2NO (6)
NO + O
2 → NO
2 (7
)
2FeSO
4 + NO
2 + H
2O → 2Fe(OH)SO
4 + NO
(8)
【0011】
さらに、たとえば中国特許 CN 1202989C「希硫酸の濃縮および不純物除去方
法」および特許CN 100581994C「硫酸法によりチタン白を生産する過程にお
ける希硫酸の濃縮および不純物除去方法」では、硫酸第一鉄を含む希硫酸を、特許が付与
される濃縮プロセスにより濃縮させて分離し、回収した濃硫酸をチタン白の生産に再利用
しまたはリンの化学生産において市販硫酸の代わりとして原料に用い、発生した硫酸第一
鉄一水和物を硫黄資源の代わりに硫酸の生産に用いることで、優れた社会的および経済的
利益を達成させたが、分離した硫酸第一鉄一水和物が黄鉄鉱から硫酸を製造するための原
料として混入して燃焼するしかできず、多数のチタン白原料による硫酸生産では硫黄を原
料とし、プロセスの装置である硫黄燃焼炉が沸騰炉のように混入して燃焼しやすいもので
はない。硫酸法によるチタン白から副生する希硫酸とチタン原料を結合して、汚水を処理
して有機物を分解するための自己結合によるナノ触媒型汚水処理剤を生産して、従来のフ
ェントン試薬の生産プロセスおよび処理方法の代わりとして利用することについては、報
道がなかった。
【0012】
表1 希硫酸の主組成表
注:希硫酸の密度は1.341 g/cm
3である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
従来の硫酸法によるチタン白生産において生じる希硫酸とチタン原料を結合して、生産の
廃棄副産物資源の用途を広げ、従来のフェントン法による汚水処理剤で汚水における有機
物を分解するのに大量の市販硫酸と過酸化水素(過酸化水素水)が必要であるという欠点
を解決し、従来の触媒ナノTiO
2の生産プロセスの過程が長く、装置が複雑で、操作が
煩雑であるという欠点を解決するために、本発明は、自己結合によるナノ触媒型汚水処理
剤の生産およびその処理方法を提供することを目的とする。該方法は、硫酸法によるチタ
ン白から副生する希硫酸とチタン原料を反応させて、硫酸と硫酸チタン[H
2SO
4/T
i(SO
4)
2]および硫酸と硫酸第一鉄(H
2SO
4/FeSO
4)を配合した多成分
溶液製品を製造し、汚水処理をするときに処理剤を加えるとともに沈殿反応させて、高比
表面積と高分散相を有する触媒活性剤となる極微細な新しいナノTiO
2を生成し、それ
によって、より高い触媒効率を遂げて、過酸化水素の使用量を減少させまたはなくして、
汚水分解処理の時間を短縮させ、汚水における有機物を分解して除去するものである。従
来のフェントン法で汚水における有機物を分解する処理技術に比べて、本発明が保護しよ
うとする自己結合によるナノ触媒型汚水処理剤の生産およびその処理方法は、硫酸法によ
るチタン白から副生する希硫酸の新用途を提供するとともに、フェントン法における市販
硫酸および過酸化水素の使用を減少させる。且つ、ナノTiO
2を汚水処理触媒として合
成して生産するプロセスを簡素化させて、ナノTiO
2を製造するための長い生産手順と
煩雑な装置や機器を省略し、生産の副資材の使用量を減少させて節約して、生産コストを
削減させるとともに、自己結合によるナノ触媒型処理剤を使用することによって、従来の
フェントン法による有機物含有汚水の処理過程を簡素化させて、市販硫酸の希釈や過酸化
水素の貯蔵輸送などにおける安全上のリスクを解消し、さらに、硫酸法によるチタン白か
ら副生する硫酸とチタン原料を結合して環境に優しい水処理剤製品を製造することで、生
産の廃棄副産物資源の用途を広げて、従来から生産されたポリ硫酸第二鉄である一成分水
処理剤の利用方法の市場上の制限および欠陥を解決する。資源の利用や再利用率を向上さ
せて、生産者にとって経済的利益を増大し、硫酸法によるチタン白の生産における廃棄副
産物資源を循環的に結合して再利用するという経済的目的を達成させる。
【0014】
本発明の生産原理は以下のとおりである。
3H
2SO
4 + FeTiO
3 + → Ti(SO
4)
2 + FeSO
4 + 3
H
2O (9)
Ti(SO
4)
2 + 2H
2O → TiO
2↓+ 2H
2SO
4
(10)
H
2SO
4 + OH
− → H
2O + SO
4−2
(11)
H
2O + O
2 + hv
OH
・ + HO
2・ (12)
Fe
2+ + 2HO
2・ → Fe
3+ + OH
− + OH
・+ O
2↑
(13)
3OH
・ + 3HO
2・ + 2(―CH2―)→ 2CO
2↑ + 5H
2O
(14)
【0015】
チタン白から副生する希硫酸とチタン原料を必要に応じて所定の酸ーチタン比[H
2SO
4/Ti(SO
4)
2]と酸鉄比(H
2SO
4/FeSO
4)の配合材料として生成して
反応させて、自己結合によるナノ触媒型汚水処理液(反応式9)を製造し、汚水処理時、
希釈加水分解作用により反応式(10)に従ってナノTiO
2を生成する。反応させて放
出した硫酸が汚水におけるアルカリ性物質(OH
―)で中和されて水和硫酸塩を生産して
反応させる(反応式11)。新しいナノTiO
2が光の作用で送風した空気と触媒反応を
行い、反応式(12)に従ってヒドロキシルラジカル(OH
・)とペルオキシヒドロキシ
ルラジカル(HO
2・)を生成する。2分子ペルオキシヒドロキシルラジカル(HO
2・
)が反応式(13)に従って処理剤における硫酸第一鉄と反応して三価鉄イオン、水酸根
、ヒドロキシルラジカルおよび酸素を生成する。最後に、反応式(14)のように、汚水
において生成したヒドロキシルラジカル(OH
・)とペルオキシヒドロキシルラジカル(
HO
2・)が相乗して汚水における有機物をCO
2とH
2Oに分解する。
【0016】
本発明の技術案は以下のとおりである。
硫酸法によるチタン白から副生する希硫酸を用いて、必要に応じて硫酸と硫酸チタンの質
量比[H
2SO
4/Ti(SO
4)
2]および硫酸と硫酸第一鉄の質量比(H
2SO
4/
FeSO
4)のチタン鉱粉を原料として生成するとともに、連続反応槽R1に投入して分
解反応を行い、反応槽R2にオーバーフローして反応させ、次に反応槽R3にオーバーフ
ローして反応させ、完全に反応した液体材料をポンプP1でサイクロンCに送ってサイク
ロン分離を行い、サイクロンで重質底流を分離して反応槽R1に戻して反応させ続け、上
清液を貯蔵タンクT1に入れて自己結合によるナノ触媒型汚水処理剤を得て、さらに排出
ポンプP2でタンク車T2に圧送して汚水処理プラントに送る。
【0017】
製造した自己結合によるナノ触媒型汚水処理剤を汚水処理プラントに送った後、市販濃硫
酸で希釈した既存の希釈酸貯蔵タンクにそのまま輸送し、このように従来の市販硫酸の希
釈操作を省略する上、調製する硫酸第一鉄溶液の添加も必要としない。従来のフェントン
法によって生産する場合、ステップ1では、自己結合によるナノ触媒型処理剤で汚水のp
H値を3.5に調整して、処理剤における硫酸チタンがすぐに新しい極微細なナノTiO
2を生成して、均一に被処理汚水に分散し、ステップ2では、pH値が調整されてナノT
iO
2が結合して生成した汚水を分解槽に入れて、太陽光または人工光源で照射して汚水
を処理し、送風して酸化分解を行い、ステップ3では、アルカリ液を加えて、処理した汚
水液体材料のpH値を7に調整して、凝集剤を加えて沈降して清澄化させ、沈降した濃厚
なスラリーを汚泥で濾過して、上清液を排出基準に合致する処理済みの汚水とし、または
再利用する。
【0018】
従来のフェントン汚水処理剤およびナノ二酸化チタンの生産技術に比べて、本発明が保護
しようとする自己結合によるナノ触媒型汚水処理剤の生産およびその処理方法は、フェン
トン法における市販硫酸および過酸化水素の使用量を節約し、硫酸法によるチタン白から
副生する希硫酸の新用途を提供する。汚水処理触媒としてのナノTiO
2の合成生産プロ
セスを簡素化させ、ナノTiO
2を製造するための長い生産手順や煩雑な装置を省略し、
生産に用いる副材料の使用量を減少させて節約し、生産コストを削減させ、さらに、自己
結合によるナノ触媒型処理剤を使用することによって、従来のフェントン法による有機物
汚水処理の生産プロセスを簡素化させ、資源の利用や再用率を向上させ、生産者にとって
経済的利益を増大し、硫酸法によるチタン白の生産における廃棄副産物資源を循環的に結
合して再利用するという経済的目的を達成させる。
【0019】
好ましくは、前記希硫酸は、工業的に生じて再利用と処理を必要とする廃硫酸である。
【0020】
好ましくは、前記希硫酸は、硫酸法によりチタン白を生産するときに生じる希硫酸であり
、大量の硫酸第一鉄と少量のほかの金属硫酸塩が含まれており、希硫酸の濃度の範囲が1
5−30%、より好ましくは20−25%、最も好ましくは23%である。
【0021】
好ましくは、前記チタン原料は、チタン鉄鉱、酸溶性チタン滓、硫酸法によるチタン白の
生産における中間製品及び生産・点検修理工事時にクリーンしたチタン含有スラグを含む
が、好ましくは、チタン鉄鉱である。
【0022】
好ましくは、前記反応槽R1−R3は、撹拌機能を有する単一反応器、または撹拌機能を
有する直列接続された複数の反応器である。
【0023】
好ましくは、前記自己結合によるナノ触媒型汚水処理剤製品において、前記希硫酸とチタ
ン原料を反応させるときの配合質量比[H
2SO
4/Ti(SO
4)
2]が100:(0
.5−2.0)、より好ましくは100:(1.0−1.5)、最も好ましくは100:
1.3である。
【0024】
好ましくは、前記自己結合によるナノ触媒型汚水処理剤製品において、硫酸チタン含有量
が0.5−2.5%、より好ましくは1.2−2.1%、最も好ましくは1.8%である
。硫酸と硫酸チタンの質量比[H
2SO
4/Ti(SO
4)
2]が8.0−50、好まし
くは10−20である。
【0025】
好ましくは、前記自己結合によるナノ触媒型汚水処理剤製品において、硫酸第一鉄含有量
が5−15%、より好ましくは9−12%、最も好ましくは11.5であり、硫酸と硫酸
第一鉄の質量比(H
2SO
4/FeSO
4)が1.5−3.5、より好ましくは2.0−
2.5、最も好ましくは2である。
【0026】
好ましくは、前記希硫酸とチタン原料の分解反応温度は0−50℃、より好ましくは20
−35℃、最も好ましくは30℃である。
【0027】
好ましくは、前記反応槽では、前記反応材料の総滞在時間(反応時間)は1−5時間、よ
り好ましくは2−3時間、最も好ましくは2.5時間である。
【0028】
好ましくは、前記サイクロンでサイクロン分離した底部重質材料の反応槽に戻す材料の比
率は、材料の総量の1.0−3.0%、より好ましくは1.8−2.2%、最も好ましく
は2%である。
【0029】
好ましくは、前記自己結合によるナノ触媒型汚水処理剤を用いて、直接汚水とともにpH
値を調整するとき、汚水のpH値が3.0−6.0、より好ましくは3.5−4.5最も
好ましくは3.5に調整される。
【0030】
好ましくは、前記汚水のpH値が3.0−6.0に調整されると、それが加水分解して高
分散性の新しいナノTiO
2触媒を生成して沈殿させる。
【0031】
好ましくは、前記汚水のpH値が3.0−6.0に調整されると、それが加水分解して高
分散性の新しいナノTiO
2触媒を生成して沈殿させた後、空気を送風して酸化するとき
に、触媒エネルギーとなる光源を追加する。
【0032】
好ましくは、前記光源は人工紫外光光源である。
【0033】
好ましくは、前記接触酸化光源は、凹面鏡でフォーカスした太陽光である。
【発明の効果】
【0034】
従来技術に比べて、本発明の原理及び有益な効果は以下のとおりである。
本発明では、硫酸法によるチタン白から副生する希硫酸とチタン原料を、希硫酸における
硫酸チタンと硫酸第一鉄含有量を制御しながら、分解反応させて、有機物のナノ接触分解
のための自己結合による汚水処理剤製品を製造し、希硫酸における硫酸と硫酸第一鉄をフ
ェントン法による有機汚水処理剤における市販硫酸と硫酸第一鉄の原料として使用するこ
とによって、希硫酸の使用範囲を広げて資源の利用価値を高め、フェントン法による汚水
処理原料のコストを低下させる。硫酸でチタン原料を分解する反応が単純で、高価な装置
や反応条件を必要としなかったり、反応生成物についてサイクロンでサイクロン分離を行
い、底部重質材料を反応槽に戻して反応させ続け、チタン原料の完全分解や利用率が確保
される。
【0035】
本発明で製造された自己結合によるナノ触媒型汚水処理剤の製品には、可溶性硫酸チタン
組成が含まれており、汚水処理においてpH値を調整する過程において、酸濃度の低下に
従い、希釈されて加水分解して、新しいナノTiO
2を生成し、このため、長い生産プロ
セス、複雑な装置や面倒な操作手順でナノTiO
2を生産することを必要としないととも
に、従来のナノ触媒TiO
2の生産に使用される補助原料である水酸化ナトリウム、塩酸
、脱イオン水及び助剤もすべて不要となり、さらに乾燥とか焼に必要なエネルギーも消費
されずに済む。汚水処理時に行われる自己結合反応により生成したナノTiO
2によって
、ナノTiO
2を生産するための専用生産設備や装置が省略される。
【0036】
本発明では、生産における化学反応原理を利用して、ナノTiO
2の生産と汚水処理での
応用との上下流を結合し、硫酸法によるチタン白の生産における希硫酸と少量のチタン原
料を用いて、多組成と多機能を備える汚水処理剤を製造し、従来のフェントン法により汚
水を処理するための原料および方法を改良したり置き換えたりし、硫酸法によるチタン白
の生産における希硫酸の新用途を提供し、フェントン法による汚水処理のための市販硫酸
と硫酸第一鉄の使用量を節約して、使用時に複雑な原料製造を簡素化させる。自己結合に
より低価なナノTiO
2触媒を生成し、それによってナノTiO
2で汚水の有機物を接触
分解するために経済的には実用可能な市場を開き、資源の利用や再利用を可能にするとと
もに、生産者にとって経済的利益を増大する。省エネと消費削減だけでなく、経済的利益
も明らかである。したがって、本発明は、硫酸法によるチタン白の生産における廃酸をす
べて新しい資源として革新的に利用することで、生産の経済的利益を高めるだけでなく、
ナノTiO
2の長い製造プロセスが長く、設備や装置が複雑で、操作が煩雑であり、経済
的に生産および使用できない従来のプロセスと技術を簡素化させる。
【0037】
本発明では、希硫酸の濃度範囲は15−30%、好ましくは20−25%であり、反応溶
液製品において、硫酸チタン含有量は0.5−2.5%、好ましくは、1.2−2.1%
であり、硫酸と硫酸チタンの質量比[H
2SO
4/Ti(SO
4)
2]は8.0−50、
好ましくは10−20であり、反応溶液製品における硫酸第一鉄の含有量は5−15%、
最も好ましくは9−12%であり、硫酸と硫酸第一鉄の質量比(H
2SO
4/FeSO
4
)は1.5−3.5、好ましくは2.0−2.5であり、反応温度は0−50℃、好まし
くは20−35℃であり、サイクロン分離において戻される底部材料の比率は1−3%、
好ましくは2%であり、汚水が自己結合してナノTiO
2を沈殿させるpH値は3−6、
最も好ましくは3.5−4.5である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
図1に示されるように、硫酸法によるチタン白の生産における希硫酸(
図2参照)(13
.4トン/時間(それにおいて、表1に示されるように、硫酸23.30%、硫酸第一鉄
10.70%、硫酸チタン0.45%が含まれている))、チタン鉄鉱(134.0キロ
グラム/時間(組成は表2に示される)およびサイクロンC底流から戻される268.0
キログラムのスラリーSを連続して分解反応槽R1に加えて、反応槽R2に還流し、さら
に反応槽R2から反応槽R3に還流し、反応物の滞在時間を2.5時間、温度を30℃と
した。反応槽R3において完全に反応した材料を、ポンプP1でサイクロンCに送り、液
体サイクロン分離を行って、底流の268キログラムのスラリーSを反応槽R1に戻して
、新しく添加された材料とともに反応させ続け、表流13.534トンを汚水用の自己結
合ナノ汚水処理剤として貯蔵タンクT1に入れて貯蔵した。その製品の組成のうち、硫酸
チタンの含有量は従来の0.45%から1.8%に増えた(表3参照)。貯蔵した製品を
ポンプでタンク車T2に送って汚水処理プラントまで輸送した。
【0042】
表3 反応生成物
注:希硫酸の密度は1.342g/cm
3である。
【0044】
実施例1で製造されたナノ触媒型汚水処理剤を186L/時間で、62m
3/時間の捺染
汚水前処理槽のpH値調整池に送り、汚水のpH値を10.26から3.60に調整し、
汚水における硫酸鉄のFe
++濃度が3mmol/L、ナノTiO
2の濃度が0.3mm
ol/Lとなった。調整池からの排水を紫外光照射装置が設置された酸化反応池に入れて
、空気を導入してナノ接触酸化分解を行い、排水をアルカリ性調整池に入れて、処理水の
pH値を8.0に調整して、凝集剤を加えて沈降と分離を行い、汚水処理結果を表4に示
した。
【0047】
実施例1で製造されたナノ触媒型汚水処理剤を186L/時間で、62m
3/時間の捺染
汚水前処理槽のpH値調整池に送り、汚水のpH値を10.26から3.60に調整し、
汚水における硫酸鉄のFe
++濃度が3mmol/L、ナノTiO
2の濃度が0.3mm
ol/Lとなり、同時に5mmol/Lの過酸化水素を加えた。調整池からの排水を紫外
光照射装置が設置された酸化反応池に入れて、空気を導入してナノ接触酸化分解を行い、
排水をアルカリ性調整池に入れて、処理水のpH値を8.0に調整して、凝集剤を加えて
沈降と分離を行い、汚水処理結果を表5に示した。
【0050】
比較実施例(フェントン試薬法を用いる)
62m
3/時間の捺染汚水を前処理調整池に投入して、市販濃硫酸を98%から30%に
希釈して得た希硫酸を加え、汚水のpH値を10.26から3.60に低下させて、調整
池の排水を酸化反応池に入れ、硫酸第一鉄七水和物固体で30%に希釈した硫酸塩鉄溶液
と25%の過酸化水素溶液を酸化分解槽に加えて、汚水における硫酸鉄のFe
++濃度を
6mmol/L、過酸化水素H
2O
2濃度を45mmol/Lに制御して、酸化分解を行
った。酸化分解した排水をアルカリ性調整池に入れて、処理水のpH値を8.0に調整し
て、凝集剤を加えて沈降と分離を行い、汚水処理結果を表6に示した。
【0051】
表6 比較実施例の汚水処理前後の結果
[符号の説明]
【0052】
図中、
R1−第1分解反応槽;R2−第2分解反応槽;R3−第3分解反応槽;
P1−反応液体材料の輸送ポンプ;P2−汚水処理剤製品をロードするポンプ;
C−サイクロン;
S−サイクロン分離液底流の戻し材料;
T1−製品貯蔵タンク;T2−製品輸送車両。