【実施例】
【0018】
以下、実施例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明は以下の例によって限定されるものではない。尚、本発明において、%は別記がない限り全て重量%である。
【0019】
[実施例1]
水道水50gに、昆布(乾燥粉砕物)25gを加えて混合した後、乾燥酵母(サッカロマイセス・セレビシエ、6×10
9cfu/g)2.5gを接種して35℃で30分間(実施例1−1)、1時間(実施例1−2)、3時間(実施例1−3)又は12時間(実施例1−4)発酵させた。次に、95%エタノール50gを加えて、20℃で30分間抽出した後、遠心分離(2000×G、5分間)して液部を回収することで、各発酵昆布エキス82g(実施品1−1〜1−4)を得た。なお、エタノールの終濃度は48%だった。
【0020】
[比較例1]
水道水50gに、昆布(乾燥粉砕物)25gを加えて混合した後、35℃で1時間保持した。次に、95%エタノール50gを加えて、20℃で30分間抽出した後、遠心分離(2000×G、5分間)して液部を回収することで、昆布エキス83g(比較品1)を得た。なお、エタノールの終濃度は48%だった。
【0021】
[比較例2]
発酵時間を24時間とし、それ以外は実施例1と同様に処理して、発酵昆布エキス80g(比較品2)を得た。
【0022】
[評価試験1]
実施品1−1〜1−4及び比較品1、2の酢酸濃度について、ガスクロマトグラフィー(以下GC)を用いて酢酸濃度を測定し、結果を表1に示した。
<GCの測定条件>
・検出器:FID(250℃)
・カラム:InertCap Pure−WAX
(ID:0.25mm×30m、df:0.25μm、GLサイエンス株式会社製)
・カラム温度:40℃(5分間保持)→10℃/分で昇温→250℃(3分間保持)
・キャリアーガス:ヘリウム(100kPa)、1.3ml/分
・注入温度:250℃
・内部標準物質:シクロヘキサノール
・検体:試料を、常法に従ってジエチルエーテル抽出した。
【0023】
[評価試験2]
(官能評価)
実施品1−1〜1−4及び比較品1、2について、官能評価を実施した。なお、官能評価は、各実施品又は比較品2gをそれぞれ熱湯98gで希釈したものを検体として、風味力価、海藻特有の風味及び酵母臭について評価し、表1に示した。風味力価及び海藻特有の風味の評価は、「強い」:○、「弱い」:×とした。酵母臭の評価は、「弱い」:○、「強い」:×とした。
【0024】
【表1】
【0025】
表1に示すとおり、実施品1−1〜1−4の発酵昆布エキスは、比較品1の昆布エキスに比べて、風味力価が高く、好ましいものであった。また、比較例2の発酵昆布エキスは、酢酸濃度が高く、酵母臭が強く感じられるとともに昆布特有の風味が損なわれており、好ましい風味ではなかった。発酵時間と共に酢酸濃度が高くなり、適切な発酵時間を超えると酢酸濃度が高くなり過ぎるとともに酵母臭が強くなり、本発明の発酵海藻エキスが得られないことが分かった。
【0026】
[実施例2]
水道水50gに、昆布(乾燥粉砕物)25gを加えて混合した後、乾燥酵母(サッカロマイセス・セレビシエ、6×10
9cfu/g)2.5gを接種して35℃で1時間発酵させた。次に、40%エタノール水溶液50gを加えて、80℃で30分間還流抽出した後、40℃まで冷却し、不織布を用いて固液分離することで、発酵昆布エキス67g(実施品2)を得た。なお、エタノールの終濃度は20%だった。
【0027】
[実施例3]
液体培地(水道水:97%、グルコース:2%、酵母エキス:1%)に、サッカロマイセス・セレビシエ NBRC2346株を接種し、30℃で20時間振盪培養して得た酵母培養液(1×10
7cfu/g)50gに、昆布(乾燥粉砕物)25gを加えて混合し、30℃で1時間発酵させた。次に、95%エタノール50gを加えて、80℃で30分間還流抽出した後、40℃まで冷却し、不織布を用いて固液分離することで、発酵昆布エキス78g(実施品3)を得た。なお、エタノールの終濃度は48%だった。
【0028】
[実施例4]
液体培地(水道水:97%、グルコース:2%、酵母エキス:1%)に、キャンディダ・ウチリス NBRC619株を接種し、30℃で20時間振盪培養して得た酵母培養液(3×10
7cfu/g)50gに、昆布(乾燥粉砕物)25gを加えて混合し、30℃で1時間発酵させた。次に、95%エタノール50gを加えて、80℃で30分間還流抽出した後、40℃まで冷却し、不織布を用いて固液分離することで、発酵昆布エキス77g(実施品4)を得た。なお、エタノールの終濃度は48%だった。
【0029】
[比較例3]
液体培地(水道水:97%、グルコース:2%、酵母エキス:1%)50gに、昆布(乾燥粉砕物)25gを加えて混合し、30℃で1時間保持した。次に、95%エタノール50gを加えて、80℃で30分間還流抽出した後、40℃まで冷却し、不織布を用いて固液分離することで、昆布エキス78g(比較品3)を得た。なお、エタノールの終濃度は48%だった。
【0030】
[評価試験3]
実施品2〜4及び比較品3について、前記評価試験1及び2と同様に評価試験を実施し、結果を表2に示した。
【0031】
【表2】
【0032】
表2に示すとおり、実施例2〜4の発酵昆布エキスは、比較例3の昆布エキスに比べて、風味力価が高く、好ましいものであった。
【0033】
[実施例5]
水道水50gに、アオサ(乾燥粉砕物)10g、グルコース1gを加えて混合した後、乾燥酵母(サッカロマイセス・セレビシエ、6×10
9cfu/g)2.5gを接種して35℃で1時間発酵させた。次に、95%エタノール50gを加えて、80℃で30分間還流抽出した後、不織布を用いて固液分離することで、発酵アオサエキス82g(実施品5)を得た。なお、エタノールの終濃度は48%だった。
【0034】
[比較例4]
水道水50gに、アオサ(乾燥粉砕物)10g、グルコース1gを加えて混合した後、35℃で1時間保持した。次に、95%エタノール50gを加えて、80℃で30分間還流抽出した後、不織布を用いて固液分離することで、アオサエキス81g(比較品4)を得た。なお、エタノールの終濃度は48%だった。
【0035】
[評価試験3]
実施品5及び比較品4について、前記評価試験1及び2と同様に評価試験を実施し、結果を表3に示した。
【0036】
【表3】
【0037】
表3に示すとおり、実施例4の発酵アオサエキスは、比較例4のアオサエキスに比べて、風味力価が高く、好ましいものであった。