(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6984091
(24)【登録日】2021年11月29日
(45)【発行日】2021年12月17日
(54)【発明の名称】サベイヤーに使用する記録部
(51)【国際特許分類】
A61C 19/04 20060101AFI20211206BHJP
B43K 29/00 20060101ALN20211206BHJP
【FI】
A61C19/04 Z
!B43K29/00 Z
【請求項の数】5
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2018-242923(P2018-242923)
(22)【出願日】2018年12月26日
(65)【公開番号】特開2020-103404(P2020-103404A)
(43)【公開日】2020年7月9日
【審査請求日】2020年9月18日
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 発行者名 一般社団法人日本歯科技工学会 刊行物名 日本歯科技工学会雑誌 別刷 巻数 第39巻 号数 第2号 発行年月日 平成30年7月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】518460532
【氏名又は名称】有限会社グローバルウインド
(74)【代理人】
【識別番号】110002011
【氏名又は名称】特許業務法人井澤国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100072039
【弁理士】
【氏名又は名称】井澤 洵
(74)【代理人】
【識別番号】100123722
【弁理士】
【氏名又は名称】井澤 幹
(74)【代理人】
【識別番号】100157738
【弁理士】
【氏名又は名称】茂木 康彦
(72)【発明者】
【氏名】大枝 恵一
(72)【発明者】
【氏名】小森 洋平
【審査官】
森林 宏和
(56)【参考文献】
【文献】
特開昭59−82850(JP,A)
【文献】
特開2011−160940(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61C 13/00 − 13/38
A61C 19/00 − 19/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
サベイヤーに取り付けるための取り付け部と、
前記取り付け部に配置した筒状を呈する筒部と、
前記筒部の内部に移動可能に配置した筒状を呈する移動部と、
前記取り付け部に、回転可能に保持された傾斜部と、
前記傾斜部に保持されたペンシル保持部と、を有し、
前記移動部は、前記筒部の内部から外部に移動することで、前記ペンシル保持部が傾斜可能となり、前記ペンシル保持部が傾斜したときに前記傾斜部の傾斜を保持する記録部。
【請求項2】
前記移動部は、前記筒部の内部に移動可能に配置した筒状を呈する第1筒部と、
前記第1筒部の内部に移動可能に配置した筒状を呈する第2筒部と、を有し、
前記第1筒部または前記第2筒部のいずれか一方または双方を前記筒部の内部から外部に移動することで、前記ペンシル保持部が傾斜可能となり、前記ペンシル保持部が傾斜したときに前記傾斜部の傾斜を保持する請求項1記載の記録部。
【請求項3】
前記移動部は、さらに前記第2筒部の内部に移動可能に配置した筒状を呈する第3筒部と、を有し、前記第3筒部を前記筒部の内部から外部に移動することで、前記ペンシル保持部が傾斜可能となり、前記ペンシル保持部が傾斜したときに前記傾斜部の傾斜を保持する請求項1又は2記載の記録部。
【請求項4】
前記移動部は磁石に吸引する材料で構成され、かつペンシル保持部の上端部に磁力を有する磁石部と、をさらに有し、前記移動部を筒部の内部から外部に移動することで前記磁石部に当該移動部を吸引させる請求項1から3いずれか1項記載の記録部。
【請求項5】
前記請求項1から4いずれか1項記載の記録部を有するサベイヤー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サベイヤーに使用する記録部に関するものである。
【背景技術】
【0002】
虫歯、歯槽膿漏などにより抜歯等をした場合において、義歯を装着する場合があり、その抜歯をした箇所に適用させるための部分床義歯を作成する場合がある。
【0003】
部分床義歯を設計するためには、患者から採取した歯科用模型をサベイヤーにセットし、その歯科用模型において、部分床義歯の着脱方向に対するアンダーカット部を示すための、模型の残存歯および歯槽部の最大豊隆部であるサベイラインを印記する。ここで、サベイヤーとは、その設計において、採取した模型の残存歯の平行性を確認したり、その模型の残存歯および歯槽部の最大豊隆部を印記することができる装置である。
【0004】
例えば、特開平6-292694号公報にサベイヤーが開示されている。これは、最大豊隆部を結んだ線であるサベイラインを印記することができるものである。ここで、最大豊隆部とは、模型の残存歯および歯槽部において、水平方向にもっとも膨らんだ部分をいい、その部分を結んだ線をサベイラインという。
【0005】
従来は、この残存歯のサベイラインに、部分床義歯をその残存歯に固定するための鉤となるスクラプを掛止していたが、その部分床義歯が、外れやすいという不具合が生じるようになった。そこで、サベイラインは、アンダーカット部と、非アンダーカット部を分けるためのものとし、部分床義歯を、患者の口腔内に配置して固定するためのクラスプアームの位置を決定するものとしないようにすることとなった。
【0006】
そこで、クラスプアームの位置を決定する方法としては、サベイラインの近遠心径で中央部(最大豊隆部)付近からアンダーカット部に入り、走行するように示し、クラスプの先端の位置をアンダーカットゲージで印をつけ、歯冠の2分の1からアンダーカットゲージで記された部分を最短の距離でつなげる。このつなげた線を、クラスプアームの位置を決定するクラスプラインとすることとした。
【0007】
しかしながら、このクラスプラインを、模型の残存歯(支台歯)に記すためには、歯科技工士にノウハウが求められるものであり、歯科技工士ごとに、クラスプラインの位置が異なることになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平6-292694号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は前記の点に着目してなされたもので、その課題は、異なる歯科技工士であっても、歯科用模型において、同様のクラスプラインを描けることができるサベイヤーに使用する記録部を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記の課題を解決する第1観点のサベイヤーに使用する記録部は、サベイヤーに取り付けるための取り付け部と、取り付け部に配置した筒状を呈する筒部と、筒部の内部に移動可能に配置した筒状を呈する移動部と、取り付け部に、回転可能に保持された傾斜部と、傾斜部に保持されたペンシル保持部と、を有し、移動部は、筒部の内部から外部に移動することで、ペンシル保持部が傾斜可能となり、ペンシル保持部が傾斜したときに傾斜部の傾斜を保持するというものである。
【0011】
また、第2観点のサベイヤーに使用する記録部は、第1観点において、移動部は、筒部の内部に移動可能に配置した筒状を呈する第1筒部と、第1筒部の内部に移動可能に配置した筒状を呈する第2筒部と、を有し、第1筒部または第2筒部のいずれか一方または双方を筒部の内部から外部に移動することで、ペンシル保持部が傾斜可能となり、ペンシル保持部が傾斜したときに前記傾斜部の傾斜を保持するというものである。
【0012】
また、第3観点のサベイヤーに使用する記録部は、第2観点において、移動部は、さらに第2筒部の内部に移動可能に配置した筒状を呈する第3筒部と、を有し、第3筒部を筒部の内部から外部に移動することで、ペンシル保持部が傾斜可能となり、ペンシル保持部が傾斜したときに傾斜部の傾斜を保持するというものである。
【0013】
また、第4観点のサベイヤーに使用する記録部は、第1観点から第3観点において、移動部は磁石に吸引する材料で構成され、かつペンシル保持部の上端部に磁力を有する磁石部と、をさらに有し、前記移動部を筒部の内部から外部に移動することで磁石部にその移動部を吸引させるというものである。
【0014】
また、第5観点のサベイヤーは、第1観点から第4観点における記録部を有するというものである。
【発明の効果】
【0015】
本発明は以上のように構成され、かつ、作用するものであるから、異なる歯科技工士であっても、同様のクラスプラインを描けることができるサベイヤーに使用する記録部を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】サベイヤーに記録部を配置した状態の状態図である。
【
図2】Aは記録部の平面図である。Bは記録部の底面図である。
【
図4】Aは、記録部の断面図である。Bは、A部の拡大断面図である。
【
図5】Aは、筒部の内部から外部に、第1筒部と、第2筒部と、第3筒部と、を移動した状態の断面図である。Bは、筒部の内部から外部に、第2筒部と、第3筒部と、を移動した状態の断面図である。Cは、Bは、筒部の内部から外部に、第3筒部と、を移動した状態の断面図である。
【
図6】記録部にラチェットペンシルを配置し、移動部が移動しない状態の側面図である。
【
図7】台座上に歯科用模型を配置し、サベイラインを描く状態の状態図である。
【
図8】記録部にラチェットペンシルを配置し、移動部が移動した状態の側面図である。
【
図9】Aは台座上に歯科用模型を配置し、クラスプラインを描く状態をしめす状態図である。Bは、支台歯に、クラスプラインを描いた状態を示す状態図である。
【
図10】Aは、支台歯にクラスプアームを配置した状態を示す状態図である。Bは、Aの拡大図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、図示の実施形態を参照して本実施例について説明する。本実施例の記録部10は、サベイヤー100に取り付けて使用するものである。サベイヤー100は、従来周知のものであり、念のため説明すると、台座101は、図示しない机上に載置するための台となるものである。また、雲台102は、この台座101上において、後述する角度調整装置103を介して配置され、患者から採取した歯科用模型200を載置し固定するためのものである。また、雲台102は、角度調整装置103によって、傾斜が可能となる。また、角度調整装置103は、雲台102上においてさらに回転可能に配置されている。
【0018】
所定の長さを有する軸としての支柱110は、台座101上に立設されており、その支柱110に、第1アーム部111が、平面視において回転可能に取り付けられている。また、第2アーム部112は、支軸113により互いに回転するように第1アーム部111と接続されている。
【0019】
第1アーム部111と、第2アーム部112とが支柱110を介して回転可能に取り付けられ、第2アーム部112に、ペンホルダー115が吊り下げられるように接続されている。ペンホルダー115は文字通り、図示しない筆記具を保持するためのもので、このペンホルダー115に、筆記具を取り付ければ、サベイラインを筆記することができる。
【0020】
本実施例の記録部10は、上記構成のサベイヤー100に取り付けて使用するもので、患者の残存歯の模型である後述する支台歯201に、クラスプラインを描くことができるものである。記録部10は、上述のペンホルダー115に取り付けるための取り付け部11と、筒部20と、移動部30と、クラスプラインを描くためのラチェットペンシルを保持するためのペンシル保持部40とを有する。また、取り付け部11の内部に、ペンシル保持部40の傾斜を許容し、かつ保持する傾斜部15を有する。また筒部20に螺子部18を取り付ける。
【0021】
取り付け部11は、サベイヤー100における筒状のペンホルダー115に取り付けるための孔12と、上述の筒部20を取り付けるための第2取り付け部13とを有する。第2取り付け部13は、ほぼ球状の空所14を有し、その空所14の内部に、ほぼ球状の傾斜部15を配置している。傾斜部15の中心を貫通するように孔15aがあけてあり、その孔15aに、筆記具40を保持するための筒状のペンシル保持部40を保持する。
【0022】
第2取り付け部13に球形状を呈する空間である空所14を有し、その空所14よりわずかに大きく、ほぼ球形状を呈する傾斜部15が回転可能に保持されている。すなわち、球形状を呈する空間である空所14に嵌合するように、ほぼ球形状を呈する傾斜部15が配置されている。よって、その傾斜部15が回転する場合に、その回転に対し抵抗力を発揮しつつ、それが回転し、傾斜したときに、その傾斜部15は、傾斜した位置を保持することができる。
【0023】
また、傾斜部15は、その中心を貫通するように孔15aを有し、その孔15aにペンシル保持部40が配置されている。傾斜部15は、ペンシル保持部40の傾斜を許容し、かつ、保持することができる。
【0024】
また、ペンシル保持部40の胴回りに溝状の第1凹部41を有する。一方で、傾斜部15の中心の孔の内部にも溝状の第2凹部16を有する。ペンシル保持部40の胴回りに溝状を呈する第1凹部41に、欠円状のリテーナー17を嵌合し、かつ、そのリテーナー17が第2凹部16と嵌合することによって、ペンシル保持部40と、傾斜部15が接続されている。
【0025】
筒状を呈する筒部20の内径は、後述する移動部30の外径よりわずかに大となるように構成されている。このように、筒部20の内部20aに、移動部30を配置することができる。なお、断面視において筒部20の高さより、第1筒部31、第2筒部32、第3筒部33の順に、徐々に高さを高く構成している。使用者がそれら第1筒部31、第2筒部32、第3筒部33を、掴みやすくするためである。
【0026】
移動部30は、筒部20の内部に配置されその筒部20の内部20aから外部へ移動することで、筒部20の内部20aが空所となり、ペンシル保持部40の傾斜を許容することができる。移動部30は、筒部20の内部20aから外部に移動可能に配置した筒状を呈する第1筒部31と、その第1筒部31の内部から外部に移動可能に配置した筒状を呈する第2筒部32と、その第2筒部32の内部から外部に移動可能に配置した筒状を呈する第3筒部33と、を有する。これについては、後述する。なお、筒部20と、第1筒部31と、第2筒部32と、第3筒部33と、は、ともに円筒形状が好ましい。また、上述の螺子部18は、筒部20と、移動部30における第1筒部31と、第2筒部32と、第3筒部33とを固定するためのものである。よって、筒部20と、第1筒部31と、第2筒部32と、第3筒部33とを配置し、これらを貫通するメネジ部をそのそれぞれ配置することで、螺子部18は、これらを筒部20に固定することができる。
【0027】
このように、いわば、入れ子のように、筒部20内において移動部30における第1筒部31と、第2筒部32と、第3筒部33と、が配置されている。このように、筒部20の内側に配置された移動部30における第1筒部31は、筒部20に対してスライド移動可能に配置されている。また、第1筒部31の内側に配置された第2筒部32は、その第1筒部31に対してスライド移動可能に配置されている。また、第3筒部33の内側に配置された第2筒部32は、その第3筒部33に対してスライド移動可能に配置されている。尚、これらは、ガタつくことなく配置されている。
【0028】
また、第3筒部33の内部に、筒状のペンシル保持部40を配置することができ、そのペンシル保持部40の上端部40aに環状を呈し、磁力を有する磁石部42が配置されている。これにより、スライド移動可能に配置されている第1筒部31および第2筒部32、第3筒部33を磁力により吸着させることができる。従ってこの場合は、第1筒部31および第2筒部32、第3筒部33を鉄材により構成することが好ましい。
【0029】
また、移動部30は、筒部20の内部に配置され、移動部30における第1筒部31および第2筒部32および第3筒部33を、筒部20の内部20aから外部に移動させることで、その内部20aが空所となり、ペンシル保持部40の傾斜を許容することができる。この場合のペンシル保持部40の傾斜する角度は15度が好ましい。このとき傾斜部15に配置されたペンシル保持部40は傾斜し、ペンシル保持部40が、筒部20の上端部30bに接触する。また、この場合の第1筒部31および第2筒部32および第3筒部33は、磁石部42に吸着することで、それらを保持することができる(
図5A参照)。
【0030】
また、第1筒部31を、筒部20の内部20aに配置した状態において、第2筒部32および第3筒部33を、第1筒部31の内部31aから外部に、すなわち、筒部20の内部20aから外部に、移動させることで、ペンシル保持部40の傾斜を許容することができる。第2筒部32および第3筒部33を、第1筒部31の内部31aから外部に、移動させた場合のペンシル保持部40の傾斜する角度は10度が好ましい。この場合、この角度を後述するクラスプラインを描く際の標準とすることが好ましい。このとき傾斜部15に配置されたペンシル保持部40は傾斜し、ペンシル保持部40が、第1筒部31の上端部31bに接触する。また、この場合の第2筒部32および第3筒部33は、磁石部42に吸着することで、それらを保持することができる(
図5B参照)。
【0031】
また、第1筒部31および第2筒部32を、筒部20の内部20aに配置した状態において、第3筒部33を、第2筒部32の内部32aから外部に、すなわち、筒部20の内部20aから外部に、移動させることで、ペンシル保持部40の傾斜を許容することができる。このとき傾斜部15に配置されたペンシル保持部40は傾斜し、ペンシル保持部40が、第2筒部32の上端部32bに接触する。また、この場合、第3筒部33のみを、第2筒部32の内部32aから外部に移動させた場合のペンシル保持部40の傾斜する角度は5度が好ましい。また、この場合の第3筒部33は、磁石部42に吸着することで、それらを保持することができる(
図5C参照)。
【0032】
上記構成の記録部10を有するサベイヤー100の使用方法について説明する。記録部10を、サベイヤー100に取り付ける。また、歯科用模型200を雲台102に取り付ける。さらに、筒状のペンシル保持部40に筆記するための赤色のラチェットペンシル50を配置する(
図6参照)。
【0033】
筒状を呈する筒部20の内側20aに、移動部30における第1筒部31が配置され、第1筒部31の内側に、第2筒部32が配置され、第2筒部32の内側に、第3筒部33が配置された状態において、赤色のラチェットペンシルが配置された筒状のペンシル保持部40を、第3筒部33の内側に配置する。
【0034】
このとき筒状のペンシル保持部40は、垂直方向に下向きとなる。この状態で、赤色のラチェットペンシル50も垂直方向に下向きとなる。また、雲台102上に配置された歯科用模型200におけるいわば患者の残存歯の模型である支台歯201と呼ばれる義歯を固定するクラスプを取り付けるベースとなるものに、その赤色のラチェットペンシル50でサベイライン300を描く(
図7参照)。
【0035】
具体的には、図示しない使用者は、赤色のラチェットペンシル50が配置された筒状のペンシル保持部40を把持し、支台歯201の周囲に、垂直方向に下向きの赤色のラチェットペンシル50を接触させることで、支台歯201の垂直下向き方向に対して水平方向に膨らんだ最大豊隆部を結ぶラインを描く。これがサベイライン300である(
図7参照)。
【0036】
次に、赤色のラチェットペンシル50を、ペンシル保持部40から取り外し、緑色のラチェットペンシル60をペンシル保持部40に配置する。また、移動部30における第2筒部32と、第3筒部33とを第1筒部31の内部31aから外部に上昇させるように移動させると、その内部20aは空所となる(
図8参照)。この場合、ペンシル保持部40の角度は10度であることが好ましい。
【0037】
図示しない使用者は、緑色のラチェットペンシル60を傾斜させる。このとき傾斜部15に配置されたペンシル保持部40は傾斜し、ペンシル保持部40が、第1筒部31の上端部31bに接触する。このときの傾斜部15は、上記のとおり、ほぼ球状を呈し、その傾斜部15は、空所14に嵌合することで回転可能であり、かつ、それが回転したときにその回転した位置すなわち傾斜した位置を保持することができるので、そのペンシル保持部40の傾斜した状態を維持することができる。従って、それに保持されている緑色のラチェットペンシル60の傾斜も維持することができるために、その支台歯201において、描いた赤色のサベイライン300の下部に緑色のクラスプライン400を描く。この、緑色のクラスプライン400を、支台歯201に描くことでクラスプアーム500の設定位置とすることができる(
図8A、B参照)。
【0038】
なお、移動部30における第1筒部31と、第2筒部32と、第3筒部33と、を筒部20における内部20aから外部に上昇させるように移動させてから、ペンシル保持部40は傾斜させるとその傾斜角は、15度となる。この場合、クラスプライン400の下に、別のクラスプラインを描くことができる。このようにクラスプライン400より下に描くことで、より深くクラスプラインを設定することができる。また、第3筒部33のみを、第2筒部32の内部32aから外部に移動させた場合のペンシル保持部40の傾斜する角度は5度となる。このようにクラスプライン400より上に描くことで、より浅くクラスプラインを設定することができる。また、移動部30における第2筒部32のみを、筒部20の外部に移動することもできる。
【0039】
このように、記録部10を、サベイヤー100に取り付けて使用することで、異なる歯科技工士であっても、その歯科技工士の技量によらず、同様のクラスプライン400を描けることができる。従って、図示しない義歯を固定するためのクラスプライン400に沿うようにクラスプアーム500を設定することができる。この場合、クラスプライン400と、クラスプアーム500の中心と、一致させるように、そのクラスプアーム500を、支台歯201に配置することが好ましい。
【符号の説明】
【0040】
10 記録部
11 取り付け部
15 傾斜部
18 螺子部
20 筒部
30 移動部
31 第1筒部
32 第2筒部
33 第3筒部
40 ペンシル保持部
42 磁石部
100 サベイヤー
101 台座
102 雲台
103 角度調整装置
110 支柱
111 第1アーム部
112 第2アーム部
113 支軸
115 ペンホルダー