特許第6984098号(P6984098)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6984098
(24)【登録日】2021年11月29日
(45)【発行日】2021年12月17日
(54)【発明の名称】ガス生成装置及びガス生成方法
(51)【国際特許分類】
   B01J 8/02 20060101AFI20211206BHJP
   C07C 1/12 20060101ALI20211206BHJP
   C07C 9/04 20060101ALI20211206BHJP
   F28C 1/00 20060101ALI20211206BHJP
   F28F 25/02 20060101ALI20211206BHJP
   C07B 61/00 20060101ALN20211206BHJP
【FI】
   B01J8/02 Z
   C07C1/12
   C07C9/04
   F28C1/00
   F28F25/02
   !C07B61/00 300
【請求項の数】6
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2017-207139(P2017-207139)
(22)【出願日】2017年10月26日
(65)【公開番号】特開2019-76860(P2019-76860A)
(43)【公開日】2019年5月23日
【審査請求日】2020年4月6日
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成26〜29年度、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構、「水素利用等先導研究開発事業/エネルギーキャリアシステム調査・研究/高効率メタン化触媒を用いた水素・メタン変換」委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
(73)【特許権者】
【識別番号】000005119
【氏名又は名称】日立造船株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100113608
【弁理士】
【氏名又は名称】平川 明
(74)【代理人】
【識別番号】100123319
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 武彦
(74)【代理人】
【識別番号】100123098
【弁理士】
【氏名又は名称】今堀 克彦
(72)【発明者】
【氏名】八巻 昌宏
(72)【発明者】
【氏名】四宮 博之
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼野 裕之
(72)【発明者】
【氏名】泉屋 宏一
【審査官】 宮部 裕一
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2015/0376519(US,A1)
【文献】 特開平07−284602(JP,A)
【文献】 特開2013−136538(JP,A)
【文献】 特表2002−506469(JP,A)
【文献】 特表2008−500941(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01J 19/00
B01J 8/02
C07C 9/04
F28C 1/00
F28F 25/02
C07B 61/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
気体状態の反応物の発熱反応によって、製品ガスと、前記製品ガスが溶存する生成水とを生成させる反応部と、
前記発熱反応によって発生する熱を除去する冷却水を冷却する冷却塔と、
前記反応部と前記冷却塔との間で冷却水を循環させる冷却水循環系統と、
前記反応部において生成された生成水を、前記冷却水循環系統内へ混合させる混合手段と、を備え
前記反応部は、
前記発熱反応が行われる反応塔と、
前記反応塔において熱交換を行う熱媒体を循環させる熱媒体循環系統と、
前記熱媒体循環系統の熱媒体と前記冷却水循環系統の冷却水とを熱交換させる熱交換器と、を有する、
生成装置。
【請求項2】
前記冷却塔は、前記反応部から流入する冷却水を前記冷却塔内に散布する散布器を有する、
請求項1に記載の生成装置。
【請求項3】
前記発熱反応は、水の沸点より高い所定温度で行われ、
前記熱媒体循環系統は、熱媒体を前記所定温度に加熱する加熱器を有する、
請求項に記載の生成装置。
【請求項4】
前記発熱反応は、水素と二酸化炭素からメタンと水を生成する、
請求項1又は2に記載の生成装置。
【請求項5】
反応部内で気体状態の反応物の発熱反応によって、製品ガスと、前記製品ガスが溶存する生成水とを生成させる反応工程と、
前記発熱反応によって発生する熱を除去する冷却水を冷却塔内で冷却する冷却工程と、
冷却水循環系統を用いて前記反応部と前記冷却塔との間で冷却水を循環させる冷却水循環工程と、
前記反応部において生成された生成水を前記冷却水循環系統へ混合させる混合工程と、
を含み、
前記反応工程は、
反応塔において前記発熱反応が行われる発熱反応工程と、
前記反応塔を含む熱媒体循環系統において熱媒体を循環させる熱媒体循環工程と、
前記熱媒体循環工程において循環する熱媒体と前記冷却水循環工程において循環する冷却水とを熱交換させる熱交換工程と、を含む、
生成方法。
【請求項6】
気体状態の反応物の発熱反応が水の沸点より高い所定温度で行われる反応部を、前記所定温度まで加熱する加熱工程と、
前記加熱工程によって前記所定温度に加熱された前記反応部へ反応物を供給する供給工程と、
前記発熱反応によって発生する熱を除去する冷却水を冷却する冷却塔と前記反応部との間で冷却水を循環させる冷却水循環系統を用いて、前記供給工程によって反応物が供給されている前記反応部と前記冷却塔との間で冷却水を循環させる冷却水循環工程と、
前記発熱反応によって前記反応部において生成された生成水を前記冷却水循環系統へ混合させる混合工程と、
前記反応部への反応物の供給を停止する供給停止工程と、
前記冷却水循環系統における前記冷却塔と前記反応部との間の冷却水の循環を、前記混合工程において前記冷却水循環系統に混合される前記反応部の生成水の生成が終了した後に停止する冷却水循環停止工程と、を含む、
生成装置の運転方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガス生成装置及びガス生成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1から4には、気体状態の反応物を化学反応させ、製品ガスを生成させる装置又は方法に関する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012−140382号公報
【特許文献2】特許第4598994号公報
【特許文献3】特許第3639861号公報
【特許文献4】特許第5358909号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
化学反応が発熱反応を伴う場合、化学反応が行われる部位の温度制御を行わないと、化学反応が行われる部位の温度が変動する。よって、反応転換率も変化し、生成される製品ガスの品質に問題が生じる可能性がある。また、製品ガスは安定的に生成されない。
【0005】
また、上記の化学反応によって、気体状態の生成物の他に、副次的に生成水が生成され、生成水を凝縮して脱水、除去する必要がある場合、上記反応を加圧環境下で実施し、脱水による圧力低下を抑制して反応転換率を一定に保ち、高品質な製品ガスの安定的な生成を実現することが考えられる。
【0006】
しかしながら、このような加圧環境下で反応が行われると、凝縮された生成水中に未反応の反応物や生成物が溶存する可能性が高まる。そして、反応物や生成物が可燃性気体である場合は、生成水の処理に際し、安全面に配慮する必要がある。この問題を回避するために、例えば気液分離機によって可燃性気体を除去する方法や、生成水をタンク等の機器に貯留し、タンク等の機器内部に存在する可燃性気体を、ブロワを用いて揮散させるといった方法によって、生成水中の可燃性気体の濃度を低下させることが考えられる。しかしながら、これらの方法では、装置構成が複雑となり、装置運用に手間がかかる。また、分離した生成水は有効利用されず、廃棄される。
【0007】
そこで、本願は、高品質な製品ガスを安定的に生成し、さらに分離した生成水を有効利用する技術を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明では、生成装置に冷却塔を備え、冷却塔内において冷却される冷却水に生成水を混合させることとした。
【0009】
詳細には、本発明は、気体状態の反応物の発熱反応によって、製品ガスと、製品ガスが溶存する生成水とを生成させる反応部と、発熱反応によって発生する熱を除去する冷却水を冷却する冷却塔と、反応部と冷却塔との間で冷却水を循環させる冷却水循環系統と、反応部において生成された生成水を、冷却水循環系統内へ混合させる混合手段と、を備える、生成装置である。
【0010】
このような生成装置であれば、発熱反応によって発生した熱は冷却水によって除去され、反応部の温度上昇は抑制され、一定に保持される。よって、発熱反応は安定的に進行し、高品質な製品ガスが安定的に生成される。
【0011】
また、発熱反応によって生成された生成水を、冷却水の一部として再利用することができるため、生成水の有効利用が実現される。
【0012】
また、生成水は、冷却水循環系統内へ混合されるので、冷却水と共に冷却塔内で冷却される。この際、生成水中に溶存する溶存ガスは、冷却塔内において大気中に気散される。すなわち、溶存ガスは、冷却水循環系統内への混合で自然に且つ安全に生成水から分離される。よって、上記生成装置であれば、生成水中に溶存する溶存ガスを安全に処理しながら製品ガスを安定的に生成することができる。また、生成水中に溶存する溶存ガスの処理を行う専用の設備が不要なため、生成水中に溶存する溶存ガスの処理に手間を殆ど要しない。
【0013】
また、生成水が、例えば二酸化炭素と水素のメタネーション反応で副生する生成水である場合、炭酸カルシウムやシリカといった、水道水等に通常含まれるスケール成分は含まれないため、生成装置の配管等にスケール成分が析出することはない。よって、冷却水循環系統内に析出するスケール成分の量を低減し、スケール成分の除去に係るメンテナンスの工数を削減することができる。
【0014】
なお、冷却塔は、反応部から流入する冷却水を冷却塔内に散布する散布器を有してもよい。このような散布器を冷却塔内に備えていれば、冷却水に混合された生成水中に溶存する溶存ガスが、冷却水の散布の際に、大気中に気散され、生成水から分離される。
【0015】
また、反応部は、発熱反応が行われる反応塔と、反応部において熱交換を行う熱媒体を循環させる熱媒体循環系統と、熱媒体循環系統の熱媒体と冷却水循環系統の冷却水とを熱交換させる熱交換器と、を有してもよい。
【0016】
このような生成装置であれば、反応部と熱交換する熱媒体に、水以外の物質を用いることが可能である。また、熱媒体が反応部から熱を吸収した場合には、熱媒体と冷却水とが熱交換され、吸収した熱は冷却水によって除去される。よって、熱媒体を反応部へ循環させ、反応部から熱を吸収させるために再利用することが可能となり、製品ガスの生成費用を節減することができる。
【0017】
また、発熱反応は、水の沸点より高い所定温度で行われ、熱媒体循環系統は、熱媒体を所定温度に加熱する加熱器を有してもよい。
【0018】
ここで、所定温度とは、発熱反応が進行する温度のことである。このような生成装置であれば、熱媒体と反応部とが熱交換することによって、反応部が所定温度まで加熱される。その後、反応部において反応を進行させることができるため、反応開始時から反応部は温度一定に保たれ、製品ガスは、安定的に生成される。また、所定温度において液体状態となる、水以外の物質を熱媒体に用いれば、熱媒体系統内の圧力を抑制することができ、生成装置にかかる負担を軽減することができる。
【0019】
また、発熱反応は、水素と二酸化炭素からメタンと水を生成してもよい。このような生成装置により、例えば工場や自動車等から大量に排出され、大気中に存在する二酸化炭素を、エネルギー資源であるメタンの生成に用いることができ、資源のリサイクル化が実現される。
【0020】
また、本発明は、方法の側面から捉えることもできる。すなわち、本発明は、例えば、反応部内で気体状態の反応物の発熱反応によって、製品ガスと、製品ガスが溶存する生成水とを生成させる反応工程と、発熱反応によって発生する熱を除去する冷却水を冷却塔内で冷却する冷却工程と、冷却水循環系統を用いて反応部と冷却塔との間で冷却水を循環させる冷却水循環工程と、反応部において生成された生成水を冷却水循環系統へ混合させる混合工程と、を含む、生成方法であってもよい。
【0021】
また、本発明は、気体状態の反応物の発熱反応が水の沸点より高い所定温度で行われる反応部を、所定温度まで加熱する加熱工程と、加熱工程によって所定温度に加熱された反応部へ反応物を供給する供給工程と、発熱反応によって発生する熱を除去する冷却水を冷却する冷却塔と反応部との間で冷却水を循環させる冷却水循環系統を用いて、供給工程によって反応物が供給されている反応部と冷却塔との間で冷却水を循環させる冷却水循環工程と、発熱反応によって反応部において生成された生成水を冷却水循環系統へ混合させる混合工程と、を含む、生成装置の運転方法であってもよい。
【0022】
このような生成装置の運転方法であれば、反応物が供給され、反応が行われている反応部に冷却水を循環させているため、加熱工程において、反応が行われる前から反応部に冷却水を循環させることは防止され、冷却水の無駄な使用は抑制される。反応が行われる前はガスが溶存した水の生成も無いため、反応部において生成された生成水の冷却水循環系統への混合も不要であり、設備の運用が合理的である。
【0023】
また、本発明は、気体状態の反応物の発熱反応が行われる反応部への反応物の供給を停止する供給停止工程と、発熱反応によって発生する熱を除去する冷却水を冷却する冷却塔と反応部との間で冷却水を循環させる冷却水循環系統における反応部と冷却塔との間の冷却水の循環を、冷却水循環系統に混合される反応部の生成水の生成が終了した後に停止する冷却水循環停止工程と、を含む、生成装置の運転方法であってもよい。
【0024】
このような生成装置の運転方法であれば、発熱反応が終了する前に、冷却水の循環が停止されることはない。よって、生成水中に溶存する溶存ガスを安全に処理することができる。
【発明の効果】
【0025】
上記ガス生成装置及びガス生成方法は、高品質な製品ガスを安定的に生成し、さらに分離した生成水を有効利用する技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1図1は、本発明の実施形態にかかる生成装置の構成図である。
図2図2は、反応熱冷却熱交換器の説明図である。
図3図3は、生成装置の運転開始手順である。
図4図4は、運転開始時の生成装置の説明図である。
図5図5は、運転中の生成装置の説明図である。
図6図6は、生成装置の運転停止手順である。
図7図7は、一段目反応塔に反応物の供給を停止した際の生成装置の説明図である。
図8図8は、生成装置の変形例の構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の実施形態について説明する。以下に示す実施形態は、本発明の実施形態の一例であり、本発明の技術的範囲を以下の態様に限定するものではない。
【0028】
図1は、本発明の実施形態にかかる生成装置の構成図である。図1に示す生成装置100は、例えば、気体状態の水素と二酸化炭素の発熱反応によって、製品ガスであるメタンガスと、水を生成させる。また、上記の化学反応は可逆反応でもある。上記の発熱反応を化学反応式で表すと下記の通りである。
【0029】
4H+CO⇔CH+2HO (1)
【0030】
生成装置100は、反応物である気体状態の水素と二酸化炭素とが供給され、上記の発熱反応が行われる一段目反応塔1を備える。また、一段目反応塔1において生成された生成水を凝縮し、メタンガスおよび未反応の水素と二酸化炭素から分離する一段目反応ガス冷却熱交換器2と、一段目反応塔1と一段目反応ガス冷却熱交換器2とを接続する配管を備える。
【0031】
また、生成装置100は、生成水が分離された後に未反応の水素と二酸化炭素を用いて再度上記の発熱反応を行い、メタンガスを発生させる二段目反応塔3を備える。また、生成装置100は、一段目反応ガス冷却熱交換器2と二段目反応塔3とを接続する配管を備える。一段目反応塔1において生成されたメタンガスや、未反応の水素や二酸化炭素は、一段目反応ガス冷却熱交換器2を経由して二段目反応塔3へ送られる。
【0032】
ここで、一段目反応塔1及び二段目反応塔3には、あらかじめ触媒が充填されている。触媒は、反応式(1)を促進する触媒ではあれば何でもよく、例えば、安定化元素が固溶し、正方晶系、及び、又は、立方晶系の結晶構造を有する安定化ジルコニア担体と、安定化ジルコニア担体に担持されるNiと、を備え、安定化元素は、Mn、FeおよびCoからなる群から選択される少なくとも1種の遷移元素からなる触媒が挙げられる。
【0033】
また、生成装置100は、二段目反応塔3において生成された生成水を凝縮してメタンガスから分離する二段目反応ガス冷却熱交換器4と、二段目反応塔3と二段目反応ガス冷却熱交換器4とを接続する配管を備える。
【0034】
一段目反応塔1及び二段目反応塔3はジャケット構造になっており、ジャケット部分には発熱反応が生じる反応塔内の発熱部分と熱交換する熱媒体が流出入可能となっている。ここで、熱媒体には、例えば熱媒油を用いる。そして、生成装置100は、一段目反応塔1及び二段目反応塔3と熱交換する熱媒油を加熱する熱媒油ヒーター5と、熱媒油ヒーター5と一段目反応塔1のジャケット部分とを接続する配管を備える。また、生成装置100は、一段目反応塔1のジャケット部分と二段目反応塔3のジャケット部分とを接続する配管を備える。
【0035】
また、生成装置100は、一段目反応塔1及び二段目反応塔3にて熱交換した熱媒油から、余剰な熱を除去するための反応熱冷却熱交換器6と、二段目反応塔3のジャケット部分と反応熱冷却熱交換器6とを接続する配管を備える。
【0036】
また、一段目反応ガス冷却熱交換器2及び二段目反応ガス冷却熱交換器4は、凝縮された生成水を排出する一段目凝縮水水抜き弁7及び二段目凝縮水水抜き弁8とそれぞれ接続する。水抜き弁は、ドレントラップのような浮き具の浮力を用いて弁を開閉させるものでもよいし、あるいは電気的に水位を探知して電磁弁を開閉するものでもよい。
【0037】
また、生成装置100は、反応熱冷却熱交換器6において熱媒油と熱交換する冷却水を冷却する冷却塔9を備える。冷却塔9内は、例えば系外から供給される水道水等の水を、冷却水として冷却する。また生成装置100は、冷却塔9内の冷却水を、反応熱冷却熱交換器6と冷却塔9との間で循環させる循環ポンプ10を備える。また、生成装置100は
、冷却塔9と循環ポンプ10とを接続する配管と、一段目凝縮水水抜き弁7及び二段目凝縮水水抜き弁8から排出された生成水が通る配管を備え、一段目凝縮水水抜き弁7及び二段目凝縮水水抜き弁8から排出された生成水が通る配管は、循環ポンプ10の吸込側の配管の途中に接続される。よって、反応熱冷却熱交換器6と冷却塔9との間で循環させられる冷却水に生成水が間欠的に混合される。水抜き弁から排出された生成水が通る配管の途中には、逆止弁11が設けられていてもよい。
【0038】
また、冷却塔9は、冷却塔9から循環ポンプ10によって反応熱冷却熱交換器6へ送られ、還ってきた冷却水を冷却塔9内に散布する散布器12を備える。また、生成装置100は、循環ポンプ10と反応熱冷却熱交換器6とを接続する配管と、反応熱冷却熱交換器6と散布器12とを接続する配管とを備える。また、循環ポンプ10と反応熱冷却熱交換器6とを接続する配管と、反応熱冷却熱交換器6と散布器12とを接続する配管と、を接続する配管を備え、その配管途中に調整弁13を備える。また、冷却塔9は、内部上方に、冷却塔9内を冷却させる冷却ファン14を備える。
【0039】
また、生成装置100は、反応熱冷却熱交換器6によって冷却された熱媒油を熱媒油ヒーター5へ送る熱媒油循環ポンプ15と、反応熱冷却熱交換器6と熱媒油循環ポンプ15とを接続する配管と、熱媒油循環ポンプ15と熱媒油ヒーター5とを接続する配管を備える。また、生成装置100は、反応熱冷却熱交換器6と熱媒油循環ポンプ15とを接続する配管途中に、熱媒油流量調整弁16を備える。また、生成装置100は、二段目反応塔3と反応熱冷却熱交換器6とを接続する配管と、反応熱冷却熱交換器6と熱媒油循環ポンプ15とを接続する配管と、を接続する配管を備え、その配管途中に流量調整弁17を備える。
【0040】
また、生成装置100は、一段目反応ガス冷却熱交換器2及び二段目反応ガス冷却熱交換器4において、生成水と熱交換して生成水を凝縮させる冷却水を冷却するチラー18を備える。そして、生成装置100は、チラー18と一段目反応ガス冷却熱交換器2とを接続する配管と、一段目反応ガス冷却熱交換器2と二段目反応ガス冷却熱交換器4とを接続する配管と、二段目反応ガス冷却熱交換器4とチラー18とを接続する配管を備える。
【0041】
図2は、反応熱冷却熱交換器6の部分拡大図である。反応熱冷却熱交換器6は所謂シェルアンドチューブ型熱交換器である。チューブ内部は、冷却塔9から循環させられる冷却水が通過する。一方、シェル内部は、二段目反応ガス冷却熱交換器4から送られる熱媒油が通り、冷却水と熱交換させられる。ここで、反応熱冷却熱交換器6は、シェル内部に、流れを蛇行させる板19を備える。板19によって、通過する熱媒油がシェル内部にて攪拌され、かつ、長く留まり、冷却水との熱交換率は上昇される。冷却水と熱交換した熱媒油は、熱媒油循環ポンプ15へ送られる。また、このシェルアンドチューブ型熱交換器を一段目反応ガス冷却熱交換器2及び二段目反応ガス冷却熱交換器4に用いてもよい。
【0042】
<運転手順>
次に、生成装置100の運転開始手順を説明する。図3は、生成装置100の運転開始手順を示している。まず、熱媒油循環ポンプ15を起動し、そして、熱媒油ヒーター5の電源を入れる。熱媒油ヒーター5によって加熱された熱媒油は、一段目反応塔1のジャケット部分に送られる。さらに、一段目反応塔1を通過した熱媒油は、二段目反応塔3のジャケット部分へ送られる。そして二段目反応塔3を通過した熱媒油は、熱媒油ヒーター5へ戻され、以降これを繰り返す。また、一段目反応塔1及び二段目反応塔3にあらかじめ充填されている触媒の活性成分の酸化防止のため、例えば微量の水素が一段目反応塔1に供給される(S101)。ただし、供給される物質は、水素に限らず、例えば窒素や二酸化炭素といった酸化防止効果のある物質であってもよい。また、上記の酸化防止のための物質の供給の代わりに、例えば酸素が入り込まない構造の反応塔を一段目反応塔1及び二
段目反応塔3に用いてもよい。この際の生成装置100の説明図は、図4の通りである。そして、一段目反応塔1及び二段目反応塔3の温度を観察し、一段目反応塔1及び二段目反応塔3の温度が所定温度まで上昇したか確認を行う(S102)。ここで、所定温度とは、上記の発熱反応が進行することのできる温度のことであり、例えば200℃程度である。一段目反応塔1及び二段目反応塔3の温度が所定温度まで上昇した場合、一段目反応塔1には水素及び二酸化炭素が供給される。そして、循環ポンプ10が起動され、冷却塔9の冷却水は反応熱冷却熱交換器6へ循環させられる(S103)。この際の生成装置100の説明図は図5に示される。このような運転開始手順を終えると、製品ガスの生成や、生成水の再利用が行われる。
【0043】
次に、生成装置100の運転停止手順を説明する。図6は、生成装置100の運転停止手順を示している。まず一段目反応塔1への水素及び二酸化炭素の供給を停止する。また、熱媒油ヒーター5の電源を切る(S104)。この際の生成装置100の概要図は、図7に示される。この際、一段目反応塔1及び二段目反応塔3には、水素、二酸化炭素、生成されたメタンおよび水蒸気が残留しており、これらの残留物によって製品ガスの生成が継続される。そして、一段目反応塔1及び二段目反応塔3の温度を観察し、製品ガスの生成が終了したか確認を行う。また、一段目反応塔1及び二段目反応塔3の温度が所定温度未満まで下降したか確認を行う(S105)。ここで、所定温度とは、上記の発熱反応が進行することのできる下限温度のことである。そして、一段目反応塔1及び二段目反応塔3の温度が、所定温度未満まで下降した場合、循環ポンプ10は停止され、冷却水の循環は停止される。また、熱媒油循環ポンプ15は停止される(S106)。
【0044】
<効果>
このような生成装置100であれば、一段目反応塔1又は二段目反応塔3において発熱反応によって発生した熱は、冷却水によって除去され、一段目反応塔1及び二段目反応塔3の温度上昇は抑制される。よって、発熱反応は安定的に進行し、高品質なメタンが安定的に生成される。
【0045】
また、生成装置100では、上記の発熱反応によって生成され、一段目凝縮水水抜き弁7又は二段目凝縮水水抜き弁8から排出された生成水は、冷却塔9と循環ポンプ10とを接続する配管途中に接続される配管を通り、冷却水に混合される。よって、発熱反応によって生成された生成水を、冷却水の一部として再利用することが可能となり、生成水の有効利用が実現される。
【0046】
また、冷却水に混合された生成水には、可燃性気体であるメタンや未反応の水素、二酸化炭素が溶存している。この生成水は、冷却水と共に冷却塔9内において冷却される。冷却される際、生成水中に溶存するメタンや未反応の水素、二酸化炭素は冷却塔内の大気中に気散される。また、冷却水に混合され、反応熱冷却熱交換器6へ循環させられ、冷却塔9へ還ってきた生成水は、図5のように散布器12から冷却塔内に散布される。この散布の際にも、生成水中に溶存するメタンや未反応の水素、二酸化炭素は冷却塔内の大気中に気散される。つまり、生成水中に溶存するメタンや水素といった可燃性気体や二酸化炭素は、意図的にではなく、自然に生成水から分離される。また、冷却塔内に気散されたメタン、水素、二酸化炭素は、冷却ファン14による大気の撹拌によって、希釈される。よって、製品ガスであるメタンは安全に生成される。また、装置運用に手間をかけずに済む。
【0047】
また、(1)の反応は可逆反応であるため、一段目反応塔1において反応ガスの反応によって生成される生成水が脱水、除去された後、二段目反応塔2にて未反応の反応ガスを反応することができるため、反応転換率が向上し、生成されるメタン濃度は上昇する。
【0048】
また、上記の発熱反応によって発生する熱量と、上記の発熱反応によって生成される生
成水量は、上記の発熱反応の反応速度に従う。すなわち、反応速度が遅い場合、一段目反応塔1及び二段目反応塔3から生成される生成水量は少ないため、反応熱冷却熱交換器6へ循環する冷却水量も少なくなるが、一段目反応塔1及び二段目反応塔3から発せられる熱量も小さい。一方で、反応速度が速い場合、一段目反応塔1及び二段目反応塔3から生成される生成水量は多くなるため、反応熱冷却熱交換器6へ循環する冷却水量も多くなるが、一段目反応塔1及び二段目反応塔3から発せられる熱量も大きい。すなわち、一段目反応塔1及び二段目反応塔3と熱交換する熱媒油の温度は、反応速度に関わらず最適な冷却水量によって一定に保たれ、高品質なメタンが安定的に生成される。
【0049】
また、本実施形態のように反応進行温度(200℃)が水の沸点よりも高い場合、一段目反応塔1及び二段目反応塔3を冷却水によって直接的に冷却しようとすると、冷却水が気体状態となり、反応塔のジャケット内部に高い圧力が加わり、生成装置に負担がかかる。そこで、本実施形態の生成装置100は、上記の発熱反応によって一段目反応塔1及び二段目反応塔3に発生した反応熱を熱媒油によって除去し、その反応熱を含んだ熱媒油を反応熱冷却熱交換器6において冷却水によって冷却している。本実施形態のように反応進行温度で常圧のまま液体状態となる物質(例えば熱媒油)を熱媒体に用いれば、熱媒体が通るジャケット内に高い圧力が加わることはなく、また熱媒油は液体であるから反応塔との熱交換率は高くなる。よって、生成装置100に圧力による負担をかけずに、一段目反応塔1及び二段目反応塔3の温度は一定に保たれ、メタンの生成効率は上昇する。また、冷却水によって冷却された熱媒油は、再度一段目反応塔1及び二段目反応塔3に送られ、反応熱の除去に用いられる。よって、メタン生成費用は節減される。
【0050】
また、生成装置100は、熱媒油を循環させることによって、一段目反応塔1及び二段目反応塔3から発生する反応熱を除去するだけでなく、一段目反応塔1及び二段目反応塔3を、反応が進行する温度に加熱することができる。よって、一段目反応塔1に反応物を供給する前に、一段目反応塔1を200℃程度に加熱しておけば、メタンの生成は反応の初期段階から安定的に行われる。
【0051】
また、一段目反応ガス冷却熱交換器2及び二段目反応ガス冷却熱交換器4において生成水と熱交換して生成水を凝縮させる冷却水は、チラー18から低温で供給される。よって、生成されるメタンの露点や純度などの品質は高い。
【0052】
また、図3に示すような生成装置100の運転開始方法は、反応物が供給され、反応が行われている段階で冷却水を循環させているため、反応が行われる前から冷却水を循環させることは防止され、冷却水の無駄な使用は抑制される。
【0053】
また、図6に示すような生成装置100の運転停止方法であれば、発熱反応が終了する前に、冷却水の循環が停止されることはない。
【0054】
また、反応塔から生成される生成水には、例えば炭酸カルシウムやシリカといった、通常水道水等に含まれるスケール成分は含まれないため、生成装置100の配管等にスケール成分が析出することはない。よって、析出したスケール成分を除去するといった装置のメンテナンスを行わずに済む。
【0055】
また、生成装置100は、例えば工場や自動車等から大量に排出され、大気中に存在する二酸化炭素を、エネルギー資源であるメタンの生成に用いることができる。よって、資源のリサイクル化が実現される。
【0056】
<変形例>
次に、上記の実施形態の変形例を説明する。図8は、本実施形態の生成装置100の変
形例の構成図である。図8のように、一段目反応ガス冷却熱交換器2及び二段目反応ガス冷却熱交換器4において生成水と熱交換して生成水を凝縮させる冷却水は、チラー18からではなく、冷却塔9から供給されてもよい。また、循環ポンプ10の吐出し側にエジェクター20を備え、一段目凝縮水水抜き弁7及び二段目凝縮水水抜き弁8から排出された生成水が冷却水に混合されてもよい。
【0057】
また、生成装置100は、冷却水に一段目凝縮水水抜き弁7及び二段目凝縮水水抜き弁8が固着などの故障を起こした場合、多量のメタンガスや水素、二酸化炭素が冷却水に混入してしまう。このような場合に、一段目反応塔1に水素と二酸化炭素を供給しないように、一段目反応塔1の手前に遮断弁21を備えてもよい。また、冷却塔9の上部に水素及びメタンガスの検知が可能なガス検知器22を備え、遮断弁21は、ガス検知器22によって異常が検知された場合、インターロックされる構成であってもよい。また、ガス検知器22の代わりに流量計23を備えてもよい。流量計23は、例えば面積式流量計により、ガスの冷却水ラインへの流出による流量低下を検知することでもよい。
【0058】
このような生成装置100であれば、水抜き弁が故障等を起こし、多量のメタンガスや水素、二酸化炭素が冷却水に混入されても、運転を迅速に停止することができる。
【0059】
また、本実施形態では、反応塔を2つ備えているが、反応塔の数は、1段でも3段でも4段でも何段でもよい。また、本実施形態では、反応塔と熱交換する熱媒体に熱媒油を用いたが、熱媒体は、使用温度、使用設備などの使用条件を考慮して溶融塩や高圧水などといった、使用条件に適した物質を用いてもよい。また、一段目反応塔1と熱交換した熱媒油は、一部が二段目反応塔3を経由せずに反応熱冷却熱交換器6へ送られてもよい。また、反応塔で行われる発熱反応が100℃以下で進行する場合、反応塔と熱交換し、発熱反応によって発生した反応熱を除去する熱媒体として、液体状態の常圧水を用いてもよい。また、反応塔で行われる反応が不可逆反応である場合にも生成装置100は用いられてもよい。また、反応塔で行われる反応が吸熱反応である場合にも、生成装置100は用いられてもよく、吸熱反応時に反応塔と熱交換する熱媒体が反応塔へ熱を供給し、反応塔の温度を一定に保ってもよい。
【符号の説明】
【0060】
1・・一段目反応塔;2・・一段目反応ガス冷却熱交換器;3・・二段目反応塔;4・・二段目反応ガス冷却熱交換器;5・・熱媒油ヒーター;6・・反応熱冷却熱交換器;7・・一段目凝縮水水抜き弁;8・・二段目凝縮水水抜き弁;9・・冷却塔;10・・循環ポンプ;11・・逆止弁;12・・散布器;13・・調整弁;14・・冷却ファン;15・・熱媒油循環ポンプ;16・・熱媒油流量調整弁;17・・流量調整弁;18・・チラー;19・・板;20・・エジェクター;21・・遮断弁;22・・ガス検知器;23・・流量計;24・・水道水;100・・生成装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8