(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記予測部は、前記撮像装置が撮像した複数の撮像画像における対象物の位置の変化を用いて前記対象物の現在位置を予測することを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
位置決めや検査の精度を向上させるためには撮像装置の分解能を向上させる必要、すなわち撮像装置を高解像度化することが必要となる。しかし、撮像装置を高解像度化すれば、画素数が増え、これにしたがって画像転送時間、画像処理時間が増えてしまう。具体的に、
図17を参照して説明する。
図17は、画素数と処理時間との関係を示す図である。
図17に示すように、画素数が30万から1200万に増加するにしたがって、処理時間も増加している。
【0007】
よって、高精度化と高速化とは、トレードオフの関係にあり、両立させることが難しい。
【0008】
そして、上述した特許文献1、2に記載された技術でも、精度の向上と処理時間の短縮とを図るための方策は取られていない。
【0009】
本発明の一態様は、位置決めや検査の精度を向上させつつ、処理時間を短縮させる画像処理装置等を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本発明の一態様に係る画像処理装置は、対象物の位置制御で用いられる画像処理装置であって、撮像装置が撮像した撮像画像から前記対象物の位置を検出する画像処理装置において、前記対象物の現在位置を予測する予測部と、前記撮像画像の一部の領域であって、前記予測部が予測した位置を含む所定領域から前記対象物の位置を探索する探索部と、前記探索部が探索した前記対象物の位置を出力する出力部と、を備えていることを特徴としている。
【0011】
前記の構成によれば、位置制御において対象物の位置を制御する場合に、撮像装置が撮像した撮像画像のうち、予測された対象物の現在位置を含む所定領域のみを探索することにより、対象物の位置を測定することができる。これにより、撮像画像全てを探索する場合と比較して処理量を削減することができる。また、撮像装置が高解像度化しても、撮像画像の一部のみを探索するのみなので、処理量が極端に増加することもない。よって、対象物の位置決めや対象物に対する検査の精度を向上させつつ、処理時間を短縮させることができる。
【0012】
本発明の一態様に係る画像処理装置では、前記予測部は、前記対象物の位置を制御する制御装置の指示情報を用いて前記対象物の現在位置を予測するものであってもよい。
【0013】
制御装置の指示情報は対象物の制御を行うものなので、これを用いれば、対象物がどのように移動するか予測することができる。そして、前記の構成によれば、制御装置の指示情報を用いて対象物の現在位置を予測するので、正確な予測をおこなうことができる。
【0014】
本発明の一態様に係る画像処理装置では、前記予測部は、前記撮像装置が撮像した複数の撮像画像における対象物の位置の変化を用いて前記対象物の現在位置を予測するものであってもよい。
【0015】
対象物が現在位置に至るまでの位置の変化が単調なものであれば、それまでの位置の変化とこれからの位置の変化は同様である可能性が高い。そして、前記の構成によれば、複数の撮像画像における対象物の位置の変化から対象物の現在位置を予測するので、位置の変化が単調なものであれば、適切に現在位置を予測することができる。
【0016】
本発明の一態様に係る画像処理装置では、前記所定領域を前記撮像装置に通知する通知部と、前記所定領域に対応する前記撮像画像の一部を前記撮像装置から取得する取得部と、を備え、前記探索部は、前記取得部が取得した前記所定領域に対応する前記撮像画像の一部から前記対象物の位置を探索するものであってもよい。
【0017】
前記の構成によれば、探索対象となる所定領域の撮像画像のみを撮像装置から取得するので、撮像装置から送信される画像のデータ量を削減することができる。これにより、処理時間を短縮することができる。
【0018】
本発明の一態様に係る画像処理装置では、前記撮像画像を前記撮像装置から取得する取得部と、前記取得部が取得した前記撮像画像から前記所定領域を取り出す領域取出部と、を備え、前記探索部は、前記領域取出部が取り出した前記所定領域から前記対象物の位置を探索するものであってもよい。
【0019】
前記の構成によれば、撮像領域から、探索対象となる所定領域のみを取り出すことができる。これにより、所定領域のみを探索することができる。
【0020】
本発明の一態様に係る画像処理装置では、前記撮像装置は複数存在し、前記予測部は、前記複数の撮像装置のうちの1つである第1撮像装置が撮像した第1撮像画像から対象物の現在位置を予測し、前記探索部は、前記複数の撮像装置の他の1つである第2撮像装置が撮像した、前記予測部が予測した位置を含む所定領域を撮像した第2撮像画像から前記対象物の位置を探索するものであってもよい。
【0021】
前記の構成によれば、第1撮像装置において全体を撮像し、その結果を用いて一部のみを第2撮像装置で撮像することにより対象物の位置を探索することができる。これにより、対象物のより正確な位置を認識することができる。
【0022】
上記課題を解決するために、本発明に係る制御システムは、前記画像処理装置と、搬送装置と、を含み、前記対象物は、前記搬送装置によって位置が移動させられるものであり、前記第1撮像装置は、前記第2に撮像装置よりも、前記搬送装置の上流側に設置されていることを特徴としている。
【0023】
前記の構成によれば、搬送装置の上流側に第1撮像装置、これよりも下流側に第2撮像装置が設置されるので、第1撮像装置による撮像画像を用いた対象物の位置の予測を第2撮像装置による撮像位置に適切に反映させることができる。これにより、第2撮像装置により対象物を正確に撮像することができるので、対象物の位置を正確に認識できる。また、検査の精度も向上させることができる。
【0024】
上記課題を解決するために、本発明に係る制御システムは、前記画像処理装置と、前記対象物の位置を制御する制御装置と、前記対象物を含む領域を撮像する撮像装置と、含むことを特徴としている。
【0025】
前記の構成によれば、上述した効果を同様の効果を奏する。
【0026】
上記課題を解決するために、本発明に係る画像処理装置の制御方法は、対象物の位置制御で用いられる画像処理装置であって、撮像装置が撮像した撮像画像から前記対象物の位置を検出する画像処理装置の制御方法であって、前記対象物の現在位置を予測する予測ステップと、前記撮像画像の一部の領域であって、前記予測ステップで予測した位置を含む所定領域から前記対象物の位置を探索する探索ステップと、前記探索ステップで探索した前記対象物の位置を出力する出力ステップと、を含むことを特徴としている。
【0027】
前記の構成によれば、上述した効果を同様の効果を奏する。
【0028】
本発明の各態様に係る画像処理装置は、コンピュータによって実現してもよく、この場合には、コンピュータを前記画像処理装置が備える各部(ソフトウェア要素)として動作させることにより前記画像処理装置をコンピュータにて実現させる画像処理装置の制御プログラム、およびそれを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体も、本発明の範疇に入る。
【発明の効果】
【0029】
本発明の一態様によれば、撮像画像全てを探索する場合と比較して処理量を削減することができるという効果を奏する。また、撮像装置が高解像度化しても、撮像画像の一部のみを探索するのみなので、処理量が極端に増加することもない。よって、対象物の位置決めや対象物に対する検査の精度を向上させつつ、処理時間を短縮させることができるという効果を奏する。
【発明を実施するための形態】
【0031】
〔実施形態1〕
以下、本発明の実施形態について、詳細に説明する。まず、
図2を参照して、本実施形態に係る制御システム100の概要について説明する。
図2は、制御システム100の概略を示す図である。
【0032】
図2に示すように、本実施形態に係る制御システム100は、概略的には、制御装置1、サーボドライバ3、制御対象5(サーボモータ4)、画像処理装置10、および撮像部(撮像装置)20を含み、制御装置1で生成された指令値をサーボドライバ3に入力し、サーボドライバ3は、受け取った指令値に基づくトルクによりサーボモータ4を駆動して制御対象5における対象物Xの位置制御を行うものである。本実施形態では、制御対象5としてXYθステージを想定しており、XYθステージにおける対象物Xの位置を制御する。
【0033】
また、撮像部20にて制御対象5を撮像し、撮像画像を画像処理装置10で処理することにより、制御対象5における対象物Xの正確な位置を制御装置1に通知し、これにより、より正確な位置制御を実現するものである。正確な位置制御を実現することにより、制御対象5における対象物Xを正確に位置決めすることや、制御対象5における検査を正確に行うこと等を実現することができる。
【0034】
そして、本実施形態では、制御対象5における対象物Xの位置を予測することにより、撮像部20によって撮像された撮像画像における探索領域を制限して、処理量を削減している。これにより、高解像度の撮像画像を短時間で処理することができるものである。
【0035】
図4を参照して具体的に説明する。
図4は、探索領域を制限する方法の概要を示す図である。
図4には、縦Cy、横Cxの制御対象5を撮像した撮像画像401の例が示されており、便宜的に対象物Xの位置が時間経過に沿って×印で示されている。
図4における“t−2”、“t−1”、“t”は時間経過を示しており、それぞれ、時刻“t−2”における対象物Xの位置、時刻“t−1”における対象物Xの位置、時刻“t”における対象物Xの位置を示す。本実施形態では、時刻“t”における対象物Xの正確な位置を認識するときに、時刻“t”における対象物Xの位置を、前回時刻“t−1”(場合によっては、前々回時刻“t−2”も)を用いて予測し、撮像画像のうち、予測位置を含む所定領域402の部分のみを探索する。これにより、撮像画像401全体を探索する必要がなくなり、高解像度の撮像画像であっても短時間で処理することが可能となる。所定領域402は、例えば、モデルとして縦My、横Mxの矩形領域がある場合、これらを用いて縦My+d2、横Mx+d1の矩形領域を考えることができる。
【0036】
〔画像処理装置の構成〕
次に、
図1を参照して画像処理装置10の要部構成について説明する。
図1は、画像処理装置10の要部構成を示すブロック図である。
【0037】
図1に示すように、画像処理装置10は、予測位置算出部(予測部)11、撮像領域指定部12、撮像制御部(通知部)13、撮像画像取得部(取得部)14、取得画像解析部(探索部、領域取出部)15、および解析結果出力部(出力部)16を含む。
【0038】
予測位置算出部11は、制御対象5における対象物Xの現在位置を予測する。そして、予測した位置を撮像領域指定部12に通知する。より詳細には、予測位置算出部11は、制御装置1から、制御対象5を駆動させるための駆動情報(領域限定情報、指示情報)を取得し、取得した駆動情報と前回の対象物Xの位置とから現在の対象物Xの位置を予測する。なお、予測位置算出部11は、対象物Xの位置のみではなく、そのときの姿勢も予測するものであってもよい。これにより、姿勢に対応させて後述する所定領域を設定することができる。
【0039】
撮像領域指定部12は、予測位置算出部11から通知された、予測された対象物Xの現在位置を含む所定領域を指定し、撮像制御部13に通知する。
【0040】
撮像制御部13は、撮像領域指定部12から通知された所定領域を撮像部20に通知して、撮像部20に制御対象5を撮像させる。
【0041】
撮像画像取得部14は、撮像部20が撮像した撮像画像のうち、上記所定領域に対応する部分(所定領域画像)を撮像部20から取得し、取得画像解析部15に送信する。
【0042】
取得画像解析部15は、撮像画像取得部14から送信された所定領域画像を解析し、対象物Xを探索し、対象物Xの位置を計測(検出)する。そして、計測した結果を解析結果出力部16に通知する。画像を解析することにより対象物Xの位置を計測する方法は、公知の技術で可能であるので、その説明は省略する。
【0043】
解析結果出力部16は、取得画像解析部15から通知された計測結果を外部装置等に出力する。なお、画像処理装置10が表示部等を備え、当該表示部に計測結果を出力させるものであってもよい。
【0044】
撮像部20は、撮像制御部13の指示に従い、制御対象5を撮像する。そして、撮像画像のうち、撮像制御部13から指示された所定領域に対応する所定領域画像のみ画像処理装置10に送信する。
【0045】
〔画像処理装置における処理の流れ〕
次に、
図3を参照して画像処理装置10における処理の流れを説明する。
図3は、画像処理装置10における処理の流れを示す図であり、(a)は処理の流れを示すフローチャートであり、(b)は制御システム100における処理を簡易的に示した図である。
【0046】
図3の(a)に示すように、制御システム100における制御処理が開始すると、撮像制御部13は、撮像部20に制御対象5を撮像させる(S101)。次に、取得画像解析部15は撮像画像から対象物Xの位置を計測する(S102:ワークの探索処理)。次に、予測位置算出部11は、制御装置1から取得した制御対象5に対する駆動情報(サーボモータ4に対する指令値)、および現在の対象物Xの位置から、次回撮像時における対象物Xの位置を予測する(S103、予測ステップ)。そして、撮像領域指定部12は、予測された位置から当該位置を含む領域を所定領域として指定する(S104)。
【0047】
その後、撮像制御部13は、所定領域を示す情報を撮像部20に送信するとともに、撮像部20に制御対象5を撮像させる(S105)。撮像部20は、撮像画像のうち、所定領域に対応する所定領域画像を画像処理装置10に送信し、取得画像解析部15は、所定領域画像を解析して対象物Xの位置を計測(探索)する(S106、探索ステップ)。そして、解析結果出力部16は、計測結果を出力する(S107、出力ステップ)。
【0048】
〔解析対象となる所定領域画像を取得する方法の別の例〕
次に、
図5を参照して取得画像解析部15により解析される対象である所定領域画像を取得する方法の別の例について説明する。
図5の(a)〜(d)は、取得画像解析部15により解析される対象である所定領域画像を取得する方法を説明するための図である。
【0049】
上述した構成では、撮像部20から画像処理装置10に送信される画像が、所定領域画像となっていた。すなわち、
図5の(a)、(b)に示すように撮像画像501のうち、
図5の(a)で示す例で言えば所定領域画像511のみを、
図5の(b)に示す例で言えば、所定領域画像511、512、513、514のみを画像処理装置10に送信していた。なお、
図5の(b)は、対象物Xが複数存在する場合の例である。
【0050】
このような構成に限られず、例えば、撮像部20から画像処理装置10に送信される画像は、撮像画像そのもの、すなわち制御対象5全体を撮像している画像であってもよい。この場合、撮像画像を取得した画像処理装置10は、撮像画像のうち、撮像領域指定部12で指定された領域のみを取得画像解析部15が解析してもよい。すなわち、
図5の(c)に示すように、画像処理装置10は、撮像画像501を取得し、取得画像解析部15は、撮像画像501のうち、所定領域に対応する所定領域画像521のみを解析する。または、
図5の(d)に示すように、画像処理装置10は、撮像画像501を取得し、取得画像解析部15は、撮像画像501のうち、所定領域に対応する所定領域画像521、522、523、524のみを解析する。
【0051】
この構成でも、解析対象は撮像画像全体ではなく撮像画像のうちの所定領域のみとなるので、撮像画像全体を解析する場合と比較して処理量を削減することができる。
【0052】
〔処理時間〕
次に、
図6を参照して本実施形態によりどの程度処理時間が短縮されるかについて説明する。
図6は、従来技術における処理時間と本実施形態による処理時間とを比較する図である。
【0053】
図6に示すように、従来技術では、撮像処理にかかる時間(撮像装置から画像処理装置への画像転送時間を含む)が33ms、撮像画像を解析する画像処理時間が30ms、解析結果を出力する処理が1msであった。すなわち、従来技術では、全体の処理時間は、33+30+1=64msであった。
【0054】
これに対し、本実施形態では、まず、撮像部20から画像処理装置10に送信されるものが所定領域画像となるので、送信時間が短縮され、撮像処理にかかる時間は10msとなる。また、解析対象も所定領域画像のみとなるので、処理時間が短縮され、画像処理時間は10msとなる。出力処理にかかる時間は変わらない。結局、本実施形態における全体の処理時間は、10+10+1=21msとなり、従来技術と比較しておよそ66%短縮されている。
【0055】
また、撮像部20から送信される撮像画像はそのままで、画像処理装置10により解析対象とする領域を制限する場合でも、画像処理時間は10msに短縮される。よって、この場合の全体の処理時間は、33+10+1=44msとなり、従来技術と比較しておよそ31%短縮されることになる。
【0056】
〔所定領域の例〕
次に、
図7を参照して、撮像領域指定部12が指定する所定領域の例について説明する。
図7の(a)、(b)は、所定領域の例を示す図である。上述したように、所定領域は、対象物Xを含む矩形領域(
図7の(a)の領域721、722、723)であってもよいし、
図7の(b)に示すように対象物Xの形状に合わせた領域であってもよい(
図7の(b)の領域711、712、713、714)。
【0057】
〔本発明の効果〕
次に、
図8を参照して、本発明による効果について説明する。
図8は、本発明の効果を説明するための図である。
図8に示すように、従来技術では、撮像装置の画素数が大きくなるほど、処理時間が大幅に増えていることがわかる。
【0058】
一方、本実施形態では、画素数が増えても、処理時間はさほど増えていないことが分かる。なお、
図8における本実施形態Aは、標準モードにおける処理を実行した場合であり、本実施形態Bは、高速アライメントモードにより処理を実行した場合である。
【0059】
標準モードは、上述した、撮像部20が撮像した撮像画像全体を画像処理装置10に送信し、画像処理装置10において探索領域を限定する構成に対応し、高速アライメントモードは、上述した、撮像部20から画像処理装置10に送信される画像が所定領域画像となっている構成に対応する。
【0060】
〔実施形態2〕
本発明の他の実施形態について、
図9〜
図11に基づいて説明すれば、以下のとおりである。なお、説明の便宜上、前記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を省略する。
【0061】
本実施形態では、対象物Xの現在位置の予測方法が、上述した実施形態1と異なる。まず、
図9を参照して、本実施形態における画像処理装置10aの要部構成について説明する。
図9は、画像処理装置10aの要部構成を示すブロック図である。
【0062】
図9に示すように、本実施形態に係る画像処理装置10aは、
上述した実施形態1における画像処理装置10の予測位置算出部11に代わり、予測位置算出部(予測部)11aを備え、撮像画像取得部14に代わり撮像画像取得部(取得部)14aを備える。
【0063】
予測位置算出部11aは、撮像画像取得部14aが取得した複数の撮像画像における対象物Xの位置の変化から対象物Xの現在位置を予測する。予測方法の詳細については後述する。
【0064】
撮像画像取得部14aは、撮像部20から取得した撮像画像を取得画像解析部15に送信するとともに、予測位置算出部11aにも送信する。
【0065】
次に、
図10を参照して、画像処理装置10aにおける処理の流れを説明する。
図10は、画像処理装置10aにおける処理の流れを示す図であり、(a)は処理の流れを示すフローチャートであり、(b)は制御システム100における処理を簡易的に示した図である。
【0066】
図10の(a)に示すように、制御システム100における制御処理が開始すると、撮像制御部13は、撮像部20に制御対象5を撮像させる(S201)。次に、取得画像解析部15は撮像画像から対象物Xの位置を計測する(S202:ワークの探索処理)。その後、同様に、撮像制御部13は、撮像部20に制御対象5を撮像させる(S203)。また、取得画像解析部15は撮像画像から対象物Xの位置を計測する(S204:ワークの探索処理)。
【0067】
次に、予測位置算出部11aは、撮像画像取得部14aから取得した撮像画像を用いて、対象物Xの速度ベクトルと算出し、次回撮像時における対象物Xの位置を予測する(S205)。そして、撮像領域指定部12は、予測された位置から当該位置を含む領域を所定領域として指定する(S106)。
【0068】
その後、撮像制御部13は、所定領域を示す情報を撮像部20に送信するとともに、撮像部20に制御対象5を撮像させる(S207)。撮像部20は、撮像画像のうち、所定領域に対応する所定領域画像を画像処理装置10に送信し、取得画像解析部15は、所定領域画像を解析して対象物Xの位置を計測する(S208)。そして、解析結果出力部16は、計測結果を出力する(S209)。
【0069】
次に、
図11を参照して、対象物Xの速度ベクトルを算出する方法を説明する。
図11は、対象物Xの速度ベクトルを算出する方法を説明するための図である。
【0070】
図11において、Pは対象物Xの位置を、Vxはx方向の速度ベクトルを、Vyはy方向の速度ベクトルを示す。また、Praは所定領域の左上位置を示し、Prbは所定領域の右下位置を示す。
【0071】
図11において、P
t−2=(x
t−2,y
t−2)は、前々回の撮像時における対象物Xの位置を示し、P
t−1=(x
t−1,y
t−1)は、前回の撮像時における対象物Xの位置を示す。
【0072】
まず、予測位置算出部11aは、対象物XがP
t−2からP
t−1に移動したときの速度ベクトルを求める。ここでは、速度ベクトルのx方向の成分がVx
t−1、y方向成分がVy
t−1であったとする。
【0073】
そして、予測位置算出部11aは、対象物Xの現在位置P
tを次式を用いて予測する。
P
t=(x
t,y
t)=(x
t−1+Vx
t−1×Δt,y
t−1+Vy
t−1×Δt)
ここで、Δtは、撮像時間間隔である。
【0074】
また、撮像領域指定部12は、所定領域の左上位置Pra
tを、(x
t−Δd,y
t−Δd)と設定し、所定領域の右下位置Prb
tを、(x
t+Δd,y
t+Δd)と設定する。Δdは、所定領域の大きさを示すものであり任意に設定することができる。なお、ここでは、x方向とy方向とが同じ値(すなわち、所定領域が正方形)としているが、これに限られるものではなく、x方向をΔd
1、y方向をΔd
2として所定領域が矩形となるものであってもよい。
【0075】
〔実施形態3〕
本発明のさらなる他の実施形態について、
図12〜
図16に基づいて説明すれば、以下のとおりである。なお、説明の便宜上、前記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を省略する。
【0076】
本実施形態では、制御対象5としてXYθステージではなく、搬送装置(例えば、ベルトコンベアー)であり、制御対象5上の対象物Xが流れていき、所定位置でピックアップされるような制御システムを想定している。
【0077】
まず、
図12を参照して、本実施形態に係る画像処理装置10bの要部構成について説明する。
図12は、画像処理装置10bの要部構成を示すブロック図である。
図12に示すように、本実施形態に係る画像処理装置10bは、予測位置算出部11a、撮像領域指定部12、撮像制御部(通知部)13a、撮像制御部13b、撮像画像取得部(取得部)14b、撮像画像取得部14c、取得画像解析部15、および解析結果出力部16を含む。
【0078】
また、制御システム100には、上述した実施形態における撮像部20に代えて、第1撮像部(撮像装置、第1撮像装置)20Aおよび第2撮像部(撮像装置、第2撮像装置)20Bが含まれる。
【0079】
撮像制御部13aは、第1撮像部20Aに制御対象5を撮像させる。撮像制御部13bは、第2撮像部20Bに制御対象5を撮像させる。撮像画像取得部14bは、第1撮像部20Aの撮像画像を取得する。撮像画像取得部14cは、第2撮像部20Bの撮像画像を取得する。
【0080】
第1撮像部20Aは、第2撮像部20Bの上流側に配置されている。なお、第2撮像部20Bの方が、第1撮像部20Aよりも解像度が高いものであってもよい。
【0081】
より詳細に、
図13を参照して説明する。
図13は、本実施形態に係る制御システムの例を示す図であり、(a)は制御システムの概要を示す図であり、(b)は第1撮像部20Aによる撮像される画像例を示す図であり、(c)は第2撮像部20Bにより撮像される画像例を示す図である。
【0082】
図13に示すように、本実施形態では、制御対象5によって対象物Xが流れていき、最終的にロボット50によりピックアップされる。そして、ロボット50によるピックアップ箇所に対応する制御対象5の位置を撮像できるように第2撮像部20Bが配置されているとともに、これよりも上流側に第1撮像部20Aが配置(設置)されている。
【0083】
そして、
図13の(b)に示すように、上流側で第1撮像部20Aにより制御対象5が撮像され、撮像画像から対象物Xの位置を計測し、下流側の第2撮像部20Bでは、計測された位置から予測される対象物Xの位置に対応した箇所の撮像を行う。
図13の(c)に示す例では、撮像領域1311、1312、1313、1314が第2撮像部20Bの撮像領域となる。
【0084】
これにより、より正確に対象物Xの位置を計測(把握)することができるので、ロボット50による対象物Xのピックアップ処理を正確に行うことができる。
【0085】
次に、
図14および
図15を参照して、画像処理装置10bにおける処理の流れを説明する。
図14は、画像処理装置10bにおける処理の流れを示すフローチャートである。また、
図15は、本実施形態に係る制御システム100の概要を示す図である。
【0086】
図14に示すように、制御システム100における制御処理が開始すると、撮像制御部13aは、第1撮像部20Aに制御対象5を撮像させる(S301)。次に、予測位置算出部11aは第1撮像部20Aにより撮像された撮像画像から対象物Xの位置を計測する(S302:ワークの探索処理)。次に、予測位置算出部11aは、対象物Xに対しインデックスを付与する(S303)。具体的には、
図15に示すように、第1撮像部20Aにより撮像される撮像領域(第1領域)に存在する対象物Xに対し、i=0〜3のようなインデックスを付与する。その後、同様に、撮像制御部13aは、第1撮像部20Aに制御対象5を撮像させる(S304)。また、予測位置算出部11aは第1撮像部20Aにより撮像された撮像画像(第1撮像画像)から対象物Xの位置を計測する(S305:ワークの探索処理)。そして、予測位置算出部11aは、対象物Xに対しインデックスに紐づけを行う(S306)。具体的には、前回インデックスを付与した対象物Xと同じ対象物Xに対し、同じインデックスを付与する。そして、インデックスが付与されていない対象物Xがあれば(S307でYES)、当該対象物Xに対しインデックスを付与する(S308)。
【0087】
そして、予測位置算出部11aは、2つの撮像画像を用いて、対象物Xの速度ベクトルを算出し、対象物Xの移動位置を予測する(S309)。
【0088】
その後、ステップS304に戻るとともに、ステップS310の処理を行う。
【0089】
ステップS310では、撮像領域指定部12がステップS309で予測された位置を含む所定領域を指定する(S310)。
【0090】
その後、撮像制御部13bは、所定領域を示す情報を第2撮像部20Bに送信するとともに、第2撮像部20Bに制御対象5のうち所定領域に対応する領域(例えば、
図15の第2領域)を撮像させる(S311)。そして、第2撮像部20Bは、撮像画像を画像処理装置10bに送信し、取得画像解析部15は、撮像画像(第2撮像画像)を解析して対象物Xの位置を計測する(S312)。そして、解析結果出力部16は、計測結果を出力する(S313)。
【0091】
次に、
図16を参照して、所定領域について説明する。
図16は、本実施形態における所定領域を説明するための図である。
図16の撮像領域1601は、第1撮像部20Aの撮像領域に対応する領域である。第1撮像部20Aによって撮像された撮像画像における対象物Xの位置から予測された位置を含む領域である領域1611、1612、1613を撮像領域指定部12は所定領域として指定する。
【0092】
〔ソフトウェアによる実現例〕
画像処理装置10(10a、10b)の制御ブロック(特に予測位置算出部11(11a)、撮像領域指定部12、撮像制御部13(13a、13b)、撮像画像取得部14(14a、14b、14c)、取得画像解析部15、解析結果出力部16)は、集積回路(ICチップ)等に形成された論理回路(ハードウェア)によって実現してもよいし、CPU(Central Processing Unit)を用いてソフトウェアによって実現してもよい。
【0093】
後者の場合、画像処理装置10(10a、10b)は、各機能を実現するソフトウェアであるプログラムの命令を実行するCPU、上記プログラムおよび各種データがコンピュータ(またはCPU)で読み取り可能に記録されたROM(Read Only Memory)または記憶装置(これらを「記録媒体」と称する)、上記プログラムを展開するRAM(Random Access Memory)などを備えている。そして、コンピュータ(またはCPU)が上記プログラムを上記記録媒体から読み取って実行することにより、本発明の目的が達成される。上記記録媒体としては、「一時的でない有形の媒体」、例えば、テープ、ディスク、カード、半導体メモリ、プログラマブルな論理回路などを用いることができる。また、上記プログラムは、該プログラムを伝送可能な任意の伝送媒体(通信ネットワークや放送波等)を介して上記コンピュータに供給されてもよい。なお、本発明の一態様は、上記プログラムが電子的な伝送によって具現化された、搬送波に埋め込まれたデータ信号の形態でも実現され得る。
【0094】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。