(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第2の帯電部材に印加する第2のバイアスは、前記第1の帯電部材に印加する第1のバイアスよりも小さく、かつ画像形成時の画質に影響が生じないレベルに設定されている
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
金属ブレードを感光体に近接させたときの前記金属ブレード先端部と感光体表面との距離は、金属ブレードに印加された第2のバイアスにより感光体と金属ブレード間に放電が生じることが可能な距離である
ことを特徴とする請求項9に記載の画像形成装置。
前記寿命判定手段は、前記電流検出手段により検出された電流値に代えて、前記第2のバイアスとして所定の定電流が供給されたときの印加電圧に基づき感光体の寿命を判定する構成である
ことを特徴とする請求項1から10までのいずれかに記載の画像形成装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、最近では、帯電ローラーに使用される導電性の弾性材料として、イオン導電性ゴムが使用されている場合がほとんどである。このイオン導電性ゴムは、電気抵抗が均一で、抵抗の電圧依存性が小さいという点で優れているが、その一方で、電気抵抗値が温湿度などの周囲の環境に影響されやすいという短所を有する。
上述の特許文献1に開示されている技術においては、感光体膜厚の取得に際し、このような環境によって変動する帯電ローラーの電気抵抗については全く考慮されていないため、予め求めておいた膜厚・電流特性と、実際の膜厚取得時の環境条件が異なれば、感光体膜厚を正確に求めることができなくなる。
【0008】
本発明の目的は、上記事情に鑑みてなされたものであって、感光体膜厚を検出する場合において、その検出精度を向上させ、より正確に感光体寿命の判定を行うことができる画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明に係る画像形成装置は、第1の帯電部材に第1のバイアスを印加することにより帯電された感光体を露光走査して静電潜像を形成し、当該静電潜像を現像してトナー像を作像する画像形成装置であって、前記第1の帯電部材よりも電気抵抗が環境により変動しにくい第2の帯電部材と、前記第2の帯電部材に第2のバイアスを印加するバイアス印加手段と、第2の帯電部材に第2のバイアスを印加したときに感光体に流れる電流値を検出する電流検出手段と、前記電流検出手段で検出された電流値に基づき、感光体の寿命を判定する寿命判定手段とを備えることを特徴とする。
【0010】
ここで、前記第2の帯電部材への第2のバイアスの印加のオン・オフを切り換える切換手段を備え、画像形成時においては、第2の帯電部材への第2のバイアスの印加をオフにし、感光体の寿命を判定する場合には、前記第2の帯電部材への第2のバイアスの印加をオンに切り換えることとしてもよい。
また、前記第2の帯電部材を感光体に対して接触・離間させる第1の接離手段を備え、画像形成時においては、第2の帯電部材を感光体から離間させ、感光体の寿命を判定するときには、前記第2の帯電部材を感光体に接触させることとしてもよい。
【0011】
第1の帯電部材を感光体に接触・離間させる第2の接離手段を備え、感光体の寿命判定時において、第1の帯電部材を感光体から離間させた状態で、第2の帯電部材により感光体を帯電させて、電流検出手段により感光体に流れる電流を検知する構成であることとしてもよい。
画像形成時における第1の帯電部材に印加する第1のバイアスと、そのときに感光体に流れる帯電電流との関係を示すテーブルを備え、感光体寿命判定時に第1のバイアスを第2のバイアスとして使用する場合には、前記寿命判定手段は、上記テーブルを参照して感光体の寿命を判定することとしてもよい。
【0012】
前記第2の帯電部材に印加する第2のバイアスは、前記第1の帯電部材に印加する第1のバイアスよりも小さく、かつ画像形成時の画質に影響が生じないレベルに設定されていることとしてもよい。
前記第1のバイアスが直流電圧に交流電圧を重畳した電圧である場合には、前記第2のバイアスとして交流電圧のみを印加することとしてもよい。
【0013】
前記第2の帯電部材の主走査方向に沿った方向の長さは、前記感光体の主走査方向における長さよりも短いこととしてもよい。
前記第2の帯電部材は、第1の帯電部材よりも電気抵抗が環境により変動しにくい導電性材料からなる導電性ブラシ、導電性ローラー、導電性ブレードのいずれかであることとしてもよい。
【0014】
前記導電性材料は、金属であることとしてもよい。
感光体上の残留トナーを除去するためのクリーニングブレードを有し、前記第2の帯電部材が金属ブレードである場合に、当該金属ブレードを前記クリーニングブレードに沿わせるようにして配置すると共に、金属ブレードを感光体に接離可能に移動させる第3の接離手段を備え、感光体寿命判定時において、第2の帯電部材を感光体に接近させて第2のバイアスを印加させる構成を有することとしてもよい。
【0015】
金属ブレードを感光体に近接させたときの前記金属ブレード先端部と感光体表面との距離は、金属ブレードに印加された第2のバイアスにより感光体と金属ブレード間に放電が生じることが可能な距離であることとしてもよい。
前記寿命判定手段は、前記電流検出手段により検出された電流値に代えて、前記第2のバイアスとして所定の定電流が供給されたときの印加電圧に基づき感光体の寿命を判定する構成であることとしてもよい。
【0016】
第2の帯電部材の負荷は、画像形成用の第1のバイアス電圧と電流基準値との関係を示すテーブルが共通に使用できる負荷に設定されており、前記寿命判定手段は、前記テーブルに基づき感光体寿命の判定を実行することとしてもよい。
【発明の効果】
【0017】
上記構成によれば、電気抵抗が環境の影響を受けにくい第2の帯電部材を使用して感光体を帯電させたときに流れる電流値に基づき感光体膜厚を求めているので、少なくとも従来技術に比べて、より正確に感光体の寿命を判定することができる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明に係る画像形成装置の実施の形態を、タンデム型のカラープリンター(以下、単に「プリンター」という)に適用した場合を例にして説明する。
<プリンターの全体構成>
図1は、本実施の形態に係るプリンター10の全体構成を示す図である。
同図に示すように、プリンター10は、画像形成部20、給紙部30、定着部40および制御部50を備えており、ネットワーク(例えばLAN)に接続されて、外部の端末装置(不図示)からプリントジョブの実行指示を受け付けると、その指示に基づいてシアン、マゼンタ、イエロー、およびブラック色からなるトナー像を各イメージングユニットで形成し、これらを多重転写してカラーの画像形成を実行する。
【0020】
以下、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラックの各再現色をC、M、Y、Kと表し、各再現色に関連する構成部分の番号にこのC、M、Y、Kを添字として付加する。
画像形成部20は、現像色C、M、Y、Kのそれぞれに対応するイメージングユニット21C〜21K、および、露光走査部23、中間転写ベルト25などを備えている。
イメージングユニット21C〜21Kは、それぞれ感光体ユニット24C〜24Kと現像ユニット26C〜26Kを組み合わせてなる。
【0021】
例えば、感光体ユニット24Kは、感光体ドラム22K、帯電ローラー241K、クリーニングブレード242Kなどを備え、現像ユニット26Kは、現像ローラー261Kなどを備える。
他のイメージングユニット21C〜21Yについても、イメージングユニット21Kと同様の構成になっており、それらについては細部の符号の表記を省略している。
【0022】
中間転写体としての中間転写ベルト25は、無端状のベルトであり、駆動ローラー25aと従動ローラー25bに張架されて矢印A方向に回転駆動される。
感光体ドラム22C〜22Kは、クリーニングブレード242C〜242Kにより周面に残留しているトナーを除去された後、帯電ローラー241C〜241Kにより一定の電位に一様に帯電されている。
【0023】
露光走査部23は、レーザーダイオードなどの発光素子を備え、制御部50からの駆動信号によりC、M、Y、K色の画像形成のためのレーザー光LBを発し、B方向に回転する感光体ドラム22C〜22Kの周面を露光走査し、これにより感光体ドラム22C〜22K上に静電潜像が形成される。
感光体ドラム22C〜22K上に形成された静電潜像は、現像ユニット26C〜26Kの現像ローラー261C〜261Kを介してトナーの供給を受けて現像され、C、M、Y、K色のトナー像となる。
【0024】
なお、中間転写ベルト25の上方には、現像ユニット26C〜26Kにトナーを補給するためのトナー補給装置28C〜28Kが配設されている。
このように各感光体ドラム22C〜22Kに形成された各色のトナー像が中間転写ベルト25上の同じ位置に重ね合わせて1次転写されるように、各色のトナー像の形成はそれぞれタイミングをずらして実行される。
【0025】
そして、1次転写ローラー27C〜27Kにより作用する静電力により中間転写ベルト25上に各色のトナー像が順次転写されてカラーのトナー像が形成され、2次転写位置Tに向けて移動する。
一方、給紙部30は、繰り出しローラー32、タイミングローラー対34などを備えており、中間転写ベルト25上のトナー像の移動タイミングに合わせて給紙部30から記録シートSを2次転写位置Tに給送し、2次転写ローラー29により作用する静電力によって中間転写ベルト25上のトナー像が一括して記録シートS上に2次転写される。
【0026】
2次転写位置Tを通過した記録シートSは、定着部40に搬送され、記録シートS上のトナー像が、定着部40における加熱・加圧により記録シートSに定着された後、排出ローラー対36を介して排出トレイ38上に排出される。
制御部50は、画像形成部20、給紙部30、定着部40を制御してプリント動作を実行させる。
【0027】
なお、プリンター10の筺体前面上部のユーザー操作しやすい位置には、ユーザーの操作を受け付ける操作パネル70が設けられている(
図1では不図示、
図2参照)。当該操作パネル70には、液晶タッチパネルからなる表示部71が含まれ、入力画面を表示したり、プリンター10の状態を表示できるようになっている。
<制御部50の構成>
図2は、プリンター10の制御部50の構成を示すブロック図である。
【0028】
同図に示すように、制御部50は、主にCPU51と、通信I/F(インターフェース)52、RAM53、ROM54、画像処理部55、画像メモリ56、EEPROM57とからなる。
通信I/F52は、LANカードやLANボードなどからなり、有線LANもしくは無線LANを介して外部のPC端末(不図示)に接続されており、当該PC端末からプリントジョブを受信する。
【0029】
RAM53は、CPU51が画像形成のためのプログラムを実行する際におけるワークエリアとなる。
ROM54は、プリンター10が動作するために必要な各種のプログラムや、感光体ドラムの寿命の示す感光体膜厚の閾値、膜厚・電流特性などの情報が格納されている。
画像処理部55は、通信部52を介して受信したプリントジョブに含まれるRGBの画像データを、現像色であるC、M、Y、Kの現像色の画像データに変換したり、必要に応じてスムージング処理やエッジ強調処理、γ補正などの処理を施して画像メモリ56に格納させる。
【0030】
EEPROM57には、プリンター10におけるプリント枚数の総数や、後述の感光体膜厚所得処理で取得された感光体膜厚の値などの情報が格納される。このEEPROM57は、フラッシュメモリなど他の書き込み可能な不揮発性メモリであってもよい。
CPU51は、ROM54に格納されていた各種のプログラムを読み出して、通信I/F52を介して受け付けたプリントジョブに基づき、画像形成部20、給紙部30、定着部40を制御してプリント動作を円滑に実行させる。
【0031】
また、制御部50は、次に述べるように、各感光体ドラム22C〜22Kにおける感光体膜厚を取得して、各感光体ドラムの寿命の到来を個別に判定する感光体寿命判定処理を実行する。
<感光体寿命判定処理>
(1)感光体寿命判定処理の概要
図3は、特定のイメージングユニットにおける感光体ドラムの帯電部と1次転写に係る主要部の構成を示す概略図である。なお、イメージングユニット21C〜21Kは、現像器に補給されるトナーの色を除いて全て同じ構成なので、以下では、各構成部品の符号からCMYKの添え字を省略した形で説明する。
【0032】
図3に示すように中間転写ベルト25の下側(外側)の面に感光体ドラム22が接触し、中間転写ベルト25の上側(内側)の面には、1次転写ローラー27がそれぞれ接触している。
中間転写ベルト25は、ポリイミド(PI)などの樹脂フィルムからなる。
感光体ドラム22は、アルミニウムなどの金属の素管221の周面に有機感光体からなる感光体層222を形成してなり、素管221は接地されている。本実施の形態では、感光体層222の初期膜厚は、約40μmに設定されている。
【0033】
画像形成用の帯電ローラー(第1の帯電ローラー)241は、金属製のシャフト2411と、このシャフト2411の周面をイオン導電性ゴムで被覆してなる弾性層2412とからなる。
画像形成時において、シャフト2411には切換部104を介して帯電バイアス生成部102から所定の負の帯電バイアスが印加される。
【0034】
また、寿命判定用の帯電ローラー243(第2の帯電ローラー)は、帯電ローラー241の直ぐ感光体ドラム22の回転方向における上流側近傍に配置されており、金属製のシャフト2431と、このシャフト2431の周面を、イオン導電性ゴムよりも環境による電気抵抗の変動がより少ない半導電性ゴムを被覆してなる弾性層2432とからなる。
この帯電ローラー243には感光体ドラム22の寿命判定の際において、切換部104を介して帯電バイアス生成部102から所定の帯電バイアスが印加される。
【0035】
なお、1次転写ローラー27は、金属製のシャフト271と、このシャフト271の周面をイオン導電性ゴムで被覆してなる弾性層272とからなる。シャフト271には、1次転写バイアス生成部101から所定の定電流が供給されるように転写バイアスが印加される。
画像形成時において、制御部50は、切換部104を制御してSW1をオン、SW2をオフにして、帯電バイアス生成部102から帯電ローラー241に所定の帯電バイアス(第1のバイアス)を印加させて、一様な電位に帯電させる。
【0036】
また、感光体ドラム22の寿命判定時においては、制御部50は、切換部104を制御してSW1をオフ、SW2をオンにして、帯電バイアス生成部102から帯電ローラー243に所定の帯電バイアス(第2のバイアス)を印加させる。
このときに帯電ローラー243と感光体層222を介して流れる電流値を電流検出部103で検出する。
【0037】
上述のように帯電ローラー243の電気抵抗値は、帯電ローラー241に比べて環境に影響されにくいので、このときに電流検出部103で検出された電流値は、実質的に印加したバイアス電圧の大きさと感光体ドラム22の感光体層222の減耗量に依存して変化することになる。
図5は、特定の帯電バイアスを帯電ローラー243に印加したときにおける、帯電ローラー243と感光体ドラム22間に流れる電流値と、感光体ドラム22の感光体膜厚(μm)との関係を示すグラフである。
【0038】
同図に示すように感光体ドラム22の感光体層222が減耗してその膜厚(感光体膜厚)が小さくなるほど、帯電ローラー243−感光体ドラム22間を通過する電流値が大きくなり、この関係はほぼ線形となっている。
したがって、
図5のようなグラフを予め実験等により求めておき、そのグラフを示すテーブル(もしくは関数)を制御部50のROM54もしくはEEPROM57に格納しておけば、制御部50は、電流検出部103で検出された電流値に基づき当該グラフを参照して、現在の感光体層222の膜厚が、寿命時膜厚(本実施の形態では8μmとしている)未満になっているかどうかを判定することができる。
【0039】
(2)感光体寿命判定処理のフローチャート
図4は、制御部50で実行される感光体寿命判定処理の内容を示すフローチャートであり、画像形成動作を制御するメインフローチャート(不図示)のサブルーチンとして実行されるものである。
なお、この感光体寿命判定処理は、各色の感光体ドラム22C〜22Kについて個別に実行されるのが望ましい。感光体膜厚の減耗は、主に中間転写ベルトやクリーニングブレード、転写ローラーとの摩耗によるものであるが、その減耗量は、それまでにプリントした画像のトナー使用量(トナーカバレッジ)の履歴にも大きく左右され、プリント対象となるカラー画像の色合いによって各感光体ドラム毎に大きく異なるからである。
【0040】
まず、感光体膜厚取得のタイミングであるか否かを判定する(ステップS11)。
ここで、制御部50は、プリント枚数をカウントしてその累積枚数をEEPROM57に記憶させており、例えば、最初は1000枚を越えたとき、その後は、前回の感光体膜厚取得を実行してからのプリント枚数が1000枚を越える度に、感光体膜厚取得処理の実行のタイミングであると判定する。
【0041】
なお、ブラックのみのモノクロ印刷のときに、C、M、Yのイメージングユニット21C、21M、21Yの動作を完全に停止させる構成にあっては、ブラック用の感光体ドラム22Kについては、モノクロ印刷とカラー印刷のプリント枚数の合計の枚数に基づき、C、M、Y用の感光体ドラム22C〜22Yについては、カラー印刷のプリント枚数のみに基づき上記タイミングが決定されてもよい。
【0042】
また、プリント枚数のカウント値に代えて、各感光体ドラムの回転数をカウントして、それぞれ所定回数の回転毎に、感光体膜厚取得の実行のタイミングが到来したと判定してもよい。
もし、複数のイメージングユニットについて、同時に感光体膜厚取得の実行のタイミングが到来した場合には、本実施の形態では、順次(例えば、中間転写ベルト25の走行方向Aにおける上流側から)、感光体寿命判定処理が実行されるものとする。
【0043】
ステップS11において、感光体膜厚取得のタイミングと判定された場合には(ステップS11でYES)、
実際のプリント時と同様にして中間転写ベルト25と感光体ドラム22の回転を開始する(ステップS12)。
そして、除電ランプ244を点灯して、感光体ドラム22表面の電荷を除去し(ステップS13)、切換部104に指示して、SW1をオフにし、SW2をオンにし、帯電バイアス生成部102から一定のバイアス電圧(
図5のグラフを取得したときと同じ電圧。例えば、1000V)を供給して帯電ローラー243に印加する。
【0044】
このときに、帯電ローラー243を介して感光体層222に流れる電流値を電流検出部103で検出する(ステップS15)。そして、当該電流値に基づき、現在の感光体層222の膜厚を求める(ステップS16)。
上述のように、ROM54には、
図5のグラフを表すテーブルが予め実験などにより求められて格納されており、CPU51は、当該テーブルを参照して感光体膜厚を求めることができる。
【0045】
そして、上記のようにして得られた感光体膜厚が閾値(本実施の形態では、8μm)未満であるか否か判定する(ステップS17)。
もし、そうであれば(ステップS17でYES)、当該感光体ドラム(例えば、ブラックの感光体ドラム22K)に寿命が到来したので感光体ドラムの交換を促すメッセージを操作パネル70の表示部71に表示させる(ステップS18)。
【0046】
なお、プリンター10が、LANを介してインターネットに接続されている場合には、上記ステップS18において操作パネル70の表示部71に表示させる情報を、当該プリンター10を特定できる識別情報と共に、インターネットを介してメンテナンス会社もしくはサービスマンのPCに通知するように設定しておけば、ユーザーの連絡の手間を要せず、感光体ドラムの交換のメンテナンスが迅速かつ円滑に行える。
【0047】
もし、感光体膜厚が閾値未満でない場合には(ステップS17でNO)、ステップS18をスキップし、感光体寿命判定処理のサブルーチンを終了して、不図示のメインフローチャートにリターンする。
<変形例>
以上、本発明を実施の形態に基づいて説明してきたが、本発明が上述の実施の形態に限定されないのは勿論であり、種々の変形例が考えられる。
【0048】
(1)上記実施の形態では、感光体寿命判定のタイミングになると、切換部104におけるSW1をオフにすると共にSW2をオンにして、寿命判定用の帯電ローラー243に帯電バイアスを印加するようにしたが、次のような構成にしても構わない。
(1−1)帯電ローラー243を感光体ドラム22から離間可能に構成する例
帯電バイアスの切換手段としてのスイッチSW2を設ける代わりに、帯電ローラー243に帯電バイアスを印加したままで、帯電ローラー243を感光体ドラム22から離間させるようにしてもよい。
【0049】
図6は、感光体ドラム22と帯電ローラー243を接触・離間させるための機構(接離機構)の構成の一例を示す図である。
同図に示すように、帯電ローラー243は、支軸2434に揺動可能に軸支されたフレーム2433に回転可能に支持されている。フレーム2433は、引っ張りばね2436によって帯電ローラー243が感光体ドラム22から離れる方向に付勢されており、不図示の駆動源により回動されるカム2435の回転位置により、フレーム2433が揺動し、帯電ローラー243が感光体ドラム22に接触した状態と離間した状態とに切り換えることができるようになっている。
【0050】
もちろん、
図6に示した離間機構は一例であって、他の公知のどのような構成でも適用可能である。
なお、帯電ローラー243を感光体ドラム22から離間させる距離は、帯電ローラー243に通常の帯電バイアスを印加した場合でも感光体ドラム22との間で放電が発生しないような十分な距離(例えば、10mm)が必要である。
【0051】
(1−2)帯電ローラー241も離間可能に構成する例
また、スイッチSW1を設ける代わりに、画像形成用の帯電ローラー241に上記帯電ローラー243と同様な接離機構を設けてもよい。この場合、感光体寿命判定時は、帯電ローラー243を感光体ドラム22に圧接させ、帯電ローラー241は感光体ドラム22から離間させる。
【0052】
反対に、画像形成時には帯電ローラー241を感光体ドラム22に圧接させると共に、帯電ローラー243を感光体ドラム22から離間させるようにすればよい。
(1−3)帯電ローラー243に印加する電圧を画像形成に影響しない程度に低くする構成
帯電ローラー243には、画像形成には影響しないような低い電圧(例えば、100V)を印加するようにしても構わない。このようにすれば、切換部104を排して、常時帯電ローラー243にバイアスを印加させておいても、特に問題はないからである。
【0053】
(2)上記実施の形態では、寿命判定用の帯電ローラー243は、感光体ドラム22の感光体層222の軸方向の幅とほぼ同じ長さの画像形成用帯電ローラー241と同じ長さのものを用いている。
しかし、寿命判定用の帯電ローラー243は、画像形成のための帯電ではないのだから、その軸方向の長さは、もっと短くても構わない。ただし、ほとんどの機種においてセンター通紙により画像形成が行われるので、感光体ドラム22の感光体層222で一番減耗量が多い箇所は、その軸方向中央部である。したがって、寿命判定用の帯電ローラー243は、少なくとも感光体ドラム22の軸方向中央部を含む範囲にあることが望ましい。
【0054】
なお、このように帯電ローラー243の長さを短くする場合、参照すべき
図5のグラフも当該長さが短い帯電ローラー243に基づいて予め求められている必要があるのはいうまでもない。
(3)寿命判定用の帯電部材として帯電ローラー243の代わりに、帯電ローラー241に使用される弾性部材よりも環境による電気抵抗の変動が少ない導電製材料を使用したブレードや、導電性ブラシであってもよい。
【0055】
(4)また、金属は環境による電気抵抗の変動がほとんどないので、寿命判定用の帯電部材として、例えば金属製のブレードや、金属ローラーや、金属ブラシなどを使用することも可能である。
なお、金属製ブレードの場合には、感光体ドラム22の表面に傷を付けないように、金属製ブレードは、感光体ドラム22の表面から、印加可能なバイアス電圧により放電が可能な微小距離(例えば、0.1mm〜1.0mm程度)だけ離間させて、放電により感光体ドラム22を帯電させる構成が望ましい。
【0056】
(5)なお、金属製のブレードを感光体寿命判定処理用の帯電部材として利用する場合には、クリーニングブレードに沿うように配置するのが望ましい。省スペース化が図れるからである。この場合でも、金属製ブレードが感光体ドラムに対して接離可能な構成にすれば、切換部104のSW1を省くことができる。
図7は、このような金属製ブレードの接離機構の概要を示す図である。
【0057】
金属製ブレード245は、不図示のガイド部材によって、クリーニングブレード242に沿って矢印方向に摺動可能に保持されており、アクチュエーター246により、金属製ブレード245の先端部が感光体ドラム22に近接・離間可能なようになっている。
アクチュエーター246としては、リニアモーターやソレノイド、ネジ送り機構、カム機構など公知のどのような機構でも採用できるが、近接時に感光体ドラム22との微小な距離を確保するために位置決め精度が高い構成が望ましいのはいうまでもない。
【0058】
(6)画像形成時において帯電ローラー241に印加される帯電バイアス(第1の帯電バイアス)と、感光体膜厚取得時において、帯電ローラー243に印加される帯電バイアス(第2の帯電バイアス)は、必ずしも同じ電圧である必要はなく、それぞれの目的に応じて適宜決定されてよい。
帯電バイアス生成部102が直流電源部と交流電源部を備えており、画像形成時に帯電ローラー241に直流電圧と交流電圧を重畳して印加するように構成されている機種にあっては、感光体膜厚取得時においては、交流電源部から交流電圧のみを帯電ローラー243に印加するようにしてもよい。
【0059】
図8は、帯電ローラー243にピークtoピーク電圧が2000Vの交流電圧を印加したときに、感光体寿命判定時における電流基準値(閾値)を示すテーブルである。電流検出部103で検出された交流の電流値が1900μA(1.9mA)以上になったとき、感光体膜厚が閾値未満となり、感光体ドラム22の寿命が到来したと判断される。
(7)上記実施の形態では、帯電ローラー243に定電圧のバイアスを印加するようにしたが、これに代えて、定電流のバイアスを帯電ローラー243に印加するようにしてもよい。この場合には、
図3の電流検出部103は電圧検出部に置き換えられ、定電流制御する際における帯電バイアス生成部102からの印加電圧が検出される。
【0060】
図9は、帯電バイアス生成部102からAC0.5mAの定電流を印加した場合における、感光体ドラム22が新品時の印加電圧および寿命時における印加電圧の値を示すテーブルであり、予め実験などにより求められ、ROM54などに格納されている。
同図に示すようにAC0.5mAの定電流を供給したとき、印加電圧が700V未満になると感光体ドラム22の寿命であると判定することができる。
【0061】
なお、上記
図8、
図9のテーブルは帯電ローラー241に印加するバイアスと帯電時に感光体ドラム22に流れる電流値の関係として、予め求めておくことにより、これを感光体寿命判定時にも利用できるので、別途、寿命判定用のテーブルを設ける必要がない。
(8)例えば、トナー像の濃度補正などの画像安定化処理の過程において、帯電バイアス生成部102から帯電ローラー241に印加するバイアス電圧を変更する場合がある。
【0062】
図10は、制御部50から指示されたバイアス電圧と、当該バイアス電圧が帯電ローラー243に印加されたときに感光体ドラム22を介して流れる電流の値を予め実験などで求めてテーブルにしたものである。
例えば、指示電圧が2000Vのときには、感光体ドラム22が使用初期の場合には1600μA流れるが、寿命時には1900μAまで電流値が増えてしまう。このように指示電圧が変更されても、それに応じた感光体ドラム22の寿命時の電流値を求めておけば、指示電圧に限らず、適正な寿命判断が行えるという利点がある。
【0063】
また、例えば、
図3において、帯電ローラー243とスイッチSW2との間に、抵抗値が環境変化の影響を受けにくい適当な負荷(巻線抵抗や高圧抵抗など)を介在させて、帯電ローラー243の感光体ドラム22との接触点から電流検出部103に至るまでの負荷(電気抵抗)が、帯電ローラー241の感光体ドラム22の接触点から電流検出部103に至るまでの定格抵抗値(所定の環境下(例えば、温度25°、湿度65%の標準的な条件下)における電気抵抗値)と等しくなるようにしておけば、画像形成時における、定格抵抗値の帯電ローラー241に印加するバイアス電圧と電流基準値(閾値)に関するテーブルを作成することにより、当該テーブルを感光体寿命判定時におけるに閾値を決定するテーブルとして共通に適用することができるので便利である。
【0064】
(9)上記実施の形態においては、タンデム型のプリンターを例として説明したが、感光体と中間転写体を備えている画像形成装置であれば、ファクシミリ装置や複写機にも適用でき、また、モノクロの画像形成装置であってもよい。
(10)また、上記実施の形態及び変形例の内容を可能な限り組み合わせても構わない。