(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、導体層と絶縁樹脂層とが交互に積層されたコイル部品では、製造時の硬化に伴う絶縁性樹脂層の収縮により、絶縁性樹脂層に凹凸が発生する可能性がある。この場合、絶縁性樹脂層の凹凸の影響を受けて、特にコイルとは異なる配線に係る導体層での断線が発生する可能性がある。
【0005】
本発明は上記を鑑みてなされたものであり、配線に係る導体層での断線を抑制することが可能なコイル部品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の一形態に係るコイル部品は、積層方向に積層され、機能層と軸心周りに巻回されたコイル層とを含む、複数の導体層と、絶縁性樹脂により構成され、前記複数の導体層を一体的に覆うと共に、隣接する導体層間に挟まれる被覆部と、を有し、前記複数の導体層の前記コイル層及び前記機能層は、平面視において略同一形状であって、前記複数の導体層のうちの一部の導体層は、前記コイル層と前記機能層との間を接続する接続導体層を有し、前記複数の導体層のうち前記接続導体層を有していない導体層は、平面視において前記接続導体層と重なる位置に、前記接続導体層に対応した突出部を有する。
【0007】
上記のコイル部品によれば、コイル層と機能層とを含む複数の導体層のうちの一部に、コイル層と機能層との間を接続する接続導体層が設けられている場合に、接続導体層を有していない導体層において、平面視において接続導体層と重なる位置に接続導体層に対応した突出部が設けられる。このような構造を有することで、被覆部を構成する絶縁性樹脂の収縮に伴う凹凸や歪み等が、コイル層と機能層を接続する接続導体層に集中することを防ぐことができる。したがって、配線に係る導体層での断線を抑制することができる。
【0008】
ここで、前記複数の導体層のうち前記接続導体層が形成された導体層よりも下方の導体層が前記突出部を有する態様とすることができる。
【0009】
接続導体層が設けられる導体層の下方に、接続導体層を有していない導体層がある場合、接続導体層は、下方の絶縁性樹脂の影響を受けた断線が発生しやすくなる。これに対して、下方の導体層が突出部を有する構成とすることで、上方の接続導体層での断線を好適に防ぐことができる。
【0010】
また、前記複数の導体層のうち前記接続導体層が形成された導体層よりも下方の全ての前記導体層が前記突出部を有する態様とすることができる。
【0011】
上記のように、接続導体層を有する導体層の下方の全ての導体層が突出部を有する構成とすることで、上方の接続導体層での断線をさらに好適に防ぐことができる。
【0012】
また、前記複数の導体層のうち前記接続導体層が形成された導体層よりも上方の導体層が前記突出部を有する態様とすることができる。
【0013】
接続導体層が設けられる導体層の上方に、接続導体層を有していない導体層がある場合、接続導体層は、上方の絶縁性樹脂の影響を受けた断線が発生しやすくなる。これに対して、上方の導体層が突出部を有する構成とすることで、上方の絶縁性樹脂に由来する接続導体層の断線を好適に防ぐことができる。
【0014】
また、前記突出部は、前記コイル層から突出して形成される態様とすることができる。
【0015】
上記のように、突出部がコイル層から突出して形成される構成とすることで、突出部がコイル層の抵抗値の低減に寄与して、コイル層の特性を向上させることができる。
【0016】
また、前記突出部は、前記機能層から突出して形成される態様とすることができる。
【0017】
上記のように、突出部が機能層から突出して形成される構成とすることで、突出部により機能層の特性を向上させることができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、配線に係る導体層での断線を抑制することが可能なコイル部品が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照して種々の実施形態について詳細に説明する。なお、各図面において同一又は相当の部分に対しては同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0021】
図1〜
図4を参照して、本発明の一実施形態に係るコイル部品1の概略構成について説明する。
図1は、コイル部品1の斜視図である。
図2は、
図1のII−II線に沿った断面図である。
図3及び
図4は、コイル部品1の製造工程を説明するための平面パターン図である。
【0022】
図1に示されるように、コイル部品1は、後述するコイル12が内部に設けられた素体10(磁性素体)と、素体10の主面10a上に設けられた絶縁層30とを備えている。素体10は、直方体形状の外形を有している。直方体形状には、角部及び稜線部が面取りされている直方体の形状、及び、角部及び稜線部が丸められている直方体の形状が含まれる。素体10の主面10aは長辺および短辺を有する矩形状をなしている。矩形状には、角部が丸められている矩形が含まれる。
【0023】
素体10の主面10aには、絶縁層30を介して端子電極20A、20Bが設けられている。端子電極20Aは、主面10aにおける一方の短辺側に設けられると共に、端子電極20Bは、主面10aにおける他方の短辺側に設けられる。また、端子電極20A、20Bは、主面10aにおける長辺に沿った方向に互いに離間している。
【0024】
素体10は、例えば磁性材料で構成されている。具体的には、素体10は、磁性基板11と、磁性樹脂層18とで構成されている。
【0025】
磁性基板11は、磁性材料で構成された略平板状の基板である。磁性基板11は、素体10の、主面10aとは反対側に位置している。磁性基板11の主面11a上に、磁性樹脂層18及び後述するコイル12によるコイル部Cが設けられている。
【0026】
磁性基板11は、具体的には、フェライト材料(たとえば、Ni−Zn系フェライト材料など)で構成されている。本実施形態では、磁性基板11を構成するフェライト材料は、主材料としてFe
2O
3、NiOおよびZnOを含み、添加物としてTiO、CoO、Bi
2O
3、Ca
2O
3を含んでいる。
【0027】
磁性樹脂層18は、磁性基板11上に形成されており、後述するコイル12を内部に備えている。磁性樹脂層18の磁性基板11側の面とは反対側の面は、素体10の主面10aを構成している。磁性樹脂層18は、磁性粉とバインダ樹脂との混合物であり、磁性粉の構成材料は例えば鉄、カルボニル鉄、ケイ素、コバルト、クロム、ニッケル、又はホウ素等であり、バインダ樹脂の構成材料は例えばエポキシ樹脂である。磁性樹脂層18の全体の90%以上が、例えば磁性粉で構成されていてもよい。
【0028】
素体10の主面10aに設けられた一対の端子電極20A、20Bはいずれも、膜状である。端子電極20A、20Bは、例えばCu等の導電性材料によって構成されている。本実施形態において、端子電極20A、20Bは、めっき形成により形成されためっき電極である。端子電極20A、20Bは、単層構造でも複数層構造でもよい。平面視において、端子電極20A、20Bの形成領域と、引出導体19A、19Bの形成領域とは、50%以上重なっている。
【0029】
コイル部品1の素体10は、内部に、(具体的には、磁性樹脂層18内)において、コイル12、被覆部17、引出導体19A、19Bを有する。
【0030】
コイル12は、素体10の主面10aの法線方向に沿う平面コイルである。コイル12は、例えばCu等の金属材料で構成される。本実施形態では、コイル12は、四層のコイル導体層で構成されていて、第1導体層21に含まれる第1コイル層210、第2導体層22に含まれる第2コイル層220、第3導体層23に含まれる第3コイル層230、及び第4導体層24に含まれる第4コイル層240がこの順に、主面10aに直交する方向(コイル12の軸心方向)に積層されている。すなわち、主面10aに直交する方向が第1導体層21、第2導体層22、第3導体層23及び第4導体層の積層方向である。
【0031】
第1導体層21には、第1コイル層210のほか電極導体層211,212及び接続導体層213が含まれる。第2導体層22には、第2コイル層220のほか電極導体層221,222が含まれる。第3導体層23には、第3コイル層230のほか電極導体層231,232が含まれる。第4導体層24には、第4コイル層240のほか電極導体層241,242及び接続導体層243が含まれる。各電極導体層及び各接続導体層については後述する。
【0032】
第1導体層21〜第4導体層24の厚さは、例えば、35μm〜100μm程度である。第1コイル層210〜第4コイル層240の厚さは同一であってもよく、互いに異なっていてもよい。また、第1コイル層210〜第4コイル層240のコイル幅(導体幅)は、例えば、10μm〜150μm程度である。第1コイル層210〜第4コイル層240のコイル線間隔(導体と導体とのギャップ間隔)は、例えば、10μm〜40μm程度である。第1コイル層210〜第4コイル層240のコイル幅及びコイル線間隔も、厚さと同様に、同一であってもよく、互いに異なっていてもよい。第1コイル層210〜第4コイル層240の平面視(すなわち、コイル軸線方向から見て)の大きさ(外形の大きさ)例えば、40μm〜120μm程度である。
【0033】
コイル12を構成する各コイル層210〜240の巻数は複数であり、本実施形態ではそれぞれおよそ3周分巻かれている。各コイル層は、詳細は後述するが、例えば、
図3(A)等に示すように、平面視において(すなわち、コイル軸線方向から見て)略楕円環状に巻回されている。したがって、コイル12は、平面視において略楕円環状の巻回領域(導体が巻回されている領域)を有している。そして、その軸心(コイル軸)が磁性基板11の主面11aおよび素体10の主面10aの法線方向(主面11aおよび素体10の主面10aに直交する方向)に沿って延びている。
【0034】
第1コイル層210〜第4コイル層240はいずれも巻回方向が同じであり、所定のタイミングにおいては同じ方向(例えば、時計回り方向)に電流が流れる。第1コイル層210〜第4コイル層240は、平面視において(すなわち、コイル軸線方向から見て)略同一形状の巻回領域を有していて、これらは互いに重なり合っている。
【0035】
また、第1コイル層210と第2コイル層220との間には、連結部13Aが設けられる。第2コイル層220と第3コイル層230との間には、連結部13Bが設けられる。第3コイル層230と第4コイル層240との間には、連結部13Cが設けられる。
図2では、連結部13A〜13Cを参考として破線で示している。
【0036】
連結部13Aは、第1コイル層210と第2コイル層220との間に介在して、第1コイル層210の最も内側の巻回部分と第2コイル層220の最も内側の巻回部分とを連結している。連結部13Bは、第2コイル層220と第3コイル層230との間に介在して、第2コイル層220の最も外側の巻回部分と第3コイル層230の最も外側の巻回部分とを連結している。連結部13Cは、第3コイル層230と第4コイル層240との間に介在して、第3コイル層230の最も内側の巻回部分と第4コイル層240の最も内側の巻回部分とを連結している。
【0037】
被覆部17は、絶縁性を有し、絶縁性樹脂で構成されている。被覆部17に用いられる絶縁性樹脂としては、例えばポリイミド、又はポリエチレンテレフタレートが挙げられる。被覆部17は、素体10内において、コイル12の第1コイル層210〜第4コイル層240を含む第1導体層21〜第4導体層24を一体的に覆うと共に、被覆部17は、隣接する導体層間に挟まれる。被覆部17は、積層構造を有し、本実施形態では七層の絶縁性樹脂層17a、17b、17c、17d、17e、17f、17g、17h、17iにより構成されている。
【0038】
絶縁性樹脂層17aは、第1コイル層210の下側(磁性基板11側)に位置し、平面視におけるコイル12の形成領域と略同じ領域に形成されている。絶縁性樹脂層17bは、第1コイル層210の同一層内の周囲及び巻回部分の間を埋めており、コイル12の内径に対応する領域に開口が形成されている。絶縁性樹脂層17bは、第1コイル層210と同一層内において、第1コイル層210及び周囲及びその巻回部分の間を埋めていると共に、コイル12の内径に対応する領域は開口が形成されている。絶縁性樹脂層17cは、第1コイル層210と第2コイル層220との間に挟まれる位置にあり、コイル12の内径に対応する領域は開口が形成されている。同様に、絶縁性樹脂層17d、17f、17hは、それぞれ第2コイル層220、第3コイル層230、第4コイル層240と同一層内において、これらのコイル層の周囲及びその巻回部分の間を埋めていると共に、コイル12の内径に対応する領域に開口が形成されている。絶縁性樹脂層17e、17gは、それぞれ、第2コイル層220と第3コイル層230との間及び第3コイル層230と第4コイル層240との間に挟まれる位置にあり、コイル12の内径に対応する領域は開口が形成されている。絶縁性樹脂層17gは、第4コイル層240の上側(主面10a側)に位置して、第4コイル層240を覆っており、コイル12の内径に対応する領域には開口が形成されている。絶縁性樹脂層17aの厚さは、例えば、3μm〜10μmとすることができる。また、絶縁性樹脂層17b、17d、17f、17hの厚さは、第1コイル層210〜第4コイル層240と同じであり、例えば、5μm〜30μm程度である。また、絶縁性樹脂層17c、17e、17g、17iの厚さは、例えば、5μm〜30μm程度である。
【0039】
本実施形態では、上述したコイル12と被覆部17とにより、コイル部Cが構成されている。
【0040】
一対の引出導体19A、19Bは、例えばCuで構成されており、コイル12の両端部E1、E2それぞれから主面10aに直交する方向に沿って延びている。
【0041】
引出導体19Aは、第1コイル層210の最外の巻回部分に設けられたコイル12の端部E1に接続されている。引出導体19Aは、被覆部17及び磁性樹脂層18を貫通して、コイル12の端部E1から素体10の主面10aまで延びて主面10aに露出している。引出導体19Aの露出した部分に対応する位置に、端子電極20Aが設けられている。引出導体19Aは、絶縁層30の貫通孔内の導体部31によって、端子電極20Aに接続されている。これにより、引出導体19Aを介して、コイル12の端部E1と端子電極20Aとが電気的に接続されている。
【0042】
より具体的には、第1コイル層210の最も外側の巻回部分である外周端21aに設けられるコイル12の端部E1は、略楕円環状に巻回されている巻回領域から突出した位置に設けられる。そして、端部E1の上方に位置する第2コイル層220〜第4コイル層240に形成される電極導体層221、231、241、及び、絶縁性樹脂層17c、17e、17g、17iに設けられた開口に形成される導体層191〜194、及び、磁性樹脂層18に設けられた開口に形成される導体層181を組み合わせて、引出導体19Aが形成される。
【0043】
また、引出導体19Bは、第4コイル層240の最も外側の巻回部分の外周端24aに設けられたコイル12の一方の端部E2に接続されている。引出導体19Bは、磁性樹脂層18および絶縁性樹脂層17iを貫通するようにしてコイル12の端部E2から素体10の主面10aまで延びて主面10aに露出している。引出導体19Bの露出した部分に対応する位置に、端子電極20Bが設けられている。引出導体19Bは、絶縁層30の貫通孔内の導体部32によって、端子電極20Aに接続されている。これにより、引出導体19B及び導体部32を介して、コイル12の端部E2と端子電極20Bとが電気的に接続されている。
【0044】
より具体的には、第4コイル層240に設けられるコイル12の端部E2は、略楕円環状に巻回されている領域から突出した位置に設けられる。そして、端部E2の上方に位置する被覆部17の絶縁性樹脂層17iに設けられる開口に形成される導体層198と、端部E2の上方の磁性樹脂層18に設けられた開口に形成される導体層182と、により引出導体19Bが形成される。さらに、引出導体19Bは、端部E2の下方に位置する第1コイル層210〜第3コイル層230に形成される電極導体層212,232,242、及び、絶縁性樹脂層17c、17e、17gに設けられた開口に形成される導体層195〜197とも接続される。すなわち、引出導体19Bには、これらの電極導体層212,232,242、195〜197も含まれる。
【0045】
素体10の主面10a上に設けられた絶縁層30は、主面10a上の一対の端子電極20A、20Bの間に介在している。本実施形態では、絶縁層30は、一対の引出導体19A、19Bを露出させているように、主面10aの全領域を覆うように設けられていると共に、長辺方向(一対の端子電極20A、20Bが隣り合っている方向)に交差する方向に延びて主面10aを横断する部分を含む。絶縁層30は、引出導体19A、19Bに対応する位置に貫通孔31,32を有している。該貫通孔内には、Cu等の導電性材料によって構成された導体部が設けられている。絶縁層30は、絶縁性材料により構成されており、例えばポリイミド、エポキシ等の絶縁性樹脂で構成されている。
【0046】
次に、
図3及び
図4を参照しながら、コイル部品1の製造方法について説明する。
図3(A)〜(D)及び
図4(A)〜(D)は、コイル部品1の製造工程を説明するための平面パターン図である。
【0047】
まず、所定の厚さを持った焼結フェライトなどからなる磁性基板11を用意する。磁性基板11の上面に絶縁性樹脂層17aを形成する。具体的には、磁性基板11の上面にスピンコート法によって樹脂材料を塗布して硬化させた後、フォトリソグラフィー法によって所定のパターンを形成する。
【0048】
次に、
図3(A)に示すように、絶縁性樹脂層17aの上面に、第1導体層21に含まれる第1コイル層210、電極導体層211,212及び接続導体層213を形成する。第1コイル層210の外周端21aの外側に設けられた電極導体層211は、コイル12の端部E1として機能する領域である。また、電極導体層212は、後述のコイル12の端部E2に対応する形状となっている。また、接続導体層213は、電極導体層211と第1コイル層210の外周端21aとを接続する導体層である。なお、上記の導体層に加えて、第1コイル層210の内側及びその周囲にも導体層218が形成される。これらの導体層218は、コイル部品1の製造段階で除去される。これら導体の形成方法としては、スパッタリング法などの薄膜プロセスを用いて下地金属膜を形成した後、電解メッキ法を用いて所望の膜厚までメッキ成長させることが好ましい。
【0049】
次に、
図3(B)に示すように、第1コイル層210、電極導体層211,212、及び接続導体層213を覆うように、絶縁性樹脂層17aの上面に絶縁性樹脂を積層することで、第1コイル層210及び電極導体層211,212の周囲の絶縁性樹脂層17b及びその上面の絶縁性樹脂層17cを形成する。形成方法は絶縁性樹脂層17aと同様であり、スピンコート法によって樹脂材料を塗布して硬化させた後、フォトリソグラフィー法によって所定のパターンを形成する。なお、
図3(B)に示す開口41は、コイル12の端部E1となる第1コイル層210の一方の端部とは逆側の内周端21bを露出させる位置に形成される。また、開口42,43は、それぞれ電極導体層211,212を露出させる位置に形成される。
【0050】
次に、
図3(C)に示すように、絶縁性樹脂層17cの上面に、第2導体層22に含まれる第2コイル層220及び電極導体層221,222を形成する。電極導体層221,222は、それぞれ電極導体層211,212に対応した形状である。これらの電極導体層を形成する際に、下方の絶縁性樹脂層17cに設けられた開口41内にも導体が充填されて、連結部13A(
図2参照)が形成される。この結果、連結部13Aを介して第1コイル層210の内周端21bと第2コイル層220の内周端22bとが連結される。また、開口42,43にも導体が充填されることで、導体層191,195が形成される。この結果、導体層191を介して電極導体層211と電極導体層221とが接続されると共に、導体層195を介して電極導体層212と電極導体層222とが接続される。なお、上記の導体層に加えて、第2コイル層220の内側及びその周囲にも導体層228が形成される。これらの導体層228は、コイル部品1の製造段階で除去される。これら導体の形成方法は他の層の形成方法と同様である。
【0051】
次に、
図3(D)に示すように、第2コイル層220及び電極導体層221,222を覆うように、絶縁性樹脂層17cの上面に絶縁性樹脂を積層することで、第2コイル層220及び電極導体層221,222の周囲の絶縁性樹脂層17d及びその上面の絶縁性樹脂層17eを形成する。形成方法は絶縁性樹脂層17a等の他の絶縁性樹脂層と同様である。
図3(D)に示す開口44は、第2コイル層220の外周端22aを露出させる位置に形成される。また、開口45,46は、それぞれ電極導体層221,222を露出させる位置に形成される。
【0052】
次に、
図4(A)に示すように、絶縁性樹脂層17eの上面に、第3導体層23に含まれる第3コイル層230及び電極導体層231,232を形成する。電極導体層231,232は、それぞれ電極導体層211,212に対応した形状である。これらの導体層を形成する際に、下方の絶縁性樹脂層17eに設けられた開口44内にも導体が充填されて、連結部13B(
図2参照)が形成される。この結果、連結部13Bを介して第2コイル層220の外周端22aと第3コイル層230の外周端23aとが連結される。また、開口45,46にも導体が充填されることで、導体層192,196が形成される。この結果、導体層192を介して電極導体層221と電極導体層231とが接続されると共に、導体層196を介して電極導体層222と電極導体層232とが接続される。なお、上記の導体層に加えて、第3コイル層230の内側及びその周囲にも導体層238が形成される。これらの導体層238は、コイル部品1の製造段階で除去される。これら導体の形成方法は他の層の形成方法と同様である。
【0053】
次に、
図4(B)に示すように、第3コイル層230及び電極導体層231,232を覆うように、絶縁性樹脂層17eの上面に絶縁性樹脂を積層することで、第3コイル層230及び電極導体層231,232の周囲の絶縁性樹脂層17f及びその上面の絶縁性樹脂層17gを形成する。形成方法は絶縁性樹脂層17a等の他の絶縁性樹脂層と同様である。
図4(B)に示す開口47は、第3コイル層230の内周端23bを露出させる位置に形成される。また、開口48,49は、それぞれ電極導体層231,232を露出させる位置に形成される。
【0054】
次に、
図4(C)に示すように、絶縁性樹脂層17gの上面に、第4導体層24に含まれる第4コイル層240、電極導体層241,242及び接続導体層243を形成する。電極導体層241,242は、それぞれ電極導体層211,212に対応した形状である。第4コイル層240の外周端24aの外側に設けられた電極導体層242は、コイル12の端部E2として機能する領域である。また、接続導体層243は、第4コイル層240の外周端24aと電極導体層242とを接続する導体層である。これらの導体層を形成する際に、下方の絶縁性樹脂層17gに設けられた開口47内にも導体が充填されて、連結部13C(
図2参照)が形成される。この結果、連結部13Cを介して第3コイル層22の内周端23bと第4コイル層240の内周端24bとが連結される。また、開口48,49にも導体が充填されることで、導体層193,197が形成される。この結果、導体層193を介して電極導体層231と電極導体層241とが接続されると共に、導体層197を介して電極導体層232と電極導体層242とが接続される。なお、上記の導体層に加えて、第4コイル層240の内側及びその周囲にも導体層248が形成される。これらの導体層248は、コイル部品1の製造段階で除去される。これら導体の形成方法は他の層の形成方法と同様である。
【0055】
次に、第4コイル層240及び電極導体層241,242を覆うように絶縁性樹脂層17gの上面に絶縁性樹脂を積層することで、第4コイル層240及び電極導体層241,242の周囲の絶縁性樹脂層17h及びその上面の絶縁性樹脂層17iを形成する。形成方法は絶縁性樹脂層17a等の他の絶縁性樹脂層と同様である。絶縁性樹脂層17h,17iを形成した後に、
図4(D)に示すパターンで絶縁性樹脂層の除去用のマスクパターン51をこの順に形成する。マスクパターン51は、第1コイル層210〜第4コイル層240及び電極導体層211,212,221,222,231,232,241,242を一体的に覆うように形成されている。このマスクパターン51を用いたエッチング等により、マスクパターン51に覆われていない領域の絶縁性樹脂及び導体層が除去される。したがって、導体層218,228,238,248もこの段階で除去される。絶縁性樹脂及び導体層が除去された領域には磁性基板11が露出する。この状態では、磁性基板11上にコイル部Cが載置された状態となる。
【0056】
その後、絶縁性樹脂層17iの表面に導体層194,198を形成するための開口を設ける。また、磁性基板11が露出した領域(コイル部Cの周囲)と、絶縁性樹脂層17iの表面を覆うように、樹脂材料を塗布して硬化させる等の方法を用いて磁性樹脂層18を形成する。その後、絶縁層30を形成すると共に、開口を設けて引出導体19A,19Bとなる導体を充填する。そして、絶縁層30の表面に端子電極20A、20Bを形成する。以上によって、コイル部品1が形成される。
【0057】
ここで、本実施形態に係るコイル部品1における第1コイル層210〜第4コイル層240及び電極導体層211,212,221,222,231,232,241,242の形状の詳細について説明する。
【0058】
上述したように、コイル部品1では、第1導体層21において、第1コイル層210の外周端21aに連続して第1コイル層210の外方にコイル12の端部E1となる電極導体層211が設けられ、第1コイル層210と電極導体層211との間が接続導体層213により接続される。また、第4コイル層240の外周端24aに連続して第4コイル層240の外方にコイル12の端部E2となる電極導体層242が設けられ、第4コイル層240と電極導体層242との間が接続導体層243により接続される。
【0059】
コイル部品1では、このように、複数積層されたコイル層の外方にコイル層から連続する機能層となる電極導体層が設けられて、機能層とコイル層との間に接続導体層が設けられる場合に、接続導体層を設ける必要がないコイル層においても、接続導体層に対応する位置に、コイルの巻回部分から外方に突出する突出部を有することを特徴とする。ここでいう「機能層」とは、本実施形態における電極導体層のように、コイル12に電流を流す際に所定の機能を有する部分であり、例えば、コイル層間の電気的接続を達成する部分、及び、コイルとそれ以外の導体(例えば引出導体や端子電極等)との間を接続する端子として機能する部分を指す。本実施形態の場合、コイル12の端部E1,E2の電極層として機能する電極導体層211,212,221,222,231,232,241,242が機能層となる。そして、機能層とコイル層との間を接続する配線に係る導体層である接続導体層は、接続導体層213,243である。そして、接続導体層213,243に対応する位置に、突出部が設けられる。
【0060】
具体的には、端部E1は、第1コイル層210の外周端21aから外方に突出した位置に設けられた電極導体層211によって形成されると共に、電極導体層211と第1コイル層210との間にこれらを連結する接続導体層213が設けられる。一方、第2コイル層220〜第4コイル層240では、それぞれ電極導体層211に対応する電極導体層221,231,241が設けられているが、これらの導体層はコイル層とは接続されていない。ただし、第2コイル層220〜第4コイル層240では、接続導体層213に対応する位置(平面視において接続導体層213と重なる位置)に各コイル層の外周部分から突出する突出部225(
図2及び
図3(C)参照)、突出部235(
図2及び
図4(A)参照)、突出部245(
図2及び
図4(C)参照)が設けられている。なお、突出部225,235,245は、それぞれ電極導体層221,232,242との絶縁は十分確保されるように形成される。なお、突出部225,235,245が接続導体層213に対応する、とは、突出部225,235,245が接続導体層213と同一形状である必要はなく、電極導体層との絶縁を十分確保できる範囲で接続導体層213に類した形状を呈していればよい。
【0061】
また、端部E2は、第4コイル層240の外周端24aから外方に突出した位置に設けられた電極導体層242によって形成されると共に、電極導体層242と第4コイル層240との間にこれらを連結する接続導体層243が設けられる。一方、第1コイル層210〜第3コイル層230では、それぞれ電極導体層242に対応する電極導体層212,222,232が設けられているが、これらの導体層はコイル層とは接続されていない。ただし、第1コイル層210〜第3コイル層230では、接続導体層243に対応する位置(平面視において接続導体層243と重なる位置)に各コイル層の外周部分から突出する突出部216(
図2及び
図3(A)参照)、突出部226(
図2及び
図3(C)参照),236(
図2及び
図4(A)参照)が設けられている。なお、突出部216,226,236は、それぞれ電極導体層212,222,232との絶縁は十分確保されるように形成される。なお、突出部216,226,236が接続導体層243に対応する、とは、突出部216,226,236が接続導体層243と同一形状である必要はなく、電極導体層との絶縁を十分確保できる範囲で接続導体層21に類した形状を呈していればよい。
【0062】
このように、本実施形態に係るコイル部品1では、複数の導体層(本実施形態では、第1導体層21〜第4導体層24)がコイル12の軸心に沿って積層されている場合に、一部の導体層において、コイル層の巻回領域から外方に突出する位置に機能層となる導体層(本実施形態では、電極導体層211,242)が設けられていて、機能層との間に接続導体層(本実施形態では、接続導体層213,243)が設けられている場合、機能層が設けられていない他の導体層においても、平面視において接続導体層と重なる位置に、接続導体層に対応した突出部が設けられている。このような構成を有することで、本実施形態に係るコイル部品1では、機能層周辺での導体配線の断線の発生を防ぐことができる。
【0063】
コイル部品1のように、コイル層を含む導体層が複数積層されていて、且つ積層された導体層の間に被覆部17を構成する絶縁性樹脂による絶縁性樹脂層が設けられている場合、製造工程における絶縁性樹脂層の収縮等に伴って、絶縁性樹脂層の上層の導体層の平坦性が低下する場合があると共に、収縮時の応力に由来する歪みが生じる場合がある。また、例えば、絶縁性樹脂層の厚さが大きくなると、絶縁性樹脂層の表面の凹凸又は歪みがさらに大きくなる。凹凸又は歪みが発生した絶縁性樹脂層の上に機能層となる導体層が設けられると、接続導体層の周辺で断線が発生する可能性がある。また、接続導体層の上に厚さが大きな絶縁性樹脂層が形成された場合も、絶縁性樹脂の硬化時の収縮に伴う応力等の影響を受けて、接続導体層の周辺で断線が発生する可能性がある。
【0064】
これに対して、本実施形態に係るコイル部品1では、コイル層と機能層とを含む複数の導体層のうちの一部に、コイル層と機能層との間を接続する接続導体層(接続導体層213,243)が設けられている場合に、接続導体層を有していない導体層において、平面視において接続導体層と重なる位置に接続導体層に対応した突出部(突出部225,235,245及び突出部216,226,236)が設けられる。このような構造を有することで、被覆部17を構成する絶縁性樹脂の収縮に伴う凹凸や歪み等が、コイル層と機能層を接続する接続導体層に集中することを防ぐことができる。したがって、配線に係る導体層での断線を抑制することができる。
【0065】
また、上記の絶縁性樹脂に由来する凹凸は、コイル層を含む導体層の厚さに対して、導体層の間の絶縁性樹脂層の厚さの割合が小さくなると顕著となることが発見された。すなわち、絶縁性樹脂層の厚さの割合が小さいと、導体層上に絶縁性樹脂層を積層した段階で、表面に現れる凹凸が大きくなる傾向がある。複数のコイル層が積層されている領域では、コイル層の形状は基本的に略同一となるので、コイル層上では絶縁性樹脂層に由来する凹凸の問題は生じにくい。一方、平面視においてコイル層とは異なる位置に設けられる機能層の周辺では、絶縁性樹脂に由来する凹凸や歪みの影響を受けやすい。そのため、コイル層と機能層との間の接続導体層周辺で凹凸や歪みに由来する断線が発生するリスクが高くなる。
【0066】
例えば接続導体層243のように、接続導体層が設けられる導体層(第4導体層24)の下方に、接続導体層を有していない導体層(第1導体層21〜第3導体層23)がある場合、接続導体層は、下方の絶縁性樹脂の影響を受けた断線が発生しやすくなる。そこで、コイル部品1のように、下方の導体層が突出部(突出部216,226,236)を有する構成とすることで、上方の接続導体層での断線を好適に防ぐことができる。また、コイル部品1のように、接続導体層を有する導体層の下方の全ての導体層が突出部を有する構成とすることで、上方の接続導体層での断線をさらに好適に防ぐことができる。
【0067】
一方、絶縁性樹脂に由来する凹凸や歪みは、接続導体層上に積層される絶縁性樹脂の厚さが大きくなった場合も、その影響を受ける可能性が高くなる。例えば接続導体層213のように、接続導体層が設けられる導体層(第1導体層21)の上方に、接続導体層(第2導体層22〜第4導体層24)を有していない導体層がある場合、接続導体層は、上方の絶縁性樹脂の影響を受けた断線が発生しやすくなる。これに対して、そこで、コイル部品1のように、上方の導体層が突出部(突出部225,235,245)を有する構成とすることで、下方の接続導体層での断線を好適に防ぐことができる。また、コイル部品1のように、接続導体層を有する導体層の上方の全ての導体層が突出部を有する構成とすることで、下方の接続導体層での断線をさらに好適に防ぐことができる。
【0068】
また、コイル部品1では、突出部は、各コイル層210〜240から突出して形成されている。このような構成とすることで、コイル層の導体が実質的に大きくなるので、突出部がコイル層の抵抗値の低減に寄与して、コイル層の特性を向上させることができる。
【0069】
ただし、突出部は、コイル層から突出して形成される構成でなくてもよい。本実施形態に係るコイル部品1の場合、機能層となる電極導体層側から導体を突出させることで突出部を形成してもよい。例えば、突出部216は、電極導体層212から導体を突出させることで形成してもよい。このような構成とすると、機能層側の導体が実質的に大きくなるので、機能層の特性を向上させることができる場合がある。
【0070】
以上、本発明の実施形態について説明してきたが、本発明は上記の実施形態に限定されず、種々の変更を行うことができる。例えば、上記の実施形態では、コイル12に含まれる導体層の数は2層以上であれば層数は特に限定されず、任意に変更可能である。また、接続導体層213,243の下方又は上方の突出部は、上記実施形態のコイル部品1のように全ての導体層に形成されていなくてもよく、一部の導体層のみに形成されていてもよい。
【0071】
また、上記実施形態では、機能層が電極導体層である場合について説明したが、機能層が他の機能を有していてもよい。他の機能を有する機能層とは、例えば、配線層に対して接続するビア導体が形成される導体層等が挙げられる。